3枚接合レンズは、接合面が2面となっており、通常、接合の確実性のためそれぞれの接合面がともに摺合せが可能なように球面で構成されている。
3枚接合レンズでは、互いに接合する球面を2面に振り分けて、それぞれの接合面の曲率を比較的緩やかに設定しているために、入射光線が充分に屈曲されず、特に水平画角が100度以上の高画角における色収差の補正は困難であった。
さらに、接合されている負レンズと正レンズのアッベ数の選定のバランスにおいて、特に負レンズのアッベ数が比較的大きく、特に高画角に対応した撮像を行うにあたり、色収差の補正が充分とはいえなかった。
さらに、正レンズの両側に貼りついた負レンズの内外での厚みの差が大きく加熱冷却による膨張と収縮の繰り返しによって接合面が損傷するおそれがあった。
本発明は、上述のこれらの問題を解決するためなされたものであり、軸上色収差を良好に補正して高解像化が図れる接合レンズ、あるいは、コンパクト化を実現することができる広画角の撮像レンズ系に好適な接合レンズ、さらには形状の対称性が高く、広画角であって熱サイクルに強い接合レンズを提供することを、それぞれ目的とする。
本発明の接合レンズにより、水平画角が100度以上、130度以上、150度以上、180度以上、200度以上の広角に対応し、コンパクト化された撮像レンズ系を実現できる。すなわち、絞りよりも像側には、接合レンズのみを配置するだけで、他に、撮像素子に集光させるための追加のレンズが不要であることから、撮像レンズ系のレンズ枚数を減らし全長の増大を抑えることができる。
このような、本発明の接合レンズLABCは、3枚のレンズの貼り合わせからなり、物体側から順に、前方レンズLA、中間レンズLB、後方レンズLCとすると、前方レンズLAの像側レンズ面と中間レンズLBの物体側レンズ面とが貼り合わされており、かつ、中間レンズLBの像側レンズ面と後方レンズLCの物体側レンズ面とが貼り合わされており、全体として正のパワーを有する。
接合レンズLABCの構成の態様としては、前方レンズLAと後方レンズLCとのパワーを同符号とし、中間レンズLBとの符号を異符合とし、すなわち、前方レンズLAおよび後方レンズLCを負レンズ、中間レンズLBを正レンズとするか、前方レンズLAおよび後方レンズLCを正レンズ、中間レンズLBを負レンズとし、負レンズに比べて正レンズのパワーを強めることによって全体として正のパワーとすることが望ましい。
ここに負レンズのアッベ数を正レンズのアッベ数より小さくすることが望ましい。すなわち、負レンズを構成するレンズ材料のアッベ数は34以下または33以下、望ましくは28以下または27以下、正レンズを構成するレンズ材料のアッベ数は50以上、望ましくは56以上である。また、正レンズと負レンズのアッベ数の差は28以上であることが望ましい。
接合レンズが、撮像レンズ系において絞りの像側に配置される場合に、仮に接合レンズが全体として負のパワーを有するとすると、軸上色収差の補正はできても、全長の増大を抑えるために、接合レンズの像側に、撮像素子に集光させるための(テレセントリック性を確保するための)追加のレンズをさらに配置しなくてはならないという問題が生ずる。
これに対し、本発明の接合レンズは全体として正のパワーを有することで、像側に追加の集光レンズを配置しなくても済むので、レンズ枚数を減らしコンパクト化が実現できる。
本発明の接合レンズは、負レンズのアッベ数が正レンズのアッベ数より小さいことが望ましく、負レンズのアッベ数を33以下、正レンズのアッベ数を50以上とすることで、軸上色収差を良好に補正することができる。
さらに本発明の接合レンズは、負レンズの屈折率ndが正レンズの屈折率ndより大きいことが望ましく、負レンズの屈折率ndは1.6以上、正レンズの屈折率ndは1.6未満であることが望ましい。さらに、負レンズの屈折率ndを1.62以上、正レンズの屈折率ndは1.55未満であることがより望ましい。但し、正レンズの屈折率ndは1.50以上であることがより望ましい。
本発明の接合レンズを適用できる広角撮像レンズ系としては、例えば、物体側から順に、像側に凹形状で負のパワーを有する第1レンズと、像側に凹形状で負のパワーを有する第2レンズと、物体側に凸形状で正のパワーを有する第3レンズと、負のパワーを有する第4レンズと、絞りとを有し、この絞りより像側に本発明の接合レンズが配置される。
本発明の接合レンズは、前方レンズLAと後方レンズLCとを負のパワーとし、中間レンズLBを正のパワーとすることが望ましい。
前方レンズLAと中間レンズLBおよび中間レンズLBと後方レンズLCを接合する物体側および像側の各接着剤層とから構成され、前記前方レンズLAにおける物体側の面の光軸近傍は凸形状であることが好ましく、前記後方レンズLCにおける像側の面の光軸近傍は凸形状であることが好ましい。接合レンズをこのような構成にすることで、軸上色収差をより良好に補正することができる。
本発明の接合レンズLABCにおいて、前方レンズLAの入射面の曲率半径をr1、前方レンズLAの出射面の曲率半径をr2、前方レンズLAの中心厚みをdA、中間レンズLBの入射面の曲率半径をr3、中間レンズLBの出射面の曲率半径をr4、中間レンズLBの中心厚みをdB、後方レンズLCの入射面の曲率半径をr5、後方レンズLCの出射面の曲率半径をr6、後方レンズLCの中心厚みをdCとする。
ここに、接合レンズの入射面(前方レンズLAの物体側面)の曲率半径r1、接合レンズの出射面(後方レンズLCの像側面)の曲率半径r6は、ともに接合レンズの中心厚みd(前方レンズの中心厚みdAと、中間レンズLBの中心厚みdBと、後方レンズの中心厚みdCとの総和に相当する。)よりも短いことが、水平画角が130度以上の広角に対応しコンパクト化された撮像レンズ系を実現するのに望ましい。
なお接合面が球面であると、屈折面となる接合面の曲率を光線高さに応じて変えるなどの柔軟性に乏しく、色収差の補正が充分とはいえないため、本発明の接合レンズでは、前記3枚接合レンズにおける貼り合わせ面は非球面であることが好ましい。貼り合わせ面を非球面とすることで、軸上色収差をより良好に補正することができる。
本発明の接合レンズでは、前記中間レンズLBのパワーを正とするとき、物体側レンズ面および像側レンズ面のいずれもが凸形状であることが好ましい。中間レンズLBを両凸形状にすることにより3枚接合レンズが正のパワーを発生させるので、テレセントリック性を確保しやすくなる。
ここに、接合レンズの性質として正のパワーを発揮する中間レンズLBの形状は重要である。特に、水平画角が130度以上の広角に対応しコンパクト化された撮像レンズ系を実現するために、中間レンズLBとしては、入射面(物体側接合面)の曲率半径r3の絶対値と、出射面(像側接合面)の曲率半径r4の絶対値は、それぞれ、中間レンズの中心厚みdBに対して、下記の条件式(1)(2)の何れかを満たすことが望ましい。
