以下、実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図3に基づいて本実施形態にかかる電池パック100、および、それを含む電源システム200を説明する。
<電源システムの概要>
電源システム200は車両に搭載される。電源システム200は車両に搭載された複数の車載機器と電池パック100とによって構成されている。車載機器の1つとして鉛蓄電池110がある。電池パック100は組電池10を有している。電源システム200はこれら鉛蓄電池110と組電池10とによって2電源システムを構築している。
他の車載機器としてエンジン140がある。電源システム200を搭載する車両は、所定の停止条件が満たされるとエンジン140を停止し、所定の始動条件が満たされるとエンジン140を再始動するアイドルストップ機能を有する。
図1に示すように電源システム200は、上記した鉛蓄電池110とエンジン140の他に、スタータモータ120、回転電機130、電気負荷150、上位ECU160、および、MGECU170を有する。鉛蓄電池110、スタータモータ120、および、電気負荷150それぞれは、第1ワイヤハーネス210を介して電池パック100と電気的に接続されている。回転電機130は第2ワイヤハーネス220を介して電池パック100と電気的に接続されている。
上位ECU160とMGECU170は図示しない配線を介して鉛蓄電池110と電池パック100それぞれと電気的に接続されている。同様にして、車両に搭載された他の各種ECUも図示しない配線を介して鉛蓄電池110と電池パック100それぞれと電気的に接続されている。
以上に示したように電源システム200は、鉛蓄電池110と電池パック100(組電池10)の2つを電源とする2電源システムを構築している。
<電源システムの構成要素>
鉛蓄電池110は化学反応によって起電圧を生成する。鉛蓄電池110は組電池10よりも蓄電容量が多い。鉛蓄電池110が外部電源に相当する。
スタータモータ120はエンジン140を始動する。スタータモータ120はエンジン140の始動時にエンジン140と機械的に連結される。スタータモータ120の回転によってエンジン140のクランクシャフトが回転される。エンジン140のクランクシャフトの回転数が所定回転数を超えると、燃料噴射弁から燃焼室に霧状の燃料が噴射される。この際に点火プラグで火花が生成される。これにより燃料が爆発し、エンジン140が自律回転し始める。このエンジン140の動力によって車両の推進力が得られる。エンジン140が自律回転し始めると、スタータモータ120とエンジン140との機械的な連結が解除される。
回転電機130は力行と発電を行う。回転電機130には図示しないインバータが接続されている。このインバータが第2ワイヤハーネス220に電気的に接続されている。回転電機130が負荷に相当する。
インバータは鉛蓄電池110および電池パック100の組電池10のうちの少なくとも一方から供給された直流電圧を交流電圧に変換する。この交流電圧が回転電機130に供給される。これにより回転電機130は力行する。
回転電機130はエンジン140と連結されている。回転電機130とエンジン140とは、ベルトなどを介して相互に回転エネルギーを伝達可能になっている。回転電機130の力行によって生じた回転エネルギーはエンジン140に伝達される。これによりエンジン140の回転が促進される。この結果、車両走行がアシストされる。上記したように電源システム200を搭載する車両はアイドルストップ機能を有する。回転電機130は車両走行のアシストだけではなく、エンジン140の再始動時においてクランクシャフトを回転させる機能も果たす。
回転電機130はエンジン140の回転エネルギー、および、車両の車輪の回転エネルギーの少なくとも一方によって発電する機能も有する。回転電機130は発電によって交流電圧を生成する。この交流電圧がインバータによって直流電圧に変換される。この直流電圧が、電池パック100、鉛蓄電池110、および、電気負荷150それぞれに供給される。
エンジン140は燃料を燃焼駆動することで車両の推進力を生成する。上記したようにエンジン140の始動時においては、スタータモータ120によってクランクシャフトが回転される。しかしながらアイドルストップによってエンジン140が一度停止した後に再び始動する際に、上記の所定の始動条件が満たされる場合、回転電機130によってクランクシャフトが回転される。
電気負荷150は一般負荷151と保護負荷152を有する。一般負荷151には、シートヒータ、送風ファン、電動コンプレッサ、ルームライト、および、ヘッドライトなどの供給電力が一定でなくともよい車載機器が含まれる。保護負荷152には、電動シフトポジション、電動パワーステアリング(EPS)、ブレーキ(ABS)、ドアロック、ナビゲーションシステム、および、オーディオなどの供給電力が一定であることが求められる車載機器が含まれる。ここに例示した保護負荷152は供給電圧がリセット閾値を下回るとオン状態からオフ状態へと切り換わる性質を有する。保護負荷152には一般負荷151よりも車両走行に関連性の高い車載機器が含まれる。
上位ECU160とMGECU170は車両に搭載された各種ECUのうちの1つである。これら各種ECUはバス配線161を介して互いに電気的に接続され、車載ネットワークを構築している。各種ECUが協調制御することで、エンジン140の燃焼および回転電機130の力行や発電などが制御される。上位ECU160は電池パック100を制御する。MGECU170は回転電機130を制御する。
また図示しないが、電源システム200は、上記した各車載機器の他に、各種電圧や電流などの物理量、および、アクセルペダルの踏み込み量やスロットルバルブ開度などの車両情報を測定するためのセンサを有している。これら各種センサの検出した検出信号は、各種ECUに入力される。
<電池パックの概要>
図1に示すように電池パック100は、組電池10、回路基板20、通電制御部30、センサ部40、および、給電バスバー50を有する。また図2に示すように電池パック100はパックケース90を有する。
組電池10は鉛蓄電池110よりも体格が小さく、重量も軽くなっている。組電池10は鉛蓄電池110よりもエネルギー密度が高い性質を有する。組電池10が電池に相当する。
回路基板20は、配線基板21とBMU22を有する。この配線基板21には通電制御部30の一部とBMU22が搭載されている。そしてこの回路基板20に通電制御部30の残りと組電池10とが給電バスバー50を介して電気的に接続されている。これにより電池パック100の電気回路が構成されている。この電気回路にセンサ部40が絶縁電線などを介して電気的に接続されている。
