JP2018178102A - 熱硬化性樹脂シートおよびその製造方法 - Google Patents

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橋本 卓幸
Takuyuki Hashimoto
卓幸 橋本
正夫 森下
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Abstract

【課題】100℃以下で硬化可能であり、未硬化の状態でシートとして十分な強度とタックを両立し得る熱硬化性樹脂シートを提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂と、潜在性硬化剤と、第1粒子と、第2粒子と、を含む熱硬化性樹脂組成物を含み、第1粒子が、加熱により熱硬化性樹脂組成物中で膨潤して熱硬化性樹脂組成物を増粘させる増粘成分であり、第2粒子が、ゴム成分を含み、100℃で30分間加熱したときの硬化率が95%以上である、熱硬化性樹脂シート。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば70〜100℃で硬化可能であり、かつタックを有する熱硬化性樹脂シートおよびその製造方法に関する。
光学素子などの接着、封止などに用いられる材料としては、紫外線(UV)硬化性樹脂シートを用いることが主流である。しかし、UV硬化性樹脂シートを硬化させる際の波長と強度を適切に制御することは難しい。波長または強度が不適切では、シート全体を充分に硬化させることができず、硬化にむらが生じるため、光源の発光強度の減衰なども考慮して照射を行う必要がある。
UV硬化性以外の樹脂シートとして、例えば、低温硬化を意図した樹脂フィルムが提案されている(特許文献1参照)。
国際公開第2012/098734号パンフレット
しかし、低温硬化特性を有しつつ、未硬化の状態でシートとして十分な強度とタックを両立し得る樹脂フィルムを得ることは困難である。なお、特許文献1では、樹脂フィルムを100℃〜130℃で5分〜60分間加熱した後、160℃〜200℃で15分〜60分間加熱することが好ましいとされている。すなわち、実質的には高温領域を含む2段階の加熱が行われている。
上記に鑑み、本発明の一側面は、熱硬化性樹脂と、潜在性硬化剤と、第1粒子と、第2粒子と、を含む熱硬化性樹脂組成物を含み、前記第1粒子が、加熱により前記熱硬化性樹脂組成物で膨潤して前記熱硬化性樹脂組成物を増粘させる増粘成分であり、前記第2粒子が、ゴム成分を含み、100℃で30分間加熱したときの硬化率が95%以上である、熱硬化性樹脂シートに関する。
本発明の別の側面は、溶剤を含まない熱硬化性樹脂組成物を調製する工程と、前記熱硬化性樹脂組成物をシート化して、100℃で30分間加熱したときの硬化率が95%以上である熱硬化性樹脂シートを得る工程と、を具備し、前記熱硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂と、潜在性硬化剤と、第1粒子と、第2粒子と、を含む熱硬化性樹脂組成物を含み、前記第1粒子が、加熱により前記熱硬化性樹脂組成物中で膨潤して前記熱硬化性樹脂組成物を増粘させる増粘成分であり、前記第2粒子が、ゴム成分を含む、熱硬化性樹脂シートの製造方法に関する。
本発明の上記側面によれば、未硬化の状態でもシートとして十分な強度とタックを両立し、かつ例えば70℃〜100℃で硬化可能な熱硬化性樹脂シートを得ることができ、その厚さの制御も容易である。
本発明の実施例に係る熱硬化性樹脂シートおよび比較例に係る熱硬化性樹脂組成物それぞれのDSCプロファイルAおよびBを示す図である。
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂シート(以下、単に熱硬化性樹脂シートと称する。)は、熱硬化性樹脂と、潜在性硬化剤と、第1粒子と、第2粒子と、を含む熱硬化性樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物とも称する。)を含む。第1粒子は、加熱により樹脂組成物中で膨潤して組成物を増粘させる加熱増粘型粒子(以下、加熱増粘型の第1粒子とも称する。)である。第2粒子は、ゴム成分を含む応力緩和型粒子(以下、応力緩和型の第2粒子とも称する。)である。
第1粒子および第2粒子は、シート化剤として樹脂組成物に配合される。樹脂組成物がシート化されることにより、樹脂組成物の取り扱い性が向上する。
