JP2018518409A - 複数の切欠きを備えたブロックを有するタイヤトレッド - Google Patents
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Abstract
本発明は、幅Wおよび長さL(ただし、L>>W)のゴム状材料の少なくとも1つの細長いブロック(3)を有するタイヤトレッドであって、細長いブロックは、トレッド(1)がタイヤに取り付けられると周方向(X)に延びる。この細長いブロック(3)は、路面に接触するようになった接触面(5)と、接触面(5)を画定する第1の側壁(7)および第2の側壁(9)とを有する。細長いブロック(3)は、周方向Xに沿って連続して配置された切欠きのグループ(6)を更に有する。切欠きの各組は、斜めの方向に延びるとともに第1の側壁(7)上および第2の側壁(9)上に開口し、切欠き(6)の組は、1つの切欠き組が第2の側壁(9)に達し、別の切欠きの組が細長いブロック上の同一周方向高さ位置(M)のところで第1の側壁(7)から始まるよう細長いブロックの接触面上に分布して配置されている。各切欠き組(6)は、2つの切欠き(11a,11b)を含み、切欠き組(6)に属する各切欠きは、細長いブロックの側壁(7,9)上には開口していない切欠き端(13a,13b)まで延びている。切欠き組に属する2つの切欠きの端(13a,13b)は、細長いブロック(3)内の同一の周方向高さ位置(N)に設けられている。1つの切欠き組(6)に属する切欠き(11a,11b)は、横方向Yに沿って互いにオーバーラップしていない。
Description
本発明は、走行ノイズを実質的に減少させる手段を備えた自動車タイヤ用のトレッドに関する。
通常、乗用車タイヤは、今日大部分の場合において半径方向であるカーカス補強材を備え、この形態では、カーカス補強材のレインフォーサは、周方向と80°以上かつ100°未満の角度をなすよう配置されている。
さらに、タイヤは、エラストマーを主成分とする材料内に埋め込まれた複数のレインフォーサを含むクラウン補強材を備えている。このクラウン補強材は、半径方向外側がゴム状材料で作られたトレッドで覆われ、このトレッドは、走行中、路面に接触するようになったトレッド表面と呼ばれる表面を有する。
雨天での運転時に必要不可欠である安全レベルを保証するため、トレッドに全体として周方向の向きの複数の長手方向溝を設けることが慣例である。
長手方向溝を設けたことによる一欠点は、特に路面との接触領域においてこれら溝を通って流れる空気の振動が生じることである。これら振動は、走行ノイズを発生させる共鳴源である。
欧州特許第0324605号明細書は、周方向に整列した複数のブロックを有するトレッドを開示している。この特許文献では、ブロックは、走行ノイズの発生を減少させるために特定の角度をなして傾けられている。
国際公開第2012/032144号パンフレットは、周方向に延びる複数の細長いブロックを有するトレッドを開示している。各細長いブロックは、特に濡れた路面上での制動時におけるトレッドのグリップを向上させるために全体として横方向の向きの複数のサイプを有する。
周方向に延びる少なくとも1つの細長いブロックを有するトレッドによるノイズの発生を制限することが要望されている。
定義
「タイヤ」は、これが内圧を受けるにせよそうでないにせよいずれにせよ、あらゆる形式の弾性トレッドを意味している。
「タイヤ」は、これが内圧を受けるにせよそうでないにせよいずれにせよ、あらゆる形式の弾性トレッドを意味している。
タイヤの「トレッド」は、側面および2つの主要面によって画定されたある量のゴム状材料を意味し、これら主要面のうちの一方は、タイヤが駆動されているときに路面に接触するようになっている。
「トレッド表面」は、タイヤがその基準圧力までインフレートされた状態で路面上で駆動されるときに路面と接触関係をなすトレッドの箇所の組を意味する。基準インフレーション圧力は、特にE.T.R.T.O(「欧州タイヤ・リム技術協会」)規格によって定められているタイヤの使用条件下で規定される。トレッド表面の幅Cは、特にETRTO規格によって定められており、C=(1.075−0.005ar)・S1.001であり、この場合、arは、公称アスペクト比であり、Sは、測定リム上における理論断面幅である。
