JP2018190519A - リチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】充放電効率が優れるリチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】リチウムイオン二次電池用負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵および放出が可能な活物質粒子と、前記活物質粒子の表面の少なくとも一部に備えられた被膜とを有し、前記被膜がチタンと1〜3価の特定の金属とを含み、かつ酸素欠陥を有するチタン酸化物を含む。リチウムイオン二次電池用負極は、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも一方の面に設けられた負極活物質層とを有し、前記負極活物質層が、上記のリチウムイオン二次電池用負極活物質を含む。リチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、電解質とを備え、前記負極が、上記のリチウムイオン二次電池用負極である。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いことから、ノート型のパーソナルコンピューターなどの携帯型電子機器や携帯電話機などの通信機器の電源、自動車用の電源として幅広く応用されている。このリチウムイオン二次電池は、一般に、正極と、負極と、正極と負極との間に介在するセパレータと、正極と負極との間でイオンの移動を可能にするための電解質から構成されている。昨今、携帯型電子機器や通信機器等の小型化、軽量化の観点から、更なる高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池が強く要望されている。また、自動車用電池においては長寿命化が強く要望されている。
ところで、ケイ素(Si)やケイ素酸化物(SiO)などの金属または金属酸化物などの負極活物質粒子は、現在実用化されている黒鉛の理論容量372mAh/gより遙かに高い理論容量を示すことから、電池の高エネルギー密度化において最も期待される材料である。しかし、ケイ素やケイ素酸化物は、その理論容量が大きく、リチウムイオンの挿入脱離の際の膨張収縮が大きいため、微粉化を生じる。微粉化して脱落した活物質は、孤立化することによって充放電反応に寄与できなくなるため、充放電効率が低下してしまう問題があった。さらに、充放電効率の低下に伴って、充分な充放電サイクルを得ることができなかった。
このような課題に対して、負極活物質粒子の表面を被膜で被覆することが検討されている。特許文献1、2では、負極活物質粒子の表面を、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)およびジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む酸化物、窒化物又は炭化物などのセラミックスで被覆することが提案されている。また、特許文献3では、負極活物質粒子の表面を、TiOあるいはZrOなどの金属酸化物で被覆することが提案されている。
特開2004−335334号公報 特開2004−335335号公報 特開2007−141666号公報
しかしながら、本発明者の検討によると、負極活物質粒子の表面を特許文献1〜3に記載されている被膜で被覆すると、充放電効率が低下することがあった。
本発明の目的は、前記事情に鑑みてなされたものであり、充放電効率が優れるリチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明者は、負極活物質粒子の少なくとも一部を、チタンと1〜3価の特定の金属とを含み、かつ酸素欠陥を有するチタン酸化物を含む被膜で被覆することによって、負極活物質粒子の充放電効率が向上することを見出した。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかるリチウムイオン二次電池用負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵および放出が可能な活物質粒子と、前記活物質粒子の表面の少なくとも一部に備えられた被膜とを有し、前記被膜が、下記式(1)で表されるチタン酸化物を含む。
Ti1−a−b−c2−y ・・・(1)
ただし、式(1)中、Aは、KおよびNaからなる群より選ばれる一つ以上の1価金属であり、Bは、Mg、CaおよびSrからなる群より選ばれる一つ以上の2価金属であり、Cは、Al、Y、LaおよびBiからなる群より選ばれる一つ以上の3価金属であり、aは、0≦a≦0.133を満たす数であり、bは、0≦b≦0.200を満たす数であり、cは、0≦c≦0.400を満たす数であって、a+b+cは、0<a+b+c≦0.733を満たし、yは酸素の格子欠陥量であり、0.01≦y<1.5a+b+0.5cを満たす数である。
(2)上記態様にかかるリチウムイオン二次電池用負極活物質は、前記式(1)中の前記aが、0<a≦0.133を満たす数であってもよい。
