JP2018160421A - 非水系二次電池正極用バインダー組成物、非水系二次電池正極用組成物、非水系二次電池用正極および非水系二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明は、正極用組成物のペースト安定性、正極合材層のピール強度、および、二次電池の出力特性のバランスを良好に保つことができる非水系二次電池正極用バインダー組成物、非水系二次電池正極用組成物、非水系二次電池用正極および非水系二次電池を提供することを目的とする。
なお、本発明において、「単量体単位を含む」とは、「その単量体を用いて得た重合体中に単量体由来の構造単位が含まれている」ことを意味する。
また、本発明において、非水系二次電池正極用バインダー組成物の「溶液濁度」は、本願実施例に記載のように、バインダー組成物中における固形分の濃度が10質量%である場合に測定され、例えば、濁度計TR−55(笠原理化工業製)を使用して、濁度標準液(ポリスチレン)10度の標準液で校正した後、非水系二次電池正極用バインダー組成物を10mL採取して測定することができる。
なお、本発明において、非水系二次電池正極用バインダー組成物中の「金属イオン濃度」は、ICP発光分光分析法(ICP−AES法)を用いて測定することができる。
また、本発明によれば、出力特性が良好な二次電池が得られる非水系二次電池用正極を提供することができる。
さらに、本発明によれば、出力特性が良好な非水系二次電池を提供することができる。
ここで、本発明の非水系二次電池正極用バインダー組成物は、重合体と有機溶媒とを含み、非水系二次電池正極用組成物を調製する際に用いることができる。そして、本発明の非水系二次電池正極用組成物は、本発明の非水系二次電池正極用バインダー組成物を含み、さらに、必要に応じて、導電材、正極活物質、を含有する組成物であり、非水系二次電池用正極の正極合材層を調製する際の材料として用いられる。
なお、以下では、「重合体を含む非水系二次電池正極用バインダー組成物と、導電材とを含み、正極活物質を含有しない非水系二次電池正極用組成物」を「非水系二次電池正極用導電材ペースト」と称し、「重合体を含む非水系二次電池正極用バインダー組成物と、正極活物質とを含み、導電材を含有しない非水系二次電池正極用組成物」を「非水系二次電池正極用活物質ペースト」と称し、「重合体を含む非水系二次電池正極用バインダー組成物と、正極活物質と、導電材とを含有する非水系二次電池正極用組成物」を「非水系二次電池正極用スラリー組成物」と称する。
本発明の非水系二次電池正極用バインダー組成物は、所定の重合体と、有機溶媒とを含み、必要に応じて、金属イオンを含んでいてもよい。また、本発明の非水系二次電池正極用バインダー組成物は、前記バインダー組成物の溶液濁度が1以上80以下であることを特徴とする。なお、本発明の非水系二次電池正極用バインダー組成物は、上記成分以外に、非水系二次電池の正極に配合され得るその他の成分を含有していてもよい。
非水系二次電池正極用バインダー組成物の溶液濁度は、非水系二次電池正極用バインダー組成物中における固形分の濃度が10質量%である場合の溶液濁度である。ここで、非水系二次電池正極用バインダー組成物の溶液濁度を変化させる要因としては、非水素二次電池用バインダー組成物中の金属イオン(金属塩)不純物、重合体の重量平均分子量、およびゲル量などが挙げられる。
前記溶液濁度は、1以上80以下であるが、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、60以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましい。溶液濁度が1以上80以下であれば、バインダー組成物を用いて調製した正極用組成物のペースト安定性、正極用組成物を用いて形成した正極合材層のピール強度、および、正極合材層を有する正極を使用した二次電池の出力特性のバランスを良好に保つことができる。溶液濁度が1以上であれば、重合体の金属イオン架橋の効果が十分に得られるので、正極合材層のピール強度が低下するのを防止することができ、さらに、溶液濁度が80以下であれば、正極用組成物のペースト安定性、正極合材層のピール強度、および、二次電池の出力特性のバランスが崩れるのを防止することができるからである。
本発明の非水系二次電池正極用バインダー組成物に含まれる重合体は、バインダー組成物を用いて調製した非水系二次電池正極用スラリー組成物を使用して集電体上に正極合材層を形成することにより製造した正極において、正極合材層に含まれる成分が正極合材層から脱離しないように保持しうる成分である。一般的に、正極合材層における重合体は、電解液に浸漬された際に、電解液を吸収して膨潤しながらも正極活物質同士、正極活物質と導電材、或いは、導電材同士を結着させ、正極活物質等が集電体から脱落するのを防ぐ。
ここで、共役ジエン単量体単位を形成し得る共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの炭素数4以上の共役ジエン化合物が挙げられる。中でも、電解液への溶出を抑制するために、の観点で、イソプレン、1,3−ブタジエンが好ましい。
