JP2019142799A - 筋機能低下改善剤 - Google Patents

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康宏 西田
Yasuhiro Nishida
康宏 西田
郁 小林
Iku Kobayashi
郁 小林
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Abstract

【課題】新規の筋機能低下改善剤の提供。【解決手段】式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を含有する筋機能低下改善剤。(式中、m1、m2、n1およびn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を意味する。)【選択図】なし

Description

本発明はアスタキサンチン誘導体を含有する筋機能低下改善剤に関する。
筋機能低下は、基本、筋肉(骨格筋)が萎縮することによっておこる筋力の低下を意味する。筋肉が萎縮する原因を大別すると3つあり、(1)筋肉自体に問題がある場合、(2)神経筋接合部に問題がある場合及び(3)筋肉を動かす神経に問題がある場合である。神経以外の部位が障害されることで起こる疾患を筋原性疾患(ミオパチー、Myopathies)、神経が障害されることで起こる疾患を神経原性疾患(ニューロパチー、Neuropathies)という。ミオパチーの中では筋ジストロフィー(Muscular Dystrophy)が非常に有名であり、ニューロパチーでは筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis、ALS)がよく知られている。
筋機能低下の具体的疾患としては、上記の疾患が知られているが、現状では、治療が極めて困難な疾病の部類に入るものであり、十分な知療効果を有する薬剤は未だ見出されていない。
一方、アスタキサンチンは、優れた抗酸化活性を有し、光障害疾患領域、眼科疾患領域、皮膚科疾患領域、炎症性疾患領域、免疫疾患領域、心臓疾患領域、悪性腫瘍疾患領域、肝臓疾患領域、腎臓疾患領域、神経変性疾患領域、中毒性疾患領域、アレルギー性疾患領域、インスリン抵抗性疾患領域、糖尿病疾患領域、高脂血症疾患領域、心機能疾患領域、血管系疾患領域等に有用であることが知られている(非特許文献1及び2)。そのアスタキサンチンと同等以上の抗酸化活性を保持しつつ同化合物の水溶性及び経口吸収性を改善した化合物として下記式(I)の化合物が知られている(特許文献1)。
(式中、m1、m2、n1及びn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を意味する)
特許文献1においては、式(I)の化合物が効果を示し得る疾患として筋萎縮、廃用性筋萎縮、筋萎縮側索硬化症の例示があるものの、これらの疾患に対する具体的な効果の記載はなく、また筋機能低下に対する具体的効果の記載も全くない。
国際公開第2015/178404号明細書
Alternative Medicine Review, 2000, 16(4), 355−364 Trends in Biotechnology, 2003, 21(5), 210−216
本発明の主な目的は、優れた筋機能低下改善剤を提供することにある。
本発明者らは、筋機能低下改善のための治療薬として新たな治療薬を見出すべく鋭意検討した結果、式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩が、筋機能低下に対し優れた抑制効果を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の発明〔1〕〜〔4〕を提供するものである。
〔1〕式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を含有する筋機能低下抑制剤。
(式中、m1、m2、n1およびn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を意味する。)
〔2〕筋機能低下抑制剤製造のための、前記式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩の使用。
〔3〕筋機能低下を抑制するための、前記式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩。
〔4〕前記式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩の有効量を投与することを特徴とする筋機能低下のための抑制及び/または治療方法。
本発明の式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩は、ヒト、犬、猫、馬などの各種動物全般の筋機能低下に対し優れた抑制効果を有するものであり、式(I)で示されるアスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を含有する医薬組成物は筋機能低下抑制剤として優れたものである。
本発明の筋機能低下抑制に関わる疾患としては、廃用性筋萎縮や進行性筋萎縮を挙げることができ、より具体的には、多発性硬化症、先天性ミオパチー、先天性代謝異常によるミオパチー、周期性四肢麻痺、遺伝性ミオパチー、感染性炎症性ミオパチー、多発性筋炎、封入体筋炎、ミトコンドリア脳筋症、筋ジストロフィー、筋萎縮側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、サルコペニア、筋拘縮症、重症筋無力症、筋無力症候群、先天性筋無力症等をあげることができる。
実施例における傾斜板試験成績の推移を示す図である。
本発明の筋機能低下抑制剤は、前記式(I)で表されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を有効成分として含有する。
本発明によって処置し得る対象には、ヒトを含む恒温動物、たとえばイヌ、ネコ、ウマ、サル、ウサギ、ラットまたはマウスが含まれるが、これらに限定されない。