(3)上記態様にかかるリチウムイオン二次電池用負極活物質は、前記式(1)中の前記bが、0<b≦0.200を満たす数であってもよい。
(4)上記態様にかかるリチウムイオン二次電池用負極活物質は、前記式(1)中の前記cが、0<c≦0.400を満たす数であってもよい。
(5)上記態様にかかるリチウムイオン二次電池用負極活物質は、前記リチウム含有チタン酸化物が、Na、Mg、Alのうちの少なくとも一つの金属を含んでいてもよい。
(6)第2の態様にかかるリチウムイオン二次電池用負極は、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも一方の面に設けられた負極活物質層とを有する負極であって、前記負極活物質層が、上記第1の態様にかかるリチウムイオン二次電池用負極活物質を含む。
(7)第3の態様にかかるリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、電解質とを備えたリチウムイオン二次電池であって、前記負極が、上記第2の態様にかかるリチウムイオン二次電池用負極である。
本発明によれば、初期充放電効率が優れるリチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[リチウムイオン二次電池]
図1は、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、主として積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60、62を備えている。また図示されていないが、積層体40とともに電解質が、ケース50内に収容されている。
積層体40は、正極20と負極30とが、セパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。
正極活物質層24及び負極活物質層34は、セパレータ10の両側にそれぞれ接触している。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード62、60が接続されており、リード60、62の端部はケース50の外部にまで延びている。図1では、ケース50内に積層体40が一つの場合を例示したが、複数積層されていてもよい。
「負極」
負極30は、負極集電体32と、負極集電体32の上に設けられた負極活物質層34とを有する。
(負極集電体)
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、電解銅箔、圧延銅箔、ニッケル箔、SUS箔の金属薄板を用いることができる。
(負極活物質層)
負極活物質層34は、負極活物質と負極バインダーとを有し、必要に応じて負極導電材を有する。
(負極活物質)
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵および放出が可能な活物質粒子と、この活物質粒子の表面の少なくとも一部に備えられた被膜とを有する。被膜は、活物質粒子の表面の全体に備えられていることが好ましい。なお、被膜の有無および組成は、XPS(X線光電子分光法)によって確認することができる。
負極活物質粒子の材料としては、公知のリチウムイオン二次電池用の負極活物質として利用されている各種の材料を使用できる。負極活物質の材料の例としては、例えば、炭素材料、ケイ素、SiO(0<x<2)で表されるケイ素酸化物などのケイ素含有化合物、金属リチウム、リチウムと合金を形成する金属およびこれらの合金、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)を挙げることができる。炭素材料の例としては、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素などを挙げることができる。金属リチウムと合金を形成する金属の例としては、アルミニウム、シリコン、スズなどを挙げることができる。負極活物質粒子は、平均粒子径が0.01μm以上50μm以下の範囲にあることが好ましい。より好ましくは0.1μm以上10μm以下の範囲にある。
上記活物質粒子の表面に備えられた被膜は、下記式(1)で表されるチタン酸化物を含む。
Ti1−a−b−c2−y ・・・(1)
式(1)中、Aは、KおよびNaからなる群より選ばれる一つ以上の1価金属である。Bは、Mg、CaおよびSrからなる群より選ばれる一つ以上の2価金属である。Cは、Al、Y、LaおよびBiからなる群より選ばれる一つ以上の3価金属である。
aは、0≦a≦0.133を満たす数であり、bは、0≦b≦0.200を満たす数であり、cは、0≦c≦0.400を満たす数であって、a+b+cは、0<a+b+c≦0.733を満たす。
yは酸素の格子欠陥量であり、0.01≦y<1.5a+b+0.5cを満たす数である。
上記のチタン酸化物が表面に備えられている本実施形態の負極活物質をリチウムイオン二次電池に用いることによって、充放電効率が向上する理由としては次のように考えられる。
