JP2019011451A - 筆記具用水性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、分散安定性および良好な筆跡が得られるなど筆記性能に優れた筆記具用水性インキ組成物および、それを用いた筆記具を提供すること。【解決手段】ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤と、着色剤と、水と、を含んでなることを特徴とする、筆記具用水性インキ組成物および、それを用いた筆記具。【選択図】なし

Description

本発明は、筆記具用水性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具に関するものである。
近年、筆記具用水性インキ組成物は、耐光性や耐水性を向上させるため着色剤に顔料を用いたり、筆跡にじみを抑制するためやインキの外観色の向上させるため無機粒子や樹脂粒子をインキ中に添加したりするなど、主溶媒である水に不溶な状態で存在する成分を用いて、インキの品質の向上を図っている。
しかしながら、上記のような成分は主溶媒である水に不溶なため、均一に分散させて安定な状態にさせておかなければ、凝集、沈降が起こり、インキ組成物の発色性が低下したり、さらには、ペン先からのインキ吐出性が低下して、線とびやかすれが生じたり、さらには筆記不能になるなど、筆記具用水性インキ組成物として十分な性能を得ることができなくなるなどの課題を有する。
そこで、上記課題を解決するため、インキ組成物中に各種分散剤を添加したインキ組成物が多数提案されている。
例えば、特許文献1には、N−ビニルピロリドンあるいはその誘導体とアルケン化合物を共重合して得られる高分子化合物を分散剤として含んでなるインキ組成物が、特許文献2には、カルボキシル基含有化合物のアルカリ塩を分散剤として含んでなるインキ組成物が提案されている。
しかしながら、分散効果はあるものの十分とは言えず、線とびやかすれが十分に解決できなかったり、良好な分散効果が得られる程度の量を添加すると所望のインキ粘度より高くなってしまい、書き味が劣ってしまったり、経時保存後にはインキ成分が凝集、分離が生じてしまうなど、筆記具用水性インキ組成物としての性能を十分に満足できるものではなかった。
特開平8−176488号公報 特開2004−018675号公報
本発明は、分散安定性に優れ、良好な筆跡が得られる筆記具用水性インキ組成物を提供するものであり、さらに、それを用いた筆記具を提供するものである。
本発明の筆記具用水性インキ組成物は、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤と、着色剤と、水と、を含んでなることを特徴とするものである。
また、本発明の筆記具は、前記筆記具用水性インキ組成物を収容してなることを特徴とするものである。
本発明によれば、分散安定性に優れ、発色良好で、線とびやかすれが改善された良好な筆跡が得られるなど筆記性能に優れた筆記具用水性インキ組成物および、それを用いた筆記具を提供することができる。
本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」などは特に断らない限り質量基準である。
<<筆記具用水性インキ組成物>>
本発明による筆記具用水性インキ組成物(以下、場合により、インキ組成物と表す。)は、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤と、着色剤と、水と、を含んでなることを第一の特徴とする。以下、本発明によるインキ組成物を構成する各成分について説明する。
<ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤>
本発明のインキ組成物は、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤を含んでなる。
前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤とは、下記式(1)で示される骨格構造を有する界面活性剤である。
Figure 2019011451
式(1)中のCOはエチレンオキシド基、COはプロピレンオキシド基を表す。尚、プロピレンオキシド基は、−(CH−、−CHCH(CH)−のいずれでも良い。また、式(1)中のxは1〜3である。式(1)中のy、zはそれぞれ、エチレンオキシド付加モル数、プロピレンオキシド付加モル数を表し、y≧1、z≧0である。
尚、y≧1かつz≧1である場合には、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基が結合する順番は任意であり、ランダム状でもブロック状に結合していても構わない。
本発明において、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤は分散剤として働き、顔料、無機粒子、樹脂粒子などの主溶媒である水に不溶な状態で存在し得る成分を、インキ組成物中に均一に分散させることができる。このため、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤を含んでなる本発明のインキ組成物は、インキ組成物中の成分が凝集や沈降が生じることなく、分散安定性に優れたものとなり、インキ吐出性に優れ、トギレやかすれが改善された良好な筆跡をもたらす。また、経時的な分散安定性にも優れており、インキ粘度の上昇や分離が生じ難く、本発明のインキ組成物を経時保存した場合においても、良好な筆跡をもたらす。
