ヒト患者における多発性硬化症を治療するための方法が本明細書に提供され、この方法は、抗CD20抗体の有効量を投与することを含む。本明細書に記載される抗CD20抗体の何れかを投与することができる。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
一態様において、多発性硬化症を有するヒト患者における機能的能力を改善する方法が本明細書に提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで患者は治療後に機能的能力の改善を有し;ここで抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、機能的能力は、治療後に患者において改善される。幾つかの実施態様において、患者は治療後に12週間確認された障害の改善を有する。幾つかの実施態様において、患者は治療後に24週間確認された障害の改善を有する。幾つかの実施態様において、患者における機能的能力の改善は、少なくとも12週間持続される。幾つかの実施態様において、患者における機能的能力の改善は、少なくとも24週間持続される。幾つかの実施態様において、機能的能力の改善は、Timed 25−Foot Walk(T−25FW)試験またはEDSSスコアにより測定される。幾つかの実施態様において、機能的能力の改善は、Timed 25−Foot Walk(T−25FW)試験及びEDSSスコアにより測定される。
幾つかの実施態様において、患者は、ベースライン時にT1ガドリニウム染色病変を有する。幾つかの実施態様において、患者は、ベースライン時にT1ガドリニウム染色病変を有しない。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
幾つかの実施態様において、患者は、抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、改善された機能的能力を有する。
別の態様において、多発性硬化症を有するヒト患者において複合障害の進行を抑制する方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで該投与は確認された障害の進行事象の減少をもたらし、及び抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、投与は、12週間確認された複合障害の進行の減少をもたらす。幾つかの実施態様において、投与は、24週間確認された複合障害の進行の減少をもたらす。幾つかの実施態様において、確認された複合障害の進行は、総合障害度評価尺度(EDSS)スコア、Timed 25−Foot Walk(T25−FW)、または9−Hole Peg Test(9−HPT)により決定される。幾つかの実施態様において、確認された複合障害の進行は、総合障害度評価尺度(EDSS)スコア、Timed 25−Foot Walk(T25−FW)、及び9−Hole Peg Test(9−HPT)により決定される。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
幾つかの実施態様において、複合障害の進行は、抗CD20抗体の一または二、三、及び/または四の曝露後、患者において抑制される。幾つかの実施態様において、患者は、抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、12週間確認された障害の進行の発症の遅延またはリスクの減少を有する。幾つかの実施態様において、24週間確認された障害の進行の発症は、抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、患者において遅延される。幾つかの実施態様において、24週間確認された障害の進行のリスクは、抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、患者において減少される。幾つかの実施態様において、確認された障害の進行は、総合障害度評価尺度(Expanded Disability Status Scale)(EDSS)スコアにより決定される。
別の態様において、多発性硬化症を有するヒト患者において障害の進行を抑制する方法が本明細書に提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで該投与は確認された障害の進行事象の減少をもたらし、及び抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、投与は、12週間確認された障害の進行の減少をもたらす。幾つかの実施態様において、投与は、24週間確認された障害の進行の減少をもたらす。幾つかの実施態様において、確認された障害の進行は、総合障害度評価尺度(Expanded Disability Status Scale)(EDSS)スコアにより決定される。幾つかの実施態様において、確認された障害の進行は、EDSSの増加により決定される。
幾つかの実施態様において、確認された障害の進行は、Timed 25−foot walk(T25−FW)の変化により決定される。幾つかの実施態様において、確認された障害の進行は、MRI全T2病変体積の変化率により決定される。幾つかの実施態様において、確認された障害の進行は、MRI全脳体積の変化率により決定される。幾つかの実施態様において、確認された障害の進行は、Short Form−36(SF−36)身体的コンポーネントスコアの変化により決定される。
幾つかの実施態様において、患者は、ベースライン時にT1ガドリニウム染色病変を有する。幾つかの実施態様において、患者は、ベースライン時にT1ガドリニウム染色病変を有しない。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
幾つかの実施態様において、患者は、抗CD20抗体の一または二、三、または四の曝露後、抑制された複合障害の進行を有する。
別の態様において、多発性硬化症を有するヒト患者において、確認された障害の進行の発症を遅延させるかまたは確認された障害の進行のリスクを減少させる方法が本明細書に提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、投与は、12週間確認された障害の進行の発症の遅延またはリスクの減少をもたらす。幾つかの実施態様において、投与は、24週間確認された障害の進行の発症の遅延またはリスクの減少をもたらす。
幾つかの実施態様において、患者は、ベースライン時にT1ガドリニウム染色病変を有する。幾つかの実施態様において、患者は、ベースライン時にT1ガドリニウム染色病変を有しない。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
幾つかの実施態様において、患者は、抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、確認された障害の進行の発症の遅延または確認された障害の進行のリスクの減少を有する。
多発性硬化症を有するヒト患者においてT2病変体積を減少させる方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、患者は、ベースライン時にT1ガドリニウム染色病変を有する。ある実施態様において、患者は、ベースライン時にT1ガドリニウム染色病変を有しない。
別の態様において、多発性硬化症を有するヒト患者において脳体積の減少を遅延させるかまたは予防する方法が本明細書に提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで患者において脳体積の減少は遅延されるかまたは予防され;及び抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、脳体積喪失を経験した患者における脳体積の更なる減少が遅延または予防される。
多発性硬化症を有するヒト患者において脳萎縮を減少させる方法も提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで脳萎縮は遅延されるかまたは予防され、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、脳萎縮を経験した患者における更なる脳萎縮が遅延または予防される。
多発性硬化症を有するヒト患者を治療する方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで治療は、少なくとも12週間疾患活動性の認められない状態(NEDA)をもたらし、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、治療は少なくとも24週間疾患活動性の認められない状態(NEDA)をもたらす。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
幾つかの実施態様において、治療は、抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、少なくとも12週間NEDAをもたらす。
多発性硬化症を有するヒト患者を治療する方法も本明細書に提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで治療は、24、48、または96週間の治療の後に病変のない状態を達成する患者をもたらし、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、治療は48週間の治療の後に病変のない状態を達成する患者をもたらす。ある実施態様において、治療は24週間の治療の後に病変のない状態を達成する患者をもたらす。ある実施態様において、治療は48週間の治療の後に病変のない状態を達成する患者をもたらす。ある実施態様において、治療は96週間の治療の後に病変のない状態を達成する患者をもたらす。ある実施態様において、治療はガドリニウム染色病変の無い患者をもたらす。ある実施態様において、治療はT2病変の無い患者をもたらす。
多発性硬化症の再発性形態を有するヒト患者を治療する方法が本明細書に提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで治療は、
a)96週で無再発である患者;
b)96週で確認された障害の進行事象を有しない患者;
c)96週でT1ガドリニウム増強病変を有しない患者;
d)96週で新規及び/または拡大T2病変を有しない患者;のうちの一以上をもたらし、
ここで抗CD20抗体は、1)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、及び2)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
多発性硬化症の再発性形態を有するヒト患者を治療する方法が本明細書に提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで治療は、96週で確認された障害の進行事象を有しない患者をもたらし、ここで抗CD20抗体は、1)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、及び2)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、治療は、
a)96週で無再発である患者;
b)96週でT1ガドリニウム増強病変を有しない患者;
c)96週で新規及び/または拡大T2病変を有しない患者;のうちの一以上をもたらす。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
幾つかの実施態様において、治療は、抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、96週で確認された障害の進行事象を有しない患者をもたらす。ある実施態様において、治療は、
a)96週で無再発である患者;
b)96週でT1ガドリニウム増強病変を有しない患者;並びに/または
c)抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、96週で新規及び/または拡大T2病変を有しない患者;のうちの一以上を更にもたらす。
多発性硬化症の再発性形態を有するヒト患者を治療する方法が本明細書に提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで治療は、
a)無再発である患者;
b)確認された障害の進行事象を有しない患者;
c)T1ガドリニウム増強病変を有しない患者;
d)新規及び/または拡大T2病変を有しない患者;のうちの一以上をもたらし、
ここで抗CD20抗体は、1)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、及び2)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含み、ここで治療は、抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、a)〜d)のうちの何れか一以上をもたらす。
別の態様において、高活動性多発性硬化症を有するヒト患者を治療する方法が本明細書に提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、高活動性多発性硬化症を有する患者は、多発性硬化症のための他の治療法に対する不十分な応答者である。幾つかの実施態様において、高活動性多発性硬化症を有する患者は、多発性硬化症のための他の治療法により以前に治療されていない。幾つかの実施態様において、多発性硬化症のための他の治療法は、インターフェロンまたは酢酸グラチラマーである。幾つかの実施態様において、抗20抗体の投与は、(1)患者の脳内の病変数の減少;(2)年換算再発率の減少;(3)障害の進行の減少;及び(4)機能的能力の改善のうちの一以上において有効である。幾つかの実施態様において、方法は、患者に抗CD20抗体を投与する前に、MRIスキャンを実行し、患者が高活動性多発性硬化症を有するかどうかを決定することを更に含む。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
幾つかの実施態様において、高活動性多発性硬化症を有する患者は、(1)患者の脳内の病変数の減少;(2)年換算再発率の減少;(3)障害の進行の減少;並びに/または(4)抗CD20抗体の一、二、三、及び/もしくは四の曝露後、機能的能力の改善を有する。
別の態様において、初期多発性硬化症を有するヒト患者を治療する方法が本明細書に提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、方法は、患者に抗CD20抗体を投与する前に、初期多発性硬化症を有する患者を診断することを更に含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体を投与する前に、患者は多発性硬化症を有すると診断されているが、少なくとも2年間治療を受けていない。ある実施態様において、初期多発性硬化症は、患者における多発性硬化症の第一の臨床提示である。ある実施態様において、多発性硬化症の第一の臨床提示は、最初の脱髄性事象(FCDE)(臨床的に単離された症候群(CIS)としても知られる)、すなわち、神経症状の最初のエピソードであり、これは少なくとも24時間続き、中枢神経系における炎症または脱髄によって引き起こされる。ある実施態様において、FDCEは、視神経、脳幹、皮質下白質、または脊髄に影響を及ぼす。ある実施態様において、初期多発性硬化症は、臨床的に明らかな多発性硬化症(CDMS)の診断を指し、ここで患者は、FCDEに続いて第二の臨床的発病を経験する。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
別の態様において、多発性硬化症を有するヒト患者を治療する方法が本明細書に提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで治療は患者において、疾患活動性の認められない状態(NEDA)をもたらし、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、NEDAは、プロトコルに定義される再発無し、CDP事象無し、新規または拡大T2病巣無し、及びGd−増強T1病変無しとして定義される。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
幾つかの実施態様において、治療は、抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、NEDAをもたらす。
ある実施態様において、多発性硬化症の再発性形態を有するヒト患者に対する抗CD20抗体による治療または投与は、以下:
a)インターフェロンβ−1a(例えば、REBIF(登録商標))による治療を受けている患者(複数可)と比較して、経時的な(例えば、少なくとも約1年、1.5年、または2年の期間にわたる)年換算再発率の約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
b)インターフェロンβ−1a(例えば、REBIF(登録商標))による治療を受けている患者(複数可)と比較して、少なくとも12週間の確認された障害の進行のリスクの約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
c)インターフェロンβ−1a(例えば、REBIF(登録商標))による治療を受けている患者(複数可)と比較して、少なくとも24週間の確認された障害の進行のリスクの約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
d)インターフェロンβ−1a(例えば、REBIF(登録商標))による治療を受けている患者(複数可)と比較して、T1ガドリニウム病変の総数の約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
e)インターフェロンβ−1a(例えば、REBIF(登録商標))による治療を受けている患者(複数可)と比較して、24週目、48週目、及び/または96週目での、T1ガドリニウム病変の平均数の約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
f)インターフェロンβ−1a(例えば、REBIF(登録商標))による治療を受けている患者(複数可)と比較して、新規及び/または拡大T2高強度病変の数の約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、または85%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
g)インターフェロンβ−1a(例えば、REBIF(登録商標))による治療を受けている患者(複数可)と比較して、24週目、48週目、及び/または96週目での、新規及び/または拡大T2高強度病変の数の平均数の約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
h)治療を受けていない患者(複数可)と比較して全脳体積喪失の速度の約10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15,5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、または20%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
i)インターフェロンβ−1a(例えば、REBIF(登録商標))による治療を受けている患者(複数可)と比較して、少なくとも12週間持続された、確認された障害の改善の約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、または65%の改善の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
j)インターフェロンβ−1a(例えば、REBIF(登録商標))による治療を受けている患者と比較して、新規T1低強度病変の数の約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、または75%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
k)NEDA(疾患活動性の認められない状態)に到達する可能性の約55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%,70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、または85%の増加の何れか、のうちの一以上をもたらし、
ここで、NEDAは、インターフェロンβ−1a(例えば、REBIF(登録商標))による治療を受けている患者と比較して、プロトコルに定義される再発無し、CDP事象無し、新規または拡大T2病巣無し、及びGd−増強T1病変無しとして定義され、これらの値の間の任意の範囲を含む。
ある実施態様において、治療は、インターフェロンβ−1a(例えば、REBIF(登録商標)による治療を受けている患者と比較して、脳萎縮の約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、または25%の減少の何れかを、これらの値の間の任意の範囲を含み、追加的または代替的にもたらす。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
幾つかの実施態様において、治療は、抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、a)からk)のうちの一以上をもたらす。
ある実施態様において、一次性進行型多発性硬化症を有する患者に対する抗CD20抗体による治療または投与は、以下:
a)治療を受けていない患者(複数可)と比較して、少なくとも12週間の確認された障害の進行のリスクの約15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
b)治療を受けていない患者(複数可)と比較して、少なくとも24週間の確認された障害の進行のリスクの約15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
c)治療を受けていない患者(複数可)と比較して、Timed 25−Foot Walkにより測定される場合、歩行時間の増大速度の約15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、または35%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
d)治療を受けていない患者(複数可)と比較して、T2病変体積の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);
e)約20週目、24週目、28週目、32週目、36週目、40週目、44週目、48週目、52週目、56週目、60週目、64週目、68週目、72週目、76週目目、80週目、84週目、88週目、92週目、96週目、100週目、104週目、108週目、112週目、116週目及び120週目の何れかにおいて、高強度T2病変体積のベースラインからの約1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.4%、3.5%、4%、4.5%または5%の減少の何れか;及び
f)治療を受けていない患者(複数可)と比較して全脳体積喪失の速度の約12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15,5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、または20%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む);のうちの一以上をもたらす。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
幾つかの実施態様において、治療は、抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、a)からf)のうちの一以上をもたらす。
ある実施態様において、一次性進行型多発性硬化症を有する患者における、少なくとも12週間の確認された障害の進行のリスクを減少させる方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体の投与は、治療を受けていない患者(複数可)と比較して、患者における少なくとも12週間の確認された障害の進行のリスクの約15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む)をもたらし、ここで抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、一次性進行型多発性硬化症を有する患者における、少なくとも24週間の確認された障害の進行のリスクを減少させる方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体の投与は、治療を受けていない患者(複数可)と比較して、患者における少なくとも24週間の確認された障害の進行のリスクの約15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む)をもたらし、ここで抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、一次性進行型多発性硬化症を有する患者における、Timed 25−Foot Walkにより測定される、歩行時間の増大速度を減少させる方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体の投与は、治療を受けていない患者(複数可)と比較して、患者における歩行時間の増大速度の約15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、または35%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む)をもたらし、ここで抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、一次性進行型多発性硬化症を有する患者における、T2病変体積を減少させる方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体の投与は、治療を受けていない患者(複数可)と比較して、患者におけるT2病変体積の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む)をもたらし、ここで抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、一次性進行型多発性硬化症を有する患者における、高強度T2病変体積を減少させる方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体の投与は、治療を受けていない患者(複数可)と比較して、患者における約20週目、24週目、28週目、32週目、36週目、40週目、44週目、48週目、52週目、56週目、60週目、64週目、68週目、72週目、76週目目、80週目、84週目、88週目、92週目、96週目、100週目、104週目、108週目、112週目、116週目及び120週目の何れかにおいて、高強度T2病変体積のベースラインからの約1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.4%、3.5%、4%、4.5%または5%の減少の何れかをもたらし、ここで抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、一次性進行型多発性硬化症を有する患者における、全脳体積喪失の速度を減少させる方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体の投与は、治療を受けていない患者(複数可)と比較して、患者における全脳体積喪失の速度の約12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、または20%の減少の何れか(これらの値の間の任意の範囲を含む)をもたらし、ここで抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
ある実施態様において、a)少なくとも12週間の確認された障害の進行のリスク、b)少なくとも24週間の確認された障害の進行のリスク、c)Timed 25−Foot Walkにより測定される、歩行時間の増大速度、d)T2病変体積、e)高強度T2病変体積、及び/またはf)全脳体積喪失の速度は、抗CD20抗体の一、二、三、及び/または四の曝露後、減少される。ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
方法の何れかのある実施態様において、患者は、治療中、抗原に対する体液性応答を開始する能力を維持する。ある実施態様において、抗原は、流行性耳下腺炎抗原、風疹抗原、水痘抗原、肺炎連鎖球菌抗原、破傷風トキソイド抗原、肺炎球菌抗原、またはインフルエンザ抗原である。
ある実施態様において、患者は、抗CD20抗体の注入前に前投与される。ある実施態様において、患者は、抗CD20抗体の各注入のおよそ30分前に、メチルプレドニゾロン(または均等物)を前投与される。ある実施態様において、患者は、抗CD20抗体の各注入のおよそ30分前に、100mgのIVメチルプレドニゾロン(または均等物)を前投与される。ある実施態様において、患者は、抗CD20抗体の各注入のおよそ30〜60分前に、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)を追加的(または代替的に)前投与される。ある実施態様において、患者は、解熱剤(例えば、アセトアミノフェン/パラセタモール)を追加的に(または代替的に)前投与される。
上記及び本明細書に記述される方法の幾つかの実施態様において、抗CD20抗体が第一医薬である、第二医薬が、最初の曝露または後の曝露とともに投与される。幾つかの実施態様において、第二医薬は、インターフェロン、酢酸グラチラマー、細胞傷害剤、化学療法剤、ミトキサントロン、メトトレキサート、シクロホスファミド、クロラムブシル、アザチオプリン、ガンマグロブリン、Campath、抗CD4、クラドリビン、副腎皮質ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロスポリン、スタチンクラスのコレステロール低下薬、エストラジオール、テストステロン、ホルモン補充薬、TNF阻害剤、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、レボチロキシン、シクロスポリンA、ソマトスタチンアナログ、サイトカインまたはサイトカイン受容体アンタゴニスト、代謝拮抗剤、免疫抑制剤、インテグリンアンタゴニストまたは抗体、LFA−l抗体、エファリズマブ、アルファ4インテグリン抗体、ナタリズマブ、及び他のB細胞表面マーカー抗体からなる群から選択される。
上記及び本明細書に記載される方法の幾つかの実施態様において、多発性硬化症は、多発性硬化症の再発性形態である。幾つかの実施態様において、多発性硬化症の再発性形態は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である。幾つかの実施態様において、多発性硬化症の再発性形態は、再発の重なりを伴う二次性進行型多発性硬化症(rSPMS)である。幾つかの実施態様において、多発性硬化症は、進行型多発性硬化症である。幾つかの実施態様において、多発性硬化症は、一次性進行型多発性硬化症(PPMS)である。
上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、患者は、多発性硬化症の再発性形態(例えば、RRMSまたはrSPMS)を有することに基づく治療のために選択される。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、治療は、多発性硬化症の再発性形態(例えば、RRMSまたはrSPMS)を有する患者に基づいている。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、患者は、治療前に多発性硬化症の再発性形態(例えば、RRMSまたはrSPMS)と診断されている。
上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、患者は、多発性硬化症の進行性形態(例えば、PPMS)を有することに基づく治療のために選択される。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、治療は、多発性硬化症の進行性形態(例えば、PPMS)を有する患者に基づいている。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、患者は、治療前に多発性硬化症の進行性形態(例えば、PPMS)と診断されている。
上記及び本明細書に記載される方法の幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体の曝露、続いて一以上の追加の抗CD20抗体の曝露を提供するために患者に投与され、ここで各曝露は約600mgの抗体であり、各曝露は抗CD20抗体の一または二回の用量として患者に提供され、各曝露間の間隔は約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、「約20〜24週間」は、20週間から24週間の間の時点を指す。幾つかの実施態様において、「約20〜24週間」は、24週目の1週間または7日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、「約5〜6ヶ月」は、5ヶ月から6ヶ月の間の時点を指す。
幾つかの実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びb)配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号15または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、抗CD20抗体は、最初の抗CD20抗体曝露に続いて第二の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第一及び第二の曝露は各々、約600mgの抗体であり、及び第一の曝露と第二の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、抗CD20抗体は、第三の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第三の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第二の曝露と第三の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、抗CD20抗体は、第四の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで第四の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第三の曝露と第四の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。
上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第一の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第一用量及び第二用量は、静脈内に投与される。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第一用量及び第二用量は各々、約1.2mg/mLの濃度で250mLの抗CD20抗体を含む。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第一用量及び第二用量は各々、30mL/時の速度で注入される。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第一用量及び第二用量の注入速度は、180mL/時の最大速度まで30mL/時の増分で増加させることができる。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第一用量及び第二用量は各々、およそ2.5時間にわたって与えられる。
幾つかの実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、約600mgの単一用量を含む。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は、静脈内に投与される。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は各々、約1.2mg/mLの濃度で500mLの抗CD20抗体を含む。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露は各々、40mL/時の速度で注入される。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第二、第三、及び/または第四の曝露の注入速度は、200mL/時の最大速度まで40mL/時の増分で増加させることができる。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第一用量及び第二用量は各々、およそ3.5時間にわたって与えられる。
幾つかの実施態様において、最初の曝露、並びに第二、第三、及び/または第四の追加の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は、約2週間または約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第一用量及び第二用量は、静脈内に投与される。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第一用量及び第二用量は各々、約1.2mg/mLの濃度で250mLの抗CD20抗体を含む。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第一用量及び第二用量は各々、30mL/時の速度で注入される。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第一用量及び第二用量の注入速度は、180mL/時の最大速度まで30mL/時の増分で増加させることができる。上記実施態様のうちの何れかに従う(またはそれに適用される)ある実施態様において、第一用量及び第二用量は各々、およそ2.5時間にわたって与えられる。
