JP2019074012A - 内燃機関の排気浄化システム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、エミッションの悪化を可及的に抑制する排気浄化システムを提供することを目的とする。【解決手段】触媒と、還元剤供給装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置に適用される、内燃機関の排気浄化システムにおいて、所定の指令状態における添加弁からの還元剤の添加量を推定する推定手段であって、該指令状態において、添加弁が開弁しているときに圧力検出手段により検出される還元剤の圧力と、添加弁が閉弁しているときに圧力検出手段により検出される還元剤の圧力と、に基づいて該添加量を推定する推定手段と、推定手段によって推定された添加量である推定添加量と、該推定添加量に対応した所定の指令信号に基づく添加量である所定の基準添加量と、に基づいて、添加弁からの還元剤の添加量を補正するための補正値を算出する算出手段と、を備える。【選択図】図6
Description
本発明は、内燃機関の排気浄化システムに関する。
還元剤を用いて排気を浄化する排気浄化触媒が知られている。例えば、選択還元型NOx触媒(以下、単に「NOx触媒」という。)では、アンモニアを還元剤として使用することで、内燃機関からの排気中に含まれるNOxを浄化する。この場合、NOx触媒よりも上流側には、排気中にアンモニア又はアンモニアの前駆体である尿素を添加する添加弁等が設置される。
そして、特許文献1には、添加弁に供給される還元剤の圧力と目標圧力との圧力偏差に基づいて、還元剤を圧送するポンプの回転速度をフィードバック制御する技術が開示されている。
添加弁から噴射される還元剤の流量は、添加弁に供給される還元剤の圧力および添加弁の噴口断面積と相関を有する。したがって、添加弁の噴口に析出物が堆積する等して添加弁の噴口断面積が変化してしまうと、添加弁に供給される還元剤の圧力が一定であっても、添加弁から噴射される還元剤の流量が変化してしまう。そうすると、添加弁からNOx触媒に実際に供給される還元剤の供給量が、排気を適切に浄化するために必要な還元剤の供給量に制御され難くなり、結果として、エミッションが悪化してしまう虞がある。
ここで、添加弁の噴口断面積をオンボードで計測することで上記の問題点に対応することも考えられるが、実際には、添加弁の噴口断面積をオンボードで計測することは容易ではない。
また、先行技術文献等に記載の技術は、添加弁に供給される還元剤の圧力をフィードバックして制御を行うものであって、当該技術では添加弁の噴口断面積が変化し得ることについて考慮されていない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、エミッションの悪化を可及的に抑制する排気浄化システムを提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関の排気浄化システムは、内燃機関の排気通路に設けられ還元剤を用いて排気を浄化する触媒と、還元剤供給装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置に適用される。ここで、前記還元剤供給装置は、還元剤を前記触媒へ供給する添加弁と、還元剤を吐出するポンプと、前記ポンプと前記添加弁とを接続して還元剤が流通する還元剤通路と、前記還元剤通路において還元剤の圧力を検出する圧力検出手段と、を含む。そして、上記課題を解決するために本発明に係る内燃機関の排気浄化システムは、前記還元剤供給装置へ指令信号を送信することで前記添加弁から還元剤を添加させる添加制御手段と、
前記添加制御手段から前記還元剤供給装置へ所定の指令信号が送信された指令状態における前記添加弁からの還元剤の添加量を推定する推定手段であって、該指令状態において、前記添加弁が開弁しているときに前記圧力検出手段により検出される還元剤の圧力と、前記添加弁が閉弁しているときに前記圧力検出手段により検出される還元剤の圧力と、に基づいて該添加量を推定する推定手段と、前記推定手段によって推定された添加量である推定添加量と、該推定添加量に対応した前記所定の指令信号に基づく添加量である所定の基準添加量と、に基づいて、前記添加弁からの還元剤の添加量を補正するための補正値を算出する算出手段と、を備え、前記添加制御手段は、前記所定の基準添加量を前記補正値を用いて補正した添加量である補正添加量に対応した指令信号を前記還元剤供給装置へ送信することで、前記添加弁から還元剤を添加させる。
