JP2019045002A - ヒートポンプの制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】例えば空調機等において使用されるヒートポンプを構成する複数の圧縮機の一部において冷凍機油の不足が生じた場合に、これら複数の圧縮機の間における冷凍機油の供給量の不均衡を低減する。【解決手段】ヒートポンプは複数の圧縮機のうちの稼働している圧縮機である稼働圧縮機の各々から吐出される熱媒体の温度と相関を有する値である検出吐出温度をそれぞれ検出する温度センサを更に備え、複数の稼働圧縮機のうち、検出吐出温度に基づいて導かれる熱媒体の過熱の度合いに対応する値である過熱度が最も高い圧縮機と当該過熱度が最も低い圧縮機との間における熱媒体の過熱の度合いの差が所定の閾値よりも大きい状態が所定の期間以上に亘って継続したと判定されるとき、複数の稼働圧縮機からの熱媒体の吐出量の合計である総吐出量に占める過熱度が最も高い稼働圧縮機からの熱媒体の吐出量の割合を増大させる。【選択図】図3

Description

本発明は、ヒートポンプの制御方法に関する。より具体的には、本発明は、例えば空調機等において使用されるヒートポンプを構成する複数の圧縮機の間における冷凍機油の供給量の不均衡を低減することができるヒートポンプの制御方法に関する。
ヒートポンプにおいて、適正量の冷凍機油を圧縮機に供給し続けることは、熱媒体の圧縮行程におけるシール性(気密性)及び圧縮機の摺動部分における潤滑性の確保に不可欠である。適正量の冷凍機油が圧縮機に供給されないと、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題が圧縮機において発生し、熱媒体が繰り返し圧縮されて過熱したり圧縮機が破損したりする問題に繋がる虞がある。
そこで、当該技術分野においては、圧縮機から吐出された冷媒に含まれる冷凍機油(オイル)をオイルセパレータによって回収し、その回収された冷凍機油を圧縮機に戻すヒートポンプが知られている。このようなヒートポンプにおいて、例えば、オイルセパレータによって回収された冷凍機油を圧縮機に戻すためのオイル戻し流路の破損及び詰まり等に起因して冷凍機油が圧縮機に戻り難くなると、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題が圧縮機において発生する虞が高まる。
そこで、オイル戻し流路内の圧力を検出する圧力センサと当該圧力センサに対してオイルセパレータ側及び圧縮機側のオイル戻し流路の部分にそれぞれ設けられた第1及び第2の圧損部材とを配設し、圧力センサの検出圧力が圧縮機の吸入圧力を超え且つ吐出圧力未満の圧力である場合に、オイル戻し流路が正常であると判定し、圧縮機の出力増大を許可するヒートポンプが知られている(例えば、特許文献1を参照)。これによれば、オイル戻し流路における異常の発生を高精度且つ早期に検出することができる。
ところが、オイル戻し流路が正常な状態にあっても、冷媒の循環量が低い運転等において、冷媒と共に循環する冷凍機油が室外熱交換器の配管内に滞留し、時間経過と共に圧縮機内の冷凍機油が不足し、上述したような問題に繋がる虞がある。
そこで、絞り弁と分配器との間の配管から分岐して室外熱交換器の入口管に合流するバイパス管、当該バイパス管に設けられた電磁弁、上記入口管に設けられた温度センサ、圧縮機の吸入管に設けられた温度センサ、及び圧縮機の吐出管に設けられた温度センサを備える空気調和機が知られている。当該空気調和機は、入口管と吸入管との温度差が設定値以上である場合は電磁弁を開き、同温度差が設定値以下であり且つ吐出管の温度が設定値以下である場合は電磁弁を閉じるように構成されている(例えば、特許文献2を参照)。
上記によれば、入口管と吸入管との温度差が設定値(例えば5℃)以上である場合は、当該空気調和機(の圧縮機)が過熱状態にあると見なしてバイパス回路の電磁弁を開いて冷媒の循環量を確保し、過熱運転を防止することができる。一方、上記温度差が設定値以下であり且つ圧縮機の吐出管温度が目標値(例えば60℃)未満である場合は、電磁弁を閉じて圧縮機へ多量の冷媒ミストが戻るのを防止することができる。
特開2016−173202号公報 特開平05−302762号公報
上述した従来技術によれば、ヒートポンプのオイル戻し流路における異常の発生を高精度且つ早期に検出したり、絞り弁をバイパスさせて冷媒の循環量を確保して圧縮機における冷凍機油の不足に起因する過熱運転を防止したりすることができる。
しかしながら、複数の圧縮機を備えるヒートポンプにおいて、例えば、経年劣化の程度のばらつき及び/又は運転条件に起因する稼働頻度の偏りが圧縮機の間に生じたり、ヒートポンプの設置状態(例えば、水平度等)に起因する冷凍機油の供給量(戻り量)の不均衡が生じたりする場合がある。その結果として、これら複数の圧縮機の一部において冷凍機油の不足が生じた場合においても、シール不良及び潤滑不良等の問題が発生し、熱媒体が過熱したり圧縮機が破損したりする問題に繋がる虞がある。当該技術分野においては、このようなヒートポンプを構成する複数の圧縮機の間における冷凍機油の供給量の不均衡を低減することができる技術は未だ確立されていない。
上記のように、当該技術分野においては、ヒートポンプを構成する複数の圧縮機の間における冷凍機油の供給量の不均衡を低減することができる技術が求められている。本発明は、このような要求に対処するために為されたものである。即ち、本発明は、例えば空調機等において使用されるヒートポンプを構成する複数の圧縮機の一部において冷凍機油の不足が生じた場合に、これら複数の圧縮機の間における冷凍機油の供給量の不均衡を低減することができるヒートポンプの制御方法を提供することを1つの目的とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、複数の圧縮機を備えるヒートポンプにおいて、これら複数の圧縮機のうちの稼働している圧縮機である稼働圧縮機のうち冷凍機油の不足が生じたと判定される圧縮機からの熱媒体の吐出量のこれらの稼働圧縮機からの熱媒体の吐出量の合計に占める割合を増大させることにより、当該圧縮機における冷凍機油の不足を軽減することができることを見出した。
上記に鑑み、本発明に係るヒートポンプの制御方法(以降、「本発明方法」と称される場合がある。)は、熱媒体の循環経路と、循環経路の途中に配設された圧縮系統、凝縮器、膨張弁及び蒸発器と、負荷に応じて圧縮機の運転状態を制御する制御装置と、を備えるヒートポンプに適用される。圧縮系統は、並列に配設された複数の圧縮機、循環経路から複数の圧縮機へと吸入される熱媒体が流れる経路である吸入配管及び複数の圧縮機から吐出される熱媒体が循環経路へと流れる経路である吐出配管を含む。
ヒートポンプは、複数の圧縮機の各々から吐出される熱媒体の温度と相関を有する値である検出吐出温度をそれぞれ検出する温度センサを更に備える。そして、制御装置は、複数の圧縮機のうちの稼働している圧縮機である稼働圧縮機が2台以上存在する状態において、熱媒体の吐出温度に基づいて導かれる熱媒体の過熱の度合いに対応する値である過熱度が最も高い稼働圧縮機である第1圧縮機と過熱度が最も低い稼働圧縮機である第2圧縮機との間における熱媒体の過熱の度合いの差に対応する値である不均衡過熱指標値が所定の閾値よりも大きい状態である不均衡過熱状態が所定の期間以上に亘って継続したか否かを判定する。この判定は、例えば、第1圧縮機の検出吐出温度である第1検出温度と第2圧縮機の検出吐出温度である第2検出温度とに基づいて行うことができる。或いは、この判定は、第1圧縮機から吐出される熱媒体の圧力と相関を有する値である第1検出圧力及び第2圧縮機から吐出される熱媒体の圧力と相関を有する値である第2検出圧力と上記第1検出温度及び第2検出温度とに基づいて行うことができる。それぞれの判定の詳細については後述する。
そして、上述した不均衡過熱状態が所定の期間以上に亘って継続したと判定されるとき、制御装置は、複数の稼働圧縮機からの熱媒体の吐出量の合計である総吐出量に占める第1圧縮機からの熱媒体の吐出量である第1吐出量の割合(以降、当該割合を単に「第1割合」と称する場合がある。)を増大させる。
総吐出量に占める第1吐出量の割合(第1割合)を増大させるための具体的な手法は特に限定されないが、例えば、以下に列挙する(1)乃至(5)の処理のうち少なくとも何れか1つ又は2つ以上を実行することにより、第1割合を増大させることができる(それぞれの処理の詳細については後述する)。
(1)第1圧縮機が容量制御弁を備え且つ当該容量制御弁の開度が最小開度よりも大きい場合に当該容量制御弁の開度を減少させる処理である閉弁処理。
(2)第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機が容量制御弁を備え且つ当該容量制御弁の開度が最大開度よりも小さい場合に当該容量制御弁の開度を増大させる処理である開弁処理。
(3)第1圧縮機以外の稼働圧縮機とは独立に回転速度を変更可能に第1圧縮機が構成されており且つ第1圧縮機の回転速度が最大速度よりも小さい場合に第1圧縮機の回転速度を増大させる処理である加速処理。
(4)第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機が他の稼働圧縮機とは独立に回転速度を変更可能に構成されており且つ第3圧縮機の回転速度が最小速度よりも大きい場合に第3圧縮機の回転速度を減少させるか又は第3圧縮機を停止させる処理、或いは、第3圧縮機以外の稼働圧縮機とは独立に回転速度を変更可能に第3圧縮機が構成されており且つ第3圧縮機の回転速度が最小速度である場合に第3圧縮機を停止させる処理である減速処理。