電池パック100の電気回路は図1において二重丸で示す外部接続端子と電気的に接続されている。この外部接続端子としては、第1外部接続端子100a、第2外部接続端子100b、第3外部接続端子100c、第4外部接続端子100d、および、第5外部接続端子100eがある。
第1外部接続端子100a、第4外部接続端子100d、および、第5外部接続端子100eは第1ワイヤハーネス210を介して鉛蓄電池110、スタータモータ120、および、電気負荷150それぞれと電気的に接続されている。第2外部接続端子100bは第2ワイヤハーネス220を介して回転電機130と電気的に接続されている。第3外部接続端子100cは車両のボディにボルト止めされている。この第3外部接続端子100cに挿入されるボルトが、電池パック100と車両のボディとを接続する機能を果たす。これにより電池パック100はボディアースされている。
なお図1に示すように第1ワイヤハーネス210は、鉛蓄電池110、スタータモータ120、および、一般負荷151を接続するものと、保護負荷152を接続するものとに分けられている。この鉛蓄電池110、スタータモータ120、および、一般負荷151を接続する第1ワイヤハーネス210の端部は二又に分かれている。二又に分かれた端部の一方が第1外部接続端子100aに接続され、他方が第5外部接続端子100eに接続される。保護負荷152を接続する第1ワイヤハーネス210の端部は第4外部接続端子100dに接続される。
パックケース90は筐体91とカバー92を有する。この筐体91とカバー92とによって収納空間が構成されている。この収納空間に、組電池10、回路基板20、通電制御部30、センサ部40、および、給電バスバー50それぞれが収納されている。
<電池パックの構成要素>
次に、電池パック100の構成要素を個別に説明する。それにあたって、以下においては互いに直交の関係にある3方向を、横方向、縦方向、および、高さ方向と示す。横方向は車両の左右方向に沿っている。高さ方向は車両の天地方向に沿っている。車両が水平面に停車している場合、高さ方向は鉛直方向に沿う。横方向と縦方向は水平方向に沿う。
組電池10は複数の直列接続された電池セルと、これら電池セルを収納する電池ケース11と、を有する。これら電池セルは具体的にはリチウムイオン電池である。リチウムイオン電池は化学反応によって起電圧を生成する。起電圧の生成により電池セルに電流が流れる。これにより電池セルは発熱してガスを発生する。そのために電池セルは膨張する。なお電池セルとしては上記例に限定されない。例えば電池セルとしては、ニッケル水素二次電池、有機ラジカル電池などの二次電池を採用することができる。
電池セルは直方体形状を成している。電池セルは高さ方向に面する2つの主面を有する。この主面は他の4面よりも面積が広くなっている。そして2つの主面間の厚さが薄くなっている。このように電池セルは高さ方向の厚さの薄い扁平形状を成している。
本実施形態の組電池10は5つの電池セルを有する。これら5つの電池セルのうちの3つが高さ方向に積層配置されて第1電池スタックを構成している。そして残り2つの電池セルが高さ方向に積層配置されて第2電池スタックを構成している。これら2つの電池スタックは横方向に並んでいる。これら5つの電池セルの配置が電池ケース11によって保持されている。なお電池セルの膨張に起因する電池ケース11の膨張は、図2に示す拘束プレート80によって抑制されている。
電池ケース11は樹脂から成る本体部と、本体部に設けられる導電部材と、を有する。導電部材としては、5つの電池セルを直列接続する直列接続端子がある。これら直列接続端と対応する電池セルの電極端子とを接触させ、その接触状態でレーザなどによって両者を溶接接合する。これにより5つの電池セルが直列接続される。
また導電部材としては、上記の直列接続端子の他に、5つの直列接続された電池セルのうちの最高電位に位置する電池セルの正極端子と接続される出力端子12と、最低電位に位置する電池セルの負極端子と接続される接地端子13と、がある。この出力端子12は最高電位の電池セルの正極端子とレーザなどによって溶接接合される。接地端子13は最低電位の電池セルの負極端子とレーザなどによって溶接接合される。
電池ケース11にはボルトを通すための孔が形成されている。パックケース90の筐体91にはこのボルトを締結するためのボルト孔が形成されている。これらの孔にボルトを通すことで、電池ケース11が筐体91に固定される。
また電池ケース11は拘束プレート80によっても筐体91に固定される。拘束プレート80は高さ方向において組電池10を介して筐体91と対向している。拘束プレート80にはボルトを通すための切欠きが形成されている。筐体91にはこのボルトを締結するためのボルト孔が形成されている。この切欠きとボルト孔にボルトを通すことで、拘束プレート80が筐体91に固定される。
上記したように回路基板20は配線基板21とBMU22を有する。配線基板21は絶縁基板に導電材料からなる配線パターンの形成されたプリント基板である。絶縁基板の表面および内部の少なくとも一方に、配線パターンとして第1給電線23、第2給電線24、および、第3給電線25が形成されている。配線基板21はボルトなどを介して筐体91に固定される。配線基板21(回路基板20)は高さ方向において電池ケース11とカバー92との間に設けられる。また配線基板21は横方向において最高電位の電池セルと並んで設けられる。すなわち配線基板21は第1電池スタックの最もカバー92側に位置する電池セルと横方向において並んで設けられる。
配線基板21には配線パターンと電気的に接続される端子が形成されている。この端子としては、第1内部端子26a、第2内部端子26b、第3内部端子26c、および、第4内部端子26dがある。また配線基板21には上記の第5外部接続端子100eが設けられている。第5外部接続端子100eはコネクタである。この第5外部接続端子100eも配線パターンと電気的に接続されている。これら配線パターンと内部端子および第5外部接続端子100eそれぞれの電気的な接続の説明は、後の電池パック100の回路構成の説明の際に行う。
通電制御部30は、第1通電制御部31、第2通電制御部32、第3通電制御部33、第4通電制御部34、第5通電制御部35、および、第6通電制御部36を有する。第1通電制御部31と第2通電制御部32は筐体91に搭載される。第3通電制御部33と第4通電制御部34、および、第5通電制御部35と第6通電制御部36それぞれは配線基板21に搭載される。
