JP2019006672A - 再生廃材組成物の製造方法及び再生廃材組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】大部分が廃棄物とされてきた廃建材を含む瓦礫から、所要の素材を分離する手段を用いることなく処理して、処理物自体を再利用可能な有用な組成物に、簡便で容易なプロセスによってできる効果的な手法を見出すこと。【解決手段】廃石膏ボードを加熱して加熱処理物を得る加熱工程(B)と、工程(B)の後に行う後工程(C)と、工程(B)の前、或いは、工程(B)の後で且つ工程(C)の前に行われる添加剤の添加工程(A)とを有し、工程(B)で加熱処理物として無水石膏を得、工程(A)で、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、該原料粉中の酸化ケイ素成分と反応する、廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料とが添加された混合粉を得、後工程(C)で、混合粉から得た固化体を120℃〜350℃の温度で水熱処理して、石膏−トバモライト系素材を得る再生廃材組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、再生廃材組成物の製造方法及び再生廃材組成物に関し、より詳しくは、廃石膏ボード及び/又は廃コンクリートからなる廃材を含む瓦礫などから、所要の素材を分離(不要なものを除去)する手段を用いることなく、まとめて処理して、その処理物自体を再利用可能な有用な再生廃材組成物にできる技術に関する。さらに、産業廃棄物として廃棄されていた各種の廃材から、建築材料として有用な、石膏−トバモライト系素材を含む再生廃材組成物を製造できる、より付加価値の高い素材の提供が可能になる再生技術に関する。
例えば、重機で取り壊される建屋は、建材に使用されていた廃コンクリート及び/又は廃石膏ボードと、さらに、土壌や木片や紙片や布片やプラスチック片などの、諸々の付着物とを含む瓦礫の山になる。この瓦礫の山は、分別されて部分的に再利用されるが、その多くは、埋め立てや廃棄物として処理されている。瓦礫から必要な素材を分別回収することは、手間の掛かる大変厄介な作業であり、煩雑な工程を伴う。例えば、廃コンクリートについては、粉砕して分級し、水洗して、主として粗骨材が再利用され、その他は廃棄物として処理される場合が多い。また、廃石膏ボードは、付着紙や付着繊維、木片や土壌などを分離除去した後に、物理的化学的なプロセスを経て、やっと再利用の原料となる。このように、瓦礫の再利用は、複雑で煩雑な工程を伴うことが多く、高コストになり、このことが瓦礫の再利用を妨げている。下記に、従来行われている再利用の状況について説明する。
廃コンクリートの排出量は膨大であり、下記に述べるようにして、その一部が骨材として再利用されている。具体的には、廃コンクリートを粉砕して、5mm以上の粗骨材と5mm以下の細骨材に分け、粗骨材が主として再利用されている。細骨材を再利用する場合は、石灰やフライアッシュなどを添加し、成分調整の後、高温で加熱溶融して骨材として再利用されている(非特許文献1参照)。その他は埋め立てにまわされている。
一方、例えば、2014年度における廃石膏ボードのリサイクル率は40%程度であるので、約50万トン/年という大量の産業廃棄物が生まれている。再利用は、ボード用とセメント用に大別される。ボード用として再利用する場合は、粉砕とふるい分けによって、紙、繊維、表土、鉄錆などを除去後、半水石膏に転移される。しかし、このプロセスは大変複雑で高コストである(非特許文献2参照)。また、セメント用の原料として再利用する方法としては、廃石膏ボードを約1450℃で生石灰にする方法や、プラズマで溶融処理する方法などがあるが、いずれの方法もコスト的に問題があり、廃石膏が十分に再利用されているとはいえない。
上記した例からもわかるように、廃コンクリートや廃石膏ボードを含む瓦礫からの、これらの材料の再利用には、瓦礫中から、種々雑多な混在物を分別除去しなければならないといった問題がある。瓦礫中の混在物には、有害なアスベストなどの他に、木片、付着紙、布、金属類など多種多様な物が含まれており、これらの中から所要の素材だけを取り出すことは、至難で、高コストであり、時間を要するプロセスにならざるを得ない。
また、上記した以外にも、例えば、抗火石、大谷石、珪藻土などの岩石の加工屑粉や、表土混在の粘土鉱物粉、石炭灰、表土混在の粘土、廃コンクリートなども、産業廃棄物として大量に排出されており、その有効利用が望まれている。また、水洗ケーキ由来の、生石灰、消石灰、消化ドロマイト、炭酸カルシウム、ドロマイト及び牡蠣殻粉などの、単独或いはこれらの混合物からなる、カルシウム成分を含有する水洗ケーキ由来の材料も、産業廃棄物として大量に排出されている。
コンクリート廃材のリサイクル方法、(株)国際技術開発センター、ニュースガイドNo.9553 解体廃石膏ボードの再資源化技術開発、(社)石膏ボード工業会、平成13年
上記した現状に対し、本発明者らは、廃石膏ボードや廃コンクリートなどからなる廃材を含む瓦礫から所要の素材を再利用可能な組成物にできれば、再利用へのプロセスは極めて簡便容易になり、多大な経済的メリットと、資源の有効活用が図れ、極めて有用であると認識した。すなわち、雑多な材料を含む瓦礫から、再利用できる素材を取り出すよりも、瓦礫全てを資源とみなし、処理物自体を再利用可能なものにできれば、極めて有効である。また、建材などに利用され、産業廃棄物として排出されている各種岩石の加工屑粉などや、産業廃棄物の水洗ケーキ由来の材料なども利用することができれば、さらに有用な技術になる。
したがって、本発明の目的は、従来、その大部分が廃棄物とされてきた前記した瓦礫から、所要の素材を、トバモライトを含む建材や、軟弱土壌の固化材や、有害物質の固定化材や、放射線遮蔽材などとして再利用可能な有用な組成物にでき、しかも、簡便で容易なプロセスによってできる効果的な手法を見出すことである。また、本発明の目的は、大量で、その殆どが廃棄物として処理されている瓦礫や、産業廃棄物とされている各種材料を、再利用可能な有用な組成物に転換し、新規で有用な再生廃材組成物の提供を実現することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明の第1の実施形態では、建材などの多様な用途での再利用が期待できる有用な石膏−トバモライト系素材を得ることができる、〔1〕又は〔2〕の構成の再生廃材組成物の製造方法を提供する。なお、本発明では、高温高圧の熱水の存在下の処理で結晶成長が認められたことから、後工程(C)における処理を「水熱処理」と称したが、「水熱合成」とも呼ばれている。
〔1〕廃石膏ボードを加熱して加熱処理物を得る加熱工程(B)と、該加熱工程(B)の後に行う後工程(C)と、前記加熱工程(B)の前、或いは、前記加熱工程(B)の後で且つ前記後工程(C)の前に、添加材料の添加が行われる添加材料の添加工程(A)とを有する石膏−トバモライト系素材を得る再生廃材組成物の製造方法であって、前記加熱工程(B)における加熱温度を200℃以上1200℃以下とし、該工程(B)で加熱処理物として無水石膏を得、前記添加材料の添加工程(A)で、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、該原料粉中の酸化ケイ素成分と反応する、前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料とを添加し、これらの混合粉で固化体を得、前記後工程(C)で、前記固化体を120℃以上350℃以下の温度で水熱処理して、石膏−トバモライト系素材を得ることを特徴とする再生廃材組成物の製造方法。
〔2〕廃石膏ボードを加熱して加熱処理物を得る加熱工程(B)と、該加熱工程(B)の後に行う後工程(C)と、前記加熱工程(B)の前、或いは、前記加熱工程(B)の後で且つ前記後工程(C)の前に、添加材料の添加が行われる添加材料の添加工程(A)とを有する石膏−トバモライト系素材を得る再生廃材組成物の製造方法であって、前記加熱工程(B)における加熱温度を70℃以上220℃以下とし、該工程(B)で加熱処理物として半水石膏を得、前記添加材料の添加工程(A)で、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、該原料粉中の酸化ケイ素成分と反応する、前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料とを添加し、これらの混合粉で固化体を得、前記後工程(C)で、前記固化体を120℃以上350℃以下の温度で水熱処理して、石膏−トバモライト系素材を得ることを特徴とする再生廃材組成物の製造方法。
上記石膏−トバモライト系素材が得られる上記〔1〕又は〔2〕の構成の本発明の第1の実施形態の好ましい要件としては、下記のことが挙げられる。
〔3〕前記添加材料の添加工程(A)で、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、該原料粉中の酸化ケイ素成分と反応する、前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料とを、Si成分/Ca成分のモル比が1.0〜1.5となるように添加すること;
〔4〕前記酸化ケイ素成分を含有する原料粉が、岩石の加工屑粉、表土混在の粘土鉱物粉、廃コンクリート、石炭灰及び表土混在の粘土からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記水廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料が、生石灰、消石灰、消化ドロマイト、炭酸カルシウム、ドロマイト及び牡蠣殻粉からなる群から選ばれる少なくとも1種であること;
