JP2019026921A - 電気・電子機器用Cu合金及びそれを用いたプローブピン - Google Patents

電気・電子機器用Cu合金及びそれを用いたプローブピン Download PDF

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Abstract

【課題】比抵抗が低く、硬さ、加工性を兼ね備えたトータルバランスの優れた以下の電気・電子機器用Cu合金を提供することを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するため、本発明の電気・電子機器用Cu合金は、Agを3質量%以上30質量%以下と、Inを5質量%以上10質量%未満とを含み、残部がCuと不可避不純物からなることを特徴とする。本発明によれば、加工性が良好で、且つ、塑性加工により、プローブピンとして用いるのに十分な硬さを実現することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体集積回路等の検査用プローブピンに代表される電気・電子機器に用いられるCu合金に関する。
従来より、半導体集積回路等の電気機器の電気的特性の検査を行う際に、複数のプローブピンが配列されたプローブカードが用いられている。通常、プローブカードに装着されたプローブピンの先端部を電気機器の検査対象箇所に接触させて、電気的特性の検査を行う。当該プローブピンは、数千回、数万回、繰り返し接触して用いられるため、十分な硬さ(耐摩耗性)を備えていることが要求される。また、検査対象に金めっきが施された電極や、銅配線等である場合、プローブピンが所望の範囲よりも硬いと、検査対象を傷つけてしまう。そのため、当該プローブピンは、摩耗を抑制しつつ、検査対象を傷つけ難く、低い接触抵抗を備えていることも要求される。これら以外にも、プローブピンは、耐食性や加工性に優れている等の特性も要求される。
一般に、プローブピンの材料として、Ag−Pd−Cu合金が広く用いられている。例えば、特許文献1には、はんだ転写が有効に防止され、安定した電気的特性が長期にわたって得られるプローブピンおよびこのプローブピンを具備するプローブピン装置を提供することを目的として、Pdを主成分とし、Pd以外の添加元素を少なくとも1種類以上含むPd合金からなるプローブピンであって、Pd以外の添加元素がAu、Ag、Ptの少なくとも1種以上から選ばれたものであるPd合金系プローブピンが開示されている。
また、特許文献2には、長期間安定して使用可能なプローブピンを提供することを目的として、50.2〜85mass%のAg基合金で、Inまたは/およびSnが0.2〜3.0mass%、8〜35mass%のPd、6〜40mass%のCuが、不可避不純物とあわせて合計で100mass%からなる合金からなり、圧延率または断面減少率が、40%以上の圧延または/および伸線加工後、250〜500℃で時効処理を行うことによりビッカース硬さが200〜400で、時効処理前後の硬さの差がビッカース硬さで10以上であり、且つ比抵抗が15μΩ・cm以下の材料からなるプローブピンが開示されている。
特開2004−93355号公報 特開2014−114465号公報
近年の半導体集積回路等の電気機器の小型化や高性能化に伴い、検査対象となる半導体集積回路の検査対象箇所の狭ピッチ化や多ピン化がすすんでおり、当該検査対象箇所と接触するプローブピン自体も、微細化することが要求されている。Pdの成分は、合金の硬さを上昇させる作用を有する点で優れているため、細線化したプローブピンの硬さの向上を図ることを目的として、プローブピンの材料に含まれるPdの合金の含有量を上昇させることが考えられる。
しかしながら、Pdは比抵抗を上昇させる傾向がある。プローブピンの比抵抗が大きくなると、低い電圧電流で用いたとしてもジュール熱による発熱が大きくなる。そうすると、プローブピンを用いた検査が、高温悪条件下で行われることになり、検査の信頼性が低下する問題がある。また、熱による影響によってプローブピン自体の疲労進行度が高くなり、ピンの短命化を招来する。一方で、合金のPd含有量を低くすると、プローブピンとして要求される硬さを得ることができず、耐久性が低下する問題がある。
そのため、市場からは、比抵抗が低く、硬さ、加工性を兼ね備えたトータルバランスの優れたプローブピンの材料の開発が要望されてきた。
そこで、本発明者等は、鋭意研究の結果、以下の電気・電子機器用Cu合金を提供するに至った。
すなわち、本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、Agを3質量%以上30質量%以下と、Inを5質量%以上10質量%未満とを含み、残部がCuと不可避不純物からなることを特徴とする。