トレッド上の「ブロック」は、溝によって画定されていて側壁および接触フェースを備えた***要素を意味し、接触フェースは、走行中、路面に接触するようになっている。
「細長いブロック」は、幅およびタイヤの周囲に沿う長さを備えたブロックを意味し、この長さは、幅よりも非常に大きい。
「リブ」は、タイヤの周囲全体にわたってぐるりと延びる細長いブロックを意味している。
「溝」は、材料の壁を画定するトレッドに設けられた切欠きを意味し、この切欠きの幅は、この切欠きと関連した壁が通常の走行条件下では互いに接触することができない。溝の幅は、2mmを超える。
「サイプ」は、材料の壁を画定するトレッドに設けられた切欠きを意味し、この切欠きの幅は、サイプの壁が、タイヤが路面と接触状態にある接触パッチをこれらの壁が通過しているときに少なくとも部分的に互いに接触することができるのに適している。サイプの幅は、2mm以下である。
「横方向」または「軸方向」は、タイヤの回転軸線に平行な方向を意味している。
「周方向」は、中心が回転軸線上に位置した任意の円の接線の方向を意味している。この方向は、軸方向に垂直である。
「斜めの方向」は、いずれもゼロではない軸方向成分および周方向成分を有する方向を意味している。
「周方向高さ位置」は、直線を形成する1組の点を意味し、この直線は、周方向に垂直である。
本発明は、幅Wおよび長さLのゴム状材料の少なくとも1つの細長いブロックを有するタイヤトレッドに関し、この場合、L>>Wである。細長いブロックは、トレッドがタイヤに取り付けられると周方向に延び、細長いブロックは、路面に接触するようになった接触面と、接触面を画定する第1の側壁および第2の側壁とを有する。細長いブロックは、周方向Xに見て連続した組をなす切欠きを有し、切欠きの各組は、斜めの方向に延びるとともに第1の側壁上および第2の側壁上に開口している。切欠きの組は、1組の切欠きが第2の側壁に達し、別の1組の切欠きが細長いブロック上の同一周方向高さ位置のところで第1の側壁から始まるよう細長いブロックの接触面上に分布して配置されている。切欠きの各組は、2つの切欠きを含み、切欠きの組に属する各切欠きは、細長いブロックの側壁上には開口していない切欠き端まで延びている。切欠きの組に属する2つの切欠きの端は、細長いブロック内の同一の周方向高さ位置Nのところに設けられる。切欠きの同一の組に属する切欠きは、横方向Yに見て互いにオーバーラップしていない、かくして、同一組に属する切欠きの投影像は、この横方向Yに見て互いにオーバーラップしていない。
したがって、本発明は、細長いブロックに設けられた切欠きを系統立てて配置された状態における連続性の保証を提案している。具体的に言えば、切欠きがその端のうちの1つに達すると、別の切欠きが同一の周方向高さ位置で始まる。これにより、細長いブロック内の周方向のボイド比の変化が制限され、そしてタイヤの音響性能がその結果として向上する。
別の変形実施形態では、切欠きは、細長いブロックの接触面のところに湾曲した形状を有する。
湾曲した形状を備えた切欠きを用いることによって、トレッドの全体的外観がより見栄えのするようになり、それと同時に、タイヤによって生じるノイズが制限される。
一変形実施形態では、切欠きは、互いに異なる傾きを備えた少なくとも2つの部分を含む。
互いに異なる傾きを備えた少なくとも2つの部分を有する複雑な切欠きを用いることによって、コーナリングの際と直線運転時の両方において濡れた路面上におけるグリップを向上させることが可能である。
別の変形実施形態では、細長いブロックの2つの隣り合う切欠きは、互いに異なる傾きおよび/または互いに異なる形状および/または互いに異なる長さを有する。
互いに異なる切欠きを組み合わせることによって、走行中に細長いブロックによって放出される音響信号のスクランブリングが向上する。
別の変形実施形態では、切欠きは、サイプである。
これにより、細長いブロックの全体的剛性を過度に減少させないで濡れた路面上におけるトレッドのグリップが向上する。
別の変形実施形態では、切欠きは、溝である。
