JP2019094298A - ジフラン化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塩基触媒の使用量を抑えつつ、得られるジフラン化合物の収率を向上させることで、生産性が高いジフラン化合物の製造方法を提供する。【解決手段】本発明のジフラン化合物の製造方法は、フルフラール化合物と、ケトン化合物を、塩基存在下で反応させて、ジフラン化合物を得るジフラン化合物の製造方法であって、塩基が仕込まれた反応器に、前記フルフラール化合物と、前記ケトン化合物の両方を30分以上の所定の時間にわたって添加し、かつこれらを添加させながら反応させるとともに、前記塩基の仕込み量が、前記フルフラール化合物に対して、0.75モル当量未満である。【選択図】なし
Description
本発明は、ジフラン化合物の製造方法に関する。
近年、石油資源の枯渇が懸念されてきており、燃料、各種の化成品などをバイオマス由来の材料から合成することが検討されている。例えば、フルフラールは、木材、その他の非食用バイオマスから工業的に生産されており、フルフラールを出発原料として燃料、各種化成品を得るためのプロセス開発が行われている。具体的には、アセトンと2当量のフルフラールとをアルドール縮合させることで得られるジフラン化合物を反応中間体として合成し、その反応中間体をさらに反応させて燃料、樹脂原料などを製造することが検討されている。
上記アルドール縮合反応は、例えば、非特許文献1に開示されるように、アセトンとフルフラールからなる有機相と、水酸化ナトリウムを含む水相とからなる反応液を攪拌して行うことが知られている。ここで、非特許文献1では、水酸化ナトリウムがフルフラールに対して、13〜230モル%使用されている。また、ジフラン化合物の収率は、水酸化ナトリウム量が13モル%のときには52.9〜61.8%、水酸化ナトリウム量が37〜230モル%のときには69.8〜93.5%になることが示されている。
また、特許文献1では、冷却された水酸化ナトリウム水溶液に対して、アセトンとフルフラールとを加えて反応させることで、上記アルドール縮合が行われることが開示されている(化合物(74)参照)。特許文献1では、フルフラール1モルに対して、水酸化ナトリウムが1.25モル使用されている。
Rong Xing, Ayyagari V. Subrahmanyam, Hakan Olcay, Wei Qi, G. Peter van Walsum, Hemant Pendseb and George W. Huber, Green Chem., 2010, 12, 1933-1946
非特許文献1、及び特許文献1に開示される方法では、触媒として使用する水酸化ナトリウムの使用量が多く、工業的に実用化するためには、水酸化ナトリウムの使用量を少なくしつつ、収率を向上させる必要がある。
しかし、非特許文献1に示すように、従来の方法では、水酸化ナトリウムの使用量を少なくすると、収率が低くなる傾向にあり、水酸化ナトリウムの使用量を抑えつつ、収率も高くすることが困難である。
しかし、非特許文献1に示すように、従来の方法では、水酸化ナトリウムの使用量を少なくすると、収率が低くなる傾向にあり、水酸化ナトリウムの使用量を抑えつつ、収率も高くすることが困難である。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、水酸化ナトリウムなどの塩基触媒の使用量を抑えつつ、得られるジフラン化合物の収率を向上させることで、生産性が高いジフラン化合物の製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、反応器に先に仕込んだ塩基触媒に、アセトンなどのケトン化合物と、フルフラール化合物の両方を所定時間以上にわたって添加させながら、これらを反応器内部において反応させることで、意外なことに、塩基触媒の使用量を抑えつつも収率が向上することを見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[10]を要旨とするものである。
[1]下記式(1)で表されるフルフラール化合物と、下記式(2)で表されるケトン化合物を、塩基存在下で反応させて、下記式(3)で示されるジフラン化合物を得るジフラン化合物の製造方法であって、
塩基が仕込まれた反応器に、前記フルフラール化合物と、前記ケトン化合物の両方を30分以上の所定の時間にわたって添加し、かつこれらを添加させながら反応させるとともに、
前記塩基の仕込み量が、前記フルフラール化合物に対して、0.75モル当量未満であるジフラン化合物の製造方法。
(式(1)において、R1は、水素原子、CH3、又はCH2OHを示す。)
(式(2)において、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜4の有機基を示す。R2とR3とは連結して環構造を形成していてもよい。)
(式(3)において、R1、R2及びR3は、式(1)及び(2)におけるR1、R2及びR3と同義である。なお、同一分子内における2つのR1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
[2]前記フルフラール化合物と、前記ケトン化合物の混合物を、前記反応器に添加する上記[1]に記載のジフラン化合物の製造方法。
[3]前記反応を極性プロトン性溶媒存在下で行う上記[1]又は[2]に記載のジフラン化合物の製造方法。
[4]前記極性プロトン性溶媒が、アルコール系溶媒を含む上記[3]に記載のジフラン化合物の製造方法。
[5]反応温度が、50℃以下である上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
[6]前記式(1)〜(3)において、R1、R2及びR3のいずれもが水素原子である上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
[7]前記塩基が、金属水酸化物である上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