第1通電制御部31〜第4通電制御部34それぞれは半導体スイッチを有する。この半導体スイッチは具体的にはNチャネル型MOSFETである。したがって第1通電制御部31〜第4通電制御部34それぞれはハイレベルの制御信号の入力によって閉状態になる。第1通電制御部31〜第4通電制御部34それぞれはローレベルの制御信号の入力によって開状態になる。
この第1通電制御部31〜第4通電制御部34の有する半導体スイッチとしてはIGBTなどを採用することもできる。この場合、IGBTにはダイオードが並列接続される。
第5通電制御部35と第6通電制御部36それぞれはメカニカルリレーである。詳しく言えば第5通電制御部35と第6通電制御部36それぞれはノーマリクローズ式の電磁リレーである。したがって第5通電制御部35と第6通電制御部36それぞれはハイレベルの制御信号の入力によって開状態になる。第5通電制御部35と第6通電制御部36それぞれはローレベルの制御信号の入力によって閉状態になる。換言すれば、第5通電制御部35と第6通電制御部36それぞれはハイレベルの制御信号の入力が途絶えると閉状態になる。
第1通電制御部31〜第4通電制御部34それぞれは、2つのMOSFETが直列接続されてなる開閉部を少なくとも1つ有する。これら2つのMOSFETはソース電極同士が連結されている。2つのMOSFETのゲート電極は電気的に独立している。MOSFETは寄生ダイオードを有する。2つのMOSFETの寄生ダイオードは互いにアノード電極同士が連結されている。上記のゲート電極は回路基板20と電気的に接続される。
第1通電制御部31と第2通電制御部32は複数の開閉部を有する。複数の開閉部は並列接続されている。複数の開閉部それぞれのソース電極は互いに電気的に接続されている。
第3通電制御部33は1つの開閉部を有する。第4通電制御部34は複数の開閉部を有する。第4通電制御部34の有する複数の開閉部は直列接続されている。
図1では第1通電制御部31と第2通電制御部32それぞれの並列接続された開閉部を2つ示している。第4通電制御部34の有する直列接続された開閉部を2つ示している。これら開閉部の数は電流量や冗長性などに応じて適宜定めることができる。
第1通電制御部31〜第4通電制御部34それぞれは開閉部を被覆する樹脂部を有する。この樹脂部は直方体形状を成している。樹脂部は最も面積の広い2つの主面の間の長さ(厚さ)の薄い扁平形状を成している。
第1通電制御部31と第2通電制御部32それぞれの樹脂部には、2つの主面を貫通するボルト孔が形成されている。筐体91には樹脂部のボルト孔に対応する取付孔が形成されている。樹脂部のボルト孔と筐体91の取付孔にボルトが締結される。これにより第1通電制御部31と第2通電制御部32が筐体91に固定されるとともに熱的に連結される。
上記したように電気回路にセンサ部40が電気的に接続されている。このセンサ部40は、組電池10と通電制御部30それぞれの状態を検出するセンサ素子を有する。センサ部40はセンサ素子として、温度センサ、電流センサ、および、電圧センサを有する。
センサ部40は組電池10の温度、電流、および、電圧を検出する。センサ部40はそれを組電池10の状態信号としてBMU22に出力する。またセンサ部40は通電制御部30の温度、電流、および、電圧を検出する。センサ部40はそれを通電制御部30の状態信号としてBMU22に出力する。
なおセンサ部40は上記の各種センサの他に水没センサを有する。この水没センサは2つの対向電極を有する。2つの対向電極の間に水があると、2つの対向電極間が通電する。それによって2つの対向電極間の抵抗が変化する。この抵抗の変化が状態信号としてBMU22に入力される。BMU22は抵抗の変化が所定時間継続されるか否かに基づいて、電池パック100の水没を検出する。
BMU22はセンサ部40の状態信号、および、上位ECU160からの指令信号の少なくとも一方に基づいて通電制御部30を制御する。上記したように第1通電制御部31〜第4通電制御部34それぞれは複数の半導体スイッチを有する。BMU22は例えば第1通電制御部31の開閉を制御する場合、第1通電制御部31の有する全ての半導体スイッチを同時に閉状態、若しくは、同時に開状態に制御する。すなわちBMU22は、第1通電制御部31の有する全ての半導体スイッチのゲート電極にハイレベルの制御信号、若しくは、ローレベルの制御信号を同時に入力する。BMUはbattery management unitの略である。BMU22が開閉制御部に相当する。
BMU22はセンサ部40の状態信号に基づいて組電池10の充電状態(SOC)や通電制御部30の異常を判定する。SOCはstate of chargeの略である。BMU22はこれらSOCや異常を判定した信号(判定情報)を上位ECU160に出力する。
上位ECU160はBMU22から入力された判定情報、および、他の各種ECUから入力された車両情報に基づいて通電制御部30の制御を決定する。そして上位ECU160はその決定した通電制御部30の制御を含む指令信号をBMU22に出力する。
BMU22は上位ECU160からの指令信号に基づいて通電制御部30を制御する。なお、BMU22は水没センサの状態信号により電池パック100が水没したと判断した場合、通電制御部30への制御信号の出力の停止を独断で実行する。これにより組電池10の電気的な接続が遮断される。またBMU22は通電制御部30が高温になると、通電制御部30の駆動を制限する。すなわちBMU22が例えば通電制御部30の半導体スイッチをパルス幅制御していた場合、そのデューティ比を低める。これにより半導体スイッチの通電時間を短くして、その発熱を抑制する。
給電バスバー50は銅などの導電材料から成る。給電バスバー50は例えば以下に列挙する方法で製造することができる。給電バスバー50は1枚の平板を屈曲加工することで製造することができる。給電バスバー50は複数の平板が一体的に連結されることで製造することができる。給電バスバー50は複数の平板を溶接することで製造することができる。給電バスバー50は鋳型に溶融状態の導電材料を流し込むことで製造することができる。以上に列挙した製造方法とは異なる製造方法によっても給電バスバー50を製造することができる。給電バスバー50の製造方法としては特に限定されない。さらに言えば、給電バスバー50としては、例えば絶縁電線を採用することもできる。
電池パック100は給電バスバー50として、第1給電バスバー51、第2給電バスバー52、第3給電バスバー53、および、第4給電バスバー54を有する。これら複数の給電バスバーによって回路基板20と組電池10、および、回路基板20と外部接続端子とが電気的に接続されている。図1ではこれら給電バスバーそれぞれを配線基板21の給電線よりも太くして図示している。これら給電バスバーは図2に示す樹脂製の保持部82に搭載される。第1給電バスバー51〜第4給電バスバー54が配線部材に相当する。