前記添加制御手段から前記還元剤供給装置へ所定の指令信号が送信された指令状態における前記添加弁からの還元剤の添加量を推定する推定手段であって、該指令状態において、前記添加弁が開弁しているときに前記圧力検出手段により検出される還元剤の圧力と、前記添加弁が閉弁しているときに前記圧力検出手段により検出される還元剤の圧力と、に基づいて該添加量を推定する推定手段と、前記推定手段によって推定された添加量である推定添加量と、該推定添加量に対応した前記所定の指令信号に基づく添加量である所定の基準添加量と、に基づいて、前記添加弁からの還元剤の添加量を補正するための補正値を算出する算出手段と、を備え、前記添加制御手段は、前記所定の基準添加量を前記補正値を用いて補正した添加量である補正添加量に対応した指令信号を前記還元剤供給装置へ送信することで、前記添加弁から還元剤を添加させる。
本発明によれば、エミッションの悪化を可及的に抑制することができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本実施形態に係る内燃機関とその吸排気系の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、圧縮着火式の内燃機関(ディーゼルエンジン)である。ただし、本発明は、ガソリン等を燃料とする火花点火式の内燃機関にも適用することができる。
内燃機関1は、気筒2内へ燃料を噴射する燃料噴射弁3を備えている。なお、内燃機関
1が火花点火式の内燃機関である場合は、燃料噴射弁3は、吸気ポートへ燃料を噴射するように構成されてもよい。
1が火花点火式の内燃機関である場合は、燃料噴射弁3は、吸気ポートへ燃料を噴射するように構成されてもよい。
内燃機関1は吸気通路4と接続されている。吸気通路4には、エアフローメータ40およびスロットル弁41が設けられている。エアフローメータ40は、吸気通路4内を流れる吸気(空気)の量(質量)に応じた電気信号を出力する。スロットル弁41は、吸気通路4におけるエアフローメータ40よりも下流側に配置されている。スロットル弁41は、吸気通路4内の通路断面積を変更することで、内燃機関1の吸入空気量を調整する。
内燃機関1は排気通路5と接続されている。排気通路5には排気の流れに従って順に、NOxセンサ50、添加弁510、選択還元型NOx触媒52(以下、単に「NOx触媒52」と称する。)、および温度センサ53が設けられている。NOx触媒52は、アンモニアを還元剤として排気中のNOxを還元する機能を有する。また、NOxセンサ50は、内燃機関1から排出される排気のNOx濃度に応じた電気信号を出力し、温度センサ53は、NOx触媒52から流出する排気の温度に応じた電気信号を出力する。
そして、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置には、還元剤供給装置51が設けられている。還元剤供給装置51は、上述した添加弁510、ポンプ511、還元剤通路512、圧力センサ513、およびタンク514を含む。
タンク514には尿素水が貯留されており、添加弁510は、タンク514内の尿素水を排気通路5に添加する。このようにして、添加弁510から噴射された尿素水は、排気の熱またはNOx触媒52からの熱により加水分解されてアンモニアとなり、NOx触媒52に吸着する。このアンモニアは、NOx触媒52において還元剤として利用される。つまり、添加弁510からNOx触媒52に還元剤が供給されることになる。なお、以下では、尿素水を還元剤と称する。
ポンプ511は、タンク514内に設けられており還元剤を吐出する。ポンプ511は、電動ポンプであり、接続された電源から電力が供給されることで回転する。このポンプ511は、回転速度を変化させることにより還元剤の吐出量を変化させることができる。これにより還元剤の圧力を調整することができる。そして、ポンプ511によって吐出された還元剤は、還元剤通路512を介して添加弁510に導かれる。
