JP2019097731A - 発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】3次元曲面形状の部位に筒状開口部を形成する場合において、意匠面にしわが発生することを抑制できる発泡成形体を提供する。【解決手段】袋状の表皮体10は、3次元曲面形状に形成された第一表皮片11と、3次元曲面形状に形成され、第一表皮片11に隣接して配置され、第一表皮片11との境界に筒状開口部17における外開口17aを形成する第二表皮片12と、第一表皮片11と別体に形成され、第一表皮片11に接続され、筒状開口部17の一部を構成し、第一表皮片11から表皮体10の内部に折り込まれるように形成された第一端末片15と、第二表皮片12と別体に形成され、第二表皮片12に接続され、筒状開口部17の他の一部を構成し、第二表皮片12から表皮体10の内部に折り込まれ、第一端末片15に対向して配置される第二端末片16とを備える。【選択図】図2
Description
本発明は、発泡成形体に関するものである。
特許文献1,2に記載されているように、ヘッドレストやアームレスト等の発泡成形体は、袋状の表皮体と、表皮体における筒状開口部から注入された発泡部材とを一体とすることにより成形されている。特許文献1においては、袋状の表皮体における筒状開口部が、表皮材料の端縁を内向きに折り曲げることにより、対向させた一対の折り込み部分の間に形成されている。特許文献2においては、ヘッドレストが逆U字形状に形成されており、逆U字形状の両端の平面部分に、筒状開口部が形成されている。
ここで、発泡成形体の表面が意匠面を形成する場合において、意匠面にしわが残ることを抑制することが求められる。特許文献1,2において、筒状開口部は、何れも、平面形状の部位に形成されている。平面形状の部位に筒状開口部を形成する場合において、表皮材料の端縁を内向きに折り曲げることにより筒状開口部を形成したとしても、意匠面にしわが発生することを抑制できる。
また、発泡成形体の意匠面は多種多様である。そのため、筒状開口部を平面形状の部位以外の3次元曲面形状の部位に形成することが求められる場合がある。例えば、逆U字形状のヘッドレストにおいて逆U字形状の中央の凹状部位に筒状開口部を形成する場合や、平面形状の部位を有しない発泡成形体に筒状開口部を形成する場合等が存在する。しかし、3次元曲面形状の部位に、表皮材料の端縁を内側に折り曲げることにより筒状開口部を形成すると、意匠面にしわが発生する。
さらに、発泡成形体は、表皮体の意匠面を内側にした状態で縫製により一体化し、その後に裏返して表皮体の意匠面を外側に向ける。このとき、表皮体の筒状開口部が大きいほど、裏返しの作業性が良好となる。また、例えば、ヘッドレストにおいて、ステーの一部分が袋状の表皮体の内部に入れ込まれる。このとき、表皮体の筒状開口部が大きいほど、作業性が良好となる。そのため、表皮体の筒状開口部は大きいことが求められる。しかし、筒状開口部を大きくするためには、筒状開口部が形成される部位が平面形状の部位以外の3次元曲面形状の部位に形成しなければならない場合がある。つまり、筒状開口部を大きくするためには、3次元曲面形状の部位に形成することになり、結果として、しわが発生する可能性がある。
また、ヘッドレストの内部に、ステー以外の埋設部材が入れ込まれることがある。例えば、ヘッドレストの内部には、埋設部材として、頭部保護のための樹脂部材等が入れ込まれることがある。埋設部材を発泡成形体の内部に入れ込むには、当該埋設部材を入れ込むことが可能な大きさの開口が必要となる。この場合も、上記同様の問題が生じる。
本発明は、3次元曲面形状の部位に筒状開口部を形成する場合において、意匠面にしわが発生することを抑制できる発泡成形体を提供することを目的とする。
