JP2018181572A - 固体酸化物形燃料電池セルスタック - Google Patents

固体酸化物形燃料電池セルスタック Download PDF

Info

Publication number
JP2018181572A
JP2018181572A JP2017078507A JP2017078507A JP2018181572A JP 2018181572 A JP2018181572 A JP 2018181572A JP 2017078507 A JP2017078507 A JP 2017078507A JP 2017078507 A JP2017078507 A JP 2017078507A JP 2018181572 A JP2018181572 A JP 2018181572A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
cell stack
stack
oxide fuel
solid oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017078507A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6897256B2 (ja
Inventor
和也 駒形
Kazuya Komagata
和也 駒形
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2017078507A priority Critical patent/JP6897256B2/ja
Publication of JP2018181572A publication Critical patent/JP2018181572A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6897256B2 publication Critical patent/JP6897256B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】カソード反応場が被毒物質で被毒されるまでの時間を長時間遅延させること可ができ、電池信頼性を向上させることが可能な固体酸化物形燃料電池セルスタックを提供する。【解決手段】固体酸化物形燃料電池セルスタック1は、複数の単セル2と、複数の単セル2をスタック化するために使用されるスタック構成金属材3と、カソード23に供給される酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面に形成されており、酸化剤ガスAに含まれてカソード23を被毒する被毒物質を捕集する捕集層4と、を有している。捕集層4は、当該捕集層4とスタック構成金属材3との熱膨張差によって捕集層4とスタック構成金属材3との界面に生じる応力を緩和する応力緩和構造を有している。応力緩和構造は、溝部40を含む外層402と、クラック41を含む内層401とを有することができる。【選択図】図5

