JP2019077117A - 発光素子駆動回路、プリントヘッド及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発光素子群ごとに発光する発光素子の劣化を阻止し得る発光素子駆動回路、プリントヘッド及び画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置のプリントヘッドは、カソード駆動回路71の奇数駆動回路77及び偶数駆動回路78にプリチャージ部85及び86を設けたため、点灯側の発光ダイオードを点灯させる直前の比較的短い期間のみ、非点灯の発光ダイオードに対して、共通線Odd又はEvenを介して電源VDD電圧を接続する。これによりプリントヘッドは、点灯すべきでない非点灯の発光ダイオードにおける誤点灯を防止しながら、これらの発光ダイオードに逆方向に流れる電流を微少に抑え、劣化を効果的に抑制できる。【選択図】図8
Description
本発明は発光素子駆動回路、プリントヘッド及び画像形成装置に関し、例えば電子写真式プリンタ(以下、これを単にプリンタとも呼ぶ)に適用して好適なものである。
従来のプリンタとしては、露光装置において、複数のLED(Light Emitting Diode)等の発光素子が整列配置されたプリントヘッドから、光を選択的に照射して感光体ドラムの表面に静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させてトナー像を現像することにより、画像の印刷を行うものが広く普及している。
このプリントヘッドでは、例えば複数の発光素子を、複数の駆動回路によりそれぞれ駆動している。また露光装置のなかには、複数(例えば200個程度)の発光素子を複数(例えば2〜4程度)の発光素子群に分け、互いに異なる発光素子群に属する複数の発光素子を1つの駆動回路に接続したものがある(例えば、特許文献1参照)。
このプリントヘッドでは、各発光素子群に属する発光素子をそれぞれの共通線に接続し、各共通線に印加する電圧を順次変化させることにより、各駆動回路により駆動すべき発光素子群を切り替えることができる。これによりこのプリントヘッドでは、同一の駆動回路に接続された複数の発光素子を時分割により切り替えながら順次発光させることができるので、発光素子ごとに駆動回路を設ける場合と比較して、該駆動回路の必要数を大幅に削減することができる。
ところで上述したプリントヘッドでは、発光素子群を順次切り替えて発光させるため、他の発光素子群に属する発光素子(すなわちLED)に対し、共通線を介して逆方向電圧を印加することにより、発光を抑えている。しかしながらプリントヘッドでは、発光素子に逆方向電圧が印加されることにより、劣化を招く恐れがある、という問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、発光素子群ごとに発光する発光素子の劣化を阻止し得る発光素子駆動回路、プリントヘッド及び画像形成装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明の発光素子駆動回路においては、それぞれに複数の発光素子を有する複数の発光素子群ごとに設けられ、各発光素子群を構成する複数の発光素子それぞれに接続された複数の共通線と、複数の発光素子群とそれぞれ対応して設けられ、所定の群切替期間ごとに切り替えながら、共通線を介して発光素子群をそれぞれ駆動する複数の群切替部と、複数の発光素子群とそれぞれ対応して設けられ、群切替部により他の発光素子群に切り替えられた群切替期間のうち、所定の発光信号に従い他の発光素子群の発光素子が発光する発光期間よりも前の事前期間に、当該発光素子群の発光素子に接続された共通線に所定の電圧を印加させる事前印加部とを設けるようにした。
また本発明のプリントヘッドにおいては、上述した複数の発光素子駆動回路と、複数の発光素子駆動回路とそれぞれ接続された複数の発光素子とを設けるようにした。
さらに本発明の画像形成装置では、上述したプリントヘッドにより感光体を露光して静電潜像を生成し、現像剤により該静電潜像に基づいた画像を形成する画像形成部と、画像を所定の媒体に定着させる定着部とを設けるようにした。
本発明は、事前印加部により、他の発光素子群が発光期間に発光する前の事前期間に、当該発光素子群の共通線に所定の電圧を印加してその電位を一時的に高め、該事前期間の終了時に該電圧の印加を終了する。これにより本発明は、発光期間の開始前に、共通線の浮遊容量により電荷を蓄積できるので、発光期間の開始後に、非点灯側の発光素子に逆方向電圧を印加せずに当該共通線の電位を高めた状態を維持でき、過大な逆電圧の印加を回避しながら、該発光素子の不必要な発光を阻止できる。
本発明によれば、発光素子群ごとに発光する発光素子の劣化を阻止し得る発光素子駆動回路、プリントヘッド及び画像形成装置を実現できる。
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.画像形成装置の構成]
図1に示すように、画像形成装置1は、いわゆるMFP(Multi Function Peripheral)となっており、媒体としての用紙に画像を形成する(すなわち印刷する)プリンタ機能の他、画像を読み取るイメージスキャナとしての機能や通信機能を有している。このため画像形成装置1は、これらの機能を組み合わせることにより、プリンタ、複写機(コピー機)及びファクシミリ装置等として動作することができる。この画像形成装置1は、プリンタとして機能する場合、例えばA3サイズやA4サイズ等の大きさでなる用紙Pに対し、所望のカラー画像を印刷できる。
図1に示すように、画像形成装置1は、いわゆるMFP(Multi Function Peripheral)となっており、媒体としての用紙に画像を形成する(すなわち印刷する)プリンタ機能の他、画像を読み取るイメージスキャナとしての機能や通信機能を有している。このため画像形成装置1は、これらの機能を組み合わせることにより、プリンタ、複写機(コピー機)及びファクシミリ装置等として動作することができる。この画像形成装置1は、プリンタとして機能する場合、例えばA3サイズやA4サイズ等の大きさでなる用紙Pに対し、所望のカラー画像を印刷できる。
画像形成装置1は、略箱型に形成されたプリンタ筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。
画像形成装置1は、制御部3により全体を統括制御するようになっている。この制御部3は、コンピュータ装置等の上位装置(図示せず)と無線又は有線により接続されている。制御部3は、この上位装置から印刷対象の画像を表す画像データが与えられると共に当該画像データの印刷が指示されると、用紙Pの表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
プリンタ筐体2内の最下部には、用紙Pを収容する用紙収容カセット4が設けられている。用紙収容カセット4の前上方には、給紙部5が設けられている。給紙部5は、用紙収容カセット4の前上側に配置されたホッピングローラ6、用紙Pを搬送路Uに沿って上方へ案内する搬送ガイド7、搬送路Uを挟んで互いに対向するレジストローラ8及びピンチローラ9等により構成されている。
給紙部5は、制御部3の制御に基づいて各ローラを適宜回転させることにより、用紙収容カセット4に集積された状態で収容されている用紙Pを1枚ずつ分離しながらピックアップし、搬送ガイド7により搬送路Uに沿って前上方へ進行させ、やがて後上方へ折り返してレジストローラ8及びピンチローラ9に当接させる。レジストローラ8は、回転が適宜抑制されており、ピンチローラ9との間で用紙Pに摩擦力を作用させることにより、進行方向に対して該用紙Pの側辺が傾斜する、いわゆる斜行を修正し、先頭及び末尾の端辺を左右に沿わせた状態としてから、後方へ送り出す。
レジストローラ8及びピンチローラ9の後側には、搬送路Uがほぼ前後方向に沿って形成されており、その下側に中搬送部10が配置されている。中搬送部10は、前側に配置された前ローラ11と、後側に配置された後ローラ12と、下側に配置された下ローラ13との周囲に無端ベルトでなる搬送ベルト14が張架された構成となっている。また前ローラ11の上側には、搬送ベルト14を挟んで対向する位置に吸着ローラ15が設けられている。
この中搬送部10は、所定のベルト駆動モータ(図示せず)から後ローラ12に対し駆動力が伝達されると、この後ローラ12を矢印R2方向へ回転させることにより、搬送ベルト14を走行させる。これにより搬送ベルト14は、搬送路Uに沿った上側部分、すなわち前ローラ11及び後ローラ12の間に張架された部分を、後方向へ走行させる。このとき中搬送部10は、給紙部5から用紙Pが引き渡されると、これを吸着ローラ15及び前ローラ11の間に搬送ベルト14と共に挟持し、該搬送ベルト14上側に用紙Pを載置した状態で、該搬送ベルト14の走行に伴って該用紙Pを後方へ進行させる。
中搬送部10の上側であり、搬送路Uを挟んで該中搬送部10の反対側には、4個の画像形成ユニット16C、16M、16Y及び16Kが後側から前側へ向かって順に配置されている。画像形成ユニット16C、16M、16Y及び16K(以下これらをまとめて画像形成ユニット16とも呼ぶ)は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色にそれぞれ対応しているものの、色のみが相違しており、何れも同様に構成されている。
画像形成ユニット16は、図2に模式的な側面図を示すように、画像形成部31、トナーカートリッジ32、プリントヘッド33により構成されており、その下側に配置された転写ローラ17との間に搬送ベルト14を挟んでいる。因みに画像形成ユニット16及びこれを構成する各部品は、用紙Pにおける左右方向の長さに応じて、左右方向に十分な長さを有している。このため多くの部品は、前後方向や上下方向の長さに対して左右方向の長さが比較的長くなっており、左右方向に沿って細長い形状に形成されている。
トナーカートリッジ32は、現像剤としてのトナーを収容しており、画像形成部31の上側に配置され、当該画像形成部31の上方に取り付けられている。このトナーカートリッジ32は、収容しているトナーを画像形成部31のトナー収容部34へ供給する。画像形成部31には、トナー収容部34の他、供給ローラ35、現像ローラ36、規制ブレード37、感光体ドラム38及び帯電ローラ39が組み込まれている。
供給ローラ35は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、その周側面に導電性ウレタンゴム発泡体等でなる弾性層が形成されている。現像ローラ36は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、その周側面に弾性を有する弾性層や導電性を有する表面層等が形成されている。規制ブレード37は、例えば所定厚さのステンレス鋼板でなり、僅かに弾性変形させた状態で、その一部を現像ローラ36の周側面に当接させている。感光体ドラム38は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、その周側面に薄膜状の電荷発生層及び電荷輸送層が順次形成され、帯電し得るようになっている。帯電ローラ39は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成され、その周側面に導電性の弾性体が被覆されており、この周側面を感光体ドラム38の周側面に当接させている。
