JP2019001145A - 加飾フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
加飾成型体は、例えば、金型内に加飾フィルムを予め配置して、その金型内に基材樹脂を射出成形することにより得られ、樹脂成型体の表面に加飾フィルムが一体化された構造を有する。
ここで、金型内に加飾フィルムを予め配置した後、基材樹脂の射出成形を行うことを、一般に、フィルムインサート成形、或いは、単にインサート成形と称することがある。
本発明者らは、加熱により、着色層と着色層に隣接する層との間に発生する浮きに着目し、この浮きを低減させるための検討を行った結果、着色層と着色層に隣接する層との間の密着性を向上させることが望ましい、という知見を得た。
上記のような検討を行うに際し、特許文献1に開示された加飾シートの構成を確認したところ、着色層に隣接する表面保護層を、電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化して形成することで、着色層と表面保護層との間の密着性向上については一定の効果が得られるものの、着色層と表面保護層との間の密着性向上の点に関しては未だ不十分であることが分かった。更には、特許文献1に記載の加飾シートは、表面保護層が架橋硬化物であるため架橋による収縮もあり、表面平滑性に関しても未だ不十分であることが分かった。
本発明者らは、この金型に対する形状追従性を高める技術に関しても検討を行ったところ、着色層と着色層に隣接する層との間の密着性を高めつつ、着色層に適度な柔軟性を付与することが望ましい、という知見を得た。
そこで、本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、表面平滑性に優れ、着色層と着色層に隣接する層との間(即ち、透明フィルムと着色層との間及び着色層と基材フィルムとの間)の密着性が高く、インサート成形に用いられる金型に対する形状追従性が良好な加飾フィルムの製造方法を提供することである。
本開示において、着色層と着色層に隣接する層との間(即ち、透明フィルムと着色層との間及び着色層と基材フィルムとの間)の密着性を、「層間密着性」と、また、インサート成形に用いられる金型に対する形状追従性を、単に「金型に対する形状追従性」と、称することがある。
<1>
基材フィルムの一方の面上に、ウレタン骨格、ウレア骨格、炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基、及び炭素原子数6〜12の炭化水素基からなる群より選択される少なくとも一種の部分構造と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物を含み、露光により硬化する着色層を形成する工程と、
形成された着色層に接触するように透明フィルムをラミネートして、積層体を形成する工程と、
形成された積層体を露光する工程と、
を有する加飾フィルムの製造方法。
重合性化合物が、ウレタン骨格及び炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される少なくとも一種の部分構造と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物である、<1>に記載の加飾フィルムの製造方法。
<3>
重合性化合物が、炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基を3つ以上と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物である、<1>又は<2>に記載の加飾フィルムの製造方法。
着色層が顔料粒子を含む、<1>〜<3>のいずれか1に記載の加飾フィルムの製造方法。
<5>
顔料粒子の含有量が着色層の全質量に対して1質量%〜50質量%である、<4>に記載の加飾フィルムの製造方法。
露光前の着色層が重合開始剤を含む、<1>〜<5>のいずれか1に記載の加飾フィルムの製造方法。
<7>
着色層がバインダー樹脂を含む、<1>〜<6>のいずれか1に記載の加飾フィルムの製造方法。
露光前の着色層の厚みが1μm〜60μmである、<1>〜<7>のいずれか1に記載の加飾フィルムの製造方法。
透明フィルムが、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はポリエチレンテレフタレート樹脂を、透明フィルムに含まれる全樹脂成分に対して60質量%以上含む樹脂フィルムである、<1>〜<8>のいずれか1に記載の加飾フィルムの製造方法。
基材フィルムが、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂を基材フィルムに含まれる全樹脂成分に対して60質量%以上含む樹脂フィルムである、<1>〜<9>のいずれか1に記載の加飾フィルムの製造方法。
着色層を形成する工程が、エクストルージョンコーター、カーテンフローコーター、及びバーコーターから選択されるいずれかの塗布手段にて、基材フィルムの一方の面上に塗膜を形成した後、塗膜を乾燥させる工程である、<1>〜<10>のいずれか1に記載の加飾フィルムの製造方法。
更に、透明フィルムの着色層に接触する面とは反対の面上に、反射防止層を形成する工程を有する、<1>〜<11>のいずれか1に記載の加飾フィルムの製造方法。
本開示において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本実施形態の加飾フィルムの製造方法は、基材フィルムの一方の面上に、ウレタン骨格、ウレア骨格、炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基、及び炭素原子数6〜12の炭化水素基からなる群より選択される少なくとも一種の部分構造と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物を含み、露光により硬化する着色層を形成する工程(以下、「着色層形成工程」と称することがある)と、
形成された着色層に接触するように透明フィルムをラミネートして、積層体を形成する工程(以下、「積層体形成工程」と称することがある)と、
形成された積層体を露光する工程(以下、「露光工程」と称することがある)と、
を有する加飾フィルムの製造方法である。
このような加飾フィルムが得られる理由については、以下のように推測される。
即ち、本実施形態における着色層形成工程で形成される着色層は、露光により硬化する層である。この着色層は、未硬化状態の着色層に接触するように透明フィルムがラミネートされた後、露光により硬化するため、この硬化によりアンカー効果が発現し、着色層と透明フィルムとの間及び着色層と基材フィルムとの間の密着性が高まる。また、着色層は、上記した特定の部分構造と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物を含んでおり、この重合性化合物は重合硬化した際、特定の部分構造を有することで、着色層に適度な柔軟性を付与することができる。そのため、この着色層を有する加飾フィルムは、インサート成形に用いられる金型に対する形状追従性も良好になる。
