JP2018172710A - 接続構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材上に表面処理被膜が形成された軽量な表面処理材と、金属部材との接続性に優れた接続構造体を提供する。
【解決手段】本発明の接続構造体100は、表面処理材10と金属部材50との金属的接合により一体化されてなる接続構造体であって、表面処理材10が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材1と、基材1上に形成された1層以上の金属層からなる表面処理被膜2とを有し、1層以上の金属層のうち、基材1上に直接形成されている最下金属層が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅又は銅合金であり、基材1と表面処理被膜2との界面に、基材1の金属成分と、表面処理被膜2中の金属成分と、酸素成分とを含有する介在層3を有し、介在層3の平均厚さが、金属的接合前の表面処理材2の垂直断面で測定して、1.00nm以上40nm以下の範囲であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の接続構造体100は、表面処理材10と金属部材50との金属的接合により一体化されてなる接続構造体であって、表面処理材10が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材1と、基材1上に形成された1層以上の金属層からなる表面処理被膜2とを有し、1層以上の金属層のうち、基材1上に直接形成されている最下金属層が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅又は銅合金であり、基材1と表面処理被膜2との界面に、基材1の金属成分と、表面処理被膜2中の金属成分と、酸素成分とを含有する介在層3を有し、介在層3の平均厚さが、金属的接合前の表面処理材2の垂直断面で測定して、1.00nm以上40nm以下の範囲であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、表面処理材と金属部材との接続において、良好な金属的接合を形成する技術に関する。
従来の電気接点等を形成するのに用いられる被めっき材料(基材)には、安価であって、しかも比較的特性が優れているという観点から、銅、銅合金、鉄、鉄合金などの金属材料が広く使用されてきた。このような金属材料は、特に導電性や加工性が良好で、入手も比較的容易であり、さらには、その表面上に被覆処理を行うことが容易で、めっき密着性に優れた表面を有することなどから、現在も主流の基材用材料として用いられている。
しかしながら、銅(比重8.96)や鉄(比重7.87)は比重が比較的大きい材料であることから、例えば車載向けのワイヤーハーネスや航空機の機体などでは、銅や鉄などに代えて、アルミニウム(比重2.70)のように比重が比較的小さい材料を適用するケースが増えてきている。
ところで、金属の中でも軽金属と呼ばれるアルミニウムなどは、いずれも表面をめっきする方法が煩雑であって、しかも密着性の良好なめっき被膜を形成することが難しいとされている。これは、アルミニウムなどの軽金属では、その表面に不動態膜と呼ばれる酸化被膜が形成されやすく、この酸化被膜が安定な状態で存在していることや、アルミニウムやマグネシウムのような卑な金属では、湿式でめっきを実施することが難しいことなどが要因として挙げられる。
アルミニウム系基材の表面における酸化被膜の形成を抑制するため、従来から、基材表面を錫などの金属によって被覆して、接触抵抗の維持ないし増加抑制を行うという対策が採られてきた(例えば特許文献1等)。
また、アルミニウム系基材の表面に、めっき密着性を向上させるなどの目的で形成されるニッケル層などの下地層と、電気接点用の金属(錫、銀など)からなる被覆層とを、例えば湿式めっき法によって順次形成する場合、アルミニウム系基材の表面に酸化被膜が存在するため、アルミニウム系基材の表面に下地層を形成してから、この下地層上に被覆層を形成しても、通常は十分な密着性が得られない。
このため、従来では、下地層や被覆層の形成前に、亜鉛を含んだ溶液を用いてジンケート処理と呼ばれる亜鉛置換処理を行なうことによって、基材とめっき被膜(下地層及び被覆層)との密着強度を高めるか(例えば特許文献2、3等)、あるいは、活性酸処理液によるエッチングにより基材の表面に微細なエッチング凹部を形成する前処理を行ない、形成した微細なエッチング凹部によるアンカー効果によって密着強度を高めるのが一般的である(例えば特許文献4等)。
近年、アルミニウム表面処理材に対してバスバーのような導電材を溶接して接続することが増えてきている。しかし、従来のジンケート処理を行ったアルミニウム表面処理材では、亜鉛層がアルミニウム系基材上に存在しているため、溶接時に亜鉛蒸気による膨れが発生するなどして良好な接続構造体を形成することができなかった。また、特許文献4のように、微細なエッチング凹部を表面に形成する方法では、処理時間が数分間必要であり、生産性が低いという問題がある。また、表面処理材として銅クラッドアルミニウム材を用いることで亜鉛蒸気による膨れが発生するのを防止することができるが、銅の比率が大きくなるため、軽量化の効果が小さくなる。
そこで本発明の目的は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材上に表面処理被膜が形成された軽量な表面処理材と、金属部材との接続性に優れた接続構造体を提供することにある。
本発明者らは、上記問題に対して鋭意検討を行った結果、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材と、基材上に形成された表面処理被膜とを有する表面処理材において、基材と表面処理被膜との界面に存在する介在層に着目し、その介在層に含まれる成分及び介在層の厚さを制御することにより、ジンケート処理を行わなくても、基材に対する表面処理被膜の密着性が高く、かつ表面処理材と金属部材とが良好に接続した接続構造体を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)表面処理材と金属部材との金属的接合により一体化されてなる接続構造体であって、前記表面処理材が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材と、該基材上に形成された1層以上の金属層からなる表面処理被膜とを有し、前記1層以上の金属層のうち、前記基材上に直接形成されている最下金属層が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅又は銅合金であり、前記基材と前記表面処理被膜との界面に、前記基材の金属成分と、前記表面処理被膜中の金属成分と、酸素成分とを含有する介在層を有し、該介在層の平均厚さが、前記金属的接合前の表面処理材の垂直断面で測定して、1.00nm以上40nm以下の範囲であることを特徴とする接続構造体。
(2)前記最下金属層の厚さが0.05〜2.0μmであることを特徴とする(1)に記載の接続構造体。
(3)前記金属部材は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄又は鉄合金からなることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の接続構造体。
(4)前記表面処理被膜は、前記最下金属層と、該最下金属層上に形成された1層以上の金属層とからなり、該1層以上の金属層が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、錫、錫合金、銀、銀合金、金、金合金、白金、白金合金、ロジウム、ロジウム合金、ルテニウム、ルテニウム合金、イリジウム、イリジウム合金、パラジウム及びパラジウム合金の群から選択されるいずれかで形成されたものであることを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載の接続構造体。
(5)前記1層以上の金属層は、2層以上の金属層からなることを特徴とする、(4)に記載の接続構造体。