(式中、m1、m2、n1およびn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を示す。)
上記式(I)の化合物の中では、m1およびm2がそれぞれ1の整数であり、n1およびn2がそれぞれ3の整数を示す場合が好ましい。
式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物およびそれらの光学異性体は、分子内にカルボキシル基を有することから望まれる塩基物質或いは塩基化合物と通常の塩形成反応をさせることにより薬学上許容される塩を形成することができる。そのような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;リシン塩、オルニチン塩、アルギニン塩のようなアミノ酸塩を挙げることができ、中でもナトリウム塩、リシン塩を好ましいものとして挙げることができる。
式(I)の化学構造式において、アスタキサンチン基本骨格中の中鎖炭素鎖部分における二重結合部分は化学構造上トランスおよびシスの幾何異性体の構造を取り得る。本発明にかかわる有効成分については、式(I)のトランス体のみならず、以下の式(Ia)や式(Ib)に代表されるシス体も本発明にかかわる筋機能低下抑制剤の有効成分として挙げることができる。また、本発明の筋機能低下抑制剤については、式(I)のトランス体やその幾何異性体であるシス体の各種混合比での混合物も有効成分として含むものである。
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有する。)
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有する。)
また、式(I)の化合物、その幾何異性体およびそれら幾何異性体の混合物は、以下に代表される光学異性体(IA)を包含し得るものであり、その対掌体やそれらの混合物、ジアステレオマーも全て本発明にかかわる筋機能低下抑制剤の有効成分として包含する。
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有する。)
式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物およびそれらの光学異性体の中では、上記の式(IA)のトランス体の化合物が好ましい。
また、上記式(IA)のトランス体の化合物中でも、m1およびm2はそれぞれ1の整数を意味しn1およびn2はそれぞれ3の整数を意味する化合物が好ましい。
前記のように、式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体またはその塩がより好ましく、さらに式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体に対応する光学活性シス−アスタキサンチン誘導体およびその塩を実質的に含有しない高純度の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体またはその塩がさらに好ましい。ここで、本発明にかかわる筋機能低下抑制剤の有効成分を「高純度」で含有するとは、当該有効成分中の純度が少なくとも95%以上、好ましくは98%以上である場合をいう。
本発明にかかわる式(I)の化合物、その幾何異性体、それらの光学異性体およびそれらの塩は、国際公開第2015/178404号明細書に記載の製造方法や同方法と公知の方法を適宜組み合わせることにより製造することができる。それらの製造方法の中で、式(I)の化合物の幾何異性体、それらの光学異性体の製造方法について上記式(IA)の光学異性体の製造方法を代表として以下に説明する。
(1A) 脱保護反応
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基を意味する。)
原料化合物である式(II)の化合物の保護基を脱離することにより、目的とする式(IA)の光学活性のトランス−アスタキサンチン誘導体を製造することができる。
当該脱離反応は、保護基の通常の脱離反応が使用でき、具体的には、酸による脱離反応をあげることができる。
保護基としては、第三級ブチル基、トリメチルシリル基、テトラヒドロピラニル基等をあげることができ、好適なものとしては第三級ブチル基、トリメチルシリル基等をあげることができる。
酸による脱離反応の場合には、式(II)の化合物を不活性な溶媒中、酸を加え反応させることにより、目的とする式(IA)の化合物を製造することができる。
使用される溶媒は、本反応に不活性なものであれば特に限定はなく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ブチルのような有機酸エステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類;トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸のような有機酸類;水;またはこれらの溶媒の混合溶媒をあげることでき、好適には、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、エーテル類、アルコール類、有機酸類、アミド類、水、またはこれらの溶媒の混合溶媒であり、更に好適には、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、アルコール類、有機酸類、エーテル類、水またはこれらの溶媒の混合溶媒であり、最も好適には、ハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ギ酸、ジオキサン、テトラヒドロフラン、または水とこれらの有機溶媒の混合溶媒(保護基がC1−C6アルキル基である場合)をあげることができる。