[8]前記塩基の仕込み量が、前記フルフラール化合物に対して、0.01モル当量以上である上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
[9]前記フルフラール化合物とケトン化合物の添加終了後、さらに前記反応を行う上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
[10]下記式(3)で表されるジフラン化合物と、塩基もしくは該塩基を中和した塩とを含む反応組成物であって、
前記ジフラン化合物のH−NMRの積分値により算出された含有量が、反応組成物に含まれる残存フルフラール化合物および式(4)で表されるモノフラン化合物の合計に対して20モル倍以上であるとともに、
前記塩基もしくは該塩基を中和した塩が、中和前の塩基として換算した値として、反応組成物に含まれるフラン環含有化合物に対して、0.75モル当量未満である反応組成物。
(式(3)において、R1は、水素原子、CH3、又はCH2OHを示す。なお、同一分子内における2つのR1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜4の有機基を示す。R2とR3とは連結して環構造を形成していてもよい。)
(式(4)において、R1、R2及びR3は、式(3)におけるR1、R2及びR3と同義である。)
すなわち、本発明は、下記[1]〜[10]を要旨とするものである。
[1]下記式(1)で表されるフルフラール化合物と、下記式(2)で表されるケトン化合物を、塩基存在下で反応させて、下記式(3)で示されるジフラン化合物を得るジフラン化合物の製造方法であって、
塩基が仕込まれた反応器に、前記フルフラール化合物と、前記ケトン化合物の両方を30分以上の所定の時間にわたって添加し、かつこれらを添加させながら反応させるとともに、
前記塩基の仕込み量が、前記フルフラール化合物に対して、0.75モル当量未満であるジフラン化合物の製造方法。
(式(1)において、R1は、水素原子、CH3、又はCH2OHを示す。)
(式(2)において、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜4の有機基を示す。R2とR3とは連結して環構造を形成していてもよい。)
(式(3)において、R1、R2及びR3は、式(1)及び(2)におけるR1、R2及びR3と同義である。なお、同一分子内における2つのR1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
[2]前記フルフラール化合物と、前記ケトン化合物の混合物を、前記反応器に添加する上記[1]に記載のジフラン化合物の製造方法。
[3]前記反応を極性プロトン性溶媒存在下で行う上記[1]又は[2]に記載のジフラン化合物の製造方法。
[4]前記極性プロトン性溶媒が、アルコール系溶媒を含む上記[3]に記載のジフラン化合物の製造方法。
[5]反応温度が、50℃以下である上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
[6]前記式(1)〜(3)において、R1、R2及びR3のいずれもが水素原子である上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
[7]前記塩基が、金属水酸化物である上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
[8]前記塩基の仕込み量が、前記フルフラール化合物に対して、0.01モル当量以上である上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
[9]前記フルフラール化合物とケトン化合物の添加終了後、さらに前記反応を行う上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
[10]下記式(3)で表されるジフラン化合物と、塩基もしくは該塩基を中和した塩とを含む反応組成物であって、
前記ジフラン化合物のH−NMRの積分値により算出された含有量が、反応組成物に含まれる残存フルフラール化合物および式(4)で表されるモノフラン化合物の合計に対して20モル倍以上であるとともに、
前記塩基もしくは該塩基を中和した塩が、中和前の塩基として換算した値として、反応組成物に含まれるフラン環含有化合物に対して、0.75モル当量未満である反応組成物。
(式(3)において、R1は、水素原子、CH3、又はCH2OHを示す。なお、同一分子内における2つのR1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜4の有機基を示す。R2とR3とは連結して環構造を形成していてもよい。)
(式(4)において、R1、R2及びR3は、式(3)におけるR1、R2及びR3と同義である。)
水酸化ナトリウムなどの塩基触媒の使用量を抑えつつ、得られるジフラン化合物の収率を向上させることで、生産性が高いジフラン化合物の製造方法を提供するができる。
本発明のジフラン化合物の製造方法は、フルフラール化合物と、ケトン化合物を、塩基存在下で反応させて、ジフラン化合物を得るものである。以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
(フルフラール化合物)
本発明で使用するフルフラール化合物は、以下の式(1)で表される化合物である。
(式(1)において、R1は、水素原子、CH3、又はCH2OHを示す。)
式(1)において、R1は、水素原子又はCH3が好ましく、水素原子であることがより好ましい。具体的なフルフラール化合物は、フルフラール、5−メチルフルフラール、及び5−ヒドロキシメチルフルフラールが挙げられる。フルフラール化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。フルフラール化合物は、フルフラール及び5−メチルフルフラールの少なくともいずれか一方が好ましく、フルフラールがより好ましい。
本発明で使用するフルフラール化合物は、以下の式(1)で表される化合物である。
(式(1)において、R1は、水素原子、CH3、又はCH2OHを示す。)