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載の接続構造体の製造方法であって、前記表面処理材と前記金属部材を溶接によって金属的接合を行う工程を含むことを特徴とする、接続構造体の製造方法。
(1)表面処理材と金属部材との金属的接合により一体化されてなる接続構造体であって、前記表面処理材が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材と、該基材上に形成された1層以上の金属層からなる表面処理被膜とを有し、前記1層以上の金属層のうち、前記基材上に直接形成されている最下金属層が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅又は銅合金であり、前記基材と前記表面処理被膜との界面に、前記基材の金属成分と、前記表面処理被膜中の金属成分と、酸素成分とを含有する介在層を有し、該介在層の平均厚さが、前記金属的接合前の表面処理材の垂直断面で測定して、1.00nm以上40nm以下の範囲であることを特徴とする接続構造体。
(2)前記最下金属層の厚さが0.05〜2.0μmであることを特徴とする(1)に記載の接続構造体。
(3)前記金属部材は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄又は鉄合金からなることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の接続構造体。
(4)前記表面処理被膜は、前記最下金属層と、該最下金属層上に形成された1層以上の金属層とからなり、該1層以上の金属層が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、錫、錫合金、銀、銀合金、金、金合金、白金、白金合金、ロジウム、ロジウム合金、ルテニウム、ルテニウム合金、イリジウム、イリジウム合金、パラジウム及びパラジウム合金の群から選択されるいずれかで形成されたものであることを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載の接続構造体。
(5)前記1層以上の金属層は、2層以上の金属層からなることを特徴とする、(4)に記載の接続構造体。
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載の接続構造体の製造方法であって、前記表面処理材と前記金属部材を溶接によって金属的接合を行う工程を含むことを特徴とする、接続構造体の製造方法。
本発明によれば、表面処理材と金属部材との金属的接合により一体化されてなる接続構造体であって、表面処理材が、イオン化傾向が大きく健全なめっき被膜の形成が難しいとされる、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材と、基材上に形成された1層以上の金属層からなる表面処理被膜とを有し、1層以上の金属層のうち、基材上に直接形成されている金属層である最下金属層が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅又は銅合金であり、基材と表面処理被膜との界面に、基材中の金属成分と、表面処理被膜中の金属成分と、酸素成分とを含有する介在層を有し、介在層の平均厚さが、金属的接合前の表面処理材の垂直断面で測定して、1.00nm以上40nm以下の範囲であることによって、基材と表面処理被膜との間に、例えば100nm程度の厚さの亜鉛含有層(特にジンケート処理層)が介在する従来の表面処理材を用いた接続構造体と比べて、工程が簡略化された結果低コストでかつ安全に製造できる。また、従来、基材と表面処理被膜の界面に酸化物が存在すると基材に対する表面処理被膜の密着性が悪いというのが技術常識であったところ、本発明では、基材と表面処理被膜の界面に、基材中の金属成分と、表面処理被膜中の金属成分と、酸素成分とを含有する介在層を設け、介在層の平均厚さを、金属的接合前の表面処理材の垂直断面で測定して、1.00nm以上40nm以下の範囲に制御することによって、ジンケート処理を行わなくても、基材に対する表面処理被膜の密着性が高く、かつ表面処理材と金属部材とが良好に接続した接続構造体を提供できる。さらに、基材中の金属成分と、表面処理被膜中の金属成分と、酸素成分とを含有する介在層が、基材中の金属成分や表面処理被膜中の金属成分の拡散を防止する拡散防止層として機能することにより、溶接性に優れる。その結果、長期信頼性が高い表面処理材と金属部材とが接続した接続構造体、例えば電線やバスバー等を用いた接続構造体に適用することができる。
次に、本発明に従う実施形態を、図面を参照しながら以下で説明する。
図1は、接続構造体を概略断面で示したものである。接続構造体100は、表面処理材10と金属部材50とが一体化したものである。図2(A)は、図1に示す一点鎖線の円で囲まれた表面処理材10の部分を拡大した図である。表面処理材10は、基材1と表面処理被膜2とを有している。
図1は、接続構造体を概略断面で示したものである。接続構造体100は、表面処理材10と金属部材50とが一体化したものである。図2(A)は、図1に示す一点鎖線の円で囲まれた表面処理材10の部分を拡大した図である。表面処理材10は、基材1と表面処理被膜2とを有している。
(基材)
基材1は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。ここで、アルミニウムとはアルミニウムを99質量%以上含有するものをいう。また、アルミニウム合金とは、アルミニウムを50質量%以上含有し、Al以外の添加元素、例えばSi,Fe,Mn、Cu,Ni、Crなどをさらに含有し、残部は不可避不純物である。不可避不純物とは、製造工程において、不可避的に混入するものであり、特性に影響を及ぼさない微量な成分のことをいう。基材1の形状は特に限定されず、例えば、条、板、線、棒、管、箔などの形態が挙げられる。
基材1は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。ここで、アルミニウムとはアルミニウムを99質量%以上含有するものをいう。また、アルミニウム合金とは、アルミニウムを50質量%以上含有し、Al以外の添加元素、例えばSi,Fe,Mn、Cu,Ni、Crなどをさらに含有し、残部は不可避不純物である。不可避不純物とは、製造工程において、不可避的に混入するものであり、特性に影響を及ぼさない微量な成分のことをいう。基材1の形状は特に限定されず、例えば、条、板、線、棒、管、箔などの形態が挙げられる。
(表面処理被膜)
表面処理被膜2は、1層以上の金属層、図2(A)では1層の金属層21で構成され、基材1上に形成されている。ここで、表面処理被膜2は、1層の金属層で構成される場合と2層以上の金属層で構成される場合があるため、1層で構成される場合及び2層以上で構成される場合のいずれにおいても、本発明では、基材1上に直接形成されている(1層の)金属層21を、「最下金属層」と呼称することとする。なお、図2(A)に示す表面処理材10は、基材1上に直接形成されている金属層の1層のみで構成されているため、この金属層21は最下金属層である。
表面処理被膜2は、1層以上の金属層、図2(A)では1層の金属層21で構成され、基材1上に形成されている。ここで、表面処理被膜2は、1層の金属層で構成される場合と2層以上の金属層で構成される場合があるため、1層で構成される場合及び2層以上で構成される場合のいずれにおいても、本発明では、基材1上に直接形成されている(1層の)金属層21を、「最下金属層」と呼称することとする。なお、図2(A)に示す表面処理材10は、基材1上に直接形成されている金属層の1層のみで構成されているため、この金属層21は最下金属層である。
最下金属層21は、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、コバルト(Co)、コバルト合金、銅(Cu)又は銅合金からなる金属層である。最下金属層21の好適な厚さは、密着性、半田濡れ性及び溶接性を考慮すると、0.05〜2.0μmであることが好ましく、0.1〜1.5μmであることがより好ましく、より好適には0.2〜1.0μmである。