本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、さらに、Sn、Znの群から選ばれる1種以上を合計0.1質量%以上5質量%以下で含むことがより好ましい。
本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、断面減少率が75%以上95%以下に塑性加工されたものであることがより好ましい。
本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、塑性加工後の硬さが200HV以上310HV以下であることがより好ましい。
本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、比抵抗が2.0μΩ・cm以上9.0μΩ・cm以下であることがより好ましい。
本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、板状又は線条であることがより好ましい。
本発明に係るプローブピンは、上述した電気・電子機器用Cu合金を用いてなることを特徴とする。
本発明の電気・電子機器用Cu合金によれば、加工性が良好で、且つ、塑性加工により、プローブピンとして用いるのに十分な硬さを実現することができる。また、本発明の電気・電子機器用Cu合金は、比抵抗を低く抑えることができるため、プローブピンとして用いた際に、検査対象への熱負荷を軽減することができる。よって、電気・電子機器用Cu合金を用いたプローブピンは、検査の信頼性を向上させることができると共に、当該プローブピン自体の長寿命化を図ることができるというトータルバランスに優れている。
Ag−Cu−In系合金におけるInの組成比率に対する硬さを示す図である。 Ag−Cu−In−Sn系合金のAgの組成比率に対する硬さ及び比抵抗を示す図である。 Ag−Cu−In−Sn−Zn系合金の断面減少率に対する硬さを示す図である。
以下、本発明に関する発明を実施するための最良の形態に関して述べる。本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、Agを3質量%以上30質量%以下と、Inを5質量%以上10質量%未満で含み、残部がCuと不可避不純物からなることを特徴とする。具体的に、本発明は、Cu合金におけるAgと、Inの各合金成分量を制御することにより、硬さが高く、比抵抗が低く、耐食性、加工性に優れた半導体集積回路等の電気機器の検査用プローブピンに適した電気・電子機器用Cu合金である。このCu合金は、Agと、Inの添加量を調整することによって、比抵抗が低く、塑性加工後の硬さがプローブピンとして用いる際に十分な硬さで、かつ、耐食性及び加工性に優れたCu合金を得られるものである。
本発明におけるCu合金は、さらに、Sn、Znの群から選ばれる1種以上を合計0.1質量%以上5質量%以下で含むことがより好ましい。AgとInを含むCu合金におけるSnおよび/又はZnの合金成分量を制御することで、より比抵抗の上昇を抑制しつつ、塑性加工後の硬さがより高いCu合金が得られる。 以下、本発明に係るCu合金において、Cuに対する合金添加元素の添加量について、元素毎に分けて述べる。
合金元素としてのAgは、耐酸性を向上させ、比抵抗を下げる効果がある。本発明に係る電気・電子機器用Cu合金の合金元素としてのAgの含有量は、3質量%以上30質量%以下である。この合金元素としてのAgの含有量が3質量%未満の場合には、耐酸性能が低下していく。一方、合金元素としてのAgの含有量が30質量%を上回る場合には、添加元素の量を調整したとしても、得られるCu合金の最終断面減少率が75%となるように加工した後のビッカース硬さが195HVを下回るようになる。そのため、プローブピン用途として硬さが不足し、耐摩耗性が低下する問題がある。また、この合金元素としてのAgの含有量が30質量%以下とすることで、Cu合金の断面減少率を95%に加工した場合であっても、比抵抗を9.0μΩ・cm以下におさえることが可能となる。
合金元素としてのInとSnとZnは、Cuの母相中に固溶して、塑性加工後の硬さを向上させ、合金の耐摩耗性を向上させる効果がある。この合金元素としてのInの含有量は、5質量%以上10質量%未満とする。この合金元素としてのInの含有量が5質量%未満の場合には、添加元素の量を調整したとしても、得られるCu合金の最終断面減少率が75%となるように加工した後のビッカース硬さが195HV以上を得られにくくなる。一方、合金元素としてのIn含有量が10質量%以上の場合には、加工性が低下し、所望する加工を行う過程で割れが発生してしまうおそれがある。
