JP2019088168A - 誘導電動機パラメータの推定装置,推定方法,インバータシステム - Google Patents

誘導電動機パラメータの推定装置,推定方法,インバータシステム Download PDF

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Abstract

【課題】インバータにおいて所望の制御性能を得られ易くする技術を提供する。【解決手段】データ記録部4およびパラメータ推定部5を備えた推定装置6により、誘導電動機パラメータである一次抵抗Rs,二次抵抗Rr,漏れインダクタンスLσ,励磁インダクタンスLMの各推定値を推定する。データ記録部4は、インバータ2によって駆動制御されるモータ3におけるd軸,q軸電流検出信号、d軸,q軸電圧指令信号v*d,v*q、電気角速度ωr、周波数指令信号ωeのデータを、当該モータ3の駆動制御中に所定のサンプリング時間でN(Nは自然数)個を記録する。パラメータ推定部5は、N個のデータによるモータ3の離散化モデルに基づいて、誘導電動機パラメータの各推定値をそれぞれ導出し、各推定値をインバータのトルク制御部23や電流制御部27にフィードバックする。【選択図】図1

Description

本発明は、誘導電動機パラメータの推定装置,推定方法,インバータシステムに係るものであって、誘導電動機の駆動制御技術に関するものである。
インバータによる誘導電動機の駆動制御においては、誘導電動機パラメータ(例えば一次抵抗,二次抵抗,漏れインダクタンス,励磁インダクタンス)を推定装置により推定し、その推定値をインバータのトルク制御や電流制御にフィードバックする技術が知られている。
例えば、誘導電動機パラメータを運転中のデータ(例えば一次電流、一次電圧、回転速度)から推定する技術としては、磁束オブザーバを用いた推定方法(例えば非特許文献1,特許文献1)や、逐次形最小二乗法を用いる推定方法(例えば特許文献2)等がある。これら推定方法は、時々刻々得られるデータを用いて逐次的に、誘導電動機パラメータを推定する手法(以下、単に逐次的手法と適宜称する)であると言える。
電気学会・センサレスベクトル制御の整理に関する調査専門委員会,「ACドライブシステムのセンサレスベクトル制御」,第1版,株式会社オーム社,平成28年9月25日,187頁〜192頁
特開2014−236611号公報 特開2012−249489号公報
前述のような逐次的手法を単に適用するだけでは、推定装置に係る初期値(設計値等)や推定値の収束を判定するための閾値等を要する他に、例えば、磁束オブザーバを用いた推定方法の場合には当該磁束オブザーバゲイン値を要し、逐次最小二乗法を用いた推定方法の場合には忘却係数値を要することが考えられる。
すなわち、逐次的手法では、推定装置自体に係るパラメータ(誘導電動機パラメータとは異なるパラメータ)の設定を多数必要とする可能性があるものと言える。また、推定装置自体に係るパラメータを適正に設定ができなかった場合には、当該推定装置の推定精度が低下してしまうことも考えられる。そして、前述のような推定装置によって推定した誘導電動機パラメータの推定値を用いてインバータを運転すると、当該インバータにおいて所望の制御性能が得られない可能性があるものと言える。
本発明は、かかる技術的課題を鑑みてなされたものであって、インバータにおいて所望の制御性能を得られ易くすることに貢献可能な技術を提供することにある。
この発明の一態様は、インバータによって駆動制御される誘導電動機におけるd軸,q軸電流検出信号、d軸,q軸電圧指令信号、電気角速度、周波数指令信号のデータを、当該誘導電動機の駆動制御中に所定のサンプリング時間でN(Nは自然数)個を記録するデータ記録部と、N個のデータによる誘導電動機の離散化モデルに基づいて、誘導電動機パラメータである一次抵抗,二次抵抗,漏れインダクタンス,励磁インダクタンスの各推定値をそれぞれ導出するパラメータ推定部と、を備え、パラメータ推定部は、下記式(A)〜(D)を満たす行列Xとベクトルβ,yとに基づいて、βの最小二乗推定値^βを算出し、最小二乗推定値^βの残差の二乗平均値を算出し、二次抵抗を励磁インダクタンスで割って得られる二次抵抗インダクタンス比において、残差の二乗平均値が最小となる値を算出することにより、誘導電動機パラメータの各推定値を導出することを特徴とする誘導電動機パラメータの推定装置である。
