JP2019062815A - 虫由来dnaの断片を増幅するためのプライマーセット、及び、それを用いた虫種の同定方法 - Google Patents
虫由来dnaの断片を増幅するためのプライマーセット、及び、それを用いた虫種の同定方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019062815A JP2019062815A JP2017192070A JP2017192070A JP2019062815A JP 2019062815 A JP2019062815 A JP 2019062815A JP 2017192070 A JP2017192070 A JP 2017192070A JP 2017192070 A JP2017192070 A JP 2017192070A JP 2019062815 A JP2019062815 A JP 2019062815A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- primer
- base sequence
- bases
- insect
- primer pair
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
Abstract
Description
(1)虫に由来するDNAの断片を増幅するためのプライマーセットであって、
配列番号1の塩基配列
GGTCAACAAATCATAAAGATATTGG
のうち3’末端から10塩基以上の連続した塩基配列と同一又は相同な塩基配列を3’末端に含む第1ポリヌクレオチドを含む第1プライマーと、
配列番号2の塩基配列
GAAGAAAATTATAACAAAAGCATG
のうち3’末端から10塩基以上の連続した塩基配列と同一又は相同な塩基配列を3’末端に含む第2ポリヌクレオチドを含む第2プライマーと
を含むプライマー対A、
配列番号3の塩基配列
GCCAGTTCTAGCAGGAGCTATTAC
のうち3’末端から10塩基以上の連続した塩基配列と同一又は相同な塩基配列を3’末端に含む第3ポリヌクレオチドを含む第3プライマーと、
配列番号4の塩基配列
TAAACTTCAGGGTGACCAAAAAATCA
のうち3’末端から10塩基以上の連続した塩基配列と同一又は相同な塩基配列を3’末端に含む第4ポリヌクレオチドを含む第4プライマーと
を含むプライマー対B、及び、
配列番号5の塩基配列
ATTACGCTGTTATCCCY
(YはC又はT或いはC及びTの混合塩基である)
のうち3’末端から10塩基以上の連続した塩基配列と同一又は相同な塩基配列を3’末端に含む第5ポリヌクレオチドを含む第5プライマーと、
配列番号6の塩基配列
GACGAGAAGACCCY
(YはC又はT或いはC及びTの混合塩基である)
のうち3’末端から10塩基以上の連続した塩基配列と同一又は相同な塩基配列を3’末端に含む第6ポリヌクレオチドを含む第6プライマーと
を含むプライマー対C
のうち1つ以上を含むプライマーセット。
(2)前記プライマー対A、前記プライマー対B、及び、前記プライマー対Cのうち2つ以上を含む、(1)のプライマーセット。
(3)前記プライマー対A、前記プライマー対B、及び、前記プライマー対Cを含む、(2)のプライマーセット。
(4)虫に由来するDNAを鋳型とし、(1)〜(3)のいずれかのプライマーセットに含まれるプライマー対を用いて核酸増幅反応を行う工程1と、
工程1での核酸増幅反応の増幅産物の塩基配列を解析する工程2と
を含むことを特徴とする、虫の種類を同定する方法。
本発明において「虫」とは、節足動物門のうち陸上で生息するものを指す。昆虫に加え、ムカデ等の多足類、クモ類を含む。本発明における「虫」は、特に、飲食品や他の製品に異物として混入する可能性のある虫であり、ハエ目、チャタテムシ目、ゴキブリ目、甲虫目、カメムシ目、アザミウマ目、チョウ目、クモ目及びオオムカデ目から選択される目に属する1種以上の虫である。
び/又は挿入された塩基配列である。
(B)塩基配列Yが、塩基配列Xと70%以上の同一性を有する塩基配列である。
(C)塩基配列Yからなるポリヌクレオチドが、配列番号Xと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズすることができる。
(D)塩基配列Xと塩基配列Yの一方における任意の位置のチミン(T)が、他方におけるウラシル(U)に置換されている。
