JP2018504938A - 果物及び野菜の保存料 - Google Patents

果物及び野菜の保存料 Download PDF

Info

Publication number
JP2018504938A
JP2018504938A JP2017560894A JP2017560894A JP2018504938A JP 2018504938 A JP2018504938 A JP 2018504938A JP 2017560894 A JP2017560894 A JP 2017560894A JP 2017560894 A JP2017560894 A JP 2017560894A JP 2018504938 A JP2018504938 A JP 2018504938A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catechin
green tea
solution
tea extract
salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017560894A
Other languages
English (en)
Inventor
サルミネン ウィリアム
サルミネン ウィリアム
エム.ルソッティ ギャリー
エム.ルソッティ ギャリー
トゥチレロ ロバート
トゥチレロ ロバート
アーブ リチャード
アーブ リチャード
カフーン ジェフリー
カフーン ジェフリー
Original Assignee
プロナチュラル ブランズ,リミティド ライアビリティ カンパニー
プロナチュラル ブランズ,リミティド ライアビリティ カンパニー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by プロナチュラル ブランズ,リミティド ライアビリティ カンパニー, プロナチュラル ブランズ,リミティド ライアビリティ カンパニー filed Critical プロナチュラル ブランズ,リミティド ライアビリティ カンパニー
Publication of JP2018504938A publication Critical patent/JP2018504938A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23BPRESERVING, e.g. BY CANNING, MEAT, FISH, EGGS, FRUIT, VEGETABLES, EDIBLE SEEDS; CHEMICAL RIPENING OF FRUIT OR VEGETABLES; THE PRESERVED, RIPENED, OR CANNED PRODUCTS
    • A23B7/00Preservation or chemical ripening of fruit or vegetables
    • A23B7/14Preserving or ripening with chemicals not covered by groups A23B7/08 or A23B7/10
    • A23B7/153Preserving or ripening with chemicals not covered by groups A23B7/08 or A23B7/10 in the form of liquids or solids
    • A23B7/154Organic compounds; Microorganisms; Enzymes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23VINDEXING SCHEME RELATING TO FOODS, FOODSTUFFS OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES AND LACTIC OR PROPIONIC ACID BACTERIA USED IN FOODSTUFFS OR FOOD PREPARATION
    • A23V2002/00Food compositions, function of food ingredients or processes for food or foodstuffs

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Storage Of Fruits Or Vegetables (AREA)
  • Preparation Of Fruits And Vegetables (AREA)

Abstract

皮をむいた及びカットした農産物などの最小限加工した果菜類は、緑茶抽出物カテキンと、アスコルビン酸、エリソルビン(crythorbic)酸、及びその塩のうちのいずれか1つ又は任意の組み合わせからも選択される有機酸又はその塩との組み合わせを含む溶液によって保存される。保存溶液は、一般に緑茶抽出物カテキンに関連している残存自己染色を予防する。加工果菜類は、保存溶液に浸漬されるか、又はそれをスプレーされるか、又はそれでコートされる。農産物の保存溶液は、加工農産物の色合い、食感、フレーバー、外観、及びシャキシャキ感を維持する。