使用され得る酸は、通常の反応において、酸として使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、燐酸のような無機酸;酢酸、ギ酸、蓚酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸のような有機酸;塩化亜鉛、四塩化スズ、ボロントリクロリド、ボロントリフルオリド、ボロントリブロミドのようなルイス酸;または酸性イオン交換樹脂であり得、好適には、無機酸または有機酸であり、最も好適には、塩酸、酢酸、ギ酸およびトリフルオロ酢酸をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する酸、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、通常式(II)の化合物の使用重量に対し10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。酸の使用量は、原料である式(II)の化合物に対し、無機酸であれば、通常5倍乃至50倍モル量、好適には10倍乃至30倍モル量使用すればよく、有機酸であれば、通常100倍乃至1000倍モル量、好適には200倍乃至600倍モル量使用すればよい。
以上の脱保護反応により得られる生成物は、前記の9−シス体や13−シス体等の幾何異性体を含有し得るので、カラムクロマトグラフィー、再沈殿や結晶化等の分離、精製手段を目的に応じて適宜組み合わせることにより、同幾何異性体を分離、除去し、目的とする式(IA)の光学活性のトランス−アスタキサンチン誘導体を高純度で単離、製造することができる。
また、分離した前記シス体は、上記の如き精製、分離方法を適宜組み合わせることにより単離取得することができる。
(1B) シス体からトランス体への変換方法
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有する。)
本製造法で使用される代表的シス体は上記のごとき式(IAa)および(IAb)の化合物であり、これらは、単独の原料化合物として、或いはシス体の混合物として、或いはシス体を過剰に含むトランス体との混合物として不活性な溶媒に溶解後、ヨウ素等の転換試薬を用いて反応させることにより目的とする式(IA)の高純度の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体を製造することができる。
使用される溶媒は、本反応に不活性なものであれば特に限定はされず、例えばテトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、水等をあげることができる。
上記転換試薬として好適に使用されるものしては、ヨウ素をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する転換試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、通常式(IAa)または式(IAb)の化合物の使用重量に対し通常10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。転換試薬の使用量は、原料である式(IAa)または式(IAb)の化合物に対し通常0.01倍モル量以上、好適には0.1倍モル量以上使用すればよい。
以上の転換反応により得られる生成物において、前記9−シス体や13−シス体等の幾何異性体を分離する方法としては、カラムクロマトグラフィー、再沈殿や結晶化等の方法をあげることができ、目的に応じてこれらの方法を適宜組み合わせることにより、同幾何異性体を分離し、目的とする式(IA)の光学活性のトランス−アスタキサンチン誘導体を高純度で単離、製造することができる。
また、分離されたシス体も上記の分離手段を適宜組み合わせて用いることにより、夫々のシス体として単離、製造することができる。
次に上記の原料化合物(II)の代表的製造方法を以下に説明する。
(2A) 3S,3’S−アスタキサンチンに側鎖部分全体を直接結合させる方法
(式中、m1およびn1は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基(例えば、第三級ブチル基)を意味する。)
3S,3’S−アスタキサンチンを不活性な溶媒に溶解後、縮合試薬存在下、式(I)の化合物における側鎖部分にあたる式(III)の化合物を反応させることにより、式(II)の化合物を製造することができる。
溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の有機溶媒をあげることができる。
縮合試薬としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては水溶性カルボジイミド塩酸塩(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド等をあげることができる。縮合試薬の使用量は、原料である3S,3’S−アスタキサンチンに対し通常2倍モル量以上、好適には2.5倍モル量〜20倍モル量使用すればよい。
側鎖部分にあたる式(III)の化合物については、3S,3’S−アスタキサンチンに対し通常2倍モル量以上、好適には2.5倍モル〜20倍モル量使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する縮合試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、−10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、3S,3’S−アスタキサンチンの使用重量に対し通常10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。
得られる式(II)の化合物は、通常、カラムクロマトグラフィー、再沈殿、再結晶等の精製手段を適宜組み合わせることにより精製、単離することができる。
なお、側鎖部分全体は、以下の方法により製造することができる。
(2A−1)
(式中、m1、およびn1は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基(例えば、第三級ブチル基)を意味する。)
式(IV)の化合物にカルボニルジイミダゾール(V)および式(VII)の化合物を順次反応することにより目的とする式(III)の化合物を製造することができる。
