JP2019131660A - 直線易カット性粘着テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】 粘着性テープとしての特性及び粘着テープを製造する際の加工性と直線易カット性を両立させた直線易カット性粘着テープの提供。
【解決手段】 環状ポリオレフィン系樹脂(a1)とポリエチレン系樹脂(a2)の混合樹脂を樹脂主成分とする樹脂組成物(a)により構成される基材層(A)を少なくとも1層含む基材フィルムの、一方又は両方の表層上に粘着層(D)を有し、前記基材フィルムの1%引張変形時荷重が2N以上であり、前記基材フィルム全体を基準として、前記環状ポリオレフィン系樹脂の含有量が5〜85重量%であることを特徴とする直線易カット性粘着テープ。

【選択図】 なし

Description

本発明は、直線易カット性を有する粘着テープに関する。さらに詳しくは、多層の易カット性基材フィルムに対し、その一方の表面に対し粘着剤を塗布した粘着層を有することで得られた直線易カット性粘着テープに関するものである。
現在一般的とされている粘着テープは大きく分けて紙系、フィルム系、合成紙系に分類され、フィルム系の粘着テープの基材には、一般的に延伸PET、PP、セロハン等が用いられている。フィルム系粘着テープは耐水性、強度共に優れるためその適用範囲を広げつつある。しかし、これらの基材はポリエチレンのインフレフィルムに比べコシが高すぎるが故に農業用ハウスの養生など、貼り付け部分が風などによって動く用途においては、繰り返し動くことによる剥離の懸念が大きいといった問題点を抱えている。
また、それらのフィルムによって作成されたテープは手による引き裂きは比較的困難であるため、使用時に刃物で切断する、あるいは予めミシン目を入れた状態で引き裂きを実施するといった手法がとられている。または、手で引き裂くことを理由にフィルム系ではなくクラフト紙を基材とする場合も見られるが、耐水性等の面で問題を抱える。
なお、フィルム系の粘着テープは、一般的に基材フィルムを成形したのちに、テープ状に引き出して接着剤塗布装置により接着剤を塗布加工して粘着層を設けるが、幅方向に対して長尺方向の長さが極めて長く、一般的なポリエチレン系樹脂では、フィルム化するとコシが不足するため、一般的な粘着テープの基材としては用いられていないのが通常である。
フィルム系の粘着テープ基材として、現在二軸延伸ポリプロピレンフィルムが使用されるケースが見られ、こうした中で、刃物が無くとも切断できることによる作業効率の向上のため、易カット性を付与した粘着テープの開発が望まれていた。
一方、包装袋等を形成する包装袋用のポリオレフィン系フィルムの分野においては、環状オレフィン系樹脂を用いることによりカット性を付与しようとする試みがなされている。例えば、中間層が、環状オレフィン系樹脂層からなる積層フィルム(特許文献1参照)、中間層が、直鎖状低密度ポリエチレン50〜95重量%と環状オレフィンとα−オレフィンの共重合体5〜50重量%を含む組成物によって構成された包装用フィルム(特許文献2参照)、線状低密度ポリエチレン60〜90重量%と環状ポリオレフィン10〜40重量%との混合物からなる中間層を含んだ積層ポリオレフィンフィルム(特許文献3)、ポリオレフィン系樹脂に環状ポリオレフィン系樹脂を3〜50重量%混合した混合樹脂からなるポリオレフィン系樹脂層を有する包装フィルム(特許文献4)が知られている。
また、アイオノマー樹脂を組み合わせて使用することによりカット性を改善しようとする試みもなされている。例えば、少なくとも一つの層が、ポリオレフィン樹脂60〜20重量部及びアイオノマー樹脂40〜80重量部からなる樹脂組成物によって構成された多層フィルム(特許文献5参照)が知られている。
上記の通り、環状オレフィン系樹脂を用いてカット性を付与した積層フィルムは、包装用フィルムを形成するフィルム素材として、現場における刃物使用の低減と異物混入リスク回避が期待できるものであるが、上記包装用フィルム用のフィルム素材をそのまま粘着テープ原反としようとすると、ポリエチレン樹脂に特有の性質により、すなわち、二軸延伸されたポリプロピレンフィルムやナイロン、ポリエチレンテレフタレートのフィルムに比べ引張弾性率が低く、一般的な接着剤塗布装置による加工の際にフィルムが伸びてしまう、あるいは破断してしまうといったトラブルが散見され、加工性に不利を抱えていた。
また、ラベル基材として、表面に環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン又はポリプロピレンの混合層を有する例(特許文献6参照)も開示されているが、テープのような長尺方向における引張強度を必要とする用途に適した構成は開示されていない。
こうした背景より、粘着性テープとしての引張強度及び粘着テープを製造する際の加工性と直線易カット性を両立させた直線易カット性粘着テープの開発が望まれていた。
特開平11−129415号公報 特開平10−237234号公報 特開2004−284351号公報 特開2005−298055号公報 特開2005−144979号公報 特開2017−16151号公報