上記したようにパックケース90は筐体91とカバー92を有する。筐体91はアルミダイカストで製造することができる。また筐体91は鉄やステンレスをプレス加工することによっても製造することができる。筐体91は配線基板21よりも伝熱性能が高くなっている。したがって筐体91は配線基板21よりも放熱性が高くなっている。
筐体91は、底壁93と、底壁93から環状に起立した側壁94と、を有する。環状の側壁94によって開口部が構成されている。この開口部がカバー92によって覆われる。これにより収納空間が構成される。カバー92は樹脂製若しくは金属製である。
図示しないが、底壁93には第3外部接続端子100cに相当する孔が形成されている。また底壁93には車両のボディと連結するためのフランジ95が連結されている。このフランジ95と車両のボディとがボルトを介して機械的および熱的に連結される。これにより電池パック100が車両に固定される。
底壁93には高さ方向においてカバー92側に局所的に突起した第1放熱部96と第2放熱部97とが形成されている。第1放熱部96と第2放熱部97とは横方向で離れている。
これら第1放熱部96の高さ方向に面する第1上面96aと第2放熱部97の高さ方向に面する第2上面97aに、第1通電制御部31と第2通電制御部32それぞれの樹脂部のボルト孔に対応する取付孔が開口している。このボルト孔と取付孔にボルトが締結される。これにより第1通電制御部31と第2通電制御部32が第1放熱部96と第2放熱部97に取り付け固定される。樹脂部の2つの主面のうちの一方が絶縁フィルム81を介して放熱部の上面と熱的に連結される。
本実施形態のパックケース90(電池パック100)は車両の座席下方に設けられる。しかしながら電池パック100の配置としてはこれに限定されない。電池パック100は、例えば後部座席とトランクルームとの間の空間、および、運転席と助手席の間の空間などに配置することもできる。
<電池パックの回路構成>
次に、電池パック100の回路構成を説明する。図1に示すように第1外部接続端子100aと第1通電制御部31の一端とが第1給電バスバー51を介して電気的に接続されている。この第1給電バスバー51から一部が分岐している。この第1給電バスバー51の分岐部位51aが配線基板21の第1内部端子26aと電気的に接続されている。
第1通電制御部31の他端と第2外部接続端子100bとが第2給電バスバー52を介して電気的に接続されている。この第2給電バスバー52から一部が分岐している。この第2給電バスバー52の分岐部位52aが第2通電制御部32の一端と電気的に接続されている。
また第2給電バスバー52における第1通電制御部31の他端と分岐部位52aとの連結部位との間から一部が分岐している。この分岐部位52bが配線基板21の第4内部端子26dと電気的に接続されている。第1給電バスバー51と第2給電バスバー52が第1配線部材に相当する。
第2通電制御部32の他端と組電池10の正極とが第3給電バスバー53を介して電気的に接続されている。この第3給電バスバー53から一部が分岐している。この第3給電バスバー53の分岐部位53aが配線基板21の第2内部端子26bと電気的に接続されている。なお組電池10の負極は第3外部接続端子100cと電気的に接続されている。第2給電バスバー52と第3給電バスバー53が第2配線部材に相当する。
配線基板21の第1内部端子26aと第2内部端子26bとは第1給電線23を介して電気的に接続されている。この第1給電線23に、第1内部端子26aから第2内部端子26bに向かって順に第3通電制御部33と第4通電制御部34とが直列接続されている。
配線基板21の第3内部端子26cと第4内部端子26dとは第2給電線24を介して電気的に接続されている。そして第3内部端子26cは第4給電バスバー54を介して第4外部接続端子100dと電気的に接続されている。
第2給電線24には第6通電制御部36が設けられている。そして第2給電線24における第3内部端子26cと第6通電制御部36との間の中点が、第1給電線23における第3通電制御部33と第4通電制御部34との間の中点と連結されている。これにより第6通電制御部36は第3通電制御部33と並列接続されている。
また第2給電線24における第4内部端子26dと第6通電制御部36との間の中点が、第3給電線25を介して第5外部接続端子100eと電気的に接続されている。この第3給電線25に第5通電制御部35が設けられている。これにより第5通電制御部35は第1通電制御部31と並列接続されている。
以上により、第1通電制御部31、第2通電制御部32、第4通電制御部34、および、第3通電制御部33が順に環状に接続されている。第1通電制御部31と第2通電制御部32の中点が第2外部接続端子100bに接続されている。第2通電制御部32と第4通電制御部34の中点が組電池10に接続されている。第4通電制御部34と第3通電制御部33の中点が第4外部接続端子100dに接続されている。第3通電制御部33と第1通電制御部31の中点が第1外部接続端子100aに接続されている。
また、第1通電制御部31と第2通電制御部32との中点が第6通電制御部36を介して第4通電制御部34と第3通電制御部33の中点に接続されている。第1通電制御部31と第2通電制御部32との中点が第5通電制御部35を介して第5外部接続端子100eに接続されている。
以上の電気的な接続構成により、第1通電制御部31を開閉制御することで第1外部接続端子100aと第2外部接続端子100bとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第1通電制御部31を開閉制御することで鉛蓄電池110と回転電機130との電気的な接続が制御される。
第2通電制御部32を開閉制御することで第2外部接続端子100bと組電池10との電気的な接続が制御される。換言すれば、第2通電制御部32を開閉制御することで回転電機130と組電池10との電気的な接続が制御される。
第4通電制御部34を開閉制御することで第2内部端子26bと第3内部端子26cとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第4通電制御部34を開閉制御することで組電池10と保護負荷152との電気的な接続が制御される。