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池セルスタックに関する。
従来、例えば、特許文献1には、酸化剤ガス流路における酸化剤ガス供給口側に、単セルのカソードと分離して、酸化剤ガスに含まれるカソード被毒物質を吸着するトラップ層を設けた固体酸化物形燃料電池セルスタックが開示されている。同文献では、固体電解質層における同じ面に、カソードとトラップ層とを並べて配置する点が記載されている。
特開2015−90788号公報
従来技術には、次の課題がある。従来技術では、カソードに供給される酸化剤ガスのすべてがトラップ層を通過するわけではない。そのため、トラップ層を通過しなかった酸化剤ガス中に含まれていた被毒物質は、カソード材料と化学反応し、カソード表面からの被毒が早期から進行する。特に、従来技術では、カソード内部の固体電解質層側にある、発電に寄与するカソード反応場が早期に被毒されるため、電池性能が大きく低下し、耐久性が低下する。その結果、従来技術は、電池信頼性の低下を招きやすい。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、カソード反応場が被毒物質で被毒されるまでの時間を長時間遅延させることができ、電池信頼性を向上させることが可能な固体酸化物形燃料電池セルスタックを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、アノード(21)と固体電解質層(22)とカソード(23)とを備える複数の単セル(2)と、
複数の上記単セルをスタック化するために使用されるスタック構成金属材(3、31、32)と、
上記カソードに供給される酸化剤ガス(A)に面する上記スタック構成金属材の表面に形成されており、上記酸化剤ガスに含まれて上記カソードを被毒する被毒物質を捕集する捕集層(4)と、を有しており、
上記捕集層は、当該捕集層と上記スタック構成金属材との熱膨張差によって上記捕集層と上記スタック構成金属材との界面に生じる応力を緩和する応力緩和構造を有している、固体酸化物形燃料電池セルスタック(1)にある。
上記固体酸化物形燃料電池セルスタックは、上記構成を有している。そのため、上記固体酸化物形燃料電池セルスタックでは、酸化剤ガスに晒されるスタック構成金属材の表面に形成された捕集層により、被毒物質が捕集される。また、捕集層が上記応力緩和構造を有しているので、捕集層とスタック構成金属材との熱膨張差によるスタック構成金属材の表面からの捕集層の剥離も抑制することができる。それ故、上記固体酸化物形燃料電池セルスタックによれば、カソード反応場が被毒物質で被毒されるまでの時間を長時間遅延させることができ、長期にわたって電池性能の低下が抑制され、電池信頼性を向上させることができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1の固体酸化物形燃料電池セルスタックの断面の一部を模式的に示した説明図である。 実施形態1における捕集層の断面を模式的に示した説明図である。 (a)実施形態1の固体酸化物形燃料電池セルスタックが有するスタック構成金属材の一つであるインターコネクタを、酸化剤ガスに面する表面側から見て模式的に示した説明図、(b)実施形態1の固体酸化物形燃料電池セルスタックが有するスタック構成金属材の一つであるフレームを、酸化剤ガスに面する表面側から見て模式的に示した説明図である。 実施形態2の固体酸化物形燃料電池セルスタックにおいて、捕集層を、その外表面側から見て模式的に示した説明図である。 図5のV−V線断面を模式的に示した説明図である。 (a)実施形態3の固体酸化物形燃料電池セルスタックが有するスタック構成金属材の一つであるインターコネクタを、酸化剤ガスに面する表面側から見て模式的に示した説明図、(b)実施形態3の固体酸化物形燃料電池セルスタックが有するスタック構成金属材の一つであるフレームを、酸化剤ガスに面する表面側から見て模式的に示した説明図である。 (a)実施形態4の固体酸化物形燃料電池セルスタックが有するスタック構成金属材の一つであるインターコネクタを、酸化剤ガスに面する表面側から見て模式的に示した説明図、(b)実施形態4の固体酸化物形燃料電池セルスタックが有するスタック構成金属材の一つであるフレームを、酸化剤ガスに面する表面側から見て模式的に示した説明図である。 実施形態5の固体酸化物形燃料電池セルスタックにおいて、捕集層を、その外表面側から見て模式的に示した説明図である。 実施形態6の固体酸化物形燃料電池セルスタックにおいて、捕集層を、その外表面側から見て模式的に示した説明図である。 実施形態7の固体酸化物形燃料電池セルスタックにおいて、捕集層を、その外表面側から見て模式的に示した説明図である。 実施形態8の固体酸化物形燃料電池セルスタックにおいて、捕集層を、その外表面側から見て模式的に示した説明図である。 実験例1〜4において、捕集層における溝部の形態を説明するための説明図である。
各実施形態の固体酸化物形燃料電池セルスタック(以下、単に「セルスタック」と称することがある。)について、図面を用いて説明する。
(実施形態1)
実施形態1のセルスタックについて、図1〜図3を用いて説明する。図1〜図3に例示されるように、本実施形態のセルスタック1は、複数の単セル2と、スタック構成金属材3と、捕集層4とを有している。以下、これを詳説する。
セルスタック1において、単セル2は、アノード21と固体電解質層22とカソード23とを備えている。本実施形態では、図1に例示されるように、単セル2が、固体電解質層22とカソード23との間にさらに中間層24を備える例が示されている。中間層24は、主に、固体電解質層材料とカソード材料との反応を抑制するための層である。単セル2は、平板形、円筒形のいずれの電池構造であってもよい。本実施形態では、単セル2は、具体的には、平板形の電池構造を有しており、アノード21、固体電解質層22、中間層24、および、カソード23がこの順に積層されて、互いに接合されている。なお、図1では、電極であるアノード21を支持体として機能させるアノード支持型の単セル2が例示されている。
アノード21は、単層から構成されていてもよいし、複数層から構成されていてもよい。図1では、アノード21が単層から構成されている例が示されている。アノード21を複数層から構成する場合、アノード21は、具体的には、例えば、固体電解質層22側に配置される活性層と、固体電解質層側とは反対側に配置される拡散層とを備える構成などとすることができる。なお、活性層は、主に、アノード21における電気化学的反応を高めるための層である。また、拡散層は、供給される燃料ガスFを層面内に拡散させることが可能な層である。
アノード21の材料としては、例えば、Ni、NiO等の触媒と、酸化ジルコニウム系酸化物等の固体電解質との混合物などを例示することができる。酸化ジルコニウム系酸化物としては、例えば、イットリア安定化ジルコニア、スカンジア安定化ジルコニアなどを例示することができる。なお、NiOは、発電時の還元雰囲気でNiとなる。本実施形態では、アノード21の材料として、具体的には、NiまたはNiOとイットリア安定化ジルコニアとの混合物などを用いることができる。
アノード21の厚みは、ガス拡散、電気抵抗、強度などの観点から、例えば、好ましくは、100〜800μm、より好ましくは、200〜700μmとすることができる。
固体電解質層22の材料としては、強度、熱的安定性に優れる等の観点から、上述した酸化ジルコニウム系酸化物などを好適に用いることができる。固体電解質層22の材料としては、酸素イオン伝導性、機械的安定性、他の材料との両立、酸化雰囲気から還元雰囲気まで化学的に安定である等の観点から、イットリア安定化ジルコニアが好適である。
固体電解質層22の厚みは、オーミック抵抗の低減などの観点から、好ましくは、1〜20μm、より好ましくは、2〜15μm、さらに好ましくは、3〜10μmとすることができる。
中間層24の材料としては、例えば、CeO、または、CeOにGd、Sm、Y、La、Nd、Yb、Ca、および、Hoから選択される1種または2種以上の元素等がドープされたセリア系固溶体等の酸化セリウム系酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。本実施形態では、中間層24の材料としては、具体的には、Gdがドープされたセリア系固溶体などを用いることができる
中間層24の厚みは、オーミック抵抗の低減、カソードからの元素拡散の抑制等の観点から、好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜5μmとすることができる。