具体的には、式(IV)の化合物を不活性な溶媒中、カルボニルジイミダゾール(V)を塩基等の試薬の存在下或いは非存在下反応させることにより、中間物である式(VI)の化合物を得ることができる。さらに、式(VII)の化合物を塩基等の試薬の存在下トリメチルシリルクロリドと反応させ、次いで式(VI)の化合物と反応させることにより、目的とする式(III)の化合物を製造することができる。
式(VI)の化合物を得る工程では、溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(IV)の化合物の使用重量に対し通常5倍乃至30倍容量、好適には15倍容量を使用すればよい。
塩基試薬としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至30℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至2日間をあげることができる。
目的とする式(III)の化合物を得る工程では、トリメチルシリルクロリドと式(VII)の化合物を反応させる溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ピリジン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(VII)の化合物の使用重量に対し通常5倍乃至50倍容量、好適には20倍容量を使用すればよい。
塩基としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。塩基、試薬の使用量は、原料である式(VI)の化合物に対し通常2倍モル以上、好適には2.5倍モル乃至5.0倍モル使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至30℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分間乃至5日間であり、好適には、30分間乃至2日間をあげることができる。次いで式(VI)の化合物を加え、反応させるときの反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、10℃乃至60℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至4日間をあげることができる。
(2B) 3S,3’S−アスタキサンチンに側鎖部分のパーツを順次結合させる方法
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基(例えば、第三級ブチル基或いはトリメチルシリル基)を意味する。)
本製造方法については、基本、一般式(VII)で示される化合物とカルボニルジイミダゾール(V)を反応させて得られる側鎖部分のパーツ(VIII)を3S,3’S−アスタキサンチンに結合させ、次に、得られた生成物(IX)に側鎖部分のパーツ(XI)を結合させることにより達成できる。
カルボニルジイミダゾール(V)を使用した工程では上記(2A−1)の製造法に示した各種反応条件を同様に使用すればよい。
溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(VII)の化合物の使用重量に対し通常2倍乃至30倍容量を使用すればよく、好適には7倍容量使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、−10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間をあげることができる。塩基はトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。
得られる側鎖部分のパーツ(VIII)と3S,3’S−アスタキサンチンとの結合反応については、上記の2Aの反応と同様に反応させることにより、式(IX)の化合物を製造することができる。
目的とする一般式(II)を得る工程は、上記で得られた一般式(IX)を有する化合物に一般式(XI)を反応させることにより達成できる。本反応は上記一般式(VIII)を製造する方法に準じて行われる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至40℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至30時間をあげることができる。
なお、一般式(XI)を有する化合物を製造する方法は、(1)Rがt―ブチル基の場合は一般的に知られたアミノ酸のt−ブチルエステルを合成する方法に準じて達成でき、(2)Rがトリメチルシリル基の場合は、一般式(X)を有する化合物とトリメチルシリルクロリドを不活性溶媒中、塩基の存在下に反応させることにより達成できる(前記一般式(III)の化合物を作る方法に準じて達成できる)。(2)の反応は一般的に知られたヒドロキシル基やカルボキシル基をシリル化する方法に準じて達成できる。なお、一般式(XI)におけるRがトリメチルシリル基の場合は一般式(II)を生成する反応の後処理に水或いは弱酸性水を使用することにより、トリメチルシリル基を容易に脱離させることが出来る。
得られた生成物を、通常のカラムクロマトグラフィー、再沈殿、再結晶等の精製手段を適宜組わせて使用することにより、目的とする式(II)の化合物を製造することができる。
本発明にかかる式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩は、後記実施例に示すように、ALSモデルにおける筋機能低下に対し優れた筋機能改善作用を示し、筋機能低下抑制剤として有用である。
本発明の筋機能低下抑制に関わる疾患としては、廃用性筋萎縮や進行性筋萎縮を挙げることができ、より具体的には、多発性硬化症、先天性ミオパチー、先天性代謝異常によるミオパチー、周期性四肢麻痺、遺伝性ミオパチー、感染性炎症性ミオパチー、多発性筋炎、封入体筋炎、ミトコンドリア脳筋症、筋ジストロフィー、筋萎縮側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、サルコペニア、筋拘縮症、重症筋無力症、筋無力症候群、先天性筋無力症等をあげることができる。
