JP2019000310A - 車両用シート芯材 - Google Patents

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祐紀 飛松
Yuki TOBIMATSU
祐紀 飛松
昌彦 鮫島
Masahiko Samejima
昌彦 鮫島
廣瀬 文信
Fuminobu Hirose
文信 廣瀬
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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂発泡粒子からなる型内発泡成形体中に略環状インサート材が埋設された車両用シート芯材において、搭乗者を不快にする虞が無く、反りを抑制した車両用シート芯材を提供する。【解決手段】車両用シート芯材1は、1つの略環状インサート材3とそれ以外の他インサート材4とを有し、他インサート材4の少なくとも1つは、略環状インサート材3と結合しない、または略環状インサート材3と1箇所で結合し、かつ、車両用シート芯材1の側面図において略環状インサート材3により形成される面以外に存在する。【選択図】図3

Description

本発明は車両用シート芯材に関する。
従来、車両(自動車等)のシートは、公知の技術として熱硬化性ポリウレタンフォームからなるシート本体に、形状を安定化させるための金属等からなるインサート材を埋設し一体成形して生産されるのが一般的であった(非特許文献1)。しかしながら、近年では車両の軽量化、コスト削減などの視点より、熱硬化性ポリウレタンフォームとインサート材の一部を熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体に置き換えた構成が提案されている(非特許文献2)。これは、前記型内発泡成形体が、熱硬化性ポリウレタンフォームや金属よりも軽量であり、且つ適度な剛性を有するためである。この構成での車両用シートは、熱可塑性樹脂発泡粒子からなる型内発泡成形体中にインサート材(例えば、金属ワイヤー)が埋設された車両用シート芯材と、該芯材の座面側に積層または一体成形された主に熱硬化性ポリウレタンフォームからなるクッション材と、前記芯材とクッション材を座面側から覆うように形成された表面カバーとを備えている。また、最近の傾向として、車両用シート芯材の強度を高めるため、車両用シート芯材に使用されるインサート材は、直線のインサート材でなく、型内発泡成形体の外周形状に沿うように環状に形成された略環状インサート材であることが多い。
熱可塑性樹脂発泡粒子からなる型内発泡成形体は、一般的に、型内発泡成形用金型による型内発泡成形後に収縮を起こすため、養生工程により型内発泡成形体の形状を数時間かけて回復させる必要がある。このような特性を有する型内発泡成形体とインサート材とを一体成形してなる車両用シート芯材においては、型内発泡成形体の収縮により発生する収縮力により、インサート材が曲げられ反ったように変形してしまうことがある。インサート材が変形すると、養生工程を経ても型内発泡成形体の形状が元に戻らず、型内発泡成形体が変形したままとなり、得られる車両用シート芯材に反りが残る。この結果、車両用シート芯材の車両への取り付けが困難となったり、車両用シート芯材をクッション材と一体成形する場合においては車両用シート芯材のクッション材成形用金型への取り付けが困難となったりする虞がある。
車両用シート芯材に反りが発生する原因としては、型内発泡成形体と型内発泡成形体中に埋設されたインサート材との収縮率が異なることが考えられる。さらに、インサート材付近の型内発泡成形体はインサート材により収縮が阻害され、インサート材から離れた型内発泡成形体の収縮量より小さくなる。これにより、型内発泡成形体が収縮する際、型内発泡成形体中で収縮量の偏りが発生するため、型内発泡成形体は反ったように変形し、インサート材も型内発泡成形体の形状に引っ張られて反ったように変形する。
この一般的な対策としては、型内発泡成形体の収縮後の変形を予測して、型内発泡成形体やインサート材を予め逆方向に反らせておき、収縮後に反りのない形状とする手法が考えられる。しかし、型内発泡成形体の収縮率は、使用する熱可塑性樹脂発泡粒子の種類、製造条件、インサート材の形状などによって異なることから、その都度、型内発泡成形用の金型を製作する必要があり、金型の数や種類が膨大となるため、金型製作に大きなコストがかかるという問題がある。また、別の対策としては、型内発泡成形体の収縮時にインサート材が曲がらないように、インサート材をより太いインサート材にしたり、インサート材を補強する補強部材を追加したりしてインサート材の強度を向上させる手法が考えられるが、インサート材の重量が大きく増すため、車両用シート芯材の軽量化の目的から反する。
型内発泡成形体における対策として、特許文献1では、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体に矩形状の補強材が埋め込まれた自動車用座席シート部材において、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の上面(座面側の面)、または上面及び下面(上面と反対の面)に、該補強部材と交差するスリットを設けている。これにより、該補強部材の上下の型内発泡成形体の厚みが均一となり、該補強部材の上下の型内発泡成形体の収縮量を同等にすることで、自動車用座席シート部材の反りを抑制している。しかし、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の座面側にスリットを設ける構成であるため、車両用シート芯材の座り心地が低下し、搭乗者が不快に感じる虞がある。