カソード23の材料としては、例えば、遷移金属ペロブスカイト型酸化物等の導電性酸化物、導電性酸化物と固体電解質との混合物などを例示することができる。遷移金属ペロブスカイト型酸化物としては、具体的には、例えば、LaSr1−xCoO(但し、0≦x≦1、好ましくは、0<x<1、より好ましくは、0.2≦x≦0.8)、SmSr1−xCoO(但し、0≦x≦1、好ましくは、0<x<1、より好ましくは、0.1≦x≦0.7)、LaSr1−xCoFe1−y(但し、0≦x≦1、好ましくは、0<x<1、より好ましくは、0.2≦x≦0.8、0≦y≦1、好ましくは、0<y<1、より好ましくは、0.01≦y≦0.5)などを例示することができる。また、固体電解質としては、上述した酸化セリウム系酸化物、酸化ジルコニウム系酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。本実施形態では、カソード23の材料として、具体的には、例えば、LaSr1−xCoO(0≦x≦1)、SmSr1−xCoO(0≦x≦1)、これらのうちの少なくとも1つと、GdおよびSmの少なくとも1つがドープされたセリア系固溶体との混合物などを用いることができる。
カソード23の厚みは、ガス拡散性、電極反応抵抗、集電性などの観点から、好ましくは20〜100μm、より好ましくは30〜80μmとすることができる。本実施形態では、カソード23の厚みは、具体的には、50μmとすることができる。
セルスタック1において、スタック構成金属材3は、複数の単セルをスタック化するために使用される金属部材である。なお、本明細書において、金属には、合金が含まれる。スタック構成金属材3としては、具体的には、例えば、単セル2の外周縁を支持するフレーム32、各単セル2間に配置され、各単セル2を電気的に接続するとともに、酸化剤ガスAと燃料ガスFとを分離するインターコネクタ31、単セル2とインターコネクタ31との間に配置される集電体などを例示することができる。
本実施形態では、図1に示されるように、酸化剤ガスに曝されるスタック構成金属材3として、金属製のフレーム32と、金属製のインターコネクタ31とが例示されている。
スタック構成金属材3は、耐酸化性金属より構成することができる。この構成によれば、セルスタック運転時の高温環境下にスタック構成金属材3が置かれた場合でも、形状、導電性を維持することができる。そのため、この構成によれば、高温環境下における電池信頼性を向上させることが可能なセルスタック1が得られる。なお、耐酸化性金属は、800℃の酸化性雰囲気中における接触抵抗が、1万時間まで50mΩ・cm以下で推移する金属をいう。また、接触抵抗は、4端子測定法で測定される値である。耐酸化性金属としては、具体的には、例えば、フェライト系ステンレス鋼、耐熱Cr合金、耐熱NiCr合金、オーステナイト系ステンレス鋼などを例示することができる。
本実施形態では、より具体的には、セルスタック1は、外周縁がフレーム32により支持された単セル2が、インターコネクタ31を介して、複数積層された積層構造を有している。セルスタック1では、酸化剤ガスAは、カソード23の面内方向に沿って供給されることができる。また、燃料ガスFは、アノード21の面内方向に沿って供給されることができる。本実施形態のセルスタック1では、具体的には、カソード23側において、フレーム32とインターコネクタ31との間に隙間が設けられており、当該隙間が、酸化剤ガスAが流れる酸化剤ガス流路とされている。また、アノード21側において、フレーム32とインターコネクタ31との間にも隙間が設けられており、当該隙間が、燃料ガスFが流れる燃料ガス流路とされている。なお、酸化剤ガス流路にスタック構成金属材3としてのカソード側集電体(不図示)を配置し、カソード側集電体がカソード23とインターコネクタ31とに接触するように構成することもできる。また、図1に示すように、燃料ガス流路に金属製のアノード側集電体9を配置し、アノード側集電体9がアノード21とインターコネクタ31とに接触するように構成することもできる。なお、酸化剤ガスAとしては、例えば、空気、酸素ガスなどを例示することができる。燃料ガスFとしては、例えば、水素ガス、水素含有ガスなどを例示することができる。
セルスタック1において、捕集層4は、カソード23に供給される酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面に形成されている。捕集層4は、酸化剤ガスAに面する表面を有する全てのスタック構成金属材3に形成されていてもよいし、一部のスタック構成金属材3に形成されていてもよい。また、捕集層4は、酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面全体に形成されていてもよいし、表面の一部に形成されていてもよい。酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面に形成される捕集層4の面積が増加するほど、捕集効果を大きくすることができ、捕集効果を有する範囲で捕集層4の面積が減少するほど、材料および加工コスト低減効果などが大きくなる。
捕集層4は、捕集効果を確実なものとするなどの観点から、少なくとも、酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面のうち、酸化剤ガスAの入口側端部から、酸化剤ガスAの入口側の単セル2端部までの領域を含むように形成されていることが好ましい。より好ましくは、捕集効果をより確実なものとするなどの観点から、捕集層4は、酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面のうち、酸化剤ガスAの入口側端部から、酸化剤ガスAの出口側の単セル2端部以上までの領域を含むように形成されているとよい。
本実施形態では、具体的には、図3に示されるように、酸化剤ガスAに面する表面を有するスタック構成金属材3は、具体的には、インターコネクタ31と、フレーム32とされている。そして、図3(a)に示されるように、酸化剤ガスAに面するインターコネクタ31の表面のうち、酸化剤ガスAの入口側端部から、酸化剤ガスAの出口側の単セル2端部以上までの領域を含むように、捕集層4が形成されている。本実施形態では、図3(a)の矢印Yの範囲に示されるように、酸化剤ガスAに面するインターコネクタ31の表面全体に捕集層4が形成されている。同様に、図3(b)に示されるように、酸化剤ガスAに面するフレーム32の表面のうち、酸化剤ガスAの入口側端部から、酸化剤ガスAの出口側の単セル2端部以上までの領域を含むように、捕集層4が形成されている。本実施形態では、図3(b)の矢印の範囲Yに示されるように、酸化剤ガスAに面するフレーム32の表面全体に捕集層4が形成されている。なお、図3中、フレーム32、インターコネクタ31の外周縁に形成された孔部は、酸化剤ガス供給マニホルド、酸化剤ガス排出マニホルド、燃料ガス供給マニホルド、燃料ガス排出マニホルド(いずれも不図示)の一部を形成するためのものである。
捕集層4は、酸化剤ガスAに含まれてカソード23を被毒する被毒物質を捕集する。なお、捕集層4による被毒物質の捕集には、被毒物質との化学反応が含まれる。被毒物質としては、例えば、S、Cl、Cr、B、Si、Pなどの元素、これら元素を含有する化合物などを例示することができる。被毒物質は、酸化剤ガスA中に1種または2種以上含まれることがきる。捕集層4は、少なくとも1種の被毒物質を捕集可能に構成される。なお、上述したS、Clは、酸化剤ガスとして空気を用いる場合に、含まれうる。また、Cr、Pは、スタック構成金属材3等から混入しうる。また、B、Si、Pは、セルスタック1に用いられるガスシール材(不図示)等から混入しうる。
捕集層4は、導電性を有する構成とすることができる。本実施形態では、捕集層4は、具体的には、導電性酸化物を含む構成とすることができる。この場合、導電性酸化物は、ACoOを含むことができる。但し、ACoOにおいて、Aは、La、Sm、および、Srからなる群より選択される少なくとも2種の元素、好ましくは、Aは、LaおよびSr、または、SmおよびSrを少なくとも含む元素とすることができ、選択された上記2種の元素の化学組成比は合計で1とされる。この構成によれば、被毒物質との反応性が高くなり、捕集層4による被毒物質の捕集効率を向上させることができる。そのため、この構成によれば、上述した作用効果を確実なものとすることができるセルスタック1が得られる。なお、本実施形態では、インターコネクタ31の表面に形成された導電性の捕集層4をカソード23に接触させることで集電する例が示されている。
ACoOとしては、具体的には、LaSr1−xCoO(但し、0<x<1、好ましくは、0.2≦x≦0.8)、SmSr1−xCoO(但し、0<x<1、好ましくは、0.1≦x≦0.7)などの遷移金属ペロブスカイト型酸化物を例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。なお、ACoOとして上記遷移金属ペロブスカイト型酸化物を用いた場合には、導電性が高い上、活性が高いため、化学反応によって被毒物質を十分に捕集することが可能になる。それ故、この構成によれば、上述した作用効果を十分に発揮しやすいセルスタック1が得られる。