本発明に係る発泡成形体は、筒状開口部を有する袋状の表皮体と、前記筒状開口部から前記表皮体の内部に注入された発泡部材と、を備える。前記表皮体は、3次元曲面形状に形成された第一表皮片と、3次元曲面形状に形成され、前記第一表皮片に隣接して配置され、前記第一表皮片との境界に前記筒状開口部における外開口を形成する第二表皮片と、前記第一表皮片と別体に形成され、前記第一表皮片に接続され、前記筒状開口部の一部を構成し、前記第一表皮片から前記表皮体の内部に折り込まれるように形成された第一端末片と、前記第二表皮片と別体に形成され、前記第二表皮片に接続され、前記筒状開口部の他の一部を構成し、前記第二表皮片から前記表皮体の内部に折り込まれ、前記第一端末片に対向して配置される第二端末片と、を備える。
本発明によれば、筒状開口部は、第一端末片と第二端末片とにより構成されている。第一端末片は、第一表皮片とは別体に形成された上で、第一表皮片に接続されている。つまり、第一端末片は、第一表皮片を形成する材料の一部分を折り曲げて形成されるものではない。そのため、第一表皮片が3次元曲面形状に形成されているとしても、第一端末片が第一表皮片に接続された状態において、第一表皮片にしわが発生することが抑制される。
また、第二表皮片と第二端末片との関係も、第一表皮片と第一端末片との関係と同様である。すなわち、第二端末片は、第二表皮片とは別体に形成された上で、第二表皮片に接続されている。つまり、第二端末片は、第二表皮片を形成する材料の一部分を折り曲げて形成されるものではない。そのため、第二表皮片が3次元曲面形状に形成されているとしても、第二端末片が第二表皮片に接続された状態において、第二表皮片にしわが発生することが抑制される。
従って、第一表皮片と第二表皮片とによって形成される3次元曲面形状の部位に、筒状開口部の外開口が形成される場合において、第一表皮片と第二表皮片とにしわが発生することが抑制される。つまり、筒状開口部は、任意の位置に任意の大きさで形成することができる。従って、発泡成形体の内部に部材を入れ込む場合には、当該部材の大きさに応じて、筒状開口部の大きさを設定することができる。筒状開口部を大きくすることができるため、確実に当該部材を入れ込むことができると共に、裏返し作業や当該部材を入れ込む作業の作業性が良好となる。そして、筒状開口部を大きくしたとしても、上記のとおり、第一表皮片及び第二表皮片にしわが発生することは抑制できる。
(1.第一実施形態)
(1−1.ヘッドレスト1の構成)
第一実施形態においては、発泡成形体としてヘッドレスト1を例にあげ、図1及び図2を参照して説明する。ヘッドレスト1は、車両のシートバック(図示せず)の上端に差し込み式に着脱可能に取り付けられる。
(1−1.ヘッドレスト1の構成)
第一実施形態においては、発泡成形体としてヘッドレスト1を例にあげ、図1及び図2を参照して説明する。ヘッドレスト1は、車両のシートバック(図示せず)の上端に差し込み式に着脱可能に取り付けられる。
ヘッドレスト1は、図1に示すように、ヘッドレスト本体部2と、支持部材としてのステー3と、ステー3に取り付けられた埋設部材4とを備える。ヘッドレスト本体部2は、クッション性を有する部材である。ヘッドレスト本体部2は、袋状の表皮体10と、表皮体の内部に配置された発泡部材20とを備えており、表皮体10と発泡部材20とが一体化されている。
袋状の表皮体10は、ヘッドレスト本体部2の下面(シートバックの上端に対向する面)に、3次元曲面形状に形成されている。表皮体10は、例えば、第一平面18a、第二平面18b、及び、第一平面18aと第二平面18bとを接続する凹状面18cを備える。つまり、表皮体10は、正面から見た場合に、逆U字形状に形成されている。つまり、ヘッドレスト本体部2の下面(表皮体10の下面に相当)は、全体として、3次元曲面形状に形成されており、凹状面18c単体としても、3次元曲面形状に形成されている。ただし、ヘッドレスト本体部2の下面は、上記形状に限られず、任意の3次元曲面形状としてもよい。例えば、ヘッドレスト本体部2の下面は、凹状面18cに限らず、ヘッドレスト本体部2の下面から下方に凸となる凸状面としてもよい。ここで、曲面とは、湾曲した面のみならず、複数の平面が角度を有して接続された面を含む意味である。