第3通電制御部33を開閉制御することで第1内部端子26aと第3内部端子26cとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第3通電制御部33を開閉制御することで鉛蓄電池110と保護負荷152との電気的な接続が制御される。
また、第6通電制御部36を開閉制御することで第4内部端子26dと第3内部端子26cとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第6通電制御部36を開閉制御することで回転電機130と保護負荷152との電気的な接続が制御される。
第5通電制御部35を開閉制御することで第4内部端子26dと第5外部接続端子100eとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第5通電制御部35を開閉制御することで回転電機130と鉛蓄電池110との電気的な接続が制御される。
さらに言えば、第5通電制御部35と第6通電制御部36を同時に開閉制御することで第3内部端子26cと第5外部接続端子100eとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第5通電制御部35と第6通電制御部36を同時に開閉制御することで保護負荷152と鉛蓄電池110との電気的な接続が制御される。
以上に示したように、第1通電制御部31〜第6通電制御部36それぞれの接続対象は異なる。そのために第1通電制御部31〜第6通電制御部36それぞれの通電量は異なっている。第1通電制御部31〜第6通電制御部36それぞれの発熱量は異なっている。第1給電線23〜第3給電線25、および、第1給電バスバー51〜第4給電バスバー54が電流経路に相当する。
なお、上記した各給電バスバーと各スイッチとの接続はレーザ溶接によって行われる。各給電バスバーと外部接続端子との接続はボルト締めによって行われる。そして各給電バスバーと回路基板20との接続はろう接によって行われる。
<スイッチの発熱量>
次に、通電制御部30の発熱量を説明する。上記したように第1通電制御部31と第2通電制御部32それぞれは半導体スイッチとしての2つのMOSFETが直列接続されてなる開閉部を2つ有する。図1〜図3に示すように、以下においては、第1通電制御部31の有する2つの開閉部のうちの1つを第1開閉部31a、残りの1つを第2開閉部31bと示す。同様にして第2通電制御部32の有する2つの開閉部のうちの1つを第3開閉部32a、残りの1つを第4開閉部32bと示す。
図1に示すように第1通電制御部31の第1開閉部31aと第2開閉部31bは第1外部接続端子100aと第2外部接続端子100bとの間で並列接続されている。したがって第1開閉部31aと第2開閉部31bとには同程度の電流が流れる。そのために第1開閉部31aと第2開閉部31bの発熱量は同程度になっている。以下においてはこれら開閉部それぞれに発生する熱量を第1発熱量と示す。
これに対して第2通電制御部32の第3開閉部32aと第4開閉部32bは組電池10と第2外部接続端子100bとの間で並列接続されている。したがって第3開閉部32aと第4開閉部32bとには同程度の電流が流れる。そのために第3開閉部32aと第4開閉部32bの発熱量は同程度になっている。以下においてはこれら開閉部それぞれに発生する熱量を第2発熱量と示す。
第1外部接続端子100aに鉛蓄電池110が接続される。第2外部接続端子100bに回転電機130が接続される。そのために第1開閉部31aと第2開閉部31bそれぞれの一端は鉛蓄電池110と接続される。第1開閉部31aと第2開閉部31bそれぞれの他端は回転電機130と接続される。これに対して第3開閉部32aと第4開閉部32bそれぞれの一端は組電池10と接続される。第3開閉部32aと第4開閉部32bそれぞれの他端は回転電機130と接続される。
したがって、第1開閉部31aと第2開閉部31bを閉状態にすることで、鉛蓄電池110と回転電機130とが電気的に接続される。第3開閉部32aと第4開閉部32bを閉状態にすることで、組電池10と回転電機130とが電気的に接続される。
鉛蓄電池110と組電池10とは蓄電容量とエネルギー密度が異なる。またその使用によって充電量や温度も変化する。そのために鉛蓄電池110と組電池10のいずれから力行状態の回転電機130に電力供給を行うのかは車両の動作状態などによって適宜変化する。発電状態の回転電機130で発生した発電電力の供給を鉛蓄電池110と組電池10に行うか否かは各電池の充電量や温度によって適宜変化する。
そのために第1開閉部31aおよび第2開閉部31bと、第3開閉部32aおよび第4開閉部32bとではその閉状態になる頻度と継続時間が異なる。したがって第1開閉部31aおよび第2開閉部31bと、第3開閉部32aおよび第4開閉部32bとではその通電量が異なる。このため、第1開閉部31aおよび第2開閉部31bと、第3開閉部32aおよび第4開閉部32bとではその発熱量が異なる。以上により、第1発熱量と第2発熱量は異なる。
例えば第1通電制御部31が第2通電制御部32に比べて閉時間となる時間が長く、その通電時間が長い場合、第1通電制御部31は第2通電制御部32に比べて発熱する。この場合、第1発熱量は第2発熱量よりも高くなる。
したがって、例えば第1通電制御部の有する第1開閉部と第2開閉部を1つの場所にまとめて配置した場合、その場所での発熱量は第1発熱量の2倍になる。同様にして第2通電制御部の有する第3開閉部と第4開閉部を1つの場所にまとめて配置した場合、その場所での発熱量は第2発熱量の2倍になる。この結果、第1開閉部と第2開閉部は、第3開閉部と第4開閉部よりも高温に成りやすく、その寿命が短く成りやすい。すなわち、第1開閉部と第2開閉部の半導体スイッチは、第3開閉部と第4開閉部の半導体スイッチよりも高温に成りやすく、その寿命が短く成りやすい。
<スイッチの配置とその作用効果>
そこで電池パック100では、異なる通電制御部の開閉部が1つの領域に位置するように、複数の通電制御部の開閉部を複数の領域に分配配置している。すなわち図3に示すように一点鎖線で示す第1境界線BL1によって分けられる筐体91の底壁93の第1搭載領域93aと第2搭載領域93bとに第1通電制御部31と第2通電制御部32の開閉部を分配配置している。筐体91が搭載部に相当する。
より詳しく言えば、第1搭載領域93aに含まれる第1放熱部96の第1上面96aに第1開閉部31aと第3開閉部32aを分配配置している。第2搭載領域93bに含まれる第2放熱部97の第2上面97aに第2開閉部31bと第4開閉部32bを分配配置している。
これにより第1上面96aに設けられた開閉部の総発熱量は第1発熱量と第2発熱量の和になる。同様にして第2上面97aに設けられた開閉部の総発熱量は第1発熱量と第2発熱量の和になる。第1上面96aと第2上面97aそれぞれに設けられた開閉部で生じる熱の総量が均一化される。