〔5〕前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料が、水洗ケーキ由来の材料であること;
〔6〕前記固化体を得る際に、該固化体を構成する原料である、前記加熱処理物、前記酸化ケイ素成分を含有する原料粉及び前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料を、微細化し、且つ、均一に混合すること;
〔7〕前記後工程(C)で、前記固化体を170℃以上190℃以下の温度で水熱処理すること;
〔8〕前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料として、消化ドロマイトを用いるか、生石灰又は消石灰と、酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウムとを組み合わせて用いること;
〔9〕前記酸化ケイ素成分を含有する原料粉として、抗火石、カオリン、木節粘土及び廃セメントからなる群から選ばれる少なくとも1種を用い、且つ、前記後工程(C)での水熱反応の際に水酸化ナトリウムを添加することで、石膏−ゼオライト系素材を生成させること;
〔10〕前記固化体に、さらに、単繊維状の麻スサを混合させること;が挙げられる。
本発明は、上記構成の本発明の第1の実施形態を利用した別の実施形態として、
〔11〕上記石膏−トバモライト系素材が得られる上記〔1〕又は〔2〕の構成の再生廃材組成物の製造方法で得られた、石膏−トバモライト系素材を含んでなることを特徴とする再生廃材組成物を提供する。
上記〔11〕の構成の本発明の再生廃材組成物の好ましい要件としては、下記のことが挙げられる。
〔12〕前記石膏−トバモライト系素材が、鱗片状粒子、柱状粒子、針状粒子及び板状粒子からなる群から選ばれる少なくともいずれかの形状の粒子を有してなること;
〔13〕前記石膏−トバモライト系素材が、斜長石、曹長石、正長石、珪石、ケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩の少なくともいずれかを含んでなること;が挙げられる。
また、本発明は、第2の実施形態として、廃石膏ボードや廃コンクリートなどからなる廃材を含む瓦礫から所要の素材を分離(不要なものを除去)することなく、まとめて再利用可能な、軟弱土壌の固化材や、有害物質の固定化材や、放射線遮蔽材などとして再利用可能な有用な組成物にできる、下記の[1]又は[3]の構成の再生廃材組成物の製造方法を提供する。
[1]廃石膏ボード及び/又は廃コンクリートからなる廃材を含む瓦礫を加熱して加熱処理物を得る加熱工程(B)と、該加熱工程(B)の後に行う後工程(C)とを少なくとも有し、前記加熱工程(B)における加熱温度が、200℃以上1200℃以下であり、前記後工程(C)で、前記加熱処理物100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下の範囲内で、前記加熱処理物に、結合材として、生石灰、消石灰、消化ドロマイト、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれか1種を添加(c1)する、又は、前記加熱処理物に、酸化ケイ素成分と酸化カルシウム成分とを加えた固化体を水熱処理(c2)することを特徴とする再生廃材組成物の製造方法。
上記[1]の再生廃材組成物の製造方法の好ましい形態としては、[2]さらに、前記後工程(C)とは別の、前記加熱工程(B)の後に行う後工程(D)を有し、前記後工程(D)で、前記加熱処理物100質量部に対して10質量部以上50質量部以下の範囲内で、前記加熱処理物に、吸着材として、活性炭素、ゼオライト、水酸アパタイトからなる群より選択される少なくともいずれか1種を添加(d1)、及び/又は、硫酸バリウムを添加(d2)することが挙げられる。
[3]廃石膏ボード及び/又は廃コンクリートからなる廃材を含む瓦礫を加熱して加熱処理物を得る加熱工程(B)と、該加熱工程(B)の前に行う前工程(A)とを有し、前記前工程(A)で、前記瓦礫に、炭酸カルシウム、ドロマイト及び炭酸マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれかを混合し、且つ、前記加熱工程(B)における加熱温度が、200℃以上1200℃以下であることを特徴とする再生廃材組成物の製造方法。
上記[3]の再生廃材組成物の製造方法の好ましい形態としては、下記のように構成することが挙げられる。
[4]さらに、前記加熱工程(B)の後に行う後工程(C)を有し、前記後工程(C)で、前記加熱処理物に、酸化ケイ素成分と酸化カルシウム成分とを加えた固化体を水熱処理(c2)すること;
[5]前記前工程(A)で、さらに、活性炭素、ゼオライト、水酸アパタイトからなる群より選択される少なくともいずれか1種を添加すること;
[6]さらに、前記加熱工程(B)の後に行う後工程(D)として、前記後工程(D)で、いずれの場合も、前記加熱処理物100質量部に対して10質量部以上50質量部以下の範囲内で、前記加熱処理物に、吸着材として、活性炭素、ゼオライト、水酸アパタイトからなる群より選択される少なくともいずれか1種を添加(d1)する、及び/又は、硫酸バリウムを添加(d2)することが挙げられる。
上記[1]又は[4]の再生廃材組成物の製造方法の好ましい形態としては、下記のように構成することが挙げられる。
[7]前記酸化ケイ素成分が、酸化ケイ素、抗火石及び大谷石からなる群より選ばれる少なくともいずれか1種であること;
[8]前記酸化カルシウム成分が、生石灰、消石灰及び消化ドロマイトからなる群より選ばれる少なくともいずれか1種であることが挙げられる。
上記[1]〜[8]の再生廃材組成物の製造方法の好ましい形態としては、下記のように構成することが挙げられる。
[9]前記加熱工程(B)における加熱温度が、300℃以上700℃以下であること;
[10]前記加熱工程(B)における加熱時間が、1時間以上24時間以下であること;
[11]前記加熱工程(B)における加熱時間が、1時間以上5時間以下であること;が挙げられる。
本発明は、別の実施形態として、[12]廃石膏ボード及び/又は廃コンクリートからなる廃材を含む瓦礫の加熱処理物と、生石灰、消石灰、消化ドロマイト、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれか1種の結合材と、を含み、且つ、前記加熱処理物100質量部に対して、前記結合材を10質量部以上100質量部以下の範囲で含むことを特徴とする再生廃材組成物を提供する。
上記[12]の再生廃材組成物の好ましい形態としては、下記のように構成することが挙げられる。
[13]前記結合材が、生石灰及び酸化マグネシウムの少なくともいずれか1種であること;
[14]さらに、活性炭素、ゼオライト及び水酸アパタイトからなる群より選択される少なくともいずれか1種の吸着材を含み、且つ、前記加熱処理物100質量部に対して、前記吸着材を5質量部以上50質量部以下の範囲で含むこと;
[15]さらに、硫酸バリウムを、前記加熱処理物100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下の範囲で含むこと;
[16]さらに、トバモライトを含むこと;が挙げられる。
本発明によれば、従来、その大部分が廃棄物とされてきた、廃石膏ボードや廃コンクリートなどからなる廃材を含む瓦礫から所要の素材を分離(不要なものを除去)する手段を用いることなく、まとめて処理して、その処理物自体を、トバモライトを含む建材や、軟弱土壌の固化材や、有害物質の固定化材や、放射線遮蔽材などとして再利用することが可能な有用な組成物にでき、しかも、簡便で容易なプロセスによってできる効果的な再生廃材組成物の製造方法が提供される。また、本発明によれば、大量で、その殆どが廃棄物として処理されている瓦礫や、産業廃棄物とされている各種材料を処理することで再利用可能な有用な組成物に転換した、新規で有用な再生廃材組成物の提供が実現できる。このため、本発明によれば、これまで廃棄物とされていた各種資源を、経済的な手法で再利用可能なものにできるので、有限な資源の有効活用の面で極めて大きな価値がある。
本発明の再生廃材組成物の製造方法で得た3種の固化体のX線回折図である。 本発明の再生廃材組成物の製造方法で得た無水石膏−抗火石−消石灰系の固化体のSEM写真を示す図である。 無水石膏−抗火石−消石灰系の材料を用いた本発明の製造方法で得た、石膏−トバモライト系素材のSEM写真を示す図である。 図3の、石膏−トバモライト系素材についてのX線回折図である。 無水石膏−大谷石−消石灰系の材料を用いた本発明の製造方法で得た、石膏−トバモライト系素材のSEM写真を示す図である。 無水石膏−カオリン−消石灰系の材料を用いた本発明の製造方法で得た、石膏−トバモライト系素材のSEM写真を示す図である。 本発明の再生廃材組成物の製造方法の概略を示すフロー図である。
以下、好ましい実施形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、先述した、瓦礫から所要の素材を分離(不要なものを除去)することなく、まとめて再利用可能な組成物にするための方法について鋭意検討した結果、下記のことを見出した。