また、本実施形態では、着色層に接触するように透明フィルムをラミネートしている。つまり、製造された加飾フィルムでは、着色層に接するように透明フィルムが存在することとなる。そのため、透明フィルムを有する加飾フィルムは、塗布及び硬化で得られた層とは異なり、高い表面平滑性を有するといえる。この高い表面平滑性を有する加飾フィルムを用いることで、質感を高い加飾成型体を得ることができる。
なお、本実施形態に、上記推定機構に何ら制限されない。
本実施形態の加飾フィルムの製造方法は、基材フィルムの一方の面上に、ウレタン骨格、ウレア骨格、炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基、及び炭素原子数6〜12の炭化水素基からなる群より選択される少なくとも一種の部分構造と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物を含み、露光により硬化する着色層を形成する。
以下、本工程について説明する。
本工程に用いる基材フィルムは、加飾フィルムにおける基材フィルムとして知られているものが使用でき、加飾フィルムの用途、インサート成形への適性等に応じて、適宜、選択されればよい。
このような添加物としては、例えば、鉱油、炭化水素、脂肪酸、アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、金属石けん、天然ワックス、シリコーンなどの潤滑剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機難燃剤、ハロゲン系、リン系等の有機難燃剤、金属粉、タルク、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ガラス繊維、カーボン繊維、木粉等の有機又は無機の充填剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、滑剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、着色剤等の添加剤、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等であって、前述した樹脂以外のエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。
市販品としては、例えば、ABSフィルム(オカモト(株))、ABSシート(積水成形工業(株))、コスモシャイン(登録商標)A4100(PETフィルム、東洋紡(株))等を挙げることができる。
次に、基材フィルムの一方の面上に形成する着色層について説明する。
本工程で形成される着色層は、ウレタン骨格、ウレア骨格、炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基、及び炭素原子数6〜12の炭化水素基からなる群より選択される少なくとも一種の部分構造と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物(以下「特定重合性化合物」と総称することがある)を含み、露光により硬化する着色層である。
特定重合性化合物は、ウレタン骨格、ウレア骨格、炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基、及び炭素原子数6〜12の炭化水素基からなる群より選択される少なくとも一種の部分構造と、2つ又は3つの重合性基と、を有する。なお、部分構造と重合性基との間には、必要に応じて、連結基を有していてもよい。また、特定重合性化合物は、ウレタン骨格、ウレア骨格、炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基、及び炭素原子数6〜12の炭化水素基からなる群より選択される二種以上の部分構造を有していてもよい。
本開示において、ウレタン骨格とは、>N−C(=O)−O−で表されるウレタン結合を含む骨格を指し、ウレア骨格とは、>N−C(=O)−N<で表されるウレア結合(尿素結合ともいう)を含む骨格を指す。
また、重合性基としては、ラジカル重合性不飽和基であるエチレン性不飽和基、エポキシ基等が挙げられる。
ウレタン骨格と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物(以下、「特定重合性化合物1」と称することがある)としては、ウレタンオリゴマーが好ましい。
ウレタンオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族系ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
詳しくは、オリゴマーハンドブック(古川淳二監修、(株)化学工業日報社)を参照することができ、ここに記載のウレタンオリゴマーは、目的に応じて適宜選択し、本工程における着色層の形成に用いることができる。
特定重合性化合物1であるウレタンオリゴマーの分子量は、800〜2000であることが好ましく、1000〜2000であることがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品としては、例えば、新中村化学工業(株)のU−2PPA、UA−122P、等;サートマー・ジャパン(株)のCN964A85、CN964、CN959、CN962、CN963J85、CN965、CN982B88、CN981、CN983、CN991、CN991NS、CN996、CN996NS、CN9002、CN9007、CN9178、CN9893;ダイセル・オルネクス(株)のEBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL284、EBECRYL4858、EBECRYL210、EBECRYL8402、EBECRYL8804、EBECRYL8800−20R等(以上、商品名)が挙げられる。
なお、「EBECRYL」はいずれも登録商標である。
ウレア骨格と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物(以下、「特定重合性化合物2」と称することがある)としては、>N−C(=O)−N<で表されるウレア結合と2つ又は3つのエチレン性不飽和基とを有するモノマーが挙げられる。
エチレン性不飽和基を有するイソシアネートとしては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(市販品であれば、昭和電工(株)のカレンズMOI(登録商標))、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのイソシアネート基をメチルエチルケトンオキシムでブロックしたもの(メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、市販品であれば、昭和電工(株)のカレンズMOI−BM(登録商標))、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのイソシアネート基をピラゾールでブロックしたもの(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、市販品であれば、昭和電工(株)のカレンズMOI−BP(登録商標))等を用いることができる。
