JP2019040801A - 水素吸蔵合金電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】サイクル特性が向上した水素吸蔵合金電極を提供する。【解決手段】体心立方構造を有し、TiCrV合金を含有する水素吸蔵合金粒子と、水素吸蔵合金粒子の表面に形成された、単体のCrを主体とするCrコート層と、を有する複合合金を備える、水素吸蔵合金電極とする。【選択図】図1
Description
本願は、水素吸蔵合金電極を開示する。
水素吸蔵合金は、アルカリ電池の電極等に利用されている。このような水素吸蔵合金に関する技術として、例えば特許文献1には、V、Ti、Cr等から構成され、結晶構造が体心立方構造の水素吸蔵合金粒子からなる水素吸蔵合金電極が開示されている。
また、特許文献2には、Tiを含み、体心立方構造を有する水素吸蔵合金の表面にNiを付着させることが開示されている。特許文献3には、急冷凝固法により製造され、結晶粒径が小さく、表面にTi−Ni化合物を主体とするNi付加層を有するTi−Cr−V系水素吸蔵合金が開示されている。
特許文献1に開示されている水素吸蔵合金電極は、サイクル特性に向上の余地があった。
そこで本開示は、サイクル特性が向上した水素吸蔵合金電極を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段をとる。すなわち、
本開示は、体心立方構造を有し、TiCrV合金を含有する水素吸蔵合金粒子と、水素吸蔵合金粒子の表面に形成された、単体のCrを主体とするCrコート層と、を有する複合合金を備える、水素吸蔵合金電極である。
本開示は、体心立方構造を有し、TiCrV合金を含有する水素吸蔵合金粒子と、水素吸蔵合金粒子の表面に形成された、単体のCrを主体とするCrコート層と、を有する複合合金を備える、水素吸蔵合金電極である。
本開示において、「Crを主体とする」とは、Crコート層に含まれる成分のうちCrの割合(mol%)が最も高いことを意味する。
本開示によれば、サイクル特性が向上した水素吸蔵合金電極を提供することができる。
以下、本開示について説明する。なお、以下に示す形態は本開示の例示であり、本開示は以下に示す形態に限定されない。
本開示の水素吸蔵合金電極(以下、「本開示の電極」ということがある。)は、体心立方構造(BCC構造)を有するTiCrV合金を含有する水素吸蔵合金粒子と、水素吸蔵合金粒子の表面に形成された、単体のCrを主体とするCrコート層と、を有する複合合金を備える。
水素吸蔵合金粒子は、水素吸蔵合金(以下、「MH」ということがある。)として、BCC構造を有するTiCrV合金を含有する。水素吸蔵合金粒子には、BCC構造を有するTiCrV合金に加えて他のMHが含まれていてもよいが、BCC構造を有するTiCrV合金のみから構成されることが好ましい。例えば、本開示の電極をNi−MH二次電池の負極として用いる場合、MHとしてBCC構造を有するTiCrV合金を用いることにより、現行のNi−MH二次電池に使用されているAB5系やA2B7系のMHとして用いた場合の2倍を超える容量ポテンシャル(例えば、760mA/g)を備えさせることができる。
水素吸蔵合金粒子の粒子径は、特に限定されないが、電池の入出力の観点から、50μm以下であることが好ましい。
水素吸蔵合金粒子の表面には、単体のCrを主体とするCrコート層が形成される。水素吸蔵合金粒子の表面にCrコート層を形成することにより、サイクル劣化(充放電サイクルに伴う電極容量の低下)の一因である、TiCrV合金の表面からのVの溶出を抑制し、サイクル特性を向上させることができる。
水素吸蔵合金粒子の表面にCrコート層を形成し、複合合金を得る方法としては、例えば、粉末スパッタ法(バレルスパッタ法)により、水素吸蔵合金粒子の表面に、単体のCrを付着させる方法が挙げられる。複合合金の表面全体に占める、Crコート層により被覆されている箇所の割合は、特に限定されず、複合合金の表面の少なくとも一部を被覆していればよい。但し、サイクル特性を向上させ易くする観点から、複合合金の表面全体がCrコート層によって被覆されていることが好ましい。
本開示において、Crコート層の厚さは、特に限定されない。Crコート層は、複合合金の表面を被覆していればよく、数nm程度の厚さであっても、サイクル特性が向上させることが可能と考えられる。同様に、厚さが厚くてもサイクル特性を高めることが可能と考えられるが、厚さがあまりに厚くなると電池の入出力の点で好ましくない。それゆえ、Crコート層の厚さは、10μm以下にすることが好ましい。
本開示の電極は、上記複合合金を有していればよく、該複合合金に加えて、他の物質が含まれてもよい。本開示の電極に含まれ得る他の物質としては、導電助剤やバインダー等を例示することができる。導電助剤としては、例えば、Ni等の金属粒子を用いることができる。また、バインダーとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)やポリビニルアルコール(PVA)等を用いることができる。本開示の電極を作製する方法としては、複合合金と、導電助剤と、バインダーとが所定の重量比になるように秤量した後、これらを混練することにより作製したペースト状の組成物を、多孔質の導電性部材に塗布し、続いて乾燥させた後、これを所定の圧力でプレスする等の方法を例示することができる。
本開示の電極は、正極、電解質層、及び負極を有するアルカリ蓄電池の、負極としての側面も有する。即ち、本開示の電極は、複合合金を負極活物質とするアルカリ蓄電池の負極としての好適に使用することができる。
アルカリ蓄電池は、例えば、ニッケル水素電池であっても良く、空気電池であっても良く、他の形態であっても良い。アルカリ蓄電池がニッケル水素電池である場合、正極には、例えば、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)を用いることができる。これに対し、アルカリ蓄電池が空気電池である場合、正極には、例えば、LaNiO3のようなペロブスカイト構造をもつ酸化物等を用いることができる。
電解質層は、正極及び負極の間に配置され、かつ、アルカリ水溶液を含む。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液が挙げられる。水溶液の濃度は特に限定されないが、例えば、6mol/Lとすることができる。電解質層は、電解液のみからなるものであってもよく、電解液をセパレータに含浸させたものであってもよい。セパレータとしては、例えば、ポリエチレン・ポリプロピレン製の不織布セパレータを使用することができる。
アルカリ蓄電池を作製する際に、負極として用いる本開示の電極は、例えば、上述した方法によって作製することができる。一方、正極は、例えば、水酸化ニッケルと、酸化コバルトと、バインダーとが所定の重量比になるように秤量した後、これらを混練することにより作製したペースト状の組成物を、多孔質の導電性部材に塗布し、続いて乾燥させた後、これを所定の圧力でプレスする等の方法により、作製することができる。その後、所定の濃度になるように調整したアルカリ性の水溶液を容器に入れ、さらに、アルカリ性の水溶液を入れた容器へ、正極及び負極を入れる過程を経ることにより、アルカリ蓄電池を作製することができる。
以下、実施例を参照しつつ、本開示の水素吸蔵合金電極について説明を続ける。
<実施例>
(水素吸蔵合金電極及び電池の作製)
狙いの組成となるよう計量した原料をアーク溶解し、粉砕・分級(<50μm)して、水素吸蔵合金粒子であるTiCrV合金(Ti20Cr10V70)粒子を得た。粉末スパッタ法にて、TiCrV合金粒子の表面に10nmの厚みになるように均一にCrコート層を形成し、複合合金を得た。さらに、充放電活性を付与する目的で、粉末スパッタ法にて、複合合金の表面に10nmの厚みになるようにPdを均一にコートし、Pdコート層を形成した。このように作製したPdコート層を備える複合合金を負極活物質とし、導電助剤(Ni粉末)並びにバインダーと混練し、発泡Niに充填した後、乾燥及びロールプレスすることで、実施例に係る水素吸蔵合金電極を得た。以上のように作製した水素吸蔵合金電極をMH負極とし、Ni(OH)2電極を対極として組み合せ、電解液に6M−KOHを用いて、実施例に係る電池を作製した。
(充放電試験)
充放電条件を25℃、定電流充放電とし、充電終止条件を電極容量の150%の電気量とし、放電終止条件を−0.5V vs Hg/HgOとして、30サイクルの充放電を行った。1サイクル目の放電容量を100%としたときの30サイクル後の放電容量から容量維持率を算出した。サイクル数と容量維持率との関係を図1に示す。
(水素吸蔵合金電極及び電池の作製)
狙いの組成となるよう計量した原料をアーク溶解し、粉砕・分級(<50μm)して、水素吸蔵合金粒子であるTiCrV合金(Ti20Cr10V70)粒子を得た。粉末スパッタ法にて、TiCrV合金粒子の表面に10nmの厚みになるように均一にCrコート層を形成し、複合合金を得た。さらに、充放電活性を付与する目的で、粉末スパッタ法にて、複合合金の表面に10nmの厚みになるようにPdを均一にコートし、Pdコート層を形成した。このように作製したPdコート層を備える複合合金を負極活物質とし、導電助剤(Ni粉末)並びにバインダーと混練し、発泡Niに充填した後、乾燥及びロールプレスすることで、実施例に係る水素吸蔵合金電極を得た。以上のように作製した水素吸蔵合金電極をMH負極とし、Ni(OH)2電極を対極として組み合せ、電解液に6M−KOHを用いて、実施例に係る電池を作製した。
(充放電試験)
充放電条件を25℃、定電流充放電とし、充電終止条件を電極容量の150%の電気量とし、放電終止条件を−0.5V vs Hg/HgOとして、30サイクルの充放電を行った。1サイクル目の放電容量を100%としたときの30サイクル後の放電容量から容量維持率を算出した。サイクル数と容量維持率との関係を図1に示す。
<比較例>
水素吸蔵合金粒子であるTiCrV合金粒子の表面にCrコート層を形成しなかった以外は、実施例と同様にして、比較例に係る水素吸蔵合金電極及び電池を作製し、充放電試験を行った。結果を図1に示す。
水素吸蔵合金粒子であるTiCrV合金粒子の表面にCrコート層を形成しなかった以外は、実施例と同様にして、比較例に係る水素吸蔵合金電極及び電池を作製し、充放電試験を行った。結果を図1に示す。
[結果]
図1に示すように、水素吸蔵合金粒子の表面にCrコート層を形成して作製した実施例に係る電池は、30サイクル後の容量維持率が78%であった。一方、水素吸蔵合金粒子の表面にCrコート層を形成せずに作製した比較例に係る電池は、30サイクル後の容量維持率が64%であった。よって、本開示によれば、水素吸蔵合金粒子の表面にCrコート層を形成することにより、水素吸蔵合金電極のサイクル特性を向上させることが可能であることが確認された。
図1に示すように、水素吸蔵合金粒子の表面にCrコート層を形成して作製した実施例に係る電池は、30サイクル後の容量維持率が78%であった。一方、水素吸蔵合金粒子の表面にCrコート層を形成せずに作製した比較例に係る電池は、30サイクル後の容量維持率が64%であった。よって、本開示によれば、水素吸蔵合金粒子の表面にCrコート層を形成することにより、水素吸蔵合金電極のサイクル特性を向上させることが可能であることが確認された。
Claims (1)
- 体心立方構造を有し、TiCrV合金を含有する水素吸蔵合金粒子と、
前記水素吸蔵合金粒子の表面に形成された、単体のCrを主体とするCrコート層と、を有する複合合金を備える、
水素吸蔵合金電極。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017163395A JP2019040801A (ja) | 2017-08-28 | 2017-08-28 | 水素吸蔵合金電極 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017163395A JP2019040801A (ja) | 2017-08-28 | 2017-08-28 | 水素吸蔵合金電極 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019040801A true JP2019040801A (ja) | 2019-03-14 |
Family
ID=65726338
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2017163395A Pending JP2019040801A (ja) | 2017-08-28 | 2017-08-28 | 水素吸蔵合金電極 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019040801A (ja) |
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2017
- 2017-08-28 JP JP2017163395A patent/JP2019040801A/ja active Pending
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