また画像形成部31の前下側であって、感光体ドラム38及び搬送ベルト14の当接箇所よりも上流側となる位置には、除電光源20が設けられている。この除電光源20は、感光体ドラム38に所定の光を照射することにより、帯電している静電気を除去する。
この画像形成部31は、図示しないモータから駆動力が供給されることにより、供給ローラ35、現像ローラ36及び帯電ローラ39を矢印R2方向(図中の反時計回り)へ回転させると共に、感光体ドラム38を矢印R1方向(図中の時計回り)へ回転させる。さらに画像形成部31は、供給ローラ35、現像ローラ36、規制ブレード37及び帯電ローラ39にそれぞれ所定のバイアス電圧を印加することにより、それぞれ帯電させる。
供給ローラ35は、帯電によりトナー収容部34内のトナーを周側面に付着させ、回転によりこのトナーを現像ローラ36の周側面に付着させる。現像ローラ36は、規制ブレード37によって周側面から余分なトナーが除去された後、この周側面を感光体ドラム38の周側面に当接させる。このとき現像ローラ36の周側面に付着しているトナーは、マイナス電位に帯電している。
一方、帯電ローラ39は、帯電した状態で感光体ドラム38と当接することにより、当該感光体ドラム38の周側面を一様にマイナスに帯電させる。プリントヘッド33には、多数のLED(Light Emitting Diode)でなる発光素子が、主走査方向である左右方向に沿って直線状に配置されている。このプリントヘッド33は、制御部3(図1)から供給される画像データ信号に基づいた発光パターンで発光することにより(詳しくは後述する)、感光体ドラム38を露光し、光を照射した箇所のみ電位を上昇させる。これにより感光体ドラム38は、その上端近傍において周側面に静電潜像が形成される。
続いて感光体ドラム38は、矢印R1方向へ回転することにより、この静電潜像を形成した箇所を現像ローラ36と当接させる。これにより感光体ドラム38の周側面には、静電潜像に基づいてトナーが付着し、画像データに基づいたトナー画像が現像される。
転写ローラ17は、感光体ドラム38の真下に位置しており、その周側面における上端近傍と該感光体ドラム38の下端近傍との間に、搬送ベルト14の上側部分を挟んでいる。この転写ローラ17は、所定のバイアス電圧が印加されると共に、図示しないモータから駆動力が供給されて矢印R2方向へ回転する。これにより画像形成ユニット16は、搬送路Uに沿って用紙Pが搬送されていた場合、感光体ドラム38の周側面に現像されたトナー画像をこの用紙Pに転写することができる。
このようにして各画像形成ユニット16は、搬送路Uに沿って前方から搬送されて来る用紙Pに対し、それぞれの色によるトナー画像を順次転写して重ねながら、後方へ進行させていく。
中搬送部10の後端近傍には、定着部21が設けられている。定着部21は、搬送路Uを挟んで対向するように配置された加熱ローラ21A及び加圧ローラ21Bにより構成されている。加熱ローラ21Aは、中心軸を左右方向に向けた円筒状に形成されており、内部にヒータが設けられている。加圧ローラ21Bは、加熱ローラ21Aと同様の円筒状に形成されており、上側の表面を加熱ローラ21Aにおける下側の表面に所定の押圧力で押し付けている。この定着部21は、制御部3の制御に基づき、加熱ローラ21Aを加熱すると共に当該加熱ローラ21A及び加圧ローラ21Bをそれぞれ所定方向へ回転させる。これにより定着部21は、中搬送部10から受け取った用紙P、すなわち4色のトナー画像が重ねて転写された用紙Pに対して熱及び圧力を加えてトナーを定着させ、さらに後方へ引き渡す。
定着部21の後方には、排紙部22が配置されている。排紙部22は、給紙部5と同様、用紙Pを案内するガイドや複数の搬送ローラ等の組み合わせにより構成されている。この排紙部22は、制御部3の制御に従って各搬送ローラを適宜回転させることにより、定着部21から引き渡される用紙Pを後上方へ搬送してから前方へ向けて折り返し、プリンタ筐体2の上面に形成された排出トレイ2Tへ排出する。
さらにプリンタ筐体2内における搬送路Uに沿った複数の箇所には、用紙Pを検出するための用紙センサ25、26、27及び28が適宜設けられている。この用紙センサ25等は、搬送路U内における用紙Pの有無をそれぞれ検出し、得られた検出結果を制御部3へ通知する。これに応じて制御部3は、各搬送ローラの回転や中搬送部10における搬送ベルト14の走行等を適宜制御する。
次に、画像形成装置1のブロック構成について、図3を参照しながら説明する。制御部3は、コンピュータ装置等の上位装置(図示せず)から制御信号S1を受信し、この制御信号S1に含まれる印刷指示に基づいて印刷動作を開始する。具体的に制御部3は、まず定着部21(図1)の内部に設けられている定着器温度センサ21C(図3)により、定着部21が所定の温度範囲内であるか否かを判定する。このとき制御部3は、定着部21の温度がこの温度範囲未満であれば、加熱ローラ21A(図1)に通電して加熱させ、該定着部21の温度をこの温度範囲に合わせる。
また制御部3は、ドライバ43を介して現像・転写プロセス用モータ44を回転させると共に帯電用高圧電源41を動作させ、これにより画像形成ユニット16(図2)における帯電ローラ39等の各ローラを回転させると共に帯電させる。さらに制御部3は、ドライバ45を介して用紙送りモータ46を回転させることにより、給紙部5(図1)のホッピングローラ6等を回転させ、これにより用紙収容カセット4内から用紙Pを1枚ずつに分離しながら送り出し、搬送路Uに沿って搬送させる。また制御部3は、用紙センサ25〜28等から得られる検出結果を基に、用紙Pの位置や搬送の状態等を認識し、搬送速度の調整等を行う。
一方、画像処理部48は、上位装置から供給される画像データに対して所定の画像処理を施すことにより、1ページ毎の画像形成用データを生成する。制御部3は、用紙センサ26による検出結果等を基に、用紙Pが印刷可能な位置、例えば画像形成ユニット16K(図1)の直前に到達した時点において、画像処理部48に対しタイミング信号S3を送信する。このタイミング信号S3には、主走査同期信号及び副走査同期信号等が含まれている。
これに応じて画像処理部48は、生成した画像形成用データを1ライン分ずつに分離したビデオ信号S2を生成して制御部3へ送信する。制御部3は、このビデオ信号S2を基に印刷データ信号HD−DATA3、HD−DATA2、HD−DATA1及びHD−DATA0(以下まとめてHD−DATAとも呼ぶ)を生成し、これらをクロック信号HD−CLKと共に画像形成ユニット16(図2)のプリントヘッド33へ送信する。すなわち制御部3は、4種類の印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0により、クロック信号HD−CLKに基づいた時間間隔ごとに、4画素分の印刷データを並列してプリントヘッド33へ送信する。
また制御部3は、プリントヘッド33へ印刷データ信号HD−DATAを送信した後、ラッチ信号HD−LOADを送信することにより、該印刷データ信号HD−DATAをプリントヘッド33内に保持させる。さらに制御部3は、発光素子を実際に発光させるべきタイミングを表すストローブ信号HD−STB−Nをプリントヘッド33へ供給する。
因みにストローブ信号HD−STB−Nは、負論理となっており、ローレベルとなっている期間にプリントヘッド33の発光素子を発光させることになる。また本実施の形態では、各信号を表す符号の末尾が「−N」である場合、当該信号が負論理であることを意味し、各信号を表す符号の末尾が「−P」である場合、当該信号が正論理であることを意味する。
かくしてプリントヘッド33は、画像データに基づいた発光パターンで各発光素子を発光させることにより、感光体ドラム38の周側面に静電潜像を1ラインずつ形成していくことができる。
[2.プリントヘッドの構成]
次に、プリントヘッド33の構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、プリントヘッド33の模式的な断面図を表している。また図4は、説明の都合上、図2におけるプリントヘッド33を紙面上で半回転させた状態、すなわち上下方向及び前後方向を何れも反対に向けた状態で表している。以下では、図4における上方向を照射方向とも呼び、下方向を反照射方向とも呼ぶ。
次に、プリントヘッド33の構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、プリントヘッド33の模式的な断面図を表している。また図4は、説明の都合上、図2におけるプリントヘッド33を紙面上で半回転させた状態、すなわち上下方向及び前後方向を何れも反対に向けた状態で表している。以下では、図4における上方向を照射方向とも呼び、下方向を反照射方向とも呼ぶ。
光プリントヘッドとしてのプリントヘッド33は、ベース部材51を中心に構成されている。ベース部材51は、左右方向の長さに対して前後方向の長さが短く、上下方向の長さがさらに短い、全体として扁平な直方体状ないし板状に形成されており、十分な強度を有している。ベース部材51の照射方向側(すなわち下側)には、プリント配線板52が設けられている。プリント配線板52は、ベース部材51と比較して、左右方向及び前後方向の長さが概ね同等であり、上下方向の長さがやや短く、すなわち薄くなっている。このプリント配線板52は、例えばガラスエポキシ樹脂でなり、上下それぞれの表面に所定の回路パターンが形成されている。
プリント配線板52の照射方向側には、例えば26個のように多数の発光素子チップ53が、左右方向(以下これを主走査方向とも呼ぶ)に沿って1列に整列された状態で、いわゆるダイボンディング技術により取り付けられている。各発光素子チップ53には、例えば192個のように多数の発光素子(例えばLED)が左右方向に沿って整列した状態で形成されている。
またプリント配線板52の照射方向側には、各発光素子チップ53の後側に、例えば26個のように多数のドライバIC(Integrated Circuit)54が、やはり左右方向に沿って1列に整列された状態で取り付けられている。駆動回路としての各ドライバIC54には、発光素子チップ53に設けられた各発光素子をそれぞれ駆動する複数の素子駆動部等が設けられている。
このようにプリント配線板52には、26個の発光素子チップ53が設けられ、各発光素子チップ53に192個の発光素子が設けられているため、合計4992個の発光素子が設けられていることになる。またプリントヘッド33(図2及び図4)は、例えば左右方向の長さがA4サイズにおける短辺の長さ(210[mm])とほぼ同等となっており、この長さの範囲に4992個の発光素子が等間隔に配置されている。これによりプリントヘッド33は、感光体ドラム38(図2)の周側面上に600[dpi]の解像度でなる静電潜像を生成することができる。
因みに各発光素子チップ53及び各ドライバIC54は、それぞれプリント配線板52上に形成された回路パターンとの間で、複数本のボンディングワイヤ(図示せず)により電気的に接続されている。