|r3|/dB < 1.4 (1)
|r4|/dB < 1.4 (2)
条件式(1)(2)を満たすことにより、両接合面の曲率半径に比べて接合面間距離を確保することにより、2つの接合面で効果的に屈折させることができ、高画角(水平画角が130°以上の広角)における色収差を効果的に補正することができる。
さらに、条件式(1)の上限は、好ましくは1.0、さらに好ましくは0.8、より好ましくは0.6とすることができる。また条件式(2)の上限は、好ましくは1.0、さらに好ましくは0.7、より好ましくは0.5とすることができる。また、条件式(1)および(2)の下限はともに、0.1あるいは0.3とすることができる。
ここに、前方レンズの物体側凸面の曲率半径をr1とし、中間レンズの入射面(物体側接合面)の曲率半径をr3とし、中間レンズの出射面(像側接合面)の曲率半径をr4とし、後方レンズの像側凸面の曲率半径をr6とするとき、下記の条件式(3)(4)の何れかを満たすことが望ましい。
1.0<r1/r3<4.0 (3)
1.0<r6/r4<4.0 (4)
条件式(3)(4)を満たすことにより、形状に対称性が付与され、熱サイクルに対する接合面の耐久性が優れる。ここに、条件式(3)の下限は、好ましくは1.5、さらに好ましくは1.8、より好ましくは2.0とすることができる。
条件式(3)の上限は、好ましくは3.5、さらに好ましくは3.0、より好ましくは2.5とすることができる。また条件式(4)の下限は、好ましくは1.2、さらに好ましくは1.3、より好ましくは1.4とすることができる。条件式(4)の上限は、好ましくは3.0、さらに好ましくは2.5、より好ましくは2.0とすることができる。
さらに、熱サイクルに対する耐久性は、相互に貼りあわせる前方レンズと中間レンズ、中間レンズと後方レンズの熱的性質が近似することが望ましく、熱的性質の目安となる密度の指標となる屈折率の関係が、前方レンズの屈折率nd(A)、中間レンズの屈折率nd(B)、後方レンズの屈折率nd(C)との間に条件式(5)(6)の何れかを満たすことが望ましい。
0<(nd(A)−nd(B))<0.20 (5)
0<(nd(C)−nd(B))<0.20 (6)
条件式(3)(4)(5)(6)を満たすことにより、中間レンズとの屈折率差が小さい前方レンズおよび後方レンズが盃状に中間レンズを包み込む構造が成立し、形状にも対称性が与えられ、熱サイクルに対する接合面の耐久性が優れる。このことは、負レンズの屈折率は正レンズの屈折率より大きく、しかしその差は0.20未満であることが望ましい。
正負のレンズが複数あるときも、負レンズの屈折率をnn、正レンズの屈折率をnpとしたときに、アッベ数の差が大きくても0.20未満となること、すなわち、条件式(7)が成り立つことが望ましい。
0<(nn−np)<0.20 (7)
なお、条件式(7)の下限は、0.02もしくは0.05とすることがより好ましい。
さらに、前方レンズLA、後方レンズLCの厚みは、曲率半径の大きい方のレンズ面と、曲率半径の小さい方の接合面との距離が変わることにより変化するため、光軸上での厚みと周辺部の厚みとの差が小さいほど、熱サイクルによる膨張収縮の影響は小さいが、光学設計上のパワーを確保する必要があるため、中間レンズLBが正の両凸レンズで、前方レンズLA及び後方レンズLCが負のメニスカスレンズである場合に、前方レンズLAについて条件式(8)、後方レンズLCについて条件式(9)を満たすことが望ましい。
{dA/(r1−r3)}>0.2 (8)
{dC/(r6−r4)}<−0.2 (9)
条件式(8)(9)を満たすことにより、前方・後方の各凹レンズの中心と周辺との厚みの差を小さくすることができ、熱サイクルに強くすることができる。
条件式(8)の上限は好ましくは0.8、より好ましくは0.6、条件式(9)の下限は−1.5とすることが望ましい。
また、前方後方の両レンズで中間レンズを包み込む構成となっていることが望ましく、接合レンズの入射面や出射面の曲率半径r1、r6をレンズ面の曲率半径Rとし、入射側や出射側の接合面の曲率半径r3、r4を接合面の曲率rとして再定義したときに、入射側と出射側がともに、条件式(10)を満たすことが望ましい。
0<{(R−r)/(R+r)}≦0.50 (10)
この場合に、負レンズの屈折率をnn、正レンズの屈折率をnpとの間に条件式(7)が成り立つことが望ましい。条件式(10)の下限は0.2とすることが望ましい。
条件式(10)(7)を満たすことにより、前方・後方の各レンズが中間レンズを包み込む曲率となり、屈折率差が小さくても高画角での色収差が補正できる。
なお、本発明においては、
0.33≦{(r1−r3)/(r1+r3)}≦0.50
0≦{(r6−r4)/(r6+r4)}≦0.32
の範囲で入射側と出射側の形状のバランスが異なっている。
色収差の補正の性能の観点からすれば、入射面と出射面が大きく屈曲することが望ましく、前方レンズの物体側面の曲率半径r1と、後方レンズの像側面の曲率半径r6は、それぞれ、レンズの中心厚みd(=dA+dB+dC)よりも短く、条件式(11)および条件式(12)を満たすことが望ましい。
|r1|/d < 1.5 (11)
|r6|/d < 1.5 (12)
条件式(11)(12)を満たすことにより、各レンズ面の曲率半径に対して中心厚みを確保することができ、高画角において十分な結像性能を発揮して、画角が100°を超える広角撮像レンズを構成できる。
条件式(11)の下限は0.5とすることが望ましい。条件式(12)の下限は0.3とすることが望ましい。
さらに、入射面(物体側接合面)の曲率半径の絶対値と出射面(像側接合面)の曲率半径の絶対値の合計が中間レンズの中心厚みdBよりも短い、下記の条件式(13)を満たすことがより望ましい。
(|r3|+|r4|)/dB < 1.8 (13)
負レンズの屈折率をnn、正レンズの屈折率をnpとしたときに、前方レンズと中間レンズあるいは中間レンズと後方レンズの何れの組合せも、アッベ数の差が大きくても0.20未満となること、すなわち、条件式(7)が成り立つことが望ましい。
条件式(13)(7)を満たすことにより、接合面の曲率を強くして中間レンズを包み込み、屈折率差を小さくしてパワーを調整し、適切に色収差を補正することができる。条件式(13)の下限は0.6とすることが望ましい。
また、中間レンズの物体側凸面の曲率半径r3と、像側凸面の曲率半径r4と、中間レンズの中心厚みdBとの間に、条件式(14)を満たすことがより望ましい。
1.0≦(dB/√|r3・r4|) (14)
条件式(14)を満たすことにより、中間凸レンズの中心厚みを接合面の曲率半径より長くすることで、高画角において色収差補正を効果的に行なうことができる。条件式(14)の上限は3.0とすることが望ましい。