第1粒子および第2粒子を構成する熱可塑性樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレフィン、共役ジエン系樹脂、ポリウレタン、ブロックイソシアネート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ブチラール樹脂、ポリアミド、塩化ビニル、セルロース、熱可塑性エポキシ樹脂、熱可塑性フェノール樹脂などが挙げられる。中でもシート化剤としての機能に優れる点で、アクリル樹脂が好ましい。第1粒子および第2粒子の量は、合計で、熱硬化性樹脂100質量部あたり、5〜200質量部が好ましく、10〜100質量部が特に好ましい。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどをモノマー単位として含む重合体であってよい。
樹脂組成物に添加する際の熱可塑性樹脂の形態は、特に限定されない。熱可塑性樹脂は、例えば重量平均粒子径0.01〜200μm、好ましくは0.01〜100μmの粒子であってもよい。粒子は、コア部分とシェル部分とを有するコアシェル構造を備えていてもよい。コア部分としては、アクリル樹脂、共役ジエン系樹脂などを挙げることができる。
熱硬化性樹脂シートのタックは、樹脂組成物中の液状成分の存在により発現する。液状成分には、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂の硬化剤、反応性希釈剤などの添加剤などが含まれ得る。加熱増粘型の第1粒子のみで樹脂組成物をシート化しようとする場合、液状成分のほとんどが第1粒子に吸収もしくは捕捉されるため良好なタックを有する熱硬化性樹脂シートを得ることが困難である。一方、応力緩和型の第2粒子のみでは、液状成分をほとんど吸収もしくは捕捉できず、シート形状を維持するのに十分な強度を確保することが困難である。独立シートとしての取り扱い性を確保するには、例えばシートの破断強度(例えば厚み30μmの場合)が3.8MPaを超えることが必要である。これに対し、第1粒子および第2粒子を併用することで、適度なタックを有するとともに十分な強度を有する熱硬化性樹脂シートを得ることが可能となる。
熱硬化性樹脂シートを、100℃で30分間加熱したときの硬化率は、95%以上である。硬化率が95%以上であるとき、熱硬化性樹脂シートは十分に硬化が進行した状態であり、熱硬化性樹脂に求められる種々の物性を発揮し得る状態にある。すなわち、熱硬化性樹脂シートは、100℃での加熱により、十分に硬化が進行する低温速硬化型の熱硬化性樹脂を含んでいる。
硬化率とは、未硬化(加熱前)および加熱後の熱硬化性樹脂シートによって、それぞれ吸収もしくは放出される熱量差から算出される指標である。熱硬化性樹脂シートによって吸収もしくは放出される熱量は、例えば、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。硬化率(%)は、未硬化の熱硬化性樹脂シートのDSCで測定される発熱量もしくは吸熱量X1(J/g)と、所定温度で所定時間の加熱が施された硬化後の熱硬化性樹脂シートの発熱量もしくは吸熱量Y1(J/g)とを用いて、次式により求められる。
硬化率(%)=100×(X1−Y1)/X1
100℃で30分間加熱したときの硬化率が95%以上である熱硬化性樹脂シートは、例えば70℃〜100℃で20分〜100分間の加熱による硬化が可能である。熱硬化性樹脂シートは、常温で安定である限り、低温で硬化が十分に進行するほど好ましい。よって、熱硬化性樹脂シートを、70℃で60分間加熱したときの硬化率も、75%以上であることがより好ましい。一方、50℃で60分加熱したときの硬化率は、50%以下であってもよい。このような熱硬化性樹脂シートは保存安定性に優れている。
熱硬化性樹脂シートは、常温で安定であることが望ましい。よって、熱硬化性樹脂シートを25℃で24時間保存後の硬化率(以下、保存硬化率と称する。)は、5%以下であることが好ましい。この場合、熱硬化性樹脂シートを常温で長時間放置しても、熱硬化性樹脂シートの硬化性能は大きく損なわれずに維持される。
保存硬化率とは、25℃の温度で放置される前(常温保存前)および25℃で24時間保存後の熱硬化性樹脂シートによって、それぞれ吸収もしくは放出される熱量差から算出される指標である。保存硬化率(%)は、25℃で保存前の熱硬化性樹脂シートのDSCで測定される発熱量もしくは吸熱量X2(J/g)と、25℃で24時間保存後の熱硬化性樹脂シートの発熱量もしくは吸熱量Y2(J/g)とを用いて、次式により求められる。
保存硬化率(%)=100×(X2−Y2)/X2
熱硬化性樹脂組成物およびこれから形成される熱硬化性樹脂シートは、更に、溶融シリカ、乾式シリカ(ヒュームドシリカ)などの無機充填剤を含んでもよい。
以下、第1および第2粒子について更に詳細に説明する。
(第1粒子)