捕集層4の導電性酸化物は、カソード23の導電性酸化物と同種の材料より構成することができる。この構成によれば、仮に、捕集層4とスタック構成金属材3との熱膨張差によってスタック構成金属材3の表面から捕集層4が剥離して飛散した場合でも、カソード性能低下を防止することができる。それ故、この構成によれば、セルスタック1の電池信頼性を向上させることができる。また、この構成によれば、導電性の捕集層4とカソード23とを接触させて集電する構成とした場合に、集電抵抗の低減を図りやすい利点がある。なお、捕集層4の導電性酸化物とカソード23の導電性酸化物とが同種とは、材料の元素が同じであることをいい、元素組成比までの一致は要求されない。
捕集層4は、応力緩和構造を有している。応力緩和構造は、捕集層4とスタック構成金属材3との熱膨張差によって捕集層4とスタック構成金属材3との界面に生じる応力を緩和することが可能な構造を有している。
応力緩和構造は、捕集層4の厚み方向に延びるクラック41を含む構成とすることができる。この構成によれば、材料破壊の観点から通常は入れないこととされるクラック41を捕集層4に積極的に導入することで、捕集層4とスタック構成金属材3との熱膨張差によって捕集層4とスタック構成金属材3との界面に生じる応力を緩和することができる。この際、捕集層4に予め導入されるクラック41の方向が捕集層4の厚み方向とされることで、捕集層4とスタック構成金属材3との密着性も確保される。そのため、上記構成によれば、捕集層4とスタック構成金属材3との熱膨張差によるスタック構成金属材3の表面からの捕集層4の剥離も抑制しやすくなる。また、クラック41によれば、人工的に形成される溝に比べ、厚み方向に延びる非常に幅狭の隙間を形成することができる。そのため、上記構成によれば、スタック構成金属材3の表面が露出し難くなり、スタック構成金属材3から生じる被毒物質の飛散を抑制しやすくなる。また、クラック41により、捕集層4の比表面積が増加するため、被毒物質の捕集にも有利である。
捕集層4におけるクラック41の幅の最大値は、スタック構成金属材3の表面の露出抑制、クラック形成性などの観点から、好ましくは、2mm以下、より好ましくは、1mm以下、さらに好ましくは、0.5mm以下、さらにより好ましくは、0.1mm以下とすることができる。
また、捕集層4におけるクラック41の先端は、具体的には、スタック構成金属材3の表面に届いている構成とすることができる。この構成によれば、セルスタック1の運転前には、クラック41の先端が、スタック構成金属材3の表面に予め達しているので、応力緩和構造による応力緩和効果が十分に得られやすくなる。また、セルスタック1の運転時に、捕集層4でのクラック41の進展を抑制することができるので、捕集層4の剥離抑制を図りやすくなるなどの利点がある。
また、本実施形態では、捕集層4を構成する導電性酸化物は、具体的には、粒子より構成することができる。そして、上述したクラック41は、捕集層4内の粒界(不図示)に沿って形成されている構成とすることができる。この構成によれば、上述したクラック41による効果を確実なものとすることができる。
本実施形態では、具体的には、図2に示されるように、捕集層4に、複数のクラック41が形成されており、各クラック41が、捕集層4の表面からスタック構成金属材3の表面まで、捕集層4の厚み方向に延びている例が示されている。
捕集層4の厚みは、被毒物質の捕集性能向上などの観点から、好ましくは、5μm以上、より好ましくは、10μm以上、さらにより好ましくは、20μm以上とすることができる。捕集層4の厚みは、捕集層4の厚み方向に延びるクラック41の形成容易性、捕集効果の飽和、材料コスト低減などの観点から、好ましくは、250μm以下、より好ましくは、200μm以下、さらに好ましくは、175μm以下、さらにより好ましくは、150μm以下とすることができる。なお、捕集層4の厚みは、捕集層4の層面に垂直な断面をSEM観察し、任意の10箇所について測定される捕集層4の厚み測定値の平均値である。
捕集層4の線熱膨張係数は、具体的には、16×10−6/K以上とすることができる。この構成によれば、熱処理時に発生されたクラックの幅を、電池の連続運転中、熱サイクル運転時に拡大させずに維持しやすくなるなどの利点がある。また、上述したスタック構成金属材3の線熱膨張係数は、16×10−6/K未満とすることができる。この構成によれば、捕集層4形成時の熱処理により、クラック41を発生させやすく、クラック41を含む応力緩和構造を備えた捕集層4を有するセルスタック1を実現しやすくなる。上記効果を確実なものとする観点から、捕集層4の線熱膨張係数、スタック構成金属材3の線熱膨張係数は、いずれも上記範囲内にあるとよい。なお、捕集層4、スタック構成金属材3を構成する材料として上記にて例示した材料の線熱膨張係数は、いずれも、上記線熱膨張係数の範囲内にある。
捕集層4の700℃以上における線熱膨張係数は、上記効果を確実なものとするなどの観点から、好ましくは、16×10−6/K以上、より好ましくは、17×10−6/K以上、さらに好ましくは、18×10−6/K以上とすることができる。また、捕集層4の700℃以上における線熱膨張係数は、上記効果を確実なものとする等の観点から、好ましくは、25×10−6/K以下、より好ましくは、23×10−6/K以下、さらに好ましくは、22×10−6/K以下とすることができる。スタック構成金属材3の500℃以上における線熱膨張係数は、上記効果を確実なものとするなどの観点から、好ましくは、7×10−6/K以上、より好ましくは、9×10−6/K以上、さらに好ましくは、10×10−6/K以上とすることができる。また、スタック構成金属材3の500℃以上における線熱膨張係数は、上記効果を確実なものとする等の観点から、好ましくは、16×10−6/K以下、より好ましくは、14×10−6/K以下、さらに好ましくは、13×10−6/K以下とすることができる。
なお、捕集層4の線熱膨張係数、スタック構成金属材3の線熱膨張係数は、基本的には、JIS R1618:2002 「ファインセラミックスの熱機械分析による熱膨張の測定方法」に準拠して測定される。具体的には、各材料より形成した試料を、全膨張式熱機械分析装置にセットし、温度を10℃/分の昇温速度で上げていく。温度TがT(=100℃)からT(=700℃)に上がるまでに、試料は長さLからLまで膨張する。この際の線熱膨張係数(/K)を、(dL/dT)T=T1/Lの計算式より算出する。但し、(dL/dT)T=T1は、温度TがTのときにおける長さ曲線の傾きである。また、スタック構成金属材3の線熱膨張係数は、基本的には、JIS Z 2285:2003 「金属材料の線熱膨張係数の測定方法」に準拠して測定される。
セルスタック1を製造するにあたり、単セル2、スタック構成金属材3は、公知の方法により準備することができる。捕集層4は、例えば、次のようにして、スタック構成金属材3の表面上に形成することができる。
捕集層形成用ペーストを準備する。捕集層形成用ペーストは、上述した捕集層材料、有機材料よりなるバインダーなどを含むことができる。次いで、スタック構成金属材3における酸化剤ガスA側の表面に、スクリーン印刷法等により、捕集層形成用ペーストを塗布し、乾燥させる。その後、捕集層形成用ペーストによる塗膜を有するスタック構成金属材3を、熱処理し、塗膜を焼き付ける。なお、塗膜の厚みは、例えば、5〜250μmとすることができる。また、熱処理温度は、例えば、700℃〜900℃の範囲内で調整することができる。また、熱処理時間は、塗膜の厚みやバインダー量などにより適宜調節することができる。なお、上述したクラック41は、熱処理時に捕集層4に発生させることができる。
以降は、公知の方法を用いて、例えば、単セル2をフレーム32に取り付け、フレーム32付きの単セル2をインターコネクタ31を介して複数積層することなどにより、セルスタック1を製造することができる。
セルスタック1は、上記構成を有している。そのため、セルスタック1では、酸化剤ガスAに晒されるスタック構成金属材3の表面に形成された捕集層4により、被毒物質が捕集される。また、捕集層4が応力緩和構造を有しているので、捕集層4とスタック構成金属材3との熱膨張差によるスタック構成金属材3の表面からの捕集層4の剥離も抑制することができる。それ故、セルスタック1によれば、カソード反応場が被毒物質で被毒されるまでの時間を長時間遅延させることができ、長期にわたって電池性能の低下が抑制され、電池信頼性を向上させることができる。
(実施形態2)
実施形態2のセルスタックについて、図4、図5を用いて説明する。なお、実施形態2以降において用いられる符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
