JP2018168248A - 筆記具用水性インキ組成物およびそれを用いた筆記具 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐ドライアップ性能、インキ追従性に優れ、筆跡の耐水性にも優れた筆記具用水性インキ組成物およびそれを用いた筆記具を提供すること。【解決手段】筆記先端と筆記先端に供給するインキ貯蔵部を有し、前記筆記先端とインキ貯蔵部の間に、インキ貯蔵部から筆記先端にインキを供給できインキ貯蔵部の内圧上昇に伴う溢出したインキを一時的に保持する櫛歯状のインキ保留部材をインキ流量調節体として配置した筆記具に内蔵する筆記具用水性インキ組成物であって、該インキ組成物が、水と、顔料と、N,N,N−トリアルキルアミノ酸と、ウレタン系造膜性樹脂粒子を含む筆記具用水性インキ組成物および、それを用いた筆記具とした。【選択図】 なし
Description
本発明は、筆記具用水性インキ組成物およびそれを用いた筆記具に関する。さらに詳しくは、筆記具に用いた際の耐ドライアップ性、筆跡の耐水性に優れた筆記具用水性インキ組成物およびそれを用いた筆記具に関する。
従来から、着色剤として顔料を用いた低粘度インキを万年筆やボールペンなどに充填して、筆記媒体へ筆記をすることが行われており、特に、耐水性、耐光性に優れたインキとすることができることから、盛んに検討が行われている。しかしながら、着色剤として顔料を用いたインキは、万年筆に代表される、インキ貯蔵部から筆記先端にインキを供給できる櫛歯状のインキ保留部材をインキ流量調節体として配置した筆記具に用いた際に、筆記先端がしばらくの間、大気中に晒された状態になると、筆記先端やインキ流路中でインキが乾燥固化し、インキ流路がつまり、筆跡がかすれたり、筆記不能になることがあった。顔料系のインキは、染料を着色剤として用いた場合と異なり、後からインキが供給されても、顔料が完全に再分散することが難しいため、インキ流路のつまりを解消することが困難であった。このように、顔料系のインキを用いた筆記具において、耐ドライアップ性の向上は、解決すべき課題であった。そこで、課題解決のため、水性インキ組成物中に、保湿剤として、多価アルコールなどの水溶性有機溶剤や、尿素、尿素誘導体やトリメチルグリシンなどの保湿効果のある材料を用いるなど、種々検討されていた(例えば特許文献1など)。これらの検討により、耐ドライアップ性を得ることはできるものの、インキ粘度が高くなり、万年筆に用いることが困難になったり、顔料インキの特徴のひとつである筆跡の耐水性が劣ってしまうことがあった。前記の通り、着色剤として顔料を用いたインキにおいては、耐ドライアップ性と、耐水性の両方の性能を同時に満足するためには、改良の余地があった。
本発明は、筆記先端と筆記先端に供給するインキ貯蔵部を有し、前記筆記先端とインキ貯蔵部の間に、インキ貯蔵部から筆記先端にインキを供給できインキ貯蔵部の内圧上昇に伴う溢出したインキを一時的に保留する櫛歯状のインキ保留部材をインキ流量調節体として配置した筆記具に内蔵する筆記具用水性インキ組成物であって、耐ドライアップ性、インキ追従性に優れ、筆跡の耐水性にも優れた筆記具用水性インキ組成物(単に「水性インキ組成物」または「インキ組成物」と表すことがある)およびそれを用いた筆記具を提供するものである。
本発明は、筆記具用水性インキ組成物に、N,N,N−トリアルキルアミノ酸とウレタン系造膜性樹脂粒子を含有する水性インキ組成物とすることなどにより上記課題が解決された。
すなわち、本発明は、
「1.筆記先端と筆記先端に供給するインキ貯蔵部を有し、前記筆記先端とインキ貯蔵部の間に、インキ貯蔵部から筆記先端にインキを供給できインキ貯蔵部の内圧上昇に伴う溢出したインキを一時的に保持する櫛歯状のインキ保留部材(以下、「ペン芯」と表すことがある)をインキ流量調節体として配置した筆記具に内蔵する筆記具用水性インキ組成物であって、該インキ組成物が、水と、顔料と、N,N,N−トリアルキルアミノ酸と、ウレタン系造膜性樹脂粒子を含むことを特徴とする筆記具用水性インキ組成物。
2.前記インキ組成物の、B型回転粘度計を用いて、回転数60rpm、20℃で測定した際の粘度が、1.0〜3.0mPa・sであることを特徴とする第1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
3.前記N,N,N−トリアルキルアミノ酸とウレタン系造膜性樹脂粒子の配合比が、質量基準で、1:0.05〜1:1であることを特徴とする第1項または第2項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
4.第1項〜第3項のいずれか1項に記載の筆記具用水性インキ組成物を内蔵してなる筆記具。」に関する。
すなわち、本発明は、
「1.筆記先端と筆記先端に供給するインキ貯蔵部を有し、前記筆記先端とインキ貯蔵部の間に、インキ貯蔵部から筆記先端にインキを供給できインキ貯蔵部の内圧上昇に伴う溢出したインキを一時的に保持する櫛歯状のインキ保留部材(以下、「ペン芯」と表すことがある)をインキ流量調節体として配置した筆記具に内蔵する筆記具用水性インキ組成物であって、該インキ組成物が、水と、顔料と、N,N,N−トリアルキルアミノ酸と、ウレタン系造膜性樹脂粒子を含むことを特徴とする筆記具用水性インキ組成物。
