以下、車両用の交流用の回転電機として具体化した構成について図面に基づいて説明する。
図1は、回転電機10の一部切欠き断面図である。図2は、レクチファイヤ40の平面図であって、レクチファイヤ40を回転電機10に取り付けた場合に、軸線方向においてリアカバー25側となる一端から見た図である。図1において、回転電機10は、図示しない車両用エンジンの出力軸にベルト等の連結部材を介して駆動連結された、いわゆるオルタネータである。回転電機10は、回転子11の回転に伴い固定子13にて交流電流を生じさせる回転電機本体14と、回転電機本体14とを保持するフレーム部材20と、固定子13にて生じた交流電流を整流する整流回路30を構成するレクチファイヤ40とを備えている。フレーム部材20は、回転軸12の軸線方向に並ぶフロントフレーム21とリアフレーム22とを有し、これら各フレーム21,22はスルーボルトの締結により一体化されている。フレーム部材20には、放熱用の孔が複数設けられている。また、フレーム部材20は、車両のボディに電気的に接続されることで、車両のボディに接地されている。なお、車両のボディが「接地部材」に相当する。
回転子11は、回転軸12に固定されたランデル型のロータであって、周知のとおり、界磁コイルと一対のポールコアとを有している。ポールコアの回転軸12の軸方向端面には、遠心型の冷却ファン15,16が取り付けられている。フレーム部材20には軸受け23,24が設けられ、この軸受け23,24により回転子11及び回転軸12が回転自在に支持されている。回転軸12の一端側(フロントフレーム21側)にはプーリ17が取り付けられており、プーリ17が車両エンジンにより回転駆動される。そして、プーリ17の回転によって回転子11が回転し、この回転に伴って冷却ファン15,16が回転する。
固定子13は、回転子11を包囲する位置に設けられているステータであり、2組の3相のステータコイルを有している。ステータコイルは、円環状をなす固定子コアと、固定子コアに巻装された固定子巻線18(図3参照)により形成されている。固定子13は、フロントフレーム21及びリアフレーム22に挟持された状態で固定される。なお、固定子13は、2組の3相のステータコイルとしたが、多相であれば、他の相数でもよい。
回転軸12の軸方向においてリアフレーム22の外側(回転電機本体14にリアフレーム22を挟んで反対側)には、絶縁カバーとして合成樹脂製のリアカバー25が取り付けられている。リアフレーム22とリアカバー25との間に形成された空間には、レクチファイヤ40が収容されている。なお、リアフレーム22とリアカバー25との間には、レクチファイヤ40以外に、レギュレータや界磁コイル通電機構が収容されている。
レクチファイヤ40は、フレーム部材20より軸線方向外側に設けられている。図2に示すように、レクチファイヤ40は、第1放熱板41Aと、第2放熱板41Bと、第1放熱板41Aに装着される第1整流素子50Aと、第2放熱板41Bに装着される第2整流素子50Bと、端子台43とを備えている。第1放熱板41Aと第2放熱板41Bとは、軸線方向に重なる位置に設けられており、第2放熱板41Bがフレーム部材20の側に設けられている。レクチファイヤ40の詳細については、後記する。なお、以下の説明においては、第1放熱板41A及び第2放熱板41Bをまとめて放熱板41と示すこともあり、また、第1整流素子50A及び第2整流素子50Bをまとめて整流素子50と示すこともある。
リアカバー25は、絶縁性を有する合成樹脂により形成されており、図1に示すように、レクチファイヤ40を覆っている。リアカバー25には、冷却ファン15,16の回転に伴い、空気を取り込むための通風用の孔26が複数設けられている。なお、取り込まれた空気は、図1の矢印のように流れ、放熱板41を冷却しながら、フレーム部材20側に取り込まれる。
図3は、整流回路30の回路構成図である。整流回路30は、固定子13にて生じた交流電流を全波整流するための回路であって、上アーム31と下アーム32とを有する3相(U,V,W相)のブリッジ回路である。固定子13のY結線された3本の固定子巻線18のそれぞれの端部に、第1整流素子50A及び第2整流素子50Bが接続されている。整流回路30の上アーム31には、3つの第1整流素子50Aが用いられており、整流回路30の下アーム32には、3つの第2整流素子50Bが用いられている。なお、固定子巻線18は、Y結線としたが、Δ結線でもよい。