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に挑み、粘着性テープとしての適度な特性及び加工性と、直線易カット性に優れた粘着テープを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、環状ポリオレフィン系樹脂(a1)とポリエチレン系樹脂(a2)の混合樹脂を樹脂主成分とする樹脂組成物(a)により構成される基材層(A)を少なくとも1層含む基材フィルムの、一方又は両方の表層上に粘着層(D)を有し、前記基材フィルムの1%引張変形時荷重が2N以上であり、前記基材フィルム全体を基準として、前記環状ポリオレフィン系樹脂の含有量が5〜85重量%であることを特徴とする直線易カット性粘着テープにより、上記課題を解決することができることを見出し、これらの知見を基に、さらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち本願の第1の発明は、環状ポリオレフィン系樹脂(a1)とポリエチレン系樹脂(a2)の混合樹脂を樹脂主成分とする樹脂組成物(a)により構成される基材層(A)を少なくとも1層含む基材フィルムの、一方又は両方の表層上に粘着層(D)を有し、前記基材フィルムの1%引張変形時荷重が2N以上であり、前記基材フィルム全体を基準として、前記環状ポリオレフィン系樹脂の含有量が5〜85重量%であることを特徴とする直線易カット性粘着テープに存する。
本願の第2の発明は、第1の発明において、前記基材フィルムが、前記基材層(A)を中間層として有し、ポリエチレン系樹脂(b1)を樹脂主成分とする樹脂組成物(b)により構成される外層(B)と、ポリエチレン系樹脂(c1)を樹脂主成分とする樹脂組成物(c)により構成される内層(C)を、各々、前記基材層(A)の外側、内側に有する多層基材フィルムであることを特徴とする直線易カット性粘着テープに存する。
本願の第3の発明は、第2の発明において、前記外層(B)及び/又は前記内層(C)には、環状ポリオレフィン系樹脂が実質的に含まれていないことを特徴とする直線易カット性粘着テープに存する。
本願の第4の発明は、第2又は3の発明において、前記多層基材フィルムの、前記外層(B)を構成する前記樹脂組成物(b)に用いるポリエチレン系樹脂(b1)が、密度0.920g/cm以上0.940g/cm未満の密度を有する中密度ポリエチレン樹脂であり、前記樹脂組成物(b)中55重量%〜100重量%含有されていることを特徴とする直線易カット性粘着テープに存する。
本願の第5の発明は、第2又は3の発明において、前記多層基材フィルムの、前記外層(B)を構成する前記樹脂組成物(b)に用いるポリエチレン系樹脂(b1)が、密度0.940g/cm以上0.960g/cm以下の密度を有する高密度ポリエチレン樹脂であり、前記樹脂組成物(b)中55重量%〜100重量%含有されていることを特徴とする直線易カット性粘着テープに存する。
本願の第6の発明は、第2ないし5のいずれかの発明において、前記外層(B)及び前記内層(C)が、前記基材層(A)に直接隣接していることを特徴とする直線易カット性粘着テープに存する。
本願の第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、前記基材層(A)中に含有される、前記環状ポリオレフィン系樹脂(a1)の含有量が、30〜80重量%であることを特徴とする直線易カット性粘着テープに存する。
本願の第8の発明は、第1ないし7のいずれかの発明において、前記環状ポリオレフィン系樹脂(a1)は、ガラス転移温度が60℃以上のエチレン・環状オレフィン共重合体であることを特徴とする直線易カット性粘着テープに存する。
本願の第9の発明は、第1ないし8のいずれかの発明において、前記基材フィルムの1%引張変形時荷重が2.5N以上であることを特徴とする項に記載の直線易カット性粘着テープに存する。
本願の第10の発明は、第1〜9のいずれかの発明において、前記基材フィルムの厚みが20マイクロメートルから200マイクロメートルであることを特徴とする直線易カット性粘着テープに存する。
本願の第11の発明は、第1〜10のいずれかの発明において、前記基材フィルムのTD方向への引き裂き強度が60N/mm以下であることを特徴とする直線易カット性粘着テープに存する。
本願の第1の発明によれば、粘着性テープとしての適度な特性及び加工性を有し、しかも、直線易カット性に優れた粘着テープを得ることができる。
特に本願の第2の発明によれば、特に粘着性テープとして、適度な伸びと強度をバランスよく両立して有し、粘着塗布工程にも耐えうる加工性を示し、粘着テープとして適度な特性と、直線易カット性のバランスに優れた直線易カット性粘着性テープが得られる。
本願の第3の発明によれば、特にフィルムの柔軟性に優れるため、貼着面に貼りやすく、剥がれにくい直線易カット性粘着性テープが得られる。
本願の第4の発明によれば、特にフィルムの柔軟性に優れ、かつ、高い易引き裂き性も示す直線易カット性粘着性テープが得られる。
本願の第5の発明によれば、特に縦方向への伸びが少ないため粘着性テープの粘着塗布加工特性に優れる直線易カット性粘着性テープが得られる。
本願の第6の発明によれば、粘着テープとして適度な特性及び易カット性を効率的に両立できる直線易カット性粘着性テープが得られる。
本願の第7の発明によれば、粘着テープとして適度な特性及び易カット性をバランスよく両立できる直線易カット性粘着性テープが得られる。
本願の第8の発明によれば、粘着塗布の際に熱を加えた場合においても収縮することがなく、粘着テープとして適度な特性及び易カット性をバランスよく両立できる直線易カット性粘着性テープが得られる。
本願の第9の発明によれば、粘着テープとして優れた粘着塗布加工特性と、易カット性をバランスよく両立できる直線易カット性粘着性テープが得られる。
本願の第10の発明によれば、粘着テープとして適度な強度及び易カット性をバランスよく両立できる直線易カット性粘着性テープが得られる。
本願の第11の発明によれば、テープ幅方向への直線易カット性に非常に優れ、手切れ性に優れた粘着性テープが得られる。
本願の実施例及び比較例の引裂強度の差を示すグラフである。