また、アミン化合物としては、例えば、2つ以上の活性水素原子を有するアミン化合物、具体的には、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等を用いることができる。
なお、特定重合性化合物2は、この方法により得られるものに限定されない。
ここで、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、及びε-カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートは、エチレンオキサイド基を有する化合物でもある。
市販品の具体例としては、例えば、新中村化学工業(株)のNKエステルA−9300、A−9300−1CL;東亞合成(株)のアロニックス(登録商標)M−215、313、315(以上、商品名)等を挙げることができる。
炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物(以下、「特定重合性化合物3」と称することがある)は、1分子内に、例えば、エチレンオキサイド基又はプロピレンオキサイド基を1つ以上有し、かつ、重合性基を分子末端に2つ又は3つ有する。
ここで、特定重合性化合物3における重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイルオキシ基及びメタアクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和基が挙げられる。
これらの化合物が有するエチレンオキサイド基又はプロピレンオキサイド基の数は、金型に対する形状追従性がより良好となるという観点から、3以上が好ましく、9〜40が好ましく、15〜30がより好ましい。
市販品の具体例としては、例えば、新中村化学工業(株)のNKエステルA−200、A−400、A−600、A−1000、1G、2G、3G、4G、9G、14G、23G、ABE−300、A−BPE−4、A−BPE−6、A−BPE−10、A−BPE−20、A−BPE−30、BPE−80N、BPE−100N、BPE−200、BPE−500、BPE−900、BPE−1300N、A−GLY−3E、A−GLY−9E、A−GLY−20E、A−TMPT−3EO、A−TMPT−9EO;日本化薬(株)のPEG400DA;東亞合成(株)のアロニックス(登録商標)M−220、M−350;サートマー・ジャパン(株)のSR415、SR454、SR9035(以上、商品名)等を挙げることができる。
炭素原子数6〜12の炭化水素基と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物(以下、「特定重合性化合物4」と称することがある)は、炭素原子数が6〜12であって、鎖状、環状、分岐状のいずれかの炭化水素基と、2つ又は3つの重合性基と、を有する。
ここで、特定重合性化合物4における炭化水素基としては、具体的には、炭素数6〜12の炭化水素鎖であり、直鎖でも、分岐があってもよい。
中でも、金型に対する形状追従性がより良好となるという観点から、炭化水素基としては、直鎖のものが好ましい。
また、重合性基としては、重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイルオキシ基及びメタアクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和基が挙げられる。
上記化合物の中でも、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
その他の重合性化合物としては、特定重合性化合物と同様の重合性基を含む化合物であれば、特に制限なく用いることができる。
本工程で形成される着色層は、目的とする色相を得るため、顔料粒子を含むことが好ましい。
着色層に含まれる顔料粒子には、特に制限はなく、目的とする色相の顔料粒子を適宜選択して用いることができる。
無機顔料としては、例えば、特開2005−7765号公報の段落〔0015〕及び段落〔0114〕に記載の白色顔料が挙げられる。
具体的な無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、及び硫酸バリウムなどの白色顔料、並びに、カーボンブラック、チタンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、及び黒鉛などの黒色顔料が挙げられる。
具体的な有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 177、179、224、242、254、255、264等の赤色顔料、C.I.Pigment Yellow 138、139、150、180、185等の黄色顔料、C.I.Pigment Orange 36、38、71等の橙色顔料、C.I.Pigment Green 7、36、58等の緑色顔料、C.I.Pigment Blue 15:6等の青色顔料、C.I.Pigment Violet 23等の紫色顔料が挙げられる。
その他、顔料粒子としては、露光により硬化を妨げない範囲において、光透過性及び光反射性を有する顔料(所謂、光輝性顔料)の粒子を含んでいてもよい。
ここで、本開示における「白化」とは、着色層が、マット感が付与されたような白っぽい色味を呈するように変化することを指す。
顔料粒子以外の着色剤としては、染料が挙げられる。
着色層に含まれる顔料粒子の分散性がより良好になるという観点から、着色層は顔料粒子の分散剤を含んでいてもよい。
顔料粒子の分散剤を含むことで、着色層中における顔料粒子の分散性が向上し、加飾フィルムにおける色相の均一化が図れる。
加飾フィルムに耐熱性を付与したい場合には、例えば、グラフト型シリコーンポリマー等のシリコーンポリマーが好適である。
重量平均分子量は、例えば、以下に記載の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定することが測定できる。
・測定機器:EcoSEC HLC−8320(東ソー社)
・カラム:GPCカラムTSKgelSuper HZM−H(東ソー社)
・キャリア:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
・キャリア流量:1.0ml/min
・試料濃度:0.1質量%
・検出器:RI(示差屈折率)検出器
・標準物質:単分散ポリスチレン
なお、「ホモゲノール」、「ソルスパース」、及び「DISPERBYK」はいずれも登録商標である。