またプリントヘッド33(図4)は、上述したベース部材51及びプリント配線板52が、ホルダ56に取り付けられている。ホルダ56は、全体として、左右方向に沿って形成された中空の四角柱から反照射方向側の側面を取り除いたような形状となっており、その断面が英大文字の「U」を上下に反転させて反照射方向側を開放させたような形状となっている。
ホルダ56における照射方向側の内側面には、プリント配線板52を支持する支持部56Aが形成されている。プリントヘッド33は、その製造時に、ホルダ56内にプリント配線板52及びベース部材51が重ねられた状態で挿入され、さらにクランプ部材57及び58が取り付けられる。クランプ部材57及び58は、何れも金属製でなり、弾性力の作用により、ベース部材51を介してプリント配線板52の照射方向面をホルダ56の支持部56Aに当接させた状態で固定する。この結果、プリント配線板52に取り付けられた発光素子チップ53の発光素子と、ホルダ56との位置関係が定められる。
またホルダ56における照射方向側部分の中央付近には、左右方向に沿った細長い長孔でなり上下方向に貫通する取付孔56Hが形成され、この取付孔56Hにロッドレンズアレイ59が取り付けられる。ロッドレンズアレイ59は、光軸を上下方向に沿わせた微小なレンズが左右方向に沿って複数並べられた構成となっており、各レンズの焦点を発光素子チップ53の各発光素子に合わせるよう、その取付位置が調整された状態で固定されている。
次に、プリントヘッド33の回路構成について、図5を参照しながら説明する。プリントヘッド33では、複数のドライバIC54が、互いにカスケード接続されている。すなわちプリントヘッド33では、最上段のドライバIC54−1から最下段のドライバIC54−26まで、直列に接続されている。またプリントヘッド33では、1個のドライバIC54に対して1個の発光素子チップ53が接続されている。
因みに図5では、プリントヘッド33の一部として、最上段側から2個のドライバIC54−1及び54−2と、それぞれに対応する2個の発光素子チップ53−1及び53−2のみを表しており、他のドライバIC54及び発光素子チップ53を省略している。
各ドライバIC54は、制御部3(図1及び図3)からラッチ信号HD−LOAD、クロック信号HD−CLK、ストローブ信号HD−STB−N及び主走査同期信号HD−HSYNC−Nがそれぞれ供給され、ラッチ端子LOAD、クロック端子CLK、ストローブ端子STB及び主走査同期端子HSYNCにそれぞれ入力される。また各ドライバIC54は、電源電圧(VDD)及び所定の基準電圧(VREF)がそれぞれ供給されると共に、グランド端子GNDがそれぞれグランド(GND)に接続されている。
さらに各ドライバIC54は、印刷データ信号が入力される4個のデータ入力端子DATAI(DATAI3、DATAI2、DATAI1及びDATAI0)と、印刷データ信号を出力する4個のデータ出力端子DATAO(DATAO3、DATAO2、DATAO1及びDATAO0)とを有している。またカスケード接続された2個のドライバIC54の間では、上段側のドライバIC54における4個のデータ出力端子DATAOが、下段側のドライバIC54における4個のデータ入力端子DATAIとそれぞれ接続されている。
最上段のドライバIC54は、制御部3(図1及び図3)から4種類の印刷データ信号HD−DATA(HD−DATA3〜HD−DATA0)が4個のデータ入力端子DATAI(DATAI3〜DATAI0)にそれぞれ入力される。また最上段のドライバIC54は、4個のデータ出力端子DATAO(DATAO3〜DATAO0)から4種類のデータ信号をそれぞれ出力し、次段のドライバIC54へ供給する。すなわち2段目以降のドライバIC54は、上段側のドライバIC54から各印刷データ信号を取得すると共に、下段側のドライバIC54へ各印刷データ信号を供給するようになっている。また各ドライバIC54は、96個の出力端子DO(DO1〜DO96)が設けられており、発光素子チップ53に設けられた各発光ダイオードLEとそれぞれ接続されている。
発光素子チップ53には、192個の発光ダイオードLE1、LE2、…、LE192(以下これらをまとめて発光ダイオードLEと呼ぶ)が主走査方向に沿って配置されている。この発光ダイオードLEは、例えば発光ダイオードLE1及びLE2のように、互いに隣接する奇数番目(Odd)及び偶数番目(Even)の2個を1組として構成されている。
この2個1組を構成する発光ダイオードLEは、両者のアノード端子が何れもドライバIC54の出力端子DOに接続される。その一方で、奇数番目の各発光ダイオードLEにおけるカソード端子は、共通線Oddに接続され、偶数番目の各発光ダイオードLEにおけるカソード端子は、共通線Evenに接続される。
このようにプリントヘッド33は、互いにカスケード接続された各ドライバIC54の間で印刷データ信号を上段側から下段側へ順次受け渡すことにより、この印刷データ信号を全てのドライバIC54に順次供給した上で、各発光素子チップ53の各発光ダイオードLEをそれぞれ駆動する(すなわち光を発射させる)ようになっている。
例えばプリントヘッド33では、共通線Oddの電位をほぼ0[V]まで低下させると共に共通線Evenの電位を十分に高めることにより、出力端子DOからの駆動電流により奇数番目の発光ダイオードLEのみを発光させることができる。またプリントヘッド33では、共通線Evenの電位をほぼ0[V]まで低下させると共に共通線Oddの電位を十分に高めることにより、出力端子DOからの駆動電流により偶数番目の発光ダイオードLEのみを発光させることができる(詳しくは後述する)。
このようにプリントヘッド33では、共通線Odd及び共通線Evenの電位をそれぞれ変化させることにより、奇数番目の発光ダイオードLE及び偶数番目の発光ダイオードLEを交互に切り替えながら、それぞれを発光させるようになっている。説明の都合上、以下では、奇数番目及び偶数番目のそれぞれにおいて、複数の発光ダイオードLE(すなわち発光素子)をまとめて発光素子群とも呼ぶ。
[3.ドライバICの回路構成]
次に、ドライバIC54の回路構成について、図6及び図7を参照しながら説明する。ストローブ端子STBは、図示しない電源VDD電圧との間にプルアップ抵抗61が接続されると共に、インバータ回路62の入力端子に接続されている。
次に、ドライバIC54の回路構成について、図6及び図7を参照しながら説明する。ストローブ端子STBは、図示しない電源VDD電圧との間にプルアップ抵抗61が接続されると共に、インバータ回路62の入力端子に接続されている。
インバータ回路62は、ストローブ信号HD−STB−Nがストローブ端子STBに供給されると、これを論理反転して反転ストローブ信号STB−Pとし、NAND回路64の入力端子、第1制御回路65(図中に「CTRL1」と表記)及び第2制御回路66(図中に「CTRL2」と表記)にそれぞれ供給する。
ラッチ端子LOADは、ラッチ信号HD−LOAD(以下これをLOAD−P信号とも呼ぶ)が供給されると、これを96個のラッチ回路LT(LTD1〜LTD24、LTC1〜LTC24、LTB1〜LTB24及びLTA1〜LTA24)、インバータ回路63の入力端子、第1制御回路65及び第2制御回路66にそれぞれ供給する。インバータ回路63は、LOAD−P信号を論理反転してNAND回路64の入力端子に供給する。
NAND回路64は、反転ストローブ信号STB−Pと、LOAD−P信号を論理反転したものとの否定論理積(NAND)を演算することにより、素子駆動制御信号DRVON−Nを生成する。この素子駆動制御信号DRVON−Nは、主に素子駆動回路70に対して各発光ダイオードLEの駆動を許容するか否かを表す信号となっている。
第2制御回路66は、ラッチ信号HD−LOAD及び主走査同期信号HD−HSYNC−Nを基に、2種類のデータ切替信号S1N及びS2Nを生成する。このデータ切替信号S1N及びS2Nは、2個1組である発光ダイオードLEのうち奇数側及び偶数側の何れを発光させるかを表す信号であり、一方がハイレベルであるときに他方がローレベルとなるような相補的な関係を維持する。このデータ切替信号S1N及びS2Nは、96段のマルチプレクサ回路68に順次供給されると共に、カソード駆動回路71(図7)に供給される。
一方、ドライバIC54は、クロック端子CLKから供給されるクロック信号HD−CLK(図3)を適宜整形及び増幅させた上で、合計100個のフリップフロップ回路FF(FFA1〜FFD25)におけるクロック端子へそれぞれ供給する。説明の都合上、以下では、正論理であるクロック信号HD−CLKをクロック信号HD−CLK−Pとも表記する。
フリップフロップ回路FFD1には、データ入力端子DATAI3から印刷データ信号HD−DATA3が入力端子(図中に英文字「D」として表示)に供給される。フリップフロップ回路FFD1は、クロック信号HD−CLKに合わせたタイミングで、出力端子(図中に英文字「Q」として表示)から印刷データ信号HD−DATA3をラッチ回路LTD1及び第2記憶回路67(図中に「MEM2」と表記)へ供給すると共に、後段のフリップフロップ回路FFD2(図示せず)へ供給する。
ドライバIC54では、25個のフリップフロップ回路FFD1〜FFD25がカスケード接続されており、このうち24段目までのフリップフロップ回路FFD1〜FFD24には、ラッチ回路LTD1〜LTD24及び第2記憶回路67がそれぞれ接続されている。
各フリップフロップ回路FFは、クロック信号HD−CLKに合わせた周期で、印刷データ信号HD−DATA3を次段のフリップフロップ回路FFへ順次供給する。これを換言すれば、各フリップフロップ回路FFは、クロック信号HD−CLKと同期して、印刷データ信号HD−DATA3を次段のフリップフロップ回路FFへ順次シフトさせる、25段のシフトレジスタを形成している。説明の都合上、以下ではこれをシフトレジスタSRとも呼ぶ。
最下段(すなわち25段目)のフリップフロップ回路FFD25は、印刷データ信号HD−DATA3を第1記憶回路73(図中に「MEM」と表記)及びセレクタ回路75(図中に「SEL」と表記)の入力端子B3へ供給する。またその上段(すなわち24段目)のフリップフロップ回路FFD24は、印刷データ信号HD−DATA3をセレクタ回路75の入力端子A3へ供給する。
セレクタ回路75は、後述する書込指令信号E2に従い、入力端子A3又は入力端子B3の何れかを出力端子Y3に、すなわちデータ出力端子DATAO3に接続するよう切り替える。これによりセレクタ回路75は、フリップフロップ回路FFD24の印刷データ信号HD−DATA3又はフリップフロップ回路FFD25の印刷データ信号HD−DATA3の何れかをデータ出力端子DATAO3に供給することができる。すなわちドライバIC54は、セレクタ回路75によりシフト段数を24段又は25段に切り替えることができる。
またドライバIC54には、フリップフロップ回路FFD1〜FFD25と同様に構成されたフリップフロップ回路FFC1〜FFC25、FFB1〜FFB25及びFFA1〜FFA25とが設けられている。さらに24段目までのフリップフロップ回路FFC1〜FFC24、FFB1〜FFB24及びFFA1〜FFA24には、ラッチ回路LTC1〜LTC24、LTB1〜LTB24及びLTA1〜LTA24並びに第2記憶回路67がそれぞれ接続されている。
