以下、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
以下、図1〜図15を参照して、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第1実施形態について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とする。また、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。また、X軸に平行な方向を「X方向(第1の方向)」とも言い、Y軸に平行な方向を「Y方向(第2の方向)」とも言い、Z軸に平行な方向を「Z方向(第3の方向)」とも言う。また、各方向の矢印が向いた方向を「正」、その反対方向を「負」と言う。また、本願明細書で言う「水平」とは、完全な水平に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、水平に対して若干(例えば5°未満程度)傾いた状態も含む。また、本願明細書で言う「鉛直」とは、完全な鉛直に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、鉛直に対して若干(例えば5°未満程度)傾いた状態も含む。また、図1、図4〜図6中(図16についても同様)の上側、すなわち、Z軸方向正側を「上」または「上方」、下側、すなわち、Z軸方向負側を「下」または「下方」と言うことがある。
本発明の電子部品搬送装置10は、図1に示す外観を有するハンドラーである。図2に示すように、この電子部品搬送装置10は、電子部品であるICデバイス90を搬送する搬送部25と、ICデバイス90(電子部品)が載置される電子部品載置部26と、電子部品載置部26上のICデバイス90(電子部品)の有無を検出する、すなわち、電子部品載置部26でのICデバイス90の残留を検出する検出部としての残留検出ユニット3と、残留検出ユニット3(検出部)の検出結果の正確性を判断する判断部801と、を備える。
また、本発明の電子部品搬送装置10は、電子部品であるICデバイス90を搬送する電子部品搬送装置10であって、ICデバイス90(電子部品)を搬送する搬送部25と、ICデバイス90(電子部品)が載置される電子部品載置部26(電子部品載置部材)と、電子部品載置部26(電子部品載置部材)を撮像する撮像部5(撮像部材)と、プロセッサー802と、を備える。プロセッサー802は、撮像部5(撮像部材)により撮像された画像に基づいて、電子部品載置部26(電子部品載置部材)上のICデバイス90(電子部品)の有無を検出し、ICデバイス90(電子部品)の有無の検出結果の正確性を判断する。
検出結果とは、残留検出の結果をいい、具体的には、ICデバイス90が残留しているか否か(ICデバイス90が有るか無いか)をいう。
検出結果の正確性とは、上記検出結果が正しい度合(上記検出結果が誤っていない度合)をいい、例えば確率(例えば6個/10万個)等で示される。
ICデバイス90の残留検出(ICデバイス90の有無検出)を繰り返し行なっていくと、検出結果の正確性(検出精度)が経時的に低下する傾向にある。その原因としては、種々挙げられるが、例えば、検出機器等の経時的な劣化、ICデバイス90の表面状態の変化、電子部品搬送装置10を使用している環境の変化等がある。そして、残留検出結果の正確性が低下したまま、ICデバイス90の残留検出を行なった場合、実際にはICデバイス90の残留が無いのに、ICデバイス90が残留しているとされて、ICデバイス90の搬送動作が停止するおそれがある。この場合、電子部品搬送装置10のスループット(単位時間当たりのICデバイス90の搬送個数)、すなわち、稼動率が低下するおそれがある。
そこで、本発明によれば、後述するように、ICデバイス90の残留検出精度が低下した際、その低下状態を判断部801(プロセッサー802)で判断し、低下状態が放置されるのを防止することができる。そして、残留検出精度の低下が判断された場合には、例えば、残留検出ユニット3の検出条件の調整を行なうことにより、残留検出精度を回復させることができる。これにより、ICデバイス90の残留検出を継続して安定かつ正確に行なうことができ、よって、前記検出結果の信頼性を保証することができるとともに、スループットの経時的な低下を防止することができる。また、検出結果の正確性(検出精度)が低下しても、その状態を放置するのを防止することができる。
なお、図2に示すように、本実施形態では、電子部品載置部26を検査部16に適用しているが、これに限定されず、例えば、電子部品載置部26を、後述する温度調整部12、デバイス供給部14、デバイス回収部18、回収用トレイ19またはトレイ200に適用してもよい。
また、図2に示すように、本発明の電子部品検査装置1は、電子部品搬送装置10を備え、さらに、電子部品を検査する検査部16を備えるテストシステム(test system)である。すなわち、本発明の電子部品検査装置1は、電子部品であるICデバイス90を搬送する搬送部25と、ICデバイス90(電子部品)が載置される電子部品載置部26を有し、電子部品載置部26上のICデバイス90(電子部品)を検査する検査部16と、
電子部品載置部26上のICデバイス90(電子部品)の有無を検出する、すなわち、電子部品載置部26でのICデバイス90の残留を検出する検出部としての残留検出ユニット3と、残留検出ユニット3(検出部)の検出結果の正確性を判断する判断部801と、を備える。
これにより、前述した電子部品搬送装置10の利点を持つ電子部品検査装置1が得られる。また、検査部16にまでICデバイス90を搬送することができ、よって、当該ICデバイス90に対する検査を検査部16で行なうことができる。また、検査後のICデバイス90を検査部16から搬送することができる。
以下、各部の構成について詳細に説明する。
図1、図2に示すように、電子部品搬送装置10を有する電子部品検査装置1は、例えばBGA(Ball Grid Array)パッケージであるICデバイス等の電子部品を搬送し、その搬送過程で電子部品の電気的特性を検査・試験(以下単に「検査」と言う)する装置である。なお、以下では、説明の便宜上、前記電子部品としてICデバイスを用いる場合について代表して説明し、これを「ICデバイス90」とする。ICデバイス90は、本実施形態では平板状をなすものとなっている。
なお、ICデバイスとしては、前記のものの他に、例えば、「LSI(Large Scale Integration)」「CMOS(Complementary MOS)」「CCD(Charge Coupled Device)」や、ICデバイスを複数モジュールパッケージ化した「モジュールIC」、また、「水晶デバイス」、「圧力センサー」、「慣性センサー(加速度センサー)」、「ジャイロセンサー」、「指紋センサー」等が挙げられる。
