JP2018530592A - 代謝性ミオパチーの治療に使用するためのsglt−2阻害剤 - Google Patents

代謝性ミオパチーの治療に使用するためのsglt−2阻害剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、例えば、対象の健康状態を改善したり、または代謝性ミオパチーを治療したりするSGLT−2阻害剤の使用に関する。

Description

本発明は、例えば対象の健康状態を改善したり、または代謝性ミオパチーを治療したりする本明細書に記載されるSGLT2−阻害剤の使用に関する。
2型糖尿病は、高頻度の合併症のために平均余命の著しい短縮を引き起こす一般的な疾患になりつつある。工業化社会において、2型糖尿病は現在、糖尿病に関連する微小血管合併症のために成人発症型失明、腎不全および切断の最も高頻度の原因である。さらに、2型糖尿病の存在は、心血管疾患のリスクの2から5倍の増加と関連づけられている。
疾患の長い期間の後、2型糖尿病の大半の患者は、最終的に経口療法が効かなくなり、毎日の注射および複数回の毎日のグルコース測定が必要なインスリン依存性になる。
UKPDS(英国糖尿病前向き研究;United Kingdom Prospective Diabetes Study)は、メトホルミン、スルホニル尿素またはインスリンによる集中治療の結果、血糖管理は限られた改善に留まった(HbA1cが約0.9%の差)ことを示した。さらに、集中治療群の患者であったとしても、時間とともに血糖管理が著しく低下した。これは、β−細胞の働きの悪化のせいであった。重要なことに、集中治療は、大血管合併症、すなわち、心血管イベントの著しい減少には関連しなかった。したがって、2型糖尿病の多くの患者は、部分的に長期有効性、忍容性および既存の血糖降下療法の投薬の不都合さに制限されるために未だに十分に治療されていない。
療法に従来使用されている経口抗糖尿病薬(例えば、第一または第二選択、ならびに/あるいは単剤または(初期もしくは追加)併用療法など)としては、以下に限定されないが、メトホルミン、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、グリニドおよびα−グルコシダーゼ阻害剤が挙げられる。
2型糖尿病の患者における治療不全の高い発生率が、長期の高血糖に関連する合併症または慢性損傷(例えば、糖尿病性腎症、網膜症もしくはニューロパチー、または心血管系合併症などの微小血管および大血管合併症を含む)の率が高い主な原因である。
したがって、血糖管理に関して、疾患修飾特性に関しておよび心血管系罹患率および死亡率の低下に関して良好な有効性を有する一方で同時に改善された安全性プロフィールを示す方法、薬剤および医薬組成物に対する未だに対処されていない医学的ニーズがある。
SGLT2阻害剤は、2型糖尿病の患者における血糖管理の治療または改善のために開発されている新しいクラスの薬剤である。グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、SGLT2阻害剤として先行技術、例えば、WO01/27128、WO03/099836、WO2005/092877、WO2006/034489、WO2006/064033、WO2006/117359、WO2006/117360、WO2007/025943、WO2007/028814、WO2007/031548、WO2007/093610、WO2007/128749、WO2008/049923、WO2008/055870、WO2008/055940に記載されている。グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、尿糖排出の誘発物質として、および糖尿病の治療における薬剤として提供される。
腎臓ろ過およびグルコースの再取り込みは、とりわけ、定常状態の血漿グルコース濃度に対するメカニズムに寄与するため、抗糖尿病標的の役割を果たすことができる。腎臓の上皮細胞を越えたろ過されたグルコースの再取り込みは、ナトリウム濃度勾配に沿って細管の刷子縁膜にあるナトリウム依存性グルコース共輸送体(SGLT)により進行する。発現パターンならびに物理化学的特性が異なる少なくとも3つのSGLTアイソフォームが存在する。SGLT2は腎臓に限定して発現するのに対して、SGLT1は小腸、結腸、骨格筋および心筋のような他の組織でもさらに発現する。SGLT3は、いかなる輸送機能もなく、小腸の間質細胞にあるグルコースセンサーであることがわかった。場合によっては、関連するが、まだ特徴づけられていない他の遺伝子が腎臓のグルコース再取り込みにさらに寄与する可能性もある。正常血糖下において、グルコースは、腎臓でSGLTによって完全に再吸収されるのに対して、腎臓の再取り込み能力は、10mMを超えるグルコース濃度で飽和状態になり、結果として糖尿(「真性糖尿病」)を生じる。この限界濃度は、SGLT2−阻害によって低下させることができる。SGLT阻害剤フロリジンを用いた実験において、SGLTの阻害が糸球体ろ過物から血液へのグルコースの再取り込みを部分的に阻害することになり、血糖濃度の低下および糖尿につながることが示された。
代謝性ミオパチーとは、筋肉の活動のためのエネルギー産生に関与する遺伝子の欠陥が原因となる不均一な筋障害グループを指す。これらの経路、グリコーゲン異化(グリコーゲン分解および解糖)、脂肪酸酸化、クレブス回路、またはミトコンドリア呼吸鎖および酸化的リン酸化の欠陥は、高いエネルギー要求のために、主として特に運動中の筋肉に影響を及ぼす。大半の酵素欠損は部分的であるため、多くのこうした疾患は成人期に単独筋肉症状および類似の臨床的特徴を示す。臨床的観点から、代謝性ミオパチーは、以下の2つの異なるグループに分類することができる:1)運動に関する症状および徴候;運動不耐、筋痙攣、筋痛、ミオグロビン尿を示すもの、ならびに2)全身的合併症(例えば、内分泌障害または脳障害)と関連づけられることが多い、筋力低下などの固定した症状を伴うもの。患者のクオリティオブライフは著しく変わり、患者は、活動が制限され、一部は車椅子に制限される。
一般的な療法は、とりわけ、絶食時または重複感染の期間の間は運動を避けることである。治療はまた、ATPを産生する変化した代謝経路に応じた食生活改善も含む。特に、ATP産生のための脂質の使用の障害に苦しむ患者には、運動前および運動中の高炭水化物食の摂取またはL−カルニチン補充が推奨される。酵素補充は、依然として興味深い治療の候補であるが、まだ利用できない。遺伝子療法が、場合によっては、代謝性筋疾患を回復させることの鍵を握る。
したがって、特に代謝性ミオパチーの患者の運動に対する耐性および関連するクオリティオブライフを改善することための未だに対処されていない医学的ニーズがある。
本発明の1つの目的は、対象の健康状態を改善するための医薬組成物および方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、対象における健康状態のマーカーを改善するための医薬組成物および方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、特に、代謝性ミオパチーの患者の運動に対する耐性および関連するクオリティオブライフを改善するための医薬組成物および方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、本明細書の上記および下記の説明によって、さらに実施例によって当業者に明らかになる。
一態様において、本発明は、例えば、カロリー制限もしくは断続的な絶食に取って代わるもしくはそれを模倣することによって、例えば、カロリー制限または断続的な絶食なく健康上の利益を対象にもたらすためのSGLT−2阻害剤の使用を提供する。一態様において、健康上の利益は、対象の寿命予測値の増加である。
一態様において、本発明は、例えば、カロリー制限もしくは断続的な絶食に取って代わるもしくはそれを模倣することによって、例えば、対象にカロリー制限もしくは断続的な絶食をさせることなく、対象の健康状態を改善する方法であって、対象にSGLT−2阻害剤を投与することを含む方法を提供する。
一態様において、本発明は、患者の代謝性ミオパチー、例えば、グリコーゲンまたは脂質代謝障害による代謝性ミオパチーを治療する方法であって、患者にSGLT−2阻害剤を投与することを含む方法を提供する。一実施形態において、本方法は、器官、とりわけ筋肉におけるエネルギー産生を増加させるための特定の食事に取って代わるか、またはそれを模倣する。一実施形態において、本方法は、器官、とりわけ筋肉におけるエネルギー産生を増加させるための特定の食事に加えてなされる。
一態様において、本発明は、患者の代謝性ミオパチー、例えば、グリコーゲンまたは脂質代謝障害による代謝性ミオパチーの進行を遅延させる、またはその速度を遅くする方法であって、患者にSGLT−2阻害剤を投与することを含む方法を提供する。一実施形態において、本方法は、器官、とりわけ筋肉におけるエネルギー産生を増加させるための特定の食事に取って代わるか、またはそれを模倣する。一実施形態において、本方法は、器官、とりわけ筋肉におけるエネルギー産生を増加させるための特定の食事に加えてなされる。