and Sambrook,Molecular Cloning,4th Ed(2012),Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照して適宜決定することができる。具体的には、サザンハイブリダイゼーションの際の温度や溶液に含まれる塩濃度、及びサザンハイブリダイゼーションの洗浄工程の際の温度や溶液に含まれる塩濃度によりストリンジェントな条件を設定することができる。より詳細には、ストリンジェントな条件としては、例えば、ハイブリダイゼーション工程では、ナトリウム濃度が25〜500mM、好ましくは25〜300mMであり、温度が40〜68℃、好ましくは40〜65℃である。より具体的には、ハイブリダイゼーションは、1〜7×SSC、0.02〜3% SDS、温度40℃〜60℃で行うことができる。また、ハイブリダイゼーションの後に洗浄工程を行なっても良く、洗浄工程は、例えば0.1〜2×SSC、0.1〜0.3% SDS、温度50〜65℃で行うことができる。
本発明のプライマーセットは、虫に由来するDNAの断片を増幅するためのプライマーセットであって、プライマー対A、プライマー対B及びプライマー対Cのうち1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つを含む。
プライマー対Aは、
配列番号1の塩基配列のうち3’末端から10塩基以上、好ましくは15塩基以上、より好ましくは20塩基以上の連続した塩基配列(塩基配列1’とする)と同一又は相同な
塩基配列(塩基配列1’’とする)を3’末端に含む第1ポリヌクレオチドを含む第1プライマーと、
配列番号2の塩基配列のうち3’末端から10塩基以上、好ましくは15塩基以上、より好ましくは20塩基以上の連続した塩基配列(塩基配列2’とする)と同一又は相同な塩基配列(塩基配列2’’とする)を3’末端に含む第2ポリヌクレオチドを含む第2プライマーと
を含む。
塩基配列1’と塩基配列1’’とは、好ましくは3’末端から3塩基までの領域、より好ましくは3’末端から5塩基までの領域、より好ましくは3’末端から8塩基までの領域、より好ましくは3’末端から10塩基までの領域(塩基配列1’の長さが15塩基以上である場合は更に好ましくは3’末端から15塩基までの領域、塩基配列1’の長さが20塩基以上である場合は更に好ましくは3’末端から20塩基までの領域)が同一であり、残りの5’末端側の領域が相同である。「相同」の意味は既述の通りである。塩基配列1’は、特に好ましくは、配列番号1の塩基配列の全体である。第1ポリヌクレオチドが、塩基配列1’’を「3’末端に含む」とは、第1ポリヌクレオチドの塩基配列の全体が塩基配列1’’のみからなる場合と、塩基配列1’’と塩基配列1’’の5’末端に接続された別の塩基配列とを含む場合の両方を包含する。前記別の塩基配列は、核酸増幅反応を実質的に阻害しないものであればよく、その塩基数としては例えば20塩基以下、好ましくは10塩基以下、より好ましくは5塩基以下、より好ましくは1又は2塩基である。第1ポリヌクレオチドは、特に好ましくは、配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
塩基配列2’と塩基配列2’’とは、好ましくは3’末端から3塩基までの領域、より好ましくは3’末端から5塩基までの領域、より好ましくは3’末端から8塩基までの領域、より好ましくは3’末端から10塩基までの領域(塩基配列2’の長さが15塩基以上である場合は更に好ましくは3’末端から15塩基までの領域、塩基配列2’の長さが20塩基以上である場合は更に好ましくは3’末端から20塩基までの領域)が同一であり、残りの5’末端側の領域が相同である。「相同」の意味は既述の通りである。塩基配列2’は、特に好ましくは、配列番号2の塩基配列の全体である。第2ポリヌクレオチドが、塩基配列2’’を「3’末端に含む」とは、第2ポリヌクレオチドの塩基配列の全体が塩基配列2’’のみからなる場合と、塩基配列2’’と塩基配列2’’の5’末端に接続された別の塩基配列とを含む場合の両方を包含する。前記別の塩基配列は、核酸増幅反応を実質的に阻害しないものであればよく、その塩基数としては例えば20塩基以下、好ましくは10塩基以下、より好ましくは5塩基以下、より好ましくは1又は2塩基である。第2ポリヌクレオチドは、特に好ましくは、配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