特許文献2では、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体内に、補強部材(シートを車両に固定するための掛け止具と掛け止具を連結する連結部材からなる部材)が埋め込まれた車両用座席シート芯材において、前記掛け止具のシート芯材長手方向外方位置に空間または切り込みを設けることで、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を反らずに収縮させている。しかし、補強部材は、図示されているように、略直線状であり、環状インサート材が埋設された型内発泡成形体に関する反り抑制手法に関する記述は無い。
特開2015−174340号公報(2015年 10月5日公開) 国際公開特許公報WO2016/042759(2016年 3月24日公開)
実用新案昭63−112846号公報(1988年 7月20日公開) 実用新案登録第3124213号公報(2006年 7月19日登録)
本発明は、熱可塑性樹脂発泡粒子からなる型内発泡成形体中に略環状インサート材が埋設された車両用シート芯材において、搭乗者を不快にする虞が無く、反りを抑制した車両用シート芯材を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る車両用シート芯材は、複数のインサート材が埋設した熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体からなり、前記インサート材は、前記型内発泡成形体の平面視における外周形状に沿うように環状に形成された1つの略環状インサート材とそれ以外の他インサート材からなり、他インサート材の少なくとも1つは、略環状インサート材と結合しない、または略環状インサート材と1箇所で結合し、かつ、車両用シート芯材の側面図において略環状インサート材により形成される面以外に存在することを特徴としている。
上記の構成によれば、他インサート材により、型内発泡成形体の収縮を抑制することで、型内発泡成形体の略環状インサート材が埋設された箇所と他インサート材が埋設された箇所との収縮量の差を小さくすることができ、型内発泡成形体中での収縮量の偏りを小さくすることができる。これにより、型内発泡成形体を反らせずに収縮させることができ、車両用シート芯材の反りを抑制することができる。さらに、他インサート材と略環状インサート材とは2箇所以上で結合しないため、他インサート材の長さを短くすることができ、他インサート材追加による車両用シート芯材の重量増への寄与を小さくできる。
本発明の一実施形態に係る車両用シート芯材は、前記車両用シート芯材の側面図において、前記略環状インサート材が熱可塑性樹脂発泡粒子型内発泡成形体の車両取付面側に位置し、前記他インサート材が略環状インサート材よりも熱可塑性樹脂発泡粒子型内発泡成形体の座面側に位置することが好ましい。
上記の構成によれば、他インサート材により、型内発泡成形体の収縮をより抑制することができ、型内発泡成形体中での収縮量の偏りをより小さくすることができる。
本発明の一実施形態に係る車両用シート芯材は、前記他インサート材の略両端に返し構造を有することが好ましい。
上記の構成によれば、前記返し構造により、型内発泡成形体の収縮を大幅に抑制することができ、型内発泡成形体中での収縮量の偏りを大幅に小さくすることができる。
本発明の一実施形態に係る車両用シート芯材は、前記型内発泡成形体の長手方向の中心線に対して、前記型内発泡成形体の形状が左右非対称である場合、前記他インサート材の形状も左右非対称であることが好ましい。
上記の構成によれば、型内発泡成形体の形状が左右非対称である場合において、該型内発泡成形体の収縮量の偏りを効率的に小さくすることができる。
本発明の一実施形態に係る車両用シート芯材は、前記熱可塑性樹脂が少なくともポリオレフィン系樹脂を含む樹脂であることが好ましい。
上記の構成によれば、車両用シート芯材の緩衝性、耐薬品性、耐熱性、圧縮後の歪み回復率が優れる。
本発明によれば、搭乗者を不快にする虞がなく車両用シート芯材の反りを抑制できるという効果を奏する。
(a)は熱可塑性樹脂発泡粒子型内発泡成形体と略環状インサート材とを一体成形してなる車両用シート芯材の構成を示した斜視図である。(b)は、(a)の車両用シート芯材の平面図である。(c)は、(a)の車両用シート印材の側面図である。(d)は反りの発生していない車両用シート芯材を、略環状インサート材の前部側から見た正面図である。(e)は反りの発生した車両用シート芯材を、略環状インサート材の前部側から見た正面図である。 本発明に係る略環状インサート材の形状例を示した説明図である。 本発明の実施形態1に係る車両用シート芯材の構成を示した斜視図である。 (a)は図3の車両用シート芯材の側面図であり、(b)は図3のT−T線における車両用シート芯材の断面図であり、(c)は図3のU−U線における車両用シート芯材の断面図である。 (a)は本発明の実施形態1に係る別の略環状インサート材を示した説明図であり、(b)は(a)の側面図であり、(c)は本発明の実施形態1に係る別の略環状インサート材を示した説明図であり、(d)は(c)の側面図である。 本発明の実施形態1に係る他インサート材の形状例を示した説明図である。 (a)及び(d)及び(g)及び(i)は、本発明の実施形態1に係る別の車両用シート芯材の構成例を示した斜視図である。