本発明の接合レンズでは、前記前方レンズLAの焦点距離をfA、前記中間レンズLBの焦点距離をfB、前記後方レンズLCの焦点距離をfC、とするときに、下記の条件式(15)を満足することが好ましい。
−2.0<{1/(1/fA+1/fC)/fB}<−1.2 (15)
条件式(15)は、前方レンズLAと後方レンズLCとの合成焦点距離と、中間レンズLBの焦点距離と、の比を表す。条件式(15)を満たすことにより、前方レンズと後方レンズの合成焦点距離と、中間レンズの焦点距離がほぼつりあい、少しパワーが正となるように、前方および後方レンズの合成焦点距離と中間レンズの焦点距離を調整し、接合レンズの負と正のパワーのバランスをとり、色収差を適正に補正し、結像性能を確保することができる。
条件式(15)の上限値を上回ると、前方レンズLAと後方レンズLCとの合成パワーが増大するため、色収差の補正が過剰となり、結像性能の劣化を招く。条件式(15)の下限値を下回ると、前方レンズLAと後方レンズLCとの合成パワーが減少するため、色収差補正が不足し、この場合にも結像性能の劣化を招く。なお条件式(15)の上限はより好ましくは−1.23、下限はより好ましくは−1.60である。
さらに、fC/fBは、それぞれ条件式(16)を満たすことが望ましい。すなわち、fC/fBは−2.3〜−7.0が好ましく、さらに−2.8〜−6.8がより好ましい。
−7.0<(fC/fB)<−2.3 (16)
条件式(16)を満たすことにより、中間レンズLBと後方レンズLCのパワーを調整することでより適切に色収差補正と結像性能のバランスを図ることができる。
さらに本発明において、高画角においても充分に色収差を補正するために、前方レンズLAの中心厚みdA、中間レンズLBの中心厚みdB、後方レンズLCの中心厚みdCとの総和に相当する接合レンズの中心厚みdと、前方レンズLAと中間レンズLBと後方レンズLCの合成焦点距離(3枚接合レンズの焦点距離)fABCとの間に条件式(17)が成り立つことが望ましい。すなわち、d/fABCが1.0以上、より好ましくは1.1以上で、3.0以下であることが望ましい。
d/fABC ≧1.0 (17)
条件式(17)を満たすことにより、中心厚みを焦点距離より長くすることができ、高画角において十分な結像性能を発揮して、画角100°を超える広角撮像レンズを構成できる。条件式(17)の上限は好ましくは1.4で、1.3であることがより望ましい。
また、高画角においても充分に結像性能を発揮するために、接合レンズの中心厚みdと、接合レンズの入射面の曲率半径r1と出射面の曲率半径r6で表したレンズ面の平均曲率半径√|r1・r6|との間に、条件式(18)が成り立つことが望ましい。
0≦d/√|r1・r6| (18)
条件式(18)を満たすことにより、中心厚みをレンズ面の平均曲率半径より長くすることができ、高画角において十分な結像性能を発揮して、画角100°を超える広角撮像レンズを構成できる。条件式(18)の上限は好ましくは2.0で、1.8であることがより望ましい。
また、本発明において、接合面の法線角度を確保して色収差の補正を容易にするため、中間レンズLBの中心厚みdBと中間レンズLBの焦点距離fBの絶対値|fB|との間に条件式(19)が成り立つことが望ましい。すなわち、dB/|fB|が1.0以上、好ましくは1.1以上、さらには1.3以上、より好ましくは1.4以上であることが望ましい。
dB/|fB|≧1.0 (19)
条件式(19)を満たすことにより、高画角において十分な結像性能を発揮できる。条件式(19)の上限は好ましくは2.0で、1.6であることが望ましい。
本発明で接合レンズとしての正のパワーを支配する中間レンズLBのアッベ数をνd(B)、中間レンズLBの焦点距離をfBとして、fB/νd(B)は、小さいことが望ましく、条件式(20)を満たすことが好ましい。
|fB|/νd(B)≦0.1 (20)
条件式(20)を満たすことにより、中間レンズLBによるF線(486nm)とC線(656nm)のピント位置の差が小さくなり、結果として色収差が良好に補正される。
なお、|fB|/νd(B)の値は、0.06以下、0.05以下、0.04以下、0.03以下と小さい方がより望ましい。条件式(20)の下限は好ましくは0.01である。
さらに本発明において、高画角においても充分に色収差を補正するために、前方レンズLAと中間レンズLBと後方レンズLCの合成焦点距離(3枚接合レンズの焦点距離)fABCと、中間レンズの入射面(物体側接合面)の曲率半径r3、中間レンズの出射面(像側接合面)の曲率半径r4との間に条件式(21)が成り立つことが望ましい。
2.4≦(fABC /√|r3・r4|)≦3.0 (21)
条件式(21)を満たすことにより、高画角における色収差を補正できる。
本発明において、高画角においても充分な結像性能を得るために、前方レンズLAと中間レンズLBと後方レンズLCの合成焦点距離(3枚接合レンズの焦点距離)fABCと、接合レンズの入射面の曲率半径r1、出射面の曲率半径r6との間に条件式(22)が成り立つことが望ましい。
1.0≦fABC /√(|r1・r6|)≦3.0 (22)
条件式(22)を満たすことにより、高画角において十分な結像特性を発揮する。
さらに本発明において、高画角においても充分に色収差を補正するために、中間レンズLBの焦点距離fBと、中間レンズの入射面(物体側接合面)の曲率半径r3、中間レンズの出射面(像側接合面)の曲率半径r4との間に条件式(23)が成り立つことが望ましい。
1.3≦(fB /√|r3・r4|)≦1.7 (23)
条件式(23)を満たすことにより、高画角における色収差を補正できる。
本発明で接合レンズとしての正のパワーを支配する中間レンズLBのアッベ数をνd(B)、ともに負のパワーを支配する前方レンズLAのアッベ数をνd(A)、後方レンズLCのアッベ数をνd(C)として、条件式(24)を満たすことが好ましい。
1.7≦(νd(B)/√νd(A)・νd(C))≦2.5 (24)
条件式(24)を満たすことにより、色収差を効果的に補正することができる。
本発明で負レンズの厚みと正レンズの厚みのバランスにより安定した結像を実現するには、接合レンズとしての正のパワーを支配する中間レンズLBの中心厚みdBの、ともに負のパワーを支配する前方レンズLAの中心厚みdAと後方レンズLCの中心厚みdCとの和に対する比率{dB/(dA+dC)}は、条件式(25)を満たすことが好ましい。
1.00≦{dB/(dA+dC)}≦2.48 (25)
条件式(25)を満たすことにより、負レンズ成分の中心厚みと正レンズ成分の中心厚みのバランスにより安定した結像を実現することができる。
本発明では、両凸レンズである前記中間レンズの屈折率nd(B)が、条件式(26)を満たすことが好ましい。