なお、式(A)〜(D)において、Rsは一次抵抗、Rrは二次抵抗、Lσは漏れインダクタンス、LMは励磁インダクタンス、Iは2×2の単位行列、Jはベクトルを90°回転させる行列([0,1]T,[−1,0]T)、KRMは二次抵抗Rrを励磁インダクタンスLMで割って得られる二次抵抗インダクタンス比、ωslは周波数指令信号ωeと電気角速度ωrとの差分、Tsは離散化に用いるサンプリング時間であって隣り合う時刻(サンプリング時刻kとサンプリング時刻k+1)の時間差、φrは二次磁束、^βはベクトルβの最小二乗推定値、rerrは残差、-rerrは残差rerrの二乗平均値。
Figure 2019088168
Figure 2019088168
Figure 2019088168
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前述のインバータは、誘導電動機の回転速度に基づき当該誘導電動機の機械角速度を検出する機械角速度検出部と、外部からの速度指令信号と、機械角速度と、に基づき誘導電動機のトルク指令信号を出力する速度制御部と、機械角速度を電気角速度に変換する角速度変換部と、トルク指令信号と、電気角速度と、誘導電動機パラメータの各推定値と、に基づきd軸,q軸電流指令信号および周波数指令信号を出力するトルク制御部と、周波数指令信号を積分して電気角を算出する積分部と、周波数指令信号と、電流制御の周期の1.5倍値と、の積を算出する周波数・周期乗算部と、インバータの出力側の三相電流検出信号を積分部からの電気角に基づきd軸,q軸電流検出信号に変換する検出信号座標変換部と、d軸,q軸電流指令信号と、d軸,q軸電流検出信号と、誘導電動機パラメータの各推定値と、に基づきd軸,q軸電圧指令信号を出力する電流制御部と、積分部が算出した電気角と、周波数・周期乗算部の算出値と、の和に基づきd軸,q軸電圧指令信号を三相電圧指令信号に変換する指令信号座標変換部と、三相電圧指令信号に基づきパルス幅変調を行い生成した三相交流電圧を誘導電動機に出力するパルス幅変調部と、を備えたものであっても良い。
インバータに備えられるトルク制御部において、外部からの磁束指令信号と、励磁インダクタンスの逆数と、の積を算出してd軸電流指令信号を出力するd軸電流指令用乗算部と、トルク指令信号を磁束指令信号と極対数との積で割ってq軸電流指令信号を出力するq軸電流指令用除算部と、q電流指令信号をd軸電流指令信号で割った値と、二次抵抗インダクタンス比と、の積に電気角速度を加算して周波数指令信号を出力する周波数指令用加算部と、を備えているものであっても良い。
他の態様は、インバータによって誘導電動機を駆動制御するインバータシステムであって、前述の誘導電動機パラメータの推定装置を備え、当該誘導電動機パラメータの推定装置が導出した各推定値をインバータのトルク制御および電流制御のうち少なくとも何れか一方にフィードバックすることを特徴とするものである。
また、他の態様は、インバータによって駆動制御される誘導電動機におけるd軸,q軸電流検出信号、d軸,q軸電圧指令信号、電気角速度、周波数指令信号のデータを、当該誘導電動機の駆動制御中に所定のサンプリング時間でN(Nは自然数)個を記録する過程と、N個のデータによる誘導電動機の離散化モデルに基づいて、誘導電動機パラメータである一次抵抗,二次抵抗,漏れインダクタンス,励磁インダクタンスの各推定値をそれぞれ導出する過程と、を有し、導出する過程は、前述の式(A)〜(D)を満たす行列Xとベクトルβ,yとに基づいて、βの最小二乗推定値^βを算出し、最小二乗推定値^βの残差の二乗平均値を算出し、二次抵抗を励磁インダクタンスで割って得られる二次抵抗インダクタンス比において、残差の二乗平均値が最小となる値を算出することにより、誘導電動機パラメータの各推定値を導出することを特徴とする誘導電動機パラメータの推定方法である。