これにより、タイヤが濡れた路面上を走行しているときのトレッドからの水の流出具合が向上する。
本発明の他の特徴および他の利点は、添付の図面を参照して非限定的な実施例により与えられる以下の説明から明らかになろう。
以下の説明において、実質的に同一または類似の要素は、同一の参照符号で示される。
図1は、本発明の第1の実施形態によるタイヤのトレッド1の部分図である。
トレッド1は、ゴム状材料の少なくとも1の細長いブロック3を有する。細長いブロック3は、この場合、2本の溝4によって画定され、これら2本の溝は、本発明を理解しやすくするために図1ではグレーの網掛けが施されている。細長いブロック3は、幅Wおよび長さLを有し、この長さLは、幅Wよりも非常に大きい。非常に大きいという表現は、長さLが幅Wの少なくとも5倍に等しいことを意味している。このようにすると、トレッド1がタイヤに取り付けられると、細長いブロック3は、周方向Xに延びるストリップのように見える。このストリップは、タイヤの周囲全体に沿ってぐるりと延びるのが良く、この場合、細長いブロックは、リブに対応している。変形例として、このストリップは、この周囲の一部に沿ってしか延びない。
細長いブロック3は、路面に接触するようになった接触面5と、この接触面5を画定する第1の側壁7および第2の側壁9とを有する。細長いブロック3は、第1の側壁7上に開口するか第2の側壁9上に開口するかのいずれかであり、そして側壁7,9上には開口していない切欠き端13a,13bまで延びる複数の斜めの切欠き11a,11bを更に有する。
切欠き11a,11bは、1組の切欠きの状態に系統立てて配置されている。切欠きの各組は、斜めの方向に延びて第1の側壁7上に開口するとともに第2の側壁9上に開口している。切欠きの組6は、1組の切欠きが第2の側壁9に達し、別の1組の切欠きが細長いブロック上の同一周方向高さ位置Mのところで第1の側壁7から始まるよう細長いブロックの接触面上に分布して配置されている。
切欠きの組6に属する各切欠きは、細長いブロックの側壁7、9上に開口していない切欠き端13a,13bまで延びている。切欠きの組に属する2つの切欠きの端13a,13bは、細長いブロック3内で同一の周方向高さ位置Nのところに設けられている。
注目されるように、図1の実施例では、切欠き13a,13bは、横方向Yに互いにオーバーラップしていない。具体的に説明すると、2つの端13a,13b相互間にはゴムの広がりDが存在する。この広がりDは、例えば細長いブロックの幅Wの少なくとも10%に等しい。これにより、細長いブロック内でのゴムの連続性が保証され、それによりこのブロック内における良好な全体的剛性を維持することができる。
切欠き11a,11bは、角度αをなして細長いブロックの壁に達する。
非限定的な一実施形態では、角度αは、55°以上である。
図2は、切欠きが湾曲した形状を有する別の変形実施形態を示している。切欠きの同一の組6に属する切欠きは、横方向Yに見て互いにオーバーラップしていない。
非限定的な一実施形態では、切欠きは、複雑であり、これら切欠きは、互いに異なる傾きを備えた少なくとも2つの部分を有する。
図3に示されている別の非限定的な実施形態では、切欠き11aは、第1の部分110および第2の部分111のみを有する。切欠き11aの第1の部分110は、細長いブロックの側壁のうちの一方7から始まり、第2の部分111は、他方の側壁9の方向に第1の部分110の連続部をなしている。第1の部分110および第2の部分111は、2つの互いに異なる傾斜角を有する。切欠きの同一の組6に属する切欠きは、横方向Yに見て互いにオーバーラップしていない。
図4に示されている非限定的な一実施形態では、切欠き11aの第1の部分110は、細長いブロックと第1の角度α1をなしている。この第1の角度α1は、55°以上である。これにより、細長いブロックの切欠き11aと側壁7との間にゴムの薄くてもろい領域が生じるのが回避される。
別の実施形態では、第2の部分111は、横方向Yと第2の角度α2をなしている。この第2の角度α2は、55°以上である。