nd(B)≧1.52 (26)
条件式(26)を満たすことにより、本発明の接合レンズを小型化することができる。
さらに、両凸レンズである前記中間レンズのアッベ数νd(B)が、条件式(27)を満たすことが好ましい。
νd(B)≦64 (27)
条件式(27)を満たすことにより、前方レンズLAと、後方レンズLCとの兼ね合いで色収差を効果的に補正することができる。
本発明の接合レンズは、上述の撮像レンズ系と、前記撮像レンズ系の焦点位置に配置された撮像素子にも、適用が可能である。
本発明の接合レンズによれば、軸上色収差を良好に補正して高解像化が図れるとともに、コンパクト化を実現することができる広画角の撮像レンズ系及び撮像装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る接合レンズを適用した撮像レンズ系11の実施例について説明する。
[実施例1]
図1は、実施例1の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の構成を示す図である。図1に示すように、実施例1の接合レンズを適用した撮像レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、像側に凹形状で負のパワーを有する第1レンズL1と、像側に凹形状で負のパワーを有する第2レンズL2と、物体側に凸形状で正のパワーを有する第3レンズL3と、絞りSTOPと、像側に凹形状で負のパワーを有する前方レンズLAと、物体側および像側に凸形状で正のパワーを有する中間レンズLBと、物体側に凹形状で負のパワーを有する後方レンズLCとからなる接合レンズLABC、から構成される。接合レンズLABCは撮像レンズ系11の第4レンズとなっている。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。
第1レンズL1は、負のパワーを有する球面メニスカスレンズである。第1レンズL1の物体側レンズ面S1は正の曲率を有する球面であり、像側レンズ面S2は正の曲率を有する球面である。物体側レンズ面S1は物体側に突出する凸形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S2は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
第2レンズL2は、負のパワーを有する非球面レンズである。第2レンズL2の物体側レンズ面S3は負の曲率を有する非球面であり、像側レンズ面S4は正の曲率を有する非球面である。物体側レンズ面S3は光軸Zの近傍で像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S4は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
第3レンズL3は、正のパワーを有する非球面レンズである。物体側レンズ面S5は正の曲率を有する非球面であり、像側レンズ面S6は負の曲率を有する非球面である。物体側レンズ面S5は物体側に突出する凸形状の曲面部分を有しており、像側レンズ面S6は光軸Zの近傍で像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。
第1レンズL1及び第2レンズL2は、大きい入射角からの入射光線を少しずつ光軸Zに沿った小さい角度に変換してから絞りSTOPを通過させる働きを有する。第1レンズL1及び第2レンズL2の像側レンズ面は、光線を拡げるために、双方とも負の曲率を有する。第3レンズL3は、物体側に凸形状の正レンズであり、第1レンズL1及び第2レンズL2で発散された光線を収束させる働きを有する。広角化を達成するために上記の構成が必要であり、130度以上の全画角を達成できる。
接合レンズLABCの物体側の前方レンズLAは、負のパワーを有する非球面レンズである。前方レンズLAの物体側レンズ面S9は正の曲率を有する非球面であり、像側レンズ面S10は正の曲率を有する非球面である。物体側レンズ面S9は光軸Zの近傍で物体側に突出する凸形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S10は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
接合レンズLABCの中間レンズLBは、正のパワーを有する非球面レンズである。中間レンズL5の物体側レンズ面S11は正の曲率を有する非球面であり、像側レンズ面S12は負の曲率を有する非球面である。物体側レンズ面S11は光軸Zの近傍で物体側に突出する凸形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S12は光軸Zの近傍で像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。
接合レンズLABCの後方レンズLCは、負のパワーを有する非球面メニスカスレンズである。後方レンズLCの物体側レンズ面S13は負の曲率を有する非球面であり、像側レンズ面S14は負の曲率を有する非球面である。物体側レンズ面S13は像側に窪む凹形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S14は光軸Zの近傍で像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。
前方レンズLAの像側レンズ面S10と中間レンズLBの物体側レンズ面S11とは接着剤により貼り合わされている。また、中間レンズLBの像側レンズ面S12と後方レンズLCの物体側レンズ面S13とは接着剤により貼り合わされている。すなわち、前方レンズLA、中間レンズLBおよび後方レンズLCの3枚のレンズを貼り合わせることにより、3枚接合レンズを構成する。つまり、撮像レンズ系11では、絞りSTOPよりも像側には本発明に係る3枚接合レンズのみが配置されている。
IRカットフィルタ12は、赤外領域の光をカットするためのフィルタである。カバーガラス13は、撮像素子を保護するためのガラス板である。IRカットフィルタ12及びカバーガラス13は、撮像レンズ系11の設計時には、撮像レンズ系11と一体として扱われる。しかし、IRカットフィルタ12及びカバーガラス13は、撮像レンズ系11の必須の構成要素ではない。
表1に、撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。レンズデータとしては、各面の曲率半径、面間隔、屈折率及びアッベ数を載せている。「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