2.前記インキ組成物の、B型回転粘度計を用いて、回転数60rpm、20℃で測定した際の粘度が、1.0〜3.0mPa・sであることを特徴とする第1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
3.前記N,N,N−トリアルキルアミノ酸とウレタン系造膜性樹脂粒子の配合比が、質量基準で、1:0.05〜1:1であることを特徴とする第1項または第2項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
4.第1項〜第3項のいずれか1項に記載の筆記具用水性インキ組成物を内蔵してなる筆記具。」に関する。
本発明によれば、インキ組成物にN,N,N−トリアルキルアミノ酸とウレタン系造膜性樹脂粒子を含むことにより、筆記先端が大気に晒された際にも書き出しが良好となり耐ドライアップ性が向上し、得られた筆跡の耐水性も良好となるなど、優れた効果を奏するものである。
本発明の筆記具用水性インキ組成物は、筆記先端と筆記先端に供給するインキ貯蔵部を有し、前記筆記先端とインキ貯蔵部の間に、ペン芯をインキ流量調節体として配置した筆記具に内蔵する筆記具用水性インキ組成物に、水と、顔料と、N,N,N−トリアルキルアミノ酸と、ウレタン系造膜性樹脂粒子を含むことを一つの特徴とする。
本発明に用いる筆記具用水性インキ組成物は、N,N,N−トリアルキルアミノ酸を含んでなる。
N,N,N−トリアルキルアミノ酸は、高い吸湿性能を備えることから、保湿剤として働き、筆記先端からのインキの水分の蒸発を防ぐことができる。N,N,N−トリアルキルアミノ酸は、他の保湿剤に比べ、乾燥時の水分保持力が極めて高い。このため、N,N,N−トリアルキルアミノ酸を含んでなる水性インキ組成物は、厳しい乾燥状態にあったとしても、インキ中の水分蒸発を、長期的に効果的に制御することが可能となる。従って、N,N,N−トリアルキルアミノ酸を含んでなる水性インキ組成物を筆記具に用いた際に、長期間、または、乾燥状態が強い環境の中で、筆記先端が大気に晒された際にも、その高い保湿効果により、書き出しが良好である。また、インキが筆記先端やインキ流路で固化してインキ流路が詰まり、筆跡がかすれたり、書けなくなることを防止することができる。
N,N,N−トリアルキルアミノ酸は、高い吸湿性能を備えることから、保湿剤として働き、筆記先端からのインキの水分の蒸発を防ぐことができる。N,N,N−トリアルキルアミノ酸は、他の保湿剤に比べ、乾燥時の水分保持力が極めて高い。このため、N,N,N−トリアルキルアミノ酸を含んでなる水性インキ組成物は、厳しい乾燥状態にあったとしても、インキ中の水分蒸発を、長期的に効果的に制御することが可能となる。従って、N,N,N−トリアルキルアミノ酸を含んでなる水性インキ組成物を筆記具に用いた際に、長期間、または、乾燥状態が強い環境の中で、筆記先端が大気に晒された際にも、その高い保湿効果により、書き出しが良好である。また、インキが筆記先端やインキ流路で固化してインキ流路が詰まり、筆跡がかすれたり、書けなくなることを防止することができる。
R1〜R3としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を広く用いることができる。すなわち、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが例示される。なおR1〜R3は同一であっても異なっていてもよい。具体的には、n=1のトリメチルグリシン、トリエチルグリシン、トリプロピルグリシン、トリイソプロピルグリシン、n=2のトリメチル−β−アラニン、n=3のトリメチル−γ−アミノ酪酸などが挙げられる。耐ドライアップ性能の向上や水性インキ組成物の保存安定性の向上などを考慮すると、トリメチルグリシンを選択して用いることが好ましい。
本発明に用いられる水性インキ組成物におけるN,N,N−トリアルキルアミノ酸の含有量は、水性インキ組成物の総質量を基準として、1〜10質量%であることが好ましく、1〜7質量%であることがより好ましい。N,N,N−トリアルキルアミノ酸の含有量が前記範囲内であれば、N,N,N−トリアルキルアミノ酸の高い吸湿性能と乾燥時の高い水分保持力を効果的に得ることができ、本発明の水性インキ組成物がもたらす効果を、十分に得ることができる。
本発明に用いるウレタン系造膜性樹脂粒子とは、インキ組成物中でウレタン系樹脂が水に溶解せずに安定に分散したものであり、インキ組成物の水が蒸発した際に粒子同士が結着し造膜するものである。
本発明に用いるウレタン系造膜性樹脂粒子の配合割合としては、インキ組成物全質量に対して、0.1%以上であり、2.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.1質量%以上であり、0.5質量%以下である。この範囲より大きいと、インキ組成物の粘度が上昇し、筆記する際にインキ流路を通りにくくなり、筆跡がかすれたり、筆記できない恐れがある。さらに、造膜しやすくなり、筆記先端でインキが固化する恐れがある。この範囲より小さいと筆跡において造膜せず、皮膜が形成されないか、皮膜を形成するのに時間がかかる傾向があり、耐水性が劣る傾向がある。
