JP2019116471A - 歯科用樹脂組成物及びそれらからなる歯科切削加工用レジン系ブロック - Google Patents

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拓也 鈴木
秀樹 風間
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Abstract

【課題】 高強度で口腔内での摩耗に耐えうる表面硬度の高く、かつ、審美的な歯科用樹脂組成物を提供すること。【解決手段】 樹脂マトリックス、樹脂マトリックス100質量部に対して、25質量部〜1000質量部の無機充填材を含んでなる歯科用樹脂組成物であり、該歯科用樹脂組成物の樹脂マトリックスが、ポリウレタンよりなり、前記無機充填材が0.001〜100μmの平均粒径を有する歯科用樹脂組成物、該歯科用樹脂組成物の製造方法、及び該歯科用樹脂組成物からなる歯科切削加工用レジン系ブロックである。【選択図】 なし

Description

本発明は、切削加工によって歯科用補綴物を作製するための歯科切削加工用レジン系ブロックに好適に用いることができる歯科用樹脂組成物に関する。
歯科治療において、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、インプラント上部構造などの歯科用補綴物を作製する一手法として、歯科用CAD/CAMシステムを用いて切削加工する方法がある。歯科用CAD/CAMシステムとは、コンピュータを利用し三次元座標データに基づいて歯科用補綴物の設計を行い、切削加工機などを用いて歯冠修復物を作成するシステムである。切削加工用材料としては、ガラスセラミックス、ジルコニア、チタン、レジンなど様々な材料が用いられる。歯科切削加工用レジン系材料としては、シリカ等の無機充填材、メタクリレート樹脂などの重合性単量体、重合開始剤等を含有する硬化性組成物を硬化させることで得られる、ブロック形状、ディスク形状などの硬化物が提供されている。歯科切削加工用レジン系材料は、その作業性の高さ、審美性、強度の観点から関心が高まっている。
このような歯科切削加工用レジン系材料は、歯冠部で適用されており、大臼歯やブリッジとして使用される場合、より高強度が求められる。しかしながら、現在の歯科切削加工用レジン材料は、(メタ)アクリル樹脂がベースとなっており、その強度に限界がある。例えば特許文献1には、(メタ)アクリル系重合性単量体15〜70重量部、0.9μm及び5〜7μmのシリカ系充填材30〜85重量部と触媒等を配合した歯科切削加工用レジン材料が開示されているが、その曲げ強さは、十分ではない。
特許文献2には、ミルブランクとして用いられるポリアミドからなる歯科用組成物が開示されている。しかしながら、ポリアミドは不透明であるため、歯科治療に用いるにあたり、審美性が不十分であった。また、切削加工性に劣る、といった課題があった。
一方で、ポリウレタン樹脂は、一般的に高強度を有することが知られている。例えば、特許文献3には、ノルボルナン骨格を有するイソシアネート、及び、1分子中に2個以上のヒドロキシ基、あるいは、チオール基を有するポリオール、あるいは、ポリチオールからなるポリウレタン樹脂が開示されている。
特開2016−13997号 特開2017−48121号 特開2007−191598号
本発明の課題は、高強度で口腔内での摩耗に耐えうる表面硬度の高く、かつ、審美的な歯科用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、種々検討を行った結果、ポリウレタン樹脂には表面の樹脂硬度が柔らかく、口腔内歯牙との摩耗に耐えうる強度を有さない。また、樹脂の焼きつき等が起こりやすく、切削加工性や研磨性に劣る、といった課題があることが分かった。前記課題を解決するため、種々検討を行った結果、ポリウレタンマトリックスに無機充填材を配合することで、より高強度かつ表面硬度が高く、かつ、審美性に優れた歯科用樹脂組成物を提供することが可能であることを見出した。
すなわち本発明は、樹脂マトリックス100質量部に対して、25質量部〜1000質量部の無機充填材を含んでなる歯科用樹脂組成物あり、該歯科用樹脂組成物の樹脂マトリックスが、ポリウレタンよりなり、前記無機充填材が0.001〜100μmの平均粒径を有する、歯科用樹脂組成物である。
前記樹脂マトリックスを構成するポリウレタンは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を含むイソシアネート化合物と1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有するポリオール化合物又は1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物との重付加により生成されたポリウレタンであることが好ましい。