式(1)において、R1は、水素原子又はCH3が好ましく、水素原子であることがより好ましい。具体的なフルフラール化合物は、フルフラール、5−メチルフルフラール、及び5−ヒドロキシメチルフルフラールが挙げられる。フルフラール化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。フルフラール化合物は、フルフラール及び5−メチルフルフラールの少なくともいずれか一方が好ましく、フルフラールがより好ましい。
(ケトン化合物)
本発明で使用するケトン化合物は、以下の式(2)で表される化合物である。
(式(2)において、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜4の有機基を示す。R2とR3とは連結して環構造を形成していてもよい。)
炭素数1〜4の有機基としては、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、及び各種ブチル基が挙げられる。なお、「各種」とは、n−、sec−、tert−、iso−を含む各種異性体を意味する。
また、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子及びリン原子が挙げられる。
なお、R2とR3とは連結して環構造を形成してもよいが、その際には、R2とR3の合計炭素数は2〜8となる。
ここで、R2及びR3は、それぞれアルキル基若しくは水素原子、又はアルキル基が連結して環構造を形成したものいずれかが好ましいが、水素原子がより好ましい。
本発明で使用するケトン化合物は、以下の式(2)で表される化合物である。
(式(2)において、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜4の有機基を示す。R2とR3とは連結して環構造を形成していてもよい。)
炭素数1〜4の有機基としては、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、及び各種ブチル基が挙げられる。なお、「各種」とは、n−、sec−、tert−、iso−を含む各種異性体を意味する。
また、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子及びリン原子が挙げられる。
なお、R2とR3とは連結して環構造を形成してもよいが、その際には、R2とR3の合計炭素数は2〜8となる。
ここで、R2及びR3は、それぞれアルキル基若しくは水素原子、又はアルキル基が連結して環構造を形成したものいずれかが好ましいが、水素原子がより好ましい。
具体的なケトン化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。ケトン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの中では、反応性などの観点から、アセトンが好ましい。
(ジフラン化合物)
本発明において得られるジフラン化合物は、上記したフルフラール化合物とケトン化合物とにより合成されるものであり、以下の式(3)で表される化合物である。
式(3)において、R1、R2及びR3は上記と同様である。
したがって、ジフラン化合物としては、R1が水素原子又はCH3のいずれかであるとともに、R2及びR3がそれぞれアルキル基若しくは水素原子、又はアルキル基が連結して環構造を形成したもののいずれかであることが好ましいが、R1、R2、及びR3の全てが、水素原子であることがより好ましい。
なお、式(3)において、同一分子内におけるR1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明において得られるジフラン化合物は、上記したフルフラール化合物とケトン化合物とにより合成されるものであり、以下の式(3)で表される化合物である。
式(3)において、R1、R2及びR3は上記と同様である。
したがって、ジフラン化合物としては、R1が水素原子又はCH3のいずれかであるとともに、R2及びR3がそれぞれアルキル基若しくは水素原子、又はアルキル基が連結して環構造を形成したもののいずれかであることが好ましいが、R1、R2、及びR3の全てが、水素原子であることがより好ましい。
なお、式(3)において、同一分子内におけるR1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
[ジフラン化合物の製造方法]
次に、本発明におけるジフラン化合物の製造方法についてより詳細に説明する。
本発明におけるジフラン化合物の製造方法においては、まず、反応器に塩基を仕込む。塩基は、上記したフルフラール化合物とケトン化合物よりジフラン化合物を生成する反応を進行させる触媒となるものであれば特に限定されず、有機塩基、無機塩基のいずれでもよいが、反応性の観点から、無機塩基が好ましく、中でも金属水酸化物がより好ましい。
金属水酸化物の好ましい例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられ、これらの中では、水への溶解性が高い点、反応性の点などから、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択される少なくとも1種が好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。なお、塩基は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
次に、本発明におけるジフラン化合物の製造方法についてより詳細に説明する。
本発明におけるジフラン化合物の製造方法においては、まず、反応器に塩基を仕込む。塩基は、上記したフルフラール化合物とケトン化合物よりジフラン化合物を生成する反応を進行させる触媒となるものであれば特に限定されず、有機塩基、無機塩基のいずれでもよいが、反応性の観点から、無機塩基が好ましく、中でも金属水酸化物がより好ましい。
