JP2019079593A - 有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性が高く、寸法精度の高いパターニングが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法、及び、パターニング装置を提供する。【解決手段】マスク10を介して有機エレクトロルミネッセンス素子11の有機機能層に光照射してパターンを形成する有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法であって、マスクは有機エレクトロルミネッセンス素子と間隙hを有して配置され、間隙に気流発生部8から気体9を流しながら光照射する。【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置に関し、より詳しくは、生産性が高く、寸法精度の高いパターニングが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置に関する。
現在、薄型の発光デバイスとして有機発光パネルが注目されている。例えば、有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)を利用した有機発光素子(以下「有機EL素子」ともいう。)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能であり、低電力で高い輝度を得ることができ、視認性、応答速度、寿命、消費電力の点で優れ、薄型、軽量にできるといった多くの優れた特徴を有している。このため、有機EL素子をパネルとして用いた各種ディスプレイや、そのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体が近年注目されている。
このような有機ELパネルは、2枚の電極間に有機材料からなる発光層が配置された構成を有し、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成され、透明電極側から発光光が取り出される。
有機ELパネルをディスプレイ用途に用いるため、有機EL素子の有機機能層にマスクを介して紫外線を照射し、照射された領域の発光効率を低下させ、パターンを形成する製造方法が知られている(特許文献1参照。)。しかし、パネルの大画面化やパネル製造の高い生産性などの要望から、パターンを形成するために多量の紫外線を照射すると、マスクの遮光膜の温度が上昇し、マスクに熱変形が生じてしまい、正確なパターニングが困難となるという問題が顕在化してきた。先行文献1には高放射照度で露光した時のマスクの熱変形抑制方法についての記載がない。
また、紫外線が照射された領域の発光効率が低下する現象には相反則不軌特性があり、同じ積算光量でも照射パワー密度(放射照度)の高い方が、発光効率の低下速度が速くなることが知られている(特許文献2参照。)。
しかしながら、タクトタイムを短縮するため、この相反則不軌特性を利用して高放射照度で有機EL素子にプロミキシティ露光で光照射を行う場合、紫外光を吸収し高温となったマスクの遮光膜(例えばCr(クロム)の薄膜)の熱の逃げ場がないためにマスクの熱変形が発生し、正確なパターニングができないという問題が生じる。
一方、光照射に伴うマスクの発熱問題を軽減するため、特許文献3には、プロキシミティ露光においてマスクに空気を吹き付けて冷却する手法が記載されている。しかしながら、特許文献3に記載の冷却方法では、ガラス基板(被パターン形成体、本発明では有機EL素子に相当。)とは反対側のマスク面に、つまり光照射側から空気を吹き付けている。従って、この手法でマスクの遮光膜を冷却するには、マスクを構成する遮光膜を、マスク基材を介して光源側に向ける必要があり、遮光膜と被露光体である有機EL素子との間隔が拡大してしまい、光照射の際ボケが発生してしまうという問題があった。
したがって、これらの方法では、有機EL素子に光照射してパターンを形成する際のマスクの寸法安定性を確保するには不十分であり、より効率的な冷却方法が望まれていた。
特許第2800935号公報 国際公開第2014/175135号 特開平11−26364号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、生産性が高く、寸法精度の高いパターニングが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法を提供することである。また、有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、マスクを有機EL素子と間隙を有して配置して光照射(プロキシミティ露光)してパターニングを行う場合、マスクと有機EL素子の間に空気を流して遮光膜を直接冷却しながら光照射することで、高放射照度の光照射でもマスクの変形を抑えた正確なパターニングが可能となることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.マスクを介して有機エレクトロルミネッセンス素子の有機機能層に光照射してパターンを形成する有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法であって、前記マスクは前記有機エレクトロルミネッセンス素子と間隙を有して配置され、前記間隙に気流発生部から気体を流しながら前記光照射することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法。
2.前記マスクは遮光膜を有し、前記遮光膜側は有機エレクトロルミネッセンス素子に対向して配置されていることを特徴とする第1項に記載のパターニング方法。
