JP2019012209A - 回折光学素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 回折光学素子の第2の層の成形工程で、強度分布を有する光を照射して、回折光学素子を透過する光の透過波面の位相ずれを低減する。
【解決手段】 基材上に回折格子形状を有する第1の層と、第1の層に密着した第2の層を順に形成する回折光学素子の製造方法であって、第2の層の厚さが0.5μm以上100μm以下であり、第2の層は光エネルギーを与えて硬化させて形成する。その光エネルギーの強度分布が、回折光学素子の光軸からm番目(mは整数)の格子の谷部までの距離をb(mm)、前記m番目の格子の谷部からm+1番目の格子の谷部までの距離をp(mm)、光軸から前記第2の層中の光強度が極大である位置までの距離をI(r)max(mm)としたとき、b≦I(r)max≦b+0.4pを満たすことを特徴とする回折光学素子の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カメラやビデオ等の光学機器に使用される回折光学素子およびその製造方法に関するものである。また、回折光学素子を用いた光学機器に関する。
カメラやビデオ、またその他の光学機器の光学系には、基材(基板)の上に光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を成形することにより得られる複合型光学素子が広く用いられており、具体的には非球面レンズやピックアップレンズ、回折光学素子等が挙げられる。その中でも回折光学素子について様々な製法が提案されている。特許文献1の回折光学素子の製造方法は、まず、所定の形状を有した第1の型と基板の間に第1の材料を設ける工程と、光エネルギーを与えて第1の材料を硬化させる工程と、第1の型から第1の材料を離型して基材上に第1の層を形成する工程とを順に行う。その後、第2の型と第1の層の間に第2の材料を設ける工程と、光エネルギーを与えて第2の材料を硬化させる工程と、第2の型から第2の材料を離型して第1の層上に第2の層を形成する工程とを順に行うことが開示されている。
特開2012−218394号公報
しかしながら、特許文献1に記載された回折光学素子の製造方法では、第2の層に対して均一な強度の光が照射される。そのため、第2の層を硬化、形成する工程において、第1の層上に形成された第2の層の第1の層と接しない面(平坦面)に、第1の層の格子形状に起因した変形(うねり、凹み)が発生する。すなわち、本来は平坦平滑であるべき平坦面が凹凸形状に変形する。その結果、回折光学素子を透過する光の透過波面が位相ずれを起こしたまま光学系の撮像面に到達し、撮像された画像のボケ像(レンズの焦点の範囲外の領域における像)に同心円状の縞模様が発生するという課題があった。
本発明は、上述の課題に対処するためになされたものであり、回折光学素子を透過する光の透過波面の位相ずれを低減する回折光学素子とその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための回折光学素子の製造方法は、回折格子形状を反転した形状を有する第1の型と基材との間に光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含む第1の材料を設ける工程と、熱または光エネルギーを与えて前記第1の材料を硬化させ、前記基材上に第1の層を形成する工程と、前記第1の型から前記第1の層を離型する工程と、第2の型と前記第1の層の間に光硬化性樹脂を含む第2の材料を設ける工程と、光エネルギーを与えて前記第2の材料を硬化させ、前記第1の層上に前記第1の層と密着した厚さが0.5μm以上100μm以下の第2の層を形成する工程と、前記第2の型から前記第2の層を離型する工程と、を有する回折光学素子の製造方法であって、前記第2の層を形成する工程において、前記光エネルギーが回折光学素子の光軸からm番目(mは整数)の格子の谷部までの距離をb(mm)、前記m番目の格子の谷部からm+1番目の格子の谷部までの距離をp(mm)、前記光軸から前記第2の層中の光強度が極大である位置までの距離をI(r)max(mm)としたとき、b≦I(r)max≦b+0.4pを満たすことを特徴とする。
上記課題を解決するための回折光学素子は、基材上に回折格子形状を有する第1の層と、前記第1の層の上に第2の層が密着して設けられた回折光学素子であって、前記第2の層の厚さが0.5μm以上100μm以下であり、回折光学素子の光軸からm番目(mは整数)の格子の谷部までの距離をb(mm)、前記m番目の格子の谷部からm+1番目の格子の谷部までの距離をp(mm)、前記光軸から回折光学素子の径方向の距離をr(mm)、rがb≦r≦b+0.4pを満たすときの第2の層の屈折率をKa、rがb+0.4p<r<b+pを満たすときの第2の層の屈折率をKbとしたときに、Ka/Kbが1.0001から1.0006までの範囲にあることを特徴とする。
本発明によれば、第2の層の変形を抑制し、回折光学素子を透過する光の透過波面の位相ずれを低減した光学性能に優れた回折光学素子とその製造方法を提供することができる。