図4、図5に例示されるように、本実施形態のセルスタック1は、捕集層4の表面から捕集層4の厚み方向に向かって形成された溝部40を含む応力緩和構造を有している。この構成によれば、スタック構成金属材3の表面に捕集層4を形成する際に、溝部40からクラック41を発生させやすくなる。
本実施形態では、具体的には、溝部40の底部は、捕集層4内に配置されている。つまり、溝部40の底部は、スタック構成金属材3の表面に達していない。この構成によれば、溝部40の導入によってスタック構成金属材4の表面が積極的に露出されずに済み、スタック構成金属3から生じる被毒物質の飛散を抑制しやすくなる。また、この構成によれば、スタック構成金属材3の表面に捕集層4を形成する際に、溝部40の底側の端部からクラック41を発生させやすくなる。
本実施形態では、具体的には、図5に示されるように、クラック41が、溝部40の底側の端部からスタック構成金属材4の表面に向かって延びている。図5では、クラック41の先端が、スタック構成金属材3の表面に届いている例が示されている。なお、溝部40の底側の端部とは、溝部40の底部と、溝部40の底部寄りの側面とを含む。つまり、上記構成において、クラック41の発生位置は、溝部40の底部のみに限定されるわけではない。また、捕集層4は、溝部40以外の場所において、捕集層4の厚み方向に延びるクラック41を含むこともできる。
応力緩和構造は、具体的には、溝部40を含む外層402と、クラック401を含む内層401とを有する構成とすることができる。この構成によれば、溝部40の底側の端部からスタック構成金属材3の表面に向かって延びるクラック41を有する応力緩和構造を確実なものとすることができる。なお、外層402は、捕集層4の表面から溝部40の底部までの領域とされる。内層401は、溝部40の底部からスタック構成金属材3との界面までの領域とされる。
この場合、外層402の厚みは、具体的には、内層401の厚みよりも大きい構成とすることができる。この構成によれば、捕集層4とスタック構成金属材3との熱膨張差によるスタック構成金属材3の表面からの捕集層4の剥離を抑制しやすくなる。また、スタック構成金属材3の表面に捕集層4を形成する際に、捕集層4の厚み方向へクラック41を発生させやすくなるなどの利点もある。外層402の厚みは、より具体的には、被毒物質の捕集能力の向上などの観点から、好ましくは、10μm以上、より好ましくは、20μm以上、さらにより好ましくは、50μm以上とすることができる。外層402の厚みは、より具体的には、材料抵抗増加による性能低下の抑制などの観点から、好ましくは、250μm以下、より好ましくは、150μm以下、さらにより好ましくは、100μm以下とすることができる。内層401の厚みは、より具体的には、金属材料との反応抑制などの観点から、好ましくは、5μm以上、より好ましくは、10μm以上、さらにより好ましくは、20μm以上とすることができる。内層401の厚みは、より具体的には、金属との界面剥離の抑制などの観点から、好ましくは、150μm以下、より好ましくは、100μm以下、さらにより好ましくは、50μm以下とすることができる。なお、外層402の厚み、内層401の厚みは、捕集層4の層面に垂直な断面をSEM観察し、任意の10箇所について測定される外層402の厚み測定値、内層401の厚み測定値のそれぞれの平均値である。
溝部40は、パターン形成されているとよい。この構成によれば、スタック構成金属材3の表面に捕集層4を形成する際に、溝部40から安定してクラック41を捕集層4の厚み方向へ発生させやすくなる。また、この構成によれば、クラック41の導入を制御しやすくなる。また、この構成によれば、セルスタック1の運転中における捕集層4でのクラック41の進展による捕集層4の剥離を抑制しやすくなる。また、この構成によれば、捕集層4による捕集能力のバラツキを抑制しやすくなる。
溝部40は、具体的には、例えば、捕集層4の外表面側から見て、三角形状、四角形状、六角形状、八角形状、または、これらの組み合わせ等より構成されるパターン部42が最密充填された形状が形成されるようにパターニングされているとよい。この構成によれば、溝部40からより安定してクラック41を捕集層4の厚み方向へ発生させやすくなる。本実施形態では、溝部40は、図4に示されるように、捕集層4の外表面側から見て、六角形状のパターン部42が最密充填された形状が形成されるように、溝部40がパターン形成されている。
本実施形態では、パターン部42の幅は、具体的には、溝部40の幅よりも大きい構成とすることができる。この構成によれば、スタック構成金属材3の表面に捕集層4を形成する際に、溝部40以外の場所からクラック41が生じるのを抑制しやすくなる。溝部40の幅は、具体的には、好ましくは、0.05mm以上、より好ましくは、0.1mm以上、さらにより好ましくは、0.2mm以上とすることができる。溝部40の幅は、好ましくは、1mm以下、より好ましくは、0.8mm以下、さらにより好ましくは、0.6mm以下とすることができる。なお、パターン部42の幅は、捕集層4の厚み方向に沿う断面をSEM観察して測定される、層面方向におけるパターン部42の断面幅の最大値である。また、溝部40の幅は、捕集層4の厚み方向に沿う断面をSEM観察して測定される、層面方向における溝部40の断面幅の最大値である。
捕集層4への溝部20の形成は、例えば、次の方法によることができる。スタック構成金属材3における酸化剤ガスA側の表面に、スクリーン印刷法等により、捕集層形成用ペーストを塗布し、乾燥させる。次いで、乾燥後の塗膜上を、所定の溝部40を形成可能なマスクによりマスキングする。次いで、上記と同様に、捕集層形成用ペーストを塗布し、乾燥させる。次いで、マスクを剥離する。次いで、捕集層形成用ペーストによる積層塗膜を有するスタック構成金属材3を、熱処理し、積層塗膜を焼き付ける。なお、上述した溝部からのクラック41は、熱処理時に捕集層4の内層401に発生させることができる。
(実施形態3)
実施形態3のセルスタックについて、図6を用いて説明する。
図6に例示されるように、本実施形態のセルスタック1では、捕集層4は、酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面の一部に形成されている。本実施形態では、具体的には、図6に示されるように、酸化剤ガスAに面する表面を有するスタック構成金属材3は、インターコネクタ31と、フレーム32とされている。
そして、本実施形態では、図6(a)に示されるように、酸化剤ガスAに面するインターコネクタ31の表面のうち、酸化剤ガスAの入口側端部から、酸化剤ガスAの出口側の単セル2端部までの領域(図中、矢印の範囲)に、捕集層4が形成されている。同様に、図6(b)に示されるように、酸化剤ガスAに面するフレーム32の表面のうち、酸化剤ガスAの入口側端部から、酸化剤ガスAの出口側の単セル2端部までの領域(図中、矢印の範囲)に、捕集層4が形成されている。その他の構成については、実施形態2と同様である。
本実施形態によっても、実施形態2と同様の作用効果が得られる。もっとも、実施形態2の方が、実施形態3よりも、酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面に形成される捕集層4の面積が大きい分、捕集効果の点で有利である。また、実施形態3の方が、実施形態2よりも、酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面に形成される捕集層4の面積が小さい分、材料および加工コスト低減効果の点で有利である。
(実施形態4)
実施形態4のセルスタックについて、図7を用いて説明する。
図7に例示されるように、本実施形態のセルスタック1では、捕集層4は、酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面の一部に形成されている。本実施形態では、具体的には、図7に示されるように、酸化剤ガスAに面する表面を有するスタック構成金属材3は、インターコネクタ31と、フレーム32とされている。
そして、本実施形態では、図7(a)に示されるように、酸化剤ガスAに面するインターコネクタ31の表面のうち、酸化剤ガスAの入口側端部から、酸化剤ガスAの入口側の単セル2端部までの領域(図中、矢印Yの範囲)に、捕集層4が形成されている。同様に、図7(b)に示されるように、酸化剤ガスAに面するフレーム32の表面のうち、酸化剤ガスAの入口側端部から、酸化剤ガスAの入口側の単セル2端部までの領域(図中、矢印Yの範囲)に、捕集層4が形成されている。その他の構成については、実施形態2と同様である。