表皮体10は、複数の表皮片11,12,13,14及び複数の端末片15,16を縫製により接続することにより一体化され、袋状に形成される。なお、表皮体10を形成するための表皮片の数及び端末片の数は、任意に設定することができる。
表皮体10は、発泡部材20の原料を注入するための筒状開口部17(図2に示す)を備える。筒状開口部17は、図2に示すように、表皮体10の表面から表皮体10の内部に向かって延在し、筒状に形成されている。ただし、完成品としてのヘッドレスト1においては、筒状開口部17は、発泡部材20によって閉塞された状態とされており、扁平状に潰された形状とされている。筒状開口部17は、発泡部材20の原料の注入の他に、表皮体10の裏返し作業に用いられると共に、ステー3及び埋設部材4を表皮体10の内部に入れ込むための開口としても用いられる。
筒状開口部17の外開口17a(図1,2に示す)は、ヘッドレスト本体部2の下面(全体として3次元曲面形状の面)に形成されている。特に、筒状開口部17の外開口17aは、3次元曲面形状である凹状面18cに形成されている。さらには、筒状開口部17の外開口17aの一部は、凹状面18cのみならず、第一平面18a及び第二平面18bにも形成されている。つまり、外開口17aは、第一平面18aから凹状面18cを介して第二平面18bまでに亘って形成されている。
また、表皮体10を構成する各表皮片11−14及び各端末片15,16は、図示しないが、例えば、複数の層状に形成されるようにしてもよい。例えば、各表皮片11−14及び各端末片15,16は、ファブリックや合成皮革等により形成された意匠面シート、及び、意匠面シートの裏面に配置されたスラブウレタンの発泡体により構成される。これにより、各表皮片11−14は、良好な意匠面を有すると共に、頭部保護性能及び頭部に快適性を付与する性能を有する。
また、端末片15,16は、表皮片11−14と同種の材料により形成してもよいし、異種の材料により形成してもよい。同種の材料により形成する場合には、素材の準備が容易となる。一方、異種の材料により形成する場合には、端末片15,16を、発泡部材により確実に閉塞されることに適した材料としたり、表皮片11−14より安価な材料としたりすることができる。
発泡部材20は、ウレタン等の発泡体である。図2に示すように、発泡部材20は、表皮体10の筒状開口部17から表皮体10の内部に発泡部材20の原料が注入され、当該原料が表皮体10の内部にて発泡することにより、表皮体10の内部にて形成される。ここで、表皮体10の内部において当該原料を発泡させることで、発泡圧によって、筒状開口部17が閉塞される。
ステー3は、金属により形成されており、逆U字形状に形成されている。ステー3は、金属製の他に、樹脂製により形成されるようにしてもよい。また、ステー3は、逆U字形状に限られず、種々の形状とすることができる。ステー3は、ヘッドレスト本体部2に一体化されている。詳細には、ステー3の一部、すなわち逆U字形状の連結部分が、表皮体10の内部に埋設されており、ステー3の両脚部の端側の部分が、表皮体10の下面から下方に延在する。ステー3の両脚部が、シートバックの上端の挿入穴に挿入される。
埋設部材4は、例えば、硬質樹脂により、板状に形成されている。ただし、埋設部材4は、頭部保護機能を有する材料及び形状であればよく、例えば、硬質樹脂以外の軟質樹脂(エラストマーを含む)やゴム等により形成してもよいし、板状以外の椀状等種々の形状に形成してもよい。埋設部材4は、ステー3に着脱可能に形成されており、ステー3に取り付けられている。また、埋設部材4は、表皮体10の内部に埋設されている。特に、埋設部材4は、頭部保護機能を有するようにするために、ステー3の前面に取り付けられている。なお、本実施形態においては、ヘッドレスト1は、埋設部材4を備える構成としたが、埋設部材4を備えない構成とすることもできる。