(5)第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機がクラッチを介して駆動されている場合にクラッチを遮断状態へと切り替える処理である遮断処理。
上記のように、本発明方法においては、ヒートポンプが備える複数の圧縮機のそれぞれについて検出される検出吐出温度を取得する。そして、最も高い過熱度(第1過熱度)と最も低い過熱度(第2過熱度)とに基づいて、不均衡過熱状態が所定の期間以上に亘って継続したか否かを判定する。これにより、第1過熱度が検出された圧縮機(第1圧縮機)において冷凍機油の不足が生じているか否かを判定する。第1圧縮機において冷凍機油の不足が生じていると判定された場合、制御装置によって圧縮機の運転状態を制御して、総吐出量に占める第1吐出量の割合(第1割合)を増大させる。
上記により、複数の稼働圧縮機に吸入される熱媒体(及び熱媒体と共に吸入される冷凍機油)の流量の合計に占める第1圧縮機に吸入される熱媒体(及び熱媒体と共に吸入される冷凍機油)の流量の割合が増大する。その結果、第1圧縮機に吸入される冷凍機油の量も相対的に増大する。従って、本発明方法によれば、ヒートポンプが備える複数の圧縮機のうちの一部の圧縮機において冷凍機油の不足が生じていると判定される場合、当該圧縮機に戻る冷凍機油の量を増大させて、複数の圧縮機の間における冷凍機油の供給量の不均衡を低減することができる。これにより、例えばシール不良及び潤滑不良等、冷凍機油の不足に起因する問題を低減することができる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の第1実施形態に係るヒートポンプの制御方法(第1方法)が適用されるヒートポンプを使用する空気調和装置の模式的な構成図である。 第1方法が適用されるヒートポンプにおいて使用される複数の圧縮機及びこれらの圧縮機を駆動するエンジンを示す模式図である。 第1方法が適用されるヒートポンプが備える制御装置が実行するルーチンを表すフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係るヒートポンプの制御方法(第4方法)が適用されるヒートポンプが備える制御装置が実行するルーチンを表すフローチャートである。 本発明の第5実施形態に係るヒートポンプの制御方法(第5方法)が適用されるヒートポンプが備える制御装置が実行するルーチンを表すフローチャートである。 本発明の第6実施形態に係るヒートポンプの制御方法(第6方法)が適用されるヒートポンプが備える制御装置が実行するルーチンを表すフローチャートである。
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプの制御方法(以下、「第1方法」と称される場合がある。)について説明する。
〈ヒートポンプの構成〉
(1)全体構成
先ず、第1方法が適用されるヒートポンプを使用する空気調和装置の構成について説明する。図1は、第1方法が適用されるヒートポンプを使用する空気調和装置の構成の一例を示す模式図である。空気調和装置100は、室外機200及び室内機300を含み、これらの間には配管330及び340を介して熱媒体が循環される。室外機200は、吸入ヘッダ213及び吐出ヘッダ214を介して並列に配設された2台の圧縮機211及び212を含む圧縮系統210、オイルセパレータ230、四方弁240、熱交換器250及び電子膨張弁251、並びにアキュムレータ260を含む。即ち、このヒートポンプの圧縮系統210は、並列に配設された2台の圧縮機211及び212と、循環経路からこれらの圧縮機へと吸入される熱媒体が流れる流路である吸入配管(吸入ヘッダ213)と、これらの圧縮機から吐出される熱媒体が循環経路へと流れる流路である吐出配管(吐出ヘッダ214)と、を含む圧縮系統として構成されている。尚、圧縮機211及び212の構成は特に限定されないが、本例においては、2台の圧縮機211及び212は何れもスクロールコンプレッサである。
更に、これらの構成要素の間に熱媒体を循環させるための配管の所定の箇所には、バッファ221、ストレーナ222、223及び224、フィルタドライヤ225、オイルバイパス調整弁270、高圧スイッチ(SW)281、及び高圧センサ282が設けられている。加えて、室外の温度を検出する室外温度センサ283が設けられている。
一方、室内機300は、電子膨張弁310及び熱交換器320を含む。更に、空気調和の対象となる室内の温度を検出する室内温度センサ284が設けられている。そして、ヒートポンプ用電子制御装置(HP−ECU)110は、例えば室内温度センサ284によって検出される空気調和の対象となる室内の温度、室外温度センサ283によって検出される室外の温度、稼働している室内機の台数(室内機の運転台数)及び室内機の設置場所等、ヒートポンプの運転状況及び/又は環境条件に応じて、圧縮機211及び212の運転を制御する。
更に、室外機200は、オイルセパレータ230と吐出側(下流側)とアキュムレータ260の吸入側(上流側)とを連通する熱媒体の経路と、当該経路を遮断及び開放するホットガスバイパス弁290と、を含む。ホットガスバイパス弁290により当該経路が開放されていると、圧縮機211及び212から吐出された熱媒体は、熱交換器250を迂回し、アキュムレータ260を介して、圧縮機211及び212へと戻る。
加えて、圧縮機211及び212は、圧縮機の内部において熱媒体が流れる経路である圧縮経路の部分領域である下流領域から当該圧縮経路の部分領域であって下流領域よりも上流側に位置する部分領域又は当該圧縮経路よりも上流側に位置する吸入配管の内部領域の部分領域である上流領域へと熱媒体を戻す経路であるバイパス経路と291p及び292p、当該バイパス経路に介装された容量制御弁291及び292と、をそれぞれ備えている。容量制御弁291及び292の開度を増大させることにより、圧縮機211及び212の圧縮経路における下流領域よりも下流側における仕事量を大幅に削減して、圧縮機211及び212の仕事率を低下させることができる。
空気調和装置100における熱媒体の流れ方向は、図中に示した実線の矢印(冷房時)及び破線の矢印(暖房時)によって表されるように、空気調和装置100の運転モード(冷房モード及び暖房モード)によって異なる。これにより、冷房時には、室外機200の熱交換器250は凝縮器として機能し、室内機300の熱交換器320は蒸発器として機能する。一方、暖房時には、室外機200の熱交換器250は蒸発器として機能し、室内機300の熱交換器320は凝縮器として機能する。しかしながら、圧縮機211及び212からオイルセパレータ230を介して四方弁240までの循環経路(吐出側経路)並びに四方弁240からアキュムレータ260及びストレーナ224を介して圧縮機211及び212までの循環経路(吸入側経路)においては、図中の矢印によって示すように、運転モードに拘わらず、熱媒体の流れ方向は常に同じである。
尚、上述したヒートポンプ及び空気調和装置の構成はあくまでも一例に過ぎず、第1方法が適用されるヒートポンプ及び当該ヒートポンプを使用する空気調和装置の構成は上記に限定されない。例えば、圧縮機はスクロールコンプレッサに限定されず、他の方式による圧縮機であってもよい。また、ヒートポンプが備える圧縮機の台数も2台に限定されず、3台又はそれ以上であってもよい。更に、上述した圧縮機211及び212は電磁弁291及び292をそれぞれ備えるが、第1方法が適用されるヒートポンプを構成する圧縮機は必ずしも容量制御弁を備えていなくてもよい。
(2)エンジンによる圧縮機の駆動機構
ところで、図1においては、圧縮機211及び212を駆動する駆動源としてのエンジン400及びエンジン400の作動を制御するエンジン用電子制御装置(ENG−ECU)410は省略されている。そこで、これらの詳細につき、図2を参照しながら以下に説明する。
前述したように、ヒートポンプ用電子制御装置(HP−ECU)110は、例えば室内温度センサ284によって検出される空気調和の対象となる室内の温度、室外温度センサ283によって検出される室外の温度、稼働している室内機の台数(室内機の運転台数)及び室内機の設置場所等、ヒートポンプの運転状況及び/又は環境条件に応じて、圧縮機211及び212の運転を制御する。
圧縮機211及び212は、エンジン400によってベルト駆動される。本例においては、図2に示すように、1本のベルトによって2台の圧縮機211及び212の両方がエンジン400によって駆動されるように駆動機構が構成されている。また、2台の圧縮機211及び212は、それぞれクラッチ(図示せず)を備えている。これらのクラッチにより、エンジン400から圧縮機へと駆動力が伝達される状態である伝達状態と、エンジン400から圧縮機へと駆動力が伝達されない状態である遮断状態とを、それぞれの圧縮機において独立に切り替えることができる。
上記駆動機構により、ヒートポンプの運転状況及び/又は環境条件に応じて、圧縮機211及び212の両方を運転するか或いは圧縮機211及び212の何れか一方のみを運転するかを切り替えることができる。また、当然のことながら、エンジン400を停止することにより、圧縮機211及び212の両方を停止させて、当該ヒートポンプにおける圧縮系統210を停止状態とすることができる。
但し、駆動機構は、2台の圧縮機211及び212のそれぞれがエンジン400によって個別にベルト駆動されるように構成されていてもよい。また、駆動機構は、これらの複数の圧縮機のうちの一部の圧縮機のみがクラッチを備えるように構成されていてもよい。
エンジン用電子制御装置(ENG−ECU)410は、上記のようにしてヒートポンプの運転状況及び/又は環境条件に応じて定められる圧縮機211及び212の運転条件(例えば回転速度等)並びに運転台数等に応じて、例えばエンジン400の回転速度及びトルク等を制御する。