3.前記気流発生部が、スリット状の吹き付け部を備えたものであることを特徴とする第1項又は第2項に記載のパターニング方法。
4.前記気流発生部が、ノズル状の吹き付け部を備えたものであることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のパターニング方法。
5.前記マスクと前記有機エレクトロルミネッセンス素子との前記間隙が、20〜300μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のパターニング方法。
6.前記有機エレクトロルミネッセンス素子に前記光照射を間欠的に行うことを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載のパターニング方法。
7.光源部、前記光源部からの光をパターン化して有機エレクトロルミネッセンス素子に照射するためのマスク及び気流発生部を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置であって、前記マスクは前記有機エレクトロルミネッセンス素子と間隙を有して配置され、前記光照射するとき、前記間隙に前記気流発生部からの気体を吹き付ける手段を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置。
本発明の上記手段により、生産性が高く、寸法精度の高いパターニングが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法を提供することができる。また、有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。有機EL素子の有機機能層に光照射してパターンを形成するパターニング方法において、本発明では、マスクを前記有機EL素子と間隙を有して配置し、光照射(プロキシミティ露光)を行う際マスクと有機EL素子の間に空気を流して遮光膜を直接冷却するため、冷却効果が高く高放射照度でもマスク変形を抑えた正確なパターニングが可能となると推察される。さらに有機EL素子も空冷されるので、有機EL素子の熱的ダメージも抑制できるという利点も有する。
本発明のパターニング装置の一例の概念図 マスクを有機EL素子表面から間隙hだけ離して配置した状態で光を照射した場合の断面図の一例 マスクを有機EL素子表面から間隙hだけ離して配置した状態で光を照射した場合の断面図の他の一例 スリット状の先端を有する気流発生部の一例の側面図 ノズル状の先端を有する気流発生部の一例の概念図 冷却台の概念図の一例 有機EL素子の一例の断面図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法は、マスクを介して有機エレクトロルミネッセンス素子の有機機能層に光照射してパターンを形成する有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法であって、前記マスクは前記有機エレクトロルミネッセンス素子と間隙を有して配置され、前記間隙に気流発生部から気体を流しながら前記光照射することを特徴とする。この特徴は各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記マスクは遮光膜を有し、前記遮光膜側は有機エレクトロルミネッセンス素子に対向して配置されていることが、マスクを効果的に冷却する観点から好ましい。また、前記気流発生部が、スリット状やノズル状の吹き付け部を備えたものであることが、マスクの熱変形をより軽減するうえで好ましい。
さらに、本発明においては、マスクと前記有機エレクトロルミネッセンス素子との前記間隙が、20〜300μmの範囲内であることが好ましい。これにより、冷却効率を上げ、かつ光照射の際ボケを防止することができる。
また、本発明においては、マスクの熱変形をより軽減するうえで、有機エレクトロルミネッセンス素子に前記光照射を間欠的に行うことが好ましい。
さらに、上記方法を可能にする有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置としては、光源部、前記光源部からの光をパターン化して有機エレクトロルミネッセンス素子に照射するためのマスク及び気流発生部を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置であって、前記マスクは前記有機エレクトロルミネッセンス素子と間隙を有して配置され、前記光照射するとき、前記間隙に前記気流発生部からの気体を吹き付ける手段を有することが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《有機EL素子のパターニング方法の概要》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法は、マスクを介して有機エレクトロルミネッセンス素子の有機機能層に光照射してパターンを形成する有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法であって、前記マスクは前記有機エレクトロルミネッセンス素子と間隙を有して配置され、前記間隙に気流発生部から気体を流しながら前記光照射することを特徴とする。マスクと有機EL素子の間に気体を流して遮光膜を直接冷却するため、冷却効果が高く高放射照度でもマスク変形を抑えた正確なパターニングが可能となる。さらに有機EL素子も空冷されるので、有機EL素子の熱的ダメージも抑制することができ、高放射照度で光照射してもマスクの温度上昇が抑えられ正確なパターニングが可能となる。