(1)建材として使用されていた廃コンクリートや廃石膏ボードに、土壌や木片や紙片などの、諸々の付着物などからなる瓦礫の加熱処理物に、生石灰、消石灰、消化ドロマイトなどを、単独で又はこれらの任意の割合の混合物を含有させたものは、例えば、軟弱土壌の固化材、有害物質の固定化材、酸性土壌の中和材、防草材などとして利用できるものになることを見出した。本発明者らの検討によれば、瓦礫の加熱処理物に添加した生石灰、消石灰、消化ドロマイトなどが、瓦礫の加熱処理物に不足する固化強度を補足する結果、上記構成とすることで、瓦礫の加熱処理物を、上記に挙げた軟弱土壌などの固化材として機能するものにできたと考えられる。
(2)建材として使用されていた廃コンクリートや廃石膏ボードに、土壌や木片や紙片などの、諸々の付着物などからなる瓦礫の加熱処理物に、ゼオライト、水酸アパタイト、炭素粉などの単独又はそれらの任意の割合の混合物を含有させたものは、軟弱土壌の固定化材や、有害物質の固定化材などに利用できるものになることを見出した。本発明者らの検討によれば、瓦礫の加熱処理物に、ゼオライト、水酸アパタイト、炭素粉を添加することで、これらの材料に由来する成分が、瓦礫の加熱処理物中に含まれる有害物質の固定化材として機能すると考えられる。
(3)建材として使用されていた廃コンクリートや廃石膏ボードに、土壌や木片や紙片などの、諸々の付着物などからなる瓦礫の加熱処理物に、硫酸バリウムを、単独で、又は、硫酸バリウムを生石灰、消石灰、消化ドロマイトなどと任意の割合で混合した混合物などを添加して漆喰状にしたものは、放射線遮蔽材として効果的に利用できることを見出した。本発明者らの検討によれば、特に、放射線遮蔽性能は硫酸バリウム由来の成分によって発揮される。
(4)建材として使用されていた廃コンクリートや廃石膏ボードに、土壌や木片や紙片などの、諸々の付着物などからなる瓦礫の加熱処理物に、酸化ケイ素成分と酸化カルシウム成分とを添加した固化体は、本発明者らの検討によれば、水熱反応することで、部分的にトバモライト(5CaO・6SiO2・5H2O、C565の略称)が製造され、このように部分的にトバモライトが製造されることで、建材などへの再利用が可能なものになることを見出した。
より詳細には、廃石膏ボードを含む瓦礫などの加熱処理物に、いずれも多くが産業廃棄物とされて廃棄されている、酸化ケイ素成分を含有する岩石の加工屑粉などの原料粉と、該原料粉中の酸化ケイ素成分と反応する、廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料、例えば、消石灰などの水洗ケーキ由来の材料とを添加混合した固化体を水熱処理することで、産業廃棄物処理の点で大きなメリットがあり、また、建材などの多様な用途での再利用が期待できる有用な石膏−トバモライト系素材を得ることができることを見出した。以下、廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料のことを、単に、その代表例の一つである「カルシウム成分を含有する水洗ケーキ由来の材料」、或いは、「水洗ケーキ由来の材料」とも呼ぶ。「カルシウム成分を含有する水洗ケーキ由来の材料」の多くは産業廃棄物とされることも多く、その利用は、本発明の目的に合致する。
トバモライトは、上記したようにケイ酸カルシウム水和物であり、建材として有用なことから種々の検討がなされており、生成物の同定は、X線回折で、29°付近の(220)面の強い回折ピークと、30°付近の(222)面のピークを利用して行われている。本発明でも、同様にして、トバモライトの生成を確認した。
本発明の製造方法で、トバモライトの量が多い石膏−トバモライト系素材を安定して得る方法としては、下記の2つの方法が挙げられる。第1の方法では、廃石膏ボードを加熱処理して得た無水石膏に、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、該原料粉中の酸化ケイ素成分と反応する、カルシウム成分を含有する水洗ケーキ由来の材料を、例えば、Si成分/Ca成分の比が1.0〜1.5となるように添加混合し、これらの混合粉からなる固化体を形成し、形成した固化体を水熱処理して石膏−トバモライト系素材を得る。また、第2の方法では、廃石膏ボードを加熱処理して得た半水石膏に、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、該原料粉中の酸化ケイ素成分と反応する、カルシウム成分を含有する水洗ケーキ由来の材料を、例えば、Si成分/Ca成分の比が1.0〜1.5となるように添加混合し、これらの混合粉からなる固化体を形成し、形成した固化体を水熱処理して石膏−トバモライト系素材を得る。
さらに、本発明者らが見出した、上記した石膏−トバモライト系素材を得る製造方法において、より有用な要件について説明する。
(ア)石膏−トバモライト系素材を構成する石膏は、上記した製造方法において、トバモライト粒子の核生成、結晶生成、骨材として機能する。本発明で使用する固化体に占める石膏の使用量は、50質量%以下、例えば、15質量%程度であることが好ましい。石膏−トバモライト系素材の強度は、素材中のトバモライトの量に依存するので、この点を勘案して、用途に応じて石膏の使用量を適宜に決定すればよい。
また、上記原料粉は、トバモライトを構成する酸化ケイ素を供給するために用いられ、上記水洗ケーキ由来の材料は、トバモライトを構成する酸化カルシウムを供給するために用いられる。完全なトバモライトであれば、Si/Ca比は1.2である。このため、本発明においては、よりトバモライトの量が多い石膏−トバモライト系素材を得る目的で、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、カルシウム成分を含有する水洗ケーキ由来の材料の使用比率は、Si成分/Ca成分の比が1.0〜1.5となるようにして添加混合することが好ましい。
したがって、これらの目的を達成できるものであればいずれの材料も使用可能である。本発明は、産業廃棄物の有効利用を目的としているため、酸化ケイ素を供給するため材料に、各種岩石の加工屑粉、表土混在の粘土鉱物粉、廃コンクリート(廃セメント)、石炭灰及び表土混在の粘土などの酸化ケイ素成分を含有する原料粉を使用し、酸化カルシウムを供給するための材料に、生石灰、消石灰、消化ドロマイト、炭酸カルシウム、ドロマイト、牡蠣殻粉などの水洗ケーキ由来の材料を用いることが好ましい。上記岩石としては、例えば、抗火石(主成分は珪石と斜長石)、大谷石(主成分は方解石)、珪藻土、カオリンなどが挙げられる。
(イ)上記した製造方法において、酸化ケイ素成分を含有する原料粉に、アルミニウム成分を含有する、例えば、カオリンや粘土や廃セメントを用いた場合、Na2OやNaOHなどを添加して水熱処理すると、Al23・Na2O・SiO2の反応でゼオライトが生成する。したがって、使用目的に応じて、使用する材料及び使用量を適宜に設定すればよい。
(ウ)上記した製造方法において、良好な石膏−トバモライト系素材を得る水熱処理の条件としては、時間よりも温度の効果が大きいことがわかった。好適な温度条件は、170〜190℃、より好ましくは、180℃〜190℃である。時間は300時間以下、例えば、48〜96時間反応させればよい。
(エ)上記した石膏−トバモライト系素材を得る製造方法において使用する固化体の作製は、混合粉を水添スラリー状にして型枠を用いて固化体にする方法や、混合粉を水添成形して固化体とする方法によって行えばよい。水添スラリーを用いる場合は、例えば、混合粉の全量に対して50〜60%の水を添加混合すればよく、水添成形する場合は、例えば、混合粉に15%程度の水分を加え、5MPa程度の任意の成形圧で成型して固化体とすればよい。
(オ)上記した石膏−トバモライト系素材を得る製造方法において使用する、カルシウム成分を含有する、消石灰などの水洗ケーキ由来の材料としては、水酸化ドロマイトや、水酸化マグネシウムと消石灰の混合使用や、セメントの使用や、水酸化マグネシウムと水硬性の半水石膏との使用などが好ましい。その理由は、トバモライトの欠点の一つに、炭酸化による強度の劣化の問題があるが、カルシウムを難溶性のマグネシウムで置換することで、炭酸化が抑制できることによる。一方、水酸化マグネシウムの成形体の固化性は低いため、マグネシウムによるカルシウムの置換を部分的に止める必要があるため、上記に挙げた材料を用いることが好ましい。
(カ)上記した製造方法において得られる石膏−トバモライト系素材は、粒子の形状が場所によって異なり、鱗片状、柱状、板状及び針状などの粒子からなり、また、石膏、トバモライト、斜長石などからなる。したがって、より良好な石膏−トバモライト系素材を得るためには、加熱処理物である無水石膏や半水石膏に、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、カルシウム成分を含有する水洗ケーキ由来の材料を添加混合した混合粉から固化体を形成する際に、混合粉を、より微細化し、より均一に混合することが好ましい。このようにすれば、水熱処理した際に、高反応性を実現でき、組成にゆらぎの少ない、気孔や傷のない優れた素材を得ることができる。
(キ)石膏−トバモライト系素材の強度は、トバモライト粒子の生成量に依存する。上記した製造方法で得られる石膏−トバモライト系素材を工業上利用可能にするためには、強度は、極めて重要な物性である。より強度に優れた素材を得るためには、上記製造方法において、下記のように構成することが好ましい。トバモライトは、酸化ケイ素成分と、消石灰などの成分から生成するので、先に述べたように、固化体の形成に使用する混合粉を、より微細化し、より均一に混合することが有効である。また、原料粉にアルミノケイ酸塩を用いる場合は、酸化ケイ素分の合有割合が多い原料ほど生成するトバモライトは多く、高強度になる。このため、カオリンのように、酸化ケイ素分の含有割合が低い場合は、固化体に繊維を添加することが有効である。単繊維状の麻スサの利用が簡便である。麻の単繊維は、煮沸或いは水熱処理で容易に製造することができ、しかも、原料の全質量の30%程度まで、麻スサを添加して固化体内に練り込むことが可能である。