金属水酸化物の好ましい例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられ、これらの中では、水への溶解性が高い点、反応性の点などから、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択される少なくとも1種が好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。なお、塩基は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
塩基は、反応器内部において溶解させるとよい。塩基は、反応器において、水、後述する水以外の溶媒、又はこれらの混合溶媒に溶解させてもよいが、上記した金属水酸化物である場合には、反応器内部に水も合わせて仕込んで、その水、又は、水及び水以外の溶媒の混合溶媒に塩基を溶解させることが好ましい。
なお、塩基は、上記金属水酸化物である場合には、水溶液の状態で反応器に仕込むことが好ましい。また、反応器に仕込まれる金属水酸化物の量は、反応器に仕込まれる金属水酸化物と水の合計量に対して、5〜50質量%であることが好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
なお、塩基は、上記金属水酸化物である場合には、水溶液の状態で反応器に仕込むことが好ましい。また、反応器に仕込まれる金属水酸化物の量は、反応器に仕込まれる金属水酸化物と水の合計量に対して、5〜50質量%であることが好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
反応器への塩基の仕込み量は、反応器に添加されるフルフラール化合物に対して、0.75モル当量未満である。塩基の仕込み量が0.75モル当量以上になると、塩基、さらには塩基を溶解させるための溶媒を反応器に大量に仕込む必要が生じて、反応器の単位容積あたりの目的物(ジフラン化合物)の生成量が少なくなり、生産性が低くなる。また、フルフラール化合物とケトン化合物の反応が急激に進み、反応混合液の温度が高くなりすぎて突沸したり、不純物が生成したりしやすくなる。さらには、塩基の使用量が多くなり過ぎて経済性が悪くなり、工業的に生産することが難しくなる。
経済性、反応性、および生産性などの観点から、上記塩基の仕込み量は、0.3モル当量以下であることが好ましく、0.1モル当量以下であることがより好ましく、0.07モル当量以下であることがさらに好ましい。また、塩基の仕込み量は、十分な反応性が確保できる限り少ないほうがよく、0.01モル当量以上が好ましく、0.02モル当量以上がより好ましく、0.03モル当量以上がさらに好ましい。
次に、塩基が仕込まれた反応器内部に、フルフラール化合物とケトン化合物の両方を30分以上の所定の時間(以下、「添加時間」ともいう)にわたって添加する。
本発明では、2量体であるジフラン化合物を得るためには、ケトン化合物1モルに対して、フルフラール化合物が2モル必要になる。したがって、反応器内部に添加するケトン化合物に対する、フルフラール化合物のモル比は、2又は2に近い値にすればよく、具体的には、1.9〜2.1が好ましく、1.95〜2.05がより好ましく、2が最も好ましい。
本発明では、2量体であるジフラン化合物を得るためには、ケトン化合物1モルに対して、フルフラール化合物が2モル必要になる。したがって、反応器内部に添加するケトン化合物に対する、フルフラール化合物のモル比は、2又は2に近い値にすればよく、具体的には、1.9〜2.1が好ましく、1.95〜2.05がより好ましく、2が最も好ましい。
ここで、フルフラール化合物とケトン化合物は、添加しながら、反応器内部で、フルフラール化合物とケトン化合物の反応が進行するように添加する。
具体的には、フルフラール化合物とケトン化合物の添加は、いずれも上記添加時間内にわたって継続して行うとよいが、連続的に行ってもよいし、間欠的に行ってもよい。
フルフラール化合物とケトン化合物は、時間的に同じタイミングで同時に添加してもよいが、必ずしも同じタイミングで添加する必要はなく、反応器内部に添加されたフルフラール化合物とケトン化合物の添加量の比が、添加途中で上記したモル比から大きく逸脱しない範囲となる限り、時間的に適宜ずらして添加してもよい。例えば、上記所定時間にわたってフルフラール化合物を連続的に添加する一方、ケトン化合物を間欠的に継続して添加してもよい。また、両方とも間欠的に継続して添加する場合には、フルフラール化合物とケトン化合物を交互に添加してもよい。
具体的には、フルフラール化合物とケトン化合物の添加は、いずれも上記添加時間内にわたって継続して行うとよいが、連続的に行ってもよいし、間欠的に行ってもよい。
フルフラール化合物とケトン化合物は、時間的に同じタイミングで同時に添加してもよいが、必ずしも同じタイミングで添加する必要はなく、反応器内部に添加されたフルフラール化合物とケトン化合物の添加量の比が、添加途中で上記したモル比から大きく逸脱しない範囲となる限り、時間的に適宜ずらして添加してもよい。例えば、上記所定時間にわたってフルフラール化合物を連続的に添加する一方、ケトン化合物を間欠的に継続して添加してもよい。また、両方とも間欠的に継続して添加する場合には、フルフラール化合物とケトン化合物を交互に添加してもよい。
また、フルフラール化合物とケトン化合物の添加は、これら化合物の混合物を、反応器に添加して行うことが好ましい。混合物を添加することで、高い選択率で上記ジフラン化合物を生成しやすくなる。なお、反応器に添加する混合物は、上記モル比でフルフラール化合物とケトン化合物を均一に混合したものを使用すればよい。
本発明において、フルフラール化合物とケトン化合物の添加時間は、上記したように30分間以上である。30分間未満とすると、反応器内部において反応が急激に進行し、突沸などが発生したり、反応が急速に進んで不純物が発生して収率が低下したりするおそれがある。これらの観点から添加時間は、好ましくは45分以上、より好ましくは1時間以上である。
また、添加時間の上限は、特に限定されないが、生産性、反応性などの観点から、10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、3時間以下さらに好ましい。