前記の無機充填材は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、又はそれらの複合物であることが好ましい。
また、他の本発明は、イソシアネート化合物とポリオール化合物又はポリチオール化合物とを別々に含有する組成物とし、該組成物の一方、もしくは、両方に無機充填材を配合し、イソシアネート化合物を含む組成物(a)及びポリオール化合物又はポリチオール化合物を含む組成物(b)を調製した後に、該組成物(a)及び(b)を混合し、硬化性組成物を調製し、反応させる前記歯科用樹脂組成物の製造方法である。
また、前記歯科用樹脂組成物からなる、歯科切削加工用レジン系ブロックである。
本発明の歯科用樹脂組成物は、高強度かつ口腔内での摩耗に耐えうる表面硬度の高いものであり、かつ、透明性が高いものであって、本発明の歯科用樹脂組成物からなる歯科切削加工用レジン系ブロックは、高強度かつ口腔内での摩耗に耐え得、かつ、審美的な歯科用補綴物作製が可能となる。更に、本発明の歯科用樹脂組成物は切削加工性にも優れ、本発明の歯科用樹脂組成物からなる歯科切削加工用レジン系ブロックは、容易に歯科用補綴物作製が可能である。
本発明の歯科用樹脂組成物は、高強度かつ口腔内での摩耗に耐えうる表面硬度の高いものであり、かつ、透明性が高い歯科用樹脂組成物であって、ポリウレタンからなる樹脂マトリックスと無機充填材とを含んでなる。
本発明の樹脂組成物の一成分である樹脂マトリックスは、重付加により生成されるポリウレタンよりなり、該ポリウレタンは、イソシアネート化合物と、ポリオール化合物又はポリチオール化合物とから重付加により生成される。
(A)イソシアネート化合物
本発明において、イソシアネート化合物は1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、該イソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを自由に組み合わせて用いることができる。当該イソシアネート化合物を具体的に例示すると、次に示すものが挙げられる。
(A1)2官能イソシアネート化合物
1,3−ビス(2−イソシアナト−2−プロピル)ベンゼン、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4‘−ジイソシアン酸メチレンジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4‘−ジイソシアナトビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3‘−ジメチルビフェニル、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジイソシアン酸イソホロン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、ジイソシアン酸1,3−フェニレン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
(A2)3官能以上のイソシアネート化合物
リジントリイソシアネート、4,4‘,4’‘−メチリジントリス(イソシアナトベンゼン)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどを挙げることができる。
なお、上記のイソシアネート化合物は、すべて単独で、もしくは組み合わせて使用することができる。
(B)ポリオール化合物又はポリチオール化合物
ポリオール化合物又はポリチオール化合物としては、1分子中に2個以上のヒドロキシ基、あるいは、チオール基を有する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを自由に組み合わせて用いることができる。当該ポリオール化合物、あるいは、ポリチオール化合物を具体的に例示すると、次に示すものが挙げられる。
(B1)2官能ポリオール化合物
α,ω−アルカンジオール(エチレングリコール、1,3−プロパンジオール等)、1,2−プロパンジオール、1,3−アダマンタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−ブテン1,4−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3−ビス(ヘキサフルオロ−α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、ビス[3,5−ジブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、4,4‘−ビシクロヘキサノール、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、1,8−ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