ある実施態様において、患者は、少なくとも2、3、4、または4超の抗CD20抗体曝露を受ける。
幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、第四の曝露後、一以上の追加の抗CD20抗体曝露を提供するために患者に投与され、ここで一以上の追加の曝露は、約600mgの抗体であり、及び第四の曝露と追加の曝露との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、「約20〜24週間」は、20週間から24週間の間の時点を指す。幾つかの実施態様において、「約20〜24週間」は、24週目の1週間または7日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、「約5〜6ヶ月」は、5ヶ月から6ヶ月の間の時点を指す。幾つかの実施態様において、第四の曝露に続く追加の曝露の各々の間の間隔は、20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、一以上の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、一以上の曝露は、第一用量及び第二用量の抗CD20抗体を含み、ここで各用量は約300mgであり、第一用量と第二用量は約14日間(例えば、13日間または15日間)隔てられている。
上記及び本明細書に記載される方法の幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、配列番号14または配列番号26または配列番号15または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、オクレリズマブである。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、薬学的に許容可能な組成物中に存在する。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、30mg/mLの抗体、20mMの酢酸ナトリウム、106mMのトレハロース、0.02%のポリソルベート20、pH5.3を含む製剤である。幾つかの実施態様において、製剤中の抗体は、300mg/バイアルで約2〜8℃で保存される。幾つかの実施態様において、抗体は、注入による投与のためにIVバッグ中に生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)中に希釈される。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、その抗原結合断片である。
上記及び本明細書に記載される方法の幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は静脈内に投与される。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、各抗体曝露のために静脈内に投与される。上記及び本明細書に記載される方法の幾つかの実施態様において、抗体は皮下に投与される。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、各抗体曝露のために皮下に投与される。
幾つかの実施態様において、上述の方法の何れかに従って、患者における多発性硬化症の治療に使用するために組成物が提供され、この組成物は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗CD20抗体を含む。
幾つかの実施態様において、上述の方法の何れかに従って、患者における多発性硬化症の治療のための医薬の製造における使用のために抗CD20抗体が提供され、この抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
上記及び/または本明細書に記載される方法の何れかのある実施態様において、抗CD20抗体の投与後の低下または減少または改善は、ベースラインレベル、未治療患者(複数可)におけるレベル、及び/または患者(複数可)におけるレベル、例えば、異なる治療(例えば、インターフェロンβ−1aまたはREBIF(登録商標)など)を受けている患者群の平均値(mean)、平均値(average)、または中央値レベルに対して比較することができる。
別の態様において、製造品が本明細書に提供され、この製造品は、(a)抗CD20抗体(例えば、オクレリズマブ)を含む容器;及び(b)上記及び本明細書に記載される方法の何れかに記載の患者において、多発性硬化症を治療するための説明書を含む添付文書を含む。
本明細書に記載される様々な実施態様の特性のうち1つ、幾つか、または全ては、本発明の他の実施態様を形成するために組み合わされてもよいことは理解されるべきである。
I.定義
「B細胞」は、骨髄内で成熟するリンパ球であり、ナイーブB細胞、メモリーB細胞、またはエフェクターB細胞(プラズマ細胞)を含む。本明細書におけるB細胞は正常なまたは非悪性のB細胞でありうる。
本明細書における「B細胞表面マーカー」または「B細胞表面抗原」は、それに結合する抗体により標的とされうるB細胞の表面上に発現される抗原である。例示的なB細胞表面マーカーには、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD40、CD53、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CDw78、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85、及びCD86白血球表面マーカー(説明については、The Leukocyte Antigen Facts Book,2nd Edition.1997,ed.Barclay et al.Academic Press,Harcourt Brace & Co.,New Yorkを参照)が含まれる。他のB細胞表面マーカーには、RP105、FcRH2、B細胞CR2、CCR6、P2X5、HLA−DOB、CXCR5、FCER2、BR3、Btig、NAG14、SLGC16270、FcRH1、IRTA2、ATWD578、FcRH3、IRTA1、FcRH6、BCMA、及び239287が含まれる。本明細書において特に興味深いB細胞表面マーカーは、哺乳動物の他の非B細胞組織と比較してB細胞上に優先的に発現され、前駆B細胞及び成熟B細胞の双方に発現されうる。本明細書において好ましいB細胞表面マーカーはCD20である。
「CD20」抗原、または「CD20」は、末梢血またはリンパ系器官の90%以上のB細胞の表面で見出される約35kDaの非グルコシル化リンタンパク質である。CD20は正常B細胞及び悪性B細胞の双方に存在するが、幹細胞では発現されない。文献でのCD20の他の名称には、「Bリンパ球限局性抗原」及び「Bp35」がある。CD20抗原は、例えば、Clark et al.Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)82:1766(1985)に記載されている。
ここでの「抗体アンタゴニスト」とは、B細胞上のB細胞表面マーカーに結合する際に哺乳動物のB細胞を破壊または枯渇させ、及び/または、例えばB細胞により誘導される体液性応答を低減または防止することによって、一または複数のB細胞機能を妨害する抗体である。好ましくは、抗体アンタゴニストは、それによって治療される哺乳動物のB細胞を枯渇する(すなわち、循環中のB細胞レベルを下げる)ことができる。そのような枯渇は、抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)及び/または補体依存性細胞障害(CDC)、B細胞増殖の阻害及び/またはB細胞死の誘導(例えばアポトーシスを介する)等の多様な機能を介して達成されうる。
「抗体依存性細胞介在性細胞傷害活性」及び「ADCC」は、Fcレセプター(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が標的細胞上の結合抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性反応を意味する。ADCCを媒介する一次細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現する一方、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血性細胞でのFcRの発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991)の464頁の表3に要約されている。対象の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されているようなインビトロADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。代替的にまたは追加的に、対象の分子のADCC活性を、例えば、Clynes et al.PNAS(USA)95:652−656(1998)に開示されたもののような動物モデルでインビボで評価されうる。
「ヒトエフェクター細胞」とは、一または複数のFcRsを発現し、エフェクター機能を実行する白血球のことである。ある実施態様では、その細胞は少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例として、末梢血液単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞及び好中球が含まれるが、PBMCとNK細胞が好ましい。
「Fcレセプター」または「FcR」なる用語は、抗体のFc領域に結合するレセプターを記述するために使用される。幾つかの実施態様では、FcRは天然配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(γレセプター)に結合し、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスのレセプターを含むものであり、これらのレセプターの対立遺伝子変異体及び選択的スプライシング型を含む。FcγRIIレセプターは、FcγRIIA(「活性化レセプター」)及びFcγRIIB(「阻害レセプター」)を含み、それらは、主としてその細胞質ドメインにおいて異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化レセプターFcγRIIAは、その細胞質ドメインに、免疫レセプターチロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を有する。レセプターFcγRIIBは、その細胞質ドメインに、免疫レセプターチロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を有する。(Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234(1997)を参照)。FcRsは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25−34(1994);及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)に総説される。他のFcRは、将来同定されるべきものを含み、本明細書にて用語「FcR」により網羅される。またこの用語は、胎児への母性IgGsの移動に関与する、新生児レセプターのFcRnを含む(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))。
「補体依存性細胞傷害」もしくは「CDC」は、補体の存在下で標的を溶解する分子の能力を意味する。補体活性化経路は補体系(C1q)の第1成分が、同族抗原と複合化した分子(例えば抗体)に結合することにより開始される。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを、例えば、Gazzano−Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されるように実施することができる。
「増殖阻害」抗体は、抗体が結合する抗原を発現している細胞の増殖を阻害または低減するものである。例えば、抗体はインビトロ及び/またはインビボでのB細胞の増殖を阻害または低減しうる。
「アポトーシスを誘導する」抗体とは、標準的なアポトーシスアッセイにより測定される例えばB細胞などのプログラム細胞死、例えば、アネキシンVの結合、DNA断片化、細胞収縮、小胞体の肥大、細胞断片化、及び/または膜小嚢の形成(アポトーシス体と呼称)を誘導するものである。
ここでの「抗体」なる用語は最も広義に使用され、特にモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及びそれらが所望の生物活性を示す限り抗体断片を包含する。
「抗体断片」は、好ましくはその抗原結合領域を含む、インタクトな抗体の一部を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。
本明細書での目的に関して、「インタクトな抗体」は重鎖及び軽鎖可変ドメイン並びにFc領域を含むものである。
「天然抗体」は、通常は、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は一つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合しており、ジスルフィド結合の数は、異なった免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変化する。また各重鎖と軽鎖は、規則的に離間した鎖内ジスルフィド架橋を有している。各重鎖は、多くの定常ドメインが続く可変ドメイン(VH)を一端に有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を、他端に定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第一定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖可変ドメイン間の界面を形成すると考えられている。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体の中で配列が広範囲に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。それは、軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方の高頻度可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ四つのFRを含み、大部分がβシート立体配置をとり、三つの高頻度可変領域により繋がっており、この三つの高頻度可変領域はβシート構造と繋がり、場合によってはβシート構造の一部を形成している、ループを形成する。各鎖の高頻度可変領域は、FRによって近接して保持され、他の鎖の高頻度可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)を参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接には関連していないが、様々なエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)における抗体の関与を示す。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有するF(ab’)2断片を生じ、尚、抗原と交差結合することができる。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。各可変ドメインの3つの高頻度可変領域が相互に作用して、VH−VL二量体表面に抗原結合部位を定めるのはこの配置においてである。集合的に、6つの高頻度可変領域が抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に対して特異的な3つの高頻度可変領域のみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
Fab断片はまた軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常領域(CH1)を有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの一または複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に数個の残基が付加されている点でFab断片とは異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基が少なくとも一つの遊離チオール基を有しているFab’に対するここでの命名である。F(ab’)2抗体断片は本来、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学結合もまた知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に区別される型の一つを割り当てることができる。
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体には異なるクラスが割り当てられる。インタクトな抗体には5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、更にこれらの幾つかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2に分けることができる。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配位はよく知られている。
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。ある実施態様では、Fvポリペプチドは、VH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それによりscFvが抗原結合に対して望ましい構造を形成するのが可能になる。scFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113, Rosenburg and Moore eds.,Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)のPluckthunを参照のこと。
「ダイアボディ」なる用語は、二つの抗原結合部位を持つ小さい抗体断片を意味し、その断片は同一のポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)が結合してなる。非常に短いために同一鎖上で二つのドメインの対形成が不可能なリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、二つの抗原結合部位を作り出す。ダイアボディは、例えば、欧州特許出願公開第404097号;国際公開第93/11161号;及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)により詳細に記載されている。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指す、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、一般に少量で存在しうるモノクローナル抗体の生産中に生じうる可能な変異体を除いて同一であり、及び/または同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物に対して、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の免疫グロブリンによって汚染されていない点で有利である。「モノクローナル」との修飾詞は、実質的に均一な抗体集団から得られているという抗体の特徴を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないことを意味するものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler et al.,Nature,256:495(1975)により記載されたハイブリドーマ法によって作製することができ、あるいは例えば組換えDNA法によって作製することができる(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)。また「モノクローナル抗体」は、例えばClackson et al.,Nature,352:624−628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
本明細書においてモノクローナル抗体は、特に、重鎖及び/または軽鎖の一部が特定の種由来のまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応配列に一致するかまたは類似するが、鎖(複数可)の残りは、別の種由来のまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、並びにそれらが所望の生物学的活性を示す限り、そのような抗体の断片における対応配列に一致するかまたは類似する、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含む(米国特許第4,816,567号;Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984))。本明細書において対象とするキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、アカゲザル、またはカニクイザルなどの旧世界サル)由来の可変ドメイン抗原結合配列と、ヒト定常領域配列とを含む、「霊長類化」抗体が含まれる(米国特許第5,693,780号)。
非ヒト(例えばマウス)の抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。大部分において、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギまたは所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)からの高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。例として、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、もしくはドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性を更に洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFRが、上述のFR置換を除いて、ヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも一で、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。また、ヒト化抗体は、場合によっては免疫グロブリン定常領域、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含む。更なる詳細については、Jones et al.,Nature 321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323−329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照のこと。
本明細書で使用する用語「高頻度可変領域」は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を意味する。高頻度可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)、及び重鎖可変ドメインの31−35(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))、並びに/または「超可変ループ」由来の残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)及び重鎖可変ドメインの残基26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3);Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987))を含む。「フレームワーク」または「FR」残基はここで定義される高頻度可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
「ネイキッド抗体」とは、細胞傷害性部分または放射標識等の異種性分子にコンジュゲートされていない(ここで定義される)抗体である。
純粋にここでの目的のために、また別段の明記がなければ、「ヒト化2H7」は、ヒトCD20に結合するヒト化抗体、またはその抗原結合断片を意味し、ここで該抗体は、インビボで霊長類のB細胞を枯渇させるのに効果的であり、該抗体は、そのH鎖可変領域(VH)に抗ヒトCD20抗体由来の配列番号:12(図1B)の少なくともCDR H3配列と、実質的にヒト重鎖サブグループIII(VHIII)のヒトコンセンサスフレームワーク(FR)残基とを含むものである。幾つかの実施態様において、この抗体は、配列番号10のH鎖CDR H1配列及び配列番号11のCDR H2配列を更に含み、幾つかの実施態様において、配列番号4のL鎖CDR L1配列、配列番号5のL鎖CDR L2配列、配列番号6のL鎖CDR L3配列及び実質的にヒト軽鎖κサブグループI(VκI)のヒトコンセンサスフレームワーク(FR)残基を更に含み、ここでVH領域は、ヒトIgG鎖定常領域に結合されていてもよく、該領域は、例えばIgG1またはIgG3でありうる。幾つかの実施態様において、このような抗体は、配列番号8のVH配列(図1Bに示されているv16)を含み、場合によっては配列番号2のVL配列(図1Aに示されているv16)を含んでいてもよく、これはH鎖中にD56A及びN100Aの、及びL鎖中にS92Aのアミノ酸置換を有しうる(v96)。幾つかの実施態様において、抗体は、それぞれ図2及び3に示されるように、配列番号13及び14の軽鎖及び重鎖アミノ酸配列を含むインタクト抗体である。幾つかの実施態様において、抗体は、それぞれ図2及び4に示されるように、配列番号13及び15の軽鎖及び重鎖アミノ酸配列を含む2H7.v31である。ここでの抗体は、ADCC及び/またはCDC活性を改善する少なくとも一つのアミノ酸置換をFc領域に更に含んでよく、例えばアミノ酸置換が、S298A/E333A/K334Aであるものであり、幾つかの実施態様において、配列番号15の重鎖アミノ酸配列を有する2H7.v31である(図4に示す)。これらの抗体の何れも、例えば置換K322Aを少なくとも含むCDC活性を低減させる少なくとも一つのアミノ酸置換をFc領域に更に含みうる。米国特許第6,528,624B1号(Idusogie et al.)を参照のこと。
本明細書において「オクレリズマブ」(CAS登録番号637334−45−3)なる用語は、CD20抗原に対して産生され、(a)配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖、及び(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、遺伝子操作されたヒト化モノクローナル抗体を意味し、CD20に結合する能力を保持しているその断片を含む。オクレリズマブはジェネンテックから入手可能である。
「単離された」抗体は、同定されその自然環境の成分から分離され及び/または回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、その抗体の診断または治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様または非タンパク質様溶質が含まれうる。幾つかの実施態様では、抗体は、(1)ローリー法で測定して95重量%を越えるまで、幾つかの実施態様では99重量%を越えるまで、(2)スピニングカップシークエネーターの使用により、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに充分なほど、または(3)クーマシーブルーまたは幾つかの実施態様では銀染色を用いた非還元または還元条件下でのSDS−PAGEにより均一性まで、精製される。単離された抗体には、抗体の自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一つの精製工程により調製される。
ここでの「被験者」または「患者」は、ヒト被験者または患者である。一般に、被験者または患者は多発性硬化症の治療に好適である。ここでの目的では、このような適格な被験者または患者は、多発性硬化症の一または複数の兆候、症状または他の指標を経験しており、経験した、または経験しそうである者;例えば新たに診断されたか(「新規発症」MS)、新たに再発または増悪と診断されたか、過去に診断され寛解状態にある等、多発性硬化症と診断された者;及び/または多発性硬化症を発症するリスクにある者である。多発性硬化症に罹っているか罹るリスクがある者は、場合によっては、血清、脳脊髄液(CSF)及び/またはMS病変中のCD20陽性B細胞のレベルの増加についてスクリーニングされ、及び/または自己抗体を検出するアッセイを使用してスクリーニングされ、定性的に、また好ましくは定量的に評価される者として同定されてもよい。多発性硬化症に関連したそのような例示的な自己抗体は、抗ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、抗抗ガングリオシド及び/または抗ニューロフィラメント抗体を含む。そのような自己抗体は被験者の血清、脳脊髄液(CSF)及び/またはMS病変で検出されうる。ここでの「上昇した」抗体またはB細胞レベルとは、MSではない個体におけるレベルを有意に越えるそのような自己抗体またはB細胞のレベルを意味する。
ここで使用される場合、「治療」または「治療する」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチである。この発明の目的では、有益なまたは所望の結果は、限定するものではないが、次のものの一または複数を含む:疾患から生じる一または複数の症状を減少させ、疾患の程度を減少させ、疾患を安定化させ(例えば、疾患の悪化を防止または遅延させ)、疾患の進行を遅延または緩慢にさせ、疾患状態を寛解させ、疾患を治療するために必要とされる一または複数の他の医薬の用量を減少させ、及び/または生活の質を増大させる。
ここで使用される場合、多発性硬化症の進行を「遅延させる」または「ゆっくりにする」とは、疾患の発達を予防し、延期させ、妨げ、ゆっくりにし、遅らせ、安定化させ、及び/または延ばすことを意味する。この遅延は、疾患の病歴及び/または治療されている個体に応じて、様々な長さの時間でありうる。
ここで使用される場合、「治療開始の際」は、抗CD20抗体のような多発性硬化症薬剤への最初の曝露の時間またはその前の時間を意味する。幾つかの実施態様では、「治療開始の際」は、抗CD20抗体のような多発性硬化症薬剤の一年、9ヶ月、6ヶ月、3ヶ月、2ヶ月、または1ヶ月前の何れかについてである。幾つかの実施態様では、「治療開始の際」は、抗CD20抗体のような多発性硬化症薬剤への最初の曝露と同時の直前である。
本明細書において使用される場合、「に基づく」は、(1)ここに記載された患者の特徴を評価し、決定し、または測定し、(好ましくは治療を受けるのに適した患者を選択し)、(2)ここに記載された治療を与薬することを含む。
MSの「症状」は、被験者によって経験され、MSを示している構造、機能、または感覚における任意の病的現象または正常からの逸脱である。
「多発性硬化症」は、ミエリンの進行性破壊によって特徴付けられる中枢神経系の慢性でしばしば身体障害性の疾患を意味する。MSの4種の国際的に認められた型、つまり一次性進行型多発性硬化症(PPMS)、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)、及び進行性再発性多発性硬化症(PRMS)がある。
本明細書において使用される「進行型多発性硬化症」は、一次性進行型多発性硬化症(PPMS)、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)、及び進行型再発性多発性硬化症(PRMS)を意味する。幾つかの実施態様において、進行型多発性硬化症は、臨床的再発に起因させることができない6ヶ月以上の間持続する神経性機能の実証された不可逆的な喪失によって特徴付けられる。
「一次性進行型多発性硬化症」または「PPMS」は、再発と寛解が重なることが希なその発症からの疾患の段階的な進行によって特徴付けられる。疾患活動性の安定状態の期間がある場合があり、良い日または週と悪い日または週がある場合がある。PPMSは、発症が典型的には30代後半か40代であり、男性も女性と同様にそれを発症しやすく、最初の疾患活動はしばしば脊髄中においてであり、脳ではない点でRRMS及びSPMSとは異なる。PPMS疾患活性は、脳内で観察(または検出)することができる。PPMSは、MRIスキャンで炎症性(ガドリニウム増強)病変を示す場合が最も少ないMSのサブタイプである。疾患の一次性進行型は多発性硬化症の全ての人々の10から15%が罹患している。PPMSは、Polman et al.Ann Neurol 69:292−392(2010)における基準に従って定義されうる。ここで治療されるPPMSの患者は、通常はPPMSの高可能性または確定診断の者である。
「再発寛解型多発性硬化症」または「RRMS」は、その間に新しい症状が現れ得、古いものが再び現れまたは悪化する再発(増悪としてもまた知られている)によって特徴付けられる。再発には、寛解の期間が続き、その間に、人は再発中に獲得した欠陥から完全にまたは部分的に回復する。再発は何日か、何週間かまたは何ヶ月か続き得、回復はゆっくりで、徐々にまたは殆ど瞬間的でありうる。MSを呈する人々の大部分は最初はRRMSと診断される。これは、典型的には、人々が20代か30代のときであるが、更に早いまたは遅い診断も知られている。男性の2倍多い女性がMSのこのサブタイプを呈する。再発中、ミエリン、つまり中枢神経系(CNS)の白質領域中の神経線維(ニューロン)の回りの保護遮蔽鞘が、体の自身の免疫系による炎症応答で損傷を受けうる。これは、CNSのどの領域が損傷を受けているかに応じてかなり変動する広範な神経性症状を引き起こす。再発の直後に、炎症反応が治まり、(オリゴデンドロサイトと呼ばれる)CNS中のグリア細胞の特別なタイプが再ミエリン化(軸索の回りのミエリン鞘が修復されうるプロセス)を支援する。寛解の原因となりうるのはこの再ミエリン化である。RRMSの患者のおよそ50%が疾患の発症から10年以内にSPMSに転換する。30年後、この数字は90%まで上昇する。どの時点においても、該疾患の再発寛解型はMSの全ての人々のおよそ55%を占める。
「二次性進行型多発性硬化症」または「SPMS」は、重なりあった再発とマイナーな寛解とプラトーを伴うか伴わない臨床的神経性損傷の着実な進行によって特徴付けられる。SPMSを発症する人々は、2年から40年以上程度続く場合があるRRMSの期間を過去に経験しているであろう。そこで生じる任意の再発と寛解の重なりは、時間の経過に従って徐々に収まる傾向がある。該疾患の二次性進行段階の発症から、障害が始まり、RRMS中の場合よりもより速く進行するが、進行はなお個人によってはかなり遅い場合がある。10年後、RRMSの人々の50%がSPMSを発症した。25から30年までに、その数字は90%まで上昇した。SPMSはRRMSにおけるよりも低レベルの炎症病変形成を伴う傾向にあるが、疾患の全負荷は進行し続ける。どの時点においても、SPMSは多発性硬化症の全ての人々のおよそ30%を占める。
「進行型再発性多発性硬化症」は「PRMS」と言い、再発と寛解が重なった臨床的神経性損傷の着実な進行によって特徴付けられる。再発の直後に有意な回復があるが、再発の間に症状の徐々の悪化がある。PRMSは多発性硬化症の全ての人々のおよそ5%が罹患している。神経内科医にはPRMSがPPMSの異型であると信じている者がいる。「有効量」なる表現は、多発性硬化症を寛解させまたは治療するのに効果的である抗体(または他の薬剤)の量を意味する。そのような有効量は、一般に、MSの徴候、症状または他の指標における改善、例えば再発率の低減、身体障害の防止、脳MRI病変の数及び/または体積の減少、時間を限った25フィート歩行の改善、疾患無増悪期間を延長等の疾患進行の緩慢化または遅延化(例えば総合障害度評価尺度、EDSSを使用)を生じる。
「抗体曝露」とは、約1〜20日の期間にわたって投与される一または複数用量のここでの抗体への接触または曝露を意味する。該用量は、この曝露期間にわたって一回でまたは決まった時間または不規則な時間に投与されうる。最初及びその後(例えば2回目または3回目)の抗体曝露は、ここで詳述されるように互いに時間を隔てたものである。
本明細書で使用される場合、抗体曝露の間の「間隔」は、先の抗体曝露と後の抗体曝露の間の期間を指す。本開示の抗体曝露は、一または二の用量を含むことができる。抗体曝露が一用量を含む場合には、二つの抗体曝露の間の間隔は、一の抗体曝露(例えば、1日目)の用量と次の抗体曝露の用量との間の経過時間の量を意味する。一の抗体曝露が二用量を含み、次の抗体曝露が一用量を含む場合、二つの抗体曝露の間の間隔は、第一の抗体曝露(例えば、1日目)の二用量のうちの最初と次の抗体曝露の用量との間の経過時間の量を意味する。二回の抗体曝露の各々が二用量を含む場合、抗体曝露の間の間隔は、第一の抗体曝露(例えば、1日目)の二用量のうちの最初と第二の抗体曝露の二用量のうちの最初の用量との間の経過時間の量を意味する。例えば、本開示の方法が、二用量を有する第一の抗体曝露及び二用量を有する第二の抗体曝露を含み、かつ第二の抗体曝露が第一の抗体曝露後約24週間または6ヶ月まで与えられない場合、第一の抗体曝露の第一用量及び第二の抗体曝露の第一用量との間の間隔は約24週間または6ヶ月である。ある実施態様において、第二の抗体曝露は、第一の抗体曝露後約20〜24週間または約5〜6ヶ月まで与えられない。幾つかの実施態様において、第一の抗体曝露の第一用量と第二の抗体曝露の第一用量との間の間隔は、約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、「約20〜24週間」は、20週間から24週間の間の時点を指す。幾つかの実施態様において、「約20〜24週間」は、24週目の1週間または7日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、「約5〜6ヶ月」は、5ヶ月から6ヶ月の間の時点を指す。