電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)は、トレイ供給領域A1と、デバイス供給領域A2と、検査領域A3と、デバイス回収領域A4と、トレイ除去領域A5とを備え、これらの領域は、後述するように各壁部で分けられている。そして、ICデバイス90は、トレイ供給領域A1からトレイ除去領域A5まで前記各領域を矢印α90方向に順に経由し、途中の検査領域A3で検査が行われる。このように電子部品検査装置1は、各領域を経由するようにICデバイス90を搬送する搬送部25を有する電子部品搬送装置10と、検査領域A3内で検査を行なう検査部16と、産業用コンピューターで構成された制御部800とを備えたものとなっている。また、その他、電子部品検査装置1は、モニター300と、シグナルランプ400と、操作パネル700とを備えている。
なお、電子部品検査装置1は、トレイ供給領域A1、トレイ除去領域A5が配された方、すなわち、図2中の下側が正面側となり、検査領域A3が配された方、すなわち、図2中の上側が背面側として使用される。
また、電子部品検査装置1は、ICデバイス90の種類ごとに交換される「チェンジキット」と呼ばれるものを予め搭載して用いられる。このチェンジキットには、例えば、温度調整部12と、デバイス供給部14と、デバイス回収部18とがある。また、このようなチェンジキットとは別に、ICデバイス90の種類ごとに交換されるものとしては、例えば、ユーザーが用意するトレイ200と、回収用トレイ19と、検査部16とがある。
トレイ供給領域A1は、未検査状態の複数のICデバイス90が配列されたトレイ200が供給される給材部である。トレイ供給領域A1は、トレイ200を複数積み重ねて搭載可能な搭載領域と言うこともできる。なお、本実施形態では、各トレイ200には、複数の凹部(ポケット)が行列状に配置されている。各凹部には、ICデバイス90を1つずつ収納、載置することができる。
デバイス供給領域A2は、トレイ供給領域A1から搬送されたトレイ200上の複数のICデバイス90がそれぞれ検査領域A3まで搬送、供給される領域である。なお、トレイ供給領域A1とデバイス供給領域A2とをまたぐように、トレイ200を1枚ずつ水平方向に搬送するトレイ搬送機構11A、トレイ搬送機構11Bが設けられている。トレイ搬送機構11Aは、搬送部25の一部であり、トレイ200を、当該トレイ200に載置されたICデバイス90ごとY方向の正側、すなわち、図2中の矢印α11A方向に移動させることができる。これにより、ICデバイス90を安定してデバイス供給領域A2に送り込むことができる。また、トレイ搬送機構11Bは、空のトレイ200をY方向の負側、すなわち、図2中の矢印α11B方向に移動させることができる。これにより、空のトレイ200をデバイス供給領域A2からトレイ供給領域A1に移動させることができる。
デバイス供給領域A2には、温度調整部(ソークプレート(英語表記:soak plate、中国語表記(一例):均温板))12と、デバイス搬送ヘッド13と、トレイ搬送機構15とが設けられている。また、デバイス供給領域A2と検査領域A3とをまたぐように移動するデバイス供給部14も設けられている。
温度調整部12は、複数のICデバイス90が載置され、当該載置されたICデバイス90を一括して加熱または冷却することができる「ソークプレート」と呼ばれる。このソークプレートにより、検査部16で検査される前のICデバイス90を予め加熱または冷却して、当該検査(高温検査や低温検査)に適した温度に調整することができる。
このような載置部としての温度調整部12は、固定されている。これにより、当該温度調整部12上でのICデバイス90に対して安定して温度調整することができる。
また、温度調整部12は、グランドされて(接地されて)いる。
図2に示す構成では、温度調整部12は、Y方向に2つ配置、固定されている。そして、トレイ搬送機構11Aによってトレイ供給領域A1から搬入されたトレイ200上のICデバイス90は、いずれかの温度調整部12まで搬送される。
デバイス搬送ヘッド13は、ICデバイス90を把持するものであり、デバイス供給領域A2内でX方向およびY方向に移動可能に支持され、さらにZ方向にも移動可能に支持されている。このデバイス搬送ヘッド13は、搬送部25の一部でもあり、トレイ供給領域A1から搬入されたトレイ200と温度調整部12との間のICデバイス90の搬送と、温度調整部12と後述するデバイス供給部14との間のICデバイス90の搬送とを担うことができる。なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド13のX方向の移動を矢印α13Xで示し、デバイス搬送ヘッド13のY方向の移動を矢印α13Yで示している。
デバイス供給部14は、温度調整部12で温度調整されたICデバイス90が載置され、当該ICデバイス90を検査部16近傍まで搬送することができる「供給用シャトルプレート」または単に「供給シャトル」と呼ばれるものである。このデバイス供給部14も、搬送部25の一部となり得る。このデバイス供給部14は、ICデバイス90が収納、載置される凹部(ポケット)を有している。
また、デバイス供給部14は、デバイス供給領域A2と検査領域A3との間をX方向、すなわち、矢印α14方向に往復移動可能(移動可能)に支持されている。これにより、デバイス供給部14は、ICデバイス90をデバイス供給領域A2から検査領域A3の検査部16近傍まで安定して搬送することができ、また、検査領域A3でICデバイス90がデバイス搬送ヘッド17によって取り去られた後は再度デバイス供給領域A2に戻ることができる。
図2に示す構成では、デバイス供給部14は、Y方向に2つ配置されており、Y方向負側のデバイス供給部14を「デバイス供給部14A」と言い、Y方向正側のデバイス供給部14を「デバイス供給部14B」と言うことがある。そして、温度調整部12上のICデバイス90は、デバイス供給領域A2内でデバイス供給部14Aまたはデバイス供給部14Bまで搬送される。また、デバイス供給部14は、温度調整部12と同様に、当該デバイス供給部14に載置されたICデバイス90を加熱または冷却可能に構成されている。これにより、温度調整部12で温度調整されたICデバイス90に対して、その温度調整状態を維持して、検査領域A3の検査部16近傍まで搬送することができる。また、デバイス供給部14も、温度調整部12と同様に、グランドされている。
トレイ搬送機構15は、全てのICデバイス90が除去された状態の空のトレイ200をデバイス供給領域A2内でX方向の正側、すなわち、矢印α15方向に搬送する機構である。そして、この搬送後、空のトレイ200は、トレイ搬送機構11Bによってデバイス供給領域A2からトレイ供給領域A1に戻される。