第1整流素子50Aは、第1MOSFET51Aと、制御IC52と、コンデンサ53と、ツェナーダイオード54とを備えている。第2整流素子50Bは、第2MOSFET51Bと、制御IC52と、コンデンサ53と、ツェナーダイオード54とを備えている。以下の説明においては、第1MOSFET51A及び第2MOSFET51Bをまとめて、MOSFET51と示すこともある。各MOSFET51は、n型のMOSFETである。なお、図3において、各整流素子50内の符号は、1つのみ例示で示し、他は省略する。
MOSFET51のドレインとソースに並列になるように、制御IC52が接続されており、制御IC52がMOSFET51のゲートに接続されている。制御IC52は、MOSFET51のゲートに電圧を印加することで、MOSFET51のオンオフを制御する。また、制御IC52には、制御IC52の電源用のコンデンサ53が接続されている。
ツェナーダイオード54は、サージ対策に用いるための素子であって、MOSFET51と並列に接続されている。具体的には、ツェナーダイオード54のカソード側がMOSFET51のドレイン側と接続され、ツェナーダイオード54のアノード側がMOSFET51のソース側と接続される。なお、ツェナーダイオード54は、設けなくてもよい。
また、各整流素子50は、端子数が2つとなっており、従来のダイオードの整流素子を用いた整流回路と同じ構成とすることができる。第1整流素子50Aの低電位側の端子は、それぞれ、固定子13の各相の固定子巻線18に接続されており、第1整流素子50Aの高電位側の端子は、出力端子Bに接続されている。そして、出力端子Bがバッテリや電気負荷に接続されている。第2整流素子50Bの高電位側の端子は、それぞれ、固定子13の各相の固定子巻線18に接続されており、第2整流素子50Bの低電位側の端子は、接地されている。
回転電機本体14の発電時におけるこの整流回路30での整流は、各相において、上アーム31の第1MOSFET51Aと下アーム32の第2MOSFET51Bとを相補的にオンさせるとともに、各相のコイルによる発電に応じて、各相のMOSFET51を順次オンさせる。このように、固定子から電流が流れてくる相に対してMOSFET51をオンにさせるように切り替えることで、整流回路30で交流電流が整流される。
次に、整流素子50の構造を図4〜図6を参照して説明する。図4は、第1整流素子50Aの平面図であって、第1整流素子50Aを覆う樹脂59等を省略して示している。図5は、第1整流素子50Aが第1放熱板41Aに組み付けられた状態の概略断面図を示しており、図6は、第2整流素子50Bが第2放熱板41Bに組み付けられた状態の概略断面図を示している。なお、図5及び図6において、各整流素子50の素子の符号は、1つのみ例示で示し、他は省略する。また、図5及び図6において、制御IC52、コンデンサ53及びワイヤ58の図示を省略する。
第1整流素子50Aは、図4に示すように、第1MOSFET51Aと、制御IC52と、コンデンサ53と、ツェナーダイオード54と、高電位ベース電極55Aと、リード電極56と、ブロック電極57(図5)とを有している。第2整流素子50Bは、第2MOSFET51Bと、制御IC52と、コンデンサ53と、ツェナーダイオード54と、接地電位ベース電極55Bと、リード電極56と、ブロック電極57とを有している。なお、ブロック電極57が「スペーサ」に相当する。以下の説明においては、高電位ベース電極55A及び接地電位ベース電極55Bをまとめて、ベース電極55と示すこともある。また、第1整流素子50Aと第2整流素子50Bとは、接続方法以外は同じであるため、共通する部分についてはまとめて説明する。
ベース電極55は、平面視円形状の導電性の金属で形成されており、図5及び図6に示すように、放熱板41に設けられた装着孔42に圧入されている。ベース電極55は、放熱板41の装着孔42の内径と同じか若干大きい外径を有しており、放熱板41の板厚と同じ高さ(軸方向の寸法)を有している。