本発明者らは、上記で得た(1)〜(4)の知見を巧みに利用することで、建材として使用されていた廃コンクリートや廃石膏ボードに、土壌や木片や紙片などの諸々の混在物や付着物などからなる瓦礫に対し、特別な材料を用いることなく、むしろ産業廃棄物として廃棄されていた多用な材料を活用し、簡便な手段で、様々な機能性を有する、多様な形での再利用が可能な材料にできることを見出して本発明に至った。図7に本発明の再生廃材組成物の製造方法の概略を示すフロー図を示した。
まず、本発明者らは、廃コンクリートや廃石膏ボード含有の瓦礫を、特定の温度範囲で加熱処理すると、無水セメントや無水石膏などの混合物としての加熱処理物になり、得られる加熱処理物が有する水硬性などの機能は、軟弱土壌の固化材などとしての再利用に十分に活用できるものになることを見出した。本発明では、この知見に基づき、まず、前記瓦礫を、加熱工程(B)で加熱処理するか、或いは、後述するように、前記瓦礫に炭酸カルシウムなどを混合する前工程(A)後に加熱工程(B)を設けて加熱して、加熱処理物を得ることとした。加熱工程(B)では、酸化或いは中性或いは還元雰囲気中で、1200℃以下で24時間以下、200℃以上1200℃以下で、好ましくは300℃〜700℃で、より好ましくは400℃〜600℃で、1〜5時間程度加熱する。
例えば、加熱工程(B)で、廃石膏ボード含有の瓦礫を上記した温度で加熱処理した場合は、加熱処理物として無水石膏が得られる。また、本発明の製造方法は、上記に限定されず、先に述べた通り、加熱処理工程(B)で、70℃以上220℃以下で、廃石膏ボード含有の瓦礫を加熱処理することで、加熱処理物として半水石膏を得、得られた半水石膏を利用することによっても石膏−トバモライト系素材を得ることができる。したがって、瓦礫の種類(石膏と共に含まれる夾雑物の種類)によっては、このような低い温度での加熱処理でも、建材などとして有用な石膏−トバモライト系素材を得ることができる。
廃コンクリートや廃石膏ボードの再利用には、従来の方法では、種々雑多な混在物の分別除去の問題があった。混在物には、場合によっては有害なアスベストなどが含まれていることもあり、また、例えば、木片、付着紙、布、金属類など多種多様な物が含まれている。これらから所要の素材だけを取り出すことは、至難で高コストであり、時間を要するプロセスである。これに対し、本発明では、廃コンクリート、廃石膏ボード、混在物や付着物などからなる瓦礫を、1200℃以下の温度で、好ましくは300℃〜700℃、或いは、瓦礫の種類によっては70℃以上220℃以下で加熱処理する。その結果、無水セメント、無水石膏或いは半水石膏、灰などからなる加熱処理物が得られる。本発明者らの検討によれば、灰には酸化カルシウムが多く含まれるが、加熱処理物の利用においても何ら問題はない。また、瓦礫に、例えばアスベストなどが混在していたとしても、750℃以上の温度で加熱処理すれば無害化できることが知られている。このため、分離(不要なものを除去)する手段を特に用いることなく、瓦礫をまとめて処理して、その処理物自体をそのまま高温で加熱処理することも可能であり、このような構成とすれば、煩雑な分離作業を不要にできるので、有効である。
本発明者らは、上記したようにして得られる、無水セメント、無水石膏或いは半水石膏、灰などからなる加熱処理物を、前工程(A)を実施した場合はそのままでも使用可能な場合があるが、下記のような工程を実施した構成とすることで、各種の用途に再利用可能な有用な素材にできることを見出した。
具体的には、後工程(C)として、下記のような方法を実施することが挙げられる。後工程(c1)として、上記得られた加熱処理物100質量部に対して10質量部以上50質量部以下の範囲内で、前記加熱処理物に、結合材として、生石灰、消石灰、消化ドロマイト、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれか1種を添加する。なお、後述する前工程(A)を実施して得た加熱処理物の場合は、この処理を行わなくてもよい。上記のようにして後工程の(c1)を実施して得られる、加熱処理物に消石灰などを添加混合したものは、例えば、軟弱土壌の固化材や、鋳型固化材、酸性土壌の中和材などの土壌改良材や、肥料や、プラスター素材などとして再利用できるものになる。
低地や湿地の軟弱土壌には、風雨で運ばれて、富栄養化のアンモニアや、鉛、ヒ素、カドミウム、コバルト、クロム、銅、水銀又はマンガンなどの有害物質が蓄積することがある。場合によっては、原発事故で排出した放射性セシウムが風雨で運ばれ、低地や湿地の軟弱土壌に蓄積するも考えられる。この場合は、上記に挙げたような有害物質を固定化し、軟弱土壌を同時に固化することが必要になる。本発明者らの検討によれば、このような要請に対し、まず、前記した加熱工程(B)で得た加熱処理物に、消石灰などを添加混合する後工程の(c1)を実施して得られる構成の組成物を利用することが有効であることを見出した。すなわち、加熱処理物を構成する無水セメントや無水石膏の水硬性材料と、(c1)で添加混合させた消石灰などによって発揮される固化機能は、軟弱土壌の固化に有効活用することができる。
さらに、本発明者らの検討によれば、加熱処理物への後工程である(c1)の実施に加え、別の後工程(D)として、前記加熱処理物100質量部に対して10質量部以上50質量部以下の範囲内で、前記加熱処理物に、吸着材として、活性炭素、ゼオライト、水酸アパタイトからなる群より選択される少なくともいずれか1種を添加混合する後工程の(d1)を実施して得られる構成の組成物を利用することが有効である。このように構成することで、加熱処理物に共存させた、ゼオライト、水酸アパタイト、炭などのイオン交換や吸着機能が発揮され、先に挙げたような有害物質を固定化するのである。加熱処理物の粒状固化体を流動層として用いれば、有害物質を容易に固定化することができるようになる。
また、加熱処理物への後工程である(c1)の実施に加え、別の後工程(D)として、上記した(d1)の実施とは別に、或いは、(d1)の実施に加えて、硫酸バリウムを添加(d2)することも好ましい形態である。すなわち、加熱処理物中の無水セメントや無水石膏の硬化性を利用して、硫酸バリウムを漆喰状の塗布材にすれば、放射線遮蔽材としても利用し得るものにできる。この場合、生石灰、消石灰、消化ドロマイトの単独又は任意の割合の混合物や、ウォラストナイトやカラギーナンなど補強材を加えれば、塗布膜は強固で平滑な硫酸バリウム含有の漆喰になる。補強材を使用して漆喰のように基材に被覆して使用する場合には、例えば、5質量%以下のウォラストナイト、カラギーナンその他の物質を添加・混合し、水練して漆喰様にすることが好ましい。
また、本発明では、後工程(c2)として、前記加熱処理物に、酸化ケイ素成分と酸化カルシウム成分とを加えて水熱処理することが有効である。前記したように、無水セメント、無水石膏、灰などからなる加熱処理物に、酸化ケイ素成分と酸化カルシウム成分とを添加した固化体は、消石灰などの酸化カルシウム分と酸化ケイ素分を水熱反応させることで、部分的にトバモライトが製造されたものとなる。このように部分的にトバモライトが製造されることで、建材などへの再利用が可能なものにできる。この場合の製法の特徴は、固化体の形状を保持したまま、水熱反応を進めることができる点にある。水熱反応に関わる酸化ケイ素源としては、酸化ケイ素そのものだけではなく、例えば、抗火石、大谷石、粘土、表土などの酸化ケイ素分を端成分とする素材も利用でき、この点も上記製法の特徴である。
本発明者らは、上記した水熱処理する後工程(c2)で、前記した固化体に、部分的にトバモライトが製造できた点について、さらに検討し、その好適な処理条件についての検討を行った。その結果、瓦礫を加熱処理して得た加熱処理物100質量部に、500質量部以下の酸化カルシウム分と、必要十分に反応する500質量部以下の酸化ケイ素分を添加・混合し、得られた固化体を150℃〜300℃の温度範囲で任意の時間水熱処理することで、より効果的に、固化体に、部分的にトバモライトを製造することができることがわかった。
この点についての詳細は、第一の形態の石膏−トバモライト系素材を得る方法として先述したが、その概要は、下記の通りである。まず、加熱処理工程(B)で、廃石膏ボードを含む瓦礫を加熱処理して、加熱処理物として無水石膏或いは半水石膏を得る。次に、得られた無水石膏或いは半水石膏に、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、該原料粉中の酸化ケイ素成分と反応する、カルシウム成分を含有する水洗ケーキ由来の材料を適宜な使用割合で、好ましくは、Si成分/Ca成分のモル比が1.0〜1.5となるような使用割合で添加混合し、これらからなる混合粉で固化体を成形する。そして、この固化体を120℃以上350℃以下の温度、より好ましくは、170〜190℃の温度で水熱処理することで、トバモライトが多く含まれるより良好な石膏−トバモライト系素材を得ることが実現できる。
また、本発明では、前記した廃石膏ボード及び/又は廃コンクリートからなる廃材を含む瓦礫を加熱して加熱処理物を得る加熱工程(B)を行う場合に、その前工程(A)として、前記瓦礫に、炭酸カルシウム、ドロマイト及び炭酸マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれかを混合し、その後に、前記加熱工程(B)を行うことも有効である。具体的には、例えば、瓦礫100質量部に、炭酸カルシウム、ドロマイト、炭酸マグネシウムを、単独で、又は、任意の割合の混合物で、100質量部以下の量で、添加・混合し、酸化、中性、還元、いずれかの雰囲気中で、1200℃以下で24時間以下、好ましくは300℃から700℃で1〜5時間加熱処理する。このように前工程(A)を設けた構成とした場合は、加熱処理物は、無水セメント、無水石膏、生石灰、酸化マグネシウム、無機物などからなる構成のものになる。このように構成した場合も、前記したような軟弱土壌の固化材として、鋳型固化材として、有害物質の固定化材として、プラスターや防草材などとして利用することができる。