以下に本発明の実施形態の一例を図面を用いて説明する。図1は、本発明のパターニング装置の一例の概念図である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置1は、光源部2、前記光源部からの照射光7をパターン化して有機エレクトロルミネッセンス素子11に照射するためのマスク10及び気流発生部8を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置であって、前記マスク10は前記有機エレクトロルミネッセンス素子11と間隙hを有して配置され、前記光照射するとき、前記間隙hに前記気流発生部8からの気体を吹き付ける手段を有することを特徴とする。
図1で示される態様においては、光源部2は光源であるLED4aとLED基板4bとを備えたLED光源4を有している。光源部2は、さらに光源で発生した熱を外部に逃がす放熱板3、光源から出射した発散光を所定の広がり角の光束に整形するレンズアレイ5やカバー6を備えることができる。光源からの光照射は、放射照度を高くして相反則不軌特性を利用するとともに、間欠的に行われることが好ましい。間欠的に行われる光照射の光量と時間の制御は、図示されない制御部において調整することができる。
有機EL素子11は、これを載置する台として冷却機能を有する冷却台12に載置されることが好ましい。さらに、マスク10、は有機EL素子11と所定の間隙hを空けて配置されている。半導体や液晶表示装置などの回路製造に用いられるプロキシミティ露光装置と同様に、マスク10はマスクホルダー(不図示)に固定されており、マスクホルダーに備えられたX、Y、Z、XY面内の回転及びチルト調整機構により、マスク10が有機EL素子に対して所定の位置に調整配置されることが好ましい。マスクホルダーにはマスク冷却気体を流し込むことができるように開口部が設けられていることが好ましい。
本発明では気流発生部8から、気体9をマスク10と有機EL素子11の間隙hに吹き付け、マスク10と素子11を空冷する。気体9出口側に気体吸引部14を設けることにより、より確実に間隙hに気体を流すとともに温度上昇した気体を排気することが望ましい。気流発生部8としては、層状に気体を発生でき、マスク面を一様に冷却できる点で、スリット状の吹き付け部を備えたものが望ましい。
基材10aと遮光膜10bとを有するマスクの冷却効果を高めるために、遮光膜10bを有機EL素子11に対向させて配置することが好ましい。
また、冷却台12は、その内部に水冷管13を備え、これに水を流す水冷方式により有機EL素子11をさらに冷却することが好ましい。
このような構成とすることで、高放射照度で光照射しても熱によるマスクの変形を抑えた正確なパターニングが可能となる。さらに有機EL素子も冷却されるので、有機EL素子の熱的ダメージも抑制することができる。
なお、光照射により生じるマスク10の寸法変化(変位)は、マスク角部をレーザー変位計Sで測定することができる。
以下、さらに詳細に、本発明の実施態様に係る有機EL素子のパターニング方法について述べる。
《気流発生部》
図1で示したように、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法において、マスク10は前記有機エレクトロルミネッセンス素子11と間隙hを有して配置され、前記間隙に気流発生部8から気体9を流しながら光照射することを特徴とする。
気流発生部8からの気体を吹き付ける手段としては、気流発生部8が、図示されないエアコンプレッサーに接続されていて、圧縮空気が送入されることが好ましい。エアコンプレッサーは公知のものを使用できる。気体9は気流発生部8の先端から間隙hに向けて吹き付けられる。
気体9の出口側には気体吸引部14を設け、より確実に気体9を間隙hに流すとともに温度上昇した気体9を図示されないポンプを用いて排気することができる。
〈マスクと有機エレクトロルミネッセンス素子との間隙〉
マスクと有機エレクトロルミネッセンス素子との間隙hは、20〜300μmの範囲内であることが好ましい。マスクと有機エレクトロルミネッセンス素子との間隙hの下限値は、20μm以上であれば、間隙が小さくなることに起因する気体のコンダクタンスの低下、つまり気体の流動性が低くなることもなく、気体が間隙の中を流れることができるため、マスク全面の冷却効果を発現できる。間隙の上限は、マスクに照射する光束のコリメーション半角に依存する。例えば、有機EL素子に照射する放射照度を高めるためカバーをマスク側の開口面積が小さくなるように傾け集光したり、光源から出射した放射角の大きな光線も光学系に取り込むと、放射照度を高めることができるが、コリメーション半角が大きくなり、マスクへの光束入射角の最大値が大きくなるので、マスクから有機EL素子の照射がボケてしまい、鮮明なパターンが得られなくない。
この点を図2を用いて説明する。図2はマスクを有機EL素子表面から間隙hだけ離して配置した状態で光を照射した場合の断面図である。マスクの基材10aや有機EL素子の基板113における光線の屈折は省略してある。また、有機EL素子の電極も省略した図である。マスク10にはラインアンドスペースの遮光膜のパターンが形成されている。透明部の幅はw1、遮光膜の幅はw2であり、w1+w2がラインアンドスペースのピッチPとなる。ハーフピッチはP/2となる。マスクへの入射角が最大であるコリメーション半角θの光線Lcのみ図示している。光照射された幅d1の有機機能層は発光せず(スペースパターン)、光が遮光膜で遮られた幅d2の有機機能層のみ発光し(ラインパターン)、パターニングされる。光線が角度を持っているため、遮光膜の下側に潜り込みd2<d1となってしまいパターンがずれてしまう。同じ幅のラインパターンとスペースパターンにする、すなわち、d1=d2とするためには図3に示すように遮光膜の幅w2を広げ、w1の幅を狭くしてマスクパターンを補正すればよい。