フリップフロップ回路FFC1〜FFC25、FFB1〜FFB25及びFFA1〜FFA25は、フリップフロップ回路FFD1〜FFD25と同様に、それぞれ25段のシフトレジスタとなっており、印刷データ信号HD−DATA2、HD−DATA1及びHD−DATA0をそれぞれシフトさせる。
各第2記憶回路67には、各マルチプレクサ回路68(図中に「MUX2」と表記)がそれぞれ接続され、各マルチプレクサ回路68に各素子駆動回路70(図中に「DRV」と表記)がそれぞれ接続されている。各第2記憶回路67には、各発光ダイオードLEにおける光量のバラツキを補正するための4ビットの補正データ等がそれぞれ格納される。
96段目のフリップフロップ回路FFA24と接続された96段目の第2記憶回路67は、第1記憶回路73と接続されている。第1記憶回路73は、発光素子チップ53ごとの光量補正データ、或いはドライバIC54ごとの固有データ等が格納される。最上段のフリップフロップ回路FFD1と接続された最上段の第2記憶回路67は、上述した第1制御回路65と接続されている。第1制御回路65、96段の第2記憶回路67及び第1記憶回路73は、6本の信号線によりカスケード接続されており、6種類の書込指令信号E1、E2、W3、W2、W1及びW0を順次供給するようになっている。第1制御回路65は、この6種類の書込指令信号を適宜用いることにより、上述した補正データ等を第2記憶回路67及び第1記憶回路73に書き込むことができる。
ところでドライバIC54では、上述した2個1組の(すなわち奇数番目及び偶数番目の)発光ダイオードLEに対して、1個ずつのラッチ回路LT、第2記憶回路67、マルチプレクサ回路68及び素子駆動回路70を1組として対応させている。このため第2記憶回路67は、2個の発光ダイオードLEそれぞれと対応する2個の補正データを記憶しており、その両方を読み出してマルチプレクサ回路68に供給する。マルチプレクサ回路68は、第2制御回路66から供給されるデータ切替信号S1N及びS2Nに従い、奇数(ODD)用の補正データ又は偶数(EVN)用の補正データ何れか一方を選択し、これを素子駆動回路70に供給する。
またラッチ回路LTは、ラッチ信号HD−LOADに従い、各フリップフロップ回路FFに格納されている印刷データ信号HD−DATA(HD−DATA3〜HD−DATA0)をラッチし、素子駆動回路70へ供給する。
一方、第1記憶回路73は、制御電圧発生回路74(図中に「ADJ」と表記)と接続されている。制御電圧発生回路74は、VREF端子から基準電圧値VREFが供給されており、これを基に発光ダイオードLEを駆動するための制御電圧Vを発生して各素子駆動回路70に供給する。
すなわち素子駆動回路70は、NAND回路64から素子駆動制御信号DRVON−Nが供給され、制御電圧発生回路74から制御電圧Vが供給され、ラッチ回路LTから印刷データ信号HD−DATAが供給され、さらに第2記憶回路67からマルチプレクサ回路68を介して奇数用又は偶数用の補正データが供給される。
素子駆動回路70は、印刷データ信号HD−DATAがハイレベルであり、且つ素子駆動制御信号DRVON−Nもハイレベルである場合、制御電圧Vを基準としながら、補正データに基づいた大きさの駆動電流を生成し、これを出力端子DOに供給する。図5に示したように、この出力端子DOには、発光素子チップ53における奇数番目及び偶数番目の発光ダイオードLEが1個ずつ、それぞれのアノード端子を介して接続される。
カソード駆動回路71は、データ切替信号S1N及びS2N、素子駆動制御信号DRVON−N及びスタンバイ信号STBYを基に、共通線Odd及びEvenの電位を変化させる(詳しくは後述する)。図5に示したように、この共通線Odd及びEvenには、発光素子チップ53における奇数番目及び偶数番目の各発光ダイオードLEが、それぞれのカソード端子を介して接続される。
かかる構成により、プリントヘッド33では、素子駆動回路70から出力端子DOを介して供給される駆動電流を奇数番目及び偶数番目の発光ダイオードLEに供給する。またプリントヘッド33では、共通線Odd及びEvenの電位を変化させることにより、奇数側又は偶数側の何れか一方の発光ダイオードLEを、駆動電流に応じて点灯させることができる。
[4.カソード駆動回路の構成]
次に、カソード駆動回路71の構成について、図8の回路図を参照しながら詳細に説明する。因みに図8では、説明の都合上、1個の素子駆動回路70を簡略化して所定の回路(図中に四角形として表す)やPMOSトランジスタ等により表すと共に、発光素子チップ53の一部である発光ダイオードLE1及びLE2も表している。
次に、カソード駆動回路71の構成について、図8の回路図を参照しながら詳細に説明する。因みに図8では、説明の都合上、1個の素子駆動回路70を簡略化して所定の回路(図中に四角形として表す)やPMOSトランジスタ等により表すと共に、発光素子チップ53の一部である発光ダイオードLE1及びLE2も表している。
カソード駆動回路71は、大きく分けて、共通線Oddを介して奇数番目の発光ダイオードLEを駆動する奇数駆動回路77と、共通線Evenを介して偶数番目の発光ダイオードLEを駆動する偶数駆動回路78と、発光信号としての素子駆動制御信号DRVON−Nを反転させるインバータ80とにより構成されている。
奇数駆動回路77は、さらに主駆動部81、電位規制部83及びプリチャージ部85を有している。群切替部としての主駆動部81は、N型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)であるNMOSトランジスタ91を中心に構成されている。群切替スイッチ素子としてのNMOSトランジスタ91は、群切替信号としてのデータ切替信号S2Nがゲート端子に供給されると共に、ソース端子が接地され、ドレイン端子が電位規制部83を介して共通線Oddに接続されている。
この主駆動部81は、データ切替信号S2Nがローレベルであれば、NMOSトランジスタ91をオフ状態とし、ドレイン端子及びこれに接続された共通線Oddを、ソース端子(すなわち接地電位)から切り離す。また主駆動部81は、データ切替信号S2Nがハイレベルであれば、NMOSトランジスタ91をオン状態とし、ドレイン端子及びこれに接続された共通線Oddを、ソース端子に接続して接地させる。
電位規制部83は、NMOSトランジスタ93を中心に構成されている。電位規制スイッチ素子としてのNMOSトランジスタ93は、ドレイン端子及びゲート端子がNMOSトランジスタ91のドレイン端子及び共通線Oddに接続されると共に、ソース端子が接地されている。
この電位規制部83は、共通線Oddの電位が0[V]近傍である場合、NMOSトランジスタ93がオフ状態であるために、該共通線Oddの電位に対して作用しない。その一方で電位規制部83は、共通線Oddの電位が0[V]近傍から上昇し、所定の閾値電圧Vt(例えば約0.6[V]、以下これを規制電位とも呼ぶ)を越えると、NMOSトランジスタ93がオン状態となり、共通線Oddの電位をこの閾値電圧Vtにクランプする。
事前印加部としてのプリチャージ部85は、論理和素子95及びPMOSトランジスタ97を中心に構成されている。印加制御信号生成部としての論理和素子95は、インバータ80により反転された素子駆動制御信号DRVON−N(以下これを反転素子駆動制御信号DRVON−Pとも呼ぶ)、データ切替信号S2N及びスタンバイ信号STBYが供給される。論理和素子95は、入力された各信号の論理和を演算し、得られた演算結果をプリチャージ制御信号G1(以下これを印加制御信号とも呼ぶ)として出力し、これをPMOSトランジスタ97に供給する。
印加スイッチ素子としてのPMOSトランジスタ97は、NMOSトランジスタ91及び93に対し相補的な型であるP型のMOSとなっている。このPMOSトランジスタ97は、ゲート端子にプリチャージ制御信号G1が供給されると共に、ソース端子が電源VDD電位に接続され、ドレイン端子が共通線Oddに接続されている。
かかる構成によりプリチャージ部85は、反転素子駆動制御信号DRVON−P、データ切替信号S2N及びスタンバイ信号STBYの少なくとも1つがハイレベルであれば、プリチャージ制御信号G1をハイレベルとし、PMOSトランジスタ97をオフ状態としてソース端子及びドレイン端子の間を切り離す。このときプリチャージ部85は、共通線Oddの電位に関して何ら作用しない。
一方、プリチャージ部85は、反転素子駆動制御信号DRVON−P、データ切替信号S2N及びスタンバイ信号STBYが何れもローレベルであれば、プリチャージ制御信号G1をローレベルとし、PMOSトランジスタ97をオン状態としてソース端子及びドレイン端子の間を接続する。これによりプリチャージ部85は、共通線Oddを電源VDD電位に接続し、該共通線Oddの電位を0[V]よりも高い電位に引き上げようとする。
偶数駆動回路78は、奇数駆動回路77と同様に構成されており、主駆動部81、電位規制部83及びプリチャージ部85とそれぞれ対応する主駆動部82、電位規制部84及びプリチャージ部86を有している。また偶数駆動回路78は、データ切替信号S2Nに代えてデータ切替信号S1Nが供給され、共通線Oddに代えて共通線Evenに接続されている。
主駆動部82、電位規制部84及びプリチャージ部86は、NMOSトランジスタ91及び93、論理和素子95及びPMOSトランジスタ97とそれぞれ対応するNMOSトランジスタ92及び94、論理和素子96及びPMOSトランジスタ98を有している。このうち論理和素子96は、反転素子駆動制御信号DRVON−P、データ切替信号S1N及びスタンバイ信号STBYの論理和を演算し、得られた演算結果をプリチャージ制御信号G2としてPMOSトランジスタ98に供給する。
このため偶数駆動回路78の主駆動部82、電位規制部84及びプリチャージ部86は、奇数駆動回路77の主駆動部81、電位規制部83及びプリチャージ部85とそれぞれ同様に作用することができる。
ところで共通線Odd及びEvenは、例えばその一部が発光素子チップ53(図4及び図5)上の回路パターンとして形成され、或いはプリント配線板52(図4)上の回路パターンとして形成されている。この共通線Odd及びEvenは、それぞれ多数の発光ダイオードLE(例えば96個)と接続されるため、十分な長さを有している。このため共通線Odd及びEvenは、発光素子チップ53やプリント配線板52におけるグランドのパターン等との間に、ある程度の寄生容量(浮遊容量とも呼ぶ)を有している。
[5.補正データの転送及び発光]
次に、画像形成装置1(図1)において印刷処理を行う場合に、制御部3(図3)からプリントヘッド33に対して行われる補正データの転送処理と、その後に行われる印刷処理、すなわち印刷データの転送処理及び発光ダイオードLEの発光処理について、それぞれの段階ごとに説明する。
次に、画像形成装置1(図1)において印刷処理を行う場合に、制御部3(図3)からプリントヘッド33に対して行われる補正データの転送処理と、その後に行われる印刷処理、すなわち印刷データの転送処理及び発光ダイオードLEの発光処理について、それぞれの段階ごとに説明する。
[5−1.補正データの転送処理]
まず、補正データの転送処理について、図9のタイミングチャートを参照しながら説明する。制御部3は、補正データの転送開始に先立ち、ラッチ信号HD−LOADの信号レベルをLOD1部においてハイレベルに立ち上げる。これにより、引き続いて転送されるデータが印刷データではなく、補正データであることが示される。