ベース電極55上には、MOSFET51と、制御IC52と、コンデンサ53と、ツェナーダイオード54とが配置され、各素子間がワイヤ58によって接続されている。MOSFET51は、図3及び図4に示すように、方形状(四角形)のチップとなっており、ソース電極51Sとドレイン電極51Dとが反対側の面に位置する縦型構造と呼ばれる構造になっている。つまり、MOSFET51の一面に、ゲート電極51G及びソース電極51Sが設けられており、他方の面に(ソース電極51Sが設けられた面とは反対側の面)ドレイン電極51Dが設けられている。MOSFET51のゲート電極51Gが制御IC52にワイヤ58で接続されている。
MOSFET51及びツェナーダイオード54に対してベース電極55と反対側にリード電極56が設けられている。リード電極56は、MOSFET51及びツェナーダイオード54と接続される板状の部分と、円柱状のリード端子56Tとを有している。そして、図4及び図5に示すように、ベース電極55とベース電極55上の素子が樹脂59によって覆われている。樹脂59で覆われた状態では、リード電極56のリード端子56Tがベース電極55の中心から突出した状態となっている。
次に、MOSFET51及びツェナーダイオード54とベース電極55及びリード電極56との間の接続について説明する。第1整流素子50Aでは、図4及び図5に示すように、第1MOSFET51Aのドレイン電極51Dが、ハンダを用いて、高電位ベース電極55Aに接続及び固定されている。ツェナーダイオード54のカソード電極が、ハンダを用いて、高電位ベース電極55Aに接続及び固定されている。なお、高電位ベース電極55Aが、第1整流素子50Aの高電位側の端子に相当する。
一方、第1MOSFET51Aのソース電極51Sが、ブロック電極57を介して、リード電極56に接続及び固定されている。具体的には、第1MOSFET51Aのソース電極51Sのある面のうち、ゲート電極51Gのためにソース電極51Sが狭くなっている領域以外の部分がハンダを用いてブロック電極57に接続及び固定されている。ツェナーダイオード54のアノード電極が、ハンダを用いて、ブロック電極57に接続及び固定されている。そして、ブロック電極57は、ハンダを用いて、リード電極56に接続及び固定されている。なお、リード電極56が、第1整流素子50Aの低電位側の端子に相当する。また、リード電極56と第1MOSFET51A及びツェナーダイオード54との間にブロック電極57を設けたが、第1MOSFET51A及びツェナーダイオード54にリード電極56を直接接続してもよい。
第2整流素子50Bでは、図6に示すように、第2MOSFET51Bのドレイン電極51Dが、ハンダを用いて、リード電極56に接続及び固定されている。ツェナーダイオード54のカソード電極が、ハンダを用いて、リード電極56に接続及び固定されている。なお、リード電極56が、第2整流素子50Bの高電位側の端子に相当する。
一方、ツェナーダイオード54のアノード電極が、ハンダを用いて、ブロック電極57に接続及び固定されている。第2MOSFET51Bのソース電極51Sが、ブロック電極57を介して、接地電位ベース電極55Bに接続及び固定されている。具体的には、第2MOSFET51Bのソース電極51Sのある面のうち、ゲート電極51Gのために電極が狭くなっている領域以外の部分がハンダを用いてブロック電極57に接続及び固定されている。ブロック電極57がゲート電極51Gを避けるように設けられていることで、ゲート電極51Gと制御IC52の接続の妨げになることがない。そして、ブロック電極57は、ハンダを用いて、接地電位ベース電極55Bに接続及び固定されている。なお、接地電位ベース電極55Bが、第2整流素子50Bの低電位側の端子に相当する。
MOSFET51及びツェナーダイオード54とベース電極55及びリード電極56とを上記のように接続することによって、第1整流素子50Aと第2整流素子50Bとでは、MOSFET51の放熱性が異なっている。なぜなら、放熱板41に組み付けられるベース電極55とMOSFET51の接続方法が異なっているからである。具体的には、第1整流素子50Aでは、第1MOSFET51Aが高電位ベース電極55Aに直接接続及び固定されているのに対して、第2整流素子50Bでは、第2MOSFET51Bが接地電位ベース電極55Bにブロック電極57を介して接続及び固定されている。また、ブロック電極57と第2MOSFET51Bとを接続する面積が、ゲート電極51Gの接続のために、MOSFET51の表面積及びドレイン電極51Dの面積よりも小さくなっている。そのため、第1整流素子50Aよりも第2整流素子50Bの方が、MOSFET51の放熱性が下がっている。