以上示したように本発明によれば、インバータにおいて所望の制御性能を得られ易くすることに貢献可能となる。
本実施形態によるインバータシステムの一例を示す概略構成図。 トルク制御部23の一例を示す概略説明図。 電流制御部27の一例を示す概略説明図。 式(1)(2)(3)の関係を示す概略説明図。 誘導電動機駆動シミュレーションから得られた推定用時系列データ特性図。 残差二乗平均値-rerrの変化特性図。 誘導電動機パラメータRs,Rr,Lσ,LMの推定値特性図。
本発明の実施形態における誘導電動機パラメータの推定装置,推定方法,インバータシステムは、逐次的手法を単に適用するものとは全く異なるものである。
すなわち、本実施形態においては、誘導電動機におけるd軸,q軸電流検出信号(is)、d軸,q軸電圧指令信号(vs)、電気角速度(ωr)、周波数指令信号(ωe)のデータN(Nは自然数)個を、当該誘導電動機の駆動制御中に所定のサンプリング時間でサンプリングし、そのN個のデータによる誘導電動機の離散化モデルに基づいて、誘導電動機パラメータである一次抵抗(Rs),二次抵抗(Rr),漏れインダクタンス(Lσ),励磁インダクタンス(LM)の各推定値を推定するものである。
この推定においては、前述した式(A)〜(D)を満たす行列Xとベクトルβ,yとに基づいて(具体的には、例えば後述の式(1)〜(13)に基づいて)、βの最小二乗推定値^βの残差(rerr)の二乗平均値(-rerr)を算出し、その二乗平均値を最小とする二次抵抗インダクタンス比(KRM=Rr/LM)を探索する。
このような本実施形態によれば、N個のデータに基づいた最小二乗推定法による推定を実施して誘導電動機パラメータの推定値を導出することができるため、逐次的手法による推定方法に比べて、ノイズによる駆動制御への影響を抑制することができる。
また、βの最小二乗推定値^βの残差については、サンプリングしたN個のデータから一意に算出することができるため、例えば逐次的手法のように推定装置自体のパラメータに依存することなく、誘導電動機パラメータの推定値を導出することが可能となる。
ゆえに、良好な推定精度(信頼性)で誘導電動機パラメータの推定値を導出することができ、誘導電動機を駆動制御するインバータにおいて所望の制御性能を得られ易くなる。
本実施形態の誘導電動機パラメータの推定装置等は、前述のようにN点のデータに基づいた最小二乗推定法による推定を実施して誘導電動機パラメータの推定値を導出することが可能な構成であれば、種々の分野(例えば各種設備でインバータ技術や誘導電動機技術等の分野)の技術常識を適宜適用して設計することが可能であり、その一例として以下に示すものが挙げられる。
≪本実施形態によるインバータシステムの構成例≫
図1に示す本実施形態の実施例であるインバータシステム1は、複数の機能部(詳細を後述する)を有し誘導電動機仕様のモータ3を駆動制御するインバータ2と、データ記録部4およびパラメータ推定部5を有した推定装置6と、を備えた構成となっている。インバータ2とモータ3とは、三相電線31を介して接続され、当該モータ3は負荷32にカップリングされた構成となっている。
インバータ2が有する各機能部のうち、検出部20は、例えばエンコーダ33等を介して検出されるモータ3の回転速度に基づき、当該モータ3の機械角速度を検出するものである。速度制御部21は、外部からの速度指令信号と機械角速度とに基づき、モータ3のトルク指令信号を出力するものである。角速度変換部22は、前記機械角速度を電気角速度ωrに変換するものである。
