JP2018188621A - 摺動部材用被膜とこれを備える摺動部材 - Google Patents

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真 牧野
龍太郎 吉田
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一騎 佐合
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Abstract

【課題】潤滑油等を使用しないドライ状態においても、優れた潤滑性を発揮できる摺動部材用被膜を提供する。【解決手段】バインダーと、ポリテトラフルオロエチレン粒子とを含有する。ポリテトラフルオロエチレン粒子は、メジアン径が被膜の膜厚に対して110〜400%であり、含有量は10〜50重量%である。そのうえで、被膜そのものの表面粗さRzが6〜60μmになっている。ポリテトラフルオロエチレン粒子の重量平均分子量は、100万以上であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、摺動部材表面の潤滑性を向上させる摺動部材用被膜と、これを摺動面に備える摺動部材に関する。
摺動部材の一例としては、例えば自動車の内燃機関に配されたピストンを挙げることができる。ピストンは、相手材であるエンジンのシリンダと摺接する。この際重要となるのは、ピストンスカートとシリンダとの間の潤滑性である。すなわち、ピストンスカートとシリンダとの間の潤滑性が低いと摩擦力が大きくなり、最悪の場合は焼き付き現象が生じてピストンが停止してしまう。
そこで、ピストンスカートの表面(摺動面)に十分な潤滑性をもたらし、耐久性を向上させるために、従来から摺動部材の摺動面を潤滑性に優れた被膜で被覆することが行われている。このような潤滑性に優れた被膜としては、例えば特許文献1を挙げることができる。
特許文献1には、摺動部位(摺動面)に潤滑性に優れる被膜を備える摺動部材が開示されている。ここでの被膜は、耐熱性樹脂と、3〜70%の炭素分と、5〜40%のフッ素樹脂分とを含有している。フッ素樹脂分の原料としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられ、当該原料粉体の平均粒径は1〜30μmが最も好ましく、膜厚は3〜30μmが好ましいとされている。そのうえで、被膜を備える摺動部位の最大表面粗さRzは15μm以下、好ましくは12μm以下、より好ましくは10μm以下とされている。
特開2006−182873号公報
特許文献1では、基本的にフッ素樹脂の原料粉体を被膜の膜厚より小さくすることを想定しており(実施例では平均粒径10μmのPTFEを使用して膜厚25±5μmの被膜を作製)、被膜を備える摺動面の表面粗さRzは、基材(摺動部材)の表面粗さに由来している。つまり、例えば図3に示す摺動部材100のように、基材である摺動部材本体110の摺動面111を被覆する被膜120において、フッ素樹脂粉体130は被膜120の膜厚より基本的に小さいため、被膜120そのものには積極的な表面凹凸は形成されていない。しかも、被膜を備える摺動面の表面粗さはできるだけ平滑であることが好ましいとされている。
ところで、摺動部材の中には、例えば斜板式コンプレッサーの斜板など、相手材との間に潤滑油などの潤滑剤を介在させることなく、いわゆるドライ状態で直接摺接する場合もある。このようなドライ状態では、潤滑油などの潤滑剤を介在させる湿潤状態よりも高い摩擦力が、摺動部材と相手材との間に作用する。したがって、ドライ状態では湿潤状態よりも高い潤滑性が求められる。しかし、特許文献1ではエンジンオイル滴下条件、すなわち湿潤状態での潤滑性を測定しており、ドライ状態でも優れた潤滑性を担保できるかは不明である。
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、潤滑油等を使用する湿潤状態はもちろん、潤滑油等を使用しないドライ状態においても優れた潤滑性を発揮できる摺動部材用被膜と、これを摺動面に備える摺動部材を提供することを目的とする。
そのための手段として、本発明の摺動部材用被膜(以下、便宜上単に被膜と称す)は、バインダーと、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子とを含有する。PTFE粒子のメジアン径は、被膜の膜厚に対して110〜400%であり、その含有量は10〜50重量%である。そのうえで、この被膜そのものの実質的な表面粗さRzが6〜60μmになっている。