ところで、従来のダイオードに比べて、MOSFET51の動作保証温度の最大温度が低くなっている。また、ダイオードと異なり、MOSFET51は自己発熱をほとんどしないため、回転電機本体14に近い位置(フレーム部材20の側)に配されているMOSFET51は、フレーム部材20よりも相対的に低温になる可能性がある。そのため、回転電機本体14及びフレーム部材20の熱が、フレーム部材20に近い側のMOSFET51、つまり第2MOSFET51Bに流れ込み、MOSFET51の動作保証温度を超えるおそれがある。その結果、構造的にMOSFET51の放熱性の低い第2整流素子50Bが、相対的に温度が高いフレーム部材20の側に用いられているため、第2MOSFET51Bの動作保証温度を超えるおそれがある。
なお、n型MOSFETではなく、p型MOSFETを用いれば、MOSFETがベース電極に直接接続されている整流素子をフレーム部材20側に用いることもできる。しかしながら、p型MOSFETは、n型MOSFETに比べてあまり利用されておらず、信頼性が低くなるため、自動車の回転電機に用いるのには、あまり好ましくない。
そこで、本実施形態では、レクチファイヤ40の構造を改良し、第2放熱板41Bの放熱効率を向上させている。以下、レクチファイヤ40の構造について、図2を用いて、詳細に説明する。なお、図2において、同一のものに対して1つのみ符号を示し、他は省略する。
レクチファイヤ40は、第1放熱板41Aと、第2放熱板41Bと、固定子13の固定子巻線18と各整流素子50を接続する接続部材44が設けられた端子台43とを備えている。第1放熱板41Aと第2放熱板41Bには、それぞれ6個の第1整流素子50Aと第2整流素子50Bとが装着孔42に装着されており、2組の3相ステータコイルを持つ回転電機本体14に対応している。
各放熱板41は、伝熱性が高く、かつ導電性の金属板によって形成されている。各放熱板41は、回転電機本体14の回転軸12を避けつつ放熱面積を確保するために、回転軸12を囲う円弧状をなしている。各放熱板41は、周方向の同じ位置が切りかかれた円環状になっている。各放熱板41には、その周方向に整流素子50を装着する装着孔42が並べて設けられている。各装着孔42は、各放熱板41の径方向の幅方向の中心位置に設けられている。各装着孔42は、各放熱板41を板厚方向に貫通する孔であって、各装着孔42に各整流素子50が圧入されている。各装着孔42に各整流素子50が圧入されることで、各ベース電極55が互いに導通した状態となっている。そして、第1放熱板41Aには、その円弧状の端部に出力端子Bが設けられている。一方で、第2放熱板41Bは、フレーム部材20に電気的に接続されることで、接地電位になっている。なお、各装着孔42は、各放熱板41の径方向の幅方向の中心位置に設けられていたが、径方向の幅方向の中心位置からずれた位置に設けられていてもよい。
端子台43は、導電性の接続部材44を一部インサート成型した合成樹脂製の部品であって、第1放熱板41Aと第2放熱板41Bとの間に配されている。端子台43は、その一部が台形状に第1放熱板41Aの外径よりも突出している。この突出した部分に、接続部材44が固定子巻線18と接続する接続部44Aが設けられている。各接続部材44に2つずつ設けられた接続端子45によって、第1整流素子50A及び第2整流素子50Bのリード電極56と接続している。接続部材44は、各相に対応して1つずつ設けられており、合計6個設けられている。接続部材44によって、接続部44Aと各リード電極56を接続するために、同じ相の第1整流素子50Aと第2整流素子50Bとは互いに近接した位置に設けられている。
図6及び図7に示すように、接続端子45は、板状の部材を途中で垂直に折り曲げることで形成されており、リード電極56と接続される接続面45Aと、接続部材44と接続面45Aとを繋ぐ繋ぎ部45Bとを有している。接続面45Aは、リード電極56の外径よりも幅広で、リード電極56に沿っており、リード電極56の先端部に溶接等によって接続されている。