本発明における対象疾患として好適には、多発性硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、サルコペニアが挙げられる。
本発明に係る式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩は、経口剤、注射剤として投与可能である。
ドリンク剤、注射剤などの液剤は、有効成分を必要に応じてpH調製剤、緩衝剤、溶解剤、懸濁剤等、等張化剤、安定化剤、防腐剤などの存在下、通常の製剤化技術を使用して製造すればよい。pH調製剤としては、例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミンなどを挙げることができる。緩衝材としては、例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウムなどを挙げることができる。懸濁剤としては、例えば、ポリソルベート80、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、アラビアガム、粉末トラガント、ポリビニルピロリドン、モノステアリン酸グリセリンなどを挙げることができる。溶解剤としては、例えば、ポリソルベート80、水添ポリオキシエチレンヒマシ油、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マクロゴール、ヒマシ油脂肪酸エチルエステル、ワセリン、グリセリン、プロピレングリコールなどを挙げることができる。安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、モノエタノールアミンなどを挙げることができる。防腐剤としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾール、塩化ベンザルコニウム、パラベンなどを挙げることができる。
固形の経口剤については錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等いずれの形態で投与されてもよく、有効成分を、薬学的に許容される賦形剤、崩壊剤、結合剤等の医薬添加剤と適宜混合し、通常の製剤化技術を用いることにより製造することができる。
本発明に係る式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を投与する場合には、症状、患者の年齢、体重、性別もしくは症状以外の健康状態に応じて、投与方法及び投与製剤を適宜選択すればよい。例えば体重約70kgの温血動物に経口投与するとき1日当たり0.01〜5000mg、好ましくは1〜500mg、より好ましくは5〜1000mgを1日1回またはそれ以上、例えば、1〜6回で投与すればよい。また、注射剤として投与する場合には、通常成人に対し1日あたり5.0〜80.0mgを静脈内に投与すればよく、症状に応じて適宜増減すればよい。
本発明に係る式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩は、上記の投与量の範囲においては、安全性においても特に問題はない。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、本実施例においては、式(I)の化合物の代表として以下の化合物を試験化合物として使用した。以下本実施例では化合物Xとして表記する。
化合物X:
4−(3−{4−[18−(4(S)−{3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸二リシン塩
<筋萎縮性側索硬化症モデルラットを用いた化合物Xの薬効薬理試験>
筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルラットを用い、化合物Xの作用を薬理学的に検討した。用いたラットは各群13例であった。
〔使用モデル動物〕
家族性ALS における一部の原因遺伝子がCu/Zn superoxide dismutase(SOD1)である。このSOD1遺伝子の突然変異を導入したラット(SOD1H46R、以下SOD1変異ラット)を使用し、該試験を実施した。
〔投与〕
頸静脈内にカニュレーション処置を行い、2日間投与後2日間休薬するスケジュールで60分の持続注入投与を実施した。17週齢で動物の群分けを行い、化合物Xは28週齢まで2mg/kgを投与した。対照群(vehicle)及び各薬液の溶媒は生理食塩水(商品名大塚生食、大塚製薬)を用い、投与速度は各動物の体重をもとに算出した。
〔群構成〕
SOD1変異ラットに化合物Xまたは溶媒を投与した。群構成はvehicle群13匹、化合物X投与群13匹であった(表1)。
〔傾斜板テストの測定〕
傾斜角度を30、35、40、45、50または55°に設定した傾斜板装置に動物を上向きに置き、5秒以上滑り落ちないときの傾斜板の角度を測定した。傾斜板角度設定は、最大である55°から開始して一段階ずつ下の角度を実施し、5秒以上滑り落ちない角度で測定を終了した。なお、55°で滑り落ちない場合及び30°で滑り落ちる場合、測定値はそれぞれ55°及び25°とした。評価には5秒以上滑り落ちないときの最大角度を用いた。個体ごとに17週齢時の最大角度をもとに変化値を算出しデータとした。傾斜板テストにより、動物の運動協調性、平衡感覚、肢の筋力を評価した。
各群の代表値は、測定日毎に平均値及び標準誤差で表示し、採用した動物のすべてを用いて、有意差検定を実施した。なお、最終評価時点までに死亡した動物は、最終測定日の値をその後の評価時点の値として当てはめた。傾斜板の角度の検定には、Wilcoxon検定を用いた。
〔傾斜板テストの結果〕
化合物X投与群は、SOD1変異ラットにおける傾斜板試験成績の悪化を抑制した(図1)。その抑制の程度は、vehicle群に対して、ほぼすべての測定時点で有意であった。
Date are shown as mean ± S.E.