このとき、PTFE粒子の重量平均分子量は、100万以上とすることが好ましい。
なお、本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、特に明示しない限り「○○以上××以下」を意味する。また、本発明における「メジアン径」とは、マイクロトラック・ベル(株)製の粒度分布計(MicrotracMT3000)によって測定される数値である。また、「表面粗さRz」とは最大高さ粗さを意味し、JIS B 0601で規定される粗さである。
本発明によれば、PTFE粒子を被膜の膜厚より大きくして、PTFE粒子の一部を摺動部材用被膜の表面から敢えて突出させることで、被膜の表面へ積極的に凹凸を形成している。すなわち、基材(摺動部材本体)の摺動面に元々存在する微細な凹凸とは無関係に、被膜そのものによって適度な凹凸を形成している。これにより、摩擦係数の低いPTFEが優先して相手材と摺接することで、湿潤状態はもちろん、例えドライ状態においても優れた潤滑性を担保することができる。また、PTFEが優先して相手材と摺接することで摩擦熱も抑制されるので、焼き付き現象の発生も生じにくくなる。さらに、湿潤状態では、摺動部材を摺動させる際に潤滑油が被膜表面の凹凸によって保持されるため、潤滑油による潤滑機能も確実に発揮させることができる。超高分子量のPTFE粒子を使用していれば、耐摩耗性も向上する。
本発明の被膜の模式図。 焼き付き荷重試験の模式図。 従来技術の被膜の模式図。
《摺動部材用被膜》
本発明の摺動部材用被膜は、摺動部材の少なくとも摺動面を被覆するための被膜であって、バインダーと、ポリテトラフルオロエチレン粒子とを含有する。
<バインダー>
バインダーは被膜のベースとなる成分であって、添加成分を含んだ状態で被膜を形成できるものであれば特に限定されない。例えば、従来から摺動部材用被膜組成物のバインダーとして使用されている公知の有機系バインダーを使用できる。具体的には、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルブチラール、塩素化ポリオレフィン樹脂、ナイロン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、熱可塑性ポリイミドなどの熱可塑性樹脂や、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、ポリアミノアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ビニルエステル樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、全芳香族ポリエステルなどの熱硬化性樹脂を例示できる。熱可塑性樹脂の中では、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエーテルサルホン、熱可塑性ポリイミドが好ましい。熱硬化性樹脂の中では、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、ポリアミノアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミドが好ましい。これらは取り扱いが容易で、PTFEを良好に分散させながら塗料状態で被膜を形成できるからである。さらには、接着性、耐薬品性、強度などの点から、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルサルホン、熱可塑性ポリイミド、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂がより好ましい。被膜を形成するに際しての塗装作業性と摩擦による発熱に対する耐熱性の観点から、ポリアミドイミド樹脂が最も好ましく、次いで、ポリエーテルサルホン、熱可塑性ポリイミドが好ましい。