加熱増粘型の第1粒子は、加熱により少なくとも樹脂組成物を増粘させる増粘成分である。樹脂組成物が増粘する主な理由は、加熱により液状化あるいは低粘度化した成分(主に熱硬化性樹脂)を第1粒子が吸収して膨潤するためであると推察される。このとき、第1粒子の少なくとも一部が樹脂組成物中で膨潤後に溶解してもよい。
加熱増粘型の粒子とは、例えば、同質量のエポキシ樹脂に加熱増粘型粒子を分散させたベース組成物において、粘度上昇開始温度+10℃の温度で10分間加熱したときの組成物の粘度が極小粘度の5倍以上になる粒子をいう。ここで、粘度上昇開始温度とは、昇温速度10℃/分の条件で加熱しながらベース組成物の粘度を測定したときに、温度上昇に伴う粘度低下後、粘度上昇に転じるときの粘度上昇の開始時点の温度(すなわち極小粘度での温度)である。粘度上昇開始温度の測定装置には、例えばレオメーター(TAインスツルメント社製、AR−G2)を用い得る。ベース組成物の調製に用いるエポキシ樹脂には、例えば、エポキシ当量150〜250g/eqのビスフェノールA型のエポキシ樹脂(例えば三菱ケミカル社製、JER828)を用い得る。
加熱増粘型の第1粒子の増粘開始温度は、硬化剤、硬化促進剤等の成分およびシート化の条件に応じて適宜選択すればよいが、例えば40〜120℃である。
加熱増粘型の第1粒子は、熱可塑性樹脂により構成され得る。熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂などをあげることができる。中でもアクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂は、(メタ)アクリレート類(例えばアルキル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等)、官能基含有(メタ)アクリレート類(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等)、アクリル酸類(例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等)等のモノマーのホモまたはコポリマーを用いてよい。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル等であればよい。
加熱増粘型の第1粒子は、コアシェル構造を有してもよい。コアとシェルの質量比は、例えばコア/シェル=10/90〜90/10であってよい。コアシェル構造は、保存安定性および樹脂組成物中への第1粒子の分散性の点で有利であると考えられる。
加熱増粘型の第1粒子のコア成分は、例えばメチル(メタ)アクリレートと、n、iまたはt−ブチル(メタ)アクリレートとを含む共重合体であってよい。例えば、メチル(メタ)アクリレート20〜70モル%と、n、iまたはt−ブチル(メタ)アクリレート30〜80モル%(合計80〜100モル%)とを含有する重合体であってよい。
加熱増粘型の第1粒子のシェル成分は、例えばビニル系単量体の重合体である。ビニル系単量体とは、例えば(メタ)アクリル系単量体、オレフィン系単量体、スチレン系単量体、マレイン酸系単量体、マレイミド系単量体、ビニルアルコールエステル系単量体などが挙げられる。重合体は、架橋性ビニル系単量体により架橋されていてもよい。中でも(メタ)アクリル系単量体の重合体が好ましい。
(メタ)アクリル系単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレートと、n、iまたはt−ブチル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸とを含む共重合体を挙げることができる。中でもメチル(メタ)アクリレート55〜79.5モル%と、ブチル(メタ)アクリレート20〜40モル%と、(メタ)アクリル酸0.5〜10モル%(合計80〜100モル%)を含有する重合体であってよい。
(第2粒子)
応力緩和型の第2粒子は、ゴム成分を含む。ゴム成分は、熱硬化性樹脂シートに生じる応力を緩和する作用を有する。
ゴム成分としては、例えばブタジエンゴム、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、これらの複合ゴムなどを挙げることができる。複合ゴムとしては、例えばメチルメタアクリレート、ブタジエンおよびスチレンの単位を含むMBS共重合体、アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンの単位を含むABS共重合体などが挙げられる。コアシェル構造を有さない第2粒子の場合、ゴム成分は熱硬化性樹脂と相溶することが好ましい。また、ゴム成分は、熱硬化性樹脂等の液状成分を吸収しないか、熱硬化性樹脂等の液状成分の吸収量が少ないものであることが好ましい。