この合金元素としてのSnおよびZnの含有量は、合計で0.1質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。この合金元素としてのSnおよびZnの含有量が合計で0.1質量%未満の場合には、これら添加元素による硬さを向上させる効果が得られないからである。一方、合金元素としてのSnおよびZnの含有量が合計で5質量%を上回る場合には、これら添加元素による硬さの向上の効果が大きく変わらないにもかかわらず、加工性の低下し、比抵抗を上昇させてしまうからである。
以上に述べた組成の本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、原料となる各金属を真空溶解してインゴットを作製し、断面減少率が75%以上95%以下となるように板状又は線条に塑性加工した後において、ビッカース硬さ(HV0.2)が200HV以上310HV以下を備えることが好ましい。また、同時に、本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、原料となる各元素を真空溶解してインゴットを作製し、断面減少率が75%以上95%以下となるように板状又は線条に塑性加工した後において、室温で電気抵抗を測定し、その断面積及び長さに基づいて算出した比抵抗が2.0μΩ・cm以上9.0μΩ・cm以下であることが好ましい。これらの特性から、本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、比抵抗が低く、所定の硬さ及び加工性が良好であることが要求される半導体集積回路等の電気機器の検査に用いるプローブピンの材料として好適であるといえる。
上述した本発明に係る電気・電子機器用Cu合金の製造方法は、Agを3質量%以上30質量%以下と、Inを5質量%以上10質量%未満で含み残部がCuと不可避不純物とからなる銅合金組成を調整し、溶解法によりインゴットを作製する。このとき、上述の電気・電子機器用Cu合金において述べたように、当該合金組成は、上述した元素に加えてSn、Znの群から選ばれる1種以上を合計0.1質量%以上5質量%以下で含んでいてもよい。
上述した電気・電子機器用Cu合金の製造方法において、溶解法は、特に限定されるものではなく、真空溶解法や、連続鋳造法、ガス溶解法等のいずれの溶解方法を採用することができる。
そして、上述した電気・電子機器用Cu合金の製造方法は、溶解してインゴットを作製した後、断面減少率が75%以上95%以下となるように塑性加工を施すことが好ましい。塑性加工の方法としては、特に限定されるものではなく、圧延加工、線引き加工、鍛造加工等のいずれの塑性加工方法を採用することができる。これにより、本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、用途に応じた強度に調整して用いることができる。この際、得られる電気・電子機器用Cu合金の形状は、板状又は線条であることがより好ましい。さらに、本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、塑性加工後のビッカース硬さ(HV0.2)の値で200HV以上310HV以下に調整して用いる。この硬さ調整は、減面率によって左右され、加工硬化の程度によって変化する。また、本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、比抵抗を2.0μΩ・cm以上9.0μΩ・cm以下とする。以下、実施例及び比較例を示しつつ、本発明に係る電気・電子機器用Cu合金を説明する。
各実施例及び比較例では、表1に示した組成の各金属を真空溶解し、銅鋳型を使用してφ20mmのインゴットを作製した。その後、湯引け等の溶解欠陥部を除去したのち、φ20mmの線条試料をφ10mmまでスェージング加工を施し、溝圧延加工等を含む塑性加工と焼鈍処理(600℃×1時間 N雰囲気)とを繰り返して最終的な断面減少率を75%〜94%とし、各実施例及び比較例のCu合金線材を得た。表1に本発明の各実施例及び各比較例の組成を示す。
得られた実施例及び比較例のCu合金について、硬さ測定を行った。硬さ測定は、各試料の表面を研磨して平滑にした後、ビッカース硬さ試験機を用いてHV0.2にて測定した。測定結果を表1に示す。表1には、各実施例及び比較例についてビッカース硬さを5箇所測定した結果の平均値を示す。また、各実施例及び比較例について、真空溶解後のインゴットに対しては導電率計(フィッシャー・インストルメンツ社製のSIGMASCOPE SMP350)を用いて渦電流法により比抵抗を測定し、塑性加工後のCu合金線材に対しては抵抗計(日置電機社製 RM3544)を用いて4端子法により比抵抗を測定した。表1には、各実施例及び比較例について比抵抗を3箇所測定した結果の平均値を示す。