本発明に用いるウレタン系造膜性樹脂粒子としては、ポリエーテルポリオール共重合型、ポリエステルポリオール共重合型、ポリカーボネートポリオール共重合型ウレタンエマルションなどを用いることができる。尚、インキ組成物にウレタン系造膜性樹脂粒子を配合する際には、インキ組成物に、ウレタン系造膜性樹脂が水に分散されたものを添加しても良く、インキ中でウレタン系造膜性樹脂を分散しても良い。
本発明による筆記具用水性インキ組成物は、N,N,N−トリアルキルアミノ酸とウレタン系造膜性樹脂粒子を含んでなり、該インキ組成物を、筆記先端と筆記先端に供給するインキ貯蔵部を有し、前記筆記先端とインキ貯蔵部の間に、ペン芯をインキ流量調節体として配置した筆記具に用いた際に、耐ドライアップ性と筆跡の耐水性が向上するが、一般的には、相反する関係にある性能を両立することができるのは、以下の理由によると考える。
すなわち、N,N,N−トリアルキルアミノ酸は、インキ組成物中で保湿剤として機能することは前記の通りであるため、筆記先端での水分蒸発を抑制する。そして、筆記先端で、ウレタン系造膜性樹脂粒子が、融着して造膜し連続した皮膜を形成することを防ぐ働きを併せ持つ。このため、筆記先端やペン芯のインキ流路中で樹脂が皮膜となることがないので、耐ドライアップ性が向上する。
そして、筆記した際に得られた筆跡は、インキ組成物中の水分とともに、N,N,N−トリアルキルアミノ酸が紙へ浸透することにより、紙上のインキ組成物中において樹脂の比率が高まり、N,N,N−トリアルキルアミノ酸による樹脂の融着および造膜を抑制する効果が相対的に減衰するため、エマルションの状態から、樹脂が融着して造膜し、連続した皮膜を形成する。その際、顔料が連続した皮膜中に取り込まれた状態で皮膜を形成する。そして、筆跡に水を滴下するなどして筆跡が水と接触した際にも、この樹脂による皮膜が再びエマルション状態に戻ることがない不可逆的な挙動を示すため、得られた筆跡の耐水性が向上すると考えられる。また、ウレタン系造膜性樹脂粒子を含まないインキ組成物で筆跡を形成した場合、水を滴下した際に、保湿剤と乳化剤などの作用により、筆跡の一部または全部が、滴下した水中に分散または溶解するため、筆跡が滲んで見えなくなるなど、耐水性が劣ることとなる。しかしながら、本発明においては、顔料の再分散および再溶解を防ぐことができるため、耐水性が向上する。以上の通り、N,N,N−トリアルキルアミノ酸とウレタン系造膜性樹脂粒子を併用することにより、耐ドライアップ性と耐水性の相反する性能を両立させることができるのである。
ウレタン系造膜性樹脂粒子以外の造膜性樹脂粒子である、アクリル系、オレフィン系などの造膜性樹脂粒子は、ウレタン系樹脂と比較して、親水性が若干低いことにより皮膜を形成しやすくなるため、N,N,N−トリアルキルアミノ酸の造膜し連続した皮膜を形成することを防ぐ働きが十分に機能せず、耐ドライアップ性が劣ることとなる。従って、ウレタン系造膜性樹脂粒子を用いることは、他の造膜性樹脂粒子を用いた場合と比較して、有利に働く。
本発明による筆記具用水性インキ組成物は、前記の通り、N,N,N−トリアルキルアミノ酸とウレタン系造膜性樹脂粒子を含むことにより、耐ドライアップ性と筆跡の耐水性の相反する関係にある性能を両立することができるが、その配合比としては、N,N,N−トリアルキルアミノ酸:ウレタン系造膜性樹脂粒子の比が質量基準で、1:0.05〜1:1であることが好ましい。この範囲よりより大きいと、筆記先端で造膜する恐れがあり、この範囲より小さいと筆跡の耐水性が劣る恐れがある。より好ましくは1:0.05〜1:0.5であり、さらに好ましくは1:0.05〜1:0.25である。前記範囲にあると、筆記先端で樹脂が造膜することなく、筆跡に耐水性を付与することができ、両者の性能を両立することができる。
本発明において、N,N,N−トリアルキルアミノ酸を含んでなるが、さらに、保湿剤としてグリセリンを含んでも良い。グリセリンを併用することで、相乗的に水性インキ組成物の吸湿性能が向上し、より高い保湿効果が得られ、効果的に筆記先端からのインキ中の水分蒸発を防ぐことができる。従って、本発明において、N,N,N−トリアルキルアミノ酸とグリセリンを併用した水性インキ組成物を用いることにより、耐ドライアップ性をさらに向上することができる。また、本発明において、N,N,N−トリアルキルアミノ酸とグリセリンを併用することにより、耐ドライアップ性能を満足させながら、筆記先端からのインキのボタ落ちを防止できる傾向にある。
N,N,N−トリアルキルアミノ酸とグリセリンを併用することにより、前述の通り、十分な保湿効果を得ながら、水性インキ組成物の高粘度化を抑える他、水性インキ組成物の表面張力の値を適切に保つことが可能となる。このため、グリセリンとN,N,N−トリアルキルアミノ酸を併用してなる水性インキ組成物は、ペン芯を配置した筆記具に用いた場合、ペン芯がインキ流量調節体としての機能を十分に発揮できる適切なインキ粘度と、該インキ保留部材に対する適度な濡れ性をも確保することができる。従って、インキ貯蔵部の内圧が上昇した際にも、溢出したインキがペン芯内に円滑入りこみ、インキが筆記先端に直接流れすぎることなく、ペン芯内に保持することができる。 従って、ペン芯をインキ流量調節体として配置した筆記具に用いる水性インキ組成物において、グリセリンとN,N,N−トリアルキルアミノ酸を併用することは、耐ドライアップ性と耐水性の他に、耐ボタ落ち性能を両立させることができるため、より好ましいものとなる。