表1において、接合レンズの前方レンズLAのアッベ数νd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている24である。接合レンズの中間レンズLBのアッベ数νd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている56である。このように中間レンズLBのアッベ数νd(B)は56であり、64よりも小さい。
接合レンズの後方レンズLCのアッベ数νd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている24である。つまり、実施例1において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCのアッベ数は33以下、中間レンズLBのアッベ数は50以上である。
接合レンズLABCの前方レンズLAの屈折率nd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている1.635である。中間レンズLBの屈折率nd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている1.535である。このように中間レンズLBの屈折率nd(B)は1.535であり、1.52よりも大きい。
後方レンズLCの屈折率nd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている1.635である。つまり、実施例1において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCの屈折率nd(A)、nd(C)は1.6以上、中間レンズLBの屈折率nd(B)は1.6未満である。
前方レンズと中間レンズを接合する物体側接着層のアッベ数は第10面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。中間レンズと後方レンズを接合する像側接着層のアッベ数は第12面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。従って、物体側および像側の接着剤層は、負のパワーを備える前方レンズLAおよび後方レンズより大きく、かつ、正のパワーを備える中間レンズLBより小さいアッベ数を有している。
また接着剤層は、前方レンズLAおよび後方レンズLCより小さく、かつ、中間レンズLBより小さい屈折率ndを有している。
また、3枚接合レンズLABCにおける貼り合わせ面の両方とも非球面である。
第9面から第14面が、接合レンズLABCの構成となる。第9面は前方レンズLAの入射面(曲率半径をr1、中心厚みをdAとする。)、第10面は前方レンズLAの出射面(曲率半径をr2とする。)、第11面は中間レンズLBの入射面(曲率半径をr3、中心厚みをdBとする。)、第12面は中間レンズLBの出射面(曲率半径をr4とする。)、第13面は後方レンズLCの入射面(曲率半径をr5、中心厚みをdCとする。)、第14面は後方レンズLCの出射面(曲率半径をr6とする。)を表している。第10面と第11面との間、第12面と第13面との間は接着剤で満たされている。
接合レンズの入射面(前方レンズLAの物体側面)の曲率半径r1は、第9面の欄に記載されている2.232(mm)である。接合レンズの出射面(後方レンズLCの像側面)の曲率半径r6は、第14面の欄に記載されている−1.452の絶対値1.452(mm)である。ともに接合レンズの中心厚みd(前方レンズの中心厚みdA=0.45と、中間レンズの中心厚みdB=1.998と、後方レンズの中心厚みdC=0.45の総和)2.898(mm)よりも短い。
また、中間レンズLBの入射面(物体側接合面)の曲率半径r3は第11面の1.024(mm)、出射面(像側接合面)の曲率半径r4は第12面の−0.754の絶対値0.754(mm)で、それぞれ、中間レンズLBの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の1.998(mm))よりも短く、物体側接合面の曲率半径r3の絶対値|r3|と像側接合面の曲率半径r4の絶対値|r4|の合計1.778(mm)も、中間レンズLBの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の1.998(mm))よりも短い。
レンズ面に採用される非球面形状は、zをサグ量、cを曲率半径の逆数、kを円錐係数、rを光軸からの光線高さとして、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次の非球面係数をそれぞれα4、α6、α8、α10、α12、α14、α16としたときに、次式により表わされる。
表2に、実施例1の接合レンズを適用した撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表2において、例えば「−3.60256E+02」は、「−3.60256×102」を意味する。
本発明の接合レンズは、撮像レンズ系の絞りの像側に配置されており、前方レンズLAおよび後方レンズLCのアッベ数を33以下とし、中間レンズLBのアッベ数を50以上が望ましい。これにより、軸上色収差を良好に補正することができる。上述したように、実施例1においてもこの条件を満たしている(表1参照)。
このような接合レンズが仮に全体として負のパワーを有する場合、軸上色収差の補正は良好にできるものの、全長の増大を抑えるために、3枚接合レンズの像側において撮像素子に集光させるための(テレセントリック性を確保するための)レンズをさらに配置しなくてはならない。これに対し、本発明の接合レンズは全体として正のパワーを有することで、全長の増大を抑えるために、像側において撮像素子に集光させるためのレンズを追加配置しなくても済むので、撮像レンズ系におけるレンズ枚数を減らしコンパクト化が実現できる。
本発明の接合レンズでは、貼り合わせ面のいずれか一方は非球面であることが好ましい。貼り合わせ面のいずれか一方を非球面とすることで、軸上色収差をより良好に補正することができる。実施例1においては、表1に示すように、3枚接合レンズにおける貼り合わせ面の両方とも非球面である。
本発明の接合レンズでは、中間レンズは、物体側レンズ面および像側レンズ面のいずれもが凸形状であることが好ましい。中間レンズを凸形状にすることにより3枚接合レンズが正のパワーを発生させるので、テレセントリック性を確保しやすくなる。実施例1においては、図1に示すように、中間レンズは、物体側レンズ面および像側レンズ面のいずれもが凸形状である。