まず、補正データの転送処理について、図9のタイミングチャートを参照しながら説明する。制御部3は、補正データの転送開始に先立ち、ラッチ信号HD−LOADの信号レベルをLOD1部においてハイレベルに立ち上げる。これにより、引き続いて転送されるデータが印刷データではなく、補正データであることが示される。
続いて制御部3は、各発光ダイオードLE(図5)と対応する4ビットの各補正データを、各ビットごとに分け、さらに奇数番目(Odd)及び偶数番目(Even)に分けたグループ単位で、クロック信号HD−CLK−Pに同期して印刷データ信号HD−DATA(HD−DATA3〜HD−DATA0)として順次供給する。すなわち印刷データ信号HD−DATAは、補正データbit3の奇数番目、補正データbit3の偶数番目、補正データbit2の奇数番目、…、及び補正データbit0の偶数番目の各グループ単位で、順次供給される。
この補正データは、フリップフロップ回路FFによって構成されるシフトレジスタSR(図6及び図7)により、上段側から下段側へ順次シフトされる。制御部3は、1つのグループについてのシフトを完了する度に、STB1部、STB2部、…、STB8部として示すように、ストローブ信号HD−STB−Nを3パルスずつ入力する。
ドライバIC54の第1制御回路65(図6)は、ストローブ信号HD−STB−Nのパルスに応じて、書込指令信号W3においてW31部及びW32部のように2個のパルスを書込指令として発生させる。また第1制御回路65は、書込指令信号W2、W1及びW0においても、同様に2個ずつのパルスを書込指令として順次発生させる。
このとき第1制御回路65は、書込指令信号W3、W2、W1及びW0における1パルス目の書込指令を、ストローブ信号HD−STB−NにおけるSTB1部、STB3部、STB5部及びSTB7部の各パルスを基にそれぞれ発生させる。また第1制御回路65は、書込指令信号W3、W2、W1及びW0における2パルス目の書込指令を、ストローブ信号HD−STB−NにおけるSTB2部、STB4部、STB6部及びSTB8部の各パルスを基にそれぞれ発生させる。
これに応じてドライバIC54の各第2記憶回路67(図6及び図7)は、書込指令信号W3〜W0にパルスが発生する度に、補正データが書き込まれ、これを記憶する。具体的に第2記憶回路67では、1個目のパルスに応じて奇数番目の発光ダイオードLE用の補正データが書き込まれ、2個目のパルスに応じて偶数番目の発光ダイオードLE用の補正データが書き込まれる。かくして各第2記憶回路67には、奇数番目及び偶数番目それぞれの発光ダイオードLEについての3ビット分の補正データが書き込まれる。
その後、制御部3は、ラッチ信号HD−LOADをLOD2部においてローレベルに立ち下げる。次に制御部3は、主走査同期信号HD−HSYNC−NにおいてSY1部のパルスを発生させる。これにより制御部3は、補正データの転送処理を終了すると共に、印刷データの転送処理を開始する。
[5−2.印刷データの転送処理及び発光ダイオードの発光処理]
次に、印刷データの転送処理及び発光ダイオードの発光処理について、図10のタイミングチャートを参照しながら説明する。この図10は、図9における主走査同期信号HD−HSYNC−NのSY1部よりも後の部分を拡大したものであり、一部の信号を省略しており、さらに共通線Odd及びEvenの電位を波形として表している。
次に、印刷データの転送処理及び発光ダイオードの発光処理について、図10のタイミングチャートを参照しながら説明する。この図10は、図9における主走査同期信号HD−HSYNC−NのSY1部よりも後の部分を拡大したものであり、一部の信号を省略しており、さらに共通線Odd及びEvenの電位を波形として表している。
まず制御部3は、SY1部に示すように、主走査同期信号HD−HSYNC−Nに1個のパルスを供給することにより、引き続いて転送される印刷データが奇数番目(Odd)のドットであることを第2制御回路66(図6)に通知する。次に制御部3は、クロック信号HD−CLKのCK1部に同期して、DT1部に示すように、印刷データのうち奇数番目(Odd)のドットを印刷データ信号HD−DATA(HD−DATA3〜HD−DATA0)として順次供給する。
因みに、プリントヘッド33においては、上述したように26個のドライバIC54がカスケード接続されており、それぞれのドライバIC54に96個の出力端子DO(DO1〜DO96)が設けられている。またプリントヘッド33では、1パルスのクロック信号HD−CLKにより、4ドット(すなわち画素)分の印刷データ信号HD−DATAが一度に転送される。このためプリントヘッド33では、一度のデータ転送、すなわち1ラインにおける奇数番目又は偶数番目の何れかの印刷データを転送する場合において、必要となるクロックパルス数が96/4*26=24*26=624個となる。
その後、制御部3は、1ラインデータのうち奇数番目のドットを表す印刷データの転送が完了すると、LOD3部に示すように、ラッチ信号HD−LOADにパルスを発生させる。これによりドライバIC54(図6及び図7)では、シフトレジスタSRにより奇数番目の印刷データを順次シフトした後に、各ラッチ回路LTにおいてこれらの印刷データをそれぞれラッチする。この印刷データは、各素子駆動回路70(図6及び図7)に供給される。
またカソード駆動回路71では、ラッチ信号HD−LOADにおけるLOD3部のパルスに応じて、共通線Oddの電位をローレベルに立ち下げると共に、共通線Evenの電位をハイレベルに立ち上げる(詳しくは後述する)。これによりプリントヘッド33では、発光素子チップ53における奇数番目の発光ダイオードLEのみが発光可能な状態となる。
さらに制御部3は、STB11部において、ストローブ信号HD−STB−Nをローレベルに立ち下げることにより、各素子駆動回路70の出力端子DO(DO1〜DO96)から、補正データに基づく大きさの駆動電流でなる印刷データを発光ダイオードLEへ出力させる。これにより発光素子チップ53では、奇数番目の発光ダイオードLEのみがそれぞれの印刷データに応じて点灯(発光)又は消灯する。
やがて制御部3は、STB11部から所定時間が経過したSTB12部において、ストローブ信号HD−STB−Nをハイレベルに戻すことにより、点灯していた各発光ダイオードLEを消灯させる。この結果、画像形成装置1の画像形成ユニット16(図2)では、プリントヘッド33において奇数番目の発光ダイオードLEが印刷データに応じて選択的に発光し、感光体ドラム38上の周側面に静電潜像を形成することができる。説明の都合上、以下では、奇数番目の発光ダイオードLEを発光させていたSTB11部からSTB12部までの期間を発光期間とも呼ぶ。
また制御部3は、DT2部に示すように、奇数番目の発光ダイオードLEを選択的に発光させている間に、クロック信号HD−CLKのCK2部に同期して、印刷データのうち偶数番目(Even)のドットを印刷データ信号HD−DATAとして順次供給する。
その後、制御部3は、LOD4部に示すように、ラッチ信号HD−LOADにパルスを発生させる。これによりドライバIC54(図6及び図7)では、シフトレジスタSRにより偶数番目の印刷データを順次シフトした後に、各ラッチ回路LTにおいて各ドットの印刷データをそれぞれラッチすることができる。この印刷データは、奇数番目の場合と同様に、各素子駆動回路70(図6及び図7)に供給される。
またカソード駆動回路71では、ラッチ信号HD−LOADにおけるLOD4部のパルスに応じて、共通線Oddの電位をハイレベルに立ち上げると共に、共通線Evenの電位をローレベルに立ち下げる(詳しくは後述する)。これによりプリントヘッド33では、発光素子チップ53における偶数番目の発光ダイオードLEのみが発光可能な状態となる。
さらに制御部3は、奇数番目の場合と同様に、STB13部において、ストローブ信号HD−STB−Nをローレベルに立ち下げることにより、各素子駆動回路70の出力端子DOから、補正データに基づく大きさの駆動電流でなる印刷データを発光ダイオードLEへ出力させる。これに応じて発光素子チップ53では、偶数番目の発光ダイオードLEのみがそれぞれの印刷データに応じて点灯(発光)又は消灯する。
やがて制御部3は、STB13部から所定時間が経過したSTB14部において、ストローブ信号HD−STB−Nをハイレベルに戻すことにより、点灯していた各発光ダイオードLEを消灯させる。この結果、画像形成装置1の画像形成ユニット16(図2)では、プリントヘッド33において偶数番目の発光ダイオードLEが印刷データに応じて選択的に発光し、感光体ドラム38上の周側面に静電潜像を形成することができる。
[5−3.共通線の電位]
次に、プリントヘッド33において各発光ダイオードLEを発光させる場合における、各種信号波形の変化と共通線Odd及びEvenにおける電位の変化について、図11のタイミングチャートを参照しながら説明する。
次に、プリントヘッド33において各発光ダイオードLEを発光させる場合における、各種信号波形の変化と共通線Odd及びEvenにおける電位の変化について、図11のタイミングチャートを参照しながら説明する。
因みに画像形成装置1は、印刷処理を行っている場合、待機状態にはならない。すなわちスタンバイ信号STBY(図8)は、この印刷処理が行われている間、ローレベルとなる。またプリントヘッド33では、補正データの転送処理が終了して印刷処理が開始されると、図9に示したように、LOD2部においてラッチ信号HD−LOADがローレベルに立ち下がる。このため、ラッチ信号HD−LOADを反転させた信号と反転ストローブ信号STB−P信号とを基に、NAND回路64(図6)により生成される素子駆動制御信号DRVON−Nは、印刷処理が行われる間、ストローブ信号HD−STB−Nと同等の波形を描くことになる。
まず制御部3(図3)は、SY1部(図11)において、主走査同期信号HD−HSYNC−Nに1個のパルスを発生させる。これに応じて第2制御回路66(図6)は、データ切替信号S1Nをハイレベルとし、データ切替信号S2Nをローレベルとする。またこのとき、ストローブ信号HD−STB−N及び素子駆動制御信号DRVON−Nがハイレベルとなっており、これを反転させた反転素子駆動制御信号DRVON−Pがローレベルとなっている。
このため、カソード駆動回路71(図8)のプリチャージ部85は、反転素子駆動制御信号DRVON−P、スタンバイ信号STBY及びデータ切替信号S2Nに基づき、論理和素子95によりプリチャージ制御信号G1をローレベルとする。またプリチャージ部86は、反転素子駆動制御信号DRVON−P、スタンバイ信号STBY及びデータ切替信号S1Nに基づき、論理和素子96によりプリチャージ制御信号G2をハイレベルとする。
奇数駆動回路77では、プリチャージ部85においてプリチャージ制御信号G1がローレベルであるために、PMOSトランジスタ97がオン状態となり、電源VDD電圧(例えば5[V])を共通線Oddに接続する。一方、主駆動部81は、データ切替信号S2Nがローレベルであるために、NMOSトランジスタ91がオフ状態となり、接地電位を共通線Oddから切り離す。