即ち、ヒートポンプ用電子制御装置(HP−ECU)110及びエンジン用電子制御装置(ENG−ECU)410は、本発明方法が適用されるヒートポンプが備える制御装置を構成する。但し、制御装置の構成は特に限定されず、本例に示したように複数のECUに分割されていてもよく、或いは一つのECUによって全ての機能を達成するように構成されていてもよい。
尚、上記においては、それぞれがクラッチを備える2台の圧縮機211及び212がエンジン400によってベルト駆動される実施形態を例示した。しかしながら、第1方法が適用されるヒートポンプを構成する圧縮機の駆動源はエンジンに限定されず、例えばモータ等の他の動力源を使用することができる。また、上記のようにヒートポンプを構成する複数の圧縮機の全てを1つの駆動源によって駆動してもよく、或いは個々の圧縮機を個別の駆動源(例えば、モータ)によってそれぞれ駆動してもよい。
〈ヒートポンプの制御〉
上述したように、第1方法が適用されるヒートポンプは、(配管330及び340を含む)熱媒体の循環経路と、循環経路の途中に配設された圧縮系統(210)、凝縮器及び蒸発器(250及び320)、並びに膨張弁(251)と、負荷に応じて圧縮機(211及び212)の運転状態を制御する制御装置(HP−ECU110及び/又はENG−ECU410)と、を備える。更に、圧縮系統(210)は、並列に配設された複数の圧縮機、循環経路から複数の圧縮機へと吸入される熱媒体が流れる経路である(吸入ヘッダ213を含む)吸入配管及び複数の圧縮機から吐出される熱媒体が循環経路へと流れる経路である(吐出ヘッダ214を含む)吐出配管を含む。
上記に加えて、第1方法が適用されるヒートポンプは、複数の圧縮機の各々から吐出される熱媒体の温度と相関を有する値である検出吐出温度をそれぞれ検出する温度センサ(501及び502)を更に備える。これらの温度センサによって検出される検出吐出温度は、必ずしも圧縮機から吐出される熱媒体の温度自体でなくてもよく、圧縮機から吐出される熱媒体の温度と相関を有する値である限り、如何なる値であってもよい。検出吐出温度としては、例えば、個々の圧縮機の圧縮機構、吐出ポート及び吐出配管等の温度を採用することができ、それに応じて温度センサを配設することができる。
加えて、制御装置は、複数の圧縮機のうちの稼働している圧縮機である稼働圧縮機が2台以上存在する状態において、不均衡過熱状態が所定の期間以上に亘って継続したか否かを判定する。不均衡過熱状態とは、不均衡過熱指標値が所定の閾値よりも大きい状態である。不均衡過熱指標値とは、第1圧縮機と第2圧縮機との間における熱媒体の過熱の度合いの差に対応する値である。第1圧縮機とは稼働圧縮機のうち最も過熱度が高い圧縮機であり、第2圧縮機とは稼働圧縮機のうち最も過熱度が低い圧縮機である。
過熱度とは、熱媒体の過熱の度合いに対応する値であり、検出吐出温度に基づいて導かれる。例えば、個々の圧縮機における検出吐出温度を過熱度として採用してもよい。或いは、検出吐出温度のみならず他の状態量(例えば、圧縮機から吐出される熱媒体の圧力)にも基づいて過熱度を導いてもよい。この場合、例えば、個々の圧縮機における吐出過熱度を過熱度として採用してもよい。このような過熱度を採用する実施形態については、後に詳しく説明する。
不均衡過熱指標値は、上記のように、第1圧縮機と第2圧縮機との間における熱媒体の過熱の度合いの差に対応する値である。具体的には、例えば、第1圧縮機における過熱度である第1過熱度と第2圧縮機における過熱度である第2過熱度とに基づいて、不均衡過熱指標値を特定することができる。より具体的には、例えば、第1過熱度と第2過熱度との差を不均衡過熱指標値として採用することができる。
上記「所定の閾値」は、例えば、第1圧縮機における熱媒体の過熱の度合いと第2圧縮機における熱媒体の過熱の度合いとの差の許容可能な範囲の上限値である場合における不均衡過熱指標値として定義することができる。この閾値の具体的な値は、例えば、各々の圧縮機における熱媒体の過熱の度合いに対応する状態量(例えば、熱媒体の温度及び圧力等)を検出可能なセンサを更に組み込んだモデルにおいて、これらのセンサによって検出される状態量に基づいて導かれる各々の圧縮機における熱媒体の過熱の度合いと不均衡過熱指標値との比較を行う事前実験等によって定めることができる。尚、当該閾値は、以下の説明において「判定用閾値」と称される場合がある。
上記「所定の期間」は、不均衡過熱指標値が所定の閾値(判定用閾値)よりも大きい状態である不均衡過熱状態が例えば温度センサによる検出信号におけるノイズ等の突発的な要因によって継続する可能性が十分に低い時間的な長さとして定義することができる。この期間の具体的な長さは、例えば、第1方法が適用されるヒートポンプと同じ構成を有するヒートポンプを構成する圧縮機における不均衡過熱指標値の経時的な変動を計測する事前実験等によって定めることができる。尚、当該期間は、以下の説明において「判定用期間」と称される場合がある。
不均衡過熱状態が所定の期間(判定用期間)以上に亘って継続したと判定される場合、第1圧縮機において冷凍機油の不足が生じている蓋然性が高い。そこで、制御装置は、第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)が増えるように、第1圧縮機211及び第2圧縮機212の運転を制御する。
具体的には、制御装置は、複数の稼働圧縮機からの熱媒体の吐出量の合計である総吐出量に占める第1圧縮機からの熱媒体の吐出量である第1吐出量の割合(第1割合)を増大させる。一方、上述したように、ヒートポンプ用電子制御装置(HP−ECU)110は、例えば室内温度センサ284によって検出される空気調和の対象となる室内の温度、室外温度センサ283によって検出される室外の温度、稼働している室内機の台数(室内機の運転台数)及び室内機の設置場所等、ヒートポンプの運転状況及び/又は環境条件に応じて、圧縮機211及び212の運転を制御する。即ち、制御装置は、ヒートポンプの負荷に応じた熱媒体の総吐出量を達成するように圧縮機211及び212の回転速度等を制御する。従って、制御装置は、上記のように第1割合を増大させることにより、第1吐出量を増大させ、結果として第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)を増大させることができる。
これにより、第1圧縮機における冷凍機油の不足が軽減され、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題が第1圧縮機において発生して熱媒体が繰り返し圧縮されて過熱したり第1圧縮機が破損したりする問題に繋がる虞が低減される。
尚、第1割合を増大させるための具体的な手法は特に限定されず、例えば、前述したように、以下に列挙する(1)乃至(5)の処理のうち少なくとも何れか1つ又は2つ以上を実行することにより、第1割合を増大させることができる(それぞれの処理の詳細については後述する)。
(1)第1圧縮機が容量制御弁を備え且つ当該容量制御弁の開度が最小開度よりも大きい場合に当該容量制御弁の開度を減少させる処理である閉弁処理。
(2)第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機が容量制御弁を備え且つ当該容量制御弁の開度が最大開度よりも小さい場合に当該容量制御弁の開度を増大させる処理である開弁処理。
(3)第1圧縮機以外の稼働圧縮機とは独立に回転速度を変更可能に第1圧縮機が構成されており且つ第1圧縮機の回転速度が最大速度よりも小さい場合に第1圧縮機の回転速度を増大させる処理である加速処理。
(4)第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機が第3圧縮機以外の稼働圧縮機とは独立に回転速度を変更可能に構成されており且つ第3圧縮機の回転速度が最小速度よりも大きい場合に第3圧縮機の回転速度を減少させるか又は第3圧縮機を停止させる処理、或いは、第3圧縮機以外の稼働圧縮機とは独立に回転速度を変更可能に第3圧縮機が構成されており且つ第3圧縮機の回転速度が最小速度である場合に第3圧縮機を停止させる処理である減速処理。
(5)第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機がクラッチを介して駆動されている場合にクラッチを遮断状態へと切り替える処理である遮断処理。
〈具体的な処理の流れ〉
第1方法が適用されるヒートポンプが備える制御装置を構成するECU(HP−ECU110及び/又はENG−ECU410)は、例えば、図3のフローチャートに示すルーチンによって表されるアルゴリズムを実行することにより、第1方法を実施する。当該ルーチンは、上記ECUを構成するCPUが上記ECUを構成するROMに格納されたプログラムに従って種々の演算処理を実行することにより、所定の短い周期にて実行される。
当該ルーチンが開始されると、ステップS31において、複数の圧縮機のうち稼働している圧縮機である稼働圧縮機が2台以上存在するか否かを判定する。稼働圧縮機の台数が2未満(即ち、1又は0(ゼロ))である場合、CPUは「No」と判定し、当該ルーチンを一旦終了する。一方、稼働圧縮機の台数が2以上である場合、CPUは「Yes」と判定し、次のステップS32進み、複数の稼働圧縮機(211及び212)の各々に対応する温度センサ(501及び502)から、それぞれの圧縮機の検出吐出温度(Td)を取得する。次に、CPUはステップS33に進み、取得した複数の稼働圧縮機に対応する複数の検出吐出温度(Td)に基づいて、ぞれぞれの稼働圧縮機における熱媒体の過熱の度合いに対応する値である過熱度を算出する。