一態様において、代謝性ミオパチーは、糖原貯蔵症(GSD)、脂肪酸酸化異常症(FAOD)またはミトコンドリアミオパチーである。
一態様において、SGLT2阻害剤は、本明細書の上記および下記で定義されるとおりに投与される。
一態様において、対象は、2型真性糖尿病を有する患者である。
一態様において、患者は、2型真性糖尿病を有する患者である。
一態様において、SGLT−2阻害剤は、エンパグリフロジン(化合物(I.9))である。
一態様において、SGLT2阻害剤の使用は、それを必要とする患者に本明細書の上記および下記で定義されるとおりにSGLT2阻害剤が投与されることを特徴とする以下のことのための方法をさらに含む
− 1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、耐糖能障害(IGT)、空腹時高血糖(impaired fasting blood glucose, IFG)、高血糖、食後高血糖、体重過剰、肥満、メタボリックシンドロームおよび妊娠糖尿病から成る群から選択される代謝障害を予防する、その進行の速度を遅くする、それを遅延させるまたは治療すること;あるいは
− 血糖管理を改善することおよび/または空腹時の血漿グルコース、食後の血漿グルコースおよび/またはグリコヘモグロビンHbA1cを低下させること;あるいは
− 耐糖能障害(IGT)、空腹時高血糖(IFG)、インスリン抵抗性からおよび/またはメタボリックシンドロームからの2型真性糖尿病への進行を予防する、その速度を遅くする、遅延させるまたは逆行させること;あるいは
− 白内障ならびに微小血管および大血管疾患、例えば、腎症、網膜症、ニューロパチー、組織虚血、糖尿病性足病変、動脈硬化、心筋梗塞、急性冠症候群、不安定狭心症、安定狭心症、脳卒中、末梢動脈閉塞性疾患、心筋症、心不全、心リズム障害(heart rhythm disorder)ならびに血管再狭窄などの真性糖尿病の合併症から成る群から選択される状態または障害を予防するか、その進行の速度を遅くするか、遅延させるか、または治療すること;あるいは
− 体重および/もしくは体脂肪を低下させること、または体重および/もしくは体脂肪の増加を防ぐこと、または体重および/もしくは体脂肪の低下を促進すること;あるいは
− 膵臓ベータ細胞の変性および/または膵臓ベータ細胞の機能の低下を予防すること、その速度を遅くすること、遅延させることまたは治療することならびに/あるいは膵臓ベータ細胞の機能を改善することおよび/または取り戻すことならびに/あるいは膵臓インスリン分泌の機能を取り戻すこと;あるいは
− 異所性脂肪の異常な蓄積に起因する疾患または状態を予防するか、その速度を遅くするか、遅延させるか、または治療すること;あるいは
− インスリン感受性を維持することおよび/もしくは改善することならびに/あるいは高インスリン血症および/もしくはインスリン抵抗性を治療することまたは予防すること;
− 移植後新規発症糖尿病(NODAT)および/もしくは移植後メタボリックシンドローム(PTMS)を予防するか、その進行の速度を遅くするか、遅延させるか、または治療すること;
− 微小血管および大血管疾患およびイベント、移植片拒絶、感染、および死亡を含むNODATならびに/またはPTMSに関連する合併症を予防するか、遅延させるか、または低減すること;
− 高尿酸血症および高尿酸血症に関連する状態を治療すること;
− 腎結石を治療するかまたは予防すること;
− 低ナトリウム血症を治療すること。
一態様において、本発明は、対象によるカロリー制限もしくは断続的な絶食を回避する利点を提供する。
本発明は、本明細書に記載されている方法のいずれか1つにおいて薬剤として使用するためのSGLT2阻害剤、例えば、エンパグリフロジン、またはSGLT2阻害剤、例えば、エンパグリフロジンを含む医薬組成物をさらに提供する。
本発明は、本明細書に記載されている疾患または状態のいずれか1つにおける治療、予防またはリスク低下のための方法に使用するためのSGLT2阻害剤、例えば、エンパグリフロジン、またはSGLT2阻害剤、例えば、エンパグリフロジンを含む医薬組成物をさらに提供する。
本発明は、本明細書に記載されている方法のいずれか1つに使用するための薬剤の製造に使用するためのSGLT2阻害剤、例えば、エンパグリフロジン、またはSGLT2阻害剤、例えば、エンパグリフロジンを含む医薬組成物をさらに提供する。
本発明のさらなる態様は、本明細書の上記および下記の説明によっておよび例によって当業者に明らかになる。
定義
本発明による医薬組成物の「活性成分」という用語は、本発明によるSGLT2阻害剤を意味する。「活性成分」は、本明細書では「活性物質」と言及される場合もある。
ヒト患者の「ボディマスインデックス」または「BMI」という用語は、BMIがkg/m2の単位を有するようにメートル単位の身長の2乗で割ったキログラム単位の体重と定義される。
「体重過剰」という用語は、個人が25kg/m2以上30kg/m2未満のBMIを有する状態と定義される。「体重過剰」および「過体重」という用語は、同義に使用される。
「肥満」という用語は、個人が30kg/m2以上のBMIを有する状態と定義される。WHOの定義に準じて、肥満という用語は以下のとおり分類することができる:「クラスI肥満」という用語は、BMIが30kg/m2以上35kg/m2未満の状態であり、「クラスII肥満」という用語は、BMIが35kg/m2以上40kg/m2未満の状態であり、「クラスIII肥満」という用語は、BMIが40kg/m2以上の状態である。
「内臓肥満」という用語は、男性で1.0以上および女性で0.8以上のウエストヒップ比が測定される状態と定義される。これは、インスリン抵抗性および前糖尿病の発症のリスクを定義する。
「腹部肥満」という用語は、ウエスト周囲が男性で>40インチまたは102cm、女性で>35インチまたは94cmである状態と一般に定義される。日本民族または日本人患者に関して、腹部肥満は、男性で≧85cm、女性で≧90cmのウエスト周囲と定義される場合もある(例えば、日本におけるメタボリックシンドロームの診断のための調査委員会を参照)。
「正常血糖」という用語は、対象が70mg/dL(3.89mmol/L)超100mg/dL(5.6mmol/L)未満の正常な範囲内の空腹時血糖濃度を有する状態と定義される。「空腹時」という語は、医学用語として通常の意味を有する。
「高血糖」という用語は、対象が正常な範囲を超えた100mg/dL超(5.6mmol/L)の空腹時血糖濃度を有する状態と定義される。「空腹時」という語は、医学用語として通常の意味を有する。
「低血糖」という用語は、対象が正常な範囲より低い血糖濃度、特に70mg/dL(3.89mmol/L)未満を有する状態と定義される。
「食後高血糖」という用語は、対象が200mg/dL(11.11mmol/L)より高い食後2時間の血糖または血清グルコース濃度を有する状態と定義される。
「空腹時高血糖」または「IFG」という用語は、対象が100〜125mg/dl(すなわち、5.6〜6.9mmol/l)、特に110mg/dL超126mg/dl(7.00mmol/L)未満の範囲の空腹時血糖濃度または空腹時血清グルコース濃度を有する状態と定義される。「正常な空腹時グルコース」を有する対象は、100mg/dl未満、すなわち、5.6mmol/l未満の空腹時グルコース濃度を有する。
「耐糖能障害」または「IGT」という用語は、対象が140mg/dl(7.78mmol/L)超200mg/dL(11.11mmol/L)未満の食後2時間の血糖または血清グルコース濃度を有する状態と定義される。異常な耐糖性、すなわち、食後2時間の血糖または血清グルコース濃度は、絶食後に75gのグルコースを摂取した2時間後の血漿1dL当たりのmg単位のグルコースの血糖レベルとして測定することができる。「正常な耐糖性」を有する対象は、140mg/dl(7.78mmol/L)未満の食後2時間の血糖または血清グルコース濃度を有する。
「高インスリン血症」という用語は、正常血糖を有するか、または有さないインスリン抵抗性がある対象が<1.0(男性)または<0.8(女性)のウエストヒップ比を有する、インスリン抵抗性がない正常なやせた個人の濃度を超えた高い空腹時または食後の血清または血漿インスリン濃度を有する状態と定義される。
「インスリン感受性促進(insulin-sensitizing)」、「インスリン抵抗性改善」または「インスリン抵抗性低下」という用語は、同義であり、区別なく使用される。
「インスリン抵抗性」という用語は、正常血糖状態を維持するためにグルコース負荷に対して通常の応答を超える血中インスリンレベルが必要とされる状態と定義される(Ford ES, et al. JAMA.(2002) 287:356-9)。インスリン抵抗性を判定する方法は、正常血糖高インスリンクランプ試験である。グルコースに対するインスリンの比率は、組み合わせたインスリン・グルコース注入手法の範囲内で求められる。グルコースの吸収が調査されるバックグラウンド母集団の25パーセンタイル未満である場合、インスリン抵抗性であるとわかる(WHOの定義)。クランプ試験よりもやや労力が少ないのはいわゆる最小モデルであり、この場合、静脈内グルコース負荷試験の間に、血中のインスリンおよびグルコース濃度が固定の時間間隔で測定され、これからインスリン抵抗性が算出される。この方法を用いても、肝臓インスリン抵抗性と末梢インスリン抵抗性とを区別することはできない。