上記のチタン酸化物は、酸素の格子欠陥を有する酸素欠損型チタン酸化物である。酸素欠陥型チタン酸化物(TiO2−y)は、酸素の格子欠陥が存在することによって、酸化物全体としてプラスに帯電し、電子eを吸着し易い状態となるので、導電率が高くなる。この導電性が高い酸素欠陥型チタン酸化物が活物質の表面に存在することによって、活物質同士の間の電気抵抗が低減し、電極全体の導電性が向上する。これにより、酸素欠陥型チタン酸化物を含む被膜が表面に備えられている本実施形態の負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、充放電効率が向上する。
上記の酸素欠陥型チタン酸化物では、酸素の格子欠損が少なくなると、上記の効果が発現しにくくなるおそれがある。一方、酸素の格子欠損が多くなりすぎると、チタン酸化物の結晶構造が不安定となり、継時的にリチウムイオンの伝導性が低下するおそれがある。このため本実施形態では、式(1)において、酸素の格子欠陥量を表すyを、0.01≦y≦0.2を満たす数と設定している。したがって、式(1)におけるa、b、cの各値は、0.01≦y≦0.2を満たす範囲内で種々調整することが好ましい。
本実施形態の酸素欠陥型チタン酸化物は、1〜3価の金属を含む。1〜3価の金属を含むことによって、チタン酸化物は価電子数のバランスがずれて、格子欠陥が形成されやすくなる。なお、1〜3価の金属は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
酸素欠陥型チタン酸化物が、K、Naなどの1価金属を含む場合は、1価金属とチタンのモル比(1価金属/チタン)は0.007以上0.154以下の範囲にあることが好ましい。1価金属をこの範囲で含むことによって、チタン酸化物は格子欠陥がより形成されやすくなる。
酸素欠陥型チタン酸化物が、Mg、Ca、Srなどの2価金属を含む場合は、2価金属とチタンのモル比(2価金属/チタン)は0.010以上0.250以下の範囲にあることが好ましい。2価金属をこの範囲で含むことによって、チタン酸化物は格子欠陥がより形成されやすくなる。
酸素欠陥型チタン酸化物が、Al、Y、La、Biなどの3価金属を含む場合は、3価金属とチタンのモル比(3価金属/チタン)は0.020以上0.667以下の範囲にあることが好ましい。3価金属をこの範囲で含むことによって、チタン酸化物は格子欠陥がより形成されやすくなる。
酸素欠陥型チタン酸化物は、Na、Mg、Alのうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。これらの金属を含むことによって、チタン酸化物は格子欠陥がより形成されやすくなる。
酸素欠陥型チタン酸化物は、例えば、下記の式(2)〜(4)で表される化合物であることが好ましい。
(2)Ti1−aNa2−y(0<a≦0.133、0.01≦y≦0.2)
(3)Ti1−bMg(0<b≦0.200、0.01≦y≦0.2)
(4)Ti1−cAl(0<c≦0.400、0.01≦y≦0.2)
(負極活物質の製造方法)
本実施形態の負極活物質は、例えば、次のように製造することができる。
溶媒に、チタンのアルコキシドと、添加金属のアルコキシドとを溶解させた被膜形成用の溶液(A液)を調製する。また、溶媒に微量の水分と、リチウムイオンの吸蔵および放出が可能な活物質粒子とを分散させた活物質粒子分散液(B液)を調製する。次いで、B液を撹拌しながら、B液にA液を投入した後、チタンのアルコキシドと添加金属のアルコキシドとを加水分解および縮合重合させて、活物質粒子の表面に、添加金属を含むチタン酸化物のゾルの被膜を形成させる。そして、ゾルの被膜が形成された活物質粒子を回収して、純水やアルコールで洗浄した後、減圧しながら乾燥する。
(負極導電材)
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックやエチレンブラック等のカーボン粉末が特に好ましい。負極活物質36のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
(負極バインダー)
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と負極集電体32とを結合する。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電材の機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
またこの他に、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリル樹脂等を用いてもよい。
負極活物質層34中の負極活物質36、導電材及びバインダーの含有量は特に限定されない。負極活物質層34における負極活物質36の構成比率は、質量比で65%以上98%以下であることが好ましい。また負極活物質層34における導電材の構成比率は、質量比で0%以上20%以下であることが好ましく、負極活物質層34におけるバインダーの構成比率は、質量比で2.0%以上35%以下であることが好ましい。
