JP2019043884A - 敗血症治療剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たな敗血症治療剤の提供。【解決手段】以下の式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体又はそれらの塩を含有する敗血症治療剤。(式中、m1、m2、n1及びn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を意味する)【選択図】なし

Description

本発明は、アスタキサンチン誘導体を含有する敗血症治療剤に関する。
敗血症は、細菌、ウイルス又は真菌が血液中に入って全身に回り、臓器不全など全身症状をともなう病気のことをいい、この疾患は前記の微生物等の感染によって引き起こされるため、その治療剤は抗菌剤、抗ウイルス剤及び抗真菌剤が中心となるものである。しかしながら、未だ画期的な治療法・治療薬のない重篤な疾患である。
一方、アスタキサンチンは、優れた抗酸化活性を有し、光障害疾患領域、眼科疾患領域、皮膚科疾患領域、炎症性疾患領域、免疫疾患領域、心臓疾患領域、悪性腫瘍疾患領域、肝臓疾患領域、腎臓疾患領域、神経変性疾患領域、中毒性疾患領域、アレルギー性疾患領域、インスリン抵抗性疾患領域、糖尿病疾患領域、高脂血症疾患領域、心機能疾患領域、血管系疾患領域等に有用であることが知られている(非特許文献1及び2)。アスタキサンチンと同等以上の抗酸化活性を保持しつつ同化合物の水溶性及び経口吸収性を改善した化合物として下記式(I)の化合物が知られている(特許文献1)。
Figure 2019043884
(式中、m1、m2、n1及びn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を意味する)
これまでのところ、アスタキサンチンを敗血症の動物モデルに対し敗血症処置前に投与し予防的な効果があったとの報告はある(非特許文献3)。
国際公開第2015/178404号明細書
Alternative Medicine Review, 2000, 16(4), 355−364 Trends in Biotechnology, 2003, 21(5), 210−216 J Surg Res. 2015 May 15;195(2):559-67. doi: 10.1016/j.jss.2015.02.026. Epub 2015 Feb 18.
しかしながら、敗血症は重篤で且つ突発的に発生する疾患であることから、予防的観点よりは発症後の処置や薬物治療が主体であり、発症後にアスタキサンチンを投与し効果を確認した報告は、ヒトに対する臨床上は無論のこと動物モデルにおいても全くない。
従って、本発明の課題は、全く新たな敗血症治療剤を提供することにある。
そこで本発明者らは、敗血症の治療薬として従来とは全く異なる新たな治療薬を見出すべく鋭意検討した結果、式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体及びそれらの塩が敗血症に対し優れた治療効果を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の発明〔1〕〜〔3〕を提供するものである。
〔1〕式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体又はそれらの塩を含有する敗血症治療剤。
Figure 2019043884
(式中、m1、m2、n1及びn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を意味する)
〔2〕敗血症治療剤製造のための、前記式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体又はそれらの塩の使用。
〔3〕前記式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体又はそれらの塩の有効量を投与することを特徴とする敗血症の治療方法。
本発明の式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それらの光学異性体及びそれらの塩は、ヒト及び犬、猫、馬等の各種動物全般の敗血症に対し優れた有効性を有するものであり、式(I)で示されるアスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それらの光学異性体又はそれらの塩を含有する医薬組成物は敗血症治療剤として優れたものである。
本発明の敗血症治療剤は、前記式(I)で表されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体又はそれらの塩を有効成分として含有する。
式(I)中、m1、m2、n1及びn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を示す。式(I)の化合物の中では、m1及びm2がそれぞれ1の整数であり、n1及びn2がそれぞれ3の整数を示す場合、及びm1、m2、n1及びn2がそれぞれ2の整数を示す場合が好ましく、中でもm1、m2、n1及びn2が2の整数を示す場合が特に好ましい。
式(I)に係る化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物及びそれらの光学異性体は、分子内にカルボキシル基を有することから望まれる塩基物質或いは塩基化合物と通常の塩形成反応をさせることにより薬学上許容される塩を形成することができる。そのような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、リシン塩、オルニチン塩、アルギニン塩のようなアミノ酸塩を挙げることができ、中でもリシン塩を好ましいものとして挙げることができる。