、2−ベンジルオキシ−1,3−プロパンジオール、4,4‘−ビフェニルジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、3,7−ジチア−1,9−ノナンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,2−ベンゼンジメタノール、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールやポリテトラメチレングリコールといったポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールやポリ1,6−ヘキサメチレンアジピン酸ジオールなどのポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。
(B2)2官能ポリチオール化合物
α,ω−アルカンジチオール(1,4−ブタンジチオール、1,10−デカンジチオール等)、2,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジオールビス(チオグリコラート)、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、3,7−ジチア−1,9−ノナンジチオール、エチレンビス(チオグリコラート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオナート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどを挙げることができる。
(B3)3官能ポリオール化合物
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリメチロールプロパンエトキシレート、グリセロールトリプロポキシレート、1,3,5−アダマンタントリオール、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)などを挙げることができる。
(B4)3官能ポリチオール化合物
トリメチロールプロパントリス(チオグリコラート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオナート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどを挙げることができる。
(B5)4官能以上のポリオール化合物
ペンタエリトリトール、ジトリメチロールエタン、ペンタエリトリトールエトキシレート、ペンタエリトリトールプロポキシレート、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトールなどの糖アルコール類、スクロースなどの糖類、ヒドロキシ基含有ポリロタキサンなどを挙げることができる。
(B6)4官能以上のポリチオール化合物
ペンタエリトリトールテトラ(3−メルカプトプロピオナート)、ペンタエリトリトールテトラキス(メルカプトアセタート)、ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオナート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)などを挙げることができる。
なお、上記のポリオール化合物又はポリチオール化合物は、すべて夫々を単独で、もしくは組み合わせて又は互いに組み合わせて使用することができる。ポリオール化合物とポリチオール化合物とを組み合わせて使用すると本発明の歯科用樹脂組成物の屈折率を容易に調整することができ、透明性を調整することができる。
上記のポリオール化合物又は、ポリチオール化合物は、臭気の観点から、ポリオール化合物を用いることが好ましい。
前記イソシアネート化合物、及び、ポリオール化合物又はポリチオール化合物は、取り扱いの容易さから、単独、あるいは、混合したときに常温常圧で液体である方が好ましい。
単独で液体である具体的な(A)イソシアネート化合物としては、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジイソシアン酸イソホロン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどを挙げることができる。