これにより共通線Oddの電位(図11)は、OD1部において、図中に破線で示すように、0[V]近傍から電源VDD電圧である5[V]まで徐々に上昇しようとする。因みに電位規制部83のNMOSトランジスタ93は、共通線Oddの電位が閾値電圧Vt未満である場合、オフ状態となり、該共通線Oddの電位に影響を及ぼさない。
しかしながら、カソード駆動回路71(図8)の電位規制部83では、上述したようにNMOSトランジスタ93のゲート端子及びドレイン端子が共通線Oddに接続され、ソース端子が接地されている。このため電位規制部83は、共通線Oddの電位がNMOSトランジスタ93の閾値電圧Vtを越えようとすると、NMOSトランジスタ93がオフ状態からオン状態に遷移し、ドレイン端子の電位を閾値電圧Vtにクランプする。この結果、共通線Oddの電位は、図中に実線で示したように、ほぼ閾値電圧Vtに規制される。
一方、偶数駆動回路78では、データ切替信号S1Nがハイレベルであるために、NMOSトランジスタ92がオン状態となり、接地電位を共通線Evenに接続する。この結果、共通線Evenの電位は、EV1部においてほぼ0[V]となる。
次に制御部3は、SY1部(図11)から所定の時間が経過した後、LOD3部において、ラッチ信号HD−LOADにパルスを発生させる。これに応じて第2制御回路66(図6)は、SN11部(図11)においてデータ切替信号S1Nをローレベルに立ち下げると共に、SN21部においてデータ切替信号S2Nをハイレベルに立ち上げる。
これに応じてカソード駆動回路71(図8)のプリチャージ部85は、論理和素子95によりプリチャージ制御信号G1をG11部においてハイレベルに立ち上げる。またプリチャージ部86は、論理和素子96によりプリチャージ制御信号G2をG21部においてローレベルに立ち下げる。
奇数駆動回路77では、プリチャージ部85において、プリチャージ制御信号G1がハイレベルに立ち上がったことに応じてPMOSトランジスタ97がオフ状態となり、電源VDD電圧を共通線Oddから切り離す。また主駆動部81は、データ切替信号S2Nがハイレベルに立ち上がったことに伴い、NMOSトランジスタ91がオン状態となり、接地電位を共通線Oddに接続する。
この結果、共通線Oddの電位は、OD2部においてほぼ0[V]となる。これにより、この共通線Oddに接続されている発光ダイオードLE、すなわち発光素子チップ53における奇数番目の各発光ダイオードLEは、素子駆動回路70の出力端子DOから供給される駆動電流に応じて発光し得る状態となる。
一方、偶数駆動回路78では、プリチャージ部86において、プリチャージ制御信号G2がローレベルに立ち下がったことに応じてPMOSトランジスタ98がオン状態となり、電源VDD電圧を共通線Evenに接続する。また主駆動部82は、データ切替信号S1Nがローレベルに立ち下がったことに伴い、NMOSトランジスタ92がオフ状態となり、接地電位を共通線Evenから切り離す。この結果、共通線Evenの電位は、EV2部において、図中に破線で示すように、ほぼ0[V]から電源VDD電圧へ上昇していこうとする。
しかしながら偶数駆動回路78では、電位規制部83の場合と同様に、共通線Evenの電位が電位規制部84におけるNMOSトランジスタ94の閾値電圧Vtを越えようとした時点で、該NMOSトランジスタ94がオフ状態からオン状態に切り替わる。このため共通線Evenの電位は、図中に実線で示したように、ほぼ閾値電圧Vtに規制される。
その次に制御部3は、LOD3部においてラッチ信号HD−LOADにパルスを発生させてから比較的短い時間が経過した時点で、STB11部においてストローブ信号HD−STB−Nをローレベルに立ち下げる。これに応じて素子駆動制御信号DRVON−Nもローレベルに立ち下がり、これを反転させた反転素子駆動制御信号DRVON−Pがハイレベルに立ち上がる。
これに応じてプリチャージ部86(図8)では、論理和素子96により生成されるプリチャージ制御信号G2がG22部(図11)においてハイレベルに立ち上がり、PMOSトランジスタ98がオフ状態になる。説明の都合上、以下では、共通線Evenに電源VDD電圧を印加していたG21部からG22部までの期間を、プリチャージ期間又は事前期間と呼ぶ。
これにより共通線Evenは、オフ状態であるNMOSトランジスタ92により接地電位から切り離された状態のまま、電源VDD電圧が印加されなくなる。このとき共通線Evenは、上述した浮遊容量を有しているために、電荷が蓄積された状態となっており、閾値電圧Vtを維持し続ける。
すなわち発光素子チップ53では、奇数番目の発光ダイオードLEにおけるカソード端子の電位がほぼ0[V]である一方、偶数番目の発光ダイオードLEにおけるカソード端子の電位が高いままである。このためプリントヘッド33では、素子駆動回路70から出力端子DOを介して駆動電流が供給されたときに、発光素子チップ53における奇数番目の発光ダイオードLEのみ駆動電流が流れて発光し、偶数番目の発光ダイオードLEに駆動電流が流れず点灯しない。
その後、制御部3は、STB11部から所定時間が経過したSTB12部においてストローブ信号HD−STB−Nを立ち上げ、これに伴い素子駆動制御信号DRVON-Nを立ち上げ、反転素子駆動制御信号DRVON−Pを立ち下げる。これによりプリチャージ制御信号G2がG23部においてローレベルに立ち下がる。カソード駆動回路71は、ここまでの一連の動作により、STB11部からSTB12部までの時間(すなわち発光期間)に渡り、印刷データに応じて奇数番目の各発光ダイオードLEをそれぞれ発光させることができる。
次に制御部3は、LOD3部から所定時間が経過したLOD4部において、ラッチ信号HD−LOADにパルスを発生させる。これに応じて第2制御回路66(図6)は、SN12部(図11)においてデータ切替信号S1Nをハイレベルに立ち上げると共に、SN22部においてデータ切替信号S2Nをローレベルに立ち下げる。これに応じてカソード駆動回路71(図8)のプリチャージ部85は、論理和素子95によりプリチャージ制御信号G1をG12部においてローレベルに立ち下げる。またプリチャージ部86は、論理和素子96によりプリチャージ制御信号G2をG24部においてハイレベルに立ち上げる。
すなわちカソード駆動回路71では、LOD3部以降に奇数番目の各発光ダイオードLEを発光させたときと比較して、奇数駆動回路77及び偶数駆動回路78の状態を入れ替え、これに伴い共通線Odd及びEvenの状態も入れ替えたような動作を行う。これによりカソード駆動回路71は、EV3部において共通線Evenの電位をほぼ0[V]とし、この共通線Evenに接続されている発光ダイオードLE、すなわち発光素子チップ53における偶数番目の各発光ダイオードLEを、素子駆動回路70の出力端子DOから供給される駆動電流に応じて発光させ得る状態とする。
またカソード駆動回路71は、プリチャージ制御信号G1がG12部において立ち下がったことに応じて、OD3部において共通線Oddの電位を0[V]から上昇させて閾値電圧Vtとする。さらにカソード駆動回路71は、G13部においてプリチャージ制御信号G1が立ち上がった後も、共通線Oddの浮遊容量により、この閾値電圧Vtを維持する。
これによりカソード駆動回路71は、共通線Oddに接続されている発光ダイオードLE、すなわち発光素子チップ53における奇数番目の各発光ダイオードLEを、素子駆動回路70の出力端子DOから駆動電流が供給されようとしても発光しない状態とする。すなわちプリントヘッド33では、素子駆動回路70から出力端子DOを介して駆動電流が供給されたときに、発光素子チップ53における偶数番目の発光ダイオードLEのみ駆動電流が流れて発光し、奇数番目の発光ダイオードLEに駆動電流が流れず点灯しない。
その後、制御部3は、STB13部から所定時間が経過したSTB14部においてストローブ信号HD−STB−Nを立ち上げ、これに伴い素子駆動制御信号DRVON−Nを立ち上げ、反転素子駆動制御信号DRVON−Pを立ち下げる。これによりプリチャージ制御信号G1は、G14部においてローレベルに立ち下がる。カソード駆動回路71は、ここまでの一連の動作により、STB13部からSTB14部までの時間(すなわち発光期間)に渡り、印刷データに応じて偶数番目の各発光ダイオードLEをそれぞれ発光させることができる。
このようにカソード駆動回路71は、ストローブ信号HD−STB−Nが立ち下がり奇数番目又は偶数番目の各発光ダイオードLEを発光させる直前に、非発光側の共通線Odd又はEvenの電位を一時的に高めて電荷を蓄積させ、その浮遊容量を利用してその電位を維持させるようになっている。
[5−4.発光ダイオードに流れる電流の大きさ]
次に、プリントヘッド33において発光素子チップ53における発光側及び非発光側の各発光ダイオードLEに流れる電流の大きさについて、具体的な数値を用いて算出する。ここでは、ラッチ信号HD−LOADにおけるLOD3部からLOD4部までの間の状態、すなわち奇数番目の発光ダイオードLE1を印刷データに応じて発光させる一方、偶数番目の発光ダイオードLE2を点灯させない場合を想定する。
次に、プリントヘッド33において発光素子チップ53における発光側及び非発光側の各発光ダイオードLEに流れる電流の大きさについて、具体的な数値を用いて算出する。ここでは、ラッチ信号HD−LOADにおけるLOD3部からLOD4部までの間の状態、すなわち奇数番目の発光ダイオードLE1を印刷データに応じて発光させる一方、偶数番目の発光ダイオードLE2を点灯させない場合を想定する。
まず、図8に示したように、発光ダイオードLE1及びLE2それぞれにおける、アノード端子及びカソード端子の間に印加される順方向電圧をそれぞれVF1及びVF2と定義する。順方向電圧VF1及びVF2は、約1.6[V]となる。また発光ダイオードLE1及びLE2は、互いのアノード端子が接続されているため、両者のアノード電位が同等となる。
このときカソード駆動回路71では、主駆動部81のNMOSトランジスタ91がオン状態であるため共通線Oddの電位をほぼ0[V]とする一方、主駆動部82のNMOSトランジスタ92がオフ状態であり共通線Evenの電位が閾値電圧Vtとなっている。
ここで、発光ダイオードLE1及びLE2それぞれに流れる電流をIF1及びIF2と定義して、該電流IF1及びIF2の比率を試算するものとする。発光ダイオードLE1の電流IF1は、電子物性の理論において知られているように、順バイアス状態にあるダイオードに流れる電流であるため、次の(1)式により表すことができる。
ここで、IOは飽和電流であり、ダイオードにおけるPN接合の面積等に依存して決まる値である。このため、以下ではこの飽和電流IOを定数と見なす。また、発光ダイオードLE1及びLE2では、それぞれにおけるPN接合の面積を同等と見なすことができるので、互いの飽和電流IOも同等であると見なすことができる。
(1)式において、電子の電荷qは約1.6×10−19[C]であり、エミッション係数nは1〜2の間の値となる。またボルツマン係数kは約1.38×10−23[J/K]であり、絶対温度Tは室温を約27[℃]のときに約300[K]となる。
一方、プリントヘッド33では、発光ダイオードLE2の順方向電圧VF2とNMOSトランジスタ92の閾値電圧Vtとの和が、発光ダイオードLE1の順方向電圧VF1に等しいことになる。このことを利用すると、発光ダイオードLE2の電流IF2は、次の(2)式のように表すことができる。