次に、CPUはステップS34に進み、算出された過熱度のうち最も高い過熱度である第1過熱度(Hd1)及び最も低い過熱度である第2過熱度(Hd2)に基づいて、過熱の度合いの差に対応する値である不均衡過熱指標値(ΔHd)を算出する。この例においては、上述したように、第1過熱度(Hd1)と第2過熱度(Hd2)との差を不均衡過熱指標値(ΔHd)として採用する(ΔHd=Hd1−Hd2)。次に、CPUはステップS35に進み、算出された不均衡過熱指標値(ΔHd)が上述した所定の判定用閾値(Hdth)よりも大きいか否かを判定する。
不均衡過熱指標値(ΔHd)が判定用閾値(Hdth)以下である場合、上記ステップS35においてCPUは「No」と判定し、当該ルーチンを一旦終了する。
一方、不均衡過熱指標値(ΔHd)が判定用閾値(Hdth)よりも大きい場合、上記ステップS35においてCPUは「Yes」と判定し、次のステップS36に進む。ステップS36において、CPUは、不均衡過熱指標値(ΔHd)が判定用閾値(Hdth)よりも大きい状態(不均衡過熱状態)が上述した判定用期間(Pj)以上に亘って継続したか否かを判定する。
不均衡過熱状態が判定用期間(Pj)以上に亘って継続していない場合、上記ステップS33においてCPUは「No」と判定し、上述したステップS31に戻り、当該ルーチンを繰り返し実行する。
一方、不均衡過熱状態が判定用期間(Pj)以上に亘って継続していた場合、上記ステップS36においてCPUは「Yes」と判定し、次のステップS37に進む。ステップS37において、CPUは、圧縮系統に含まれる複数の稼働圧縮機(211及び212)からの熱媒体の吐出量の合計である総吐出量に占める第1検出温度(Td1)に対応する圧縮機(第1圧縮機)からの熱媒体の吐出量である第1吐出量の割合(第1割合)を増大させる。
上記により、第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)を増大させ、第1圧縮機における冷凍機油の不足を軽減することができる。その結果、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題が第1圧縮機において発生して熱媒体が過熱したり第1圧縮機が破損したりする問題に繋がる虞が低減される。
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係るヒートポンプの制御方法(以下、「第2方法」と称される場合がある。)について説明する。
〈ヒートポンプの構成及び制御〉
第2方法が適用されるヒートポンプの構成は、図1及び図2を参照しながら上述した第1方法が適用されるヒートポンプの構成と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。また、第2方法におけるヒートポンプの制御及び当該制御に含まれる具体的な処理の流れも、図3を参照しながら上述した第1方法と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
但し、第2方法においては、制御装置が、検出吐出温度を過熱度として使用する。上述したように、検出吐出温度は、圧縮機の各々から吐出される熱媒体の温度と相関を有する値である。従って、適正量の冷凍機油が圧縮機に供給されないために、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題が圧縮機において発生し、熱媒体が繰り返し圧縮されて過熱している場合、検出吐出温度が上昇する。即ち、検出吐出温度は、熱媒体の過熱の度合いに対応する値の1つであり、過熱度として使用することができる。加えて、検出吐出温度は、温度センサによって容易に検出することができる。
更に、第2方法においては、制御装置が、(第1圧縮機における過熱度である)第1過熱度と(第2圧縮機における過熱度である)第2過熱度との差を不均衡過熱指標値として算出する。即ち、第2方法においては、検出吐出温度が最も高い圧縮機である第1圧縮機の検出吐出温度である第1検出温度と検出吐出温度が最も低い圧縮機である第2圧縮機の検出吐出温度である第2検出温度との単純な減算の結果を不均衡過熱指標値として算出することができる。
以上のように、第2方法においては、検出吐出温度を過熱度として使用することにより、制御装置を構成するCPUに過大な演算負荷を掛けること無く、簡便に本発明に係るヒートポンプの制御方法(本発明方法)を実施することができる。これにより、より簡便な処理によって、第1圧縮機における冷凍機油の不足を軽減し、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題が第1圧縮機において発生して熱媒体が部品の許容温度を超えて過熱して第1圧縮機が破損したりする問題に繋がる虞を低減することができる。
《第3実施形態》
以下、本発明の第3実施形態に係るヒートポンプの制御方法(以下、「第3方法」と称される場合がある。)について説明する。
〈ヒートポンプの構成及び制御〉
第3方法が適用されるヒートポンプの構成もまた、上述した第1方法及び第2方法が適用されるヒートポンプの構成と基本的に同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。但し、以下に説明するように、第3方法においては、個々の圧縮機における熱媒体の過熱の度合いに対応する値である過熱度が、温度センサによって検出される熱媒体の吐出温度のみならず圧力センサによって検出される熱媒体の吐出圧力にも基づいて導かれる。この点を除き、第3方法におけるヒートポンプの制御及び当該制御に含まれる具体的な処理の流れも、図3を参照しながら上述した第1方法及び第2方法と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
上記のように、第3方法においては、個々の圧縮機における熱媒体の過熱の度合いに対応する値である過熱度が、温度センサによって検出される熱媒体の吐出温度のみならず圧力センサによって検出される熱媒体の吐出圧力にも基づいて導かれる。従って、第3方法が適用されるヒートポンプは、複数の圧縮機の各々から吐出される熱媒体の圧力と相関を有する値である検出吐出圧力をそれぞれ検出する圧力センサを更に備える。これらの圧力センサによって検出される検出吐出圧力は、必ずしも圧縮機から吐出される熱媒体の圧力自体でなくてもよく、圧縮機から吐出される熱媒体の圧力と相関を有する値である限り、如何なる値であってもよい。検出吐出圧力としては、例えば、個々の圧縮機の圧縮機構、吐出ポート及び吐出配管等における熱媒体の圧力を採用することができ、それに応じて圧力センサを配設することができる。
更に、第3方法においては、制御装置が、検出吐出圧力における熱媒体の飽和蒸気温度を検出吐出温度から減算することによって得られる吐出過熱度を過熱度として使用する。当業者に周知であるように、吐出過熱度は、圧縮機から吐出される熱媒体の吐出圧力における飽和蒸気温度(凝縮温度)と当該熱媒体の吐出温度との差であり、吐出温度から飽和蒸気温度を減算することによって算出することができる。吐出過熱度は熱媒体の量の不足の度合いと相関を有する値であり、吐出過熱度が高いほど、熱媒体の量の不足の度合いが高く、その結果として熱媒体の過熱の度合いが高い。
上記のように、吐出過熱度は、熱媒体の過熱の度合いに対応する値の1つであり、上述した過熱度として使用することができる。尚、熱媒体の量が不足している場合、熱媒体と共に圧縮機に戻る冷凍機油の量も不足する。従って、吐出過熱度は冷凍機油の量の不足の度合いと相関を有する値であると言うことができる。即ち、吐出過熱度は、個々の圧縮機から吐出される熱媒体の吐出圧力をも考慮した、より正確な冷凍機油量の指標であると言うことができる。
加えて、第3方法においては、制御装置が、(第1圧縮機における過熱度である)第1過熱度と(第2圧縮機における過熱度である)第2過熱度との差を不均衡過熱指標値として算出する。即ち、第3方法においては、吐出過熱度が最も高い圧縮機である第1圧縮機の吐出過熱度と吐出過熱度が最も低い圧縮機である第2圧縮機の吐出過熱度との単純な減算の結果を不均衡過熱指標値として算出することができる。
以上のように、第3方法においては、吐出過熱度を過熱度として使用することにより、個々の圧縮機における冷凍機油の量により正確に対応して、本発明に係るヒートポンプの制御方法(本発明方法)を実施することができる。これにより、第1圧縮機における冷凍機油の不足を軽減し、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題が第1圧縮機において発生して熱媒体が部品の許容温度を超えて過熱して第1圧縮機が破損したりする問題に繋がる虞をより的確に低減することができる。
《第4実施形態》
以下、本発明の第4実施形態に係るヒートポンプの制御方法(以下、「第4方法」と称される場合がある。)について説明する。
〈ヒートポンプの構成〉
第2方法が適用されるヒートポンプの構成は、上述した第1方法乃至第3方法が適用されるヒートポンプの構成と基本的に同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。但し、以下に説明するように、第4方法においては、上述したバイパス経路及び容量制御弁を利用して吐出量割合を増大させる。従って、第4方法が適用されるヒートポンプを構成する複数の圧縮機の少なくとも一部は上述したバイパス経路及び容量制御弁を備える必要がある。尚、本例においては、図1を参照しながら説明したように、複数の圧縮機211及び212の両方がバイパス経路291p及び292p並びに容量制御弁291及び292を備えるものとする。