本発明の回折光学素子の製造方法の一実施形態を示す工程図である。 本発明の回折光学素子の製造方法の第2の材料を硬化させ、第2の層を形成する工程の一実施形態を示す概略図である。 本発明の回折光学素子の一実施形態の上面図と断面図である。 回折光学素子の部分拡大断面図である。 本発明の回折光学素子の製造方法の第2の材料を硬化させ、第2の層を形成する工程の一実施形態を示す概略図である。 本発明の光学機器の一実施形態を示す概略図である。
(回折光学素子の製造方法)
以下に本発明の回折光学素子の製造方法について説明する。
図1の(a)から(f)は、本発明の回折光学素子の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
図1に示すように、本発明の回折光学素子の製造方法は、回折格子形状を反転した形状を有する第1の型3と基材1との間に光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含む第1の材料2aを設ける工程(a)を有する。また、熱または光エネルギーを与えて第1の材料2aを硬化させ、基材上に第1の層2を形成する工程(b)と、第1の型3から第1の層2を離型する工程(c)とを有する。また、第2の型5と第1の層2の間に光硬化性樹脂を含む第2の材料4aを設ける工程(d)とを有する。さらに、光エネルギーを与えて第2の材料4aを硬化させ、第1の層2上に第1の層2と密着した厚さが0.5μm以上100μm以下の第2の層4を形成する工程(e)と、第2の型5から第2の層4を離型する工程(f)とを有する。
(工程a)
前記第1の型3は、回折格子形状を反転した形状を有している。前記第1の型3の材質としては、金属や樹脂などの公知の材質を用いることができる。例えば、金属母材上にNiPやCu等のメッキ層を形成し、メッキ層を切削や研磨することで製造されたもの等が挙げられる。
前記第1の材料2aを前記第1の型3と基材1との間に設ける方法としては、基材1または第1の型3、若しくは基材1と第1の型3の両方に第1の材料2aを滴下し、基材1と第1の型3の間に材料2aを広げる方法がある。第1の材料2aを広げる方法としては、基材1や第1の型3を互いが接近する方向に近づけていく方法や、基材1や第1の型3に対して互いが接近する方向に荷重を与える方法等公知の手法を用いることができる。ここで、図1(a)は第1の型3に矢印方向へ荷重を加える手法を示している。また、基材1や第1の型3の自重で充填する方法、第1の材料2aを加熱し粘度を下げることで充填させる方法等も用いることができる。
ここで、第1の材料2aを、目的の厚さになるまで、且つ光学有効部内の格子形状を覆うまで押し広げる。第1の材料2aは光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含む。また、第1の材料2aは低屈折率高分散の樹脂材料が好ましく、具体的には、フッ素系エポキシ樹脂、硫黄含有アクリル樹脂、酸化チタン、酸化インジウム錫、酸化ジルコニウム等を用いることができる。
(工程b)
前記第1の材料2aを硬化させるには、硬化に必要な熱または光エネルギーを第1の材料2aに付与する必要がある。図1(b)は基材1側から光源12によって光エネルギーを材料2aに付与する手法を示している。光エネルギーとしては、例えば、紫外光や可視光を用いることができる。ここで、第1の材料2aを硬化させることにより、基材1上に第1の層2を形成することができる。また、光エネルギーと熱エネルギーを同時に与えても良いし、段階的に双方を使用しても良い。
(工程c)
前記第1の型3から前記第1の層2を離型する方法としては、基材1の端部に対して第1の型3から離型する方向に荷重を加える方法、第1の型3に対して基材1から離型する方向に荷重を加える方法等の公知の方法を用いることができる。ここで第1の層2には、第1の型3によって高さがzである回折格子7が転写される。
(工程d)
前記第2の型5と前記第1の層2との間に前記第2の材料4aを設ける方法としては、第1の層2または第2の型5、若しくは第1の層2と第2の型5の両方に第2の材料4aを滴下し、第1の層2と第2の型5の間に第2の材料4aを広げる方法がある。第2の材料を広げる方法としては、基材1や第2の型5を互いが接近する方向に近づけていく方法や、基材1や第2の型5に対して互いが接近する方向に荷重を与える方法等の公知の手法を用いることができる。また、基材1や第2の型5の自重で充填する方法、第2の材料4aを加熱し粘度を下げることで充填させる方法等も用いることができる。ここで、図1(d)は第2の型5に矢印方向へ荷重を加える手法を示している。
ここで、第2の材料4aを、第2の層4の厚さが0.5μm以上100μm以下になるよう、且つ光学有効部内の格子形状を覆うまで押し広げる。第2の材料4aは、光硬化性樹脂を含む。また、第2の材料4aは高屈折率低分散の樹脂材料が好ましく、具体的には、フッ素系エポキシ樹脂、硫黄含有アクリル樹脂、酸化チタン、酸化インジウム錫、酸化ジルコニウム等を用いることができる。また、第1の材料2aと第2の材料4aとは異なる材料であることが好ましい。
(工程e)