さらに、前記界面活性剤を含んでなる本発明のインキ組成物は、前述の通り、分散安定性に優れていることから、得られる筆跡は発色良好なものとなり、さらには、透明なインキ収容体に収容した際、インキ収容体からインキ組成物の色がムラなく視認することができる。
これは、理由は定かではないが、下記のように推測する。前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤は、エチレンオキシド基を含んでなるアルキレンオキシド基と、スチリルフェニル基を有し、一つの分子内に親水性部位と疎水性部位を有するものである。このため、前記界面活性剤は、親水性と疎水性のバランスが保たれており、前記界面活性剤の疎水性部位は、顔料、無機粒子、樹脂粒子などの表面に吸着して、顔料などが凝集することを抑制することができる。また、前記界面活性剤は、疎水基に多くの芳香環を有しており、この芳香環と顔料などの間に相互作用が生じるため、顔料などへの吸着性に優れ、分散安定性に寄与するものと考えられる。さらに、スチリルフェニル基には芳香環以外にもエチレン二重結合を有しており、該エチレン二重結合は、単結合と比べて吸着力に優れると考えられるため、スチリルフェニル基を疎水性部位として有する前記界面活性剤は、顔料などをより安定に分散できると考えらえる。特に、顔料や樹脂粒子に芳香環を有する場合には、前記界面活性剤との間により強い相互作用が生じるため、更に良好な分散安定性が得られると考えられる。以上より、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤を用いることにより、分散安定性に優れたインキ組成物を得ることができるのである。
尚、本発明において、分散安定性の向上を考慮すると、式(1)中のxが2または3である構造を有する前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤を含んでなることが好ましい。これは、分子内にスチリルフェニル基を複数もつため、顔料、無機粒子、樹脂粒子などの間に生じる相互作用が強くなり、凝集抑制効果が得られやすいためである。
前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤としては、式(2)で表されるようなポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル型界面活性剤、式(3)で表されるようなポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル型界面活性剤、式(4)で表されるようなポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル硫酸エステル型界面活性剤等が挙げられる。
Figure 2019011451
Figure 2019011451
Figure 2019011451
前記式(2)〜式(4)中のxは1〜3であり、y≧1、z≧0である。また、前記式(3)中のRはOHまたはRであり、R=OHの場合にはモノエステル、R=Rの場合にはジエステルを表す。
前記式(3)で表されるようなポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル型界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステルが挙げられ、前記式(4)で表されるようなポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル硫酸エステル型界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル硫酸エステルが挙げられる。本発明において、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステルおよび前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル硫酸エステルはそれぞれ、塩基で中和された、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩として用いても良く、これらは、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などが例示できる
中でも、分散安定性の向上、インキ組成物の経時安定性を考慮すると、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル型界面活性剤を用いることが好ましい。これは、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル型界面活性剤が非イオン性界面活性剤であるため、インキ中に配合されるその他のイオン性を持った物質や、主溶媒である水に微量に含まれる金属イオン等の影響を受けにくいためである。さらに、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル型界面活性剤は、低気泡性であり、分散効率が良いことからも、好ましい。
尚、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル型界面活性剤としては、例えば、式(5)で示されるようなポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテルや、式(6)で示されるようなポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリスチリルフェニルエーテルなどが挙げられる。