これらの有機系バインダーは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を混合使用してもよい。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合は、必要に応じて硬化剤も添加しておく。例えばエポキシ樹脂を使用する場合は、当該エポキシ樹脂とその硬化剤であるポリアミノアミド樹脂、アミノ樹脂、又はフェノール樹脂とを混合使用する。特に、摺動部材がプラスチックの場合は、エポキシ樹脂とポリアミノアミド樹脂を混合使用することが好ましい。一方、ポリエーテルサルホンやポリイミド(熱可塑性ポリイミドを含む)であれば、それ単独で使用できる。
また、ポリアミドイミド樹脂を使用する場合は、接着性や低温硬化性を向上させるために、エポキシ樹脂を混合使用するとよい。この場合、ポリアミドイミド樹脂100重量部に対し、エポキシ樹脂の配合量は1〜50重量部が好ましく、5〜30重量部程度がより好ましい。また、接着性や強靭性を向上させるためには、ポリビニルブチラールを混合使用するとよい。この場合、ポリアミドイミド樹脂100重量部に対し、ポリビニルブチラールの配合量は1〜30重量部程度が好ましく、5〜20重量部程度がより好ましい。
また、本発明の被膜には、PTFEが優先的に相手材と摺接するため、無機系バインダーを使用することもできる。例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、及び有機ジルコニウム化合物等を例示することができる。特に、アルキルシリケートを主成分とした、エチルシリケート系、アルキルシリケート系の無機バインダーが、結合性や成膜性に優れる。
<ポリテトラフルオロエチレン粒子>
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子は潤滑性に優れた粒子であり、被膜の潤滑性能を主体的に発揮する成分である。PTFE粒子は、基本的に被膜の膜厚よりも大きいものが用いられる。これにより、被膜表面に積極的に凹凸を形成できる。具体的には、PTEF粒子のメジアン径を、被膜の膜厚に対して少なくとも110%(1.1倍)以上、好ましくは125%(1.25倍)以上、より好ましくは150%(1.5倍)以上とする。なお、「メジアン径」とは、使用する粒子群の粒度分布において積算値が50%となる点の粒子径であって、50%積算径とも称される。したがって、被膜に含有されるPTFE粒子の中には、メジアン径で示される値よりも小さいものも存在するが、メジアン径が110%以上であれば、被膜の膜厚より大きな粒径の粒子が多数を占めることとなり、被膜表面へ確実に凹凸を形成することができる。一方、PTFE粒子のメジアン径は、被膜の膜厚に対して少なくとも400%(4.0倍)以下、好ましくは380%(3.8倍)以下、より好ましくは350%(3.5倍)以下とする。PTFE粒子の粒径が大きすぎると、摺動時にPTFEが被膜から脱落し易くなり、反って焼き付き荷重が低下するおそれがあるからである。
被膜中におけるポリテトラフルオロエチレン粒子の含有量は10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%とする。10重量%より少ないと、PTFEの被膜表面からの突出量(数)が少なくなって、優れた潤滑性を担保できなくなる。一方、50重量%より多いと、凸部が多すぎて抵抗が大きくなり、反って焼き付き荷重が低下してしまう。
ポリテトラフルオロエチレン粒子は、従来から公知の一般的な分子量のものを使用することもできるが、超高分子量のものを使用することが好ましい。分子量が高いほど、耐摩耗性に優れるからである。具体的には、重量平均分子量が100万以上であることが好ましく、500万であることがより好ましく、1000万以上であることがさらに好ましい。一方、PTFE粒子の分子量の上限は特に制限されない。PTFE粒子の分子量が高くても、技術的に大きな問題は生じないからである。敢えて言えば、PTFE粒子の分子量の上限は、実際に製造可能な分子量である。
<その他の添加剤>
被膜には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の一般的な添加物を配合することができる。添加剤としては、ポリテトラフルオロエチレン粒子の分散を助ける分散材、接着性向上を補助するシランカップリング剤、表面張力をコントロールするレベリング剤や界面活性剤、チキソトロピー性をコントロールする増粘剤、顔料などを挙げることができる。