上記した前工程(A)を実施する形態においても、最終的な処理物(組成物)の使用目的に応じて、上記で得た加熱処理物に対して前記したような後工程することが好ましい。具体的には、得られた加熱処理物に、酸化ケイ素成分と酸化カルシウム成分とを加えた固化体を水熱処理する後工程の(c2)を実施することや、加熱処理物100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下の範囲内で、前記加熱処理物に、吸着材として、活性炭素、ゼオライト、水酸アパタイトからなる群より選択される少なくともいずれか1種を添加する後工程の(d1)を実施することや、上記範囲内の量で硫酸バリウムを添加する後工程(d2)を実施する。
上記したように、本発明は、これまで廃棄物として処理されていた建築廃材を、簡便な手段によって、軟弱土壌の固化材として、或いは、有害物質の固定化材として、或いは、放射線遮蔽材として、或いは、トバモライトを多く含む建材などとして有効利用に供する、貴重な素材として再利用できるものにする、工業上、極めて有用な技術である。
次に、検討例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」又は「%」とあるのは質量基準である。
軟弱土壌などの固化材としての機能を評価の対象として、加熱処理物を得るための加熱温度の違いとの相関について調べた。評価用の軟弱土壌(以下、単に軟弱土壌と呼ぶ)には、校庭の表土に水添したものを使用した。その際、表土は、フルイ分けして粗石などを除去し、100℃で24時間乾燥し、放冷した後のものを用いた。また、試験用の模擬瓦礫には、廃コンクリート、廃石膏ボード、上記表土、木片、付着紙などの混合物を用いた。なお、試験によっては、廃コンクリート、廃石膏ボードを単独で用いた。
[検討例1−加熱工程(B)についての検討]
加熱炉を用い、上記した廃コンクリートと廃石膏ボードとを含む瓦礫を、300℃、400℃、500℃、700℃、900℃、1000℃、1100℃の異なる温度で、それぞれ1時間加熱処理して、加熱温度の異なる加熱処理物をそれぞれに得た。得られた加熱処理物は、炉内で放冷後、自動粉砕機で粉砕混合して実施例の試料に用いた。
その結果、上記いずれの温度で1時間加熱した場合も、得られる加熱処理物は、廃コンクリートに由来する無水セメントと、廃石膏ボードに由来する無水石膏を含むものになることが確認された。また、これら加熱処理物を単独で、或いは、任意の割合の混合物として、水練成形して〜24時間放置すると、固化することを確認した。このことは、上記のように、本発明で規定する加熱工程(B)で瓦礫を処理することで、得られる加熱処理物は、水和硬化性を有するものになることを示している。
また、得られた加熱処理物に、前記した軟弱土壌、ゼオライト、炭素粉を、単独で、又は、任意の割合で混合した混合物を添加・混合して水練することで固化体とできることを確認した。この結果、上記のようにして得た加熱処理物は、上記試験に用いた添加物を固化する固化材として機能するものであることを示している。
上記した試験における固化の様子から、廃コンクリート、廃石膏ボードをそれぞれに用いて加熱処理試験を行った。その結果、300℃、350℃、400℃、500℃のそれぞれの温度で1時間加熱処理した結果得られた無水石膏は、水硬性が強く、これらの条件で得た加熱処理物による軟弱土壌の固化体は、いずれも、24時間後、水に浸漬しても崩壊しないものになった。特に、300℃で、1時間処理して得られた無水石膏は、それよりも高い温度条件で熱処理して得た加熱処理物に比べて、4倍量以上の軟弱土壌を固化することができた。しかしながら、1時間の熱処理では、廃石膏ボードからの付着紙などの灰化が十分ではなく、この点から、本発明で規定する加熱工程(B)では、300℃で2時間以上、ないしは、350℃で1時間程度の加熱処理を行うことが好ましいことがわかった。
また、加熱処理温度を上昇させると、無水セメントの硬化能は向上するが、無水石膏の硬化能は逆に低下することもわかった。例えば、廃石膏ボードを700℃で1時間熱処理して得た無水石膏は、水硬性が低く、900℃以上で、1時間加熱処理した無水石膏は、700℃のそれよりも水硬性に劣ることがわかった。恐らく、900℃以上の高温で、1時間加熱処理した無水石膏は、水和し難い無水石膏になり、水硬性が下がったと考えられる。上記のことから、廃石膏ボードが主体の瓦礫では、熱処理温度を700℃以下とすることが好ましく、廃コンクリート主体の瓦礫では、加熱処理温度を700℃以上とすることが好ましいことがわかった。
また、加熱工程(B)で、廃石膏ボードを含む瓦礫を、上記で検討した加熱処理温度よりも低くした場合についても検討した。その結果、加熱工程(B)における加熱温度を、70℃以上220℃以下とすると、加熱処理物として半水石膏が得られるが、加熱処理物として、このようにして得た半水石膏を用いた場合も、前記した石膏−トバモライト系素材を得ることができることを見出した。勿論、加熱処理物として、無水石膏と半水石膏の混合物を用いた場合も同様に、良好な石膏−トバモライト系素材を得ることができる。したがって、瓦礫の種類によっては、高温での加熱処理をすることなく、有用な再生廃材組成物を得ることが可能になる。
[検討例2−後工程(C)として、結合材の添加(c1)についての検討]
ここで、瓦礫に含まれる廃コンクリート由来のセメントモルタルの含有量は、15質量%以下と量的に少ない。そのため、先に述べたように、瓦礫の加熱処理物は水硬性を示すが、その水硬性には限界がある。この問題に対しては、固化性を補うために、加熱処理物に、生石灰、消石灰、消化ドロマイト、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれか1種を添加(c1)することが有効である。これらの物質は、単独で添加してもよいが、上記した中から2種以上を選択して任意の割合の混合物として添加してもよいが、いずれの場合も結合材として機能する。先に述べたように、廃石膏ボードの場合は、300℃で2時間以上、ないしは、350℃で1時間程度の加熱処理することが好ましく、700℃で熱処理した場合は水硬性に劣る。これに対し、廃石膏ボードを主体とする瓦礫においても、瓦礫にアスベストが混在するような場合には、その無害化のため700℃以上で処理する必要が生じる。700℃以上で熱処理した場合は、無水石膏による固化性能が低くなるので、これを補う手段として、加熱処理物に上記した結合材として機能する物質を添加(c1)することが、極めて有効になる。具体的には、例えば、加熱処理物に含まれる無水石膏と同量の消石灰を添加すると、固化性能は著しく向上し、消石灰を添加しない場合の5倍量以上の軟弱土壌を固化することができるようになる。そして、得られる固化体は、水に浸漬しても崩壊することはなく、有効な固化材となる。本発明者らの検討によれば、このような消石灰の添加効果は、上記の無水石膏を無水セメントに替えても、無水セメントと無水石膏の任意の割合の混合物に替えても同様に発現する。また、本発明で規定する、生石灰、消化ドロマイト、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムに替えても、同様の効果を示すことが確認された。
実際の瓦礫の構成は一様ではなく、種々雑多な夾雑物の混在物やその他の原因で、本発明で規定する温度で瓦礫を加熱した加熱処理物であっても、所望の固化性能が実現できない場合があることが考えられる。このような理由で、得られる加熱処理物の固化性能が低い時にも、上記した結合材の添加(c1)を行う構成とすることが好ましい。本発明者らの検討によれば、例えば、加熱処理物と軟弱土壌との質量比が1:1である混合物が固化しないような場合でも、加熱処理物に対して10質量%程度の消石灰などの本発明で規定する結合材を添加すると、容易に固化するようになる。本発明で規定する結合材の中でも消石灰の添加は、効果的である。その理由は、添加することで、水素結合の形成や、或いは、極微細なエトリンガイトないしはモノサルフェートを形成する可能性があり、それが固化に関わっていると考えられる。なお、X線回折では、エトリンガイトやモノサルフェートのピークは確認されなかったので、それらが形成していたとしても極微細なものである可能性が高い。
[検討例3−前工程(A)についての検討]
本発明者らの検討によれば、瓦礫に、炭酸カルシウム、ドロマイト及び炭酸マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれかを添加・混合し、この混合物を前記した加熱工程(B)で加熱処理してなる加熱処理物も、軟弱土壌を固化できるものになることがわかった。具体的には、廃コンクリート、廃石膏ボード、炭酸カルシウムを、1:1:1の質量比に調整した混合物に、廃コンクリートに対して、質量基準で、0.2程度の比率の木片、0.1程度の比率の紙を有するものを模擬瓦礫とし、これを、900℃で1時間、空気中で加熱処理し、炉内放冷後に粉砕して加熱処理物を得た。この加熱処理物は、前記廃コンクリートの4倍以上の重量の軟弱土壌を固化できることがわかった。そして、得られた固化体を水に浸漬しても、崩壊しないことを確認した。