単独で液体である具体的な(B)ポリオール化合物又はポリチオール化合物としては、1,2−プロパンジオール、1,3−アダマンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、数平均分子量1000以下のポリエーテルポリオール、数平均分子量1000以下のポリエステルポリオール、数平均分子量800以下のポリカーボネートジオール、エチレンビス(チオグリコラート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオナート)、グリセリン、トリメチロールプロパンエトキシレート、グリセロールトリプロポキシレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコラート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオナート)、ペンタエリトリトールエトキシレート、ペンタエリトリトールプロポキシレート、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオナート)などを挙げることができる。
(A)イソシアネート化合物と、(B)ポリオール化合物又はポリチオール化合物の使用割合は、(A)イソシアネート化合物中のイソシアネート基の平均官能基数をA、イソシアネート化合物のモル数をCモル、(B)ポリオール化合物又はポリチオール化合物のヒドロキシ基、あるいは、チオール基の平均官能基数をB、ポリオール化合物又はポリチオール化合物のモル数をDモルとしたとき、(A×C)/(B×D)が、通常0.5〜3.0の範囲内、好ましくは0.5〜2.0の範囲内、より好ましくは0.5〜1.5の範囲内である。
前記イソシアネート化合物、及び、ポリオール化合物又はポリチオール化合物は、取り扱いを容易にする、硬化時の収縮を低減する目的で、あらかじめ反応させ、プレポリマー化してもよい。
前記イソシアネート化合物、及び、ポリオール化合物又はポリチオール化合物は、歯科用樹脂組成物の強度を十分なものとするために、反応後のポリウレタン中に化学架橋の構造を有するものが好ましい。つまり、前記イソシアネート化合物中の1分子あたりのイソシアネート基の平均官能基数をA、ポリオール化合物又はポリチオール化合物の1分子あたりのヒドロキシ基、あるいは、チオール基の平均官能基数をBとしたとき、(A+B)/2≧2.5であることが好ましく、(A+B)/2≧3.0であることがより好ましい。
(C)単官能のイソシアネート化合物、アルコール化合物、チオール化合物
また、反応後の樹脂組成物に機能性を付与する目的で単官能のイソシアネート化合物、及び、アルコール化合物、あるいは、チオール化合物を添加することも可能である。ただし、樹脂組成物の強度の観点から、その添加量は各化合物中の10質量%以下であることが好ましい。当該イソシアネート化合物、アルコール、あるいは、チオール化合物を具体的に例示すると、次に示すものが挙げられる。
(C1)イソシアネート化合物
2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、2−イソシアナトジエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなどを挙げることができる。
(C2)アルコール化合物
ヒドロキエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
(C3)チオール化合物
メルカプトエチル(メタ)アクリレート、メルカプトエチル(メタ)アクリルアミド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
また、前記イソシアネート化合物、及び、ポリオール化合物又はポリチオール化合物による化学架橋の構造をより密にすることが好ましい。つまり、官能基あたりの分子量が小さい方が好ましい。前記イソシアネート化合物の平均分子量をM1、ポリオール化合物又はポリチオール化合物の平均分子量をM2としたとき、M1/A<200、かつ、M2/B<300であることが好ましく、M1/A<100、かつ、M2/B<200であることがより好ましい。
無機充填材は、本発明の歯科用樹脂組成物の機械的強度の向上、耐摩耗性の向上、などの観点から配合される。該充填材としては、無機粒子などの無機充填材を用いる。
こうした無機充填材としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、あるいは、それらの複合物、ガラスのような無機粒子からなることが好ましい。該無機充填材として、無機塩(例えば、炭酸カルシウムなど)を用いた場合、口腔内環境において溶解の虞があり、本発明の歯科用樹脂組成物として好ましくない。無機充填材は、有機無機複合粒子として配合されていてもよい。ここでいう有機無機複合粒子とは、前記の無機粒子と有機樹脂とを複合化して得られる材料である。
無機粒子として、具体的には、非晶質シリカ、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−ジルコニア、石英、アルミナなどの球形状粒子あるいは不定形状粒子を挙げることができる。