しかし、間隙hを広げると補正したw1は狭くなり、最終的にはw1=0となる。w1=0となる間隙hが間隙の上限となる。間隙上限とコリメーション半角の関係は次のように導出される。有機機能層の非発光部幅d1は、d1=w1+2(h+t)tanθとなる。tは有機EL素子の基板の厚さの空気換算長であり、基板の厚さをt、屈折率をnとしたとき、t=t/nとなる。同様に発光部幅d2は、d2=w2−2(h+t)tanθとなる。d1=d2とし、w2=P−w1を代入してw1とコリメーション半角θの関係式、
w1=P/2−2(h+t)tanθ
が得られる。w1=0となるhを算出すると、
間隙の上限hmaxは、hmax=P/(4tanθ)−t
となる。
有機EL素子の発光パターンは視覚に訴えるものであり、半導体や液晶表示素子の回路のようなサブミクロンの解像度は不要である。ラインアンドスペースを解像度指標とした場合にはハーフピッチで0.3mm前後の解像度が確保できていればよい。ハーフピッチ0.3mmの場合、ピッチPは0.3mm×2=0.6mmとなる。P=0.6mmとし、有機EL素子の基板として厚さ125μmのPET(ポリエチレンテレフタレート:屈折率1.7)を用い、コリメーション半角θ=45°のパターニング装置を用いた場合、hmaxは76μmとなる。t=75μmとすればhmax=106μmと100μm以上にすることができる。従って、プロキシミティ露光にて有機EL素子をパターニングする場合、有機EL素子の基板の厚さは75μm以下が好ましい。
ところで、hmaxは斜光線による照射パターンずれをマスクパターンで補正する観点から導出したものであり、光照射時に発生するマスクの熱変形によるパターンボケは補正することができない。従って、マスク熱変形による間隙の変動は抑制する必要がある。
マスク熱変形による間隙の変動量の許容量を求めるために、実験用のパターニング装置を用い、マスクと有機EL素子の間隙を変えて光照射し、パターンのボケ量を評価した結果、間隙の変動量は、30μmまで許容できることがわかった。このパターニング装置はコリメーション半角が45°、放射照度4W/cmであるが、コリメーション半角を小さくすれば間隙hmaxが広がると共にマスク熱変形によるパターンボケも低減され間隙hを拡大することができる。しかし、コリメーション半角を小さくすると放射照度が落ちてしまう。有機EL素子の照度不軌特性を利用して光照射時間を短縮するには1W/cm以上の放射照度が好ましい。この放射照度でコリメーション半角θをできるだけ小さくなるように設計した結果、コリメーション半角は23°となった。有機EL素子の基板として厚さ75μmのPET(屈折率1.7)を用いた場合にはhmaxが309μmと300μm以上に拡大でき、マスク熱変形によるパターンボケが許容できる間隙hの変動量は30μm×tan45°/tan23°=71μmと70μm以上に拡大できる。従って、有機EL素子の発光エリア上の間隙hの変動量は70μm以下に抑えることが好ましい。高放射照度としコリメーション半角θが増えた場合には、間隙hの変動量は30μm/tanθ以下とすることが望ましい。
〈気流発生部の先端〉
効率よくマスクを冷却するためには、気流発生部8が、スリット状又はノズル状の先端を有する気流発生部であることが好ましい。スリット状の先端を有する気流発生部であることがより好ましい。
図4はスリット状の先端15を有する気流発生部8の一例の側面図である。スリット状の先端15を備えた気流発生部8は、層状の気体9を吹き付けることができる。例えば、間隙が50〜100μm程度の薄いスリットから、高速で噴出された気体は、周辺の空気を大量に巻き込み層状の空気を吹き付けることができる。このような層状の空気を吹き付けることで、間隙の中に気体が流れ込みやすくなり、マスクを効率的に冷却することができる。
先端がスリット状の吹き付け部の代わりに、図5でノズル状の先端を有する気流発生部の一例の概念図を示したように、ノズル状の吹き付け部17を備えた気流発生部16も使用できる。この場合ノズルの数は多いほうが良く、ノズルの数は5〜20mmの間隔に1個あることが好ましい。ノズル径の大きさは、適宜調整することができる。
スリット状の先端を有する吹き付け部は市販品のものを使用することができる。例えば、サンワエンタープライズ社製の、層状気流発生装置750型やスプレーイングシステムジャパン社製のブロアナイフエアーノズルなどを用いることができる。
吹き付け部から吹き付けられる気体の風量としては1000〜5000L/minであることができる。吹き付ける気体の量は、光照射の光量や、間隙hに応じて、適宜所望の風量、風速に調節することができる。
また、吹き付けられる空気が、温度調整されたものであることが好ましい。必要に応じて、例えば、5〜15℃程度に温度調節した空気を用いることで、マスクの冷却効率を上げることができる。
《光照射》
本発明において光照射は、間欠的に行うことが好ましい。光照射を間欠的に行うことにより、マスクの熱変形をさらに抑制し、かつ光源から発生する熱を減少させることができる。
〔相反則不軌特性〕
本発明において「相反則」とは、照射される照射光の強度と照射時間との積である積算光量が一定であれば、有機機能層の変化量も一定であるとするブンゼン−ロスコーの法則に従うことをいう。また、本発明において「相反則不軌」とは、照射される照射光の強度と照射時間との積である積算光量が一定であれば、有機機能層の変化量も一定であるとする相反則が成立しないことをいう。また、本発明において「相反則不軌特性」とは、光の強度及び照射時間と有機機能層の変化量との関係であって、光の強度及び照射時間がいずれかの値を取るときに相反則不軌を生じるものをいい、部分的に相反則が成立する領域が含まれていても良い。