〈ヒートポンプの制御〉
第4方法においても、第1方法乃至第3方法と同様に、不均衡過熱指標値が所定の閾値よりも大きい状態である不均衡過熱状態が所定の期間以上に亘って継続したと判定されるとき、総吐出量に占める第1吐出量の割合(第1割合)を制御装置が増大させる。但し、第4方法においては、上述した(1)乃至(5)の処理のうち、以下の(1)及び(2)にそれぞれ記載された閉弁処理及び開弁処理の何れか一方又は両方が制御装置によって実行される。
(1)閉弁処理…第1圧縮機の内部において熱媒体が流れる経路である第1経路の部分領域である第1下流領域から第1経路の部分領域であって第1下流領域よりも上流側に位置する部分領域又は第1経路よりも上流側に位置する吸入配管の内部領域の部分領域である第1上流領域へと熱媒体を戻す経路である第1バイパス経路と当該第1バイパス経路に介装された容量制御弁である第1弁とを第1圧縮機が備えており且つ第1弁の開度が最小開度よりも大きい場合に第1弁の開度を減少させる。
(2)開弁処理…第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機が当該第3圧縮機の内部において熱媒体が流れる経路である第3経路の部分領域である第3下流領域から第3経路の部分領域であって第3下流領域よりも上流側に位置する部分領域又は第3経路よりも上流側に位置する吸入配管の内部領域の部分領域である第3上流領域へと熱媒体を戻す経路である第3バイパス経路と当該第3バイパス経路に介装された容量制御弁である第3弁とを備えており且つ第3弁の開度が最大開度よりも小さい場合に第3弁の開度を増大させる。
容量制御弁の弁開度についての「最大開度」及び「最小開度」とは、正常な状態にある容量制御弁の弁開度の範囲の上限及び下限に対応する。一般に、この上限である最大開度は全開状態にあるときの容量制御弁の弁開度に対応し、この下限である最小開度は全閉状態にあるときの容量制御弁の弁開度に対応する。
上記説明における第1経路及び第3経路、第1下流領域及び第3下流領域、並びに第1上流領域及び第3上流領域は、図1に示した空気調和機100に関する説明において述べた圧縮経路、下流領域、及び上流領域にそれぞれ該当する。更に、上記説明における第1弁及び第3弁は、図1に示した空気調和機100に関する説明において述べた容量制御弁291及び292にそれぞれ該当する。
上記(1)に示した閉弁処理が実行されると、(熱媒体の過熱の度合いに対応する値である)過熱度が最も高い稼働圧縮機である第1圧縮機の容量制御弁の開度が減少する(又は閉じられる)ので、第1圧縮機の仕事率を増大させて、第1圧縮機への熱媒体の吸入量を増大させることができる。その結果、第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)が増えるので、第1圧縮機における冷凍機油の不足を軽減し、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題を低減することができる。
一方、上記(2)に示した開弁処理が実行されると、過熱度が最も高い稼働圧縮機である第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機の容量制御弁の開度が増大する(又は容量制御弁が全閉状態から開かれる)ので、第3圧縮機の仕事率を減少させて、第3圧縮機への熱媒体の吸入量を減少させることができる。これに伴い、第1圧縮機への熱媒体の吸入量が増大する。その結果、第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)が増えるので、第1圧縮機における冷凍機油の不足を軽減し、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題を低減することができる。
尚、第1圧縮機及び/又は第3圧縮機が備える容量制御弁は、上記のように開度(弁開度)を連続的若しくは段階的に変更することができる弁であってもよく、或いは所謂「容量電磁弁」のように全開状態と全閉状態とを切り替える開閉式の弁であってもよい。また、何れの場合であっても、容量制御弁は常閉式(Normally−open)又は常開式(Normally−close)の何れのタイプの弁であってもよい。
更に、上記第3圧縮機は、第1圧縮機以外の稼働圧縮機である限り、特に限定されない。しかしながら、閉弁処理及び開弁処理の何れが実行されても、第1圧縮機への熱媒体の吸入量の増大に伴って第3圧縮機への熱媒体の吸入量は減少する。特に、開弁処理においては、第3圧縮機への熱媒体の吸入量を積極的に減少させることとなる。従って、開弁処理の実行により第3圧縮機における冷凍機油の不足を招く可能性を低く抑える観点からは、過熱度が最も低い稼働圧縮機である第2圧縮機を第3圧縮機として採用することが好ましい。
〈具体的な処理の流れ〉
第4方法が適用されるヒートポンプが備える制御装置を構成するECU(HP−ECU110及び/又はENG−ECU410)は、例えば、図4のフローチャートに示すルーチンによって表されるアルゴリズムを実行することにより、第4方法を実施する。当該ルーチンは、上記ECUを構成するCPUが上記ECUを構成するROMに格納されたプログラムに従って種々の演算処理を実行することにより、所定の短い周期にて実行される。
尚、図4のフローチャートは、ステップS37において閉弁処理及び/又は開弁処理の実行により第1圧縮機の吐出量割合を増大させる点を除き、図3のフローチャートと同様である。従って、ステップS31乃至ステップS35までの処理についての説明は省略する。
最も高い過熱度である第1過熱度(Hd1)と最も低い過熱度である第2過熱度(Hd2)とに基づいて算出される不均衡過熱指標値(ΔHd)が判定用閾値(Hdth)よりも大きい状態(不均衡過熱状態)が上述した判定用期間(Pj)以上に亘って継続していない場合、ステップS36においてCPUは「No」と判定し、上述したステップS31に戻り、当該ルーチンを繰り返し実行する。
一方、不均衡過熱状態が判定用期間(Pj)以上に亘って継続していた場合、ステップS36においてCPUは「Yes」と判定し、次のステップS37に進む。ステップS37において、CPUは、圧縮系統に含まれる複数の稼働圧縮機(211及び212)からの熱媒体の吐出量の合計である総吐出量に占める第1過熱度(Hd1)に対応する圧縮機(第1圧縮機)からの熱媒体の吐出量である第1吐出量の割合(第1割合)を増大させる。
このとき、第4方法においては、図4のフローチャートにおけるステップS37に示すように、上述した閉弁処理及び開弁処理の何れか一方又は両方を実行することにより、総吐出量に占める第1吐出量の割合(第1割合)を増大させる。
上記により、第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)を増大させ、第1圧縮機における冷凍機油の不足を軽減することができる。その結果、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題が第1圧縮機において発生して熱媒体が部品の許容温度を超えて過熱して第1圧縮機が破損したりする問題に繋がる虞が低減される。
《第5実施形態》
以下、本発明の第5実施形態に係るヒートポンプの制御方法(以下、「第5方法」と称される場合がある。)について説明する。
〈ヒートポンプの構成〉
第5方法が適用されるヒートポンプの構成は、上述した第1方法乃至第4方法が適用されるヒートポンプの構成と基本的に同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。但し、以下に説明するように、第5方法においては、第1圧縮機の回転速度を個別に上昇させたり第3圧縮機の回転速度を個別に下降させたりすることにより吐出量割合を増大させる。従って、第5方法が適用されるヒートポンプを構成する複数の圧縮機の少なくとも一部は、その回転速度を個別に変更可能であるように構成されている必要がある。
上記のような構成の具体例としては、例えば、複数の圧縮機それぞれが、専用の駆動源及び/又は変速機構を備える構成を挙げることができる。本例においては、複数の圧縮機211及び212のそれぞれが専用の駆動源としてのモータ及び電源装置を備えるものとする(何れも図示せず)。
〈ヒートポンプの制御〉
第5方法においても、第1方法乃至第4方法と同様に、不均衡過熱指標値が所定の閾値よりも大きい状態である不均衡過熱状態が所定の期間以上に亘って継続したと判定されるとき、総吐出量に占める第1吐出量の割合(第1割合)を制御装置が増大させる。但し、第5方法においては、上述した(1)乃至(5)の処理のうち、以下の(3)及び(4)にそれぞれ記載された加速処理及び減速処理の何れか一方又は両方が制御装置によって実行される。
(3)加速処理…第1圧縮機以外の稼働圧縮機とは独立に回転速度を変更可能に第1圧縮機が構成されており且つ第1圧縮機の回転速度が最大速度よりも小さい場合に第1圧縮機の回転速度を増大させる。
(4)減速処理…第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機が第3圧縮機以外の稼働圧縮機とは独立に回転速度を変更可能に構成されており且つ第3圧縮機の回転速度が最小速度よりも大きい場合に第3圧縮機の回転速度を減少させるか又は第3圧縮機を停止させる。或いは、第3圧縮機以外の稼働圧縮機とは独立に回転速度を変更可能に第3圧縮機が構成されており且つ第3圧縮機の回転速度が最小速度である場合に第3圧縮機を停止させる。このように、減速処理には、第3圧縮機を停止させることも含まれる。