検査領域A3は、ICデバイス90を検査する領域である。この検査領域A3には、ICデバイス90に対して検査を行なう検査部16と、デバイス搬送ヘッド17とが設けられている。
デバイス搬送ヘッド17は、搬送部25の一部であり、温度調整部12と同様に、把持したICデバイス90を加熱または冷却可能に構成されている。図4〜図6に示すように、デバイス搬送ヘッド17は、その下部に、ICデバイス90(電子部品)を吸着により把持する把持部171を有している。これにより、前記温度調整状態が維持されたICデバイス90を把持して、前記温度調整状態を維持したまま、ICデバイス90を検査領域A3内で搬送することができる。なお、把持部171の設置数は、図4〜図6に示すものに限定されない。
このようなデバイス搬送ヘッド17は、検査領域A3内でY方向およびZ方向に往復移動可能に支持され、「インデックスアーム」と呼ばれる機構の一部となっている。これにより、デバイス搬送ヘッド17は、デバイス供給領域A2から搬入されたデバイス供給部14から、ICデバイス90を持ち上げて、検査部16上に搬送し、載置することができる。
なお、図2、図3中では、デバイス搬送ヘッド17のY方向の往復移動を矢印α17Yで示している。そして、デバイス搬送ヘッド17は、検査領域A3内で、ICデバイス90のデバイス供給部14Aから検査部16への搬送(図3中の上側で実線で示すデバイス搬送ヘッド17と、中央で二点鎖線で示すデバイス搬送ヘッド17を参照)と、ICデバイス90のデバイス供給部14Bから検査部16への搬送(図3中の下側で二点鎖線で示すデバイス搬送ヘッド17と、中央で二点鎖線で示すデバイス搬送ヘッド17を参照)とを担うことができる。また、デバイス搬送ヘッド17は、Y方向に往復移動可能に支持されているが、これに限定されず、X方向にも往復移動可能に支持されていてもよい。
また、本実施形態では、デバイス搬送ヘッド17は、Y方向に2つ配置されている(図2参照)。以下、Y方向負側のデバイス搬送ヘッド17を「デバイス搬送ヘッド17A」と言い、Y方向正側のデバイス搬送ヘッド17を「デバイス搬送ヘッド17B」と言うことがある。デバイス搬送ヘッド17Aは、検査領域A3内で、ICデバイス90のデバイス供給部14Aから検査部16への搬送を担うことができ、デバイス搬送ヘッド17Bは、検査領域A3内で、ICデバイス90のデバイス供給部14Bから検査部16への搬送を担うことができる。また、デバイス搬送ヘッド17Aは、検査領域A3内で、ICデバイス90の検査部16からデバイス回収部18Aへの搬送を担うことができ、デバイス搬送ヘッド17Bは、検査領域A3内で、検査部16からデバイス回収部18Bへの搬送を担うことができる。
検査部16(ソケット)は、電子部品であるICデバイス90を載置して、当該ICデバイス90の電気的特性を検査することができる。図4〜図6に示すように、検査部16は、ICデバイス90が収納、載置される凹部(ポケット)161を有し、その凹部161の底面162に、複数のプローブピン(図示せず)が設けられている。そして、ICデバイス90の端子とプローブピンとが導電可能に接続される、すなわち、接触することにより、ICデバイス90の検査を行なうことができる。ICデバイス90の検査は、検査部16に接続されるテスターが備える検査制御部に記憶されているプログラムに基づいて行われる。
このような検査部16は、温度調整部12と同様に、ICデバイス90を加熱または冷却して、当該ICデバイス90を検査に適した温度に調整することができる。
デバイス回収領域A4は、検査領域A3で検査され、その検査が終了した複数のICデバイス90が回収される領域である。このデバイス回収領域A4には、回収用トレイ19と、デバイス搬送ヘッド20と、トレイ搬送機構21とが設けられている。また、検査領域A3とデバイス回収領域A4とをまたぐように移動するデバイス回収部18も設けられている。また、デバイス回収領域A4には、空のトレイ200も用意されている。
デバイス回収部18は、検査部16で検査が終了したICデバイス90が載置され、当該ICデバイス90をデバイス回収領域A4まで搬送する「回収用シャトルプレート」または単に「回収シャトル」と呼ばれる。このデバイス回収部18も、搬送部25の一部となり得る。
また、デバイス回収部18は、検査領域A3とデバイス回収領域A4との間をX方向、すなわち、矢印α18方向に沿って往復移動可能に支持されている。また、図2に示す構成では、デバイス回収部18は、デバイス供給部14と同様に、Y方向に2つ配置されており、Y方向負側のデバイス回収部18を「デバイス回収部18A」と言い、Y方向正側のデバイス回収部18を「デバイス回収部18B」と言うことがある。そして、検査部16上のICデバイス90は、デバイス回収部18Aまたはデバイス回収部18Bに搬送され、載置される。そして、デバイス搬送ヘッド17は、検査領域A3内で、ICデバイス90の検査部16からデバイス回収部18Aへの搬送(図3中の中央で二点鎖線で示すデバイス搬送ヘッド17と、上側で実線で示すデバイス搬送ヘッド17を参照)と、ICデバイス90の検査部16からデバイス回収部18Bへの搬送(図3中の中央で二点鎖線で示すデバイス搬送ヘッド17と、下側で二点鎖線で示すデバイス搬送ヘッド17を参照)とを担うことができる。また、デバイス回収部18も、温度調整部12やデバイス供給部14と同様に、グランドされている。
回収用トレイ19は、検査部16で検査されたICデバイス90が載置され、デバイス回収領域A4内で移動しないよう固定されている。これにより、デバイス搬送ヘッド20等の各種可動部が比較的多く配置されたデバイス回収領域A4であっても、回収用トレイ19上では、検査済みのICデバイス90が安定して載置されることとなる。なお、図2に示す構成では、回収用トレイ19は、X方向に沿って3つ配置されている。
また、空のトレイ200も、X方向に沿って3つ配置されている。この空のトレイ200も、検査部16で検査されたICデバイス90が載置される。そして、デバイス回収領域A4に移動してきたデバイス回収部18上のICデバイス90は、回収用トレイ19および空のトレイ200のうちのいずれかに搬送され、載置される。これにより、ICデバイス90は、検査結果ごとに分類されて、回収されることとなる。
デバイス搬送ヘッド20は、デバイス回収領域A4内でX方向およびY方向に移動可能に支持され、さらにZ方向にも移動可能な部分を有している。このデバイス搬送ヘッド20は、搬送部25の一部であり、ICデバイス90をデバイス回収部18から回収用トレイ19や空のトレイ200に搬送することができる。なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド20のX方向の移動を矢印α20Xで示し、デバイス搬送ヘッド20のY方向の移動を矢印α20Yで示している。