第2の材料4aを硬化させるには、硬化に必要な光エネルギーを第2の材料4aに付与する必要がある。図1(e)は、第2の型5側から光源12によって光エネルギーを材料4aに付与する手法を示している。光エネルギーとしては、例えば、紫外光や可視光等を第2の材料4aに与えることができる。第2の材料4aを硬化させることにより、第1の層2上に密着した第2の層4を形成することができる。第2の材料4aを硬化する光エネルギーは、強度分布を持たせる。具体的には、回折光学素子の光軸からm番目(mは整数)の格子の谷部までの距離をb(mm)、前記m番目の格子の谷部からm+1番目の格子の谷部までの距離をp(mm)とする。また、前記光軸から前記第2の層4中の光強度が極大である位置までの距離をI(r)max(mm)としたときに、関係式b≦I(r)max≦b+0.4pを満たすような強度分布を持たせる。好ましくはb<I(r)max≦b+0.2pであり、より好ましくはb<I(r)max≦b+0.1pである。
または、第1の層2の回折格子の高さをz(mm)、前記光軸から回折光学素子の径方向の距離をr(mm)とする。そのときに、r=b+zの位置における前記第2の層4中の光強度が、r=b+p−zの位置における前記第2の層4中の光強度より高くなるような強度分布を持たせる。
図5は第2の層4中に与える光エネルギーに強度分布をもたせる手法の一例を示した図である。図5のように例えば、光エネルギー11を与える紫外線照射ランプ等の光源12と第2の型5の間にグレイマスク10を配置して、このグレイマスク10を介して光を照射することによって強度分布をもたせることができる。また、グレイマスク10を光源12と基材1の間に配置して、基材1側から光を照射しても良い。
図2は、本発明の回折光学素子の製造方法の第2の材料を硬化させる工程の一実施形態を示す概略図である。図2において、回折光学素子の光軸8からの径方向の距離を示すr方向に強度分布を有する光強度I(r)が、基材1上にある第1の層2上に設けられた第2の材料4aに照射される。なお、説明の便宜上、図2においては第2の型5を省略している。ここで、回折光学素子の光軸8からm番目の格子の谷部13までの距離b、m番目の格子からm+1番目の格子までの距離p、回折光学素子の光軸8から第2の層4中の光強度が極大である位置までの距離I(r)maxをそれぞれ、図2のように定義する。
第2の材料4aが硬化してなる第2の層4中において、強度の強い光を照射した部分(例えば、r=I(r)maxの位置)では、硬化収縮や反応熱の膨張によって圧縮応力が発生する。反して、第2の層4層中で強度の弱い光を照射した部分では、相対的に引っ張り応力が発生する。続く第2の型5から第2の層4を離型する工程では、平坦面6で応力を拘束していた第2の型5が外れるので、第2の層4中の応力が多少なりとも開放される。第2の層4中で圧縮応力が発生した部分は、離型後の応力開放によって膨張するので、平坦面6は、凸形状へ向かう。反して、第2の層4中で引っ張り応力が発生した部分は、離型後の応力開放によって収縮するので、平坦面6は、凹形状へ向かう。
従来技術のように第2の層4に対して均一な強度の光を照射して離型する場合、平坦面6には、図4に示すような第1の層2の格子形状に倣ううねり形状が発生する。本明細書において、うねり厚とは図中のUで示した長さをいう。うねり形状のレンズ径方向の間隔は、第1の層2の格子形状の間隔に倣うが、レンズ面法線方向のうねり厚は、光軸からの距離rと第2の層4の厚さと第1の層2の格子形状の格子高さzに依存する。第2の層4の光軸からの距離が近いほどうねり厚は大きくなる。とりわけ、光軸を中心とするレンズ半径の20%以内の距離にある第2の層4でうねり厚は顕著に大きくなる。また、第2の層4の厚みが薄いほどうねり厚は大きくなる。とりわけ、第2の層4の厚さが100μm以下になると、うねり厚は顕著に大きくなる。また、格子形状の格子高さが高いほどうねり厚は大きくなる。ここで、好ましい第2の層4の厚さは20μm以上である。
このような現象は、第2の層4を構成する光硬化性樹脂の硬化収縮によって引き起こされる。第2の層4の硬化収縮による応力は、レンズの光軸に近いほど大きくなるので、うねり厚も同時にレンズの光軸に近いほど大きくなる。また、同応力は、第2の層4の厚さが厚いほど層中に分散してしまうので、うねり厚も同時に第2の層4の厚さが厚いほど小さくなる。また、同応力は、格子高さzが高いほど、応力のせん断成分が大きくなるので、うねり厚も同時に格子高さzが高いほど大きくなる。
以下、うねり形状とその発生メカニズムについてより詳細に説明する。
図4は基材1上に第1の層と第1の層に密着した第2の層とが順に設けられた回折光学素子の部分拡大断面図である。ここで、密着とは隙間や空気層がないことをいう。図4に示すように、第2の層4の厚みは、下層の格子先端部で薄く、格子谷部で厚くなる。第2の材料4aが一様に硬化収縮すると、第2の層4の厚さ方向の硬化収縮量は、格子先端部よりも格子谷部のほうが厚い分だけ大きくなる。さらに、レンズ径方向のうねり形状の凹部の位置は、第1の層2の格子形状の格子高さに依存する。うねり形状の凹部は、格子壁面近傍の第2の層4の厚さが厚い側に発生する。格子形状の格子高さをXμmとすると、うねり形状の凹部は、格子壁面からレンズ径方向へ凡そXμmの位置に発生する。本発明では、本来うねり形状の凹部が発生する当該部に対して、相対的に強い強度の光を照射することで、当該部に圧縮応力を発生させる。この圧縮応力を利用して、うねり形状の凹部を逆に膨張させることで、平坦面6をより平坦平滑に形成できる。一方で、うねり形状の凸部は、格子壁面近傍の第2の層4層の厚さが薄い側に発生する。このうねり形状の凸部が発生する当該部に対しては、相対的に弱い強度の光を照射することで、引っ張り応力を発生させる。この引っ張り応力を利用して、うねり形状の凸部を逆に収縮させることで、平坦面6をより平坦平滑に形成できる。すなわち、第2の材料4aを硬化させる光エネルギーに、関係式b≦I(r)max≦b+0.4pを満たすような強度分布を持たせることにより、平坦平滑である(うねり厚が少ない)平坦面6を得ることができる。