Description

本発明の分野
本願発明は、緑茶抽出物であるカテキン及び有機酸を含む保存溶液を使用した、最小限加工した農産物を含めた果菜類の保存に関する。保存溶液は、一般に緑茶抽出物カテキンに関連した残存自己染色を予防する。
本発明の背景
関連出願の相互参照
本出願は、2015年2月13日付で出願された、FRUIT AND VEGETABLE PRESERVATIVEと題された米国特許出願第14,621,793号に関連し、且つ、その利益を主張するものであり、その内容を参照により本明細書に援用する。
皮むき又はカットなどの加工後、ほとんどの果菜類が変色する。変色は、一般的に変色、多くの場合の褐変につながる有色化学物質へと無色内因性化学物質を代謝する果実又は野菜中の酵素のためである。多くの果菜類における褐変に関与する主な酵素は、ポリフェノールオキシダーゼである。
加工した農産物の褐変を予防するために、様々な方法が使用された。農産物を保存するのに非常に効果的な手段は、亜硫酸塩化合物の使用である(例えば、米国特許第2,894,843号は、様々な亜硫酸塩化合物による果菜類の処理を開示する)。亜硫酸塩化合物は、最小限加工した生鮮果菜類に広く使用された;しかしながら、健康上の懸念のため、米国食品医薬品局はすでに、最小限加工したものを含めた、生鮮農産物の保存のための亜硫酸塩化合物の使用を許可していない。
亜硫酸塩化合物は、すでに生鮮農産物を保存するために許可されていないので、代替方法が開発された。一般的に使用されたアプローチは、アスコルビン酸又はアスコルビン酸塩で加工した農産物を処理することである(例えば、米国特許第3,754,938号及び同第4,011,348号を参照のこと)。アスコルビン酸は、抗酸化剤であるので、果物又は野菜中の内因性化学物質の酵素的酸化、及び着色を予防する;しかしながら、その効果は、長続きしないか又は非常に高い濃度の抗酸化剤を必要とする(Gil et al., "Response of Fuji Apple Slices to Ascorbic Acid Treatments and Low-Oxygen Atmospheres," HortScience, volume 33, number 2, 1998, pp. 305-309)。
米国特許第5,925,395号及び同第5,939,117号は、アスコルビン酸(又はエリソルビン酸(crythorbatc))イオンとカルシウムイオンの組み合わせを用いて生鮮カットフルーツ及び野菜を処理することを開示する。保存は数週間続く;しかしながら、いくつかの実施形態では、過剰量のアスコルビン酸イオン(保存溶液中に最大22.5%)が保存に必要とされる。
米国特許第7,851,002号、同第8,101,221号、及び同第8,609,169号は、マグネシウムや、亜鉛や、ストロンチウムや、リチウムや、バリウムや、アルミニウムや、銅や、鉄や、アンモニウムや、マンガンや、カリウムなどの様々な金属イオンとアスコルビン酸/アスコルビン酸塩(又は、エリソルビン酸/エリソルビン酸塩)を組み合わせる同様のアプローチを採用する。これらの金属イオンの多くが、食品保存製品に好まれない上に、高濃度の保存料が必要である。
米国特許第5,922,382号は、アスコルビン酸を使用した生鮮カットフルーツを保存するための方法を開示する。しかしながら、その方法は、多大な労力を必要とし、及び殺菌剤や風味料の使用を伴う。加えて、保存溶液中のアスコルビン酸又はエリソルビン酸の濃度は高い(最大15%重量/体積)。
米国特許第6,749,875号(及び米国特許出願US2002/0054950)並びに国際特許WO01/64041では、1:50〜1:150の重量比でフラボノイドと食品グレードの抗酸化剤の組み合わせを使用する。特許請求の範囲で列挙されたフラボノイドとしては、アセロラ、クエルシチン、ヘスペリジン、ルチン、並びにマツ樹皮、ブドウ種子、柑橘類種子、クランベリー、ジュニバーベリー及びローズヒップからのフラボノイドが豊富な抽出物が挙げられる。更に、その特許はフラボノイドを定義するが、それは、フラボン、フラボノール、フラバノン、カルコン、アントシアニジン、プロアントシアニジン、及びイソフラボノイドといった、多様な植物由来ポリフェノール化合物に関する技術的に非常に幅広く、且つ、専門的でない分類法である。その米国特許は、果物又は野菜保存溶液の調製のために水、茶浸出液、又は果汁中に希釈できるフラボノイド及び抗酸化剤について述べる。その米国特許は、フラボノイド源、抗酸化剤、及び水+茶希釈溶液を含む2種類の配合物を開示する。例えば、栗を処理するための一方の配合物は、90mgのエンゾジノール(フラボノイド)、5gのアスコルビン酸カルシウム(抗酸化剤)、及び200mlの水+5mgの緑茶(希釈溶液)を含んだ。緑茶が含まれていたが、それは、非常に低濃度(0.0025wt%)であって、且つ、緑茶中のフラボノイドは主にカテキンであるが、利用可能なフラボノイドとしてカテキンがその特許中で列挙されないので、フラボノイドを供給する目的として教示されていなかった。代わりに、その特許は、茶が希釈溶液として使用されると述べている。更に、その特許の実施例は、パックされた果物を包装する改善された環境を必要としたが、それに対して、特別な環境の取り扱い又は包装要件を有しない抗褐変保存料を開発することが望ましい。
カテキン(フラバノールとしても知られている)、特に緑茶抽出物カテキンが、米国特許第6,749,875号及び国際特許WO01/64041の保存配合物中に有意水準で含まれなかったことは、驚くべきことでない。なぜなら、カテキンは、強い褐色性を有しているので、処理(例えば、浸漬)溶液として使用されるとき、農産物、特に例えばリンゴ、セイヨウナシ、及びジャガイモなどの薄い色の果肉の顕著な変色をもたらす可能性がある。緑茶抽出物カテキンによって引き起こされる残存自己染色にもかかわらず、それらを農産物の酵素的変色を予防するために特に好適にする、緑茶抽出物カテキンのいくつかの望ましい特性がある。第一に、緑茶抽出物カテキンは、抗酸化剤であるので、果物又は野菜の中の無色の内因性化学物質の変色、一般的に褐色の化学物質への酵素的酸化を低減できる(Kim et al., "New Insights Into the Mechanisms of Polyphenols Beyond Antioxidant Properties; Lessons from the Green Tea Polyphenol, Epigallocatechin 3-Gallate," Redox Biology, volume 2, 2014, pp. 187-195)。第二に、緑茶抽出物カテキンは、ポリフェノールオキシダーゼを阻害することが示されたが、そのポリフェノールオキシダーゼは、果物又は野菜の中の変色化学物質の産生に関与する重要な酵素である(Soysal, "Effects of Green Tea Extract on Golden Delicious Apple Polyphenoloxidase and its Browning," J. Food Biochemistry, volume 33, issue 1, 2009, pp. 134-148)。だが、緑茶抽出物カテキンの通常の暗色によって引き起こされる残存自己染色は重大な問題であり、そして、酸化は更に暗い変色をもたらすので、カテキン自体が時間と共に酸化されるようになるにつれて、これは特に問題が多い(Wang et al., "Various Antibrowning Agents and Green Tea Extract During rocessing and Storage," J. Food Processing and Preservation, volume 27, issue 3, 2003, pp. 213-225)。