補助療法に対してここで用いられる「免疫抑制剤」という用語は、ここで治療される哺乳動物の免疫系を抑制しまたはマスクするように作用する物質を意味する。これは、サイトカイン産生を抑制し、自己抗原発現をダウンレギュレートまたは抑制する、あるいはMHC抗原をマスクする物質を含む。そのような薬剤の例は、2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン類(米国特許第4,665,077号を参照);非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs);ガンシクロビル、タクロリムス、糖質コルチコステロイド類、例えばコルチゾールまたはアルドステロン、抗炎症剤、例えばシクロオキシゲナーゼ阻害剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、またはロイコトリエンレセプターアンタゴニスト;プリンアンタゴニスト、例えばアザチオプリンまたはミコフェノール酸モフェチル(MMF);アルキル化剤、例えばシクロホスファミド;ブロモクリプチン;ダナゾール;ダプソン;グルタルアルデヒド(米国特許第4,120,649号に記載されているように、MHC抗原をマスクする);MHC抗原及びMHC断片に対する抗イディオタイプ抗体;シクロスポリンA;ステロイド類、例えばコルチコステロイドまたは糖質コルチコステロイドまたは糖質コルチコイドアナログ、例えばプレドニゾン、メチルプレドニゾン、及びデキサメタゾン;ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤、例えばメトトレキセート(経口または皮下);ヒドロキシクロロキン;スルファサラジン;レフルノミド;抗インターフェロン−α、−β、またはγ抗体を含むサイトカインまたはサイトカインレセプターアンタゴニスト、抗腫瘍壊死因子−α抗体(インフリキシマブまたはアダリムマブ);抗TNF−αイムノアドヘシン(エタネルセプト)、抗腫瘍壊死因子−β抗体、抗インターロイキン−2抗体及び抗IL−2レセプター抗体;抗CD11a及び抗CD18抗体を含む抗LFA−1抗体;抗L3T4抗体;異種抗リンパ球グロブリン;Pan−T抗体、好ましくは抗CD3または抗CD4/CD4a抗体;LFA−3結合ドメインを含む可溶型ペプチド(1990年7月26日に公開の国際公開第90/08187号);ストレプトキナーゼ;TGF−β;ストレプトドルナーゼ;宿主由来のRNAまたはDNA;FK506;RS−61443;デオキシスパガリン;ラパマイシイン;T細胞レセプター(Cohen et al.,米国特許第5,114,721号);T細胞レセプター断片(Offner et al.,Science,251:430−432(1991);国際公開第90/11294号;Janeway,Nature,341:482(1989));及び国際公開第91/01133号);及びT10B9などのT細胞レセプター抗体(欧州特許出願公開第340,109号)を含む。
本明細書で用いられる「細胞傷害剤」なる用語は、細胞の機能を阻害しまたは防ぎ、及び/または細胞の破壊をもたらす物質を意味する。この用語は、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、及びLuの放射性同位体)、化学療法剤、及び細菌、真菌、植物または動物起源の酵素活性毒素または小分子毒素などの毒素、またはそれらの断片を含むものである。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学物質である。化学療法剤の例は、チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミドのようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;ドュオカルマイシン(合成アナログ、KW−2189及びCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、クロロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソウレア;抗生物質、例えばエネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(例えばAgnew,Chem Intl.Ed.Engl.,33:183−186(1994)を参照);ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;ビスホスホナート、例えばクロドロネート;エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパクエネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マーセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCのようなマイトマイシン、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate);プリンアナログ、例えばフルダラビン(fludarabine)、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine);アンドロゲン、例えばカルステロン、ドロモスタノロンプロピオナート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー(replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);メイタンシノイド(maytansinoid)、例えばメイタンシン(maytansine)及びアンサミトシン(ansamitocin);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラクリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene,OR);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特にT−2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridine)A及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類、例えばTAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol−Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、パクリタキセルのABRAXANE(商標)クレモフォー無添加アルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg,Illinois)、及びTAXOTERE(登録商標)ドキセタキセル(Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France);クロランブシル;GEMZAR(登録商標)ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;プラチナアナログ、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン(novantrone);テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ;イバンドロナート(ibandronate);CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;及び上述したものの何れかの薬学的に許容可能な塩、酸または誘導体を含む。
またこの定義に含まれるものは、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように働く抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン(droloxifene)、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びFARESTONトレミフェンを含む抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM);例えば4(5)−イミダゾール類、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)メゲストール酢酸、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン(exemestane)、フォルメスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールなどの、副腎のエストロゲン産物を制御する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼインヒビター;及び抗アンドロゲン類、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えばPKC−α、Ralf及びH−Ras;ワクチン、例えば遺伝子療法ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1インヒビター;ABARELIX(登録商標)rmRH;及び上記のものの製薬的に許容可能な塩、酸または誘導体を含む。
「サイトカイン」なる用語は、一つの細胞集団から放出され、他の細胞に細胞間メディエータとして作用するタンパク質の一般用語である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン;IL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12、IL−15等のインターロイキン(IL)、腫瘍壊死因子、例えばTNF−αまたはTNF−β、及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子である。本明細書で使用される場合、サイトカインなる用語は天然源由来あるいは組換え細胞培養物由来のタンパク質及び天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物、例えば合成して産生された小分子実体及び薬学的に受容可能な誘導体及びその塩類を含む。
「ホルモン」なる用語は通常管を有する腺性器官によって分泌されるポリペプチドホルモンを意味する。ホルモンに含まれるものは、例えば、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH)のような糖タンパク質ホルモン;プロラクチン、胎盤ラクトゲン、マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;ミュラー阻害物質;及びトロンボポエチンである。ここで使用される場合、ホルモンなる用語は、天然源由来または組換え細胞培養由来のタンパク質及び天然配列ホルモンの生物学的に活性な均等物、例えば合成的に産生される小分子体及びその薬学的に許容可能な誘導体及び塩を含む。
「増殖因子」なる用語は増殖を促進するタンパク質を意味し、例えば、肝増殖因子;線維芽細胞増殖因子;血管内皮増殖因子;神経増殖因子、例えばNGF−β;血小板由来増殖因子;トランスフォーミング増殖因子(TGF)、例えばTGF−α及びTGF−β;インスリン様増殖因子−I及び−II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン、例えばインターフェロン−α、−β、及び−γ;及びコロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ−CSF(M−CSF)、顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)及び顆粒球−CSF(G−CSF)などがある。ここで使用される場合、増殖因子なる用語は、天然源由来あるいは組換え細胞培養物由来のタンパク質及び天然配列増殖因子の生物学的に活性な均等物、例えば合成して産生された小分子体及びその薬学的に許容可能な誘導体及び塩を含む。
「インテグリン」なる用語は、細胞の細胞外基質への結合と応答の両方をさせるレセプタータンパク質であり、創傷治癒、細胞分化、腫瘍細胞のホーミング及びアポトーシスなどの様々な細胞性機能に関与するものを表す。これらは細胞−細胞外基質及び細胞間相互作用に関与する細胞接着レセプターの大きなファミリーの一部である。機能的なインテグリンは、非共有的に結合しているα及びβと呼ばれる2つの膜貫通性糖タンパク質サブユニットからなる。βサブユニットにおけるように、αサブユニットは全て互いに幾らかの相同性がある。レセプターは常に一つのα鎖と一つのβ鎖を含む。例は、α6β1、α3β1、α7β1、LFA−1、α4インテグリン等である。本明細書において使用される場合、インテグリンなる用語は、天然源由来または組換え細胞培養物由来のタンパク質及び天然配列インテグリンの生物学的に活性な均等物、例えば合成して産生された小分子体及びその薬学的に許容可能な誘導体及び塩を含む。
本明細書における「インテグリンアンタゴニストまたは抗体」の例は、LFA−1抗体;Biogen Idec/Elan Pharmaceuticals,Inc.から入手可能なナタリズマブ(TYSABRI(登録商標))のようなα4インテグリン抗体;ジアザ環状フェニルアラニン誘導体(国際公開第2003/89410号);フェニルアラニン誘導体(国際公開第2003/70709号、国際公開第2002/28830号、国際公開第2002/16329号及び国際公開第2003/53926号);フェニルプロピオン酸誘導体(国際公開第2003/10135号);エナミン誘導体(国際公開第2001/79173号);プロパン酸誘導体(国際公開第2000/37444号);アルカン酸誘導体(国際公開第2000/32575号);置換フェニル誘導体(米国特許第6,677,339号及び同第6,348,463号);芳香族アミン誘導体(米国特許第6,369,229号);及びADAMディスインテグリンドメインポリペプチド(米国特許出願公開第2002/0042368号)、αβ3インテグリンに対する抗体(欧州特許出願公開第633945号);アザ架橋二環式アミノ酸誘導体(国際公開第2002/02556号)等を含む。
本明細書における目的に対して、「腫瘍壊死因子α(TNF−α)」とは、Pennica et al.,Nature,312:721(1984)またはAggarwal et al.,JBC,260:2345(1985)に記載のアミノ酸配列を含有するヒトTNFα分子を意味する。
本明細書中の「TNFα阻害剤」は、一般的にはTNFαへの結合とその活性を中和することを通じてTNFαの生物学的活性をある程度阻害する薬剤である。本明細書において考慮されるTNF阻害剤の例は、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))及びアダリムマブ(HUMIRA(商標))である。
「疾患修飾性抗リウマチ薬」または「DMARD」の例には、ヒドロキシクロロキノン、スルファサラジン、メトトレキセート、レフルノミド、エタネルセプト、インフリキシマブ(プラス経口及び皮下用メトトレキセート)、アザチオプリン、D−ペニシラミン、ゴールド(経口)、ゴールド(筋肉内)、ミノサイクリン、シクロスポリン、ブドウ球菌プロテインA免疫吸着で、その塩及び誘導体を含むものなどがある。
「非ステロイド性抗炎症薬」または「NSAID類」の例としては、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、スリンダク、トルメチンであって、その塩及び誘導体などを含む。
「副腎皮質ステロイド」は、天然に生じる副腎皮質ステロイドの効果を模倣するかあるいは増強するステロイドの一般的な化学構造を有する数種の合成または天然に生じる物質の何か一つを指す。合成副腎皮質ステロイドの例は、プレドニゾン、プレドニゾロン(メチルプレドニゾロンを含む)、デキサメタゾン、グルココルチコイド及びベタメタゾンを含む。
「添付文書」は、効能、用法、用量、投与、禁忌、パッケージ製品と併用される他の治療用製品、及び/またはそのような治療用製品の使用に関する警告を含む、治療用製品の商用パッケージに慣習的に含まれている説明書を指すために使用される。
「ラベル」はここではバイアルのような容器及び添付文書を含む薬学的製剤の商業的パッケージ、並びに他のタイプのパッケージングに常套的に含められる情報を指すためにここで使用される。
本明細書中の「およそ(約)」の値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体に対する変形を含む(記載する)。例えば、「約X」を言及する記述は、「X」の記述を含む。
本明細書及び添付の請求項に使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明らかでない限り、複数の指示対象を含む。本明細書に記載される本発明の態様及び変形は、態様及び変形「からなる」及び/または「本質的になる」を含む。
本明細書に記載される様々な実施態様の特性のうち1つ、幾つか、または全ては、本発明の他の実施態様を形成するために組み合わされてもよいことは理解されるべきである。本発明のこれら及び他の態様は、当業者には明らかになるであろう。
本明細書に引用される全ての参考文献は、特許出願及び刊行物を含み、その全体が参考により援用される。
II.治療の方法
ある実施態様において、多発性硬化症を有する患者における機能的能力を改善する方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで患者は、治療後に機能的能力の改善を有する。幾つかの実施態様において、該方法は、抗CD20抗体の1、2、3、4、または4以上の曝露後、患者の機能的能力を測定する(例えば、本明細書の別の場所に記載される方法を使用する、例えばEDSSスコア及び/またはTimed 25−Foot Walk(T25−FW)を測定する)ステップを更に含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、患者は治療後に少なくとも約12週間確認された障害の改善を有する。ある実施態様において、患者は治療後に少なくとも約24週間確認された障害の改善を有する。ある実施態様において、確認された障害の改善は、総合障害度評価尺度(Expanded Disability Status Scale)(EDSS)スコアにより決定される。ある実施態様において、患者のEDSSスコアは、少なくとも約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、または約1.0ポイント超(約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、または約1.5ポイントなど)減少する。
ある実施態様において、機能的能力の改善は、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、少なくとも約13週間、少なくとも約14週間、少なくとも約15週間、少なくとも約16週間、少なくとも約17週間、少なくとも約18週間、少なくとも約19週間、少なくとも約20週間、少なくとも約21週間、少なくとも約22週間、少なくとも約23週間(これらの値の間の任意の範囲を含む)、持続する。ある実施態様において、機能的能力の改善は、少なくとも約24週間、少なくとも約25週間、少なくとも約26週間、少なくとも約27週間、少なくとも約28週間、少なくとも約29週間、少なくとも約30週間、少なくとも約35週間、少なくとも約40週間、少なくとも約45週間、少なくとも約50週間、少なくとも約55週間、少なくとも約60週間、少なくとも約65週間、少なくとも約70週間、少なくとも約75週間、または約75週間超(これらの値の間の任意の範囲を含む)、持続する。
ある実施態様において、機能的能力の改善は、Timed 25−Foot Walk(T25−FW)試験により測定される。ある実施態様において、治療の開始後25フィート歩くのに要した時間は、治療開始の直前に25フィート歩くのに要した時間に対して、約5秒、約10秒、約30秒、約60秒、約90秒、約2分、約2.5分、約3分、約3.5分、約4分、約4.5分、約5分、約5.5分、約6分、約6.5分、約7分、約7.5分、約8分、約8.5分、約9分、約9.5分、または約10分減少する。
ある実施態様において、機能的活性の改善は、疾患活動性の認められない状態(NEDA)によって実証される。ある実施態様において、NEDAは、磁気共鳴画像における新規または拡大T2病巣またはT1ガドリニウム増強病変の欠如により実証される。ある実施態様において、NEDAは、再発の欠如によって実証される。ある実施態様において、NEDAは、進行の欠如によって実証される。ある実施態様において、NEDAは、EDSSの悪化の欠如によって実証される。ある実施態様において、NEDAは、プロトコルに定義される再発無し、CDP事象無し、新規または拡大T2病巣無し、及びガドリニウム−増強T1病変無しとして定義される。ある実施態様において、NEDAは、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、少なくとも約13週間、少なくとも約14週間、少なくとも約15週間、少なくとも約16週間、少なくとも約17週間、少なくとも約18週間、少なくとも約19週間、少なくとも約20週間、少なくとも約21週間、少なくとも約22週間、少なくとも約23週間(これらの値の間の任意の範囲を含む)、持続する。ある実施態様において、機能的能力の改善は、少なくとも約24週間、少なくとも約25週間、少なくとも約26週間、少なくとも約27週間、少なくとも約28週間、少なくとも約29週間、少なくとも約30週間、少なくとも約35週間、少なくとも約40週間、少なくとも約45週間、少なくとも約50週間、少なくとも約55週間、少なくとも約60週間、少なくとも約65週間、少なくとも約70週間、少なくとも約75週間、または約75週間超(これらの値の間の任意の範囲を含む)、持続する。
ある実施態様において、患者は、ベースライン時に(すなわち、治療を開始する前に)T1ガドリニウム染色病変を有する。ある実施態様において、患者は、ベースライン時に(すなわち、治療を開始する前に)T1ガドリニウム染色病変を有しない。
ある実施態様において、多発性硬化症を有するヒト患者において複合障害の進行を抑制する方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで該投与は確認された障害の進行事象の減少をもたらし、及び抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、投与は、12週間確認された複合障害の進行の減少をもたらす。ある実施態様において、投与は、24週間確認された複合障害の進行の減少をもたらす。
ある実施態様において、多発性硬化症を有するヒト患者において複合障害の進行の発症を遅延させる方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで該投与は確認された障害の進行事象の減少をもたらし、及び抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、投与は、12週間確認された複合障害の進行の減少をもたらす。ある実施態様において、投与は、24週間確認された複合障害の進行の減少をもたらす。
ある実施態様において、確認された複合障害の進行は、総合障害度評価尺度(Expanded Disability Status Scale)(EDSS)スコアにより決定される。ある実施態様において、確認された複合障害の進行は、EDSSの進行(すなわち、EDSSスコアの増加)として定義される。ある実施態様において、確認された複合障害の進行は、Timed 25−foot Walk(T25−FW)により決定される。ある実施態様において、確認された複合障害の進行は、T25−FWにおいて少なくとも20%として定義される。ある実施態様において、確認された複合障害の進行は、9−Hole Peg Test(9−HPT)により決定される。ある実施態様において、確認された複合障害の進行は、9−hole peg test(9−HPT)時間の少なくとも20%の増加として定義される。ある実施態様において、確認された複合障害の進行は、EDSS進行、Timed 25−Foot Walk、及び9−Hole Peg Testにより決定される。
ある実施態様において、多発性硬化症を有するヒト患者における障害の進行を抑制する方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで投与は、確認された障害の進行事象の減少をもたらす。ある実施態様において、確認された障害の進行事象の減少は、抗CD20抗体の1、2、3、4、または4超の曝露後観察される。ある実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、投与は、12週間確認された障害の進行の減少をもたらす。ある実施態様において、投与は、24週間確認された障害の進行の減少をもたらす。ある実施態様において、投与は、12週間確認された障害の進行のリスクの減少をもたらす。ある実施態様において、投与は、24週間確認された障害の進行のリスクの減少をもたらす。
ある実施態様において、患者は、ベースライン時に(すなわち、治療を開始する前に)T1ガドリニウム染色病変を有する。ある実施態様において、患者は、ベースライン時に(すなわち、治療を開始する前に)T1ガドリニウム染色病変を有しない。
ある実施態様において、多発性硬化症を有するヒト患者において確認された障害の進行の発症を遅延させる方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、確認された障害の進行は、総合障害度評価尺度(Expanded Disability Status Scale)(EDSS)スコアにより決定される。ある実施態様において、患者のEDSSスコアは、約5.5以下のベースラインEDSSスコアから、少なくとも約1.0ポイント増加する。ある実施態様において、患者のEDSSスコアは、5.5超のベースラインEDSSスコアから、約0.5ポイント増加する。ある実施態様において、EDSSの増加は、初期の神経学的悪化から少なくとも12週間確認される。
ある実施態様において、患者は、ベースライン時に(すなわち、治療を開始する前に)T1ガドリニウム染色病変を有する。ある実施態様において、患者は、ベースライン時に(すなわち、治療を開始する前に)T1ガドリニウム染色病変を有しない。
多発性硬化症を有するヒト患者においてT2病変体積を減少させる方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、患者は、ベースライン時にT1ガドリニウム染色病変を有する。ある実施態様において、患者は、ベースライン時にT1ガドリニウム染色病変を有しない。
ある実施態様において、多発性硬化症を有する患者において脳体積の減少を遅延させるかまたは予防する方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで患者において脳体積の減少は遅延されるかまたは予防され;及び抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、脳体積の減少は遅延される。ある実施態様において、脳体積の減少は、脳体積喪失を経験していない患者において遅延または予防される。ある実施態様において、脳体積喪失を経験した患者において、脳体積の更なる減少が遅延または予防される。
ある実施態様において、多発性硬化症を有する患者において脳萎縮を遅延させるかまたは予防する方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで患者において脳萎縮は遅延されるかまたは予防され;及び抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、脳萎縮は遅延される。ある実施態様において、脳萎縮は、脳萎縮を経験していない患者において遅延または予防される。ある実施態様において、脳萎縮を経験した患者において、更なる脳萎縮が遅延または予防される。
ある実施態様において、多発性硬化症を有するヒト患者を治療する方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで治療は、少なくとも12週間疾患活動性の認められない状態(NEDA)をもたらし、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、治療は少なくとも24週間疾患活動性の認められない状態(NEDA)をもたらす。
多発性硬化症を有するヒト患者を治療する方法であり、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで治療は、96週間の治療の後に病変のない状態を達成する患者をもたらし、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、方法。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、治療は48週間の治療の後に病変のない状態を達成する患者をもたらす。ある実施態様において、治療は24週間の治療の後に病変のない状態を達成する患者をもたらす。ある実施態様において、治療はガドリニウム染色病変の無い患者をもたらす。ある実施態様において、治療はT2病変の無い患者をもたらす。
ある実施態様において、多発性硬化症の再発性形態を有するヒト患者を治療する方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで治療は、a)96週で無再発である患者;b)96週で確認された障害の進行事象を有しない患者;c)96週でT1ガドリニウム増強病変を有しない患者;d)96週で新規及び/または拡大T2病変を有しない患者のうちの一以上をもたらし;ここで抗CD20抗体は、1)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、及び2)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、患者は、多発性硬化症のための他の治療法により以前に治療されていない(すなわち、「ナイーブ患者」)。ある実施態様において、ナイーブ患者は、治療を開始する前の2年間に少なくとも2回の再発を経験した。ある実施態様において、ナイーブ患者は、治療を開始する前の最終1年間に少なくとも1回の再発を経験した。
ある実施態様において、患者は、多発性硬化症のための他の治療法に対する不十分な応答者である。ある実施態様において、不十分な応答者である患者は、以前に少なくとも1年間、インターフェロンβ−1aまたは酢酸グラチラマーで治療されている。ある実施態様において、不十分な応答者である患者は、多発性硬化症のための別の治療法で治療されながら、少なくとも1回の再発を経験したか、または少なくとも1のベースラインガドリニウム増強病変を経験している。
ある実施態様において、高活動性多発性硬化症を有するヒト患者を治療する方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、高活動性多発性硬化症を有する患者は、多発性硬化症のための他の治療法により以前に治療されていない(すなわち、「ナイーブ患者」)。ある実施態様において、高活動性多発性硬化症を有するナイーブ患者は、無作為化前の最終1年間で少なくとも2回の再発、及び先のMRIと比較して、ベースライン来院時に、(a)少なくとも1のベースラインガドリニウム病変または(b)T2病変の増加(0〜5から6〜9の病変へまたは6〜9の病変から>9病変へ断定的に変化する)の何れかを経験している。
ある実施態様において、高活動性多発性硬化症を有する患者は、多発性硬化症のための他の治療法に対する不十分な応答者である。ある実施態様において、不十分な応答者である高活動性多発性硬化症を有する患者は、以前に少なくとも1年間、インターフェロンβ−1aまたは酢酸グラチラマーで治療されている。ある実施態様において、不十分な応答者である高活動性多発性硬化症を有する患者は、多発性硬化症のための別の治療法で治療されながら、少なくとも1回の再発を経験し、ベースラインで、(a)少なくとも9つのT2病変を有するかまたは(b)少なくとも1のガドリニウム病変を有するかの何れかである。
ある実施態様において、高活動性多発性硬化症を有する患者に対する抗CD20抗体の投与は、以下:(1)患者の脳内の病変数の減少;(2)年換算再発率の減少;(3)障害の進行の減少;及び(4)機能的能力の改善のうちの一以上において有効である。ある実施態様において、高活動性多発性硬化症を有する患者を治療する方法は、患者に抗CD20抗体を投与する前に、MRIスキャンを実行し、患者が高活動性多発性硬化症を有するかどうかを決定することを更に含む。
ある実施態様において、初期多発性硬化症を有するヒト患者を治療する方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、方法は、患者に抗CD20抗体を投与する前に、初期多発性硬化症を有する患者を診断することを更に含む。
ある実施態様において、多発性硬化症を有するヒト患者を治療する方法が提供され、この方法は、患者に抗CD20抗体の有効量を投与することを含み、ここで治療は患者において、疾患活動性の認められない状態をもたらし、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、患者は、多発性硬化症の再発性形態を有する。幾つかの実施態様において、MSの再発性形態(RMS)は、RRMS及び再発の重なりを伴うSPMS(一般に「再発性SPMS」とも言う)の両方から典型的に成る患者集団を指す。ある実施態様において、多発性硬化症の再発性形態は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である。ある実施態様において、多発性硬化症の再発性形態は、再発の重なりを伴う二次性進行型多発性硬化症(rSPMS)である。ある実施態様において、患者は18歳未満である。ある実施態様において、患者は18から55歳の間の年齢である。ある実施態様において、患者は55歳を超える年齢である。ある実施態様において、患者は、2010年に改訂されたマクドナルドの基準に従った多発性硬化症の診断を有する(Polman et al.(2011)“Diagnostic criteria for multiple sclerosis:2010 revisions to the McDonald criteria.”Ann Neurol 69,292−302)。追加的または代替的に、ある実施態様において、患者は、スクリーニング時に0から5.5の総合障害度評価尺度(Expanded Disability Status Scale)(EDSS、world−wide−web.neurostatus.orgを参照)スコアを有する。追加的または代替的に、ある実施態様において、患者は、前の2年以内に少なくとも2つの実証された臨床的発病または年内に生じる1つの臨床的発病を有していた。追加的または代替的に、ある実施態様において、患者は、多発性硬化症と一致する異常を伴う脳の実証されたMRIを有する。
ある実施態様において、多発性硬化症の再発性形態を有する患者は、一次性進行型多発性硬化症の診断を有しない。追加的または代替的に、ある実施態様において、患者は、任意のB細胞標的療法、全身性コルチコステロイド、及び/または免疫抑制剤による以前の治療を有していなかった。追加的または代替的に、ある実施態様において、患者は、一次もしくは二次免疫不全の既往、活動性感染、または再発性もしくは慢性感染の存在(例えば、B型もしくはC型肝炎、HIV、梅毒、結核)、または進行性多巣性白質脳症の既往を有しない。
ある実施態様において、患者は、進行型多発性硬化症を有する。ある実施態様において、進行型多発性硬化症は、一次性進行型多発性硬化症である。ある実施態様において、患者は18歳未満である。ある実施態様において、患者は18から55歳の間の年齢である。ある実施態様において、患者は55歳を超える年齢である。ある実施態様において、患者は、2005年に改訂されたマクドナルドの基準に従った一次性進行型多発性硬化症の診断を有する(Polman et al.(2011)“Diagnostic criteria for multiple sclerosis:2005 revisions to the McDonald criteria.”Ann Neurol 58,840−846)。追加的または代替的に、ある実施態様において、患者は、スクリーニング時に3から6.5点の総合障害度評価尺度(EDSS)スコアを有する。追加的または代替的に、ある実施態様において、患者は、機能システムスケール(FSS)のピラミッド形機能コンポーネントで少なくとも2.0のスコアを有する。追加的または代替的に、ある実施態様において、患者は、スクリーニング時に、脳脊髄液(CSF)検体中で上昇したIgGインデックス及び/または脳脊髄液(CSF)検体中で等電点電気泳動により検出された一以上のIgGオリゴクローナルバンドの文書化された履歴または存在を有する。追加的または代替的に、ある実施態様において、患者は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の既往を有しない。追加的または代替的に、ある実施態様において、患者は、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)の既往を有しない。追加的または代替的に、ある実施態様において、患者は、進行性再発型多発性硬化症(PRMS)の既往を有する。
ある実施態様において、患者は、B細胞標的療法(例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ、アバタセプト、ベリムマブ、またはオファツムマブ)による以前の治療を有していた。ある実施態様において、患者は、B細胞標的療法(例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ、アバタセプト、ベリムマブ、またはオファツムマブ)による以前の治療を有していなかった。
幾つかの実施態様において、「確認された障害の進行」または「CDP」は、96週間の間、ベースラインスコアが5.5以下である患者におけるベースラインEDSSスコアから少なくとも1.0ポイントの増加、またはベースラインスコアが5.5を超える患者における0.5ポイントの増加を指し、ここでEDSSの増加は、初期の神経学的悪化後、少なくとも12週で定期的にスケジュールされた来院で確認された。