ここで、閾値電圧Vtを0.6[V]とし、エミッション係数を2とすると、発光ダイオードLE1の電流IF1に対する発光ダイオードLE2の電流IF2の比率を、次の(3)式のように算出することができる。
この(3)式から分かるように、プリントヘッド33では、非点灯としたい発光ダイオードLE2の電流経路に、閾値電圧Vtとして約0.6[V]程度の僅かな電位差を与えることで、点灯状態にある発光ダイオードLE1の電流IF1に対し、発光ダイオードLE2の電流IF2を10万分の1程度以下に抑えることができる。
すなわちプリントヘッド33では、非点灯とすべき発光ダイオードLE2に流れる電流IF2の大きさを、発光ダイオードLE1の電流IF1の約10万分の1以下に抑えることができるので、この微小な電流IF2による該発光ダイオードLE2の発光を、事実上無視することができる。
[6.効果等]
以上の構成において、本実施の形態による画像形成装置1のプリントヘッド33では、カソード駆動回路71(図8)の奇数駆動回路77及び偶数駆動回路78にプリチャージ部85及び86を設けた。
以上の構成において、本実施の形態による画像形成装置1のプリントヘッド33では、カソード駆動回路71(図8)の奇数駆動回路77及び偶数駆動回路78にプリチャージ部85及び86を設けた。
ここで、図5と対応する図12に示すように、プリチャージ部85及び86を設けない構成のプリントヘッド133を想定する。このプリントヘッド133は、ドライバIC54(54−1、54−2、…)に代わるドライバIC154(154−1、154−2、…)を有している。ドライバIC154は、ドライバIC54(図6及び図7)からカソード駆動回路71が省略されると共に、データ切替信号S1N及びS2Nを出力する構成となっている。またプリントヘッド133では、カソード駆動回路71のNMOSトランジスタ91及び92に相当するNMOSトランジスタ191及び192が設けられている。
NMOSトランジスタ191は、ゲート端子にデータ切替信号S2Nが供給されると共に、ソース端子が接地され、ドレイン端子が共通線Oddに接続されている。またNMOSトランジスタ192は、ゲート端子にデータ切替信号S1Nが供給されると共に、ソース端子が接地され、ドレイン端子が共通線Evenに接続されている。さらに共通線Odd及び共通線Evenは、プルアップ抵抗193及び194を介して電源VDD電圧にそれぞれ接続されている。
このような構成のプリントヘッド133は、例えば奇数番目の各発光ダイオードLEを発光させると共に偶数番目の各発光ダイオードLEを非点灯とする場合、NMOSトランジスタ192をオフ状態として偶数番目の各発光ダイオードLEに逆方向電圧を印加した状態を維持する必要がある。
一般に、発光ダイオードLEにおける逆方向印加電圧の最大値は、約3[V]となっている。このため発光ダイオードLEでは、例えば約5[V]である電源VDD電圧若しくはこれに近い電圧が長期的に印加された場合、その製造段階で内在していた結晶欠陥箇所が増大され、光量の低下を招く恐れがある。すなわちプリントヘッド133では、非点灯である偶数番目の各発光ダイオードLEにおいて、逆方向電圧に起因して、その特性を劣化させる恐れがあった。
これに対し、本実施の形態によるプリントヘッド33では、カソード駆動回路71(図8)に設けたプリチャージ部85及び86により、点灯側の発光ダイオードを点灯させる直前の比較的短いプリチャージ期間のみ、非点灯の発光ダイオードLEに対して、比較的小さい電圧である閾値電圧Vtを印加する(図12)。これを換言すれば、カソード駆動回路71は、点灯側の発光ダイオードLEが発光する発光期間において、非点灯の発光ダイオードLEに対して逆方向電圧を印加しないようにした。
これによりプリントヘッド33では、点灯すべきでない非点灯の発光ダイオードLEにおける誤点灯を防止しながら、これらの発光ダイオードLEに生じる充放電電流を抑制できるので、逆方向電圧の印加に起因した劣化を防止できる。
他の観点から見れば、プリチャージ部86では、点灯側(すなわち奇数番目)の発光ダイオードLEを点灯(発光)させるためにストローブ信号HD−STB−NがSTB11部(図11)においてローレベルに立ち下がることに起因して、プリチャージ制御信号G2をG22部においてハイレベルに立ち上げるようにした。このためプリントヘッド33では、点灯側の発光ダイオードLEが点灯する直前に、共通線Evenに対するプリチャージを確実に終了できる。
またプリチャージ部86では、LOD3部においてラッチ信号HD−LOADにパルスが発生したことに伴いデータ切替信号S1Nがローレベルに立ち下がることに起因して、プリチャージ制御信号G2をG21部においてローレベルに立ち下げるようにした。このためプリントヘッド33では、各発光ダイオードLEを適切に点灯させる目的で、制御部3によりLOD3部の後にSTB11部が生成されることを利用して、点灯側の発光ダイオードLEが点灯するよりもしばらく前の時点で、プリチャージを確実に開始することができる。
さらにプリントヘッド33では、カソード駆動回路71(図8)に電位規制部83及び84を設けた。このためプリントヘッド33は、電源VDD電圧と接続されている非点灯側の共通線Odd又はEvenの電位を、該電源VDD電圧(例えば約5[V])よりも十分に低い閾値電圧Vt(例えば約0.6[V])に抑えることができる(図12)。これによりプリントヘッド33は、プリチャージ期間に各発光ダイオードLEに印加される逆方向電圧を十分に小さい値に抑え、該発光ダイオードLEにおける劣化の度合を格段に抑制することができる。
そのうえプリントヘッド33では、カソード駆動回路71(図8)を形成する主駆動部81及び82、電位規制部83及び84、並びにプリチャージ部85及び86を、MOSによるスイッチ素子や論理演算子により構成した。これによりプリントヘッド33では、このカソード駆動回路71をドライバIC54内において他の回路と同様に形成することができるので、プリント配線板52に対する部品の追加等を行う必要が無く、製造時の工数を増加させる必要がない。
ところでプリントヘッド33では、製造過程においてプリント配線板52に各発光素子チップ53及び各ドライバIC54が実装された後に、不良箇所の有無やその位置を検出する目的で、IDDq試験と呼ばれる試験が行われる。このIDDq試験では、プリント配線板52に所定の治具を適宜接続し、共通線Odd又はEvenに電源VDD電圧を接続する等してドライバIC54に流れる電流を検出し、この電流の大きさを基に故障箇所の有無やその位置が判断される。
この点を踏まえて、カソード駆動回路71(図8)では、プリチャージ部85及び86の論理和素子95及び96に、スタンバイ信号STBYを入力させるようにした。これによりプリントヘッド33では、このスタンバイ信号STBYを適宜ローレベルからハイレベルに切り替えることにより、共通線Odd又はEvenに電源VDD電圧を接続できるので、上述したIDDq試験を容易に行うことができる。
以上の構成によれば、画像形成装置1のプリントヘッド33は、カソード駆動回路71(図8)の奇数駆動回路77及び偶数駆動回路78にプリチャージ部85及び86を設けると共に、電位規制部83及び84を設けた。プリントヘッド33は、点灯側の発光ダイオードを点灯させる直前の比較的短い期間のみ、非点灯の発光ダイオードLEに対して、共通線Odd又はEvenを介して電源VDD電圧よりも十分に低い閾値電圧Vtを印加する。これによりプリントヘッド33は、点灯すべきでない非点灯の発光ダイオードLEにおける誤点灯を防止しながら、これらの発光ダイオードLEに逆方向に流れる電流を微少に抑え、劣化を効果的に抑制できる。
[7.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、カソード駆動回路71のプリチャージ部85及び86にスイッチ素子としてPMOSトランジスタ97及び98を設けることにより、プリチャージ制御信号G1又はG2に応じて共通線Odd又はEvenに電源VDD電圧を接続するか否かを切り替える場合について述べた(図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、プリチャージ部85及び86に他の種々のスイッチ素子やスイッチ回路等を設けても良い。要は、プリチャージ制御信号G1又はG2に応じて共通線Odd又はEvenに電源VDD電圧を接続するか否かを切り替えることができれば良い。
なお上述した実施の形態においては、カソード駆動回路71のプリチャージ部85及び86にスイッチ素子としてPMOSトランジスタ97及び98を設けることにより、プリチャージ制御信号G1又はG2に応じて共通線Odd又はEvenに電源VDD電圧を接続するか否かを切り替える場合について述べた(図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、プリチャージ部85及び86に他の種々のスイッチ素子やスイッチ回路等を設けても良い。要は、プリチャージ制御信号G1又はG2に応じて共通線Odd又はEvenに電源VDD電圧を接続するか否かを切り替えることができれば良い。
また上述した実施の形態においては、データ切替信号S1Nをプリチャージ部86の論理和素子96に供給し(図8)、SN11部(図11)における該データ切替信号S1Nの立ち下がりに応じてG21部においてプリチャージ制御信号G2を立ち下げ、共通線Evenに対するプリチャージを開始する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、他の種々の信号を論理和素子96に供給し、この信号の立ち下がりに応じてプリチャージを開始しても良い。要は、STB11部(図11)においてストローブ信号HD−STB−Nがローレベルとなり発光ダイオードLEを点灯させるよりも前に、プリチャージを開始できれば良い。プリチャージ部85についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、反転素子駆動制御信号DRVON−Pをプリチャージ部86の論理和素子96に供給する場合について述べた(図8)。そのうえでプリントヘッド33では、STB11部(図11)における素子駆動制御信号DRVON−Nの立ち下がりに伴う反転素子駆動制御信号DRVON−Pの立ち上がりに応じて、G22部においてプリチャージ制御信号G2を立ち上げ、共通線Evenへのプリチャージを終了するようにした。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば他の種々の信号を論理和素子96に供給し、この信号の立ち上がりに応じてプリチャージを終了しても良く、或いはプリチャージの開始後に所定の時間が経過した時点で該プリチャージを終了しても良い。要は、プリチャージの開始後であって、STB11部(図11)においてストローブ信号HD−STB−Nがローレベルとなり発光ダイオードLEを点灯させるよりも前に、プリチャージを終了できれば良い。