幅でき、且つ、虫種に共通するプライマー設計の可能な領域(保存領域)にアニーリングできるように設計された。プライマー対Aを用い、虫由来DNAを鋳型とする核酸増幅反応により増幅される核酸断片の長さは主に180bpであり、加えてプライマーに挟まれた配列の挿入・欠失や、プライマーの5’末端に接続された塩基配列の長さによる変動がある。プライマー対Aによる増幅領域は、加工等によりDNAが損傷を受けていても標的増幅産物が得られ易く、且つ、虫種を識別可能なレベルの非保存領域の長さを有する。また、プライマー対Aによる増幅領域は、多くの虫種で塩基配列データベースが充実しているため、塩基配列に基づく虫異物の虫種同定を行うのに適している。
プライマー対Bは、
配列番号3の塩基配列のうち3’末端から10塩基以上、好ましくは15塩基以上、より好ましくは20塩基以上の連続した塩基配列(塩基配列3’とする)と同一又は相同な塩基配列(塩基配列3’’とする)を3’末端に含む第3ポリヌクレオチドを含む第3プライマーと、
配列番号4の塩基配列のうち3’末端から10塩基以上、好ましくは15塩基以上、より好ましくは20塩基以上の連続した塩基配列(塩基配列4’とする)と同一又は相同な塩基配列(塩基配列4’’とする)を3’末端に含む第4ポリヌクレオチドを含む第4プライマーと
を含む。
塩基配列3’と塩基配列3’’とは、好ましくは3’末端から3塩基までの領域、より好ましくは3’末端から5塩基までの領域、より好ましくは3’末端から8塩基までの領域、より好ましくは3’末端から10塩基までの領域(塩基配列3’の長さが15塩基以上である場合は更に好ましくは3’末端から15塩基までの領域、塩基配列3’の長さが20塩基以上である場合は更に好ましくは3’末端から20塩基までの領域)が同一であり、残りの5’末端側の領域が相同である。「相同」の意味は既述の通りである。塩基配列3’は、特に好ましくは、配列番号3の塩基配列の全体である。第3ポリヌクレオチドが、塩基配列3’’を「3’末端に含む」とは、第3ポリヌクレオチドの塩基配列の全体が塩基配列3’’のみからなる場合と、塩基配列3’’と塩基配列3’’の5’末端に接続された別の塩基配列とを含む場合の両方を包含する。前記別の塩基配列は、核酸増幅反応を実質的に阻害しないものであればよく、その塩基数としては例えば20塩基以下、好ましくは10塩基以下、より好ましくは5塩基以下、より好ましくは1又は2塩基である。第3ポリヌクレオチドは、特に好ましくは、配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
塩基配列4’と塩基配列4’’とは、好ましくは3’末端から3塩基までの領域、より好ましくは3’末端から5塩基までの領域、より好ましくは3’末端から8塩基までの領域、より好ましくは3’末端から10塩基までの領域(塩基配列4’の長さが15塩基以上である場合は更に好ましくは3’末端から15塩基までの領域、塩基配列4’の長さが20塩基以上である場合は更に好ましくは3’末端から20塩基までの領域)が同一であり、残りの5’末端側の領域が相同である。「相同」の意味は既述の通りである。塩基配列4’は、特に好ましくは、配列番号4の塩基配列の全体である。第4ポリヌクレオチドが、塩基配列4’’を「3’末端に含む」とは、第4ポリヌクレオチドの塩基配列の全体
が塩基配列4’’のみからなる場合と、塩基配列4’’と塩基配列4’’の5’末端に接続された別の塩基配列とを含む場合の両方を包含する。前記別の塩基配列は、核酸増幅反応を実質的に阻害しないものであればよく、その塩基数としては例えば20塩基以下、好ましくは10塩基以下、より好ましくは5塩基以下、より好ましくは1又は2塩基である。第4ポリヌクレオチドは、特に好ましくは、配列番号4の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
プライマー対Cは、
配列番号5の塩基配列のうち3’末端から10塩基以上、好ましくは15塩基以上の連続した塩基配列(塩基配列5’とする)と同一又は相同な塩基配列(塩基配列5’’とする)を3’末端に含む第5ポリヌクレオチドを含む第5プライマーと、
配列番号6の塩基配列のうち3’末端から10塩基以上、好ましくは12塩基以上の連続した塩基配列(塩基配列6’とする)と同一又は相同な塩基配列(塩基配列6’’とする)を3’末端に含む第6ポリヌクレオチドを含む第6プライマーと
を含む。
塩基配列5’と塩基配列5’’とは、好ましくは3’末端から3塩基までの領域、より好ましくは3’末端から5塩基までの領域、より好ましくは3’末端から8塩基までの領域、より好ましくは3’末端から10塩基までの領域(塩基配列5’の長さが15塩基以上である場合は更に好ましくは3’末端から15塩基までの領域)が同一であり、残りの5’末端側の領域が相同である。「相同」の意味は既述の通りである。塩基配列5’は、