トルク制御部23は、誘導電動機パラメータである一次抵抗Rs,二次抵抗Rr,漏れインダクタンスLσ,励磁インダクタンスLM(以下、纏めて単に誘導電動機パラメータと適宜称する)の各推定値と、トルク指令信号および電気角速度ωrと、に基づきd軸,q軸電流指令信号(一次電流指令信号)i* d,i* qおよび周波数指令信号ωeを出力するものである。
積分部24は、トルク制御部23からの周波数指令信号ωeの時系列信号を積分して電気角θeを算出するものである。周波数・周期乗算部25は、トルク制御部23からの周波数指令信号ωeと電流制御の周期Tsの1.5倍値との積を算出するものである。
検出信号用座標変換部26は、インバータ2の出力側で検出された三相電流検出信号iu,iv,iwを、積分部24からの電気角θeに基づき、d軸,q軸電流検出信号(一次電流検出信号)id,iqに変換するものである。三相電流検出信号iu,iv,iwは、例えば三相電線31に付帯された電流センサ34により検出することが挙げられる。
電流制御部27は、誘導電動機パラメータの各推定値と、トルク制御部23からのd軸,q軸電流指令信号i* d,i* qおよび検出信号用座標変換部26からのd軸,q軸電流検出信号id,iqと、に基づきd軸,q軸電圧指令信号v* d,v* qを算出するものである。
指令信号用座標変換部28は、電流制御部27からのd軸,q軸電圧指令信号v* d,v* qを、積分部24からの電気角θeと周波数・周期乗算部25からの積の値との和に基づき、三相電圧指令信号v* u,v* v,v* wに変換するものである。パルス幅変調部29(以下、PWM部29)は、指令信号用座標変換部28から供される三相電圧指令信号v* u,v* v,v* wに基づき、パルス幅変調(PWM)を行い生成した三相交流電圧をモータ3に出力するものである。
データ記録部4は、インバータ2によって駆動制御されるモータ3におけるd軸,q軸電流検出信号、d軸,q軸電圧指令信号v* d,v* q、電気角速度ωr、周波数指令信号ωeのデータを、当該モータ3の駆動制御中に所定のサンプリング時間(例えば時刻kと時刻k+1との時間差)でN(Nは自然数)個を記録するものである。
パラメータ推定部5は、N個のデータによるモータ3の離散化モデルに基づいて、誘導電動機パラメータの各推定値をそれぞれ導出し、各推定値をインバータのトルク制御部23や電流制御部27にフィードバックするものである。
<トルク制御部23の具体例>
トルク制御部23においては、種々の態様を適用することが可能であるが、その一例として図2に示すような構成が挙げられる。図2において、d軸電流指令用乗算部231は、外部からの磁束指令信号と、励磁インダクタンスLMの逆数と、の積を算出してd軸電流指令信号i* dを出力するものである。
q軸電流指令用除算部232は、トルク指令信号を磁束指令信号および極対数の積で割ってq軸電流指令信号i* qを出力するものである。周波数指令用加算部233は、q軸電流指令信号i* qをd軸電流指令信号i* dで割った値と、二次抵抗インダクタンス比(KRM=Rr/LM)と、の積に電気角速度ωrを加算して周波数指令信号ωeを出力するものである。
<電流制御部27の具体例>
電流制御部27においては、種々の態様を適用することが可能であるが、その一例として図3に示すような構成が挙げられる。なお、図3中では電流,電圧をベクトルで表記してあり、説明の便宜上、電流is=[id,iqT、電圧vs=[vd,vqTと示す(図3中の式も同様)。添え字kはディジタル電流制御のサンプリング時刻を表す。
図3において、電流予測部271は、現在の時刻に計測されたd軸,q軸電流検出信号と、前回のd軸,q軸電圧指令信号と、前回のd軸,q軸外乱電圧推定信号と、からモータ3の離散化モデルに基づく演算により次の時刻k+1のd軸,q軸電流予測信号を算出する。
すなわち、電流予測部271は、図中の電流予測部271内の式に基づいて、現在の時刻のd軸,q軸電流検出信号is,kと、前回のd軸,q軸電圧指令信号v* s,kと、前回のd軸,q軸外乱電圧推定値^vl,kと、から1サンプル後(次の時刻k+1)の電流予測信号^is,k+1を算出するものである。なお、電流予測部271内の式において、Tsはディジタルd軸,q軸電流制御の周期である。