本発明による筆記具用水性インキ組成物におけるグリセリンの含有量は、水性インキ組成物の総質量を基準として、1〜10質量%であることが好ましく、1〜7質量%であることがより好ましい。グリセリンの含有量が前記範囲内であれば、インキ粘度の上昇を抑え、インキ追従性能の向上および、インキのボタ落ちを抑制するができる他、得られた筆跡が完全に乾燥するまでの時間がかかることなく、筆跡が乾燥する前に擦って汚してしまうことを防ぐことができる。
本発明による水性インキ組成物のグリセリンとN,N,N−トリアルキルアミノ酸の配合比は、質量比で、2:3〜3:2であることが好ましい。さらには、1:1〜3:2であることが好ましい。グリセリンとN,N,N−トリアルキルアミノ酸の配合比が、前記範囲内であれば、耐ドライアップ性能を十分に得ながらも、インキ粘度の上昇を抑え、かつ水性インキ組成物の表面張力を適切に保つことができ、本発明の効果を効果的に得ることができる。
<顔料>
本発明に用いることができる顔料としては、通常、筆記具用水性インキ組成物に用いる顔料が挙げられる。
本発明に用いることができる顔料としては、通常、筆記具用水性インキ組成物に用いる顔料が挙げられる。
本発明において用いることができる顔料としては、水性媒体に分散可能であれば特に制限されるものではない。例えば、無機、有機、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、アルミ顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料などが挙げられる。その他、着色樹脂粒子体として顔料を媒体中に分散させてなる着色体を公知のマイクロカプセル化法などにより樹脂壁膜形成物質からなる殻体に内包又は固溶化させたマイクロカプセル顔料を用いても良い。また、顔料は、予め界面活性剤や樹脂を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品などを用いてもよい。
また、上記顔料を、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。さらに、染料と組み合わせて用いても構わない。水性インキ組成物における顔料の含有量は、水性インキ組成物の総質量を基準として、1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、さらには、1〜5質量%であることが好ましい。顔料の含有量が前記範囲内であると、筆記先端へのインキ追従性能の低下を防止できるとともに、発色良好な筆跡を得ることができる。
<水>
水としては、特に制限はなく、例えば、水道水、イオン交換水、限外ろ過水または蒸留水などを用いることができる。
水としては、特に制限はなく、例えば、水道水、イオン交換水、限外ろ過水または蒸留水などを用いることができる。
<その他>
本発明による水性インキ組成物は、インキ物性や機能を向上させる目的で、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、キレート剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明による水性インキ組成物は、インキ物性や機能を向上させる目的で、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、キレート剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
pH調整剤としては、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基性無機化合物、酢酸ナトリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの塩基性有機化合物、乳酸およびクエン酸などが挙げられ、水性インキ組成物の経時安定性を考慮すれば、塩基性有機化合物を用いることが好ましく、より考慮すれば、弱塩基性であるトリエタノールアミンを用いることが好ましい。これらのpH調整剤は単独又は2種以上混合して使用してもかまわない。pH調整剤の含有量は、水性インキ組成物の総質量を基準として、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
防錆剤としては、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、チオ硫酸ナトリウム、サポニン、またはジアルキルチオ尿素などが挙げられる。
防腐剤としては、フェノール、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)及びそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアミン塩などが挙げられる。