特に好ましくは、配列番号5の塩基配列の全体である。第5ポリヌクレオチドが、塩基配列5’’を「3’末端に含む」とは、第5ポリヌクレオチドの塩基配列の全体が塩基配列5’’のみからなる場合と、塩基配列5’’と塩基配列5’’の5’末端に接続された別の塩基配列とを含む場合の両方を包含する。前記別の塩基配列は、核酸増幅反応を実質的に阻害しないものであればよく、その塩基数としては例えば20塩基以下、好ましくは10塩基以下、より好ましくは5塩基以下、より好ましくは1又は2塩基である。第5ポリヌクレオチドは、特に好ましくは、配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
塩基配列6’と塩基配列6’’とは、好ましくは3’末端から3塩基までの領域、より好ましくは3’末端から5塩基までの領域、より好ましくは3’末端から8塩基までの領域、より好ましくは3’末端から10塩基までの領域(塩基配列6’の長さが12塩基以上である場合は更に好ましくは3’末端から12塩基までの領域)が同一であり、残りの5’末端側の領域が相同である。「相同」の意味は既述の通りである。塩基配列6’は、特に好ましくは、配列番号6の塩基配列の全体である。第6ポリヌクレオチドが、塩基配列6’’を「3’末端に含む」とは、第6ポリヌクレオチドの塩基配列の全体が塩基配列6’’のみからなる場合と、塩基配列6’’と塩基配列6’’の5’末端に接続された別の塩基配列とを含む場合の両方を包含する。前記別の塩基配列は、核酸増幅反応を実質的に阻害しないものであればよく、その塩基数としては例えば20塩基以下、好ましくは10塩基以下、より好ましくは5塩基以下、より好ましくは1又は2塩基である。第6ポリヌクレオチドは、特に好ましくは、配列番号6の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
基配列を工夫した中で最良の形態と判断されたプライマー対について、PCR反応条件を鋭意検討し、最終的には実際の性能評価試験を行い、意図した感度と特異性を発揮していることを確認したものである。なお、理論上は首尾よく設計されたプライマー・プローブであっても、必要な感度と特異性を保有し得ない場合があることが周知である。例えば、配列番号4と配列番号7からなるプライマー対Dは、研究段階において、DNAバーコーディング領域内に設計されたプライマー対であるものの、実際に核酸増幅反応を行うと、一部のゴキブリ目の虫で標的増幅産物が得られなかったため、虫種同定用プライマー対としては不適当であった。このように、単に論理的にプライマーを設計すれば必要な特異性を確保できるとは限らない。
本発明の、虫の種類を同定する方法は、
虫に由来するDNAを鋳型とし、本発明のプライマーセットに含まれるプライマー対を用いて核酸増幅反応を行う工程1と、
工程1での核酸増幅反応の増幅産物の塩基配列を解析する工程2と
を含むことを特徴とする。
COIコード遺伝子領域、16Sコード遺伝子領域のそれぞれについて、各種虫の塩基配列情報を集めて、3種類の虫異物同定用プライマー対を設計した。
食品に混入しうる異物のモデルサンプルとして、周囲の環境から下記の表1に示す24試料を入手した。虫の一部0.1mg−3mgをバイオマッシャーII(株式会社ニッピ)で粉砕後、Proteinase K溶液を20μL加え、タッチミキサーで攪拌後、55℃に調温した恒温水槽で1−3時間加温した。その後はDNeasy Blood & Tissue kit(QIAGEN社)のプロトコルに従ってDNA抽出を行なった。
上記24種の虫DNAを鋳型として、非特許文献1の動物DNAバーコーディング法によりCOIコード遺伝子領域の配列情報を得るためのPCRを行なった。プライマー対として、配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号4の塩基配列からなるリバースプライマーとの組み合わせを使用した。
リバースプライマーで、1.25Uの AmpliTaq GOLD DNA polymerase、2μLの抽出DNA溶液を加え、50μLの溶液になるように調製した。
増幅反応後のそれぞれのPCR反応液の一部を自動電気泳動装置MultiNA(島津製作所社)に供した。増幅されたDNAの断片長を確認し、標的増幅産物が得られたことを確認した。