外乱電圧推定部272は、電流予測部271から供された次の時刻k+1のd軸,q軸電流予測値^is,k+1と、モータ3の一次抵抗Rs及び磁束φrと、周波数指令信号ωeと、に基づき当該次の時刻k+1のd軸,q軸外乱電圧推定値^vl,k+1を算出する。
すなわち、外乱電圧推定部272は、図中の外乱電圧推定部272内の式に基づいて、d軸,q軸電流予測値^is,k+1と、角速度変換部22から供された周波数指令信号ωeと、から次の時刻k+1のd軸,q軸外乱電圧推定値^vl,k+1を算出するものである。なお、外乱電圧推定部272内の式において、φrは二次磁束である。
電圧指令計算部273は、図中の電圧指令計算部273内の式に基づいて、外乱電圧推定部272で算出された次の時刻のd軸,q軸外乱電圧推定値^vl,k+1と、モータ3のd軸,q軸電流指令信号i* s,kと、次の時刻のd,q軸電流予測値^is,k+1と、に基づき以下の式(4)の演算により当該次の時刻のd軸,q軸電圧指令信号v* sを算出するものである。
<推定装置6の具体例>
推定装置6においては、種々の態様を適用することが可能である。その一例としては、下記式(1)〜(13)に基づいて、時刻k=1,2,…,NのN点のデータセットから誘導電動機パラメータRs,Rr,Lσ,LM等を推定することが可能な構成が挙げられる。
まず、時刻k+1、時刻kのデータから行列Xk+1を下記式(1)のように計算する。
Figure 2019088168
ここで、式(1)のIは2×2の単位行列、Jはベクトルを90°回転させる行列[[0,1]T,[−1,0]T]、ωslはωeとωrの差である。Tsは、離散化に用いるサンプリング時間であり、隣り合う時刻(例えば時刻kと時刻k+1)の時間差である。X11,k+1、X12,k+1、X21,k+1、X22,k+1は、2行2列の行列となる。
続いて、時刻k+1,時刻kのデータから、行列Xp,k+1を下記式(2)のように計算する。
Figure 2019088168
式(2)において、is,kは、d軸成分電流id,kとq軸成分電流iq,kからなるベクトルであり、下記式(2a)が成り立つ。
Figure 2019088168
つまり、is,k、is,k+1は2行1列の行列となり、Xp1,k+1、Xp2,k+1は2行3列の行列となる。
続いて時刻k=1,2,…,NのN点のデータセットから行列Xを次のように計算する。
Figure 2019088168
式(3)のXは、4(N−1)行、2N+3列の行列となる。なお、式(1)(2)(3)の関係を図示すると、図4の通りとなる。
続いて、時刻k+1、時刻kのデータから、ベクトルyk+1を下記式(4)のように計算する。
Figure 2019088168
式(4)において、vs,kはd軸成分電圧指令信号v* d,kとq軸成分電流v* q,kからなるベクトルであり、下記式(4a)となる。
Figure 2019088168
つまり、y1,k+1、y2,k+1は2行1列の行列であり、yk+1は4行1列の行列となる。
続いて、時刻k=1,2,…,NのN点のデータセットからベクトルyを下記式(5)のように計算する。
Figure 2019088168
つまり、ベクトルyは4(N−1)行1列の行列となる。時刻1からNまでの二次磁束φrと誘導電動機パラメータRs、Rr、Lσから成るベクトルβを下記式(6)のようにおく。
Figure 2019088168
なお、φr,1,…,φr,N-1,φr,Nは、それぞれ一次電圧指令信号vs,一次電流信号isと同様に、d軸成分とq軸成分を持つベクトル(2行1列の行列)である。一方、誘導電動機パラメータRs,Rr,Lσはスカラー量である。よって、ベクトルβは、(2N+3)行1列の行列となる。
以上より、行列X、ベクトルβ,yの関係は、下記式(7)のようになる。
Figure 2019088168