図2(a)〜(c)は、実施例1の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の縦収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。図2(a)〜(c)に示すように、実施例1の接合レンズを適用した撮像レンズ系11では、半画角ωが102.5°、F値が2.0である。図2(a)の縦収差図では、横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。図2(b)の像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図2(b)において、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。図2(c)の歪曲収差図では、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図2(a)〜図2(c)では、波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示してある。
[実施例2]
図3は、実施例2の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の構成を示す図である。図3に示すように、第1レンズL1〜第3レンズL3、接合レンズLABCは、実施例1と同様の形状をしている。接合レンズLABCは撮像レンズ系11の第4レンズとなっている。
表3に、実施例2の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。
表3において、接合レンズの前方レンズLAのアッベ数νd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている24である。接合レンズの中間レンズLBのアッベ数νd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている56である。このように中間レンズLBのアッベ数νd(B)は56であり、64よりも小さい。
接合レンズの後方レンズLCのアッベ数νd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている24である。つまり、実施例2において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCのアッベ数は33以下、中間レンズLBのアッベ数は50以上である。
接合レンズLABCの前方レンズLAの屈折率nd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている1.635である。中間レンズLBの屈折率nd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている1.535である。このように中間レンズLBの屈折率nd(B)は1.535であり、1.52よりも大きい。
後方レンズLCの屈折率nd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている1.635である。つまり、実施例2において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCの屈折率nd(A)、nd(C)は1.6以上、中間レンズLBの屈折率nd(B)は1.6未満である。
前方レンズと中間レンズを接合する物体側接着層のアッベ数は第10面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。中間レンズと後方レンズを接合する像側接着層のアッベ数は第12面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。
従って、物体側および像側の接着剤層は、負のパワーを備える前方レンズLAおよび後方レンズLCより大きく、かつ、正のパワーを備える中間レンズLBより小さいアッベ数を有している。
また接着剤層は、前方レンズLAおよび後方レンズLCより小さく、かつ、中間レンズLBより小さい屈折率ndを有している。
また、3枚接合レンズLABCにおける貼り合わせ面の両方とも非球面である。
第9面から第14面が、接合レンズLABCの構成となる。第9面は前方レンズLAの入射面(曲率半径をr1、中心厚みをdAとする。)、第10面は前方レンズLAの出射面(曲率半径をr2とする。)、第11面は中間レンズLBの入射面(曲率半径をr3、中心厚みをdBとする。)、第12面は中間レンズLBの出射面(曲率半径をr4とする。)、第13面は後方レンズLCの入射面(曲率半径をr5、中心厚みをdCとする。)、第14面は後方レンズLCの出射面(曲率半径をr6とする。)を表している。第10面と第11面との間、第12面と第13面との間は接着剤で満たされている。
接合レンズの入射面(前方レンズの物体側面)の曲率半径r1は、第9面の欄に記載されている2.270(mm)である。接合レンズの出射面(後方レンズの像側面)の曲率半径r6は、第14面の欄に記載されている−1.445の絶対値1.445(mm)である。ともに接合レンズの中心厚みd(前方レンズの中心厚みdA=0.45と、中間レンズの中心厚みdB=2.104と、後方レンズの中心厚みdC=0.45の総和)3.004(mm)よりも短い。
また、中間レンズLBの入射面(物体側接合面)の曲率半径r3は第11面の0.967(mm)、出射面(像側接合面)の曲率半径r4は第12面の−0.827の絶対値0.827(mm)で、それぞれ、中間レンズLBの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の2.104(mm))よりも短く、物体側接合面の曲率半径r3の絶対値|r3|と像側接合面の曲率半径r4の絶対値|r4|の合計1.794(mm)も、中間レンズLBの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の2.104(mm))よりも短い。
表4に、実施例2の接合レンズを適用した撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
図4(a)〜(c)は、実施例2の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の縦収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。図4(a)〜(c)に示すように、実施例2の接合レンズを適用した撮像レンズ系11では、半画角ωが102°、F値が2.0である。
[実施例3]