上述したように、本例においては、複数の圧縮機211及び212のそれぞれが専用の駆動源としてのモータ及び電源装置を備えている。従って、何れの圧縮機において冷凍機油の不足が生じている場合においても、一方の圧縮機は他方の圧縮機とは独立に回転速度を変更することができる。この場合、それぞれの圧縮機の回転速度は、駆動源としてのモータへと電源装置から供給される電力(例えば周波数及び電圧等)を制御することによりモータの回転速度を制御し、これにより圧縮機の回転速度を制御することができる。尚、供給電力によりモータの回転速度を制御するための具体的な手法は、当業者に周知の種々の手法の中から、例えばモータの形式(例えば、交流式又は直流式等)等に応じて、適宜選択することができる。
また、圧縮機の回転速度についての「最大速度」及び「最小速度」とは、駆動源(本例においてはモータ)によって圧縮機が安定な状態において駆動されることが可能な圧縮機の回転速度の範囲の上限及び下限に対応する。例えば、この上限である最大速度を超える回転速度において圧縮機を稼働させようとした場合、例えばモータ及びエンジン等の駆動源の運転状態が不安定になる虞がある。逆に、この下限である最小速度を下回る回転速度において圧縮機を稼働させようとした場合、例えばモータ及びエンジン等の駆動源の運転状態が不安定になったりエンジンストール(エンジンの停止)が発生したりする虞がある。
上記(3)に示した加速処理が実行されると、(熱媒体の過熱の度合いに対応する値である)過熱度が最も高い稼働圧縮機である第1圧縮機の回転速度が増大するので、第1圧縮機への熱媒体の吸入量を増大させることができる。その結果、第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)が増えるので、第1圧縮機における冷凍機油の不足を軽減し、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題を低減することができる。
一方、上記(4)に示した減速処理が実行されると、過熱度が最も高い稼働圧縮機である第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機の回転速度が減少するので、第3圧縮機への熱媒体の吸入量を減少させることができる。これに伴い、第1圧縮機への熱媒体の吸入量が増大する。その結果、第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)が増えるので、第1圧縮機における冷凍機油の不足を軽減し、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題を低減することができる。
尚、上記第3圧縮機は、第1圧縮機以外の稼働圧縮機である限り、特に限定されない。しかしながら、加速処理及び減速処理の何れが実行されても、第1圧縮機への熱媒体の吸入量の増大に伴って第3圧縮機への熱媒体の吸入量は減少する。特に、減速処理においては、第3圧縮機への熱媒体の吸入量を積極的に減少させることとなる。従って、減速処理の実行により第3圧縮機における冷凍機油の不足を招く可能性を低く抑える観点からは、過熱度が最も低い稼働圧縮機である第2圧縮機を第3圧縮機として採用することが好ましい。
〈具体的な処理の流れ〉
第5方法が適用されるヒートポンプが備える制御装置を構成するECU(HP−ECU110及び/又は図示しないモータ制御用ECU)は、例えば、図5のフローチャートに示すルーチンによって表されるアルゴリズムを実行することにより、第5方法を実施する。当該ルーチンは、上記ECUを構成するCPUが上記ECUを構成するROMに格納されたプログラムに従って種々の演算処理を実行することにより、所定の短い周期にて実行される。
尚、図5のフローチャートは、ステップS37において加速処理及び/又は減速処理の実行により第1圧縮機の吐出量割合を増大させる点を除き、図3及び図4のフローチャートと同様である。従って、ステップS31乃至ステップS35までの処理についての説明は省略する。
最も高い過熱度である第1過熱度(Hd1)と最も低い過熱度である第2過熱度(Hd2)とに基づいて算出される不均衡過熱指標値(ΔHd)が判定用閾値(Hdth)よりも大きい状態(不均衡過熱状態)が上述した判定用期間(Pj)以上に亘って継続していない場合、ステップS36においてCPUは「No」と判定し、上述したステップS31に戻り、当該ルーチンを繰り返し実行する。
一方、不均衡過熱状態が判定用期間(Pj)以上に亘って継続していた場合、ステップS36においてCPUは「Yes」と判定し、次のステップS37に進む。ステップS37において、CPUは、圧縮系統に含まれる複数の稼働圧縮機(211及び212)からの熱媒体の吐出量の合計である総吐出量に占める第1過熱度(Hd1)に対応する圧縮機(第1圧縮機)からの熱媒体の吐出量である第1吐出量の割合(第1割合)を増大させる。
このとき、第5方法においては、図5のフローチャートにおけるステップS37に示すように、上述した加速処理及び減速処理の何れか一方又は両方を実行することにより第1割合を増大させる。
上記により、第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)を増大させ、第1圧縮機における冷凍機油の不足を軽減することができる。その結果、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題が第1圧縮機において発生して熱媒体が過熱したり第1圧縮機が破損したりする問題に繋がる虞が低減される。
尚、上記においては、複数の圧縮機211及び212のそれぞれが専用の駆動源としてのモータ及び電源装置並びにモータ制御用ECUを備える場合について説明した。しかしながら、第5方法は、第1圧縮機の回転速度を個別に上昇させたり第3圧縮機の回転速度を個別に下降させたりすることが可能である限り如何なるヒートポンプにも適用することができる。即ち、第5方法が適用されるヒートポンプを構成する複数の圧縮機の少なくとも一部が回転速度を個別に変更可能であるように構成されていればよく、当該圧縮機の駆動源はモータに限定されず、例えばエンジン等の他の駆動源であってもよい。
《第6実施形態》
以下、本発明の第6実施形態に係るヒートポンプの制御方法(以下、「第6方法」と称される場合がある。)について説明する。
〈ヒートポンプの構成〉
第6方法が適用されるヒートポンプの構成は、上述した第1方法乃至第5方法が適用されるヒートポンプの構成と基本的に同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。但し、以下に説明するように、第6方法においては、第3圧縮機への駆動力を遮断することにより吐出量割合を増大させる。従って、第6方法が適用されるヒートポンプを構成する複数の圧縮機の少なくとも一部は、駆動源からの駆動力の伝達と遮断とを切り替える機構を備えている必要がある。
上記のような機構の具体例としては、例えば、図2を参照しながら説明したように、クラッチを挙げることができる。クラッチによれば、エンジン400から圧縮機へと駆動力が伝達される状態である伝達状態と、エンジン400から圧縮機へと駆動力が伝達されない状態である遮断状態とを、それぞれの圧縮機において独立に切り替えることができる。本例においては、複数の圧縮機211及び212のそれぞれがクラッチを備えるものとする(図示せず)。
〈ヒートポンプの制御〉
第6方法においても、第1方法乃至第5方法と同様に、不均衡過熱指標値が所定の閾値よりも大きい状態である不均衡過熱状態が所定の期間以上に亘って継続したと判定されるとき、総吐出量に占める第1吐出量の割合(第1割合)を制御装置が増大させる。但し、第4方法においては、上述した(1)乃至(5)の処理のうち、以下の(5)に記載された遮断処理が制御装置によって実行される。
(5)遮断処理…第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機が駆動源からの駆動力が第3圧縮機に伝達されている状態である伝達状態と駆動源からの駆動力が第3圧縮機に伝達されていない状態である遮断状態との間において第3圧縮機の駆動状態を切り替える機構である第3クラッチを備えている場合に第3クラッチを用いて第3圧縮機の駆動状態を遮断状態へと切り替える。
上述したように、本例においては、複数の圧縮機211及び212のそれぞれがクラッチを備えている。従って、何れの圧縮機についても、駆動源からの駆動力が伝達される状態である伝達状態と駆動源からの駆動力が伝達されない状態である遮断状態とを独立に切り替えることができる。
但し、(熱媒体の過熱の度合いに対応する値である)過熱度が最も高い稼働圧縮機である第1圧縮機は稼働している。即ち、第1圧縮機の駆動状態は伝達状態にあり、これを遮断状態に切り替えても第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)を増大させることはできない。従って、第6方法においては、上記のように、第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機がクラッチを備え且つ第3圧縮機の駆動状態が伝達状態にある場合に、当該クラッチを遮断状態へと切り替える(上記(5)に示した遮断処理を実行する)。
遮断処理が実行されると、過熱度が最も高い稼働圧縮機である第1圧縮機以外の稼働圧縮機である第3圧縮機の駆動状態が伝達状態から遮断状態へと切り替えられ、駆動源からの駆動力が第3圧縮機へと伝達されなくなる。従って、第3圧縮機が休止するので、第3圧縮機への熱媒体の吸入量を減少させることができる。これに伴い、第1圧縮機への熱媒体の吸入量が増大する。その結果、第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)が増えるので、第1圧縮機における冷凍機油の不足を軽減し、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題を低減することができる。
