JP2019064069A - 3次元造形物の製造方法及び3次元造形装置 - Google Patents

3次元造形物の製造方法及び3次元造形装置 Download PDF

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淳 大西
Atsushi Onishi
淳 大西
鶴井 孝文
Takafumi Tsurui
孝文 鶴井
二三男 南山
Fumio Minamiyama
二三男 南山
久美子 山▲崎▼
Kumiko Yamazaki
久美子 山▲崎▼
裕之 長澤
Hiroyuki Nagasawa
裕之 長澤
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Abstract

【課題】本発明は、組成を大きく変化させることができ、かつ造形精度の高い傾斜機能材料が得られる3次元造形物の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の3次元造形物の製造方法は、混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いる3次元造形物の製造方法であって、第1ノズルから第1液組成物の液滴を支持台に向かって射出する工程と、第2ノズルから第2液組成物の液滴を上記第1液組成物射出工程で着滴した第1液組成物の液滴に向かって射出する工程とを備え、上記第2液組成物の液滴の直径が上記第1液組成物の液滴の直径より小さく、上記第2液組成物射出工程において、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数により第1液組成物及び第2液組成物の混合比を調整する。【選択図】図3

Description

本発明は、3次元造形物の製造方法及び3次元造形装置に関する。
近年、各需要者の要求にあわせたテーラーメイド製品の製造や、アセンブリ製品の設計時に必要となる試作パーツの製造等の一品物の製造に、3次元造形装置、いわゆる3Dプリンタが用いられている。3Dプリンタでは、液状組成物をディスペンサーにより液滴として射出し、支持台上に積層し、この積層物を硬化させることを繰り返し行って、3次元造形物を得る。
3次元造形物として、組成や組織が異なる素材が連続的に変化して一体化した材料、いわゆる傾斜機能材料が要求される場合がある。このような傾斜機能材料を実現できる3次元造形装置としては、例えば2液性熱硬化性樹脂を用いた3次元造形装置が挙げられる(例えば特開2015−231741号公報参照)。この3次元造形装置は、2種類の材料をミキサー内で混合して熱硬化性樹脂を形成し、この熱硬化性樹脂をノズルから射出し、熱硬化性樹脂を所定のパターンで堆積させて構成要素の層を形成する。この従来の3次元造形装置では、駆動機構が、層ごとにミキサーにポンプ輸送される2種類の材料の比率を制御するので、傾斜機能材料を実現し得る。
この従来の3次元造形装置では、ミキサー内で混合した段階から熱硬化性樹脂の硬化が始まるため、熱硬化性樹脂を射出するノズルが詰まり易い。このため、2種類の材料の比率を硬化の速い条件となる比率とすることが難しく、変化できる組成の範囲が限定され易い。従って、上記従来の3次元造形装置を用いて3次元造形物を製造する場合、組成を大きく変化させた傾斜機能材料を得ることが難しい。
また、上記従来の3次元造形装置では、熱硬化性樹脂をミキサー内で混合してから射出するため、1滴単位での組成制御は難しく、例えば層単位での組成制御となる。従って、上記従来の3次元造形装置を用いて3次元造形物を製造する場合、きめ細かい組成制御を行って、造形精度の高い傾斜機能材料を得ることが難しい。
特開2015−231741号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、組成を大きく変化させることができ、かつ造形精度の高い傾斜機能材料が得られる3次元造形物の製造方法及び3次元造形装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いる3次元造形物の製造方法であって、第1ノズルから第1液組成物の液滴を支持台に向かって射出する工程と、第2ノズルから第2液組成物の液滴を上記第1液組成物射出工程で着滴した第1液組成物の液滴に向かって射出する工程とを備え、上記第2液組成物の液滴の直径が上記第1液組成物の液滴の直径より小さく、上記第2液組成物射出工程において、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数により第1液組成物及び第2液組成物の混合比を調整する。
当該3次元造形物の製造方法では、第1ノズル及び第2ノズルからそれぞれ射出された第1液組成物及び第2液組成物の液滴を着滴後に混合する。また、当該3次元造形物の製造方法では、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数により第1液組成物及び第2液組成物の混合比を調整する。従って、当該3次元造形物の製造方法を用いることで、ノズルの詰まり等を抑止しつつ、第1液組成物及び第2液組成物の混合比を大きく変化させることができる。このため、当該3次元造形物の製造方法では、造形される3次元造形物の組成を大きく変化させることができる。また、当該3次元造形物の製造方法では、着滴した第1液組成物の1つの液滴に対して第2液組成物の液滴の射出数を制御するので、1液滴単位で組成制御を行うことができる。さらに、当該3次元造形物の製造方法では、後から射出する第2液組成物の液滴の直径が第1液組成物の液滴の直径より小さい。これにより、容易に第2液組成物の液滴が第1液組成物の液滴に包含されるように着滴させることができるので、当該3次元造形物の製造方法では、1液滴単位での混合の均一性が高い。従って、当該3次元造形物の製造方法は、造形精度が高い。以上から、当該3次元造形物の製造方法を用いることで、組成を大きく変化させることができ、かつ造形精度の高い傾斜機能材料が得られる。
上記第1液組成物の液滴の直径に対する上記第2液組成物の液滴の直径の比としては、1/3以上4/5以下が好ましい。このように上記第1液組成物の液滴の直径に対する上記第2液組成物の液滴の直径の比を上記範囲内とすることで、混合比の制御性と、3次元造形物の造形効率とを両立できる。
上記第2液組成物射出工程において、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数が2以上である場合に、それぞれの着滴位置の中心が重ならないように第2液組成物の液滴を射出するとよい。このように複数の第2液組成物の液滴について、それぞれの着滴位置の中心が重ならないように射出することで、第1液組成物及び第2液組成物の混合の均一性を高められる。
上記第1液組成物が、ウレタンプレポリマー、ウレタンウレアプレポリマー及びウレアプレポリマーのうち少なくとも1種のプレポリマーと、ポリイソシアネートとを含み、
上記第2液組成物が、長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンのうち少なくとも1種のソフトセグメント成分と、鎖延長剤及び架橋剤のうち少なくとも1種のハードセグメント成分とを含むとよい。このように、プレポリマー及びポリイソシアネートを含む第1液組成物と、ソフトセグメント成分及びハードセグメント成分を含有する第2液組成物とを用いることで、3次元造形装置を用いて3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。また、上記第2液組成物がハードセグメント成分を含有することで、造形される3次元造形物の弾性率、硬度等を調整し易くなる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いる3次元造形装置であって、造形される3次元造形物を支持する板状の支持台と、上記第1液組成物の液滴を射出する第1ノズルと、上記第2液組成物の液滴を射出する第2ノズルと、上記支持台並びに第1ノズル及び第2ノズルを相対移動させる駆動部と、上記第1液組成物及び第2液組成物の液滴が上記支持台上で混合されるように液滴の着滴位置を制御する制御部とを備え、上記第2ノズルの直径が上記第1ノズルの直径より小さく、上記制御部が、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数を着滴位置に応じて制御する。