また、添加時間の上限は、特に限定されないが、生産性、反応性などの観点から、10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、3時間以下さらに好ましい。
フルフラール化合物とケトン化合物の添加が終了した後、フルフラール化合物とケトン化合物の反応が終了しない場合などには、さらに反応を続けてもよい。添加終了後の反応時間としては、特に限定されないが、フルフラール化合物とケトン化合物の残存量をできる限り少なくする観点から、30分以上が好ましく、45分以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましい。また、上記反応時間は、特に限定されないが、生産性の観点から、10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、3時間以下がさらに好ましい。
また、本発明では、反応終了後の反応混合液は、酸により中和処理を行ってもよい。中和処理に使用する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸などの公知の酸を使用すればよい。
また、本発明では、反応終了後の反応混合液は、酸により中和処理を行ってもよい。中和処理に使用する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸などの公知の酸を使用すればよい。
本発明における上記反応は、一般的に溶媒存在下で行い、好ましくは極性プロトン性溶媒存在下で行う。極性プロトン性溶媒下で行うことで、高収率でフルフラール化合物とケトン化合物を反応させることが可能になる。
極性プロトン性溶媒としては、アルコール系溶媒、水などが挙げられ、アルコール系溶媒を含むことが好ましい。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
これらの中では、メタノール及びエタノールから選択される1種以上が好ましく、メタノールがより好ましい。また、極性プロトン性溶媒としては、アルコール系溶媒と水の混合溶媒としてもよい。アルコール系溶媒と水の混合溶媒の場合、アルコール系溶媒の仕込み量は、質量基準で、水の仕込み量より多くすることが好ましく、例えば、質量基準で4〜100倍程度、好ましくは6〜20倍程度とするとよい。
溶媒の仕込み量は、添加されるフルフラール化合物とケトン化合物の合計量が、溶媒も含めた反応器に仕込まれる全成分に対して、例えば20〜80質量%、好ましくは35〜70質量%、より好ましくは50〜65質量%となるようにその量を調整するとよい。このような比率でフルフラール化合物とケトン化合物を仕込むと、生産性が良好となる。
また、溶媒は、フルフラール化合物とケトン化合物の添加とともに反応器に仕込んでもよいが、上記塩基と同様に、フルフラール化合物とケトン化合物が添加される前に反応器に仕込むことが好ましい。
極性プロトン性溶媒としては、アルコール系溶媒、水などが挙げられ、アルコール系溶媒を含むことが好ましい。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
これらの中では、メタノール及びエタノールから選択される1種以上が好ましく、メタノールがより好ましい。また、極性プロトン性溶媒としては、アルコール系溶媒と水の混合溶媒としてもよい。アルコール系溶媒と水の混合溶媒の場合、アルコール系溶媒の仕込み量は、質量基準で、水の仕込み量より多くすることが好ましく、例えば、質量基準で4〜100倍程度、好ましくは6〜20倍程度とするとよい。
溶媒の仕込み量は、添加されるフルフラール化合物とケトン化合物の合計量が、溶媒も含めた反応器に仕込まれる全成分に対して、例えば20〜80質量%、好ましくは35〜70質量%、より好ましくは50〜65質量%となるようにその量を調整するとよい。このような比率でフルフラール化合物とケトン化合物を仕込むと、生産性が良好となる。
また、溶媒は、フルフラール化合物とケトン化合物の添加とともに反応器に仕込んでもよいが、上記塩基と同様に、フルフラール化合物とケトン化合物が添加される前に反応器に仕込むことが好ましい。
反応器内部の反応混合液は、フルフラール化合物とケトン化合物の添加中、及びその後の反応において、公知の攪拌手段により攪拌するとよい。また、反応器としてはバッチ式の各種の反応容器など公知の反応器を使用することが可能である。
また、フルフラール化合物とケトン化合物の添加中、及びその後の反応における反応混合液の温度(反応温度)は、50℃以下となるように制御することが好ましく、45℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましい。
また、反応温度の下限は、フルフラール化合物とケトン化合物が反応できれば特に限定されないが、例えば0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上となるように制御する。また、反応器は、水、その他の冷媒などの公知の手段により冷却されることで反応温度が制御されるとよい。
また、フルフラール化合物とケトン化合物の添加中、及びその後の反応における反応混合液の温度(反応温度)は、50℃以下となるように制御することが好ましく、45℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましい。
また、反応温度の下限は、フルフラール化合物とケトン化合物が反応できれば特に限定されないが、例えば0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上となるように制御する。また、反応器は、水、その他の冷媒などの公知の手段により冷却されることで反応温度が制御されるとよい。
上記反応により、本発明では、高い転化率で式(3)で表されるジフラン化合物を得ることができる。したがって、反応終了後又は反応終了後に中和処理した反応混合液(以下、「反応組成物」ともいう)は、下記式(4)で表されるモノフラン化合物(反応中間体)、原料、副生成物が含まれることがあるが、これら反応中間体、副生成物、及び原料であるフルフラール化合物の含有量を少なくすることが可能である。そのため、反応組成物に含まれるフラン環含有化合物は、ほとんどが式(3)で表されるジフラン化合物とすることが可能である。