本実施形態によっても、実施形態2と同様の作用効果が得られる。もっとも、実施形態2の方が、実施形態4よりも、酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面に形成される捕集層4の面積が大きい分、捕集効果の点で有利である。また、実施形態4の方が、実施形態2よりも、酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面に形成される捕集層4の面積が小さい分、材料および加工コスト低減効果の点で有利である。
同様に、実施形態3の方が、実施形態4よりも、酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面に形成される捕集層4の面積が大きい分、捕集効果の点で有利である。また、実施形態4の方が、実施形態3よりも、酸化剤ガスAに面するスタック構成金属材3の表面に形成される捕集層4の面積が小さい分、材料および加工コスト低減効果の点で有利である。
(実施形態5)
実施形態5のセルスタックについて、図8を用いて説明する。
図8に例示されるように、本実施形態のセルスタック1では、捕集層4の外表面側から見て、溝部40は、三角形状のパターン部42が最密充填された形状が形成されるようにパターニングされている。その他の構成については、実施形態2と同様である。本実施形態によっても、実施形態2と同様の作用効果が得られる。
(実施形態6)
実施形態6のセルスタックについて、図9を用いて説明する。
図9に例示されるように、本実施形態のセルスタック1では、捕集層4の外表面側から見て、溝部40は、四角形状のパターン部42が最密充填された形状が形成されるようにパターニングされている。その他の構成については、実施形態2と同様である。本実施形態によっても、実施形態2と同様の作用効果が得られる。
(実施形態7)
実施形態7のセルスタックについて、図10を用いて説明する。
図10に例示されるように、本実施形態のセルスタック1では、捕集層4の外表面側から見て、溝部40は、六角形状のパターン部421と三角形状のパターン部422との組み合わせで最密充填された形状が形成されるようにパターニングされている。その他の構成については、実施形態2と同様である。本実施形態によっても、実施形態2と同様の作用効果が得られる。
(実施形態7)
実施形態7のセルスタックについて、図11を用いて説明する。
図11に例示されるように、本実施形態のセルスタック1では、捕集層4の外表面側から見て、溝部40は、八角形状のパターン部423と四角形状のパターン部424との組み合わせで最密充填された形状が形成されるようにパターニングされている。その他の構成については、実施形態2と同様である。本実施形態によっても、実施形態2と同様の作用効果が得られる。
(実験例1)
La0.6Sr0.4CoO(以下、LSC)粉末(平均粒子径:0.6μm)と、エチルセルロースと、テルピネオールとを3本ロールミルにて混練することにより、捕集層形成用ペーストを調製した。また、フェライト系ステンレス鋼製のインターコネクタ、フェライト系ステンレス鋼製のフレームを準備した。
インターコネクタおよびフレームにおける酸化剤ガス側の表面に、スクリーン印刷法により、捕集層形成用ペーストを100μmでそれぞれ塗布し、乾燥させることにより、塗膜を形成した。その後、この塗膜を有するインターコネクタおよびフレームを、800℃で2時間熱処理することにより、各塗膜を焼き付け、各捕集層を形成した。各捕集層の断面をSEMにて観察したところ、各捕集層には、捕集層の厚み方向に延びており、先端がインターコネクタ、フレームの界面に届いているクラックが多数確認された。なお、形成されたクラックの幅の最大値は、0.5mm以下であった。
次いで、フレームに単セルを組み付け、このフレーム付きの単セルをインターコネクタを介して複数積層することにより、試料1のセルスタックを得た。なお、試料1のセルスタックにおいて、単セルのカソードは、La0.6Sr0.4CoOを含んで構成されている。
また、上記とは別に、インターコネクタおよびフレームにおける酸化剤ガス側の表面に、スクリーン印刷法により、捕集層形成用ペーストを40μmでそれぞれ塗布し、乾燥させることにより、第1層目の各塗膜を形成した。次いで、溝部によって六角形状のパターン部が最密充填された形状(ハニカムパターン)を形成可能なマスクにより第1層目の各塗膜上をそれぞれマスキングした。次いで、スクリーン印刷法により、捕集層形成用ペーストを80μmでそれぞれ塗布し、乾燥させることにより、第2層目の各塗膜を形成した。その後、この積層塗膜を有するインターコネクタおよびフレームを、それぞれ、800℃で2時間熱処理することにより、各積層塗膜を焼き付け、各捕集層を形成した。各捕集層の断面をSEMにて観察したところ、各捕集層は、溝部を含む外層と、多数のクラックを含む内層とで構成されていた。また、各捕集層には、溝部の底側の端部から捕集層の厚み方向に延びており、先端がインターコネクタ、フレームの界面に届いているクラックが多数確認された。なお、形成されたクラックの幅の最大値は、0.5mm以下であった。また、捕集層における内層の厚みは、30μm、外層の厚みは、70μm、溝部の幅は、0.5mm、パターン部の幅は、2mmであった。
以降は、試料1のセルスタックの作製と同様にして、試料2のセルスタックを得た。
(実験例2)
試料2のセルスタックの作製に準じて、図12に示すように、捕集層における外層の厚み(溝部の深さ)H2=70μm、パターン部の幅W1=2mm、溝部の幅W2=0.5mm、内層の厚みH3=5μm以上250μm以下とした各セルスタックを準備した。なお、各セルスタックでは、溝部の底側の端部からクラックが発生しており、クラックの先端部は、フレーム、インターコネクタの表面に達している。なお、図12では、クラックは省略されている。また、溝部の底部がフレーム、インターコネクタの表面に達しており(つまり、H3=0μm)、クラックがない比較用のセルスタックも準備した。
次いで、各セルスタックのカソードに対し、700℃の環境下で、外部からカソード面内方向に沿って空気を1L/分で供給させながら、10000時間保持した。この際、空気は、700℃に保持されたSUS310製の配管を通過した後に、カソードに至るようになっている。これにより、カソードに至る空気にCr成分を混入させた。上記10000時間の保持後、降温し、セルスタックから単セルを取り出した。取り出した単セルについて、セル断面を研磨し、カソードの断面を観察可能とした。カソードの断面をSEM−EDSにより組成分析し、Cr濃度を測定した。各セルスタックの捕集層の詳細とともに、上記結果をまとめて表1に示す。
Figure 2018181572
表1によれば、捕集層におけるクラックを含む内層の厚みは、捕集層による捕集効果を確実なものとする観点から、5μm以上250μm以下とすることが好ましいことが確認された。
(実験例3)
実験例2と同様にして、パターン部の幅W1=2mm、溝部の幅W2=0.5mmとし、捕集層の全体厚みH1、捕集層における外層の厚み(溝部の深さ)H2、内層の厚みH3を変化させて各セルスタックを作製した。そして、捕集層の形成時における熱処理によるクラックの発生の有無および捕集層の剥離の有無を調査した。その結果を、表2にまとめて示す。
Figure 2018181572
表2によれば、内層の厚みH3<外層の厚みH2の関係を満たす場合に、熱処理によって溝部の底側の端部から捕集層の厚み方向に延びるクラックが発生しやすいことが確認された。また、上記関係を満たす場合には、捕集層の剥離も見られないことが確認された。なお、H1=100μm、H2=20μm、H3=80μmとした場合について調査したところ、一部、捕集層の剥離が見られた。また、同様に、H1=100μm、H2=5μm、H3=95μmとした場合について調査したところ、溝部の底側の端部からクラックを発生させ難い傾向が見られ、また、捕集層の剥離も一部見られた。
(実験例4)
実験例2と同様にして、捕集層における外層の厚み(溝部の深さ)H2=70μm、内層の厚みH3=30μmとし、パターン部の幅W1、溝部の幅W2を変化させて各セルスタックを作製した。そして、捕集層の形成時における熱処理時に、溝部以外の部分から発生するクラックの有無を調査した。その結果を、表3に示す。
Figure 2018181572
表3によれば、溝部の幅W2<パターン部の幅W1、0.05≦溝部の幅W2≦1の関係を満たすことで、熱処理時に溝部からのクラックの発生が促され、溝部以外の部分からクラックが発生し難くなることが確認された。
本発明は、上記各実施形態、各実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、各実施形態、各実験例に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
1 固体酸化物形燃料電池セルスタック
2 単セル
21 アノード
22 固体電解質層
23 カソード
3 スタック構成金属材
4 捕集層
A 酸化剤ガス