また、表面処理被膜2は、図2(B)に示すように、最下金属層21と、最下金属層21上に形成される1層以上の金属層22(例えば各種の機能めっき層等)とで構成されていてもよい。
最下金属層21上に形成される1層以上の金属層22としては、例えば、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、コバルト(Co)、コバルト合金、銅(Cu)、銅合金、錫(Sn)、錫合金、銀(Ag)、銀合金、金(Au)、金合金、白金(Pt)、白金合金、ロジウム(Rh)、ロジウム合金、ルテニウム(Ru)、ルテニウム合金、イリジウム(Ir)、イリジウム合金、パラジウム(Pd)及びパラジウム合金の中から、所望の特性付与目的に応じて適宜選択される金属又は合金からなる金属層が挙げられる。例えば最下金属層21上に1層又は2層以上の金属層22を形成する場合、後述する表面活性化処理工程を少なくとも行ったアルミニウム基材1上に、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅又は銅合金からなる最下金属層21を形成し、その後、最下金属層21上に、各種部品ごとで必要とされる機能を表面処理材10に付与するための被覆層として、(最下金属層21とは異なる組成である)ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、錫、錫合金、銀、銀合金、金、金合金、白金、白金合金、ロジウム、ロジウム合金、ルテニウム、ルテニウム合金、イリジウム、イリジウム合金、パラジウム及びパラジウム合金の中から選択される金属又は合金からなる金属層を1層又は2層以上形成することで、長期信頼性の優れた表面処理材(めっき材)10を得ることができる。特に表面処理被膜2は、基材1に対する密着性向上等の目的で形成される最下金属層21と、機能を付与する被覆層としての金属層22とを少なくとも含む2層以上の金属層21,22からなっていることが好ましい。最下金属層21と金属層22とで構成した表面処理被膜2としては、例えば最下金属層21としてニッケル層をアルミニウム基材1上に形成した後に、機能を付与する金属層22として金めっき層22を最下金属層21上に形成した表面処理被膜2が挙げられる。最下金属層21上に金属層22を形成することによって、各機能が付与された表面処理材(めっき材)10Aを提供することができる。また、金属層21、22の形成方法としては、特に限定はしないが、湿式めっき法によって行なうことが好ましい。
(金属部材)
表面処理材10と接続させる金属部材50としては、特に限定されないが、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金からなる部品(製品)を用いることができる。金属部材50の形状は特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。
表面処理材10と接続させる金属部材50としては、特に限定されないが、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金からなる部品(製品)を用いることができる。金属部材50の形状は特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。
(接続構造体)
接続構造体100は、表面処理材10と金属部材50とが金属的接合により一体化されてなるものである。本明細書における「金属的接合」は、表面処理材10を構成する金属と、金属部材50を構成する金属とを直接又は、他部材を介在させて接合することを意味する。この「金属的接合」には、例えば表面処理材10と金属部材50とを溶融させて、ろう材やはんだを用いて接合する溶接や、表面処理材10と金属部材50とを密着させて加圧及び加熱することにより、表面処理材10を構成する金属原子と金属部材50を構成する金属原子とが互いに拡散して接合する拡散接合が含まれる。そのほか、「金属的接合」には、表面処理材10と金属部材50とをボルト等で機械的に接合した後、事後的に、表面処理材10を構成する金属原子と金属部材50を構成する金属原子とが互いに拡散して接合する場合も含まれる。
接続構造体100は、表面処理材10と金属部材50とが金属的接合により一体化されてなるものである。本明細書における「金属的接合」は、表面処理材10を構成する金属と、金属部材50を構成する金属とを直接又は、他部材を介在させて接合することを意味する。この「金属的接合」には、例えば表面処理材10と金属部材50とを溶融させて、ろう材やはんだを用いて接合する溶接や、表面処理材10と金属部材50とを密着させて加圧及び加熱することにより、表面処理材10を構成する金属原子と金属部材50を構成する金属原子とが互いに拡散して接合する拡散接合が含まれる。そのほか、「金属的接合」には、表面処理材10と金属部材50とをボルト等で機械的に接合した後、事後的に、表面処理材10を構成する金属原子と金属部材50を構成する金属原子とが互いに拡散して接合する場合も含まれる。
(本発明の特徴的な構成)
そして、本発明の特徴的な構成は、基材1と表面処理被膜2との界面構造を適切な構造に制御することにあり、より具体的には、基材1と表面処理被膜2の界面に、基材1中の金属成分と、表面処理被膜2中の金属成分と、酸素成分とを含有する介在層3を有し、介在層3の平均厚さが、金属的接合前の表面処理材の垂直断面で測定して、1.00nm以上40nm以下の範囲であるという構成である。
そして、本発明の特徴的な構成は、基材1と表面処理被膜2との界面構造を適切な構造に制御することにあり、より具体的には、基材1と表面処理被膜2の界面に、基材1中の金属成分と、表面処理被膜2中の金属成分と、酸素成分とを含有する介在層3を有し、介在層3の平均厚さが、金属的接合前の表面処理材の垂直断面で測定して、1.00nm以上40nm以下の範囲であるという構成である。
ところで、イオン化傾向が大きい卑な金属であるアルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材1は、常法として亜鉛によって置換処理、いわゆるジンケート処理を行うのが一般的である。従来のジンケート処理では、基材と表面処理被膜(めっき被膜)との間に存在する亜鉛含有層の厚さが例えば100nm程度である。この亜鉛含有層の亜鉛が、表面処理被膜中で拡散し、さらに表面処理被膜の表層にまで拡散・出現すると、例えば電気接点として用いられる場合は、接触抵抗を上昇させてしまうという問題があった。さらに、ワイヤボンディング性の低下、半田濡れ性の低下、耐食性の低下など、様々な問題を引き起こし、結果として、表面処理材の特性が使用によって劣化して長期信頼性が損なわれるケースがあった。
このため、基材1と表面処理被膜2との間に亜鉛含有層を存在させないことが望ましいが、従来の被膜形成技術では、亜鉛含有層(特にジンケート処理層)が存在しないと、イオン化傾向が大きい卑な金属であるアルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材1に対して密着性の良好な表面処理被膜(めっき被膜)を形成することが難しいとされていた。
そこで、本発明者らが鋭意検討を行なったところ、表面処理被膜(めっき被膜)2を形成するに先立ち、基材1の表面に、表面活性化処理工程を行なうことによって、基材1と表面処理被膜2の界面に、基材1中の金属成分と、表面処理被膜2中の金属成分と、酸素成分とを含有する介在層3が形成され、介在層3の酸素成分がアルミニウム基材を構成する金属原子(例えばアルミニウム原子)と結合し、また介在層3の酸素成分が表面処理被膜2を構成する金属原子(例えばニッケル原子)と結合する結果、特に大きな機械的投錨効果、いわゆるアンカー効果を付与しなくても、表面処理被膜2をアルミニウム基材1に対し密着性よくかつ簡便に形成できることを見出した。また、介在層3が、アルミニウム基材1中の金属成分と、表面処理被膜2中の金属成分の拡散を防止する拡散防止層として機能することにより、溶接性に優れている。