(1−2.表皮体10の詳細構成)
表皮体10の詳細構成について図2−図5を参照して説明する。ここで、図3において、縫製を施す部位を示す破線よりも内側部分が意匠面を形成し、破線よりも外側部分は、折り曲げ代を形成する。
表皮体10の詳細構成について図2−図5を参照して説明する。ここで、図3において、縫製を施す部位を示す破線よりも内側部分が意匠面を形成し、破線よりも外側部分は、折り曲げ代を形成する。
表皮体10は、図3及び図4に示すように、それぞれ別体に形成された、第一表皮片11、第二表皮片12、第三表皮片13、第四表皮片14、第一端末片15、及び、第二端末片16を備える。第一表皮片11がヘッドレスト本体部2の下面のうち前側部分を形成し、第二表皮片12がヘッドレスト本体部2の下面のうち後側部分を形成し、第三表皮片13がヘッドレスト本体部2の前面を形成し、第四表皮片14がヘッドレスト本体部2の背面及び両側面を形成する。なお、第四表皮片14を、背面及び両側面のそれぞれに分離するようにしてもよく、第三表皮片13が両側面を形成し、且つ、第四表皮片14が背面のみを形成するようにしてもよい。
第一表皮片11の素材は、図3に示すように、帯状に形成されており、長手方向中央部分の幅が端部の幅よりも大きくなるように形成されている。第一表皮片11は、図4に示すように、第一表皮片11の素材の長手方向中央部分をU字状に湾曲した形状とし、第一表皮片11の素材の両端部分をほぼ平面状とする。つまり、第一表皮片11の湾曲した中央部分が、図1における表皮体10の凹状面18cの一部を形成し、第一表皮片11の平面状の両端部分が、図1における表皮体10の第一平面18aの一部及び第二平面18bの一部を形成する。このように、第一表皮片11は、2つの平面及び湾曲面を備える3次元曲面形状に形成されている。
第二表皮片12の素材は、図3に示すように、第一表皮片11の素材よりも大きな幅の帯状に形成されており、長手方向中央部分の幅が端部の幅よりも小さくなるように形成されている。第二表皮片12は、図4に示すように、第二表皮片12の素材の長手方向中央部分をU字状に湾曲した形状とし、第二表皮片12の素材の両端部分をほぼ平面状とする。さらに、第二表皮片12の素材には、ステー3の脚部を挿通させるための穴12b,12cが形成されている。
第二表皮片12は、第一表皮片11に隣接して配置される。つまり、第二表皮片12の湾曲した中央部分が、図1における表皮体10の凹状面18cの一部を形成し、第二表皮片12の平面状の両端部分が、図1における表皮体10の第一平面18aの一部及び第二平面18bの一部を形成する。このように、第二表皮片12は、2つの平面及び湾曲面を備える3次元曲面形状に形成されている。
そして、第一表皮片11と第二表皮片12とは、両者の境界のうち両端部分(両側の平面のそれぞれの一部分)において、第一表皮片11の折り曲げ代と第二表皮片12の折り曲げ代とを重ね合わせた状態で、縫製により一体的に接続される。ただし、第一表皮片11と第二表皮片12とは、両者の境界のうちの中央部分において、縫製されておらず、筒状開口部17の外開口17a(図1,2に示す)を形成する。
第三表皮片13の素材には、図3に示すように、ほぼ長方形状の下縁中央に凹状に切欠13bが形成されている。つまり、第三表皮片13は、逆U字形状に形成されている。第三表皮片13の下縁は、図4に示すように、第一表皮片11の形状に対応する。つまり、第三表皮片13の凹状の切欠13bは、第一表皮片11のU字状に湾曲した面に対応する。そして、図2に示すように、第一表皮片11の折り曲げ代11aと第三表皮片13の折り曲げ代13aとを重ね合わせた状態で、第一表皮片11と第三表皮片13とが縫製により一体的に接続される。特に、第一表皮片11の中央部分が第三表皮片13の凹状の切欠13bに対応する形状に湾曲された状態で、第一表皮片11の中央部分における折り曲げ代11aと、第三表皮片13の切欠13bの部分における折り曲げ代13aとが、縫製により一体的に接続される。