Figure 2019011451
式(5)中のxは1〜3であり、y≧1である。
Figure 2019011451
式(6)中のxは1〜3であり、y≧1かつz≧1である。
前記式(6)で示されるようなポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリスチリルフェニルエーテルは、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基を有するため、親水性と疎水性のバランスがより好適に保たれやすく、水中で安定的に存在しながら、多様な成分に対して吸着しやすく、分散効果をもたらしやすいため、特に効果的である。
尚、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリスチリルフェニルエーテルにおいては、エチレンオキシド付加モル数とプロピレンオキシド付加モル数を表すy、zは、3≦y+z≦40、0<z/y≦0.5であることが好ましい。
また、本発明のインキ組成物をボールペンに用いる場合には、式(3)で表されるようなポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル型界面活性剤を好適に用いることができる。これは、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル型界面活性剤は、リン酸基を有するため、ボールとボール座に吸着して潤滑剤としても働き、分散安定性をもたらすと同時に、書き味の向上とボール座の摩耗抑制をもたらすことができるためである。さらに、分散安定性の更なる向上と、書き味の向上、ボール座の摩耗抑制を考慮すると、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル型界面活性剤と前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル型界面活性剤の二つを併用することは、より効果的である。
前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤の市販品の一例を下記に示す。前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル型界面活性剤としては、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテルとして、パイオニンD−6112、パイオニンD−6115、パイオニンD−6120、パイオニンD−6131が挙げられ、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリスチリルフェニルエーテルとして、パイオニンD−6105−W、タケサーフD−6108−W、パイオニンD−6112−W、タケサーフD−6120−X(以上、竹本油脂(株)製)などが挙げられる。
また、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル型界面活性剤としては、ニューカルゲンFS−3AQ、ニューカルゲンFS−3PG(以上、竹本油脂(株)製)、ニューコール607−PDE(以上、日本乳化剤(株)製)などが挙げられ、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル硫酸エステル型界面活性剤としては、ニューカルゲンFS−7S、ニューカルゲンP−205S30(以上、竹本油脂(株)製)などが挙げられる。
本発明において、分散安定性の更なる向上を考慮すると、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤のHLB値は5〜16であることが好ましい。前記界面活性剤のHLB値が5以上であると、溶媒である水に溶け残ることなく安定に存在することができ、前記界面活性剤がもたらす分散効果を十分に得ることができるため好ましい。16以下であれば、顔料や無機粒子、樹脂粒子などへの吸着力が十分に確保できるため分散効果が得られやすく、好ましい。更に、分散安定性の向上を考慮すると、HLB値が10〜16であることがより好ましく、12〜15であることがさらに好ましい。
尚、本発明における前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤のHLB値は、前記式(1)で示される骨格構造が示すHLB値であり、グリフィン法から算出される値である。尚、グリフィン法は下記式によって算出される値である。
HLB値=20×(親水基の質量%)=20×(親水基の式量の総和/界面活性剤の分子量)
本発明のインキ組成物における、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤の含有量は、インキ組成物の総質量を基準として、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましい。
前記界面活性剤の含有量が上記数値範囲内であれば、前記界面活性剤の分散剤としての効果を十分に得ることができ、優れた分散安定性が得られやすい。さらに、良好な筆跡が得られ、筆跡の発色性の向上を考慮すると、0.1〜5質量%であることがより好ましい。尚、前記界面活性剤は、1種類又は、2種類以上の混合物として使用することが可能である。
<着色剤>