介在層3は、基材1中の金属成分と、表面処理被膜2中の金属成分と、酸素成分とを含有し、基材1と表面処理被膜2の界面に形成されている。なお、図2(A)及び図2(B)では、基材1が介在層3によって完全に被覆されている場合を示しているが、本発明において、「界面に介在層を有する」とは、アルミニウム基材1が介在層3によって完全に被覆されている場合だけでなく、一部のみ被覆されている場合や、アルミニウム基材1上に介在層3が点在している場合も含まれる。また、図2(A)及び図2(B)に示すように、基材1と介在層3との界面、及び表面処理被膜2介在層3との界面は平滑であってもよく、図3に示す表面処理材10Bのように、基材1と介在層3との界面、及び表面処理被膜2と介在層3との界面が凹凸形状で形成されていてもよい。なお、基材1と介在層3との界面、及び表面処理被膜2と介在層3との界面は、実際には図2(A)及び図2(B)に示すように完全な平面で形成されておらず、微小な表面凹凸を有する平面として形成されている。
介在層3の平均厚さは、金属的接合前の表面処理材10の垂直断面で測定して、1.00nm以上40nm以下の範囲である。平均厚さが40nmを超えると、基材1と介在層3の酸素成分との結合力や、表面処理被膜2と介在層3の酸素成分との結合力よりも、介在層3における基材1中の金属成分と表面処理被膜2中の金属成分と酸素成分との結合力が弱くなり、介在層3内部において剥離が生じ、基材1に対する表面処理被膜2の密着性が低下する傾向にある。一方、平均厚さが1.00nm未満であると、基材1と介在層3の酸素成分との結合力と、表面処理被膜2と介在層3の酸素成分との結合力が十分に発揮されないため、基材1に対する表面処理被膜2の密着性が低下する傾向にある。平均厚さの好ましい範囲は、5nm以上30nm以下である。これは、密着性と溶接性とを両立できるより好適な範囲である。なお、表面処理材10と金属部材50とが溶接によって金属的接合が行われると、金属的接合後における表面処理材10の断面層構造は、金属的接合前における表面処理材10の断面層構造から複雑に変化している。そのため、本発明では、介在層3の平均厚さを、金属的接合前の表面処理材10の垂直断面で測定することで規定している。なお、金属的接合前の表面処理材は、全体にわたって介在層3の平均厚さが同じである。よって、金属的接合後の表面処理材における金属部材と接合されていない部分(例えば、図1の一点鎖線の円で囲まれた部分)で測定したときの介在層の平均厚さは、金属的接合前の表面処理材における介在層の平均厚さと同じである。
介在層3は、例えば、STEM−EDXを用いることにより検出することができる。具体的に、介在層3は、STEM−EDXを用いたときに、表面処理被膜2の主成分の検出強度が、アルミニウム基材1の主成分の検出強度に対して0.5〜2.0倍となり、かつ酸素の検出強度が基材1の主成分と表面処理被膜2の主成分の検出強度の和の10%以上となる領域として定義することができる。介在層3の平均厚さは、表面処理材の任意の断面を、例えば樹脂埋め後の断面研磨やFIB加工、さらにはイオンミリングやクロスセクションポリッシャ等の断面形成法によって形成し、任意の観察領域において複数箇所の厚さを測定し、その平均値を算出することにより求めることができる。
また、本発明では、基材1と表面処理被膜2との界面に平均厚さが1.00nm以上40nm以下の介在層3を形成することにより、基材1に対する表面処理被膜2の密着性を改善するだけでなく、基材1中の金属成分と、表面処理被膜2中の金属成分が拡散するのを防止することができる。
(表面処理材の製造方法)
次に、本発明に従う表面処理材の製造方法におけるいくつかの実施形態を以下で説明する。
次に、本発明に従う表面処理材の製造方法におけるいくつかの実施形態を以下で説明する。
例えば図2(A)に示す断面層構造をもつ表面処理材を製造するには、アルミニウム(例えばJIS H4000:2014で規定されているA1100などの1000系のアルミニウム、及びアルミニウム合金(例えばJIS H4000:2014で規定されているA6061などの6000(Al−Mg−Si)系合金)の基材である板材、棒材又は線材に対し、電解脱脂工程、表面活性化処理工程及び表面処理被膜形成工程を順次行なえばよい。また、上記各工程の間には、必要に応じて水洗工程をさらに行なうことが好ましい。
(電解脱脂工程)
電解脱脂工程は、基材1を電解脱脂処理する工程である。例えば、20〜200g/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)のアルカリ脱脂浴中に陰極としてアルミニウム基材1を浸漬させ、電流密度2.5〜5.0A/dm2、浴温20〜70℃、処理時間10〜100秒の条件で電解脱脂する方法が挙げられる。
電解脱脂工程は、基材1を電解脱脂処理する工程である。例えば、20〜200g/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)のアルカリ脱脂浴中に陰極としてアルミニウム基材1を浸漬させ、電流密度2.5〜5.0A/dm2、浴温20〜70℃、処理時間10〜100秒の条件で電解脱脂する方法が挙げられる。
(表面活性化処理工程)
電解脱脂工程を行った後に、表面活性化処理工程を行なう。表面活性化処理工程は、従来の活性化処理とは異なる新規な活性化処理を行う工程であって、本発明の表面処理材を製造する工程の中で最も重要な工程である。
電解脱脂工程を行った後に、表面活性化処理工程を行なう。表面活性化処理工程は、従来の活性化処理とは異なる新規な活性化処理を行う工程であって、本発明の表面処理材を製造する工程の中で最も重要な工程である。
すなわち、従来の被膜形成技術では、亜鉛含有層(特にジンケート処理層)が存在しないと、特にイオン化傾向が大きい卑な金属である基材1に対して密着性の良好な表面処理被膜(めっき被膜)を形成することが難しいとされていたが、本発明では、表面活性化処理工程を行なうことによって、その後に基材1上に直接形成される最下金属層21を構成する金属原子(例えばニッケル原子)と同一の金属原子を、最下金属層21の形成前に基材1上に結晶核あるいは薄い層として形成することができると考えられる。そして、この結晶核あるいは薄い層と基材1との界面に介在層3が形成される。これにより、基材1の金属成分及び表面処理被膜2の金属成分がそれぞれ介在層3の酸素成分と結合することができる結果、ジンケート処理等により、亜鉛を主成分とする亜鉛含有層を形成しなくても、表面処理被膜2を基材1に対し密着性よくかつ簡便に形成できる。
表面活性化処理は、電解脱脂処理を行った後の基材1の表面を、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液10〜500mL/Lと、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及びスルファミン酸ニッケルからなるニッケル化合物(ニッケルのメタル分に換算して0.1〜500g/L)、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト及びスルファミン酸コバルトからなるコバルト化合物(コバルトのメタル分に換算して0.1〜500g/L)、又は、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅及びスルファミン酸銅からなる銅化合物(銅のメタル分に換算して0.1〜500g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度20〜60℃、電流密度0.1〜20A/dm2及び処理時間1〜100秒にて処理することによって行うことが好ましい。また、活性化処理液中に、溶存酸素濃度3〜100ppmの割合で酸素を含有させると、効率的に介在層3を形成することができるため好ましい。この表面活性化処理でアルミニウム基材1の表面に析出形成される主成分金属(ニッケル、コバルト、銅等)からなる被覆層の厚さは、0.03μm以下である。
(表面処理被膜形成工程)
表面活性化処理工程を行った後に、表面処理被膜形成工程を行う。表面処理被膜形成工程では、最下金属層21だけで表面処理被膜2を形成してもよいが、表面処理材10に特性(機能)を付与する目的に応じて、最下金属層21上にさらに1層以上の(他の)金属層22を形成して、最下金属層21を含む少なくとも2層以上の金属層21、22で表面処理被膜2を形成することができる。