本発明は、説明するとともに図示した実施例には限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、これら実施例に対して種々の改造を行うことができる。
かくして、互いに異なる傾きおよび/または互いに異なる形状および/または互いに異なる長さを有するサイプの組み合わせが可能である。トレッドパターンノイズスペクトルの顕著な特徴が減少し、かくして、タイヤのトレッドパターンにより放出される音響信号のスクランブリングが向上する。
図1〜図3は、切欠きが小さな幅を有するサイプである実施形態を示している。変形例として、サイプは、大きな幅を有する溝である。溝の場合、中立軸に関する概念が2つの隣り合う溝相互間の同一の周方向高さ位置を求めるために用いられる。
別の実施形態では、例えば、切欠きを細長いブロックの接触面のところで面取りすることが可能である。
Claims (11)
- 幅Wおよび長さL(ただし、L>>W)のゴム状材料の少なくとも1つの細長いブロック(3)を有するタイヤトレッドであって、前記細長いブロックは、前記トレッド(1)が前記タイヤに取り付けられると周方向Xに延び、前記細長いブロック(3)は、路面に接触するようになった接触面(5)と、前記接触面(5)を画定する第1の側壁(7)および第2の側壁(9)とを有する、タイヤトレッドにおいて、前記細長いブロック(3)は、前記周方向Xに見て連続した切欠きの組(6)を有し、前記切欠きの各組は、斜めの方向に延びるとともに前記第1の側壁(7)上および前記第2の側壁(9)上に開口し、前記切欠きの組(6)は、1組の切欠きが前記第2の側壁(9)に達し、別の1組の切欠きが前記細長いブロック上の同一周方向高さ位置Mのところで前記第1の側壁(7)から始まるよう前記細長いブロックの前記接触面上に分布して配置され、前記切欠きの各組(6)は、2つの切欠き(11a,11b)を含み、前記切欠きの組(6)に属する各切欠きは、前記細長いブロックの側壁(7,9)上には開口していない切欠き端(13a,13b)まで延び、前記切欠きの組に属する前記2つの切欠きの前記端(13a,13b)は、前記細長いブロック(3)内の同一の周方向高さ位置Nのところに設けられ、前記切欠きの同一の組(6)に属する前記切欠き(11a,11b)は、横方向Yに見て互いにオーバーラップしていない、トレッド。
- 前記切欠きは、前記細長いブロックに対して角度αをなして前記切欠きのそれぞれの壁に達し、前記角度αは、55°以上である、請求項1記載のトレッド。
- 前記切欠き(11a,11b)は、前記細長いブロック(3)の前記接触面(5)のところに湾曲した形状を有する、請求項1または2記載のトレッド。
- 前記切欠き(11a,11b)は、互いに異なる傾きを備えた少なくとも2つの部分を含む、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のトレッド。
- 前記切欠き(11a,11b)は、第1の部分(110)および第2の部分(111)だけを含み、前記第1の部分(110)は、前記細長いブロックの前記側壁(7)から始まっている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のトレッド。
- 前記切欠き(11a)の前記第1の部分(110)は、前記細長いブロックと第1の角度α1をなし、前記第1の角度α1は、55°以上である、請求項5記載のトレッド。
- 前記第2の部分(111)は、前記横方向Yと第2の角度α2をなし、前記第2の角度α2は、55°以上である、請求項6記載のトレッド。
- 前記細長いブロック(3)の2つの隣り合う切欠き(11a,11b)は、互いに異なる傾きおよび/または互いに異なる形状および/または互いに異なる長さを有する、請求項1〜7のうちいずれか一に記載のトレッド。
- 前記切欠きは、サイプである、請求項1〜8のうちいずれか一に記載のトレッド。
- 前記切欠きは、溝である、請求項1〜9のうちいずれか一に記載のトレッド。
- 前記細長いブロック(3)は、リブである、請求項1〜10のうちいずれか一に記載のトレッド。
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