応力緩和型の第2粒子は、コアシェル構造を有してもよい。この場合、少なくともコアがゴム成分を含むことで、応力緩和の効果が大きくなる。コアとシェルの質量比は、例えばコア/シェル=10/90〜90/10が好ましい。
コアシェル構造を有する第2粒子は、少なくともシェルが熱硬化性樹脂と相溶する粒子であることが好ましい。また、第2粒子は熱硬化性樹脂等の液状成分を吸収しないか、熱硬化性樹脂等の液状成分の吸収量が少ないものであることが好ましい。第2粒子についても、コアシェル構造を有することが保存安定性および樹脂組成物中への分散性の点で有利であると考えられる。
応力緩和型の第2粒子のシェルは、例えばビニル系重合体であり、加熱増粘型の第1粒子のシェル成分として挙げた材料から選択し得る。
(第1および第2粒子の粒子径)
加熱増粘型の第1粒子および応力緩和型の第2粒子の体積平均一次粒径は、それぞれ例えば0.01〜200μm、より好ましくは0.01〜100μm、さらに好ましくは0.01〜50μmの範囲から選択し得る。体積平均一次粒径は、各粒子のエマルションをイオン交換水で希釈し、レーザー回折散乱式の粒度分布測定装置(例えば堀場製作所株式会社製、LA−910W)を用いて測定し得る。
(第1および第2粒子の配合割合)
加熱増粘型の第1粒子量は、加熱時の樹脂組成物の増粘を容易にする観点から、例えば熱硬化性樹脂100重量部あたり、5〜65質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。加熱増粘型の第1粒子量が5質量部未満の場合、樹脂組成物をシート化できない場合があり、65質量部を超えると、タックが失われて他材との接着が困難となり得る。
応力緩和型の第2粒子は、シート化を容易にする観点から、例えば熱硬化性樹脂100重量部あたり、5〜65質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。
加熱増粘型の第1粒子と応力緩和型の第2粒子との割合(第1粒子:第2粒子)は、好ましくは質量比で10:100〜100:10である。
熱硬化性樹脂シートの形態は、特に限定されず、単層シートであってもよく、2層以上の多層シートであってもよい。熱硬化性樹脂シートの厚さも、特に限定されないが、例えば10〜300μmであってよい。
次に、本発明に係る熱硬化性樹脂シートの製造方法は、溶剤を含まない熱硬化性樹脂組成物を調製する工程と、樹脂組成物をシート化して、100℃で30分間加熱したときの硬化率が95%以上である熱硬化性樹脂シートを得る工程とを具備する。
樹脂組成物のシート化では、例えば、塗工時の粘度が10mPa・s〜10000mPa・sに調整された樹脂組成物が、ダイ、ロールコーター、ドクターブレードなどを用いて剥離性基材の表面に塗工され、薄膜状の塗膜が形成される。
熱硬化性樹脂は、未硬化状態でもよく、半硬化状態でもよい。半硬化状態とは、熱硬化性樹脂がモノマーおよび/またはオリゴマーを含む状態であり、熱硬化性樹脂の三次元架橋構造の発達が不十分な状態をいう。すなわち、必要に応じて、塗膜を50〜150℃で1分〜10分間加熱してゲル化したり、Bステージ化したりして、シート化してもよい。なお、Bステージ化とは、樹脂組成物を半硬化状態の固体にすることをいう。Bステージの樹脂組成物を加熱すると溶融し、硬化反応が更に進行する。
溶剤を含まない樹脂組成物は、製造設備の管理が容易であり、クリーンな環境で製造できるというメリットがある。また、溶剤の揮発に伴う空隙もしくはボイドが発生しにくく、残留溶剤による硬化物の物性変化も生じない。また、溶剤を含まない樹脂組成物は、シート化するときに、塗膜の厚さの制御が容易であり、比較的厚いシートの形成にも適している。
ここで、溶剤とは、有機溶媒を全般的に意味する。有機溶媒とは、例えば、アルコール、ケトン、エステル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などであり、具体的には、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、トルエンなどが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でもエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂は、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂環式脂肪族エポキシ樹脂、有機カルボン酸類のグリシジルエーテルなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、プレポリマーであってもよく、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂のようなエポキシ樹脂と他のポリマーとの共重合体であってもよい。