また、反応組成物は、式(3)で表されるジフラン化合物に加えて、触媒として使用された塩基又は塩基を中和した塩を含むが、上記のように、塩基の使用量が少ないので、反応組成物における塩基又は塩基を中和した塩の含有量も少なくなる。
また、反応組成物は、式(3)で表されるジフラン化合物に加えて、触媒として使用された塩基又は塩基を中和した塩を含むが、上記のように、塩基の使用量が少ないので、反応組成物における塩基又は塩基を中和した塩の含有量も少なくなる。
(式(4)において、R1、R2及びR3は、式(1)及び(3)におけるR1、R2及びR3と同義である。)
具体的には、本発明の反応組成物において、上記反応にて得られた式(3)で表されるジフラン化合物のH−NMRの積分値により算出された含有量は、反応組成物に含まれる残存フルフラール化合物および式(4)で表されるモノフラン化合物の合計に対して20モル倍以上となることが可能であり、好ましくは23モル倍以上、より好ましくは25モル倍以上、さらに好ましくは27モル倍以上となる。なお、残存フルフラール化合物は、上記式(1)で表される化合物である。
また、本発明において、上記塩基は、触媒として使用されるものであり、上記反応において消費されるものではない。したがって、塩基又は塩基を中和した塩の含有量は、反応組成物において仕込みモル量のままであり、反応組成物に含まれるフラン環含有化合物の合計量に対して、0.75モル当量未満となる。そして、塩基又は塩基を中和した塩の上記含有量は、好ましくは0.3モル当量以下、より好ましくは0.1モル当量以下、さらに好ましくは0.07モル当量以下である。また、好ましくは0.01モル当量以上、より好ましくは0.02モル当量以上、さらに好ましくは0.03モル当量以上である。
なお、当該含有量の計算において、モル当量は、各フラン環含有化合物が有するフラン環に応じて計算される。例えば、フルフラール化合物及び上記式(4)で示すモノフラン化合物などのフラン環を1つ有するフラン環含有化合物は1モル当量として算出するとともに、上記式(3)で示すジフラン化合物などのフラン環を2つ有するフラン環含有化合物は2モル当量として算出する。
また、上記反応においては通常、溶媒が使用され、また反応により水が発生するため、反応組成物は、溶媒により希釈されている。なお、溶媒は、上記したとおり、水及びその他の極性プロトン性溶媒が挙げられる。
なお、当該含有量の計算において、モル当量は、各フラン環含有化合物が有するフラン環に応じて計算される。例えば、フルフラール化合物及び上記式(4)で示すモノフラン化合物などのフラン環を1つ有するフラン環含有化合物は1モル当量として算出するとともに、上記式(3)で示すジフラン化合物などのフラン環を2つ有するフラン環含有化合物は2モル当量として算出する。
また、上記反応においては通常、溶媒が使用され、また反応により水が発生するため、反応組成物は、溶媒により希釈されている。なお、溶媒は、上記したとおり、水及びその他の極性プロトン性溶媒が挙げられる。
反応終了後の反応混合液(反応組成物)は、1以上の公知の後処理を行ってもよい。後処理としては、上記した中和処理、又は中和処理以外にも水洗処理、精製処理などが挙げられる。そして、後処理後に次の反応行程を行うとよい。ここで後処理としては、中和処理を行うことが好ましい。また、後処理を行わずに、反応組成物をそのまま次の反応工程に使用してもよい。
反応工程としては、いかなる反応を行なってもよいが、例えば、水素添加反応が挙げられる。水素添加反応は、例えば、白金系触媒、ルテニウム触媒などの金属存在下で行うとよく、より具体的には、非特許文献1などに記載の公知の方法で行うことが可能である。
本発明の反応組成物は、上記したように、塩基の含有量が少なく、かつ不純物も少ない。したがって、後処理を行わずにそのまま水素添加処理などの次の反応工程を行っても、高い反応性で反応を行うことが可能である。また、後処理を行う場合でも、本発明の反応組成物は、塩基の含有量が少なく、かつ不純物も少ないため、後処理を簡単な操作で行うことが可能となり、生産性が良好となる。
反応工程としては、いかなる反応を行なってもよいが、例えば、水素添加反応が挙げられる。水素添加反応は、例えば、白金系触媒、ルテニウム触媒などの金属存在下で行うとよく、より具体的には、非特許文献1などに記載の公知の方法で行うことが可能である。
本発明の反応組成物は、上記したように、塩基の含有量が少なく、かつ不純物も少ない。したがって、後処理を行わずにそのまま水素添加処理などの次の反応工程を行っても、高い反応性で反応を行うことが可能である。また、後処理を行う場合でも、本発明の反応組成物は、塩基の含有量が少なく、かつ不純物も少ないため、後処理を簡単な操作で行うことが可能となり、生産性が良好となる。
本発明で得られたフルフラール化合物は、上記したように水素添加反応、及びその他の種々の反応のいずれか1以上を経て、炭化水素燃料、樹脂原料、熱硬化性樹脂、複合材用バインダーなどの各種の化成品とすることが可能である。
本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
本実施例では、以下のH−NMRスペクトル測定を行った。
[H−NMRスペクトル測定]
日本電子株式会社製NMR測定装置「ECX−400」を用い、重クロロホルムを溶媒として23℃で測定した。TMSを内部標準とし、残存する式(1)で表されるフルフラール化合物(ただし、R1が水素原子。)のアルデヒドのHのピーク(9.66ppm、1H、積分値a)、式(4)で表されるモノフラン化合物(ただし、R1、R2及びR3の全てが水素原子。)由来のHのピーク(6.62ppm、1H、積分値b)およびフルフラール化合物のフラン環由来のピーク(6.63ppm、1H、積分値c)、および式(3)で表されるジフラン化合物(ただし、R1、R2及びR3の全てが水素原子。)由来のピーク(6.92ppm、2H、積分値d)より、フルフラールの転化率およびジフラン化合物(目的物)の収率、反応組成物に含まれる目的物であるジフラン化合物の含有量として、残存するフルフラール化合物およびモノフラン化合物の合計に対するモル倍量も求めた。
