JP2019043541A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Hiroyuki Nakayama
裕之 仲山
亮太 池田
Ryota Ikeda
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Abstract

【課題】ウェット性能を維持しつつ四輪自動車の旋回性能を向上させるのに役立つ空気入りラジアルタイヤを提供する。【解決手段】ラジアル構造のカーカスと、ベルト層と、トレッド部とを含む乗用車用の空気入りラジアルタイヤである。トレッド部2は、外側ショルダー陸部16と、内側ショルダー陸部17と、外側ミドル陸部18と、内側ミドル陸部19とを含む。外側ショルダー陸部16には、複数の外側ショルダーラグ溝21が設けられている。内側ショルダー陸部17には、複数の内側ショルダーラグ溝22が設けられている。内側ショルダーラグ溝22の本数は、外側ショルダーラグ溝21の本数よりも大である。外側ミドル陸部18及び内側ミドル陸部19には、それぞれ、内側トレッド端Ti側のエッジから外側トレッド端To側にのび、かつ、陸部内で途切れる複数のミドルサイプ23が設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、乗用車用の空気入りラジアルタイヤに関し、詳しくは、ウェット性能を維持しつつ四輪自動車の旋回性能を向上させるのに役立つ空気入りラジアルタイヤに関する。
図15には、前輪に操舵機構を有する一般的な四輪自動車の旋回動作の時系列的な変化を示す。先ず、状態Aのように、直進走行中にドライバーによってハンドルが操作されると、前輪のタイヤbにスリップ角が与えられ、前輪のタイヤbがコーナリングフォースを発生する(状態B)。ここで、「スリップ角」は、車体cの進行方向とタイヤbとのなす角度である。また、「コーナリングフォース」は、四輪自動車aが旋回する時にタイヤbの接地面に発生する摩擦力のうち、進行方向に対して横向きに作用する力の成分であり、特にスリップ角が1度のときのコーナリングフォースをコーナリングパワーと呼ぶ場合がある。
前輪のタイヤbで生じたコーナリングフォースは、ヨーを伴った車体cの旋回運動をもたらす。この旋回運動は、後輪のタイヤbにスリップ角を与えるので、後輪のタイヤbもコーナリングフォースを発生する(状態C)。そして、車両の重心点CG回りに関し、前輪タイヤbのコーナリングフォースに基づくモーメントと、後輪タイヤbのコーナリングフォースに基づくモーメントとが実質的に釣り合った場合(状態D)、車体cは、ヨー加速度がほぼゼロで斜めに移動する定常状態(以下、このような走行状態を「公転走行状態」と呼ぶ場合がある)となる。
発明者らは、四輪自動車の旋回性能の向上のためには、旋回操舵後に、車体をできるだけ早く公転走行状態へと移行させることが重要であるとの認識の下で、タイヤに関して、種々の研究を重ねた。
一般に、タイヤが車両に装着された状態において、タイヤが発生するコーナリングパワーは、等価コーナリングパワー(以下、「等価CP」)と呼ばれる。この等価CPは、台上試験等で計測されたタイヤ単体のコーナリングパワー(以下、「台上CP」という。)と、下記の式(1)の関係がある。
等価CP = 台上CP × CP増幅率 …(1)
等価CPは、いわゆるロールステア、コンプライアンスステア等の影響を含めたコーナリングパワーであり、車両のロール特性及びサスペンション特性等をタイヤに取り込んだと仮定した場合のコーナリングパワーである。これらの特性は、CP増幅率で代表される。
図16は、一般的な空気入りラジアルタイヤの台上CPとそれに作用する荷重との関係を示すグラフである。通常、台上CPは、荷重の増加とともに増加してピークを迎えた後、徐々に減少することがわかる。また、このグラフには、旋回中のFFの四輪自動車に装着されたタイヤの大凡の荷重域も示されている。先ず、FFの四輪自動車では、前輪タイヤは、後輪タイヤよりも大きな荷重が作用する傾向がある。また、前輪及び後輪それぞれにおいて、旋回外側のタイヤには、旋回内側のタイヤよりも大きな荷重が作用する傾向がある。そのため、前輪側のタイヤと後輪側のタイヤとの間には、旋回時に生じる平均的な台上CPの値Ff及びFrに関し、比較的大きな差が生じる。
各タイヤへの上述の荷重分布を前提とした場合、車両の旋回動作中に、できるだけ早く公転走行状態に移行させて旋回性能を向上させるためには、前輪のタイヤの等価CPを相対的に下げる一方、後輪のタイヤの等価CPを相対的に高めること、即ち、両者の等価CPを近づけるか、又は、これらが早期に近づくように改善することが有効と考えられる。
発明者らは、前輪のタイヤの等価CPを相対的に下げるために、これまであまり着目されていなかったセルフアライニングトルク(以下、単に「SAT」ということがある。)に着目した。
ここで、SATについて、簡単に述べる。図17には、進行方向Yに対してスリップ角αで旋回中のタイヤbの接地面を、路面側から見た図が示されている。図17に示されるように、接地面Pのトレッドゴムは弾性変形し、横方向のCFが発生する。CFの作用点G(ハッチングされた接地面の図心に相当)が、タイヤの接地面中心Pcよりも後方にある場合、タイヤには、その接地面中心Pcの回りに、スリップ角αを小さくする方向のモーメントであるSATが働く。つまり、SATは、タイヤの接地面中心Pcの回りにスリップ角を小さくする方向に働く。なお、接地面中心PcとCFの作用点Gとの進行方向Yに沿った距離NTは、ニューマチックトレールと定義される。
また、発明者らの種々の実験の結果、上記式(1)のCP増幅率は、SATの逆数にほぼ比例することが判明している。このため、SATの大きいタイヤは、結果的に、等価CPを相対的に下げることになる。
一方、後輪は、操舵機構がなく、SATの影響がないので、タイヤとして、台上CPそのものを高めることで、その等価CPを高めることができる。
以上から明らかなように、四輪自動車、とりわけ前輪により多くの荷重が作用するFFの四輪自動車おいて、旋回走行中に、速やかに公転走行状態に移行させるために、タイヤには、大きなSATを発生させる特性が求められる。
発明者らは、SATとタイヤのトレッドパターンとの関係に関して、さらに研究したところ、ショルダー陸部及びミドル陸部に配される溝を改善することが、SATを高める上で特に有効であるとの知見を得た。
特開2012−017001号公報 特開2009−162482号公報