幾つかの実施態様において、「確認された障害の改善」または「CDI」は、ベースラインEDSSスコアが5.5以下である患者において、ベースラインと比較して少なくとも1.0のEDSSスコアの減少、または5.5を超える患者における0.5ポイントの減少を指す。
幾つかの実施態様において、脳萎縮は、脳内の軸索消失、灰白質病変または白質病変内の組織喪失、病変、または病変の負荷量に関連する経路におけるウォラー変性のうちの一以上を指す。ある実施態様において、脳萎縮は、全脳体積の減少を指す。ある実施態様において、脳萎縮は、脳の構造体(限定されないが、大脳、小脳、視床、前頭側頭新皮質、脳幹、海馬、頭頂葉、及び/または視床下部を含む)のうちの一以上の体積の減少を指す。ある実施態様において、脳萎縮は、中心前回、上前頭回、視床及び/または被殻の皮質の菲薄化を指す。ある実施態様において、脳萎縮は、年ごとの少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%の脳体積の喪失を指す。脳萎縮に関する更なる詳細は、例えば、Riley et al.(2012)Expert Rev Neurother 12(3),323−333に詳述されている。
幾つかの実施態様において、患者または被験体は、高活動性多発性硬化症を有する。幾つかの実施態様において、ナイーブ患者の治療における「高活動性多発性硬化症」は、多発性硬化症のための他の治療法により以前に治療されておらず、無作為化前の最終1年間で少なくとも2回の再発、及び先のMRIと比較して、ベースライン来院時に、(a)少なくとも1のベースラインガドリニウム病変または(b)T2病変の増加(0〜5から6〜9の病変へまたは6〜9の病変から>9病変へ断定的に変化する)の何れかを経験している患者を指す。幾つかの実施態様において、「高活動性多発性硬化症」は、多発性硬化症のために他の治療法で以前に治療され、及び昨年少なくとも1回の再発を有し、ベースラインで(a)少なくとも9つのT2病変を有するかまたは(b)少なくとも1個のガドリニウム病変を有するかの何れかである患者における。
ある実施態様において、患者におけるベースラインレベルは、患者への抗CD20抗体の投与または抗CD20抗体を用いた治療の前、例えば、患者への抗CD20抗体の投与または抗CD20抗体を用いた治療の約2ヶ月、約1.5カ月、約1ヶ月、約30日、約25日、約21日、約14日、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日、約1日前のレベルを指す。
ある実施態様において、患者は、治療中、抗原に対する体液性免疫応答を開始する能力を維持する。ある実施態様において、抗原は、流行性耳下腺炎抗原、風疹抗原、水痘抗原、肺炎連鎖球菌抗原、破傷風トキソイド抗原、肺炎球菌抗原、またはインフルエンザ抗原である。
本明細書に記載される方法は、本明細書に記載の実施態様の任意の組み合わせを包含し得る。
III.用量
本明細書に記載された方法または製造品の何れかの幾つかの実施態様によれば、該方法または説明書は、有効量の抗CD20抗体を多発性硬化症患者に投与することを含み、約0.3から約4グラム(好ましくは約0.3から約1.5グラム、例えば約0.6グラムまたは約1.0グラム)の初期の抗体曝露と、続く約0.3から約4グラム(好ましくは約0.3から約1.5グラム、例えば約0.6グラムまたは約1.0グラム)の第二の抗体曝露をもたらし、該第二の抗体曝露が、初期の抗体曝露から約16から約60週までにはもたらされない。本発明の目的に対して、第二の抗体曝露は、最初の抗体曝露後の抗CD20抗体で患者を治療する次の機会であり、最初の曝露と第二の曝露との間に介在する抗CD20抗体治療または曝露はない。幾つかの実施態様では、初期の抗体曝露及び/または第二抗体曝露は、約0.3グラム、0.4グラム、0.5グラム、0.6グラム、0.7グラム、0.8グラム、0.9グラム、または1.0グラムの何れかである。
初期及び第二または続く抗体曝露間の間隔は、初期抗体曝露の第一用量から測定することができる。
幾つかの実施態様において、抗体曝露はおよそ24週または6ヶ月離れており、またはおよそ48週または12ヶ月離れている。幾つかの実施態様において、抗体曝露は、およそ約20〜24週間または約5〜6ヶ月である。幾つかの実施態様において、「約20〜24週間」は、20週間から24週間の間の時点を指す。幾つかの実施態様において、「約20〜24週間」は、24週目の1週間または7日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様において、「約5〜6ヶ月」は、5ヶ月から6ヶ月の間の時点を指す。
一実施態様において、第二抗体曝露は、最初の曝露から約20から約30週までもたらされず、場合によっては約0.3から約4グラム(好ましくは約0.3から約1.5グラム)の第三の抗体曝露が続き、第三の曝露は、最初の曝露から約46から60週(好ましくは約46から54週)までは投与されず、ついで、幾つかの実施態様では、最初の曝露から少なくとも約70〜75週までは更なる抗体曝露はもたらされない。幾つかの実施態様において、第三の抗体曝露は約0.3グラム、0.4グラム、0.5グラム、0.6グラム、0.7グラム、0.8グラム、0.9グラム、または1.0グラムの何れかである。
他の実施態様において、第二抗体曝露は、最初の曝露から約46から60週まではもたらされず、次の抗体曝露は、あるならば、先の抗体曝露から約46から60週まではもたらされない。
本明細書に記載された方法または製造品の何れかの幾つかの実施態様によれば、該方法または説明書は、有効量の抗CD20抗体を多発性硬化症患者に投与することを含み、約0.3から約4グラム(好ましくは約0.3から約1.5グラム、例えば約0.6グラムまたは約1.0グラム)の最初の抗体曝露と、続く約0.3から約4グラム(好ましくは約0.3から約1.5グラム、例えば約0.6グラムまたは約1.0グラム)の第二の抗体曝露と(該第二の抗体曝露は、最初の抗体曝露から約20から約30週までにはもたらされない)、続く約0.3から約4グラム(好ましくは約0.3から約1.5グラム、例えば約0.6グラムまたは約1.0グラム)の第三の抗体曝露と(該第三の抗体曝露は、最初の曝露から約46から約54週までにはもたらされない)、続く約0.3から約4グラム(好ましくは約0.3から約1.5グラム、例えば約0.6グラムまたは約1.0グラム)の第四の抗体曝露と(該第四の抗体曝露は、最初の曝露から約70〜約75週までにはもたらされない)をもたらす。
ある実施態様において、第四の抗体曝露の後に、約0.3から約4グラム(好ましくは約0.3から約1.5グラム、例えば約0.6グラムまたは約1.0グラム)の一以上の抗体曝露が続く。ある実施態様において、各後続の抗体曝露は、前の曝露から約20から約30週間である。
本発明の目的に対して、各後続の曝露は、最初の抗体曝露後の抗CD20抗体で患者を治療する次の機会であり、例えば、最初の曝露と第二の曝露、第二の曝露と第三の曝露、または第三の曝露と第四の曝露等の間に介在する抗CD20抗体治療または曝露はない。幾つかの実施態様において、最初、第二、第三、第四、及び/または後続の抗体曝露は、約0.3グラム、0.4グラム、0.5グラム、0.6グラム、0.7グラム、0.8グラム、0.9グラム、または1.0グラムの何れかである。
ここでの抗体曝露の何れか一または複数が、抗体の単一用量として、または抗体の別個の二用量として(つまり、第一及び第二用量を構成)患者にもたらされうる。各抗体曝露に用いられる特定数の用量(一または二)は、例えば治療されるMSのタイプ、用いられた抗体のタイプ、第二の医薬がまたどのタイプが用いられるかどうか、及び投与の方法と頻度に依存する。別個の二用量が投与される場合、第二の用量が、好ましくは、最初の用量が投与されたときから約3から17日、より好ましくは約6から16日、最も好ましくは約13から16日で投与される。幾つかの実施態様において、別個の二用量が投与される場合、第二用量は約14日間(例えば、13日間または15日間)である。幾つかの実施態様において、「約14日間」は、14日目の1日前または後の変形を指す。別個の二用量が投与される場合、抗体の第一及び第二用量は好ましくは約0.3から1.5グラム、より好ましくは約0.3から約1.0グラムである。幾つかの実施態様では、別個の二用量が投与される場合、抗体の第一及び第二用量は約0.3グラム、0.4グラム、0.5グラム、または0.6グラムの何れかである。幾つかの実施態様では、最初のオクレリズマブ曝露はオクレリズマブの第一用量及び第二用量を含み、ここで、オクレリズマブの第一用量及び第二用量は約0.3グラムである。幾つかの実施態様では、第二オクレリズマブ曝露は、オクレリズマブの単一用量を含み、ここで、オクレリズマブの単一用量は0.6グラムである。
一実施態様では、患者には抗体の少なくとも約3、少なくとも約4、または少なくとも約5の曝露、例えば約3から60曝露、より詳細には約3から40曝露、最も詳細には約3から20曝露がもたらされる。該方法の何れかの幾つかの実施態様では、該方法は約1から約3の続くオクレリズマブ曝露を提供することを更に含む。幾つかの実施態様では、そのような曝露は、およそ24週または6ヶ月、または48週または12ヶ月の各々の間隔で投与される。ある実施態様において、間隔は、約4週間、約3.5週間、約3週間、約2.5週間、約2週間、約1.5週間、約1週間、約6日間、約5日間、約4日間、約3日間、約2日間、または約1日間短縮される。ある実施態様において、1以上の間隔が、約4週間、約3.5週間、約3週間、約2.5週間、約2週間、約1.5週間、約1週間、約6日間、約5日間、約4日間、約3日間、約2日間、または約1日間短縮される。ある実施態様において、間隔は、約4週間、約3.5週間、約3週間、約2.5週間、約2週間、約1.5週間、約1週間、約6日間、約5日間、約4日間、約3日間、約2日間、または約1日間延長される。ある実施態様において、1以上の間隔が、約4週間、約3.5週間、約3週間、約2.5週間、約2週間、約1.5週間、約1週間、約6日間、約5日間、約4日間、約3日間、約2日間、または約1日間延長される。ある実施態様において、1以上の間隔が、約4週間、約3.5週間、約3週間、約2.5週間、約2週間、約1.5週間、約1週間、約6日間、約5日間、約4日間、約3日間、約2日間、または約1日間短縮され、または、約4週間、約3.5週間、約3週間、約2.5週間、約2週間、約1.5週間、約1週間、約6日間、約5日間、約4日間、約3日間、約2日間、または約1日間延長される。
一実施態様では、各抗体曝露は抗体の単一用量としてもたらされる。他の実施態様では、各抗体曝露は抗体の別個の二用量としてもたらされる。幾つかの実施態様において、幾つかの曝露は単一用量としてまたは別個の二用量としてもたらされる。
抗体はネイキッド抗体であり得、または放射性化合物等の細胞傷害剤のような他の分子とコンジュゲートされうる。幾つかの実施態様において、抗体は、リツキシマブ、ヒト化2H7(例えば、配列番号2及び8の可変ドメイン配列を含む)、または配列番号23及び24の可変ドメイン配列を含むヒト化2H7、またはhuMax−CD20(Genmab)である。幾つかの実施態様において、抗体は、オクレリズマブである(例えば、(a)配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖及び(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖である。
一実施態様では、患者は、多発性硬化症を治療するために免疫抑制剤のような薬剤で過去には決して治療されておらず、及び/またはB細胞表面マーカーに対する抗体で過去には決して治療されていない(例えばCD20抗体で過去には決して治療されていない)。
抗体は、非経口、局所、皮下、腹腔内、肺内、鼻内、及び/または病変内投与を含む任意の適切な手段によって投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与を含む。くも膜下腔内投与もまた考えられる(例えば、CD20抗体のくも膜下腔内送達に関する米国特許出願公開第2002/0009444号、Grillo−Lopez,Aを参照)。また、抗体は、例えば減少用量の抗体を用いて、パルス注入によって適切に投与されうる。幾つかの実施態様では、投薬は、静脈内、皮下的またはくも膜下腔内に投与される。幾つかの実施態様では、投薬は静脈内注入によって与えられる。
ある実施態様において、患者は、抗CD20抗体の注入前に前投与される。ある実施態様において、患者は、抗CD20抗体の各注入のおよそ30分前に、メチルプレドニゾロン(または均等物)を前投与される。ある実施態様において、患者は、抗CD20抗体の各注入のおよそ30分前に、100mgのIVメチルプレドニゾロン(または均等物)を前投与される。ある実施態様において、患者は、抗CD20抗体の各注入のおよそ30〜60分前に、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)を追加的(または代替的に)前投与される。ある実施態様において、患者は、解熱剤(例えば、アセトアミノフェン/パラセタモール)を追加的に(または代替的に)前投与される。
CD20抗体は多発性硬化症を治療するために患者に投与される唯一の薬剤でありうるが、場合によっては第二の医薬、例えば細胞傷害剤、化学療法剤、免疫抑制剤、サイトカイン、サイトカインアンタゴニストまたは抗体、増殖因子、ホルモン、インテグリン、インテグリンアンタゴニストまたは抗体(例えばLFA−1抗体、またはBiogen Idec/Elan Pharmaceuticals,Inc.から入手可能なナタリズマブ(TYSABRI(登録商標))などのアルファ4インテグリン抗体)を、B細胞表面マーカーに結合する抗体(例えばCD20抗体)と共に投与することができる。
併用療法の幾つかの実施態様において、抗体は、インターフェロンクラス薬剤、例えばIFN−β−1a(REBIF(登録商標)及びAVONEX(登録商標))またはIFN−β−1b(BETASERON(登録商標));酢酸グラチラマー(COPAXONE(登録商標))のようなオリゴペプチド;ミトキサントロン(NOVANTRONE(登録商標))、メトトレキセート、シクロホスファミド、クロラムブシル、アザチオプリンのような細胞傷害剤;静脈内免疫グロブリン(γグロブリン);リンパ球枯渇療法(例えばミトキサントロン、シクロホスファミド、アレムツズマブ(Campath(登録商標)LEMTRADA(商標))、抗CD4、クラドリビン、全身照射法、骨髄移植);全身コルチコステロイド治療を含む副腎皮質ステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、デキサメタゾン、またはグルコルチコイド);非リンパ球枯渇性免疫抑制療法(例えばミコフェノール酸モフェチル(MMF)またはシクロスポリン);「スタチン」クラスのコレステロール低下剤で、セリバスタチン(BAYCOL(登録商標))、フルバスタチン(LESCOL(登録商標))、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標))、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標))、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標))、シンバスタチン(ZOCOR(登録商標));エストラジオール;テストステロン(場合によっては高用量で;Stuve et al.Neurology 8:290−301(2002));ホルモン補充療法;MSの二次性または関連する症状(例えば、痙性、失調症、疼痛、疲労)の治療、TNFインヒビター;疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD);非ステロイド系抗炎症薬(NSAID);血漿分離交換法;レボチロキシン;シクロスポリンA;ソマタスタチン(somatastatin)アナログ;サイトカインまたはサイトカインレセプターアンタゴニスト;抗代謝産物;免疫抑制剤;リハビリ手術;放射性ヨード;甲状腺除去;他のB細胞表面アンタゴニスト/抗体などと組み合わせられる。
第二医薬は、CD20抗体の初期曝露及び/または後の曝露と共に投与され、このような併用投与は、別個の製剤または単一の薬学的製剤を使用する同時投与、及び何れかの順の連続投与で、好ましくは双方の(または全ての)活性剤が同時にその生物学的活性を奏する期間があるものを含む。
患者への抗体の投与とは別に、本出願は遺伝子療法により抗体の投与を考慮する。抗体をコードする核酸のそのような投与は、抗体の「有効量」を投与する表現に包含される。例えば、細胞内抗体を産生させるための遺伝子療法の使用に関しては1996年3月14日に公開の国際公開第96/07321号を参照のこと。
患者の細胞中に核酸(場合によってはベクターに含まれる)を導入するために二つの主要なアプローチ法がある;インビボとエキソビボである。インビボ送達では、患者の通常は核酸が必要とされる部位に直接的に核酸が注入される。エキソビボ治療では、患者の細胞が取り除かれ、核酸がこれらの単離細胞中に導入され、改変された細胞が患者に、直接的にまたは例えば患者に移植される多孔性膜内に封入されて、投与される(例えば米国特許第4,892,538号及び同第5,283,187号を参照)。生細胞中に核酸を導入するために利用できる様々な技術がある。該技術は、核酸がインビトロで培養された細胞中に移されるか、意図される宿主の細胞にインビボで移されるかに応じて、変わる。インビトロで哺乳動物細胞中に核酸を移送するのに適した技術は、リポソーム、電気穿孔法、マイクロインジェクション法、細胞融合、DEAE−デキストラン、リン酸カルシウム沈降法等の使用を含む。遺伝子のエキソビボ送達のために一般的に使用されるベクターは、レトロウイルスである。
幾つかの実施態様では、インビボ核酸移送技術は、ウイルスベクター(例えばアデノウイルス、単純ヘルペスIウイルス、またはアデノ随伴ウイルス)及び脂質ベースシステム(遺伝子の脂質媒介移送に有用な脂質は例えばDOTMA、DOPE及びDC−Cholである)を用いたトランスフェクションを含む。ある状況では、核酸源に標的細胞を標的とする薬剤、例えば細胞表面膜タンパク質または標的細胞に特異的な抗体、標的細胞上のレセプターのリガンド等を提供することが望ましい。リポソームが用いられる場合、エンドサイトーシスに関連する細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質をターゲティングのために、及び/または取り込みを容易にするために使用することができ、例えば特定の細胞タイプに対して向性のカプシドタンパク質またはその断片、サイクリング中に内部移行を受けるタンパク質のための抗体、及び細胞内局在化を標的とし細胞内半減期を亢進させるタンパク質である。レセプター媒介エンドサイトーシスの技術は、例えば、Wu et al.,J.Biol.Chem.262:4429−4432(1987);及びWagner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:3410−3414(1990)に記載されている。現在知られている遺伝子マーキング及び遺伝子療法プロトコルの概説については、Anderson et al.,Science 256:808−813(1992)を参照のこと。また国際公開第93/25673号及びそこに引用されている文献を参照のこと。
IV.抗体及びその産生
本発明の方法及び製造品は、B細胞表面マーカーに結合する抗体、特にCD20に結合するものを使用しまたは導入する。したがって、そのような抗体を産生する方法をここに記載する。
幾つかの実施態様において、本明細書に記載される方法において使用される抗CD20抗体は、宿主細胞において、配列番号14または13の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列をそれぞれ含むヒト化抗体をコードする核酸を発現し、宿主細胞中で発現されたヒト化抗体またはその抗原結合断片を回収することを含む方法によって生産される。幾つかの実施態様において、宿主細胞は、哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)、昆虫細胞、または植物細胞である。幾つかの実施態様において、宿主細胞は細菌細胞である。抗CD20を産生する方法は、例えば米国特許第7,799,900号に更に詳細に記載される。
抗体の生産またはそのスクリーニングに使用されるB細胞表面マーカーは、マーカーまたは例えば所望のエピトープを含むその部分の可溶型でありうる。あるいは、または加えて、その細胞表面にマーカーを発現する細胞を、抗体を産生し、またはスクリーニングするために使用することができる。抗体を産生させるのに有用なB細胞表面マーカーの他の形態は当業者には明らかであろう。
本発明に従って使用される抗体の生産のための例示的な技術について以下に説明する。
(i)ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連する抗原とアジュバントを複数回皮下(sc)または腹腔内(ip)注射することにより動物において産生される。免疫化される種において免疫原性であるタンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、または大豆トリプシンインヒビターに関連抗原を、二官能性または誘導体形成剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基による結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基による)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、またはR1N=C=NR(式中、R及びR1は異なったアルキル基である)により結合させることが有用でありうる。
動物を、例えばタンパク質またはコンジュゲート100μgまたは5μg(それぞれウサギまたはマウスの場合)を完全フロイントアジュバント3体積と併せ、この溶液を複数部位に皮内注射することによって、抗原、免疫原性コンジュゲート、または誘導体に対して免疫化する。1ヶ月後、動物を、完全フロイントアジュバントに入れた元の量の1/5ないし1/10のペプチドまたはコンジュゲートを用いて複数部位に皮下注射することにより、追加免疫する。7ないし14日後に動物を採血し、抗体価について血清を検定する。動物は、力価がプラトーに達するまで追加免疫する。幾つかの実施態様では、動物は、同じ抗原のコンジュゲートであるが、異なったタンパク質にコンジュゲートさせた、及び/または異なった架橋剤によってコンジュゲートさせたコンジュゲートで追加免疫する。コンジュゲートはまたタンパク融合体として組換え細胞培養中で作製することもできる。また、ミョウバンのような凝集化剤が、免疫反応の増強のために好適に使用される。
(ii)モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、実質的に均一な抗体の集団から得られる、すなわち、その集団を構成する個々の抗体が、モノクローナル抗体の生産中に生じ、一般には少量で存在する可能な変異体を除いて、同一であり、及び/または同じエピトープに結合する。よって、「モノクローナル」との修飾語は、離散したまたはポリクローナル抗体の混合物ではないという抗体の性質を示す。
例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature,256:495(1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製でき、または組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製することができる。
ハイブリドーマ法においては、マウスまたはその他の適当な宿主動物、例えばハムスターをここに記載されるようにして免疫し、免疫化に用いられるタンパク質と特異的に結合する抗体を生産するかまたは生産することのできるリンパ球を導き出す。別法として、リンパ球をインビトロで免疫することもできる。次に、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融剤を用いてミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−103(Academic Press,1986))。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親のミエローマ細胞の増殖または生存を阻害する一または複数の物質を好ましくは含む適当な培地に蒔き、増殖させる。例えば、親のミエローマ細胞が酵素ヒポキサンチングアニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含むであろう(HAT培地)。
幾つかの実施態様では、ミエローマ細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベルの生産を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性であるものである。これらの中でも、幾つかの実施態様では、ミエローマ株化細胞は、マウスミエローマ系、例えば、ソーク・インスティテュート・セル・ディストリビューション・センター、サンディエゴ、カリフォルニア、USAから入手し得るMOPC−21及びMPC−11マウス腫瘍、及びアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、ロックヴィル、メリーランド、USAから入手し得るSP−2またはX63−Ag8−653細胞から誘導されたものである。ヒトミエローマ及びマウス−ヒトヘテロミエローマ株化細胞もまたヒトモノクローナル抗体の産生のために開示されている(Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
ハイブリドーマ細胞が増殖している培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。幾つかの実施態様では、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性が、免疫沈降またはインビトロ結合検定、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着検定(ELISA)によって測定する。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al.,Anal.Biochem.,107:220(1980)のスキャッチャード分析によって決定されうる。
所望の特異性、親和性、及び/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が確定された後、該クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−103(Academic Press,1986))。この目的に対して好適な培地には、例えば、D−MEMまたはRPMI−1640培地が含まれる。加えて、該ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができる。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA−セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティクロマトグラフィーのような常套的な免疫グロブリン精製法により、培地、腹水、または血清から好適に分離される。
モノクローナル抗体をコードしているDNAは、常法を用いて(例えば、モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)直ぐに分離され配列決定される。幾つかの実施態様では、ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの供給源となる。ひとたび分離されたならば、DNAを発現ベクター中に入れ、ついでこれを、そうしないと免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはミエローマ細胞のような宿主細胞中にトランスフェクトし、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成を達成することができる。抗体をコードするDNAの細菌中での組換え発現に関する概説文献は、Skerra et al.,Curr.Opinion in Immunol.,5:256−262(1993)及びPluckthun,Immunol.Revs.,130:151−188(1992)を含む。
更なる実施態様では、抗体または抗体断片は、McCafferty et al.,Nature,348:552−554(1990)に記載された技術を使用して作製される抗体ファージライブラリーから単離することができる。Clackson et al.,Nature,352:624−628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)は、ファージライブラリーを使用するマウス及びヒト抗体のそれぞれの単離を記述している。次の刊行物は、鎖シャッフリングによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の産生(Marks et al.,Bio/Technology,10:779−783(1992))、並びに非常に大きいファージライブラリーを構築するための戦略として、組合せの感染及びインビボ組換え(Waterhouse et al.,Nuc.Acids.Res.,21:2265−2266(1993))を記述している。よって、これらの技術はモノクローナル抗体の単離のための伝統的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術の実行可能な代替法である。
DNAはまた、例えばヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード化配列を相同的マウス配列に代えて置換することにより(米国特許第4,816,567号;Morrison,et al.,Proc.Natl Acad.Sci.USA,81:6851(1984))、または免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部または一部を共有結合させることにより修飾することもできる。
典型的には、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の定常ドメインに置換され、または抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインに置換されて、抗原に対する特異性を有する一つの抗原結合部位と異なる抗原に対する特異性を有するもう一つの抗原結合部位を含むキメラ二価抗体がつくり出される。
(iii)ヒト化抗体
非ヒト抗体をヒト化する方法は従来からよく知られている。幾つかの実施態様では、ヒト化抗体には非ヒト由来の一または複数のアミノ酸残基が導入されている。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と呼ばれる。ヒト化は、本質的にはヒト抗体の該当する高頻度可変領域配列を置換することによりウィンターと共同研究者の方法(Jones et al.,Nature,321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323−327(1988);Verhoeyen et al.,Science,239:1534−1536(1988))を使用して実施することができる。したがって、このような「ヒト化」抗体は、完全なヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列によって置換されているキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は、典型的には幾らかの高頻度可変領域残基及び場合によっては幾らかのFR残基が齧歯類抗体の類似部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。
抗原性を低減するには、ヒト化抗体を生成する際に使用するヒトの軽重両方の可変ドメインの選択が非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」法では、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。次に齧歯動物のものと最も近いヒト配列を、ヒト化抗体のヒトフレームワーク領域(FR)として受け入れる(Sims et al.,J.Immunol.,151:2296(1993);Chothia et al.,J.Mol.Biol.,196:901(1987))。他の方法では、軽鎖または重鎖の可変領域の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークを幾つかの異なるヒト化抗体に使用できる(Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.,151:2623(1993))。
更に、抗体を、抗原に対する高親和性や他の好ましい生物学的性質を保持してヒト化することが重要である。この目標を達成するべく、方法の幾つかの実施態様では、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解し、表示するコンピュータプログラムが入手可能である。これら表示を調べることで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基のありそうな役割の分析、すなわち候補免疫グログリンの抗原との結合能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、例えば標的抗原に対する親和性が高まるといった、望ましい抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、高頻度可変領域残基は、直接的かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている。
幾つかの実施態様では、ヒト化抗CD20抗体はヒト化2H7抗体である。幾つかの実施態様において、ヒト化2H7抗体は、好ましくは図1A及び1Bに示されるCDR配列の一、二、三、四、五、または六を含む。幾つかの実施態様において、ヒト化2H7抗体は、好ましくは次のCDR配列の一、二、三、四、五、または六を含む:
CDR L1配列 RASSSVSYXH、ここでXはMまたはLであり(配列番号18)、例えばRASSSVSYMH(配列番号4)(図1A)、
CDR L2配列 APSNLAS(配列番号5)(図1A)、
CDR L3配列 QQWXFNPPT、ここでXはSまたはAであり(配列番号19)、例えばQQWSFNPPT(配列番号6)(図1A)、
CDR H1配列 GYTFTSYNMH(配列番号10)(図1B)、
CDR H2配列 AIYPGNGXTSYNQKFKG、ここでXはDまたはAであり(配列番号20)、例えばAIYPGNGDTSYNQKFKG(配列番号11)(図1B)、及び
CDR H3配列 VVYYSXXYWYFDV、ここで6位のXはN、A、Y、W、またはDであり、7位のXはSまたはRである(配列番号21)、例えばVVYYSNSYWYFDV(配列番号12)(図1B)。
上記のCDR配列は、一般にヒト可変軽鎖及び可変重鎖フレームワーク配列内、例えば実質的にヒト軽鎖κサブグループI(VL6I)のヒトコンセンサスFR残基、及び実質的にヒト重鎖サブグループIII(VHIII)のヒトコンセンサスFR残基に存在する。また、国際公開第2004/056312号(Lowman等)を参照のこと。
幾つかの実施態様では、可変重鎖領域は、ヒトIgG鎖定常領域に結合されてよく、ここで、該領域は天然配列及び可変定常領域を含む、例えばIgG1またはIgG3でありうる。
幾つかの実施態様では、このような抗体は、配列番号8の可変重鎖ドメイン配列(図1Bに示されるv16)を含み、場合によってはまた配列番号2の可変軽鎖ドメイン配列(図1Aに示されるv16)を含み、これは場合によっては位置56、100、及び/または100aに一または複数のアミノ酸置換、例えばD56A、N100AまたはN100Y、及び/またはS100aRを可変重鎖ドメインに、位置32及び/または92に一または複数のアミノ酸置換、例えばM32L及び/またはS92Aを可変軽鎖ドメインに含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号13または16の軽鎖アミノ酸配列、及び配列番号14、15、17、22、または25の重鎖アミノ酸配列を含む、インタクトな抗体である。幾つかの実施態様では、ヒト化2H7抗体はオクレリズマブ(Genentech)である。
一実施態様では、ヒト化2H7は、可変軽鎖配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASSSVSYMHWYQQKPGKAPKPLIYAPSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSFNPPTFGQGTKVEIKR(配列番号2);
及び可変重鎖配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGDTSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSNSYWYFDVWGQGTLVTVSS(配列番号8)を含むインタクトな抗体または抗体断片である。
幾つかの実施態様では、ヒト化2H7は、インタクトな抗体であり、幾つかの実施態様では、軽鎖アミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASSSVSYMHWYQQKPGKAPKPLIYAPSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSFNPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号13);
及び重鎖アミノ酸配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGDTSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSNSYWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号14)