Martin-Dianaら("Green Tea Extract as a Natural Antioxidant to Extend the Shelf-Life of Fresh-Cut Lettuce," Innovative Food Science and Emerging Technologies, volume 9, 2008, pp. 593-603)は、生鮮−カットレタスの緑茶抽出物処理が、抗酸化剤アスコルビン酸及びカロチノイドの損失を予防するのを助けたことを実証した。しかしながら、緑茶抽出物は、濃度依存的にレタスの褐変を増強した。Wesselsら("Effect of Selected Plant Extracts on the Inhibition of Enzymatic Browning in Fresh-Cut Apple," Journal of Applied Botany and Food Quality, volume 87, 2014, pp. 16-23)は、緑茶抽出物がリンゴスライスの褐変を部分的に遅らせる場合があることを実証した;しかしながら、緑茶抽出物は、顕著な受動染色(すなわち、残存自己染色)を実証した。多くの公開レポートと一致して、Wesselsら(2014)はまた、緑茶抽出物が高レベルの酸化防止剤活性を有することも実証した。Lavelliら("Stability and Anti-Glycation Properties of Intermediate Moisture Apple Products Fortified with Green Tea," Food Chemistry, volume 127, 2011, pp. 589-595)は、中間含水リンゴ製品に緑茶抽出物を加え、そして、緑茶抽出物がリンゴの色合いを黒ずませたことを指摘した。先に引用したSoysal(2009)は、緑茶抽出物がポリフェノールオキシダーゼを阻害し、そして、褐変を遅らせたことを実証した;しかしながら、リンゴの褐変は、145分間の期間にわたって調査されただけであり、そして、リンゴは、未処理対照と比較すると、緑茶抽出物による処理直後により高い褐変指数によって示されるように、有意な残存自己染色があった。
緑茶抽出物カテキンの安定性は、種々の要因によって影響を受け、pHが最も重要な要素である(Chen et al. "Stabilizing Effect of Ascorbic Acid on Green Tea Catechins," J. Agri. Food Chem., volume 46, number 7, 1998, pp. 2512-2516; Zhu et al. "Stability of Green Tea Catechins," J. of Agricultural and Food Chemistry, volume 45, issue 12, 1997, pp. 4624-4628; Li et al. "Kinetic Study of Catechin Stability: Effects of pH, Concentration, and Temperature," J. of Agricultural and Food Chemistry, volume 60, issue 51, 2012, pp. 12531-12539)。矛盾した報告は、緑茶抽出物カテキン自体の安定性に対する他の添加剤の役割を実証した。例えば、Ortizら("Interaction of Environmental Moisture with Powdered Green Tea Formulations: Effect on Catechin Chemical Stability," J. of Agricultural and Food Chemistry, volume 56, issue 11, 2008, pp. 4068-4077)は、アスコルビン酸が緑茶抽出物カテキンの分解を増大したことを実証した;ところが、Chenら(1998)は、アスコルビン酸が緑茶抽出物カテキンの分解を低減したことを実証した。Wangら(2003)は、クエン酸が、緑茶抽出物カテキンの分解を減少させて、且つ、分解したカテキンにより緑茶抽出物の追加の褐変を遅らせるのを助けたことを実証した。
特に、薄い色又は白色の農産物の果肉を保存するために、天然起源の保存溶液を使用して最小限加工した農産物を保存することの改善を提供するのが、本願発明の目的である。更に、保存された農産物のために特別な取り扱い又は包装を必要とすべきではない。
一実施形態によると、本発明は、最小限加工した果菜類を保存する及びそれらの有効な保存可能期間を延長する方法であって:
(a)(i)少なくとも0.008wtパーセントのカテキン、並びに(ii)アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びその塩のうちのいずれか1つ又は任意の組み合わせから選択される有機酸又はその塩、を含む保存水溶液を提供し;ここで、カテキン対有機酸又はその塩の重量比は、1:10〜1:300であり;そして
(b)その保存溶液を、最小限加工した果物又は野菜に適用すること、
を含む方法に向けられる。さらなる実施形態において、本発明は、最小限加工した果菜類を保存するため及びそれらの有効な保存可能期間を延長するための水溶液であって、(i)水;(ii)緑茶抽出物;(iii)アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びその塩のうちのいずれか1つ又は任意の組み合わせからの選択される有機酸又はその塩;随意に(iv)以下の:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、及び炭酸カルシウム、から成る群から選択される食品利用向けに承認された塩基性中和剤;並びに随意に(v)食品に無害な陰イオン系界面活性剤、から基本的に成り;ここで、その緑茶抽出物がカテキンを含み、そのカテキンが、溶液の少なくとも0.008wt%の濃度で存在し、且つ、溶液中のカテキン対有機酸又はその塩の重量比が、1:10〜1:300である、水溶液に向けられる。
本発明は、最小限加工した果菜類の保存可能期間と外観の延長、並びに通常の雰囲気及び圧力条件下で保存された果菜類の通常の取り扱い、包装、及び貯蔵を可能にする。
背景情報に記載のとおり、本願発明は、抗酸化剤として機能し、ポリフェノールオキシダーゼを阻害する、カテキン、特に緑茶抽出物カテキンの能力に一部基づいている。本発明によると、有機酸、特にアスコルビン酸やその異性体エリソルビン酸などの抗酸化特性を有する酸が、例えばリンゴ又はジャガイモスライスなどの最小限加工した農産物を含めた加工農産物の褐変を予防するように、緑茶抽出物中のカテキンと相乗的に相互作用することが発見された。有機酸又は緑茶抽出物カテキンいずれか単独での適用は、決して満足いく抗褐変特性をもたらすことなく、緑茶抽出物カテキンの場合には、顕著な自己染色をもたらした。しかしながら、有機酸が、驚いたことに、処理農産物の抗褐変を提供するのに有効な量で使用したときに、緑茶抽出物カテキンによって処理した農産物に通常付随する自己染色による変色を予防することを更に発見した。この後者の知見は、特に例えばリンゴ、セイヨウナシ、又はジャガイモスライスなどの薄い色又は白色の果肉を有する果菜類に対して使用するための緑茶抽出物カテキンの農産物保存溶液の容認のために重要である。更に、アスコルビン酸と緑茶抽出物の相乗的相互作用のため、本発明が、有利なことに、延長された期間にわたって所望の抗褐変効果を提供するために、相対的に非常に低い濃度の保存料の使用が利用されるのを可能にすることを実証した。
様々な実施形態において、最小限加工した(例えば、皮をむいた、芯を取った、又はスライスした)果菜類は、緑茶抽出物カテキンと、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びその塩のうちのいずれか1つ又は任意の組み合わせから選択される抗酸化特性を有する有機酸又はその塩とを含む保存溶液で処理され得る。果菜類は、保存溶液を用いてさまざまな方法、例えば浸漬、スプレー、又はコーティングなどで処理できる。処理後、果菜類は、その後、通常の雰囲気及び圧力条件下、従来の手順を用いて包装及び貯蔵できる。よって、その保存溶液での処理は、有利なことに、特別な取り扱い又は包装要件を使用することなく、農産物の保存可能期間を延長する。