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などが好ましい。特に、耐熱性および耐水性に優れ、かつ安価である点で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂は、樹脂組成物の粘度調節のために、エポキシ基を分子中に1つ有する1官能エポキシ樹脂を、エポキシ樹脂全体に対して0.1〜30質量%程度含むことができる。このような1官能エポキシ樹脂としては、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エチルジエチレングリコールグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエングリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチルグリシジルエーテルなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、熱硬化性樹脂の硬化剤を含む。硬化剤は、一種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化剤の種類は、熱硬化性樹脂に応じて適宜選択される。
硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノール系硬化剤(フェノール樹脂等)、ジシアンジアミド系硬化剤(ジシアンジアミド等)、尿素系硬化剤、有機酸ヒドラジド系硬化剤、ポリアミン塩系硬化剤、アミンアダクト系硬化剤、酸無水物系硬化剤、イミダゾール系硬化剤などを用いることができる。中でも、潜在性硬化剤が好ましく、例えば、室温で固体であるアミン系硬化剤が使用できる。アミン系硬化剤は、マイクロカプセル化されていてもよい。潜在性硬化剤の融点は、例えば60〜150℃であることが好ましい。例えば、変性アミンまたは変性イミダゾールを用いることができる。
硬化剤の量は、硬化剤の種類によって異なる。エポキシ樹脂を用いる場合、例えば、エポキシ基1当量あたり、硬化剤の官能基の当量数が0.001〜2当量、さらには0.005〜1.5当量となる量の硬化剤を用いることが好ましい。
樹脂組成物に含まれ得る無機充填剤としては、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素(BN)、結晶性シリカ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ダイアモンドなどを挙げることができる。中でも、安価である点で、溶融シリカ、ヒュームドシリカなどが好ましい。無機充填剤の平均粒径は、例えば0.01〜100μmである。無機充填剤の量は、熱硬化性樹脂100質量部あたり、1〜5000質量部が好ましく、10〜3000質量部がより好ましい。
樹脂組成物は、上記以外の第三成分を含んでもよい。第三成分としては、硬化促進剤、重合開始剤、難燃剤、顔料、シランカップリング剤、チキソ性付与剤などを挙げることができる。
硬化促進剤は、特に限定されないが、変性イミダゾール系硬化促進剤、変性脂肪族ポリアミン系促進剤、変性ポリアミン系促進剤などが挙げられる。硬化促進剤は、エポキシ樹脂などの樹脂との反応生成物(アダクト)として使用することが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化促進剤の活性温度は、保存安定性の点から、60℃以上、更には80℃以上が好ましい。ここで、活性温度とは、潜在性硬化剤および/または硬化促進剤の作用により、熱硬化性樹脂の硬化が急速に早められる温度である。
硬化促進剤の量は、硬化促進剤の種類によって異なる。通常、エポキシ樹脂100質量部あたり、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。なお、硬化促進剤をアダクトとして使用する場合、硬化促進剤の量は、硬化促進剤以外の成分(エポキシ樹脂など)を除いた硬化促進剤の正味の量を意味する。
重合開始剤は、光照射および/または加熱により、硬化性を発現する。重合開始剤としては、ラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤などを用いることができる。具体的には、ベンゾフェノン系化合物、ヒドロキシケトン系化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、芳香族スルホニウム塩、脂肪族スルホニウム塩などのスルホニウム塩などを用いることができる。重合開始剤の量は、エポキシ樹脂100質量部あたり、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。