標的増幅産物が得られたPCR反応液からMinElute PCR purification Kit(QIAGEN社)を用いてPCR増幅産物を精製した。塩基配列解析はユーロフィンジェノミクス株式会社に依頼した。それぞれのPCR増幅産物の塩基配列をダイレクトシーケンス法により決定した。
上記で決定された塩基配列と同一性が高い塩基配列を、塩基配列データベースを用いて検索した。検索には、NCBIのblastn(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PAGE_TYPE=BlastSearch)を用いた。表1に、上記で決定された各塩基配列と最も同一性が高い塩基配列のアクセッション番号を示す。
COIコード遺伝子領域上の虫異物同定用プライマーの設計には、上記で得られた配列ID1〜17の17配列を用いた。16Sコード遺伝子領域は、GenBankから表2に示す、目レベルで異なる14虫種について入手して用いた。それぞれから保存性の高い領域を選択し、プライマーの位置・塩基配列を調整した。設計したプライマー対をそれぞれA、B、Cと名付け、表3に配列を示す。プライマー対Cにおいて「Y」はC及びTの混合塩基を示す。すなわち本実施例において、プライマー対Cでは、フォワードプライマーを構成する配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド分子は、Y=Cであるポリヌクレオチド分子と、Y=Tであるポリヌクレオチド分子との混合物であり、リバースプライマーを構成する配列番号6の塩基配列からなるポリヌクレオチド分子も、Y=Cであるポリヌクレオチド分子と、Y=Tであるポリヌクレオチド分子との混合物である。
実施例1で設計した3種類のプライマー対A,B,Cと、非特許文献1に記載のプライマー対(配列番号1の塩基配列からなるプライマーと、配列番号2の塩基配列からなるプ
ライマーとの組み合わせ)について、虫異物同定能を比較した。
食品に混入しうる異物のモデルサンプルとして、表4に示す、7目38種の虫試料を住化テクノサービス株式会社から入手した。DNA抽出は実施例1と同様に行なった。
反応液組成はプライマー対A、B、C共通で、1×HotStarTaq DNA Master Mix(QIAGEN社)、0.5μM フォワードプライマー、0.5μM リバースプライマーで、2μLの抽出DNA溶液を加え、20μLの溶液になるように調製した。
実施例1と同様に行なった。リンゴコカクモンハマキ、コナガ、チャノコカクモンハマキ、カシノシマメイガでは、プライマー対Cを用いるPCRサイクルのアニーリング温度をそれぞれ58、58、58、54℃に設定して得られたPCR増幅産物を用いた。
PCR産物からの塩基配列取得は、実施例1と同様に行なった。
塩基配列データベースでの検索は、まず、NCBIのblastn(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PAGE_TYPE=BlastSearch)を用いた。配列の一致率が100%未満だった場合、塩基配列データベースの検索にはBOLD systems (http://www.boldsystems.org/index.php/IDS_OpenIdEngine)も追加した。最も塩基配列の一致率が高かった虫種を、DNAの起源となった虫種と同定した。
38虫種について、標的増幅産物の得られた割合、及び、塩基配列解析し同定結果が試料名と一致した割合を表5に示す。
った。
実施例1で設計した3種類のプライマー対A、B、Cと、非特許文献2、3、4、5に記載のプライマー対について、虫異物同定能を比較した。
おいて、「R」はA及びGの混合塩基を示し、配列番号8、10、11及び12で示される各プライマーを構成するポリヌクレオチド分子は、各位置のRについて、R=Aであるポリヌクレオチド分子と、R=Gであるポリヌクレオチド分子との混合物である。配列番号8及び10において、「Y」はC及びTの混合塩基を示し、配列番号8及び10で示される各プライマーを構成するポリヌクレオチド分子は、各位置のYについて、Y=Cであるポリヌクレオチド分子と、Y=Tであるポリヌクレオチド分子との混合物である。
非特許文献2,3,4のプライマー対の反応液組成は、1×PCR Buffer、2.0mM MgCl2、0.2mM dNTP Mix(dATP、dGTP、dCTP、dTTP)、0.2μM フォワードプライマー、0.2μM リバースプライマーで、2U のPlatinum Taqと2μLの抽出DNA溶液を加え、25μLの溶液になるように調製した。