(b)は(a)の車両用シート芯材の側面図であり、(c)は(a)のV−V線における車両用シート芯材の断面図である。(e)は(d)の車両用シート芯材の側面図であり、(f)は(d)のW−W線における車両用シート芯材の断面図である。(h)は(g)の車両用シート芯材の側面図である。(j)は(i)の車両用シート芯材の側面図である。 (a)は本発明の実施形態2に係る車両用シート芯材の構成を示した斜視図である。(b)は(a)の車両用シート芯材の側面図である。(c)は(a)のX−X線における車両用シート芯材の断面図である。 (a)は本発明の実施形態3に係る車両用シート芯材の構成を示した斜視図である。(b)は(a)の車両用シート芯材の側面図である。 本発明の実施形態3に係る別の返し構造を持つ他インサート材の構造例を示した説明図である。 (a)及び(d)は本発明に係る別の車両用シート芯材の構成例を示した斜視図である。(b)は(a)の車両用シート芯材の側面図であり、(c)は(a)のY−Y線における車両用シート芯材の断面図である。(e)は(d)の車両用シート芯材の側面図であり、(f)は(d)のZ−Z線における車両用シート芯材の断面図である。
本発明の実施形態について、以下に説明する。
[車両用シート芯材の構成]
図1(a)〜(d)は、熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体2と略環状インサート材3とを一体成形してなる従来の車両用シート芯材1の構成を示した説明図である。
図1に示すように、車両用シート芯材1は、熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体2と略環状インサート材3とからなる。型内発泡成形体21の座面2a側にポリウレタンフォームからなるクッション材(不図示)を一体成形(もしくは積層)し、これらを表面カバーで覆うことで、車両用シートが形成される。ここで、座面側とは、搭乗者が座る側を意味し、図1(c)における型内発泡成形体2の上側が座面2aである。該座面2aと反対の面、すなわち図1(c)における型内発泡成形体2の下側は車両取付面2bである。
熱可塑性樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、及びスチレン改質ポリオレフィン系樹脂(オレフィン改質ポリスチレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂発泡粒子としてこの中でも、緩衝性、耐薬品性、耐熱性、圧縮後の歪回復率の観点から、ポリオレフィン系樹脂もしくはスチレン改質ポリオレフィン系樹脂が好ましく、リサイクル容易性の観点から、ポリオレフィン系樹脂がさらに好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体、高密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂等が挙げられ、より具体的には、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体等が挙げられる。また、なお、上記共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
熱可塑性樹脂発泡粒子の製造方法は、特に制限は無く、従来公知の製造方法を挙げることができる。一例としては、製造する発泡粒子がポリオレフィン系樹脂発泡粒子であれば、国際公開特許公報WO2009/075208や特開2006−117842号公報等に開示されている製造方法が挙げられる。また、製造する発泡粒子がポリスチレン系樹脂発泡粒子であれば、特開2003−201360号公報や特開2014−118474号公報や国際公開特許公報WO2015/137363等に開示されている製造方法が挙げられる(該特許文献中には、「予備発泡粒子」として記載されている)。また、製造する発泡粒子がスチレン改質ポリオレフィン系樹脂発泡粒子であれば、特開2008−239794号公報や国際公開特許公報WO2016/152243等に開示されている製造方法が挙げられる。しかし、発泡粒子の製造方法は、これらの製造方法に限定されるものではない。
このようにして得られる発泡粒子には、適宜、難燃剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を従来公知の方法により含有あるいは被覆させることができる。また、発泡粒子の粒径は、特に限定されず、例えば、1mm〜10mmであればよいが、型内発泡成形用金型の成形空間への充填性の観点からは、1mm〜5mmが好ましく、1mm〜3mmがより好ましい。
発泡粒子の発泡倍率としては、特に限定されず、例えば、3倍〜90倍であってもよいが、機械的強度や成形性の観点からは、5倍〜60倍が好ましく、5倍〜45倍がより好ましい。
このような発泡粒子は、例えば、(株)カネカ製エペラン−PP、エペラン−XL等として市販されており、容易に入手可能である。
熱可塑性樹脂発泡粒子からなる型内発泡成形体2は、型内発泡成形用金型を用いて、熱可塑性樹脂発泡粒子を加熱発泡し、融着させることにより成形される。詳細について、以下に説明する。