このとき、ベクトルβの最小二乗推定値^βは、下記式(8)で求まる。
Figure 2019088168
ベクトル^βもベクトルβと同様に、(2N+3)行1列の行列となる。
次に、最小二乗推定の残差rerr(ベクトル量)については、下記式(9)で求まる。
Figure 2019088168
最小二乗推定の残差rerrは、ベクトルyと同様に、下記式(9a)に示すような4(N−1)行1列の行列となる。
Figure 2019088168
残差rerrの二乗平均値を-rerrとすると、-rerrは、最小二乗推定の残差rerrの各行の値の二乗の総和(=rerr(1)*rerr(1)+…+rerr(4N−1)*rerr(4N−1))を行数(=4(N−1))で除算した値となる。また、式(1)(3)により、XはKRMの関数であるため、-rerrはKRMの関数となっている。
そこで、-rerrを最小とするKRMを一次元最適化の手法を用いて探索する。一次元最適化の手法については、例えば黄金分割法やNelder-Mead法など種々の方法を適用することが可能であり、特に限定されるものではない。
ここで、-rerrを最小とするKRM、および当該KRMがその最小の値をとる時に推定される誘導電動機パラメータRs,Rr,Lσ,LMを、N点のデータから推定される推定値とする。
一次電流isと二次磁束φrで表した誘導電動機のT-I型等価回路の方程式は、下記式(10)で表される。
Figure 2019088168
ここで、pは微分演算子、vsは一次電圧、isは一次電流である。式(10)のうち、既知の(計測できる)値は、vs、is、ωe、ωsl=(ωe−ωr)である。一方、未知の(推定したい)値は、誘導電動機パラメータRs,Rr,Lσと、二次抵抗インダクタンス比KRMと、二次磁束φr=[φr,d,φr,qTである。LMは、RrとKRMを推定すれば求まる。
なお、本発明では、一次電圧vsには、図1に示すように電流制御部が出力するd軸電圧指令信号v* dとq軸電圧指令信号v* qを適用する。
式(10)を双一次変換によってサンプリング時間Tsで離散化する。離散化した式は隣り合う2つの時刻の変数の関係式で表される。離散化した式を時刻k+1と時刻kで表すと下記式(11)のようになる。
Figure 2019088168
時刻[1,2]から時刻[N−1,N]までの関係式を並べると、下記式(12)の通りとなる。
Figure 2019088168
式(12)の左辺をベクトル[φr,1,φr,2,φr,3,…,φr,N-1,φr,N,Rs,Rr,LσTでまとめると、下記式(13)を得ることができる。
Figure 2019088168
以上より、行列X、ベクトルy、ベクトルβの関係式は式(7)のようになり、βの最小二乗推定^βは式(8)で与えられることが判る。
そして、推定したい未知数はβとKRMである。式(1)から判るように、行列XはKRMの関数になっている。従って、βを推定した時の残差rerrの二乗平均値-rerrが最小となるようなKRMを一次元探索すれば、式(7)の二乗誤差を最小とするようなβとKRMの推定値を求めることができる。
さらに、式(7)の行列Xに二乗誤差-rerrを最小とするKRMを代入して、βを解くことによって(β=X-1y)、誘導電動機パラメータRs,Rr,Lσを求めることができる。また誘導電動機パラメータLMは、LM=Rr/KRMの式により算出される。
さらに、以上のような方式で推定した誘導電動機パラメータRs,Rr,Lσ,LMを、図1のインバータシステム1におけるインバータ2のトルク制御部23と電流制御部27にフィードバックすることで、モータ3を高精度運転することができる。この場合、既に最適なパラメータが推定されているため、図1のデータ記録部4とパラメータ推定部5を動作させない。
<シミュレーションの一例>