本発明で用いる着色剤は、特に限定されないが、筆記具用水性インキ組成物に用いられる顔料、染料などを使用することができる。
顔料としては、特に制限されるものではなく、例えば、無機、有機、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、さらには、アルミ顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、マイクロカプセル顔料等が挙げられる。さらには、樹脂粒子を顔料もしくは染料で着色したような着色樹脂粒子を顔料として用いることも可能である。尚、顔料は予め、顔料分散剤を用いて媒体に分散された水分散顔料製品などを用いてもよい。
染料としては、特に制限されるものではなく、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、油溶性染料、含金染料、及び各種造塩タイプ染料等が採用可能である。 これらの顔料および染料は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
本発明において、発色良好で、さらに耐水性、耐光性に優れた良好な筆跡を得ることを考慮すると、顔料を用いることが好ましい。顔料は染料とは異なり水に不溶であるため、顔料を用いた場合、分散安定性の向上は大きな課題である。このため、本発明に用いられる前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエ−テル骨格を有する界面活性剤は、前述の通り、高い分散効果をもつことから、顔料と前記界面活性剤と併用することは効果的であり、発色良好で、耐水性、耐光性に優れた筆跡をもたらしながらも、優れた分散安定性をもつインキ組成物を実現することができる。
さらに、顔料の中でも、本発明においては、芳香環を構造中に有する顔料を用いることが好ましい。
前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤は、疎水基に芳香環を多く有するため、芳香環を構造中に有する化合物の分散性に優れている。このため、前記界面活性剤を含んでなる本発明のインキ組成物中で、芳香環を構造中に有する顔料は極めて良好に分散される。よって、前記芳香環を構造中に有する顔料を本発明に用いた場合、凝集沈降が生じることなく、良好なインキ吐出性が維持され、良好な筆跡が得られ、さらに、芳香環を構造中に有する顔料は均一に分散されることから、得られる筆跡は発色性に優れたものとなる。
前記芳香環を構造中に有する顔料としては、カーボンブラック、アゾ系顔料、スレン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、フタロシアニン系顔料などが挙げられる他、芳香環を構造に有する樹脂粒子を染料や顔料で着色した着色樹脂粒子なども挙げられる。特に、本発明においては、分散安定性の向上と発色性の向上を考慮すると、スチリルフェニル基との親和性が高い傾向にある、芳香環を構造中に有する樹脂粒子を染料や顔料で着色した着色樹脂粒子を用いることが好ましい。
前記芳香環を構造中に有する樹脂粒子としては、スチレン−アクリロニトリル系樹脂粒子、スチレン−ブタジエン系樹脂粒子、スチレンーアクリル系樹脂粒子、フェノール樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子などが挙げられるが、前記界面活性剤の分散効果を十分に得、発色良好で、経時安定性の優れたインキ組成物を得ることを考慮すると、スチレン−アクリロニトリル系樹脂粒子を染料や顔料で着色した着色樹脂粒子が好適に用いることができる。
尚、芳香環を構造に有する樹脂粒子を染料や顔料で着色した着色樹脂粒子の市販品としては、ルミコールシリーズ(日本蛍光(株)製)、エポカラーシリーズ((株)日本触媒製)、シンロイヒカラーシリーズ(シンロイヒ(株)製)などが挙げられる。
本発明のインキ組成物における着色剤の含有量は、インキ組成物の総質量を基準として、0.1〜30質量%であることが好ましい。
<水>
水としては、特に制限なく、例えば、イオン交換水、蒸留水、および水道水などの慣用の水を用いることができる。
また、本発明のインキ組成物は、水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
本発明のインキ組成物のように、顔料、樹脂粒子、無機粒子などの主溶媒である水に不溶な状態で存在し得る成分を含んでなる場合、溶媒が蒸発し、一度インキが乾燥固化してインキ流路などが詰まってしまうと、後から追従されるインキによりこの詰まりを解消することは難しく、インキの残量はあるものの、再び筆記できなくなる可能性が高い。このため、耐ドライアップ性能の向上も十分に考慮する必要がある。よって、本発明においては、前記水溶性有機溶剤の中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール溶剤を選択して用いることが好ましい。これは、前記多価アルコール溶剤を用いることで、多価アルコール溶剤の吸湿効果をインキ組成物に付与することができるためである。
また、本発明のインキ組成物は、インキ粘度調整剤を含んでなることが好ましい。更には、本発明のインキ組成物をボールペンに用いる場合には、前記インキ粘度調整剤としては、剪断減粘性付与剤を用いることが好ましい。これは、剪断減粘性付与剤を用いることで、インキ組成物は、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤により得られる均一で良好な分散状態を維持し、顔料などの沈降を防ぎ、良好なインキ吐出性をもたらし、にじみなどない良好な筆跡を得ることができるためである。