ここで、還元剤が流通する還元剤通路512は、フィード通路512a,512bおよびリターン通路512cを有しており、ポンプ511からの還元剤は先ず第1フィード通路512aを流通する。そして、第1フィード通路512aを流通した還元剤は、分岐部512dにおいて、第2フィード通路512bとリターン通路512cとに分流する。第2フィード通路512bは、添加弁510に接続されており、第2フィード通路512bを流通した還元剤は、添加弁510に導かれる。リターン通路512cは、タンク514内の尿素水貯留空間に通じており、リターン通路512cを流通した還元剤は、タンク514内の該空間に戻される。なお、リターン通路512cには、オリフィス512eが設けられており、該オリフィス512eによって、リターン通路512cを流れる還元剤の流量が制限される。
また、還元剤通路512には、還元剤の圧力を検出する圧力センサ513が設けられている。圧力センサ513は、第2フィード通路512bに設けられている。ただし、これに限定する意図はなく、圧力センサ513は、添加弁510に供給される還元剤の圧力を検出可能な位置に設けられればよい。なお、本実施形態においては圧力センサ513が、本発明における圧力検出手段に相当する。
そして、内燃機関1には電子制御ユニット(ECU)10が併設されている。ECU10は、内燃機関1の運転状態等を制御するユニットである。ECU10には、上記のエアフローメータ40、NOxセンサ50、温度センサ53、圧力センサ513に加え、アクセルポジションセンサ7、およびクランクポジションセンサ8等の各種センサが電気的に接続されている。アクセルポジションセンサ7は、図示しないアクセルペダルの操作量(アクセル開度)に相関した電気信号を出力するセンサである。クランクポジションセンサ8は、内燃機関1の機関出力軸(クランクシャフト)の回転位置に相関する電気信号を出力するセンサである。そして、これらのセンサの出力信号がECU10に入力される。ECU10は、アクセルポジションセンサ7の出力信号に基づいて内燃機関1の機関負荷を導出し、クランクポジションセンサ8の出力信号に基づいて内燃機関1の機関回転速度を導出する。また、ECU10は、エアフローメータ40の出力値に基づいてNOx触媒52に流入する排気の流量(以下、「排気流量」と称する場合もある。)を推定し、温度センサ53の出力値に基づいてNOx触媒52の温度(以下、「触媒温度」と称する場合もある。)を推定する。また、ECU10は、NOxセンサ50の出力値に基づいてNOx触媒52に流入する排気のNOx濃度を検出し、更に、該NOx濃度と排気流量とに基づいてNOx触媒52に流入するNOx量を推定する。
また、ECU10には、燃料噴射弁3、スロットル弁41、添加弁510、およびポンプ511等の各種装置が電気的に接続されている。ECU10によって、これら各種装置が制御される。ここで、ECU10は、還元剤供給装置51へ指令信号を送信することで添加弁510から還元剤を添加させる。詳しくは、ECU10は、NOx触媒52においてNOxを適切に還元するために必要なNOx触媒52への還元剤の供給量(以下、「要求供給量」と称する場合もある。)を算出する。そして、ECU10は、要求供給量に応じた添加弁510からの還元剤の添加流量(以下、「要求添加流量」と称する場合もある。)を設定する。そして、要求添加流量に対応した指令信号を生成し、該指令信号を還元剤供給装置51へ送信する。指令信号を受けた還元剤供給装置51では、該指令信号に応じてポンプ511の印加電圧または添加弁510の弁開度が制御され、添加弁510から還元剤が添加される。なお、ECU10がこのように還元剤を添加させることで、本発明に係る添加制御手段として機能する。
このような排気浄化装置において、添加弁510の噴口に析出物が堆積する等してしまうと、添加弁510から噴射される還元剤の流量が変化してしまうことがある。そうすると、添加弁510からNOx触媒52に実際に供給される還元剤の供給量が、要求供給量に制御され難くなり、結果として、エミッションが悪化してしまう虞がある。これについて、以下に説明する。