《実施例1および比較例1〜4》
(i)熱硬化性樹脂組成物の調製
表1に示す組成で材料を配合し、溶剤を含まない樹脂組成物を調製した。材料の詳細を以下に示す。表1に示す第1粒子および第2粒子は、コアシェル型熱可塑性樹脂であり、いずれもアルキルアクリレートをモノマー単位として含む共重合体である。加熱増粘型の第1粒子の増粘開始温度は約80℃である。応力緩和型の第2粒子は、ゴム成分としてMBS共重合体を含み、エポキシ樹脂にはほとんど膨潤しない。
Figure 2018178102
(ii)樹脂組成物のシート化
実施例では、得られた樹脂組成物を剥離性基材の表面に塗布して、厚さ50μmの塗膜を形成し、次に塗膜を100℃で10分間加熱してシート化した。なお、比較例1、3では自立したシートを得ることができなかった。
[評価1]
硬化前および100℃で30分間加熱して硬化させた実施例1のシートおよび比較例1、2の樹脂組成物のDSCプロファイルを測定し、硬化率(%)を測定した。図1に、実施例1のシートおよび比較例1の樹脂組成物のプロファイルAおよびプロファイルBをそれぞれ示す。
[評価2]
保存前および25℃で24時間保存後の実施例1のシートおよび比較例1、2の樹脂組成物のDSCプロファイルを同様に測定し、保存硬化率(%)を測定した。
[評価3]
硬化前および70℃で60分間加熱して硬化させた実施例1のシートのDSCプロファイルを同様に測定し、硬化率(%)を測定した。
[評価4]
硬化前の実施例1、比較例1、3、4のシートのタックと破断強度を測定した。比較例3、4のシートは、実施例1と同様の手順で作成した。
(タック評価)
シートの表面を指触し、タックがある場合を○、タックがない場合×と評価した。タックがない場合(×)、硬化前のシートを他材に付着させて固定することが困難であり、用途が限定されることになる。
(破断強度)
引張試験機を用いて以下の測定条件でシートの破断強度を測定し、破断強度が3.8MPaを超える場合を○、3.8MPa以下の場合を×と評価した。破断強度が3.8MPa以下では自立したシートとしての使用が事実上困難である。
<測定条件>
測定温度:25℃
試験片厚み:30μm
試験片幅:15mm
チャック間距離:50mm
引張速度:200mm/分
評価1、2の結果を表2に示す。
評価3の結果を表3に示す。
評価4の結果を表4に示す。
Figure 2018178102
Figure 2018178102
Figure 2018178102
本発明に係る熱硬化性樹脂シートは、例えば、様々な電子部品の実装構造体の封止材料として有用である。

Claims (6)

  1. 熱硬化性樹脂と、潜在性硬化剤と、第1粒子と、第2粒子と、を含む熱硬化性樹脂組成物を含み、
    前記第1粒子が、加熱により前記熱硬化性樹脂組成物中で膨潤して前記熱硬化性樹脂組成物を増粘させる増粘成分であり、
    前記第2粒子が、ゴム成分を含み、
    100℃で30分間加熱したときの硬化率が95%以上である、熱硬化性樹脂シート。
  2. 70℃で60分間加熱したときの硬化率が75%以上である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂シート。
  3. 25℃で24時間保存後の硬化率が5%以下である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂シート。
  4. 厚さ10μm〜300μmの単層シートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂シート。
  5. 少なくとも前記第2粒子がコアシェル構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂シート。
  6. 溶剤を含まない熱硬化性樹脂組成物を調製する工程と、
    前記熱硬化性樹脂組成物をシート化して、100℃で30分間加熱したときの硬化率が95%以上である熱硬化性樹脂シートを得る工程と、を具備し、
    前記熱硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂と、潜在性硬化剤と、第1粒子と、第2粒子と、を含む熱硬化性樹脂組成物を含み、
    前記第1粒子が、加熱により前記熱硬化性樹脂組成物中で膨潤して前記熱硬化性樹脂組成物を増粘させる増粘成分であり、
    前記第2粒子が、ゴム成分を含む、熱硬化性樹脂シートの製造方法。

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