トレイ搬送機構21は、トレイ除去領域A5から搬入された空のトレイ200をデバイス回収領域A4内でX方向、すなわち、矢印α21方向に搬送する機構である。そして、この搬送後、空のトレイ200は、ICデバイス90が回収される位置に配されることとなる、すなわち、前記3つの空のトレイ200のうちのいずれかとなり得る。
トレイ除去領域A5は、検査済み状態の複数のICデバイス90が配列されたトレイ200が回収され、除去される除材部である。トレイ除去領域A5では、多数のトレイ200を積み重ねることができる。
また、デバイス回収領域A4とトレイ除去領域A5とをまたぐように、トレイ200を1枚ずつY方向に搬送するトレイ搬送機構22A、トレイ搬送機構22Bが設けられている。トレイ搬送機構22Aは、搬送部25の一部であり、トレイ200をY方向、すなわち、矢印α22A方向に往復移動させることができる。これにより、検査済みのICデバイス90をデバイス回収領域A4からトレイ除去領域A5に搬送することができる。また、トレイ搬送機構22Bは、ICデバイス90を回収するための空のトレイ200をY方向の正側、すなわち、矢印α22B方向に移動させることができる。これにより、空のトレイ200をトレイ除去領域A5からデバイス回収領域A4に移動させることができる。
制御部800は、例えば、トレイ搬送機構11Aと、トレイ搬送機構11Bと、温度調整部12と、デバイス搬送ヘッド13と、デバイス供給部14と、トレイ搬送機構15と、検査部16と、デバイス搬送ヘッド17と、デバイス回収部18と、デバイス搬送ヘッド20と、トレイ搬送機構21と、トレイ搬送機構22Aと、トレイ搬送機構22Bと、後述する残留検出ユニット3の光照射部4および撮像部5の各部の作動を制御することができる。
この制御部800は、電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。この外部機器は、例えば、電子部品検査装置1とケーブル等を介して通信される場合、無線通信される場合、電子部品検査装置1とネットワーク(例えばインターネット)を介して接続されている場合等がある。
オペレーターは、モニター300を介して、電子部品検査装置1の動作条件等を設定したり、確認したりすることができる。このモニター300(「モニター300」は、報知部の一つである)は、例えば液晶画面で構成された表示画面301を有し、電子部品検査装置1の正面側上部に配置されている。図1に示すように、トレイ除去領域A5の図中の右側には、マウスを載置するマウス台600が設けられている。このマウスは、モニター300に表示された画面を操作する際に用いられる。
また、モニター300に対して図1の右下方には、操作パネル700が配置されている。操作パネル700は、モニター300とは別に、電子部品検査装置1に所望の動作を命令するものである。
また、シグナルランプ400(「シグナルランプ400」は、報知部の一つである)は、発光する色の組み合わせにより、電子部品検査装置1の作動状態等を報知することができる。シグナルランプ400は、電子部品検査装置1の上部に配置されている。なお、電子部品検査装置1には、スピーカー500が内蔵されており、このスピーカー500によっても電子部品検査装置1の作動状態等を報知することもできる。
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域A1とデバイス供給領域A2との間が第1隔壁231によって区切られており、デバイス供給領域A2と検査領域A3との間が第2隔壁232によって区切られており、検査領域A3とデバイス回収領域A4との間が第3隔壁233によって区切られており、デバイス回収領域A4とトレイ除去領域A5との間が第4隔壁234によって区切られている。また、デバイス供給領域A2とデバイス回収領域A4との間も、第5隔壁235によって区切られている。
電子部品検査装置1は、最外装がカバーで覆われており、当該カバーには、例えばフロントカバー241、サイドカバー242、サイドカバー243、リアカバー244、トップカバー245がある。
前述したように、検査領域A3には、ICデバイス90を載置して検査可能な検査部16が配置されている。電子部品検査装置1では、検査部16でICデバイス90の検査を行なう際、その検査に先立って、検査部16の凹部161におけるICデバイス90の有無、すなわち、ICデバイス90の残留を検出する。残留検出を行なう理由としては、例えば、次のような理由が挙げられる。
検査部16の凹部161にICデバイス90が残留していた場合(以下このICデバイス90を「残留デバイス」という)、この凹部161で検査が行われる次のICデバイス90(以下このICデバイス90を「未検査デバイス」という)が残留デバイスに重なって載置されてしまうおそれがある(図6参照)。このような状態では、未検査デバイスに対する検査を正確に行なうことが困難となるおそれがある。そのため、検査部16では、ICデバイス90の残留検出を行なうのが好ましい。
そこで、電子部品検査装置1は、検査部16でのICデバイス90の残留を検出する残留検出ユニット3を備えている。図3〜図6に示すように、残留検出ユニット3は、検査部16を照明する光照射部(照明部)4と、光照射部4により照明された検査部16を撮像する撮像部5とを有している。
図4(図5、図6についても同様)に示すように、光照射部4は、検査部16に対して左斜め上方、すなわち、検査部16に対してX方向負側かつZ方向正側に配置されている。この光照射部4は、本実施形態では、少なくとも1つのレーザー光源41を有する光源部となっている。
レーザー光源41は、検査部16の凹部161に向かってレーザー光L41をY方向に沿ったスリット光として照射することができる。レーザー光源41としては、特に限定されず、例えば、半導体レーザー光源、または、その他の種類のレーザー光源を用いることができる。また、レーザー光源41としては、例えば、シリンドリカルレンズを有するもの等を用いてもよい。これにより、レーザー光L41の検査部16上での投影形状が線状となる(以下、レーザー光L41が検査部16上に投影されたものを「投影スリットPS41」と言うことがある)。また、レーザー光源41として、上記のものの他に、例えば、スポット光をY方向に沿って走査するものを用いてもよい。
また、レーザー光源41の配置数は、凹部161のX方向に沿った配置数と同じかまたはそれ以上であるのが好ましい。レーザー光源41の配置数は、本実施形態では1つであったが、これに限定されず、例えば、2つ以上であってもよい。複数のレーザー光源41を有する場合、それらの配置は、X方向、Y方向、Z方向のいずれかの方向に沿って並設されているのが好ましい。