このように、添加弁510からの噴射流量Qinjと添加弁510の噴口断面積Ainjとは相関を有する。したがって、添加弁510の噴口に析出物が堆積する等して噴口断面積Ainjが変化すると、それに伴って噴射流量Qinjも変化してしまうことになる。この場合、仮にECU10が上記式1における噴口断面積Ainjの変化を考慮せずに要求添加流量に対応した指令信号を生成すると、添加弁510からNOx触媒52に実際に供給される還元剤の供給量と要求供給量とに乖離が生じてしまう。その結果、上述した
ように、エミッションが悪化する虞がある。
ように、エミッションが悪化する虞がある。
そこで、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化システムでは、後述する下記式9によって、添加弁510からの噴射流量が推定される。これについて、以下に説明する。
図2は、ポンプ511から吐出される還元剤の圧力(以下、「吐出圧」と称する場合もある。)Ppと、ポンプ511から吐出される還元剤の流量(以下、「吐出流量」と称する場合もある。)Qpと、の相関を示す図である。図2に示すように、ポンプ511の吐出特性は、吐出圧Ppが高くなるほど吐出流量Qpが少なくなる。ここで、吐出流量Qpは、下記式2で表すことができる。
Qp=aPp+b ・・・式2
Qp:吐出流量
Pp:吐出圧
a、b:特性パラメータ
Qp=aPp+b ・・・式2
Qp:吐出流量
Pp:吐出圧
a、b:特性パラメータ
図3は、圧力センサ513によって検出される還元剤の圧力(以下、「検出圧力」と称する場合もある。)Pと、リターン通路512cを介してタンク514内に戻される還元剤の流量(以下、「リターン流量」と称する場合もある。)QRと、の相関を示す図である。そして、図3に示す相関は、下記式3で表すことができる。
QR:リターン流量
P:検出圧力
AR:オリフィス512eの断面積
C:流量係数
P:検出圧力
AR:オリフィス512eの断面積
C:流量係数
ここで、噴射流量Qinj、吐出流量Qp、およびリターン流量QRの関係について、図4を用いて説明する。図4は、噴射流量Qinj、吐出流量Qp、およびリターン流量QRの関係を模式的に表す図である。上述したように、第1フィード通路512aを流通した還元剤は、分岐部512dにおいて、第2フィード通路512bとリターン通路512cとに分流し得る。したがって、添加弁510開弁時には、下記式4が成立する。
Qinj=Qp−QR ・・・式4
Qinj=Qp−QR ・・・式4
一方、添加弁510の閉弁時には、Qinj=0となるため、下記式5が成立する。
Qp=QR ・・・式5
Qp=QR ・・・式5
そして、上記式4に、上記式2に示したQp、および上記式3に示したQRを代入することによって、下記式6が導かれる。なお、本実施形態では、吐出圧Ppは、圧力センサ513によって検出される還元剤の圧力(検出圧力P)に近似されるものとする。
ここで、Popenは、添加弁510開弁時の検出圧力である。
ここで、Popenは、添加弁510開弁時の検出圧力である。
また、上記式5に、上記式2に示したQp、および上記式3に示したQRを代入することによって、下記式7が導かれる。
ここで、Pcloseは、添加弁510閉弁時の検出圧力である。そして、上記式7を変形すると下記式8が導かれる。
上記式9によれば、噴口断面積Ainjを用いずに噴射流量Qinjを算出することができる。そして、上記式9によれば、後述するように、噴口断面積Ainjの値を用いずとも該噴口断面積Ainjの影響が考慮された噴射流量Qinjが推定されることになる。
そして、上記式9によって表される噴射流量Qinjについて、図5を用いて説明する。図5は、上記の図2に示した吐出圧Ppと吐出流量Qpとの相関と、上記の図3に示した検出圧力Pとリターン流量QRとの相関と、を用いて噴射流量Qinjを説明する図である。なお、上述したように、吐出圧Ppは、検出圧力Pに近似されるものとする。
図5に示すように、添加弁510の閉弁時には、検出圧力PはPcloseとなり、このときの吐出流量Qpおよびリターン流量QRはともにQcloseとなる。また、添加弁510の開弁時には、検出圧力PはPopenとなり、このときの吐出流量QpはQopen1となり、リターン流量QRはQopen2となる。そして、添加弁510の開弁時と閉弁時の吐出流量差分(以下、単に「吐出流量差分」と称する場合もある。)と、添加弁510の開弁時と閉弁時のリターン流量差分(以下、単に「リターン流量差分」と称する場合もある。)と、を和算した値が、噴射流量Qinjとなる。