顔料粒子の分散剤を含む場合、分散剤の含有量は、顔料粒子100質量部に対して、1質量部〜30質量部であることが好ましい。
本工程において形成される着色層(即ち、露光前で未硬化の着色層)は、硬化感度を上げ、層間密着性を更に向上させるため、重合開始剤を含んでいることが好ましい。
重合開始剤としては、露光に対する感度を高める点から、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、特開2011−95716号公報の段落〔0031〕〜〔0042〕に記載の重合開始剤、特開2015−014783号公報の段落〔0064〕〜〔0081〕に記載のオキシム系重合開始剤を用いることができる。
本工程において形成される着色層は、露光による硬化の際の着色層の硬化収縮を低減させる点から、バインダー樹脂を含んでいることが好ましい。
バインダー樹脂としては、特に制限されず、公知の樹脂を適宜選択できる。バインダー樹脂としては、目的とする色相を得る点から、透明な樹脂であることが好ましく、具体的には、全光透過率が80%以上の樹脂が好ましい。
全光透過率は、分光光度計(例えば、(株)島津製作所、分光光度計UV−2100)により測定することができる。
中でも、透明性の観点から、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、及びエステル樹脂が好ましく、アクリル樹脂、及びシリコーン樹脂がより好ましい。更に、耐熱性の観点からは、シリコーン樹脂が好ましい。
アクリル樹脂には、例えば、アクリル酸の単独重合体、メタクリル酸の単独重合体、アクリル酸エステルの単独重合体、メタクリル酸エステルの単独重合体、アクリル酸と他のモノマーとの共重合体、メタクリル酸と他のモノマーとの共重合体、アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体、メタクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体などが包含される。
アクリル樹脂としては、シクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のグリシジルメタクリレート付加物、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸のランダム共重合体、アリルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体、及びベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体などが挙げられる。
中でも、メチル系ストレートシリコーン樹脂、メチルフェニル系ストレートシリコーン樹脂、アクリル樹脂変性シリコーン樹脂、及びゴム系のシリコーン樹脂が好ましく、メチル系ストレートシリコーン樹脂、メチルフェニル系ストレートシリコーン樹脂、及びゴム系のシリコーン樹脂がより好ましい。
線状飽和ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。
また、特定重合性化合物を含む重合性化合物の総量に対するバインダー樹脂の総量の割合、即ち、重合性化合物の総量/バインダー樹脂の総量は、0.3〜1.5が好ましく、0.5〜1.0がより好ましい。
本工程で形成する着色層は、上記の成分以外にも、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落〔0017〕、特開2009−237362号公報の段落〔0060〕〜〔0071〕に記載の界面活性剤、特許第4502784号公報の段落〔0018〕に記載の熱重合防止剤(重合禁止剤ともいう。好ましくはフェノチアジン)、更に、特開2000−310706号公報の段落〔0058〕〜〔0071〕に記載のその他の添加剤が挙げられる。
本工程における着色層の形成方法は、基材フィルムの一方の面に、特定重合性化合物を含む層を形成しうる方法であれば、特に制限はない。
具体的には、例えば、特定重合性化合物及び必要に応じて前述の成分を含む着色層形成用組成物を調製し、これを基材フィルムの一方の面に付与する方法が挙げられる。
着色層形成用組成物を基材フィルムの一方の面に付与する方法としては、塗布法(印刷法も含む)、LB膜(Langmuir−Blodgett膜)法、自己組織化法等を用いることができる。
特に、基材フィルムの一方の面の一部に着色層を形成する態様の場合には、印刷装置を用いることが好ましい。具体的には、例えば、基材フィルムの一方の面における一部の領域のみ着色層を連続して形成する態様、ストライプ、ドッド、不定形などの柄で着色層を基材フィルムの一方の面の全面に亘り繰り返し文様の形態で形成する態様、文字、特定の絵柄などを基材フィルムの一方の面の一部に形成する態様などが挙げられる。
着色層と透明フィルムとの密着性の向上をより高めるためには、着色層は基材フィルムの一方の面における加飾領域の全面に形成されていることが好ましい。
つまり、本工程は、エクストルージョンコーター、カーテンフローコーター、及びバーコーターから選択されるいずれかの塗布手段にて、基材フィルムの一方の面上に塗膜を形成した後、塗膜を乾燥させる工程であることが好ましい。この工程では、着色層形成用組成物を塗布液として用いればよく、形成された塗膜が着色層形成用組成物層となる。
着色層が、複数の層からなる積層構造を有する場合、着色層を構成する複数の層は、着色剤の種類及び着色剤の含有量の少なくともいずれかが互いに異なる層であることが好ましい。
積層構造によれば、例えば、複数の層が互いに色相の異なる着色剤を含有する場合には、複雑な色味を有する外観を呈することができる。また、例えば、同一の着色剤の含有量が互いに異なる着色層を積層することで、単一の色相であっても、より深みのある色味を表現することができる。
複数の着色層のうち、いずれかの着色層を部分的に設けて、他の着色層を全面に設けることもできる。
着色層形成用組成物は、特定重合性化合物及び必要に応じて前述の成分に加え、有機溶剤、界面活性剤などを混合することにより調製することができる。
着色層形成用組成物に含まれ得る有機溶剤としては、通常用いられる有機溶剤を特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類等の有機溶剤が挙げられる。
また、米国特許公開2005/282073A1号明細書の段落〔0054〕、〔0055〕に記載のSolventと同様のメチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、及び乳酸メチル等も、着色層形成用組成物における有機溶剤として好適に用いることができる。
中でも、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(エチルカルビトールアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルカルビトールアセテート)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、及びメチルエチルケトン等が着色層形成用組成物における有機溶剤として好ましく用いられる。