発明の詳細な説明
本発明は、例えば皮をむいた及び/又はカットした果菜類などの最小限加工した農産物の天然の色合い、食感、及びフレーバーを維持する保存溶液の使用に関係する。本発明は、すべてのタイプの最小限加工した果菜類に適用され、そして、特に例えばリンゴ、セイヨウナシ、アボカド、ジャガイモ、及びキノコなどの加工直後に急速に劣化する加工農産物に有用である。保存された果菜類は、褐変が予防され、そして、通常の貯蔵条件下、例えば通常の雰囲気及び圧力下での冷蔵などでそれらの天然の色合い、食感、及びフレーバーを維持する。
保存溶液は、カテキン及び有機酸から成る。カテキンは、好ましくは、少なくとも25wt%のエピガロカテキン−3−没食子酸塩(EGCG)を含み、そして、少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも75wt%のカテキン含有量を有し、及びより具体的には少なくとも20wt%、より好ましくは少なくとも40wt%のエピガロカテキン−3−没食子酸塩(EGCG)含有量を有する緑茶抽出物によって提供されるのが好ましい。緑茶抽出物はまた、25wt%未満のカフェイン、より好ましくは10wt%未満のカフェインを含むことが好ましい。有機酸内容物は、アスコルビン酸、エリソルビン酸、又はその塩のうちの1以上によって提供できる。保存溶液の全体的な抗酸化能に加えて、アスコルビン酸及びエリソルビン(crythorbic)酸は、天然の抗酸化特性を有する。本発明に従って農産物に適用される最終的な、希釈された保存溶液は、少なくとも0.008wt%カテキン、好ましくは0.008%〜10%、より好ましくは少なくとも0.02%、少なくとも0.05%、又は少なくとも0.08%の緑茶抽出物カテキン、そして、より好ましくは多くても2%、多くても1%、又は多くても0.5%の緑茶抽出物カテキンを含む。最終的な、希釈した保存溶液は、好ましくは0.2%〜20%の有機酸又はその塩、より好ましくは少なくとも0.5%、少なくとも1%、又は少なくとも2%、そして、より好ましくは多くても10%、多くても7%又は多くても5%の有機酸又はその塩を含む。1部のカテキンに対して300部より多い有機酸の使用は、観察した保存効果を提供するのに必要ではなく、そして、1部のカテキンに対して10部未満の有機酸の使用は、所望の効果と同じくらい優れた効果が提供されない可能性があるので、カテキン対有機酸又はその塩の重量比は、1:10〜1:300、好ましくは約1:100〜1:300である。特に明記しない限り、すべてのパーセンテージ及び本明細書中に更に示される成分比はまた、重量(wt)パーセンテージ及び重量(wt)比でもある。
所望でれば、保存溶液のpHは、最終的な、希釈した保存溶液のpHがまだ酸性(すなわち、<7.0)であるように、緩衝剤を用いて高められ得る。pHを調整することで、保存溶液の酸味は減少する。これは、非常に高いアスコルビン酸濃度を有する保存溶液にとって重要であるが;しかしながら、本発明により記載された保存溶液は、緑茶抽出物カテキンとの相乗的相互作用のため、比較的低いアスコルビン酸濃度が可能であるので、中和を必要としない可能性がある。pHを上げることが所望されれば、緩衝剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、又は重炭酸カリウムなどの食品に対する使用を許容し得る任意の塩基性中和剤であり得る。あるいは、有機酸とその有機酸の任意の塩形態の組み合わせが、標的pHをもたらす比で組み合わせられ得る。
抗微生物特性が、処理した農産物の保存可能期間の延長を更に助けることが所望されるなら、食品に無害な陰イオン系界面活性剤が、好ましくは0.001%〜0.5%、より好ましくは少なくとも0.02%、少なくとも0.04%、又は少なくとも0.08%、そして、より好ましくは多くても0.2%、多くても0.15%、又は多くても0.1%にて配合物に添加され得る。有用な陰イオン系界面活性剤としては、例えばC6−C18アルキルなどの硫酸化脂肪酸、より具体的にC8−C14アルキル硫酸塩、そして、具体的には、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
保存溶液は、最終的なすぐに使用できる濃度にて構成要素を組み合わせることによって、又は予め作製された濃縮溶液又は粉末混合物に水を加えて希釈することによって、調製できる。粉末又は濃縮溶液に関して、粉末又は濃縮溶液中の緑茶抽出物カテキン、有機酸、及び緩衝剤の量は、最終的な使用濃度に比例して増量される。濃縮溶液の使用は、エンドユーザーが、少量の濃縮溶液からより大量の最終使用溶液を調製することを可能にし、そして、製品体積を最小化することによって輸送及び取り扱いを容易にする。特定の実施形態において、例えば、濃縮溶液組成物は、1部の濃縮物組成物に対して少なくとも1部、より好ましくは少なくとも更に9部の水で希釈して、希釈した最終使用溶液を形成するように設計され得る。例えば、10×濃縮溶液が調製され、そして、最終的な、希釈溶液が0.1%の緑茶抽出物カテキン及び3%のアスコルビン酸を提供することが所望される場合、10×濃縮溶液中の緑茶抽出物カテキンの濃度は1%になり、そして、アスコルビン酸の濃度は30%になるであろう。粉末又は濃縮溶液の場合には、保存粉末又は濃縮物は、所望の使用濃度まで通常の工業用水で希釈される。次に、加工農産物は、浸漬、スプレー、コーティング、又は保存溶液に農産物のカットした又は皮をむいた表面の適切な曝露をもたらす任意の他の手段によって、保存溶液で処理される。処理後に、保存処理された農産物は、従来の手順及び温度を用いて包装及び貯蔵され得る。保存の継続期間を最大にするために、保存処理された農産物は、通常の雰囲気内容及び圧力下、−6℃〜20℃、好ましくは−3〜10℃、そして、最も好ましくは0〜6℃にて保存されるのが好ましい。このように保存処理及び貯蔵されたとき、例えばリンゴやジャガイモなどのより腐りやすい加工農産物でさえ、通常の冷蔵貯蔵条件下で色合い、食感、及びフレーバーを維持した天然状態で保存される。
保存溶液の実施例
以下のものは、すべてを包括するものを意味するのではなく、さまざまな保存溶液の実施例である。保存料の全成分は、食品グレードであり、且つ、米国食品医薬品局によって米国内での食品に対する使用が許可されている。すべての実施例で用いた緑茶抽出物(GTE)は、83.2%の総カテキン、そして、より具体的には、50.1%のEGCG、及び1.8%のカフェインを含んだ。実施例では、水は、各実施例から除去されて、濃縮粉末を提供した。濃縮粉末について、すぐに使用できる液状抗褐変溶液を、指示された総重量の粉末に指示された量の水を加えることによって調製する。
実施例1.すぐに使用できる溶液を、水中で次のものを組み合わせることによって調製する:
1.10gのアスコルビン酸
2.1gの緑茶抽出物(83%のカテキン)
3.1Lまでの水
実施例2.すぐに使用できる溶液を、水中で次のものを組み合わせることによって調製する:
1.30gのアスコルビン酸
2.1gの緑茶抽出物(83%のカテキン)
3.1Lまでの水
実施例3.すぐに使用できる溶液を、水中で次のものを組み合わせることによって調製する:
1.30gのアスコルビン酸
2.15gの重炭酸ナトリウム
3.1gの緑茶抽出物(83%のカテキン)
4.1Lまでの水
実施例4.5倍濃縮溶液を、水中で次のものを組み合わせることによって調製する:
1.200gのアスコルビン酸
2.25gの炭酸カルシウム
3.15gの緑茶抽出物(83%のカテキン)
4.1Lまでの水
実施例5.すぐに使用できる溶液を、水中で次のものを組み合わせることによって調製する:
1.40gのエリソルビン酸
2.2gの炭酸カルシウム
3.10gの重炭酸ナトリウム
4.3gの緑茶抽出物(83%のカテキン)
5.1Lまでの水
実施例6.10倍濃縮溶液を、水中で次のものを組み合わせることによって調製する:
1.300gのアスコルビン酸
2.30gの炭酸カルシウム
3.100gの重炭酸ナトリウム
4.10gの緑茶抽出物(83%のカテキン)
5.1Lまでの水
実施例7.すぐに使用できる溶液を、水中で次のものを組み合わせることによって調製する:
1.40gのアスコルビン酸カルシウム
2.1gの緑茶抽出物(83%のカテキン)
3.1Lまでの水
実施例8.すぐに使用できる溶液を、水中で次のものを組み合わせることによって調製する:
1.30gのアスコルビン酸
2.1gの緑茶抽出物(83%のカテキン)
3.0.8gのラウリル硫酸ナトリウム
4.1Lまでの水
実施例9.濃縮粉末を、以下の構成要素を組み合わせることによって調製する。最終的な抗褐変溶液を調製するために使用するとき、31.4gの粉末を11リットルの水に加える:
1.30gのアスコルビン酸
2.1gの緑茶抽出物(83%のカテキン)
3.0.4gのラウリル硫酸ナトリウム
実施例10.すぐに使用できる溶液を、水中で次のものを組み合わせることによって調製する:
1.30gのアスコルビン酸
2.1gの緑茶抽出物(83%のカテキン)
3.0.2gのラウリル硫酸ナトリウム
4.1Lまでの水
保存溶液の性能の評価
1種類の非常に腐りやすい果物、リンゴスライス、及び1種類の非常に腐りやすい野菜、ジャガイモスライスに対する保存溶液の有効性を、一連の試験によって評価した。
以下の表1に示した様々な濃度のアスコルビン酸、緑茶抽出物、及びアスコルビン酸と緑茶抽出物の組み合わせの水溶液を用いて予備試験を実施して、緑茶抽出物カテキンに関連する褐変を予防するアスコルビン酸の能力を測定し、そして、レッドデリシャスリンゴスライスの褐変を予防するためのアスコルビン酸と緑茶抽出物カテキンとの組み合わせの至適濃度を決定する。定性的及び定量的な色合いの評価方法の説明を、以下に提供する。
表1:4℃における貯蔵中のレッドデリシャスリンゴスライスの色合いの定性的及び定量的評価
Figure 2018504938
注意事項:GTE=緑茶抽出物(83%のカテキン)、AA=アスコルビン酸、B=褐色、W=白色(新鮮なカットスライスと同じ)、NC=実施せず。褐変を以下の基準でスコア化した:W=褐変なし、+/−=非常にわずか、+=わずか、++=最小限、+++=中程度、++++=顕著、n=1処理あたり4切れ。
0.003%(すなわち、約0.0025%のカテキン)にて緑茶抽出物は、リンゴスライスの果肉を変色しなかった;しかしながら、それはまた、抗褐変効果を高める際にアスコルビン酸と相乗的相互作用を提供しなかった(表1)。対照的に、0.01%(すなわち、約0.008%のカテキン)にて緑茶抽出物は、リンゴスライスの果肉を褐色に染色した;しかしながら、3%のアスコルビン酸の添加が、この褐色の染色を予防した(表1)。加えて、0.01%にて緑茶抽出物は、3%のアスコルビン酸と強い相乗的相互作用を有し、4℃にて2日間の貯蔵を通じて新しくカットしたリンゴスライスの白い果肉に類似したリンゴスライスの外観を維持した(表1)。その後の実験では、保護効果を、以下に概説したように、より長い継続期間にわたり試験した。
色合いを、目視による定性的格付けによるか、又は指定した期間の貯蔵後にデジタルカラースキャナを使用して定量的に評価した。定量的評価において、それぞれのリンゴ又はジャガイモスライスのカット面を、16ビットの赤色、緑色、及び青色(RGB)の呈色を使用して1インチあたり200ドットの分解能でカラービットマップ画像としてデジタル化した。画像を正規化するのを確実にするために、一連の白色、灰色のいくつかの段階、及び黒色見本を、各スキャンと共にスキャンした。個々のRGBシグナルの平均を、それぞれのリンゴ又はジャガイモスライスについて公的に利用可能なプログラムNIH Image J1.47v(imagej.nih.gov/ijにて入手可能)を使用して計測した。白色度を、赤色値+緑色値+青色値の平均として評価した。加えて、青色シグナルの減少が加工リンゴ及びジャガイモで観察された褐変の呈色に高度に関連していたので、青色シグナルの変化を個別に評価した。また、赤色及び緑色シグナルの減少も褐変に関連している;しかしながら、それらは青色シグナルより典型的に影響を受けず、青色シグナルの変化が、農産物の褐変に関する良好な代用物となる。それぞれの時点及び処理について、少なくとも4のリンゴ又はジャガイモスライスを計測し、そして、値を平均した。
リンゴスライスについて、保存したリンゴスライスのフレーバー、食感、及びみずみずしさを、14日間の貯蔵後にスライスを味わって、新しくカットしたリンゴスライスとそれらを比較することによって、定性的に評価した。リンゴ及びジャガイモスライスについて、色合い及び外観もまた、定性的に格付けし、それぞれの評価日に新しくカットしたリンゴ又はジャガイモと比較した。リンゴスライスの堅さを、14日間の貯蔵後に手動の針入度計を使用して評価し、新しくカットしたリンゴスライスと比較した。
一連の試験を、リンゴ及びジャガイモスライスに対する保存溶液の有効性を決定するために実施した。
最初の試験では、以下のすぐに使用できる保存溶液を水で調製した:
1)3%のアスコルビン酸+0.1%の緑茶抽出物(83%のカテキン)
2)1%のアスコルビン酸+0.1%の緑茶抽出物(83%のカテキン)
レッドデリシャスリンゴを、石鹸と水で徹底的に洗浄し、洗浄後に水で徹底的にすすいだ。レッドデリシャスリンゴは褐変を予防するのが最も難しいリンゴの品種の1つなので、レッドデリシャスリンゴを選択した。リンゴスライスを、リンゴ1つあたり10切れを調製する手動のリンゴの芯抜き器/スライサーを使用して調製した。リンゴスライスを、複数のリンゴから混ぜ合わせ、次に、無作為に、約5分間、各保存溶液、1%又は3%のアスコルビン酸、0.1%の緑茶抽出物(83%のカテキン)中に置くか、又は無処理のままにした。次に、スライスを、プラスチックコンテナ内に置き、そして、約4℃にて貯蔵した。指示された期間後に、それぞれのスライスの1カ所のカット面をデジタル化した。加えて、色合い、全体的な外観、及び匂いを、指示された時点にて定性的に評価し、そして、新しくカットしたリンゴスライスと比較した。14日間の貯蔵後に、リンゴスライスを、手動の針入度計を使用して堅さについて定量的に評価した。14日間の貯蔵後に、フレーバー、みずみずしさ、及び食感を、通常の外観を有するスライスについてのみ、各スライスを味わうことによって定性的に評価した。
表2:4℃にて貯蔵中のレッドデリシャスリンゴスライスのカット面の青色値及び白色値の定量的測定
Figure 2018504938
注意事項:GTE=緑茶抽出物(83%のカテキン)、AA=アスコルビン酸、青色値=リンゴスライスのカット面のデジタル化画像からのブルーチャンネル値、白色値=リンゴスライスのカット面のデジタル化画像からの赤色+緑色+青色(RGB)値の平均値、n=1処理あたり4切れ。
表2のデータは、3%のアスコルビン酸と0.1%の緑茶抽出物(すなわち、約0.08%のカテキン)との組み合わせが、緑茶抽出物カテキンに固有な残存自己染色を予防するので、それ自体によるいずれかの成分の抗褐変特性を強化したことを実証する。
表3:4℃にて14日間の貯蔵後のレッドデリシャスリンゴスライスの堅さの計測
Figure 2018504938
注意事項:GTE=緑茶抽出物(83%のカテキン)、AA=アスコルビン酸、n=1処理あたり5切れ。
表3のデータは、3%のアスコルビン酸と0.1%緑茶抽出物(すなわち、約0.08%のカテキン)との組み合わせが、貯蔵中、リンゴスライスの堅さを維持したことを実証する。
表4:4℃にて貯蔵中のレッドデリシャスリンゴスライスの色合い及び匂いの定性的評価
Figure 2018504938
注意事項:GTE=緑茶抽出物(83%のカテキン)、AA=アスコルビン酸、B=褐色、W=白色。褐変を以下の基準でスコア化した:W=褐変なし、+/−=非常にわずか、+=わずか、++=最小限、+++=中程度、++++=顕著、n=1処理あたり4切れ。匂いを次のようにして評価した:新鮮=新しくカットしたリンゴスライスの匂い、最小限=顕著な匂いがない、微か=微かに新しくカットしたリンゴスライスの匂い、発酵臭=目立った発酵臭。