これにより、例えば第1通電制御部の第1開閉部と第2開閉部とが同一の搭載領域に設けられる構成とは異なり、特定の搭載領域で発熱量が高くなることが抑制される。この結果、第1通電制御部31と第2通電制御部32の開閉部の寿命にバラツキが生じることが抑制される。すなわち、第1通電制御部31と第2通電制御部32の半導体スイッチの寿命にバラツキが生じることが抑制される。また、BMU22によって第1通電制御部31と第2通電制御部32の半導体スイッチの駆動に制限がかかることが抑制される。
また図2に示すように第1放熱部96と第2放熱部97とは横方向で離れている。開閉部の搭載面である第1上面96aと第2上面97aとは横方向と縦方向に沿う平面において連続的につながっていない。筐体91における第1放熱部96と第2放熱部97とを連結する部位は、第1放熱部96と第2放熱部97それぞれよりも高さ方向の長さ(厚さ)が短い。そのため、第1放熱部96と第2放熱部97との間で熱流動が起きがたくなっている。これら第1放熱部96と第2放熱部97の放熱性能は同等になっている。
第1放熱部96と第2放熱部97の熱は上記のフランジ95とボルトとを介して車両のボディに放熱される。この第1放熱部96と第2放熱部97の車両のボディへの放熱経路は、第1放熱部96と第2放熱部97との間に形成してもよい。
図3に示すように、横方向において、第1開閉部31a、第3開閉部32a、第2開閉部31b、第4開閉部32bが順に直線状に並んでいる。異なる通電制御部の開閉部が交互に並んでいる。すなわち発熱量の異なる開閉部が交互に並んでいる。発熱量の同じ開閉部が横方向で並んでいない。これにより発熱量の同じ開閉部が並ぶ構成と比べて、第1搭載領域93aと第2搭載領域93bでの熱分布に偏りが生じることが抑制される。筐体91に設けられた複数の開閉部の熱量に差が生じることが抑制される。
なお、本実施形態では、説明を簡便とするために、もっぱら第1通電制御部31と第2通電制御部32の開閉部が分配配置される説明をした。これら開閉部は上記したように複数の半導体スイッチを有する。したがって表現を換えれば、本実施形態の電池パック100では、第1通電制御部31の有する4つの半導体スイッチと、第2通電制御部32の有する4つの半導体スイッチが分配配置された構成となっている。
図1および図3に示すように以下においては第1開閉部31aの有する半導体スイッチを第1スイッチ61、第2スイッチ62とする。第2開閉部31bの有する半導体スイッチを第3スイッチ63、第4スイッチ64とする。そして第3開閉部32aの有する半導体スイッチを第5スイッチ65、第6スイッチ66とする。第4開閉部32bの有する半導体スイッチを第7スイッチ67、第8スイッチ68とする。
この場合、図3に示すように第1搭載領域93aの第1放熱部96の第1上面96aに第1スイッチ61、第2スイッチ62、第5スイッチ65、および、第6スイッチ66が設けられる。第2搭載領域93bの第2放熱部97の第2上面97aに第3スイッチ63、第4スイッチ64、第7スイッチ67、および、第8スイッチ68が設けられる。以上に示したように、各搭載領域での熱量が均一化されるように、設けられる通電経路の異なる複数のスイッチが複数の搭載領域に等分配される。
(第1の変形例)
本実施形態では開閉部の搭載面である第1放熱部96の第1上面96aと第2放熱部97の第2上面97aとは横方向と縦方向に沿う平面において連続的につながっていない例を示した。しかしながら例えば図4および図5に示すように第1上面96aと第2上面97aとが横方向と縦方向に沿う平面において連続的につながった構成を採用することもできる。
図4に示す変形例では、底壁93における第1放熱部96と第2放熱部97との間に切欠き98が形成されている。切欠き98は搭載面の裏面が局所的に凹む態様で底壁93に形成されている。これにより底壁93における第1放熱部96と第2放熱部97との間の部位は、第1放熱部96と第2放熱部97それぞれよりも高さ方向の長さ(厚さ)が短くなっている。
これに対して図5に示す変形例では底壁93における第1放熱部96と第2放熱部97との間の部位は、第1放熱部96と第2放熱部97それぞれと高さ方向の長さ(厚さ)が同程度になっている。そのために第1放熱部96と第2放熱部97との間では熱流動が起きやすくなっている。
また図5に示す変形例では、本実施形態と同様にして、発熱量の異なる開閉部が交互に並んでいる。上記したようにこの変形例では第1放熱部96と第2放熱部97との間で熱流動が起きやすくなっている。そのため、発熱量の異なる開閉部が交互に並ぶことで、この第1搭載領域93aと第2搭載領域93bとの間の熱分布に偏りが生じることが抑制される。この結果、底壁93に設けられた複数の開閉部の熱量に差が生じることが抑制される。
なお、図5に示す変形例において、第1搭載領域93aと第2搭載領域93bとの熱的な独立性を保つ場合、それぞれに搭載される開閉部をある程度離す必要がある。すなわち第1搭載領域93aの開閉部と第2搭載領域93bの開閉部との最短離間距離を、各搭載領域での開閉部間の最短離間距離よりも長くする。若しくは、第1搭載領域93aの開閉部と第2搭載領域93bの開閉部との最短離間距離を、各搭載領域での半導体スイッチ間の最短離間距離よりも長くする。
(第2の変形例)
本実施形態では発熱量の異なる開閉部が交互に並ぶ例を示した。しかしながら例えば図6に示すように発熱量の同じ開閉部が並ぶ構成を採用することもできる。この変形例では、横方向において、第1開閉部31a、第3開閉部32a、第4開閉部32b、第2開閉部31bが順に直線状に並んでいる。
この変形例においては、第1通電制御部31の第1開閉部31aと第2開閉部31bが、4つの開閉部の並びの端に位置している。これに対して第2通電制御部32の第3開閉部32aと第4開閉部32bが、4つの開閉部の並びの内側に位置している。そのために第1開閉部31aと第2開閉部31bは第3開閉部32aと第4開閉部32bよりも放熱性が高くなっている。したがって、例えば第1通電制御部31のほうが第2通電制御部32よりも時間平均的な通電量が多い場合、このような構成を採用することで各開閉部の放熱性を均一化することができる。なお時間平均的な通電量とは、例えばBMU22が通電制御部の駆動を制御し始めてから終了するまでの間の時間に流れる電流の平均値を示している。
(第3の変形例)