また、PTFE以外の固体潤滑剤を併用することもできる。例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、及びポリクロロトリフルオロエチレンなどのフッ素化合物、二硫化モリブデン(MoS)や二硫化タングステン(WS)などの硫化物、グラファイト(黒鉛)、フッ化グラファイト、窒化硼素、マイカなどの層状鱗片状物質、鉛、亜鉛、銅などの軟質金属、メラミンシアヌレートなどが挙げられる。中でも、広い温度範囲における高い自己摺動性の維持の観点から、二硫化モリブデンやグラファイトが好ましい。これらは、1種のみを単独でPTFEと併用しても良く、2種以上をPTFEと併用してもよい。
《摺動部材》
本発明の被膜は、非硬化状態の(流動性のある状態の)被膜組成物を、摺動部材表面へ塗布することで形成される。
被膜の適用対象である摺動部材としては、潤滑油やグリース等の潤滑剤を使用した湿潤状態で相手材と摺接する部材のほか、潤滑剤を使用しないドライ状態で相手材と摺接する部材にも適用できる。特に、本発明の被膜はドライ状態においても良好な潤滑性を発揮できる点において、ドライ状態で使用される摺動部材に適用することが好ましい。ドライ状態で使用される摺動部材としては、斜板式コンプレッサーの斜板、半球シュー、摺動式スプラインシャフト、すべり軸受用オーバーレイ、転がり軸受用保持器などが挙げられる。湿潤状態で使用される摺動部材としては、典型的には、自動車の内燃機関に配されたピストンが挙げられるが、他にも航空機、列車、戦車、船舶等の乗物における摺動部材のほか、工作機械等の摺動部材も挙げられる。
摺動部材の材質は特に限定されず、典型的にはアルミニウムや鉄などの金属ないし合金が挙げられるが、他にもゴム、プラスチック、エラストマーなどでもよい。被膜組成物は、摺動部材の少なくとも摺動面に塗布すればよいが、全体的に塗布してもよい。
バインダーが有機系である場合には、被膜組成物を塗布する際に、必要に応じて有機溶剤によって粘度を調整しておく。有機溶剤は、バインダーを溶解することができる有機溶媒であれば特に制限なく用いることができる。代表的な樹脂で例示すると、エポキシ樹脂の場合、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、キシレン、トルエン等の芳香族系の溶剤などを用いることができる。ポリアミドイミド樹脂の場合、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)を用いることができ、また、NMPにキシレン等の芳香族系溶剤や、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤を加えた混合溶剤を用いることができる。バインダーが無機系である場合には、溶剤としてのアルコール、特にメタノール、エタノール等と混合された状態で使用される。
被膜組成物の塗装方法は、従来から公知の一般的な塗装方法を採用できる。具体的には刷毛、ローラー、ロールコーター、エアスプレー、エアレススプレー、浸漬塗装、スクリーン印刷、パット印刷、グラビアコートなどが挙げられる。摺動部材の摺動面には、必要に応じてアルカリ脱脂や溶剤脱脂、エッチング、化成処理等の前処理を施しておいてもよい。
被膜組成物を塗布した後は、乾燥・硬化させることで被膜を形成できる。被膜の膜厚は、従来から一般的な5〜50μm、好ましくは10〜45μm程度とすればよい。
このようにして形成された被膜では、ポリテトラフルオロエチレン粒子が被膜の膜厚よりも大きいことで、表面において積極的に凹凸が形成されている。具体的には、図1に示す摺動部材1のように、摺動部材本体10の少なくとも摺動面11を被覆する被膜20において、PTFE粒子30が被膜20の膜厚よりも大きいことで、被膜20の表面において積極的に凹凸が形成されている。
この表面凹凸に由来する被膜そのものの表面粗さRzは、少なくとも6〜60μm、好ましくは9〜55μm、より好ましくは15〜50μmとなっている。被膜の表面粗さRzが6μm未満では凹凸が不十分であり、優れた潤滑性を担保できなくなる。一方、表面粗さRzが60μmを超えると、PTFE粒子が被膜から脱落し易い。なお、「表面粗さRz」とは、粗さ曲線の一部を基準長さで抜き出し、最も高い部分(最大山高さ:Rp)と最も深い部分(最大谷深さ:Rv)の和で求められる値である。また、本発明における被膜の表面粗さは、表面粗さを実質的に無視できる程度に平滑な面へ塗布形成した状態で測定した、被膜そのものの表面粗さである。