ここで、I(r)maxがb+0.4pよりも大きくなると、うねり形状の凹部の発生位置とは異なる位置の第2の層4中に圧縮応力を付加するので、うねり形状を十分に抑制できない。その結果、回折光学素子を透過する光の透過波面の位相ずれを十分に低減できない。
また、前記光軸から半径rの位置(ただし、b≦r<b+pとする。)における前記第2の層中の光強度の極小値に対する前記光強度の極大値との比は、1.2以上10以下であることが好ましい。この範囲において、第2の層4中にはうねり形状を低減するのに適した圧縮応力と引っ張り応力が発生するためである。その結果、回折光学素子を透過する光の透過波面の位相ずれをより低減することができる。
さらに、光強度の極大値については、10mW/cm以上50mW/cm以下であることが好ましい。この範囲において、第2の層4中にはうねり形状を低減するのにより適した圧縮応力が発生するためである。その結果、回折光学素子を透過する光の透過波面の位相ずれをより低減することができる。ここで、光強度の値は、例えば、紫外線積算光量計を用いて測定することができる。
(工程f)
最後に前記第2の層4を前記第2の型5から離型することで回折光学素子を得る。
(回折光学素子)
図3は本発明の回折光学素子の上面図と断面図である。本発明の回折光学素子は、基材1上に、回折格子形状を有する第1の層2と、第1の層2の上に第2の層4が光軸方向に密着して設けられた構造である。また、第2の層4は、厚さが0.5μm以上100μm以下であり、平坦面6を有する。ここで、第2の層4の厚さは平坦面6に略垂直な方向の第2の層4の厚みとし、回折格子7の段差の高さ分は含めないこととする。すなわち、図3においてTで示した厚みとする。
第2の層4の厚さを100μm以下にすることで、第2の材料4aを硬化させる工程において第2の層4に発生する硬化収縮による応力の分布を顕著にすることができる。第2の層4の厚さが100μmを超える場合、第2の層4の硬化収縮によって発生する応力が厚い第2の層4中に分散してしまうので、応力分布が顕著にならない。一方、第2の層4の厚さが0.5μm未満である場合、強度分布を有する光の照射による第2の層4中の強い圧縮応力や引っ張り応力がヒケ(材料の硬化収縮によって生じるへこみ、窪みのこと)を発生させる。特に、第2の層4の下層の格子先端部に近接する界面でヒケが発生しやすい。ヒケが発生すると回折光学素子の外観が悪化して、充分な光学性能を得ることができない。好ましい第2の層4の厚さは20μm以上である。
また、本発明の回折光学素子は、回折光学素子の光軸からm番目(mは整数)の格子の谷部までの距離をb(mm)、前記m番目の格子の谷部からm+1番目の格子の谷部までの距離をp(mm)、前記光軸から回折光学素子の径方向の距離をr(mm)とする。そのとき、rがb≦r≦b+0.4pを満たすときの第2の層の屈折率をKaとする。また、rがb+0.4p<r<b+pを満たすときの第2の層の屈折率をKbとする。そのときに、Ka/Kbが1.0001から1.0006までの範囲にあることを特徴とする。この範囲を満たすとき、良好な光学性能を得ることができる。
Ka/Kbが1.0001未満であると、第2の層中の圧縮応力や引っ張り応力の発生が小さくなり、うねり厚が大きくなる。一方、Ka/Kbが1.0006を超えると、第2の層中の圧縮応力や引っ張り応力の発生が大きくなりヒケが発生しやすくなる。
ここで、屈折率は、例えば、顕微分光測定器を用いて測定することができる。
さらに、本発明の回折光学素子は、前記第2の層におけるうねり厚が80nm以下であることが好ましい。うねり厚が80nmを超えると、回折光学素子を透過する光の透過波面が位相ずれを起こしたまま光学系の撮像面に到達し、撮像された画像に同心円状の縞模様が発生するおそれがある。
また、本発明の回折光学素子は、第2の層4中の強度の強い光を照射した部分の硬化反応率が、強度の弱い光を照射した部分の硬化反応率より高いことが好ましい。ここで、前記強度の強い光を照射した部分とはrがb≦r≦b+0.4pを満たす部分である。また、強度の弱い光を照射した部分とはrがb+0.4p<r<b+pを満たす部分である。硬化反応率が前記条件を満たすと、前記Ka/Kbを1.0001から1.0006までの範囲にすることが容易になるためである。硬化反応率は、例えば、顕微フーリエ変換赤外分光法を用いて、炭素二重結合部スペクトルの残存率より求めることができる。ここで、炭素二重結合部スペクトルが検出されない状態を硬化反応率100%とする。なお、一般的な光硬化性樹脂の硬化収縮率は、5〜10%程度である。