本発明に用いるペン芯をインキ流量調節体として配置した筆記具は、使用者が繰返しインキを補充して使用することができ、補充インキはガラス瓶などのインキ収容器に収容されることがある。ガラス瓶は安価で成形が容易で、さらに所望の強度が得られやすいという反面、特に廉価で汎用性の高いソーダ石灰ガラスなどを用いた場合には、水性インキ組成物を長期間収容していると、水性インキ組成物中にガラスからアルカリ成分が溶出する可能性が高く、この溶出したアルカリ成分と水性ンキ組成物の成分が反応して、析出物が形成される可能性がある。従って、本発明に用いられる水性インキ組成物においては、ガラス製のインキ収容器から溶出するアルカリ成分を補足し、該アルカリ成分が水性インキ組成物中の成分と反応して水に不溶な析出物などが発生することを防ぎ、発生した析出物などによりインキ流路が塞がれて、筆跡がかすれたり、筆記不能になることを抑制することができる前記キレート剤を含んでなることが好ましい。アルカリ成分を十分に補足できること、また、水性インキ組成物のキレート剤の配合前後の物性や性能に変化が見られないことなどを考慮すると、前記キレート剤の中でも、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いることが好ましい。
さらには、水溶性有機溶剤などを添加してもよく、該溶剤の浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤や、ノニオン、アニオン、カチオン系界面活性剤、ジメチルポリシロキサンなどの消泡剤を添加することもできる。
本発明に用いる筆記具用水性インキ組成物の粘度は、B型回転粘度計を用いて、回転数60rpm、20℃で測定したインキ粘度が、1.0〜3.0mPa・sであることが好ましい。この範囲より大きいと、ペン芯をインキ流量調節体として配置した筆記具に用いた際に、筆記先端へインキが安定して供給されず、筆跡がかすれたり、筆記不能になる恐れがある。より好ましくは、1.0〜2.5mPa・sであり、さらに好ましくは、1.0〜2.0mPa・sである。インキ粘度が前記範囲内であれば、ペン芯をインキ流量調節体として配置した筆記具に用いた際、安定して筆記先端へインキが供給され、良好な筆跡が得られるなど、インキ追従性能を向上させることができるためである。
また、水性インキ組成物のインキ粘度が前記範囲内であれば、耐ドライアップ性能、および筆跡乾燥性能を向上させることができる。
本発明におけるインキ粘度は、B型回転粘度計(機種:BLII、ローター:BLアダプタ、東機産業株式会社製)により、JIS Z 8803:2011に従って、測定することができる。
本発明に用いられる水性インキ組成物の20℃における表面張力は、30〜70mN/mであることが好ましく、35〜70mN/mであることがより好ましい。水性インキ組成物の表面張力が、上記数値範囲内であれば、ペン芯を配置した筆記具に用いた際、前記インキ保留部材に対する濡れ性を適度に保つことができる。従って、インキ貯蔵部の内圧が上昇した際にも、溢出したインキが、ペン芯内に円滑に入ることができ、筆記先端からのインキのボタ落ちを効果的に抑制することが可能となる。さらに、筆記面に対する濡れ性も、適切に保たれることから、得られる筆跡が滲んだり、筆跡の乾燥が進まず、筆跡が乾燥する前に擦って汚してしまうことを防ぐことができる。なお、表面張力は、20℃環境下において、協和界面科学株式会社製の表面張力計測器(機種:CBVP−A3)を用い、白金プレートを用いた垂直平板法によって測定して求められる。
<インキ組成物の製造方法>
本発明による水性インキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、マグネチックスターラー攪拌、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
本発明による水性インキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、マグネチックスターラー攪拌、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
<筆記具>
本発明に用いる筆記具は、筆記先端と筆記先端に供給するインキ貯蔵部を有し、前記筆記先端とインキ貯蔵部の間に、インキ貯蔵部から筆記先端にインキを供給できインキ貯蔵部の内圧上昇に伴う溢出したインキを一時的に保持する櫛歯状のインキ保留部材をインキ流量調節体として配置した筆記具を用いる。前記櫛歯状のインキ保留部材は、インキ流量調節体としてインキ貯蔵部から水性インキ組成物を筆記先端に供給し、かつ、インキ貯蔵部の内圧上昇に伴って溢出した水性インキ組成物を一時的に保持することが可能である。
本発明に用いる筆記具は、筆記先端と筆記先端に供給するインキ貯蔵部を有し、前記筆記先端とインキ貯蔵部の間に、インキ貯蔵部から筆記先端にインキを供給できインキ貯蔵部の内圧上昇に伴う溢出したインキを一時的に保持する櫛歯状のインキ保留部材をインキ流量調節体として配置した筆記具を用いる。前記櫛歯状のインキ保留部材は、インキ流量調節体としてインキ貯蔵部から水性インキ組成物を筆記先端に供給し、かつ、インキ貯蔵部の内圧上昇に伴って溢出した水性インキ組成物を一時的に保持することが可能である。