表5:4℃にて14日間の貯蔵後のレッドデリシャスリンゴスライスのフレーバー、みずみずしさ、及び食感の定性的評価
Figure 2018504938
注意事項:GTE=緑茶抽出物(83%のカテキン)、AA=アスコルビン酸。「未試験」と標識したサンプルは、それらが顕著な褐変を呈し、且つ、評価時点にて口に合うと思えなかった。
表4及び5のデータは、3%のアスコルビン酸と0.1%の緑茶抽出物(すなわち、約0.08%のカテキン)との組み合わせが、リンゴスライスの色合い、匂い、フレーバー、みずみずしさ、及び食感を維持したことを実証する。
保存溶液の有効性に対するpH調整剤の効果を試験するために、以下のすぐに使用できる保存溶液を水で調製した:
1)3%のアスコルビン酸+0.1%の緑茶抽出物(83%のカテキン)
2)3%のアスコルビン酸+1.33%の重炭酸ナトリウム+0.1%の緑茶抽出物(83%のカテキン)
3)3%のアスコルビン酸+1.5%の重炭酸ナトリウム+0.1%の緑茶抽出物(83%のカテキン)
レッドデリシャスリンゴを、石鹸と水で徹底的に洗浄し、洗浄後に水で徹底的にすすいだ。リンゴスライスを、リンゴ1つあたり10切れを調製する手動のリンゴの芯抜き器/スライサーを使用して調製した。リンゴスライスを、複数のリンゴから混ぜ合わせ、次に、無作為に、約5分間、各保存溶液又は3%のアスコルビン酸中に置いた。次に、スライスを、プラスチックコンテナ内に置き、そして、約4℃にて貯蔵した。指示された期間後に、スライスを外観について定性的に評価した。
表6:4℃にて貯蔵後の様々な保存溶液中のレッドデリシャスリンゴスライスの外観の定性的評価
Figure 2018504938
注意事項:GTE=緑茶抽出物(83%のカテキン)。AA=アスコルビン酸、SB=重炭酸ナトリウム、B=褐色、W=白色。褐変を以下の基準でスコア化した:W=褐変なし、+/−=非常にわずか、+=わずか、++=最小限、+++=中程度、++++=顕著、n=1処理あたり4切れ。
表6のデータは、アスコルビン酸と緑茶抽出物カテキンの保存溶液の有効性が、重炭酸ナトリウムを加えて、最終的な保存溶液のpHを上げたか否かに関係なく、同じであったことを実証する。
保存溶液が、完全に皮をむいた、芯を取った、及びスライスしたリンゴに対して同等にうまく働くかどうか判定するために、以下のすぐに使用できる保存溶液を水で調製した:
3%のアスコルビン酸+0.1%の緑茶抽出物(83%のカテキン)
レッドデリシャスリンゴを、石鹸と水で徹底的に洗浄し、洗浄後に水で徹底的にすすいだ。リンゴを、手作業で皮をむき、次に、スライスを、リンゴ1つあたり10切れを調製する手動のリンゴの芯抜き器/スライサーを使用して調製した。リンゴスライスを、複数のリンゴから混ぜ合わせ、次に、無作為に、約5分間、保存溶液又は3%のアスコルビン酸中に置いた。次に、スライスを、プラスチックコンテナ内に置き、そして、約4℃にて貯蔵した。指示された期間後に、スライス全体(皮をむいた及びカットした表面)を外観について定性的に評価した。
表7:4℃にて貯蔵後の皮をむいたレッドデリシャスリンゴスライスの外観の定性的評価
Figure 2018504938
注意事項:GTE=緑茶抽出物(83%のカテキン)、AA=アスコルビン酸、B=褐色、W=白色。褐変を以下の基準でスコア化した:W=褐変なし、+/−=非常にわずか、+=わずか、++=最小限、+++=中程度、++++=顕著、n=1処理あたり4切れ。
表7のデータは、3%のアスコルビン酸と0.1%の緑茶抽出物(すなわち、約0.08%のカテキン)との保存溶液が、皮をむいたリンゴスライスの皮をむいた及びカットした面の白さを維持したことを実証する。
保存溶液の有効性を、焼き調理向けジャガイモに対して試験したが、焼き調理向けジャガイモは褐変を予防するのが難しい野菜である。以下のすぐに使用できる保存溶液を、水で調製した:
4%のアスコルビン酸+0.1%の緑茶抽出物(83%のカテキン)
焼き調理向けジャガイモを、石鹸と水で徹底的に洗浄し、洗浄後に水で徹底的にすすいだ。ジャガイモの皮をむき、次に、水ですすいだ。ジャガイモスライスを、ナイフを用いて手作業でカットすることによって調製した。スライスを、複数のジャガイモから混ぜ合わせ、次に、無作為に、約5分間、保存溶液、4%のアスコルビン酸、又は0.1%緑茶抽出物(83%のカテキン)中に置いた。次に、スライスを、プラスチックコンテナ内に置き、そして、約4℃にて貯蔵した。指示された期間後に、それぞれのスライスの1つのカット面をデジタル化した。加えて、色合い及び全体的な外観を、指示された時点にて定性的に評価し、そして、新しくカットしたジャガイモスライスと比較した。
表8:4℃にて貯蔵中のジャガイモスライスのカット面の青色値及び白色値の定量的測定
Figure 2018504938
注意事項:GTE=緑茶抽出物(83%のカテキン)、AA=アスコルビン酸、青色値=リンゴスライスのカット面のデジタル化画像からのブルーチャンネル値、白色値=リンゴスライスのカット面のデジタル化画像からの赤色+緑色+青色(RGB)値の平均値、n=1処理あたり4切れ。
表8のデータは、4%のアスコルビン酸と0.1%の緑茶抽出物(すなわち、約0.08%のカテキン)との組み合わせが、それ自体によるいずれかの成分の抗褐変特性を強化したことを実証する。
表9:4℃にて貯蔵後の皮をむいた焼き調理向けジャガイモスライスの色合い及び外観の定性的評価
Figure 2018504938
注意事項:GTE=緑茶抽出物(83%のカテキン)、AA=アスコルビン酸、B=褐色、G=灰色、W=白色。乾燥した外観=評価した表面にみずみずしさがなく、さらに、表面に乾燥し、ひび割れた線/領域。変色を以下の基準でスコア化した:W=変色なし、+/−=非常にわずか、+=わずか、++=最小限、+++=中程度、++++=顕著、n=1処理あたり4切れ。「W」とだけ標識した色合い及び外観は、新しくカットしたジャガイモスライスと同じ色合い及び外観を示した。
表9のデータは、4%のアスコルビン酸と0.1%の緑茶抽出物(すなわち、約0.08%のカテキン)との保存溶液が、アスコルビン酸又は緑茶抽出物単独に比べて、より良好にジャガイモスライスの皮をむいた及びカットした表面の白さを維持したことを実証する。
改善された抗微生物特性を有する抗褐変溶液を、例えばラウリル硫酸ナトリウムなどの食品に無害な陰イオン系界面活性剤を加えることによって調製できる。実施例8、9、及び10からの3種類の溶液の抗微生物特性を、食品加工操作の際に問題となる酵母、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対して評価した。有効性を、懸濁液タイムキルアッセイで評価した。要するに、微生物懸濁液(〜1×10CPU/ml)を、9.9倍量のIX最終使用抗褐変/抗微生物溶液に加えた。15分後に、試験溶液のアリコートを、取り出し、培養ブロスで中和した。次に、酵母を含む中和した溶液を、固形寒天培地上で平板培養し、そして、増殖可能なコロニーを同定するために36±1℃にて48時間インキュベートすることが許された。表10に、各溶液と組み合わせた2つの反復試験について酵母の倍数減少の対数値を含む二連反復試験の結果をまとめる。陰イオン系界面活性剤を含んでいるすべての実施例配合物(実施例8、9、及び10)が、その溶液を用いた処理後に生き残った酵母が検出されない酵母数の劇的な減少をもたらした。実施例2からの溶液(陰イオン系界面活性剤なし)は、酵母数の最小限の低減しか提供しない実施例2の溶液として、改善された抗微生物特性を達成するために陰イオン系界面活性剤の添加の重要性を実証するために加えた。
表10:実施例の抗褐変/抗微生物溶液の抗微生物効果
Figure 2018504938
本発明を、現時点で好ましいその実施形態のいくつかに関連して説明したが、当業者は、多くの修飾及び変更が、従って添付した請求項によってのみ規定される、本発明の本当の趣旨及び範囲から逸脱することなく加えられ得ることを理解している。