(回折光学素子の評価)
回折光学素子の透過波面の位相ずれは、光干渉計によって測定できるが、より簡易的に当該回折光学素子を用いて撮影した写真によっても評価することができる。具体的には、平坦面のうねり厚と撮影写真のボケ像中の明暗の縞模様における輝度差との関係により評価することができる。透過波面の位相ずれは、撮影写真のボケ像中に同心円状の明暗の縞模様として現れるが、その明暗の輝度差やコントラスト値が、透過波面の位相ずれの程度に等しくなるからである。写真ボケ像中の明暗の縞模様の輝度差は、一般的な画像処理ソフトを用いて解析できる。写真ボケ像中の縞模様の輝度差が60程度であれば、縞模様が極薄く目立たないので、撮影した写真の見栄えは悪くならない。写真ボケ像中の縞模様の輝度差が150を越えると、縞模様が濃く目立つので、撮影した写真の見栄えは悪くなる。
以上のように、第2の層4を形成する工程で発生する第2の層4の変形を抑制して、回折光学素子を透過する光の透過波面の位相ずれを低減することにより、光学性能に優れた回折光学素子を提供することができる。
(光学機器)
次に本発明の光学機器に関して説明する。本発明の光学機器は、上記回折光学素子とレンズとを配置することを特徴とする。
図6は、本発明の光学機器の好適な実施形態の一例である一眼レフカメラの交換レンズ鏡筒の光学系の断面図である。レンズ鏡筒30の光学系は、レンズ21〜28および回折光学素子20が光軸Oに対して垂直に配列されている。ここでレンズ21側がレンズ鏡筒の表面であり、レンズ28側がカメラとの着脱マウント側である。
本発明の回折光学素子20を光学系の適切な位置に配置させることにより、ボケ像が低減した、色収差が低減した小型かつ軽量のレンズ鏡筒を提供することができる。また、図6のように回折光学素子20をレンズ21の内側に設けることにより、回折光学素子20に外光が直接当たることを防止できるため、フレアを抑制することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の回折光学素子、およびその製造方法をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(回折光学素子の製造)
本実施例の回折光学素子の製造方法を、図1を用いて説明する。
基材1には、ガラス(オハラ株式会社製、製品名:S−FPL)からなる半径30mm、厚み3mmの両面とも平面であるガラスを用いた。第1の材料2aには無色透明な光硬化性のフッ素系エポキシ樹脂を用い、第2の材料4aは無色透明な光硬化性の硫黄含有アクリル樹脂を用いた。
先ず、基材1の第1の層2を形成する面に、フッ素系エポキシ樹脂との密着を強くするためにシランカップリング処理を施した。
次に、基材1のシランカップリング処理面を第1の型3側に向けて配置した。第1の型3はステンレス鋼の土台にNiPをメッキしたものであり、回折格子形状を反転した形状になるように切削加工によって製作した。
次に、第1の型3の中央付近に不図示のディスペンサーにて、フッ素系エポキシ樹脂を600mg滴下した(図1(a))。なお、フッ素系エポキシ樹脂を基材1のシランカップリング処理面の中央付近に滴下しても良い。
次に、第1の型3を3kgfの力で10秒間押圧して、基材1と第1の型3との間に、フッ素系エポキシ樹脂を押し広げ充填した(図1(b))。この時、フッ素系エポキシ樹脂は基材1と第1の型3の間の厚さが200μmになるまで押し広げられ、且つ光学有効部内の格子形状を覆った。ここで、フッ素系エポキシ樹脂を基材1と第1の型3の間で同心円状に充填するため、基材1または第1の型3を光軸周りに回転させる工程を追加しても良い。
次に、紫外線照射ランプ(HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製、製品名:UL750)を用いてフッ素系エポキシ樹脂を硬化した。フッ素系エポキシ樹脂に対して、光強度10mW/cmの紫外光を、基材1を通して10分間照射した。ここで、光強度は紫外線積算光量計(ウシオ電機株式会社製、製品名:UIT−250)を用いて測定した。
次に、基材1と一体になった第1の層2を第1の型3から離型して、基材1上に第1の層2を形成した。第1の層2には、第1の型3によって回折格子7が転写された(図1(c))。
次に、基材1を第1の層2を第2の型5側に向けて配置した。第2の型5は、紫外線を透過する石英材料から成り、研磨加工によって製作した。
次に、第2の型5の中央付近に不図示のディスペンサーにて、硫黄含有アクリル樹脂を150mg滴下した(図1(d))。なお、硫黄含有アクリル樹脂を基材1上の第1の層2の中央付近に滴下しても良い。
次に、基材1を10kgfの力で15秒間押圧して、基材1上の第1の層2と第2の型5の間に、硫黄含有アクリル樹脂を押し広げ充填した(図1(e))。この時、硫黄含有アクリル樹脂は第1の層2と第2の型5の間の厚さが50μmになるまで押し広げられ、且つ光学有効部内の格子形状を覆った。ここで、硫黄含有アクリル樹脂を第1の層2と第2の型5の間で同心円状に充填するため、基材1または第2の型5を光軸周りに回転させる工程を追加しても良い。