本発明の直線易カット性粘着テープは、特定の樹脂組成物(a)、すなわち環状ポリオレフィン系樹脂(a1)とポリエチレン系樹脂(a2)の混合樹脂を主成分とする樹脂組成物(a)により構成される基材層(A)を少なくとも1層含む基材フィルムの、一方又は両方の表層上に粘着層(D)を有する粘着テープであって、該基材フィルムが特定の物性、すなわち、1%引張変形時荷重が2N以上であり、かつ、該基材フィルムが特有の特徴、すなわち基材フィルム全体を基準として、環状ポリオレフィン系樹脂の含有量が5〜85重量%であることを特徴とする。
なお、本願発明で「主成分とする」とは、当該樹脂層を形成する成分のうち、50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含有することを意味する。
1.基材フィルム
(1)基材層(A)
本発明による基材フィルムを構成する層の少なくとも一層は、環状ポリオレフィン系樹脂(a1)とポリエチレン樹脂(a2)の混合樹脂を樹脂主成分とする樹脂組成物(a)により構成される基材層(A)であり、好ましくは環状ポリオレフィン系樹脂(a1)を5〜95重量%及びポリエチレン樹脂(a2)を5〜95重量%含有する樹脂組成物(a)からなる基材層(A)であり、好ましくは、環状ポリオレフィン系樹脂(a1)30〜80重量%と、密度が0.870〜0.960g/cmの直鎖状ポリエチレン(a2)20〜70重量%、特に好ましくは密度が0.900〜0.960g/cmの直鎖状ポリエチレン(a2)とからなる。
環状オレフィン系樹脂(a1)の、混合樹脂組成物である前記樹脂組成物(a)中の含有量(重量%)は、好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは35〜75重量%の中から適宜選択しえるが、本発明の実施においては、後述する他のインフレーション成形条件等との関係で、適宜限定した範囲を選定することが好ましい。
また、本願発明の直線易カット性粘着テープに必要な、TD方向への直線易カット性を得るためには、基材フィルム全体を基準として、環状ポリオレフィン系樹脂は、5〜85重量%含まれることが必要である。より好ましくは、5〜49重量%である。基材フィルム全体に対する環状ポリオレフィン系含有量が5重量%より少ないと、本願発明の粘着性テープにおいては、急激にTD方向へのエレメンドルフ引裂強度が上がり、十分な直線カット性が得られにくい。85重量%より多くても、十分な直線カット性が得られないので好ましくない。
(2)環状ポリオレフィン系樹脂(a1)
本発明の直線易カット性粘着テープの基材フィルムに用いる環状ポリオレフィン系樹脂(a1)としては、例えば、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、環状共役ジエン重合体等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体が好ましい。また、ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体(以下、「COP」ともいう。)、ノルボルネン系単量体とエチレン等のα−オレフィンを共重合したノルボルネン系共重合体(以下、「COC」ともいう。)等が挙げられる。また、COP及びCOCの水素添加物も用いることができる。
COCとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンなどの直鎖状モノマーとテトラシクロドデセン、ノルボルネンなどの環状モノマーとから得られた環状オレフィン共重合体が挙げられる。さらに具体的には上記直鎖状モノマーと炭素数が3〜20のモノシクロアルケンやビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)及びこの誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.1.2,5.17,10]−3−ドデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン及びこの誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン等およびこの誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン及びこの誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン及びこの誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]−5−ペンタコセン及びこの誘導体等の環状オレフィンとの共重合体からなる環状オレフィン共重合体などが挙げられる。直鎖状モノマー及び環状モノマーは、それぞれ単独でも、2種類以上を併用することもできる。また、このような環状オレフィン共重合体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。また、環状オレフィン系樹脂(a1)に、前記COPとCOCを併用することもできる。その場合は、COPとCOCのそれぞれの異なった性能を付与することができる。
本発明においては、ポリエチレンに対する分散性の理由により、環状オレフィン系樹脂(a1)はCOCであることが好ましい。また、COCとしては、直鎖状モノマーがエチレンである、エチレン・環状オレフィン共重合体であることが好ましい。さらには、環状モノマーは、ノルボルネンであることが好ましい。