式(I)の化学構造式において、アスタキサンチン基本骨格中の中鎖炭素鎖部分における二重結合部分は化学構造上トランスおよびシスの幾何異性体の構造を取り得る。本発明に係る有効成分については、式(I)のトランス体のみならず、以下の式(Ia)や式(Ib)に代表されるシス体も本発明に係る敗血症治療剤の有効成分として挙げることができる。本発明の敗血症治療剤については、式(I)のトランス体やその幾何異性体であるシス体の各種混合比での混合物並びにトランス体とシス体の混合物も有効成分として含むものである。
Figure 2019043884
(式中、m1、m2、n1及びn2は、前記と同じ意味を有する)
Figure 2019043884
(式中、m1、m2、n1及びn2は、前記と同じ意味を有する)
また、式(I)の化合物、その幾何異性体及びそれら幾何異性体の混合物は、以下に代表される光学異性体(IA)を包含し得るものであり、その対掌体やそれらの混合物、ジアステレオマ―も全て本発明に係る敗血症治療剤の有効成分として包含する。
Figure 2019043884
(式中、m1、m2、n1及びn2は、前記と同じ意味を有する)
式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物及びそれらの光学異性体の中では、上記の式(IA)のトランス体の化合物が好ましい。
また、上記式(IA)のトランス体の化合物中でも、m1及びm2はそれぞれ1の整数を意味しn1及びn2はそれぞれ3の整数を意味する化合物並びにm1、m2、n1及びn2はそれぞれ2の整数を意味する化合物が好ましく、中でも活性面で後者のm1、m2、n1及びn2がそれぞれ2の整数を意味する化合物及びその塩が好ましい。
前記のように、式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体又はその塩がより好ましく、さらに式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体に対応する光学活性シス−アスタキサンチン誘導体およびその塩を実質的に含有しない高純度の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体又はその塩がさらに好ましい。ここで、本発明に係る敗血症治療剤の有効成分を高純度で含有するとは、当該有効成分中の純度が少なくとも95%以上、好ましくは98%以上である場合をいう。
本発明に係る式(I)の化合物、その幾何異性体、それらの光学異性体及びそれらの塩は、特許文献1に記載の製造方法や同方法と公知の方法を適宜組み合わせることにより製造することができる。それらの製造方法の中で、式(I)の化合物の幾何異性体、それらの光学異性体の製造方法について上記式(IA)の光学異性体の製造方法を代表として以下に説明する。
(1A) 脱保護反応
Figure 2019043884
(式中、m1、m2、n1及びn2は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基を意味する)
原料化合物である式(II)の化合物の保護基を脱離することにより、目的とする式(IA)の光学活性のトランス−アスタキサンチン誘導体を製造することができる。
当該脱離反応は、保護基の通常の脱離反応が使用でき、具体的には、酸による脱離反応をあげることができる。
保護基としては、第三級ブチル基、トリメチルシリル基、テトラヒドロピラニル基等をあげることができ、好適なものとしては第三級ブチル基、トリメチルシリル基等をあげることができる。
酸による脱離反応の場合には、式(II)の化合物を不活性な溶媒中、酸を加え反応させることにより、目的とする式(IA)の化合物を製造することができる。使用される溶媒は、本反応に不活性なものであれば特に限定はなく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ブチルのような有機酸エステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類;トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸のような有機酸類;水;又はこれらの溶媒の混合溶媒をあげることでき、好適には、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、エーテル類、アルコール類、有機酸類、アミド類、水、又はこれらの溶媒の混合溶媒であり、更に好適には、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、アルコール類、有機酸類、エーテル類、水又はこれらの溶媒の混合溶媒であり、最も好適には、ハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ギ酸、ジオキサン、テトラヒドロフラン、又は水とこれらの有機溶媒の混合溶媒(保護基がC1−C6アルキル基である場合)をあげることができる。使用され得る酸は、通常の反応において、酸として使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、燐酸のような無機酸;酢酸、ギ酸、蓚酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸のような有機酸;塩化亜鉛、四塩化スズ、ボロントリクロリド、ボロントリフルオリド、ボロントリブロミドのようなルイス酸;又は酸性イオン交換樹脂であり得、好適には、無機酸又は有機酸であり、最も好適には、塩酸、酢酸、ギ酸及びトリフルオロ酢酸をあげることができる。