プリチャージ部85についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、カソード駆動回路71のプリチャージ部86において、反転素子駆動制御信号DRVON−P、スタンバイ信号STBY、及びデータ切替信号S1Nを基に論理和素子96によりプリチャージ制御信号G2を生成し、これをPMOSトランジスタ98に供給する場合について述べた(図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば制御部3において所定の信号処理によってプリチャージ制御信号G2を直接生成する等、種々の手法によりプリチャージ制御信号G2を生成し、これをPMOSトランジスタ98に供給しても良い。プリチャージ部85についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、プリント配線板52に発光素子チップ53及びドライバIC54が実装された段階で行われるIDDq試験を行うために、プリチャージ部85及び86の論理和素子95及び96にスタンバイ信号STBYを供給する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば他の手法により共通線Odd及びEvenの電位を変化させることができる場合や、IDDq試験を行わずに他の試験を行う場合等に、プリチャージ部85及び86の論理和素子95及び96にスタンバイ信号STBYを供給しないようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、電位規制部84にNMOSトランジスタ94を設けることにより(図8)、共通線Evenに電源VDD電圧を接続した場合の電位を該NMOSトランジスタ94の閾値電圧Vtに抑える場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばNMOSトランジスタ94に代えてダイオード等の半導体素子を設けることにより、共通線Evenに電源VDD電圧を接続した場合の電位を所定の電圧に抑えるようにしても良い。電位規制部83についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、カソード駆動回路71に電位規制部84を設けることにより、共通線Evenに電源VDD電圧を接続した場合の電位を該NMOSトランジスタ94の閾値電圧Vtに抑える場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばPMOSトランジスタ98のソース端子に電源VDD電圧よりも低い電圧を供給する場合等に、電位規制部84を省略しても良い。電位規制部83についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、カソード駆動回路71の主駆動部81(図8)にNMOSトランジスタ91を設けることにより、データ切替信号S2Nに従って共通線Oddを接地電位と接続するか否かを切り替える場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、主駆動部81に他の種々のスイッチ素子やスイッチ回路等を設けることにより、データ切替信号S2Nに従って共通線Oddを接地電位と接続するか否かを切り替えるようにしても良い。主駆動部82についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、発光素子チップ53の各発光ダイオードLEを奇数番目及び偶数番目の2群に分け、各群の発光ダイオードLEにおけるカソード端子を共通線Odd又はEvenに接続し、該共通線Odd及びEvenの電位を変化させることにより、各群の発光ダイオードLEを順次発光させる場合について述べた(図11)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば発光素子チップ53の各発光ダイオードLEを4群や8群等、任意数の群に分け、各群の発光ダイオードLEを順次発光させるようにしても良い。この場合、カソード駆動回路71内に奇数駆動回路77と同様の構成でなる回路を、発光ダイオードLEの群と同数だけ設ければ良い。そのうえで、このカソード駆動回路71により、発光しない各群の発光ダイオードLEに接続された各共通線の電位をプリチャージによってそれぞれ高めると共に、発光する群の発光ダイオードLEに接続された共通線の電位をほぼ0[V]とするように制御すれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、カソード駆動回路71をドライバIC54(図6及び図7)の内部に形成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばカソード駆動回路71をドライバIC54から独立させ、単独の半導体チップや複数の電子部品の組合せにより構成しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、ドライバIC54により、発光素子としての発光ダイオードLEを駆動して発光させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば有機EL(Electro-Luminescence)素子や有機LED素子等、他の種々の発光素子をドライバIC54により駆動して発光させても良い。
さらに上述した実施の形態においては、MFPでなる画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば複写機やファクシミリ装置等、電子写真方式によりトナー画像を形成して用紙に定着させる機能を有する種々の電子機器に適用しても良い。
さらに本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した実施の形態においては、共通線としての共通線Odd及びEvenと、群切替部としての主駆動部81及び82と、事前印加部としてのプリチャージ部85及び86とによって発光素子駆動回路としてのカソード駆動回路71を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる共通線と、群切替部と、事前印加部とによって発光素子駆動回路を構成しても良い。
本発明は、例えば電子写真方式によりトナー画像を形成して用紙に定着させて印刷するMFPにおいて利用できる。
1……画像形成装置、3……制御部、16……画像形成ユニット、31……画像形成部、33……プリントヘッド、38……感光体ドラム、52……プリント配線板、53……発光素子チップ、54……ドライバIC、65……第1制御回路、66……第2制御回路、70……素子駆動回路、71……カソード駆動回路、77……奇数駆動回路、78……偶数駆動回路、80……インバータ、81、82……主駆動部、83、84……電位規制部、85、86……プリチャージ部、91、92、93、94……NMOSトランジスタ、95、96……論理和素子、97、98……PMOSトランジスタ、LE……発光ダイオード、DO……出力端子、Odd、Even……共通線、DRVON−N……素子駆動制御信号、DRVON−P……反転素子駆動制御信号、G1、G2……プリチャージ制御信号、HD−LOAD……ラッチ信号、HD−STB−N……ストローブ信号、S1N、S2N……データ切替信号、STBY……スタンバイ信号、VF1、VF2……順方向電圧、IF1、IF2……電流。
Claims (9)
- それぞれに複数の発光素子を有する複数の発光素子群ごとに設けられ、各発光素子群を構成する複数の前記発光素子それぞれに接続された複数の共通線と、
複数の前記発光素子群とそれぞれ対応して設けられ、所定の群切替期間ごとに切り替えながら、前記共通線を介して前記発光素子群をそれぞれ駆動する複数の群切替部と、
複数の前記発光素子群とそれぞれ対応して設けられ、前記群切替部により他の前記発光素子群に切り替えられた前記群切替期間のうち、所定の発光信号に従い他の前記発光素子群の前記発光素子が発光する発光期間よりも前の事前期間に、当該発光素子群の前記発光素子に接続された前記共通線に所定の電圧を印加させる事前印加部と
を具えることを特徴とする発光素子駆動回路。 - 前記事前印加部は、所定電圧を前記共通線に印加するオン状態又は印加しないオフ状態に切り替える印加スイッチ素子を有し、該印加スイッチ素子に供給される印加制御信号に従い、当該印加スイッチ素子を前記事前期間にオン状態に切り替えた後、前記発光期間にオフ状態に切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子駆動回路。 - 前記事前印加部は、前記発光信号における信号レベルの変化に伴い、前記印加制御信号をオフ状態に切り替える
ことを特徴とする請求項2に記載の発光素子駆動回路。 - 前記群切替部は、所定電圧を前記共通線に印加するオン状態又は印加しないオフ状態に切り替える群切替スイッチ素子を有し、前記発光素子群を切り替えるための群切替信号に従い、当該発光素子群を駆動すべき前記群切替期間に該群切替スイッチ素子をオン状態に切り替え、
前記事前印加部は、前記群切替信号における信号レベルの変化に伴い、前記印加制御信号をオン状態に切り替える
ことを特徴とする請求項2に記載の発光素子駆動回路。 - 前記事前印加部は、前記発光信号又はこれを反転させた信号と、前記発光素子群を切り替えるための群切替信号又はこれを反転させた信号との論理和により、前記印加制御信号を生成する印加制御信号生成部をさらに具える
ことを特徴とする請求項2に記載の発光素子駆動回路。 - 前記共通線に接続され、前記事前印加部により前記事前期間に所定の電圧が前記共通線に印加されたときに、該共通線の電位を所定の規制電位に規制する電位規制部
をさらに具えることを特徴とする請求項1に記載の発光素子駆動回路。 - 前記事前印加部は、所定電圧を前記共通線に印加するオン状態又は印加しないオフ状態に切り替える印加スイッチ素子を有し、該印加スイッチ素子に供給される印加制御信号に従い、当該印加スイッチ素子を前記事前期間にオン状態に切り替えた後、前記発光期間にオフ状態に切り替え、
前記電位規制部は、前記群切替部及び前記共通線に接続された電位規制スイッチ素子であり、
前記印加スイッチ素子及び前記電位規制スイッチ素子は、互いに相補的な型の半導体素子である
ことを特徴とする請求項6に記載の発光素子駆動回路。 - 請求項1〜7の何れかに記載された複数の発光素子駆動回路と、
複数の前記発光素子駆動回路とそれぞれ接続された複数の前記発光素子と
を具えることを特徴とするプリントヘッド。 - 請求項8に記載されたプリントヘッドにより感光体を露光して静電潜像を生成し、現像剤により該静電潜像に基づいた画像を形成する画像形成部と、
前記画像を所定の媒体に定着させる定着部と
を具えることを特徴とする画像形成装置。
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JP2017206324A JP2019077117A (ja) | 2017-10-25 | 2017-10-25 | 発光素子駆動回路、プリントヘッド及び画像形成装置 |
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2017
- 2017-10-25 JP JP2017206324A patent/JP2019077117A/ja active Pending
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