さらに、インスリン抵抗性、療法に対するインスリン抵抗性がある患者の応答、インスリン感受性および高インスリン血症は、インスリン抵抗性の信頼性のある指標である「インスリン抵抗性指数(HOMA−IR)」スコアを評価することによって定量されてもよい(Katsuki A, et al. Diabetes Care 2001; 24: 362-5)。インスリン感受性に対するHOMA指数の決定方法(Matthews et al., Diabetologia 1985, 28: 412-19)、インスリンに対する未変化のプロインスリンの比率の決定方法(Forst et al., Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459)および正常血糖クランプ調査に対してさらに言及されている。さらに、インスリン感受性の可能な代用として血漿アディポネクチンレベルを監視することができる。インスリン抵抗性指数(HOMA−IR)スコアによるインスリン抵抗性の評価は、以下の式により計算される(Galvin P, et al. Diabet Med 1992;9:921-8):
HOMA−IR=[空腹時血清インスリン(μU/mL)]×[空腹時の血漿グルコース(mmol/L)/22.5]
通例、インスリン抵抗性を評価するために日常の臨床実務に他のパラメータが使用される。例えば、トリグリセリドレベルの増加はインスリン抵抗性の存在と高い相関を示すため、好ましくは患者のトリグリセリド濃度が使用される。
IGTまたはIFGまたは2型糖尿病の発症の素因がある患者は、高インスリン血症を伴う正常血糖を有する患者であり、本質的にインスリン抵抗性である。インスリン抵抗性がある典型的な患者は、通常、体重過剰または肥満である。インスリン抵抗性が検出できた場合、これは、前糖尿病の存在の特に有力な指標である。このように、グルコースホメオスタシスを維持するために、人は健康な人よりも2〜3倍多いインスリンを必要とし、これが臨床症状を全くもたらさない場合もある。
膵臓ベータ細胞の機能を調査するための方法は、インスリン感受性、高インスリン血症またはインスリン抵抗性に関する上記の方法と同様であり、ベータ細胞機能の改善は、例えば、ベータ細胞機能に対するHOMA指数(Matthews et al., Diabetologia 1985, 28: 412-19)、インスリンに対する未変化のプロインスリンの比率(Forst et al., Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459)、経口グルコース負荷試験もしくは食事負荷試験後のインスリン/C−ペプチド分泌を求めることによって、あるいは高血糖クランプ調査および/または頻回採血静脈内グルコース負荷試験後の最小モデル化(Stumvoll et al., Eur J Clin Invest 2001, 31: 380-81)を利用することによって測定することができる。
「前糖尿病」という用語は、個人が2型糖尿病を発症しやすい状態である。前糖尿病は、耐糖能障害の定義を、≧100mg/dLの高い正常範囲内の空腹時血糖(J.B.Meigs, et al. Diabetes 2003; 52:1475-1484)および空腹時高インスリン血症(上昇した血漿インスリン濃度)を有する個人を含むよう拡大する。深刻な健康への脅威として前糖尿病を特定するための科学的および医学的基礎は、American Diabetes AssociationおよびNational Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseasesによって共同で発行されたPosition Statement 表題"The Prevention or Delay of Type 2 Diabetes" (Diabetes Care 2002; 25:742-749)にある。
インスリン抵抗性を有する可能性が高い個人は、以下の特質の2つ以上を有する個人である:1)体重過剰または肥満、2)高血圧、3)高脂血症、4)IGTまたはIFGまたは2型糖尿病の診断を受けた1人以上の第一度近親者。こうした個人のインスリン抵抗性は、HOMA−IRスコアを算出することによって確認することができる。本発明の目的で、インスリン抵抗性は、個人が>4.0のHOMA−IRスコアまたはグルコースおよびインスリンアッセイを実施する検査室に関して定義される正常の上限を超えるHOMA−IRスコアを有する臨床状態と定義される。
「2型糖尿病」という用語は、対象が125mg/dL(6.94mmol/L)より高い空腹時血糖または血清グルコース濃度を有する状態と定義される。血糖値の測定法は、定型化した医学的分析における標準的な手順である。グルコース負荷試験が行われる場合、糖尿病患者の血糖レベルは、空腹時に75gのグルコースを摂取した2時間後の血漿1dL当たり200mgのグルコース(11.1mmol/l)を超えることになる。グルコース負荷試験では、75gのグルコースが10〜12時間の絶食後に試験される患者に経口投与され、グルコースを摂取する直前ならびにそれを摂取した1および2時間後に血糖レベルが記録される。健康な対象では、グルコースを摂取する前の血糖レベルは、血漿1dL当たり60〜110mgの間になり、グルコースの摂取1時間後に1dL当たり200mg未満および2時間後に1dL当たり140mg未満になる。2時間後の値が140〜200mgの間の場合、これは、異常な耐糖性と見なされる。
「後期2型真性糖尿病」という用語は、続発性薬物不全(secondary drug failure)、インスリン療法の適応症ならびに微小血管および大血管合併症、例えば、糖尿病性腎症、もしくは冠動脈心疾患(CHD)への進行がある患者を含む。
「HbA1c」という用語は、ヘモグロビンB鎖の非酵素的糖化の生成物を指す。その判定は当業者に周知である。真性糖尿病の治療を監視する際、HbA1c値が非常に重要である。その生成は本質的に血糖レベルおよび赤血球の寿命に依存するため、「血糖メモリ」の意味でHbA1cは前の4〜6週の平均血糖レベルを反映する。集中的な糖尿病治療によってHbA1c値が一貫して十分に調節されている(すなわち、サンプル中の総ヘモグロビンが<6.5%)糖尿病患者は、著しくさらに良好に糖尿病性微小血管症から保護される。例えば、メトホルミンは、単独で糖尿病患者におけるHbA1c値の約1.0〜1.5%の平均的な改善を実現する。HbA1c値のこの低下は、すべての糖尿病患者で<6.5%、好ましくは<6%のHbA1cの所望の目標範囲を実現するのに十分ではない。
本発明の範囲における「不十分な血糖管理」または「不完全な血糖管理」という用語は、患者が6.5%超、特に7.0%を超える、さらにより好ましくは7.5%を超える、とりわけ8%を超えるHbA1c値を示す状態を意味する。
(代謝障害と関連して使用される場合)「シンドロームX」とも呼ばれ、「代謝異常症候群」とも呼ばれる「メタボリックシンドローム」は、インスリン抵抗性が主要な特徴の複合型症候群(syndrome complex)である(Laaksonen DE, et al. Am J Epidemiol 2002;156:1070-7)。ATP III/NCEPガイドライン(Executive Summary of the Third Report of the National Cholesterol Education Program (NCEP) Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adult Treatment Panel III) JAMA: Journal of the American Medical Association (2001) 285:2486-2497)によると、3つ以上以下のリスク因子がある場合にメタボリックシンドロームの診断が下される:
1.男性で>40インチもしくは102cm、および女性で>35インチもしくは94cmのウエスト周囲と定義されるか;または日本民族または日本人患者に関して男性で≧85cmおよび女性で≧90cmのウエスト周囲と定義される、腹部肥満;
2.トリグリセリド:≧150mg/dL
3.HDL−コレステロール 男性で<40mg/dL
4.血圧≧130/85mmHg(SBP≧130またはDBP≧85)
5.空腹時血糖≧100mg/dL
NCEPの定義は、実証されている(Laaksonen DE, et al. Am J Epidemiol.(2002) 156:1070-7)。血中のトリグリセリドおよびHDLコレステロールも医学的分析において標準的な方法によって求めることができ、例えば、Thomas L (Editor): "Labor und Diagnose", TH-Books Verlagsgesellschaft mbH, Frankfurt/Main, 2000に記載されている。
一般的に使用される定義によると、収縮期血圧(SBP)が140mmHgの値を上回り、拡張期血圧(DBP)が90mmHgの値を上回る場合に、高血圧と診断される。患者が明らかな糖尿病に苦しむ場合、現在、収縮期血圧を130mmHg未満のレベルに低下させ、拡張期血圧を80mmHg未満に低下させることが推奨されている。