また、本発明においては、エチレン・環状オレフィン共重合体は、エチレン/環状オレフィンの含有割合が1〜9/9〜1重量比でのものであることが好ましい。より好ましくは15〜40/85〜60のものである。エチレンが15重量%未満であると、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性および製袋適正を悪化させるため好ましくない。一方、エチレンが40重量%以上であると、十分な易引裂性、剛性が得られないため好ましくない。含有比率がこの範囲にあれば、フィルムの剛性、引き裂き性、加工安定性、衝撃強度が向上するため好ましい。
さらにまた、エチレン・環状オレフィン共重合体は、ISO11357−1、−2、−3に準拠した条件において、示差走査熱量測定(DSC)によって測定したガラス転移温度Tgが60℃以上であることが好ましい。より好ましくは70℃以上のものである。環状オレフィンの含有量が上記範囲を下回ると、ガラス転移点が前記範囲を下回るようになり、十分な粘着性テープの易引裂き性が得られにくい。一方、環状オレフィンの含有量が上記範囲を上回ると、ガラス転移点が高くなりすぎ、共重合体の溶融成形性やオレフィン系樹脂との接着性が低下する恐れがあり好ましくない。なお、本発明において、環状オレフィンのガラス転移温度は、ISO11357−1、−2、−3に準拠し昇温速度10℃/分において測定された値である。
また、環状オレフィン系樹脂(a1)の重量平均分子量は、5,000〜500,000が好ましく、より好ましくは7,000〜300,000である。
環状オレフィン系樹脂(a1)として用いることができる市販品として、ノルボルネン系モノマーの開環重合体(COP)としては、例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア(ZEONOR)」等が挙げられ、ノルボルネン系共重合体(COC)としては、例えば、三井化学株式会社製「アペル」、ポリプラスチックス(Polyplastics)社製「トパス(TOPAS)」等が挙げられる。本発明においては、ノルボルネン系単量体の含有比率が、前述の範囲にあること、加工性等の理由から、TOPASのグレード8007が好ましい。尚、ノルボルネン系の場合の、ノルボルネン含量は好ましくは、30mol%以上70mol%以下、より好ましくは35mol%以上65mol%以下、さらに好ましくは36mol%以上60mol%以下、最も好ましくは36mol%以上40mol以下である。ノルボルネン含量が30mol%未満であると、直線易カット性が得られない可能性がある。また、70mol%を超えると、加工性が悪くなる可能性がある。
(3)ポリエチレン系樹脂(a2)
樹脂組成物(a)からなる基材層(A)に含まれるポリエチレン系樹脂(a2)としては、エチレンの単独重合体又は、エチレンとα−オレフィンを共重合して得られる共重合体が挙げられ、例えば、触媒重合によって得られる直鎖状ポリエチレン、又は高圧ラジカル重合法によって得られる、多数の分岐構造を有する、高圧法ポリエチレン等を使用することができるが、好ましくは、直鎖状ポリエチレンを用いることが挙げられる。
直鎖状ポリエチレン(以下、「LLDPE(a2)」ともいう。)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたもののいずれであっても良いが、密度は0.870〜0.965g/cmの範囲から選ばれるが、本発明の粘着テープの基材フィルムにおいて好ましくは、0.910〜0.960g/cmであり、コスト的に有利なZiegler触媒によって重合されたものがあげられる。更に好ましくは0.920〜0.950g/cmである。
なお、本発明において、密度は、JIS K 6922−2に基づいて測定する値である。
また、LLDPE(a2)のメルトインデックス(MI)は、190℃において0.1〜30g/10分であることが好ましい。より好ましくは0.5〜4.0g/10分である。MIが0.1g/10分未満の場合は、溶融流れ性が悪く、押出フィルム加工が困難になる、モーター負荷が大きくなり、さらにフィルムの透明性が低くなるといった問題が生じる恐れがあり好ましくない。一方、30g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて、押出加工時の製膜安定性が低下する恐れがあり好ましくない。
なお、本発明において、メルトインデックス(MI)は、JIS−K−7210により測定したメルトインデックス値である。
本発明において用いるLLDPE(a2)は、具体的には以下のようなものである。すなわち、エチレンと共重合するα−オレフィンは、0.1〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%、特に好ましくは0.5〜5モル%の量で共重合しているものであり、α−オレフィンの種類としては、通常は炭素数3〜8のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1を挙げることができる。
(4)多層基材フィルム
本発明の直線易カット性粘着テープに用いる基材フィルムは、前記樹脂組成物(a)からなる基材層(A)を少なくとも一層有することを特徴とするが、より好ましくは、他の層を少なくとも一層、好ましくは二層以上有した、三層又は四層以上の多層基材フィルムとすることが挙げられる。
好ましい態様としては、前述の環状ポリオレフィン系樹脂(a1)とポリエチレン系樹脂(a2)の混合樹脂を主成分とする樹脂組成物(a)からなる基材層(A)を中間層とし、その両側にポリエチレン系樹脂(b1)を樹脂主成分とする樹脂組成物(b)により構成される外層(B)と、ポリエチレン系樹脂(c1)を樹脂主成分とする樹脂組成物(c)により構成される内層(C)を、各々、前記基材層(A)の外側、内側に有する多層基材フィルムが挙げられる。このような多層記事フィルムを用いることにより、ポリエチレン系樹脂が有する適度な伸びと柔軟性を有する粘着テープを得ることができる。