PCR増幅産物のゲル電気泳動の結果を図1に示す。7試料のいずれからも標的増幅産物のみが得られたのは、非特許文献2、4のプライマー対を用いたPCRであった。非特許文献3のプライマー対を用いたPCRでは、7試料のうちヒラタチャタテ、アズキゾウムシ、ミカンキイロアザミウマの3試料で標的増幅産物が得られなかった。また、非特許
文献5のプライマー対を用いたPCRでは、ヒラタチャタテで標的増幅産物が得られなかっただけでなく、アズキゾウムシ、クサギカメムシ、ミカンキイロアザミウマ、スジコナマダラメイガで非標的増幅産物が多く得られ、これら5試料はいずれも塩基配列解析しても配列情報が得られない可能性が高いと考えた。一方、プライマー対A、B、Cを用いたPCRでは、唯一ミカンキイロアザミウマの1試料について、プライマー対Aを用いたPCRで標的増幅産物が得られなかった以外は、いずれも標的増幅産物のみが得られた。
実施例1で設計した3種類のプライマー対A、B、Cと、非特許文献2、4のプライマー対について、加熱加工処理したモデル異物サンプルを用いて虫異物同定能を比較した。
加熱した虫DNA試料としては、1.5mLチューブに30μLの実施例3で使用したクサギカメムシDNA試料を分注し、それぞれ121℃で5分間、10分間、20分間又は30分間の加熱を行なった試料を用いた。
本発明のプライマー対A、B、Cを用い、実施例2の方法でPCRを行なった。
非特許文献2,4のプライマー対を用い、実施例3の方法でPCRを行なった。
非特許文献2、4のプライマー対、本発明のプライマー対A、B、Cをそれぞれ用いたPCRによる増幅産物のゲル電気泳動による確認結果を図2に示す。
理論上は首尾よく設計されたプライマーであっても、必要な感度と特異性を保有し得ない場合があることを、下記の配列番号4と配列番号7からなるプライマー対Dによって示す。
実施例1で入手した24種の動物DNAバーコーディング領域17配列について、実施例1と同様に調整して得られたプライマー対をDと名付けた。プライマー対Dの各プライマー配列は下記の通りである。
実施例1に記載された、試料10、11(いずれもゴキブリ目)、18(チョウ目)、24(ハチ目)のDNA溶液を用いた。
反応液組成は実施例2でのプライマー対A、B、Cを用いるPCRの反応液組成と同様とした。アニーリング及び伸長反応の温度は、40℃又は45℃に設定した。
実施例1と同様に行なった。
結果、図3に示すように、プライマー対Dを用いるPCRでは、チョウ目の試料18、ハチ目の試料24のDNAを鋳型とした場合に標的増幅産物が得られたものの、ゴキブリ目の試料のうち試料10のDNAを鋳型とした場合には標的増幅産物が得られなかった。ゴキブリ目の2つの試料10、11は、動物DNAバーコーディング領域の配列が同一であるにもかかわらず、片方で結果が得られなかったことから、プライマー対Dは安定した結果が得られないと判断した。
Claims (4)
- 虫に由来するDNAの断片を増幅するためのプライマーセットであって、
配列番号1の塩基配列
GGTCAACAAATCATAAAGATATTGG
のうち3’末端から10塩基以上の連続した塩基配列と同一又は相同な塩基配列を3’末端に含む第1ポリヌクレオチドを含む第1プライマーと、
配列番号2の塩基配列
GAAGAAAATTATAACAAAAGCATG
のうち3’末端から10塩基以上の連続した塩基配列と同一又は相同な塩基配列を3’末端に含む第2ポリヌクレオチドを含む第2プライマーと
を含むプライマー対A、
配列番号3の塩基配列
GCCAGTTCTAGCAGGAGCTATTAC
のうち3’末端から10塩基以上の連続した塩基配列と同一又は相同な塩基配列を3’末端に含む第3ポリヌクレオチドを含む第3プライマーと、
配列番号4の塩基配列
TAAACTTCAGGGTGACCAAAAAATCA
のうち3’末端から10塩基以上の連続した塩基配列と同一又は相同な塩基配列を3’末端に含む第4ポリヌクレオチドを含む第4プライマーと
を含むプライマー対B、及び、
配列番号5の塩基配列
ATTACGCTGTTATCCCY
(YはC又はT或いはC及びTの混合塩基である)
のうち3’末端から10塩基以上の連続した塩基配列と同一又は相同な塩基配列を3’末端に含む第5ポリヌクレオチドを含む第5プライマーと、
配列番号6の塩基配列
GACGAGAAGACCCY
(YはC又はT或いはC及びTの混合塩基である)
のうち3’末端から10塩基以上の連続した塩基配列と同一又は相同な塩基配列を3’末端に含む第6ポリヌクレオチドを含む第6プライマーと
を含むプライマー対C
のうち1つ以上を含むプライマーセット。 - 前記プライマー対A、前記プライマー対B、及び、前記プライマー対Cのうち2つ以上を含む、請求項1に記載のプライマーセット。