NODAT(移植後新規発症糖尿病)およびPTMS(移植後メタボリックシンドローム)の定義は、2型糖尿病に対するAmerican Diabetes Associationの診断基準の定義にしっかりと従い、メタボリックシンドロームに関してはInternational diabetes Federation(IDF)およびAmerican Heart Association/National Heart, Lung, and Blood Instituteの定義にしっかりと従う。NODATおよび/またはPTMSは、微小血管および大血管疾患およびイベント、移植片拒絶、感染、および死亡のリスクの増加に関連する。移植時に高齢、男性の性別、移植前のボディマスインデックス、移植前の糖尿病、および免疫抑制を含む多くの予測因子がNODATおよび/またはPTMSに関連する可能性のあるリスク因子として特定された。
「妊娠糖尿病」(妊娠の糖尿病)という用語は、妊娠中に発症し、通常、出産直後に再びなくなる糖尿病の形態を指す。妊娠糖尿病は、妊娠の24〜28週目の間に行われるスクリーニング検査によって診断される。それは、通常、50gのグルコース溶液の投与の1時間後に血糖レベルが測定される簡単な検査である。この1時間のレベルが140mg/dlを超えた場合、妊娠糖尿病が疑われる。最終確定は、例えば、75gのグルコースを用いた標準的なグルコース負荷試験によって得られる。
「高尿酸血症」という用語は、高い血清総尿酸レベルの状態を指す。ヒトの血中において、3.6mg/dL(約214μmol/L)〜8.3mg/dL(約494μmol/L)の間の尿酸濃度がAmerican Medical Associationにより正常と見なされる。高い血清総尿酸レベル、または高尿酸血症は、いくつかの慢性病と関連することが多い。例えば、高い血清総尿酸レベルは、通風として知られる関節の関節炎のタイプに至る可能性がある。通風は、血流中の総尿酸レベルの濃度が高いために、関節の関節軟骨、腱および周辺組織へ尿酸モノナトリウムまたは尿酸結晶が蓄積されることによって作り出される状態である。こうした組織への尿酸塩または尿酸の蓄積は、こうした組織の炎症反応を引き起こす。尿中の飽和レベルの尿酸は、尿酸または尿酸塩が腎臓内で結晶化すると腎結石形成をもたらすこともある。さらに、高い血清総尿酸レベルは、心血管疾患および高血圧を含むいわゆるメタボリックシンドロームに関連する場合も多い。
「低ナトリウム血症」という用語は、ナトリウムが不足しているか、またはしていない水分の正のバランスの状態を指し、血漿ナトリウムが135mml/Lのレベルより低下した場合に認識される。低ナトリウム血症は、水分を過度に消費する個人において単独で生じる可能性のある状態であるが、低ナトリウム血症は、薬剤の合併症または水分の排出の減少を招くその他の基となる医学的状態である場合がさらに多い。低ナトリウム血症は水中毒に至る場合もあり、これは、過剰な水分の保持のために、細胞外液の正常な張性が安全な限界より下がった場合に起こる。水中毒は、場合によっては脳機能における致命的な障害である。水中毒の典型的な症状としては、悪心、嘔吐、頭痛および倦怠感が挙げられる。
本発明の範囲における「SGLT2阻害剤」という用語は、化合物、特にグルコピラノシル誘導体、すなわち、グルコピラノシル部分を有する化合物に関し、これは、ナトリウム・グルコース輸送体2(SGLT2)、特にヒトSGLT2に対して阻害効果を示す。IC50として測定されるhSGLT2に対する阻害効果は、好ましくは1000nM未満、さらにより好ましくは100nM未満、最も好ましくは50nM未満である。hSGLT2に対する阻害効果は、文献において、特に参照によってその全体が本明細書に組み込まれる出願第WO2005/092877号または同第WO2007/093610号(23/24ページ)に記載されている既知の方法によって求めることができる。「SGLT2阻害剤」という用語は、それぞれの結晶形態を含む任意のその薬学的に許容される塩、その水和物および溶媒和物も含む。
「治療」および「治療すること」という用語は、上記の状態、特に、明らかな形態で既に発症した患者の治療的処置を含む。治療的処置は、特定の適応症の症状を軽減するための対症療法あるいは適応症の状態を逆行させる、もしくは部分的に逆行させるため、または疾患の進行を止める、もしくはその速度を遅くするための原因療法であってもよい。したがって、本発明の組成物および方法は、例えば、ある期間にわたる治療的処置として、ならびに長期治療のために使用されてもよい。
「予防的に処置する」、「防止的に処置する」および「予防する」という用語は同義に使用され、本明細書の上記で言及した状態を発症するリスクのある患者を処置することにより、上記のリスクを低減することを含む。
「錠剤」という用語は、コーティングなしの錠剤、および1つ以上のコーティングを有する錠剤を含む。さらに、「錠剤」という用語は、1、2、3またはそれ以上の層を有する錠剤、および有核錠を含み、前述のタイプの錠剤のそれぞれが1つ以上のコーティングを有さなくても、または有してもよい。「錠剤」という用語は、ミニタブレット、溶解錠、チュアブル錠、発泡錠および口腔内崩壊錠も含む。
「薬局方(pharmacopoeおよびpharmacopoeias)」という用語は、"USP 31 - NF 26 through Second Supplement" (United States Pharmacopeial Convention)または"European Pharmacopoeia 6.3" (European Directorate for the Quality of Medicines and Health Care, 2000-2009)などの標準的な薬局方を指す。
詳細な説明
一態様において、本発明は、例えば、カロリー制限もしくは断続的な絶食に取って代わるもしくはそれを模倣することによってカロリー制限または断続的な絶食なく健康上の利益を対象にもたらすためのSGLT−2阻害剤の使用を提供する。一態様において、健康上の利益は、対象の寿命予測値の増加である。
一態様において、SGLT2阻害剤は、本明細書の上記および下記で定義されるとおりに投与される。
一態様において、対象は、2型真性糖尿病を有する患者である。
一態様において、SGLT−2阻害剤は、エンパグリフロジン(化合物(I.9))である。
本発明は、例えば、カロリー制限もしくは断続的な絶食につながるカロリー制限プロトコルを回避する利点を提供すると同時に、依然としてそのようなプロトコルを対象に適用することから得られる健康上の利益をもたらす。
血中のケトン体の上昇も誘発するカロリー制限もしくは断続的な絶食は、そのようなカロリー制限もしくは断続的な絶食を利用する対象の寿命予測値の増加を含む健康上の利益を示す。
本発明の状況におけるその他の利益としては、脳エネルギー産生を増大させることによる発作の予防およびてんかんの治療を挙げることができる。
代謝性ミオパチー
代謝性ミオパチーの患者は、多種多様の欠陥により、筋肉におけるエネルギー産生の根本的な欠陥を有する。これらとしては、脂質、グリコーゲン、グルコース、アデニンヌクレオチド、およびミトコンドリア代謝の欠陥が挙げられる。
代謝性ミオパチーおよびミトコンドリアミオパチーは、筋肉におけるエネルギー産生の欠陥の原因となる不均一な遺伝性障害のグループである。筋収縮は、筋収縮を支えるATPを維持、供給するための筋細胞内のATPの化学エネルギーおよびいくつかの生化学的プロセスに依存する。筋肉を働かすエネルギー要求量にかなうATPを供給する3つの主な経路は:
a)グリコーゲン代謝:グリコーゲンは、筋肉における炭水化物貯蔵の主形態である。集中的および断続的な筋収縮にエネルギーが必要とされるとき、グリコーゲンがグルコースに分解され(糖原病)、解糖に供給され、ピルビン酸を産生し、ピルビン酸がミトコンドリアに入り、クレブス回路に供給され、ミトコンドリア呼吸鎖によりATPを産生する。解糖におけるグリコーゲンの合成または分解のいずれかのいかなる障害も糖原貯蔵症の原因になるおそれがある。
b)脂質代謝:長鎖脂肪酸は、持続的な運動または絶食の間の骨格筋に対する主要なエネルギー源である。クレブス回路に供給するためのアセチル−CoAへのベータ酸化のための脂肪酸のミトコンドリア膜の通過には、アシル・カルニチントランスロカーゼおよびカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)Iが介在する運搬のためにカルニチンとの結合が必要とされる。
c)ミトコンドリア機能:ミトコンドリアに入ると、グリコーゲンおよびグルコース経路(ピルビン酸)由来の基質、ならびに脂肪酸およびベータ酸化由来の基質はアセチル補酵素Aに変えられ、これがクレブス回路に供給される。この重要な回路において、中間体分子、NADHおよびFADH2の産生は、電子をミトコンドリア呼吸鎖に送達して、ATPおよびH2Oを産生することになる。
グリコーゲン異化(グリコーゲン分解および解糖)、脂肪酸酸化、クレブス回路、またはミトコンドリア呼吸鎖および酸化的リン酸化などのこれらのいかなる経路の欠陥も、特に運動時の高いエネルギー要求のために、主として筋肉に影響を及ぼす場合が多いヒトの障害の原因となる可能性がある。