Figure 2019026921
表1には、Ag、Cu、Inの三元素からなるAg−Cu−In系合金と、当該Ag−Cu−In系合金にSn又はZnを添加したAg−Cu−In−Sn系合金及びAg−Cu−In−Zn系合金と、当該Ag−Cu−In系合金にSu及びZnを添加したAg−Cu−In−Sn−Zn系合金の実施例及び比較例を分けて示す。ここでは、実施例1−1〜実施例1−5がAg−Cu−In系合金の実施例であり、比較例1−1及び比較例1−2がAg−Cu−In系合金の比較例である。実施例2−1〜実施例2−7がAg−Cu−In−Sn系合金の実施例であり、比較例2−1〜比較例2−4がAg−Cu−In−Sn系合金の比較例である。実施例3−1及び実施例3−2がAg−Cu−In−Zn系合金の実施例であり、比較例3がAg−Cu−In−Zn系合金の比較例である。実施例4−1〜実施例4−9がAg−Cu−In−Sn−Zn系合金の実施例であり、比較例4がAg−Cu−In−Sn−Zn系合金の比較例である。表1の結果を用いて本願発明に係るCu合金の添加元素による影響、具体的には、添加元素の有無や当該添加元素の組成比率による影響について述べる。
(1)Ag−Cu−In系合金でInの組成比率が硬さに及ぼす影響について
Cu合金におけるAgの組成比率を固定してInの組成比率を変化させてInの組成比率が硬さに及ぼす影響について検討する。実施例1−1(5Ag−90Cu−5In)、実施例1−2(5Ag−88Cu−7In)は、いずれもAg−Cu−In系合金におけるAgの組成比率を5質量%に固定して、当該合金中におけるInの組成比率を5質量%、7質量%に変化させたものである。比較例1−1(10Ag−89Cu−1In)、実施例1−4(10Ag−85Cu−5In)、実施例1−3(10Ag−83Cu−7In)は、いずれもAg−Cu−In系合金におけるAgの組成比率を10質量%に固定して、当該合金中におけるInの組成比率を1質量%、5質量%、7質量%に変化させたものである。比較例1−2(30Ag−69Cu−1In)、実施例1−5(30Ag−65Cu−5In)は、いずれもAg−Cu−In系合金におけるAgの組成比率を30質量%に固定して、当該合金中におけるInの組成比率を1質量%、5質量%に変化させたものである。各合金のInの組成比率に対する硬さを図1に示す。
図1から分かるように、合金中のAgの組成比率が5質量%、10質量%、30質量%のいずれの場合であっても、合金中におけるInの組成比率が高くなるほど、ビッカース硬さが高くなっていることが明確に分かる。
(2)Ag−Cu−In系合金へのSnの添加が硬さに及ぼす影響について
Ag−Cu−In系合金におけるAgとInの組成比率を固定してSnの有無が硬さに及ぼす影響について検討する。実施例2−7(5Ag−86Cu−7In−2Sn)は、実施例1−2のAg−Cu−In系合金に2質量%でSnを添加したものである。実施例2−4(10Ag−83Cu−5In−2Sn)は、実施例1−4のAg−Cu−In系合金に2質量%でSnを添加したものである。実施例2−6(30Ag−63Cu−5In−2Sn)は、実施例1−5のAg−Cu−In系合金に2質量%でSnを添加したものである。それぞれSnを含む合金と含まない合金とを対比して表2に示す。
Figure 2019026921
表2から分かるように、合金中のAgの組成比率が5質量%、10質量%、30質量%のいずれの場合であっても、Snを添加することにより、ビッカース硬さが高くなっていることが明確に分かる。
(3)Ag−Cu−In系合金へのZnの添加が硬さに及ぼす影響について
Ag−Cu−In系合金におけるAgとInの組成比率を固定してZnの有無が硬さに及ぼす影響について検討する。実施例3−1(5Ag−89Cu−5In−1Zn)は、実施例1−1のAg−Cu−In系合金に1質量%でZnを添加したものである。実施例3−2(10Ag−84Cu−5In−1Zn)は、実施例1−4のAg−Cu−In系合金に1質量%でZnを添加したものである。それぞれZnを含む合金と含まない合金とを対比して表3に示す。
Figure 2019026921
表3から分かるように、合金中のAgの組成比率が5質量%、10質量%のいずれの場合であっても、Znを添加することにより、ビッカース硬さが高くなっていることが明確に分かる。