第四表皮片14の素材には、図3に示すように、ほぼ扇形状の下縁中央に凹状に切欠14bが形成されている。つまり、第四表皮片14は、第三表皮片13に比べて横幅の大きな逆U字形状に形成されている。第四表皮片14の下縁の一部は、図4に示すように、第二表皮片12の形状に対応する。つまり、第四表皮片14の凹状の切欠14bは、第二表皮片12のU字状に湾曲した面に対応する。そして、図2に示すように、第二表皮片12の折り曲げ代12aと第四表皮片14の折り曲げ代14aとを重ね合わせた状態で、第二表皮片12と第四表皮片14とが縫製により一体的に接続される。特に、第二表皮片12の中央部分が第四表皮片14の凹状の切欠14bに対応する形状に湾曲された状態で、第二表皮片12の中央部分における折り曲げ代12aと、第四表皮片14の切欠14bの部分における折り曲げ代14aとが、縫製により一体的に接続される。さらに、第三表皮片13と第四表皮片14とは、表皮体10の上端及び両側面の位置にて、それぞれの折り曲げ代13a,14aを重ね合わせた状態で縫製により一体的に接続される。
第一端末片15の素材は、図3に示すように、U字形状のほぼ平面状に形成されている。第一端末片15の素材におけるU字凹形状の縁(図3の第一端末片15の上縁)は、第一表皮片11の形状に対応する。そして、図5に示すように、第一表皮片11の中央部分の折り曲げ代11aと第一端末片15の折り曲げ代15aとを重ね合わせた状態で、第一端末片15は、図4に示すように、第一表皮片11に縫製により一体的に接続される。詳細には、第一端末片15の中央部分が、第一表皮片11における湾曲した中央部分と平面状の両端部分の一部分に縫製により一体的に接続される。
このとき、図4に示すように、第一端末片15は、第一表皮片11の意匠面(折り曲げ代11aを除く部分)に対してほぼ直交した状態で接続されている。つまり、第一端末片15は、第一表皮片11の意匠面の縁から表皮体10の内部に折り込まれるように形成されている。ここで、第一端末片15は、第一表皮片11の中央部分に接続されている。つまり、第一端末片15は、第一表皮片11と第二表皮片12とが縫製により接続されていない部分に位置する。そして、第一端末片15が、筒状開口部17の一部を構成する。
第二端末片16の素材は、図3に示すように、U字形状のほぼ平面状に形成されている。第二端末片16の素材は、第一端末片15の素材と同様の形状に形成されている。第二端末片16の素材におけるU字凹形状の縁(図3の第二端末片16の下縁)は、第二表皮片12の形状に対応する。そして、図5に示すように、第二表皮片12の中央部分の折り曲げ代12aと第二端末片16の折り曲げ代16aとを重ね合わせた状態で、第二端末片16は、図4に示すように、第二表皮片12に縫製により一体的に接続される。詳細には、第二端末片16の中央部分が、第二表皮片12における湾曲した中央部分と平面状の両端部分の一部分に縫製により一体的に接続される。
このとき、図4に示すように、第二端末片16は、第二表皮片12の意匠面(折り曲げ代12aを除く部分)に対してほぼ直交した状態で接続されている。つまり、第二端末片16は、第二表皮片12の意匠面の縁から表皮体10の内部に折り込まれるように形成されている。従って、第二端末片16は、第一端末片15に対向して配置される。さらに、第一端末片15と第二端末片16とは、それぞれの両端の縁にて、縫製により一体的に接続されている。また、第二端末片16は、第二表皮片12の中央部分に接続されている。つまり、第二端末片16は、第一表皮片11と第二表皮片12とが縫製により接続されていない部分に位置する。そして、第二端末片16が、筒状開口部17の他の一部を構成する。