SGLT−2阻害剤、例えば、エンパグリフォジン(empaglifozin)は、腎臓のナトリウム依存性グルコース共輸送体2(SGLT2)の阻害によるインスリン経路とは無関係に血糖を低下させる。尿へのグルコースの排出を誘発することによって(糖尿)、SGLT−2阻害剤は、インスリンレベルの減少と関連づけられる血糖の減少を誘発する。こうした効果は、脂肪の動員および肝臓におけるケトン体経路の活性化を誘発して、ケトン(特に、アセトアセタートおよびβ−ヒドロキシブチレート)を産生し、血流中に送達する。これら2種のケトン体は、骨格筋を含むさまざまな器官内でエネルギーを産生するための基質の別の供給源に相当する。これら2種のエネルギー基質は、自由にミトコンドリアに入ることができ、酸化されてATPを産生する。したがって、これらは、グリコーゲン、グルコースおよび脂肪酸の変更された利用により患者において代替的なエネルギー源を構成して、筋収縮に必要なエネルギーを産生する。エネルギー基質のうち、β−ヒドロキシブチレートはまた、筋収縮に必要な消費酸素の単位当たり、より多くの自由エネルギーを含有するATP分子を送達することによって、脂肪またはグルコースと比較してより効率的なエネルギー基質になるという利点を提供する。さらに、SGLT−2阻害剤によって誘発されたヘマトクリット値の増加およびエネルギー産生のためのミトコンドリアのレベルでの酸素の利用能の関連する増加は、代謝性ミオパチーの患者におけるその他の経路の遮断にもかかわらず、収縮のためのエネルギーとして筋肉へ供給するためのケトンの優先的な使用と強力な相乗作用をもたらす。
したがって、一態様において、本発明は、患者の代謝性ミオパチー、例えば、グリコーゲンまたは脂質代謝障害による代謝性ミオパチーを治療する方法であって、患者にSGLT−2阻害剤を投与することを含む方法を提供する。一実施形態において、本方法は、器官、とりわけ筋肉におけるエネルギー産生を増加させるための特定の食事に取って代わるか、またはそれを模倣する。一実施形態において、本方法は、器官、とりわけ筋肉におけるエネルギー産生を増加させるための特定の食事に加えてなされる。
一態様において、本発明は、患者の代謝性ミオパチー、例えば、グリコーゲンまたは脂質代謝障害による代謝性ミオパチーの進行を遅延させる、またはその速度を遅くする方法であって、患者にSGLT−2阻害剤を投与することを含む方法を提供する。一実施形態において、本方法は、器官、とりわけ筋肉におけるエネルギー産生を増加させるための特定の食事に取って代わるか、またはそれを模倣する。一実施形態において、本方法は、器官、とりわけ筋肉におけるエネルギー産生を増加させるための特定の食事に加えてなされる。
一態様において、本発明による代謝性ミオパチーは、糖原貯蔵症(GSD)、脂肪酸酸化異常症(FAOD)またはミトコンドリアミオパチーである。
糖原貯蔵症(GSD):
グリコーゲンは短時間の運動中の主要なエネルギー源である一方で、遊離脂肪酸は長時間の運動中の最も重要な燃料の供給源である。したがって、激しい短時間の運動中の筋痙攣は糖原貯蔵症の特徴である(例えば、マッカードル病)。これらの状態は、グリコーゲン合成(糖原病)またはそのグルコースへの分解(解糖)を乱すさまざまな酵素の欠陥に起因する。GSDは、例えば、以下のグリコーゲン代謝の11の障害(I〜XIとした)のうちの1つである:
・GSD I − グルコース−6−ホスファターゼ欠乏症;フォン・ギールケ病
・GSD IB/IC; グルコース−6−ホスファターゼトランスポーター
・GSD II − 酸性マルターゼ欠乏症(AMD);ポンペ病。
・GSD IIB;ライソゾーム関連膜タンパク質2;ダノン病
・GSD III − 脱分枝酵素欠乏症;コリ・フォーブス病。
・GSD IV − 分枝酵素欠乏症;アンダーソン病。
・GSD V − 筋ホスホリラーゼ欠乏症;マッカードル病。
・GSD VI − 肝ホスホリラーゼ欠乏症;ハース病
・GSD VII − ホスホフルクトキナーゼ欠乏症;垂井病。
・GSD VIII − ホスホリラーゼbキナーゼ欠乏症。
・IX型GSD − ホスホグリセリン酸キナーゼ欠乏症。
・GSD X − ホスホグリセリン酸ムターゼ欠乏症。
・GSDXI − 乳酸デヒドロゲナーゼ欠乏症。
・GSD XII − アルドラーゼA欠乏症。
したがって、一態様において、本発明は、上記の糖原貯蔵症(GSD)のいずれか1つを治療するか、またはその進行を遅延させるか、もしくはその速度を遅くする方法であって、患者にSGLT−2阻害剤、例えば、エンパグリフロジンを投与することを含む方法を提供する。
脂質代謝障害:
脂質代謝の障害からもたらされるミオパチーとしては、以下のものが挙げられる:
・カルニチン欠損症候群
・脂肪酸運搬体欠損
・ベータ酸化酵素の欠損
最も一般的な脂質代謝障害としては、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII欠乏症(CPTII)、三機能タンパク質欠乏症(TFP)および極長鎖アシル−CoAデシドロゲナーゼ(deshydrogenase)欠乏症(VLCAD)が挙げられる。
CPTII遺伝子内の変異が原因のおよそ60のさまざまな疾患が、横紋筋融解およびミオグロビン尿を誘発することが報告されている。
したがって、一態様において、本発明は、上記の脂質代謝障害のいずれか1つを治療するか、またはその進行を遅延させるか、もしくはその速度を遅くする方法であって、患者にSGLT−2阻害剤、例えば、エンパグリフロジンを投与することを含む方法を提供する。
ミトコンドリアミオパチー:
これらのミオパチーは、ミトコンドリア呼吸鎖の遺伝性異常が原因となる種々のグループの多系統疾患を含み、極めて多くの臨床的表現型をもたらす。ミトコンドリア病の患者を冒す最も一般的な症状の1つは、一続きの階段を上るのと同様の軽い活動でも早くに疲労するため運動不耐である。短い休息後、患者は、通常活動を再開できるが、症状は再発する。ミトコンドリア病の患者は、激しい活動により筋肉の主観的な重さまたは痛みを訴えることが多いが、糖原貯蔵症の患者とは対照的に、一般にこわばり、筋痙攣または呼吸の整復現象は示さない。
より一般的なミトコンドリア筋障害のいくつかは、MELAS(ミトコンドリア脳筋症、乳酸性アシドーシス、および脳卒中様症状)、MERRF(赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん)、mtDNA欠損、カーンズ・セイアー症候群、複合体I欠損症、チトクロムb変異、チトクロムcオキシダーゼ変異を含む。
したがって、一態様において、本発明は、上記のミトコンドリアミオパチーのいずれか1つを治療するか、またはその進行を遅延させるか、もしくはその速度を遅くする方法であって、患者にSGLT−2阻害剤、例えば、エンパグリフロジンを投与することを含む方法を提供する。
一態様において、上記の患者の1人へのSGLT−2阻害剤の投与は、さらに良好な運動に対する耐性ならびに/または易疲労性および筋痙攣の減少につながる。一態様において、こうした患者の1人へのSGLT−2阻害剤の投与は、筋肉の損傷ならびに/または関連する横紋筋融解およびミオグロビン尿を低減する。これらの効果は、こうした患者のクオリティオブライフを改善するはずである。
別の態様において、本発明による疾患は、1型グルコース輸送体欠損症(Glut1 DS)である。この疾患は、グルコースを脳に輸送することができないことを特徴とする。したがって、一態様において、本発明は、1型グルコース輸送体欠損症(Glut1 DS)を治療するか、またはその進行を遅延させるか、もしくはその速度を遅くする方法であって、患者にSGLT−2阻害剤、例えば、エンパグリフロジンを投与することを含む方法を提供する。
一態様において、SGLT2阻害剤の投与は、例えば、器官、特に筋肉へのエネルギーおよび酸素供給を改善して収縮および運動に対する耐久性を改善することによって、代謝性ミオパチーの患者のクオリティオブライフを改善することができる。
本発明による態様、特に医薬組成物、方法および使用は、本明細書の上記および下記で定義されるSGLT2阻害剤を指す。
SGLT2阻害剤は、式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体であって、
Figure 2018530592
式中、R1は、Clまたはメチルを表し、R2は、H、メチル、メトキシまたはヒドロキシを表し、R3は、エチル、シクロプロピル、エチニル、エトキシ、(R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシまたは(S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシを表すグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、または前述のSGLT2阻害剤のうちの1つのプロドラッグから選択されるのが好ましい。
式(I)の化合物およびその合成方法は、例えば、以下の特許出願:WO2005/092877に記載されている。
式(I)の上記のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体では、置換基の以下の定義が好ましい。