当該3次元造形装置では、第1ノズル及び第2ノズルからそれぞれ射出された第1液組成物及び第2液組成物の液滴が着滴後に混合される。また、当該3次元造形装置では、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数により第1液組成物及び第2液組成物の混合比を制御する。従って、当該3次元造形装置を用いることで、ノズルの詰まり等を抑止しつつ、第1液組成物及び第2液組成物の混合比を大きく変化させることができる。このため、当該3次元造形装置を用いることで、造形される3次元造形物の組成を大きく変化させることができる。また、当該3次元造形装置では、着滴した第1液組成物の1つの液滴に対して第2液組成物の液滴の射出数を制御するので、1液滴単位で組成制御を行うことができる。さらに、第2ノズルの直径が第1ノズルの直径より小さいので、後から射出する第2液組成物の液滴の直径が第1液組成物の液滴の直径より小さい。これにより、容易に第2液組成物の液滴が第1液組成物の液滴に包含されるように着滴させることができるので、当該3次元造形装置では、1液滴単位での混合の均一性が高い。従って、当該3次元造形装置は、造形精度が高い。以上から、当該3次元造形装置を用いることで、組成を大きく変化させることができ、かつ造形精度の高い傾斜機能材料が得られる。
ここで、「液滴の直径」とは、液滴と同体積の真球の直径を意味する。
以上説明したように、本発明の3次元造形物の製造方法及び3次元造形装置を用いることにより、組成を大きく変化させることができ、かつ造形精度の高い傾斜機能材料が得られる。
本発明の一実施形態に係る3次元造形装置の模式的斜視図である。 図1の3次元造形装置を用いた3次元造形物の製造方法の第1液組成物射出工程を説明する模式的断面図である。 図1の3次元造形装置を用いた3次元造形物の製造方法の第2液組成物射出工程を説明する模式的断面図である。 図1とは異なる3次元造形装置のヘッド部分の模式的拡大斜視図である。 図1及び図4とは異なる3次元造形装置の模式的斜視図である。 図5の3次元製造装置を用いた3次元造形物の製造方法を説明する模式的断面図である。
以下、本発明の一実施形態を適宜図面を参照しつつ詳説する。
〔3次元造形装置〕
図1に示す3次元造形装置は、混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いる3次元造形装置である。当該3次元造形装置は、基台1と、この基台1の上側に配設され、造形される3次元造形物Aを支持する板状の支持台2と、組成物の液滴を射出するヘッド3と、上記支持台2及びヘッド3を相対移動させる駆動部4と、上記ヘッド3から射出される液滴の着滴位置を制御する制御部5とを主に備える。
<基台>
基台1は、当該3次元造形装置の支持台2、ヘッド3等の各部を支える土台である。基台1の形状は特に限定されないが、例えば図1のように板状とできる。基台1の材質としては、特に限定されず、金属や樹脂とできるが、強度の観点から金属とするとよい。また、基台1の大きさは、対象とする3次元造形物Aの大きさにより適宜決定される。
<支持台>
支持台2は、基台1の上側に駆動部4を介して配設され、造形される3次元造形物Aを支持する。支持台2の材質としては、特に限定されないが、基台1と同じ材質とすることができる。また、支持台2の大きさは、対象とする3次元造形物Aの大きさにより適宜決定される。
支持台2は、後述する駆動部4によりXY方向に移動可能に構成されている。この支持台2の移動により支持台2及びヘッド3を相対移動させることができる。
<ヘッド>
ヘッド3は、ヘッド支持部6により支持されている。ヘッド支持部6は、例えば基台1の1つの側縁中央部から上方(Z方向)へ延びる垂直支持部6aと、この垂直支持部6aの先端から基台1の中央部へ延びる水平支持部6bと、この水平支持部6bの先端に連結され、Z方向へ延びる高さ調整支持部6cとを備える。ヘッド3は高さ調整支持部6cに連結され、後述する制御部5により高さ調整支持部6cとの連結位置を上下できるように構成されている。
ヘッド3は、ヘッド本体30と、第1ノズル31a及び第2ノズル31bとを備える。また、ヘッド本体30は、第1タンク30a及び第2タンク30bを備え、それぞれ第1液組成物及び第2液組成物が貯留される。
このヘッド3は、ディスペンサー(液滴吐出装置)として機能し、第1ノズル31aから第1液組成物の液滴を射出し、第2ノズル31bから第2液組成物の液滴を射出することができる。ヘッド3の液滴吐出方法としては、インクジェット方式、ニードル方式、シリンジ方式等の公知のディスペンサーに用いられる方式を採用できる。中でも高粘度の組成物であっても精度よく射出できるニードル式及びシリンジ式が好ましい。
第1ノズル31a及び第2ノズル31bは、この第1タンク30a及び第2タンク30bの下方から液滴射出方向が支持台2の表面に対して垂直となるように突出している。このように液滴射出方向を支持台2の表面に対して垂直とすることで、着滴位置の直上から液滴を射出することになるため、造形の進行に伴って3次元造形物の表面が高くなってもノズルの水平位置(XY平面での位置)を変える必要がない。従って、制御部の制御がさらに容易化される。また、第1ノズル31aと第2ノズル31bとのノズル配列方向はX方向である。
第1ノズル31aのノズル径の下限としては、0.002mmが好ましく、0.05mmがより好ましい。一方、上記ノズル径の上限としては、1mmが好ましく、0.1mmがより好ましい。上記ノズル径が上記下限未満であると、1回の射出当たりの液滴量が少なくなるため、造形効率が低下するおそれがある。また、第2液組成物との混合比を第2液組成物の液滴の射出数により制御するためには、第2液組成物の液滴径をさらに小さくする必要があるので、第2液組成物の液滴径の制御が困難となるおそれがある。逆に、上記ノズル径が上記上限を超えると、造形精度が低下するおそれや、2種の組成物を均一に混合することが難しくなるおそれがある。
第2ノズル31bのノズル径は、第1ノズル31aのノズル径より小さい。これにより、容易に第2液組成物の液滴の直径を第1液組成物の液滴の直径より小さくすることができる。第2ノズル31bのノズル径の下限としては、0.001mmが好ましく、0.02mmがより好ましい。一方、上記ノズル径の上限としては、0.8mmが好ましく、0.08mmがより好ましい。上記ノズル径が上記下限未満であると、1回の射出当たりの液滴量が少なくなるため、造形効率が低下するおそれがある。逆に、上記ノズル径が上記上限を超えると、混合比の制御性が低下するおそれや、2種の組成物を均一に混合することが難しくなるおそれがある。
第1ノズル31aのノズル径に対する第2ノズル31bのノズル径の比の下限としては、1/3が好ましく、1/2がより好ましい。一方、上記ノズル径の比の上限としては、4/5が好ましく、3/5がより好ましい。上記ノズル径の比が上記下限未満であると、所望の混合比とするための第2ノズルからの液滴の射出数が多くなり過ぎ、造形効率が低下するおそれがある。逆に、上記ノズル径の比が上記上限を超えると、混合比の制御性が低下するおそれがある。
第1ノズル31aと第2ノズル31bとの中心軸間の距離(ノズル間距離)の下限としては、1mmが好ましく、2mmがより好ましい。一方、上記ノズル間距離の上限としては、100mmが好ましく、70mmがより好ましく、3mmがさらに好ましい。上記ノズル間距離が上記下限未満であると、ヘッド3の製造が困難となるおそれがある。逆に、上記ノズル間距離が上記上限を超えると、第1ノズル31aにより着滴させた第1液組成物の液滴の着滴位置に第2ノズル31bにより第2液組成物の液滴を着滴させるためのヘッド3の移動距離が不要に大きくなるおそれがある。
<駆動部>
駆動部4は、支持台2をXY方向に移動可能とする。駆動部4の構成としては、支持台2をXY方向に移動可能とする限り特に限定されないが、例えば図1に示すように中心軸がX方向となるよう配設され、支持台2を中心軸方向に移動可能に支持する円柱状の第1軸部4aと、中心軸がY方向となるように配設され、支持台2及び第1軸部4aを中心軸方向に移動可能に支持する円柱状の第2軸部4bとにより構成することができる。このように構成することで、第2軸部4bを介して支持台2及び第1軸部4aをY方向の所望の位置へ移動した後、第1軸部4aを介して支持台2をX方向の所望の位置へ移動させることができる。
<制御部>