次に、光源12として紫外線照射ランプを用いて、硫黄含有アクリル樹脂に対して紫外光を第2の型5を通して15分間照射して硬化させた。本実施例では、紫外光の強度分布は紫外線照射ランプと第2の型5の間にグレイマスクを配置して、このグレイマスクを介して光を照射することによって設けた(図5参照)。なお、グレイマスクを紫外線照射ランプと基材1の間に配置して、基材1側から光を照射しても良い。グレイマスクを介した光照射は、回折光学素子の光軸から2番目までの格子のみに対して行い、それ以外の格子に対してはグレイマスクを介さず、紫外線照射ランプからの光を直接照射した。
この時、第2の層4における光強度の極大値と極小値は、それぞれ10mW/cmと2mW/cmであり、極小値に対する極大値の比は5であった。なお、光強度は紫外線積算光量計(ウシオ電機株式会社製、製品名:UIT−250)を用いて測定した。回折光学素子の光軸に近接する1番目の格子(m=1、b=0mm)の距離pは3mm(b+0.4p=1.2mm)であった。また、同格子の第2の層中における光強度の極大値と極小値の位置は、それぞれ光軸上(I(r)max=0mm)と光軸から2.98mmの距離であった。また、回折光学素子の光軸から2番目の格子(m=2、b=3mm)の距離pは1.6mm(b+0.4p=3.64mm)であった。また、同格子の第2の層中における平均の光強度の極大値と極小値の位置は、それぞれ光軸から3.02mm(I(r)max=3.02mm)と4.58mmの距離であった。
最後に、基材1と第1の層2と一体になった第2の層4を第2の型5から離型して、本発明の回折光学素子を得た(図1(f))。
得られた回折格子は光軸に対して軸対称なブレ−ズ型回折格子であり、その格子高さは20μm、レンズ径方向の格子の距離は0.2〜3mmの範囲に分布していた。(図3参照)
第2の層4には、第2の型5によって平坦面6が転写されたが、平坦面6におけるうねり厚は50nmであった。
(回折光学素子の評価)
続いて、得られた回折光学素子を評価した。
本実施例の回折光学素子では、平坦面の50nmのうねり厚が、撮影写真のボケ像中の明暗の縞模様における60の輝度差に相当した。
本実施例では、グレイマスクを用いて、第2の層4に対して強度分布を有する光を照射した。第2の層4中で強度の強い光を照射した部分では、硬化収縮や反応熱の膨張によって圧縮応力が発生する。反して、第2の層4中で強度の弱い光を照射した部分では、相対的に引っ張り応力が発生する。
本実施例の格子形状の格子高さは20μmであるから、仮に強度分布を有しない光を照射すると、うねり形状の凹部は、格子壁面からレンズ径方向へ凡そ20μmの位置に発生する。本実施例では、本来うねり形状の凹部が発生する当該部に対して、相対的に強い強度の光を照射することで、当該部に圧縮応力を発生させた。この圧縮応力を利用して、うねり形状の凹部を逆に膨張させることで、平坦面6をより平坦平滑に形成した。一方で、うねり形状の凸部は、図4に示すように格子壁面近傍の第2の層4層の厚みが薄い側に発生する。このうねり形状の凸部が発生する当該部に対しては、相対的に弱い強度の光を照射することで、引っ張り応力を発生させた。この引っ張り応力を利用して、うねり形状の凸部を逆に収縮させることで、平坦面6をより平坦平滑に形成した。
さらに、本実施例においては、特に大きなうねり形状が発生する光軸から2番目までの格子の第2の層4に対して、強度分布を有する光を照射することで、平坦面6の全面を平坦平滑に形成した。
本実施例の回折光学素子の第2の層4中の屈折率を顕微分光測定器を用いて測定した。その結果、光軸から回折光学素子の径方向の距離rがb≦r≦b+0.4pを満たすときの第2の層4の屈折率Kaが1.5559であった。また、rがb+0.4p<r<b+pを満たすときの第2の層4の屈折率Kbは1.5554であった。すなわち、Ka/Kbが1.0003であった。
また、本実施例での回折光学素子の第2の層4中の硬化反応率を顕微フーリエ変換赤外分光法を用いて測定した。その結果、光軸から回折光学素子の径方向の距離rがb≦r≦b+0.4pを満たす部分の硬化反応率は87%であった。また、rがb+0.4p<r<b+pを満たす部分の硬化反応率は76%であった。
本実施例の回折光学素子の製造方法によれば、第2の層4を形成する工程で発生する第2の層4の変形を抑制することができる。その結果、平坦面6のうねり厚を抑制して、回折光学素子を透過する光の透過波面の位相ずれを低減できるので、光学性能に優れた回折光学素子を製造することができる。
(比較例1)
比較例1は、第2の層4の厚さが実施例1と異なるだけで、その他の条件は同じである。比較例1の第2の層4の厚さは105μmであり、実施例1のそれよりも厚かった。
比較例1では、第2の層4の厚さが厚いので、強度分布を有する光の照射による第2の層4中の圧縮応力や引っ張り応力が顕著に発生しなかった。離型後の応力開放でもうねり形状の平坦平滑化が不十分なので、回折光学素子を透過する光の透過波面の位相ずれを十分に低減できなかった。
(比較例2)
比較例2は、第2の層4の厚さが実施例1と異なるだけで、その他の条件は同じである。比較例2の第2の層4の厚さは0.4μmであり、実施例1のそれよりも薄かった。