前記剪断減粘性付与剤としては、架橋型アクリル酸重合体や、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、グアーガム、ローカストビーンガム、λ−カラギーナン、セルロース誘導体、ダイユータンガムなどの多糖類や、会合型増粘剤が挙げられる。
尚、前記会合型増粘剤としては、会合性疎水性基によってポリエステル系、ポリエーテル系、ウレタン変性ポリエーテル系、ポリアミノプラスト系などの会合型増粘剤や、アルカリ膨潤会合型増粘剤、ノニオン会合型増粘剤などが挙げられる。
これらの剪断減粘性付与剤は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
インキ組成物における前記インキ粘度調整剤の含有量は、インキ組成物の総質量を基準として、0.05〜2質量%であることが好ましい。これは、前記インキ粘度調整剤の含有量が上記数値範囲内であれば、インキ追従性、耐ドライアップ性に影響なく、良好なインキ分散性を得ることが出来る。より考慮すれば、0.1〜2質量%がより好ましく、0.1〜1質量%であることがさらに好ましい。
また、本発明のインキ組成物はデキストリンを含んでなることが好ましい。
前述の通り、本発明のインキ組成物のように、顔料、樹脂粒子、無機粒子などを含んでなる場合、分散安定性だけでなく、耐ドライアップ性能の向上も考慮する必要がある。前記デキストリンは、適度な湿潤効果をもち分散助剤として働く上、ペン先に被膜を形成してその被膜によってインキ中の溶媒の蒸発を防ぐ効果も併せ持つ。このため、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤とデキストリンを併用することは、分散安定性に優れながら、かつ耐ドライアップ性能に優れたインキ組成物を得ることができるため、効果的である。尚、デキストリンは、数個のα -グルコースが、グリコシド結合によって重合した物質の総称で、食物繊維の一種であり、デンプンの加水分解などにより得られる。
前記デキストリンの重量平均分子量については、5000〜120000であることが好ましい。120000以上であると、ペン先に形成される被膜が硬く、ドライアップ時の書き出しにおいて、筆跡がカスレやすくなる傾向がある。一方、5000未満だと、経時的な分散安定性を向上させる程度の粘度変化を与えにくく、さらにデキストリンの吸湿性が高くなりやすく、ペン先に生ずる被膜が柔らかく、ペン先で安定して維持しにくく、インキ中の溶媒の蒸発が抑制しにくい傾向にある。上記効果の向上をさらに考慮すると、重量平均分子量が、20000〜100000であるデキストリンを用いることが好ましい。
前記デキストリンの含有量は、インキ組成物の総質量を基準として、0.1〜5質量%が好ましい。これは、0.1質量%より少ないと、耐ドライアップ性能の向上効果が十分得られない傾向にあり、5質量%を越えると、インキ中で溶解しづらい傾向があるためである。よりインキ中の溶解安定性を考慮すれば、0.1〜3質量%が好ましく、より耐ドライアップ性能の向上を考慮すれば、1〜3質量%が最も好ましい。
また、本発明のように、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤を用いる場合においては、樹脂粒子を含んでなることが好ましい。
これは、前記界面活性剤は疎水基であるスチリルフェニル基と、樹脂粒子との表面の間に相互作用が生じ、良好な分散性を得られやすいと考えられる。さらに、前記樹脂粒子が芳香環を構造中に有する場合には、より強い相互作用が生じやすく、該樹脂粒子の表面に前記界面活性剤が安定的に吸着しやすく、より良好な分散安定性が得られると考えられる。
よって、インキ漏れ抑制や書き味向上など多様な目的で樹脂粒子を添加した場合においても、本発明のインキ組成物は優れた分散安定性を維持することができ、インキ流動性が低下したりせず、樹脂粒子により得られる所望な性能を得ながらも良好な筆跡を得ることができるため、樹脂粒子を含んでなることは効果的である。
尚、前記樹脂粒子としては、オレフィン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、ウレタン系樹脂粒子、スチレン−ブタジエン系樹脂粒子、スチレン−アクリロニトリル系樹脂粒子、ポリエステル系樹脂粒子、酢酸ビニル系樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子などが挙げられるが、中でも、本発明において、分散安定性を考慮すれば、前述の通り前記界面活性剤は芳香環を構造中に有する樹脂粒子の分散性により優れていることから、スチレン−ブタジエン系樹脂粒子、スチレン−アクリロニトリル系樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子などの芳香環を構造中に有する樹脂粒子を好適に用いることができる。
本発明のインキ組成物は、インキ物性や機能を向上させる目的で、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、キレート剤、保湿剤、などの各種添加剤を含んでいてもよい。
pH調整剤としては、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基性無機化合物、酢酸ナトリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの塩基性有機化合物、乳酸およびクエン酸などが挙げられ、インキ組成物の経時安定性を考慮すれば、塩基性有機化合物を用いることが好ましく、より考慮すれば、弱塩基性であるトリエタノールアミンを用いることが好ましい。これらのpH調整剤は単独又は2種以上混合して使用してもかまわない。