Claims (14)

  1. アノード(21)と固体電解質層(22)とカソード(23)とを備える複数の単セル(2)と、
    複数の上記単セルをスタック化するために使用されるスタック構成金属材(3、31、32)と、
    上記カソードに供給される酸化剤ガス(A)に面する上記スタック構成金属材の表面に形成されており、上記酸化剤ガスに含まれて上記カソードを被毒する被毒物質を捕集する捕集層(4)と、を有しており、
    上記捕集層は、当該捕集層と上記スタック構成金属材との熱膨張差によって上記捕集層と上記スタック構成金属材との界面に生じる応力を緩和する応力緩和構造を有している、固体酸化物形燃料電池セルスタック(1)。
  2. 上記捕集層は、導電性酸化物を含んでおり、
    上記導電性酸化物は、
    ACoO、但し、Aは、La、Sm、および、Srからなる群より選択される少なくとも2種の元素であり、選択された上記2種の元素の化学組成比は合計で1である、を含む、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  3. 上記捕集層の線熱膨張係数が、16×10−6/K以上である、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  4. 上記応力緩和構造は、上記捕集層の厚み方向に延びるクラック(41)を含んで構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  5. 上記応力緩和構造は、上記捕集層の表面から上記捕集層の厚み方向に向かって形成された溝部(40)を含む、請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  6. 上記溝部の底部は、上記捕集層内に配置されている、請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  7. 上記応力緩和構造は、上記溝部を含む外層(402)と、上記クラックを含む内層(401)とを有している、請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  8. 上記クラックは、上記溝部の底側の端部から上記スタック構成金属材の表面に向かって延びている、請求項6または7に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  9. 上記溝部は、パターン形成されている、上記請求項5〜8のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  10. 上記クラックの先端は、上記スタック構成金属材の表面に届いている、請求項4〜9のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  11. 上記クラックは、上記捕集層内の粒界に沿って形成されている、請求項4〜10のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  12. 上記カソードが導電性酸化物を含んでおり、
    上記捕集層の導電性酸化物は、上記カソードの導電性酸化物と同種の材料より構成されている、請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  13. 上記スタック構成金属材は、耐酸化性金属より構成されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
  14. 上記スタック構成金属材の線熱膨張係数が、16×10−6/K未満である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
JP2017078507A 2017-04-11 2017-04-11 固体酸化物形燃料電池セルスタック Active JP6897256B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017078507A JP6897256B2 (ja) 2017-04-11 2017-04-11 固体酸化物形燃料電池セルスタック