負極活物質とバインダーの含有量を上記範囲とすることにより、バインダーの量が少なすぎて強固な負極活物質層を形成できなくなることを防ぐことができる。また、電気容量に寄与しないバインダーの量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向も抑制できる。
「正極」
正極20は、正極集電体22と、正極集電体22の上に設けられた正極活物質層24とを有する。
(正極集電体)
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
(正極活物質層)
正極活物質層24に用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF6−)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどが挙げられる。
(導電材)
導電材は、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
(正極バインダー)
正極に用いるバインダーは負極と同様のものを使用できる。
正極活物質層24における正極活物質の構成比率は、質量比で80%以上96%以下であることが好ましい。また正極活物質層24における導電材の構成比率は、質量比で2.0%以上10%以下であることが好ましく、正極活物質層24におけるバインダーの構成比率は、質量比で2.0%以上10%以下であることが好ましい。
「セパレータ」
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
「電解質」
電解質は、正極活物質層24、負極活物質層34、及び、セパレータ10の内部に含有させるものである。電解質としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を含む電解液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解液(非水電解質溶液)であることが好ましい。電解液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては特に限定されず、リチウムイオン二次電池の電解質として用いられるリチウム塩を用いることができる。例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等のリチウム塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。特に、電離度の観点から、LiPFを含むことが好ましい。
また、有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート等の非プロトン性高誘電率溶媒や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、等の酢酸エステル類あるいはプロピオン酸エステル類等の非プロトン性低粘度溶媒が挙げられる。これらの非プロトン性高誘電率溶媒と非プロトン性低粘度溶媒を適当な混合比で併用することが望ましい。更には、イミダゾリウム、アンモニウム、及びピリジニウム型のカチオンを用いたイオン性液体を使用することができる。対アニオンは特に限定されるものではないが、BF 、PF 、(CFSO等が挙げられる。イオン性液体は前述の有機溶媒と混合して使用することが可能である。
電解液のリチウム塩の濃度は、電気伝導性の点から、0.5〜2.0Mが好ましい。なお、この電解質の温度25℃における導電率は0.01S/m以上であることが好ましく、電解質塩の種類あるいはその濃度により調整される。
電解質を固体電解質やゲル電解質とする場合には、ポリ(ビニリデンフルオライド)等を高分子材料として含有することが可能である。
更に、本実施形態の電解液中には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、サイクル寿命向上を目的としたビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート等や、過充電防止を目的としたビフェニル、アルキルビフェニル等や、脱酸や脱水を目的とした各種カーボネート化合物、各種カルボン酸無水物、各種含窒素及び含硫黄化合物が挙げられる。
「ケース」
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
「リード」
リード60、62は、アルミ等の導電材料から形成されている。そして、公知の方法により、リード60、62を正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間にセパレータ10を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールする。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
次に、リチウムイオン二次電池100を製造する方法について具体的に説明する。