これらの有機溶剤は、1種単独でも或いは2種以上を併用してもよい。
また、着色層形成用組成物が塗布液として調製される場合、有機溶剤の含有量は、着色層形成用組成物(塗布液)の全量に対して、30質量%〜70質量%が好ましい。
以上のようにして、未硬化の着色層が形成される。
本工程において形成される着色層(即ち、露光前で未硬化の着色層)の厚みは、ラミネートの際に気泡が入ることを抑制し易い点、応力が緩和され、金型に対する形状追従性を高める点等から、1μm〜60μmであることが好ましく、2μm〜60μmがより好ましく、2μm〜20μmが更に好ましい。
なお、着色層が複数の層を含む積層構造である場合には、複数の着色層の総厚みが上記範囲であることが好ましい。
本工程では、着色層形成工程において形成された着色層に接触するように透明フィルムをラミネートする。
ここで、本開示における「ラミネート」とは、着色層と透明フィルムとの間に気泡が入らないよう、着色層に接触するように透明フィルムを貼り合わせることを指し、気泡の混入の抑制、及び着色層と透明フィルムとの密着性の向上の点からは、加熱及び加圧の少なくとも一方を使用した貼り合わせであることが好ましい。
透明フィルムとしては、必要な強度と耐傷性とを有する透明フィルムであれば特に制限されない。
本開示において、透明フィルムにおける「透明」とは、全光透過率が85%以上であることを指す。透明フィルムの全光透過率は、既述の方法で測定することができる。
特に、金型に対する形状追従性の点から、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はポリエチレンテレフタレート樹脂を、透明フィルムに含まれる全樹脂成分に対して60質量%以上(より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは100質量%)含む樹脂フィルムが好ましい。特に、アクリル樹脂を透明フィルムに含まれる全樹脂成分に対して60質量%以上(より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは100質量%)含む樹脂フィルムがより好ましい。
また、透明フィルムの厚みは、50μm〜150μmが好ましい。
着色層に接触するように透明フィルムをラミネートする際に用いられる装置としては、ラミネーター、真空ラミネーター、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネーター等の公知のラミネーターを使用することができる。
ラミネーターはゴムローラーなどの任意の加熱可能なローラーを備え、加圧及び加熱ができるものであることが好ましい。
ラミネーターからの加熱により、透明フィルム及び着色層の少なくとも一方が一部溶融し、着色層と透明フィルムとの間の密着性を更に高めることができる。
本工程では、積層体形成工程にて得られた積層体に対し、露光を行う。
この露光を行うことで、未硬化の着色層が硬化し、着色層と透明フィルムとの間及び着色層と基材フィルムとの間の密着性が向上する。
露光工程は、例えば、特開2006−23696号公報の段落〔0035〕〜〔0051〕に記載の方法を本発明においても好適に用いることができる。
具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、及びメタルハライドランプ等が挙げられる。
露光量としては、通常、5mJ/cm2〜1000mJ/cm2程度であり、好ましくは10mJ/cm2〜500mJ/cm2程度である。
基材フィルムが黒色のような光を透し難い場合、透明フィルム側から露光を行えばよい。
露光後の着色層中に、特定重合性化合物と特定重合性化合物の重合体とが共存する状態、インサート成形後に得られた加飾成型体を更に露光することで、層間密着性(着色層と透明フィルムとの間及び着色層と基材フィルムとの間の密着性)を更に向上させてもよい。
つまり、製造された加飾フィルムは、基材フィルムと、基材フィルムの一方の面上に配置され、ウレタン骨格、ウレア骨格、炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基、及び炭素原子数6〜12の炭化水素基からなる群より選択される少なくとも一種の部分構造と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物の重合体を含む着色層と、着色層上に接触して配置された透明フィルム層と、を有する加飾フィルムとなる。
ここで、本開示における「透明フィルム層」とは、透明フィルム自体が層をなしていることを指す。
本実施形態の加飾フィルムは、上記の構成を有することで、表面平滑性に優れ、層間密着性が高く、インサート成形に用いられる金型に対する形状追従性も良好となる。
図1は、加飾フィルムの一実施形態における層構成を示す概略断面図である。
加飾フィルム10は、基材フィルム12の一方の面上に、着色層14を有し、着色層14上にラミネートされた透明フィルム層16を有する。
後述するように、基材フィルム12と着色層14との間には、反射層が設けられていてもよいし、基材フィルム12の着色層14を有する側とは反対の面上、及び透明フィルム層16上には、反射層以外の任意の層が設けられていてもよい。反射層が設けられる態様の場合、反射層と着色層との間の密着性が高まるということになる。
本実施形態の加飾フィルムの製造方法は、前述した工程の他、更に、任意の層を形成する工程を含んでいてもよい。
加飾フィルムは、基材フィルム、着色層、及び透明フィルムの3層以外に、所望により種々の機能を有する任意の層を含んでいてもよい。
任意の層としては、加飾フィルムにおいて公知の層である、反射層、反射防止層、耐傷層、自己修復層、帯電防止層、防汚層、防電磁波層、導電性層などが挙げられる。
なお、任意の層は、透明フィルム(透明フィルム層)の着色層に接触する面とは反対の面上に設けられる場合があるが、その場合であっても、表面平滑性の高いフィルム上に任意の層を設けることになるため、任意の層からなる最表面の平滑性は維持できる。
このように、透明フィルムの着色層に接触する面とは反対の面上に反射防止層が設けられることで、外観の反射、特に透明フィルムによる正反射光が抑えられた加飾成型体が得られる。加飾成型体の外観の反射を抑えることで、反射光起因の白っぽくみえる色合いを抑えることができる。具体的には、例えば、黒色の着色層を有する場合、透明フィルムの着色層に接触する面とは反対の面上に反射防止層を設けることで、得られた加飾成型体の外観における漆黒(深みのある黒(真っ黒))感を高めることができる。
反射防止層として、具体的には、入射光と反射光を打ち消し合わせ反射率を低減させる手法(AR:アンチリフレクティブ)を適用したものであってもよいし、透明基材(透明フィルム)の表面に微小突起群を配置することにより、反射防止を図る手法(モスアイ構造)を適用したものであってよい。