特許文献2に記載されているように、有機EL素子に照射される照射光の積算光量が同じ値であっても、照射光の強度が異なると有機EL素子の相対発光輝度も異なっている。これにより、有機EL素子に対して光照射によるパターン形成を行う場合において、積算光量が一定であっても照射光の強度と照射時間が異なると、有機機能層の相対発光輝度も異なる、すなわち、相反則不軌が起きることが示されている。そして、照射光の強度が大きいほど、小さな積算光量で所望の相対発光輝度のパターンが得られることが示されている。また、この現象は、波長404nmの半導体レーザーを光源とした場合だけでなく、光源を波長365nmや波長385nmのLEDとした場合においても、見られることも記載されている。
〔間欠的に行う光照射〕
本発明においては、この有機EL素子の相反則不軌特性を利用するとともに、間欠的に光照射を行うことが好ましい。間欠的に行う光照射の1周期の照射時間が1〜150秒の範囲内で、デューティ比(照射時間/(照射時間+消灯時間))が10〜80%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、間欠的に行う光照射の1周期の照射時間が5〜60秒の範囲内で、デューティ比が20〜60%の範囲内である。
有機ELパネルの生産性を上げるためには、一回に照射する放射照度は高い方が、積算光量が同じでも有機機能層の変化量が大きいことから好ましいが、発熱量も多くなる。このためデューティ比は80%以下であることが好ましい。より好ましくは20〜60%の範囲内である。間欠的に行う光照射の1周期の照射時間とデューティ比は、1周期の光照射で発生する熱と発光しない時間における放熱及び有機EL素子の相反則不軌特性との関係で決めることができる。1周期の照射時間が60秒以上と長い場合は、デューティ比が長くても消灯時間がある程度取れるため消灯時の冷却効果が確保できるので、デューティ比は80%以下が望ましい。1周期の照射時間が60秒より短い場合は、熱蓄積を抑制するためにデューティ比は25〜60%が望ましい。一方、デューティ比を短くすると積算消灯時間が長くなり、タクトタイムが長くなってしまうので45〜55%がより好ましい。
制御部により、点灯、消灯や点灯時の照射出力、照射時間が制御され、光照射は、間欠的に行われる。
〔光源〕
光源部には光源を備えている。光源としては、光照射により有機機能層の機能を阻害し発光機能を低下させるものであればよい。通常の半導体露光装置の放射照度は数十〜数百mW/cmであるが、有機EL素子を用いる本発明の場合は1W/cm以上で光照射することが好ましい。より好ましくは4W/cm以上である。1W/cm以上あれば、相反則不軌特性を利用して生産性を上げることが容易である。例えば、放射照度100mW/cmでの照射時間は約12時間であったものが、放射照度を1W/cmに変えた場合70分、2W/cmにすると30分、4W/cmでは10分となり、放射照度を上げることによりタクトタイムが大幅に短縮される。放射照度の上限は、マスクの発熱性、光源の入手の容易性などから、7W/cm程度である。
照射用の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマランプ、UV光レーザー、LED等から発せられる100〜410nmの範囲、好ましくは200〜410nmの範囲の波長領域の光を用いることができる。
このなかでも、発熱が小さいこと、電流制御で照射/消灯を高速で正確に行うことができること及び長寿命である等からLED光源を好ましく用いることができる。具体的には、波長360〜410nmのLED光源を用いることが好ましく、波長365nmや385nmのUV−LEDを好ましく用いることができる。また、LED光源を用いる場合、間欠的に光照射することでLED自体の発熱を抑えられることから、LEDの発熱による発光効率の低下を抑制できる。
光源は2次元状に配置されることが好ましく、光源から出射した発散光を公知のレンズアレイで所定の光束に整形し、光照射することができる。
また、発光部にカバーを設け発光部から照射された紫外線の光量の低下を防ぎ、かつ光量を均一させることができる。そのために、内面が反射材料で覆われていることが好ましい。反射材料は、熱に対して耐性があり、耐久性もあることから、金属材料を用いることができる。例えば、軽量でもあることから、アルミニウムを好ましく使用できる。
《マスク》
マスクは、基材と遮光膜とを有している。遮光膜はパターンを有し、有機EL素子に光照射する光量を変える役割を有する。基材は紫外線透過率が高く、熱変形の少ないものが好ましい。紫外線の透過光量を変えることができる公知の遮光膜材料を用いて、ガラス基材上にネガ状のパターンを有するガラスマスクを用いることが好ましい。このマスクを介して有機EL素子に紫外線照射することにより、発光パターンを有する有機ELパネルを作製することができる。例えば、ゼラチン膜中に銀微粒子が分散した白黒写真のネガ画像を用いることで、写真画像を作製することができる。又は、金属、例えばCr(クロム)の薄膜を遮光膜として用いることができる。Crは紫外光の吸収率が50%程度と低く、発熱量を低減できることから好ましい。
なお、ここでいう「パターン」とは、有機ELパネルにより表示される図案(図の柄や模様)、文字、画像等をいう。「パターニング」とは、これらのパターン表示機能を持たせることをいう。
また、「発光パターン」とは、有機ELパネルが発光する際、所定の図案(図の柄や模様)、文字、画像等に基づいて、発光面の位置により発光強度(輝度)を変えて光を発光させるためにあらかじめ当該有機EL素子に形成(付与)される所定の図案(図の柄や模様)、文字、画像等を表示させる機能を有する発生源をいう。