尚、上記第3圧縮機は、第1圧縮機以外の稼働圧縮機である限り、特に限定されない。しかしながら、遮断処理の実行により、第3圧縮機への熱媒体の吸入量は減少する(ゼロになる)。従って、遮断処理の実行により第3圧縮機における冷凍機油の不足を招く可能性を低く抑える観点からは、過熱度が最も低い稼働圧縮機である第2圧縮機を第3圧縮機として採用することが好ましい。
〈具体的な処理の流れ〉
第6方法が適用されるヒートポンプが備える制御装置を構成するECU(HP−ECU110及び/又はENG−ECU410)は、例えば、図6のフローチャートに示すルーチンによって表されるアルゴリズムを実行することにより、第6方法を実施する。当該ルーチンは、上記ECUを構成するCPUが上記ECUを構成するROMに格納されたプログラムに従って種々の演算処理を実行することにより、所定の短い周期にて実行される。
尚、図6のフローチャートは、ステップS37において遮断処理の実行により第1圧縮機の吐出量割合を増大させる点を除き、図3乃至図5のフローチャートと同様である。従って、ステップS31乃至ステップS35までの処理についての説明は省略する。
最も高い過熱度である第1過熱度(Hd1)と最も低い過熱度である第2過熱度(Hd2)とに基づいて算出される不均衡過熱指標値(ΔHd)が判定用閾値(Hdth)よりも大きい状態(不均衡過熱状態)が上述した判定用期間(Pj)以上に亘って継続していない場合、ステップS36においてCPUは「No」と判定し、上述したステップS31に戻り、当該ルーチンを繰り返し実行する。
一方、不均衡過熱状態が判定用期間(Pj)以上に亘って継続していた場合、ステップS36においてCPUは「Yes」と判定し、次のステップS37に進む。ステップS37において、CPUは、圧縮系統に含まれる複数の稼働圧縮機(211及び212)からの熱媒体の吐出量の合計である総吐出量に占める第1過熱度(Hd1)に対応する圧縮機(第1圧縮機)からの熱媒体の吐出量である第1吐出量の割合(第1割合)を増大させる。
このとき、第6方法においては、図6のフローチャートにおけるステップS37に示すように、上述した遮断処理を実行することにより、総吐出量に占める第1吐出量の割合(第1割合)を増大させる。
上記により、第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)を増大させ、第1圧縮機における冷凍機油の不足を軽減することができる。その結果、例えばシール不良及び潤滑不良等の問題が第1圧縮機において発生して熱媒体が部品の許容温度を超えて過熱して第1圧縮機が破損したりする問題に繋がる虞が低減される。
尚、上記においては、複数の圧縮機211及び212のそれぞれがクラッチを備え、エンジン400によってベルト駆動され、ヒートポンプ用電子制御装置(HP−ECU)110及びエンジン用電子制御装置(ENG−ECU)410によって制御装置が構成されている場合について説明した。しかしながら、第6方法は、ヒートポンプを構成する複数の圧縮機の少なくとも一部が駆動源からの駆動力の伝達と遮断とを切り替える機構を備えている限り、如何なるヒートポンプにも適用することができる。即ち、第6方法が適用されるヒートポンプを構成する複数の圧縮機の少なくとも一部がクラッチ等の機構を備えていればよく、当該圧縮機の駆動源はエンジンに限定されず、例えばモータ等の他の駆動源であってもよい。
本発明の実施例1に係るヒートポンプの制御方法(以降、「第1実施例方法」と称される場合がある。)につき、以下に説明する。実施例方法1が適用されるヒートポンプの構成は、前述した図1及び図2に示したヒートポンプの構成と同様である。
即ち、本実施例に係るヒートポンプはガスエンジンを駆動源とするガスヒートポンプ(GHP)であり、圧縮機211及び212はエンジン400によってベルト駆動されるので、これら2台の圧縮機の回転速度は同じである。更に、圧縮機211の容量制御弁291の開度の方が、圧縮機212の容量制御弁292の開度よりも大きいものとする。このため、熱媒体の吸入量は圧縮機211の方が圧縮機212よりも小さい。従って、冷凍機油の供給量(戻り量)もまた、圧縮機211の方が圧縮機212よりも少ない。
加えて、前述したように、例えば、圧縮機211と圧縮機212との間において、経年劣化の程度のばらつき及び/又は運転条件に起因する稼働頻度の偏り等が生じたり、ヒートポンプの設置状態(例えば、水平度等)に起因する冷凍機油の供給量(戻り量)の不均衡が生じたりする場合がある。その結果として、圧縮機211における冷凍機油の不足が助長される場合もある。
圧縮機211における冷凍機油の供給量が適正量を下回ると、熱媒体の圧縮行程におけるシール性(気密性)が不十分となり、例えば、圧縮行程における熱媒体の漏れが発生して、圧縮途中の熱媒体が繰り返し圧縮されて熱媒体の温度が過剰に上昇する虞がある。また、圧縮機の摺動部分における潤滑性が不十分となり、例えば、圧縮機211が破損したりする虞がある。
やがて、圧縮機211の吐出ポートに設けられた温度センサ501によって検出される検出吐出温度(吐出される熱媒体の温度と相関を有する値)に基づいて導かれる(熱媒体の過熱の度合いに対応する値である)過熱度と圧縮機212の吐出ポートに設けられた温度センサ502によって検出される検出吐出温度に基づいて導かれる過熱度とに基づいて導かれる(圧縮機211と圧縮機212との間における熱媒体の過熱の度合いの差に対応する値である)不均衡過熱指標値が上述した所定の判定用閾値以上となる。即ち、この場合、圧縮機211が第1圧縮機であり、圧縮機212が第2圧縮機である。この状態(即ち、不均衡過熱状態)が所定の期間以上に亘って継続すると、制御装置は、圧縮機211の容量制御弁291の開度を減少させ、圧縮機212の容量制御弁292の開度を増大させる。即ち、本実施例においては、上述した(1)に示す閉弁処理及び(2)に示した開弁処理の両方を実行する。
これにより、圧縮機211への熱媒体の吸入量が増大し、圧縮機212への熱媒体の吸入量が減少する。その結果、圧縮機211への冷凍機油の供給量(戻り量)が増大する。従って、熱媒体の圧縮行程におけるシール性(気密性)及び圧縮機の摺動部分における潤滑性が不十分となり、熱媒体の温度が過剰に上昇したり、圧縮機が破損したりする問題を低減することができる。
本発明の実施例2に係るヒートポンプの制御方法(以降、「第2実施例方法」と称される場合がある。)につき、以下に説明する。実施例方法2が適用されるヒートポンプの構成もまた、前述した図1及び図2に示したヒートポンプの構成と基本的に同様である。即ち、本実施例に係るヒートポンプはガスエンジンを駆動源とするガスヒートポンプ(GHP)であり、圧縮機211及び212は何れもクラッチを備える。圧縮機211及び212はエンジン400によってベルト駆動される。
本実施例においては、これら2台の圧縮機の駆動状態は何れも伝達状態にあり(クラッチが繋がっている)回転速度は同じである。しかしながら、例えば、圧縮機211と圧縮機212との間に生じた経年劣化の程度のばらつき及び/又は運転条件に起因する稼働頻度の偏り及びヒートポンプの設置状態(例えば、水平度等)に起因して、冷凍機油の供給量の不均衡が生じたものとする。本実施例においては、圧縮機211において冷凍機油の不足が発生したものとする。
上記の結果、本実施例においても、圧縮機211の吐出ポートに設けられた温度センサ501によって検出される検出吐出温度に基づいて導かれる過熱度と圧縮機212の吐出ポートに設けられた温度センサ502によって検出される検出吐出温度に基づいて導かれる過熱度とに基づいて導かれる不均衡過熱指標値が上述した所定の判定用閾値以上となる。即ち、この場合もまた、圧縮機211が第1圧縮機であり、圧縮機212が第2圧縮機である。この状態(不均衡過熱状態)が所定の期間以上に亘って継続すると、制御装置は、圧縮機211のクラッチは繋いだまま(駆動力を伝達したまま)、圧縮機212のクラッチを切る(駆動力を遮断する)。即ち、本実施例においては、上述した(5)に示す遮断処理を実行する。
一方、制御装置は、前述したように、ヒートポンプの負荷に応じた熱媒体の総吐出量を達成するように圧縮機211及び212の回転速度等を制御する。従って、上記のように総吐出量に占める第1吐出量の割合(第1割合)が増大されると、制御装置は、第1圧縮機(即ち、圧縮機211)の回転速度を増大させ、結果として第1圧縮機への冷凍機油の供給量(戻り量)を増大させることができる。
これにより、圧縮機212への熱媒体の吸入量が減少し(ゼロになり)、圧縮機211への熱媒体の吸入量が増大する。その結果、圧縮機211への冷凍機油の供給量(戻り量)が増大する。従って、熱媒体の圧縮行程におけるシール性(気密性)及び圧縮機の摺動部分における潤滑性が不十分となり、熱媒体の温度が過剰に上昇したり、圧縮機が破損したりする問題を低減することができる。
尚、上記処理の実行により圧縮機211と圧縮機212との間における熱媒体の過熱の度合いの差に対応する値である不均衡過熱指標値が判定用閾値未満となった場合、上記処理の実行後に所定の期間が経過した場合、或いは上記処理の実行により不均衡過熱指標値が判定用閾値未満となり且つ上記処理の実行後に所定の期間が経過した場合、圧縮機212のクラッチを再び繋ぎ(駆動力を伝達し)、ヒートポンプの負荷に応じた熱媒体の総吐出量を達成するように圧縮機211及び212の回転速度等を制御する通常の制御に戻してもよい。