- 前記プライマー対A、前記プライマー対B、及び、前記プライマー対Cを含む、請求項2に記載のプライマーセット。
- 虫に由来するDNAを鋳型とし、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプライマーセットに含まれるプライマー対を用いて核酸増幅反応を行う工程1と、
工程1での核酸増幅反応の増幅産物の塩基配列を解析する工程2と
を含むことを特徴とする、虫の種類を同定する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017192070A JP7013190B2 (ja) | 2017-09-29 | 2017-09-29 | 虫由来dnaの断片を増幅するためのプライマーセット、及び、それを用いた虫種の同定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017192070A JP7013190B2 (ja) | 2017-09-29 | 2017-09-29 | 虫由来dnaの断片を増幅するためのプライマーセット、及び、それを用いた虫種の同定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019062815A true JP2019062815A (ja) | 2019-04-25 |
JP7013190B2 JP7013190B2 (ja) | 2022-01-31 |
Family
ID=66337123
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017192070A Active JP7013190B2 (ja) | 2017-09-29 | 2017-09-29 | 虫由来dnaの断片を増幅するためのプライマーセット、及び、それを用いた虫種の同定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7013190B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110835652A (zh) * | 2019-10-12 | 2020-02-25 | 湖北中医药大学 | 一种少棘巨蜈蚣的环介导等温扩增检测引物组、试剂盒及检测方法 |
CN111635949A (zh) * | 2020-07-02 | 2020-09-08 | 大理大学 | 一种鉴定黄纹大胡蜂的dna条形码标准检测片段及其应用 |
JP2020162586A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 生物の死亡時期の判定方法 |
-
2017
- 2017-09-29 JP JP2017192070A patent/JP7013190B2/ja active Active
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
BIOTECHNIQUES, 1998, VOL.24, NO.2, P.243-247, JPN6021025147, ISSN: 0004545714 * |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020162586A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 生物の死亡時期の判定方法 |
CN110835652A (zh) * | 2019-10-12 | 2020-02-25 | 湖北中医药大学 | 一种少棘巨蜈蚣的环介导等温扩增检测引物组、试剂盒及检测方法 |
CN111635949A (zh) * | 2020-07-02 | 2020-09-08 | 大理大学 | 一种鉴定黄纹大胡蜂的dna条形码标准检测片段及其应用 |
CN111635949B (zh) * | 2020-07-02 | 2022-10-28 | 大理大学 | 一种鉴定黄纹大胡蜂的dna条形码标准检测片段及其应用 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7013190B2 (ja) | 2022-01-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6327652B2 (ja) | 分子計数による対立遺伝子呼び出しの信頼度の増加 | |