更に好ましくは、前記外層(B)及び/又は前記内層(C)には、環状ポリオレフィン系樹脂が実質的に含まれていないことを特徴とする直線易カット性粘着テープ、又は、前記多層基材フィルムの、前記外層(B)を構成する前記樹脂組成物(b)に用いるポリエチレン系樹脂(b1)が、密度0.920g/cm以上0.940g/cm未満の密度を有する中密度ポリエチレン樹脂であり、前記樹脂組成物(b)中55重量%〜100重量%含有されていることを特徴とする直線易カット性粘着テープ、又は、前記多層基材フィルムの、前記外層(B)を構成する前記樹脂組成物(b)に用いるポリエチレン系樹脂(b1)が、密度0.940g/cm以上0.960g/cm以下の密度を有する高密度ポリエチレン樹脂であり、前記樹脂組成物(b)中55重量%〜100重量%含有されていることを特徴とする直線易カット性粘着テープ、又は、前記外層(B)及び前記内層(C)が、前記基材層(A)に直接隣接していることを特徴とする直線易カット性粘着テープ、が好ましい態様として挙げられる。このような多層基材フィルムを用いることにより、ポリエチレン系樹脂が有する適度な伸びと柔軟性を有する粘着テープを得ることができる。
(5)外層(B)及び/又は内層(C)
本願発明で、外層(B)とは、粘着テープの基材フィルムの片面のみに粘着層(D)を設けた際に、基材フィルムの粘着層(D)を設けない側に設けた層を意味し、内層(C)とは、粘着層(D)を設ける側に設けた層を意味するが、両方を合わせて両外層とも称することもあり、両面粘着テープにおいては、いずれであってもよい。
外層(B)はポリエチレン系樹脂(b1)を樹脂主成分とする樹脂組成物(b)により、構成され、内層(C)は、ポリエチレン系樹脂(c1)を樹脂主成分とする樹脂組成物(c)により構成される。すなわち、樹脂組成物を構成する樹脂主成分中50重量%以上をポリエチレン系樹脂で占めることを必須とするが、特に好ましくは、前記外層(B)及び/又は前記内層(C)には、環状ポリオレフィン系樹脂が実質的に含まれていないことを特徴とする。
この好ましい構成をとることにより、より優れた直線易カット性を示すとともに、MD方向に強く張力のかかる場合にも基材フィルムの寸法変化が起きず加工性等に優れた粘着テープを得ることができる。
(6)ポリエチレン系樹脂(b1)又はポリエチレン系樹脂(c1)
外層(B)を構成する樹脂組成物(b)、又は内層(C)を構成する樹脂組成物(c)に用いるポリエチレン系樹脂(b1)、ポリエチレン系樹脂(c1)としては、エチレンの単独重合体又は、エチレンとα−オレフィンを共重合して得られる共重合体が挙げられ、例えば、触媒重合によって得られる直鎖状ポリエチレン、又は高圧ラジカル重合法によって得られる、多数の分岐構造を有する、高圧法ポリエチレン等を使用することができるが、好ましくは、直鎖状ポリエチレンを用いることが挙げられる。直鎖状ポリエチレンとしては、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたもののいずれであっても良いが、特に本願発明の粘着テープに用いるための基材フィルムとして、1%引張変形時荷重が2N以上の基材フィルムを作成するためには、樹脂組成物の50重量%以上、好ましくは55重量%以上100重量%以下を構成する樹脂主成分であるポリエチレン系樹脂(b1)又は(c1)として、比較的密度の高い直鎖状ポリエチレンである、密度が0.920g/cm以上0.940g/cm以下の中密度ポリエチレン樹脂、または、0.940g/cm以上0.965g/cm以下の高密度ポリエチレン樹脂を用いることが好ましい。更に好ましくは、0.920g/cm以上0.940g/cm以下の中密度のポリエチレン樹脂20〜80重量%と0.940g/cm以上0.965g/cm以下の高密度のポリエチレン樹脂20〜80重量%を混合して用いてもよい。なお、本発明において、密度は、JIS K 6922−2に基づいて測定する値である。
また、ポリエチレン樹脂(b1)(c1)のメルトインデックス(MI)は、190℃において0.1〜30g/10分であることが好ましい。より好ましくは0.5〜4.0g/10分である。MIが0.1g/10分未満の場合は、溶融流れ性が悪く、押出フィルム加工が困難になる、モーター負荷が大きくなり、さらにフィルムの透明性が低くなるといった問題が生じる恐れがあり好ましくない。一方、30g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて、押出加工時の製膜安定性が低下する恐れがあり好ましくない。
なお、本発明において、メルトインデックス(MI)は、JIS−K−7210により測定したメルトインデックス値である。
(7)基材フィルムのMD方向(テープ長尺方向)への1%引張変形時荷重
本願発明の特徴の一つは、上記の層構成を適宜組み合わせて得られた、基材フィルムのMD方向(テープ形成時の長尺方向)への1%引張変形時荷重が2N以上であるフィルムを粘着テープの基材フィルムとして用いることにある。この特徴により、粘着テープとしての加工性及び直線易カット性の双方に優れた直線易カット性粘着テープを得ることができる。
特に、本願発明の好ましい態様としては、1%引張変形時荷重が2.5N以上であり、粘着剤の塗布工程において縦方向の伸びが確認されず、加工適性が優れている。
更に好ましくは、MD方向への1%引張変形時荷重が8.0N以下、特に好ましくは5.0N以下である。引張変形時荷重が高くなるにつれて、それに伴い引張破談強度の値も上昇するため、両者の適性を兼ね備えるには、1%引張変形時荷重は高すぎない方が好ましい。
この測定方法の具体的な方法については後述の実施例に記載したとおりである。
(8)基材フィルムのTD方向(テープ幅方向)への引裂強度