上記型内発泡成形用金型は、凹型と該凹型を保持する凹型ハウジングとを有する凹型ユニット、および、凸型と該凸型を保持する凸型ハウジングとを有する凸型ユニットを備えている。上記凹型と凸型とを型閉じすることにより、凹型と凸型とによって成形空間が形成される。該成形空間に熱可塑性樹脂の発泡粒子を充填する。尚、この発泡粒子は予め内部に無機ガス等を圧入し内圧を高めてもよいし、内圧が付与されていない大気圧の発泡粒子を用いてもよい。充填後、上記凹型ハウジングおよび凸型ハウジングにそれぞれ備えられているチャンバー内に0.04〜0.40MPa(G)程度の飽和水蒸気を供給することにより、熱可塑性樹脂の発泡粒子を加熱発泡、融着させる。これにより、熱可塑性樹脂の発泡粒子を型内発泡成形した型内発泡成形体2が成形される。
車両用シート芯材1は、型内発泡成形用金型の凸型もしくは凹型に略環状インサート材3を設置し、上記型内発泡成形手法により、型内発泡成形体2と略環状インサート材3とを一体成形したものである。
略環状インサート材3は、図1(b)に示すように、車両用シート芯材1を座面側から見た平面視において、型内発泡成形体2の外周形状に沿うように形成されている。さらに、略環状インサート材3に、車両用シート芯材1の車両取付面側(座面とは反対側)から突出する掛け止め具3a(主にインサート材からなるフック形状)を設けてもよく、掛け止め具3aを車両側の止め部に連結することで、車両用シート芯材を車両に固定できる。なお、掛け止め具3aは、略環状インサート材3の前部31に設けることが好ましい。略環状インサート材3の前部31とは、車両用シートを車両に設置した際、車両の進行方向側に位置する略環状インサート材3の部分(図1(b)においては下側)を意味し、略環状インサート材の前部31とは反対側の部分(図1(b)においては上側)を後部32とする。
略環状インサート材3は、外周が略環状形状であれば任意のものを用いることができる。例えば、図1(b)に示すように外周が途切れていない環状形状であっても良く、図2(a)に示すように外周の少なくとも一部が途切れている略環状形状であっても良く、図2(b)に示すように複数のインサート材の連結により、外周の少なくとも一部が途切れた略環状形状であっても良い。なお、インサート材が、外周の少なくとも一部が途切れた略環状形状の場合、該インサート材の途切れた箇所に仮想線7を引き形成される環状形状と比較し、略環状形状が環状形状の50%以上を占める場合、本発明における略環状インサート材3とする。
略環状インサート材3の材質は、種々のものを用いることができるが、強度や剛性が必要な車両用シート芯材中に埋設されることから引張強度が高い材質であることが好ましい。例えば、金属、エンジニアリングプラスチック、無機繊維(炭素繊維、ガラス繊維等)、繊維強化プラスチック(炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック等)、繊維強化金属が挙げられる。また、略環状インサート材3を構成するインサート材は特に制限されないが、例えば、線状、管状、棒状、または板状等が挙げられる。この中でも、略環状インサート材3は入手および加工容易性の観点から、鉄製の線状のもの(ワイヤー)であることがより好ましい。鉄製のワイヤーは腐食し易い為、表面を防錆コーティングすることが好ましい。
図1(d)は、反りの発生していない車両用シート芯材1を、略環状インサート材3の前部31側から見た正面図である。一般的に熱可塑性樹脂発泡粒子からなる型内発泡成形体2は型内発泡成形用金型による型内発泡成形後に収縮を起こすため、養生工程により型内発泡成形体2の形状を数時間かけて回復させる必要がある。しかし、型内発泡成形体2の収縮時、型内発泡成形体2とインサート材3との収縮率の違い、換言すれば、インサート材3は型内発泡成形体2と比較し極端に収縮しないため、型内発泡成形体2の収縮時に発生する収縮力により、インサート材3が曲げられ反ったように変形してしまうことがある。その例を図1(e)に示す。図1(e)のように、インサート材3が変形すると、養生工程を経ても型内発泡成形体2の形状が元に戻らず、型内発泡成形体2が変形したままとなり、得られる車両用シート芯材1に反りが残る。図1(e)に示す車両用シート芯材1は反り量(S)反っている。ここで、反り量(s)とは、車両用シート芯材1を、車両取付面2bを下にし水平面に静置した際の、水平面から車両用シート芯材1の前部31の端部までの距離で定義される。
[実施形態1]
図3は、本発明の実施形態1に係る車両用シート芯材1の構成を示す斜視図であり、図4(a)は、図3の車両用シート芯材1を車両の進行方向に対して垂直方向から見た側面図であり、図4(b)は図3のT−T線における車両用シート芯材1の断面図であり、図4(c)は図3のU−U線における車両用シート芯材1の断面図である。
図3及び図4に示すように、車両用シート芯材1は、熱可塑性樹脂発泡粒子の型内発泡成形体2と略環状インサート材3と他インサート材4とから構成されている。他インサート材4は、図4(a)に示す車両用シート芯材1の側面図において、略環状インサート材3により形成される面(P)以外に存在する。この構成によれば、車両用シート芯材1中に埋設された他インサート材4により、他インサート材4周辺の型内発泡成形体2の収縮量を小さくすることができる。従い、略環状インサート材3の周辺の型内発泡成形体2の収縮量と他インサート材4の周辺の型内発泡成形体2の収縮量との差を小さくすることができ、型内発泡成形体2中での収縮量の偏りを小さくすることができる。これにより、型内発泡成形体2を反らせずに収縮させることができる。