入射光と反射光を打ち消し合わせ反射率を低減させる手法の反射防止層は、例えば、アクリル樹脂等の透明な樹脂から選択されるバインダー樹脂と、バインダー樹脂となる透明な樹脂よりも屈折率が小さい素材(例えば、(中空)シリカ粒子、フッ素系素材等)と、を含む層である。ここで、透明な樹脂とは、例えば、全光透過率が80%以上の樹脂が好ましく挙げられる。
なお、形成される反射防止層は、作製される加飾成型体に求められる外観、作製される加飾成型体の用途、製造適性等に応じて、適宜、決定すればよい。
前述のようにして製造された加飾フィルムは、層間密着性が高く、金型に対する形状追従性が良好であることから、インサート成形により加飾成型体を作製する得る際に好適である。
加飾成型体の作製に際して、前述のようにして製造された加飾フィルムを用いることで、より複雑な形状、より小さな形状等の金型にも適用可能となり、加飾成型体の用途の幅を広げることができる。
接着剤層を形成する接着剤としては、公知の接着剤を適宜選択することができる。具体的には、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体及びアクリル樹脂を含む接着剤が挙げられる。
接着剤は市販品を用いてもよく、市販品としては、帝国インキ社のIMB−003などが挙げられる。
加飾成型体の作製方法は、射出成形用の金型内に、一定寸法の四辺形に形成されている加飾フィルムを配置して型閉めを行う工程、その後、溶融樹脂を金型内に射出する工程、更に、射出樹脂が固化したところで取り出す工程を有する。
また、成形金型内に加飾フィルムを配置する際には、成形金型へ加飾フィルムを挿入した状態で、加飾フィルムと成形金型との位置合わせが必要になる。
ここで、位置合わせ穴は、雌型において、加飾フィルムの端部(成型後に三次元形状が付与されない位置)予め形成されている。
また、成形金型へ加飾フィルムを挿入した状態で、加飾フィルムと成形金型との位置合わせを行う方法としては、位置合わせ穴へ固定ピンを挿入する方法以外にも、以下の方法を用いることが可能である。
加飾フィルムを挿入した成形金型内に射出した溶融樹脂が固化した後、成形金型を型開きして、成形金型から、固化した溶融樹脂である成型基材に加飾フィルムが固定化された中間加飾成型体を取り出す。
このため、仕上げ加工前の中間加飾成型体における加飾部から、上記のバリとダミー部分を取り除く仕上げ加工を施すことにより、加飾成型体を得ることができる。
この露光を行うことで、着色層と透明フィルムとの間及び着色層と基材フィルムとの間の密着性が更に高まり、熱等に対する耐久性が更に向上する。
<加飾フィルム形成用組成物の調製>
[着色層形成用組成物の調製]
下記表1に記載の組成を有する着色層形成用組成物(塗布液1〜塗布液23)を調製した。
表1中の数値は、各塗布液の全質量に対する各成分の質量部を示し、「−」はその成分を含有していないことを示す。
以下の黒色顔料分散液の組成となるようにカーボンブラック、分散剤、ポリマー及び溶剤を混合し、3本ロールとビーズミルを用いて黒色顔料分散液を得た。なお、マイクロトラックFRA(ハネウェル社)を用いて測定した平均粒子径は、163nmであった。
・特許第5320652号公報の段落〔0036〕〜〔0042〕の記載に従って作製した樹脂被覆カーボンブラック … 20.0質量%
・分散剤1(下記構造) … 1.0質量%
・ポリマー … 6.0質量%
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合体、重量平均分子量3.0万)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 73.0質量%
市販のC.I.ピグメント・レッド254(赤顔料)100部、塩化ナトリウム400部、及び水溶性有機溶剤としてのジエチレングリコール140部、を卓上型ニーダー((株)入江商会)に仕込み、10時間混練した。次に、得られた混練物をディゾルバー((株)日本精機製作所)で水と撹拌、混合した後、ろ過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及び溶剤を除き、赤顔料の水ケーキを得た。得られた水ケーキを80℃のオーブンで6時間乾燥させ、赤色色材組成物1を得た。
上記赤色色材組成物1を用いて、下記の組成の各成分を混合して混合物を得たのち、混合物をアイガーミル(アイガー・ジャパン(株))と直径0.8mmのジルコニアビーズとを用いて分散した。
〜赤色顔料分散液の組成〜
・上記赤色色材組成物1 … 100部
・分散助剤(ソルスパース(登録商標)22000、日本ルーブリゾール(株)) … 10部
・分散剤(ソルスパース(登録商標)24000、日本ルーブリゾール(株)) … 40部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 150部
上記粗分散後の分散物を取り出し、分散物300部に対してプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:75部を加え、混合した。その後、アイガーミル(登録商標、アイガー・ジャパン(株))と直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて分散した。
精密分散後の分散物を取り出し、顔料濃度が15質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて希釈し、赤色顔料分散液とした。
赤色顔料分散液中のC.I.ピグメント・レッド254の数平均粒径は、60nmであった。
・バインダー樹脂2:DIC(株)、8UA−366(ウレタン変性アクリル樹脂、35質量%酢酸エチル/メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール溶液)
・重合性化合物1:サートマー・ジャパン(株)、ウレタンアクリレートオリゴマー、CN996NS(重合性基の数:2、固形分 100質量%)
・重合性化合物2:サートマー・ジャパン(株)、エチレンオキサイド(EO)鎖含有モノマー、SR415(EO基の数:20、重合性基の数:3、固形分100質量%)
・重合性化合物3:新中村化学(株)、A−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、重合性基の数:6、固形分100質量%)
・重合性化合物4:新中村化学(株)、A−TMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート、重合性基の数:3、固形分100質量%)
・重合性化合物5:サートマー・ジャパン(株)、ウレタンアクリレートオリゴマー、CN991(重合性基の数:2、固形分100質量%)
・重合性化合物6:サートマー・ジャパン(株)、エチレンオキサイド(EO)基含有モノマー、SR454(EO基の数:3、重合性基の数:3、固形分 100質量%)