本願発明の更なる好ましい特徴の一つは、上記のとおり得られた基材フィルムのTD方向(テープ形成時の幅方向)へのエレメンドルフ引裂強度が9N以下であることである。特に好ましくは、5N以下、更に好ましくは3N以下、最も好ましくは1N以下である。下限値は特にないが、実質的には0.05N以上が実現化されている。
このエレメンドルフ引裂強度を厚みで割った値(N/mm)で表すと、基材フィルムのTD方向(テープ形成時の幅方向)へのエレメンドルフ引裂強度/厚みが60N/mm以下であることが好ましく、より好ましくは、30N/mm以下、更に好ましくは20N/mm以下、最も好ましくは10N/mm以下である。下限値は特にないが、実質的には、0.3N/mm以上が実現化されている。
かかるTD方向への引裂強度とMD方向への1%引張変形時荷重のバランスが優れた基材フィルムを用いて粘着テープを製造することが本願発明の特徴の一つである。
(9)基材フィルムの製造方法
基材フィルム全体の厚さとしては、20マイクロメートルから200マイクロメートルのものが好ましい。本発明の直線易カット性粘着テープは、その厚さが比較的厚膜であっても、直線易カット性に優れる。
また、本発明の環状ポリオレフィン系樹脂(a1)及びポリエチレン系樹脂(a2)の混合樹脂を樹脂主成分とする樹脂組成物(a)からなる基材層(A)について、多層基材フィルムとした際の基材層(A)の厚さは、多層フィルム全体を基準として、20〜70%であることが好ましい。基材層(A)が20%より薄いと、十分な易引裂性が得られないので好ましくない。一方、70%より厚いと、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性を悪化させるため好ましくない。基材層(A)の厚みがこの範囲であれば、直線易カット性に優れる上に、コスト的に有利であるため、好ましい。
本発明に用いる基材フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、多層フィルムの成形において外層に用いる樹脂組成物(b)と、中間層に用いる環状オレフィン系樹脂(a1)及びポリエチレン系樹脂(a2)の混合樹脂からなる樹脂組成物(a)と、内層に用いる樹脂組成物(c)とを、それぞれ別の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層した後、インフレーション法によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。又、(A)層に(B)及び(C)層が直接隣接している層構成を共押出法により得られた多層基材フィルムは、優れた直線易カット性を示すことができる。さらに、本発明で用いる環状ポリオレフィン系樹脂(a1)とポリエチレン系樹脂(a2)は、高温状態において粘度差が大きく、適当な相分離構造が形成されない可能性がある。したがって、比較的低温で溶融押出を行うことが出来るインフレーション法が望ましい。
2.粘着層(D)及び粘着テープの製造方法
本願発明の直線易カット性粘着テープは、上記の基材フィルムの一方又は両方の表層上に粘着層(D)を有することを特徴とし、該粘着層(D)は、表層上に直接形成してもよいし、表層上に下塗り層等を設けた上に形成してもよい。
粘着層(D)を構成する粘着剤としては、具体的な粘着テープの用途に応じて適した、各種公知の粘着剤の中から適宜選択して使用することができる。たとえば、ポリイソブチレンゴムなどを有機溶剤に溶解したゴム系粘着剤、これらに粘着付与剤を配合したもの、アクリル系共重合体を有機溶剤で溶解したアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エマルジョン型アクリル系粘着剤、ホットメルト型粘着剤、液状硬化型のアクリル系粘着剤等が挙げられる。この中でも、ホットメルト型粘着剤が好ましい。粘着剤を塗布する際の塗工量は特に限定されないが、厚みが10〜150μmから適宜粘着剤の種類や用途によって選択される。
下塗り層用のアンカーコート剤としては、ポリウレタン、ポリイソシアネート・ポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート・ポリエチレンイミン、アルキルチタネートなどが使用できる。塗工量は特に限定されないが、乾燥後の固形分量で、0.01〜5g/m程度である。
粘着層(D)は、基材フィルムの一方の面に設けて片面粘着テープとしてもよいし、両面に設けて両面粘着テープとしてもよい。両面に設ける場合には、例えば、粘着層1/基材フィルム/粘着層2といった層構成とし、更にその粘着層1か粘着層2の上に剥離層を設ける構成が示される。粘着層1と粘着層2を構成する粘着剤は同種でも異種でもよい。
本発明における「粘着テープ」とは、公知の一般的な粘着テープのいずれでもよいが、具体的には、基材フィルムのフィルム成形時および、粘着剤の加工工程において、引張方向となるMD方向と、それに対する垂直方向のTD方向がある場合において、幅方向となるTD方向より、MD方向が数倍、特に好ましくは10倍以上長い、テープ形状を有するものを意味する。従って、テープとしての使用時は、MD方向に引張り力が働くこととなり、TD方向に直線カットのニーズが生じる。
その製造方法は特に限定されないが、一度フィルム成形をした後に円柱状に巻き取った基材フィルムを、MD方向に繰り出して、コーター等により粘着剤を塗布し、ドライヤーを通過させて乾燥し、更に、第2の粘着層や剥離層の形成や、剥離紙等との貼り合わせを行った後に、巻き取る工程を経ることが一般的であり、MD方向に高い引っ張り力を常に受けることとなる。また、用途に応じた幅にその工程中又は工程後に切断される。