詳しくは、吐出流量差分(Qopen1−Qclose)は、下記式10により表される。
Qopen1−Qclose=a(Popen−Pclose) ・・・式10
また、リターン流量差分(Qclose−Qopen2)は、下記式11により表される。
Qopen1−Qclose=a(Popen−Pclose) ・・・式10
また、リターン流量差分(Qclose−Qopen2)は、下記式11により表される。
したがって、噴射流量Qinjは、下記式12により表されることになる。
そして、上記式12を変形すると上記式6が導かれ、上述したように、上記式6に、上記式8に示したC・ARを代入することによって、上記式9が導かれることになる。つま
り、吐出流量差分とリターン流量差分とを和算した値が、噴射流量Qinjとなる。
り、吐出流量差分とリターン流量差分とを和算した値が、噴射流量Qinjとなる。
次に、本実施形態においてECU10が実行する制御フローについて、図6に基づいて説明する。図6は、本実施形態に係る制御フローを示すフローチャートである。本実施形態では、NOx触媒52への還元剤の供給が要求されたときに、ECU10によって本フローが実行される。なお、NOx触媒52への還元剤の供給が要求されたか否かについては、ECU10が本フローとは異なる周知のフローを実行することによって判定される。
本フローでは、先ず、S101において、要求供給量Qrqが算出される。S101では、例えば、NOxセンサ50によって検出されたNOx濃度と排気流量とに基づいて推定されたNOx触媒52への流入NOx量や触媒温度を考慮して、周知の手法を用いて要求供給量Qrqを算出することができる。
次に、S102において、S101で算出した要求供給量Qrqに応じた要求添加流量FRrqが算出される。S102では、周知の手法を用いて要求添加流量FRrqを算出することができる。
次に、S103において、還元剤供給装置51への所定の指令信号が生成される。S103では、所定の指令信号に基づく添加流量(以下、「所定の基準添加流量」と称する場合もある。)がS102で算出した要求添加流量FRrqと等しくなるように、所定の指令信号が生成される。
次に、S104において、添加弁510からの還元剤の添加が開始される。S104では、S103で生成した所定の指令信号に応じてポンプ511の印加電圧または添加弁510の弁開度が制御される。なお、還元剤供給装置51へ所定の指令信号が送信された指令状態においては、ポンプ511の印加電圧や添加弁510の開弁時のニードルリフト量は、所定の指令信号に応じた一定値にされる。
次に、S105において、添加弁510からの還元剤の添加が開始されてから所定時間tprが経過したか否かが判別される。この所定時間tprは、後述する推定添加流量FRasの算出に必要なパラメータ(上述したPopenおよびPclose)を取得可能な時間として定義される。そして、S105において肯定判定された場合、ECU10はS106の処理へ進み、S105において否定判定された場合、ECU10はS105の処理を繰り返す。
S105において肯定判定された場合、次に、S106において、添加弁510からの還元剤の添加が一旦停止される。そして、S107において、推定添加流量FRasが算出される。推定添加流量FRasは、上記指令状態における添加弁510からの還元剤の添加流量の推定値である。S107では、S104の処理からS106の処理の間に取得されたPopen、Pcloseおよび上記式9に基づいて、推定添加流量FRasが算出される。なお、ECU10がこのように推定添加流量FRasを算出することで、本発明に係る推定手段として機能する。
次に、S108において、S102で算出した要求添加流量FRrqとS107で算出した推定添加流量FRasとの差分が、所定の閾値FRthよりも大きいか否かが判別される。ここで、所定の閾値FRthは、例えば上記のパラメータの検出誤差といった、所定のばらつきを表す値であって、要求添加流量FRrqと推定添加流量FRasとの差分が所定の閾値FRth以下の場合には、該差分は所定のばらつきの範囲内にあると判断することができる。一方、要求添加流量FRrqと推定添加流量FRasとの差分が所定の閾値FRthよりも大きい場合には、ばらつき以外の要因により該差分が生じていると判