Claims (22)

  1. 最小限加工した果菜類を保存する及びそれらの有効な保存可能期間を延長する方法であって:
    a.(i)少なくとも0.008wtパーセントのカテキン、並びに(ii)アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びその塩のうちのいずれか1つ又は任意の組み合わせから選択される有機酸又はその塩、を含む保存水溶液を提供し;ここで、カテキン対有機酸又はその塩の重量比は、1:10〜1:300であり;そして
    b.その保存溶液を、最小限加工した果物又は野菜に適用すること、
    を含む、方法。
  2. 前記保存溶液中のカテキンが、保存溶液に追加された緑茶抽出物によって提供される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記保存溶液中の緑茶抽出物の含有量が、約0.01〜10重量%である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記緑茶抽出物が、少なくとも20wt%のエピガロカテキン−3−没食子酸塩を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記緑茶抽出物が、10%未満のカフェインを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記保存溶液を適用した後に、最小限加工した果物又は野菜を包装することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  7. 通常の雰囲気及び圧力下、約−6℃〜約20℃にて、包装済みの最小限加工した果物又は野菜を貯蔵することを更に含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記果物又は野菜が、通常の雰囲気及び圧力下、約0℃〜約6℃にて貯蔵される、請求項6に記載の方法。
  9. 前記カテキンが、少なくとも25wt%のエピガロカテキン−3−没食子酸塩を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記保存溶液が、次の:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、及び炭酸カルシウムから成る群から選択される食品利用向けに承認された塩基性中和剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記保存溶液が、アスコルビン酸又はエリソルビン酸、及びアスコルビン酸又はエリソルビン酸の塩を含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記有機酸又はその塩が、0.2wt%〜20wt%にて保存溶液中に存在する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記有機酸又はその塩が、0.5wt%〜10wt%にて保存溶液中に存在する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記有機酸又はその塩が、1wt%〜7wt%にて保存溶液中に存在する、請求項1に記載の方法。
  15. 前記有機酸又はその塩が、2wt%〜5wt%にて保存溶液中に存在する、請求項1に記載の方法。
  16. 前記保存溶液が、0.008wt%〜10wt%のカテキンを含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記保存溶液が、0.02wt%〜1wt%のカテキンを含む、請求項1に記載の方法。
  18. 前記保存溶液が、0.05wt%〜0.5wt%のカテキンを含み、且つ、有機酸又はその塩が、2wt%〜5wt%にて前記保存溶液中に存在する、請求項1に記載の方法。
  19. 前記有機酸又はその塩が、アスコルビン酸又はその塩である、請求項1に記載の方法。
  20. 前記保存溶液が、抗微生物特性を得るために、0.001wt%〜0.5wt%にて存在する食品に無害な陰イオン系界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
  21. 前記陰イオン系界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである、請求項20に記載の方法。
  22. 最小限加工した果菜類を保存するため及びそれらの有効な保存可能期間を延長するための水溶液であって、(i)水;(ii)緑茶抽出物;(iii)アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びその塩のうちのいずれか1つ又は任意の組み合わせからの選択される有機酸又はその塩;随意に(iv)次の:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、及び炭酸カルシウム、から成る群から選択される食品利用向けに承認された塩基性中和剤;並びに随意に(v)食品に無害な陰イオン系界面活性剤、から基本的に成り;ここで、その緑茶抽出物がカテキンを含み、そのカテキンが、溶液の少なくとも0.008wt%の濃度で存在し、且つ、溶液中のカテキン対有機酸又はその塩の重量比が、1:10〜1:300である、水溶液。
JP2017560894A 2015-02-13 2016-02-12 果物及び野菜の保存料 Pending JP2018504938A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US14/621,793 2015-02-13
US14/621,793 US9426998B1 (en) 2015-02-13 2015-02-13 Fruit and vegetable preservative
PCT/US2016/017756 WO2016130922A2 (en) 2015-02-13 2016-02-12 Fruit and vegetable preservative