防錆剤としては、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、チオ硫酸ナトリウム、サポニン、またはジアルキルチオ尿素などが挙げられる。
防腐剤としては、フェノール、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)及びそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアミン塩などが挙げられる。
保湿剤としては、前記多価アルコール溶剤の他に、尿素、またはソルビット、また、トリメチルグリシン、トリエチルグリシン、トリプロピルグリシンなどのN,N,N−トリアルキルアミノ酸などがあげられる。
さらには、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤以外の各種界面活性剤を含んでも良い。ノニオン系、アニオン系、カチオン系界面活性剤などが挙げられ、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
また、本発明のインキ組成物をボールペンに用いる場合、さらに潤滑剤を含んでなることが好ましい。潤滑剤は、ボールペンが有するボールとボールペンチップの間の潤滑性を向上して、ボールの回転をスムーズにすることで、ボール座の摩耗を抑制し、書き味を向上するものである。本発明においては、リン酸エステル系界面活性剤や脂肪酸を用いることが好ましく、中でも、本発明においては、リン酸基を有するリン酸エステル系界面活性剤は、リン酸基は金属に吸着しやすい性質にあることから、潤滑性を向上させ、ボール座の摩耗抑制や書き味を向上させやすいため、より好ましい。
前記リン酸エステル系界面活性剤の具体例としては、プライサーフシリーズ(第一工業製薬(株))の中から、プライサーフA212C、同A208B、同A213B、同A208F、同A215C、同A219B、同A208N、同AL等が挙げられる。
また、前記脂肪酸の具体例としては、OSソープ、NSソープ、FR−14、FR−25(花王(株))等が挙げられる。
これらのリン酸エステル系界面活性剤、脂肪酸は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
<インキ組成物の製造方法>
本発明によるインキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
<<筆記具>>
本発明の筆記具用インキ組成物を充填する筆記具自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、従来より汎用のものが適用でき、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップまたはボールペンチップなどをペン先としたマーキングペンやボールペン、金属製のペン先を用いた万年筆などの各種筆記具に用いることができる。
また、本発明のインキ組成物を用いることができる筆記具としては、インキ組成物を直に充填する構成のものであってもよく、インキ組成物を充填することのできる、インキ収容体またはインキ吸蔵体を備えるものであってもよい。また、前記インキ収容体またはインキ吸蔵体が、筆記具本体に着脱自在に交換可能な構造をもつインキカートリッジ式筆記具であってもよい。
また、本発明のインキ組成物を用いることができる筆記具は、ペン先を覆うキャップを備えたキャップ式筆記具や、ノック式、回転式およびスライド式などの軸筒内にペン先を収容可能な出没式筆記具が挙げられる。
また、本発明のインキ組成物を用いることができる筆記具の供給機構についても特に限定されるものではなく、例えば、(機構1)繊維束などからなるインキ誘導芯をインキ流量調節部材として備え、インキ組成物をペン先に供給する機構、(機構2)くし溝状のインキ流量調節部材を備え、これを介在させ、インキ組成物をペン先に供給する機構、(機構3)弁機構によるインキ流量調節部材を備え、インキ組成物をペン先に供給する機構、および(機構4)インキ流量調節部材なしに直接、インキ組成物をペン先に供給する機構などを挙げることができる。
前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤はインキ組成物の表面張力を調整する効果も併せもつことから、供給機構の特性からインキ組成物の表面張力や部材との濡れ性を特に考慮する必要のある前記(機構2)のような筆記具に、本発明のインキ組成物を好適に用いることができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
下記の配合組成および方法により実施例1の筆記具用水性インキ組成物を得た。
・ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤 1.0質量%
(ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル)
・着色剤 20.0質量%
(顔料:スチレン−アクリロニトリル系樹脂粒子を塩基性染料(Basic Red1:1)で着色した着色樹脂粒子)
・デキストリン 1.0質量%
・インキ粘度調整剤 0.4質量%
(剪断減粘度付与剤、サクシノグリカン)
・潤滑剤 1.0質量%