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017078507A JP6897256B2 (ja) 2017-04-11 2017-04-11 固体酸化物形燃料電池セルスタック

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018181572A true JP2018181572A (ja) 2018-11-15
JP6897256B2 JP6897256B2 (ja) 2021-06-30

Family

ID=64275763

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017078507A Active JP6897256B2 (ja) 2017-04-11 2017-04-11 固体酸化物形燃料電池セルスタック

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6897256B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021086786A (ja) * 2019-11-29 2021-06-03 森村Sofcテクノロジー株式会社 電気化学反応単セルおよび電気化学反応セルスタック

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0582135A (ja) * 1991-09-24 1993-04-02 Fine Ceramics Center 固体電解質型燃料電池用電極
JP2002349714A (ja) * 2001-05-30 2002-12-04 Nippon Steel Corp シール性を有する複合体及びその製造方法
WO2006098272A1 (ja) * 2005-03-15 2006-09-21 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. イオン伝導体
JP2007053043A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 燃料電池のマニホールド構造およびその製造方法
JP2015153709A (ja) * 2014-02-19 2015-08-24 日本特殊陶業株式会社 燃料電池
JP2016042457A (ja) * 2014-08-14 2016-03-31 日本碍子株式会社 燃料電池のスタック構造体

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0582135A (ja) * 1991-09-24 1993-04-02 Fine Ceramics Center 固体電解質型燃料電池用電極
JP2002349714A (ja) * 2001-05-30 2002-12-04 Nippon Steel Corp シール性を有する複合体及びその製造方法
WO2006098272A1 (ja) * 2005-03-15 2006-09-21 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. イオン伝導体
JP2007053043A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 燃料電池のマニホールド構造およびその製造方法
JP2015153709A (ja) * 2014-02-19 2015-08-24 日本特殊陶業株式会社 燃料電池
JP2016042457A (ja) * 2014-08-14 2016-03-31 日本碍子株式会社 燃料電池のスタック構造体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021086786A (ja) * 2019-11-29 2021-06-03 森村Sofcテクノロジー株式会社 電気化学反応単セルおよび電気化学反応セルスタック
JP7061105B2 (ja) 2019-11-29 2022-04-27 森村Sofcテクノロジー株式会社 電気化学反応単セルおよび電気化学反応セルスタック

Also Published As

Publication number Publication date
JP6897256B2 (ja) 2021-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5377519B2 (ja) 耐熱性合金、燃料電池用合金部材、燃料電池セルスタック装置、燃料電池モジュールおよび燃料電池装置
JP6483837B2 (ja) 導電部材、セルスタック、モジュール及びモジュール収容装置
JP2010062145A (ja) インターコネクト用バリア皮膜、関連装置及び形成方法
JP6141753B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP5770659B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池用セルおよびセル間接続部材
JP5329007B1 (ja) 複合体、集電部材および燃料電池セル装置ならびに燃料電池装置
JP5080749B2 (ja) 燃料電池用集電部材、セルスタック、及び燃料電池
JP2006092837A (ja) 燃料電池用集電部材及びその製造方法、並びにこれを用いた燃料電池セルスタック、燃料電池
JP6584097B2 (ja) セル間接続部材接合方法および固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法
JP6349446B1 (ja) 電気化学セルスタック
JP6743644B2 (ja) 燃料電池
JP6298807B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池スタック
JP5294649B2 (ja) セルスタックおよび燃料電池モジュール
JP6897256B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池セルスタック
JP4932307B2 (ja) 耐熱性合金部材、燃料電池用合金部材、燃料電池用集電部材、セルスタック、及び燃料電池
JP6242377B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池スタック
JP6358921B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法、及び、セル間接続部材接合方法
JP4931423B2 (ja) 耐熱性導電部材、燃料電池用合金部材及び燃料電池用集電部材並びにセルスタック、燃料電池
JP4707985B2 (ja) 燃料電池セル及びセルスタック
JP7061105B2 (ja) 電気化学反応単セルおよび電気化学反応セルスタック
JP2009266582A (ja) 固体酸化物形燃料電池用セル
JP6750539B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池用電極体および固体酸化物形燃料電池単セル
JP2020136175A (ja) セルスタック及び電気化学セル
JP6063368B2 (ja) 燃料電池
JP6349445B1 (ja) 電気化学セルスタック

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210330

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210421

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210511

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210524

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6897256

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250