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018504938A true JP2018504938A (ja) 2018-02-22

Family

ID=56615745

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017560894A Pending JP2018504938A (ja) 2015-02-13 2016-02-12 果物及び野菜の保存料

Country Status (7)

Country Link
US (2) US9426998B1 (ja)
EP (1) EP3253221A4 (ja)
JP (1) JP2018504938A (ja)
CN (1) CN107427016A (ja)
BR (1) BR112017017271A2 (ja)
HK (1) HK1244631A1 (ja)
WO (1) WO2016130922A2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PL3338563T3 (pl) * 2016-12-21 2019-09-30 Benjamin Amit Singh Sposób konserwacji świeżych produktów, stała kompozycja do stosowania w sposobie konserwacji świeżych produktów i zakonserwowany świeży produkt
CN109287739A (zh) * 2018-10-12 2019-02-01 绩溪县桐坑源家庭农场 一种安全可靠的蔬菜保鲜剂及其制备方法
CA3150533A1 (en) * 2019-09-27 2021-04-01 Darrin Dale WINGER FRY EVALUATION SYSTEM AND METHOD
WO2021097025A1 (en) * 2019-11-15 2021-05-20 Dupont Nutrition Biosciences Aps Process for reducing oxidation of a foodstuff and related compositions
CN111011480A (zh) * 2019-12-12 2020-04-17 南昌大学 一种红毛丹特效保鲜剂及其使用方法
DE102020003111B4 (de) * 2020-05-23 2021-12-30 Die Frischemanufaktur GmbH Verfahren zur Herstellung eines in einen Behälter gefüllten, mindestens ein gegenständliches Stück mindestens eines Geschmacksträgers enthaltenden Getränks zum menschlichen Verzehr, Tauchbadlösung zur Verwendung in dem Verfahren und Getränkeerzeugnis
CN112640950A (zh) * 2020-12-15 2021-04-13 四川东坡中国泡菜产业技术研究院 一种利用耐低温乳酸菌结合儿茶素延长泡菜保质期的方法
CN113303421B (zh) * 2021-06-16 2022-04-26 中国农业大学 一种通过超高压协同egcg抑制果蔬制品中pme和/或ppo活性的方法
WO2023128771A1 (es) * 2021-12-30 2023-07-06 Bio Natural Solutions S.A.C. Método para la extracción de flavonoles derivados de residuos de frutas tropicales para la preservación de alimentos frescos y cortados, y composición que los comprende

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4344971A (en) * 1980-10-09 1982-08-17 Grain Processing Corporation Preservation of fruits and vegetables
CA2159465A1 (en) * 1993-04-01 1994-10-13 Paul H. Todd, Jr. Lipid-soluble green tea catechin antioxidant solutions
AUPQ598300A0 (en) * 2000-03-03 2000-03-23 Citrus Sensation Pty Ltd Citrus fruit preservative
ES2367889T3 (es) * 2003-12-18 2011-11-10 Kao Corporation Bebida embotellada.
JP2006188436A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Japan Science & Technology Agency 医用ポリフェノール溶液
JP4604195B2 (ja) * 2005-01-12 2010-12-22 藤田 殉子 皮剥き芯抜きカットりんごの鮮度保持溶液、鮮度保持方法及び鮮度保持包装体
JP5087152B2 (ja) * 2011-03-25 2012-11-28 ソルジェンテ株式会社 生鮮食品の鮮度保持処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20160235081A1 (en) 2016-08-18
BR112017017271A2 (pt) 2018-04-17
WO2016130922A3 (en) 2016-11-24
CN107427016A (zh) 2017-12-01
HK1244631A1 (zh) 2018-08-17
US20160338368A1 (en) 2016-11-24
EP3253221A2 (en) 2017-12-13
WO2016130922A2 (en) 2016-08-18
EP3253221A4 (en) 2018-04-04
US9426998B1 (en) 2016-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9426998B1 (en) Fruit and vegetable preservative
Oms-Oliu et al. Recent approaches using chemical treatments to preserve quality of fresh-cut fruit: A review
Soliva-Fortuny et al. New advances in extending the shelf-life of fresh-cut fruits: a review
Capotorto et al. Effect of anti-browning solutions on quality of fresh-cut fennel during storage
KR102554195B1 (ko) 항균 조성물
EP3092903B1 (en) Edible coating for preserving pieces of fruit, production method and application thereof
RU2721055C1 (ru) Антимикробные композиции
Salminen et al. Synergistic interaction of ascorbic acid and green tea extract in preventing the browning of fresh cut apple slices
Peng et al. Allicin inhibits microbial growth and oxidative browning of fresh-cut lettuce (Lactuca sativa) during refrigerated storage
Saleh et al. Effects of anti-coloring agents on blackening inhibition and maintaining physical and chemical quality of fresh-cut okra during storage
Chevalier et al. Obtaining protein isolate of tilapia (Oreochromis niloticus) and its application as coating in fresh‐cut melons
KR20140114819A (ko) 신선 농산물의 저장 수명 연장용 조성물
JP5918550B2 (ja) 牡蠣の風味低下防止方法
Çorapcı et al. The effect of different application methods of sumac (Rhus coriaria) and tarragon (Artemisia dracunculus) on some quality properties of marinated sea bream (Sparus aurata L., 1758)
US20070184165A1 (en) Compositions and methods for improving the efficiency of preservatives in foods
KR100918185B1 (ko) 갑각류용 보존제 및 갑각류의 보존방법
Devlieghere et al. MAP, product safety and nutritional quality
JP2007029071A (ja) 生鮮野菜、果物の変色防止方法及び変色防止剤
Colás Medà et al. Development of a fresh-cut product based on pears and the subsequent evaluation of its shelf life under commercial conditions and after a cold chain break
KR20220007242A (ko) 염화칼슘, 저분자량키토산 및 티트리오일이 포함된 파프리카 침지용 조성물 및 그 제조방법
ATTIA Effect of calcium chloride, calcium lactate and hydrogen peroxide treatments on quality of fresh cut cantaloupe during cold storage
WO2013147227A1 (ja) 皮むき及び/又はカット野菜・果物、及び/又は、魚介類の品質保持剤
KR102440111B1 (ko) 신선편이 농산물의 갈변 방지용 조성물을 이용한 갈변 방지 방법
KR102477936B1 (ko) 신선편이 파프리카 침지용 조성물 및 그 제조방법
JP2000342170A (ja) 食品保存剤