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、ウェット性能を維持しつつ四輪自動車の旋回性能を向上させるのに役立つ空気入りラジアルタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、ラジアル構造のカーカスと、前記カーカスの外側に配された少なくとも2枚のベルトプライからなるベルト層と、車両への装着の向きが指定されたトレッドパターンが形成されたトレッド部とを含む乗用車用の空気入りラジアルタイヤであって、前記トレッド部は、車両装着時にそれぞれ車両の外側及び車両の内側に位置する外側トレッド端及び内側トレッド端を有し、前記トレッド部は、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝によって、4本の周方向陸部に区分されており、前記周方向陸部は、前記外側トレッド端を含む外側ショルダー陸部と、前記内側トレッド端を含む内側ショルダー陸部と、前記外側ショルダー陸部に隣接する外側ミドル陸部と、前記内側ショルダー陸部に隣接する内側ミドル陸部とを含み、前記外側ショルダー陸部には、前記外側トレッド端からタイヤ軸方向内側にのび、かつ、前記外側ショルダー陸部内で途切れる複数の外側ショルダーラグ溝が設けられており、前記内側ショルダー陸部には、前記内側トレッド端からタイヤ軸方向内側にのび、かつ、前記内側ショルダー陸部内で途切れる複数の内側ショルダーラグ溝が設けられており、前記内側ショルダーラグ溝の本数は、前記外側ショルダーラグ溝の本数よりも大であり、前記外側ミドル陸部及び前記内側ミドル陸部には、それぞれ、前記内側トレッド端側のエッジから前記外側トレッド端側にのび、かつ、陸部内で途切れる複数のミドルサイプが設けられている。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記内側ショルダーラグ溝の本数は、前記外側ショルダーラグ溝の本数の1.10〜1.30倍であるのが望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記外側ショルダーラグ溝の本数は、55〜85であるのが望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ミドルサイプは、第1ミドルサイプと、前記第1ミドルサイプよりもタイヤ軸方向の長さが小さい第2ミドルサイプとを含むのが望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記第2ミドルサイプは、前記第1ミドルサイプの0.65〜0.85倍のタイヤ軸方向の長さを有する望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記内側ミドル陸部及び前記外側ミドル陸部には、それぞれ、前記第1ミドルサイプと前記第2ミドルサイプとがタイヤ周方向に交互に設けられているのが望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記内側ミドル陸部に設けられた前記ミドルサイプの本数は、前記外側ミドル陸部に設けられた前記ミドルサイプの本数よりも大であるのが望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記内側ミドル陸部に設けられた前記ミドルサイプの本数は、前記外側ミドル陸部に設けられた前記ミドルサイプの本数の1.10〜1.30倍であるのが望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記外側ショルダー陸部には、前記外側ショルダー主溝と前記複数の外側ショルダーラグ溝との間でタイヤ周方向に連続してのびる外側ショルダー細溝が設けられているのが望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記内側ショルダー陸部には、前記内側ショルダー主溝と前記複数の内側ショルダーラグ溝との間でタイヤ周方向に連続してのびる内側ショルダー細溝が設けられているのが望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記外側ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅Waは、前記内側ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅Wbよりも大きいのが望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記外側ショルダー陸部の前記幅Waは、前記内側ショルダー陸部の前記幅Wbの1.20未満であるのが望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ミドルサイプは、互いに同じ向きに凸で湾曲した第1ミドルサイプ及び第2ミドルサイプを含み、前記第1ミドルサイプの曲率半径は、前記第2ミドルサイプの曲率半径よりも小さいのが望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ミドルサイプは、少なくとも1箇所で屈曲した屈曲サイプを含むのが望ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤの外側ショルダー陸部には、外側トレッド端からタイヤ軸方向内側にのび、かつ、外側ショルダー陸部内で途切れる複数の外側ショルダーラグ溝が設けられている。内側ショルダー陸部には、内側トレッド端からタイヤ軸方向内側にのび、かつ、内側ショルダー陸部内で途切れる複数の内側ショルダーラグ溝が設けられている。内側ショルダーラグ溝の本数は、外側ショルダーラグ溝の本数よりも大である。
このようなショルダーラグ溝の配置は、ウェット性能を維持しつつ、外側ショルダー陸部のタイヤ周方向の剛性を、内側ショルダー陸部のタイヤ周方向の剛性よりも高めることができる。これにより、大きなSATが得られる。
外側ミドル陸部及び内側ミドル陸部には、それぞれ、内側トレッド端側のエッジから外側トレッド端側にのび、かつ、陸部内で途切れる複数のミドルサイプが設けられている。このようなミドルサイプは、ウェット性能を維持しつつ、各ミドル陸部の外側トレッド端側の領域の剛性を相対的に高めることができ、SATをさらに高めることができる。従って、本発明の空気入りラジアルタイヤを装着した四輪自動車は、旋回走行中、速やかに公転走行状態に移行させて優れた旋回性能を提供することができる。
本発明の空気入りラジアルタイヤの一実施形態の横断面図である。 図1のタイヤのトレッド部の展開図である。 車両が左旋回しているときの前輪タイヤに作用するSATを示す説明図である。 (a)及び(b)は、陸部の剛性の測定方法の説明図である。 図2の内側ショルダー陸部の拡大図である。 (a)は、図5のB−B線断面図であり、(c)は、図5のC−C線断面図である。 図2の外側ショルダー陸部の拡大図である。 外側ミドル陸部及び内側ミドル陸部の拡大図である。 (a)は、図8のD−D線断面図であり、(b)は、図8のE−E線断面図であり、(c)は、図8のF−F線断面図である。 本発明の他の実施形態のタイヤの外側ミドル陸部及び内側ミドル陸部の拡大図が示されている。 本発明の他の実施形態のトレッド部の展開図である。 本発明の他の実施形態のトレッド部の展開図である。 本発明の他の実施形態のトレッド部の展開図である。 比較例のタイヤのトレッド部の展開図である。 四輪乗用車の旋回動作を示す説明図である。 一般的な空気入りラジアルタイヤの台上CPとそれに作用する荷重との関係を示すグラフである。 車両の旋回時の前輪のタイヤの接地面を示す説明図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1(以下、単に「タイヤ」ということがある。)のタイヤ回転軸を含む横断面図である。図2は、図1のタイヤ1のトレッド部2の展開図である。図1は、図2のA−A線断面図に相当する。本実施形態のタイヤ1は、乗用車用の空気入りラジアルタイヤとして構成されている。本実施形態のタイヤ1は、静止状態において、前輪に作用する垂直荷重が後輪に作用する垂直荷重よりも大きい乗用車用として好適であり、とりわけFFの乗用車用として好適に用いられる。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、ラジアル構造のカーカス6及びベルト層7を具えている。
カーカス6は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る。カーカス6は、例えば、1枚のカーカスプライ6Aで形成されている。カーカスプライ6Aは、例えば、タイヤ周方向に対して75〜90度の角度で傾けて配列された有機繊維からなるカーカスコードで構成されている。
ベルト層7は、少なくとも2枚のベルトプライ7A、7Bで構成されている。ベルトプライ7A、7Bは、例えば、タイヤ周方向に対して10〜45度の角度で配列されたスチールコードで構成されている。ベルトプライ7Aは、例えば、隣り合うベルトプライ7Bのスチールコードと逆向きに傾斜するスチールコードで構成されている。ベルト層7の外側に、バンド層等のさらなる補強層が配されても良い。
図2に示されるように、トレッド部2には、車両への装着の向きが指定されたトレッドパターンが形成されている。トレッド部2のトレッドパターンは、タイヤ赤道Cに関して、非対称形状で形成されている。タイヤ1の車両への装着の向きは、例えば、サイドウォール部3等に、文字又は記号で表示される。
トレッド部2は、外側トレッド端To及び内側トレッド端Tiを有している。外側トレッド端Toは、車両装着時に車両の外側(図2では右側)に位置する。内側トレッド端Tiは、車両装着時に車両の内側(図2では左側)に位置する。
各トレッド端To、Tiは、正規状態のタイヤ1に正規荷重が負荷されキャンバー角0°で平面に接地したときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。正規状態とは、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法等は、前記正規状態で測定された値である。正規状態において、外側トレッド端Toと内側トレッド端Tiとの間のタイヤ軸方向の距離は、トレッド幅TWと定義される。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、JATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば"Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば"INFLATION PRESSURE" である。
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば"LOAD CAPACITY" である。
本実施形態のトレッド部2には、タイヤ周方向に連続してのびる3本の主溝10によって、4本の周方向陸部15が区分されている。主溝10は、内側ショルダー主溝11、外側ショルダー主溝12、及び、クラウン主溝13とからなる。
内側ショルダー主溝11は、例えば、3本の主溝10の内、最も内側トレッド端Ti側に設けられている。内側ショルダー主溝11は、タイヤ赤道Cよりも内側トレッド端Ti側に設けられている。
外側ショルダー主溝12は、例えば、3本の主溝10の内、最も外側トレッド端To側に設けられている。外側ショルダー主溝12は、タイヤ赤道Cよりも外側トレッド端To側に設けられている。
クラウン主溝13は、内側ショルダー主溝11と外側ショルダー主溝12との間に設けられている。クラウン主溝10は、例えば、タイヤ赤道C上に設けられているのが望ましい。
本実施形態において、主溝10は、例えば、タイヤ周方向に沿って直線状にのびている。他の態様では、主溝10は、例えば、波状やジグザグ状にのびても良い。主溝の溝幅(内側ショルダー主溝11の溝幅W1、外側ショルダー主溝12の溝幅W2、及び、クラウン主溝13の溝幅W3)は、慣例に従って任意に定めることができる。トレッド部2のパターン剛性を維持しながら十分な排水性能を提供するために、前記各溝幅W1、W2及びW3は、例えば、トレッド幅TWの2.5%〜5.0%程度が望ましい。各主溝11乃至13の溝深さは、乗用車用ラジアルタイヤの場合、例えば、5〜10mm程度であるのが望ましい。
本実施形態のトレッド部2には、周方向陸部として、外側ショルダー陸部16と、内側ショルダー陸部17と、外側ミドル陸部18と、内側ミドル陸部19とが含まれている。外側ショルダー陸部16は、外側トレッド端Toを含み、外側ショルダー主溝12のタイヤ軸方向外側に区分されている。内側ショルダー陸部17は、内側トレッド端Tiを含み、内側ショルダー主溝11のタイヤ軸方向外側に区分されている。外側ミドル陸部18は、外側ショルダー陸部16に隣接し、外側ショルダー主溝12とクラウン主溝13との間に区分されている。内側ミドル陸部19は、内側ショルダー陸部17に隣接し、内側ショルダー主溝11とクラウン主溝13との間に区分されている。
外側ショルダー陸部16には、複数の外側ショルダーラグ溝21が設けられている。外側ショルダーラグ溝21は、外側トレッド端Toからタイヤ軸方向内側にのび、かつ、外側ショルダー陸部16内で途切れている。
内側ショルダー陸部17には、複数の内側ショルダーラグ溝22が設けられている。内側ショルダーラグ溝22は、内側トレッド端Tiからタイヤ軸方向内側にのび、かつ、内側ショルダー陸部17内で途切れている。
本発明では、内側ショルダーラグ溝22の本数N2(タイヤ1周当たりの合計本数であり、以下、同様である。)は、外側ショルダーラグ溝21の本数N1よりも大であることを特徴事項の一つとする。
外側ミドル陸部18及び内側ミドル陸部19には、それぞれ、複数のミドルサイプ23が設けられている。ミドルサイプ23は、各陸部の内側トレッド端Ti側のエッジから外側トレッド端To側にのび、かつ、各陸部内で途切れている。本発明では、各ミドル陸部18、19に上記ミドルサイプ23が設けられていることを特徴事項の一つとする。なお、本明細書において、「サイプ」とは、その本体部の幅が0.8mm以下の切れ込みである。但し、サイプの踏面側の開口部は、本体部よりも大きい幅で構成されても良い。本実施形態のミドルサイプ23のさらに詳細な構成は、後述される。
上述の通り、四輪自動車の旋回走行中、できるだけ早く車両を公転走行状態に移行させることで旋回性能を向上させるためには、大きなSATを発生させるのが有効である。発明者らは、タイヤの旋回中の接地面の圧力分布を詳細に分析したところ、ショルダー陸部16、17及びミドル陸部18、19に配される溝を改善することが、SATを高める上で特に有効であるとの知見を得た。以下、この点について、図3に示されるように、車両が左旋回している場合を例に挙げて説明する。
進行方向に対してスリップ角がついた前輪タイヤは、路面とトレッド面との摩擦によって、反時計回りに周方向陸部が変形する。スリップ角がほぼ一定となったとき、変形した各周方向陸部は、元に戻ろうとし、図中の矢印にように、時計回りに反力、即ちSATを発生する。このSAT、即ち、トレッド部の接地面中心Pcの周りの時計方向のトルクを高めるためには、SATへの寄与が高い旋回外側のタイヤ(右側のタイヤ)の外側ショルダー陸部16の接地域の後方領域X1で大きな駆動方向の力を発生させることが有効である。このような力を発生させるためには、外側ショルダー陸部16のタイヤ周方向剛性を高めることが重要となる。
他方、内側ショルダー陸部17については、SATを高めるためには、SATへの寄与が高い旋回外側のタイヤ(右側のタイヤ)の内側ショルダー陸部17の接地域の前方領域X2で大きな制動方向の力を発生させることが有効である。このような制動方向の力を発生させるためには、内側ショルダー陸部17は、外側ショルダー陸部16とは逆に、タイヤ周方向剛性を低下させ、路面に対して柔軟に追従する接地性を向上させることが有効である。
従って、本発明のように、内側ショルダーラグ溝22の本数N1が外側ショルダーラグ溝21の本数N2よりも大であるタイヤ1は、ウェット性能を維持しつつ、外側ショルダー陸部16のタイヤ周方向の剛性を、内側ショルダー陸部17のタイヤ周方向の剛性よりも高めることができる。これにより、大きなSATが得られる。
発明者らは、種々の実験の結果、さらに大きなSATを発生させるために、各ミドル陸部18、19についても、外側トレッド端To側の領域の剛性を相対的に高めることで、上記とほぼ同様のメカニズムでSATを増加させることを知見した。上述のミドルサイプ23は、ウェット性能を維持しつつ、各ミドル陸部18、19の外側トレッド端To側の領域の剛性を相対的に高めることができ、SATをさらに高めることができる。従って、本発明の空気入りラジアルタイヤを装着した四輪自動車は、旋回走行中、速やかに公転走行状態に移行させて優れた旋回性能を提供することができる。
また、空気入りラジアルタイヤは、ショルダー陸部16、17において、タイヤ軸方向外側に向かって外径が徐々に小さくなる。このため、前輪の旋回外側のタイヤにおいて、外側ショルダー陸部16は、タイヤのコーナリングフォースとは逆向きの力であるキャンバースラストを発生させる。内側ショルダー陸部17は、タイヤのコーナリングフォースと同じ向きのキャンバースラストを発生させる。このため、外側ショルダー陸部16は、タイヤ軸方向剛性に関して、内側ショルダー陸部17よりも大きく構成されているのが望ましい。これにより、外側ショルダー陸部16は、内側ショルダー陸部17よりも大きなキャンバースラストを発生させる。従って、外側ショルダー陸部16が発生するキャンバースラストは、前輪のタイヤのコーナリングフォースを減じるのに役立ち、ひいては旋回走行中の車両をさらに速やかに公転走行状態に移行させることができる。
好ましい態様では、SATをより大きく発生させながら偏摩耗の発生を防止するために、タイヤ周方向剛性に関し、外側ショルダー陸部16は、内側ショルダー陸部17の1.05〜1.40倍の剛性比σ1を有するのが望ましい。同様に、タイヤ軸方向剛性に関し、外側ショルダー陸部16は、内側ショルダー陸部17の1.05〜1.40倍の剛性比σ2を有するのが望ましい。
各陸部16、17のタイヤ周方向剛性及びタイヤ軸方向剛性は、それぞれの方向に単位変形量を生じさせるのに必要な力で示される。具体的な測定方法としては、以下のものが挙げられる。図4(a)には、陸部の例として、ラグ溝が設けられた陸部aを示す。図4(a)に示されるように、タイヤ1から測定対象の陸部aが2ピッチ以上のタイヤ周方向長さで切り出される。この際、主溝bの溝底cを通ってトレッド部の接地面と平行な面PS1、及び、トレッド端Teを通ってタイヤ半径方向に沿ってのびる面PS2で陸部試験片TPが切り出される(図4(b)に示す)。次に、この陸部試験片TPの接地面を平坦な試験面に例えば正規荷重で押し付けて接地状態を維持する。次に、試験面を、タイヤ周方向Y又はタイヤ軸方向Xに力Fで移動させ、各方向X又はYの陸部の変位が測定される。そして、前記力Fを陸部試験片TPの各方向の変位量でそれぞれ除して、各方向Y及びXの陸部剛性を求める。
好ましい態様では、タイヤ1は、例えば、台上試験(例えば、フラットベルト式のタイヤ試験機を用いた試験である。)において、下記の走行条件において、下記式(1)を満足するのが望ましい。
装着リム:正規リム
タイヤ内圧:正規内圧
タイヤに負荷する荷重:正規荷重の70%
速度:10km/h
スリップ角:0.7度
キャンバー角:−(マイナス)1.0度
SAT ≧ 0.18×L×CF …(1)
ここで、"SAT"はセルフアライニングトルク(N・m)、"L"はトレッド部のタイヤ周方向の接地最大長(m)、"CF"は、コーナリングフォース(N)である。また、キャンバー角の"マイナス"は、タイヤの上部が車両の中心側に向くような傾きを意味する。
上記測定条件は、四輪自動車で頻繁に発生する傾向がある旋回状態(横加速度0.2G程度)における前輪の状況に基づいている。発明者らは、四輪自動車に各種のセンサーを搭載して、上記旋回状態でのタイヤの状況(荷重、キャンバー角、スリップ角、及び、角度)を測定し、これを台上試験で近似させるものとして、上記走行条件を得た。従って、上記式(1)を満たすタイヤ1は、通常の旋回状態においてSATを確実かつ十分に大きく発生させることができる。即ち、旋回走行中の車両を、より速やかに公転走行状態に移行させることができる。
以下、上述の効果をさらに発揮させ得る本実施形態の具体的な構成が説明される。
[内側ショルダー陸部の構成]
図5には、内側ショルダー陸部17の拡大図が示されている。図5に示されるように、内側ショルダー陸部17は、例えば、トレッド幅TWの0.25〜0.35倍のタイヤ軸方向の幅W4を有している。
内側ショルダーラグ溝22は、例えば、タイヤ軸方向に対して0〜20度の角度θ1で配されているのが望ましい。本実施形態の内側ショルダーラグ溝22の角度θ1は、例えば、タイヤ軸方向内側に向かって漸増しているのが望ましい。
内側ショルダーラグ溝22のタイヤ軸方向の長さL1は、例えば、内側ショルダー陸部17のタイヤ軸方向の幅W4の0.55〜0.70倍であるのが望ましい。内側ショルダーラグ溝22の溝幅W5は、例えば、トレッド幅TWの0.4%〜0.8%であるのが望ましい。内側ショルダーラグ溝22の溝深さは、例えば、内側ショルダー主溝11の溝深さの0.50〜0.60倍であるのが望ましい。内側ショルダーラグ溝22が上述の様に規定された場合、内側ショルダー陸部17のタイヤ周方向剛性及びタイヤ軸方向剛性が、さらに好ましい範囲で低下し、ひいては優れたウェット性能及び旋回性能が得られる。
ウェット性能と旋回性能とをバランス良く高めるために、内側ショルダーラグ溝22の本数N2は、外側ショルダーラグ溝21の本数N1の好ましくは1.10倍以上、より好ましくは1.15倍以上であり、好ましくは1.30倍以下、より好ましくは1.25倍以下である。
内側ショルダー陸部17は、タイヤ周方向で隣り合う内側ショルダーラグ溝22間に区分された内側ショルダーブロック片26を含んでいる。内側ショルダーブロック片26は、タイヤ周方向長さSbiを有している。本実施形態の内側ショルダーブロック片26のタイヤ周方向長さSbiは、例えば、内側ショルダー陸部17のタイヤ1周長さの0.9%〜1.2%であるのが望ましい。
本実施形態の内側ショルダー陸部17には、さらに、内側ショルダー細溝27と、内側接続サイプ28と、内側ショルダーサイプ29とが設けられている。内側ショルダーサイプ29は、例えば、幅が拡大した開口部を含んでおらず、サイプ全体において幅が0.8mm以下であるのが望ましい。
内側ショルダー細溝27は、例えば、内側ショルダーラグ溝22と内側ショルダー主溝11との間で、タイヤ周方向に連続してのびている。本実施形態の内側ショルダー細溝27は、例えば、タイヤ周方向に沿って直線状にのびている。但し、このような態様に限定されず、内側ショルダー細溝27は、例えば、ジグザグ状にのびるものでも良い。このような内側ショルダー細溝27は、ウェット性能を高めるとともに、内側ショルダー陸部17の剛性を緩和し、ひいてはSATを高めることができる。
内側ショルダー細溝27の溝幅W6は、例えば、トレッド幅TWの1.0%〜2.0%であるのが望ましい。内側ショルダー細溝27の溝深さは、例えば、内側ショルダー主溝11の溝深さの好ましくは0.40〜0.60倍であり、より好ましくは0.47〜0.52倍である。
内側ショルダー細溝27と内側ショルダー主溝11との間には、内側細リブ部30が形成されている。本実施形態の内側細リブ部30には、サイプのみが設けられ、排水用の横溝が設けられていない。内側細リブ部30のタイヤ軸方向の幅W7は、例えば、内側ショルダー陸部17の幅W4の0.10〜0.20倍であるのが望ましい。
内側接続サイプ28は、例えば、内側ショルダーラグ溝22の内端から内側ショルダー細溝27を横切って内側ショルダー主溝11までのびている。このような内側接続サイプ28は、そのエッジによってウェット走行時の摩擦力を高めることができる。
図6(a)には、図5の内側接続サイプ28の長さ方向に沿ったB−B線断面図が示されている。図6(a)に示されるように、内側接続サイプ28は、内側ショルダー主溝11側の第1部分28aと、第1部分28aの内側トレッド端Ti側で底面が***した第2部分28bとを含んでいる。これにより、内側ショルダー陸部17の過度な剛性低下が抑制される。
図5に示されるように、内側ショルダーサイプ29は、例えば、タイヤ周方向に互いに隣り合う内側ショルダーラグ溝22の間に設けられている。内側ショルダーサイプ29は、例えば、内側ショルダーラグ溝22と略平行にのびている。本実施形態の内側ショルダーサイプ29は、例えば、両端が内側ショルダー陸部17内で途切れている。このような内側ショルダーサイプ29は、ウェット性能を高め、かつ、内側ショルダー陸部17のタイヤ周方向の剛性を適度に緩和し、ひいてはSATを高めるのに役立つ。
図6(b)には、図5の内側ショルダーサイプ29の長さ方向に沿ったC−C線断面図が示されている。図6(b)に示されるように、内側ショルダーサイプ29は、例えば、底面が部分的に***した***部29aを有している。このような***部29aは、内側ショルダーサイプ29の開くのを抑制し、そのエッジ効果を高めることができる。
図5に示されるように、内側ショルダー陸部17は、例えば、75〜85%のランド比を有しているのが望ましい。本明細書において、「ランド比」とは、対象となる陸部に設けられた溝を全て埋めた仮想接地面の全面積Saに対する、実際の陸部の合計接地面積Sbの比Sb/Saとして定義される。
[外側ショルダー陸部の構成]
図7には、外側ショルダー陸部16の拡大図が示されている。図7に示されるように、外側ショルダー陸部16は、例えば、トレッド幅TWの0.25〜0.35倍のタイヤ軸方向の幅W8を有している。望ましい態様として、本実施形態の外側ショルダー陸部16は、内側ショルダー陸部17(図5に示す)と同一の幅で構成されている。
外側ショルダーラグ溝21は、例えば、タイヤ軸方向に対して0〜20度の角度θ2で配されているのが望ましい。前記角度θ2は、例えば、タイヤ軸方向内側に向かって漸増しているのが望ましい。
外側ショルダーラグ溝21のタイヤ軸方向の長さL2は、例えば、外側ショルダー陸部16のタイヤ軸方向の幅W8の0.55〜0.70倍であるのが望ましい。外側ショルダーラグ溝21の溝幅W9は、例えば、トレッド幅TWの0.4%〜0.8%であるのが望ましい。外側ショルダーラグ溝21の溝深さは、例えば、外側ショルダー主溝12の溝深さの0.50〜0.60倍であるのが望ましい。
ウェット性能を維持しつつSATを高めるために、外側ショルダーラグ溝21の本数N1は、例えば、55〜85が望ましく、より望ましくは60〜70である。
外側ショルダー陸部16は、タイヤ周方向で隣り合う内側ショルダーラグ溝22間に区分された外側ショルダーブロック片32を含んでいる。外側ショルダーブロック片32は、タイヤ周方向長さSboを有している。好ましい態様では、内側ショルダーブロック片26と外側ショルダーブロック片32とのタイヤ周方向長さの比Sbi/Sboは、例えば、0.85〜0.95の範囲とされる。これにより、高いSATが得られ、ひいては優れた旋回性能が得られる。
本実施形態の外側ショルダー陸部16には、さらに、外側ショルダー細溝33と、外側接続サイプ34と、外側ショルダーサイプ35とが設けられている。望ましい態様では、外側ショルダー細溝33、外側接続サイプ34及び外側ショルダーサイプ35は、それぞれ、上述した内側ショルダー細溝27、内側接続サイプ28及び内側ショルダーサイプ29と同様の構成が適用される。
SATをさらに高めるために、外側ショルダー陸部16は、例えば、内側ショルダー陸部17よりも大きいランド比を有するのが望ましい。外側ショルダー陸部16のランド比は、例えば、内側ショルダー陸部17のランド比の1.05〜1.10倍の範囲にあるのが望ましい。
[内側ミドル陸部及び外側ミドル陸部の構成]
図8には、外側ミドル陸部18及び内側ミドル陸部19の拡大図が示されている。図8に示されるように、各ミドル陸部18、19は、例えば、トレッド幅TWの0.10〜0.20倍のタイヤ軸方向の幅W10を有する。本実施形態では、外側ミドル陸部18と内側ミドル陸部19とが同じ幅を有している。
各ミドル陸部18、19には、上述の通り、ミドルサイプ23が設けられている。なお、本明細書では、ミドルサイプ23について、内側ミドル陸部19に設けられたものを内側ミドルサイプ23A、外側ミドル陸部18に設けられたものを外側ミドルサイプ23Bと表す場合がある。
各ミドルサイプ23は、例えば、ミドル陸部18、19の幅方向の中心位置よりも外側トレッド端To側で途切れているのが望ましい。これにより、ミドルサイプ23の長さが確保され、ウェット性能を効果的に維持することができる。
ミドルサイプ23は、例えば、第1ミドルサイプ24と、第1ミドルサイプ24よりもタイヤ軸方向の長さが小さい第2ミドルサイプ25とを含むのが望ましい。本実施形態では、第1ミドルサイプ24のタイヤ軸方向の長さL3は、例えば、ミドル陸部のタイヤ軸方向の幅W10の0.85〜0.95倍であるのが望ましい。第2ミドルサイプ25のタイヤ軸方向の長さL4は、第1ミドルサイプ24の前記長さL3の好ましくは0.65〜0.85倍であり、より好ましくは0.75〜0.80倍である。このような第1ミドルサイプ24及び第2ミドルサイプ25は、ウェット性能と旋回性能とをバランス良く高めることができる。
各ミドル陸部18、19において、第1ミドルサイプ24と第2ミドルサイプ25とは、タイヤ周方向に交互に設けられているのが望ましい。
ミドルサイプ23は、例えば、タイヤ軸方向に対して0〜20°の角度θ3で配されているのが望ましい。さらに望ましい態様では、ミドルサイプ23の角度θ3は、例えば、外側トレッド端To側に向かって漸減している。
図9(a)には、図8のミドルサイプ23の長さ方向と直交するD−D線断面図が示されている。図9(a)に示されるように、ミドルサイプ23は、例えば、踏面側で開口する開口部37と、開口部37のタイヤ半径方向内側に設けられた本体部38とを含んでいる。開口部37の踏面上での幅W11は、例えば、1.0〜2.5mmであるのが望ましい。本体部38は、例えば、0.8mm以下の幅W12を有している。このようなミドルサイプ23は、ミドル陸部18、19の過度な剛性低下を抑制しつつ、ウェット性能を高めることができる。
同様の観点から、ミドルサイプ23の深さd1は、例えば、クラウン主溝13の溝深さの0.50〜0.60倍であるのが望ましい。
図9(b)には、図8の第1ミドルサイプ24の長さ方向に沿ったE−E線断面図が示されている。図9(b)に示されるように、第1ミドルサイプ24は、略一定の深さを有する第1部分24aと、第1部分24aから内側トレッド端Ti側に向かって深さが漸減する第2部分24bとを含んでいる。また、第1部分24aと第2部分24bとの境界は、ミドル陸部の幅方向の中心位置よりも内側トレッド端Ti側に位置しているのが望ましい。このような第1ミドルサイプ24は、ウェット走行時に過度に開くのが抑制されるため、エッジによって高い摩擦力を提供することができる。
特に好ましい態様として、第1ミドルサイプ24の外端24oは、開口部37のみで形成される。即ち、第1ミドルサイプ24の本体部38は、内側トレッド端Ti側に向かって深さを漸減させながら、主溝に連通することなく、その手前で終端しているのが望ましい。このような第1ミドルサイプ24は、ミドル陸部の剛性を維持し、その偏摩耗を抑制することができる。
図9(c)には、図8の第2ミドルサイプ25の長さ方向に沿ったF−F線断面図が示されている。図9(c)に示されるように、第2ミドルサイプ25は、略一定の深さでタイヤ軸方向にのびる底面を有している。
特に好ましい態様として、第2ミドルサイプ25の外端25oは、開口部37のみで形成される。即ち、第2ミドルサイプ25の本体部38は、主溝に連通することなく、その手前で終端しているのが望ましい。これにより、第2ミドルサイプ25の外端25o付近の剛性を維持し、ひいてはミドル陸部18、19の内側トレッド端Ti側の偏摩耗を抑制することができる。
図8に示されるように、外側ミドルサイプ23Bの本数N3は、例えば、55〜85であるのが望ましい。内側ミドルサイプ23Aの本数N4は、外側ミドルサイプ23Bの本数N3よりも大であるのが望ましい。具体的には、内側ミドルサイプ23Aの本数N4は、外側ミドルサイプ23Bの本数N3の1.10〜1.30倍であるのが望ましい。このようなミドルサイプ23の配置は、ウェット性能を維持しつつSATを高めることができる。
外側ミドル陸部18は、タイヤ周方向で隣り合う外側ミドルサイプ23Bの間に区分された外側ミドルブロック片39を含んでいる。内側ミドル陸部19は、タイヤ周方向で隣り合う内側ミドルサイプ23Aの間に区分された内側ミドルブロック片40を含んでいる。
内側ミドルブロック片40のタイヤ周方向長さMbiは、外側ミドルブロック片39のタイヤ周方向長さMboよりも小さいのが望ましい。具体的には、内側ミドルブロック片40と外側ミドルブロック片39とのタイヤ周方向長さの比Mbi/Mboは、0.85〜0.95の範囲とされるのが望ましい。内側ミドル陸部19と外側ミドル陸部18との剛性バランスがさらに高められる。
同様の観点から、内側ミドル陸部19は、例えば、外側ミドル陸部18よりも小さいランド比を有しているのが望ましい。
図1に示されるように、正規状態において、トレッドプロファイルの最もタイヤ半径方向外側の位置からトレッド端までのタイヤ半径方向のキャンバー量C1は、トレッド幅TWの6%〜8%であるのが望ましい。このようなタイヤは、上述したトレッドパターンによって、さらに大きなSATを発揮することができる。
[他の実施形態]
図10には、本発明の他の実施形態のタイヤ1の内側ミドル陸部19及び外側ミドル陸部18の拡大図が示されている。図11乃至図13には、本発明の他の実施形態のタイヤ1のトレッド部2の拡大図が示されている。図10乃至図13において、上述の実施形態と共通する要素には、同一の符号が付されており、ここでの説明は省略されている。
図10に示される実施形態では、ミドル陸部18、19を完全に横切る貫通サイプ41が設けられている。貫通サイプ41は、例えば、第1ミドルサイプ24及び第2ミドルサイプ25からなる複数のサイプ対42の間に設けられている。貫通サイプ41は、例えば、ミドルサイプ23に沿ってのびている。また、貫通サイプ41は、例えば、幅が拡大した開口部を含んでおらず、サイプ全体において幅が0.8mm以下であるのが望ましい。このような貫通サイプ41は、そのエッジによってウェット走行時に大きな摩擦力を提供することができる。
図11に示される実施形態では、外側ショルダー陸部16のタイヤ軸方向の幅Waは、内側ショルダー陸部17のタイヤ軸方向の幅Wbよりも大きい。より望ましい態様では、外側ショルダー陸部16の前記幅Waは、内側ショルダー陸部17の前記幅Wbの1.20未満である。このような外側ショルダー陸部16は、SATをさらに高めることができ、優れた旋回性能を発揮できる。
図12に示される実施形態では、外側ミドル陸部18及び内側ミドル陸部19に、互いに同じ向きに凸で湾曲する第1ミドルサイプ24及び第2ミドルサイプ25が設けられている。また、第1ミドルサイプ24の曲率半径は、第2ミドルサイプ25の曲率半径よりも小さい。このようなミドルサイプの配置は、多方向に摩擦力を高め、優れたウェット性能が得られる。
この実施形態において、ミドルサイプ23のタイヤ軸方向に対する角度は、例えば、35〜55°であるのが望ましい。
図13に示される実施形態において、ミドルサイプ23は、少なくとも1箇所で屈曲した屈曲サイプ43を含む。この実施形態では、内側ミドル陸部19に配された第1ミドルサイプ24が、屈曲サイプ43として構成されている。このような屈曲サイプ43は、多方向に摩擦力を提供しつつ、互いに向き合うサイプ壁が接触したときに陸部の剛性を高め、ひいては優れた操縦安定性を発揮することができる。
本実施形態の屈曲サイプ43は、例えば、第2ミドルサイプ25に沿って延びる第1部分44と、第1部分44のクラウン主溝10側に連なり、タイヤ軸方向に対して第1部分44よりも大きい角度で傾斜する第2部分45とを含む。このような屈曲サイプ43は、ウェット路面での旋回性能を高めるのに役立つ。
以上、本発明の一実施形態の空気入りラジアルタイヤが詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施され得る。
図2の基本パターンを有するサイズ185/65R15のタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。比較例として、図11に示されるように、外側ショルダーラグ溝及び内側ショルダーラグ溝が同じ本数で配され、かつ、各ミドル陸部に、ショルダー主溝からタイヤ赤道側にのびかつミドル陸部内で途切れるラグ溝が配されたタイヤが試作された。各テストタイヤについて、各種の試験が行われた。
<旋回性能及び操縦安定性>
排気量2000ccのFF乗用車の四輪に、下記の条件でテストタイヤが装着され、ドライバー1名乗車で、ドライ路面上を旋回走行させ、そのときの旋回性能及び操縦安定性が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例1を100とする評点である。数値が大きい程、優れた旋回性能又は操縦安定性を有していることを示す。
装着リム:15×6.0J
タイヤ内圧:前輪220kPa、後輪210kPa
<ウェット性能>
上記テスト車両で、水深5mmかつ長さ20mの水たまりが設けられた半径100mのアスファルト路面を走行し、前輪の横加速度(横G)が計測された。結果は、速度50〜80km/hの平均横Gであり、比較例1の値を100とする指数で示されている。数値が大きい程、ウェット性能が優れていることを示す。
テストの結果が表1に示される。
テストの結果、実施例のタイヤは、ウェット性能を維持しつつ優れた旋回性能を発揮しているのが確認できた。また、実施例のタイヤは、優れた操縦安定性も有していることが確認できた。
図11乃至図13の基本パターンを有するサイズ185/65R15のタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。比較例として、図14に示されるように、外側ショルダーラグ溝及び内側ショルダーラグ溝が同じ本数で配され、かつ、各ミドル陸部に、ショルダー主溝からタイヤ赤道側にのびかつミドル陸部内で途切れるラグ溝が配されたタイヤが試作された。各テストタイヤについて、上述の旋回性能、操縦安定性及びウェット性能がテストされた。
テストの結果が表2に示される。
テストの結果、図11乃至図13に示されるタイヤも、ウェット性能を維持しつつ優れた旋回性能を発揮しているのが確認できた。また、これらのタイヤは、優れた操縦安定性も有していることが確認できた。
2 トレッド部
6 カーカス
7 ベルト層
10 主溝
15 周方向陸部
16 外側ショルダー陸部
17 内側ショルダー陸部
18 外側ミドル陸部
19 内側ミドル陸部
21 外側ショルダーラグ溝
22 内側ショルダーラグ溝
23 ミドルサイプ
To 外側トレッド端
Ti 内側トレッド端

Claims (14)

  1. ラジアル構造のカーカスと、前記カーカスの外側に配された少なくとも2枚のベルトプライからなるベルト層と、車両への装着の向きが指定されたトレッドパターンが形成されたトレッド部とを含む乗用車用の空気入りラジアルタイヤであって、
    前記トレッド部は、車両装着時にそれぞれ車両の外側及び車両の内側に位置する外側トレッド端及び内側トレッド端を有し、
    前記トレッド部は、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝によって、4本の周方向陸部に区分されており、
    前記周方向陸部は、前記外側トレッド端を含む外側ショルダー陸部と、前記内側トレッド端を含む内側ショルダー陸部と、前記外側ショルダー陸部に隣接する外側ミドル陸部と、前記内側ショルダー陸部に隣接する内側ミドル陸部とを含み、
    前記外側ショルダー陸部には、前記外側トレッド端からタイヤ軸方向内側にのび、かつ、前記外側ショルダー陸部内で途切れる複数の外側ショルダーラグ溝が設けられており、
    前記内側ショルダー陸部には、前記内側トレッド端からタイヤ軸方向内側にのび、かつ、前記内側ショルダー陸部内で途切れる複数の内側ショルダーラグ溝が設けられており、
    前記内側ショルダーラグ溝の本数は、前記外側ショルダーラグ溝の本数よりも大であり、
    前記外側ミドル陸部及び前記内側ミドル陸部には、それぞれ、前記内側トレッド端側のエッジから前記外側トレッド端側にのび、かつ、陸部内で途切れる複数のミドルサイプが設けられている、
    空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記内側ショルダーラグ溝の本数は、前記外側ショルダーラグ溝の本数の1.10〜1.30倍である請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記外側ショルダーラグ溝の本数は、55〜85である請求項1又は2記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記ミドルサイプは、第1ミドルサイプと、前記第1ミドルサイプよりもタイヤ軸方向の長さが小さい第2ミドルサイプとを含む請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記第2ミドルサイプは、前記第1ミドルサイプの0.65〜0.85倍のタイヤ軸方向の長さを有する請求項4記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 前記内側ミドル陸部及び前記外側ミドル陸部には、それぞれ、前記第1ミドルサイプと前記第2ミドルサイプとがタイヤ周方向に交互に設けられている請求項4又は5記載の空気入りラジアルタイヤ。
  7. 前記内側ミドル陸部に設けられた前記ミドルサイプの本数は、前記外側ミドル陸部に設けられた前記ミドルサイプの本数よりも大である請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  8. 前記内側ミドル陸部に設けられた前記ミドルサイプの本数は、前記外側ミドル陸部に設けられた前記ミドルサイプの本数の1.10〜1.30倍である請求項7記載の空気入りラジアルタイヤ。
  9. 前記外側ショルダー陸部には、前記外側ショルダー主溝と前記複数の外側ショルダーラグ溝との間でタイヤ周方向に連続してのびる外側ショルダー細溝が設けられている請求項1乃至8のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  10. 前記内側ショルダー陸部には、前記内側ショルダー主溝と前記複数の内側ショルダーラグ溝との間でタイヤ周方向に連続してのびる内側ショルダー細溝が設けられている請求項1乃至9のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  11. 前記外側ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅Waは、前記内側ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅Wbよりも大きい請求項1乃至10のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  12. 前記外側ショルダー陸部の前記幅Waは、前記内側ショルダー陸部の前記幅Wbの1.20未満である請求項1乃至11のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  13. 前記ミドルサイプは、互いに同じ向きに凸で湾曲した第1ミドルサイプ及び第2ミドルサイプを含み、
    前記第1ミドルサイプの曲率半径は、前記第2ミドルサイプの曲率半径よりも小さい請求項1乃至12のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  14. 前記ミドルサイプは、少なくとも1箇所で屈曲した屈曲サイプを含む請求項1乃至13のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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