粘着テープの用途としては、使用される粘着剤の種類によって、適宜公知の粘着テープの用途に用いられるが、例えば、文具用、包装用、医療用、電気部材用、電子部材用、農業用といった幅広い用途における粘着テープとして使用することができる。特に、本願発明のポリエチレン樹脂製の粘着テープは、適度な範囲のコシと伸びを有するので、農業用ハウスの養生用などのように、従来のフィルム系粘着テープではフィルムのコシが高すぎるが故に、貼り付け部分が風などによって揺れ動き、剥離の懸念がある分野において適用するテープとして好適である。
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において用いた、物性の評価方法、フィルムの成形方法、使用した樹脂は下記のとおりである。
1.物性評価方法
1)加工性
加工性は、接着剤塗布工程中にかかる張力により寸法変化が生じないという意味合いで、フィルムを1%変形させる際の荷重を加工性の指標とした。
<1%変形時荷重>
装置:株式会社オリエンテック製テンシロン万能試験機
試験片:JIS K7113を参考に試験片長さ150mm、試験片幅10mmのものを用意した
引張速度:1mm/min
チャック間距離:65mm
測定環境:温度23℃、湿度50%
2)TD方向引き裂き強度
テープの幅方向であるTD方向への引き裂きにあたって必要な応力をエルメンドルフ引き裂き試験にて評価し、TD方向の引き裂き強度の指標とした。
更に得られたエレメンドルフ引裂強度(N)を、基材フィルムの厚み(mm)で割った値を、TD方向のエレメンドルフ引裂強度(N/mm)として示す。
<エルメンドルフ引き裂き強度>
装置:株式会社東洋精機製作所製エルメンドルフ引き裂き試験機
試験片:JIS K7128−2を参考に半径一定試験片を用意した
測定環境:温度23℃、湿度50%
3)手切れ性
テープの引き裂きの際に、Iノッチ等の加工無しでも引き裂きが可能かどうかMD方向の引張破壊応力の評価結果を指標とした。
<引張破壊応力>
装置:株式会社オリエンテック製テンシロン万能試験機
試験片:JIS K7113にて規定される2号試験片を用いた
引張速度:500mm/min
チャック間距離:65mm
測定環境:温度23℃、湿度50%
4)手切り時伸び
テープまたはラベルの引き裂きの際に、Iノッチ等の加工無しで引き裂きを実施する際の引き裂きのきっかけ部分を作りやすく手切れ性に優れるのかどうかを引張破壊時呼び歪みの評価結果を指標とした。
<引張破壊時呼び歪み>
装置:株式会社オリエンテック製テンシロン万能試験機
試験片:
引張速度:500mm/min
チャック間距離:65mm
測定環境:温度23℃、湿度50%
5)直線カット性
<TD直線カット性>
TD方向に向かって引き裂きを実施した際に生じたスリットがまっすぐであるか否か4段階にて判断する官能評価を実施した。
2.フィルムの成形方法
以下の成形装置、成形条件によりインフレーションフィルム及び二軸延伸フィルムを成形した。
<インフレーションフィルムの実施例>
装置:3種3層インフレーション成形機(株式会社プラコー製)
ダイス径:φ200mm
ダイリップクリアランス(L):3.0mm
引取速度:15〜20m/min
押出量:60kg/hr
ブローアップ比:2〜2.5
ダイス設定温度:190℃
層比(外/中間/外)=1/1/1〜5/2/5
フィルム全体の厚み:0.04mm、0.04mm
<二軸延伸フィルムの実施例>
装置:3種3層逐次二軸延伸機
ダイス設定温度:240℃
吐出後延伸前原反巾:240mm
水冷チルロール速度:3m/min
水冷チルロール温度:17℃
MD方向延伸部速度:15m/min
MD方向延伸部温度:105〜115℃
MD延伸倍率:4.5倍
TD方向延伸部温度(余熱〜熱セット部):160℃
TD延伸倍率:8倍
3.使用原料
<樹脂組成物(a)に使用した樹脂>
・環状オレフィン系樹脂(a1)
COC:ポリプラスチックス(株)製、商品名TOPAS8007F−500、MFR(190℃、2.16kg)=2.0cm/10分、密度=1,010kg/m、ガラス転移温度Tg=78℃(測定方法:示差走査熱量測定(DSC)、ISO11357−1、−2、−3に準拠、昇温速度=10℃/分)
・ポリエチレン系樹脂(a2)
LLDPE:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックLL、グレード名UF320、MFR=0.9g/10分、密度=0.922g/cm
<多層フィルムに使用した樹脂>
Figure 2019131660
※PP−1とPP−2のMFRの値は230℃で測定した値
<粘着層(D)>に使用した粘着剤
市販のホットメルト型接着剤を用いた。
(比較例1〜2、実施例1〜8)
上記表1記載の樹脂を用いて、前記した成膜条件で厚み40μm〜50μmの多層インフレーションフィルムを得た。更にその多層インフレーションフィルムからなる基材フィルムの片面に、粘着剤を塗布処理加工して塗布層(D)を設けた粘着テープを得た。
フィルム構成とその評価結果を表2及び表3に示す。
(比較例3)
ポリプロピレン系の二軸延伸フィルムによる基材フィルムを用いた。すなわち、上記表1記載の樹脂を用い、前記した成膜条件で厚み20μmの多層二軸延伸フィルムを得た。フィルム構成とその評価結果を表3に示す。
Figure 2019131660
Figure 2019131660
(評価)
比較例1と実施例1を見ると、構成しているLL−1とLL−3はほぼ同様のINDEXであり、実施例2に関しては厚みが低下しているのにもかかわらず、COCが存在することにより1%変形荷重の値が1.5倍程度になり、粘着テープの加工性が可能なレベルになることがわかる。加えて、引き裂き強度も低下することで易カット性が付与され、MD方向の破断時伸びと強度が低下することで手切りによるカット性も向上、直線カット性も付与されることがわかる。