面(P)は、車両用シート芯材1の側面図において、略環状インサート材3の外周(略環状形状)により形成され、側面図に対して垂直方向(紙面の手前及び奥方向)に延びる面である。例えば、図3に示す略環状インサート材3の場合、面(P)は図4(a)に示すように形成され、掛け止め具3aは面(P)に含まれない。例えば、図5(a)に示すような内周形状3bを有する略環状インサート材3の場合、面(P)は図5(b)に示すように形成され、掛け止め具3a及び内周形状3bは面(P)に含まれない。例えば、図5(c)に示すような内周形状3b´を有する略環状インサート材3の場合、面(P)は図5(d)に示すように形成され、掛け止め具3及び内周形状3b´は面(P)に含まれない。なお、内周形状3b及び3b´は略環状インサート材3と2箇所で結合しているため、他インサート材4とは異なる。
他インサート材4は、型内発泡成形体2の面(P)以外に存在し少なくとも1つ埋設されている。なお、型内発泡成形用金型の凸型もしくは凹型に他インサート材4を設置し、型内発泡成形することで、他インサート材4を型内発泡成形体2に埋設することができる。
他インサート材4は、型内発泡成形体2の表面から少なくとも一部が露出した構成でも型内発泡成形体2の表面から露出しない構成でもよいが、他インサート材4が型内発泡成形体2からずれたり抜けたりすることを防止するため、型内発泡成形体2の表面からの他インサート材4の露出は少なくすることが好ましい。
他インサート材4の形状は特に限定されない。他インサート材4の形状例として、例えば図3に示すような直線形状や、図6(a)〜(c)に示すような他インサート材4の少なくとも一部が屈曲した形状や、図6(d)〜(f)に示すような複数の他インサート材4からなる形状や、図6(g)に示すような他インサート材4の表面に凹凸加工が設けられた形状等が挙げられる。
他インサート材4の材質は、種々のものを用いることができ、例えば、略環状インサート材3で例示したものが挙げられる。他インサート材4の材質と略環状インサート材3の材質は必ずしも同一である必要性はない。
他インサート材4の大きさは、車両用シート芯材1の重量増への寄与を小さくするため、できる限り小さいことが好ましい。他インサート材4を構成するインサート材が、例えば、棒状である場合において、インサート材の直径は、2〜10mmが好ましく、3mm〜5mmがより好ましい。また例えば、管状である場合において、インサート材の外径は、6〜20mmが好ましく、8mm〜13mmがより好ましい。例えば、板状である場合においては、インサート材の長さ方向に垂直な断面における最大の対角線の長さが、2〜10mmであることが好ましく、3mm〜5mmであることがより好ましい。
他インサート材4の長さ(他インサート材4の両端部を直線で結んだ距離)は、特に制限されないが、型内発泡成形体2から突出しない長さであることが好ましい。これは他インサート材4の端部が型内発泡成形体2から突出した場合、該他インサート材4の端部に、作業者や搭乗者が接触し、怪我をする虞を防止するためである。他インサート材4の長さが小さいほど、他インサート材4と同一平面にある型内発泡成形体2の収縮量を小さくする効果は小さくなり、他インサート材4の長さが大きいほど、車両用シート芯材1の重量は増すため、他インサート材4の長さは、車両用シート芯材の重量が許容数値以内に収まる範囲で適宜調整するものである。
他インサート材4は面(P)から距離(D)離れて、型内発泡成形体2中に埋設されている。距離(D)は、面(P)と他インサート材を結ぶ垂線で定義される。距離(D)が1つの他インサート材4において一定でない場合には最大値を距離(D)とする。距離(D)の大きさは、0mm以上であり、10mm以上が好ましく、さらに他インサート材4の少なくとも一部が型内発泡成形体2に埋設可能な範囲でできる限り大きく設定することが好ましい。これにより、型内発泡成形体2における収縮量の偏りをより少なくすることができる。
他インサート材4の型内発泡成形体2への配置位置は、距離(D)を確保していれば、任意の位置に配置できる。例えば、図3及び図4に示すように略環状インサート材3の前部31と水平方向に配置してもよく、図7(a)〜(c)に示すように略環状インサート材3の前部31と垂直方向に配置してもよく、略環状インサート材3の前部31と斜め方向に配置してもよい。さらに、図7(d)〜(f)に示すように他インサート材4と略環状インサート材3とが水平でない構成であってもよい。この構成の場合、距離(D)は最大値を取る位置で定義される。なお、他インサート材4を図3および図4では型内発泡成形体2の座面2a側に設けているが、他インサート材4を型内発泡成形体2の車両取付面2b側に設けてもよい。ただし、略環状インサート材3は一般的に型内発泡成形体2の車両取付面2bに配置されることが多いため、型内発泡成形体2の座面2a側に設けることが好ましい。
他インサート材4は、図3及び図4に示すように略環状インサート材3と結合していない、もしくは図7(g)に示すように略環状インサート材3と連結具5により1箇所で結合している。これにより、他インサート材4を型内発泡成形体2に埋設することによる車両シート芯材1の重量増加を小さくすることができる。さらに、他インサート材4と略環状インサート材3とが結合しない構成の場合、連結具5は必要ないため、他インサート材4を構成するインサート材の量を最小限とすることができ、車両用シート芯材1の重量増を最小限とすることができる。他インサート材4と略環状インサート材3とが1箇所で結合する構成の場合、インサート材の部品点数が1つとなるため、インサート材の管理や型内発泡成形用金型への配置が容易になる。一方、他インサート材4aと略環状インサート材3とを2箇所以上で結合する構成の場合、結合部5がさらに1つ以上必要となり、車両用シート芯材1の重量がさらに大きくなる。本発明において、略環状インサート材3と2箇所以上で結合している他インサート材4aは、他インサート材4とは定義せず、略環状インサート材3として定義する。なお、図7(g)では連結具5により他インサート材4と略環状インサート材3とを連結しているが、他インサート材4と略環状インサート材3とを点溶接等により直接連結してもよく、例えば、図7(f)に示すような他インサート材4の屈折点41を略環状インサート材3の位置まで延長し、略環状インサート材3に溶接して、他インサート材4と略環状インサート材3とを連結してよい。