断することができる。そして、S108において肯定判定された場合、ECU10はS109の処理へ進み、S108において否定判定された場合、ECU10はS111の処理へ進む。
断することができる。そして、S108において肯定判定された場合、ECU10はS109の処理へ進み、S108において否定判定された場合、ECU10はS111の処理へ進む。
ここで、S108で肯定判定される場合の例について、図7に基づいて説明する。図7は、要求添加流量FRrq、所定の基準添加流量、および推定添加流量FRasを比較する図である。図7では、要求添加流量FRrqが100g/hrと算出されており、それに対応して所定の基準添加流量も100g/hrに設定されている。一方で、推定添加流量FRasが80g/hrと算出されている。言い換えれば、噴射流量Qinjが100g/hrとなるように指令されているにもかかわらず、推定添加流量FRasが80g/hrと算出されている。このとき、所定の閾値FRthが例えば5g/hrに設定されているとすると、要求添加流量FRrqと推定添加流量FRasとの差分20g/hrが所定の閾値FRthよりも大きくなるため、当該差分は、ばらつき以外の要因により生じていることになる。このような事態は、添加弁510の噴口に析出物が堆積する等して添加弁510の噴口断面積が小さくなってしまう場合に起こり得る。
つまり、S107において上記式9に基づいて算出される推定添加流量FRasには、添加弁510の噴口断面積の変化の影響が反映されることになる。そして、S108において肯定判定された場合、次に、S109において、添加弁510からの還元剤の添加流量を補正するための補正値(以下、単に「補正値」と称する場合もある。)Valcrが算出される。S109では、S107で算出した推定添加流量FRasと、S103で生成した所定の指令信号に基づく添加流量(所定の基準添加流量)と、に基づいて、補正値Valcrが算出される。補正値Valcrは、例えば、所定の基準添加流量を推定添加流量FRasで除算することにより算出され、上記の図7に示したように、所定の基準添加流量が100g/hrで推定添加流量FRasが80g/hrの場合には、補正値Valcrは1.25と算出される。なお、ECU10がこのように補正値Valcrを算出することで、本発明に係る算出手段として機能する。
次に、S110において、還元剤供給装置51への指令信号が更新される。S110では、S103で生成した所定の指令信号が、所定の基準添加流量をS109で算出した補正値Valcrを用いて補正した添加流量(以下、「補正添加流量」と称する場合もある。)に対応した指令信号に更新される。これについて、図8を用いて説明する。図8は、要求添加流量FRrq、所定の基準添加流量、および補正添加流量を比較する図である。なお、図8は上記の図7に対応する図であって、補正値Valcrが1.25と算出されているものとする。このときには、上述したように、噴射流量Qinjが100g/hrとなるように指令されているにもかかわらず、推定添加流量FRasが80g/hrと算出されているため、S103で生成した所定の指令信号をそのまま用いて還元剤の添加を再開すると、添加弁510からNOx触媒52に実際に供給される還元剤の供給量が、要求供給量Qrqに対して不足する虞がある。そこで、本実施形態では、図8に示すように、補正添加流量が、所定の基準添加流量を補正値Valcrで乗算した値にされる。つまり、所定の基準添加流量(100g/hr)を1.25倍した値(125g/hr)が補正添加流量となる。S110では、このような添加流量となるように指令信号が更新される。
次に、S111において、添加弁510からの還元剤の添加が再開される。S111では、S110で更新した指令信号に応じてポンプ511の印加電圧または添加弁510の弁開度が制御される。そして、S111の処理の後、本フローの実行が終了される。なお、S111の処理によって再開された添加弁510からの還元剤の添加は、本フローとは異なる周知のフローによって終了される。この終了タイミングは、S104の処理からS106の処理の間に添加弁510から添加された還元剤の添加量を加味して設定されても