有機無機複合粒子に用いられる有機樹脂は、公知のものを制限なく用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステルなどが挙げられるが、強度、及び、審美性の観点から、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂であることが好ましい。
本発明における無機充填材の屈折率は、審美性の観点から、樹脂マトリックスであるポリウレタンの屈折率と近い方が好ましい。具体的には、無機充填材の屈折率が1.2〜1.8であることが好ましく、1.4〜1.6であることがより好ましい。具体的な無機充填材としては、非晶質シリカ、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−ジルコニア、石英などを挙げることができる。歯科用樹脂組成物の透明性の調整は、顔料、具体的には、亜鉛華、酸化チタンなどの白色顔料の配合によって、不透明に調整することができる。そのため、顔料が未配合の状態で透明であることは、所望の透明性に自由に調整することができ、審美性に優れた補綴物を得ることができる。また、歯科用樹脂組成物の透明性の好ましい範囲としては、0.1〜0.6の範囲、より好ましくは0.2〜0.5の範囲であれば、透明であるエナメル質及び比較的不透明である象牙質の二層を一つの硬化性組成物から表現する範囲での調整が可能となり審美性に優れる補綴物を得ることができる。
無機充填材の形状は、耐摩耗性、表面滑沢性、光沢持続性に特に優れた樹脂組成物が得られることから、球形状であるのが、特に好適に用いられる。ここでいう球形状とは、走査型や透過型の電子顕微鏡の撮影像の画像解析において求められる平均均斉度が0.6以上であることを意味する。平均均斉度は0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。平均均斉度は走査型や透過型の電子顕微鏡の撮影像の画像解析において、粒子の数(n)、粒子の最大径である長径(Li)、該長径に直行する径である短径(Bi)を求め、下記式により算出した。
Figure 2019116471
これらの値を算出する場合、測定精度を保つためには少なくとも40個以上の粒子を測定する必要があり、100個以上の粒子について測定することが望ましい。
該充填材の平均粒子径は、耐摩耗性、表面滑沢性、光沢持続性の観点から0.001〜100μmであることが好ましく、0.01〜20μmであることがより好ましい。
該充填材は、イソシアネート化合物、及び、ポリオール化合物又はポリチオール化合物のマトリックスとのなじみをよくし、機械的強度や耐水性を向上させるために、表面処理を行った方が好適である。表面処理剤としては、一般的にシランカップリング剤が用いられ、特にシリカをベースとする無機粒子系の充填材においてはシランカップリング剤による表面処理の効果が高い。表面処理の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが好適に用いられる。上記シランカップリング剤は、1種類あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の実施の形態において、充填材の配合量は、樹脂マトリックス100質量部に対して25〜1000質量部の割合であり、好ましくは60〜600質量部の割合で使用される。
本発明の歯科用樹脂組成物は、前記無機充填材以外の充填材を目的に応じて含んでいても良い。具体的には、ポリメチルメタクリレート粒子やポリエチルメタクリレート粒子、ハイパーブランチポリマーなどの有機粒子、セルロースファイバーやカーボンナノファイバーなどの有機繊維などが挙げられる。
本発明の歯科用樹脂組成物は、更に他の任意の成分を含有する事が出来る。例えば、蛍光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、抗菌材、X線造影剤などが挙げられる。
本発明の歯科用樹脂組成物の製造方法においては、注型重合を用いることが好適である。具体的には、イソシアネート化合物、ポリオール化合物又はポリチオール化合物、及び、無機充填材を含んでなる硬化性組成物を調製するステップ、該硬化性組成物を成形型に注型した後、重合硬化するステップ、を少なくとも含んでなる。
硬化性組成物を調製するステップにおいては、あらかじめイソシアネート化合物、ポリオール化合物及びポリチオール化合物を混合させた後に、無機充填材を配合して硬化性組成物を調製する方法(方法1)を用いても良いし、イソシアネート化合物とポリオール化合物又はポリチオール化合物とを別々に含有する組成物とし、該組成物の一方、もしくは、両方に無機充填材を配合し、イソシアネート化合物を含む組成物(a)及びポリオール化合物又はポリチオール化合物を含む組成物(b)を調製した後に、該組成物(a)及び(b)を混合して硬化性組成物を調製する方法(方法2)を用いてもよい。イソシアネート化合物、及びポリオール化合物又はポリチオール化合物の反応性の観点から、方法2を用いることが好ましい。