繋ぎ部45Bは、接続面45Aから垂直に折れ曲がっており、放熱板41と平行になっている。繋ぎ部45Bは、平面視台形状になっており、接続部材44側が幅広で、接続面45A側が幅狭になっている。繋ぎ部45Bの中心には、三角形の冷却孔46が板厚方向に貫通する孔として設けられている。冷却孔46に風が通ることで、接続端子45が進入した風によって冷却され、放熱性を上げることができる。特に、第2整流素子50Bと接続される接続端子45とリアカバー25との間に通風の妨げになるものがないことから、より冷却されやすくなる。なお、冷却孔46が「冷却部」に相当する。また、第1整流素子50A側の接続端子45には、冷却孔46を設けなくてもよい。
次に、第1放熱板41Aと第2放熱板41Bとの配置について詳細に説明する。図1及び図2に示すように、第1放熱板41Aと第2放熱板41Bとは、軸線方向に重なる位置に配されている。第1放熱板41Aの第1整流素子50Aの中心位置を通る円O1は、第2放熱板41Bの第2整流素子50Bの中心位置を通る円O2よりも小さく、径方向内側に位置している。また、第2整流素子50Bの中心位置を通る円O2は、第1放熱板41Aの外周円よりも大きくなっている。つまり、第2放熱板41Bは、その一部が第1放熱板41Aよりも径方向外側にはみ出るように配置されている。また、第1放熱板41Aの径方向の幅寸法R1よりも、第2放熱板41Bの径方向の幅寸法R2が大きくなっている。そのため、第1放熱板41Aの表面積よりも第2放熱板41Bの表面積が大きくなっている。
また、第2放熱板41Bにおいて第2整流素子50Bから第2放熱板41Bの外縁までの径方向距離L2が、第1放熱板41Aにおいて第1整流素子50Aから第1放熱板41Aの外縁までの径方向距離L1よりも大きい。ここで、整流素子50から放熱板41の外縁までの径方向距離とは、整流素子50の直径を放熱板41の外縁方向に延ばした線上の距離であって、整流素子50と放熱板41の外縁までの最短距離となっている。第2放熱板41Bにおいて、第1放熱板41Aと重ならない外側部分を拡張することで、第2放熱板41Bが第1放熱板41Aと重ならず、直接風が当って熱を逃しやすい領域を増やすことができる。
第1放熱板41Aは、上記のように、第2放熱板41Bに重ならないように(第2放熱板41Bを隠さないように)、径方向の幅寸法R1を小さくしている。そのため、放熱のための表面積が小さくなっている。そこで、第1放熱板41Aには放熱リブ47を設けている。放熱リブ47は、第1放熱板41Aのリアカバー25側の面と、第1放熱板41Aの外縁部から径方向内側及び径方向外側に突出するように設けられている。放熱リブ47は、第2放熱板41Bと軸線方向に重なる部分にも設けられているが、第2整流素子50Bとはほとんど重ならないようになっている。このように放熱リブ47を設けることで、第1放熱板41Aの外径を大きくする場合に比べて、第2放熱板41Bを重なる面積を減らしつつ、適正なる放熱性を実現できる。また、放熱リブ47が、第2整流素子50Bとは、重ならないようになっていることで、放熱リブ47が第2整流素子50Bの接続に干渉することがなく、また第2整流素子50Bの接続端子45からの放熱の妨げとならないようになっている。
本実施形態では、放熱性の低い第2整流素子50Bを相対的に温度が高いフレーム部材20側に用いていることで、第2MOSFET51Bの動作保証温度を超えるというおそれがあった。そこで、第2放熱板41Bの表面積を第1放熱板41Aの表面積よりも大きくし、第2放熱板41Bに直接風が当るようになっていることで、放熱効率を向上させることができる。そのため、接地電位ベース電極55B側からの放熱を行いやすくしている。また、第2整流素子50Bのリード電極56に接続された接続端子45には、冷却孔46が設けられていることで、接続端子45からも放熱を行うことができることから、リード電極56側からも放熱を行っている。このように、第2整流素子50Bの放熱効率を向上させることで、第2MOSFET51Bを動作保証温度内で正常に利用することができる。また、第1放熱板41Aについても、放熱リブ47を設けることで、表面積が小さいながらも放熱効率を向上させており、第1整流素子50Aからの放熱を適正に行うことができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