制御部5は、2種の組成物の液滴が支持台2上で混合されるように液滴の着滴位置を制御する。また、制御部5は、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数を着滴位置に応じて制御する。さらに、制御部5は、ヘッド3の高さ及びヘッド3から射出される液滴の着滴径を制御する。
制御部5は、例えばマイクロコントローラと、駆動部4及びヘッド3を制御する制御ユニットにより構成できる。制御部5の配設位置としては、液滴の射出の障害とならない限り特に限定されず、例えば図1では制御部5は基台1の側面でヘッド支持部6に隣接して配設されている。
制御部5は、平面視で直交するXY方向で着滴位置をX方向にスキャンし、Y方向にシフトするように駆動部4を制御する。このようにノズル配列方向であるX方向に着滴位置をスキャンさせることで、第1液組成物の射出と、第2液組成物の射出とを連続的に行うことが可能となり、造形効率を高められる。なお、「第1液組成物の射出と第2液組成物の射出とを連続的に行う」とは、第1液組成物の射出と第2液組成物の射出とをX方向への1度のスキャンでY方向にシフトすることなく行えることを意味する。
第1液組成物の液滴の着滴位置のX方向の間隔の下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、上記着滴位置のX方向の間隔の上限としては、2mmが好ましく、0.7mmがより好ましい。上記着滴位置のX方向の間隔が上記下限未満であると、造形効率が低下するおそれがある。逆に、上記着滴位置のX方向の間隔が上記上限を超えると、造形される3次元造形物Aの密度が低下するおそれや、2種の液滴の混合にムラが発生するおそれがある。
第1液組成物の液滴の着滴位置のY方向の間隔の下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、上記着滴位置のY方向の間隔の上限としては、2mmが好ましく、0.6mmがより好ましい。上記着滴位置のY方向の間隔が上記下限未満であると、造形効率が低下するおそれがある。逆に、上記着滴位置のY方向の間隔が上記上限を超えると、造形される3次元造形物Aの密度が低下するおそれがある。
ヘッド3のX方向への移動速度の下限としては、10mm/secが好ましく、20mm/secがより好ましい。一方、ヘッド3のX方向への移動速度の上限としては、300mm/secが好ましく、100mm/secがより好ましく、35mm/secがさらに好ましい。ヘッド3のX方向への移動速度が上記下限未満であると、造形効率が低下するおそれがある。逆に、ヘッド3のX方向への移動速度が上記上限を超えると、着滴した液滴の形状制御が困難となるおそれがある。なお、ヘッド3のY方向への移動速度は、シフト操作であるため特に限定されず、速いほどよいが、制御機構のコストの観点から例えば10mm/sec以上100mm/sec以下とできる。
第1ノズル31aからの液滴の射出時間間隔は、着滴位置のX方向の間隔とヘッド3のX方向への移動速度とから決まる。上記射出時間間隔の下限としては、5msecが好ましく、10msecがより好ましい。一方、上記射出時間間隔の上限としては、50msecが好ましく、30msecがより好ましい。上記射出時間間隔が上記下限未満であると、着滴間隔を所望の値とするためにはヘッド3のX方向への移動速度を高める必要があるため、着滴した液滴の形状制御が困難となるおそれがある。逆に、上記射出時間間隔が上記上限を超えると、造形効率が低下するおそれがある。
第2ノズル31bからの液滴の射出は、第1液組成物の1つの液滴に対して1又は複数行われるが、第1液組成物の1つの液滴に対して射出される第1液滴目の射出時間間隔は、第1液組成物の液滴の射出時間間隔と同様とできる。第1液組成物の1つの液滴に対して複数の第2液組成物の液滴を射出する場合、その複数の液滴の射出時間間隔は、着滴が第1液組成物の液滴の着滴範囲に含まれるように決定される。
また、制御部5は、第1ノズル31a及び第2ノズル31bから射出する液滴の着滴径を制御する。着滴径は、第1ノズル31a及び第2ノズル31bの径に加えて、第1ノズル31a及び第2ノズル31bから射出する液滴の量や射出圧力により調整することができる。
第1ノズル31aから射出される液滴の平均体積の下限としては、10nLが好ましく、50nLがより好ましい。一方、上記液滴の平均体積の上限としては、20μLが好ましく、1μLがより好ましい。上記液滴の平均体積が上記下限未満であると、第2液組成物との混合比を第2液組成物の液滴の射出数により制御するためには、第2液組成物の液滴の平均体積をさらに小さくする必要があるので、第2液組成物の平均体積の制御が困難となるおそれがある。逆に、上記液滴の平均体積が上記上限を超えると、造形される3次元造形物Aの形状が粗雑になるおそれがある。
第2ノズル31bから射出される液滴の平均体積の下限としては、1nLが好ましく、5nLがより好ましい。一方、上記液滴の平均体積の上限としては、2μLが好ましく、0.1μLがより好ましい。上記液滴の平均体積が上記下限未満であると、静電気等の影響で液滴の着弾位置の制御が困難となるため、造形される3次元造形物Aの造形精度が低下するおそれがある。逆に、上記液滴の平均体積が上記上限を超えると、混合比の制御性が低下するおそれや、2種の組成物を均一に混合することが難しくなるおそれがある。
第1ノズル31aから射出される液滴の平均体積に対する第2ノズルから射出される液滴の平均体積の比の下限としては、1/10が好ましく、1/8がより好ましい。一方、上記平均体積の比の上限としては、1/3が好ましく、1/4がより好ましい。上記平均体積の比が上記下限未満であると、所望の混合比とするための第2ノズルからの液滴の射出数が多くなり過ぎ、造形効率が低下するおそれがある。逆に、上記平均体積の比が上記上限を超えると、混合比の制御性が低下するおそれがある。
第1ノズル31a及び第2ノズル31bから射出される液滴の射出圧力の下限としては、0.02MPaが好ましく、0.05MPaがより好ましい。一方、上記射出圧力の上限としては、0.5MPaが好ましく、0.2MPaがより好ましい。上記射出圧力が上記下限未満であると、静電気等の影響で液滴の着弾位置の制御が困難となるため、造形される3次元造形物Aの造形精度が低下するおそれがある。逆に、上記射出圧力が上記上限を超えると、液滴が着滴後に飛散し易くなるため、造形される3次元造形物Aの形状が粗雑になるおそれがある。
最初に射出される第1ノズル31aからの液滴の着滴径の下限としては、0.6mmが好ましく、0.7mmがより好ましい。一方、第1ノズル31aからの液滴の着滴径の上限としては、1.2mmが好ましく、1.0mmがより好ましい。第1ノズル31aからの液滴の着滴径が上記下限未満であると、造形効率が低下するおそれがある。逆に、第1ノズル31aからの液滴の着滴径が上限を超えると、2種の液滴の混合にムラが発生するおそれがある。
第1ノズル31aから射出され着滴した隣接する液滴は、その一部が重なるとよい。つまり、第1ノズル31aからの液滴の着滴径は、着滴位置のX方向の間隔より大きいことが好ましい。このように一部が重なるように液滴を着滴させることで、造形される3次元造形物Aの密度ムラの発生を抑止できる。
着滴位置のX方向の間隔に対する第1ノズル31aからの液滴の着滴径の比の下限としては、1.2が好ましく、1.5がより好ましい。一方、上記着滴径の比の上限としては、4が好ましく、3がより好ましい。上記着滴径の比が上記下限未満であると、造形される3次元造形物Aに密度ムラが発生するおそれがある。逆に、上記着滴径の比が上記上限を超えると、造形効率が低下するおそれがある。
また、当該3次元造形装置では第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数により第1液組成物及び第2液組成物の混合比を調整する。この混合比の制御性の観点から、制御部5により、第2液組成物の液滴の直径は、第1液組成物の液滴の直径より小さく制御される。
第1液組成物の液滴の直径に対する第2液組成物の液滴の直径の比の下限としては、1/3が好ましく、1/2がより好ましい。一方、上記液滴の直径の比の上限としては、4/5が好ましく、3/5がより好ましい。上記液滴の直径の比が上記下限未満であると、所望の混合比とするための第2ノズルからの液滴の射出数が多くなり過ぎ、造形効率が低下するおそれがある。逆に、上記液滴の直径の比が上記上限を超えると、混合比の制御性が低下するおそれがある。