または重鎖アミノ酸配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGDTSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSNSYWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号26)
または重鎖アミノ酸配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGDTSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSNSYWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIAATISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号15)
または重鎖アミノ酸配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGDTSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSNSYWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIAATISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号27)を含む。
幾つかの実施態様では、重鎖のC末端のアミノ酸Kは除去される。
幾つかの実施態様では、ヒト化2H7抗体は、2H7.v511可変軽鎖ドメイン配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASSSVSYLHWYQQKPGKAPKPLIYAPSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWAFNPPTFGQGTKVEIKR(配列番号23)
及び2H7.v511可変重鎖ドメイン配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGATSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSYRYWYFDVWGQGTLVTVSS(配列番号24)を含む。
幾つかの実施態様では、ヒト化2H7.v511抗体はインタクトな抗体であり、軽鎖アミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASSSVSYLHWYQQKPGKAPKPLIYAPSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWAFNPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号16)
及び配列番号17の重鎖アミノ酸配列または:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYNMHWVRQAPGKGLEWVGAIYPGNGATSYNQKFKGRFTISVDKSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARVVYYSYRYWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNAALPAPIAATISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号25)を含みうる。
幾つかの実施態様では、ここでの抗体は、例えば重鎖残基のEu番号付けを使用してアミノ酸置換が298、333、及び334位にあるもの、好ましくはS298A、E333A、及びK334Aのように、ADCC活性を改善する少なくとも一つのアミノ酸置換をFc領域に更に含みうる。米国特許第6,737,056B1号、Prestaも参照のこと。これらの抗体の何れも、Fc領域にFcRn結合または血清半減期を改善する少なくとも一つの置換、例えばN434Wのように重鎖434位に置換を含みうる。米国特許第6,737,056B1号、Prestaも参照のこと。これらの抗体の何れも、Fc領域にCDC活性を増大させる少なくとも一つのアミノ酸置換、好ましくはK326AまたはK326Wのように、例えば326位に少なくとも置換を含みうる。米国特許第6,528,624B1号(Idusogie et al.)も参照のこと。
幾つかの実施態様では、ヒト化2H7変異体は、配列番号2の可変軽鎖ドメインと配列番号8の可変重鎖ドメインを含むもので、(存在するならば)Fc領域に置換を伴うか伴わないもの、及び配列番号8に、改変N100A;またはD56A及びN100A;またはD56A、N100Y、及びS100aRを持つ可変重鎖と;配列番号2に改変M32L;またはS92A;またはM32L及びS92Aを持つ可変軽鎖ドメインを含むものである。2H7.v16の可変重鎖ドメイン中のM34は、抗体安定性の潜在的な源として同定されており、置換の他の潜在的な候補である。
本発明の幾つかの実施態様では、2H7.v16に基づく変異体の可変領域は、以下の表1に示されるアミノ酸置換の位置を除くv16のアミノ酸配列を含む。別段の記載がない限り、2H7変異体はv16のものと同じ軽鎖を有するであろう。
(iv)ヒト抗体
ヒト化のための別法として、ヒト抗体を生産することができる。例えば、内因性の免疫グロブリン産生がなくともヒト抗体の全レパートリーを免疫化時に産生することのできるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作製することが今は可能である。例えば、キメラ及び生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子の同型接合除去が内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖系列突然変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子列の転移は、抗原投与時にヒト抗体の産生をもたらすこととなる。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature,362:255−258(1993);Bruggermann et al.,Year in Immuno.,7:33(1993);及び米国特許第5,591,669号、同第5,589,369号、及び同第5,545,807号を参照のこと。
あるいは、ファージディスプレイ技術(McCafferty et al.,Nature 348:552−553(1990))を、非免疫化ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗体及び抗体断片を産出させるために使用することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、糸状バクテリオファージ、例えばM13またはfdの大きいまたは小さいコートタンパク質遺伝子の何れかにおいてインフレームでクローニングされる。糸状粒子がファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含んでいるので、抗体の機能特性に基づく選択により、その特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択がなされる。よって、ファージはB細胞の特性の幾つかを模倣する。ファージディスプレイは多様な形式で実施されうる;その概説については、例えばJohnson,Kevin S.and Chiswell,David J.,Current Opinion in Structural Biology 3:564−571(1993)を参照のこと。V−遺伝子セグメントの幾つかの供給源がファージディスプレイのために使用されうる。Clackson et al.,Nature,352:624−628(1991)は、免疫化されたマウス脾臓から得られたV遺伝子の小さいランダム組合せライブラリーからの抗オキサゾロン抗体の多様な配列を単離した。非免疫化ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを構築することができ、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体を、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1991)、またはGriffith et al.,EMBO J.12:725−734(1993)に記載の技術に本質的に従って、単離することができる。また米国特許第5,565,332号及び同第5,573,905号を参照のこと。
ヒト抗体はまたインビトロ活性化B細胞によって産生させることもできる(米国特許第5567610号及び同第5229275号を参照)。
(v)抗体断片
抗体断片を生産するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、インタクトな抗体のタンパク分解性消化を介して誘導されていた(例えば、Morimoto et al.,Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992)及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照のこと)。しかし、これらの断片は現在は組換え宿主細胞により直接生産することができる。例えば、抗体断片は上で検討した抗体ファージライブラリーから単離することができる。別法として、Fab’−SH断片は大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合させてF(ab’)2断片を形成することができる(Carter et al.,Bio/Technology 10:163−167(1992))。別のアプローチ法によれば、F(ab’)2断片を、組換え宿主細胞培養から直接分離することができる。抗体断片の生産のための他の技術は当業者には明らかであろう。他の実施態様では、選択抗体は単鎖Fv断片(scFV)である。国際公開第93/16185号、米国特許第5,571,894号、及び米国特許第5,587,458号を参照のこと。また、抗体断片は、例えば米国特許第5641870号に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。このような直鎖状抗体断片は単一特異性または二重特異性でありうる。
(vi)二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、B細胞表面マーカーの2つの異なるエピトープに結合しうる。他のこのような抗体はB細胞表面マーカーに結合し得、更に第二の異なったB細胞表面マーカーに結合しうる。あるいは、抗B細胞表面マーカー結合アームは、B細胞に細胞防御メカニズムを集中させるように、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)等のIgG(FcγR)に対するFcレセプター、またはT細胞レセプター分子(例えばCD2またはCD3)等の白血球上のトリガー分子に結合するアームと組み合わされうる。また、二重特異性抗体はB細胞に細胞傷害剤を局在化するためにも使用されうる。これらの抗体はB細胞表面マーカー結合アーム及び細胞傷害剤(例えば、サポリン、抗インターフェロン−a、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセートまたは放射性同位体ハプテン)と結合するアームを有する。二重特異性抗体は完全長抗体または抗体断片(例えばF(ab’)2二重特異性抗体)として調製することができる。
二重特異性抗体を作製する方法は当該分野において知られている。完全長二重特異性抗体の伝統的な産生は二つの免疫グロブリン重鎖軽鎖対の同時発現に基づき、ここで二つの鎖は異なる特異性を持っている(Millstein et al.,Nature,305:537−539(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生し、そのうちただ一つが正しい二重特異性構造を有する。通常、アフィニティクロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の手順が国際公開第93/08829号及びTraunecker et al.,EMBO J.,10:3655−3659(1991)に開示されている。
異なったアプローチ法によれば、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)が免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。幾つかの実施態様では、融合は、ヒンジ、CH2、及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとである。幾つかの実施態様では、軽鎖結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)が融合体の少なくとも一つに存在する。免疫グロブリン重鎖融合体をコードするDNAと、所望されるならば、免疫グロブリン軽鎖が別個の発現ベクターに挿入され、適切な宿主生物中に同時形質移入される。これは、構築に使用される3つのポリペプチド鎖の不等の比が最適な収率をもたらす実施態様において3つのポリペプチド断片の相互の割合の調節に多大な柔軟性をもたらす。しかしながら、等しい比の少なくとも二つのポリペプチド鎖の発現が高収率となるとき、または比が特に意義を持たない場合に二つまたは三つ全てのポリペプチド鎖のコード配列を一つの発現ベクターに挿入することができる。
このアプローチ法の幾つかの実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)とからなる。二重特異性分子の半分にしか免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすることが分かった。このアプローチ法は、国際公開第94/04690号に開示されている。二重特異性抗体を産生する更なる詳細については、例えばSuresh et al.,Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照のこと。
米国特許第5,731,168号に記載された別のアプローチ法によれば、一対の抗体分子間の界面を操作して、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体のパーセントを最大にすることができる。幾つかの実施態様において、界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第一抗体分子の界面からの一または複数の小さいアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシンまたはトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖と同じまたは類似のサイズの相補的な「キャビティ」を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニンまたはスレオニン)と置き換えることにより第二の抗体分子の界面に作り出す。これにより、ホモ二量体のような不要の他の最終産物に対してヘテロ二量体の収量を増大させるメカニズムが提供される。
二特異性抗体は、架橋または「ヘテロコンジュゲート」抗体を含む。例えば、ヘテロコンジュゲートの一方の抗体がアビジンと結合され、他方がビオチンと結合されうる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせること(米国特許第4,676,980号)及びHIV感染の治療(国際公開第91/00360号、国際公開第92/200373号、及び欧州特許出願公開第03089号)等の用途が提案されている。ヘテロコンジュゲート抗体は任意の簡便な架橋方法によって作製されうる。適切な架橋剤は当該分野でよく知られており、多くの架橋技術と共に米国特許第4,676,980号に開示されている。
抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan et al.,Science,229:81(1985)は、インタクトな抗体をタンパク分解性に切断してF(ab’)2断片を生成する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルヒド形成を防止する。産生されたFab’断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換される。Fab’−TNB誘導体の一つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab’−チオールに再転換し、他のFab’−TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作られた二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作製し単離する様々な方法もまた記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して生産されている。Kostelny et al., J. Immunol.,148(5):1547−1553(1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により2つの異なった抗体のFab’部分に結合させた。抗体ホモ二量体をヒンジ領域で還元して単量体を形成し、ついで再酸化して抗体ヘテロ二量体を形成する。この方法はまた抗体ホモ二量体の生産に対して使用することができる。Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)により記述された「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体断片を作製する代替機序を提供した。断片は、非常に短いために同一鎖上の2つのドメイン間の対形成が不可能なリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)を結合してなる。したがって、一つの断片のVH及びVLドメインは、別の断片の相補的VL及びVHドメインと強制的に対形成させ、それにより2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)二量体を使用する二重特異性抗体断片の他の製造方策もまた報告されている。Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照のこと。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)。
V.抗体のコンジュゲート及び他の修飾
ここでの方法に用いられまたは製造品に含められる抗体は場合によっては細胞傷害剤にコンジュゲートされる。例えば、抗体は、国際公開第2004/032828号に記載されるように薬剤にコンジュゲートされうる。
そのような抗体−細胞傷害剤コンジュゲートの生産に有用な化学療法剤は前述している。
抗体と一または複数の小分子毒素、例えばカリケアマイシン、メイタンシン(米国特許第5,208,020号)、トリコセン(trichothene)、及びCC1065のコンジュゲートもまた、本明細書において考慮される。本発明の一実施態様では、抗体は、一または複数のメイタンシン分子(例えば、抗体分子当たり約1から約10のメイタンシン分子)とコンジュゲートされる。メイタンシンは、例えばMay−SS−Meに転換することができ、これをMay−SH3に還元し、修飾抗体と反応させて(Chari et al.Cancer Research 52:127−131(1992))、メイタンシノイド−抗体コンジュゲートを生成することができる。
あるいは、抗体は一または複数のカリケアマイシン分子にコンジュゲートされる。抗生物質のカリケアマイシンファミリーは、サブピコモル濃度で、二本鎖DNAの破壊を作ることができる。使用されうるカリケアマイシンの構造アナログは、限定されるものではないが、γ1 I、α2 I、α3 I、N−アセチルγ1 I、PSAG、及びθI 1(Hinman et al.Cancer Research 53:3336−3342(1993)及びLode et al.Cancer Research 58:2925−2928(1998))を含む。
使用可能な酵素的に活性な毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ−サルシン(sarcin)、アレウライツ・フォルディイ(Aleurites fordii)プロテイン、ジアンチンタンパク質、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)プロテイン(PAPI、PAPII及びPAP−S)、モモルディカ・キャランティア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン、サパオナリア(sapaonaria)オフィシナリスインヒビター、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコテシン(tricothecenes)が含まれる。例えば、1993年10月28日に公開の国際公開第93/21232号を参照のこと。
本発明は、核酸分解性活性を持つ化合物(例えば、リボムクレアーゼまたはDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNA分解酵素)とコンジュゲートされた抗体について更に考慮する。
様々な放射性同位元素が放射性コンジュゲート抗体の生産に利用できる。例には、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、及びLuの放射線同位元素が含まれる。
抗体と細胞傷害剤のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、スクシインミジル1−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン−2,6−ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を使用して作製されうる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al.Science 238:1098(1987)に記載されているよう調製することができる。炭素−14標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレン−トリアミン五酢酸(MX−DTPA)が抗体に放射性ヌクレオチドをコンジュゲートするためのキレート剤の例である。国際公開94/11026号を参照のこと。リンカーは、細胞内で細胞傷害剤の放出を容易にする「切断可能なリンカー」でありうる。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカー、またはジスルフィド含有リンカー(Chari et al.Cancer Research 52:127−131(1992))を用いることができる。
あるいは、抗体及び細胞傷害剤を含んでなる融合タンパク質を、例えば組換え技術またはペプチド合成によって製造してもよい。
更に他の実施態様では、腫瘍の事前ターゲティングに利用するために、「レセプター」(例えばストレプトアビジン)に抗体をコンジュゲートすることができ、ここで、抗体−レセプターコンジュゲートを患者に投与し、続いて清澄化剤を使用し、循環から未結合コンジュゲートを除去し、細胞傷害剤(例えば放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートする「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
また、本発明の抗体を、プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法剤、国際公開第81/01145号を参照)を活性な抗癌剤に転化させるプロドラッグ活性化酵素にコンジュゲートさせてもよい。例えば、国際公開第88/07378号及び米国特許第4,975,278号を参照のこと。
そのようなコンジュゲートの酵素成分には、より活性な細胞毒形態にそれを転化するようにプロドラッグに作用し得る任意の酵素が含まれる。
この発明の方法に有用な酵素には、限定されるものではないが、ホスファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なアルカリ性ホスファターゼ;スルファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性5−フルオロシトシンを抗癌剤5−フルオロウラシルに転化するのに有用なシトシンデアミナーゼ;プロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(例えば、カテプシンB及びL)で、ペプチド含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なもの;D−アミノ酸置換基を含むプロドラッグの転化に有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;炭水化物切断酵素、例えばグリコシル化プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なノイラミニダーゼ及びβガラクトシダーゼ;βラクタムで誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に転化させるのに有用なβラクタマーゼ;及びペニシリンアミダーゼ、例えばそれぞれフェノキシアセチルまたはフェニルアセチル基で、それらのアミン性窒素において誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に転化するのに有用なペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼが含まれる。あるいは、当該分野で「アブザイム」としても知られている酵素活性を有する抗体を使用して、本発明のプロドラッグを遊離の活性薬剤に転化させることができる(例えば、Massey,Nature 328:457−458(1987)を参照)。抗体−アブザイムコンジュゲートを、ここで記載されているようにして、腫瘍細胞集団にアブザイムを送達するために調製することができる。
この発明の酵素は、当該分野においてよく知られている技術、例えば上で検討したヘテロ二官能性架橋試薬を使用することにより、抗体に共有的に結合させることができる。あるいは、本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域を本発明の酵素の少なくとも機能的に活性な部位に結合せしめてなる融合タンパク質を、当該分野においてよく知られている組換えDNA技術を使用して構築することができる(例えば、Neuberger et al.,Nature,312:604−608(1984)を参照)。
抗体の他の修飾がここで検討される。例えば、抗体は、様々な非タンパク質性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン類、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーの一つに結合させることができる。幾つかの実施態様では、Fab’などの抗体断片を一または複数のPEG分子に結合させる。
ここで開示される抗体はまたリポソームとして製剤化されうる。抗体を含むリポソームは、Epstein et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688(1985);Hwang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4030(1980);米国特許第4,485,045号及び同第4,544,545号;並びに1997年10月23日公開の国際公開第97/38731号に記載されているような当該分野において知られている方法によって調製される。長い循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG−誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発法によって生成することができる。所望の直径を有するリポソームを得るためにリポソームを規定の孔径のフィルターに通して押し出す。本発明の抗体のFab′断片を、ジスルフィド交換反応を介して、Martin et al.J.Biol.Chem.257:286−288(1982)に記載されているようにリポソームにコンジュゲートさせることができる。場合によっては、化学療法剤をリポソーム内に含有せしめる。Gabizon et al.J.National Cancer Inst.81(19)1484(1989)を参照のこと。
抗体のアミノ酸配列修飾が考慮される。例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体は、適当なヌクレオチド変化を抗体核酸に導入することにより、またはペプチド合成により調製される。そのような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、及び/または挿入及び/または置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせは、最終コンストラクトに達するまでなされるが、但しその最終コンストラクトは所望の特徴を有する。また、アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数または位置の変化など、抗体の翻訳後過程を変更しうる。
突然変異誘発のための好ましい位置である抗体のある種の残基または領域を同定するために有用な方法はCunningham and Wells Science,244:1081−1085(1989)に記載されているように「アラニンスキャンニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここで、標的残基の残基または基が同定され(例えば、arg、asp、his、lys、及びglu等の荷電残基)、中性または負荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)に置換され、アミノ酸と抗原との相互作用に影響を及ぼす。ついで置換に対する機能的感受性を示すこれらのアミノ酸の位置は、置換部位においてまたはそれに対して更にまたは他の置換を導入することにより精密にされる。よって、アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決定されるが、変異自体の性質は予め決める必要はない。例えば、与えられた部位における変異の性能を分析するために、alaスキャンニングまたはランダム突然変異誘発を標的コドンまたは領域で実施し、発現された抗体変異体を所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列挿入は、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドの長さの範囲のアミノ−及び/またはカルボキシル末端融合物、並びに一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入物を含む。末端挿入物の例は、N末端メチオニル残基を持つ抗体または細胞傷害ポリペプチドに融合した抗体を含む。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を向上させる酵素またはポリペプチドの抗体のNまたはC末端への融合物を含む。
他の型の変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、抗体分子中における少なくとも一つのアミノ酸残基が異なる残基によって置き換えられている。抗体抗体の置換突然変異誘発について最も関心ある部位は高度可変領域を含むが、FR改変もまた考慮される。保存的置換は、「好ましい置換」と題して表2に示される。このような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表2に「例示的置換」と名前を付けたより実質的な変化が導入され得、生成物がスクリーニングされる。
抗体の生物学的性質における実質的な修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシートまたは螺旋配置、(b)標的部位の分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖の嵩の維持についてのその効果が有意に異なる置換を選択することにより達成される。アミノ酸は、その側鎖の特性の類似性に従ってグループ化することができる(A.L.Lehninger,in Biochemistry,second ed.,pp.73−75,Worth Publishers,New York(1975)):
(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)
(2)無電荷極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)
(3)酸性:Asp(D)、Glu(E)
(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)
別法では、天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいて群に分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。
抗体の適切な高次構造の維持に関与しない任意のシステイン残基も、一般的には、セリンと置換して、分子の酸化的安定性を改善して、異常な架橋を防ぐことができる。逆に、システイン結合を抗体に付加して、その安定性を改善してもよい(特に抗体がFv断片などの抗体断片である場合)。
特に好ましい型の置換変異体は、親抗体の一または複数の高頻度可変領域残基の置換を含む。一般に、更なる開発のために選択される得られた変異体は、それらが作製された親抗体と比較して向上した生物学的特性を有するであろう。そのような置換変異体を作製する簡便な方法は、ファージディスプレイを使用するアフィニティ成熟である。簡潔に言えば、幾つかの高頻度可変領域部位(例えば6−7部位)を突然変異させて各部位に全ての可能なアミノ酸置換を生成させる。このようにして生成された抗体変異体は、糸状ファージ粒子から、各粒子内に充填されたM13の遺伝子III産物への融合物としてディスプレイされる。ファージディスプレイ変異体は、ついで、ここに開示されるようなそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾のための候補となる高頻度可変領域部位を同定するために、アラニンスキャンニング突然変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する高頻度可変領域残基を同定することができる。別法として、またはそれに加えて、抗原−抗体複合体の結晶構造を分析して抗体と抗原の接点を特定するのが有利である場合もある。このような接触残基及び隣接残基は、ここに述べた技術に従う置換の候補である。このような変異体がひとたび生成されると、変異体のパネルに、ここに記載するようなスクリーニングを施し、一または複数の関連アッセイにおいて優れた特性を持つ抗体を更なる開発のために選択することができる。
抗体のアミノ酸変異の他の型は、抗体の元のグリコシル化パターンを改変する。そのような改変とは、抗体に見い出される一または複数の糖鎖部分の欠失、及び/または抗体に存在しない一または複数のグリコシル化部位の付加等を含む。
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N結合またはO結合の何れかである。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を意味する。アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−スレオニン(ここでXはプロリンを除く任意のアミノ酸)のトリペプチド配列は、アスパラギン側鎖への糖鎖部分の酵素的結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列の何れかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が作出される。O結合グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンに、糖類N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースの一つが結合することを意味するが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンもまた用いられる。
抗体へのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を、それが一または複数の上述したトリペプチド配列(N結合グリコシル化部位のもの)を含むように変化させることによって簡便に達成される。該変化は、元の抗体の配列への一または複数のセリンまたはスレオニン残基の付加、またはこれによる置換によってもなされる(O−結合グリコシル化部位の場合)。
抗体がFc領域を含有する場合、それに接着する炭水化物を変更してもよい。例えば、抗体のFc領域に接着するフコースを欠損する成熟炭水化物構造の抗体は、米国特許出願公開第2003/0157108A1号(Presta,L.)に記載されている;CD20抗体組成物に関する米国特許出願公開第2004/0093621A1号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd.)も参照のこと。抗体のFc領域に結合した糖鎖内のN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)を二分する抗体は、国際公開第03/011878号、Jean−Mairet et al.、及び米国特許第6,602,684号、Umana et al.において参照される。抗体のFc領域に結合するオリゴサッカライド内の少なくとも一のガラクトース残基を有する抗体は、国際公開第97/30087号(Patel et al.)に報告されている。また、そのFc領域に結合した改変糖鎖を有する抗体については、国際公開第98/58964号(Raju,S.)及び国際公開第99/22764号(Raju,S.)も参照のこと。