方法1においては、イソシアネート化合物、及びポリオール化合物又はポリチオール化合物を混合させるステップにおいて、前記イソシアネート化合物中のイソシアネート基の平均官能基数をA、ポリオール化合物又はポリチオール化合物のヒドロキシ基、あるいは、チオール基の平均官能基数をB、イソシアネート化合物のモル数をCモル、アルコール、あるいは、チオール化合物のモル数をDモルとしたとき、(A×C)/(B×D)は、0.5〜2.0の範囲であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましい。
あらかじめイソシアネート化合物、ポリオール化合物又はポリチオール化合物を混合させる方法は特に限定されず、イソシアネート化合物、ポリオール化合物又はポリチオール化合物を加え、均一に混合するまでマグネチックスターラー、撹拌羽、遠心混合機などを用いて、撹拌混合する方法等が用いられる。得られた混合物に無機充填材を配合して硬化性組成物とする方法も同様に特に限定されないが、混合したイソシアネート化合物、ポリオール化合物又はポリチオール化合物に無機充填材を加え、ライカイ機、プラネタリーミキサー、遠心混合機等を用いて混合し、硬化性組成物を調製すればよい。このようにして調製された硬化性組成物は、重合硬化する前に、内部に含まれる気泡を脱泡処理で無くす事が好ましい。脱泡の方法としては公知の方法が用いられ、加圧脱泡、真空脱泡、遠心脱泡等の方法を任意に用いることができる。
方法2においては、イソシアネート化合物を含む組成物(a)中のイソシアネート基の平均官能基数をA、ポリオール化合物又はポリチオール化合物を含む組成物(b)中のヒドロキシ基又はチオール基の平均官能基数をB、イソシアネート化合物を含む組成物(a)中のイソシアネート基のモル数をC、ポリオール化合物又はポリチオール化合物を含む組成物(b)中のヒドロキシ基又はチオール基のモル数をDモルとしたとき、(A×C)/(B×D)は、0.5〜2.0の範囲であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましい。
イソシアネート化合物、ポリオール化合物又はポリチオール化合物に無機充填材を混合させる方法は制限されず、ライカイ機、プラネタリーミキサー、遠心混合機等を用いて混合し、組成物(a)、(b)を調製してよい。このようにして調製された組成物(a)及び(b)は、両者を混合する前に、内部に含まれる気泡を脱泡処理で無くす事が好ましい。脱泡の方法としては公知の方法が用いられ、加圧脱泡、真空脱泡、遠心脱泡等の方法を任意に用いることができる。
イソシアネート化合物を含む組成物(a)、及び、ポリオール化合物又はポリチオール化合物を含む組成物(b)においては、混合のステップにおいて均一に混合させることを目的として、組成物(a)及び(b)の粘度を近づけておくことが好ましい。組成物(a)及び(b)の粘度を近づけやすく、これらを均一に混合させることができるようになることから、イソシアネート化合物を含む組成物(a)とポリオール化合物又はポリチオール化合物を含む組成物(b)との両者に無機充填材を配合することが、好ましい。
イソシアネート化合物を含む組成物(a)とポリオール化合物又はポリチオール化合物を含む組成物(b)とを混合して硬化性組成物を調製する方法としては、特に制限は無いが、気泡の混入等を防ぐために、スタティックミキサー等の混合装置を用いることが好ましい。
本発明においては、前記で得られた硬化性組成物を所望の形状に重合硬化するために、成形型に充填した後、重合硬化を行う注型重合とするのが好ましい。所望の形状を有した成形型を準備し、この内部に前記硬化性組成物を充填し、重合硬化してもよいし、所望より大きいサイズを有する型に充填して重合硬化してバルク体を製造しておき、所望の形状となるように抜き打ち加工や切削加工等を行ってもよい。成形型の形状についても同様に、角柱、円柱、角板、円板状であってよく、特に制限はない。
該硬化性組成物を重合硬化する場合、加熱硬化させることで、歯科用樹脂組成物を得てもよい。また、硬化性組成物には重合触媒を添加しておいてもよい。重合触媒としては、ポリウレタンを重付加により製造するための公知の重合触媒を特に限定されず、用いることができる。具体的には、ジブチル錫ラウリレートのような錫触媒、トリエチレンジアミンのようなアミン触媒などが挙げられる。これら重合触媒は、単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。方法2においては、重合触媒は組成物(a)及び(b)の何れに添加してもよく、両者に添加しておいてもよい。
本発明の歯科用樹脂組成物を製造するための硬化性組成物は、イソシアネート基とヒドロキシ基、あるいは、チオール基が反応する際に発熱を生じるために、重合硬化時には、硬化温度を制御することが好ましい。また、反応を十分進行させる目的から、80℃以上で加熱することが好ましい。