第2液組成物の液滴は、第1液組成物の1つの液滴に対して1又は複数射出されるが、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数が2以上である場合には、それぞれの着滴位置の中心が重ならないように第2液組成物の液滴を射出するとよい。このように中心が重ならないように複数の第2液組成物の液滴を射出することで、2種の液滴の混合の均一性を高められる。逆に、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数が1である場合には、混合の均一性の観点から、それぞれの着滴位置の中心が重なるように第2液組成物の液滴を射出するとよい。
制御部5は、ヘッド3の高さ調整支持部6cでの位置を変えることでヘッド3の高さを制御する。3次元造形物Aは造形が進むに従って高さを増す。これに伴い着滴位置も高くなっていくが、制御部5は、ヘッド3の高さを制御することで、ノズルの先端と着滴位置との距離を所望の範囲に保持する。
第1ノズル31a及び第2ノズル31bと、着滴位置と距離(射出距離)の下限としては、1mmが好ましく、2mmがより好ましい。一方、上記射出距離の上限としては、50mmが好ましく、10mmがより好ましく、5mmがさらに好ましい。上記射出距離が上記下限未満であると、ヘッド3と造形中の3次元造形物Aとが干渉するおそれがある。逆に、上記射出距離が上記上限を超えると、ノズルの制御のわずかな誤差が着滴位置において拡大するおそれがあるため、制御性が低下するおそれがある。
〔3次元造形物の製造方法〕
当該3次元造形物の製造方法は、準備工程と、第1液組成物射出工程と、第2液組成物射出工程とを備える。当該3次元造形物の製造方法は、図1に示す3次元造形装置を用いて行うことができる。
<準備工程>
準備工程では、ヘッド3の第1タンク30a及び第2タンク30bにそれぞれに造形材料として第1液組成物及び第2液組成物を充填する。
上記第1液組成物及び第2液組成物は、混合により反応する異なる種類の組成物である。上記第1液組成物及び第2液組成物としては、混合により造形物を生成できるものであれば特に限定されないが、例えば第1液組成物としてポリイソシアネート等のイソシアネート成分、第2液組成物として長鎖ポリオール等のポリオール成分及び/又は長鎖ポリアミン等のポリアミン成分を用いることができる。これらを混合することで、縮合反応によりポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアが得られる。これらは合成樹脂であり、弾性率、硬度等の物性を調整し易く、かつ耐摩耗性及び成形性に優れる。
第1液組成物及び第2液組成物としては、擬似プレポリマー法により反応する組成物が好ましい。ここで、擬似プレポリマー法とは、ポリウレタン等の合成において、使用する長鎖ポリオール及び/又は長鎖ポリアミンの一部を予めポリイソシアネートと反応させてプレポリマーにし、このプレポリマーをポリイソシアネートと共にイソシアネート成分として用いる方法である。この擬似プレポリマー法では、長鎖ポリオール及び/又は長鎖ポリアミンの一部をプレポリマーの合成に用い、このプレポリマーをイソシアネート成分として用いるため、使用する造形材料のポリオール成分及び/又はポリアミン成分とイソシアネート成分との体積を同程度にできる。このように、当該3次元造形物の製造方法は、擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を造形材料として用いることで、第1液組成物及び第2液組成物の体積を同程度にできるため、第1液組成物及び第2液組成物を容易かつ確実に混合できる。その結果、当該3次元造形物の製造方法を用いることで、ポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物Aを容易かつ確実に製造できる。ここで「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分を指す。
(第1液組成物)
第1液組成物は、ウレタンプレポリマー、ウレタンウレアプレポリマー及びウレアプレポリマーのうち少なくとも1種のプレポリマーと、ポリイソシアネートとを含むことが好ましい。第1液組成物にイソシアネート成分とポリオール成分及び/又はポリアミン成分との縮合反応が部分的に進行したウレタンプレポリマー等のプレポリマーを用いることで、第2液組成物のポリオール成分及び/又はポリアミン成分を減少させてその体積を小さくし、第1液組成物及び第2液組成物の体積を近づけることができる。また、第1液組成物に上記プレポリマーを用いることにより予めイソシアネート成分とポリオール成分及び/又はポリアミン成分との縮合反応の一部を済ませることができる。これにより、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度を向上することができる。さらに、第1液組成物に、上記プレポリマーよりも分子量の小さいポリイソシアネートを含有させることで、プレポリマー化による粘度上昇を抑止できるので、第1液組成物及び第2液組成物の混合時の拡散性低下を抑止できる。
第1液組成物の80℃における粘度の上限としては、400mPa・sが好ましく、300mPa・sがより好ましい。第1液組成物の80℃における粘度が上記上限を超えると、第2液組成物と混合し難くなり、その結果、造形される3次元造形物Aの硬化が不十分になるおそれや、所望の物性が得られないおそれがある。一方、第1液組成物の80℃における粘度の下限としては、特に限定されないが、例えば50mPa・sである。
第1液組成物に用いるウレタンプレポリマーは、主鎖中にウレタン結合(−NHCOO−)を有するオリゴマーであり、例えばポリイソシアネート及び長鎖ポリオールを反応させることで得られる。上記ウレタンプレポリマーは、通常両末端にイソシアネート基(−N=C=O)を有する。
上記ウレタンプレポリマーの数平均分子量の下限としては、800が好ましく、1,000がより好ましい。一方、上記ウレタンプレポリマーの数平均分子量の上限としては、5,000が好ましく、2,000がより好ましい。上記ウレタンプレポリマーの数平均分子量が上記下限未満であると、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が低下し、造形効率が低下するおそれがある。逆に、上記ウレタンプレポリマーの数平均分子量が上記上限を超えると、第1液組成物の粘度が上昇し、第2液組成物と混合し難くなるおそれがある。ここで「数平均分子量」とは、JIS−K7252−1:2008「プラスチック−サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方−第1部:通則」に準拠し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値を指す。
上記ポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。上記ポリイソシアネートとしては、例えば脂肪族ポリイソシアネート(脂環族ポリイソシアネートを含む)、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。なお、上記ポリイソシアネートは、通常主鎖中にウレタン結合及びウレア結合を有さない。
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート、これらの変性体や多量体等が挙げられる。上記芳香族イソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、これらの変性体や多量体等が挙げられる。上記ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