ここで計算式としては
フルフラールの転化率=[(1−a/(b+c+d/2))]×100%
ジフラン化合物の収率=[(d/2)/(b+c+d/2)]×100%
ジフラン化合物の含有量=[(d/2)/(b+c)]
である。
[H−NMRスペクトル測定]
日本電子株式会社製NMR測定装置「ECX−400」を用い、重クロロホルムを溶媒として23℃で測定した。TMSを内部標準とし、残存する式(1)で表されるフルフラール化合物(ただし、R1が水素原子。)のアルデヒドのHのピーク(9.66ppm、1H、積分値a)、式(4)で表されるモノフラン化合物(ただし、R1、R2及びR3の全てが水素原子。)由来のHのピーク(6.62ppm、1H、積分値b)およびフルフラール化合物のフラン環由来のピーク(6.63ppm、1H、積分値c)、および式(3)で表されるジフラン化合物(ただし、R1、R2及びR3の全てが水素原子。)由来のピーク(6.92ppm、2H、積分値d)より、フルフラールの転化率およびジフラン化合物(目的物)の収率、反応組成物に含まれる目的物であるジフラン化合物の含有量として、残存するフルフラール化合物およびモノフラン化合物の合計に対するモル倍量も求めた。
ここで計算式としては
フルフラールの転化率=[(1−a/(b+c+d/2))]×100%
ジフラン化合物の収率=[(d/2)/(b+c+d/2)]×100%
ジフラン化合物の含有量=[(d/2)/(b+c)]
である。
実施例1
還流管、メカニカルスターラー、水浴を備えた2Lのセパラブルフラスコに、メタノール260ml(205.4g)、20質量%水酸化ナトリウム水溶液26g(NaOHとして5.2g、0.13mol、0.05モル当量)を投入した。ここへフルフラール249.6g(2.6mol)とアセトン75.5g(1.3mol)との均一混合液を1時間かけて滴下した。フラスコに仕込まれた全成分に対するフルフラール化合物とケトン化合物の合計量は、58.5質量%であった。反応は急激な発熱なく進行し、反応系内の最高到達温度は29℃であった。滴下終了後、さらにそのまま1時間撹拌を継続した。
撹拌終了後の溶液についてH−NMR測定を行ったところ、各積分値の値は、a:b:c:d=0.71:1.10:0.71:100(dを100に設定)であり、フルフラールの転化率98.6%、目的物(ジフラン化合物)のH−NMR基準での収率は96.5%、ジフラン化合物の含有量は27.6モル倍であり、非常に良好な結果であった。
還流管、メカニカルスターラー、水浴を備えた2Lのセパラブルフラスコに、メタノール260ml(205.4g)、20質量%水酸化ナトリウム水溶液26g(NaOHとして5.2g、0.13mol、0.05モル当量)を投入した。ここへフルフラール249.6g(2.6mol)とアセトン75.5g(1.3mol)との均一混合液を1時間かけて滴下した。フラスコに仕込まれた全成分に対するフルフラール化合物とケトン化合物の合計量は、58.5質量%であった。反応は急激な発熱なく進行し、反応系内の最高到達温度は29℃であった。滴下終了後、さらにそのまま1時間撹拌を継続した。
撹拌終了後の溶液についてH−NMR測定を行ったところ、各積分値の値は、a:b:c:d=0.71:1.10:0.71:100(dを100に設定)であり、フルフラールの転化率98.6%、目的物(ジフラン化合物)のH−NMR基準での収率は96.5%、ジフラン化合物の含有量は27.6モル倍であり、非常に良好な結果であった。
実施例2
実施例1と同じ合成装置を用いた。すなわち還流管、メカニカルスターラー、水浴を備えた2Lのセパラブルフラスコに、メタノール520ml(410.8g)、20質量%水酸化ナトリウム水溶液52.1g(NaOHとして10.4g、0.26mol、0.05モル当量)を投入した。ここへフルフラール500g(5.2mol)とアセトン151.2g(2.6mol)との均一混合液を2時間かけて滴下した。フラスコに仕込まれた全成分に対するフルフラール化合物とケトン化合物の合計量は、58.5質量%であった。反応は急激な発熱なく進行し、反応系内の最高到達温度は35℃であった。滴下終了後、さらにそのまま1時間撹拌を継続した。
撹拌終了後の溶液についてH−NMR測定を行ったところ、各積分値の値は、a:b:c:d=1.11:0.84:1.11:100(dを100に設定)であり、フルフラールの転化率97.9%、目的物(ジフラン化合物)のH−NMR基準での収率は96.2%、ジフラン化合物の含有量は25.6モル倍であり、非常に良好な結果であった。
なお、実施例2においては、H−NMR測定後、希硫酸水溶液により中和した。
実施例1と同じ合成装置を用いた。すなわち還流管、メカニカルスターラー、水浴を備えた2Lのセパラブルフラスコに、メタノール520ml(410.8g)、20質量%水酸化ナトリウム水溶液52.1g(NaOHとして10.4g、0.26mol、0.05モル当量)を投入した。ここへフルフラール500g(5.2mol)とアセトン151.2g(2.6mol)との均一混合液を2時間かけて滴下した。フラスコに仕込まれた全成分に対するフルフラール化合物とケトン化合物の合計量は、58.5質量%であった。反応は急激な発熱なく進行し、反応系内の最高到達温度は35℃であった。滴下終了後、さらにそのまま1時間撹拌を継続した。
撹拌終了後の溶液についてH−NMR測定を行ったところ、各積分値の値は、a:b:c:d=1.11:0.84:1.11:100(dを100に設定)であり、フルフラールの転化率97.9%、目的物(ジフラン化合物)のH−NMR基準での収率は96.2%、ジフラン化合物の含有量は25.6モル倍であり、非常に良好な結果であった。
なお、実施例2においては、H−NMR測定後、希硫酸水溶液により中和した。
比較例1