(1−3.ヘッドレスト1の製造方法)
ヘッドレスト1の製造方法について、図6及び図7を参照して説明する。まず、各表皮片11−14の意匠面を内側にした状態で、各表皮片11−14及び各端末片15,16の端部を縫製により一体的に接続する(一体化工程)。この状態において、第一端末片15は、第一表皮片11の意匠面からほぼ直交する方向に延在する。また、第二端末片16は、第二表皮片12の意匠面からほぼ直交する方向に延在する。このとき、第一端末片15と第二端末片16とが、表裏逆転した状態の表皮体10において、内部と外部とを連通する筒状開口部17を形成している。さらに、第一端末片15と第二端末片16とは、第一表皮片11及び第二表皮片12の縁から外側に延在する状態となる。
ヘッドレスト1の製造方法について、図6及び図7を参照して説明する。まず、各表皮片11−14の意匠面を内側にした状態で、各表皮片11−14及び各端末片15,16の端部を縫製により一体的に接続する(一体化工程)。この状態において、第一端末片15は、第一表皮片11の意匠面からほぼ直交する方向に延在する。また、第二端末片16は、第二表皮片12の意匠面からほぼ直交する方向に延在する。このとき、第一端末片15と第二端末片16とが、表裏逆転した状態の表皮体10において、内部と外部とを連通する筒状開口部17を形成している。さらに、第一端末片15と第二端末片16とは、第一表皮片11及び第二表皮片12の縁から外側に延在する状態となる。
続いて、各表皮片11−14の部分を裏返して、各表皮片11−14の意匠面を外側に向ける(裏返し工程)。このとき、各表皮片11−14を筒状開口部17を通過させることにより、各表皮片11−14を裏返すことができる。そうすると、第一端末片15及び第二端末片16は、第一表皮片11及び第二表皮片12の縁から内側に延在する状態となる。そして、この状態において、第一端末片15は、第一表皮片11の意匠面からほぼ直交する方向に内側に向かって延在する。同様に、第二端末片16は、第二表皮片12の意匠面からほぼ直交する方向に内側に向かって延在する。このようにして、表皮体10が完成する。
ここで、第一端末片15と第二端末片16とが筒状を呈する状態において、第一表皮片11と第一端末片15とは上記のように別体に形成された部材であるため、第一表皮片11にしわは発生しない。同様に、第一端末片15と第二端末片16とが筒状を呈する状態において、第二表皮片12と第二端末片16とは上記のように別体に形成された部材であるため、第二表皮片12にしわは発生しない。
続いて、筒状開口部17を使用して、ステー3の両脚部を第二表皮片12の穴12b,12cに挿通させる(ステー挿通工程)。このとき、ステー3の連結部分は、表皮体10の内部に配置される。さらに、筒状開口部17を使用して、埋設部材4を表皮体10の内部に配置する(埋設部材配置工程)。なお、埋設部材4は、予めステー3に取り付けた状態で、ステー3と共に表皮体10の内部に挿入することもできる。
続いて、図6及び図7に示すように、ヘッドレスト1の中間成形体を上下逆にして発泡型(図示せず)に配置して、上方に位置する表皮体10の筒状開口部17から表皮体10の内部に発泡部材20の原料が注入される(発泡原料注入工程)。表皮体10の内部において当該原料を発泡させることで、発泡圧によって、表皮体10が発泡型の内面に密着すると共に、筒状開口部17が閉塞される。そして、完成したヘッドレスト1を発泡型から取り出す。
(1−4.効果)
筒状開口部17は、第一端末片15と第二端末片16とにより構成されている。第一端末片15は、第一表皮片11とは別体に形成された上で、第一表皮片11に接続されている。つまり、第一端末片15は、第一表皮片11を形成する材料の一部分を折り曲げて形成されるものではない。そのため、第一表皮片11が3次元曲面形状に形成されているとしても、第一端末片15が第一表皮片11に接続された状態において、第一表皮片11にしわが発生することが抑制される。