上記長鎖ポリオールは、分子中に2個以上の水酸基(−OH)を有する分子量300以上の化合物である。上記長鎖ポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルトリオール、これらの共縮合体等のポリオキシアルキレングリコールや、これらに側鎖や分岐構造を導入した誘導体、変性体などが挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えばジアルキルカーボネートとジオールとの反応物、ジアリールカーボネートとジオールとの反応物、アルキレンカーボネートとジオールとの反応物等が挙げられる。上記ジアルキルカーボネートとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。上記ジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。上記アルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート等が挙げられる。上記ジオールとしては、例えば後述する短鎖ジオール等が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えばジアルキルカーボネートとジオールとの反応物、ジアリールカーボネートとジオールとの反応物、アルキレンカーボネートとジオールとの反応物等が挙げられる。上記ジアルキルカーボネートとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。上記ジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。上記アルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート等が挙げられる。上記ジオールとしては、例えば後述する短鎖ジオール等が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えばジカルボン酸と分子量300未満のグリコールとの脱水縮合物等が挙げられる。上記ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。上記グリコールとしては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、p−キシレンジオール等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリオキシアルキレングリコールなどが挙げられる。また、上記ポリエステルポリオールとしては、例えばポリカプロラクトングリコール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール等のポリカプロラクトンポリオールも挙げられる。上述したポリエステルポリオールは、通常線状構造を有するが、これらに側鎖や分岐構造を導入した誘導体、変性体等を用いることもできる。また、上記ポリエステルポリオールとしては、上記ジカルボン酸及び上記グリコールと、3価以上のカルボン酸及び/又は3価以上のポリオールとの脱水縮合反応で得られる分枝構造を有するものを用いることもできる。なお、上記ジカルボン酸と上記グリコールとの脱水縮合反応の条件としては、例えばジカルボン酸に対するグリコールのモル比を1.1以上1.3以下、温度を150℃以上300℃以下とすることができる。
上記長鎖ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールが好ましく、ポリテトラメチレンエーテルグリコールがより好ましい。
上記長鎖ポリオールの数平均分子量の下限としては、形成する3次元造形物Aの用途等に応じて適宜変更可能であるが、500が好ましく、800がより好ましい。一方、上記長鎖ポリオールの数平均分子量の上限としては、5,000が好ましく、2,500がより好ましい。このように、上記長鎖ポリオールの数平均分子量を上記範囲とすることで、成形性と、造形される3次元造形物Aの弾性率、硬度、耐摩耗性、成形性等の物性とをバランスよく向上できる。
第1液組成物に用いるウレタンウレアプレポリマーは、主鎖中にウレタン結合及びウレア結合(−NHCONH−)を有するオリゴマーであり、例えばポリイソシアネートと長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンとを反応させることで得られる。上記ウレタンウレアプレポリマーは、通常両末端にイソシアネート基を有する。上記ウレタンウレアプレポリマーの合成に使用するポリイソシアネート及び長鎖ポリオールは、上記ウレタンプレポリマーの合成に用いるものと同様とすることができる。
上記ウレタンウレアプレポリマーの数平均分子量の下限としては、1,000が好ましく、1,500がより好ましい。一方、上記ウレタンウレアプレポリマーの数平均分子量の上限としては、15,000が好ましく、10,000がより好ましい。上記ウレタンウレアプレポリマーの数平均分子量が上記下限未満であると、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が低下し、造形効率が低下するおそれがある。逆に、上記ウレタンウレアプレポリマーの数平均分子量が上記上限を超えると、第1液組成物の粘度が上昇し、第2液組成物と混合し難くなるおそれがある。
第1液組成物に用いる長鎖ポリアミンは、分子中に2以上のアミノ基を有する分子量300以上の化合物である。なお、上記アミノ基には、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基及びイミノ基が含まれる。
上記長鎖ポリアミンとしては、例えばポリ(エチレングリコール)ジアミン、ポリ(プロピレングリコール)ジアミン、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)ジアミン、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとポリプロピレングリコールとの共縮合体のジアミン等の長鎖ジアミンや、ポリ(エチレングリコール)トリアミン、ポリ(プロピレングリコール)トリアミン等の長鎖トリアミンなどが挙げられる。
上記長鎖ポリアミンとしては、長鎖ジアミンが好ましく、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体のジアミン及びポリプロピレングリコールジアミンがより好ましい。
上記長鎖ポリアミンの数平均分子量は、形成する3次元造形物Aの用途等に応じて適宜変更可能であるが、上記長鎖ポリアミンの数平均分子量の下限として500が好ましく、800がより好ましい。一方、上記長鎖ポリアミンの数平均分子量の上限としては、5,000が好ましく、2,500がより好ましい。このように、上記長鎖ポリアミンの数平均分子量を上記範囲とすることで、成形性と、造形される3次元造形物Aの弾性率、硬度、耐摩耗性、成形性等の物性とをバランスよく向上できる。
第1液組成物に用いるウレアプレポリマーは、主鎖中にウレア結合を有するオリゴマーであり、例えばポリイソシアネートと長鎖ポリアミンとを反応させることで得られる。上記ウレアプレポリマーは、通常両末端にイソシアネート基を有する。上記ウレアプレポリマーの合成に使用するポリイソシアネート及び長鎖ポリアミンは、上記ウレタンウレアプレポリマーの合成に用いるものと同様とすることができる。
上記ウレアプレポリマーの数平均分子量の下限としては、1,000が好ましく、1,500がより好ましい。一方、上記ウレアプレポリマーの数平均分子量の上限としては、15,000が好ましく、10,000がより好ましい。上記ウレアプレポリマーの数平均分子量が上記下限未満であると、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が低下し、造形効率が低下するおそれがある。逆に、上記ウレアプレポリマーの数平均分子量が上記上限を超えると、第1液組成物の粘度が上昇し、第2液組成物と混合し難くなるおそれがある。
第1液組成物におけるプレポリマーの含有量(ウレタンプレポリマー、ウレタンウレアプレポリマー及びウレアプレポリマーの合計含有量)の下限としては、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましく、40質量%がさらに好ましい。一方、上記プレポリマーの含有量の上限としては、80質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましい。上記プレポリマーの含有量が上記下限未満であると、第1液組成物を硬化させるために必要なポリオール成分及び/又はポリアミン成分が増加するため、第2液組成物の体積が増加して第1液組成物と混合し難くなるおそれがある。逆に、上記プレポリマーの含有量が上記上限を超えると、相対的にポリイソシアネートの含有量が低下することで第1液組成物の粘度が増加し、第1液組成物及び第2液組成物を混合し難くなるおそれがある。