1は、クロロを表すのが好ましい。
2は、Hを表すのが好ましい。
3は、(S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシを表すのが好ましい。
式(I)の好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、エンパグリフロジン:
Figure 2018530592

とも言及される化合物(I.9)である。
本発明によると、上で挙げた式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体の定義はまた、その水和物、溶媒和物およびその多形相、ならびにそのプロドラッグも含むと解釈されるべきである。好適な化合物(I.9)に関して、有利な結晶形態は、その全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願第WO2006/117359号に記載されている。これらの結晶形態は、SGLT2阻害剤の良好なバイオアベイラビリティを可能にする良好な溶解性を有する。さらに、結晶形態は物理化学的に安定しているため、医薬組成物のすぐれた保存安定性をもたらす。
以下に本発明による医薬組成物に適した賦形剤および担体について、さらに詳細に記載する。
以下に本発明による医薬剤形に利用されるグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体の好ましい量の範囲が記載される。これらの範囲は、成人患者、特に例えば、およそ70kgの体重のヒトに対する1日当たりに投与される量を指し、したがって、1日当たり投与2、3、4回以上に関しておよび他の投与の経路に関しておよび患者の年齢に関して適合することができる。投与量および量の範囲は、活性成分に関して算出される。
グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、特に、化合物(I.9)またはその結晶形態(I.9X)の好ましい量は、0.5〜100mg、好ましくは0.5〜50mg、さらにより好ましくは1〜25mg、さらにより好ましくは5〜25mgの範囲である。グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体の好ましい投与量は、例えば、1mg、2mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、20mg、25mgおよび50mg、特に10mgおよび25mgである。
本発明による医薬組成物は、錠剤、カプセルまたはフィルムコーティング錠に含まれてもよい。
一実施形態において、本発明による医薬組成物を含む錠剤は、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を含む。そのような滑沢剤は、上記錠剤中に0.25〜2%の濃度で存在してもよい。
一実施形態において、本発明による医薬組成物を含む錠剤は、コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤を含む。そのような流動促進剤は、上記錠剤中に0.25〜2%の濃度で存在してもよい。
本発明による錠剤は、フィルムコーティングされてもよい。一般にフィルムコーティングは、全組成物の2〜5質量%に相当し、好ましくは、フィルム形成剤、可塑剤、流動促進剤および任意に1つ以上の色素を含む。例となるコーティング組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール(PEG)、タルク、二酸化チタンならびに任意に酸化鉄赤および/または黄色を含む酸化鉄を含んでもよい。
錠剤、カプセルまたはフィルムコーティング錠などの本発明による剤形は、当業者に周知の方法によって調製されてもよい。
錠剤を製造する適切な方法としては、粉末の形態の医薬組成物の圧縮、すなわち直接圧縮、または必要に応じて付加的な賦形剤を含む顆粒の形態の医薬組成物の圧縮が挙げられる。
本発明による医薬組成物の顆粒は、当業者に周知の方法によって調製されてもよい。賦形剤とともに活性成分を造粒するための好ましい方法としては、湿式造粒、例えば、高せん断湿式造粒および流動層湿式造粒、ローラー圧縮とも呼ばれる乾式造粒が挙げられる。
本発明が治療または予防を必要とする患者を言及する場合、それは、主にヒトにおける治療および予防に関するが、本医薬組成物は、それゆえに、哺乳動物の動物用薬剤にも使用されてもよい。本発明の範囲において、成人患者は、好ましくは、18歳以上の年齢のヒトである。また、本発明の範囲において、患者は青年期のヒト、すなわち、年齢10〜17歳のヒト、好ましくは、年齢13〜17歳のヒトである。また、本発明の範囲において、患者は、ヒト小児、すなわち、10歳未満の年齢のヒト、好ましくは、年齢6〜9歳のヒトである。青年期の集団では、本発明による医薬組成物の投与は、非常に良好なHbA1c低下および非常に良好な空腹時の血漿グルコースの低下が見られる可能性があると推定される。さらに、青年期の集団、特に体重過剰および/または肥満の患者では、顕著な体重減少が観察される可能性があると推定される。
本明細書の上記に記載されるとおり、本発明による医薬組成物の投与によって、特にその中のSGLT2阻害剤の高いSGLT2阻害活性を考慮して、過剰な血糖が患者の尿を介して排出され、その結果、体重の増加が起きないどころか、体重の減少さえ起きる可能性もある。したがって、本発明による治療または予防は、体重過剰ならびに肥満、特にクラスI肥満、クラスII肥満、クラスIII肥満、内臓肥満および腹部肥満から成る群から選択される状態の1つ以上と診断されている、そのような治療または予防を必要とする患者に有利にも適している。さらに、本発明による治療または予防は、体重増加が禁忌である患者に有利にも適している。本発明による医薬組成物ならびに方法は、より多くの患者に対して、より長時間の治療的治療に関して、対応する単剤療法または二つの組み合わせパートナーだけを使用する療法と比較して、HbA1c値の所望の目標範囲、例えば<7%、好ましくは<6.5%への低下を可能にする。
本発明による医薬組成物および特にその中のSGLT2阻害剤は、血糖管理に関して、特に空腹時の血漿グルコース、食後の血漿グルコースおよび/またはグリコヘモグロビン(HbA1c)の低下を考慮して非常に良好な効力を示す。本発明による医薬組成物を投与することによって、HbA1cの好ましくは0.5%以上、さらにより好ましくは1.0%以上の低下を達成することができ、この低下は特に1.0%〜2.0%の範囲である。
さらに、本発明による方法および/または使用は、1つ、2つ以上の以下の状態を示す患者に有利にも適用することができる:
(a)空腹時血糖または血清グルコース濃度が100mg/dL超、特に125mg/dL超;
(b)食後の血漿グルコースが140mg/dL以上;
(c)HbA1c値が6.5%以上、特に7.0%以上、とりわけ7.5%以上、さらに一層詳細には8.0%以上。
本発明はまた、2型糖尿病を有する患者または前糖尿病の最初の徴候を示す患者における血糖管理を改善するための医薬組成物の使用を開示する。したがって、本発明はまた、糖尿病の予防も含む。したがって、前糖尿病の上記の徴候のうちの1つがある場合すぐに、本発明による医薬組成物が血糖管理を改善するために使用された場合、明らかな2型真性糖尿病の発症を遅延させるか、または防ぐことができる。
さらに、本発明による医薬組成物は、インスリン依存の患者、すなわち、インスリンまたはインスリンの誘導体またはインスリンの代替物あるいはインスリンまたはその誘導体もしくは代替物を含む製剤により治療されるか、またはそうでなければ治療されるであろう、またはそれによる治療を必要とする患者の治療に特に適している。こうした患者としては、2型糖尿病の患者および1型糖尿病の患者が挙げられる。
したがって、本発明の好適な実施形態によると、耐糖能障害(IGT)、インスリン抵抗性を伴う空腹時高血糖(IFG)、メタボリックシンドロームおよび/または2型もしくは1型真性糖尿病と診断されているそれを必要とする患者において血糖管理を改善するための方法および/または空腹時の血漿グルコース、食後の血漿グルコースおよび/またはグリコヘモグロビンHbA1cを低減するための方法であって、本明細書の上記および下記で定義されるSGLT2阻害剤が患者に投与されることを特徴とする方法が提供される。
本発明の別の好適な実施形態によると、食事および運動の補助として2型真性糖尿病の患者、特に成人患者における血糖管理を改善するための方法が提供される。
本発明による医薬組成物を使用することによって、特に抗糖尿病薬による治療、例えば、最大推奨または耐容量のメトホルミンによる経口単剤療法にもかかわらず血糖管理が不十分な患者でも血糖管理の改善を達成することができることがわかった。メトホルミンに関する最大推奨量は、例えば、1日当たり2000mgまたは1日に3回の850mgまたはそのあらゆる等量である。
したがって、本発明による方法および/または使用は、1つ、2つ以上の以下の状態を示す患者に有利にも適用することができる:
(a)食事および運動単独では血糖管理が不十分;