・重合性化合物7:サートマー・ジャパン(株)、エチレンオキサイド(EO)鎖含有モノマー、SR9035(EO基の数:15、重合性基の数:3)固形分 100質量%)
・重合性化合物8:新中村化学(株)、A−NOD−N(1,9−ノナンジオールジアクリレート、重合性基の数:2、固形分100質量%)
・重合性化合物9:新中村化学(株)、A−9300−1CL(ε-カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、EO基の数:3、重合性基の数:3、固形分100質量%)
・界面活性剤1:DIC(株)、メガファック(登録商標)F−551、パーフルオロアルキル基含有リン酸エステル型アミン中和物のメチルイソブチルケトン溶液(固形分30質量%)
・有機溶剤1:メチルエチルケトン
・有機溶剤2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
−基材フィルムの準備−
基材フィルムとして、ABSフィルム(厚さ250μm、オカモト(株))を準備した。
エクストルージョンコーターを使用し、基材フィルムの一方の面上に、上記表1に記載の着色層形成用組成物である塗布液1〜塗布液23のいずれかを、下記表4又は表5に記載の厚み(乾燥後の厚み)となる量で塗布して、塗膜として着色層形成用組成物層を形成し、これを乾燥させて着色層を形成した。
本工程について、下記表4又は表5の着色層の形成方法の欄は、「塗工」と表記した。
更に、着色層の、基材フィルムを有する側とは反対側の面上に、アクリプレンHBS010(厚さ125μmのアクリル樹脂フィルム、三菱ケミカル(株))をラミネートした。
ラミネート条件は、透明フィルムであるアクリル樹脂フィルムの温度:90℃、線圧100N/cm、搬送速度0.1m/分で行った。
本工程について、下記表4又は表5の最表層の欄は、素材を「アクリル樹脂フィルム」、形成方法を「ラミネート」と表記した。
これにより、基材フィルム、未硬化の着色層、及び透明フィルムからなる積層体が形成された。
その後、形成された積層体のアクリル樹脂フィルム側から、アクリル樹脂フィルムとの間の距離を200μmに設定し、露光量150mJ/cm2(i線)で全面露光した。
上記の如くして、アクリル樹脂フィルム(透明フィルム)、着色層、及び基材フィルムをこの順に有する実施例1〜実施例19、実施例23〜実施例27、比較例4、比較例6の加飾フィルムを作製した。
基材フィルムを、ABSフィルムの代わりに、PET−G(1)(リケンテクノス(株)、製品名「SET470、FZ25871」、未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム、テレフタル酸からなる酸成分と、エチレングリコール70モル%及びシクロヘキサンジメタノール30モル%からなるグリコール成分とから構成される。厚さ150μm)とした以外は実施例5と同様の処理を行い、実施例20の加飾フィルムを作製した。
本実施例について、下記表4の基材フィルムの欄は、「PET」と表記した。
エクストルージョンコーターによる着色層形成用組成物層の形成、乾燥のかわりに、ダイレクトグラビア印刷法により着色層形成用組成物層を形成し、100℃1分乾燥した以外は、実施例14と同様の処理を行い、実施例21の加飾フィルムを作製した。
本実施例について、下記表4の着色層の形成方法の欄は、「グラビア印刷」と表記した。
エクストルージョンコーターによる着色層形成用組成物層の形成、乾燥のかわりに、インクジェット印刷(プリンター:ディマティックス社、DMP−2381使用)により着色層を形成し、所望の厚みとなるまで繰り返し印刷を実施後(表4に記載の通り)、100℃1分追加乾燥した以外は実施例15と同様の処理を行い、実施例22の加飾フィルムを作製した。
本実施例について、下記表4の着色層の形成方法の欄は、「インクジェット」と表記した。
実施例5で得られた加飾フィルムのアクリル樹脂フィルム上(着色層に接触する面とは反対の面上)に、更に、下記表2に記載の塗布液24をエクストルージョンコーターにより、乾燥膜厚200nmとなるように反射防止層を形成し、その後に露光量400mJ/cm2(i線)で全面露光を行い、実施例28の加飾フィルムを得た。
本比較例について、下記表4の最表層の欄は、素材を「アクリル樹脂フィルム+反射防止層塗布」と表記した。
なお、下記表2に記載の各成分の詳細は、以下に示す通りである。
・バインダー樹脂3:大成ファインケミカル(株)、WBR−829D(アクリルオリゴマーを内包したコアシェル型UV硬化ウレタンディスパージョン、固形分 35質量%、水/NMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液)
・界面活性剤2:DIC(株)、メガファック(登録商標)F−444、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(固形分100質量%)
・シリカ粒子:日輝触媒化成(株)、スルーリア(登録商標)4110(中空シリカ分散液、平均粒子径60nm、固形分20質量%、分散媒:イソプロピルアルコール)
塗布液5の代わりに塗布液17を用いた以外は、実施例5と同様の処理を行い、比較例1の加飾フィルムを作製した。
実施例5において、UV露光を実施しないこと以外は、実施例5と同様の処理を行い、比較例2の加飾フィルムを作製した。
アクリル樹脂フィルムをラミネートする代わりに、下記表3に記載の塗布液25をエクストルージョンコーターにより、着色層の基材フィルムと接する面の反対側に、乾燥膜厚10μmとなるように表面保護層(塗膜)を形成し、その後に露光を行った以外は、実施例5と同様に処理を行い、比較例3の加飾フィルムを得た。
本比較例について、下記表5の最表層の欄は、素材を「アクリル樹脂含有保護層」、形成方法を「塗工」と表記した。
なお、下記表3に記載の各成分の詳細は、前述したものと同じである。
上記表1に記載の塗布液17を用いダイレクトグラビア印刷法により着色層形成用組成物層を形成し、100℃1分乾燥して着色層を形成し、更に、上記表3に記載の塗布液25をエクストルージョンコーターにより、着色層の基材フィルムと接する面の反対側に、乾燥膜厚10μmとなるように表面保護層を形成し、その後に露光を行った以外は、実施例5と同様に処理を行い、比較例5の加飾フィルムを得た。
本比較例について、下記表5の着色層の形成方法の欄は、「グラビア印刷」と表記した。
また、本比較例について、下記表5の最表層の欄は、素材を「アクリル樹脂含有保護層」、形成方法を「塗工」と表記した。
得られた各実施例及び比較例で得られた加飾フィルムについて下記の評価を行った。各評価結果は上記表4及び表5に併記する。
各実施例及び比較例の加飾フィルムの成形前の外観について、下記基準に従い官能評価を行った。
なお、以下の評価基準において、表面平滑性はAのみ好ましい。また、着色層の面状に関しては、A及びBがより好ましく、Aが更に好ましい。
A:どの角度から視認してもフィルム表面が平滑であった。
B:目視にて透明フィルム又は表面保護層に凹凸及びムラの少なくとも一方が視認できる。