ガラス基材としては、素材として、特に限定されることがなく、例えば、光学用や基板用に用いられる公知のガラス素材を用いることができる。具体的には、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、結晶化ガラス等のガラスセラミック、リン酸系ガラス又はランタン系ガラス等を挙げることができる。
これらの中では、熱膨張率の低いものが好ましい。具体的には基材の線膨張係数が3×10−6/℃以下であることが好ましい。このようなガラスとしては、石英ガラス、ガラスセラミック及びボロシリケートガラス(例えば、ショット社製テンパックス フロート(登録商標))等の耐熱ガラスを挙げることができる。このような基材を用いることで熱変形量をさらに抑制することができる。
ガラスマスクの厚さは特に制限はないが、3〜10mmのものを用いることができる。
マスクを介して有機EL素子に光照射する際、マスクと有機EL素子は垂直に位置しても、水平方向に位置しても構わない。
マスクはマスクホルダー(不図示)に固定されており、マスクホルダーに備えられたX、Y、Z、XY面内の回転及びチルト調整機構により、マスクが有機EL素子に対して所定の位置に調整配置されることが好ましい。間隙hは、その間隔が均一であることが好ましい、そのためには、例えば、マスク10をチルティングして間隙hの制御を行う3点接触型のチルト駆動モータを備えていることが好ましい。また、マスク10と有機EL素子の精密なアライメントを行うために、マスクホルダーは、パルスモータ駆動方式によって、X・Y軸方向におけるセンタリングを行えるように構成されていることが好ましい。
マスクホルダーにはマスク冷却気体を流し込むことができるように開口部が設けられている。
《冷却台》
有機EL素子を載置する台は、冷却機能を有する冷却台であることが好ましい。熱媒体を循環させて対象部を一定の温度に保つ装置を備えていることが好ましい。冷却台を設けることにより、熱による有機EL素子のダメージを軽減することができる。
冷却する方法としては、公知の冷却方法が挙げられるが、水冷冷却が簡便で効果的であることから好ましい。
図6は、冷却台の概念図の一例である。図6は、冷却台12が2系統の循環水を流す場合の例である。冷却台内部には水冷管がはり巡らされており、冷水が水冷管(導入)13aで導入され水冷管(排出)13bから排出される。冷却台で熱を吸収した水は図示しない外部に設置されたチラーユニットに送られ、チラーユニット内部にて熱交換され、水温を下げた冷却水が冷却台に供給される。 冷却水はチラーユニットと冷却台を循環する。冷却台に導入される水温は有機EL素子やマスクが結露しない範囲で30℃以下が好ましい。10〜20℃がより好ましい。
冷却台の材質は熱伝導率の高いものが好ましい。例えば、アルミニウムなどを用いることができる。
《有機エレクトロルミネッセンス素子》
本発明の有機EL素子のパターニング方法は、マスクを介して有機EL素子の有機機能層に光照射してパターンを形成する。本発明に係る有機EL素子は、少なくとも一対の電極間に一つ又は複数の有機機能層を備えている。本発明における有機機能層とは、有機化合物を含有する層をいう。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層(青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を含む)電子輸送層、電子注入層を挙げることができる。
本発明に係る有機EL素子は、種々の構成を採り得るが、一例を図7に示す。なお図7は説明のため縦横比は正確ではない。
図7に示すとおり、本発明に係る有機EL素子100は、基板113上に設けられており、基板113側から順に、第一電極(透明電極)21、有機材料等を用いて構成された有機機能層23、及び第二電極(対向電極)25aをこの順に積層して構成されている。第一電極21(下地層21aと電極層21bからなる。)の端部には、取り出し電極116が設けられている。第一電極21と外部電源(図示略)とは、取り出し電極116を介して、電気的に接続される。有機EL素子100は、発生させた光(発光光Lg)を、少なくとも基板113側から取り出すように構成されている。
また、有機EL素子100の層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であって良い。ここでは、第一電極1がアノード(すなわち陽極)として機能し、第二電極25aがカソード(すなわち陰極)として機能することとする。この場合、例えば、有機機能層23は、アノードである第一電極21側から順に正孔注入層23a/正孔輸送層23b/発光層23c/電子輸送層23d/電子注入層23eを積層した構成が例示されるが、このうち、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層23cを有することが必須である。正孔注入層23a及び正孔輸送層23bは、正孔輸送注入層として設けられても良い。電子輸送層23d及び電子注入層23eは、電子輸送注入層として設けられても良い。
また、有機機能層23は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が、必要に応じて必要箇所に積層されていても良い。さらに、発光層23cは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させた構造としても良い。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能しても良い。さらに、カソードである第二電極25aも、必要に応じた積層構造であっても良い。このような構成において、第一電極21と第二電極25aとで有機機能層23が挟持された部分のみが、有機EL素子100における発光領域となる。