幾つかの実施態様では、ここでのグリコシル化変異体はFc領域を含み、Fc領域に結合した糖鎖構造はフコースを欠いている。このような変異体は改善されたADCC機能を有する。場合によっては、Fc領域は、ADCCを更に改善する一または複数のアミノ酸置換、例えばFc領域の位置298、333及び/または334の置換(Eu残基番号付け)を更に含む。「脱フコシル化」または「フコース欠失」抗体に関する文献の例は、以下のものを含む:米国特許出願公開第2003/0157108A1号、Presta,L;国際公開第00/61739A1号;国際公開第01/29246A1号;米国特許出願公開第2003/0115614A1号;米国特許出願公開第2002/0164328A1号;米国特許出願公開第2004/0093621A1号;米国特許出願公開第2004/0132140A1号;米国特許出願公開第2004/0110704A1号;米国特許出願公開第2004/0110282A1号;米国特許出願公開第2004/0109865A1号;国際公開第2003/085119A1号;国際公開第03/084570A1号;国際公開第2005/035778号;国際公開第2005/035586号(フコシル化のRNA阻害(RNAi)を記載する);Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239−1249(2004);Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)。脱フコシル化抗体を産生する細胞株の例は、タンパク質フコシル化欠損Lec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533−545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108A1号、Presta,L;及び国際公開第2004/056312号、Adams et al.、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子,FUT8、ノックアウトCHO細胞(Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004))を含む。
抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当該分野で知られた様々な方法によって調製される。これらの方法は、限定するものではないが、天然源からの単離(天然に生じるアミノ酸配列変異体の場合)または先に調製された抗体の変異体または非変異体のオリゴヌクレオチド媒介(または部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及びカセット突然変異誘発による調製を含む。
エフェクター機能に関して、例えば抗体の抗原依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)及び/または補体依存性細胞傷害性(CDC)を向上させるために、本発明の抗体を修飾することが望ましい。これは、抗体のFc領域に一または複数のアミノ酸修飾を導入することによって達成されうる。あるいはまたは加えて、Fc領域にシステイン残基を導入することができ、それによってこの領域での鎖間ジスルフィド結合形成が起こりうる。このようにして生成されたホモ二量体抗体は改善された内部移行能及び/または増強された補体媒介性細胞死滅化及び抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有しうる。Caron et al.,J.Exp Med.176:1191−1195(1992)及びShopes,B.J.Immunol.148:2918−2922(1992)を参照のこと。抗腫瘍活性が亢進されたホモ二量体抗体もまた、Wolff et al.Cancer Research 53:2560−2565(1993)に記載されているヘテロ二官能性架橋剤を用いて調製されうる。あるいは、抗体を二重のFc領域を持つように操作し、それによって亢進された補体溶解及びADCC能を有しうる。Stevenson et al.Anti−Cancer Drug Design 3:219−230(1989)を参照のこと。
国際公開第00/42072号(Presta,L.)は、ヒトエフェクター細胞の存在下で改善されたADCC機能を有する抗体を記述し、そこでは、抗体がそのFc領域内にアミノ酸置換を含む。幾つかの実施態様では、改善されたADCCを有する抗体はFc領域内の位置298、333及び/または334に置換を有する。幾つかの実施態様では、改変されたFc領域は、これらの位置のうちの1、2または3つに置換を含むかまたはそれらからなるヒトIgG1 Fc領域である。
改変されたC1q結合及び/または補体依存性細胞傷害性(CDC)を有する抗体は、国際公開第99/51642号、米国特許第6,194,551B1号、米国特許第6,242,195B1号、米国特許第6,528,624B1号、及び米国特許第6,538,124号(Idusogie et al.)に記載される。抗体は、そのFc領域のアミノ酸位置270、322、326、327、329、313、333及び/または334の一または複数にアミノ酸置換を含む。
抗体の血清半減期を増加させるために、例えば米国特許第5739277号に記載されているように、抗体(特に抗体断片)中にサルベージレセプター結合エピトープを導入しうる。ここで使用される場合、「サルベージレセプター結合エピトープ」なる用語は、IgG分子のインビボ血清半減期の延長に関与するIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域のエピトープを意味する。そのFc領域に置換を有し、血清半減期が延長された抗体は国際公開第00/42072号(Presta,L.)にも記載されている。
三またはそれ以上(好ましくは四)の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体もまた考えられる(米国特許出願公開第2002/0004587A1号、Miller et al.)。
VI.薬学的製剤
本発明に従って使用される抗体の治療用製剤は、所望の純度を有する抗体を任意の薬学的に許容可能な担体、賦形剤または安定剤と混合することによって凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、貯蔵のために調製される(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))。許容可能な担体、賦形剤、または安定化剤は、用いられる用量及び濃度でレシピエントに非毒性であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;ベンズアルコニウムクロライド;ベンゼトニウムクロライド;フェノール;ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体)またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
例示的抗CD20抗体製剤は国際公開第98/56418号に記載されている。この公報は、2〜8℃で2年間貯蔵の最小有効期間を持つ40mg/mLのリツキシマブ、25mMの酢酸塩、150mMのトレハロース、0.9%のベンジルアルコール、0.02%のポリソルベート20(pH5.0)を含む液体複数回用量製剤を記述する。対象の他の抗CD20製剤は、リツキシマブ10mg/mL、塩化ナトリウム9.0mg/mL、クエン酸ナトリウム二水和物7.35mg/mL、ポリソルベート80を0.7mg/mL、及び注射用滅菌水を含むpH6.5のものである。
皮下投与に適合させた凍結乾燥製剤は、米国特許第6,267,958号(Andya et al.)に記載されている。そのような凍結乾燥製剤は適当な希釈剤で高タンパク質濃度に再構成され得、再構成された製剤形はここで治療される哺乳動物に皮下的に投与されうる。
抗体または抗体の結晶化形態もまた考慮される。例えば米国特許出願公開第2002/0136719A1号(Shenoy等)を参照のこと。
ここでの製剤は、治療される特定の徴候のための必要に応じて一を越える活性化合物、幾つかの実施態様では互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものをまた含みうる。例えば、細胞傷害剤、化学療法剤;免疫抑制剤;サイトカイン;サイトカインアンタゴニストまたは抗体;増殖因子;ホルモン;インテグリン;インテグリンアンタゴニストまたは抗体(例えばLFA−1抗体、またはBiogen Idec/Elan Pharmaceuticals,Inc.から入手可能なナタリズマブ(TYSABRI(登録商標))のようなα4インテグリン抗体);インターフェロンクラス薬剤、例えばIFN−β−1a(REBIF(登録商標)及びAVONEX(登録商標))及びIFN−β−1b(BETASERON(登録商標));酢酸グラチラマー(COPAXONE(登録商標))のようなオリゴペプチド;ミトキサントロン(NOVANTRONE(登録商標))、メトトレキセート、シクロホスファミド、クロラムブシル、またはアザチオプリンのような細胞傷害剤;静脈内免疫グロブリン(γグロブリン);リンパ球枯渇薬(例えばミトキサントロン、シクロホスファミド、Campath、抗CD4、またはクラドリビン);非リンパ球枯渇性免疫抑制薬(例えばミコフェノール酸モフェチル(MMF)またはシクロスポリン);「スタチン」クラスのコレステロール低下剤;エストラジオール;テストステロン;ホルモン補充療法;MSの二次性または関連する症状(例えば、痙性、失調症、疼痛、疲労)を治療する薬剤;TNFインヒビター;疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD);非ステロイド系抗炎症薬(NSAID);コルチコステロイド(例えばメチルプレドニゾロン、プレドニゾン、デキサメタゾン、またはグルコルチコイド);レボチロキシン;シクロスポリンA;ソマタスタチン(somatastatin)アナログ;サイトカインアンタゴニスト;抗代謝産物;免疫抑制剤;インテグリンアンタゴニストまたは抗体(例えばLFA−1抗体、例えばエファリズマブまたは例えばナタリズマブのようなα4インテグリン抗体;または他のB細胞表面アンタゴニスト/抗体等を製剤中に更に提供することが望ましい場合がある。そのような他の薬剤のタイプ及び有効量は、例えば製剤中に存在する抗体の量、治療されている多発性硬化症のタイプ、及び患者の臨床パラメータに依存する。これらは一般にこれまでに使用されている同じ投薬量及び投与経路でまたはこれまでに用いられている投薬量のおよそ1から99%で使用される。
活性成分は、例えばコアセルべーション技術または界面重合により調製したマイクロカプセル、例えば、それぞれコロイド状ドラッグデリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)またはマクロエマルジョンの、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に捕捉することもできる。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
徐放製剤を調製してもよい。徐放製剤の好適な例は、抗体を含む固形疎水性ポリマーの半透過性基質を含み、該基質は、成形品、例えばフィルム、またはマイクロカプセルの形である。徐放性基質の例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸及びγエチル−L−グルタメートの共重合体、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸共重合体、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸共重合体及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。
インビボ投与に使用される製剤は無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜を通す濾過によって容易に達成される。
幾つかの実施態様では、製剤は、ヒスチジンバッファー、トレハロース、スクロース、及びポリソルベート20からなる群の一または複数を含有する。幾つかの実施態様では、ヒスチジンバッファーはヒスチジン−アセテートバッファー、pH6.0である。抗CD20抗体の投与に適した製剤の例は、製剤に関してその全体が参照により援用されるAndya等の米国特許出願公開第2006/0088523号に見出される。
例示的な抗CD20抗体製剤は、その全体が参照により援用されるAndya等の米国特許出願公開第2006/0088523号及び国際公開第98/56418号に記載されている。幾つかの実施態様において、製剤は、2〜8℃で2年間貯蔵の最小有効期間を持つ40mg/mLの抗CD20抗体、25mMの酢酸塩、150mMのトレハロース、0.9%のベンジルアルコール、0.02%のポリソルベート20(pH5.0)を含む液体複数回用量製剤である。幾つかの実施態様において、対象とする抗CD20製剤は、10mg/mLの抗体、9.0mg/mLの塩化ナトリウム、7.35mg/mLのクエン酸ナトリウム二水和物、0.7mg/mLのポリソルベート80、及び注射用滅菌水(pH6.5)を含む。幾つかの実施態様では、抗CD20抗体は、約pH4.8〜約pH5.5、好ましくはpH5.5の10−30mMの酢酸ナトリウム、約0.01−0.1%v/v量の界面活性剤としてのポリソルベート、約2〜10%w/vの量のトレハロース、保存料としてのベンジルアルコール(その全体を参照により援用する米国特許第6171586号)を含む水性薬学的製剤中に含まれる。皮下投与に適合させた凍結乾燥製剤は国際公開第97/04801号に記載され、その全体が参照により援用される。そのような凍結乾燥製剤は適当な希釈剤で高タンパク質濃度に再構成され得、再構成された製剤形はここで治療される哺乳動物に皮下的に投与されうる。
幾つかの実施態様では、ヒト化2H7変異体製剤は、10mMヒスチジン、6%スクロース、0.02%ポリソルベート20,pH5.8中の12−14mg/mLでの抗体である。特定の実施態様では、2H7変異体及び特に2H7.v16は、10mMヒスチジン硫酸塩、60mg/mlスクロース、0.2mg/mlポリソルベート20、及び注射用滅菌水(pH5.8)中に20mg/mLで製剤化される。特定の実施態様では、ヒト化2H7 v16の一IV製剤は、20mMの酢酸ナトリウム、4%のトレハロース二水和物、0.02%のポリソルベート20(Tween20(商標))(pH5.3)中の30mg/mLの抗体である。幾つかの実施態様では、ヒト化2H7.v511変異体製剤は、10mMヒスチジン硫酸塩、60mg/mlスクロース(6%)、0.2mg/mlポリソルベート20(0.02%)、及び注射用滅菌水(pH5.8)中、15−30mg/mLの抗体、好ましくは20mg/mLの抗体である。また他の実施態様では、2H7変異体、特に2H7.v511の製剤は、静脈内投与用の、20mg/mlの2H7、20mMの酢酸ナトリウム、4%のトレハロース二水和物、0.02%のポリソルベート20、pH5.5である。幾つかの実施態様では、2H7.v114製剤は、20mMの酢酸ナトリウム、240mM(8%)のトレハロース二水和物、0.02%のポリソルベート20(pH5.3)中に15−25mg/ml、好ましくは20mg/mlの抗体である。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体(例えば、2H7.v16)は、30mg/mLの抗体、20mMの酢酸ナトリウム、106mMのトレハロース、0.02%のポリソルベート20、pH5.3を含む製剤である。抗体を含有する液体製剤は、300mgの/バイアルにあってもよいし、光から保護されて、2−8℃で保存されてもよい。幾つかの実施態様において、投与の前に、抗体は、注入による投与のためにIVバッグ中に生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)で希釈される。
VII.製造品及びキット
本発明は、本明細書に記載の進行型多発性硬化症の治療に有用な物質を含有する製造品またはキット(パーツのキットなど)を提供する。幾つかの実施態様において、製造品は、抗CD20抗体及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物と、並びに抗CD20抗体または薬学的組成物が多発性硬化症を有する患者を治療するために適応され、かつ多発性硬化症を有する患者において機能的能力の改善を提供することを示すラベルとを一緒にパッケージされて含んでいる。
幾つかの実施態様において、製造品またはキットは、抗CD20抗体及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物と、並びに抗CD20抗体または薬学的組成物が多発性硬化症を有する患者を治療するために適応され、かつ多発性硬化症を有する患者において障害の進行を抑制することを示すラベルとを一緒にパッケージされて含んでいる。
幾つかの実施態様において、製造品またはキットは、抗CD20抗体及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物と、並びに抗CD20抗体または薬学的組成物が多発性硬化症を有する患者を治療するために適応され、かつ多発性硬化症を有する患者において確認された障害の進行の発症の遅延させることを示すラベルと、を一緒にパッケージされて含んでいる。幾つかの実施態様において、確認された疾患の進行は、12週間持続するEDSSの増加である。幾つかの実施態様において、確認された疾患の進行は、24週間持続するEDSSの増加である。
幾つかの実施態様において、製造品またはキットは、抗CD20抗体及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物と、並びに抗CD20抗体または薬学的組成物が多発性硬化症を有する患者を治療するために適応され、かつ多発性硬化症を有する患者において脳体積喪失を遅延させるかまたは予防することを示すラベルとを一緒にパッケージされて含んでいる。
幾つかの実施態様において、製造品またはキットは、抗CD20抗体及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物と、並びに抗CD20抗体または薬学的組成物が高活動性多発性硬化症を有する患者を治療するために適応されることを示すラベルとを一緒にパッケージされて含んでいる。幾つかの実施態様において、ラベルは、更に、抗CD20抗体または薬学的組成物は、多発性硬化症のための他の治療法で以前に治療されていない高活動性多発性硬化症を有する患者を治療するために適応されることを示す。幾つかの実施態様において、ラベルは、更に、抗CD20抗体または薬学的組成物は、多発性硬化症のための他の治療法で以前に治療されている高活動性多発性硬化症を有する患者を治療するために適応されることを示す。幾つかの実施態様において、ラベルは、更に、抗CD20抗体または薬学的組成物は、多発性硬化症のための他の治療法に対して不十分な応答者である高活動性多発性硬化症を有する患者を治療するために適応されることを示す。
幾つかの実施態様において、製造品またはキットは、抗CD20抗体及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物と、並びに抗CD20抗体または薬学的組成物が多発性硬化症を有する患者を治療するために適応され、かつ抗CD20抗体または薬学的組成物が以下のうちの一以上:(1)患者の脳内の病変数の減少;(2)年換算再発率の減少;(3)障害の進行の減少;及び(4)機能的能力の改善のうちの一以上において有効であることを示すラベルとを一緒にパッケージされて含んでいる。
製造品またはキットの何れかの幾つかの実施態様において、多発性硬化症は、進行型多発性硬化症である。ある実施態様において、進行型多発性硬化症は、一次性進行型多発性硬化症である。幾つかの実施態様において、多発性硬化症は、多発性硬化症の再発性形態である。ある実施態様において、多発性硬化症の再発性形態は、再発寛解型多発性硬化症である。ある実施態様において、多発性硬化症の再発性形態は、再発の重なりを伴う二次性進行型多発性硬化症(rSPMS)である。
製造品またはキットの何れかの幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、a)配列番号10、配列番号11、及び配列番号12を含む重鎖可変領域、並びにb)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6を含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施態様において、抗CD20抗体は、オクレリズマブである。
ある実施態様において、添付文書は、約0.3〜約0.6グラムの間の初期のオクレリズマブ曝露と、続く約0.3から約0.6グラムの間の第二のオクレリズマブ曝露をもたらすために有効であるオクレリズマブのある量が患者に投与され、第二の曝露が、初期の曝露から約16から60週までにはもたらされず、オクレリズマブの各曝露は、オクレリズマブの一または二の用量として患者にもたらされることを表す(すなわち、示す)説明書を有する。幾つかの実施態様では、初期のオクレリズマブ曝露は約0.6グラムである。幾つかの実施態様では、第二のオクレリズマブ曝露は約0.6グラムである。幾つかの実施態様では、第二の曝露は、初期の曝露の約20〜24週から投与される。幾つかの実施態様では、「約20〜24週間」は、20週間から24週間の間の時点を指す。幾つかの実施態様では、「約20〜24週間」は、24週目の1週間または7日前または後の変形を指す。幾つかの実施態様では、オクレリズマブ曝露の一または複数がオクレリズマブの一投与量として患者にもたらされる。幾つかの実施態様では、オクレリズマブ曝露の一または複数がオクレリズマブの二用量として患者にもたらされる。幾つかの実施態様では、オクレリズマブの二用量は約0.3グラムのオクレリズマブを含む。
ある実施態様において、製造品またはキットは、容器と、容器上または容器に付随したラベルまたは添付文書を含む。適切な容器は、例えば、ビン、バイアル、シリンジ等を含む。容器は、ガラスまたはプラスチックのような様々な物質から形成されうる。容器は、多発性硬化症の治療に効果的な組成物を収容しまたは含み、滅菌のアクセスポートを有しうる(例えば容器は皮下注射針が突き通すことが可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルでありうる)。組成物中の少なくとも一種の活性剤は抗体である。幾つかの実施態様では、容器は約0.3から約4.0グラムの抗CD20抗体を含む。幾つかの実施態様では、容器は、約0.3から約1.5グラムの抗CD20抗体を含む。
ラベルまたは添付文書は、組成物が、多発性硬化症をそれに罹っている患者において治療するために使用されることを示しており、抗体と提供される任意の他の薬剤の投薬量及び間隔に関する特定のガイドを含んでいる。製造品は、薬学的に許容可能な希釈剤バッファー、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液及びデキストロース溶液を含有する第二の容器を更に含みうる。製造品は、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む商業的及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含みうる。
場合によっては、本明細書に提供される製造品またはキットは、治療のための抗体以外の薬剤を含み、そのような薬剤での患者の治療についての指示書を更に含む容器を更に含み、そのような薬剤は、好ましくは化学療法剤または免疫抑制剤、インターフェロンクラス薬剤、例えばIFN−β−1a(REBIF(登録商標)及びAVONEX(登録商標))またはIFN−β−1b(BETASERON(登録商標));酢酸グラチラマー(COPAXONE(登録商標))のようなオリゴペプチド;ミトキサントロン(NOVANTRONE(登録商標))、メトトレキセート、シクロホスファミド、クロラムブシル、アザチオプリンのような細胞傷害剤;静脈内免疫グロブリン(γグロブリン);リンパ球枯渇療法(例えばミトキサントロン、シクロホスファミド、Campath、抗CD4、またはクラドリビン);非リンパ球枯渇性免疫抑制薬(例えばミコフェノール酸モフェチル(MMF)またはシクロスポリン);「スタチン」クラスのコレステロール低下剤;エストラジオール;ホルモン補充療法;MSの二次性または関連する症状(例えば、痙性、失調症、疼痛、疲労)を治療する薬剤;TNFインヒビター;疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD);非ステロイド系抗炎症薬(NSAID);コルチコステロイド(例えばメチルプレドニゾロン、プレドニゾン、デキサメタゾン、またはグルコルチコイド);レボチロキシン;シクロスポリンA;ソマタスタチン(somatastatin)アナログ;サイトカインまたはサイトカインレセプターアンタゴニスト;抗代謝産物;免疫抑制剤;インテグリンアンタゴニストまたは抗体(例えばLFA−1抗体、例えばエファリズマブまたは例えばナタリズマブのようなα4インテグリン抗体);及び他のB細胞表面マーカー抗体等である。
実施例1:再発性多発性硬化症を有する患者におけるインターフェロンβ−1a(Rebif)と比較したオクレリズマブの第III相研究
多発性硬化症は、予測不可能な疾患の経過を伴いかつ治療法の無い不均一な疾患である(Scalfari et al.(2013)JAMA Neurol.70,214−22;Tremlett et al.(2006)Neurology.66,172−7;Markowitz(2010)Am J Manag Care.16,S211−8;Hauser et al.(2013)Ann Neurol.74,317−27)。近年で利用できるようになっている、多発性硬化症の再発性形態のための様々な治療にもかかわらず、多くの患者は、神経性障害を生じ続け、したがって、より効果的かつ忍容性が良好な治療のための満たされていない重要な必要性が存在する(Markowitz(2010)Am J Manag Care.16,S211−8;Rotstein et al.(2015) JAMA Neurol.72,152−8;Sorensen(2007)J Neurol Sci.259,128−32)。加えて、より高い有効性の治療のリスクプロファイルは、疾患の経過の早い段階での使用をこれまで妨げてきた(Markowitz(2010)Am J Manag Care.16,S211−8;Hartung et al.(2011)Expert Rev Neurother.11,351−62;Hauser SL.(2015)Mult Scler.21,8−21)。
B細胞は、多発性硬化症の病因に対する重要な寄与因子である(Monson(2005)J Neuroimmunol.158,170−81;Hauser SL.(2015)Mult Scler.21,8−21)。B細胞は、健常対照の脳脊髄液中でほとんど観察されていないが、多発性硬化症を有する患者の脳脊髄液中に低い割合で頻繁に見出され(Cepok(2005)Brain.128,1667−76;Cross et al.(2011)Biochim Biophys Acta.1812,231−8)、脳脊髄液中の上昇したレベルは、再発寛解型多発性硬化症及び二次性進行型多発性硬化症におけるより速い疾患の進行と相関する(Cepok(2005)Brain.128,1667−76)。B細胞は、多数の機能:抗原提示(Constant(1999) J Immunol.162,5695−703;Crawford et al.(2006)J Immunol.176,3498−506)、自己抗体産生(Bar−Or A(2010)Ann Neurol.67,452−61;Duddy(2007)J Immunol.178,6092−9)、サイトカイン調節(Genain et al.(1999)Nat Med.5,170−5;Storch et al.(1998)Ann Neurol.43,465−71)、及び異所性リンパ濾胞様凝集体の形成(Magliozzi et al.(2010)Ann Neurol.68,477−93;Serafini et al.(2004)Brain Pathol.14:164−74を介して、多発性硬化症の根底にある病因に影響を与える。B細胞への関心は、概念実証及び観察研究とともに増加し、多発性硬化症におけるそれらの有用性への関心は、時間の経過とともに発展してきた(Hauser et al.(2008)N Engl J Med.358,676−88;Kappos et al.(2011)Lancet.378,1779−87;Lehmann−Horn et al.(2013)Ther Adv Neurol Disord.6,161−73)。
CD20は、プレB細胞、成熟、及び記憶B細胞上に見出される細胞表面抗原であり、リンパ系幹細胞及び形質細胞上には発現されない(Stashenko et al.(1980)J Immunol.125,1678−85;Loken et al.(1987)Blood.70,1316−24;Tedder et al.(1994)Immunol Today.15,450−4)。HERMES研究において、リツキシマブ、抗CD20キメラモノクローナル抗体は、再発寛解型多発性硬化症を有する患者においてプラセボと比較して、炎症性脳病変及び臨床的再発を有意に減少させ;したがって、CD20+B細胞の選択的な枯渇は、多発性硬化症において潜在的に効果的な治療アプローチであるという証拠を提供している(Kappos et al.(2011)Lancet.378,1779−87)。
オクレリズマブは、CD20発現B細胞を選択的に枯渇させる組換えヒト化モノクローナル抗体でありつつ(Klein et al.(2013)MAbs.5,337−8;Genovese et al.(2008)Arthritis Rheum.58,2652−61)、B細胞再構成の能力及び既存の体液性免疫を維持する(Martin et al.(2006)Annu Rev Immunol.24,467−96;DiLillo et al.(2008)J Immunol.180,361−71)。オクレリズマブは、高い親和性でCD20の大きな細胞外ループに結合し、抗体依存性細胞媒介食作用、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、補体依存性細胞傷害性、及びアポトーシスの誘導を含む、幾つかの機序を介してB細胞を選択的に枯渇させる(Klein et al.(2013)MAbs.5,22−33)。
多発性硬化症の再発性形態を有する患者において、インターフェロン(IFN)β−1aと比較したオクレリズマブの有効性と安全性を調査するために、二つの同一の第3相、多施設、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、並行群間比較試験が実施された(研究I及び研究II)。これら二つの試験からの結果がここで報告される。
方法
資格及び除外基準
主な適格基準は以下を含む:年齢が18歳から55歳;2010年に改訂されたマクドナルドの基準(Polman et al.(2011)″Diagnostic criteria for multiple sclerosis:2010 revisions to the McDonald criteria.″Ann Neurol 69,292−302);スクリーニング時に総合障害度評価尺度(EDSS,world−wide−web.neurostatus.orgを参照)が0から5.5;前2年以内に少なくとも2つの確認された臨床的発病またはスクリーニング前の年内(ただし、スクリーニング前の30日以内ではない)に1つの臨床的発病;多発性硬化症と一致する異常を伴う脳の確認されたMRI;スクリーニング及びベースラインの両方に先立つ少なくとも30日間の神経学的な安定性。
主な除外基準は以下が含まれる:一次性進行型多発性硬化症の診断;スクリーニング時に2.0以下のEDSSスコアとの組み合わせで10年以上の罹病期間を有する患者;多発性硬化症を模倣しうる他の神経障害の既知の存在;妊娠中または授乳期;任意のB細胞標的治療薬または他の禁忌薬を用いた以前の治療(すなわち、研究の過程における全身性コルチコステロイドまたは免疫抑制剤を用いた長期治療の要求、一次または二次免疫不全の既往またはその現在活動性のもの、活動性感染、または再発性もしくは慢性感染症(例えば、B型またはC型肝炎、HIV、梅毒、結核)の既往またはその既知の存在、進行性多巣性白質脳症の既往、経口もしくは静脈内コルチコステロイドに対する禁忌または不耐容、またはRebifへの禁忌もしくはRebifの使用との不適合性)。
研究計画
患者は、24週間毎に静脈内注入によりオクレリズマブ600mg(第一用量として1日目と15日目に2回の300mg注入として、及びその後各24週間の治療コースの1日目に単回の600mg注入として投与される)または96週間の治療期間を通して44μgの用量で週あたり3回皮下にIFNβ−1aの何れかを投与するために無作為化された(1:1)。図7を参照のこと。また、オクレリズマブ群とIFNβ−1a群の患者は、それぞれ、皮下及び静脈内プラセボを投与された。全ての患者は、注入前に静脈内メチルプレドニゾロン100mg(並びに任意の鎮痛剤/解熱剤、及び抗ヒスタミン薬)を投与される。無作為化は、独立した医療提供者によって集中的に実施された。患者は、地域(米国/世界のその他の地域)及びベースラインEDSSスコア(4未満/4以上)によって層別化された。
研究群の割り当ての秘匿を維持するために、各研究センターでは、全員が試験の過程を通して盲検化された、個別に治療する研究者(多発性硬化症の治療を経験した神経内科医)及び試験する研究者(神経内科医または他の医療従事者)を擁した。治療する研究者らは、安全性及び盲検有効性データへのアクセス権を持っており、患者の臨床応答と検査所見に基づいて治療の決定を行った。試験する研究者は、EDSSスコア(Kurtze(1983)“Rating neurologic impairment in multiple sclerosis:an expanded disability status scale(EDSS).”Neurology.33,1444−52)、機能システムスコア(Kurtze(1983)“Rating neurologic impairment in multiple sclerosis:an expanded disability status scale(EDSS).“Neurology.33,1444−52;Haber and LaRocca,eds.Minimal Record of Disability for multiple sclerosis.New York:National Multiple Sclerosis Society;1985)、多発性硬化症機能性複合(MSFC)(Rudick et al.(2002)“The multiple sclerosis functional composite:a new clinical outcome measure for multiple sclerosis trials.”Multiple sclerosis(Houndmills,Basingstoke,England)8,359−65)、低コントラスト視力(LCVA)試験(Wieder et al.(2013)“Low contrast visual acuity testing is associated with cognitive performance in multiple sclerosis:a pilot study.”BMC Neurology.13,167)、シンボルデジットモダリティテスト(SDMT)(Smith A.(1982).Symbol digit modalities test:Manual.Los Angeles:Western Psychological Services)、及びカルノフスキーパフォーマンスステータススケール(Mor et al.“The Karnofsky Performance Status Scale.An examination of its reliability and validity in a research setting.”Cancer.53.2002−2007)を含む神経学的評価を行った。MRIの評価は、治療の割り当てを知らされていない中央のMRI読み取り者によって独立に分析された。
96週間の治療期間を完了した患者は、研究の非盲延長段階に入る資格があった。途中で中止した患者または非盲検延長(open−label extension)に参加を望まない患者は、B細胞のモニタリングが含まれる48週間の安全性フォローアップ段階に入れられた。
研究手順
EDSSスコアは、スクリーニング時、ベースライン時、及び12週間ごとに決定され;MSFC、LCVA、及びSDMTスコアは、ベースライン時及び12週間ごとに決定され;カルノフスキーパフォーマンスステータススケールは、ベースライン時及び24週間ごとに決定された。MRIは、ベースライン時、及び24週目、48週目、及び96週目で実施された。有害事象は研究を通じてモニターされた。
主要評価項目は、96週での年換算プロトコル定義の再発率であり、ここで再発は、多発性硬化症のみに起因している24時間以上持続する新規または悪化する神経症状として定義される。新規または悪化する神経症状は、EDSSにおける少なくとも半分のステップ、一のEDSS機能システムスコアにおいて2点、または二以上のEDSS機能システムスコアの各々において1点の増加と一致する客観的な神経学的悪化を伴っていなければならない。再発は、上記の規則に従って自動化されたアルゴリズムにより、プロトコル定義の再発として再分類された。アルゴリズムは、データベースの閉鎖及びデータの非盲検の前に書かれていた。
主な二次評価項目は以下を含む:96週間、5.5以下のベースラインスコアを有する患者における、ベースラインEDSSスコアから少なくとも1.0の増加、または5.5を超えるベースラインスコアを有する患者における0.5ポイントの増加として研究で定義される、12週間確認された障害の進行(すなわち、CDP)の発症までの時間であって、ここでEDSSの増加は、初期の神経学的悪化後、少なくとも12週で定期的にスケジュールされた来院で確認される;24週目、48週目、及び96週目でのT1ガドリニウム増強病変の総数;24週目、48週目、及び96週目で検出された新規及び/または拡大T2高強度病変の総数;96週の間、12週間確認された障害の改善(すなわち、CDI)を有する患者の割合(少なくとも2.0のベースラインEDSSスコアを有する患者のサブグループについて分析されるのみ);96週間、初期の神経学的悪化後、24週で確認される、24週間のCDPの発症までの時間;オクレリズマブの薬物動態、免疫原性、及び薬力学;オクレリズマブの安全性及び忍容性。本研究におけるCDIは、ベースラインEDSSスコアが5.5以下である患者において、ベースラインと比較して少なくとも1.0のEDSSスコアの減少、または5.5を超える患者における0.5ポイントの減少として定義される。