ここで、アルキレン構造単位は、一般式:−CnH2n−[但し、nは2以上の整数]で表わされるアルキレン構造のみで構成される繰り返し単位である。そして、アルキレン構造単位およびニトリル基含有単量体単位を含む重合体は、導電材を含む非水系二次電池正極用組成物の調製に使用された際には、導電材の分散性を向上させることができる。
そして、重合体へのアルキレン構造単位の導入方法は、特に限定はされないが、例えば以下の(1)または(2)の方法:
(1)共役ジエン単量体を含む単量体組成物から重合体を調製し、当該重合体に水素添加することで、共役ジエン単量体単位をアルキレン構造単位に変換する方法
(2)1−オレフィン単量体を含む単量体組成物から重合体を調製する方法
が挙げられる。これらの中でも、(1)の方法が重合体の製造が容易であり好ましい。
また、1−オレフィン単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどが挙げられる。
これらの共役ジエン単量体や1−オレフィン単量体は、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ニトリル基含有単量体単位を形成し得るニトリル基含有単量体としては、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体が挙げられる。そして、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリル;などが挙げられる。これらの中でも、ニトリル基含有単量体としては、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。
これらは一種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、その他の繰り返し単位を形成し得る単量体(以下、「その他の単量体」ということがある。)としては、特に限定されることなく、(メタ)アクリル酸エステル単量体;スチレン(St)単量体;親水性基を有する重合可能な単量体;などが挙げられる。そして、その他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いることが好ましい。即ち、重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含むことが好ましい。
なお、これらの単量体は一種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。
モノカルボン酸誘導体としては、2−エチルアクリル酸、イソクロトン酸、α−アセトキシアクリル酸、β−trans−アリールオキシアクリル酸、α−クロロ−β−E−メトキシアクリル酸、β−ジアミノアクリル酸などが挙げられる。
ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
ジカルボン酸誘導体としては、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸や、マレイン酸メチルアリル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ノニル、マレイン酸デシル、マレイン酸ドデシル、マレイン酸オクタデシル、マレイン酸フルオロアルキルなどのマレイン酸エステルが挙げられる。
ジカルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、アクリル酸無水物、メチル無水マレイン酸、ジメチル無水マレイン酸などが挙げられる。
また、カルボン酸基を有する単量体としては、加水分解によりカルボキシル基を生成する酸無水物も使用できる。
その他、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸ジブチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸ジシクロヘキシル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸ジブチルなどのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸のモノエステルおよびジエステルも挙げられる。
なお、本発明において「(メタ)アリル」とは、アリルおよび/またはメタリルを意味する。
なお、本発明において「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよび/またはメタクリロイルを意味する。
なお、上述した重合体の製造方法は特に限定はされず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などのいずれの方法も用いることができる。
また、重合方法としては、イオン重合、ラジカル重合、リビングラジカル重合などの付加重合を用いることができる。また、重合開始剤としては、鉄系化合物を含むレドックス重合開始剤などの既知の重合開始剤を用いることができる。