表面活性化処理工程を行った後に、表面処理被膜形成工程を行う。表面処理被膜形成工程では、最下金属層21だけで表面処理被膜2を形成してもよいが、表面処理材10に特性(機能)を付与する目的に応じて、最下金属層21上にさらに1層以上の(他の)金属層22を形成して、最下金属層21を含む少なくとも2層以上の金属層21、22で表面処理被膜2を形成することができる。
[最下金属層形成工程]
最下金属層21は、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、コバルト(Co)、コバルト合金、銅(Cu)又は銅合金からなる金属層である。最下金属層21は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)又は銅(Cu)を含有するめっき液を用い、電解めっき又は無電解めっきの湿式めっき法によって形成することができる。表1〜表3に、それぞれニッケル(Ni)めっき、コバルト(Co)めっき及び銅(Cu)めっきにより最下金属層21を形成する際のめっき浴組成及びめっき条件を例示する。
最下金属層21は、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、コバルト(Co)、コバルト合金、銅(Cu)又は銅合金からなる金属層である。最下金属層21は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)又は銅(Cu)を含有するめっき液を用い、電解めっき又は無電解めっきの湿式めっき法によって形成することができる。表1〜表3に、それぞれニッケル(Ni)めっき、コバルト(Co)めっき及び銅(Cu)めっきにより最下金属層21を形成する際のめっき浴組成及びめっき条件を例示する。
[最下金属層以外の金属層形成工程]
表面処理被膜2を構成する金属層21、22のうち、最下金属層21以外の(他の)金属層22を形成する場合に、各金属層22は、表面処理材に特性(機能)を付与する目的に応じて、電解めっき又は無電解めっきの湿式めっき法によって形成することができる。表1〜表10に、それぞれニッケル(Ni)めっき、コバルト(Co)めっき、銅(Cu)めっき、錫(Sn)めっき、銀(Ag)めっき、銀(Ag)−錫(Sn)めっき、銀(Ag)−パラジウム(Pd)めっき、金(Au)めっき、パラジウム(Pd)めっき及びロジウム(Rh)めっきにより金属層を形成する際のめっき浴組成及びめっき条件を例示する。
表面処理被膜2を構成する金属層21、22のうち、最下金属層21以外の(他の)金属層22を形成する場合に、各金属層22は、表面処理材に特性(機能)を付与する目的に応じて、電解めっき又は無電解めっきの湿式めっき法によって形成することができる。表1〜表10に、それぞれニッケル(Ni)めっき、コバルト(Co)めっき、銅(Cu)めっき、錫(Sn)めっき、銀(Ag)めっき、銀(Ag)−錫(Sn)めっき、銀(Ag)−パラジウム(Pd)めっき、金(Au)めっき、パラジウム(Pd)めっき及びロジウム(Rh)めっきにより金属層を形成する際のめっき浴組成及びめっき条件を例示する。
表面処理被膜2は、用途に応じて、上述したような最下金属層21と、最下金属層21上に形成される1層、又は2層以上の金属層22とを適正に組み合わせて様々な層構成に変更して形成することが可能である。
(接続構造体の製造方法)
本発明の接続構造体の製造方法は、表面処理材10と金属部材50とを溶接によって金属的接合を行う工程を含むことが好ましく、例えば、MIG溶接、TIG溶接、レーザ溶接などを用いて金属的接合を行うことができる。表面処理材10と金属部材50を重ねた状態で接合させてもよく、表面処理材10の表面の一部のみと金属部材50とを接合させてもよい。また、表面処理材10の表面処理被膜2側が、金属部材50と接合されることが好ましい。なお、金属部材50は、表面処理材10と同じ部材であってもよく、その際、表面処理被膜2同士が接合されるのが好ましい。
本発明の接続構造体の製造方法は、表面処理材10と金属部材50とを溶接によって金属的接合を行う工程を含むことが好ましく、例えば、MIG溶接、TIG溶接、レーザ溶接などを用いて金属的接合を行うことができる。表面処理材10と金属部材50を重ねた状態で接合させてもよく、表面処理材10の表面の一部のみと金属部材50とを接合させてもよい。また、表面処理材10の表面処理被膜2側が、金属部材50と接合されることが好ましい。なお、金属部材50は、表面処理材10と同じ部材であってもよく、その際、表面処理被膜2同士が接合されるのが好ましい。
本発明の接続構造体は、端子、コネクタ、バスバー、リードフレーム、医療部材(例えばカテーテル用ガイドワイヤー、ステント、人工関節等)、シールドケース(例えば電磁波防止用)、コイル(例えばモータ用)、アクセサリ(例えばネックレス、イヤリング、指輪等)、コンタクトスイッチ、ケーブルなどの各種部品(製品)の接続構造体に適用することができる。これは、従来の100nm程度の厚い亜鉛含有層(特にジンケート処理層)を基材と表面処理被膜との間に存在させなくても、基材の表面活性化を可能にしたことにより、従来の鉄、鉄合金、銅、銅合金からなる製品群と同じ使用環境でも耐えうる構成になったためである。さらに、下地層に亜鉛を使用しないことから、溶接時に膨れなどの不具合が発生しないためである。本発明の接続構造体は、特に軽量化を必要とされる自動車用ワイヤーハーネスや航空宇宙用途の筐体や電磁波シールドケースなど、様々な製品において使用できる。
なお、上述したところは、この発明のいくつかの実施形態を例示したにすぎず、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(発明例1〜22)
発明例1〜22は、表11に示すアルミニウム系基材(サイズ0.2mm×30mm×30mm)上に、上述した条件で電解脱脂処理を行った後、表面活性化処理を行った。表面活性化処理は、発明例1〜15、18〜22では、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液10〜500mL/Lと、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及びスルファミン酸ニッケルからなるニッケル化合物(ニッケルのメタル分に換算して0.1〜500g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度20〜60℃、電流密度0.1〜20A/dm2及び処理時間1〜100秒にて処理する条件で行った。また、発明例16では、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液300mL/Lと、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト及びスルファミン酸コバルトからなるコバルト化合物(コバルトのメタル分に換算して50g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度30℃、電流密度2A/dm2及び処理時間20秒にて処理する条件で行った。発明例17では、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液250mL/Lと、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅及びスルファミン酸銅からなる銅化合物(銅のメタル分に換算して10g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度30℃、電流密度2A/dm2及び処理時間20秒にて処理する条件で行った。その後、上述した表面処理被膜形成処理によって、最下金属層21と、最下金属層21上に形成された被覆金属層22とで構成された表面処理被膜2を形成し、本発明の表面処理材10を作製した。また、表面処理被膜2を構成する各金属層21、22の形成条件については、表1〜表10に示すめっき条件により行なった。そして、作製した表面処理材10と金属部材50とをMIG溶接で接合して接続構造体を作製した。金属部材50として、作製した表面処理材10を用いた。すなわち、表面処理材10同士を接合して、接続構造体を作製した。溶接ワイヤには、基材と同じ金属成分のものを使用した。シールドガスはAr、溶接速度は250mm/min、溶接電流は180Aとした。基材1の種類、表面活性化処理に用いる活性化処理液中に含有させる金属化合物の種類、介在層3の平均厚さ(nm)、最下金属層21及び被覆金属層22を構成する金属化合物の種類及び平均厚さ(μm)、並びに金属部材50の材質を、表11に示す。