(4)Ag−Cu−In−Sn系合金及びAg−Cu−In−Zn系合金におけるInの組成比率が硬さに及ぼす影響について
次に、Ag−Cu−In−Sn系合金及びAg−Cu−In−Zn系合金におけるAgとSn、又はAgとZnの組成比率を固定してInの組成比率が硬さに及ぼす影響について検討する。実施例2−4(10Ag−83Cu−5In−2Sn)は、当該Ag−Cu−In−Sn系合金におけるInの組成比率が5質量%であるのに対して、比較例2−4(10Ag−78Cu−10In−2Sn)は、10質量%である。また、実施例3−2(10Ag−84Cu−5In−1Zn)は、当該Ag−Cu−In−Zn系合金におけるInの組成比率が5質量%であるのに対して、比較例3(10Ag−78Cu−10In−1Zn)は、10質量%である。異なるInの組成比率が異なる各合金を対比して表4に示す。
Figure 2019026921
表4から分かるように、Ag−Cu−In−Sn系合金は、Inの組成比率が5質量%から10質量%に増加すると、ビッカース硬さを向上させることができるが、塑性加工中に割れが発生してしまった。比較例2−4では、断面減少率を55%とした段階で、割れが発生してしまった。そのため、Ag−Cu−In−Sn系合金においてInを10質量%以上添加すると、加工性が著しく低下し、所望の塑性加工を施すことができないことが明確となった。
また、Ag−Cu−In−Zn系合金は、Inの組成比率が5質量%から10質量%に増加すると、塑性加工の早い段階で割れが発生してしまった。比較例3では、断面減少率を25%とした段階で、割れが発生してしまった。そのため、Ag−Cu−In−Zn系合金においてInを10質量%以上添加すると、加工性が著しく低下し、所望の塑性加工を施すことができないことが明確となった。
(5)Ag−Cu−In−Sn系合金におけるAgの組成比率が硬さ及び比抵抗に及ぼす影響について
Ag−Cu−In−Sn系合金におけるInとSnの組成比率を固定してAgの組成比率を変化させてAgの組成比率が硬さ及び比抵抗に及ぼす影響について検討する。実施例2−1〜実施例2−6及び比較例2−1〜比較例2−3では、Ag−Cu−In−Sn系合金におけるInの組成比率を5質量%、Snの組成比率を2質量%に固定し、Agの組成比率を2.5質量%〜50質量%まで変化させた。各合金のAgの組成比率に対する硬さ及び比抵抗を図2に示す。図2では、硬さを黒丸にて示し、比抵抗を黒四角にて示す。
図2から分かるように、Ag−Cu−In−Sn系合金中のAgの組成比率が5質量%のときをピークとして、Agの組成比率が高くなるほど、ビッカース硬さが低下し、比抵抗が高くなる傾向があることが分かる。特に、当該合金中におけるAgの組成比率が30質量%を上回るとビッカース硬さが230HVを下回り、比抵抗が7μΩcm以上となることが分かる。比抵抗は断面減少率が高くなるほど、上昇する傾向があるため、断面減少率が75%のときに7μΩcmを超えていると、さらに加工硬化を加えて断面減少率が90%とすることで、本発明において目的とする比抵抗を上回ってしまう可能性が高くなる。そのため、本発明では、断面減少率が75%のときに比抵抗が7.5μΩcm以下となるように当該合金中におけるAgの組成比率を調整することが好ましい。
(6)Ag−Cu−In−Sn−Zn系合金におけるAg、In、Sn、Znの各組成比率が硬さに及ぼす影響について
上述した(2)及び(3)では、Ag−Cu−In系合金にSn又はZnの添加が硬さに及ぼす影響について検討した。(2)及び(3)において述べたように、Ag−Cu−In系合金にSn及びZnのいずれの元素を添加しても硬さが向上することが分かった。そこで、ここでは、Ag−Cu−In系合金にSn及びZnの両者の元素を添加した場合について検討する。実施例4−2〜実施例4−5及び比較例4では、Ag−Cu−In−Sn−Zn系合金におけるAgの組成比率を5質量%に固定し、Inの組成比率を5質量%又は7質量%とし、Snの組成比率を0.5質量%〜2.0質量%、Znの組成比率を0.5質量%〜5質量%まで変化させた。表5に各合金の組成とビッカース硬さ及び比抵抗をまとめて示す。
Figure 2019026921
表5から分かるように、いずれのAg−Cu−In−Sn−Zn系合金もビッカース硬さが230HVを上回っており、特に、実施例4−4は、ビッカース硬さが270HVに到達しており、良好であることが分かった。しかし、SnとZnの合計組成比率が1質量%では、比抵抗は5.38μΩcm、2質量%では、6.49μΩcm〜6.81μΩcm、3質量%では、6.99μΩcm、7質量%では、7.66μΩcmであった。このことから、Ag−Cu−In−Sn−Zn系合金におけるSnとZnの合計組成比率が5質量%を超えると、本発明において目的とする比抵抗を上回ってしまう可能性が高くなる。そのため、本発明では、断面減少率が75%のときの比抵抗が7.5μΩcm以下となるように当該合金中におけるSnとZnの合計組成比率を調整することが好ましい。