96週目までに疾患活動性の認められない状態(NEDA)を有するEDSSスコア≧2.0の患者の割合;全ての患者におけるNEDA分析は、探索的評価項目である。24週目から96週目までの脳MRIによって検出される脳体積の変化率;ベースラインから96週目までの分析もまた、探索的分析として実施した。
統計分析
統計的階層は、図8に提供される。CDP及びCDIにおけるオクレリズマブの効果を試験するために十分な統計的検出力を達成するために、これらの評価項目が両方の第III相研究のためにプールされることが事前に指定された。他の全ての評価項目は、それぞれの研究のために別々に分析された。一次及び二次有効性分析は、治療意図集団で実施された。
全ての有効性分析は、治療意図集団で実施された。年換算再発率(ARR)、主要有効性評価項目は、各患者に対して、共変量として、曝露の長さ、治療群、地域(米国/世界のその他の地域)及びベースラインEDSSスコア(4.0未満/4.0以上)を考慮した統計分析における、データの無作為化と早期治療−中止/96週目の日の間の発症を含む負の二項分布モデルを使用して分析された。0.05未満の両側αでの有意な結果は、IFN β−1aと比較して、ARRを減少させることにおけるオクレリズマブの優れた作用を実証している。
研究の各々についてのサンプルサイズは、オクレリズマブ群について0.165、IFNβ−1aの群について0.33の推定年換算再発率に基づいていた。両側t検定を使用して、治療群あたり400人の患者のサンプルは、0.05のタイプI誤差率を維持し、IFNβ−1aと比較して、オクレリズマブにおいて50%の相対的減少を検出するために(約20%のドロップアウト率を仮定)、84%の統計的検出力を提供するであろうと計算された。プロトコルごとの感度分析は、主要評価項目における主要なプロトコル違反の効果を評価した。
10の二次有効性評価項目は、0.05の両側αで臨床的重要性を低下させる階層順で試験した(図8を参照;ARR=年換算再発率;CDI=確認された障害の改善;CDP=確認された障害の進行;Gd=ガドリニウム;MSFC=多発性硬化症機能性複合;NEDA=疾患活動性の認められない状態;SF−36 PCS=Short−Form 36、身体的コンポーネントのサマリー(Physical Component Summary)。NEDAは、プロトコルに定義される再発無し、CDP事象無し、新規または拡大T2病巣無し、及びGd−増強T1病変無しとして定義される。個々の研究レベルでの二次有効性評価項目の分析は以下の通りである:
・第一の二次有効性評価項目(少なくとも12週間の確認された障害の進行の発症までの時間)の場合、研究レベルのp値は、関連する治療の相違を検出するための研究レベルでは不十分な統計的検出力であるため、未確認として解釈される。
・第二の二次有効性評価項目(24週目、48週目、及び96週目でのT1 Gd増強病変の総数)は、組み合わせた両試験の分析において、第一の二次有効性評価項目が0.05の有意水準(すなわち、プール解析p≦0.05)に達する場合、かつその場合のみに、確認の方法で試験されることとなる。もし、組み合わせの研究の分析において、第一の二次有効性評価項目のプール解析のp>0.05であると、階層内の第二及びそれに続く二次有効性評価項目のp値は未確認として解釈されることとなる。
・第三の二次有効性評価項目(24週目、48週目及び96週目での新規及び/または拡大T2高強度病変の総数)は、第二の二次有効性評価項目(24週目、48週目、及び96週目でのT1 Gd増強病変の総数)が0.05の有意水準に達する(すなわち、p≦0.05)場合、かつその場合のみに、確認の方法で試験されることとなる。第二の二次有効性評価項目がp>0.05である場合、階層内の第三及びそれに続く二次有効性評価項目のp値は未確認として解釈されることとなる。
・第四(少なくとも12週間の確認された障害の改善を有する患者の割合)及び第五(少なくとも24週間の確認された障害の進行の発症までの時間)の二次有効性評価項目の場合、研究レベルのp値は、関連する治療の相違を検出するための研究レベルでは不十分な統計的検出力であるため、未確認として解釈される。
・第六の二次有効性評価項目(24週目、48週目、及び96週目での新規なT1低強度の病変(慢性ブラックホール)の総数)は、組み合わせ研究の分析において、第五の二次有効性評価項目(少なくとも12週間の確認された障害の進行の発症までの時間)が、0.05の有意水準(すなわち、プール解析p≦0.05)に達する場合、かつその場合のみに、確認の方法で試験されることとなる。もし、組み合わせた両方の研究の分析において、第五の二次有効性評価項目のプール解析のp>0.05であると、階層内の第六及びそれに続く二次有効性評価項目のp値は未確認として解釈されることとなる。
・第七の(及びそれに続く)二次有効性評価項目は、第六の(または直前の)二次有効性評価項目が0.05の有意水準(すなわち、p≦0.05)に到達する場合、かつその場合のみに、確認の方法で試験されることとなる。もし、第六の(及びそれに続く)二次有効性評価項目のp>0.05であると、階層内の第七の(または現在の)及びそれに続く全ての二次有効性評価項目のp値は未確認として解釈されることとなる。
更に、両方の研究からのデータが組み合わされる(したがって、全ての一次及び二次有効性評価項目の比較のために十分な統計的検出力がある)二次有効性評価項目の分析のために:
・第一の二次有効性評価項目(少なくとも12週間の確認された障害の進行の発症までの時間)は、主要有効性評価項目(2年間の年換算プロトコル定義の再発率)が、0.05の有意水準(すなわち、プール解析p≦0.05)に達する場合、かつその場合のみに、確認の方法で試験されることとなる。主要有効性評価項目のプール解析のp>0.05である場合、階層内の全ての二次有効性評価項目のプール解析のp値は未確認として解釈されることとなる。
・第二の(及びそれに続く)二次有効性評価項目は、第一の(または直前の)二次有効性評価項目が0.05の有意水準(すなわち、プール解析p≦0.05)に到達する場合、かつその場合のみに、確認の方法で試験されることとなる。もし、第一の(及びそれに続く)二次有効性評価項目のプール解析のp>0.05であると、階層内の第二の(または現在の)及びそれに続く全ての二次有効性評価項目のプール解析のp値は未確認として解釈されることとなる。
安全性集団は、安全性データの全ての分析に使用され、任意の試験治療を受けた全ての患者が含まれた。
結果
患者
全体的に、1656人の患者が、第一(N=821)及び第二(N=835)の第III相研究に登録された(治療意図集団)。ベースラインの人口統計及び疾患特性は、各研究及び二つの研究の間の集団間で同様であった(表3参照)。
オクレリズマブ及びIFN β−1a治療群それぞれにおいて合計366(89%)及び340(83%)の患者が、第一の研究を完了し(図9を参照)、第二の研究ではオクレリズマブ及びIFNβ−1a治療群において360(86%)及び320(77%)が完了した(図9参照)。オクレリズマブ治療群で患者の85%以上が研究I及び研究IIを完了した。全無作為化患者が、ITT集団に含まれた。何らかの理由で研究から早期に撤退した患者、及び評価が何らかの理由で行われなかった患者もなおITT(治療意図)分析に含まれた。
有効性
第一及び第二の研究からの臨床的及びMRI結果を表4にまとめる。多発性硬化症の再発の頻度は両研究において、オクレリズマブにより減少し、研究Iにおいてはオクレリズマブについての96週での調整年換算再発率(ARR)(主要評価項目)は0.156であり(対してIFN β−1aでは0.292)、研究IIにおいてはオクレリズマブについて0.155(対してIFN β−1aでは0.290)であった(表4及び図10A及び10Bを参照)。オクレリズマブで治療された患者における年換算再発率(プロトコル定義の再発に基づいて)は、IFN β−1に対して研究I及び研究IIのそれぞれにおいて46%及び47%減少した(両方の比較においてp<0.0001)。オクレリズマブで治療された患者における年換算再発率(プロトコル定義の再発に基づいて)は、IFN β−1に対して46%減少した(研究I及び研究II、プールされたデータ;p=0.0001)。調整ARRは二項分布回帰によって計算され、ベースラインEDSSスコア(<4.0対≧4.0)及び地理的位置(米国対世界のその他の地域)に対して調整された。オクレリズマブで治療された患者における年換算再発率(全ての臨床的再発に基づいて)は、IFN β−1に対して研究I及び研究IIのそれぞれにおいて42%(p=0.001)及び47%(p<0.0001)減少した。
*±値は、平均±標準偏差である。
†太字は、事前に指定されたプールされた評価項目を示す。
‡少なくとも2.0のベースラインEDSSスコアを有する患者における
§NEDAは、プロトコルに定義される再発無し、CDP事象無し、新規または拡大T2病巣無し、及びガドリニウム増強病変無しとして定義される。
ベースライン病変数、EDSS(<4.0/≧4.0)、及び地理的領域(US/ROW)により調整される。
障害
IFN β−1aと比較した場合、オクレリズマブは、96週間の研究期間にわたって40%、12週間持続した確認された障害の進行(すなわち、CDP)のリスクを減少させた(研究I及び研究II、プールされたデータ;p=0.0006;図11、CI=信頼区間;HR=ハザード比)。IFN β−1aと比較した場合、オクレリズマブが、12週間持続した確認された障害の進行(すなわち、CDP)のリスクを減少させたことを示している研究I及び研究IIにおいてプールされないデータは、図12A(研究I)及び図12B(研究II)に示される。オクレリズマブはまた、96週間の研究期間にわたって、24週間持続したCDPのリスクを、IFN β−1aに対して40%減少させた(研究I及び研究II、プールされたデータ;p=0.0025;図13)。IFN β−1aと比較した場合、オクレリズマブが、24週間持続した確認された障害の進行(すなわち、CDP)のリスクを減少させたことを示している研究I及び研究IIにおいてプールされないデータは、図14A及び図14Bに示される。少なくとも12週間の確認された障害の改善(すなわち、CDI)を有する(2.0以上のベースラインEDSSスコアを有する)患者の割合は、オクレリズマブを投与される患者(n=628)では20.7%であるのに対してIFNβ−1aを投与される患者(n=614)では15.6%であり、オクレリズマブによる33%のリスク改善を表している(研究I及び研究II、プールされたデータ;p=0.0194)。図15Aを参照のこと。少なくとも12週間の確認された障害の改善(すなわち、CDI)を有する(2.0以上のベースラインEDSSスコアを有する)患者の割合は、オクレリズマブを投与される患者(n=628)では15.6%であるのに対してIFNβ−1aを投与される患者(n=614)では11.6%であり、オクレリズマブによる36%のリスク改善を表している(研究I及び研究II、プールされたデータ;p=0.0343)。図15Bを参照のこと。≧2.0及び≦5.5のベースラインEDSSスコアを有する患者の場合、障害の改善は、ベースラインEDSSスコアと比較して、≧1.0点のEDSSスコアの減少として定義された。>5.5のベースラインEDSSスコアを有する患者の場合、障害の改善は、≧0.5点のEDSSスコアの減少として定義され、相対改善のp値は、研究、ベースラインEDSSスコア(<4.0対≧4.0)、及び地理的領域(米国対世界のその他の地域)によって層別化されたCochran−Mantel−Haenszelカイ二乗試験からであり、層別化因子を含む。欠測EDSSを有するかまたは障害の改善の発症後の確認のない患者は、CDIを有しないものとして数えられる。
研究I及び研究IIにおいて少なくとも12週間の確認された障害の改善を有する(2.0以上のベースラインEDSSスコアを有する)患者の割合についてプールされないデータは、図16A及び図16Bに与えられる。多発性硬化症機能性複合スコアの出力についてプールされないデータは、図16C及び16Dに与えられる。図16C及び16Dは、ベースライン時及び少なくとも一のベースライン後の値での評価を有する患者が含まれる。推定値は、非構造化共分散行列を使用した反復測定(MMRM)の混合効果モデルに基づく分析からである:変化=ベースラインMSFCSスコア+地理的領域(米国対世界のその他の地域)+ベースラインEDSS(<4.0対≧4.0)+週+治療+治療*週(1週間以上反復される値)+ベースラインのMSFCSスコア*週。オクレリズマブで治療された患者の15.6%が24週でCDIを達成し(対してIFNβ−1aで治療された患者においては11.6%)、36%の相対的な改善を示している(相対的リスク1.36[p=0.0343])。
プールされた分析において、IFNβ−1aで治療された患者と比較して(15.0%[n=98])、オクレリズマブで治療された患者の高割合でEDSSスコアを改善していた(20.2%[n=146])(調整後のオッズ比[aOR]1.288[0.964,1.72];p=0.0866])。プールされた分析において、オクレリズマブ群において有意に少ない患者が、IFNβ−1aと比較して(16.6%[n=109])、EDSSスコアを悪化させていた(10.1%[n=73])(aOR 0.575[0.414−0.797],p=0.0009)。図39を参照のこと。
悪化した障害は(ベースラインと比較して96週目で>0.5のEDSSスコアの増加として測定される)、研究IにおいてIFN β−1aを投与される患者に対してオクレリズマブで治療された患者において44%減少し(p=0.0242)、研究IIにおいてIFN β−1aを投与される患者に対してオクレリズマブで治療された患者において44%減少した(p=0.121)。(悪化の相対減少に対するp値は、多項ロジスティック回帰からであり、ベースラインEDSSスコア(<4.0対≧4.0)及び地理的領域(米国対世界のその他の地域)に対して調整される。)悪化した障害は(ベースラインと比較して96週目で>0.5のEDSSスコアの増加として測定される)、IFN IFN β−1aを投与される患者に対してオクレリズマブで治療された患者において43%減少した(研究I及び研究II、プールされたデータ;p=0.0009)。
MRI関連評価項目
IFN β−1aと比較した場合、オクレリズマブは、24週目、48週目、及び96週目でT1ガドリニウム増強病変の総数を、研究Iで94%及び研究IIで95%減少させた(両方の研究においてp<0.0001;表4並びに図17A及び17Bを参照)。研究IにおいてIFN β−1aと比較して、オクレリズマブは、24週目で91%、48週目で98%、及び96週目で95%T1ガドリニウム増強病変の平均総数を減少させた(全ての時点についてp<0.0001、図18Aを参照)。研究IIにおいてIFN β−1aと比較して、オクレリズマブは、24週目で92%、48週目で96%、及び96週目で97%T1ガドリニウム増強病変の平均総数を減少させた(全ての時点についてp<0.0001、図18Bを参照)。図17A〜B及び18A〜Bの結果は、負の二項分布回帰により計算された平均により調整され、ベースラインT1 Gd病変(存在または存在しない)、ベースラインEDSS(<4.0対≧4.0)、及び地理的位置(米国対世界のその他の地域)に対して調整された。T1ガドリニウム増強病変の累積数は、IFN β−1aを投与される患者に対してオクレリズマブを投与される患者において94%減少した(研究I及び研究II、プールされたデータ;p=0.0001)。
研究IにおいてIFN β−1aと比較して、オクレリズマブはまた、24週目、48週目、及び96週目で新規/拡大T2高強度病変の総数を77%、研究IIにおいてIFN β−1aと比較して83%減少させた(両方の比較においてp<0.0001;表4並びに図19A及び19Bを参照)。図19Cに示すように、研究IにおいてIFNβ−1aと比較して、オクレリズマブは、新規/拡大T2高強度病変の平均数を、24週目で41%、48週目で94%、96週目で98%減少させた。図19Dに示すように、研究IIにおいてIFNβ−1aと比較して、オクレリズマブは、新規/拡大T2高強度病変の平均数を、24週目で61%、48週目で96%、97週目で97%減少させた。(負の二項分布回帰により計算された平均により調整され、ベースラインT2病変数、ベースラインEDSS(<4.0/≧4.0)、及び地理的領域(米国対世界のその他の地域)に対して調整される)。EDSS,総合障害度評価尺度;IFN、インターフェロン;MRI、磁気共鳴画像;ROW、世界のその他の地域。オクレリズマブは、IFN β−1aと比較して、MS−関連の脳損傷(T2高強度病変)のより多くの慢性または増殖領域の出現を、24週、48週及び96週で約80%減少させた(プールされた研究I及び研究II)。図19A〜Dの結果は、負の二項分布回帰により計算された平均により調整され、ベースラインT2病変数、ベースラインEDSS(<4.0対≧4.0)及び地理的位置(米国対世界のその他の地域)に対して調整された。新規及び/または拡大T2病変の累積数は、IFN β−1aを投与される患者に対してオクレリズマブを投与される患者において80%減少した(研究I及び研究II、プールされたデータ;p=0.0001)。
IFN β−1aと比較した場合、オクレリズマブは、24週目からは96週目まで脳体積喪失を遅延させた(研究I、p=0.0042;研究II、p=0.0900;図20A及び20B)。IFN β−1aと比較した場合、オクレリズマブは、脳体積喪失の速度を18.8%減少させた(研究I及び研究II、プールされたデータ;p=0.0015;調整された平均の差(0.140;95% CI:0.054、0.226)。分析は、24週目及び24週目の後少なくとも一の評価を有するITT集団に基づいており;p値は、24週目の脳体積、地理的領域、及び年齢に対して研究により調整された96週目の来院時での混合効果モデル反復測定(MMRM)に基づいていた。
IFN β−1aと比較して、オクレリズマブはまた、ベースラインから96週目まで脳体積喪失を遅延させた(研究I、p=<0.0001;研究II、p=0.0001;図21A及び21B)。図20A〜B及び21A〜Bにおける評価項目は、地理的領域(米国対世界のその他の地域)及びベースラインEDSSスコア(<4.0対により層別化されたCochran Mantel Haenszel Χ2試験を用いて比較された。図20A〜B及び21A〜Bにおける評価項目は、地理的領域(米国対世界のその他の地域)及びベースラインEDSSスコア(<4.0対>4.0)により層別化されたCochran Mantel Haenszel Χ2試験を用いて比較された。オクレリズマブは、IFN β−1aと比較して、24週目から96週目まで、研究Iにおいて22.8%(p=0.0042)、研究IIにおいて14.9%(p=0.0900)脳体積喪失の速度を減少させた。図20A及びBを参照のこと。研究Iにおいて、オクレリズマブで治療された患者における脳体積喪失(ベースラインから96週目まで)は、IFNβ−1aで治療された患者に対して23.5%減少した(P<0.0001)。研究IIにおいて、オクレリズマブで治療された患者において脳体積喪失(ベースラインから96週まで)は、IFNβ−1aで治療された患者に対して23.8%減少した(P=0.0001)。図21A及びBを参照のこと。
オクレリズマブで治療された患者は、IFNβ−1aで治療された患者と比較して脳萎縮における18.8%の減少を示した。
オクレリズマブは、研究IにおいてIFN β−1aと比較して57%、研究IIにおいてIFN β−1aと比較して64%、新規T1低強度病変の総数を減少させた。図22A及び22Bを参照のこと。新規T1低強度病変の累積数は、IFN β−1aを投与される患者に対してオクレリズマブを投与される患者において62%減少した(研究I及び研究II、プールされたデータ;p=0.0001)。研究IにおいてIFNβ−1aと比較して、オクレリズマブは、新規T1低強度病変の数を、24週目で27%、48週目で95%、96週目で99%減少させた。研究IIにおいてIFNβ−1aと比較して、オクレリズマブは、新規T1低強度病変の数を、24週目で33%、48週目で95%、97週目で96%減少させた。(各時点の治療群における全ての患者の新規T1低強度病変の総数(24週目、48週目、または96週目の何れか)を、その時点での脳MRIスキャンの総数で割った。負の二項分布回帰により計算された平均により調整され、ベースラインT1病変数、ベースラインEDSS(<4.0対≧4.0)、及び地理的領域(米国対世界のその他の地域)に対して調整される。
研究I及び研究IIにおける有効性評価項目は表5に要約される。
研究Iにおいて、IFNβ−1aで治療された患者の66.7%に対して、オクレリズマブで治療された患者の80.4%が96週で再発無しであった。研究IIにおいて、IFNβ−1aで治療された患者の64.5%に対して、オクレリズマブで治療された患者の78.9%が96週で再発無しであった。
研究Iにおいて、IFNβ−1aで治療された患者の87.8%に対して、オクレリズマブで治療された患者の92.4%が96週でCDP無しであった。研究IIにおいて、IFNβ−1aで治療された患者の84.9%に対して、オクレリズマブで治療された患者の89.4%が96週でCDP無しであった。
研究Iにおいて、IFNβ−1aで治療された患者の86.1%に対して、オクレリズマブで治療された患者の92.3%が改善された/安定した障害を有していた。研究IIにおいて、IFNβ−1aで治療された患者の80.4%に対して、オクレリズマブで治療された患者の87.5%が改善された/安定した障害を有していた。
研究Iにおいて、IFNβ−1aで治療された患者の13.9%に対して、OCRで治療された患者の7.7%が障害を悪化させた(調整後のオッズ比0.559;p=0.0242)。研究IIにおいて、IFNβ−1aで治療された患者の19.6%に対して、OCRで治療された患者の12.5%が障害を悪化させた(調整後のオッズ比0.577;p=0.0121)。
研究Iにおいて、IFNβ−1aで治療された患者の69.8%に対して、オクレリズマブで治療された患者の91.7%が96週でT1ガドリニウム増強病変無しであった。研究IIにおいて、IFNβ−1aで治療された患者の63.9%に対して、オクレリズマブで治療された患者の90.2%が96週でT1ガドリニウム増強病変無しであった。
研究Iにおいて、IFNβ−1aで治療された患者の38.7%に対して、オクレリズマブで治療された患者の61.7%が96週で新規/拡大T2病変無しであった。研究IIにおいて、IFNβ−1aで治療された患者の38.0%に対して、オクレリズマブで治療された患者の60.9%が96週で新規/拡大T2病変無しであった。
24週後、IFNβ−1aで治療された患者の60.8〜70.9%と比較して、全てのOCRで治療された患者の≧96.0%が新規/拡大T2病変無しであった。
IFNβ−1aを投与された患者よりも多くの、オクレリズマブを投与された患者が、Short Form−36(SF−36)身体的コンポーネントサマリー(PCS)により測定して、生活の質の変化の改善を報告した。図38を参照のこと。
安全性
有害事象
研究I及び研究II(プールされたもの)において、有害事象の全体の発生率は、IFNβ−1a及びオクレリズマブで治療された患者においてそれぞれ83.3%及び83.3%であった(表6Aを参照)。
表6Aは、少なくとも一の治療群において≧5%の患者で発生するプールされたAEのみとその対応する器官別大分類を含む。
研究I及び研究II(プールされたもの)において、IFNβ−1aで治療された患者の8.7%、及びオクレリズマブで治療された患者の6.9%において重篤な有害事象が報告された。(表6Bを参照)。
感染症
感染症の発生率は、研究IにおいてIFN β−1aで52.8%及びオクレリズマブで56.6%であり、研究IIにおいてIFN β−1aで52.0%及びオクレリズマブで60.2%であった。最も一般的な感染症(少なくとも一の治療群の患者の少なくとも10%で報告)は、***症、上気道感染症、及び鼻咽頭炎であった。両研究での重篤な感染症の発生率は低かった(両方の研究における全治療群全体で1.2から2.9%)。重篤な日和見感染は、96週間の研究期間中に何れの群でも報告されなかった。全体的に、ヘルペスウイルス感染症は、IFN β−1aで治療された28人の患者及びオクレリズマブで治療された50人の患者で報告された。全ての症例は、研究Iでオクレリズマブで治療された患者において、重度と段階分けされた単純ヘルペスの1症例を除いて、軽度または中等度であった。
注入関連反応
少なくとも一の注入関連反応(IRR)を有する患者の数は、IFN β−1aに対してオクレリズマブで治療された患者において高かった(研究IにおいてIFN β−1aでは7.3%に対してオクレリズマブでは30.9%;研究IIにおいてIFN β−1aでは12.0%に対してオクレリズマブでは37.6%;研究I及び研究IIの両方(プールされたもの)においてIFN β−1aでは9.7%に対してオクレリズマブでは34.3%)。一のOCRで治療された患者は、第一の注入時に、生命を脅かす気管支痙攣を伴う重篤なIRRを有し;事象の回復にもかかわらず、その後の治療は、プロトコルごとに中止された。第一の注入の間のIRRに起因する治療からの撤退は、オクレリズマブ群のみにおいて11人の患者(1.3%)で生じた。オクレリズマブで治療された患者によるIRR発生率は第一の注入で最も高く(27.5%)、その後の投薬で著しく減少した(用量2で13.7%)。注入関連反応の大半はグレード1または2であって、一用量の第一の注入で報告された(図23A及び23Bを参照、研究I及び研究IIに対してプールされたデータ)。列内の数字は、IRRのグレードを経験した患者の割合を表す。共通用語基準(CTCAE)による類別:グレード1 軽度;無症候性または軽度の症状;グレード2 中等度;最小限の局所的または非侵襲的介入が必要とされる;グレード3 重度または医学的に有意であるが直ちに生命を脅かさない;グレード4 生命を脅かす帰結;緊急の介入が必要とされる;グレード5 AEに関連する死。記:全員が100mgの静注メチルプレドニゾロンを投与された。96週間にわたって、IFNβ−1aの患者の9.7%(n=80/826)及びオクレリズマブで治療された患者の34.3%(n=283/825)が少なくとも1のIRRを有し;ほとんどが重症度が軽度から中等度であった(それぞれ、9%[n=79]及び93%[n=262])。オクレリズマブで治療されることによるほとんどのIRR症状は、掻痒、発疹、喉の炎症及び紅潮を含んでいた。IRRSはほとんどが注入中に発生し(IFNβ−1a、46.3%;オクレリズマブ、80.6%)、注入の調整と対症療法で抑えられていた(IFNβ−1a群においてIRRを有した患者の42.5%及びオクレリズマブ群における65.4%が治療を受けた)。
悪性腫瘍
合計で、2つの悪性腫瘍がIFNβ−1aで報告され(一つはマントル細胞癌で一つは扁平上皮癌)、4つの悪性腫瘍がオクレリズマブで治療された患者で報告された(浸潤性乳管乳癌の2例、1つは腎細胞癌、1つは悪性黒色腫)。
実験的評価
実験的評価において、2週目までに、平均のCD19レベルは、オクレリズマブで治療された患者において無視できるまでに減少した。CD3−、CD4、CD8−、CD16−、及びCD56陽性細胞への影響は無く、先天性免疫及び総T細胞数がオクレリズマブによって影響されないことを支持している。おたふく風邪、風疹、水痘、肺炎球菌についての既存の抗体価にオクレリズマブの影響はなかった。
研究I及び研究IIにおいてIFN β−1aに対するオクレリズマブの直接の比較のみが測定されたが、これらの有効性と安全性の結果は、2年間のオクレリズマブのベネフィット/リスクプロファイルは、RMS患者の治療のために利用できる全ての疾患修飾治療(DMT)よりも優れていることを示唆している。
体液性免疫マーカーに対するオクレリズマブの影響
研究登録の前に、医師は、患者の免疫状態を確認し、ワクチン接種のための地元のガイダンスに従うことが推奨された;免疫付与は、治療前の≧6週間に完了することになっていた。流行性耳下腺炎、風疹、水痘、及び肺炎連鎖球菌に対する抗体(Ab)力価の測定は、ベースライン時、及び12週目、24週目、48週目、72週目及び96週目で行われた。防御と考えられる抗体レベルを有する患者の割合は、経時的に各治療群について評価された。
おたふく風邪:IFNβ−1aで治療された患者の94.1%及びオクレリズマブで治療された患者の93.6%が、ベースライン時におたふく風邪Abの陽性レベルを有していた。(この割合は、96週間の研究の治療期間中に行われた6回の測定にわたって(最小−最大)92.7−94.8%(IFNβ−1a)及び91.8−93.5%(オクレリズマブ)の範囲であった)。
風疹:IFNβ−1aで治療された患者の87.9%及びオクレリズマブで治療された患者の89.0%は、風疹の陽性レベルを有しており、治療期間中に行われた6回の測定にわたって(最小−最大)89.8−90.8%(IFNβ−1a)及び88.7−89.4%(オクレリズマブ)の範囲であった。
水痘:両方の治療群の95.5%が、ベースライン時に、水痘Abの陽性レベルを有しており、治療期間中に行われた6回の測定にわたって(最小−最大)96.2−97.5%(IFNβ−1a)及び94.8−95.6%(オクレリズマブ)の範囲であった。
肺炎球菌:評価可能な患者の中で、肺炎球菌Abの平均(標準偏差)レベルは、ベースライン時に、IFNβ−1aで治療された患者において53.67(54.13)mg/mL、オクレリズマブで治療された患者において55.35(67.00)mg/mLであった。96週目で、肺炎球菌Abの平均(標準偏差)レベルは、IFNβ−1aで治療された患者において51.74(42.50)mg/mL、オクレリズマブで治療された患者において54.06(80.98)mg/mLであった。96週で、ベースラインからの平均変化は、IFNβ−1aで治療された患者において−1.13(40.25)mg/mL、オクレリズマブで治療された患者において−1.99(59.60)mg/mLであった。
免疫応答に対するオクレリズマブの影響
感染は、MS疾患の増悪につながる可能性があり、現在用いられている治療との治療合併症を引き起こしうる。したがって、感染症に対するワクチン接種は、MSを有する患者の管理の一部である。この研究は、オクレリズマブで治療された患者が、臨床的に関連するワクチンに対して保護的な免疫応答を開始することができるかどうかを評価する。この研究は、以下のワクチンを使用して、異なる免疫応答経路を評価する:
a)T細胞依存性の既往体液性応答を評価するための破傷風トキソイド(TT)を含有するワクチン接種;
b)ほとんどがT細胞非依存性または純粋なB細胞体液性応答を評価するための23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン(23−PPV);
c)新抗原に対するB細胞依存性免疫応答を探索するためのキーホールリンペットヘモシアニン(KLH);
d)23−PPVワクチン単独と比較して、23−PPVワクチンに続くブースター13−PCVの臨床有効性を評価するためのブースター13価コンジュゲート肺炎球菌ワクチン(13−PCV);
e)臨床的に関連するワクチンに対する体液性応答を開始する能力を試験するためのインフルエンザワクチン。
第III相の、再発性多発性硬化症を有する患者における免疫応答に対するオクレリズマブの効果を評価するための非盲検研究において、1日目と15日目に2回の300mgの静脈内注入としてオクレリズマブ600mgを投与されるために、およそ100人の患者が無作為化される(2:1)。A群患者は、免疫化の前にオクレリズマブを投与される。B群患者は、免疫化の間にインターフェロン治療により、治療を受けないままである/継続する。
A群患者は、第一のオクレリズマブ投与の≧85日/12週間後に免疫化される。簡潔に言えば、A群は、12週目に破傷風トキソイド(TT)を含有する吸着ワクチンで、16週目に23価肺炎球菌ポリサッカリドワクチン(23−PPV)で、並びに12週目、16週目、及び20週目にキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)で免疫化される。A群の患者は、更に細分化され、以下の何れかを投与される。
・ブースター13−肺炎球菌コンジュゲートワクチン(13−PCV;A1群);または
・インフルエンザワクチン(A2群)。
B群患者は、1日目にTTで、28日目に23−PPVで、1日目、28日目、及び56日目に(KLH)で、並びに1〜12週の間にインフルエンザワクチンで免疫化される。
この研究の主な包含基準は、以下のとおりである:RMS診断(2010年に改訂されたマクドナルドの基準、Polman et al.Ann Neurol 2011;69:292−302);18〜55歳の年齢;TTもしくは破傷風及びジフテリア(DT/Td)、または破傷風、ジフテリア、及び非細胞性百日咳(DTaP/Tdap)に対する≧1の以前の免疫化の受領;0.0〜5.5のEDSSスコア。主な除外基準は、以下のとおりである:TTを含有する吸着ワクチンの任意の成分、肺炎球菌ポリサッカリド/コンジュゲートワクチン、またはインフルエンザワクチンに対する既知の過敏性;スクリーニングの<5年前の任意のPPV、または無作為化の<6週間前の生ワクチンの受領;KLHに対する以前の曝露またはスクリーニングの<2年前の任意の破傷風を含有するワクチンでの免疫化。
全ての群は、研究期間の終了まで、免疫後の評価を受ける(A群:169日目/24週目;B群84日目/12週目)。主な適格基準は、TT、破傷風またはジフテリア;または破傷風、ジフテリア及び無細胞百日咳に対する少なくとも1回の前の免疫化を含む。主要評価項目は、免疫後8週間で正のTT応答(IgG)を有するA1群及びA2群における患者の割合を、B群の患者と比較する。ブースター免疫化に対する正の応答は、≧0.2IU/mLの抗体力価(免疫前力価<0.1IU/mL)または抗体力価の4倍増加(免疫前力価≧0.1IU/mL)として定義される。
主な二次評価項目は、以下に列挙される:
TT応答
・免疫後4週間でTTワクチンに対して正の応答(IgG)を有する、オクレリズマブで治療されていない患者(B群)の割合に対するオクレリズマブで治療された患者(A1群及びA2群)の割合;
・免疫後4週間で破傷風抗体力価の2倍増加(免疫前力価≧0.1IU/mL)を有する、または≧0.2IU/mL(免疫前力価<0.1IU/mL)の破傷風抗体力価を有する、オクレリズマブで治療されていない患者(B群)の割合に対するオクレリズマブで治療された患者(A1群及びA2群)の割合;
・ブースターワクチンの直前及び4週間後に測定された、OCRで治療された患者(A1群及びA2群)及びOCRで治療されていない患者(B群)における抗破傷風抗体の平均レベル
23 PPV
・23−PPV後4週間で個々の抗肺炎球菌抗体血清型に対して正の応答を有する、オクレリズマブで治療されていない患者(B群)の割合に対するオクレリズマブで治療された患者(A1群及びA2群)の割合。正の応答は、免疫前レベルと比較して、レベルの2倍増加または>1μg/mLの上昇をもたらすものとして定義される。
KLH
・KLHの最初の投与直前及び最後の投与後4週間で測定された、オクレリズマブで治療されていない患者(B群)の割合に対するオクレリズマブで治療された患者(A1群及びA2群)における抗KLH抗体(IgG)の平均レベル。
A1群及びB群における肺炎球菌コンジュゲートブースター応答
・ブースター13−PCVワクチン後4週間で測定された個々の抗肺炎球菌抗体血清型(23血清型)に対して正の応答を有する、オクレリズマブで治療されていない患者(B群)の割合に対するA1群のオクレリズマブで治療された患者(A1群)の割合。正の応答は、免疫前レベルと比較して、レベルの2倍増加または>1μg/mLの上昇をもたらすものとして定義される。
インフルエンザワクチン応答
・オクレリズマブで治療されていない患者(B群)と比較して、免疫後4週間で血清防御を達成する(特定の赤血球凝集阻害力価>1:40)、オクレリズマブで治療された患者(A2群)の割合。
免疫表現型検査評価項目
・体液性及び細胞性免疫の尺度は、以下を含む:(a)総B細胞(CD19+);(b)B細胞サブセット(記憶、ナイーブ、血漿);(c)総T細胞(CD3+);(d)Tヘルパー細胞(CD3+CD4+);(e)細胞傷害性Tリンパ球(CD3+CD8+);及び(f)ナチュラルキラー細胞(CD3−CD16/56+)。
非盲検延長段階
二重盲検、制御された治療段階研究I、及び研究IIに続いて、患者は、オクレリズマブの長期安全性、忍容性、及び有効性を評価するための非盲検延長(OLE)段階に入る資格がありうる。再発型MSにおけるOCRの長期安全性及び有効性を評価する、非盲検研究I及び研究II延長研究の設計は、以下に記載される。
OLE段階に入る患者は、4週間まで続くOLEスクリーニング段階に入る。OLEスクリーニング中、患者は、用量5の第一の注入まで、IFN β−1AまたはIFN β−1Aプラセボを投与される。OLE段階は、オクレリズマブが患者の国で地域の規定に従って商業的に入手可能になるまで、または提供者がオクレリズマブMSプログラムを終了することを決定するまで続く。OLE段階は、4年(208週間)を超えない。OLEは、義務ではない。OLE段階に進むことを望まない患者は、患者の最後の来院日から開始して12週間隔で実施される、安全性フォローアップ段階に入れられる。B細胞が十分にない場合は、継続したモニタリングが生じる。
OLE段階の主な包含基準は、盲検治療期間の完了;患者が治療期間中に実施される評価に基づいてOCR治療から恩恵を受けることができると判断する研究者からの同意;OLE段階に入ることに対する患者からの文書によるインフォームドコンセント;及びオクレリズマブ治療/再治療基準を満たすことを含み、患者は、以下の条件及び実験的異常を含まない:(a)前のOCR注入中に発生した生命を脅かす(CTCAEグレード4)注入関連事象;(b)任意の有意または制御されていない病状または治療緊急性の、臨床的に有意な実験的異常;(c)活動性感染;(d)絶対好中球数<1.5×103/μL;(e)CD4細胞数<250/μL;及び(f)低γグロブリン血症免疫グロブリンG<3.3g/L。
主な安全性及び有効性評価のスケジュールは、以下の表6Cに示される。
a遅延した投与来院は、投与がスケジュールされた投与来院で投与することができない場合に実施される。この時点で、他の試験/評価を必要に応じて実施することができる。
bスケジュールされていない来院(非投与)中、評価は、患者の臨床的必要性により実施される。この時点で、他の試験/評価を必要に応じて実施することができる。
c神経学的検査は、予定された来院及びスケジュールされていない来院時に毎回実施される。MSの悪化または再発を示唆する新規神経学的症状を有する全ての患者は、試験する研究者によりEDSSを実施されているべきである。