図5は、実施例3の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の構成を示す図である。図5に示すように、第1レンズL1〜第3レンズL3、接合レンズLABCは、実施例1と同様の形状をしている。接合レンズLABCは撮像レンズ系11の第4レンズとなっている。
表5に、実施例3の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。
表5において、接合レンズの前方レンズLAのアッベ数νd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている24である。接合レンズの中間レンズLBのアッベ数νd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている56である。このように中間レンズLBのアッベ数νd(B)は56であり、64よりも小さい。
接合レンズの後方レンズLCのアッベ数νd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている24である。つまり、実施例3において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCのアッベ数は33以下、中間レンズLBのアッベ数は50以上である。
接合レンズLABCの前方レンズLAの屈折率nd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている1.635である。中間レンズLBの屈折率nd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている1.535である。このように中間レンズLBの屈折率nd(B)は1.535であり、1.52よりも大きい。
後方レンズLCの屈折率nd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている1.635である。つまり、実施例3において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCの屈折率nd(A)、nd(C)は1.6以上、中間レンズLBの屈折率nd(B)は1.6未満である。
前方レンズと中間レンズを接合する物体側接着層のアッベ数は第10面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。中間レンズと後方レンズを接合する像側接着層のアッベ数は第12面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。
従って、物体側および像側の接着剤層は、負のパワーを備える前方レンズLAおよび後方レンズより大きく、かつ、正のパワーを備える中間レンズLBより小さいアッベ数を有している。
また接着剤層は、前方レンズLAおよび後方レンズLCより小さく、かつ、中間レンズLBより小さい屈折率ndを有している。
また、3枚接合レンズにおける貼り合わせ面の両方とも非球面である。
第9面から第14面が、接合レンズLABCの構成となる。第9面は前方レンズLAの入射面(曲率半径をr1、中心厚みをdAとする。)、第10面は前方レンズLAの出射面(曲率半径をr2とする。)、第11面は中間レンズLBの入射面(曲率半径をr3、中心厚みをdBとする。)、第12面は中間レンズLBの出射面(曲率半径をr4とする。)、第13面は後方レンズLCの入射面(曲率半径をr5、中心厚みをdCとする。)、第14面は後方レンズLCの出射面(曲率半径をr6とする。)を表している。第10面と第11面との間、第12面と第13面との間は接着剤で満たされている。
接合レンズの入射面(前方レンズの物体側面)の曲率半径r1は、第9面の欄に記載されている2.302(mm)である。接合レンズの出射面(後方レンズの像側面)の曲率半径r6は、第14面の欄に記載されている−1.427の絶対値1.427(mm)である。ともに接合レンズの中心厚みd(前方レンズの中心厚みdA=0.45と、中間レンズの中心厚みdB=2.231と、後方レンズの中心厚みdC=0.45の総和)3.131(mm)よりも短い。
また、中間レンズの入射面(物体側接合面)の曲率半径r3は第11面の0.922(mm)、出射面(像側接合面)の曲率半径r4は第12面の−0.893の絶対値0.893(mm)で、それぞれ、中間レンズの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の2.231(mm))よりも短く、物体側接合面の曲率半径r3の絶対値|r3|と像側接合面の曲率半径r4の絶対値|r4|の合計1.815(mm)も、中間レンズの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の2.231(mm))よりも短い。
表6に、実施例3の接合レンズを適用した撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
図6(a)〜(c)は、実施例3の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の縦収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。図6(a)〜(c)に示すように、実施例3の接合レンズを適用した撮像レンズ系11では、半画角ωが102°、F値が2.0である。
[実施例4]
図7は、実施例4の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の構成を示す図である。図7に示すように、第1レンズL1〜第3レンズL3、接合レンズLABCは、実施例1と同様の形状をしている。接合レンズLABCは撮像レンズ系11の第4レンズとなっている。
表7に、実施例4の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。
表7において、接合レンズの前方レンズLAのアッベ数νd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている24である。接合レンズの中間レンズLBのアッベ数νd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている56である。このように中間レンズLBのアッベ数νd(B)は56であり、64よりも小さい。
接合レンズの後方レンズLCのアッベ数νd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている24である。つまり、実施例4において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCのアッベ数は33以下、中間レンズLBのアッベ数は50以上である。