また、レーザー光源41(光照射部4)の配置箇所は、図4に示す構成では検査部16に対して図中の左斜め上方であったが、これに限定されず、例えば、右斜め上方であってもよいし、左斜め上方と右斜め上方との双方であってもよい。
レーザー光源41は、X方向、Y方向、Z方向のいずれかの方向に移動可能に支持されているのが好ましい。これにより、凹部161の位置に応じて、レーザー光源41の位置調整を行なうことができる。また、レーザー光源41は、Y方向に沿った軸回りに回動可能に支持されているのが好ましい。これにより、凹部161の位置に応じて、レーザー光源41の姿勢調整を行なうことができる。また、このような調整は、例えば、手動による調整となっていてもよいし、電力供給により自動化された調整となっていてもよい。
図4に示すように、撮像部5は、検査部16の上側、すなわち、検査部16に対してZ方向正側に配置、固定されている。図3に示すように、この撮像部5は、本実施形態では、4つのカメラ51で構成されている。これらのカメラ51は、X方向に2つ、Y方向に2つずつ配置されており、撮像範囲が異なる。そして、各カメラ51で撮像された画像同士を合成して、検査部16全体の画像を得ることができる。
なお、各カメラ51としては、特に限定されず、例えば、CCD(charge-coupled device)カメラや3次元カメラ等を用いることができる。
また、カメラ51の配置数は、本実施形態では4つであったが、これに限定されず、例えば、1つ、2つ、3つまたは5つ以上であってもよい。また、カメラ51の配置態様(X方向の配置数とY方向の配置数)も、図3に示すものに限定されない。
また、各カメラ51は、本実施形態では固定されているが、これに限定されず、例えば、回動可能に支持されていてもよい。これにより、例えば、各カメラ51の撮像範囲を変更することができたり、カメラ51の総配置数をできる限り抑えることができる。
そして、検査部16の各凹部161におけるICデバイス90の残留検出処理、すなわち、ICデバイス90(電子部品)の有無の判断処理は、制御部800に内蔵されている判断部801で行なわれる。この判断部801は、少なくとも1つのプロセッサー802(at least one processor)と、少なくとも1つのメモリー803とを有している(図2参照)。プロセッサー802は、メモリー803に記憶されている各種情報(例えば、判断用プログラム、指示・命令用プログラム等)を読み込み、判断や指令(命令)を実行することができる。このような構成の判断部801は、検査部16に投影されたレーザー光L41の検査部16上での投影形状および照射位置のうちの少なくとも一方に基づいて、残留検出処理(残留判断)を行なうことができる。以下、この処理について、図4〜図8を参照しつつ説明する。
図4、図7に示すように、凹部161にICデバイス90が載置されていない状態では、レーザー光L41は、凹部161の底面162にまで到達している。また、このときの検査部16上での投影スリットPS41の投影形状は、図7に示すような屈曲した線状(ライン状)をなす(図7中の二点鎖線で囲まれた部分参照)。また、図7に示す投影スリットPS41は、画像として撮像部5によって撮像され、メモリー803に予め記憶されている。位置Pと位置P2とのX方向(図中左右方向)のずれ量を、ずれ量ΔD2とする。
一方、図6、図8に示すように、凹部161にICデバイス90が載置された状態では、レーザー光L41は、凹部161の底面162には到達せずに、凹部161内のICデバイス90の上面901まで到達している。また、このときの検査部16上での投影スリットPS41は、凹部161内にICデバイス90が載置されている分、図7に示すレーザー光L41の投影形状と異なり、図8に示すような屈曲した線状をなす(図8中の二点鎖線で囲まれた部分参照)。また、図8に示す投影スリットPS41は、画像として撮像部5によって撮像され、メモリー803に予め記憶されている。位置Pと位置P1とのX方向(図中左右方向)のずれ量を、ずれ量ΔD1とする。
実際に残留検出を行なう場合には、残留検出が行なわれるべき凹部161にレーザー光L41を照射して、そのレーザー光L41の投影形状を撮像部5で撮像する。そして、残留検出が行なわれるべき凹部161に投影されたレーザー光L41の投影形状が、図7に示すレーザー光L41の投影形状と、図8に示すレーザー光L41の投影形状とのうちのどちらに近似しているかを比較して、ICデバイス90が残留しているか否かが判断される。そして、ICデバイス90が残留していないと判断された場合には、デバイス搬送ヘッドを作動させて、凹部161にICデバイス90を載置する(図5参照)。これに対し、ICデバイス90が残留している判断された場合には、デバイス搬送ヘッドの作動を停止する(図6参照)。
また、図8に示すずれ量ΔD1は、図7に示すずれ量ΔD2よりも小さい。これは、ICデバイス90の上面が、凹部161の底部よりも+Z側に位置しているためである。
電子部品搬送装置10では、例えば、撮像された画像におけるずれ量が、ずれ量ΔD1であるかずれ量ΔD2であるかにより、残留状態か除去状態かを検出(判断)することができる。例えば、ΔD2と(撮像された画像におけるずれ量)との差分(ΔD2’)をとり、次にΔD1と(撮像された画像におけるずれ量)との差分(ΔD1’)をとり、その後にΔD2’とΔD1’とのいずれが小さいかを比較してもよい。また、比較せず、ΔD2’が所定値より小さい場合(図7に示すレーザー光L41の投影形状に近い場合)に、ICデバイス90が残留していないと判断してもよく、ΔD1’が所定値より小さい場合(図8に示すレーザー光L41の投影形状に近い場合)に、ICデバイス90が残留していると判断してもよい。
このとき、画像を構成する最小単位である画素(ピクセル)に基づいて、検査部16の上面でのレーザー光L1のラインの位置Pからのずれ量を、画素数であらわしてもよい。例えば、位置Pから位置P2までの画素数をずれ量ΔD2、位置Pから位置P1までの画素数をずれ量ΔD1を画素数であらわしてもよい。
また、画素数に代えて、画像上での距離を測定し、検査部16の上面でのレーザー光L1のラインの位置Pからのずれ量を、距離であらわしてもよい。
以上のように、残留検出ユニット3では、光照射部4は、光源として、レーザー光L41(光)を照射する複数のレーザー光源41を有している。また、電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)は、検査部16(電子部品載置部26)の凹部161を含む範囲を撮像する撮像部5を備えた構成となっている。このような構成により、レーザー光源41から検査部16の凹部161に向けてレーザー光L41を照射することができる。そして、凹部161上に投影されたレーザー光L41の投影形状を撮像部5で撮像し、その撮像結果に応じて、凹部161にICデバイス90が残留しているか否かの判断を正確に行なうことができる。なお、光源は、レーザー光源41に限定されず、他の種類の光源、例えば、各種ランプやLED等であってもよい。