重合硬化するステップにおいては、本発明の歯科用樹脂組成物中の気泡の発生を抑制するために、加圧しても良い。加圧の方法に制限はなく、機械的に加圧しても良いし、窒素等の気体による加圧を行っても良い。
前記の加熱重合工程の後に、任意の後工程を行ってもよい。例えば、得られた歯科用樹脂組成物の残留応力を緩和させるための熱処理、必要とする形状やより使いやすい形状に修正するための切削加工、研磨などの処理を行うこともできる。
このようにして作製された歯科用樹脂組成物は、必要に応じて、CAD/CAM装置に保持するためのピン等の固定具を接合し、歯科切削加工用レジン系ブロックとして供する事ができる。これをCAD/CAM装置に接続して、設計に基づいて切削を行うことで、歯冠修復物を得る事ができる。
以下に本発明に関する実施例と比較例を示すが、本発明は該実施例に限定されるものではない。
後述する実施例、比較例のサンプルについての曲げ強さ評価、表面硬度評価、切削加工性評価、及び、透明性評価は、以下の通りである。
1.曲げ強さ評価
後述の方法で得られた歯科用樹脂組成物を低速のダイヤモンドカッター(Buehler社製)で切り出し、#800の耐水研磨紙を用いて、1.0mm×3.0mm×18mmの角柱状に整えることで試験片を得た。前記試験片をオートグラフ(島津製作所製)に装着し、支点間距離14mm、クロスヘッドスピード1mm/minの条件で3点曲げ試験を行った。
曲げ強さσは以下に示す式(1)により算出した。なお、前記試験片は実施例および比較例ごとに10本作製し、その平均値を歯科用樹脂組成物の曲げ強さとした。これら歯科用樹脂組成物の曲げ強さを後掲表2に示す。
σ=3PS/2WB 式(1)
P:最大点の曲げ荷重(N)、S:支点間距離(14mm)、W:幅(3.0mm)、B:厚さ(1.0mm)
2.表面硬度評価
後述の方法で得られた歯科用樹脂組成物を低速のダイヤモンドカッター(Buehler社製)で切り出し、#1500の耐水研磨紙、0.3μmアルミナ粒子での研磨を行い、12mm×14mm×1.0mmの角柱状に整えることで試験片を得た。そして、微小硬度計(MHT−1、松沢精機製)を用いて、100gf、30秒の荷重条件でできたくぼみの対角点長さ(d)を測定し、前記試験片の表面硬度を求めた。表面硬度Hvは下式(2)を用いて求めた。これら歯科用樹脂組成物の表面硬度を後掲表2に示す。
Hv=1854.37×100/d 式(2)
3.切削加工性評価
後述の方法で得られた歯科用樹脂組成物を低速のダイヤモンドカッター(Buehler社製)に、12mm×14mmの面を切断できるように設置した。このとき200gfの荷重をかけて切り出し、切断が完了するまでの時間を評価した。得られた加工時間を切削加工性とした。これら歯科用樹脂組成物の切削加工性を後掲表2に示す。
4.透明性評価
後述の方法で得られた歯科用樹脂組成物を低速のダイヤモンドカッター(Buehler社製)で切り出し、#1500の耐水研磨紙、0.3μmアルミナ粒子での研磨を行い、12mm×14mm×1.0mmの角柱状に整えることで試験片を得た。得られた試験片を色差計(東京電色製、TC−1800MKII)を用いて、三刺激値のY値を背景色黒及び白で測定した。下式(3)の値を透明性とした。これら歯科用樹脂組成物の透明性を後掲表2に示す。
透明性=背景色黒の場合のY値/背景色白の場合のY値 式(3)
<歯科用樹脂組成物>
1.イソシアネート化合物
TDI:トリレンジイソシアネート(2,4−約80%,2,6−約20%)(分子量=174、官能基数2)
XDI:m−キシリレンジイソシアネート(分子量=188、官能基数2)
2.ポリアルコール化合物又はポリチオール化合物
GTP:グリセロールトリプロポキシレート(平均分子量=266、官能基数3)
PETP:ペンタエリトリトールプロポキシレート(平均分子量=426、官能基数4)
PEMA:ペンタエリトリトールテトラキス(メルカプトアセタート)(分子量=432、官能基数4)
3.無機充填材
F1:シリカ−ジルコニア(球状 平均粒径0.2μm、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物、平均均斉度0.94)
F2:シリカ−ジルコニア(球状 平均粒径0.2μm、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物、平均均斉度0.94)
4.メタクリル系重合性単量体及び重合触媒
UDMA:1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)−2,2−4−トリメチルヘキサン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
BPO:ベンゾイルパーオキサイド
(実施例1)