図5〜図7は、推定装置6によりモータ3の誘導電動機パラメータの推定値を推定した結果の一例を示すものである。まず、図5は、所望の誘導電動機駆動シミュレーションから得られた推定用時系列データを示すものであって、推定装置6のデータ記録部4に記録されるものである。この推定用時系列データとKRMにより、行列Xとベクトルyが決まることとなる。
図6は、KRMを真値±50%の範囲で5%毎に変化させたときの残差二乗平均値-rerrの変化特性を示すものである。この図6においては、横軸がKRMの真値からの変化割合(=KRMの推定値/KRMの真値)であり、真値(変化割合=1)の時に残差二乗平均値が最小になっていることが読み取れる。
図7は、横軸を図6と同様にKRMの真値からの変化割合であり、縦軸を誘導電動機パラメータRs,Rr,Lσ,LMの推定値とした場合の特性図である。前述したように図6で残差が最小となるのはKRMの真値からの変化割合が「1」の時であるため、図7の横軸の値が「1」に該当する値を、誘導電動機パラメータRs,Rr,Lσ,LMの推定値とすることにより、当該推定値が真値に略一致することが読み取れる。
ゆえに、図5〜図7の結果においては、推定装置6を用いた誘導電動機パラメータの推定の妥当性が示されていることが判る。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変更等が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変更等が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
例えば、図1では誘導電動機パラメータの各推定値をトルク制御部23および電流制御部24の両方にフィードバックする構成となっているが、当該両者の何れか一方のみにフィードバックする構成であっても、同様の作用効果を奏する可能性がある。
1…インバータシステム
2…インバータ
23…トルク制御部
24…電流制御部
3…モータ
4…データ記録部
5…パラメータ推定部
6…推定装置

Claims (5)

  1. インバータによって駆動制御される誘導電動機におけるd軸,q軸電流検出信号、d軸,q軸電圧指令信号、電気角速度、周波数指令信号のデータを、当該誘導電動機の駆動制御中に所定のサンプリング時間でN(Nは自然数)個を記録するデータ記録部と、
    N個のデータによる誘導電動機の離散化モデルに基づいて、誘導電動機パラメータである一次抵抗,二次抵抗,漏れインダクタンス,励磁インダクタンスの各推定値をそれぞれ導出するパラメータ推定部と、を備え、
    パラメータ推定部は、下記式(A)〜(D)を満たす行列Xとベクトルβ,yとに基づいて、βの最小二乗推定値^βを算出し、最小二乗推定値^βの残差の二乗平均値を算出し、二次抵抗を励磁インダクタンスで割って得られる二次抵抗インダクタンス比において、残差の二乗平均値が最小となる値を算出することにより、誘導電動機パラメータの各推定値を導出することを特徴とする誘導電動機パラメータの推定装置。
    式(A)〜(D)において、Rsは一次抵抗、Rrは二次抵抗、Lσは漏れインダクタンス、LMは励磁インダクタンス、Iは2×2の単位行列、Jはベクトルを90°回転させる行列([0,1]T,[−1,0]T)、KRMは二次抵抗Rrを励磁インダクタンスLMで割って得られる二次抵抗インダクタンス比、ωslは周波数指令信号ωeと電気角速度ωrとの差分、Tsは離散化に用いるサンプリング時間であって隣り合う時刻(サンプリング時刻kとサンプリング時刻k+1)の時間差、φrは二次磁束、^βはベクトルβの最小二乗推定値、rerrは残差、-rerrは残差rerrの二乗平均値。
    Figure 2019088168
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  2. インバータは、
    誘導電動機の回転速度に基づき当該誘導電動機の機械角速度を検出する機械角速度検出部と、
    外部からの速度指令信号と、機械角速度と、に基づき誘導電動機のトルク指令信号を出力する速度制御部と、