第1液組成物に用いるポリイソシアネートは、上記ウレタンプレポリマーで上述したものと同様とすることができる。但し、第1液組成物の含有する上記ウレタンプレポリマー、上記ウレタンウレアプレポリマー及び/又は上記ウレアプレポリマーの合成に用いたポリイソシアネートと、上記ポリイソシアネートとは、同一でも異なっていてもよい。
第1液組成物における上記ポリイソシアネートの含有量の下限としては、20質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、40質量%がさらに好ましい。一方、上記ポリイソシアネートの含有量の上限としては、90質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましい。上記ポリイソシアネートの含有量が上記下限未満であると、第1液組成物の粘度が増加し、第1液組成物及び第2液組成物を混合し難くなるおそれがある。逆に、上記ポリイソシアネートの含有量が上記上限を超えると、第1液組成物を硬化させるために必要なポリオール成分及び/又はポリアミン成分が増加するため、第2液組成物の体積が増加して第1液組成物と混合し難くなるおそれがある。
(第2液組成物)
上記第2液組成物は、長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンのうち少なくとも1種のソフトセグメント成分と、鎖延長剤及び架橋剤のうち少なくとも1種のハードセグメント成分とを含むことが好ましい。
第2液組成物の80℃における粘度の上限としては、400mPa・sが好ましく、300mPa・sがより好ましい。第2液組成物の80℃における粘度が上記上限を超えると、第1液組成物と混合し難くなるおそれがある。一方、第2液組成物の80℃における粘度の下限としては、特に限定されないが、例えば50mPa・sである。
第2液組成物に用いる長鎖ポリオールとしては、上記ウレタンプレポリマーの合成に用いるものと同様とすることができる。また、第2液組成物に用いる長鎖ポリアミンとしては、上記ウレタンウレアプレポリマーの合成に用いるものと同様とすることができる。なお、第2液組成物が含有する上記長鎖ポリオール及び上記長鎖ポリアミンは、第1液組成物が含有する上記ウレタンプレポリマー、上記ウレタンウレアプレポリマー及び/又は上記ウレアプレポリマーの合成に用いた長鎖ポリオールと同一でも異なっていてもよい。
第2液組成物における上記長鎖ポリオール及び上記長鎖ポリアミンの合計含有量の下限としては、70質量%が好ましく、80質量%がより好ましい。一方、上記合計含有量の上限としては、95質量%が好ましく、90質量%がより好ましい。上記合計含有量が上記下限未満であると、第1液組成物を硬化させるために必要な第2液組成物の体積が増加するため、第1液組成物及び第2液組成物を混合することが困難となるおそれがある。逆に、上記合計含有量が上記上限を超えると、第2液組成物における鎖延長剤、架橋剤等の含有量が相対的に低下し、造形される3次元造形物Aの物性を調整し難くなるおそれがある。
第2液組成物に用いる鎖延長剤は、造形される3次元造形物Aの靭性等を向上する。上記鎖延長剤としては、例えば短鎖ジオール、短鎖ジアミン等を用いることができる。
上記短鎖ジオールは、分子中に2個の水酸基を有する分子量300未満の化合物である。上記短鎖ジオールとしては、例えば1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールや、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等の脂環式ジオールなどが挙げられる。また、上記短鎖ジオールとしては、脂肪族ジオール及び脂環式ジオールとジアルキルカーボネート等との反応により得られるコポリカーボネートジオールを用いることもできる。上記コポリカーボネートジオールとしては、例えばポリカーボネートグリコール、これに側鎖や分岐構造を導入した誘導体、変性体等が挙げられる。中でも脂肪族ジオールが好ましく、1,4−ブタンジオールがより好ましい。
上記短鎖ジアミンは、分子中に2個のアミノ基を有する分子量300未満の化合物である。上記短鎖ジアミンとしては、例えばエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン(2,2,4−体及び2,4,4−体の異性体混合物)、2−メチルペンタメチレンジアミン、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,4−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン(MOCA)、ジメチルエチレンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,5−ジエチル−3’,5’−ジイソプロピルジシクロヘキシルメタンなどが挙げられる。中でも、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)が好ましい。
第2液組成物における上記鎖延長剤の含有量の下限としては、1質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。一方、上記鎖延長剤の含有量の上限としては、20質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。上記鎖延長剤の含有量が上記下限未満であると、造形される3次元造形物Aの物性を調整し難くなるおそれがある。逆に、上記鎖延長剤の含有量が上記上限を超えると、造形される3次元造形物Aの柔軟性が低下するおそれがある。
第2液組成物に用いる架橋剤は、造形される3次元造形物Aの弾性率等を向上する。上記架橋剤としては、例えば短鎖トリオール、短鎖テトラオール、短鎖トリアミン等を用いることができる。
上記短鎖トリオールは、分子中に3個の水酸基を有する分子量300未満の化合物である。上記短鎖トリオールとしては、例えばトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ヘキサントリオールなどが挙げられる。中でも、トリメチロールプロパンが好ましい。
上記短鎖テトラオールは、分子中に4個の水酸基を有する分子量300未満の化合物である。上記短鎖テトラオールとしては、例えばペンタエリスリトール等が挙げられる。
上記短鎖トリアミンは、分子中に3個のアミノ基を有する分子量300未満の化合物である。上記短鎖トリアミンとしては、例えばジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビスヘキサメチレントリアミン等が挙げられる。
第2液組成物における上記架橋剤の含有量の下限としては、0.5質量%が好ましく、3質量%がより好ましい。一方、上記架橋剤の含有量の上限としては、15質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。上記架橋剤の含有量が上記下限未満であると、造形される3次元造形物Aの物性を調整し難くなるおそれがある。逆に、上記架橋剤の含有量が上記上限を超える場合、造形される3次元造形物Aの柔軟性が低下するおそれがある。
第2液組成物は、可塑剤、触媒又はこれらの組み合わせをさらに含有することが好ましい。また、第2液組成物は、着色剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、防黴剤、難燃剤等の任意成分をさらに含有してもよい。なお、上記任意成分は、イソシアネート成分の貯蔵安定性の観点から、通常第2液組成物に含有させるが、第1液組成物に含有させてもよい。
第2液組成物に用いる可塑剤は、第2液組成物の粘度を低下させ、第1液組成物と混合し易くする。また、上記可塑剤は、造形される3次元造形物Aの弾性率を調整する。
上記可塑剤としては、例えばジエチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジブチルフタレート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスクロロプロピルホスフェート(TCPP)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等が挙げられる。中でも、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルが好ましい。