この被膜を表面に備える摺動部材であれば、固体潤滑剤であるPTFEが被膜表面から突出して積極的に被膜表面に凹凸が形成されていることで、例え潤滑油等の潤滑剤を使用しないドライ状態であっても、相手材と摺動部材との間の焼き付き荷重が有意に上昇し優れた潤滑性を担保することができる。また、潤滑剤を使用した湿潤状態であれば、当然より高い潤滑性を担保することができる。
バインダーとしてポリアミドイミド(PAI)樹脂を使用し、表1,表2に示すPTFE粒子を表1,表2に示す配合で添加し、さらに、被膜の膜厚とPTFE粒子のメジアン径の比率が表1,表2の値となるように膜厚を調整し、表面粗さを測定した。その上で、それぞれの被膜の焼き付き荷重について評価した。その結果も表1,表2に示す。
(表面粗さRzの測定)
キーエンス(株)製のレーザー顕微鏡「VK−X100」を用いて、JIS B 0601に基づき測定した。
(PTFE粒子のメジアン径の測定)
マイクロトラック・ベル(株)製の粒度分布計(MicrotracMT3000)によって測定した。
(焼き付き荷重の測定)
図2に示すスラスト試験機1(エーアンドデイ社製)を用いて焼付き荷重を測定した。被膜形成対象(基材)である摺動部材本体10として、板形状の試験板(t3×30×30mm,材質S45C,表面粗さRz=0.9μm)を用いた。図2で見て摺動部材本体10の上面(摺動面11)には、前処理として溶剤脱脂を施した。この摺動面11に、各実施例及び比較例用の組成物をスプレーで塗付し、230℃で30分乾燥させて被膜20を形成して摺動部材1とした。
相手材40としては、中空円筒形状の部材(外径φ25.6mm,内径φ20mm,材質S45C,粗さRz=0.9μm)を用いた。この相手材40を、被膜20が塗付された摺動面11上に配置し、図2の矢印R方向に摺動部材1を回転(回転数1000rpm)させた。そして、馴らし回転(245Nの押付け荷重を10分間かける)の後、図2の矢印F方向から押付け荷重を相手材40にかけて、一定の周期(245N/2min)で押し付け荷重を4900Nまで上昇させていった。なお、上記試験は、ドライ状態で行った。摺動面11の相手材40に対する摩擦係数が0.20を超えたときを「焼付きが発生した時」として、そのときの荷重を焼付き荷重として測定した。
Figure 2018188621
Figure 2018188621
表1の結果から、実施例1〜8は、PTFE粒子の添加量、被膜の膜厚とPTFEのメジアン径との比率、及び表面粗さRzが適切であったため、ドライ状態においても焼き付き荷重が十分に高く優れた潤滑性を担保できていた。
一方、表2の結果から、比較例1はPTFE粉末の添加量が少なすぎて有効な表面凹凸が形成されていないため表面粗さRzが小さくなり、十分な潤滑性を得られなかった。比較例2はPTFE粉末の添加量が多すぎるため、十分な潤滑性を得られなかった。比較例3はPTFEのメジアン径が膜厚に比して小さすぎ、有効な表面凹凸が形成されていないため表面粗さRzが小さくなり、十分な潤滑性を得ることができなかった。比較例4,5はPTFEのメジアン径が膜厚に比して大きすぎることから表面粗さRzも大きくなりすぎ、PTFE粉末が脱落し易いことから十分な潤滑性を得ることができなかった。
1,100 摺動部材
10,110 摺動部材本体(基材)
11,111 摺動面
20 被膜
30 ポリテトラフルオロエチレン粒子

Claims (3)

  1. バインダーと、ポリテトラフルオロエチレン粒子とを含有する摺動部材用被膜であって、
    前記ポリテトラフルオロエチレン粒子のメジアン径が、被膜の膜厚に対して110〜400%であり、
    前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の含有量が10〜50重量%であり、
    表面粗さRzが6〜60μmである、摺動部材用被膜。
  2. 前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の重量平均分子量が100万以上である、請求項1に記載の摺動部材用被膜。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の摺動部材用被膜を少なくとも摺動面に備える、摺動部材。

JP2018076568A 2017-04-28 2018-04-12 摺動部材用被膜とこれを備える摺動部材 Pending JP2018188621A (ja)

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