A:光学顕微鏡で観察しても、透明フィルムと着色層の間にラミネート気泡が見られない。
B:光学顕微鏡で観察すると、透明フィルムと着色層の間にラミネート気泡がわずかにみられる(目視では気泡が視認できない)。
C:光学顕微鏡で観察すると、着色層のドットムラ又はメッシュ痕が確認できる。
各実施例及び比較例の加飾フィルムを110℃2分間加熱した後、200%のび(元の長さの3倍)となるまで延伸した後のフィルムの外観について、下記基準に従い官能評価を行った。
なお、以下の評価基準において、A及びBが好ましく、Aがより好ましい。
A:延伸前と比較しても、色味に違いは見られない。
B:延伸前と比較して、マット感が付与されたような若干白っぽい色味を示す。
C:延伸前と比較して、マット感が付与されたような白っぽい色味を示す。
各実施例及び比較例の加飾フィルムから、5cm×1cmの大きさに測定片をカットして、透明フィルム又は表面保護層に粘着テープを接着し、この粘着テープを引っ張ることで、180度剥離の剥離力をテンシロン((株)島津製作所)を用いて測定した。
各実施例及び比較例の加飾フィルムから、5cm×5cmの大きさに測定片をカットして、測定片を120℃24時間加熱した後の着色層の面状を評価した。なお、以下の評価基準において、A、及びBが好ましく、Aがより好ましい。
A:光学顕微鏡で観察しても、加熱前後で、着色層の面状に変化は見られない。
B:加熱後に、着色層と透明フィルムとの界面に、光学顕微鏡で確認できる浮きが存在する(目視では浮きが視認できない)。
C:加熱後に、着色層と透明フィルムとの界面に、目視で確認できる浮きが存在する。
10mm〜200mmの間で10mm間隔の直径を有する半球型の金型をそれぞれ用意した。
金型を用いて、得られた加飾フィルムを、加熱温度を110℃にて、上記半球形に真空成型し、表面に割れが発生した最小直径を限界球形とし、立体成型性の指標とした。
なお、小さな直径まで割れが生じないほど、加飾フィルムの金型に対する形状追従性が良好で、立体成型性が高いと評価する。
限界球形(即ち、割れが発生した金型の最少直径)が70mm以下であれば、実用上問題がなく、限界球形は、60mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましい。
更に、実施例に記載の方法で製造した加飾フィルムは、直径が70mm以下の金型に対する形状追従性もあり、立体成型性が高いことも分かる。加えて、透明フィルム上に反射防止層を形成した実施例28の加飾フィルムを用いることにより、外観の反射が抑えられ、より漆黒感が増した成形体が得られた。
一方、表5に記載の結果より、重合性化合物及び重合開始剤を含まない着色層を用いた比較例1、及び、露光を行わなかった比較例2で得られた加飾フィルムは、密着性が低く、熱耐久性に劣ることが分かった。
また、表面保護層を塗布及び露光による硬化により形成した比較例3で得られた加飾フィルムは、表面保護層に、塗布に起因するムラ、凹凸が視認できることから、表面平滑性に劣っていた。これにより、質感の高い加飾成型体への適用には不向きであることがわかる。
比較例4及び比較例6で得られた加飾フィルムは、着色層に特定重合性化合物を用いていないことから、小径の金型に対する形状追従性が低いことが分かる。
更に、比較例5で得られた加飾フィルムは、着色層をグラビア印刷で形成した上に、塗工により、透明保護層を形成していることから、表面平滑性に劣り、密着性及び熱耐久性にも劣ることが分かる。
12 基材フィルム
14 着色層
16 透明フィルム層
Claims (12)
- 基材フィルムの一方の面上に、ウレタン骨格、ウレア骨格、炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基、及び炭素原子数6〜12の炭化水素基からなる群より選択される少なくとも一種の部分構造と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物を含み、露光により硬化する着色層を形成する工程と、
形成された着色層に接触するように透明フィルムをラミネートして、積層体を形成する工程と、
形成された積層体を露光する工程と、
を有する加飾フィルムの製造方法。 - 重合性化合物が、ウレタン骨格及び炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される少なくとも一種の部分構造と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物である、請求項1に記載の加飾フィルムの製造方法。
- 重合性化合物が、炭素原子数2又は3のアルキレンオキサイド基を3つ以上と2つ又は3つの重合性基とを有する重合性化合物である、請求項1又は請求項2に記載の加飾フィルムの製造方法。
- 着色層が顔料粒子を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
- 顔料粒子の含有量が着色層の全質量に対して1質量%〜50質量%である、請求項4に記載の加飾フィルムの製造方法。
- 露光前の着色層が重合開始剤を含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
- 着色層がバインダー樹脂を含む、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
- 露光前の着色層の厚みが1μm〜60μmである、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
- 透明フィルムが、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はポリエチレンテレフタレート樹脂を、透明フィルムに含まれる全樹脂成分に対して60質量%以上含む樹脂フィルムである、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
- 基材フィルムが、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂を基材フィルムに含まれる全樹脂成分に対して60質量%以上含む樹脂フィルムである、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
- 着色層を形成する工程が、エクストルージョンコーター、カーテンフローコーター、及びバーコーターから選択されるいずれかの塗布手段にて、基材フィルムの一方の面上に塗膜を形成した後、塗膜を乾燥させる工程である、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
- 更に、透明フィルムの着色層に接触する面とは反対の面上に、反射防止層を形成する工程を有する、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
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