第2液組成物が上記可塑剤を含有する場合、第2液組成物における上記可塑剤の含有量の下限としては、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。一方、上記可塑剤の含有量の上限としては、30質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。上記可塑剤の含有量が上記下限未満であると、造形される3次元造形物Aの弾性率を調整し難くなるおそれがある。逆に、上記可塑剤の含有量が上記上限を超えると、上記長鎖ポリオール及び/又は上記長鎖ポリアミンの含有量が相対的に低下するため、第1液組成物を硬化させるために必要な第2液組成物の体積が増加し、第1液組成物及び第2液組成物を混合することが困難となるおそれがある。
第2液組成物に用いる触媒は、第1液組成物のポリイソシアネート成分と第2液組成物のポリオール成分との硬化反応を促進する。上記触媒としては、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、カルボン酸錫塩、カルボン酸ビスマス塩、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒などが挙げられる。中でも、造形される3次元造形物Aの変色を抑制する観点から、アミン系触媒以外の触媒が好ましく、有機錫化合物がより好ましく、ジラウリル酸ジメチル錫がさらに好ましい。
第2液組成物における上記触媒の含有量の下限としては、0.005質量%が好ましく、0.02質量%がより好ましい。一方、第2液組成物における触媒の含有量の上限としては、0.1質量%が好ましく、0.05質量%がより好ましい。上記触媒の含有量が上記下限未満であると、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が低下し、造形効率が低下するおそれがある。逆に、上記触媒の含有量が上記上限を超えると、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が速くなり過ぎ、3次元造形物Aの製造が困難となるおそれがある。
この準備工程は、第1液組成物射出工程及び第2液組成物射出工程を行う前に少なくとも1回行われる。また、第1液組成物射出工程及び第2液組成物射出工程により3次元造形物Aが造形されている段階においても第1液組成物や第2液組成物の液量の減少に伴い、第1液組成物射出工程及び第2液組成物射出工程を中断して適宜行う。なお、3次元造形物Aが造形中に準備工程を行う場合は、第1液組成物及び第2液組成物の両方を充填してもよいが、不足した液のみを充填してもよい。
<第1液組成物射出工程>
第1液組成物射出工程では、第1ノズル31aから第1液組成物の液滴を支持台2に向かって射出する。図2に示すように第1ノズル31aからの液滴B1は、支持台2上又は3次元造形物Aが造形途上である場合はその最上面に、その着滴する高さに対応する3次元造形物Aの断面形状と一致する平面形状を有する第1液層A1を形成する。この第1液層A1は、図2に示すように着滴した第1液組成物の複数の液滴が、その隣接する液滴と一部が重なり合うように構成するとよい。
形成する第1液層A1の形状は、例えばCAD(Computer Aided Design)データ等に基づいて作成した3次元造形物Aの断面形状データに基づく。また、第1ノズル31aの位置や液滴B1の射出条件は、上述のように制御部5により制御される。
射出する第1液組成物の液温としては、20℃以上60℃以下が好ましい。また、支持台2の温度としては、15℃以上150℃以下が好ましい。第1液組成物の液温又は支持台2の温度の温度が上記下限未満であると、第1液組成物の粘度が高くなり過ぎ、後述する第2液組成物射出工程で、第1液組成物と第2液組成物とを均一に混合することが難しくなるおそれがある。逆に、第1液組成物の液温又は支持台2の温度の温度が上記上限を超えると、第1液組成物の粘度が低くなり過ぎ、着滴した液滴の形状制御が困難となるおそれがある。
<第2液組成物射出工程>
第2液組成物射出工程では、第2ノズル31bから第2液組成物の液滴を第1液組成物射出工程で着滴した第1液組成物の液滴に向かって射出する。
第2液組成物射出工程は、第1液組成物射出工程で第1液層A1のX方向の一列分あるいは平面全体を形成した後に行うこともできるが、図3に示すように第1液組成物射出工程と連続的に行うことが、造形効率の観点で好ましい。当該3次元造形装置では、第1ノズル31a及び第2ノズル31bがX方向に配列され、ノズル配列方向であるX方向に着滴位置をスキャンさせる。このため、第1液組成物射出工程で着滴した第1液組成物の液滴に向かって、後続して通過する第2ノズルから容易に液滴を射出することができる。
第2ノズル31bから射出された第2液組成物の1又は複数の液滴(図3では、液滴B21〜B23の3滴)は、第1液組成物射出工程で射出され、着滴済みの第1液組成物の液滴B1と混合され、硬化することで硬化層A2が形成される。
当該3次元造形物の製造方法では、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数により第1液組成物及び第2液組成物の混合比を調整する。上記第2液組成物の液滴の射出数の上限としては、20が好ましく、10がより好ましい。上記第2液組成物の液滴の射出数が上記上限を超えると、造形効率の低下に対して得られる造形精度の向上効果が不十分となるおそれがある。なお、第2液組成物の液滴の射出数は、液滴の体積と所望の混合比とから決まるので、射出数を下げるには、液滴の体積を大きくするとよい。一方、上記第2液組成物の液滴の射出数の下限は、1である。
この第2液組成物の液滴の射出数は、目的とする3次元造形物に要求される特性の傾斜に応じて1滴単位、列単位、あるいは層単位等で制御することができる。特に当該3次元造形物の製造方法では1滴単位での制御が可能であるので、例えば射出数を1滴と2滴とを交互に繰り返すことで、射出数1.5滴相当の特性を得ることも可能である。従って、当該3次元造形物の製造方法を用いることで、造形精度の高い傾斜機能材料が得られる。
第1液組成物及び第2液組成物の混合後の80℃でのゲル化時間は、第1液組成物及び第2液組成物の混合比にもよるが、上記ゲル化時間の下限としては、3秒が好ましく、5秒がより好ましい。一方、上記ゲル化時間の上限としては、10秒が好ましく、8秒がより好ましい。上記ゲル化時間が上記下限未満であると、第1液組成物及び第2液組成物が十分に混合する前に硬化が始まり、混合の均一性が低下するおそれがある。逆に、上記ゲル化時間が上記上限を超えると、造形効率が低下するおそれがある。
形成される硬化層A2の1層当たりの平均厚さの下限としては、0.05mmが好ましく、0.1mmがより好ましい。一方、硬化層A2の1層当たりの平均厚さの上限としては、2mmが好ましく、1mmがより好ましい。硬化層A2の1層当たりの平均厚さが上記下限未満であると、造形効率が低下するおそれがある。逆に、硬化層A2の1層当たりの平均厚さが上記上限を超えると、造形精度が低下するおそれがある。
射出する第2液組成物の液温は、第1液組成物の液温と同様である。
当該3次元造形物の製造方法では、この第1液組成物射出工程及び第2液組成物射出工程を1層ずつ繰り返し行って積層していくことで、3次元造形物Aが得られる。
〔利点〕
当該3次元造形物の製造方法及び当該3次元造形装置では、第1ノズル及び第2ノズルからそれぞれ射出された第1液組成物及び第2液組成物の液滴を着滴後に混合する。また、当該3次元造形物の製造方法及び当該3次元造形装置では、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数により第1液組成物及び第2液組成物の混合比を調整する。従って、当該3次元造形物の製造方法及び当該3次元造形装置を用いることで、ノズルの詰まり等を抑止しつつ、第1液組成物及び第2液組成物の混合比を大きく変化させることができる。このため、当該3次元造形物の製造方法及び当該3次元造形装置では、造形される3次元造形物の組成を大きく変化させることができる。また、当該3次元造形物の製造方法及び当該3次元造形装置では、着滴した第1液組成物の1つの液滴に対して第2液組成物の液滴の射出数を制御するので、1液滴単位で組成制御を行うことができる。さらに、当該3次元造形物の製造方法及び当該3次元造形装置では、後から射出する第2液組成物の液滴の直径が第1液組成物の液滴の直径より小さい。これにより、容易に第2液組成物の液滴が第1液組成物の液滴に包含されるように着滴させることができるので、当該3次元造形物の製造方法及び当該3次元造形装置では、1液滴単位での混合の均一性が高い。従って、当該3次元造形物の製造方法及び当該3次元造形装置は、造形精度が高い。以上から、当該3次元造形物の製造方法及び当該3次元造形装置を用いることで、組成を大きく変化させることができ、かつ造形精度の高い傾斜機能材料が得られる。