まず、負極活物質、バインダー及び溶媒を混合して塗料を作製する。必要に応じ導電材を更に加えても良い。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることができる。負極活物質、導電材、バインダーの構成比率は、質量比で65wt%〜98wt%:0wt%〜20wt%:2.0wt%〜35wt%であることが好ましい。これらの質量比は、全体で100wt%となるように調整される。
塗料を構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。上記塗料を、負極集電体32に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。正極についても、同様に正極集電体22上に正極用の塗料を塗布する。
続いて、正極集電体22及び負極集電体32上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体22及び負極集電体32を、80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
そして、このようにして正極活物質層24、負極活物質層34が形成された電極を必要に応じ、ロールプレス装置等によりプレス処理を行う。
次いで、正極活物質層24を有する正極20と、負極活物質層34を有する負極30と、正極と負極との間に介在するセパレータ10と、電解液と、をケース50内に封入する。
例えば、正極20と、負極30と、セパレータ10とを積層し、正極20及び負極30を、積層方向に対して垂直な方向から、プレス器具で加熱加圧し、正極20、セパレータ10、及び負極30を密着させる。そして、例えば、予め作製した袋状のケース50に、積層体40を入れる。
最後に電解液をケース50内に注入することにより、リチウムイオン二次電池が作製される。なお、ケースに電解液を注入するのではなく、積層体40を電解液に含浸させてもよい。
上述のように、本実施形態にかかる負極活物質は、負極活物質粒子の少なくとも一部が、チタンとリチウムとを含む特定のリチウム含有チタン酸化物を含む被膜で被覆されているので、導電性とLiイオンの伝導性が高くなると考えられる。このため、本実施形態にかかる負極活物質を含む負極30を用いたリチウムイオン二次電池100は、初期の充放電効率に優れる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
[実施例1]
2−エトキシエタノール100mLに、アセトニトリル30mLを投入し、次いでマグネシウムエトキシド[Mg(OC]0.015gを投入した後、マグネチックスターラーで撹拌した。マグネシウムエトキシドが溶解した後、チタン(IV)テトラブトキシド,モノマー[Ti(OC]5.0gを投入し、1時間撹拌してマグネシウムエトキシドとチタン(IV)テトラブトキシドの混合溶液を調製した。この溶液をA液とした。
2−エトキシエタノール100mLに、アセトニトリル30mLを投入し、次いでSi粉末(平均粒径1μm)100gを投入し、1時間撹拌した。次いで28%濃度のアンモニア水7mLを投入し、5分間撹拌して、Si粉末の分散液を調製した。この分散液をB液とした。
次に、B液を撹拌しながら、B液にA液を投入し、その後、さらに1時間撹拌を続けてマグネシウムエトキシドとチタン(IV)テトラブトキシドを、アンモニア水中の水分によって加水分解および縮重合させて、Si粉末の表面にマグネシウムを含むチタン酸化物のゾルの被膜を形成させた。撹拌後、25℃で30分間静置した。次いで、ろ過によりゾルの被膜が形成されたSi粉末を回収し、純水とエタノールで洗浄した後、30℃の真空乾燥オーブンにて乾燥した。次いで、被膜とSi粉末との結着性を高めるため、400℃のアルゴン雰囲気下にて焼成した。こうして被膜付のSi粉末を作製し、これを実施例1の負極活物質とした。
[実施例2〜8]
A液中のマグネシウムエトキシドとチタン(IV)テトラブトキシドの量を、生成する被膜中のMgとTiの比Mg/Ti(モル比)が、下記の表1に記載の値となるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして被膜付のSi粉末を作製し、これを実施例2〜8の負極活物質とした。
[比較例1]
実施例1で用いたSi粉末(平均粒径1μm)を、比較例1の負極活物質とした。
[比較例2]
2−エトキシエタノール100mLに、アセトニトリル30mLを投入し、チタン(IV)テトラブトキシド,モノマー[Ti(OC]5.0gを投入し、1時間撹拌してチタン(IV)テトラブトキシドの溶液を調製した。この溶液をA液としたこと以外は、実施例1と同様にして被膜付のSi粉末を作製し、これを比較例2の負極活物質とした。
[評価]
実施例1〜8および比較例1、2で得られた負極活物質について、被膜の組成と充放電特性とを測定した。その結果を、下記の表1に示す。ただし、比較例1の負極活物質は被膜の組成は測定しなかった。
皮膜被膜の組成は下記の方法により測定した。充放電特性は、下記の方法により、負極活物質を用いて負極を作製し、この負極を用いて作製したハーフセルの充放電特性を測定した。
(1)被膜の組成
被膜中のTi、MgおよびOの含有量を、XPSを用いて測定し、各元素の合計量に対する含有量(原子%)を算出した。そして、得られた各元素の含有量(原子%)から、Si粉末の表面に形成された被膜の組成式を求めた。