(リン酸エステル系界面活性剤)
・pH調整剤 1.0質量%
(トリエタノールアミン)
・防錆剤 0.5質量%
(ベンゾトリアゾール)
・防腐剤 0.1質量%
(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン)
・水溶性有機溶剤 10.0質量%
(エチレングリコール)
・水 残部
ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤と、着色剤、デキストリン、潤滑剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、水溶性有機溶剤、水とをマグネットホットスターラーで加温撹拌などして、ベースインキを作製した。
その後、上記作製したベースインキを加温しながら、インキ粘度調整剤を投入してホモジナイザー攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合撹拌した後、濾紙を用いて濾過を行い、インキ組成物を得た。
<実施例2〜実施例18、比較例1〜比較例6>
実施例2〜実施例18、比較例1〜比較例6の筆記具用水性インキ組成物は、インキ組成物に含まれる成分の種類や配合量を表1〜表4において表される組成に変更した以外は、実施例1と同じ方法で得た。
Figure 2019011451
Figure 2019011451
Figure 2019011451
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<分散安定性試験>
実施例1〜実施例18、比較例1〜比較例6の筆記具用水性インキ組成物を、直径15mmの密開閉ガラス試験管に入れて、常温にて60日間放置し、上澄みの有無を目視にて観察し、下記評価基準で分散安定性を評価した。結果は表1〜表4にまとめた。
◎◎:上澄みは見られなかった。
◎:僅かに上澄みが見られた。
○:上澄みが見られたが、実用上問題のないレベルであった。
△:明らかな沈降が見られたが、試験管を傾けると沈降物が容易に動いた。
×:明らかな沈降が見られ、試験管を傾けても沈降物は固まったまま動かなかった。
<<試験用筆記具(ボールペン)の作製>>
実施例1〜実施例18、比較例1〜比較例6の筆記具用インキ組成物(1.0g)を、直径0.7mmの超硬合金製ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを先端に有するインキ収容体の内部に充填させたレフィルを作製し、このレフィルを(株)パイロットコーポレーション製のゲルインキボールペン(商品名:G−2)に装着し、ボールペンを得た。
得られたボールペンを試験用筆記具(ボールペン)とし、以下の試験および評価を行った。
<筆記性能試験>
筆記可能であることを確認した試験用筆記具(ボールペン)を用いて、手書きで、試験用紙(JIS P3201、筆記用紙A)に螺旋状の丸を連続筆記し、そのときの書き味を官能試験により、また、得られた筆跡の状況を目視にて確認し、下記評価基準で筆記性能を評価した。結果は表1〜表4にまとめた。
(書き味)
◎◎:非常に滑らかな書き味であった。
◎:滑らかな書き味であった。
○:やや重い書き味であったが、実用上問題のないレベルであった。
△:書き味が重く、実用上懸念が残るレベルであった。
×極めて重い、書き味であった。
(筆跡)
◎:筆跡に線とびやカスレなどない、発色良好な筆跡が得られた。
○:筆跡に線とびやカスレがわずかに確認されたが、発色は良好であり、実用上問題のないレベルであった。
△:筆跡に線とびやカスレが確認され、実用上懸念があるレベルであった。
×筆跡に線とびやカスレが多数確認された。
<経時安定性試験>
筆記性能試験に用いた試験用筆記具(ボールペン)を、ペン先を下にした状態で、常温にて60日間放置した後、手書きで、試験用紙(JIS P3201、筆記用紙A)に螺旋状の丸を連続筆記し、得られた筆跡の状況を目視にて確認し、下記評価基準で筆記性能を評価した。結果は表1〜表4にまとめた。
◎:筆跡に線とびやカスレなどない、発色良好な筆跡が得られた。
○:筆跡に線とびやカスレがわずかに確認されたが、発色は良好であり、実用上問題のないレベルであった。
△:筆跡に線とびやカスレが確認され、実用上懸念があるレベルであった。
×筆跡に線とびやカスレが多数確認された。
表1〜表3の結果より、実施例1〜実施例18の筆記具用水性インキ組成物は、イ分散安定性、筆記性能、経時安定性において、良好レベルのものであった。
一方、表4より、比較例1〜比較例6の筆記具用水性インキ組成物は、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤を用いていないため、分散安定性、筆記性能、経時安定性において、すべてを満足するものではなかった。
さらに、試験用ボールペンの軸筒部分に40gの重りを付け、ボールペンチップを吐出させて下向きにし、ボールペンチップのボールがボールペン用陳列ケースの底部に当接させた状態を保ち、20℃、65%RHの環境下に1日放置し、ボールペンチップ先端からのインキ漏れ量を測定してインキ漏れ試験を行ったところ、樹脂粒子を含んでなる実施例11、12、17、18のインキ組成物を用いたボールペンは、樹脂粒子を含んでいないインキ組成物を用いたボールペンに比べ、インキ漏れ量は少なく、実施例11、12、17、18のインキ組成物を用いたボールペンは、分散安定性、筆記性能、経時安定性に優れ、さらにはペン先からのインキ漏れをも抑制できる優れたボールペンであることがわかった。
<実施例19>