TDIを240g、F1を160g、プラネタリーミキサー(井上製作所製)に投入、混練し、組成物(a)を得た。同様に、GTPを240g、F1を160g、プラネタリーミキサー(井上製作所製)に投入、混練し、組成物(b)を得た。得られた各組成物をデシケーターに入れ、60分間減圧し、組成物中の気泡を除去した。そして、混合用のカートリッジ(CDA、MIXPAC社製)に充填した。ミキサーシリンジ(MA4.0−17S、MIXPAC社製)を取り付け、押し出しながら、前記組成物(a)及び(b)が混合された硬化性組成物を縦12×横18×厚さ14(mm)の金型に充填した後、23℃にて窒素加圧下(0.3MPa)で1時間静置した。その後、加圧したまま150℃まで20時間かけて昇温し、6時間保持した。その後、金型より取り出し、歯科用樹脂組成物を得た。得られた歯科用樹脂組成物の曲げ強さ、表面硬度、切削加工性、透明性を表2に示した。
(実施例2〜4)
表1に記載した組成の硬化性組成物を用いて行うこと以外は、実施例1と同様の方法で作製した。得られた歯科用樹脂組成物の曲げ強さ、表面硬度、切削加工性、透明性を表2に示した。
(比較例1)
重合性単量体UDMAを180g、3Gを60g混合した。次に、熱重合開始剤BPOを2.4g添加し、撹拌後、溶液1を得た。そして、溶液1を240g、F2を160g、プラネタリーミキサー(井上製作所)に投入、混練し、硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物をデシケーターに入れ、60分間減圧し、硬化性組成物中の気泡を除去した。そして、前記硬化性組成物を縦12×横18×厚さ14(mm)の金型に充填した後、23℃にて窒素加圧下(0.3MPa)で1時間静置した。その後、加圧したまま150℃まで20時間かけて昇温し、6時間保持した。その後、金型より取り出し、歯科用樹脂組成物を得た。得られた歯科用樹脂組成物の曲げ強さ、表面硬度、切削加工性、透明性を表2に示した。
(比較例2)
TDIを10g、GTPを10g、マグネチックスターラーにより混合した後、縦12×横18×厚さ14(mm)の金型に充填した。23℃にて窒素加圧下(0.3MPa)で1時間静置した後、加圧したまま150℃まで20時間かけて昇温し、6時間保持した。その後、金型より取り出し、歯科用樹脂組成物を得た。得られた歯科用樹脂組成物の曲げ強さ、表面硬度、切削加工性、透明性を表2に示した。







Figure 2019116471
Figure 2019116471
実施例1〜4と比較例1の比較から、ポリウレタン樹脂からなる歯科用樹脂組成物はメタクリル樹脂からなる歯科用組成物より高い曲げ強さを有し、同等の透明性を有することが分かる。実施例1〜4と比較例2の比較から、無機充填材を配合することで表面硬度と切削加工性が向上していることがわかる。実施例1と2の比較から、無機充填率が高い方が、表面硬度が高く、切削加工性に優れることが分かる。実施例1と実施例3、4の比較から、(A+B)/2が大きい方が、曲げ強さが高いことが分かる。
本発明により、より高強度かつ口腔内の摩耗に耐え、なおかつ、切削加工性に優れる透明な材料として、ポリウレタン樹脂からなる歯科用樹脂組成物は、歯科切削加工用レジン系ブロックとして、好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 樹脂マトリックス、樹脂マトリックス100質量部に対して、25質量部〜1000質量部の無機充填材を含んでなる歯科用樹脂組成物であり、該歯科用樹脂組成物の樹脂マトリックスが、ポリウレタンよりなり、前記無機充填材が0.001〜100μmの平均粒径を有する、歯科用樹脂組成物。
  2. 前記樹脂マトリックスを構成するポリウレタンが、1分子中に2個以上のイソシアネート基を含むイソシアネート化合物と1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有するポリオール化合物又は1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物との重付加により生成されたポリウレタンである請求項1記載の歯科用樹脂組成物。
  3. 請求項1記載の無機充填材がシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、又はそれらの複合物からなる請求項1記載の歯科用樹脂組成物。
  4. イソシアネート化合物とポリオール化合物又はポリチオール化合物とを別々に含有する組成物とし、該組成物の一方、もしくは、両方に無機充填材を配合し、イソシアネート化合物を含む組成物(a)及びポリオール化合物又はポリチオール化合物を含む組成物(b)を調製した後に、該組成物(a)及び(b)を混合し、硬化性組成物を調製し、反応させる請求項1記載の歯科用樹脂組成物の製造方法。
  5. 請求項1記載の歯科用樹脂組成物からなる、歯科切削加工用レジン系ブロック。
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