また、廃コンクリート、廃石膏ボード、ドロマイト1:1:1の質量比の混合物に、質量基準で0.1程度の比率の木片を加え、700℃で1時間、空気中で加熱処理し、炉内で放冷後に粉砕して加熱処理物を得た。この加熱処理物は、前記廃コンクリートの3倍以上の重量の軟弱土壌を固化できた。また、固化体を水に浸漬しても崩壊しなかった。
以上のように、検討例2の後工程(c1)による添加、検討例3の前工程(A)による添加、のいずれの方法であるかにかかわらず、カルシウム分やマグネシウム分を含有させた瓦礫の加熱処理物の固化体は、軟弱土壌の固化材などとして効果的に利用できるものになることが確認された。また、消石灰、生石灰、消化ドロマイトなどを含有する加熱処理物を水に浸漬させた上澄み液は、pHが12〜13の範囲にあり、アルカリ性であるため、防草材や酸性土壌の中和材として有効に利用することもできる。
[検討例4−有害物質の固定化についての検討]
ゼオライトや炭素粉が、イオン交換ないしは吸着で有害物質を固定化できることは知られている。従って、先に述べたようにして得られる瓦礫の加熱処理物に、ゼオライトや炭素粉を含有させた形態とすれば、放射性セシウム、アンモニウムイオン、重金属イオンなどの有害物質を固定化し得ると考えられる。
本発明者らは、この点について検討試験を行った。その結果、有害物質を固定化の効果を得るために必要な、瓦礫の加熱処理物に対するゼオライトや炭素粉の添加量は10%〜50%程度で足り、添加量が比較的少なくてすむので、加熱処理物の固化性能の良否は問題にはならないことが確認された。具体的には、例えば、前記した廃石膏ボード主体の瓦礫の加熱処理物に、ゼオライトや炭素粉と共に消石灰を後添加して固化体としてもよく、或いは、廃石膏ボード主体の瓦礫に、前工程(A)で、炭酸カルシウムなどと共にゼオライトや炭素粉を添加混合し、それらが熱的に安定な300℃〜500℃で加熱処理し、その固化体を利用してもよい。
本発明者らの検討によれば、例えば、廃石膏ボードを300℃で1時間加熱処理して得た無水石膏の単独、或いは、上記で得た無水石膏と、廃コンクリートを500℃以上で1時間加熱処理して得た無水セメントとの任意の割合の混合物からなる加熱処理物10部に対して、3部のゼオライトA(Na12[(AlO212(SiO212]27H2O)を混合し、水練して固化する。この固化物は水に浸漬しても崩壊せず安定である。この場合も、加熱処理物に対して3部以下の、先に述べた消石灰などの結合材を後添加すれば、さらに安定な固化物となる。この場合に、ゼオライトAをその他のゼオライトや炭素粉に替えても、或いは、ゼオライトAと炭素粉の混合物に替えても、水練して得た固化体は安定であった。
上記したゼオライトや炭素粉を含有させた加熱処理物(固化体)の利用法について、下記の検討を行った。上記で得た固化体を柱状管に充填し、管底から管上に向けて、アンモニウムイオン、重金属イオン、リン酸イオン、硫化水素など含有の水溶液を流入させた。その結果、アンモニウムイオンや重金属イオンなどに対しては、ゼオライトによるイオン交換で、有機物は炭素粉による吸着で、リン酸イオンは、併用した消石灰と反応して水酸アパタイトになり固定化されることが確認された。この種の固化体を、石膏ボードと同様に建材などとして利用すれば、シックハウス症候群の原因物質を吸着固定化する壁材などとして機能すると考えられ、その使用が期待される。
質量基準で、廃石膏ボード1に対し、生石灰0.5とゼオライト(クリノプチロライト)0.5の比率で添加混合し、400℃で1時間、空気中で加熱処理し炉内放冷した。この加熱処理物に、水を1.5の比率で添加混合して24時間放置して固化させた。得られた加熱処理物のX線回折は、二水石膏、消石灰、クリノプチロライトからなる混合物であった。この加熱処理物を用いて、下記の試験を行った。上記で得た加熱処理物に対して0.1%の非放射性塩化セシウム含有の水溶液に懸濁させ、24時間振とう(80rpm)して固液分離し、分離した液を500倍に希釈して測定用試料とし、原子吸光光度計でセシウム濃度を測定した。その結果、セシウムの吸着量は23mg/g〜27mg/gであり、加熱処理物がセシウムイオンを固定化したことが確認された。
以上のように、ゼオライトや炭素粉を含有させた瓦礫の加熱処理物の固化体は、有害物質の固定化材として有用に利用されることが期待される。
[検討例5−加熱処理物の利用についての検討1]
廃石膏ボード主体の瓦礫を、300℃で1時間処理して加熱処理物を得た。得られた加熱処理物を50部、硫酸バリウムを30部、水酸化カルシウムを20部、ウォラストナイト5部、カラギーナン2部に水を添加して泥漿として、石膏板に塗布した。その結果、ひび割れのないスムースな表面の漆喰様になることが確認された。上記で使用した加熱処理物を30部、硫酸バリウム40部、水酸化カルシウム20部、ウォラストナイト5部、カラギーナン2部に水添して泥漿とし、石膏板上に塗布した。この場合も、ひび割れのないスムースな表面の漆喰様になった。上記配合を、水酸化カルシウムを全部又は部分的に水酸化マグネシウムや水酸化ドロマイトに替えても同様の結果が得られた。
上記試験で、糊材として使用したカラギーナンの代わりに、2%程度の膠を熱湯に溶かして使用しても良好な結果が得られた。また、上記した場合に、麻スサやそれに代わる布片を少々添加するのも、表面のひび割れ防止に効果的である。
上記で行った廃石膏ボード主体の瓦礫の代わりに、廃コンクリートを主体とする瓦礫を用い、上記と同様にして得た加熱処理物を使用した場合も、上記と同様の結果が得られた。このことは、含まれる無水石膏と無水セメントの割合が様々になると予想される実際の瓦礫から得られる加熱処理物を使用しても、同様な漆喰様の塗膜が得られることを意味する。上記のようにして得られる本発明で規定する加熱処理物を利用した硫酸バリウム系の漆喰の塗布膜は、放射線遮蔽機能を有するので、放射線遮蔽材としての利用も期待される。
[検討例6−加熱処理物の利用についての検討2]
廃石膏ボードを主体とする瓦礫ないしは廃コンクリートを主体とする瓦礫を、それぞれ、500℃で1時間加熱処理して、無水石膏ないしは無水セメント主体の加熱処理物をそれぞれ得た。得られた加熱処理物のそれぞれに、酸化ケイ素成分として、酸化ケイ素そのものの他に、抗火石と、前記した表土を用い、また、酸化カルシウム成分として、消石灰を用い、これらを添加して、無水石膏−酸化ケイ素−消石灰系、無水セメント−抗火石−消石灰系、無水セメント−表土−消石灰系の3種の固化体を得た。
上記の固化体をそれぞれ、180℃(〜10気圧)で7日間水熱処理して、固化体中の酸化ケイ素分と酸化カルシウム分を水熱反応させた。図1に、得られた反応生成物のX線回折図(XRD図)を示した。回折線は、いずれの場合も、トバモライト(C565)と推定されるピークを示し、トバモライトの生成を強く示唆している。なお、上記で使用した抗火石の酸化ケイ素分は、分析から略76%とし、表土の酸化ケイ素分としては、カオリナイト鉱物を主成分とする堆積粘土の木節粘土と同様に、略65%と仮定して、上記固化体の合成に供した。酸化ケイ素分と消石灰の配合比は、いずれの場合もモル比で、1:1の割合とした。
図2は、上記で得た無水石膏−抗火石−消石灰系の固化体を、180℃で7日間水熱反応させたSEM写真である。燐片状や針状の粒子は、トバモライトの生成を示唆している。また、エネルギー分散型X線分析(EDX分析)の結果によれば、カルシウムとケイ素の存在箇所が完全に一致しており、燐片状の粒子がトバモライトであることを示している。抗火石を木節粘土や大谷石に代えても全く同様の結果が得られた。ただ、水熱処理物の組織を詳細に観察すると、部分的には板状ではなく粒子状の組織も局所的には観察される。これは、恐らく、原料の混合の不均一性によるもので、水熱処理には均一混合が極めて重要なことを示している。得られた固化体の水熱反応物は非常に強固であり、板状・針状の結晶が絡み合った強固な構造体になっており、建材などへの利用が期待される。
セメント(普通ポルトランドセメント)の組成は、SiO2が22%程度、Al23が5%程度、Fe23が3%程度、CaOが65%程度、SO2が2%程度、(Na,K)2Oが0.8%程度である。他方、コンクリートの配合組成は、セメントが13%程度、水が27%程度、骨材が60%程度である。骨材が酸化ケイ素の砂であると仮定し、トバモライトの合成に必要な酸化ケイ素と酸化カルシウムの当量比を計算すると、廃コンクリートの加熱処理物中の酸化ケイ素に対しては酸化カルシウムが量的に不足する。そこで、この不足分を補填して水熱合成を試みた。その結果、トバモライトの燐片状の粒子が得られた。このことは、トバモライトの合成には、酸化ケイ素を含有する物質であれば特に問題はなく、それと消石灰を無水石膏と共に固化して水熱反応すればよいことを示しており、本発明で規定する加熱処理物を利用することで、簡便で容易な方法で、建材などへの利用が期待されるトバモライトが形成された固化体を得ることができることが確認された。
上記した水熱反応を進行させるには、酸化ケイ素の溶解を促進するので、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ成分の添加が、反応速度を高める意味からは好ましい。しかし、消石灰などのカルシウム化合物が反応の端成分であり、それを若干過剰にして反応液をアルカリ性に保持すればよく、Ca/Si比を化学量論組成の0.83よりもアルカリ側の組成割合にすれば特に問題はない。
以上のように、廃石膏ボード及び/又は廃コンクリートを含む瓦礫の加熱処理物による固化体中に含有させたカルシウム分と酸化ケイ素分を水熱反応させることで、固化体中に、建材などに利用可能なトバモライトを部分的に製造することができ、その結果、従来、その大半が廃棄されていた廃建材である廃石膏ボードや廃コンクリートを貴重な資源として再利用することが可能になる。