本発明に用いる筆記具は、前記の通り、水性インキ組成物が収容されているインキ収容器から、該水性インキ組成物を分取、補充して利用する可能性が高い。従って、本発明による筆記具用水性インキ組成物は、インキ収容器に収容、保存されて用いられる場合においても考慮することが好ましい。例えば、インキ収容器に収容されている水性インキ組成物は、インキ収容器の開口部から繰返し分取されることが想定され、水性インキ組成物中の水分は、開口部から蒸発しやすい傾向にあり、インキ粘度が上昇するなど物性が変化してしまう可能性や、造膜可能なウレタン系造膜性樹脂粒子を含んでいることから、水分が蒸発した際に、インキ収容器内のインキが皮膜を形成してしまう恐れがある。また前述の通り、インキ収容器はガラス瓶を用いる可能性が高く、このインキ収容器から溶出するアルカリ成分と、水性インキ組成物の成分との反応によって析出物が発生してしまう可能性も考えられる。従って、本発明に用いられる水性インキ組成物は、高い吸湿性能をもち、ウレタン系造膜性樹脂粒子の造膜抑制効果を有するN,N,N−トリアルキルアミノ酸を含んでなることから、インキ収容器に収容、保存され用いられた場合においても、水性インキ組成物中の水分蒸発と、皮膜形成を効果的に防ぐことが可能であり、さらに、キレート剤も含ませることが可能であることから、インキ収容器から溶出するアルカリ成分との反応によって生じる析出物の発生も防ぐことも可能となる。従って、N,N,N−トリアルキルアミノ酸を含んでなり、更に、キレート剤を含ませることが可能な本発明による筆記具用水性インキ組成物は、ガラス瓶などのインキ収容器に収容されて保存された場合においても、水分蒸発を抑制し、析出物の発生を防ぐことができ、保存安定性に優れたものとなり得る。従って、ペン芯をインキ流量調節体として配置した筆記具に好適に用いることができる。
また、本発明による筆記具用水性インキ組成物を内蔵する筆記具は、ペン芯をインキ流量調節体として配置した筆記具であるが、前記筆記具の具体的例としては、万年筆、ボールペン、カリグラフィー用ペンなどが挙げられる。
これらの筆記具には、筆記先端を覆うキャップを備えたキャップ式筆記具や、筆記先端を筆記具の軸筒内に収容可能な出没機構を備える出没式筆記具などが挙げられる。中でも、出没式筆記具はキャップ式筆記具に比べ、筆記先端の気密が取りにくいため、筆記先端の耐ドライアップ性能に課題が生じやすい。従って、本発明による筆記具用水性インキ組成物を用いると、優れた耐ドライアップ性能を有することから、出没式筆記具用の水性インキ組成物として好適に利用できる。
また、前記筆記具の中でも、特に、万年筆は、筆記時に筆記先端が外気に晒され、筆記先端のインキが蒸発しやすく、筆記先端の耐ドライアップ性能の向上を図る必要がある。さらに、万年筆に用いられる水性インキ組成物のインキ粘度は極めて低いため、筆記先端からインキが漏出しやすく、特に、筆記先端からのインキのボタ落ちの抑制を考慮する必要がある。従って、本発明による筆記具用水性インキ組成物は、耐ドライアップ性能および耐ボタ落ち性能に優れることから、万年筆に用いることは極めて効果的である。
また、万年筆は、使用者が直接、ガラス瓶などのインキ収容器からインキを分取して、インキ貯蔵部内に補充し用いることができるため、該インキが使用者の皮膚に触れる機会が多い。このため、用いられる水性インキ組成物の人体に対する安全性も考慮する必要がある。本発明に用いられる、N,N,N−トリアルキルアミノ酸とグリセリンは、人体に対する安全性に優れており、中でも、N,N,N−トリアルキルアミノ酸のうちトリメチルグリシンは、アミノ酸の1種であり、甜菜などの植物から抽出、精製結晶化して得られるなど、天然物質のひとつであり、人体に極めて安全な物質である。このように、人体に対する安全性という観点からも、本発明の水性インキ組成物は、万年筆に好適に用いることができる。
以上より、本発明の筆記具用インキ組成物は、特に万年筆として好適に利用できるものである。
以上より、本発明の筆記具用インキ組成物は、特に万年筆として好適に利用できるものである。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記の配合および方法により、筆記具用水性インキ組成物を得た。
・顔料 30.8質量%
(オリヱント化学工業株式会社製 商品名:BONJET BLACK CW−3
カーボンブラック カーボンブラック13%水分散体)
・ウレタン系造膜性樹脂粒子A 0.3質量%
(株式会社ADEKA製 商品名:アデカボンタイターHUX−370
樹脂分33.3%)
・N,N,N−トリアルキルアミノ酸(トリメチルグリシン) 2.0質量%
・グリセリン 3.0質量%
・トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0質量%
・防腐剤(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 9.5%水溶液)0.2質量%
・水 残部
保湿剤、pH調整剤、防腐剤、水をプロペラ攪拌により混合してベース液を得た。その後、該ベース液に顔料を添加し、プロペラ攪拌により混合した後、ウレタン系造膜性樹脂粒子を混合して、水性インキ組成物を得た。得られた水性インキ組成物の粘度を、JIS Z 8803:2011に従って、B型回転粘度計(機種:BLII、ローター:BLアダプタ、東機産業株式会社製、サンプル量20ml)により測定した。具体的には、20℃、回転速度60rpmにおけるインキ粘度は1.77mPa・sであった。また、得られた水性インキ組成物の表面張力を、表面張力計測器(機種:CBVP−A3、協和界面科学株式会社製、20℃環境下、白金プレート、垂直平板法)により測定したところ、51.5mN/mであった。