(2)負極の作製
負極活物質と、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)とを混合して混合粉末を得た。また、N−メチルピロリドン(NMP)にバインダーとしてのポリアミドイミド樹脂[日立化成社製、HPC−1000]を溶解させてバインダー溶液を調製した。負極活物質とABの混合粉末、およびバインダー溶液を混合してスラリーを調製した。負極活物質、ABおよびバインダー(固形分)の配合比は、質量比で80:5:15とした。調製したスラリーを、厚さ10μmの圧延銅箔(集電体)の表面にドクターブレードを用いて塗布し、圧延銅箔上に負極活物質層を形成した。その後、110℃で1時間乾燥し、負極活物質層からNMPを揮発させて除去した。乾燥後、ロールプレス機により、集電体と負極活物質層を強固に密着接合させた。これを300℃で1時間加熱硬化させて、活物質層の厚さが10μm程度の電極とした。
(3)ハーフセルの作製
上記の(2)で作製した負極を評価極として用い、リチウムイオン二次電池(ハーフセル)を作製した。対極は、金属リチウム箔とした。その後、セパレータ(材質:ポリプロピレン)を評価極と対極との間に挟装して積層体とした。この積層体を電池ケースに収容した。また、電池ケースには、フルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを4:6(体積比)で混合した混合溶媒にLiPFを1Mの濃度で溶解した非水電解質を注入した。電池ケースを密閉して、ハーフセルを得た。
(4)負極活物質の充放電特性評価
上記の(3)で作製したハーフセルについて、充放電試験[東洋システム社製、TOSCAT−3000]を行って、負極活物質の充放電容量およびサイクル特性を評価した。まず25℃の温度環境のもと、金属Li基準で充電終止電圧0.01Vまで0.05Cの定電流で充電を行った後、放電終止電圧2.0Vまで0.05Cの定電流で放電を行う操作を1サイクルとし、このサイクルを2サイクル実施した。
その後、0.2Cの定電流で充放電特性評価を行った。充放電試験は、充電終止電圧0.01Vまで0.2Cの定電流で充電を行った後、放電終止電圧2.0Vまで0.2Cの定電流で放電を行う操作を1サイクルとし、このサイクルを20サイクル実施した。表1に、初期充電容量、初期放電容量、初期放電効率、20サイクル後の放電容量維持率を示す。なお、「充電」は評価極の負極活物質がLiを吸蔵する方向、「放電」は評価極の負極活物質がLiを放出する方向である。また、初期充電容量および初期放電容量は、それぞれ負極活物質の単位質量あたりの容量である。
Figure 2018190519
表1から明らかなように、マグネシウムを本発明の範囲で含む酸素欠陥型チタン酸化物を含む被膜で被覆されたSi粉末を負極活物質として用いた実施例1〜8は、被膜を有しないSi粉末を負極活物質として用いた比較例1、酸化チタン(酸素量論型)を含む被膜で被覆されたSi粉末を負極活物質として用いた比較例2と比較して、初期の負極活物質の単位質量あたりの放電容量と充放電効率とが向上し、さらに20サイクル後の放電容量維持率も向上した。
[実施例9]
2−エトキシエタノール100mLに、アセトニトリル30mLを投入し、次いでアルミニウムsec−ブトキシド液[Al(OCHCHCHCH]0.064gを投入した後、マグネチックスターラーで撹拌した。アルミニウムsec−ブトキシドが溶解した後、チタン(IV)テトラブトキシド,モノマー[Ti(OC]5gを投入し、1時間撹拌してアルミニウムsec−ブトキシドとチタン(IV)テトラブトキシドの混合溶液を調製した。
実施例1と同様にしてSi粉末の分散液を調製し、この分散液をB液とした。
次に、B液を撹拌しながら、B液にA液を投入し、その後、さらに1時間撹拌を続けてアルミニウムsec−ブトキシドとチタン(IV)テトラブトキシドを、アンモニア水中の水分によって加水分解および縮重合させて、Si粉末の表面にアルミニウムを含むチタン酸化物のゾルの被膜を形成させた。撹拌後、25℃で30分間静置した。次いで、ろ過によりゾルの被膜が形成されたSi粉末を回収し、純水とエタノールで洗浄した後、30℃の真空乾燥オーブンにて乾燥した。次いで、被膜とSi粉末との結着性を高めるため、400℃のアルゴン雰囲気下にて焼成した。こうして被膜付のSi粉末を作製し、これを実施例9の負極活物質とした。
[実施例10〜16]
A液中のアルミニウムsec−ブトキシドとチタン(IV)テトラブトキシドを、生成する被膜中のAlとTiの比Al/Ti(モル比)が、下記の表2に記載の値となるように配合したこと以外は、実施例9と同様にして被膜付のSi粉末を作製し、これを実施例10〜16の負極活物質とした。
[評価]
実施例9〜16で得られた負極活物質について、上記の方法により、被膜の組成と充放電特性とを測定した。その結果を、下記の表2に示す。
Figure 2018190519
表2から明らかなように、アルミニウムを本発明の範囲で含む酸素欠陥型チタン酸化物を含む被膜で被覆されたSi粉末を負極活物質として用いた実施例9〜16は、初期の負極活物質の単位質量あたりの放電容量と充放電効率とが向上し、さらに20サイクル後の放電容量維持率も向上することが確認された。