また、以上のような層構成においては、第一電極21の低抵抗化を図ることを目的として、第一電極21の電極層21bに接して補助電極115が設けられていても良い。
以上のような構成の有機EL素子100は、有機材料等を用いて構成された有機機能層23の劣化を防止することを目的として、基板113上において後述する封止材117で封止されている。この封止材117は、接着剤119を介して基板113側に固定されている。ただし、第一電極21(取り出し電極116)及び第二電極25aの端子部分は、基板113上において有機機能層23によって互いに絶縁性を保った状態で封止材117から露出させた状態で設けられている。
なお、有機EL素子を構成する各層に用いられている材料は、公知のものを用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔実施例1〕
[有機EL素子の作製]
《有機EL素子101の作製》
厚さ75μmのPET(コスモシャインA4300 東洋紡製)の透明樹脂基板上に、真空蒸着装置内で、下記構造式で表される含窒素化合物N−1を25nmの厚さで成膜後、マスクを使用して陽極として銀を10nmの厚さで成膜した。
更に、蒸着用るつぼの各々に、正孔注入材料としてCuPc(銅フタロシアニン)、正孔輸送材料としてα−NPD、緑色発光層のホスト化合物としてCBP、緑色発光層のドーパントとしてIr(ppy)、電子輸送材料としてAlq、電子注入材料としてLiFを各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
N−1、CuPc、α−NPD、CBP、Ir(ppy)、BAlq、Alqの各構造式を、それぞれ、以下に示す。
Figure 2019079593
次いで、真空度4×10−4Paまで減圧した後、CuPcの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、CuPcを蒸着速度0.1nm/秒で樹脂基板の銀電極側に蒸着し、層厚15nmの正孔注入層を設けた。
次いで、α−NPDの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、α−NPDを蒸着速度0.1nm/秒で正孔注入層上に蒸着し、厚さ25nmの正孔輸送層を設けた。
次いで、5質量%のIr(ppy)とCBPの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、Ir(ppy)とCBPとを合計の蒸着速度0.1nm/秒で正孔輸送層上に共蒸着し、層厚10nmの緑色発光層を設けた。
次いで、BAlqの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、BAlqを蒸着速度0.1nm/秒で緑色発光層上に蒸着し、層厚15nmの正孔阻止層を設けた。
次いで、Alqの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、Alqを蒸着速度0.1nm/秒で正孔阻止層上に蒸着し、層厚30nmの電子輸送層を設けた。
更に、LiFの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、LiFを蒸着速度0.1nm/秒で電子輸送層上に蒸着し、層厚1nmの電子注入層を設けた。このようにして有機機能層を形成した。
最後に、アルミニウムを電子注入層上に蒸着し、層厚110nmの陰極を設けた。そして、前記蒸着面側を厚さ200μmのエポキシ樹脂で覆って封止材とし、更に、厚さ12μmのアルミニウム箔で覆って保護膜とした後、硬化させた。ここまでの操作は全て、素子を大気に接触させることなく、窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)内で行った。
このようにして有機EL素子101を作製した。有機EL素子の厚さは、0.287mmであった。パターニングに際し、サイズは70×100cmの大きさのものを用いた。
《パターニングされた有機ELパネル101の作製》
[紫外線照射]
図1に示したパターニング装置を用いて、有機EL素子101の光照射を連続的に行ってパターニングし、有機ELパネル101を作製した。パターニングの条件を以下に示す。
〈ガラスマスク〉
厚さ5mm、81.3×137.9cmの大きさの、石英ガラス基材にハーフピッチ0.3mmのラインアンドスペース(0.3mm毎に白(透明)と黒が交互する長さ2mmの線状のパターン)を縦、横、斜め45度に配したチェック用パターンを、Cr(クロム)の薄膜で形成したガラスマスクを用いた。
冷却台上のガラスマスクの中央部に、上記作製した有機EL素子101を密着して載置した。その上に、マスクホルダーを用いて間隙30μmで位置決めをして上記ガラスマスクを、Cr(クロム)の蒸着面を有機EL素子に対向して固定した。
以下の条件でそれぞれ、室温25℃の環境下、有機ELパネルを作製した。
〈カバー〉
寸法:W1155mm×D784.5mm×H2500mm
材質:アルミ製内壁の反射板(厚さ1.5mm)/空気層(厚さ5mm)/アルミ製外壁(厚さ7.5mm)のアルミニウムサンドウイッチ構造を有するカバーを用いた。
カバーとガラスマスクの間隙:5.0mm
〈発光部〉
光源:波長385nmのLED(日亜化学工業株式会社製)を2次元状に配置し、レンズアレイでコリメーション半角45°に整形した。
放射照度:4W/cm
〈冷却台〉
厚さ60mmのアルミニウム中に10mmφの直径の水冷管を有す冷却台を用い、温度20℃の水を、5m/minの速度で循環させた。