しかし、フィルム全体のCOCの濃度の低い比較例2と実施例2、3を比較すると、引き裂き強度が上昇してしまう傾向にあることがわかり、COC濃度が5%を下回った場合に易カット性が著しく低下してしまうことと、同構成での層比変更や同層比でCOCの添加濃度の向上により易カット性が向上していく様子がうかがえる。これらのフィルム全体に対するCOCの濃度(wt%)と実施例、比較例1,2,3におけるTD方向への引き裂き強度(N/mm)を示したグラフを図1として示している。
比較例3と実施例1、実施例4〜5を見ると、比較例3で示す、現在フィルム系粘着テープに使用されているOPPの粘着剤塗布における加工適性が優れていることは言うまでもないが、引張破断強度が実施例1、実施例4〜5に比べ高く、Iノッチ等の加工の無い場合、つまり手切りの際のきっかけが作り難いという問題が発生することがうかがえる。
加えて、実施例1のフィルムは粘着剤塗布工程において、粘着剤の塗布は可能であったが張力に耐え切れず少し縦方向に延びてしまう現象が確認された。その一方で、実施例4と実施例5のフィルムにおいては、縦方向の伸びは確認されず、加工適性が良いことがわかった。これらを踏まえると、1%変形荷重の値が2.5以上のフィルムにおいて、粘着剤塗布工程に特に適していることが結論付けられる。
上記の通り、両外層に密度の高いポリエチレン系樹脂層(B)(C)層を用いて、更に1%変形荷重の高い基材フィルムは加工性に優れる結果となったが、手切れ性へ若干悪影響を及ぼす傾向も実施例5〜8の結果からうかがえる。実施例5から実施例8にかけては加工適性の指標である1%変形荷重の値は上昇していくが、それに伴って引張破断強度の値も上昇してしまい、手切れの際のきっかけが作り難い物性になっていくことがわかる。従って、基材フィルムの1%変形荷重は、8.0N以下、特に好ましくは5.0N以下であると、粘着テープの基材として好ましいことがわかる。

Claims (11)

  1. 環状ポリオレフィン系樹脂(a1)とポリエチレン系樹脂(a2)の混合樹脂を樹脂主成分とする樹脂組成物(a)により構成される基材層(A)を少なくとも1層含む基材フィルムの、一方又は両方の表層上に粘着層(D)を有し、前記基材フィルムの1%引張変形時荷重が2N以上であり、前記基材フィルム全体を基準として、前記環状ポリオレフィン系樹脂の含有量が5〜85重量%であることを特徴とする直線易カット性粘着テープ。
  2. 前記基材フィルムが、前記基材層(A)を中間層として有し、ポリエチレン系樹脂(b1)を樹脂主成分とする樹脂組成物(b)により構成される外層(B)と、ポリエチレン系樹脂(c1)を樹脂主成分とする樹脂組成物(c)により構成される内層(C)を、各々、前記基材層(A)の外側、内側に有する多層基材フィルムであることを特徴とする請求項1記載の直線易カット性粘着テープ。
  3. 前記外層(B)及び/又は前記内層(C)には、環状ポリオレフィン系樹脂が実質的に含まれていないことを特徴とする請求項2に記載の直線易カット性粘着テープ。
  4. 前記多層基材フィルムの、前記外層(B)を構成する前記樹脂組成物(b)に用いるポリエチレン系樹脂(b1)が、密度0.920g/cm以上0.940g/cm未満の密度を有する中密度ポリエチレン樹脂であり、前記樹脂組成物(b)中55重量%〜100重量%含有されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の直線易カット性粘着テープ。
  5. 前記多層基材フィルムの、前記外層(B)を構成する前記樹脂組成物(b)に用いるポリエチレン系樹脂(b1)が、密度0.940g/cm以上0.960g/cm以下の密度を有する高密度ポリエチレン樹脂であり、前記樹脂組成物(b)中55重量%〜100重量%含有されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の直線易カット性粘着テープ。
  6. 前記外層(B)及び前記内層(C)が、前記基材層(A)に直接隣接していることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかの項に記載の直線易カット性粘着テープ。
  7. 前記基材層(A)中に含有される、前記環状ポリオレフィン系樹脂(a1)の含有量が、30〜80重量%であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの項に記載の直線易カット性粘着テープ。
  8. 前記環状ポリオレフィン系樹脂(a1)は、ガラス転移温度が60℃以上のエチレン・環状オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかの項に記載の直線易カット性粘着テープ。
  9. 前記基材フィルムの1%引張変形時荷重が2.5N以上であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの項に記載の直線易カット性粘着テープ。
  10. 前記基材フィルムの厚みが20マイクロメートルから200マイクロメートルであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の直線易カット性粘着テープ。
  11. 前記基材フィルムのTD方向への引き裂き強度が60N/mm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の直線易カット性粘着テープ。
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