ところで、第2実施例方法においては遮断処理が実行され、圧縮機212のクラッチが切られる(駆動力が遮断される)。従って、上記のように圧縮機212のクラッチを再び繋ぎ(駆動力を伝達し)、圧縮機211及び212の両方を稼働させる通常の制御に戻した直後においては、圧縮機212において冷凍機油が不足している虞がある。そこで、上記のように圧縮機211及び212の両方を稼働させた後、今度は圧縮機211のクラッチを切り(駆動力を遮断し)、圧縮機211の運転を停止してもよい。この場合、ヒートポンプの負荷に応じた制御装置による制御の結果、圧縮機212の回転速度が上昇する。これにより、熱媒体及び冷凍機油が圧縮機212のみに供給され、圧縮機212における冷凍機油の不足が解消される。その後、例えば、所定の期間の経過、検出吐出温度の安定、或いはこれらの両方等を条件として、圧縮機211のクラッチを再び繋ぎ(駆動力を伝達し)、ヒートポンプの負荷に応じた熱媒体の総吐出量を達成するように圧縮機211及び212の回転速度等を制御する通常の制御に戻してもよい。
ところで、例えば、空気調和機に使用されるヒートポンプにおいて、室内機及び/又は熱媒体の循環経路から室外機側(オイルセパレータ)へと冷凍機油が適正に戻されている場合、オイルセパレータから冷凍機油が戻された後の圧縮機の吸入側の循環経路における温度は、オイルセパレータから冷凍機油が戻される前の圧縮機の吸入側の循環経路における温度よりも十分に高くなる。しかしながら、例えば膨張弁を絞った状態のまま長期間に亘って停止状態にある室内機が存在する場合等において、室内機及び/又は熱媒体の循環経路に冷凍機油が滞留し、室外機側における冷凍機油の不足が発生する場合がある。このような場合、圧縮機の吸入側の循環経路においてオイルセパレータから冷凍機油が戻される前後での温度差は小さくなる。
そこで、当該技術分野においては、上記温度差が小さい場合に、或いは所定の期間(例えば、10時間)が経過する毎に、所謂「油戻し運転」を行うことが知られている。この「油戻し運転」とは、全ての室内機の膨張弁を通常運転時よりも大きく開いた状態において熱媒体を循環させ、液体としての熱媒体と共に冷凍機油を室外機側へ戻す運転を指す。
上記のような油戻し運転を実施してもなお、何れかの圧縮機における冷凍機油の不足が解消されず、複数の稼働圧縮機の間における熱媒体の過熱の度合いの差に対応する値である不均衡過熱指標値が所定の閾値よりも大きい状態が継続する場合に、上述した各実施形態及び各実施例を始めとする本発明に係るヒートポンプの制御方法を実施するようにしてもよい。或いは、本発明に係るヒートポンプの制御方法とは独立に、油戻し運転を実施してもよい。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び実施例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
100…空気調和装置、110…ヒートポンプ用電子制御装置(HP−ECU)、200…室外機、210…圧縮系統、211及び212…圧縮機、213…吸入ヘッダ、214…吐出ヘッダ、221…バッファ、222、223及び224…ストレーナ、225…フィルタドライヤ、230…オイルセパレータ、240…四方弁、250…熱交換器(室外機)、251…電子膨張弁、260…アキュムレータ、270…オイルバイパス調整弁、281…高圧スイッチ(SW)、282…高圧センサ、283…室外温度センサ、284…室内温度センサ、290…ホットガスバイパス弁、291及び292…容量制御弁、291p及び292p…バイパス経路、300…室内機、310…電子膨張弁、320…熱交換器(室内機)、400…エンジン、410…エンジン用電子制御装置(ENG−ECU)、並びに501及び502…温度センサ。

Claims (6)

  1. 熱媒体の循環経路と、前記循環経路の途中に配設された圧縮系統、凝縮器、膨張弁及び蒸発器と、負荷に応じて前記圧縮機の運転状態を制御する制御装置と、を備え、且つ、前記圧縮系統は、並列に配設された複数の圧縮機、前記循環経路から前記複数の圧縮機へと吸入される前記熱媒体が流れる経路である吸入配管及び前記複数の圧縮機から吐出される前記熱媒体が前記循環経路へと流れる経路である吐出配管を含む、ヒートポンプの制御方法であって、
    前記ヒートポンプは、前記複数の圧縮機の各々から吐出される前記熱媒体の温度と相関を有する値である検出吐出温度をそれぞれ検出する温度センサを更に備え、
    前記制御装置は、前記複数の圧縮機のうちの稼働している圧縮機である稼働圧縮機が2台以上存在する状態において、前記検出吐出温度に基づいて導かれる前記熱媒体の過熱の度合いに対応する値である過熱度が最も高い前記稼働圧縮機である第1圧縮機の前記過熱度である第1過熱度と、前記過熱度が最も低い前記稼働圧縮機である第2圧縮機の前記過熱度である第2過熱度と、に基づいて、前記第1圧縮機と前記第2圧縮機との間における前記熱媒体の過熱の度合いの差に対応する値である不均衡過熱指標値が所定の閾値よりも大きい状態である不均衡過熱状態が所定の期間以上に亘って継続したと判定される場合は、前記複数の圧縮機からの前記熱媒体の吐出量の合計である総吐出量に占める前記第1圧縮機からの前記熱媒体の吐出量である第1吐出量の割合を増大させる、
    ヒートポンプの制御方法。
  2. 請求項1に記載のヒートポンプの制御方法であって、
    前記制御装置は、
    前記検出吐出温度を前記過熱度として使用し、
    前記第1過熱度と前記第2過熱度との差を前記不均衡過熱指標値として算出する、
    ヒートポンプの制御方法。
  3. 請求項1に記載のヒートポンプの制御方法であって、
    前記ヒートポンプは、前記複数の圧縮機の各々から吐出される前記熱媒体の圧力と相関を有する値である検出吐出圧力をそれぞれ検出する圧力センサを更に備え、
    前記制御装置は、
    前記検出吐出圧力における前記熱媒体の飽和蒸気温度を前記検出吐出温度から減算することによって得られる吐出過熱度を前記過熱度として使用し、
    前記第1過熱度と前記第2過熱度との差を前記不均衡過熱指標値として算出する、
    ヒートポンプの制御方法。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のヒートポンプの制御方法であって、
    前記制御装置は、前記不均衡過熱状態が前記所定の期間以上に亘って継続したと判定されるとき、
    前記第1圧縮機の内部において前記熱媒体が流れる経路である第1経路の部分領域である第1下流領域から前記第1経路の部分領域であって前記第1下流領域よりも上流側に位置する部分領域又は前記第1経路よりも上流側に位置する吸入配管の内部領域の部分領域である第1上流領域へと前記熱媒体を戻す経路である第1バイパス経路と前記第1バイパス経路に介装された容量制御弁である第1弁とを前記第1圧縮機が備えており且つ前記第1弁の開度が最小開度よりも大きい場合は前記第1弁の開度を減少させる処理である閉弁処理、及び
    前記第1圧縮機以外の前記稼働圧縮機である第3圧縮機が前記第3圧縮機の内部において前記熱媒体が流れる経路である第3経路の部分領域である第3下流領域から前記第3経路の部分領域であって前記第3下流領域よりも上流側に位置する部分領域又は前記第3経路よりも上流側に位置する吸入配管の内部領域の部分領域である第3上流領域へと前記熱媒体を戻す経路である第3バイパス経路と前記第3バイパス経路に介装された容量制御弁である第3弁とを備えており且つ前記第3弁の開度が最大開度よりも小さい場合は前記第3弁の開度を増大させる処理である開弁処理、
    の何れか一方又は両方を実行する、
    ヒートポンプの制御方法。
  5. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のヒートポンプの制御方法であって、
    前記制御装置は、前記不均衡過熱状態が前記所定の期間以上に亘って継続したと判定されるとき、
    前記第1圧縮機以外の前記稼働圧縮機とは独立に回転速度を変更可能に前記第1圧縮機が構成されており且つ前記第1圧縮機の前記回転速度が最大速度よりも小さい場合に前記第1圧縮機の回転速度を増大させる処理である加速処理、及び
    前記第1圧縮機以外の前記稼働圧縮機である第3圧縮機が前記第3圧縮機以外の前記稼働圧縮機とは独立に回転速度を変更可能に構成されており且つ前記第3圧縮機の前記回転速度が最小速度よりも大きい場合に前記第3圧縮機の回転速度を減少させるか又は前記第3圧縮機を停止させる処理、或いは、前記第3圧縮機以外の前記稼働圧縮機とは独立に回転速度を変更可能に前記第3圧縮機が構成されており且つ前記第3圧縮機の回転速度が前記最小速度である場合に前記第3圧縮機を停止させる処理である減速処理、
    の何れか一方又は両方を実行する、
    ヒートポンプの制御方法。
  6. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のヒートポンプの制御方法であって、
    前記制御装置は、前記不均衡過熱状態が前記所定の期間以上に亘って継続したと判定されるとき、
    前記第1圧縮機以外の前記稼働圧縮機である第3圧縮機が駆動源からの駆動力が前記第3圧縮機に伝達されている状態である伝達状態と前記駆動源からの前記駆動力が前記第3圧縮機に伝達されていない状態である遮断状態との間において前記第3圧縮機の駆動状態を切り替える機構である第3クラッチを備えている場合に前記第3クラッチを用いて前記第3圧縮機の前記駆動状態を前記遮断状態へと切り替える処理である遮断処理、
    を実行する、
    ヒートポンプの制御方法。
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