[検討例7−石膏−トバモライト系素材の生成についての検討]
廃石膏ボードを主体とする瓦礫を、加熱処理して、無水石膏主体の加熱処理物を得た。得られた加熱処理物に、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、カルシウム成分を含有する水洗ケーキ由来の材料とを添加混合して、固化体を得た。その際、各材料を、自動撹拌機で粉砕混合して、材料を微細化すると同時に均一に混合した混合粉を用いて固化体を作製した。固化体は、上記のようにして得た混合粉に水を少量添加して成形し、次の水熱処理に用いた。固化体は、成形圧を5MPaとし、水を滴下して固化を促し、1日放置して成形した。また、固化体の形成原料である混合粉中における、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、水洗ケーキ由来のカルシウム成分を含む材料との混合割合を、有効成分のSi成分/Ca成分のモル比が1.2となるようにした。加熱処理物である無水石膏の量は、混合粉中に15質量%となるようにして用いた。
酸化ケイ素成分を含有する原料粉として、産業廃棄物となっている、抗火石の加工屑粉を用いた場合と、大谷石の加工屑粉を用いた場合と、珪藻土の加工屑粉を用いた場合と、カオリンの加工屑粉を用いた場合と、木節粘土を用いた場合と、廃セメントの粉を用いた場合について検討した。カルシウム成分を含有する材料として、いずれも、水洗ケーキ由来の消石灰を用いた。
(無水石膏−抗火石−消石灰の例)
使用した抗火石のEDX分析値は、SiO2が78.0%、Al23が12.2%、Fe23が1.1%、CaOが1.7%、MgOが1.3%、K2Oが3.2%、Na2Oが2.5%であった。また、完全なトバモライトにおけるSi/Ca比は1.2であるので、上記EDX分析値を利用して、固化体の形成に使用する混合粉を構成する各材料の使用量を決定し、調合した。具体的には、400℃で2時間加熱処理した廃石膏10部に、抗火石30部と、使用した抗火石の酸化ケイ素成分と反応するカルシウム成分の量が、トバモライトを形成できるように、Si成分/Ca成分のモル比が1.2となる量の消石灰を用いて調合した。そして、これらの材料を自動撹拌機で30分粉砕混合して、均一混合して固化体の成形に用いる混合粉を得、得られた混合粉を用い、先に述べたようにして水添成形して固化体を作製した。
上記で得た固化体を用い、温度と時間を変えて水熱処理を行った。具体的には、170℃で48時間と96時間、175℃で48時間と96時間、180℃で、24、48、120、168時間、190℃で24と48時間の各条件で水熱処理した。その結果、いずれの条件の場合も、SEMで鱗片状や針状の粒子が観察され、X線回折で、これらの粒子がトバモライトであることを確認した。SEM観察の結果から、トバモライトの粒成長には、反応時間よりも反応温度の上昇の方が効果的であり、170℃及び175℃よりも、180℃及び190℃の方が好ましいことがわかった。反応時間は、48〜96時間程度とすることが好ましいことがわかった。得られた素材は、嵩比重が、いずれも1.68g/cm3であった。水熱反応による素材の収縮は殆どなかった。
図3に、190℃で48時間水熱処理して得られた、石膏−トバモライト系素材のSEM写真の図を示した。図3では、得られた素材の異なる4箇所におけるSEMの図を示した。図3の右上の図から、鱗片状粒子が、粒子間を満たすように成長していることがわかる。図3の右下の図の柱状粒子は石膏である。石膏は、合成過程で、溶解と析出を繰り返して、アスペクト比の高い板状粒子に変わっていくことが確認できた。石膏は安定で、石膏−トバモライト系素材の骨材として、また、トバモライトの核生成のサイトとして機能し、石膏の上にトバモライトが成長していた。
図4に、190℃で24時間水熱処理して得られた、石膏−トバモライト系素材のX線回折図である。石膏と、トバモライトの結晶が成長していることが確認できる。図4中にBで示したように、トバモライトのX線回折ピークは***していたが、これは、トバモライトのSi4+やCa2+イオンサイトに、Al3+やNa+やK+などが置換固溶するためで、格子間隔の異なる物質の生成のためである。また、EXD分析で、局所の元素分析したところ、試料ごとにSi/Caの比が異なっており、場所の依存性があることが確認された。
(無水石膏−大谷石−消石灰の例)
大谷石のEDX分析値は、SiO2が74.5%、Al23が14.2%、Fe23が1.3%、CaOが1.0%、MgOが0.2%、K2Oが3.4%、Na2Oが5.4%であった。先に行った抗火石を使用した例と同様の方法で固化体を作製し、抗火石を使用した例と同様の各条件で水熱処理した。その結果、抗火石を使用した例とほぼ同様の結果が得られた。400℃で2時間加熱処理した廃石膏10部に、大谷石30部と、使用した大谷石の酸化ケイ素成分と反応するカルシウム成分の量が、トバモライトを形成できるように、Si/Caのモル比が1.2となる量で消石灰を用いて、均一に撹拌混合した混合粉を調合した。図5に、調合した混合粉で固化体を形成し、該固化体を190℃で48時間水熱処理して得られた石膏−トバモライト系素材のSEMの図を示した。図示しなかったが、X線回折で、いずれの場合も、29°付近に、トバモライトの(220)面の回折ピークが認められた。また、抗火石を用いた場合と同様に、ピークが***していた。大谷石に含まれる鉱物は、珪石、斜長石、曹長石、モルデナイトやクリノプチライトのゼオライトであり、その他はアモルファスの酸化ケイ素である。この中で、珪石、曹長石、アモルファスの酸化ケイ素が消石灰と反応してトバモライトを生成すると考えられる。斜長石は繊維状になり易く、石膏やトバモライトとともに物理的な絡み合いに利用されて、素材の強度発現に寄与していると考えられる。
(その他の原料粉を使用した例)
原料粉の組成の違いにより、得られる石膏−トバモライト系素材の組成への影響を調べた。下記の各材料からなる原料粉について検討した。
・カオリン:Al2Si25(OH)4
・珪藻土:SiO2が77.10%、Al23が14.50%、Fe23が4.56%、CaOが0.16%、MgOが1.50%、K2Oが1.51%、Na2Oが0.64%
・木節粘土:SiO2が47.69%、Al23が33.60%、Fe23が1.26%、CaOが0.60%、MgOが0.65%、K2Oが1.12%、Na2Oが0.10%、TiO2が0.94%、H2Oが15.26%
・廃コンクリート:普通ポルトランドセメントの組成は、SiO2が〜22%、Al23が〜5%、Fe23が〜3%、CaOが〜65%、SO2が〜2%、(Na、K)2Oが〜0.8%であり、コンクリートの配合組成が、セメント〜13%、水〜27%、骨材〜60%であるので、廃コンクリート中の酸化ケイ素量は計算される。
上記の各原料粉を用い、前記した抗火石を使用して行ったと同様にして、水熱処理を、190℃で96時間の条件で、石膏−トバモライト系素材を得た。そして、前記したと同様にして得られた素材の性状を調べた。その結果、珪藻土粉を用いた場合、珪藻土の殻に鱗片状のトバモライトが生成していることを確認した。また、カオリンを使用した場合は、図6のSEMの図に示したように、トバモライト特有の鱗片状粒子と、針状粒子が混在した素子が得られた。木節粘土を使用した場合は、前記した抗火石及び大谷石を使用した場合と同様に、トバモライトの鱗片状粒子に混在した石膏の板状粒子が散見された(不図示)。廃セメントを用いた例では、繊維状と板状の粒子が特徴的であり、廃セメントの特徴を反映していた(不図示)。いずれの材料を用いた場合も、建材に利用可能な石膏−トバモライト系素材を合成できることを確認した。

Claims (29)

  1. 廃石膏ボードを加熱して加熱処理物を得る加熱工程(B)と、該加熱工程(B)の後に行う後工程(C)と、前記加熱工程(B)の前、或いは、前記加熱工程(B)の後で且つ前記後工程(C)の前に、添加材料の添加が行われる添加材料の添加工程(A)とを有する石膏−トバモライト系素材を得る再生廃材組成物の製造方法であって、
    前記加熱工程(B)における加熱温度を200℃以上1200℃以下とし、該工程(B)で加熱処理物として無水石膏を得、
    前記添加材料の添加工程(A)で、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、該原料粉中の酸化ケイ素成分と反応する、前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料とを添加し、これらの混合粉で固化体を得、
    前記後工程(C)で、前記固化体を120℃以上350℃以下の温度で水熱処理して、石膏−トバモライト系素材を得ることを特徴とする再生廃材組成物の製造方法。
  2. 廃石膏ボードを加熱して加熱処理物を得る加熱工程(B)と、該加熱工程(B)の後に行う後工程(C)と、前記加熱工程(B)の前、或いは、前記加熱工程(B)の後で且つ前記後工程(C)の前に、添加材料の添加が行われる添加材料の添加工程(A)とを有する石膏−トバモライト系素材を得る再生廃材組成物の製造方法であって、
    前記加熱工程(B)における加熱温度を70℃以上220℃以下とし、該工程(B)で加熱処理物として半水石膏を得、
    前記添加材料の添加工程(A)で、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、該原料粉中の酸化ケイ素成分と反応する、前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料とを添加し、これらの混合粉で固化体を得、