この条件で連続して光照射した場合の、マスク角部のZ方向(垂直方向)の変形量Δhを図1で示したレーザー変位計S(キーエンス製 LK−H150)で測定した(図1参照。)。
その結果、変形量Δhの許容範囲45μmを超えてしまった。この許容量45μmは、シミュレーションにより有機EL素子の発光エリア端部におけるZ方向のマスク変形量が30μmとなる場合のマスクの熱変形時の形状を導出し、この時のマスク角部の変形量Δhを算出したものである。連続的に光照射を行い、気体を吹き付けない場合、光照射途中でマスク変形が許容値を超えてしまい、シミュレーションの結果どおり正確なパターニングができなかった。
《パターニングされた有機ELパネル102の作製》
有機ELパネル101の作製において、気流発生部と気流吸引部を取り付け、以下のようにガラスマスクと有機EL素子101の間隙hに空気を吹き付けながら光照射を行った。その他は有機ELパネル101の作製と同様にして有機ELパネル102を作製した。
〈気流発生部〉
吹き付け部がスリット状の層状気流発生部を用いて、ガラスマスクと有機EL素子の間隙hの中央部分に吹き付けた。なお、吹き付けの中心位置が水平方向でムラが出ないように、有機EL素子の位置及びマスクの位置を微調整した。
気流発生部の吹き付け部の角度:ガラスマスクに対して平行(0度)
気流発生部とカバー側面の距離:72mm
吹き付ける空気の温度:25℃
圧縮空気圧力:0.3MPa
空気消費量:1500L/min
〈気流吸引部〉
気流発生部の反対側には、気流吸引部を設けた。
この条件で連続して光照射した場合の、変形量Δhを同様にレーザー変位計で測定した。その結果、光照射時、ガラスマスクの変形量は許容範囲の45μm以内におさめることができた。
《パターニングされた有機ELパネル103の作製》
有機ELパネル102の作製において、発光部におけるLEDの光照射を以下のように間欠的に行った。その他は、有機ELパネル102の作製と同様にして有機ELパネル103を作製した。
放射照度:4W/cm
1周期の照射時間15秒、消灯時間15秒(デューティ比50%)の間欠照射を20サイクル行った(計600秒)。
この条件で、同様に光照射時の変位をレーザー変位計で測定した。マスク変形Δhの最大値は、有機パネル102からさらに11μm小さくなり、正確なパターニングが可能であることが分かった。
1 有機EL素子のパターニング装置
2 光源部
3 放熱板
4 LED光源
4aLED
4bLED基板
5 レンズアレイ
6 カバー
7 照射光
8、16 気流発生部
9 気体
10 マスク
10a 基材
10b 遮光膜
11 有機EL素子
12 冷却台
13 水冷管
13a 水冷管(導入)
13b 水冷管(排出)
14 気体吸引部
15 スリット状の先端
16 ノズル状の先端
w1 透明部の幅
w2 遮光部の幅
h 間隙
max 間隙の上限
P ラインアンドスペースのピッチ
Lc コリメーション半角θの光線
θ コリメーション半角
S レーザー変位計
t 有機EL素子の基板の厚さ(空気換算長)
21 第一電極
21a 下地層
21b 電極層
23 有機機能層
23a 正孔注入層
23b 正孔輸送層
23c 発光層
23d 電子輸送層
23e 電子注入層
25a 第二電極
100 有機EL素子
113 基板
113a 光取り出し面
115 補助電極
116 取り出し電極
117 封止材
119 接着剤
Lg 発光光

Claims (7)

  1. マスクを介して有機エレクトロルミネッセンス素子の有機機能層に光照射してパターンを形成する有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法であって、前記マスクは前記有機エレクトロルミネッセンス素子と間隙を有して配置され、前記間隙に気流発生部から気体を流しながら前記光照射することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング方法。
  2. 前記マスクは遮光膜を有し、前記遮光膜側は有機エレクトロルミネッセンス素子に対向して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパターニング方法。
  3. 前記気流発生部が、スリット状の吹き付け部を備えたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパターニング方法。
  4. 前記気流発生部が、ノズル状の吹き付け部を備えたものであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のパターニング方法。
  5. 前記マスクと前記有機エレクトロルミネッセンス素子との前記間隙が、20〜300μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のパターニング方法。
  6. 前記有機エレクトロルミネッセンス素子に前記光照射を間欠的に行うことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のパターニング方法。
  7. 光源部、前記光源部からの光をパターン化して有機エレクトロルミネッセンス素子に照射するためのマスク及び気流発生部を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置であって、前記マスクは前記有機エレクトロルミネッセンス素子と間隙を有して配置され、前記光照射するとき、前記間隙に前記気流発生部からの気体を吹き付ける手段を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子のパターニング装置。
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