さらに、水素化は、油層水素化法または水層水素化法等の既知の水素化方法を用いて行うことができる。また、水素化に用いる触媒としては、公知の選択的水素化触媒であれば限定なく使用でき、パラジウム系触媒やロジウム系触媒を用いることができる。これらは2種以上併用してもよい。
ここで、複分解反応の触媒としては、既知のルテニウム系触媒を用いることができる。中でも、複分解反応の触媒としては、二塩化ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−(イミダゾリジニリデン)(ジクロロフェニルメチレン)(トリシクロへキシルホスフィン)ルテニウムなどのGrubbs触媒を用いることが好ましい。また、コオレフィンとしては、エチレン、イソブタン、1−ヘキサンなどの炭素数2〜16のオレフィンを用いることができる。また、複分解反応後に水素化を行う際の水素化触媒としては、例えばWilkinson触媒((PPh3)3RhCl)等の既知の均質水素化触媒を用いることができる。
共役ジエン単量体単位および/またはアルキレン構造単位とニトリル基含有単量体単位とを含む重合体は、ヨウ素価が、0.01mg/100mg以上であることが好ましく、1mg/100mg以上であることがより好ましく、65mg/100mg以下であることが好ましく、30mg/100mg以下であることがより好ましく、10mg/100mg以下であることが特に好ましい。重合体のヨウ素価が0.01mg/100mg以上であれば、重合体の剛性が低下することにより正極合材層のピール強度が低下するのを防止することができるからである。また、重合体のヨウ素価が65mg/100mg以下であれば、導電材の分散性が低下することにより正極用組成物のペースト安定性および二次電池の出力特性が低下するのを防止することができるからである。重合体のヨウ素価を好ましい範囲にすることにより、後述する導電材の分散性を向上させることで、二次電池の出力特性を向上させることができる。
有機溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン等の有機溶媒などが挙げられる。これらの中でも、樹脂の溶解性と正極スラリーの安定性の観点で、N−メチルピロリドン(NMP)が好ましい。
バインダー組成物中における金属イオンとしては、例えば、アルミニウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、鉄イオン、などが挙げられる。これらの中でも、重合時における残留物と金属塩を形成するのを抑制することができる点で、アルミニウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンが好ましい。
バインダー組成物中におけるアルミニウムイオン、カルシウムイオン、およびマグネシウムイオンからなる群から選択される金属イオンの濃度としては、50質量ppm以上であることが好ましく、250質量ppm以上であることがより好ましく、500質量ppm以上であることが特に好ましく、4000質量ppm以下であることが好ましく、3000質量ppm以下であることがより好ましく、2000質量ppm以下であることが特に好ましい。バインダー組成物中における金属イオン濃度が50質量ppm以上4000質量ppm以下であれば、正極用組成物のペースト安定性、正極合材層のピール強度、および、二次電池の出力特性のバランスを良好に保つことができる。バインダー組成物中における金属イオン濃度を50質量ppm以上とすれば、重合体の金属イオン架橋の効果が得られないことにより正極合材層のピール強度が低下するのを防止することができ、バインダー組成物中における金属イオン濃度を4000質量ppm以下とすれば、活物質および導電材界面に存在する金属塩量が増加することにより正極用組成物のペースト安定性、正極合材層のピール強度、および二次電池の出力特性が低下するのを防止することができるからである。なお、金属イオンの濃度(量)は、濾過・デカンテーションによる金属塩の除去により調整できる。
バインダー組成物中における、アルミニウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の金属イオンは、重合体を調製する際に添加する凝固剤に由来するものである。
重合体を調製する際に添加する凝固剤としては、例えば、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム、塩化カリウム、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)などが挙げられる。これらの中でも、重合体を良好に凝固させることができると共に、重合時における残留物と金属塩を形成するのを抑制することができる点で、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム、が好ましい。
本発明の非水系二次電池正極用バインダー組成物は、上記成分の他に、補強材、レベリング剤、粘度調整剤、電解液添加剤等の成分を含有していてもよい。これらは、電池反応に影響を及ぼさないものであれば特に限られず、公知のもの、例えば国際公開第2012/115096号に記載のものを使用することができる。また、これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