dEDSSスコアは、12週間ごとに試験する研究者により全ての患者において実施される。追加のEDSS評価は、来院間で実施されうる(すなわち、MS再発中、神経学的悪化中等)。障害の進行は、別の病因に起因しない、ベースラインEDSSスコアからの≧1.0点(ベースラインEDSSは≦5.5である)または≧0.5点(ベースラインEDSSは>5.5である)の増加として定義される。
e患者は、各スケジュールされた来院時に、必要に応じてスケジュールされていない来院時に、治療する研究者により再発について評価され、来院間に発生した再発を確認する。再発が疑われる場合、MS再発電子症例報告フォームに記入することに加えて、EDSSも実施されるべきである。
fEQ−5D(EuroQol五次元質問表)評価が毎年実施される。
g毎年の脳MRIスキャンは、OLE段階の開始時(前の12週間に何も行われなかった場合)、スケジュールされた来院の(±)4週間以内、及びOLE撤退来院時(前の4週間に何も行われなかった場合)に実施される。
hルーチン安全性実験的評価は、血液学、化学、及び尿検査を含む。
i併用薬及び手順は、各スケジュールされた来院及びスケジュールされていない来院時に報告される。
j共通抗原(おたふく風邪、風疹、水痘、及び肺炎連鎖球菌)に対する抗体力価が実施される。
概要
研究I及び研究IIは、IFN β−1aと比較して、MSの再発性形態を有する患者において、オクレリズマブが大幅に年換算再発率並びに12及び24週間の確認された障害の進行を減少させたことを示した。オクレリズマブは、二つの別々の第III相研究において、12及び24週間の両方の確認された障害の進行を有意に減少させる多発性硬化症のための最初の治療であり、アクティブコンパレータ(active comparator)に対して、効果の一貫性を実証している。少なくとも12週間確認された障害の改善を達成している患者の割合はまた、IFN β−1aと比較して、オクレリズマブを投与される患者において有意に増加した。これらの臨床所見は、それによりオクレリズマブが、IFN β−1aと比較して、脳内のT1ガドリニウム増強病変及び新規/拡大T2病変の数を有意に減少させるMRI評価項目により立証されている。T1ガドリニウム増強病変及び新規/拡大T2病変への影響は、それが局所炎症を示唆し、疾患活動性が大幅に中断/停止されるような大きさである。
探索的分析において、IFN β−1aと比較して、オクレリズマブは、尿体積喪失を減少させた(図21A〜Dを参照)。更なる探索的分析において、IFN β−1aと比較して、オクレリズマブは、EDSS≧2.0のITT集団において、疾患活動性の認められない状態(NEDA)を有する患者の割合を増加させた(表4及び表5を参照)。IFN β−1aと比較して、オクレリズマブは、ITT集団の全ての患者において、疾患活動性の認められない状態(NEDA)を有する患者の割合を増加させた(図34A及び34Bを参照)。図34A及び34Bにおいて、NEDAを有する患者の割合は、地理的領域(米国対世界のその他の地域)及びベースラインEDSSスコア(<4.0対≧4.0)により層別化されたCochran Mantel Haenszel Χ2試験を用いて比較された。
これらの有効性の結果は、障害の悪化の減少及び一部の患者において機能の増加を実証しており、オクレリズマブが炎症及び神経損傷のマーカーに対する影響を有するという仮説を立証する。炎症性並びに退行性転帰の両方においてオクレリズマブによって実証された有効性は、オクレリズマブによる治療は強力な抗炎症作用を有し、かつ神経保護効果を有し得ることを示唆している。
研究I及び研究IIにおけるオクレリズマブによる利点は、早期に観察され、96週間の治療期間にわたって持続されており;以前の経験に基づいて、リバウンドのリスクは治療中止の際に予想されていない(Kappos et al.(2012)“Long−term safety and efficacy of ocrelizumab in patients with relapsing−remitting multiple sclerosis:Week 144 results of a phase II,randomized, multicentre trial.”28th Congress of the European Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis)。
オクレリズマブを投与される患者において観察された有害事象は、オクレリズマブの第II相試験で報告されたものと一致した(Kappos et al.(2011)Lancet.378,1779−87)。96週間の研究中に報告された重篤な日和見感染症の症例はなかった。これまでの結果は、オクレリズマブは免疫監視機構に対して明らかな影響を与えないことを示唆している。全体として、研究I及び研究IIの両方において、オクレリズマブは、96週間にわたってIFN β−1aと比較して同様の安全性プロファイルを有していた。
薬物の種類として、CD20+標的型治療は、進行性多巣性白質脳症の危険性が低い(25,000人中<1)(Clifford et al.(2011)Arch Neurol.68,1156−64)。進行性多巣性白質脳症の症例は、現在までのSTUDY研究において報告されていない。
予想されたように、注入関連反応は、オクレリズマブでより一般的に見られた。オクレリズマブの600mg用量による第II相試験と一致して、これらの反応は第一用量で主として観察され、その後の用量で減少した(Hauser et al.(2008)N Engl J Med.358,676−88)。これは、第一の600mgの用量を、約2週間区切られた300mgの2回の別々の注入に分割するための根拠を立証している。注入関連反応は、前投薬、注入調整及び対症療法で管理可能であった。
全体として臨床及びMRIデータは、オクレリズマブは、高有効性治療であると考えられるものを含む、多発性硬化症のための任意の他の試験治療と同様に有効であることを示唆する。研究I及び研究IIにおいてIFN β−1aに対する直接の比較のみが測定されたが、これらの有効性と安全性の結果は、2年間のオクレリズマブのベネフィット/リスクプロファイルは、RMS患者の治療のために利用できる全ての疾患修飾治療よりも優れていることを示唆している。高有効性は、IFN β−1aと比較して安全上のリスクの増加と関連していない。その他の利点は、治療上の利益の早期開始、及びオクレリズマブの中止の際にリバウンドの証拠が無いことが含まれる。
研究I及びII研究から得られたデータは、CD20+ B細胞を標的とすることは、再発性MSの治療に有効でありうることを示している。
サブグループ分析
様々な程度の疾患活動性及び研究登録前の治療に対する以前の応答による相対的な利益/リスクを評価するために、4つの追加のサブグループが同定された:
活動性治療ナイーブ;前の2年間に少なくとも2回の再発、及び無作為化前の最後の年に少なくとも1回の再発を経験しており、事前治療を伴っていないと定義される。
活動性不十分な応答者;少なくとも1年間IFN β−1aまたは酢酸グラチラマーにより以前に治療され、かつ(a)前年に少なくとも1回の再発を経験したかまたは(b)少なくとも1のベースラインガドリニウム増強病変を経験したかの何れかである患者として定義される。
高活動性治療ナイーブ患者;無作為化前の最終1年間で少なくとも2回の再発、及び先のMRIと比較して、ベースライン来院時に、(a)少なくとも1のベースラインガドリニウム病変または(b)T2病変の増加(0〜5から6〜9の病変へまたは6〜9の病変から>9病変へ断定的に変化する)の何れかを経験しており治療に対してナイーブである患者として定義される。
高活動性不十分な応答者:少なくとも1年間インターフェロンまたは酢酸グラチラマーで以前に治療され、昨年少なくとも1回の再発を有し、ベースラインで(a)少なくとも9つのT2病変を有するかまたは(b)少なくとも1個のガドリニウム病変を有するかの何れかである患者として定義される。
研究I及び研究IIは、4つのサブグループ全体の差異を検出するための力を高めるためにプールされた。治療差の適切な検出を可能にするために、各サブグループ内に少なくとも100人の患者がいた。
治療群/群ごとの年換算再発率が、不十分な応答者における傾向が、オクレリズマブIFNβ−1aの絶対転帰によるものであるかどうかを決定するために調べられた。全体として、オクレリズマブは、IFN β−1aと比較して、全てのサブグループ内の年換算再発率を減少させるのに有意な効果を示した(図43を参照)。インターフェロン治療群における不十分な応答者は、ITT群よりも高いARRを有していたが、一方同一群内のオクレリズマブの患者は、ITT群よりも低いARRを有していた。活動性治療ナイーブ群は、インターフェロン及びオクレリズマブ群の両方においてより高いARRを有していた。
4つ全てのサブグループ間で、オクレリズマブは、IFN β−1aと比較して、ARR、CDPについて少なくとも12週間、CDPについて少なくとも24週間、CDI及びMRIについて、より大きな治療効果を有していた(図43〜47を参照)。ARR及びMRIについて、差は4つ全てのサブグループ全体で統計的に有意であった。CDPについて少なくとも12週間、活動性及び高活動性不十分な応答者の両方において、オクレリズマブが、IFN β−1aと比較して、一貫した治療効果を有することを実証する統計学的に有意な効果があった。CDPについて少なくとも24週間、これらの群は、有意性に向かう傾向を実証した(それぞれ、p=0.075及びp=0.082)。T1 Gd増強病変(急性炎症効果を示し、OCRの作用機序と一致する)のような客観的尺度で比較した場合、IFN β−1aと比較したオクレリズマブの堅牢性と一貫性のある効果は、全サブグループ全体で明らかである。
同様に、4つのサブグループに対して安全性転帰の分析が行われ、全体的に安全な集団と比較された。比較的小規模の群に起因して、群間の比較は、少数の事象に基づいて不適切な結論を引き出さなために制限されてきた。4つのサブグループにおける安全性の転帰は互いに一致しており、中止につながるAE、SAE及びAEを経験した患者が一般的に低割合である全体集団(OCRへの任意の曝露を受けた任意の患者として定義された「安全集団」)と類似していた。安全集団における観察と一致し、インターフェロン群と比較しオクレリズマブ群でより多くの感染があったが、一方オクレリズマブ治療群において重篤な感染症を経験した患者の割合は、全てのサブグループにおいてインターフェロンと類似するかまたは低かった。
全体的なオクレリズマブの有効性と安全性の転帰は、全てのサブグループにおいてITT/安全集団と同等であった。オクレリズマブは、このように全てのサブグループにおいて有利なベネフィット/リスクプロファイルを示した。サブグループ間でのデータの一貫性は、総集団で観察された効果を更に立証している。
実施例2:一次性進行型多発性硬化症を有する患者におけるオクレリズマブの第III相研究
無作為化、並行群、二重盲検、プラセボ対照研究は、一次進行型多発性硬化症を有する患者において、プラセボと比較して有効性とオクレリズマブの安全性を評価するために行われた。
MSの進行型における臨床試験は、疾患進行速度の不均一性に起因して典型的には期間が>2年であり、これは予想されるよりも時折歴史的に少なく、治療効果を示すことができない結果となる。この研究は、遅い疾患進行に起因して、確認された障害の進行事象の予想数が120週までに到達しなかった場合は、治療差を検出する統計的力を維持するために十分な進行事象が発生するまで治療期間が延長されることを意味する事象駆動型設計を有していた。その結果、盲検治療期間は、登録された最後の患者から最小で120週間であり;平均治療期間は3.5年であった。ほとんどの患者は、盲検治療段階で3から4年間観察され続ける。
方法
資格及び除外基準
主な適格基準は以下を含む:年齢が18歳から55歳;2005年に改訂されたマクドナルドの基準(Polman et al.(2011)″Diagnostic criteria for multiple sclerosis:Ann Neurol 58,840−846)に従った一次進行型多発性硬化症の診断;スクリーニング時に3から6.5ポイントの総合障害度評価尺度(EDSS)スコア;脳脊髄液(CSF)検体中で上昇したIgGインデックス及び/または脳脊髄液(CSF)検体中で等電点電気泳動により検出された一以上のIgGオリゴクローナルバンドのスクリーニング時の履歴または存在を文書化した機能システムスケール(FSS)のピラミッド形機能コンポーネントで少なくとも2.0のスコア;再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)または進行型再発多発性硬化症(PRMS)の既往無し;MS症状の発症からの疾患期間が、(a)スクリーニング時のEDSSが>5.0である患者において15年未満、または(b)スクリーニング時のEDSSが≦5.0である患者において10年未満;及びスクリーニング時に他の多発性硬化症疾患修飾治療により無治療。
主な除外基準は以下を含む:スクリーニング時に再発寛解型多発性硬化症、二次性進行型または進行型再発性多発性硬化症の既往;磁気共鳴画像(MRI)についての禁忌;他の神経疾患の既知の存在;既知の活動性感染症または再発性もしくは慢性感染症の既往もしくは存在;固形腫瘍及び血液学的悪性腫瘍を含む癌の既往(基底細胞を除いて、皮膚のインサイツ扁平上皮癌及び切除されて消散されたインサイツ子宮頸癌);B細胞標的療法(例えばリツキシマブ、オクレリズマブ、アバタセプト、ベリムマブ、またはオファツムマブ)による前処置;リンパ球輸送遮断薬(例えば、ナタリズマブ、FTY720)による任意の以前の治療;アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標)、LEMTRADA(商標))、抗CD4、クラドリビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、メトトレキサート、全身照射、または骨髄移植による任意の以前の治療;無作為化前の12週間以内のインターフェロン、酢酸グラチラマー、静脈内、免疫グロブリン、血漿交換、または他の免疫調節療法による治療;スクリーニング前4週間以内の全身コルチコステロイド療法;及びこの研究の過程における全身性コルチコステロイドまたは免疫抑制剤による長期治療を必要としうる任意の合併症。スクリーニングの前に自らのMSのために全身性コルチコステロイドを使用している患者に対してスクリーニング期間を延長することができる(ただし、8週間を超えることはできない)。患者が適格であるためには、全身性コルチコステロイドは、スクリーニング及びベースラインの間に投与されているべきではない。
研究計画
患者は2:1に無作為化され、オクレリズマブ(静脈内に300mg、各治療サイクルで14日間で区切られた2回の注入(すなわち、曝露))またはプラセボの何れかを投与される。患者は年齢(≦45対>45)及び地理的領域(米国対世界のその他の地域)によって層別化された。
研究は以下の期間からなる(図24に要約):
最大4週間のスクリーニング。
盲検治療期間:全ての患者は、各サイクルが24週間の5回の治療サイクルを表す、少なくとも120週間の研究治療を受けた。患者は12から18ヶ月の期間にわたって募集されたので、この盲検治療期間は、研究に登録された患者の第一の群において3.5から4年まで延長された。図24に示すように、オクレリズマブ用量は、14日間で区切られた300mg×2の二重の静脈内注入として投与された。各オクレリズマブまたはプラセボ注入の開始30分前に、患者は静脈内に100mgのメチルプレドニゾロンを投与された。経口鎮痛/解熱剤(例えば、アセトアミノフェン)、及び経口抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)による注入前治療も推奨されていた。盲検治療期間は、元のサンプルサイズ仮定に基づいて、およそ253事象に到達したときに終了するように設計された。この事象数が120週までに到達されていなかった場合、標的事象数が到達されるまで研究を続ける。
非盲検治療期間:一次非盲検化に続いて、更なる治療の恩恵を受けることができる患者は、非盲検のオクレリズマブを投与される。オクレリズマブ群に無作為化された患者は、24週毎に非盲検で二重のオクレリズマブ注入による治療(14日間隔で300mgの静脈内注入を投与される)を続ける。プラセボに無作為化された患者は、暫定的データベースロック及び一次分析後に次回にスケジュールされた来院で始まる第一の非盲検治療サイクルにおいて、二重のオクレリズマブ注入を投与され、すなわち、14日間隔で2回の2静脈内注入を投与される。
研究手順
主要有効性評価項目は、定期的にスケジュールされた来院に基づいて、少なくとも12週間持続したEDSSの増加として定義される治療期間にわたって確認された障害の進行の発症までの時間であった。確認された障害の進行(CDP)は、ベースラインスコアが5.5以下であった場合、ベースラインEDSSから少なくとも1.0の、少なくとも12週間持続した増加、またはベースラインスコアが5.5以下であった場合、少なくとも0.5の増加を意味する。
二次評価項目は以下を含む:定期的にスケジュールされた来院に基づいて、少なくとも24週間持続したEDSSの増加(すなわち、24週のCDP)として定義される治療期間にわたって確認された障害の進行の発症までの時間;ベースラインから120週目までのTimed 25−foot walk(T25−FW)の変化;ベースラインから120週目までの全T2病変体積のMRIの変化率;24週目から120週目までの全脳体積のMRIの変化率;及びベースラインから120週目までのShort Form−36(SF−36)身体的コンポーネントスコアの変化、並びにオクレリズマブの安全性及び忍容性。
探索的評価項目は、12週間及び24週間確認された複合障害の進行の発症までの時間(EDSS進行の第一の確認された発生、または25−foot walkの少なくとも20%の増加、及び/または9−hole peg test(9−HPT)時間の少なくとも20%の増加として定義される)、25−foot walkの少なくとも20%の持続した進行までの時間、治療期間中の9−hole peg testの少なくとも20%の持続した進行までの時間、及びベースラインから120週目までに脳MRIにより検出される新規または拡大T2病変の総数を含んでいた。9−HPTは、上肢機能及び微細な手先の器用さの標準定量的試験である。それはMSFC(多発性硬化症機能複合)の第2のコンポーネントである。
追加の感度分析は、主要な結果と一致しており、プロトコルに定義される再発を含む、医師により報告された臨床的再発を経験した患者を除外することによって、確認された障害の進行データに対する研究中の再発の影響を評価するために実施した(表12A)。プロトコルに定義される再発は、プラセボ群において患者の11%、オクレリズマブ群において5%について報告された。ベースライン時にT1ガドリニウム増強病変を有する患者及び有しない患者における主な臨床的及びMRI有効性評価項目のサブグループ分析は、全体研究集団と一致していた(以下の表12C〜12E)。
統計分析
統計的階層は、図25に提供される。
結果
患者
表12Bに示されるように、患者の多発性硬化症疾患の履歴及び特性は良好にバランスがとれていた。
図26に示すように、治療意図集団の特性は良好にバランスがとれていた。一次分析のデータベースロックにおいて、プラセボ群における159人(67%)に対して、オクレリズマブ群における390人(80%)の治療された患者が治療を受けたままであった(中央値研究期間は、プラセボで2.8年、オクレリズマブで2.9年であった)。データベースロック前に研究から撤退する患者のうち、プラセボ群における45人(56%)に対して、オクレリズマブ群における61人(64%)が、安全性フォローアップに入れられた。
障害
プラセボを投与される患者と比較して、600mgのオクレリズマブを投与される患者において少なくとも12週間持続した確認された障害の進行までの時間が図27に提供される(HR−ハザード比)。プラセボを投与された患者と比較して、600mgのオクレリズマブを投与される患者において少なくとも24週間持続した確認された障害の進行までの時間が図28に提供される。確認EDSS評価を伴わずに早期に治療を中止し初期障害が進行したITT患者は、確認された障害の進行を有すると考えられ、p値は地理的領域及び年齢により層別化されたログランク検定に基づいていた。オクレリズマブは、≧12週間持続したCDPのリスクをプラセボに対して24%減少させ、かつ≧24週間持続したCDPのリスクをプラセボに対して25%減少させた。図27及び28における分析は、ITT集団に基づいており;p値は地理的領域及び年齢によって層別化されたログランク検定に基づいていた。確認EDSS評価を伴わずに早期に治療を中止し初期障害が進行した患者は、確認された障害の進行を有すると考えられた。
12週間のCDPのリスクは、ベースライン時にT1 Gd+病変を有しオクレリズマブを投与された患者では35%減少し(ハザード比 0.65;95% CI,0.40−1.06;p=0.0826)、ベースライン時にT1 Gd+病変を有しない、オクレリズマブを投与された患者では16%減少した(ハザード比、0.84;95% CI,0.62−1.13;p=0.2441)。以下の表12Cを参照のこと。
24週間のCDPのリスクは、ベースライン時にT1 Gd+病変を有しオクレリズマブを投与された患者では33%減少し(ハザード比、0.67;95% CI,0.40−1.14;p=0.1417)、対してベースライン時にT1 Gd+病変を有しない、オクレリズマブを投与された患者では19%減少した(ハザード比、0.81;95% CI,0.59−1.10;p=0.1783)。以下の表12Dを参照のこと。
ベースライン時にMRIスキャン上でガドリニウム増強病変を有する患者または有しない患者における主な臨床的及びMRI有効性評価項目の追加のサブグループ分析は、以下の表12Eに要約される。
図29は、ベースラインから120週目までプラセボを投与される患者と比較して、600mgのオクレリズマブを投与される患者における、Timed 25−Foot Walkにより測定される、歩行速度の低下率(すなわち、歩行時間の増大速度の減少)を示す。オクレリズマブは、プラセボに対して29%歩行速度の低下率を減少させた。分析は、ITT集団に基づいており:p値は、最終観察繰越法(すなわち、LOCF)によって帰属された欠測値を用いて、ベースラインの25−foot timed walk、地理的領域及び年齢に対して調整された120週目の来院時でランク付けされたANCOVAに基づいていた。ポイント推定値及び95% CIは、対数変換されたデータに基づいていた。図19における分析は、ITT(治療意図集団)に基づいており:p値は、LOCF(最終観察繰越法)によって帰属された欠測値を用いて、ベースラインのTimed 25−Foot Walk、地理的領域及び年齢に対して調整された120週目の来院時でランク付けされたANCOVAに基づいていた。点推定値及び95%CI(信頼区間)はMMRM解析、及びベースラインのtimed 25−foot walk、地理的領域及び年齢に対して調整された対数変換されたデータに基づいていた。ベースライン時にGd+病変を有する患者(図35Aを参照)及びベースライン時にT1 Gd+病変を有しない患者(図35Bを参照)における、オクレリズマブ対プラセボでのベースライン歩行時間から120週目までの変化率の減少は、全体研究集団と一致していた(図35Cを参照)。図35A〜Cにおける分析は、治療意図集団に基づいており:p値は、LOCF(すなわち、最終観察繰越法)によって帰属された欠測値を用いて、ベースラインのtimed 25−foot walk、地理的領域、及び年齢に対して調整された120週目の来院時でランク付けされたANCOVAに基づいていた。点推定値及び95%信頼区間は、ベースラインのtimed 25−foot walk、地理的領域及び年齢に対して調整された対数変換されたデータに関するMMRM解析に基づいていた。
図30は、プラセボを投与される患者と比較して、600mgのオクレリズマブを投与される患者における、ベースラインに対する120週目までの歩行速度の低下率を示す。オクレリズマブは、プラセボに対して10%歩行速度の低下率を減少させた(p=0.404)。
図40Aは、プラセボを投与される全体研究集団の患者と比較して、600mgのオクレリズマブを投与される全体研究集団の患者における、ベースラインから120週目までのSF−36身体的コンポーネントのサマリースコアの変化を示す。図40Bは、ベースライン時にT1ガドリニウム増強病変を有しプラセボを投与される患者と比較して、ベースライン時にT1ガドリニウム増強病変を有し600mgのオクレリズマブを投与される患者における、ベースラインから120週目までのSF−36身体的コンポーネントのサマリースコアの変化を示す。図40Cは、ベースライン時にT1ガドリニウム増強病変を有しないプラセボを投与される患者と比較して、ベースライン時にT1ガドリニウム増強病変を有しない600mgのオクレリズマブを投与される患者における、ベースラインから120週目までのSF−36身体的コンポーネントのサマリースコアの変化を示す。
MRI関連評価項目
図31は、プラセボを投与される患者と比較して、600mgのオクレリズマブを投与される患者における、24週目から96週目までの全脳体積の変化率を示す。オクレリズマブは、プラセボと比較して、24週目から96週目まで全脳体積喪失の速度を17.5%減少させた(p=0.0206)。分析は24週目及び24週目の後少なくとも一の評価を有するITT集団に基づいており;p値は、24週目の脳体積、地理的領域及び年齢に対して調整された120週目の来院時でのMMRMに基づいていた。ベースライン時にT1 Gd+病変を有するOCRで治療された患者(図36Aを参照)及びベースライン時にT1 Gd+病変を有しない患者(図36Bを参照)における、24週目から120週目までの全脳体積喪失の速度は、全体集団データと一致していた(図36Cを参照)。図36A〜Cにおける分析は、24週目及び24週目の後少なくとも一の評価を有する治療意図集団に基づいており;p値は、24週目の脳体積、地理的領域、及び年齢に対して調整された120週目の来院時でのMMRMに基づいていた。
600mgのオクレリズマブを投与された患者は、プラセボを投与された患者と比較して、ベースラインから120週目までT2病変体積の実質的な減少を示した(p<0.0001)。図32に示すように、T2病変体積は、オクレリズマブを投与された患者において3.4%減少したのに対し、プラセボ群の患者では、T2病変体積は7.4%増加した。分析は、治療意図集団に基づいており:p値は、LOCF(最終観察繰越法)によって帰属された欠測値を用いて、ベースラインのT2病変体積、地理的領域、及び年齢に対して調整された120週目の来院時でランク付けされたANCOVAに基づいていた。点推定値及び95%CI(信頼区間)は、ベースラインのT2病変体積、地理的領域及び年齢に対して調整された対数変換されたデータに関するMMRM解析に基づいていた。
オクレリズマブ治療は、ベースライン時にT1 Gd+病変を有する患者及び有しない患者におけるベースラインから120週目までの脳T2高強度病変の総体積を減少させたが、プラセボ群におけるベースライン時にT1 Gd+病変を有する患者及び有しない患者において、総病変体積は増加した。図37Aを参照のこと。
ベースライン時にT1 Gd+病変を有する患者において、T2病変体積の総計は、オクレリズマブで治療された患者において3.8%減少した(95% CI,−7.0から−0.5)。対照的に、T2病変体積の総計は、プラセボ投与患者において12.0%増加した(95% CI,7.2−17.1;p<0.001)。図37Bを参照のこと。ベースライン時にT1 Gd+病変を有しない患者においては、T2病変体積の総計は、オクレリズマブで治療された患者において3.1%減少した(95% CI,−5.0から−1.1)。対照的に、T2病変体積の総計は、プラセボ投与患者において6.1%増加した(95% CI,3.3−9.0;p<0.001)。図37Cを参照のこと。図37A−Cにおける分析は、ITT集団に基づいており:p値は、LOCF(最終観察繰越法)によって帰属された欠測値を用いて、ベースラインT2病変体積、地理的領域、及び年齢に対して調整された120週目の来院時でランク付けされたANCOVAに基づいていた。点推定値及び95%CIは、ベースラインT2病変体積、地理的領域、及び年齢に対して調整された対数変換されたデータに関するMMRM解析に基づいていた。
600mgのオクレリズマブを投与された患者は、プラセボを投与された患者と比較して、T1ガドリニウム増強病変の97.6%減少を示した(p<0.0001)。600mgのオクレリズマブを投与された患者はまた、プラセボを投与された患者と比較して、新規及び/または拡大T2病変の91.9%減少を示した(p<0.0001)。T1 Gd+病変の総数並びに新規及び/または拡大T2病変の総数を、治療群の全ての患者の、24週目、48週目、及び120週目の個々の病変数の総和で割り、脳MRIスキャンの総数で割った。負の二項分布回帰により計算された平均により調整され、ベースライン*T1 Gd+病変(存在もしくは存在しない)、または†T2病変数、ベースライン年齢(≦45対>45歳)、及び地理的領域(米国対世界のその他の地域)に対して調整される。
有効性
本研究における有効性評価項目は、表13Aに要約される。臨床的及びMRI評価項目(ITT手段)は、表13Bに要約される。
一次分析の時点で、プラセボと比較して、オクレリズマブは、12週間及び24週間確認された障害の進行のリスクを、それぞれ24%(HR=0.76,95% CI[0.59,0.98];P=0.0321;表13B;図27)、及び25%(0.75,95% CI[0.58,0.98];P=0.0365;表13B;図28)著しく減少させた。120週目において、オクレリズマブは、プラセボと比較して、timed 25−foot walkの進行速度を29%(P=0.0404)減少させた(表13B)。プラセボと比較して、オクレリズマブはまた、12週間及び24週間確認された複合障害の進行(すなわち、EDSS進行、またはtimed 25−foot walk試験における少なくとも20%の進行、及び/または9−hole peg testにおける少なくとも20%の進行)のリスクを、二重盲検治療期間の終了まで、それぞれ26%(HR=0.74[0.61−0.89],P=0.0014;表13B;図41)、及び29%(HR=0.71[0.58−0.87],P=0.0008;表13B;図42)減少させた。複合障害の進行評価の個々のコンポーネントに関して、オクレリズマブは、プラセボと比較して、Timed 25−foot walk(表13B)及び9−hole peg test(表13B)において、12週間及び24週間確認された20%の進行のリスクを一貫して著しく減少させた。
追加の感度分析は、主要な結果と一致しており、プロトコルに定義される再発を含む、医師により報告された臨床的再発を経験した患者を除外することによって、確認された障害の進行データに対する研究中の再発の影響を評価するために実施した(表S1)。プロトコルに定義される再発は、プラセボ群において患者の11%、オクレリズマブ群において5%について報告された。ベースライン時にT1ガドリニウム増強病変を有する患者及び有しない患者における主な臨床的及びMRI有効性評価項目のサブグループ分析は、全体研究集団と一致していた(表S2)。しかしながら、ORATORIO研究は、これらのサブグループ間の有効性の差を実証する力がなかった。
安全性
注入関連反応
725人の患者が安全性解析に含まれていた(すなわち、プラセボ群では239人でオクレリズマブ群では486人)。約3年の平均治療期間を通して、少なくとも一の注入関連反応(IRR)を有する患者の割合は、プラセボを与えられた患者では25.5%であり(n=61)、オクレリズマブで治療された患者では39.9%(n=194)であり;ほとんどは軽度から中等度の重症度であった(それぞれ、93.4%[n=57]及び96.9%[n=188])。最も一般的なIRR症状は、皮膚及び皮下組織障害を含んでいた(オクレリズマブで治療された患者において45.9%[n=89]及びプラセボを与えられた患者において13.1%[n=8])。生命を脅かすかまたは致命的なIRRSはなかった。オクレリズマブで治療された患者におけるIRRの発生率は第一の注入で最も高く(27.4%)、その後の投薬で著しく減少した(用量2の第一注入で11.6%)。全体的に、IRRSは、オクレリズマブで治療された患者において注入中にほとんど発生した(プラセボを与えられる患者群の37.7%と比較して61.3%)。一人の患者(0.2%)は、第一の注入の間のIRRのためオクレリズマブ治療を中止した。
有害事象
臨床打切日まで各治療群の患者の≧10%によって報告された有害事象は、表14Aに与えられる。
*感染症及び蔓延 SOCのみ:一治療において患者の少なくとも5%により報告された事象が提示される。
治療群における20.4%と比較して、一以上の重篤な有害事象を経験した全患者の割合は、プラセボ群において22.2%であった。表14Bを参照。重篤な有害事象の総計は低く、両治療群で類似していた。
オクレリズマブに関連する最も一般的な有害事象は、注入関連反応(プラセボの25.5%に対して39.9%)であった。一人の患者(0.2%)は、第一の注入時のIRRのためオクレリズマブ治療から撤退した。図33に示すように、注入関連反応(IRR)は、連続した各コース及び同じコース内の各用量とともに重症度が低下した。オクレリズマブはプラセボと同等の安全性プロファイルを有する。
この研究から得られたデータは、B細胞はPPMSの病態生理学において役割を果たし得ることを示している。オクレリズマブは、プラセボと比較して、大規模第III相研究において、PPMSに一貫した、統計学的に有意な臨床効果を示す第一の治験治療法である。オクレリズマブは、12週間持続した臨床的障害の進行(主要評価項目)、24週間持続した臨床的障害の進行、Timed 25−foot walkの変化、T2病変体積の変化、及び脳体積喪失の変化を有意に減少させた。オクレリズマブを投与された患者は、主な二次評価項目を一貫して満たした。約3年の平均治療期間全体を通して、オクレリズマブは、好ましい安全性プロファイルを示した。オクレリズマブに関連した有害事象の全発生率は、プラセボと同様であった。最も一般的な有害事象は軽度から中等度の注入関連の反応であった。また、オクレリズマブに関連した重篤な有害事象の発生率は、重篤な感染症を含め、プラセボと同様であった。
非盲検延長段階
無作為化された平行群、二重盲検、プラセボ制御された研究に続いて、患者は、オクレリズマブの長期安全性、忍容性、及び有効性を評価するための非盲検延長(OLE)段階に入る資格がありうる。再発型MSにおけるOCRの長期安全性及び有効性を評価する、非盲検延長研究の設計は、以下に記載される。
盲検治療期間の終了時の一次データベースロックに続いて、更なる治療の恩恵を受けることができる患者は、非盲検でオクレリズマブを投与される。オクレリズマブ群に無作為化された患者は、24週毎に非盲検で二重のオクレリズマブ注入による治療(14日間隔で300mgの静脈内注入を投与される)を続ける。プラセボに無作為化された患者は、暫定的データベースロック及び一次分析後に定期的に次回にスケジュールされた来院で始まる第一の非盲検治療サイクルにおいて、二重のオクレリズマブ注入を投与され、すなわち、14日間隔で2回の静脈内注入を投与される。
OLE段階は、オクレリズマブが患者の国で地域の規定に従って商業的に入手可能になるまで、または提供者がオクレリズマブMSプログラムを終了することを決定するまで続く。OLE段階は、4年(208週間)を超えない。OLEは、義務ではない。OLE段階に進むことを望まない患者は、患者の最後の来院日から開始して12週間隔で実施される、安全性フォローアップ段階に入れられる。B細胞が十分にない場合は、継続したモニタリングが生じる。
OLE段階の主な包含基準は、盲検治療期間の完了;治療期間中に実施される評価に基づいてOCR治療から患者が恩恵を受けることができると判断する研究者からの同意;OLE段階に入ることに対する患者からの文書によるインフォームドコンセント;及びオクレリズマブ治療/再治療基準を満たすことを含み、患者は、以下の条件及び実験的異常を含まない:(a)前のOCR注入中に発生した生命を脅かす(CTCAEグレード4)注入関連事象;(b)任意の有意または制御されていない病状または治療緊急性の、臨床的に有意な実験的異常;(c)活動性感染;(d)絶対好中球数<1.5×103/μL;(e)CD4細胞数<250/μL;及び(f)低γグロブリン血症免疫グロブリンG<3.3g/L。
主な安全性及び有効性評価のスケジュールは、以下の表15に示される。
a患者は、最後の患者が98週目にスケジュールされた最後の治療過程を受けるまで、盲検24週間の治療サイクルを続ける。その時点で、全ての患者は、現在の(24週間)サイクルの終了まで続ける。確認された障害の進行事象の予想総数が120週までに到達しなかった場合、全ての患者は、その確認された障害の進行事象の予想数に到達するまで、追加の盲検24週間の治療サイクルを続ける。
b遅延した投与来院は、投与がスケジュールされた投与来院で実施することができない場合に実施される。この時点で、他の試験/評価を必要に応じて実施することができる。
cスケジュールされていない来院(非投与)中、評価は、患者の臨床的必要性により実施される。この時点で、他の試験/評価を必要に応じて実施することができる。
d神経学的検査は、予定された来院及びスケジュールされていない来院時に毎回実施される。MSの悪化または再発を示唆する新規神経学的症状を有する全ての患者は、試験する研究者によりEDSSを実施されているべきである。
e総合障害度評価尺度スコアは、12週間ごとに試験する研究者により全ての患者において実施される。追加のEDSS評価は、来院間で実施されうる(すなわち、MS再発中、神経学的悪化中等)。障害の進行は、別の病因に起因しない、ベースラインEDSSスコアからの≧1.0点(ベースラインEDSSは≦5.5である)または≧0.5点(ベースラインEDSSは>5.5である)の増加として定義される。
f患者は、各スケジュールされた来院時に、必要に応じてスケジュールされていない来院時に、治療する研究者により再発について評価され、来院間に発生した再発を確認する。再発が疑われる場合、MS再発電子症例報告フォームに記入することに加えて、EDSSも実施されるべきである。
gEQ−5D(EuroQol五次元質問表)評価が毎年実施されることになる。
h毎年の脳MRIスキャンは、OLE段階の開始時(前の12週間に何も行われなかった場合)、スケジュールされた来院の(±)4週間以内、及びOLE撤退来院時(前の4週間に何も行われなかった場合)に実施される。
iルーチン安全性実験的評価は、血液学、化学、及び尿検査を含む。
j併用薬及び手順は、各スケジュールされた来院及びスケジュールされていない来院時に報告される。
k共通抗原(おたふく風邪、風疹、水痘、及び肺炎連鎖球菌)に対する抗体力価が実施される。
実施例は、純粋に本発明の例示であることを意図しており、したがって、いかなる方法においても本発明を限定すると考えるべきではなく、また、上記の本発明の態様及び実施態様を説明及び詳述する。前述の実施例及び詳細な説明は例示として提供され、限定するものではない。