    機械角速度を電気角速度に変換する角速度変換部と、
    トルク指令信号と、電気角速度と、誘導電動機パラメータの各推定値と、に基づきd軸,q軸電流指令信号および周波数指令信号を出力するトルク制御部と、
    周波数指令信号を積分して電気角を算出する積分部と、
    周波数指令信号と、電流制御の周期の1.5倍値と、の積を算出する周波数・周期乗算部と、
    インバータの出力側の三相電流検出信号を積分部からの電気角に基づきd軸,q軸電流検出信号に変換する検出信号座標変換部と、
    d軸,q軸電流指令信号と、d軸,q軸電流検出信号と、誘導電動機パラメータの各推定値と、に基づきd軸,q軸電圧指令信号を出力する電流制御部と、
    積分部が算出した電気角と、周波数・周期乗算部の算出値と、の和に基づきd軸,q軸電圧指令信号を三相電圧指令信号に変換する指令信号座標変換部と、
    三相電圧指令信号に基づきパルス幅変調を行い生成した三相交流電圧を誘導電動機に出力するパルス幅変調部と、
    を備えていることを特徴とする請求項1記載の誘導電動機パラメータの推定装置。
  3. インバータに備えられるトルク制御部において、
    外部からの磁束指令信号と、励磁インダクタンスの逆数と、の積を算出してd軸電流指令信号を出力するd軸電流指令用乗算部と、
    トルク指令信号を磁束指令信号と極対数との積で割ってq軸電流指令信号を出力するq軸電流指令用除算部と、
    q電流指令信号をd軸電流指令信号で割った値と、二次抵抗インダクタンス比と、の積に電気角速度を加算して周波数指令信号を出力する周波数指令用加算部と、
    を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の誘導電動機パラメータの推定装置。
  4. インバータによって誘導電動機を駆動制御するインバータシステムであって、請求項1〜3のうち何れかに記載の誘導電動機パラメータの推定装置を備え、当該誘導電動機パラメータの推定装置が導出した各推定値をインバータのトルク制御および電流制御のうち少なくとも何れか一方にフィードバックすることを特徴とするインバータシステム。
  5. インバータによって駆動制御される誘導電動機におけるd軸,q軸電流検出信号、d軸,q軸電圧指令信号、電気角速度、周波数指令信号のデータを、当該誘導電動機の駆動制御中に所定のサンプリング時間でN(Nは自然数)個を記録する過程と、
    N個のデータによる誘導電動機の離散化モデルに基づいて、誘導電動機パラメータである一次抵抗,二次抵抗,漏れインダクタンス,励磁インダクタンスの各推定値をそれぞれ導出する過程と、を有し、
    導出する過程は、
    下記式(A)〜(D)を満たす行列Xとベクトルβ,yとに基づいて、βの最小二乗推定値^βを算出し、最小二乗推定値^βの残差の二乗平均値を算出し、二次抵抗を励磁インダクタンスで割って得られる二次抵抗インダクタンス比において、残差の二乗平均値が最小となる値を算出することにより、誘導電動機パラメータの各推定値を導出することを特徴とする誘導電動機パラメータの推定方法。
    なお、式(A)〜(D)において、Rsは一次抵抗、Rrは二次抵抗、Lσは漏れインダクタンス、LMは励磁インダクタンス、Iは2×2の単位行列、Jはベクトルを90°回転させる行列([0,1]T,[−1,0]T)、KRMは二次抵抗Rrを励磁インダクタンスLMで割って得られる二次抵抗インダクタンス比、ωslは周波数指令信号ωeと電気角速度ωrとの差分、Tsは離散化に用いるサンプリング時間であって隣り合う時刻(サンプリング時刻kとサンプリング時刻k+1)の時間差、φrは二次磁束、^βはベクトルβの最小二乗推定値、rerrは残差、-rerrは残差rerrの二乗平均値。
    Figure 2019088168
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