筒状開口部17は、第一端末片15と第二端末片16とにより構成されている。第一端末片15は、第一表皮片11とは別体に形成された上で、第一表皮片11に接続されている。つまり、第一端末片15は、第一表皮片11を形成する材料の一部分を折り曲げて形成されるものではない。そのため、第一表皮片11が3次元曲面形状に形成されているとしても、第一端末片15が第一表皮片11に接続された状態において、第一表皮片11にしわが発生することが抑制される。
また、第二表皮片12と第二端末片16との関係も、第一表皮片11と第一端末片15との関係と同様である。すなわち、第二端末片16は、第二表皮片12とは別体に形成された上で、第二表皮片12に接続されている。つまり、第二端末片16は、第二表皮片12を形成する材料の一部分を折り曲げて形成されるものではない。そのため、第二表皮片12が3次元曲面形状に形成されているとしても、第二端末片16が第二表皮片12に接続された状態において、第二表皮片12にしわが発生することが抑制される。
従って、第一表皮片11と第二表皮片12とによって形成される3次元曲面形状の部位に、筒状開口部17の外開口17aが形成される場合において、第一表皮片11と第二表皮片12とにしわが発生することが抑制される。つまり、筒状開口部17は、任意の位置に任意の大きさで形成することができる。従って、発泡成形体としてのヘッドレスト1の内部にステー3や埋設部材4を入れ込む場合には、ステー3や埋設部材4の大きさに応じて、筒状開口部17の大きさを設定することができる。筒状開口部17を大きくすることができるため、確実にステー3や埋設部材4を入れ込むことができると共に、表皮体10の裏返し作業やステー3や埋設部材4を入れ込む作業の作業性が良好となる。そして、筒状開口部17を大きくしたとしても、上記のとおり、第一表皮片11及び第二表皮片12にしわが発生することは抑制できる。
また、図1に示すように、第一表皮片11及び第二表皮片12は、ヘッドレスト1のヘッドレスト本体部2の下面を形成しており、筒状開口部17の外開口17aは、ヘッドレスト本体部2の下面に形成される。ヘッドレスト本体部2の下面を3次元曲面形状としたとしても、ヘッドレスト本体部2の下面に、筒状開口部17を形成しつつ、しわの発生を抑制できる。
また、図1に示すように、ヘッドレスト本体部2の下面は、第一平面18a、第二平面18b、及び、第一平面18aと第二平面18bとを接続する凹状面18cを備えている。そして、筒状開口部17の外開口17aは、少なくとも凹状面18cに形成されている。第一端末片15及び第二端末片16を用いることにより、凹状面18cであっても、筒状開口部17を形成しつつ、しわの発生を抑制できる。また、ヘッドレスト本体部2の下面から上方に凹む凹状面18cに限らず、ヘッドレスト本体部2の下面から下方に凸曲面となる凸状面としてもよい。この場合も、ヘッドレスト本体部2の下面に、筒状開口部17を形成しつつ、しわの発生を抑制できる。
また、図1及び図7に示すように、筒状開口部17の外開口17aは、第一平面18aから凹状面18cを介して第二平面18bまでに亘って形成されるようにしている。この場合、外開口17aは、非常に大きくなる。従って、上記作業性が非常に良好となる。
また、第一端末片15及び第二端末片16は、第一表皮片11及び第二表皮片12と同種の材料により形成されるようにしてもよい。この場合には、素材の準備が容易となる。一方、第一端末片15及び第二端末片16は、第一表皮片11及び第二表皮片12と異なる材料により形成してもよい。この場合には、端末片15,16を、発泡部材により確実に閉塞されることに適した材料としたり、表皮片11−14より安価な材料としたりすることができる。
(2.第二実施形態)