(発明例23〜27)
発明例23〜27では、発明例1と同様に電解脱脂処理を行った後、表面活性化処理を行った。表面活性化処理は、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液10〜500mL/Lと、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及びスルファミン酸ニッケルからなるニッケル化合物(ニッケルのメタル分に換算して0.1〜500g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度20〜60℃、電流密度0.1〜20A/dm2及び処理時間1〜100秒にて処理する条件で行った。その後、上述した表面処理被膜形成処理によって、表12に示す厚さでニッケルめっき層とスズめっき層からなる2層の金属層で構成される表面処理被膜を形成し、本発明の表面処理材10を作製した。そして、作製した表面処理材10と金属部材50とをレーザ溶接で接合して接続構造体を作製した。金属部材50として、作製した表面処理材10を用いた。すなわち、表面処理材10同士を接合して、接続構造体を作製した。基材1の種類、表面活性化処理に用いる活性化処理液中に含有させる金属化合物の種類、介在層3の平均厚さ(nm)、最下金属層21及び被覆金属層22を構成する金属化合物の種類及び平均厚さ(μm)、並びに金属部材50の材質を、表12に示す。
(発明例28〜32)
発明28〜32では、発明例23〜27と同様の方法で、本発明の表面処理材10を作製した。そして、作製した表面処理材10と金属部材50とをレーザ溶接で接合して接続構造体を作製した。金属部材50として、タフピッチ銅を用いた。
発明例1〜22は、表11に示すアルミニウム系基材(サイズ0.2mm×30mm×30mm)上に、上述した条件で電解脱脂処理を行った後、表面活性化処理を行った。表面活性化処理は、発明例1〜15、18〜22では、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液10〜500mL/Lと、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及びスルファミン酸ニッケルからなるニッケル化合物(ニッケルのメタル分に換算して0.1〜500g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度20〜60℃、電流密度0.1〜20A/dm2及び処理時間1〜100秒にて処理する条件で行った。また、発明例16では、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液300mL/Lと、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト及びスルファミン酸コバルトからなるコバルト化合物(コバルトのメタル分に換算して50g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度30℃、電流密度2A/dm2及び処理時間20秒にて処理する条件で行った。発明例17では、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液250mL/Lと、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅及びスルファミン酸銅からなる銅化合物(銅のメタル分に換算して10g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度30℃、電流密度2A/dm2及び処理時間20秒にて処理する条件で行った。その後、上述した表面処理被膜形成処理によって、最下金属層21と、最下金属層21上に形成された被覆金属層22とで構成された表面処理被膜2を形成し、本発明の表面処理材10を作製した。また、表面処理被膜2を構成する各金属層21、22の形成条件については、表1〜表10に示すめっき条件により行なった。そして、作製した表面処理材10と金属部材50とをMIG溶接で接合して接続構造体を作製した。金属部材50として、作製した表面処理材10を用いた。すなわち、表面処理材10同士を接合して、接続構造体を作製した。溶接ワイヤには、基材と同じ金属成分のものを使用した。シールドガスはAr、溶接速度は250mm/min、溶接電流は180Aとした。基材1の種類、表面活性化処理に用いる活性化処理液中に含有させる金属化合物の種類、介在層3の平均厚さ(nm)、最下金属層21及び被覆金属層22を構成する金属化合物の種類及び平均厚さ(μm)、並びに金属部材50の材質を、表11に示す。
(発明例23〜27)
発明例23〜27では、発明例1と同様に電解脱脂処理を行った後、表面活性化処理を行った。表面活性化処理は、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液10〜500mL/Lと、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及びスルファミン酸ニッケルからなるニッケル化合物(ニッケルのメタル分に換算して0.1〜500g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度20〜60℃、電流密度0.1〜20A/dm2及び処理時間1〜100秒にて処理する条件で行った。その後、上述した表面処理被膜形成処理によって、表12に示す厚さでニッケルめっき層とスズめっき層からなる2層の金属層で構成される表面処理被膜を形成し、本発明の表面処理材10を作製した。そして、作製した表面処理材10と金属部材50とをレーザ溶接で接合して接続構造体を作製した。金属部材50として、作製した表面処理材10を用いた。すなわち、表面処理材10同士を接合して、接続構造体を作製した。基材1の種類、表面活性化処理に用いる活性化処理液中に含有させる金属化合物の種類、介在層3の平均厚さ(nm)、最下金属層21及び被覆金属層22を構成する金属化合物の種類及び平均厚さ(μm)、並びに金属部材50の材質を、表12に示す。
(発明例28〜32)
発明28〜32では、発明例23〜27と同様の方法で、本発明の表面処理材10を作製した。そして、作製した表面処理材10と金属部材50とをレーザ溶接で接合して接続構造体を作製した。金属部材50として、タフピッチ銅を用いた。
(比較例1)
比較例1では、発明例1と同様に電解脱脂処理を行った後、表面活性化処理を行った。表面活性化処理は、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液200mL/Lと、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及びスルファミン酸ニッケルからなるニッケル化合物(ニッケルのメタル分に換算して10g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度10℃、電流密度0.05A/dm2及び処理時間0.5秒にて処理する条件で行った。その後、上述した表面処理被膜形成処理によって、表11に示す厚さでニッケルめっき層と金めっき層からなる2層の金属層で構成される表面処理被膜を形成し、表面処理材を作製した。比較例1で作製した表面処理材は、処理温度が低く、電流密度が小さく、また、処理時間も短かったため、介在層3の平均厚さが0.98nmであり、1.00nmに満たなかった。発明例1と同様の条件で表面処理材同士をMIG溶接で接合し、接続構造体を作製した。
(比較例2)