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
上記実施形態では、3次元造形装置が第1ノズル及び第2ノズルを1組有する場合を説明したが、図4に示すように第1ノズル及び第2ノズルをY方向に複数組有してもよい。例えば図4に示す3次元造形装置では、ヘッド7が、ヘッド本体70及び、2つのノズル(第1ノズル71a及び第2ノズル71b)4組とを備える。1組の第1ノズル71a及び第2ノズル71bはX方向に配列されている。また、4組のノズルは、支持台2に平行かつY方向に配列されている。
上記4組のノズルは、Y方向に等間隔に配列されるとよい。隣接する2組のノズル間隔の下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、隣接する2組のノズル間隔の上限としては、2mmが好ましく、0.6mmがより好ましい。隣接する2組のノズル間隔が上記下限未満であると、造形効率が低下するおそれがある。逆に、隣接する2組のノズル間隔の上限を超えると、造形される3次元造形物Aの密度が低下するおそれがある。
また、上記隣接する2組のノズル間隔は、着滴位置のY方向の間隔と同値又はその整数倍とするとよい。このように隣接する2組のノズル間隔のY方向の間隔を着滴位置のY方向の間隔と同値又はその整数倍とすることで、一度に4列分の造形処理を行うことができる。なお、上記隣接する2組のノズル間隔を着滴位置のY方向の間隔の整数倍とする際、その倍数の上限としては、5倍が好ましく、3倍がより好ましく、2倍がさらに好ましい。上記倍数が上記上限を超えると、列間を埋める処理が困難となり、造形精度が低下するおそれがある。一方、上記倍数の下限としては、Y方向の間隔と同値となる1倍である。
当該3次元造形装置は、4組のノズルを備え、支持台に平行かつY方向に配設することで、一度のX方向のスキャンで4列の造形処理を行うことができる。従って、当該3次元造形装置は、3次元造形物Aの造形効率を高めることができる。
なお、図4を用いて当該3次元造形装置が4組のノズルを備える場合について説明したが、ノズルの組数は4には限定されず、2組、3組又は5組以上であってもよい。ノズルの組数の上限としては、50組が好ましく、30組がより好ましく、10組がさらに好ましい。ノズルの組数が上記上限を超えると、形成する3次元造形物の断面形状(硬化層1層分の形状)によって使用されないノズルが増加し、造形効率の向上効果が十分に得られないおそれがある。
上記実施形態では、3次元造形装置の第1ノズル及び第2ノズルが、液滴射出方向が支持台2の表面に対して垂直となるように下方に突出している場合を説明したが、液滴射出方向はこれに限定されない。例えば図5に示すように、3次元造形装置が、第1ノズル81a及び第2ノズル81bがV字を描くようにヘッド本体80から下方に突出しているヘッド8を有していてもよい。図5の3次元造形装置では、第1ノズル81aから射出された液滴と、第2ノズル81bから射出された液滴が衝突するように液滴射出方向が調整されている。
図5の3次元造形装置を用いる場合は、準備工程で、ヘッド8の第1タンク80a及び第2タンク80bにそれぞれに造形材料として第1液組成物及び第2液組成物を充填した後、制御部5により液滴の衝突位置が支持台2上又は3次元造形物Aが造形途上である場合はその最上面となるようにヘッド8の高さが調整される。次に、第1液組成物射出工程で第1液組成物の液滴B1を射出した後、第2液組成物射出工程で第2液組成物の1又は複数の液滴(図5では、液滴B21〜B23の3滴)を着滴した第1液組成物の液滴B1に向かって射出する。この第1液組成物射出工程及び第2液組成物射出工程を交互に繰り返すことで、3次元造形物Aが得られる。
上記実施形態では、駆動部が支持台をXY方向に移動可能とする構成を説明したが、支持台に代えてヘッドをXY方向に移動可能としてもよい。
上記実施形態では、制御部がヘッドの高さを調整する構成を説明したが、ヘッドに代えて支持台の高さを調整する構成としてもよい。
上記実施形態では、駆動部が平面視で直交するXY方向で上記着滴位置をX方向にスキャンし、Y方向にシフトするように支持台及びノズルを相対移動させる構成を説明したが、着滴位置のスキャン方法はこれに限定されず、例えば同心円状にスキャンさせることも可能である。
上記実施形態では、第1ノズル及び第2ノズルがX方向に配列される場合を説明したが、第1ノズル及び第2ノズルの配列方向はこれに限定されず、例えば図5に示すようにY方向に配列してもよい。
以上説明したように、本発明の3次元造形物の製造方法及び3次元造形装置を用いることにより、組成を大きく変化させることができ、かつ造形精度の高い傾斜機能材料が得られる。
1 基台
2 支持台
3、7、8 ヘッド
30、70、80 ヘッド本体
30a、80a 第1タンク
30b、80b 第2タンク
31a、71a、81a 第1ノズル
31b、71b、81b 第2ノズル
4 駆動部
4a 第1軸部
4b 第2軸部
5 制御部
6 ヘッド支持部
6a 垂直支持部
6b 水平支持部
6c 高さ調整支持部
A 3次元造形物
A1 第1液層
A2 硬化層
B1、B21、B22、B23 液滴

Claims (5)

  1. 混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いる3次元造形物の製造方法であって、
    第1ノズルから第1液組成物の液滴を支持台に向かって射出する工程と、
    第2ノズルから第2液組成物の液滴を上記第1液組成物射出工程で着滴した第1液組成物の液滴に向かって射出する工程と
    を備え、
    上記第2液組成物の液滴の直径が上記第1液組成物の液滴の直径より小さく、
    上記第2液組成物射出工程において、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数により第1液組成物及び第2液組成物の混合比を調整する3次元造形物の製造方法。
  2. 上記第1液組成物の液滴の直径に対する上記第2液組成物の液滴の直径の比が、1/3以上4/5以下である請求項1に記載の3次元造形物の製造方法。
  3. 上記第2液組成物射出工程において、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数が2以上である場合に、それぞれの着滴位置の中心が重ならないように第2液組成物の液滴を射出する請求項1又は請求項2に記載の3次元造形物の製造方法。
  4. 上記第1液組成物が、ウレタンプレポリマー、ウレタンウレアプレポリマー及びウレアプレポリマーのうち少なくとも1種のプレポリマーと、ポリイソシアネートとを含み、
    上記第2液組成物が、長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンのうち少なくとも1種のソフトセグメント成分と、鎖延長剤及び架橋剤のうち少なくとも1種のハードセグメント成分とを含む請求項1、請求項2又は請求項3に記載の3次元造形物の製造方法。
  5. 混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いる3次元造形装置であって、
    造形される3次元造形物を支持する板状の支持台と、
    上記第1液組成物の液滴を射出する第1ノズルと、
    上記第2液組成物の液滴を射出する第2ノズルと、
    上記支持台並びに第1ノズル及び第2ノズルを相対移動させる駆動部と、
    上記第1液組成物及び第2液組成物の液滴が上記支持台上で混合されるように液滴の着滴位置を制御する制御部と
    を備え、
    上記第2ノズルの直径が上記第1ノズルの直径より小さく、
    上記制御部が、第1液組成物の1つの液滴に対する第2液組成物の液滴の射出数を着滴位置に応じて制御する3次元造形装置。

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