なお、本実施形態における、他インサート材4は、車両用シート芯材1の側面図において、略環状インサート材3により形成される面(P)以外に存在する、とは、他インサート材4が面(P)以外に存在していれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、他インサート材4は面(P)に存在しても良いことを意味する。従って、図7(i)及び(j)に示すように、面(P)と交差して他インサート材4が存在する場合もある。ただし、この場合、車両用シート芯材1および他インサート材4の形状によっては、面(P)に存在する他インサート材4により、面(P)および略環状インサート材3周辺の型内発泡成形体2の収縮量が抑えられる可能性があり、該収縮量と面(P)以外に存在する他インサート材4の周辺の型内発泡成形体2の収縮量との差が大きくなる可能性があるため、他インサート材4は面(P)に存在しないことが好ましい。
[実施形態2]
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態における車両用シート芯材1について、図8(a)〜(c)に基づいて説明する。図8(a)〜(c)では、型内発泡成形体2に2つの他インサート材4が埋設されており、略環状インサート材3と合わせると合計3つのインサート材が埋設されている。2つの他インサート材4を区別するため、便宜上、1つを他インサート材4、もう1つを他インサート材4´と定義し、それぞれに対応する距離(D)についても、距離(D)、距離(D´)と定義する。他インサート材4´と距離(D´)は、実施形態1における他インサート材4と距離(D)と同様である。距離(D)と距離(D´)は、同一の数値であっても、異なる数値でもあってもよい。この構成によれば、他インサート材4と他インサート材4´により、他インサート材4と他インサート材4´周辺の型内発泡成形体2の収縮量を小さくすることができる。従い、実施形態1と比較し、略環状インサート材3の周辺の型内発泡成形体2の収縮量と他インサート材4´の周辺の型内発泡成形体2の収縮量との差をも小さくすることができるため、型内発泡成形体2をより反らせずに収縮させることができる。ただし、本実施形態では、実施形態1と比較し、他インサート材4´が追加されるため、車両用シート芯材の重量が大きくなる。
他インサート材4、4´の内少なくとも1つが、略環状インサート材3と1箇所で結合していてもよい。これにより、インサート材の部品点数が少なくなるため、インサート材の管理や型内発泡成形用金型への配置が容易になる。
他インサート材4と他インサート材4´は距離(A)離れて配置されている。なお、距離(A)が一定でない場合は、最小値を距離(A)とする。距離(A)は0mm以上であればよい。
本実施形態では、他インサート材2が2つの場合を説明したが、車両用シート芯材の重量が許容数値以内に収まるのであれば、他インサート材は3つ以上でもよい。
[実施形態3]
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態における車両用シート芯材1について、図9(a)及び図9(b)に基づいて説明する。図9では、他インサート材4は、その両端部に返し構造6を有している。返し構造6は、他インサート材4と交差するように配置されている。この構成によれば、返し構造6が型内発泡成形体2の収縮を受け止め、型内発泡成形体2の収縮を抑制することができる。その結果、実施形態1と比較して、他インサート材4周辺の型内発泡成形体2の収縮量を大幅に小さくすることができ、略環状インサート材3の周辺の型内発泡成形体2の収縮量と他インサート材4の周辺の型内発泡成形体2の収縮量との差を大幅に小さくすることができる。
返し構造6は、他インサート材4の少なくとも1つの端部に別部材を点溶接により結合することで形成している。返し構造6を作成する別の方法として、図10(a)に示すように、他インサート材4の端部を折り曲げ、折り曲げた部分を返し構造6とすることもできる。返し構造6を形成する位置は、他インサート材4の端部でなくとも、図10(b)に示すように、他インサート材4の端部付近であればよく、他インサート材4の端部から0mm〜100mmの範囲にあることが好ましい。
返し構造6の長さ(B)は、型内発泡成形体2の大きさにより決定されるため特に制限されないが、長さ(B)が短いほど型内発泡成形体2の収縮を抑制する効果が小さくなり、長さ(B)が長いほど車両用シート芯材1の重量が大きくなるため、10mm〜150mmが好ましく、20mm〜100mmがより好ましく、30〜60mmがより好ましい。
返し構造6は、他インサート材の長手方向に対して垂直に交差するよう配置することが好ましい形態である。これにより、型内発泡成形体2の収縮をより抑制することができる。