JP6464316B2 (ja) | 水産生物伝染病原因ウイルスの判別及び検出用遺伝子マーカー、及びこれを利用した当該ウイルスを判別及び検出する方法 | |
EP2078756A1 (en) | Detection of bacterium by utilizing dnaj gene and use thereof | |
KR20110126925A (ko) | 깍지벌레류의 미토콘드리아 coi 유전자 dna 바코딩 영역을 증폭하기 위한 중합효소연쇄반응용 프라이머 | |
WO2014173963A1 (en) | Strand-invasion based dna amplification method | |
CN107709573A (zh) | 用于在采用ddNTP的方法中防止假阳性的方法和产品 | |
JP7013190B2 (ja) | 虫由来dnaの断片を増幅するためのプライマーセット、及び、それを用いた虫種の同定方法 | |
JP2009183228A (ja) | Lamp法による甲殻類病原性ウイルスの検出方法及び検出試薬キット | |
JP2008161165A (ja) | 競合オリゴヌクレオチドを用いた遺伝子検出法 | |
JP6518110B2 (ja) | クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiellapneumoniae)を検出するためのプライマー及び方法 | |
KR101509071B1 (ko) | 마이크로시스티스속 균주의 유전자 증폭용 프라이머 및 이를 이용한 마이크로시스티스속 균주의 탐지방법 | |
KR102269653B1 (ko) | 고양이의 골연골이형성증을 예측 또는 진단하기 위한 단일염기 다형성 마커 조성물 및 이를 이용한 예측 또는 진단 방법 | |
CN110878380B (zh) | 一种检测水泡性口炎病毒印第安那型和新泽西型的引物组合物、试剂盒及方法 | |
KR101535925B1 (ko) | 염소 개체 식별용 초위성체 마커 | |
JP5548357B2 (ja) | アスペルギルスフミガタス(Aspergillusfumigatus)類縁菌の検出方法 | |
KR101906217B1 (ko) | 돼지 젤라틴 검출 키트 및 이를 이용한 돼지 젤라틴 검출 방법 | |
KR101677952B1 (ko) | 연쇄구균 감염증 원인세균인 락토코카스 가비에의 판별 및 검출용 유전자 마커, 및 이를 이용한 원인세균의 판별 및 검출 방법 | |
Kovac et al. | DNA-based assays | |
JP2007189980A (ja) | 黄色ブドウ球菌検出のためのプライマーおよびそれを用いた検出法 | |
JP2007075017A (ja) | Campylobacterjejuniの検出法 | |
JP6873903B2 (ja) | 強毒型クロストリジウムディフィシル株の存在を検出するための方法 | |
JP2004344065A (ja) | オリゴヌクレオチド及びそれを用いた結核菌群の検出方法 | |
KR101992390B1 (ko) | 굴 허피스 바이러스 검출 및 유형 판별을 위한 유전자 마커, 및 이의 용도 | |
JP7362054B2 (ja) | High Resolution Melting(HRM)解析によるマグロ類の遺伝的性判別方法 | |
JP2008161164A (ja) | 人工ミスマッチ核酸を含むプライマーを用いた遺伝子検出法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200625 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210706 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210903 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220104 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220119 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7013190 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |