JP2019034421A - 多層構造体およびその製造方法、それを用いた包装材および製品、ならびに電子デバイスの保護シート - Google Patents
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Abstract
Description
[1]基材(X)と、前記基材(X)上に積層された層(Z)と、前記層(Z)上に積層された層(Y)とを含み、前記層(Z)が、炭素数20以下のアルキレン鎖またはポリオキシアルキレン鎖により少なくとも1つの水酸基を有するリン原子と極性基が結合されているリン化合物(BH)を含み、前記層(Y)がアルミニウムを含む化合物(A)を含み、前記アルミニウムを含む化合物(A)が、アルミニウムを含む金属酸化物(Aa)と無機リン化合物(BI)との反応生成物(D)を含む化合物(Ab)を含む、多層構造体;
[2]前記リン化合物(BH)の極性基がカルボキシル基または水酸基である、[1]の多層構造体;
[3]前記リン化合物(BH)の少なくとも1つの水酸基を有するリン原子が、リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、亜ホスホン酸基、ホスフィン酸基、および亜ホスフィン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基である、[1]または[2]の多層構造体;
[4]20℃、85%RHの条件下における酸素透過度が2.0mL/(m2・day・atm)以下である、[1]〜[3]のいずれかの多層構造体;
[5]40℃、90/0%RHの条件下における透湿度が2.0g/(m2・day)以下である、[1]〜[4]のいずれかの多層構造体;
[6]前記基材(X)が、熱可塑性樹脂フィルムおよび紙からなる群より選ばれる少なくとも1種の層を含む、[1]〜[5]のいずれかの多層構造体;
[7][1]の多層構造体の製造方法であって、基材(X)上に、炭素数20以下のアルキレン鎖またはポリオキシアルキレン鎖により少なくとも1つの水酸基を有するリン原子と極性基が結合されているリン化合物(BH)と溶媒とを含むコーティング液(R)を塗工することによって、層(Z)を形成する工程(I)と、アルミニウムを含む化合物(A)と無機リン化合物(BI)と溶媒とを含むコーティング液(S)を層(Z)上に塗工することによって、層(Y)前駆体を形成する工程(II)と、前記層(Y)前駆体を熱処理することで層(Y)を形成する工程(III)とを含む、製造方法。
[8][1]〜[6]のいずれかの多層構造体を含む、包装材;
[9]押出しコートラミネートにより形成された層をさらに有する、[8]の包装材;
[10]縦製袋充填シール袋、真空包装袋、パウチ、ラミネートチューブ容器、輸液バッグ、紙容器、ストリップテープ、容器用蓋材、またはインモールドラベル容器である、[8]または[9]の包装材;
[11][8]〜[10]のいずれかの包装材が少なくとも一部に用いられている製品;
[12]製品が内容物を含み、前記内容物が芯材であり、前記製品の内部が減圧されており、真空断熱体として機能する、[11]の製品;
[13][1]〜[6]のいずれかの多層構造体を含む、電子デバイスの保護シート;
[14]光電変換装置、情報表示装置、または照明装置の表面を保護する保護シートである、[13]の電子デバイスの保護シート;
[15][13]または[14]に記載の保護シートを有する電子デバイス;
を提供することで達成される。
本発明の多層構造体は、基材(X)と、前記基材(X)上に積層された層(Z)と、前記層(Z)上に積層された層(Y)とを備える。層(Y)は、アルミニウムを含む化合物(A)(以下、単に「化合物(A)」ともいう)を含む。また、化合物(A)は、アルミニウムを含む金属酸化物(Aa)(以下、単に「金属酸化物(Aa)」ともいう)と無機リン化合物(BI)との反応生成物(D)(以下、単に「反応生成物(D)」ともいう)を含む化合物(Ab)(以下、単に「化合物(Ab)」ともいう)を含む。層(Z)は、炭素数20以下のアルキレン鎖またはポリオキシアルキレン鎖により少なくとも1つの水酸基を有するリン原子と極性基が結合されているリン化合物(BH)(以下、単に「リン化合物(BH)」ともいう)とを含む。以下の説明において、特に注釈がない限り、「多層構造体」という用語は基材(X)と層(Y)と層(Z)を含む多層構造体を意味する。
基材(X)の材質は特に制限されず、様々な材質からなる基材を用いることができる。基材(X)の材質としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂;布帛、紙類等の繊維集合体;木材;ガラス等が挙げられる。中でも、熱可塑性樹脂および繊維集合体が好ましく、熱可塑性樹脂がより好ましい。基材(X)の形態は特に制限されず、フィルムまたはシート等の層状であってもよい。基材(X)としては、熱可塑性樹脂フィルムおよび紙からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものが好ましく、熱可塑性樹脂フィルムを含むものがより好ましく、熱可塑性樹脂フィルムがさらに好ましい。
層(Z)は、炭素数20以下のアルキレン鎖またはポリオキシアルキレン鎖により少なくとも1つの水酸基を有するリン原子と極性基が結合されているリン化合物(BH)を含む。なお、層(Z)は、本発明の作用を阻害しない範囲で、添加剤等の他の成分を含有していてもよい。リン化合物(BH)について以下に説明する。
本発明の多層構造体は、層(Z)中にリン化合物(BH)を含む。リン化合物(BH)は、炭素数20以下のアルキレン鎖またはポリオキシアルキレン鎖を介して、少なくとも1つの水酸基を有するリン原子と極性基が結合されている。リン化合物(BH)は、基材(X)との親和性が高い極性基と、層(Y)に含まれる成分と反応可能な少なくとも1つの水酸基を有するリン原子の両方を有するため、基材(X)と層(Z)および層(Z)と層(Y)間の密着性が向上し、レトルト処理後も層間接着力を維持できる観点から、層間剥離等の外観不良を抑制することが可能となる。なお、基材(X)の表面が前記極性基と反応可能な官能基を有する場合、基材(X)とリン化合物(BH)間で反応が進行し、より層間接着力を高めることができる。
U1−R5−U2 〔I〕
(式中、U1は少なくとも1つの水酸基を有するリン原子含有基を表し、R5は炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基またはポリオキシアルキレン基を表し、U2は極性基を表す。)
で示される。一般式〔I〕のR5の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基またはポリオキシアルキレン基としては、後述するコーティング液(R)において使用する溶媒への溶解性を良好とする観点から、炭素数20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましく、14以下であることがさらに好ましい。
層(Y)は、アルミニウムを含む化合物(A)を含み、化合物(A)は、アルミニウムを含む金属酸化物(Aa)と無機リン化合物(BI)との反応生成物(D)を含む化合物(Ab)を含む。化合物(A)および無機リン化合物(BI)について以下に説明する。
化合物(A)は、少なくとも化合物(Ab)を含む。その他に、アルミニウムを含む金属酸化物(Aa)を含んでも、アルミニウム蒸着層である化合物(Ac)を含んでも、酸化アルミニウム蒸着層である化合物(Ad)を含んでもよい。アルミニウムを含む金属酸化物(Aa)は、通常、粒子の形態で無機リン化合物(BI)と反応させる。
アルミニウムを含む金属酸化物(Aa)を構成する金属原子(これらを総称して「金属原子(M)」という場合がある)は、周期表の2〜14族に属する金属原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、少なくともアルミニウムを含む。金属原子(M)はアルミニウム単独であってもよいし、アルミニウムとそれ以外の金属原子とを含んでもよい。なお、金属酸化物(Aa)として、2種以上の金属酸化物(Aa)を併用してもよい。
無機リン化合物(BI)との反応の制御が容易になり、得られる多層構造体のガスバリア性が優れることから、化合物(E)は、下記一般式〔II〕で表される化合物(Ea)を少なくとも1種含むことが好ましい。
Al(R1)k(R2)3-k 〔II〕
式中、R1は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、NO3、置換基を有していてもよい炭素数1〜9のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜9のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜9のアシロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜9のアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜15のβ−ジケトナト基、または置換基を有していてもよい炭素数1〜9のアシル基を有するジアシルメチル基を表す。R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜9のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜10のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜9のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。kは1〜3の整数を表す。R1が複数存在する場合、R1は互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。R2が複数存在する場合、R2は互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
M1(R3)m(R4)n-m 〔III〕
式中、M1は、アルミニウム原子以外の金属原子であって周期表の2〜14族に属する金属原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子を表す。R3は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、NO3、置換基を有していてもよい炭素数1〜9のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜9のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜9のアシロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜9のアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜15のβ−ジケトナト基、または置換基を有していてもよい炭素数1〜9のアシル基を有するジアシルメチル基を表す。R4は、置換基を有していてもよい炭素数1〜9のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜10のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜9のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。mは1〜nの整数を表す。nはM1の原子価に等しい。R3が複数存在する場合、R3は互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。R4が複数存在する場合、R4は互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
無機リン化合物(BI)は、金属酸化物(Aa)と反応可能な部位を含有し、典型的には、かかる部位(原子団または官能基)を複数含有し、好適には2〜20個含有する。かかる部位には、金属酸化物(Aa)の表面に存在する官能基(例えば、水酸基)と縮合反応可能な部位が含まれ、例えば、リン原子に直接結合したハロゲン原子、リン原子に直接結合した酸素原子等が挙げられる。金属酸化物(Aa)の表面に存在する官能基(例えば、水酸基)は、通常、金属酸化物(Aa)を構成する金属原子(M)に結合している。
層(Y)は有機リン化合物(BO)を含んでいてもよい。有機リン化合物(BO)が有するリン原子を含む官能基としては、例えばリン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、亜ホスホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、およびこれらから誘導される官能基(例えば、塩、(部分)エステル化合物、ハロゲン化物(例えば、塩化物)、脱水物)等が挙げられ、中でもリン酸基およびホスホン酸基が好ましく、ホスホン酸基がより好ましい。
化合物(Ab)に含まれる反応生成物(D)は、金属酸化物(Aa)と無機リン化合物(BI)との反応で得られる。ここで、金属酸化物(Aa)と無機リン化合物(BI)とさらに他の化合物とが反応することで生成する化合物も反応生成物(D)に含まれる。化合物(Ab)は、反応に関与していない金属酸化物(Aa)および/または無機リン化合物(BI)を部分的に含んでいてもよい。
多層構造体は、さらに無機蒸着層を含んでもよい。無機蒸着層は、金属(例えば、アルミニウム)、金属酸化物(例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム)、金属窒化物(例えば、窒化ケイ素)、金属窒化酸化物(例えば、酸窒化ケイ素)、または金属炭化窒化物(例えば、炭窒化ケイ素)等から形成されていてもよい。本発明の多層構造体中の層(Y)は、アルミニウムを含有する無機蒸着層を含んでいてもよい。例えば、層(Y)は、アルミニウムの蒸着層(Ac)および/または酸化アルミニウムの蒸着層(Ad)を含んでいてもよい。
層(Y)は、高分子化合物(F)を含んでいてもよい。高分子化合物(F)は、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、およびカルボキシル基の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する重合体である。高分子化合物(F)は、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、およびカルボキシル基の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体の単独重合体であっても、該単量体を有する共重合体であってもよい。
本発明の多層構造体について説明した事項は本発明の製造方法に適用できるため、重複する説明を省略する場合がある。また、本発明の製造方法について説明した事項は、本発明の多層構造体に適用できる。
工程(I)では、リン化合物(BH)と溶媒とを含むコーティング液(R)を基材(X)上に塗工することによって層(Z)を形成する。コーティング液(R)は、リン化合物(BH)と溶媒とを混合することによって得られる。
工程(II)では、アルミニウムを含む化合物(A)と無機リン化合物(BI)と溶媒とを含むコーティング液(S)を層(Z)上に塗工することによって、反応生成物(D)の前駆体を含む層(Y)前駆体層を形成する。コーティング液(S)は、アルミニウムを含む化合物(A)、リン化合物(B)および溶媒を混合することによって得られる。層(Y)が、アルミニウムの蒸着層(Ac)または酸化アルミニウムの蒸着層(Ad)を含む場合には、それらの層は上述した一般的な蒸着法によって形成できる。以下、好適な実施態様として、金属酸化物(Aa)、無機リン化合物(BI)、および溶媒を用いる態様を用いて説明する。
工程(III)では、工程(II)で形成された層(Y)前駆体層を、140℃以上の温度で熱処理することによって層(Y)を形成する。本発明では、上述した特定の溶媒含有率および平均粒子径を有する層(Y)前駆体を140℃以上の温度で熱処理することが、より優れたバリア性能を得るために重要である。工程(III)の熱処理温度は、工程(II)の乾燥温度よりも高いことが好ましい。
前記製造方法において有機リン化合物(BO)を用いる場合であって、かつ工程(II)に用いるコーティング液(S)に有機リン化合物(BO)を含まない場合、工程(II’)では、有機リン化合物(BO)および溶媒を混合することによって得たコーティング液(T)(第2コーティング液)を工程(III)で得た層(Y)上に塗工してもよい。工程(II’)では、有機リン化合物(BO)および溶媒を混合することによって得たコーティング液(T)(第2コーティング液)を工程(III)の第1熱処理工程(III−1)後の層(Y)上に塗工した後に、続いて工程(III)の第2熱処理工程(III−2)に供することが好ましい。
本発明の多層構造体において、接着層(I)を用いて、層(Y)と他の部材(例えば、他の層(J)等)との接着性を高めることができる場合がある。接着層(I)は、接着性樹脂から構成されていてもよい。該接着性樹脂としては、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合し反応させる2液反応型ポリウレタン系接着剤が好ましい。また、アンカーコーティング剤または接着剤に、公知のシランカップリング剤等の少量の添加剤を加えると、さらに接着性を高めることができる場合がある。シランカップリング剤としては、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基等の反応性基を有するシランカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されない。層(Y)と他の部材とを接着することによって、本発明の多層構造体に対して印刷またはラミネート等の加工を施す際に、ガスバリア性または外観の悪化をより効果的に抑制でき、さらに、本発明の多層構造体を用いた包装材の落下強度を高めることができる。接着層(I)の厚さは0.01〜10.0μmが好ましく、0.03〜5.0μmがより好ましい。
本発明の多層構造体は、様々な特性(例えば、ヒートシール性、バリア性、力学物性)を向上させるために、他の層(J)を含んでもよい。このような本発明の多層構造体は、例えば、基材(X)に層(Z)を介して層(Y)を積層させた後に、さらに該他の層(J)を直接または接着層を介して接着または形成することによって製造できる。他の層(J)としては、例えば、インク層;ポリオレフィン層、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層等の熱可塑性樹脂層等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の多層構造体は、例えば、基材(X)に層(Z)を介して層(Y)を積層させた後に、さらに他の層(J)を直接または接着層を介して押出しコートラミネート法により形成させ、かかる押出しコートラミネートにより形成された層をさらに有することができる。前記押出しコートラミネート法に特に限定はなく、公知の方法を適用できる。典型的な押出しコートラミネート法では、溶融した熱可塑性樹脂をTダイに送り、Tダイのフラットスリットから取り出した熱可塑性樹脂を冷却することによって、ラミネートフィルムが製造される。
本発明の多層構造体の構成の具体例を以下に示す。多層構造体は基材(X)、層(Z)、層(Y)以外の他の部材(例えば、接着層(I)、他の層(J))を有していてもよいが、以下の具体例において、層(Z)および他の部材の記載は省略している。層(Z)は基材(X)上に積層され、層(Y)は層(Z)上に積層されるものである。また、以下具体例を複数層積層したり組み合わせたりしてもよい。
(1)層(Y)/ポリエステル層、
(2)層(Y)/ポリエステル層/層(Y)、
(3)層(Y)/ポリアミド層、
(4)層(Y)/ポリアミド層/層(Y)、
(5)層(Y)/ポリオレフィン層、
(6)層(Y)/ポリオレフィン層/層(Y)、
(7)層(Y)/水酸基含有ポリマー層、
(8)層(Y)/水酸基含有ポリマー層/層(Y)、
(9)層(Y)/紙層、
(10)層(Y)/紙層/層(Y)、
(11)層(Y)/無機蒸着層/ポリエステル層、
(12)層(Y)/無機蒸着層/ポリアミド層、
(13)層(Y)/無機蒸着層/ポリオレフィン層、
(14)層(Y)/無機蒸着層/水酸基含有ポリマー層、
(15)層(Y)/ポリエステル層/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(16)層(Y)/ポリエステル層/層(Y)/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(17)ポリエステル層/層(Y)/ポリエステル層/層(Y)/無機蒸着層/水酸基含有ポリマー層/ポリオレフィン層、
(18)ポリエステル層/層(Y)/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(19)層(Y)/ポリアミド層/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(20)層(Y)/ポリアミド層/層(Y)/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(21)ポリアミド層/層(Y)/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(22)層(Y)/ポリオレフィン層/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(23)層(Y)/ポリオレフィン層/層(Y)/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(24)ポリオレフィン層/層(Y)/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(25)層(Y)/ポリオレフィン層/ポリオレフィン層、
(26)層(Y)/ポリオレフィン層/層(Y)/ポリオレフィン層、
(27)ポリオレフィン層/層(Y)/ポリオレフィン層、
(28)層(Y)/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(29)層(Y)/ポリエステル層/層(Y)/ポリオレフィン層、
(30)ポリエステル層/層(Y)/ポリオレフィン層、
(31)層(Y)/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(32)層(Y)/ポリアミド層/層(Y)/ポリオレフィン層、
(33)ポリアミド層/層(Y)/ポリオレフィン層、
(34)層(Y)/ポリエステル層/紙層、
(35)層(Y)/ポリアミド層/紙層、
(36)層(Y)/ポリオレフィン層/紙層、
(37)ポリオレフィン層/紙層/ポリオレフィン層/層(Y)/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(38)ポリオレフィン層/紙層/ポリオレフィン層/層(Y)/ポリアミド層/ポリ
オレフィン層、
(39)ポリオレフィン層/紙層/ポリオレフィン層/層(Y)/ポリオレフィン層、
(40)紙層/ポリオレフィン層/層(Y)/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(41)ポリオレフィン層/紙層/層(Y)/ポリオレフィン層、
(42)紙層/層(Y)/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(43)紙層/層(Y)/ポリオレフィン層、
(44)層(Y)/紙層/ポリオレフィン層、
(45)層(Y)/ポリエステル層/紙層/ポリオレフィン層、
(46)ポリオレフィン層/紙層/ポリオレフィン層/層(Y)/ポリオレフィン層/水酸基含有ポリマー層、
(47)ポリオレフィン層/紙層/ポリオレフィン層/層(Y)/ポリオレフィン層/ポリアミド層、
(48)ポリオレフィン層/紙層/ポリオレフィン層/層(Y)/ポリオレフィン層/ポリエステル層、
(49)無機蒸着層/層(Y)/ポリエステル層、
(50)無機蒸着層/層(Y)/ポリエステル層/層(Y)/無機蒸着層、
(51)無機蒸着層/層(Y)/ポリアミド層、
(52)無機蒸着層/層(Y)/ポリアミド層/層(Y)/無機蒸着層、
(53)無機蒸着層/層(Y)/ポリオレフィン層、
(54)無機蒸着層/層(Y)/ポリオレフィン層/層(Y)/無機蒸着層
本発明の多層構造体およびこれを用いた包装材は、レトルト処理時にフィルム屈曲部において高い密着性を有する。また、本発明の多層構造体およびこれを用いた包装材は、ガスバリア性および水蒸気バリア性に優れるとともに、耐レトルト性に優れる。そのため、本発明の多層構造体およびこれを用いた包装材は、様々な用途に適用できる。
本発明の包装材は、基材(X)と、基材(X)上に積層された層(Z)と、前記層(Z)上に積層された層(Y)とを含む多層構造体を含む。包装材は、多層構造体のみによって構成されてもよい。すなわち、以下の説明において、「包装材」を「多層構造体」に読み替えてもよい。包装材は、多層構造体と他の部材とによって構成されてもよい。本発明の包装材は、前述した押出コートラミネートにより形成された層を有することが好ましい。
本発明の多層構造体を含む包装材は、縦製袋充填シール袋であってもよい。一例を図1に示す。図1に示す縦製袋充填シール袋10は、本発明の多層構造体11が、2つの端部11aと胴体部11bとの三方でシールされることによって形成されている。縦製袋充填シール袋10は、縦型製袋充填機により製造できる。縦型製袋充填機による製袋には様々な方法が適用されるが、いずれの方法においても、内容物は袋の上方の開口からその内部へと供給され、その後にその開口がシールされて縦製袋充填シール袋が製造される。縦製袋充填シール袋は、例えば、上端、下端、および側部の三方においてヒートシールされた1枚のフィルム材により構成される。本発明による包装容器としての縦製袋充填シール袋は、レトルト処理時にフィルム屈曲部において高い密着性を有する。また、本発明による包装容器としての縦製袋充填シール袋は、ガスバリア性および水蒸気バリア性に優れ、レトルト処理後にもバリア性能が維持されるため、該縦製袋充填シール袋によれば、内容物の品質劣化を長期間にわたって抑制できる。
本発明の多層構造体を含む包装材はパウチであってもよい。一例を図2に示す。図2の平パウチ20は、2枚の多層構造体11が、その周縁部11cで互いに接合されることによって形成されている。本明細書において、「パウチ」という語句は、主として食品、日用品または医薬品を内容物とする、フィルム材を壁部材として備えた容器を意味する。パウチは、例えば、その形状および用途から、スパウト付きパウチ、チャックシール付きパウチ、平パウチ、スタンドアップパウチ、横製袋充填シールパウチ、レトルトパウチ等が挙げられる。パウチは、多層構造体と、少なくとも1層の他の層(J)とを積層することによって形成してもよい。本発明による包装容器としてのパウチは、レトルト処理時にフィルム屈曲部において高い密着性を有する。また、本発明による包装容器としてのパウチは、ガスバリア性および水蒸気バリア性に優れ、レトルト処理後においてもそのバリア性能が維持される。そのため該パウチを用いることによって、輸送後または長期保存後においても、内容物の変質を防ぐことが可能である。また、該パウチの一例では、透明性を良好に保持できるため、内容物の確認、劣化による内容物の変質の確認が容易である。
本発明の多層構造体を含む包装材は、輸液バッグであってもよい。輸液バッグは、輸液製剤をその内容物とする容器であり、輸液製剤を収容するための内部と外部とを隔てる隔壁としてフィルム材(本発明の多層構造体)を備える。一例を図3に示す。図3に示されるように、輸液バッグ401は、内容物を収容するバッグ本体431に加え、バッグ本体431の周縁部412に口栓部材432を備えていてもよい。口栓部材432は、バッグ本体431の内部に収容された輸液類を取り出す経路として機能する。また、輸液バッグは、バッグを吊り下げるために、口栓部材432が取り付けられた周縁部412の反対側の周縁部411に吊り下げ孔433を備えていてもよい。バッグ本体431は、2枚のフィルム材410a、410bがその周縁部411、412、413、414において互いに接合されることによって形成されている。フィルム材410a、410bは、バッグ本体431の周縁部411、412、413、414に囲まれた中央部において、バッグ内部とバッグ外部とを隔てる隔壁420として機能する。本発明による包装容器としての輸液バッグは、レトルト処理時にフィルム屈曲部において高い密着性を有する。また、本発明による包装容器としての輸液バッグは、ガスバリア性に優れ、熱水処理等の加熱処理後にもそのガスバリア性が維持される。そのため、該輸液バッグによれば、加熱殺菌処理前、加熱殺菌処理中、加熱殺菌処理後、輸送後、保存後においても、充填されている液状医薬品が変質することを防止できる。
本発明の多層構造体を含む包装材は、インモールドラベル容器であってもよい。インモールドラベル容器は、容器本体と、容器本体の表面に配置された本発明の多層ラベル(多層構造体)とを含む。容器本体は、型の内部に溶融樹脂を注入することによって形成される。容器本体の形状に特に限定はなく、カップ状、ボトル状等であってもよい。
前記した包装材を少なくとも一部に用いる本発明の製品は、真空断熱体であってもよい。真空断熱体は、被覆材と、被覆材により囲まれた内部に配置された芯材とを備える断熱体であり、芯材が配置された内部は減圧されている。真空断熱体は、ウレタンフォームからなる断熱体による断熱特性と同等の断熱特性を、より薄くより軽い断熱体で達成することを可能にする。本発明の真空断熱体は、冷蔵庫、給湯設備および炊飯器等の家電製品用
の断熱材;壁部、天井部、屋根裏部および床部等に用いられる住宅用断熱材、車両屋根材、自動販売機等の断熱パネル;蓄熱機器、ヒートポンプ応用機器等の熱移動機器等に利用できる。被覆材として用いられる本発明の多層構造体は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層および無機蒸着層を含むことも好ましく、例えば、ポリエステル層/層(Y)/ポリエステル層/層(Y)/無機蒸着層/エチレン−ビニルアルコール共重合体層/ポリオレフィン層の構成を有していてもよい。
本発明の多層構造体を含む包装材は、電子デバイスにも使用できる。本発明の電子デバイスの一例について、一部断面図を図8に示す。図8の電子デバイス40は、電子デバイス本体41と、電子デバイス本体41を封止するための封止材42と、電子デバイス本体41の表面を保護するための保護シート(多層構造体)43と、を備える。封止材42は、電子デバイス本体41の表面全体を覆う。保護シート43は、電子デバイス本体41の一方の表面上に、封止材42を介して配置されている。保護シート43が配置された表面とは反対側の表面にも、保護シート43が配置されてもよい。その場合、その反対側の表面に配置される保護シートは、保護シート43と同じものであってもよいし異なっていてもよい。保護シート43は、封止材42等の他の部材を介して電子デバイス本体41上に配置されていてもよく、電子デバイス本体41の表面に直接配置されていてもよい。
1)PET12:二軸延伸ポリエチレンレテフタレートフィルム;東レ株式会社製、「ルミラー P60」(商品名)、厚さ12μm
2)ONY15:二軸延伸ナイロンフィルム;ユニチカ株式会社製、「エンブレム ONBC」(商品名)、厚さ15μm
3)CPP60:無延伸ポリプロピレンフィルム;三井化学東セロ株式会社製、「RXC−22」(商品名)、厚さ60μm
4)CPP100:無延伸ポリプロピレンフィルム;三井化学東セロ株式会社製、「RXC−22」(商品名)、厚さ100μm
多層構造体の層(Y)の赤外吸収スペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計を用い、減衰全反射法で測定した。測定条件は以下の通りとした。
装置:パーキンエルマー株式会社製Spectrum One
測定モード:減衰全反射法
測定領域:800〜1,400cm-1
収束イオンビーム(FIB)を用いて多層構造体を切削し、断面観察用の切片(厚さ0.3μm)を作製した。作製した切片を試料台座にカーボンテープで固定し、加速電圧30kVで30秒間白金イオンスパッタを行った。電界放出形透過型電子顕微鏡を用いて多層構造体の断面を観察し、各層の厚さを算出した。測定条件は以下の通りとした。
装置:日本電子株式会社製JEM−2100F
加速電圧:200kV
倍率:250,000倍
酸素透過量測定装置にキャリアガス側に基材の層が向くように多層構造体を取り付け、等圧法により酸素透過度を測定した。測定条件は以下の通りとした。
装置:モダンコントロールズ社製MOCON OX−TRAN2/21
温度:20℃
酸素供給側の湿度:85%RH
キャリアガス側の湿度:85%RH
酸素圧:1.0atm
キャリアガス圧力:1.0atm
水蒸気透過量測定装置にキャリアガス側に基材の層が向くように多層構造体を取り付け、等圧法により透湿度(水蒸気透過度)を測定した。測定条件は以下の通りとした。
装置:モダンコントロールズ社製MOCON PERMATRAN W3/33
温度:40℃
水蒸気供給側の湿度:90%RH
キャリアガス側の湿度:0%RH
基材(X)/層(Z)/層(Y)の順に塗工した多層構造体上に接着層を形成し、該接着層上にONYをラミネートすることによって積層体を得た。次に、該積層体のONY上に接着層を形成した後、該接着層上に、CPP60をラミネートし、40℃で5日間静置してエージングした。前記2つの接着層はそれぞれ、乾燥後の厚さが3μmとなるようにバーコーターを用いて2液型接着剤(三井化学株式会社製の「タケラック」(登録商標)の「A−520」(銘柄)と三井化学株式会社製の「タケネート」(登録商標)の「A−50」(銘柄))を塗工し、乾燥させることによって形成した。このようにして得た基材(X)/層(Z)/層(Y)/接着層/ONY/接着層/CPP60を、CPP60を接触面として2枚重ね、130℃で熱ラミネートした。次に160mm×40mmの短冊を切り出し、20mm感覚で計14箇所に直径6mmの穴を開けた。該短冊を8.5mmの曲率半径で長尺方向に巻き、端部をホッチキスで固定することで円筒形にした。続いて得られた円筒を以下の条件でレトルト処理(熱水貯湯式)を行った。
レトルト処理装置:株式会社日阪製作所製 フレーバーエースRSC−60
温度:125℃
時間:30分間
圧力:0.17MPaG
1サンプルにつき同様の穴あき円筒を4つ作製し、レトルト処理後にデラミネーションが生じた穴の数をカウントし穴の総計(56箇所)で除することによりデラミ発生率(%)を算出した。
窒素雰囲気下、11−ブロモウンデカノール5.0質量部およびトリエチルアミン2.0質量部をジクロロメタン5.0質量部と混合し、0℃に冷却した。この溶液に、ジクロロメタン2.0質量部に混合したアセチルクロリド1.9質量部の溶液を滴下し、0℃で2時間撹拌した。この溶液をpHが6になるまで水で洗浄した後、ジクロロメタン層を単離し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去することで11−ブロモウンデシルアセテート5.5質量部を得た。
11−ブロモウンデカノールの代わりに2−ブロモエタノールを使用したこと以外はリン化合物(BH−1)の合成例と同様にして、2−ヒドロキシエチルホスホン酸(2−HEPA)を得た。
11−ブロモウンデカノールの代わりに20−ブロモエイコサノールを使用したこと以外はリン化合物(BH−1)の合成例と同様にして、20−ヒドロキシエイコシルホスホン酸(20−HEPA)を得た。
前記合成例で得たリン化合物(BH−1)を水とメタノールの混合溶媒(質量比で水:メタノール=7:3)に25℃で溶解させ、固形分濃度1.0質量%のコーティング液(R−1)を得た。
前記合成例で得たリン化合物(BH−1)を水とメタノールの混合溶媒(質量比で水:メタノール=7:3)に25℃で溶解させ、固形分濃度8.0質量%のコーティング液(R−2)および固形分濃度12.0質量%のコーティング液(R−3)を得た。
リン化合物(BH)との種類を表1のとおりに変更した以外はコーティング液(R−1)の調製と同様にして、コーティング液(R−4)〜(R−7)及び(CR−1)〜(CR−2)を調製した。なお、コーティング液(R−6)の調製においてはリン化合物(BH−4)としてCHEMOS Gmbh&Co.KG製の4−ヒドロキシブチルジハイドロジェンホスフェート(4−HBDP)を使用した。コーティング液(R−7)の調製においてはリン化合物(BH−5)として株式会社同仁化学研究所製の10−カルボキシデシルホスホン酸(10−CDPA)を使用した。コーティング液(CR−1)の調製においてはリン化合物(BH−1)の代わりに株式会社和光ケミカル製のドデシルホスホン酸を使用した。コーティング液(CR−2)の調製においてはリン化合物(BH−1)の代わりに東京化成工業株式会社製の1−ドデカノールを使用した。
主剤として、樹脂骨格中にシラノール基を有するポリウレタン系樹脂[三井化学株式会社製「タケラックWS−5000」(以下、「WS−5000」と略記する場合がある)]とイソシアネート系硬化剤[三井化学株式会社製「タケネートWD−725」(以下、「WD−725」と略記する場合がある)]を、WS−5000/WD−725=10/1、固形分濃度3.0質量%となるように水とメタノールの混合溶媒(質量比で水:メタノール=7:3)で希釈した。
蒸留水230質量部を撹拌しながら70℃に昇温した。その蒸留水に、トリイソプロポキシアルミニウム88質量部を1時間かけて滴下し、液温を徐々に95℃まで上昇させ、発生するイソプロパノールを留出させることによって加水分解縮合を行った。得られた液体に、60質量%の硝酸水溶液4.0質量部を添加し、95℃で3時間撹拌することによって加水分解縮合物の粒子の凝集体を解膠させた。その後、その液体を、固形分濃度が酸化アルミニウム換算で10質量%になるように濃縮し、溶液を得た。こうして得られた溶液22.50質量部に対して、蒸留水54.29質量部およびメタノール18.80質量部を加え、均一になるように撹拌することによって、分散液を得た。続いて、液温を15℃に維持した状態で分散液を攪拌しながら85質量%のリン酸水溶液4.41質量部を滴下して加えた。さらに、メタノール溶液18.80質量部を滴下して加え、粘度が1,500mPa・sになるまで15℃で攪拌を続け、目的のコーティング液(S1−1)を得た。該コーティング液(S1−1)における、アルミニウム原子とリン原子とのモル比は、アルミニウム原子:リン原子=1.15:1.00であった。
窒素雰囲気下、ビニルホスホン酸10gおよび2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.025gを水5gに溶解させ、80℃で3時間攪拌した。冷却後、重合溶液に水15gを加えて希釈し、セルロース膜であるスペクトラムラボラトリーズ社製の「Spectra/Por」(登録商標)を用いてろ過した。ろ液中の水を留去した後、50℃で24時間真空乾燥することによって、重合体(BO−1)を得た。重合体(BO−1)は、ポリ(ビニルホスホン酸)である。GPC分析の結果、該重合体の数平均分子量はポリエチレングリコール換算で10,000であった。
前記合成例で得た有機リン化合物(BO−1)を67質量%、高分子化合物(F)として重量平均分子量20,000のポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製「PEG−20000)を33質量%含む混合物を準備した。この混合物を、水とメタノールの混合溶媒(質量比で水:メタノール=7:3)に溶解させ、固形分濃度が1質量%のコーティング液(T−1)を得た。
<実施例1−1>
基材(X)として、PET12(基材(X−1))を準備した。この基材上に、乾燥後の厚さが0.010μmとなるようにバーコーターを用いてコーティング液(R−1)を塗工した。塗工後のフィルムを140℃で1分間乾燥させて、基材上に層(Z−1−1)を形成した。続いて、乾燥後の厚さが0.3μmとなるようにバーコーターを用いてコーティング液(S−1)を塗工した。塗工後のフィルムを、120℃で3分間乾燥させた後、180℃で1分間熱処理し、基材上に層(Y−1)前駆体を形成した。次いで、無機リン化合物(BI)の質量WBIと有機リン化合物(BO)の質量WBOの比WBO/WBI=1.10/98.90となるようにバーコーターを用いてコーティング液(T−1)を塗工し、110℃で3分間乾燥させた。このようにして、基材(X−1)/層(Z−1−1)/層(Y−1)前駆体という構造を有する構造体を得た。続いて、前記構造体を220℃で1分間熱処理することで層(Y−1)を形成した。このようにして、基材(X−1)/層(Z−1−1)/層(Y−1)という構造を有する多層構造体(1−1)を得た。
レトルト処理装置:株式会社日阪製作所製 フレーバーエースRSC−60
温度:125℃
時間:30分間
圧力:0.17MPaG
コーティング液(R−1)に代えてコーティング液(R−2)〜(R−7)を用いたこと以外は、実施例1の多層構造体(1−1)と同様の方法により多層構造体(2−1)〜(7−1)を作製した。多層構造体(1−1)の代わりに多層構造体(2−1)〜(7−1)を用いた以外は実施例1の多層構造体(1−2)と同様の方法により多層構造体(2−2)〜(7−2)を作製し、評価した。結果を表1および表2に示す。
コーティング液(R−1)使用しなかったこと以外は実施例1と同様の方法により多層構造体(C1−1)および(C1−2)を作製し、評価した。結果を表1および表2に示す。
コーティング液(R−1)に代えてコーティング液(CR−1)〜(CR−3)を用いたこと以外は、実施例1の多層構造体(1−1)と同様の方法により多層構造体(C2−1)〜(C4−1)を作製した。多層構造体(1−1)の代わりに多層構造体(C2−1)〜(C4−1)を用いた以外は実施例1の多層構造体(1−2)と同様の方法により多層構造体(C2−2)〜(C4−2)を作製し、評価した。結果を表1および表2に示す。
<実施例2−1>
実施例1−1で作製した多層構造体(1−2)を幅120mm×120mmに裁断し、CPP層が内側になるように2枚の多層構造体を重ね合わせ、長方形の3辺をヒートシールすることによって平パウチ(2−1−3)を形成した。その平パウチに水100mLを充填した。得られた平パウチに対して、実施例1−1と同一の条件でレトルト処理(熱水貯湯式)を行った結果、破袋および層間剥離の発生が無く良好な外観を保持した。
<実施例3−1>
実施例1−1で作製した多層構造体(1−2)から、120mm×100mmの多層構造体を2枚切り出した。続いて、切り出した2枚の多層構造体を、CPP層が内側になるように重ね合わせ、周縁をヒートシールするとともに、ポリプロピレン製のスパウト(口栓部材)をヒートシールによって取り付けて、図3と同様の構造を備えた輸液バッグ(3−1−3)を作製した。輸液バッグ(3−1−3)に水100mLを充填し、実施例1−1と同一の条件でレトルト処理(熱水貯湯式)を行った結果、破袋および層間剥離の発生無く良好な外観を保持した。
<実施例4−1>
実施例1−1で作製した多層構造体(1−2)から、直径100mmの円形の多層構造体を切り取り、容器用の蓋材とした。また、容器本体として、フランジ付きの容器(東洋製罐株式会社製、「ハイレトフレックス」(登録商標)、「HR78−84」(商品名))を準備した。この容器は、上面の直径が78mmで高さが30mmのカップ形状を有する。容器の上面は解放されており、その周縁に形成されたフランジ部の幅は6.5mmである。容器は、オレフィン層/スチール層/オレフィン層の3層の積層体によって構成されている。次に、上記容器本体に水をほぼ満杯に充填し、蓋材をフランジ部にヒートシールして、蓋付き容器(4−1−3)を得た。このとき、蓋材のCPP層がフランジ部に接触するように配置して蓋材をヒートシールした。蓋付き容器(4−1−3)を、実施例1−1と同一の条件でレトルト処理(熱水貯湯式)を行った結果、容器の破損および層間剥離の発生が無く良好な外観を保持した。
<実施例5−1>
2枚のCPP100のそれぞれに、乾燥後の厚さが3μmとなるようにバーコーターを用いて2液型接着剤を塗工して乾燥させた。2液型接着剤には、三井化学株式会社製の「タケラック」(登録商標)の「A−520」と三井化学株式会社製の「タケネート」(登録商標)の「A−50」とからなる2液反応型ポリウレタン系接着剤を用いた。次に、2枚のCPP100と実施例1−1の多層構造体(1−1)とをラミネートし、40℃で5日間静置してエージングして、CPP100/接着層/基材(X−1)/層(Z−1−1)/層(Y−1)/接着層/CPP100という構造を有する多層ラベル(5−1−2)を得た。
<実施例6−1>
実施例1−1において多層構造体(1−1)上の層(Y−1)上に接着層を形成した後、ポリエチレン樹脂(密度;0.917g/cm3、メルトフローレート;8g/10分)を厚さが20μmになるように該接着層上に295℃で押出しコートラミネートして、基材(X―1)/層(Z−1−1)/層(Y−1)/接着層/ポリエチレンという構造を有するラミネート体(6−1−2)を得た。上記の接着層は、乾燥後の厚さが0.3μmとなるようにバーコーターを用いて2液型接着剤を塗工し、乾燥させることによって形成した。この2液型接着剤には、三井化学株式会社製の「タケラック」(登録商標)の「A−3210」と三井化学株式会社製の「タケネート」(登録商標)の「A−3070」とからなる2液反応型ポリウレタン系接着剤を用いた。ラミネート体(6−1−2)を、実施例1−1と同一の条件でレトルト処理(熱水貯湯式)を行った結果、層間剥離の発生が無く良好な外観を保持した。
<実施例7−1>
実施例2−1で作製した平パウチ(2−1−3)に1.5%エタノール水溶液500mLを充填し、レトルト処理装置(日阪製作所製、フレーバーエースRCS−60)を使用して、120℃、2.5atmで30分間熱水中においてレトルト処理を行った結果、デラミネーションの発生が無く良好な外観を保持した。
1.5%エタノール水溶液500mLの代わりに他の充填物500mLを平パウチ(2−1−3)に充填したことを除き、実施例7−1と同様にレトルト処理を行った。そして、レトルト処理後の平パウチから測定用サンプルを切り出し、該サンプルの酸素透過度を測定した。他の充填物としては、1.0%エタノール水溶液(実施例7−2)、食酢(実施例7−3)、pH2のクエン酸水溶液(実施例7−4)、食用油(実施例7−5)、ケチャップ(実施例7−6)、醤油(実施例7−7)、しょうがペースト(実施例7−8)を用いた。いずれの場合も、レトルト処理後のサンプルの酸素透過度は、0.2mL/(m2・day・atm)であった。さらに、実施例5−1で作製した蓋付き容器(5−1−3)にみかんシロップをほぼ満杯に充填し、実施例7−1と同様にレトルト処理を行った(実施例7−9)。レトルト処理後は層間剥離の発生が無く良好な外観を保持した。
<実施例8−1>
CPP60上に、実施例5−1で用いた2液型接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、乾燥させることによって接着層を形成した。このCPPと実施例1−1で作製した多層構造体(1−1−1)のPET層とを貼り合せることによって積層体(8−1−1)を得た。続いて、ONYの上に、前記2液反応型ポリウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、乾燥させることによって接着層を形成した。そして、このONYと積層体(8−1−1)とを貼り合わせることによって、CPP/接着層/基材(X−1)/層(Z−1−1)/層(Y−1)/接着層/ONY、という構造を有する多層構造体(8−1−2)を得た。
<実施例9−1>
実施例1−1で作製した多層構造体(1−1)上に接着層を形成し、該接着層上にアクリル樹脂フィルム(厚さ50μm)をラミネートすることによって積層体を得た。続いて、該積層体の多層構造体(1−1)上に接着層を形成した後、PET50をラミネートして、PET/接着層/基材(X−1)/層(Z−1−1)/層(Y−1)/接着層/アクリル樹脂フィルム、という構成を有する保護シート(9−1−1)を得た。前記2つの接着層はそれぞれ、2液型接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、乾燥させることによって形成した。2液型接着剤には、三井化学株式会社製の「タケラック」(登録商標)の「A−1102」と三井化学株式会社製の「タケネート」(登録商標)の「A−3070」とからなる2液反応型ポリウレタン系接着剤を用いた。
11 多層構造体
11a 端部
11b 胴体部
20 平パウチ
11c 周縁部
401 輸液バッグ
410a、410b フィルム材(多層構造体)
411、412、413、414 周縁部
420 隔壁
431 バッグ本体
432 口栓部材
433 吊り下げ孔
360 容器
361、362、363 多層ラベル
361a 貫通孔
370 容器本体
371 フランジ部
372 胴体部
373 底部
371a 凸部
50 装置
51 押出機
52 Tダイ
53 冷却ロール
54 ゴムロール
501 積層体
502 樹脂フィルム
503 ラミネートフィルム(多層構造体)
601、602 真空断熱体
611 周縁部
620 隔壁
610、631、632 多層構造体
651、652 芯材
40 電子デバイス
41 電子デバイス本体
42 封止材
43 保護シート(多層構造体)
Claims (15)
- 基材(X)と、前記基材(X)上に積層された層(Z)と、前記層(Z)上に積層された層(Y)とを含み、
前記層(Z)が、炭素数20以下のアルキレン鎖またはポリオキシアルキレン鎖により少なくとも1つの水酸基を有するリン原子と極性基が結合されているリン化合物(BH)を含み、
前記層(Y)がアルミニウムを含む化合物(A)を含み、前記アルミニウムを含む化合物(A)が、アルミニウムを含む金属酸化物(Aa)と無機リン化合物(BI)との反応生成物(D)を含む化合物(Ab)を含む、多層構造体。 - 前記リン化合物(BH)の極性基がカルボキシル基または水酸基である、請求項1に記載の多層構造体。
- 前記リン化合物(BH)の少なくとも1つの水酸基を有するリン原子が、リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、亜ホスホン酸基、ホスフィン酸基、および亜ホスフィン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基である、請求項1または2に記載の多層構造体。
- 20℃、85%RHの条件下における酸素透過度が2.0mL/(m2・day・atm)以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層構造体。
- 40℃、90/0%RHの条件下における透湿度が2.0g/(m2・day)以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層構造体。
- 前記基材(X)が、熱可塑性樹脂フィルムおよび紙からなる群より選ばれる少なくとも1種の層を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層構造体。
- 請求項1に記載の多層構造体の製造方法であって、
基材(X)上に、炭素数20以下のアルキレン鎖またはポリオキシアルキレン鎖により少なくとも1つの水酸基を有するリン原子と極性基が結合されているリン化合物(BH)と溶媒とを含むコーティング液(R)を塗工することによって、層(Z)を形成する工程(I)と、
アルミニウムを含む化合物(A)と無機リン化合物(BI)と溶媒とを含むコーティング液(S)を層(Z)上に塗工することによって、層(Y)前駆体を形成する工程(II)と、
前記層(Y)前駆体を熱処理することで層(Y)を形成する工程(III)とを含む、製造方法。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層構造体を含む、包装材。
- 押出しコートラミネートにより形成された層をさらに有する、請求項8に記載の包装材。
- 縦製袋充填シール袋、真空包装袋、パウチ、ラミネートチューブ容器、輸液バッグ、紙容器、ストリップテープ、容器用蓋材、またはインモールドラベル容器である、請求項8または9に記載の包装材。
- 請求項8〜10のいずれか1項に記載の包装材が少なくとも一部に用いられている製品。
- 製品が内容物を含み、前記内容物が芯材であり、前記製品の内部が減圧されており、真空断熱体として機能する、請求項11に記載の製品。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層構造体を含む、電子デバイスの保護シート。
- 光電変換装置、情報表示装置、または照明装置の表面を保護する保護シートである、請求項13に記載の電子デバイスの保護シート。
- 請求項13または14に記載の保護シートを有する電子デバイス。
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