(実施例1)
下記の配合および方法により、筆記具用水性インキ組成物を得た。
・顔料 30.8質量%
(オリヱント化学工業株式会社製 商品名:BONJET BLACK CW−3
カーボンブラック カーボンブラック13%水分散体)
・ウレタン系造膜性樹脂粒子A 0.3質量%
(株式会社ADEKA製 商品名:アデカボンタイターHUX−370
樹脂分33.3%)
・N,N,N−トリアルキルアミノ酸(トリメチルグリシン) 2.0質量%
・グリセリン 3.0質量%
・トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0質量%
・防腐剤(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 9.5%水溶液)0.2質量%
・水 残部
保湿剤、pH調整剤、防腐剤、水をプロペラ攪拌により混合してベース液を得た。その後、該ベース液に顔料を添加し、プロペラ攪拌により混合した後、ウレタン系造膜性樹脂粒子を混合して、水性インキ組成物を得た。得られた水性インキ組成物の粘度を、JIS Z 8803:2011に従って、B型回転粘度計(機種:BLII、ローター:BLアダプタ、東機産業株式会社製、サンプル量20ml)により測定した。具体的には、20℃、回転速度60rpmにおけるインキ粘度は1.77mPa・sであった。また、得られた水性インキ組成物の表面張力を、表面張力計測器(機種:CBVP−A3、協和界面科学株式会社製、20℃環境下、白金プレート、垂直平板法)により測定したところ、51.5mN/mであった。
(実施例2〜実施例4、比較例1〜比較例5)
実施例1に対して、(表1)に示した配合とした以外は、実施例1と同じ方法にて、実施例2〜実施例4、比較例1〜比較例5の筆記具用水性インキ組成物を得た。
実施例1に対して、(表1)に示した配合とした以外は、実施例1と同じ方法にて、実施例2〜実施例4、比較例1〜比較例5の筆記具用水性インキ組成物を得た。
・顔料:オリヱント化学工業株式会社製 商品名:BONJET BLACK CW−3 カーボンブラック カーボンブラック13%水分散体
・ウレタン系造膜性樹脂粒子A:株式会社ADEKA製 商品名:アデカボンタイターHUX−370 樹脂分33.3%
・ウレタン系造膜性樹脂粒子B:株式会社ADEKA製 商品名:アデカボンタイターHUX−561S 樹脂分38.8%
・ウレタン系造膜性樹脂粒子C:株式会社ADEKA製 商品名:アデカボンタイターHUX−564 樹脂分40.1%
・オレフィン系造膜性樹脂粒子:住友精化株式会社製 商品名:ザイクセンL 樹脂分25%
・アクリル系造膜性樹脂粒子:株式会社ピース電気製 商品名:セラゾール2200 樹脂分21.9%
・シリコーン系造膜性樹脂粒子:エボニック社製 商品名:TEGO Phobe1659
・防腐剤:1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 9.5%水溶液
(顕微鏡観察)
スライドガラス上にインキを滴下し、その上にカバーガラスを乗せてプレパラートを作製した。該プレパラートを、オリンパス光学工業株式会社製のシステム生物顕微鏡(機種:BX51)を用い、透過光により100倍の倍率で観察した。
○:造膜性樹脂粒子がインキ組成物中に均一に安定して分散している。
×:造膜性樹脂粒子がインキ組成物中に分散することができず、分離している。
スライドガラス上にインキを滴下し、その上にカバーガラスを乗せてプレパラートを作製した。該プレパラートを、オリンパス光学工業株式会社製のシステム生物顕微鏡(機種:BX51)を用い、透過光により100倍の倍率で観察した。
○:造膜性樹脂粒子がインキ組成物中に均一に安定して分散している。
×:造膜性樹脂粒子がインキ組成物中に分散することができず、分離している。
(試験および評価)
実施例1〜4および、比較例1〜5の筆記具水性インキ組成物をポリエチレン製のインキカートリッジに注入し、ペン芯をインキ流量調節体として配置した万年筆形態の筆記先端を有する出没式筆記具(株式会社パイロットコーポレーション製万年筆、FCN−1MR−BM)に装着して試験用筆記具として評価を行った。
実施例1〜4および、比較例1〜5の筆記具水性インキ組成物をポリエチレン製のインキカートリッジに注入し、ペン芯をインキ流量調節体として配置した万年筆形態の筆記先端を有する出没式筆記具(株式会社パイロットコーポレーション製万年筆、FCN−1MR−BM)に装着して試験用筆記具として評価を行った。
(試験1=耐ドライアップ性試験)
試験用筆記具をノックして筆記先端を繰り出し、20℃、65%RHの条件下で30分間放置した後、「V」という文字(文字の大きさは、縦横約8mm)を連続筆記し、筆跡が認識できる程度に復帰したまでの文字数を数え、下記評価基準に従って、耐ドライアップ性を評価した。なお、筆記試験用紙として、日本製紙株式会社製の上質紙(しらおい4/6T)を用いて、評価を行った。