(b)メトホルミンによる経口単剤療法、特に最大耐容量のメトホルミンでの経口単剤療法にもかかわらず血糖管理が不十分;
(c)別の抗糖尿病剤による経口単剤療法、特に最大耐容量の他の抗糖尿病剤での経口単剤療法にもかかわらず血糖管理が不十分。
本発明によるSGLT2阻害剤の投与による血糖レベルの低下は、インスリン非依存的である。したがって、本発明による医薬組成物は、1つ以上の以下の状態を有すると診断されている患者の治療に特に適している
− インスリン抵抗性、
− 高インスリン血症、
− 前糖尿病、
− 2型真性糖尿病、特に後期2型真性糖尿病を有する、
− 1型真性糖尿病。
さらに、本発明による医薬組成物は、1つ以上の以下の状態を有すると診断されている患者の治療に特に適している
(a)肥満(クラスI、IIおよび/またはIII肥満を含む)、内臓肥満および/または腹部肥満、
(b)トリグリセリド血中レベル≧150mg/dL、
(c)HDL−コレステロール血中レベル 女性患者で<40mg/dLおよび男性患者で<50mg/dL、
(d)収縮期血圧≧130mmHgおよび拡張期血圧≧85mmHg、
(e)空腹時血糖レベル≧100mg/dL。
耐糖能障害(IGT)、インスリン抵抗性を伴う空腹時高血糖(IFG)および/またはメタボリックシンドロームと診断された患者は、例えば、心筋梗塞、冠動脈心疾患、心機能不全、血栓塞栓症などの心血管疾患を発症するリスクの増加に悩まされることが想定される。本発明による血糖管理は、結果として心血管リスクの低下をもたらす場合もある。
さらに、本発明による医薬組成物は、臓器移植後の患者、特に1つ以上の以下の状態を有すると診断されている患者の治療に特に適している
(a)高齢、特に50歳超、
(b)男性の性別;
(c)体重過剰、肥満(クラスI、IIおよび/またはIII肥満を含む)、内臓肥満および/または腹部肥満、
(d)移植前の糖尿病、
(e)免疫抑制療法。
さらに、本発明による医薬組成物は、1つ以上の以下の状態を有すると診断されている患者の治療に特に適している:
(a)低ナトリウム血症、特に慢性低ナトリウム血症;
(b)水中毒;
(c)水貯留;
(d)135mmol/L未満の血漿ナトリウム濃度。
患者は、糖尿病または非糖尿病哺乳動物、特にヒトであってもよい。
さらに、本発明による医薬組成物は、1つ以上の以下の状態を有すると診断されている患者の治療に特に適している:
(a)高い血清尿酸レベル、特に6.0mg/dL(357μmol/L)超;
(b)通風性関節炎、特に再発性の通風性関節炎の病歴;
(c)腎結石、特に再発性腎結石;
(d)腎結石形成の傾向が高い。
本発明による医薬組成物は、良好な安全性プロフィールを示す。したがって、本発明による治療または予防は、例えば、メトホルミンなどの別の抗糖尿病薬による単剤療法が禁忌であるかつ/または治療量のそのような薬物に対して不耐性である患者に有利にも可能である。特に、本発明による治療または予防は、1つ以上の以下の障害のリスクの増加を示すか、またはそれを有する患者に有利にも可能な場合もある:腎不全もしくは疾患、心疾患、心不全、肝疾患、肺疾患、異化状態および/または乳酸性アシドーシスの危険性あるいは妊娠中もしくは授乳中の女性患者。
さらに、本発明による医薬組成物の投与は、低血糖のリスクをもたらさないか、またはリスクが低いことがわかった。したがって、本発明による治療または予防はまた、低血糖のリスクの増加を示すか、またはそれを有する患者に有利にも可能である。
本発明による医薬組成物は、本明細書の上記および下記に記載される疾患および/または状態の長期間の治療または予防、特に2型真性糖尿病の患者における長期間の血糖管理に特に適している。
「長期間」という用語は、本明細書の上記および下記で使用される場合、12週より長い、好ましくは25週より長い、さらにより好ましくは1年より長い期間内の患者の治療または患者への投与を示す。
したがって、本発明の特に好適な実施形態は、2型真性糖尿病の患者、とりわけ後期2型真性糖尿病の患者、特にさらに体重過剰、肥満(クラスI、クラスIIおよび/またはクラスIII肥満を含む)、内臓肥満および/または腹部肥満の診断を受けた患者の血糖管理の改善、とりわけ長期間の改善のための療法、好ましくは経口療法のための方法を提供する。
当然のことながら、患者に投与され、本発明による治療または予防における使用に必要とされる本発明による医薬組成物の量は、投与経路、治療または予防が必要とされる状態の性質および重症度、年齢、患者の体重および状態、併用薬により変化することになり、最終的に主治医の判断による。しかしながら、一般に、本発明によるSGLT2阻害剤は、医薬組成物または剤形に、その投与によって治療される患者の血糖管理が改善されるのに十分な量で含まれる。
高尿酸血症または高尿酸血症に関連する状態の治療に対して、本発明によるSGLT2阻害剤は、医薬組成物または剤形に、患者の血漿グルコースホメオスタシスを乱すことなく、特に低血糖を誘発することなく高尿酸血症を治療するのに十分である十分な量で含まれる。
腎結石の治療または予防に対して、本発明によるSGLT2阻害剤は、医薬組成物または剤形に、患者の血漿グルコースホメオスタシスを乱すことなく、特に低血糖を誘発することなく腎結石を治療または予防するのに十分である十分な量で含まれる。
低ナトリウム血症および関連する状態の治療に対して、本発明によるSGLT2阻害剤は、医薬組成物または剤形に、患者の血漿グルコースホメオスタシスを乱すことなく、特に低血糖を誘発することなく低ナトリウム血症または関連する状態を治療するのに十分である十分な量で含まれる。
以下に本発明による医薬組成物および方法および使用に利用されるSGLT2阻害剤の好ましい量の範囲が記載される。これらの範囲は、成人患者、特に例えば、およそ70kgの体重のヒトに対する1日当たりに投与される量を指し、したがって、1日当たり投与2、3、4回以上に関しておよび他の投与の経路に関しておよび患者の年齢に関して適合させることができる。
本発明の範囲内において、医薬組成物は、好ましくは経口投与される。その他の投与形態も可能であり、本明細書の後に記載される。好ましくは、SGLT2阻害剤を含む1つ以上の剤形は、経口用であるか、または通常の周知の剤形である。
一般に、本発明による医薬組成物および方法におけるSGLT2阻害剤の量は、好ましくは、上記のSGLT2阻害剤を使用する単剤療法に通常、推奨される量である。
SGLT2阻害剤の好ましい投与量範囲は、1日当たり0.5mg〜200mg、さらにより好ましくは1〜100mg、最も好ましくは1〜50mgの範囲である。経口投与が好ましい。したがって、医薬組成物は、本明細書の上記で言及される量、特に1〜50mgまたは1〜25mgを含んでもよい。特定の有効成分含量(例えば、1錠剤または1カプセル当たり)は、例えば、1、2.5、5、7.5、10、12.5、15、20、25または50mgのSGLT2阻害剤、例えば、式(I)の化合物、特に化合物(I.9)またはその結晶形態(I.9X)である。活性成分の適用は、1日3回、好ましくは1日1または2回、最も好ましくは1日1回行われてもよい。エンパグリフロジン(化合物(I.9)の特定の有効成分含量は、1日1回10mgもしくは25mgまたは1日2回5mgもしくは12.5mgである。
個別または複数の剤形、好ましくはパーツのキットとして存在する医薬組成物は、患者の個々の治療的ニーズに柔軟に適合するための併用療法に有用である。
第1の実施形態によると、好ましいパーツのキットは、SGLT2阻害剤および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む剤形を収容する容器を含む。
本発明の別の態様は、本発明による個々の剤形として存在する医薬組成物および個々の剤形が組み合わせて、もしくは交互に投与されることの指示書を含むラベルまたは添付文書を含む製品である。
第1の実施形態によると、製品は、(a)本発明によるSGLT2阻害剤を含む医薬組成物および(b)薬剤が投与されることの指示書を含むラベルまたは添付文書を含む。
本発明による医薬組成物の所望の用量は、1日に1回または適切な間隔で投与される分割された用量として、例えば、1日当たり2回、3回以上の用量として都合よく提供することができる。
本医薬組成物は、液体もしくは固体形態または吸入もしくは吹送による投与に適した形態の経口、直腸、経鼻、局所(頬側および舌下を含む)、経皮、経膣投与または非経口(筋肉内、皮下および静脈内を含む)投与用に製剤化されてもよい。経口投与が好ましい。本製剤は、必要に応じて、個別の投与単位で都合よく提供されてもよく、薬学の分野において周知の任意の方法によって調製されてもよい。すべての方法は、活性成分を液体担体もしくは細かく分割された固体担体またはその両方のような1つ以上の薬学的に許容される担体と混合し、その後、必要に応じて、その生成物を所望の製剤に成形するステップを含む。
本医薬組成物は、錠剤、顆粒、細粒、散剤、カプセル剤、カプレット剤、軟カプセル剤、丸剤、経口液剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、チュアブル錠、トローチ剤、発泡錠、滴薬、懸濁剤、速溶錠、経口迅速分散錠などの形態に製剤化されてもよい。