図7に示すように、第1放熱部96と第2放熱部97それぞれの熱を積極的に放熱するためのフィン99が形成された構成を採用することもできる。フィン99は筐体91における第1放熱部96と第2放熱部97との間に形成される。フィン99は搭載面が局所的に突起する態様で底壁93に形成されている。フィン99により第1放熱部96と第2放熱部97それぞれに設けられた開閉部の熱が放熱される。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図8に基づいて説明する。以下に示す各実施形態にかかる電池パックは上記した実施形態によるものと共通点が多い。そのため以下においては共通部分の説明を省略し、異なる部分を重点的に説明する。また以下においては上記した実施形態で示した要素と同一の要素には同一の符号を付与する。
第1実施形態では、第1通電制御部31と第2通電制御部32の開閉部が筐体91の異なる領域に分配配置される例を示した。これに対して本実施形態では第3通電制御部33と第4通電制御部34の開閉部(半導体スイッチ)が配線基板21の異なる領域に分配配置される。配線基板21が搭載部に相当する。
図1および図8に示すように、以下においては、第3通電制御部33の有する2つの半導体スイッチのうちの1つを第9スイッチ69、残りの1つを第10スイッチ70と示す。同様にして第4通電制御部34の有する4つの半導体スイッチを、第11スイッチ71、第12スイッチ72、第13スイッチ73、第14スイッチ74と示す。
図1に示すように第3通電制御部33の第9スイッチ69と第10スイッチ70は第1外部接続端子100aと第4外部接続端子100dとの間で直列接続されている。したがって第9スイッチ69と第10スイッチ70とには同程度の電流が流れる。そのために第9スイッチ69と第10スイッチ70の発熱量は同程度になっている。以下においてはこれらスイッチそれぞれに発生する熱量を第3発熱量と示す。
これに対して第4通電制御部34の第11スイッチ71〜第14スイッチ74は組電池10と第4外部接続端子100dとの間で直列接続されている。したがって第11スイッチ71〜第14スイッチ74には同程度の電流が流れる。そのために第11スイッチ71〜第14スイッチ74の発熱量は同程度になっている。以下においてはこれらスイッチそれぞれに発生する熱量を第4発熱量と示す。
本実施形態の電池パック100では、第9スイッチ69〜第14スイッチ74を異なる領域に分配配置している。すなわち図8に示すように一点鎖線で示す第2境界線BL2によって分けられる配線基板21の第3搭載領域21aと第4搭載領域21bとに第3通電制御部33と第4通電制御部34のスイッチを分配配置している。
より詳しく言えば、第3搭載領域21aに含まれる配線基板21の第1搭載面21cに第9スイッチ69、第11スイッチ71、第12スイッチ72を分配配置している。第4搭載領域21bに含まれる配線基板21の第2搭載面21dに第10スイッチ70、第13スイッチ73、第14スイッチ74を分配配置している。
これにより第1搭載面21cに設けられたスイッチの総発熱量は第3発熱量と2倍の第4発熱量の和になる。同様にして第2搭載面21dに設けられたスイッチの総発熱量は第3発熱量と2倍の第4発熱量の和になる。第1搭載面21cと第2搭載面21dそれぞれに設けられたスイッチで生じる熱の総量が均一化される。
これにより、例えば第4通電制御部の第11スイッチ〜第14スイッチが同一の搭載領域に設けられる構成とは異なり、特定の搭載領域で発熱量が高くなることが抑制される。この結果、第3通電制御部33と第4通電制御部34のスイッチの寿命にバラツキが生じることが抑制される。
なお本実施形態にかかる電池パック100には、第1実施形態に記載の電池パック100と同等の構成要素が含まれている。そのため同等の作用効果を奏することは言うまでもない。
また図8に示すように第1搭載面21cと第2搭載面21dとは横方向と縦方向に沿う平面において連続的につながっていない。配線基板21における第1搭載面21cと第2搭載面21dとの境には切欠き21eが形成されている。切欠き21eは搭載面が局所的に凹む態様で配線基板21に形成されている。これにより配線基板21における切欠き21eの形成部位は、配線基板21における第1搭載面21cや第2搭載面21dを有する部位よりも高さ方向の長さ(厚さ)が短くなっている。そのため、第1搭載面21cを有する部位と第2搭載面21dを有する部位との間で熱流動が起きがたくなっている。これら第1搭載面21cを有する部位と第2搭載面21dを有する部位の放熱性能は同等になっている。
配線基板21における第1搭載面21cを有する部位と第2搭載面21dを有する部位の熱はボルトと筐体91を介して車両のボディに放熱される。この放熱経路としての機能を果たすボルトを通すための孔は、配線基板21における第1搭載面21cと第2搭載面21dとの境に形成することができる。これにより第1搭載面21cに設けられたスイッチで生じた熱と第2搭載面21dに設けられたスイッチで生じた熱とが、それぞれ共通のボルトと筐体91を介して車両のボディに放熱される。
(第4の変形例)
本実施形態では開閉部の搭載面である第1搭載面21cと第2搭載面21dとは横方向と縦方向に沿う平面において連続的につながっていない例を示した。しかしながら例えば図9に示すように第1搭載面21cと第2搭載面21dとが横方向と縦方向に沿う平面において連続的につながった構成を採用することもできる。図9に示す変形例では配線基板21に切欠き21eが形成されていない。
また図9に示す変形例では、異なる通電制御部のスイッチが交互に並んでいる。すなわち、横方向において、第9スイッチ69、第11スイッチ71と第12スイッチ72、第10スイッチ70、第13スイッチ73と第14スイッチ74が順に直線状に並んでいる。そしてこの変形例では配線基板21に切欠き21eが形成されておらず、第1搭載面21cを有する部位と第2搭載面21dを有する部位との間で熱流動が起きやすくなっている。そのため、この第1搭載面21cを有する部位と第2搭載面21dを有する部位との間の熱分布に偏りが生じることが抑制される。この結果、配線基板21に設けられた複数のスイッチの熱量に差が生じることが抑制される。
なお図示しないが、配線基板21においても、通電経路の同じスイッチが並ぶ構成を採用することもできる。例えば、横方向において第11スイッチ71と第12スイッチ72、第9スイッチ69、第10スイッチ70、第13スイッチ73と第14スイッチ74が順に直線状に並ぶ構成を採用することもできる。