    前記後工程(C)で、前記固化体を120℃以上350℃以下の温度で水熱処理して、石膏−トバモライト系素材を得ることを特徴とする再生廃材組成物の製造方法。
  3. 前記添加材料の添加工程(A)で、酸化ケイ素成分を含有する原料粉と、該原料粉中の酸化ケイ素成分と反応する、前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料とを、Si成分/Ca成分のモル比が1.0〜1.5となるように添加する請求項1又は2に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  4. 前記酸化ケイ素成分を含有する原料粉が、岩石の加工屑粉、表土混在の粘土鉱物粉、廃コンクリート、石炭灰及び表土混在の粘土からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料が、生石灰、消石灰、消化ドロマイト、炭酸カルシウム、ドロマイト及び牡蠣殻粉からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  5. 前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料が、水洗ケーキ由来の材料である請求項1〜4のいずれか1項に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  6. 前記固化体を得る際に、該固化体を構成する原料である、前記加熱処理物、前記酸化ケイ素成分を含有する原料粉及び前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料を、微細化し、且つ、均一に混合する請求項1〜5のいずれか1項に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  7. 前記後工程(C)で、前記固化体を170℃以上190℃以下の温度で水熱処理する請求項1〜6のいずれか1項に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  8. 前記廃石膏ボードとは別の材料由来のカルシウム成分を含有する材料として、消化ドロマイトを用いるか、生石灰又は消石灰と、酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウムとを組み合わせて用いる請求項1〜7のいずれか1項に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  9. 前記酸化ケイ素成分を含有する原料粉として、抗火石、カオリン、木節粘土及び廃セメントからなる群から選ばれる少なくとも1種を用い、且つ、前記後工程(C)での水熱反応の際に水酸化ナトリウムを添加することで、石膏−ゼオライト系素材を生成させる請求項1〜8のいずれか1項に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  10. 前記固化体に、さらに、単繊維状の麻スサを混合させる請求項1〜9のいずれか1項に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の再生廃材組成物の製造方法で得られた、石膏−トバモライト系素材を含んでなることを特徴とする再生廃材組成物。
  12. 前記石膏−トバモライト系素材が、鱗片状粒子、柱状粒子、針状粒子及び板状粒子からなる群から選ばれる少なくともいずれかの形状の粒子を有してなる請求項11に記載の再生廃材組成物。
  13. 前記石膏−トバモライト系素材が、斜長石、曹長石、正長石、珪石、ケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩の少なくともいずれかを含んでなる請求項11又は12に記載の再生廃材組成物。
  14. 廃石膏ボード及び/又は廃コンクリートからなる廃材を含む瓦礫を加熱して加熱処理物を得る加熱工程(B)と、該加熱工程(B)の後に行う後工程(C)とを少なくとも有し、
    前記加熱工程(B)における加熱温度が、200℃以上1200℃以下であり、
    前記後工程(C)で、前記加熱処理物100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下の範囲内で、前記加熱処理物に、結合材として、生石灰、消石灰、消化ドロマイト、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれか1種を添加(c1)する、又は、前記加熱処理物に、酸化ケイ素成分と酸化カルシウム成分とを加えた固化体を水熱処理(c2)することを特徴とする再生廃材組成物の製造方法。
  15. さらに、前記後工程(C)とは別の、前記加熱工程(B)の後に行う後工程(D)を有し、
    前記後工程(D)で、前記加熱処理物100質量部に対して10質量部以上50質量部以下の範囲内で、前記加熱処理物に、吸着材として、活性炭素、ゼオライト、水酸アパタイトからなる群より選択される少なくともいずれか1種を添加(d1)、及び/又は、硫酸バリウムを添加(d2)する請求項14に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  16. 廃石膏ボード及び/又は廃コンクリートからなる廃材を含む瓦礫を加熱して加熱処理物を得る加熱工程(B)と、該加熱工程(B)の前に行う前工程(A)とを有し、
    前記前工程(A)で、前記瓦礫に、炭酸カルシウム、ドロマイト及び炭酸マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれかを混合し、且つ、
    前記加熱工程(B)における加熱温度が、200℃以上1200℃以下であることを特徴とする再生廃材組成物の製造方法。
  17. さらに、前記加熱工程(B)の後に行う後工程(C)を有し、
    前記後工程(C)で、前記加熱処理物に、酸化ケイ素成分と酸化カルシウム成分とを加えた固化体を水熱処理(c2)する請求項16に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  18. 前記前工程(A)で、さらに、活性炭素、ゼオライト及び水酸アパタイトからなる群より選択される少なくともいずれか1種を添加する請求項16又は17に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  19. さらに、前記加熱工程(B)の後に行う後工程(D)として、
    前記後工程(D)で、いずれの場合も、前記加熱処理物100質量部に対して10質量部以上50質量部以下の範囲内で、前記加熱処理物に、吸着材として、活性炭素、ゼオライト及び水酸アパタイトからなる群より選択される少なくともいずれか1種を添加(d1)する、及び/又は、硫酸バリウムを添加(d2)する請求項16〜18のいずれか1項に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  20. 前記酸化ケイ素成分が、酸化ケイ素、抗火石及び大谷石からなる群より選ばれる少なくともいずれか1種である請求項14又は17に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  21. 前記酸化カルシウム成分が、生石灰、消石灰及び消化ドロマイトからなる群より選ばれる少なくともいずれか1種である請求項14又は17に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  22. 前記加熱工程(B)における加熱温度が、300℃以上700℃以下である請求項14〜21のいずれか1項に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  23. 前記加熱工程(B)における加熱時間が、1時間以上24時間以下である請求項14〜22のいずれか1項に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  24. 前記加熱工程(B)における加熱時間が、1時間以上5時間以下である請求項14〜22のいずれか1項に記載の再生廃材組成物の製造方法。
  25. 廃石膏ボード及び/又は廃コンクリートからなる廃材を含む瓦礫の加熱処理物と、
    生石灰、消石灰、消化ドロマイト、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくともいずれか1種の結合材と、を含み、且つ、
    前記加熱処理物100質量部に対して、前記結合材を10質量部以上100質量部以下の範囲で含むことを特徴とする再生廃材組成物。
  26. 前記結合材が、生石灰又は酸化マグネシウムの少なくともいずれかである請求項25に記載の再生廃材組成物。
  27. さらに、活性炭素、ゼオライト及び水酸アパタイトからなる群より選択される少なくともいずれか1種の吸着材を含み、且つ、
    前記加熱処理物100質量部に対して、前記吸着材を5質量部以上50質量部以下の範囲で含む請求項25又は26に記載の再生廃材組成物。
  28. さらに、硫酸バリウムを、前記加熱処理物100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下の範囲で含む請求項25〜27のいずれか1項に記載の再生廃材組成物。
  29. さらに、トバモライトを含む請求項25〜28のいずれか1項に記載の再生廃材組成物。
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