なお、ICデバイス90が残留しているか否かの判断方法としては、本実施形態では上記のようにレーザー光L41の投影形状を比較する方法を採用しているが、これに限定されない。他の判断方法としては、例えば、レーザー測長器を用いてICデバイス90の厚さを測定し、その測定結果に基づいて、残留を判断する方法や、光透過型の光学センサーを用いて、その光学センサーでの透光状態と遮光状態とに基づいて、残留を判断する方法等が挙げられる。
ところで、残留検出ユニット3によるICデバイス90の残留検出を繰り返し行なっていくと、その検出精度、すなわち、検出結果の正確性が経時的に低下する傾向にある。その原因としては、種々挙げられるが、例えば、レーザー光源41やカメラ51等の経時的な劣化、従来のICデバイス90と異なるICデバイス90の表面状態や形状の変化、検査部16の状態の変化、電子部品検査装置1を使用している環境の変化等がある。
ICデバイス90の残留検出の結果として、例えば、図9〜図11に示すグラフが得られる。図9〜図11に示すグラフのうち、図9に示すグラフは、最も早い時期に残留検出が行なわれたときの結果であり、図11に示すグラフは、最も遅い時期に残留検出が行なわれたときの結果であり、図10に示すグラフは、これらの間の時期に残留検出が行なわれたときの結果である。
また、図9〜図11中、「「ICデバイス無」規格範囲(以下「第1規格範囲B1」と言う)」とは、検査部16にICデバイス90が残留していないときの理想の投影スリットPS41の位置を基準「0」として、実際に測定された投影スリットPS41の位置が、その基準から±2画素分の差(±2画素分以内)であれば、ICデバイス90が残留していないこととなり、検査部16へのICデバイス90の載置が可能となる範囲を言う。一方、「「ICデバイス有」規格範囲(以下「第2規格範囲B2」と言う)」とは、検査部16にICデバイス90が残留しているときの理想の投影スリットPS41の位置を基準「4」として、実際の投影スリットPS41の位置が、その基準から±2画素分の差(±2画素分以内)であれば、ICデバイス90が残留しており、検査部16へのICデバイス90の載置動作が停止する範囲を言う。
そして、(n)番目〜(n+25)番目のICデバイス90の残留検出を行なった場合(ただし、nは1以上の整数)の結果が、「●」印または「×」印で示されている(プロットされている)。ここで、「●」印は、残留検出の結果が正常であったことを示し、「×」印は、残留検出の結果が誤りであったことを示す。
図9では、(n)番目〜(n+25)番目のICデバイス90の残留検出の結果は、いずれも正常であった。
図10では、(n+10)番目および(n+18)番目のICデバイス90の残留検出を行なった際、実際にはICデバイス90の残留が無いのに、ICデバイス90が残留しているとされて、検査部16へのICデバイス90の載置動作が停止したことを示す。この場合、電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)のスループット(単位時間当たりのICデバイス90の搬送個数)、すなわち、稼動率が低下するおそれがある。なお、上記の(n+10)番目および(n+18)番目以外の検出結果は、正常であった。
図11では、(n+1)番目、(n+10)番目、(n+12)番目、(n+17)番目、(n+21)番目、(n+22)番目および(n+25)番目のICデバイス90の残留検出を行なった際、実際にはICデバイス90の残留が無いのに、ICデバイス90が残留しているとされて、検査部16へのICデバイス90の載置動作が停止したことを示す。この場合も、電子部品検査装置1のスループット(稼動率)が低下するおそれがある。なお、上記以外の検出結果は、正常であった。
このように、残留検出ユニット3でのICデバイス90の残留検出精度の低下をそのままにしておくと、それに伴い、スループットも経時的に低下するおそれがあった。
そこで、電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)では、このような不具合を解消するよう構成されている。以下、この構成および作用について、説明する。
電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)では、判断部801は、残留検出ユニット3(検出部)によるICデバイス90(電子部品)の有無の検出を継続して得られる工程能力指数Cpkに基づいて、残留検出ユニット3の検出結果の正確性を判断することができる。「工程能力指数Cpk」は、例えば、第1規格範囲B1では、下記式(1)、式(2)で求められる。なお、第2規格範囲B2でも同様に求めることができる。また、工程能力指数Cpkは、例えば、残留検出回数が10回以上500回以下ごとに算出されるのが好ましく、150回以上250回以下ごとに算出されるのがより好ましい。
このような式(1)、式(2)で求められた工程能力指数Cpkのうち、値が小さい方を、残留検出の正確性の判断に用いる工程能力指数Cpkとする。
図9〜図11では、図9のグラフでの工程能力指数Cpkが最も大きく、次いで、図10のグラフでの工程能力指数Cpkが大きく、図11のグラフでの工程能力指数Cpkが最も小さい。このように、実際に測定したデーター(投影スリットPS41の位置など)のばらつきが大きくなるのに従って、工程能力指数Cpkが減少する傾向にある。
そして、判断部801では、所定の閾値Th(所定値)を予め設定して、工程能力指数Cpkが閾値Th(所定値)以上の場合には、残留検出ユニット3の検出結果が正確であると判断することができる。
これに対し、工程能力指数Cpkが閾値Th(所定値)未満の場合には、判断部801は、残留検出ユニット3の検出結果が正確ではないと判断することができる。この場合、電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)では、その旨、すなわち、工程能力指数Cpkが閾値Th(所定値)未満である旨を前記報知部により報知し、搬送部25によるICデバイス90(電子部品)の搬送を停止するとともに、残留検出ユニット3(検出部)の検出条件の調整が行なわれる。検出条件の調整としては、特に限定されず、例えば、レーザー光源41の照射位置の調整、カメラ51の焦点の調整、検査部16の前記プローブピンの突出状態の調整、電子部品検査装置1を使用している環境下での照明の調整等が挙げられる。そして、この調整後、工程能力指数Cpkが閾値Th以上となる場合もあるし、依然として、工程能力指数Cpkが閾値Th未満となる場合もある。依然として、工程能力指数Cpkが閾値Th未満の場合、例えば、レーザー光源41やカメラ51等が経時劣化して寿命がきており、これらの交換を要すると推測がつく。
なお、本実施形態では、閾値Thを、例えば1.01以上2以下とするのが好ましく、1.3以1.5以下とするのがより好ましい。例えば閾値Thを1.33(これは±4σに相当)にした場合、図9のグラフでの工程能力指数Cpkと、図10のグラフでの工程能力指数Cpkとは、それぞれ、閾値Thを上回る。この場合、ICデバイス90を搬送して、ICデバイス90の検査を継続して行なうことができる。一方、図11のグラフでの工程能力指数Cpkは、閾値Thを下回る。この場合、ICデバイス90の搬送を停止するとともに、残留検出ユニット3の検出条件の調整を要する。
以上のような構成により、残留検出ユニット3でのICデバイス90の残留検出精度が低下した際、その低下状態を放置するのを防止することができる。そして、残留検出精度の低下が判断された場合には、例えば、前述した残留検出ユニット3の検出条件の調整を行なうことにより、残留検出精度を回復させることもできる。これにより、ICデバイス90の残留検出を継続して安定かつ正確に行なうことができ、よって、残留検出精度の信頼性を保証することができるとともに、スループットの経時的な低下を防止することができる。
なお、判断部801は、残留検出ユニット3の検出結果の正確性を判断する際、第1規格範囲B1での工程能力指数Cpkに基づいて、その判断を行なっているが、これに限定されない。例えば、判断部801は、第2規格範囲B2での工程能力指数Cpkに基づいて、正確性の判断を行なってもよいし、第1規格範囲B1での工程能力指数Cpkと、第2規格範囲B2での工程能力指数Cpkに基づいて、正確性の判断を行なってもよい。
また、判断部801は、残留検出ユニット3の検出結果の正確性を判断する際、工程能力指数Cpkに基づいて、その判断を行なっているが、これに限定されない。例えば、判断部801は、残留検出ユニット3の検出結果が正常であった割合を求めて、その割合の大小に基づいて、正確性の判断を行なってもよい。
次に、ICデバイス90の残留検出精度の低下を防止する制御プログラムを、図12に示すフローチャートに基づいて説明する。
ICデバイス90の検査が開始されると(ステップS101)、ICデバイス90が載置されていない状態の検査部16(ソケット)に対し、残留検出が行なわれる(ステップS102)。そして、この残留検出(ICデバイス90の有無検出)がN回実行された場合には(ステップS103)、工程能力指数Cpkを計算する(算出する)画素差のデーターを入れ替えて(ステップS104)、このデーターに基づいて、工程能力指数Cpkを計算する(ステップS105)。
次いで、工程能力指数Cpkが閾値Th(例えば1.33)以上であるか否かを判断する(ステップS106)。ステップS106の判断の結果、工程能力指数Cpkが閾値Th以上である場合には、ステップS103に戻り、以後、それより下位のステップを順次実行する。また、ステップS106の判断の結果、工程能力指数Cpkが閾値Th以上ではない場合には、モニター300(報知部)にその旨を表示する(報知する)とともに、「「Pause」ボタンを選択してから「Reset」ボタンを操作する」旨の指示を行なう(ステップS107)。そして、電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)の操作者(ユーザー)であるオペレーターは、この指示に従って、例えば、レーザー光源41の照射条件(残留検出ユニット3の検出条件)の再調整(キャリブレーション)を行なう(ステップS108)。
なお、報知部はモニター300以外でもよく、例えば、シグナルランプ400を報知部としてもよく、発光する色の組み合わせ等により、工程能力指数Cpkが閾値Th以上ではないことを報知してもよい。また、報知内容は、工程能力指数Cpkが閾値Th以上である旨を報知しなくともよく、再調整(キャリブレーション)が必要であることを報知するものであればよい。
次いで、レーザー光源41の照射条件を調整する画面(レーザーキャリブレーション画面)を表示して(ステップS109)、検査部16に対する残留検出領域の位置の指定(ステップS110)と、検査部16に対するレーザー光源41の照射位置の設定(ステップS111)とを行なう。なお、ステップS110と、ステップS111との順番は、入れ替わっていてもよい。
次いで、残留検出に用いられる(キャリブレーション対象の)カメラ51を選択して、調整用ボタン(キャリブレーションボタン)の押圧操作を指示する(ステップS112)。そして、この選択されたカメラ51によって、ICデバイス90が載置されていない状態の検査部16(ソケット)を撮像する(ステップS113)。
次いで、レーザー光源41の照射条件の調整(レーザーキャリブレーション)が成功したか否かを判断する(ステップS114)。
ステップS114の判断の結果、レーザー光源41の照射条件の調整が成功した場合には、全てのカメラ51の調整(キャリブレーション)が完了したか否かを判断する(ステップS115)。ステップS115の判断の結果、全てのカメラ51の調整が完了した場合には、レーザー光源41の照射条件の調整が完了したことを認識して(ステップS116)、ICデバイス90の検査(テストモード)を実施する際の工程能力指数Cpkを計算する画素差のデーターがそのままでよいか否かを判断する(ステップS117)。ステップS117の判断の結果、画素差のデーターがそのままでよい場合には、ステップS101に戻り、以後、それより下位のステップを順次実行する。また、ステップS117の判断の結果、画素差のデーターはそのままではよくない場合には、ステップS108に戻り、以後、それより下位のステップを順次実行するとともに、オペレーターの判断の元、残留検出を停止して(残留検出OFF)、ICデバイス90の検査を再開することができる(ステップS118)。
また、ステップS114の判断の結果、レーザー光源41の照射条件の調整が成功していない場合には、「レーザー光源41の照射条件の調整失敗(キャリブレーション失敗)」の旨のメッセージを表示する(ステップS119)。そして、レーザー光源41の照射条件を調整する画面(レーザーキャリブレーション画面)を閉じて(ステップS120)、レーザー光源41の照射条件の再調整(レーザーキャリブレーション)を誘導し(ステップS121)、その後、ステップS109に戻り、以後、それより下位のステップを順次実行する。
また、ステップS115の判断の結果、全てのカメラ51の調整が完了していない場合には、レーザー光源41の照射条件を調整する画面(レーザーキャリブレーション画面)を閉じて(ステップS122)、ステップS120に戻り、以後、それより下位のステップを順次実行する。
次に、ICデバイス90の残留検出精度の低下を防止する際に、モニター300の表示画面301される画像の一例について、図13〜図15を参照しつつ説明する。
工程能力指数Cpkが閾値Th以上ではないと判断された場合には、まず、図13に示す第1画像6が表示される。第1画像6には、電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)の内部の配置状態を示すレイアウト画面61と、エラーコードを表示するエラーコード表示部62と、エラーコードの内容(題目)を表示する内容表示部63と、ユニットの番号を表示するユニット番号表示部64と、ユニット名を表示するユニット名表示部65と、ユニットの状態(詳細)を表示する状態表示部66とが含まれている。
なお、図13での内容表示部63に表示される内容は、前記ステップS107での指示内容に対応している。
また、前記ステップS108での再調整は、図13での状態表示部66に表示される状態に従って行われる。
そして、この再調整を行なうのに際し、図14に示す第2画像7が表示される。第2画像7には、複数のアイコン71が含まれている。これらのアイコン71のうち、図14中の左側から10番目のアイコン71Aは、再調整開始用のアイコン71である。
アイコン71Aを操作することにより、図15に示す第3画像8が表示される。第3画像8には、残留検出の有効/無効を切り換える切換部81と、ICデバイス90および検査部16(ソケット)のパラメータの設定画面に移る操作を行なう操作部82と、レーザー光源41の照射条件の調整画面に移る操作を行なう操作部83とが含まれている。
このような画像が逐一表示されることにより、残留検出を行なう際の各種設定を正確に行なうことができる。
<第2実施形態>
以下、図16を参照して本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、残留検出ユニットの構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図16に示すように、本実施形態では、残留検出ユニット3は、前記第1実施形態で述べた残留検出ユニット3(図4〜図6参照)と異なり、光照射部4が省略された構成となっている。
このような構成で実際に残留検出を行なう場合には、まず、残留検出が行なわれるべき凹部161を撮像部5で撮像する。そして、残留検出が行なわれるべき凹部161の画像が、凹部161にICデバイス90が載置されていない状態の第1画像と、凹部161にICデバイス90が載置されている状態の第2画像のうちのどちらに近似しているか(画像同士の一致度)を比較して、ICデバイス90が残留しているか否かが判断される。
なお、第1画像および第2画像は、いずれも、メモリー803に予め記憶されている。
<第3実施形態>
以下、図17を参照して本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、テストシステム(電子部品検査装置)の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図17に示すように、本実施形態では、ハンドラーである電子部品搬送装置10は、産業用コンピューターで構成された制御部800に加え、モーター制御装置91と、レーザー制御装置92とを内蔵し、さらに、その他の制御装置93も内蔵している。
制御部800は、モーター制御装置91と、レーザー制御装置92と、その他の制御装置93と接続されている。制御部800では、プロセッサー802が、メモリー803から指令を読取り、制御を実行することができる。また、制御部800では、前記テスターと接続されるI/Fボード(図示せず)と接続されているのが好ましい。
モーター制御装置91は、プロセッサー911と、メモリー912とを有し、プロセッサー911が、メモリー912から指令を読取り、制御を実行することができる。そして、モーター制御装置91は、モーター913と接続され、このモーター913の作動を制御することができる。なお、モーター913は、例えば、トレイ搬送機構11A、トレイ搬送機構11B、デバイス搬送ヘッド13、デバイス供給部14、トレイ搬送機構15、デバイス搬送ヘッド17、デバイス回収部18、デバイス搬送ヘッド20、トレイ搬送機構21、トレイ搬送機構22Aまたはトレイ搬送機構22Bを駆動させる駆動源である。
レーザー制御装置92は、プロセッサー921と、メモリー922とを有し、プロセッサー921が、メモリー922から指令を読取り、制御を実行することができる。そして、レーザー制御装置92は、レーザー光源41と接続され、このレーザー光源41の作動を制御することができる。
なお、制御部800のプロセッサー802が、モーター制御装置91のメモリー912やレーザー制御装置92のメモリー922から指令を読取り、制御を実行することもできる。
その他の制御装置93としては、例えば、デバイス供給部14でのICデバイス90の姿勢を検出する検出装置931等の作動を制御する装置等が挙げられる。
また、上記各制御装置は、制御対象部材と別体でも一体となっていてもよい。例えば、モーター制御装置91が、モーター913と一体となっていてもよい。
また、制御部800は、ハンドラーである電子部品搬送装置10の外部で、コンピューター94と接続されている。コンピューター94は、プロセッサー941と、メモリー942とを有している。そして、制御部800のプロセッサー802が、メモリー942から指令を読取り、制御を実行することができる。
また、コンピューター94は、LAN等のネットワーク95を介して、クラウド96に接続されている。クラウド96は、プロセッサー961と、メモリー962とを有している。そして、制御部800のプロセッサー802が、メモリー962から指令を読取り、制御を実行することができる。
なお、制御部800は、ネットワーク95と直接接続されていてもよい。
<第4実施形態>
以下、図18を参照して本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、テストシステム(電子部品検査装置)の構成が異なること以外は前記第3実施形態と同様である。
図18に示す本実施形態では、制御部800が、モーター制御装置91の制御機能と、レーザー制御装置92の制御機能と、その他の制御装置93の制御機能とを有する構成となっている。すなわち、制御部800は、モーター制御装置91と、レーザー制御装置92と、その他の制御装置93とを内蔵した(一体にした)構成となっている。このような構成は、制御部800の小型化に寄与する。
以上、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、電子部品搬送装置および電子部品検査装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。