この変形例においては、第4通電制御部34の第11スイッチ71〜第14スイッチ74がスイッチの並びの端に位置している。これに対して第3通電制御部33の第9スイッチ69と第10スイッチ70がスイッチの並びの内側に位置している。そのために第4通電制御部34は第3通電制御部33よりも放熱性が高くなっている。したがって、例えば第4通電制御部34のほうが第3通電制御部33よりも時間平均的な通電量が多い場合、このような構成を採用することで各スイッチの放熱性を均一化することができる。
(第5の変形例)
なお、本実施形態では第5通電制御部35と第6通電制御部36の配線基板21での配置を特に言及しなかった。上記の複数の搭載領域でのスイッチの総熱量の均一化を加味すると、例えば第5通電制御部35が第1搭載面21cに設けられ、第6通電制御部36が第2搭載面21dに設けられた構成を採用することもできる。
これら第5通電制御部35と第6通電制御部36は車両の駐停車時やBMU22からの制御信号の入力が途切れた際に閉状態になる。したがってこれら第5通電制御部35と第6通電制御部36は他の通電制御部に比べて通電頻度が少ない。そのために第5通電制御部35と第6通電制御部36は他の通電制御部に比べて発熱しがたくなっている。
したがってこれら第5通電制御部35と第6通電制御部36は、上記のスイッチの並びにおいては、その内側に設けられるとよい。また第5通電制御部35と第6通電制御部36は、配線基板21に設けられたスイッチよりも放熱経路から遠い位置に設けられるとよい。これにより第5通電制御部35と第6通電制御部36よりも通電頻度の多いスイッチの放熱性が低くなることが抑制される。
以上、本開示物の好ましい実施形態について説明したが、本開示物は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示物の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
(第6の変形例)
各実施形態では第1通電制御部31と第2通電制御部32が筐体91に搭載され、第3通電制御部33〜第6通電制御部36が配線基板21に搭載される例を示した。しかしながら第1通電制御部31〜第6通電制御部36が筐体91に搭載された構成を採用することもできる。若しくは、第1通電制御部31〜第6通電制御部36が配線基板21に搭載された構成を採用することもできる。このような構成においても、各通電制御部の有するスイッチが複数の搭載領域に分配される。
(第7の変形例)
第1実施形態では筐体91の搭載領域として第1搭載領域93aと第2搭載領域93bを示した。第2実施形態では配線基板21の搭載領域として第3搭載領域21aと第4搭載領域21bを示した。しかしながら筐体91と配線基板21それぞれの有する搭載領域の数としては上記例に限定されず、3つ以上を採用することもできる。
筐体91の複数の搭載領域に設けられるスイッチで生じる熱の総量が均一化されるのであれば、筐体91の搭載領域の数は特に限定されない。配線基板21の複数の搭載領域に設けられるスイッチで生じる熱の総量が均一化されるのであれば、配線基板21の搭載領域の数は特に限定されない。なお、上記の複数の搭載領域に設けられるスイッチで生じる熱の総量の均一化は、筐体91と配線基板21の少なくとも一方で実現されればよい。
(第8の変形例)
例えば図10に示すように第1通電制御部31〜第4通電制御部34が筐体91の底壁93に搭載された構成を採用することもできる。
各実施形態では第1通電制御部31と第2通電制御部32に給電バスバーが接続され、第3通電制御部33と第4通電制御部34に給電線が接続される例を示した。これは第1通電制御部31と第2通電制御部32は、第3通電制御部33と第4通電制御部34よりも時間平均的な通電量が多いためである。そこで図10に示すように第1搭載領域93aに第1通電制御部31と第3通電制御部33を設け、第2搭載領域93bに第2通電制御部32と第4通電制御部34を設ける。これによれば第1搭載領域93aと第2搭載領域93bの通電制御部によって生じる発熱量に差が生じることが抑制される。すなわち第1搭載領域93aと第2搭載領域93bの熱の総量が均一化される。
なお、放熱性を考慮すると、図10に示すように複数の通電制御部の並びにおいて、第3通電制御部33と第4通電制御部34よりも通電量の多い第1通電制御部31と第2通電制御部32それぞれが端に位置するとよい。図10においては、第1通電制御部31、第3通電制御部33、第2通電制御部32、第4通電制御部34が順に並んでいる。
(第9の変形例)
各実施形態では、通電制御部30が第1通電制御部31〜第6通電制御部36を有する例を示した。しかしながら通電制御部30は、図11に示すように第5通電制御部35と第6通電制御部36を有さずに、第1通電制御部31〜第4通電制御部34を有する構成を採用することもできる。
(第10の変形例)
また図12に示すように通電制御部30は、第3通電制御部33と第4通電制御部34を有さずに、第1通電制御部31、第2通電制御部32、第5通電制御部35、および、第6通電制御部36を有する構成を採用することもできる。
(第11の変形例)
各実施形態では第1通電制御部31と第2通電制御部32が並列接続された2つの開閉部を有する。第3通電制御部33は1つの開閉部を有する。第4通電制御部34は直列接続された開閉部を2つ有する例を示した。しかしながら各通電制御部の有する開閉部の数としては上記例に限定されない。各通電制御部は少なくとも1つの開閉部を有すればよい。すなわち各通電制御部は少なくとも2つの半導体スイッチを有すればよい。
また、第1通電制御部31〜第4通電制御部34それぞれは半導体スイッチを有する例を示した。しかしながら第1通電制御部31〜第4通電制御部34それぞれはメカニカルリレーを有してもよい。各通電制御部の有する通電を制御する素子としては特に限定されない。
(第12の変形例)
各実施形態では筐体91の底壁93に通電制御部が設けられる例を示した。しかしながら通電制御部の筐体91における搭載箇所としては、底壁93に限定されない。例えば通電制御部は側壁94に設けてもよい。
(その他の変形例)
各実施形態では組電池10が5つの電池セルを有する例を示した。しかしながら組電池10は複数の電池セルを有すればよく、上記例に限定されない。また電池スタックの数としても、2つではなく1つ若しくは3つ以上を採用することもできる。さらに言えば、電池セルが横方向に並ぶことで電池スタックが構成されてもよい。
各実施形態では電源システム200を搭載する車両がアイドルストップ機能を有する例を示した。しかしながら電源システム200を搭載する車両としては上記例に限定されない。例えばハイブリッド自動車や電気自動車を採用することができる。この場合、本実施形態で示したスタータモータ120や回転電機130は、モータジェネレータに代わる。