よい。
よい。
以上に述べたように、添加弁510からの還元剤の添加が行われることによって、添加弁510からNOx触媒52に実際に供給される還元剤の供給量と要求供給量とに乖離が生じてしまう事態が抑制され、以て、エミッションの悪化を可及的に抑制することができる。
1・・・・内燃機関
3・・・・燃料噴射弁
4・・・・吸気通路
5・・・・排気通路
10・・・ECU
50・・・NOxセンサ
51・・・還元剤供給装置
52・・・NOx触媒
53・・・温度センサ
510・・添加弁
511・・ポンプ
512・・還元剤通路
513・・圧力センサ
514・・タンク
3・・・・燃料噴射弁
4・・・・吸気通路
5・・・・排気通路
10・・・ECU
50・・・NOxセンサ
51・・・還元剤供給装置
52・・・NOx触媒
53・・・温度センサ
510・・添加弁
511・・ポンプ
512・・還元剤通路
513・・圧力センサ
514・・タンク
Claims (2)
- 内燃機関の排気通路に設けられ還元剤を用いて排気を浄化する触媒と、
還元剤を前記触媒へ供給する添加弁と、還元剤を吐出するポンプと、前記ポンプと前記添加弁とを接続して還元剤が流通する還元剤通路と、前記還元剤通路において還元剤の圧力を検出する圧力検出手段と、を含む還元剤供給装置と、
を備えた内燃機関の排気浄化装置に適用される、内燃機関の排気浄化システムにおいて、
前記還元剤供給装置へ指令信号を送信することで前記添加弁から還元剤を添加させる添加制御手段と、
前記添加制御手段から前記還元剤供給装置へ所定の指令信号が送信された指令状態における前記添加弁からの還元剤の添加量を推定する推定手段であって、該指令状態において、前記添加弁が開弁しているときに前記圧力検出手段により検出される還元剤の圧力と、前記添加弁が閉弁しているときに前記圧力検出手段により検出される還元剤の圧力と、に基づいて該添加量を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された添加量である推定添加量と、該推定添加量に対応した前記所定の指令信号に基づく添加量である所定の基準添加量と、に基づいて、前記添加弁からの還元剤の添加量を補正するための補正値を算出する算出手段と、を備え、
前記添加制御手段は、前記所定の基準添加量を前記補正値を用いて補正した添加量である補正添加量に対応した指令信号を前記還元剤供給装置へ送信することで、前記添加弁から還元剤を添加させることを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017200215A JP2019074012A (ja) | 2017-10-16 | 2017-10-16 | 内燃機関の排気浄化システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017200215A JP2019074012A (ja) | 2017-10-16 | 2017-10-16 | 内燃機関の排気浄化システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019074012A true JP2019074012A (ja) | 2019-05-16 |
Family
ID=66543940
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2017200215A Pending JP2019074012A (ja) | 2017-10-16 | 2017-10-16 | 内燃機関の排気浄化システム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019074012A (ja) |
-
2017
- 2017-10-16 JP JP2017200215A patent/JP2019074012A/ja active Pending
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