本発明の非水系二次電池正極用バインダー組成物は、上述した成分を有機溶媒などの溶媒中に溶解または分散させることにより調製することができる。具体的には、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、フィルミックスなどの混合機を用いて上述した成分と溶媒とを混合することにより、非水系二次電池正極用バインダー組成物を調製することができる。
なお、用いる重合体が水分散体として調製された場合には、重合体を凝固剤で凝固させた後に、水を除去してから有機溶媒と混合してバインダー組成物としてもよいし、重合体の水分散体と有機溶媒とを混合した後に、水を除去して非水系二次電池正極用バインダー組成物としてもよい。
本発明の非水系二次電池正極用組成物は、重合体を含むバインダー組成物を含む。即ち、本発明の非水系二次電池正極用組成物は、重合体と、有機溶媒とを含み、加えて、任意に、導電材、金属イオン、正極活物質、およびその他の成分をさらに含有する。本発明の非水系二次電池正極用組成物を使用すれば、二次電池の出力特性が良好な非水系二次電池が得られる正極を形成することができる。
バインダー組成物としては、上述した本発明の非水系二次電池正極用バインダー組成物を用いる。
導電材は、正極活物質同士の電気的接触を確保するためのものである。そして、導電材としては、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラックなど)、グラファイト(グラフェン)、炭素繊維(カーボンナノファイバー)、カーボンフレーク、炭素超短繊維(例えば、カーボンナノチューブ(CNT)や気相成長炭素繊維など)等の導電性炭素材料;各種金属のファイバー、箔などを用いることができる。
これらの中でも、導電性および出力特性の観点から、カーボンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、炭素繊維(カーボンナノファイバー)、グラファイト(グラフェン)、カーボンナノチューブ(CNT)が好ましく、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンナノチューブ(CNT)がより好ましく、カーボンナノチューブ(CNT)が特に好ましい。
これらは一種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
正極活物質は、二次電池の正極において電子の受け渡しをする物質である。そして、例えばリチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、通常は、リチウムを吸蔵および放出し得る物質を用いる。
なお、以下では、一例として非水系二次電池がリチウムイオン二次電池である場合の正極活物質について説明するが、本発明は下記の一例に限定されるものではない。
遷移金属硫化物としては、TiS2、TiS3、非晶質MoS2、FeSなどが挙げられる。
リチウムと遷移金属との複合金属酸化物としては、層状構造を有するリチウム含有複合金属酸化物、スピネル型構造を有するリチウム含有複合金属酸化物、オリビン型構造を有するリチウム含有複合金属酸化物などが挙げられる。
なお、本明細書において、「平均酸化状態」とは、前記「1種類以上の遷移金属」の平均の酸化状態を示し、遷移金属のモル量と原子価とから算出される。例えば、「1種類以上の遷移金属」が、50mol%のNi2+と50mol%のMn4+から構成される場合には、「1種類以上の遷移金属」の平均酸化状態は、(0.5)×(2+)+(0.5)×(4+)=3+となる。
非水系二次電池正極用組成物に配合し得るその他の成分としては、特に限定することなく、上述した重合体以外の結着材(バインダー)、本発明の非水系二次電池正極用バインダー組成物に配合し得るその他の成分と同様のものが挙げられる。また、その他の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
結着材(バインダー)としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素含有重合体、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、その他アクリル共重合体、などが挙げられる。これらの中でも、正極合材層のピール強度が優れる点で、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)が好ましく、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)がより好ましい。
上述した非水系二次電池正極用組成物は、上記各成分を有機溶媒などの溶媒中に溶解または分散させることにより調製することができる。例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、フィルミックスなどの混合機を用いて上記各成分と溶媒とを混合することにより、非水系二次電池正極用組成物を調製することができる。