還流管、メカニカルスターラー、水浴を備えた1Lのセパラブルフラスコに、メタノール260ml、フルフラール249.6g(2.6mol)およびアセトン75.5g(1.3mol)を投入した。ここへ20%水酸化ナトリウム水溶液26g(NaOHとして5.2g、0.13mol)を滴下しながら加え反応を進めた。しかし滴下開始後5分を経過する頃から系内の温度は急激に上昇し、約10分で70℃を超え、その後突沸してしまった。このとき水酸化ナトリウム水溶液はまだ半分程度未添加であった。
還流管、メカニカルスターラー、水浴を備えた1Lのセパラブルフラスコに、メタノール260ml、フルフラール249.6g(2.6mol)およびアセトン75.5g(1.3mol)を投入した。ここへ20%水酸化ナトリウム水溶液26g(NaOHとして5.2g、0.13mol)を滴下しながら加え反応を進めた。しかし滴下開始後5分を経過する頃から系内の温度は急激に上昇し、約10分で70℃を超え、その後突沸してしまった。このとき水酸化ナトリウム水溶液はまだ半分程度未添加であった。
比較例2
還流管、メカニカルスターラーを備えた500mlの4口フラスコに、メタノール50ml、20%水酸化ナトリウム水溶液5.0g(NaOHとして1.0g、0.025mol)、フルフラール48.0g(0.5mol)を投入した。ここへアセトン14.5g(0.25mol)を30分かけて滴下した。反応途中の最高温度は46.5℃であった。滴下終了後、さらに1時間撹拌を継続した後、反応溶液についてH−NMR測定を行ったところ、各積分値の値は、a:b:c:d=41.03:0.58:41.03:100(dを100に設定)であり、フルフラールの転化率55.2%、目的物(ジフラン化合物)のH−NMR基準での収率は54.6%、ジフラン化合物の含有量は1.2モル倍であり、反応不十分であった。
この溶液をさらに45℃で1時間加熱した後にH−NMR測定を行ったが、転化率、収率ともに変化はなく、反応不十分な結果となった。
還流管、メカニカルスターラーを備えた500mlの4口フラスコに、メタノール50ml、20%水酸化ナトリウム水溶液5.0g(NaOHとして1.0g、0.025mol)、フルフラール48.0g(0.5mol)を投入した。ここへアセトン14.5g(0.25mol)を30分かけて滴下した。反応途中の最高温度は46.5℃であった。滴下終了後、さらに1時間撹拌を継続した後、反応溶液についてH−NMR測定を行ったところ、各積分値の値は、a:b:c:d=41.03:0.58:41.03:100(dを100に設定)であり、フルフラールの転化率55.2%、目的物(ジフラン化合物)のH−NMR基準での収率は54.6%、ジフラン化合物の含有量は1.2モル倍であり、反応不十分であった。
この溶液をさらに45℃で1時間加熱した後にH−NMR測定を行ったが、転化率、収率ともに変化はなく、反応不十分な結果となった。
Claims (10)
- 下記式(1)で表されるフルフラール化合物と、下記式(2)で表されるケトン化合物を、塩基存在下で反応させて、下記式(3)で示されるジフラン化合物を得るジフラン化合物の製造方法であって、
塩基が仕込まれた反応器に、前記フルフラール化合物と、前記ケトン化合物の両方を30分以上の所定の時間にわたって添加し、かつこれらを添加させながら反応させるとともに、
前記塩基の仕込み量が、前記フルフラール化合物に対して、0.75モル当量未満であるジフラン化合物の製造方法。
(式(1)において、R1は、水素原子、CH3、又はCH2OHを示す。)
(式(2)において、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜4の有機基を示す。R2とR3とは連結して環構造を形成していてもよい。)
(式(3)において、R1、R2及びR3は、式(1)及び(2)におけるR1、R2及びR3と同義である。なお、同一分子内における2つのR1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。) - 前記フルフラール化合物と、前記ケトン化合物の混合物を、前記反応器に添加する請求項1に記載のジフラン化合物の製造方法。
- 前記反応を極性プロトン性溶媒存在下で行う請求項1又は2に記載のジフラン化合物の製造方法。
- 前記極性プロトン性溶媒が、アルコール系溶媒を含む請求項3に記載のジフラン化合物の製造方法。
- 反応温度が、50℃以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
- 前記式(1)〜(3)において、R1、R2及びR3のいずれもが水素原子である請求項1〜5のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
- 前記塩基が、金属水酸化物である請求項1〜6のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
- 前記塩基の仕込み量が、前記フルフラール化合物に対して、0.01モル当量以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
- 前記フルフラール化合物とケトン化合物の添加終了後、さらに前記反応を行う請求項1〜8のいずれか1項に記載のジフラン化合物の製造方法。
- 下記式(3)で表されるジフラン化合物と、塩基もしくは該塩基を中和した塩とを含む反応組成物であって、
前記ジフラン化合物のH−NMRの積分値により算出された含有量が、反応組成物に含まれる残存フルフラール化合物及び式(4)で表されるモノフラン化合物の合計に対して20モル倍以上であるとともに、
前記塩基もしくは該塩基を中和した塩が、中和前の塩基として換算した値として、反応組成物に含まれるフラン環含有化合物に対して、0.75モル当量未満である反応組成物。
(式(3)において、R1は、水素原子、CH3、又はCH2OHを示す。なお、同一分子内における2つのR1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜4の有機基を示す。R2とR3とは連結して環構造を形成していてもよい。)
(式(4)において、R1、R2及びR3は、式(3)におけるR1、R2及びR3と同義である。)
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