他インサート材4は、図9及び図10(b)に示すように、型内発泡成形体2の形状が型内発泡成形体2の長手方向(車両の進行方向に対して垂直方向)の中心線に対して左右対称の場合には、返し構造6の長さ(B)の中央位置にあることが好ましい。
他インサート材4の形状は特に限定されないが、他インサート材4は略直線形状であることが好ましい。他インサート材4が略直線形状の場合、他インサート材4が変形し難くなり、返し構造6へ加わった型内発泡成形体2の収縮力による他インサート材4の変形を抑制することができ、型内発泡成形体2をより反らせずに収縮させることができる。
前記実施形態1〜3においては、他インサート材4を、型内発泡成形体2の長手方向(車両の進行方向に対して垂直方向)の中心線に対して左右対称となるように配置したが、図11(a)〜(c)に示すように、他インサート材4を型内発泡成形体2´の長手方向の中心線に対して左右非対称となるように配置してもよい。図11(c)では、型内発泡成形体2´の右側の厚みが左側の厚みより大きく、型内発泡成形体2´の左側に比べ型内発泡成形体2´の右側がより収縮するため、型内発泡成形体2´の右側に他インサート材4を配置することで、型内発泡成形体2´の右側の収縮を抑え、型内発泡成形体2´の左側と収縮量を同等とし、型内発泡成形体2´の反りを抑えている。
また、型内発泡成形体2´の厚みが型内発泡成形体2´の長手方向の中心線に対して左右非対称の場合、図(d)〜(f)に示すように、返し構造6を他インサート材4の右端部のみに設けて、他インサート材4を型内発泡成形体2´に配置してもよい。該返し構造6により、型内発泡成形体2´の右側の収縮を抑え、型内発泡成形体2´の左側と収縮量を同等とし、型内発泡成形体2´の反りを抑えている。
なお、図11とは逆に、型内発泡成形体2´の左側の厚みが右側の厚みより大きい場合は、他インサート材4を型内発泡成形体2´の左側に配置することが好ましく、返し構造6´を他インサート材4の左端部のみに配置することが好ましい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例1〜4及び比較例1、2の車両用シート芯材1の評価を実施した。
(実施例1)
サイバネットシステム株式会社製の3次元CADソフト「SpaceClaim」を用いて、図3に示すような車両用シート芯材1の図面データを作成した。型内発泡成形体2は、縦500mm×横1200mm×最大厚さ100mmであり、略環状インサート材3は、直径3.2mmの鉄製ワイヤーからなる縦465mm×横1000mm、重量200.1gであり、型内発泡成形体2の車両取付面2bから15mmの位置に配置した。さらに、他インサート材4を直径3.2mmの鉄製ワイヤーからなる長さ500mmとし、この他インサート材4を略環状インサート材3の前部31の真上57mmの位置に前部31と水平に配置した(車両用シート芯材の側面図において略環状インサート材により形成される面(P)から他インサート材4までの距離(D)は、57mmであった)。他インサート材4の長さの中央位置は、型内発泡成形体2の横方向の長さの中央位置と一致していた(他インサート材4は型内発泡成形体2の長手方向の中心線に対して左右対称であった)。型内発泡成形体2を形成する熱可塑性樹脂発泡粒子は株式会社カネカ製、L−EPP36(エチレン−プロピレンランダム共重合体、嵩密度20g/L、融点146℃、耐圧容器内にて加圧空気を含浸させて内圧を約0.1MPa(G)にしたもの)であった。
(実施例2)
実施例1における略環状インサート材3と他インサート材4を図7(g)に示すような直線状の結合部5により結合した以外は実施例1と同様であった。なお、結合部5は、直径3.2mmの鉄製ワイヤーであった。
(実施例3)
実施例1における車両用シート芯材1に図8(a)に示すような他インサート材4´を配置した以外は実施例1と同様であった。なお、他インサート材4と他インサート材4´との間の距離(A)は、147mmであり、面(P)から他インサート材4´までの距離(D´)は57mmであった。
(実施例4)
実施例1における他インサート材4の両端に図9(a)に示すような返し構造6を配置した以外は実施例1と同様であった。なお、返し構造6は直径3.2mmの鉄製ワイヤーであり、長さ(B)は、50mmであった。
(実施例5)
サイバネットシステム株式会社製の3次元CADソフト「SpaceClaim」を用いて、図11(a)〜(c)に示すような車両用シート芯材1´の図面データを作成した。型内発泡成形体2´は、縦500mm×横1200mm×最大厚さ100mmであり、図11(c)に示すように、右側の最大厚さは100mmであり、左側の最大厚さは40mmであった。略環状インサート材3は、直径3.2mmの鉄製ワイヤーからなる縦465mm×横1000mm、重量200.1gであり、型内発泡成形体2´の車両取付面2bから15mmの位置に配置した。さらに、他インサート材4を直径3.2mmの鉄製ワイヤーからなる長さ500mmとし、この他インサート材4を略環状インサート材3の前部31の真上15mmの位置に前部31と水平に配置した(車両用シート芯材の側面図において略環状インサート材により形成される面(P)から他インサート材4までの距離(D)は、15mmであった)。他インサート材4の長さの中央位置は、型内発泡成形体2´の横方向の長さの中央位置と一致していた(他インサート材4は型内発泡成形体2´の長手方向の中心線に対して左右対称であった)。型内発泡成形体2´を形成する熱可塑性樹脂発泡粒子は株式会社カネカ製、L−EPP36(エチレン−プロピレンランダム共重合体、嵩密度20g/L、融点146℃、耐圧容器内にて加圧空気を含浸させて内圧を約0.1MPa(G)にしたもの)であった。