比較例2では、第2の層4の厚さが薄いので、強度分布を有する光の照射による第2の層4中の強い圧縮応力や引っ張り応力によりヒケが発生した。特に、第2の層4の下層の格子先端部に近接する界面でヒケが発生した。ヒケが発生したため、回折光学素子の外観が悪化して、充分な光学性能を得ることができなかった。
(実施例2)
本実施例の回折光学素子の製造方法は、第2の層4に対して強度分布を有する光を照射する工程における光強度の極大値と極小値とその照射範囲が実施例1と異なるだけで、その他の条件は同じである。
本実施例の第2の層4における光強度の極大値と極小値は、それぞれ5mW/cmと0.5mW/cmであり、極小値に対する極大値の比は10であった。
さらに、実施例1では、強度分布を有する光を回折光学素子の光軸から2番目までの格子に対して照射したが、本実施例においては第2の層4の全面に対して照射した。
本実施例の格子形状の格子高さは15μmなので、うねり形状の凹部は、格子壁面から第2の層の厚みが厚い側へ凡そ15μmの位置に発生した。うねり形状の凹部が発生する当該部に対して、光強度の極大値5mW/cmの光を照射した。
得られた回折光学素子の構成は、第2の層4と回折格子7の形状が実施例1と異なるだけで、その他の構成は同じであった。第2の層4の厚さは20μmであり、平坦面6のうねり厚は、80nmであった。回折格子7の高さは、15μmであった。(図3参照)
本実施例の回折光学素子は、平坦面6の80nmのうねり厚が、写真ボケ像中の明暗の縞模様における100の輝度差に相当した。
本実施例の回折光学素子の第2の層4中の屈折率を顕微分光測定器を用いて測定したところ、Kaが1.5553で、Kbは1.5545であった。すなわち、Ka/Kbが1.0005であった。
また、本実施例の回折光学素子の第2の層4中の硬化反応率を測定した。その結果、光軸から回折光学素子の径方向の距離rがb≦r≦b+0.4pを満たす部分の硬化反応率は82%であった。また、rがb+0.4p<r<b+pを満たす部分の硬化反応率は68%であった。
このように本実施例では、第2の層4を形成する工程で発生する第2の層4の変形を抑制して、回折光学素子を透過する光の透過波面の位相ずれを低減するので、光学性能に優れた回折光学素子を提供することができる。特に、第2の層4の厚さがより薄くなっても、第2の層4における光強度の極小値に対する極大値の比をより大きくすることで、うねり形状の抑制された良好な平坦面6を形成することができる。さらに、強度分布を有する光を第2の層4の全面に対して照射することで、うねり形状の抑制された良好な平坦面を第2の層4の全面に形成することができる。
(比較例3)
比較例3は、第2の層中における光強度の極大値の位置が実施例2と異なるだけで、その他の構成は同じである。
比較例3の光強度の極大値の位置は、各格子の距離に対して、格子壁面から第2の層の厚さが厚い側へ45%の位置(I(r)max=b+0.45p)とした。具体的に、距離pが1mmの格子に対して、光強度の極大値の位置は、格子壁面から第2の層の厚さが厚い側へ0.45mmの位置であった。
比較例3では、うねり形状の凹部の発生位置とは異なる位置の第2の層4中に圧縮応力を負荷するので、うねり形状を十分に抑制できなかった。よって、回折光学素子を透過する光の透過波面の位相ずれを十分に低減できなかった。
(実施例3)
本実施例の回折光学素子の製造方法は、第1の材料2aにITO微粒子を分散した光硬化性樹脂を用いたこと、第2の材料4aにZrO微粒子を分散した光硬化性アクリル樹脂を用いたことが異なる。また、第2の層4に対して強度分布を有する光を照射する工程における平均の光強度の極大値と極小値と、光の照射方向も実施例1と異なるが、その他の構成は実施例1と同じである。
本実施例の第2の層4における平均の光強度の極大値と極小値は、それぞれ12mW/cmと10mW/cmであり、極小値に対する極大値の比は1.2であった。また、実施例1では、紫外線を透過する第2の型5側からグレイマスクを介して強度分布を有する光を照射したが、本実施例においては、基材1側からグレイマスクを介して強度分布を有する光を照射した。この時、第1の層2による紫外線の減衰率も考慮して、照射する光強度を設定した。
本実施例の格子形状の格子高さは30μmなので、うねり形状の凹部は、格子壁面から第2の層の厚みが厚い側へ凡そ30μmの位置に発生する。うねり形状の凹部が発生する当該部に対して、光強度の極大値12mW/cmの光を照射した。
得られた回折光学素子の構成は、第1の層2と第2の層4の材料と、第2の層4と回折格子7の形状が実施例1と異なるだけで、その他の構成は同じである。第2の層4の厚さは100μmであり、平坦面6のうねり厚は、20nmであった。回折格子7の格子高さは、30μmであった。(図3参照)
本実施例の回折光学素子では、平坦面6の20nmのうねり厚が、写真ボケ像中の明暗の縞模様における30の輝度差に相当した。
本実施例での回折光学素子の第2の層4中の屈折率を顕微分光測定器を用いて測定したところ、Kaが1.6208で、Kbは1.6205であった。すなわち、Ka/Kbが1.0002であった。
また、本実施例の回折光学素子の第2の層4中の硬化反応率を測定した。その結果、光軸から回折光学素子の径方向の距離rがb≦r≦b+0.4pを満たす部分の硬化反応率は88%であった。また、rがb+0.4p<r<b+pを満たす部分の硬化反応率は81%であった。