*p<0.05 vs. 対照群(Wilcoxon test)
[実施例の結果のまとめ]
図1から明らかな通り、化合物XはALSモデル動物の、傾斜板試験による運動機能評価においてvehicle群と比較して有意な改善作用を示した。傾斜板試験は動物の運動協調性、平衡感覚、肢の筋力を測定する一般的な方法であることから、本実施例において化合物Xは筋力低下を含む後肢機能不全に対する改善作用を有することが示された。
以上のことから、化合物Xは筋力低下を伴う疾患に対し、その機能不全を抑制または回復する効果を有する薬剤として用いることができる。
また、本発明に係るアスタキサンチン誘導体を含む組成物は、筋力低下を伴う疾患を発症した運動機能障害治療剤として使用し得るものである。
(化合物Xの製造例)
以下の記載における化学構造式中のアスタキサンチン骨格中鎖炭素鎖部分における幾何異性体は便宜的に全トランス体の化学構造式で示す。
(3.1)4−(イミダゾール−1−イルカルボニルアミノ)酪酸t−ブチル(本化学名中、tは第三級を意味する。以下、同様とする。)の合成:
カルボニルジイミダゾール(9.95kg)に塩化メチレン(79.6kg)を加えて、撹拌し、4−アミノ酪酸t−ブチル塩酸塩(8.0kg)の塩化メチレン(53.1kg)溶液を−5〜5℃で加え、反応混合物を同温度で30分間撹拌した。15〜25℃に加温し、同温度で1時間撹拌した。反応混合物に、水(40kg)を加えて、撹拌し、有機層を分離した。得られた溶液を5%食塩水(42.1kg)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、標記粗生成物(濃縮残分、10.4kg)を得た。
NMRスペクトル(δppm、CDCl):8.22(1H、s)、7.92(1H、br)、7.28(1H、d、J=0.8Hz)7.05(1H、d、J=0.8Hz)、3.45(2H、dt、J=6.0、6.0Hz)、2.40(2H、t、J=6.4)、1.92(2H、tt、J=6.4、6.4Hz)、1.44(9H、s)。
マススペクトル(+ESI、m/z):254.00(M+H)
(3.2)4−(3−カルボキシメチルウレイド)酪酸t−ブチルの合成:
4−(イミダゾール−1−イルカルボニルアミノ)酪酸t−ブチル(上記(3.1)の化合物)(10.4kg)に塩化メチレン(185.7kg)、グリシン(7.4kg)、トリエチルアミン(8.3kg)を加えて、撹拌し、−5〜5℃でクロロトリメチルシラン(8.9kg)を加え、該反応混合物を15〜30℃で60時間撹拌した。反応混合物を減圧で濃縮し、酢酸エチル(208kg)、塩酸(5.66kg)と20%食塩水(106kg)の混合液を加えて、撹拌し、有機層を分離した。得られた溶液を塩酸(5.66kg)と20%食塩水(106kg)の混合液で洗浄した。水層を酢酸エチル(57.4kg)で抽出し、有機層と抽出液を合わせた。得られた溶液を20%食塩水(100kg)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。酢酸エチル(14.4kg)を加えて、撹拌し、45〜55℃で均一溶液とした。該溶液を20〜30℃に冷却し、n−ヘプタン(108.7kg)を滴下し、結晶の析出を確認後、1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、標記化合物(7.98kg、純度99.2%)を白色結晶として得た。
なお、生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC−Triart C18 ExRS 及び移動相:アセトニトリル/pH8のリン酸塩緩衝液=3/7、流速:1mL/min、検出波長:210nm)を用いて、決定した。
NMRスペクトル(δppm、CDCl):6.16(1H、t、J=5.6Hz)、6.01(1H、t、J=5.6Hz)、3.67(2H、d、J=6.0Hz)、2.97(2H、dt、J=6.4、6.4Hz)、2.17(2H、t、J=7.2Hz)、1.56(2H、tt、J=7.2、7.2Hz)、1.39(9H、s)。
マススペクトル(+ESI、m/z):260.92(M+H)
(3.3)4−(3−{4−[18−(4(S)−[3−(3−t−ブトキシカルボニルプロピル)ウレイドアセトキシ]−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸t−ブチルの合成:
3(S),3’(S)−アスタキサンチン(1.8kg)、4−(3−カルボキシメチルウレイド)酪酸t−ブチル(上記(3.2)の化合物)(2.75kg)に、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(2.95kg)及び塩化メチレン(71.6kg)を加えて、撹拌し、溶液とした。該溶液に−5〜5℃で1−(3-ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(4.63kg)を加え、同温度で4時間撹拌した。反応混合物に水(3.6kg)を加えて、撹拌し、更に、酢酸エチル(48.4kg)を加えて、撹拌し、減圧下にて濃縮した。濃縮残渣に酢酸エチル(48.4kg)、水(45kg)を加えて、撹拌し、有機層を分離した。得られた溶液を塩酸水(0.3M、46.4kg)で3回、10%食塩水(45.9kg)、炭酸水素ナトリウム水溶液(約7%、48.2kg)、20%食塩水(45kg)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下にて濃縮乾固し、標記化合物(濃縮残渣、3.26kg、純度98.1%)を得た。
なお、生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC−TriartC18 ExRS 及び移動相:0.025%トリフルオロ酢酸入りアセトニトリル/0.025%トリフルオロ酢酸水=30〜98/70〜2、流速:1mL/min、検出波長:474nm)を用いて、決定した。
NMRスペクトル(δppm、CDCl):6.18−6.72(14H、m)、5.56(2H、dd、J=6.4、13.2Hz)、5.04(2H、t、J=5.3Hz)、4.81(2H、t、5.7Hz)、4.25(2H、dd、J=18.1、6.6Hz)、4.03(2H、dd、J=18.3、4.6Hz)、3.19−3.26(4H、m)、2.29(4H、t、J=7.3Hz)、2.02−2.13(4H、m)、1.99(12H、s)、1.90(3H、s)、1.76−1.83(4H、m)、1.44(18H、s)、1.34(6H、s)、1.23(6H、s)。
マススペクトル(+ESI、m/z):1081.88(M+H)、1103.67(M+Na)
(3.4)4−(3−{4−[18−(4(S)−{3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸の合成:
4−(3−{4−[18−(4(S)−[3−(3−t−ブトキシカルボニルプロピル)ウレイドアセトキシ]−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸t−ブチル(上記(3.3)の化合物)(18.12g)にギ酸(272mL)を加えて、25〜35℃で1時間撹拌した。反応混合物を水(1087mL)に加えて、撹拌し、酢酸エチル(1087mL)を加えて、撹拌し、有機層を分離した。有機層を水(543mL)で2回、10%食塩水(543.4g)で2回、順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。濃縮残渣をテトラヒドロフラン(81.1mL)、水(8.11mL)で溶解し、該溶液にアセトニトリル(486.8mL)を滴下し、固体の析出を確認した後、1時間撹拌した。析出した固体を濾取、乾燥し、標記化合物(4.48g、純度90.7%)を暗紫〜暗赤色固体として得た。
なお、生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC−TriartC18 ExRS 及び移動相:0.025%トリフルオロ酢酸入りアセトニトリル/0.025%トリフルオロ酢酸水=30〜98/70〜2、流速:1mL/min、検出波長:474nm)を用いて、決定した。
(3.5)4−(3−{4−[18−(4(S)−{3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸の合成:
4−(3−{4−[18−(4(S)−{3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸(上記(3.4)の粗生成物)(4.0g)に、テトラヒドロフラン(18.4mL)、水(2.0mL)を加え、撹拌し、溶解した。該溶液にアセトニトリル(60mL)を滴下し、固体の析出を確認した後、1時間撹拌した。析出した固体を濾取、乾燥し、暗紫〜暗赤色固体を得た(3.31g、純度96.9%)。得られた固体(3.26g)に、テトラヒドロフラン(15.0mL)、水(1.6mL)を加え、撹拌し、溶解した。該溶液にアセトニトリル(49mL)を滴下し、固体の析出を確認した後、1時間撹拌した。析出した固体を濾取、乾燥し、暗紫〜暗赤色固体を得た(2.93g、純度98.9%)。得られた固体(2.38g)に、テトラヒドロフラン(10.9mL)、水(1.2mL)を加え、撹拌し、溶解した。該溶液にアセトニトリル(36mL)を滴下し、固体の析出を確認した後、1時間撹拌した。析出した固体を濾取、乾燥し、標記化合物(2.18g、純度99.3%)を暗紫〜暗赤色固体として得た。
なお、生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC−TriartC18 ExRS 及び移動相:0.025%トリフルオロ酢酸入りアセトニトリル/0.025%トリフルオロ酢酸水=30〜98/70〜2、流速:1mL/min、検出波長:474nm)を用いて、決定した。
(3.6)4−(3−{4−[18−(4(S)−{3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸二リシン塩;化合物Xの合成:
4−(3−{4−[18−(4(S)−{3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸(上記(3.5)の化合物)(0.50g、)に、エタノール(10mL)、水(0.5mL)を加えて撹拌した。該懸濁溶液にL−リシン1水和物(0.174g、)の水(2mL)溶液を室温で加えた。該反応混合物に水(7.5mL)を加えて、撹拌し、溶解した。該反応混合物にエタノール(32mL)を室温で滴下し、固体の析出を確認した後、1時間撹拌した。析出した固体を濾取、乾燥し、標記化合物(0.47g、純度98.6%、光学純度99.0%de)を暗紫〜暗赤色固体として得た。
なお、生成物の純度は、上記同様に高速液体クロマトグラフィーを用いて決定した。光学純度は高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC CHIRAL ART Amylose・SA (5μm, 4.6mmI.D.x250mm)、カラム温度:25℃及び移動相:THF/水/TFA (40:60:0.1)、流速:1mL/min、検出波長:474nm、カラム保持時間:15.4分(S、S)、17.6分(meso)、20.6分(R、R))を用いて、決定した。

Claims (9)

  1. 式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を含有する筋機能低下抑制剤。
    (式中、m1、m2、n1およびn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を意味する。)
  2. 式(I)において、m1およびm2がそれぞれ1の整数であり、n1およびn2はそれぞれ3の整数である請求項1記載の筋機能低下抑制剤。
  3. 塩がリシン塩である請求項1または2記載の筋機能低下抑制剤。
  4. 式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物またはそれらの塩を含有する筋機能低下抑制剤。
    (式中、m1、m2、n1およびn2は、同じまたは異なって1〜6の整数を意味する。)
  5. 式(IA)において、m1およびm2がそれぞれ1の整数であり、n1およびn2がそれぞれ3の整数である請求項4記載の筋機能低下抑制剤。
  6. 式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体に対応する光学活性シス−アスタキサンチン誘導体およびその塩を実質的に含有しない、請求項4または5記載の筋機能低下抑制剤。
  7. 塩がリシン塩である請求項4〜6のいずれか1項記載の高純度の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体の塩を含有する筋機能低下抑制剤。
  8. 筋機能低下が筋萎縮である請求項1〜7のいずれか1項記載の筋機能低下抑制剤。
  9. 筋機能低下抑制が、多発性硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症またはサルコペニアの改善である請求項1〜8のいずれか1項記載の筋機能低下抑制剤。
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