(実施例6)
実施例5における他インサート材4を、略環状インサート材3の前部31の真上57mmの位置に前部31と水平に配置し、他インサート材4の長さの中央位置が型内発泡成形体2´の右端から312mmとなるように配置した以外は実施例5と同様であった(他インサート材4は型内発泡成形体2´の長手方向の中心線に対して左右非対称であった)。
(比較例1)
実施例1において、他インサート材4を車両用シート芯材1に配置しなかった以外は実施例1と同様であった。
(比較例2)
実施例1における他インサート材4を面(P)上のみに配置した。略環状インサート材3の前部31と他インサート材4との間の距離は20mmであった。この変更以外は実施例1と同様であった。
(比較例3)
実施例5において、他インサート材4を車両用シート芯材1´に配置しなかった以外は実施例5と同様であった。
(評価)
サイバネットシステム株式会社性のANSYSを用いて、養生工程後における実施例1〜4及び比較例1、2の車両用シート芯材1の反り解析し、車両用シート芯材1の正面図における右端部の反り量(s)(図1(e)参照)を求めた。ここでは、型内発泡成形用金型による型内発泡成形後から養生工程を経て型内発泡成形体2が安定した寸法となる収縮率2%を加味した解析を行った。加えて、他インサート材4(4´)による車両用シート芯材の重量増加量を求めた。
(反り量の評価基準)
実施例1〜4および比較例2においては比較例1における反り量(S)と比較して、実施例5、6においては比較例3における反り量(S)と比較して、
◎:反り量(S)が50%未満
○:反り量(S)が50%以上80%未満
△:反り量(S)が80%以上95%未満
×:反り量(S)が95%以上
(重量増加量の評価基準)
略環状インサート材3の重量(200.1g)を基準とし、他インサート材4(4´)の重量割合が
○:20%未満
△:20%以上35%未満
×:35%以上
表1に示すように、比較例1と比較し、実施例1及び2では、他インサート材4により、反り量を小さくすることができた。実施例3では、2つの他インサート材4、4´により、より反り量を小さくすることができたが、重量もより増加している。実施例4では直線状の他インサート材4と返し構造6により、大幅に反りを抑制できている。
一方、比較例2では比較例1より反りが大きくなっている。これは、面(P)上に配した他インサート材4により、略環状インサート材3付近の型内発泡成形体2の収縮がより抑えられ、型内発泡成形体2の収縮量の偏りがより大きくなったためである。
実施例5および6では、比較例3と比較して、他インサート材4により、反り量を小さくすることができた。特に、他インサート材4を型内発泡成形体2´の長手方向の中心線に対して左右非対称に配置した実施例6ではより反り量を小さくすることができた。これは、型内発泡成形体2´のより厚みの大きい箇所に他インサート材4を配置し、距離(D)をより大きく確保できたためである。
1、1´ 車両用シート芯材
2、2´ 型内発泡成形体
2a 型内発泡成形体の座面
2b 型内発泡成形体の車両取付面
3 略環状インサート材
31 略環状インサート材の前部
32 略環状インサート材の後部
3a 掛け止め具
3b、3b´ 略環状インサート材の内周形状
4、4´ 他インサート材
4a 他インサート材(略環状インサート材と2箇所以上で結合)
41 他インサート材の屈折点
5 結合部
6 返し構造
7 仮想線
S 反り量
P 車両用シート芯材の側面図において略環状インサート材により形成される面
D、D´ 面(P)と他インサート材を結ぶ垂線の長さ
A 異なる他インサート材間の距離
B 返し構造の長さ

Claims (5)

  1. 複数のインサート材が埋設した熱可塑性樹脂発泡粒子型内発泡成形体からなる車両用シート芯材であって、前記インサート材は、前記型内発泡成形体の平面視における外周形状に沿うように環状に形成された1つの略環状インサート材とそれ以外の他インサート材からなり、
    他インサート材の少なくとも1つは、略環状インサート材と結合しない、または略環状インサート材と1箇所で結合し、かつ、車両用シート芯材の側面図において略環状インサート材により形成される面以外に存在することを特徴とする車両用シート芯材。
  2. 前記車両用シート芯材の側面図において、前記略環状インサート材が熱可塑性樹脂発泡粒子型内発泡成形体の車両取付面側に位置し、前記他インサート材が略環状インサート材よりも熱可塑性樹脂発泡粒子の座面側に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用シート芯材。
  3. 前記他インサート材の少なくとも1つの端部に返し構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シート芯材。
  4. 前記型内発泡成形体の長手方向の中心線に対して、前記型内発泡成形体および前記他インサート材の形状が左右非対称であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の車両用シート芯材。
  5. 前記熱可塑性樹脂が少なくともポリオレフィン系樹脂を含む樹脂であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の車両用シート芯材。
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