回転電機10の整流回路30において、整流素子として、ダイオードに代えてMOSFETを用いる場合には、動作保証温度が下がるため、放熱効率を上げることが重要になる。また、第1整流素子50Aと第2整流素子50Bとでは、各放熱板41の配置と、各整流素子50におけるMOSFET51の配置とに起因して、放熱性が異なっており、第2整流素子50Bの方が、放熱性が低いと考えられる。つまり、第2整流素子50Bが設けられる第2放熱板41Bは接地電位側であり、接地電位となるフレーム部材20との接続の都合上、第1放熱板41Aよりもフレーム部材20の側に設けられる。そのため、第2放熱板41Bは、第1放熱板41Aよりも放熱性が低くなると考えられる。
また、MOSFET51では、一方の面にゲート電極51Gとソース電極51Sが設けられるとともに、他方の面にドレイン電極51Dが設けられている。特にゲート電極51Gとソース電極51Sが設けられる側では、ゲート電極51Gの電気接続エリアの確保のためにブロック電極57が設けられることが考えられる。かかる場合、高電位ベース電極55A上にドレイン電極51Dが設けられる第1整流素子50Aと、接地電位ベース電極55B上にブロック電極57を介してソース電極51Sが設けられる第2整流素子50Bとを比べると、第2整流素子50Bの方が、放熱性が低くなると考えられる。
そこで、本実施形態では、第1放熱板41Aの表面積よりも第2放熱板41Bの表面積が大きくなるようにして、第2放熱板41Bの放熱効率を上げている。このようにすることで、放熱効率の悪い第2整流素子50Bに対しても放熱効率を上げることができる。
回転電機本体14に設けられた回転軸12を避けつつ、放熱のための表面積を確保するために、各放熱板41は、円弧状になっている。そこで、第1放熱板41Aの径方向の幅寸法R1よりも、第2放熱板41Bの径方向の幅寸法R2が大きくなることで、第1放熱板41Aと第2放熱板41Bとが軸線方向に重なる位置に設けられていても、第2放熱板41Bの放熱エリアを確保できる。また、表面積自体も、第1放熱板41Aよりも第2放熱板41Bの方が大きくなる。そのため、第2放熱板41Bの放熱効率を上げることができる。
また、本実施形態では、第1放熱板41Aよりも軸方向内側に配置される第2放熱板41Bにおいて、第1放熱板41Aに重ならない外側部分を拡張することで、第2放熱板41Bでの放熱効率を上げることができる。なお、第1放熱板41Aにおいては、第2放熱板41Bに比べて、第1整流素子50Aから径方向外側の部分が小さくなっているため、第2放熱板41Bに装着される第2整流素子50Bに干渉する等の不都合を抑制できる。
また、本実施形態では、第1放熱板41Aに放熱リブ47を設けている。第1放熱板41Aにより第2放熱板41Bが隠される部分を少なくしつつ、第1放熱板41Aの放熱効率を上げることができる。また、第1放熱板41Aにおいて径方向外側の部分が小さくなっていても、第2整流素子50Bとの干渉を避けつつ適正なる放熱性を実現できる。
第2整流素子50Bは、接地電位ベース電極55Bとは第2MOSFET51Bを挟んで反対側にリード電極56を有している。そして、このリード電極56と接続する接続端子45には、風によって冷却される冷却孔46が設けられており、冷却孔46が風を通して冷却されることで、接続端子45の放熱性を上げることができる。そのため、リード電極56を介して、第2整流素子50Bの熱を接続端子45にも伝えることができ、リード電極56側からも放熱することができる。
<他の実施形態>
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施してもよい。ちなみに、以下の別例の構成を、上記実施形態の構成に対して、個別に適用してもよく、また、任意に組み合わせて適用してもよい。
・上記実施形態では、接続端子45の繋ぎ部45Bを台形状とし、冷却部として三角形の冷却孔46を設ける構成としたが、これを変更してもよい。
図8に示すように、接続端子45の繋ぎ部45Bには、幅方向外側に突出する冷却部48が設けられている。冷却部48の部分では、繋ぎ部45Bが接続面45Aよりも幅方向に大きくなっており、冷却部48に風が当たりやすくなるため、接続端子45の放熱効率を向上させることができる。
・上記実施形態では、放熱板41は円弧状をしていたが、矩形状等他の形状であってもよい。