接合レンズLABCの前方レンズLAの屈折率nd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている1.635である。中間レンズLBの屈折率nd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている1.535である。このように中間レンズLBの屈折率nd(B)は1.535であり、1.52よりも大きい。
後方レンズLCの屈折率nd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている1.635である。つまり、実施例4において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCの屈折率nd(A)、nd(C)は1.6以上、中間レンズLBの屈折率nd(B)は1.6未満である。
前方レンズと中間レンズを接合する物体側接着層のアッベ数は第10面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。中間レンズと後方レンズを接合する像側接着層のアッベ数は第12面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。
従って、物体側および像側の接着剤層は、負のパワーを備える前方レンズLAおよび後方レンズより大きく、かつ、正のパワーを備える中間レンズLBより小さいアッベ数を有している。
また接着剤層は、前方レンズLAおよび後方レンズLCより小さく、かつ、中間レンズLBより小さい屈折率ndを有している。
また、3枚接合レンズLABCにおける貼り合わせ面の両方とも非球面である。
第9面から第14面が、接合レンズLABCの構成となる。第9面は前方レンズLAの入射面(曲率半径をr1、中心厚みをdAとする。)、第10面は前方レンズLAの出射面(曲率半径をr2とする。)、第11面は中間レンズLBの入射面(曲率半径をr3、中心厚みをdBとする。)、第12面は中間レンズLBの出射面(曲率半径をr4とする。)、第13面は後方レンズLCの入射面(曲率半径をr5、中心厚みをdCとする。)、第14面は後方レンズLCの出射面(曲率半径をr6とする。)を表している。第10面と第11面との間、第12面と第13面との間は接着剤で満たされている。
接合レンズの入射面(前方レンズの物体側面)の曲率半径r1は、第9面の欄に記載されている2.305(mm)である。接合レンズの出射面(後方レンズの像側面)の曲率半径r6は、第14面の欄に記載されている−1.390の絶対値1.390(mm)である。ともに接合レンズの中心厚みd(前方レンズの中心厚みdA=0.450と、中間レンズの中心厚みdB=2.069と、後方レンズの中心厚みdC=0.450の総和)2.969(mm)よりも短い。
また、中間レンズの入射面(物体側接合面)の曲率半径r3は第11面の0.965(mm)、出射面(像側接合面)の曲率半径r4は第12面の−0.988の絶対値0.988(mm)で、それぞれ、中間レンズの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の1.998(mm))よりも短く、物体側接合面の曲率半径r3の絶対値|r3|と像側接合面の曲率半径r4の絶対値|r4|の合計1.953(mm)も、中間レンズの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の2.069(mm))よりも短い。
表8に、実施例4の接合レンズを適用した撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
図8(a)〜(c)は、実施例4の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の縦収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。図8(a)〜(c)に示すように、実施例4の接合レンズを適用した撮像レンズ系11では、半画角ωが102.5°、F値が2.0である。
[各実施例の焦点距離の計算]
表9に、実施例1〜4の接合レンズLABCを適用した撮像レンズ系11の各種焦点距離の値を計算した結果を示す。撮像レンズ系11において、第1レンズL1の焦点距離をf1、第2レンズL2の焦点距離をf2、第3レンズL3の焦点距離をf3、接合レンズLABCの前方レンズLAの焦点距離をfA、中間レンズLBの焦点距離をfB、後方レンズLCの焦点距離をfC、前方レンズLAと中間レンズLBと後方レンズLCとの合成焦点距離(3枚接合レンズの合成焦点距離)をfABC、レンズ全系の焦点距離をf、としたときのこれらの値を、撮像レンズ系の半画角、F値のデータとともに、表9に示す。
各種の焦点距離は、546nmの波長の光線を用いて、546nmの波長におけるレンズ材料の屈折率として、第1レンズL1の屈折率を1.7762、第2レンズL2の屈折率を1.537、第3レンズL3の屈折率を1.587、接合レンズLABCの前方レンズLAの屈折率を1.641、中間レンズLBの屈折率を1.537、後方レンズLCの屈折率を1.641として、それぞれ計算により求めた。
[条件式のまとめ]
表10に、実施例1〜4の接合レンズにおいて、条件式(1)〜(25)のパラメータを計算した結果を示す。
[撮像装置への適用例]
図9は、本発明の接合レンズを適用した撮像レンズ系11を用いた撮像装置10の構成を示す図である。撮像装置10は、撮像レンズ系11と、IRカットフィルタ12と、カバーガラス13と、撮像素子14と、を備える。撮像レンズ系11と、IRカットフィルタ12と、カバーガラス13と、撮像素子14と、は筐体(不図示)に収容されている。
撮像素子14は、受光した光を電気信号に変換する素子であり、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。撮像素子14は、撮像レンズ系11の焦点位置に配置されている。なお、水平画角とは、撮像素子14の水平方向に対応する画角である。
IRカットフィルタ12は、赤外領域の光をカットするためのフィルタである。可視光のみがIRカットフィルタ12を通過して撮像素子14に入射する。カバーガラス13は、撮像素子14を異物から保護するために、撮像素子14上に設けられている。
なお、本発明の接合レンズは上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本発明の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の用途は、車載カメラに限定されるものではなく、監視カメラや、携帯電話等の小型電子機器に搭載するカメラ等の他の用途にも用いることができる。