(7)Ag−Cu−In−Sn−Zn系合金の加工硬化確認について
(6)において特にビッカース硬さ及び比抵抗が良好であった表1中における実施例4−4(5Ag−86Cu−7In−1.5Sn−0.5Zn)についてさらに、単頭伸線機を用いた伸線加工と、焼鈍処理(600℃×1時間 N雰囲気)とを繰り返し、断面減少率を75%としたものを実施例4−6、断面減少率を94%としたものを実施例4−8とした。表1中における実施例4−7は、当該実施例4−4とは合金中におけるInとSnの組成比率が異なるAg−Cu−In−Sn−Zn系合金(5Ag−85.5Cu−8In−1Sn−0.5Zn)であって断面減少率を75%とした。実施例4−9は、実施例4−7と同様の組成比率のAg−Cu−In−Sn−Zn系合金であって断面減少率を94%とした。各合金の断面減少率に対する硬さを図3に示す。
いずれのAg−Cu−In−Sn−Zn系合金も断面減少率を94%まで塑性加工することができ、加工性の高さを確認することができる。また、図3から分かるように、Ag−Cu−In−Sn−Zn系合金の断面減少率を上昇させていくと、いずれの組成であっても、ビッカース硬さを向上させることができ、断面減少率が94%のとき、ビッカース硬さを300HVを上回る硬さにまで実現することができたことが分かる。このビッカース硬さ300HVを上回る実施例4−8と実施例4−9は、さらに、塑性加工後の比抵抗、引張強度、ヤング率について物性測定を行った。表6に実施例4−8及び実施例4−9の塑性加工後の比抵抗、引張強度、ヤング率を示す。
Figure 2019026921
表6から分かるように、実施例4−8及び実施例4−9のAg−Cu−In−Sn−Zn系合金は、ビッカース硬さが300HV以上であるにもかかわらず、比抵抗が9.0μΩcm以下である。よって、当該Ag−Cu−In−Sn−Zn系合金を、例えば、プローブピンに用いた場合、当該プローブピン自体がジュール熱によって大きく発熱することを抑制することができるため、プローブピンを用いた検査が高温悪条件下で行われる不都合を抑制することができる。よって、検査の信頼性を向上させることができる。また、実施例4−8及び実施例4−9のAg−Cu−In−Sn−Zn系合金は、引張強度が950MPa以上であるため、プローブピンとして用いた場合、耐摩耗性に優れている。また、ヤング率が85GPa以上であるため、プローブピンに要求されるばね性を確保することができ、検査対象への当接力の不足や、繰り返し使用による変形を抑制することができる。よって、ヤング率の観点からも、実施例4−8及び実施例4−9のAg−Cu−In−Sn−Zn系合金を用いたプローブピンは、検査の信頼性を向上させることができる。
本発明に係る電気・電子機器用Cu合金は、比抵抗が低く、硬さ、加工性を兼ね備えたトータルバランスに優れているため、半導体集積回路等の検査用プローブピンとして用いる場合に特に有用である。

Claims (7)

  1. Agを3質量%以上30質量%以下と、Inを5質量%以上10質量%未満とを含み、残部がCuと不可避不純物からなることを特徴とする電気・電子機器用Cu合金。
  2. さらに、Sn、Znの群から選ばれる1種以上を合計0.1質量%以上5質量%以下で含む請求項1に記載の電気・電子機器用Cu合金。
  3. 断面減少率が75%以上95%以下に塑性加工された請求項1又は請求項2に記載の電気・電子機器用Cu合金。
  4. 塑性加工後の硬さが200HV以上310HV以下である請求項3に記載の電気・電子機器用Cu合金。
  5. 比抵抗が2.0μΩ・cm以上9.0μΩ・cm以下である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電気・電子機器用Cu合金。
  6. 板状又は線条である請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の電気・電子機器用Cu合金。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の電気・電子機器用Cu合金を用いたことを特徴とするプローブピン。
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