第一実施形態では、発泡成形体としてヘッドレスト1を例にあげた。この他に、発泡成形体としてアームレスト30を例にあげることができる。アームレスト30について、図8を参照して説明する。
第一実施形態では、発泡成形体としてヘッドレスト1を例にあげた。この他に、発泡成形体としてアームレスト30を例にあげることができる。アームレスト30について、図8を参照して説明する。
アームレスト30は、ベンチシートのシートバックの長手方向中央部分に設けられる。アームレスト30は、可動型であり、片持ち支持型である。つまり、アームレスト30は、シートバックの収容領域に収容される状態と、先端側が前方を向く使用状態とを切り替えられる。
アームレスト30の支持端側の面(図8の奥面)が、上述した第一表皮片11及び第二表皮片12により形成される。アームレスト30の支持端側の面は、例えば、図1に示すヘッドレスト本体部2の下面と同様に、第一平面、第二平面、及び、第一平面と第二平面とに接続される凹状面を備える。そして、筒状開口部17の外開口17aが、アームレスト30の支持端側の面に形成される。このように、発泡成形体としてのアームレスト30についても、上述したヘッドレスト1と同様の効果を奏する。
1:ヘッドレスト(発泡成形体)、2:ヘッドレスト本体部、3:ステー、4:埋設部材、10:表皮体、11:第一表皮片、11a:折り曲げ代、12:第二表皮片、12a:折り曲げ代、13:第三表皮片、13a:折り曲げ代、13b:切欠、14:第四表皮片、14a:折り曲げ代、14b:切欠、15:第一端末片、15a:折り曲げ代、16:第二端末片、16a:折り曲げ代、17:筒状開口部、17a:外開口、18a:第一平面、18b:第二平面、18c:凹状面、20:発泡部材、30:アームレスト(発泡成形体)
Claims (6)
- 筒状開口部を有する袋状の表皮体と、
前記筒状開口部から前記表皮体の内部に注入された発泡部材と、
を備える発泡成形体であって、
前記表皮体は、
3次元曲面形状に形成された第一表皮片と、
3次元曲面形状に形成され、前記第一表皮片に隣接して配置され、前記第一表皮片との境界に前記筒状開口部における外開口を形成する第二表皮片と、
前記第一表皮片と別体に形成され、前記第一表皮片に接続され、前記筒状開口部の一部を構成し、前記第一表皮片から前記表皮体の内部に折り込まれるように形成された第一端末片と、
前記第二表皮片と別体に形成され、前記第二表皮片に接続され、前記筒状開口部の他の一部を構成し、前記第二表皮片から前記表皮体の内部に折り込まれ、前記第一端末片に対向して配置される第二端末片と、
を備える、発泡成形体。 - 前記発泡成形体は、ヘッドレストであり、
前記第一表皮片及び前記第二表皮片は、前記ヘッドレストの本体部の下面を形成し、
前記筒状開口部の前記外開口は、前記ヘッドレストの前記下面に形成される、請求項1に記載の発泡成形体。 - 前記ヘッドレストの前記下面は、第一平面、第二平面、及び、前記第一平面と前記第二平面とを接続する凹状面又は凸状面を備え、
前記筒状開口部の前記外開口は、少なくとも前記凹状面又は前記凸状面に形成される、請求項2に記載の発泡成形体。 - 前記筒状開口部の前記外開口は、前記第一平面から前記凹状面又は前記凸状面を介して前記第二平面までに亘って形成される、請求項3に記載の発泡成形体。
- 前記第一端末片及び前記第二端末片は、前記第一表皮片及び前記第二表皮片と異なる材料により形成されている、請求項1−4の何れか一項に記載の発泡成形体。
- 前記発泡成形体は、可動型且つ片持ち支持型のアームレストであり、
前記第一表皮片及び前記第二表皮片は、前記アームレストの支持端側の面を形成し、
前記筒状開口部の前記外開口は、前記アームレストの前記支持端側の面に形成される、請求項1に記載の発泡成形体。
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