下記の配合組成および方法により実施例19の筆記具用インキ組成物を得た。
・ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤 1.0質量%
(ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル)
・着色剤 20.0質量%
(顔料:スチレン−アクリロニトリル系樹脂粒子を塩基性染料(Basic Red1:1)で着色した着色樹脂粒子)
・浸透剤 1.0質量%
(ニッコールPBC−34)
・防腐剤 0.1質量%
(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン)
・水溶性有機溶剤 20.0質量%
(グリセリン)
・水 残部
ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤、着色剤、水と、をプロペラ撹拌により混合してベース液を作製した。
その後、該ベース液に浸透剤と、防腐剤と、水溶性有機溶剤を添加し、プロペラ撹拌により混合して筆記具用インキ組成物を得た。
<比較例7>
比較例7は、実施例19の配合組成のうち、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤をβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩(商品名:デモールN 花王(株)製)に変更した以外は、実施例19と同じ方法で筆記具用インキ組成物を得た。
得られた実施例19と比較例7のインキ組成物を、直径15mmの密開閉ガラス試験管に入れて、常温にて60日間放置し、上澄みの有無を目視にて観察したところ、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤を含んでない比較例7のインキ組成物は上澄みが見られたのに対し、前記界面活性剤を含んでなる実施例19のインキ組成物は、上澄みは見られず分散安定性に優れていることがわかった。
また、実施例19と比較例7のインキ組成物を、ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、ホルダーを介して軸筒先端部にポリエステル繊維からなるマーキングペンチップ(チゼル型)を接続状態に組み立て、キャップを装着してマーキングペンを得た。
得られたマーキングペンを試験用筆記具(マーキングペン)とし、手書きにて螺旋状の丸を連続筆記し、得られた筆跡の状況を確認したところ、実施例19のインキ組成物を用いた試験用筆記具(マーキングペン)により得られた筆跡は、比較例7のインキ組成物を用いた試験用筆記具(マーキングペン)により得られた筆跡に比べ、カスレが少なく、良好なものであった。よって、前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤を含んでなる実施例19の筆記具用インキ組成物は、分散安定性に優れ、かつ、筆記性能に優れていることがわかった。
以上より、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤と、着色剤と、水と、を含んでなる筆記具用インキ組成物は、分散安定性に優れており、インキ組成物中の成分が沈降、凝集することなく、均一に分散され、また、書き味が良好であり、線トビやかすれなどなく発色良好な筆跡をもたらすなど、筆記性能にも優れたものであり、前記筆記具用インキ組成物を用いた筆記具は、筆記具として優れたものであることがわかった。
本発明のインキ組成物は、ボールペン、マーキングペン、万年筆、筆ペン、カリグラフィー用のペンなどの各種筆記具に用いることができ、該インキ組成物が収容されてなる筆記具は、分散安定性に優れ、良好な筆跡をもたらすことができる。



Claims (6)

  1. ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤と、着色剤と、水と、を含んでなることを特徴とする、筆記具用水性インキ組成物。
  2. 前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤の含有量が、前記筆記具用インキ組成物の総質量を基準として0.01質量%〜10質量%である、請求項1に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  3. 前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤のHLB値が5〜16である、請求項1または2に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  4. 前記ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル骨格を有する界面活性剤が、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル型界面活性剤である、請求項1〜3に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  5. さらに、樹脂粒子を含んでなる請求項1〜4に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の筆記具用水性インキ組成物を収容してなることを特徴とする、筆記具。







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