◎:筆跡復帰までの文字数が、0.5文字未満であった。
○:筆跡復帰までの文字数が、0.5文字以上1文字未満であった。
△:筆跡復帰までの文字数が、1文字以上10文字未満であった。
×:筆跡復帰までの文字数が、10文字以上20文字未満であった。
××:筆跡復帰までの文字数が、20文字以上であった。
試験用筆記具をノックして筆記先端を繰り出し、20℃、65%RHの条件下で30分間放置した後、「V」という文字(文字の大きさは、縦横約8mm)を連続筆記し、筆跡が認識できる程度に復帰したまでの文字数を数え、下記評価基準に従って、耐ドライアップ性を評価した。なお、筆記試験用紙として、日本製紙株式会社製の上質紙(しらおい4/6T)を用いて、評価を行った。
◎:筆跡復帰までの文字数が、0.5文字未満であった。
○:筆跡復帰までの文字数が、0.5文字以上1文字未満であった。
△:筆跡復帰までの文字数が、1文字以上10文字未満であった。
×:筆跡復帰までの文字数が、10文字以上20文字未満であった。
××:筆跡復帰までの文字数が、20文字以上であった。
(試験2=耐水性試験)
試験1で使用した試験用筆記具を用い、筆記角度60°、筆記荷重0.49N、筆記速度10m/分の条件下で直線を連続筆記し、得られた筆跡を24時間放置した後、スポイトにて筆跡上に水を滴下し、筆跡の状態を目視にて確認して、下記基準に従って、耐水性を評価した。
○:筆跡は全く滲まず、水を滴下する前と同じ状態を保っていた。
△:筆跡はわずかに滲んだが、筆跡として確認可能であった。
×:筆跡が流れてしまい、耐水性を全く有していなかった。
試験1で使用した試験用筆記具を用い、筆記角度60°、筆記荷重0.49N、筆記速度10m/分の条件下で直線を連続筆記し、得られた筆跡を24時間放置した後、スポイトにて筆跡上に水を滴下し、筆跡の状態を目視にて確認して、下記基準に従って、耐水性を評価した。
○:筆跡は全く滲まず、水を滴下する前と同じ状態を保っていた。
△:筆跡はわずかに滲んだが、筆跡として確認可能であった。
×:筆跡が流れてしまい、耐水性を全く有していなかった。
実施例1〜4は、比較例との比較において、耐ドライアップ性と耐水性のバランスが良好で優れた結果となり、耐ドライアップ性と耐水性の相反する性能を両立させていた。一方、比較例1〜4は、耐ドライアップ性か耐水性のいずれかまたは両方が劣っており、相反する性能を両立することができなかった。比較例5においては、造膜性樹脂粒子がインキ組成物中で相分離をおこしてしまい、水性インキ組成物として成立していなかった。
本発明の筆記具用水性インキ組成物は、万年筆、ボールペン、筆ペン、カリグラフィーペン、各種マーカー類など、ペン芯をインキ流量調節体として配置した筆記具のインキ組成物として好適に用いることができる。
Claims (4)
- 筆記先端と筆記先端に供給するインキ貯蔵部を有し、前記筆記先端とインキ貯蔵部の間に、インキ貯蔵部から筆記先端にインキを供給できインキ貯蔵部の内圧上昇に伴う溢出したインキを一時的に保持する櫛歯状のインキ保留部材をインキ流量調節体として配置した筆記具に内蔵する筆記具用水性インキ組成物であって、該インキ組成物が、水と、顔料と、N,N,N−トリアルキルアミノ酸と、ウレタン系造膜性樹脂粒子を含むことを特徴とする筆記具用水性インキ組成物。
- 前記インキ組成物の、B型回転粘度計を用いて、回転数60rpm、20℃で測定した際の粘度が、1.0〜3.0mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の筆記具用水性インキ組成物。
- 前記N,N,N−トリアルキルアミノ酸とウレタン系造膜性樹脂粒子の配合比が、質量基準で、1:0.05〜1:1であることを特徴とする請求項1または2に記載の筆記具用水性インキ組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の筆記具用水性インキ組成物を内蔵してなる筆記具。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020050388A1 (ja) | 2018-09-07 | 2020-03-12 | マックス株式会社 | 結束機 |
WO2020050383A1 (ja) | 2018-09-07 | 2020-03-12 | マックス株式会社 | 結束機 |
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JP2020111703A (ja) * | 2019-01-16 | 2020-07-27 | 三菱鉛筆株式会社 | 筆記板用水性インク組成物 |
JP7514667B2 (ja) | 2019-06-27 | 2024-07-11 | 株式会社パイロットコーポレーション | 筆記具用水性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具 |
-
2017
- 2017-03-29 JP JP2017065491A patent/JP2018168248A/ja active Pending
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