比較例2では、発明例1と同様に電解脱脂処理を行った後、表面活性化処理を行った。表面活性化処理は、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液200mL/Lと、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及びスルファミン酸ニッケルからなるニッケル化合物(ニッケルのメタル分に換算して10g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度50℃、電流密度5A/dm2及び処理時間150秒にて処理する条件で行った。その後、上述した表面処理被膜形成処理によって、表11に示す厚さでニッケルめっき層と金めっき層からなる2層の金属層で構成される表面処理被膜を形成し、表面処理材を作製した。比較例2で作製した表面処理材は、処理時間が長かったため、介在層3の平均厚さが48nmであり、40nmより厚かった。発明例1と同様の条件で表面処理材同士をMIG溶接で接合し、接続構造体を作製した。
比較例1では、発明例1と同様に電解脱脂処理を行った後、表面活性化処理を行った。表面活性化処理は、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液200mL/Lと、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及びスルファミン酸ニッケルからなるニッケル化合物(ニッケルのメタル分に換算して10g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度10℃、電流密度0.05A/dm2及び処理時間0.5秒にて処理する条件で行った。その後、上述した表面処理被膜形成処理によって、表11に示す厚さでニッケルめっき層と金めっき層からなる2層の金属層で構成される表面処理被膜を形成し、表面処理材を作製した。比較例1で作製した表面処理材は、処理温度が低く、電流密度が小さく、また、処理時間も短かったため、介在層3の平均厚さが0.98nmであり、1.00nmに満たなかった。発明例1と同様の条件で表面処理材同士をMIG溶接で接合し、接続構造体を作製した。
(比較例2)
比較例2では、発明例1と同様に電解脱脂処理を行った後、表面活性化処理を行った。表面活性化処理は、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸及びリン酸の中から選択されるいずれかの酸溶液200mL/Lと、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及びスルファミン酸ニッケルからなるニッケル化合物(ニッケルのメタル分に換算して10g/L)とを含有する活性化処理液を使用し、処理温度50℃、電流密度5A/dm2及び処理時間150秒にて処理する条件で行った。その後、上述した表面処理被膜形成処理によって、表11に示す厚さでニッケルめっき層と金めっき層からなる2層の金属層で構成される表面処理被膜を形成し、表面処理材を作製した。比較例2で作製した表面処理材は、処理時間が長かったため、介在層3の平均厚さが48nmであり、40nmより厚かった。発明例1と同様の条件で表面処理材同士をMIG溶接で接合し、接続構造体を作製した。
(従来例1)
従来例1は、表11に示すアルミニウム基材(サイズ0.2mm×30mm×30mm)上に、上述した条件で電解脱脂処理を行い、その後、従来の亜鉛置換処理(ジンケート処理)を行なうことによって、厚さ110nmの亜鉛含有層を形成した。その後、表面活性化処理を行うことなく、上述した表面処理被膜形成処理によって、表11に示す厚さでニッケルめっき層と金めっき層からなる2層の金属層で構成される表面処理被膜を形成し、表面処理材を作製した。そして、発明例1と同様の条件で表面処理材同士をMIG溶接で接合し、接続構造体を作製した。
(従来例2)
従来例2は、表12に示す厚さでニッケルめっき層とスズめっき層からなる2層の金属層で構成される表面処理被膜を形成した以外、従来例1と同様の方法で表面処理材を作製した。そして、発明例23と同様の条件で表面処理材同士をレーザ溶接で接合し、接続構造体を作製した。
(従来例3)
従来例3では、従来例2と同様の方法で、表面処理材を作製した。そして、発明例23と同様の条件で表面処理材と金属部材とをレーザ溶接で接合し、接続構造体を作製した。金属部材として、発明例28と同じものを用いた。
従来例1は、表11に示すアルミニウム基材(サイズ0.2mm×30mm×30mm)上に、上述した条件で電解脱脂処理を行い、その後、従来の亜鉛置換処理(ジンケート処理)を行なうことによって、厚さ110nmの亜鉛含有層を形成した。その後、表面活性化処理を行うことなく、上述した表面処理被膜形成処理によって、表11に示す厚さでニッケルめっき層と金めっき層からなる2層の金属層で構成される表面処理被膜を形成し、表面処理材を作製した。そして、発明例1と同様の条件で表面処理材同士をMIG溶接で接合し、接続構造体を作製した。
(従来例2)
従来例2は、表12に示す厚さでニッケルめっき層とスズめっき層からなる2層の金属層で構成される表面処理被膜を形成した以外、従来例1と同様の方法で表面処理材を作製した。そして、発明例23と同様の条件で表面処理材同士をレーザ溶接で接合し、接続構造体を作製した。
(従来例3)
従来例3では、従来例2と同様の方法で、表面処理材を作製した。そして、発明例23と同様の条件で表面処理材と金属部材とをレーザ溶接で接合し、接続構造体を作製した。金属部材として、発明例28と同じものを用いた。
(評価方法)
<基材に対する表面処理被膜の密着性>
基材に対する表面処理被膜の密着性(以下、単に「密着性」という。)は、上述した方法で作製した供試材(表面処理材)について剥離試験を行い評価した。剥離試験は、JIS H 8504:1999に規定される「めっきの密着性試験方法」の「15.1 テープ試験方法」に基づき行なった。表13に密着性の評価結果を示す。なお、表13に示す密着性は、めっき剥離が見られなかった場合を「◎(優)」、試験面積の95%以上100%未満が良好に密着していた場合を「○(良)」、そして、密着領域が試験面積の95%未満である場合を「×(不可)」とし、本試験では、「◎(優)」及び「○(良)」に該当する場合を、密着性が合格レベルにあるとして評価した。
<基材に対する表面処理被膜の密着性>
基材に対する表面処理被膜の密着性(以下、単に「密着性」という。)は、上述した方法で作製した供試材(表面処理材)について剥離試験を行い評価した。剥離試験は、JIS H 8504:1999に規定される「めっきの密着性試験方法」の「15.1 テープ試験方法」に基づき行なった。表13に密着性の評価結果を示す。なお、表13に示す密着性は、めっき剥離が見られなかった場合を「◎(優)」、試験面積の95%以上100%未満が良好に密着していた場合を「○(良)」、そして、密着領域が試験面積の95%未満である場合を「×(不可)」とし、本試験では、「◎(優)」及び「○(良)」に該当する場合を、密着性が合格レベルにあるとして評価した。
<半田濡れ性>
半田濡れ性は、上述した方法で作製した各供試材(表面処理材)について、ソルダーチェッカー(SAT−5100(商品名、(株)レスカ製))を用いて半田濡れ時間を測定し、この測定値から評価した。表13に半田濡れ性の評価結果を示す。なお、表13に示す半田濡れ性における測定条件の詳細を下記に示す。半田濡れ性は、半田濡れ時間が3秒未満である場合を「◎(優)」と判定し、3秒以上5秒未満である場合を「○(良)」と判定し、5秒以上10秒未満である場合を「△(可)」と判定し、10秒以上浸漬しても接合しなかった場合を「×(不可)」と判定し、本試験では、「◎(優)」、「○(良)」及び「△(可)」に該当する場合を、評価した。
半田濡れ性は、上述した方法で作製した各供試材(表面処理材)について、ソルダーチェッカー(SAT−5100(商品名、(株)レスカ製))を用いて半田濡れ時間を測定し、この測定値から評価した。表13に半田濡れ性の評価結果を示す。なお、表13に示す半田濡れ性における測定条件の詳細を下記に示す。半田濡れ性は、半田濡れ時間が3秒未満である場合を「◎(優)」と判定し、3秒以上5秒未満である場合を「○(良)」と判定し、5秒以上10秒未満である場合を「△(可)」と判定し、10秒以上浸漬しても接合しなかった場合を「×(不可)」と判定し、本試験では、「◎(優)」、「○(良)」及び「△(可)」に該当する場合を、評価した。
半田の種類:Sn−3Ag−0.5Cu
温度:250℃
試験片サイズ:10mm×30mm
フラックス:イソプロピルアルコール−25%ロジン
浸漬速度:25mm/sec.