[実施例17]
2−エトキシエタノール100mLに、アセトニトリル30mLを投入し、次いでナトリウムtert−ブトキシド[(CHCONa]0.01gを投入した後、マグネチックスターラーで撹拌した。アルミニウムsec−ブトキシドが溶解した後、チタン(IV)テトラブトキシド,モノマー[Ti(OC)4]5mLを投入し、1時間撹拌してナトリウムtert−ブトキシドとチタン(IV)テトラブトキシドの混合溶液を調製した。
実施例1と同様にしてSi粉末の分散液を調製し、この分散液をB液とした。
次に、B液を撹拌しながら、B液にA液を投入し、その後、さらに1時間撹拌を続けてナトリウムtert−ブトキシドとチタン(IV)テトラブトキシドを、アンモニア水中の水分によって加水分解および縮重合させて、Si粉末の表面にナトリウムを含むチタン酸化物のゾルの被膜を形成させた。撹拌後、25℃で30分間静置した。次いで、ろ過によりゾルの被膜が形成されたSi粉末を回収し、純水とエタノールで洗浄した後、30℃の真空乾燥オーブンにて乾燥した。次いで、被膜とSi粉末との結着性を高めるため、400℃のアルゴン雰囲気下にて焼成した。こうして被膜付のSi粉末を作製し、これを実施例17の負極活物質とした。
[実施例18〜24]
A液中のナトリウムtert−ブトキシドとチタン(IV)テトラブトキシドを、生成する被膜中のNaとTiの比Na/Ti(モル比)が、下記の表3に記載の値となるように配合したこと以外は、実施例17と同様にして被膜付のSi粉末を作製し、これを実施例18〜24の負極活物質とした。
[評価]
実施例17〜24で得られた負極活物質について、上記の方法により、被膜の組成と充放電特性とを測定した。その結果を、下記の表3に示す。
Figure 2018190519
表3から明らかなように、ナトリウムを本発明の範囲で含む酸素欠陥型チタン酸化物を含む被膜で被覆されたSi粉末を負極活物質として用いた実施例17〜24は、初期の負極活物質の単位質量あたりの放電容量と充放電効率とが向上し、さらに20サイクル後の放電容量維持率も向上することが確認された。
10…セパレータ、20…正極、22…正極集電体、24…正極活物質層、30…負極、32…負極集電体、34…負極活物質層、40…積層体、50…ケース、52…金属箔、54…高分子膜、60,62…リード、100…リチウムイオン二次電池

Claims (7)

  1. リチウムイオンの吸蔵および放出が可能な活物質粒子と、前記活物質粒子の表面の少なくとも一部に備えられた被膜とを有し、
    前記被膜が、下記式(1)で表されるチタン酸化物を含むリチウムイオン二次電池用負極活物質:
    Ti1−a−b−c2−y ・・・(1)
    ただし、式(1)中、Aは、KおよびNaからなる群より選ばれる一つ以上の1価金属であり、Bは、Mg、CaおよびSrからなる群より選ばれる一つ以上の2価金属であり、Cは、Al、Y、LaおよびBiからなる群より選ばれる一つ以上の3価金属であり、aは、0≦a≦0.133を満たす数であり、bは、0≦b≦0.200を満たす数であり、cは、0≦c≦0.400を満たす数であって、a+b+cは、0<a+b+c≦0.733を満たし、yは酸素の格子欠陥量であり、0.01≦y<1.5a+b+0.5cを満たす数である。
  2. 前記式(1)中の前記aが、0<a≦0.133を満たす数である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  3. 前記式(1)中の前記bが、0<b≦0.200を満たす数である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  4. 前記式(1)中の前記cが、0<c≦0.400を満たす数である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  5. 前記リチウム含有チタン酸化物が、Na、Mg、Alのうちの少なくとも一つの金属を含む請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  6. 負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも一方の面に設けられた負極活物質層とを有する負極であって、
    前記負極活物質層が、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質を含むリチウムイオン二次電池用負極。
  7. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、電解質とを備えたリチウムイオン二次電池であって、
    前記負極が、請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用負極であるリチウムイオン二次電池。
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