このように本実施例では、第2の層4を形成する工程で発生する第2の層4の変形を抑制して、回折光学素子を透過する光の透過波面の位相ずれを低減するので、光学性能に優れた回折光学素子を提供することができる。特に、第2の層4の厚さがより厚い場合に、第2の層4中における光強度の極小値に対する極大値の比をより小さくすることで、うねり形状の抑制された良好な平坦面6を形成することができる。さらに、基材1側から強度分布を有する光を照射できるので、第2の型5を仕様やコストを考慮した任意の材質で製作することができる。
1 基材
2 第1の層
2a 第1の材料
3 第1の型
4 第2の層
4a 第2の材料
5 第2の型
6 平坦面
7 回折格子
8 光軸
9 格子壁面
10 グレイマスク
11 光エネルギーの強度
12 光源
13 m番目の格子の谷部
20 回折光学素子
21 レンズ
22 レンズ
23 レンズ
24 レンズ
25 レンズ
26 レンズ
27 レンズ
28 レンズ
30 レンズ鏡筒

Claims (7)

  1. 回折格子形状を反転した形状を有する第1の型と基材との間に光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含む第1の材料を設ける工程と、
    熱または光エネルギーを与えて前記第1の材料を硬化させ、前記基材上に第1の層を形成する工程と、
    前記第1の型から前記第1の層を離型する工程と、
    第2の型と前記第1の層との間に光硬化性樹脂を含む第2の材料を設ける工程と、
    光エネルギーを与えて前記第2の材料を硬化させ、前記第1の層上に前記第1の層と密着した厚さが0.5μm以上100μm以下の第2の層を形成する工程と、
    前記第2の型から前記第2の層を離型する工程と、
    を有する回折光学素子の製造方法であって、
    前記第2の層を形成する工程において、前記光エネルギーが回折光学素子の光軸からm番目(mは整数)の格子の谷部までの距離をb(mm)、前記m番目の格子からm+1番目の格子までの距離をp(mm)、前記光軸から前記第2の層中の光強度が極大である位置までの距離をI(r)max(mm)としたとき、
    b≦I(r)max≦b+0.4p
    を満たすことを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  2. 前記光軸から回折光学素子の径方向の距離rの位置(ただし、b≦r<b+pとする。)における前記第2の層中の光強度の極小値に対する前記光強度の極大値との比が、1.2以上10以下である請求項1に記載の回折光学素子の製造方法。
  3. 前記光強度の極大値が、10mW/cm以上50mW/cm以下である請求項2に記載の回折光学素子の製造方法。
  4. 回折格子形状を反転した形状を有する第1の型と基材との間に光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含む第1の材料を設ける工程と、
    熱または光エネルギーを与えて前記第1の材料を硬化させ、前記基材上に高さz(mm)の回折格子形状を有する第1の層を形成する工程と、
    前記第1の型から前記第1の層を離型する工程と、
    第2の型と前記第1の層との間に光硬化性樹脂を含む第2の材料を設ける工程と、
    光エネルギーを与えて前記第2の材料を硬化させ、前記第1の層上に前記第1の層と密着した厚さが0.5μm以上100μm以下の第2の層を形成する工程と、
    前記第2の型から前記第2の層を離型する工程と、
    を有する回折光学素子の製造方法であって、
    前記第2の層を形成する工程において、前記光エネルギーが回折光学素子の光軸からm番目(mは整数)の格子の谷部までの距離をb(mm)、前記m番目の格子からm+1番目の格子までの距離をp(mm)、前記光軸から回折光学素子の径方向の距離をr(mm)としたときに、r=b+zの位置における前記第2の層中の光強度が、r=b+p−zの位置における前記第2の層中の光強度より高いことを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  5. 基材上に回折格子形状を有する第1の層と、前記第1の層の上に第2の層が密着して設けられた回折光学素子であって、
    前記第2の層の厚さが0.5μm以上100μm以下であり、
    回折光学素子の光軸からm番目(mは整数)の格子の谷部までの距離をb(mm)、前記m番目の格子の谷部からm+1番目の格子の谷部までの距離をp(mm)、前記光軸から回折光学素子の径方向の距離をr(mm)、rがb≦r≦b+0.4pを満たすときの第2の層の屈折率をKa、rがb+0.4p<r<b+pを満たすときの第2の層の屈折率をKbとしたときに、Ka/Kbが1.0001から1.0006までの範囲にあることを特徴とする回折光学素子。
  6. 前記第2の層におけるうねり厚が80nm以下である請求項5に記載の回折光学素子。
  7. 請求項5または6に記載の回折光学素子とレンズとを配置することを特徴とする光学機器。
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