本医薬組成物および剤形は、好ましくは製剤の他の成分と適合し、その受け手に有害でないという意味で「許容され」なければならない1つ以上の薬学的に許容される担体を含む。薬学的に許容される担体の例は、当業者に知られている。
経口投与に適した医薬組成物は、それぞれが所定量の活性成分を含有する軟ゼラチンカプセルを含むカプセル、カシェ剤または錠剤などの個別の単位として;粉末または顆粒として;液剤、懸濁剤または乳剤として、例えば、シロップ、エリキシル剤または自己乳化送達系(SEDDS)として都合よく提供することができる。活性成分はまた、巨丸剤、舐剤またはペーストとして提供することができる。経口投与用の錠剤およびカプセルは、結合剤、増量剤、滑沢剤、崩壊剤、または湿潤剤などの従来の賦形剤を含んでもよい。錠剤は、当該技術分野において周知の方法によりコーティングされてもよい。経口用液体調製物は、例えば、水性もしくは油性懸濁剤、液剤、乳剤、シロップまたはエリキシル剤の形態であってもよく、あるいは使用前に水もしくはその他の適したビヒクルにより構成するための乾燥生成物として提供することができる。そのような液体調製物は、懸濁化剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を挙げることができる)、または保存料などの従来の添加物を含んでもよい。
本発明による医薬組成物はまた、(例えば、注射、例えば、ボーラス注射または継続的な注入による)非経口投与用に製剤化されてもよく、アンプル、プレフィルドシリンジ、少量の注入器に入った単位用量形態としてまたは保存料が添加された複数用量容器として提供することができる。本組成物は、油性もしくは水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、または乳剤のような形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤用薬剤(formulatory agents)を含んでもよい。あるいは、活性成分は、使用前に適したビヒクル、例えば、滅菌パイロジェンフリー水により構成するための滅菌固体の無菌分離または溶液の凍結乾燥によって得られる粉末形態であってもよい。
担体が固体の直腸投与に適した医薬組成物は、単位用量の座剤として提供されるのが最も好ましい。適した担体としては、カカオバターおよび当該技術分野において一般的に使用される他の材料が挙げられ、座剤は、活性化合物の軟化したまたは溶けた担体との混合によって都合よく形成された後、型で冷やし、成形されてもよい。
本発明による医薬組成物および方法は、本明細書の上記に記載される疾患および状態の治療および予防に有利な効果を示す。有利な効果は、例えば、効力、有効成分含量、投薬頻度、薬力学的特性、薬物動態的特性、少ない有害作用、利便性、コンプライアンスなどに対して認められるものでもよい。
本発明によるSGLT2阻害剤およびそのプロドラッグの製造のための方法は、当業者に知られている。有利にも、本発明による化合物は、本明細書の上記に挙げられた特許出願を含む文献に記載されている合成方法を使用して調製されてもよい。製造の好ましい方法は、WO2006/120208およびWO2007/031548に記載されている。化合物(I.9)に関する有利な結晶形態は、それによりその全体が本明細書に組み込まれる国際出願第WO2006/117359号に記載されている。
活性成分は、薬学的に許容される塩の形態で存在してもよい。薬学的に許容される塩としては、以下に限定されないが、塩酸、硫酸およびリン酸のような無機酸の塩;シュウ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸およびグルタミン酸のような有機カルボン酸の塩ならびにメタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸のような有機スルホン酸の塩などが挙げられる。塩は、溶媒および分解物において化合物と酸を適切な量および比率で混合することによって形成することができる。塩はまた、他の塩の形態からのカチオンまたはアニオン交換によって得ることもできる。
活性成分または薬学的に許容されるその塩は、水和物などの溶媒和物またはアルコール付加物の形態で存在してもよい。
本発明の範囲内の任意の上記の医薬組成物および方法は、当該技術分野において知られている動物モデルによって試験されてもよい。以下では、本発明による医薬組成物および方法の薬理学的に関連性のある特性を評価するのに適したインビボ実験が記載される。
本発明による医薬組成物および方法は、db/dbマウス、ob/obマウス、Zucker Fatty(fa/fa)ラットまたはZucker Diabetic Fatty(ZDF)ラットのような遺伝学的に高インスリン血症または糖尿病の動物において試験されてもよい。さらに、これらは、ストレプトゾトシンにより予め治療されたHanWistarまたはSprague Dawleyラットのような実験的に誘発された糖尿病の動物において試験されてもよい。
本発明による血糖管理の効果は、本明細書の上記に記載されている動物モデルの経口グルコース負荷試験におけるSGLT2阻害剤の1回の投薬後に試験することができる。一晩絶食させた動物における経口グルコースチャレンジ後の血糖の経時推移を追跡する。本発明による医薬組成物は、例えば、別の単剤療法と比較してピークグルコース濃度の低下またはグルコースAUCの低下によって評価される血糖変動を著しく改善する。さらに、本明細書の上記に記載されている動物モデルにSGLT2阻害剤を複数回投薬した後の血糖管理に対する効果は、血中のHbA1c値を測定することによって確認することができる。本発明による医薬組成物は、例えば、別の単剤療法と比較してまたは二剤併用療法と比較してHbA1cを著しく低下させる。
本発明による治療のインスリンからの改善された非依存状態は、本明細書の上記に記載されている動物モデルの経口グルコース負荷試験における1回の投薬後に示される得る。血漿インスリンの経時推移は、一晩絶食させた動物におけるグルコースチャレンジ後に追跡される。
1回または複数回の投薬後の本発明による治療による活性GLP−1レベルの増加は、空腹時または食後の状態のいずれかの本明細書の上記に記載されている動物モデルの血漿中の活性GLP−1レベルを測定することによって確認することができる。同様に、血漿中のグルカゴンレベルの低下は、同じ条件下において測定することができる。
ベータ細胞再生および新生に対する本発明によるSGLT2阻害剤の効果は、本明細書の上記に記載されている動物モデルにおける複数回の投薬後に、膵臓インスリン含有量の増加を測定することによって、または膵臓切片の免疫組織化学的染色後の形態計測分析によるベータ細胞量の増加を測定することによって、または単離された膵島におけるグルコース刺激インスリン分泌の増加を測定することによって確認することができる。
医薬組成物および剤形の例
経口投与用の固体医薬組成物および剤形の以下の例は、例の内容に本発明を制限することなく、本発明をさらに完全に説明するのに役立つ。経口投与用の組成物および剤形の別の例は、WO2010/092126に記載されている。「活性物質」という用語は、本発明によるエンパグリフロジン、とりわけ、WO2006/117359およびWO2011/039107に記載されているその結晶形態を表す。
Figure 2018530592
錠剤、医薬品活性成分、賦形剤およびフィルムコーティング系の製造に関する詳細は、それによりその全体が本明細書に組み込まれるWO2010/092126、特に、実施例5および6に記載されている.
薬理学的な実施例
SGLT−2阻害剤、例えば、エンパグリフロジンを動物モデルにおいて評価する。SGLT−2阻害剤を動物に投与し、筋肉性能および運動耐性を評価する。休息時および運動中の血中乳酸も測定する。
実験は、代謝性ミオパチーの動物モデルにおいて行うことができる。

Claims (6)

  1. 患者の代謝性ミオパチーを、治療するか、その進行を遅延させるか、またはその速度を遅くする方法であって、前記患者にSGLT−2阻害剤を投与することを含む、前記方法。
  2. 前記代謝性ミオパチーが、グリコーゲンまたは脂質代謝障害による代謝性ミオパチーである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記代謝性ミオパチーが、糖原貯蔵症(GSD)、脂肪酸酸化異常症(FAOD)またはミトコンドリアミオパチーである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記患者が、2型真性糖尿病を有する患者である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記SGLT−2阻害剤が、エンパグリフロジンである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記SGLT−2阻害剤が、器官、とりわけ筋肉におけるエネルギー産生を増加させるために前記患者が摂取した特定の食事に加えて前記患者へ投与される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
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