浸漬時間:10秒
浸漬深さ:10mm
温度:250℃
試験片サイズ:10mm×30mm
フラックス:イソプロピルアルコール−25%ロジン
浸漬速度:25mm/sec.
浸漬時間:10秒
浸漬深さ:10mm
<MIG溶接性及びレーザ溶接性>
MIG溶接性及びレーザ溶接性(以下、単に「溶接性」という)は、上述した方法で作製した各供試材(接続構造体)について、目視で観察して評価した。表13,14に溶接性の評価結果を示す。なお、表13,14に示す溶接性は、膨れが全く認められなかった場合を「○(優)」、膨れが少し発生していた場合を「△(可)」、膨れが多量に発生している場合を「×(不可)」とし、本試験では、「○(優)」及び「△(可)」に該当する場合を、溶接性が合格レベルにあるとして評価した。
MIG溶接性及びレーザ溶接性(以下、単に「溶接性」という)は、上述した方法で作製した各供試材(接続構造体)について、目視で観察して評価した。表13,14に溶接性の評価結果を示す。なお、表13,14に示す溶接性は、膨れが全く認められなかった場合を「○(優)」、膨れが少し発生していた場合を「△(可)」、膨れが多量に発生している場合を「×(不可)」とし、本試験では、「○(優)」及び「△(可)」に該当する場合を、溶接性が合格レベルにあるとして評価した。
表13に示すように、発明例1〜22ではいずれも密着性、半田濡れ性泳ぎMIG溶接性が良好であった。これに対し、比較例1では、介在層の厚さが0.98nmと薄いため、基材に対する表面処理被膜の密着性が劣っていた。また、比較例2では、介在層の厚さが48nmと厚いため、基材に対する表面処理被膜の密着性が劣っていた。また、従来例1では、アルミニウム系基材に対してジンケート処理を行うことによって、アルミニウム系基材上に亜鉛含有層が形成されているため、半田濡れ性が劣っており、かつ、膨れの発生が確認された。
表14に示すように、発明例23〜32では接続構造体に膨れの発生がほとんど確認されなかった。これに対し、従来例2、3では、アルミニウム系基材に対してジンケート処理を行うことによって、アルミニウム系基材上に亜鉛含有層が形成されているため、膨れの発生が確認された。
本発明によれば、イオン化傾向が大きい卑な金属で主として構成され、健全なめっき被膜の形成が難しいとされる、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材と、アルミニウム基材上に形成された1層以上の金属層からなる表面処理被膜とを有する表面処理材であって、1層以上の金属層のうち、基材上に直接形成されている金属層である最下金属層が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅又は銅合金であり、基材と表面処理被膜との界面に、基材中の金属成分と、表面処理被膜中の金属成分と、酸素成分とを含有する介在層を有し、介在層の平均厚さが、金属的接合前の表面処理材の垂直断面で測定して、1.00nm以上40nm以下の範囲であることにより、基材と表面処理被膜との間に、例えば100nm程度の厚さの亜鉛含有層(特にジンケート処理層)が介在する従来の表面処理材に比べて、工程が簡略化された結果低コストでかつ安全に製造できる。また、所定の平均厚さを有する介在層を形成することにより、介在層の酸素成分が基材を構成するアルミニウム原子と結合し、また介在層の酸素成分が表面処理被膜を構成する金属原子(例えばニッケル原子)と結合する結果、特に大きな機械的投錨効果、いわゆるアンカー効果を付与せずに、表面処理被膜を基材に対し密着性よくかつ簡便に形成できる。
10、10A、10B 表面処理材
1 基材
2 表面処理被膜
21 最下金属層
22 金属層(被覆金属層)
50 金属部材
100 接続構造体
1 基材
2 表面処理被膜
21 最下金属層
22 金属層(被覆金属層)
50 金属部材
100 接続構造体
Claims (6)
- 表面処理材と金属部材との金属的接合により一体化されてなる接続構造体であって、
前記表面処理材が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材と、該基材上に形成された1層以上の金属層からなる表面処理被膜とを有し、
前記1層以上の金属層のうち、前記基材上に直接形成されている最下金属層が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅又は銅合金であり、
前記基材と前記表面処理被膜との界面に、前記基材の金属成分と、前記表面処理被膜中の金属成分と、酸素成分とを含有する介在層を有し、
該介在層の平均厚さが、前記金属的接合前の表面処理材の垂直断面で測定して、1.00nm以上40nm以下の範囲であることを特徴とする接続構造体。 - 前記最下金属層の厚さが0.05〜2.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の接続構造体。
- 前記金属部材は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄又は鉄合金からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の接続構造体。
- 前記表面処理被膜は、前記最下金属層と、該最下金属層上に形成された1層以上の金属層とからなり、該1層以上の金属層が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、錫、錫合金、銀、銀合金、金、金合金、白金、白金合金、ロジウム、ロジウム合金、ルテニウム、ルテニウム合金、イリジウム、イリジウム合金、パラジウム及びパラジウム合金の群から選択されるいずれかで形成されたものであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の接続構造体。
- 前記1層以上の金属層は、2層以上の金属層からなることを特徴とする、請求項4に記載の接続構造体。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法であって、
前記表面処理材と前記金属部材を溶接によって金属的接合を行う工程を含むことを特徴とする、接続構造体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017070065A JP2018172710A (ja) | 2017-03-31 | 2017-03-31 | 接続構造体及びその製造方法 |
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JP2018172710A true JP2018172710A (ja) | 2018-11-08 |
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2017
- 2017-03-31 JP JP2017070065A patent/JP2018172710A/ja active Pending
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