反応温度は、反応させる原料化合物や使用する酸、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分乃至5日間である。溶媒の使用量は、通常式(II)の化合物の使用重量に対し10乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。酸の使用量は、原料である式(II)の化合物に対し、無機酸であれば、通常5乃至50倍モル量、好適には10乃至30倍モル量使用すればよく、有機酸であれば、通常100乃至1000倍モル量、好適には200乃至600倍モル量使用すればよい。
以上の脱保護反応により得られる生成物は、前記の9−シス体や13−シス体等の幾何異性体を含有し得るので、カラムクロマトグラフィー、再沈殿や結晶化等の分離、精製手段を目的に応じて適宜組み合わせることにより、同幾何異性体を分離、除去し、目的とする式(IA)の光学活性のトランス−アスタキサンチン誘導体を高純度で単離、製造することができる。
また、分離した前記シス体は、上記の如き精製、分離方法を適宜組み合わせることにより単離取得することができる。
(1B) シス体からトランス体への変換方法
Figure 2019043884
(式中、m1、m2、n1及びn2は、前記と同じ意味を有する)
本製造法で使用される代表的シス体は上記のごとき式(IAa)及び(IAb)の化合物であり、これらは、単独の原料化合物として、或いはシス体の混合物として、或いはシス体を過剰に含むトランス体との混合物として不活性な溶媒に溶解後、ヨウ素等の転換試薬を用いて反応させることにより目的とする式(IA)の高純度の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体を製造することができる。
使用される溶媒は、本反応に不活性なものであれば特に限定はされず、例えばテトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、水等をあげることができる。上記転換試薬として好適に使用されるものしては、ヨウ素をあげることができる。反応温度は、反応させる原料化合物や使用する転換試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、通常式(IAa)または式(IAb)の化合物の使用重量に対し通常10乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。転換試薬の使用量は、原料である式(IAa)または式(IAb)の化合物に対し通常0.01倍モル量以上、好適には0.1倍モル量以上使用すればよい。
以上の転換反応により得られる生成物において、前記9−シス体や13−シス体等の幾何異性体を分離する方法としては、カラムクロマトグラフィー、再沈殿や結晶化等の方法をあげることができ、目的に応じてこれらの方法を適宜組み合わせることにより、同幾何異性体を分離し、目的とする式(IA)の光学活性のトランス−アスタキサンチン誘導体を高純度で単離、製造することができる。
また、分離されたシス体も上記の分離手段を適宜組み合わせて用いることにより、夫々のシス体として単離、製造することができる。
次に上記の原料化合物(II)の代表的製造方法を以下に説明する。
(2A) 3S,3’S−アスタキサンチンに側鎖部分全体を直接結合させる方法
Figure 2019043884
(式中、m1及びn1は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基(例えば、第三級ブチル基)を意味する)
3S,3’S−アスタキサンチンを不活性な溶媒に溶解後、縮合試薬存在下、式(I)の化合物における側鎖部分にあたる式(III)の化合物を反応させることにより、式(II)の化合物を製造することができる。
溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の有機溶媒をあげることができる。縮合試薬としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては水溶性カルボジイミド塩酸塩(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド等をあげることができる。縮合試薬の使用量は、原料である3S,3’S−アスタキサンチンに対し通常2倍モル量以上、好適には2.5倍モル量〜20倍モル量使用すればよい。側鎖部分にあたる式(III)の化合物については、3S,3’S−アスタキサンチンに対し通常2倍モル量以上、好適には2.5倍モル〜20倍モル量使用すればよい。反応温度は、反応させる原料化合物や使用する縮合試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、−10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、3S,3’S−アスタキサンチンの使用重量に対し通常10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。
得られる式(II)の化合物は、通常、カラムクロマトグラフィー、再沈殿、再結晶等の精製手段を適宜組み合わせることにより精製、単離することができる。
なお、側鎖部分全体は、以下の方法により製造することができる。
(2A−1)
Figure 2019043884
(式中、m1、及びn1は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基(例えば、第三級ブチル基)を意味する)
式(IV)の化合物にカルボニルジイミダゾール(V)および式(VII)の化合物を順次反応することにより目的とする式(III)の化合物を製造することができる。具体的には、式(IV)の化合物を不活性な溶媒中、カルボニルジイミダゾール(V)を塩基等の試薬の存在下或いは非存在下反応させることにより、中間物である式(VI)の化合物を得ることができる。さらに、式(VII)の化合物を塩基等の試薬の存在下トリメチルシリルクロリドと反応させ、次いで式(VI)の化合物と反応させることにより、目的とする式(III)の化合物を製造することができる。
式(VI)の化合物を得る工程では、溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(IV)の化合物の使用重量に対し通常5倍乃至30倍容量、好適には15倍容量を使用すればよい。塩基試薬としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至30℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至2日間をあげることができる。
目的とする式(III)の化合物を得る工程では、トリメチルシリルクロリドと式(VII)の化合物を反応させる溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ピリジン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(VII)の化合物の使用重量に対し通常5倍乃至50倍容量、好適には20倍容量を使用すればよい。塩基としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。塩基の使用量は、原料である式(VII)の化合物に対し通常等モル以上、好適には等モル〜5.0倍モル使用すればよい。反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至30℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分間乃至5日間であり、好適には、30分間乃至2日間をあげることができる。次いで式(VI)の化合物を加え、反応させるときの反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、10℃乃至60℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至4日間をあげることができる。
(2B) 3S,3’S−アスタキサンチンに側鎖部分のパーツを順次結合させる方法
Figure 2019043884
(式中、m1、及びn1は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基(例えば、第三級ブチル基或いはトリメチルシリル基)を意味する)
本製造方法については、基本、一般式(VII)で示される化合物とカルボニルジイミダゾール(V)を反応させて得られる側鎖部分のパーツ(VIII)を3S,3’S−アスタキサンチンに結合させ、次に、得られた生成物(IX)に側鎖部分のパーツ(XI)を結合させることにより達成できる。
カルボニルジイミダゾール(V)を使用した工程では上記(2A−1)の製造法に示した各種反応条件を同様に使用すればよい。
溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(VII)の化合物の使用重量に対し通常2倍乃至30倍容量を使用すればよく、好適には7倍容量使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、−10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間をあげることができる。塩基はトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。
得られる側鎖部分のパーツ(VIII)と3S,3’S−アスタキサンチンとの結合反応については、上記の2Aの反応と同様に反応させることにより、式(IX)の化合物を製造することができる。
目的とする一般式(II)を得る工程は、上記で得られた一般式(IX)を有する化合物に一般式(XI)を反応させることにより達成できる。本反応は上記一般式(III)を製造する方法に準じて行われる。反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至40℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至30時間をあげることができる。なお、一般式(XI)を有する化合物を製造する方法は、(1)Rがt―ブチル基の場合は一般的に知られたアミノ酸のt−ブチルエステルを合成する方法に準じて達成でき、(2)Rがトリメチルシリル基の場合は、一般式(X)を有する化合物とトリメチルシリルクロリドを不活性溶媒中、塩基の存在下に反応させることにより達成できる(前記一般式(III)の化合物を作る方法に準じて達成できる)。(2)の反応は一般的に知られたヒドロキシル基やカルボキシル基をシリル化する方法に準じて達成できる。なお、一般式(XI)におけるRがトリメチルシリル基の場合は一般式(II)を生成する反応の後処理に水或いは弱酸性水を使用することにより、トリメチルシリル基を容易に脱離させることが出来る。
得られた生成物を、通常のカラムクロマトグラフィー、再沈殿、再結晶等の精製手段を適宜組わせて使用することにより、目的とする式(II)の化合物を製造することができる。
本発明に係る式(I)の化合物、その幾何異性体、それらの光学異性体及びそれらの塩は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の経口剤として投与可能であり、また、注射剤としても投与可能である。
上記の経口剤については、薬学的に許容される、賦形剤、崩壊剤及び結合剤等の医薬添加剤と適宜混合し、通常の製剤化技術を用いることにより製造することができる。また、前記の注射剤については、薬学的に許容される浸透圧調節剤、安定化剤、可溶化剤、pH調節剤を適宜組み合わせて用い、通常の製剤化技術により製造することができる。
本発明に係る式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体又はそれらの塩を注射剤として投与する場合には、通常成人に対し1日あたり5.0mg〜20.0mgを静脈内に投与すればよく、症状に応じて適宜増減すればよい。
本発明に係る式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体及びそれらの塩は、上記の投与量の範囲においては、安全性においても特に問題はない。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例
敗血症動物モデルを用いた試験
(試験方法)
敗血症研究モデルのゴールデンスタンダードであるCLP(盲腸結紮穿刺 (Cecal ligation puncture))モデルを用いて試験した。
1.被験物質
化合物A:3−[3−(2−{4−[18−(4−{3−[3−(2−カルボキシエチル)ウレイド]プロピオニルオキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナエニル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニルオキシカルボニル}エチル)ウレイド]プロピオン酸((特許文献1)国際公開第2015/178404号明細書の実施例14の化合物)
2.使用動物(チャールズリバー社より購入)
Sprague Dawley雄性ラット(体重:250−275g)
3.投与方法、投与量及び評価方法
被験化合物を生理食塩液に溶解し、所定の濃度で、試験動物に72時間連続静注投与した。注入速度は4mL/kg/hrとした。これを化合物A投与群とし、対照として生理食塩液のみを同様の方法と速度で静脈内投与した。
試験動物は、ブプレノフィンを1mL/kg静注して麻酔しCLPを行って敗血症の発症を誘導した。CLPを行ってから3時間後に上記の被験化合物の生理食塩液又は生理食塩液の投与を上記の方法に従って開始し、試験動物の生存を観察することにより被験化合物の敗血症に対する防護・治療効果を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2019043884
表1に記載のとおり、化合物Aの投与量を0.75mg/kg/hr.から1.2mg/kg/hr.に上げるに従い生存時間は延長した。以上の結果より、化合物Aは敗血症に対し優れた防護効果及び治療効果を有することが確認された。

Claims (9)

  1. 以下の式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体又はそれらの塩を含有する敗血症治療剤。
    Figure 2019043884
    (式中、m1、m2、n1及びn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を意味する)
  2. 式(I)において、m1及びm2がそれぞれ1の整数であり、n1及びn2はそれぞれ3の整数である請求項1記載の敗血症治療剤。
  3. 塩がリシン塩である請求項1又は2記載の敗血症治療剤。
  4. 式(I)において、m1、m2、n1及びn2がそれぞれ2の整数である請求項1記載の敗血症治療剤。
  5. 式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物又はそれらの塩を含有する敗血症治療剤。
    Figure 2019043884
    (式中、m1、m2、n1及びn2は、同じまたは異なって1〜6の整数を意味する)
  6. 式(IA)において、m1及びm2がそれぞれ1の整数であり、n1及びn2がそれぞれ3の整数である請求項5記載の敗血症治療剤。
  7. 式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体に対応する光学活性シス−アスタキサンチン誘導体およびその塩を実質的に含有しない、請求項5又は6記載の敗血症治療剤。
  8. 塩がリシン塩である請求項5〜7のいずれか1項記載の高純度の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体の塩を含有する敗血症治療剤。
  9. 式(IA)において、m1、m2、n1及びn2がそれぞれ2の整数である請求項5、7又は8記載の高純度の光学活性トランス-アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物又はそれらの塩を含有する敗血症治療剤。
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