以下、本発明の非水系二次電池正極用バインダー組成物を含む非水系二次電池正極用組成物が、非水系二次電池正極用導電材ペースト、非水系二次電池正極用活物質ペースト、または非水系二次電池正極用スラリー組成物である場合における、それらの製造方法について説明する。
非水系二次電池正極用組成物が非水系二次電池正極用導電材ペーストである場合には、当該導電材ペーストは、上述したバインダー組成物と、導電材と、結着材(バインダー)等の任意に配合し得るその他の成分および有機溶媒とを混合することにより、調製することができる。なお、非水系二次電池正極用導電材ペーストを調製する際に各成分を混合する順序は、特に限定されることはないが、導電材と、バインダー組成物とを混合した後に残りの成分を混合するか、或いは、全ての成分を同時に混合することが好ましい。
非水系二次電池正極用組成物が非水系二次電池正極用活物質ペーストである場合には、当該活物質ペーストは、上述したバインダー組成物と、正極活物質と、結着材(バインダー)等の任意に配合し得るその他の成分および有機溶媒とを混合することにより、調製することができる。なお、非水系二次電池正極用活物質ペーストを調製する際に各成分を混合する順序は、特に限定されることはないが、正極活物質と、バインダー組成物とを混合した後に残りの成分を混合するか、或いは、全ての成分を同時に混合することが好ましい。
また、非水系二次電池正極用組成物が非水系二次電池正極用スラリー組成物である場合には、当該スラリー組成物は、上述したバインダー組成物と、正極活物質と、導電材と、結着材(バインダー)等の任意に配合し得るその他の成分および有機溶媒とを混合することにより、調製することができる。なお、非水系二次電池正極用スラリー組成物を調製する際に各成分を混合する順序は、特に限定されることなく、上述した非水系二次電池正極用導電材ペーストを調製した後で当該導電材ペーストと正極活物質とを混合してもよいし、全ての成分を同時に混合してもよい。なお、非水系二次電池正極用スラリー組成物にPDVF等の結着材(バインダー)を添加することにより正極用組成物のピール強度を向上させることができる。
本発明の非水系二次電池用正極は、例えば、集電体と、集電体上に形成された正極合材層とを備え、正極合材層は、非水系二次電池正極用スラリー組成物(導電材および正極活物質を含む本発明の非水系二次電池正極用組成物)を用いて形成されている。即ち、正極合材層には、少なくとも、導電材と、正極活物質、重合体と、が含まれている。加えて、正極合材層には、任意に、金属塩(金属イオン)、結着材(バインダー)等のその他の成分が含まれる。なお、正極合材層中に含まれている各成分は、上記非水系二次電池正極用スラリー組成物中に含まれていたものであり、それら各成分の好適な存在比は、スラリー組成物中の各成分の好適な存在比と同じである。
そして、本発明の非水系二次電池用正極は、本発明の非水系二次電池正極用バインダー組成物を含むスラリー組成物を使用して作製しているので、当該正極を使用すれば、出力特性が良好な非水系二次電池が得られる。
なお、本発明の非水系二次電池用正極は、例えば、上述した非水系二次電池正極用スラリー組成物を集電体上に塗布する工程(塗布工程)と、集電体上に塗布されたスラリー組成物を乾燥して集電体上に正極合材層を形成する工程(乾燥工程)とを経て製造される。
なお、本発明の非水系二次電池用正極は、上述した非水系二次電池正極用スラリー組成物を乾燥造粒して複合粒子を調製し、当該複合粒子を用いて集電体上に正極合材層を形成する方法によっても製造することができる。
上記非水系二次電池正極用スラリー組成物を集電体上に塗布する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。具体的には、塗布方法としては、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などを用いることができる。この際、非水系二次電池正極用スラリー組成物を集電体の片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。塗布後乾燥前の集電体上のスラリー膜の厚みは、乾燥して得られる正極合材層の厚みに応じて適宜に設定しうる。
集電体上の非水系二次電池正極用スラリー組成物を乾燥する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。このように集電体上の非水系二次電池正極用スラリー組成物を乾燥することで、集電体上に正極合材層を形成し、集電体と正極合材層とを備える非水系二次電池用正極を得ることができる。
さらに、正極合材層が硬化性の重合体を含む場合は、正極合材層の形成後に前記重合体を硬化させることが好ましい。
本発明の非水系二次電池は、正極と、負極と、電解液と、セパレータとを備え、正極として本発明の非水系二次電池用正極を用いたものである。そして、本発明の非水系二次電池は、本発明の非水系二次電池用正極を備えているので、非水系二次電池の出力特性を良好なものとすることができる。
なお、以下では、一例として非水系二次電池がリチウムイオン二次電池である場合について説明するが、本発明は下記の一例に限定されるものではない。
負極としては、既知の負極を用いることができる。具体的には、負極としては、例えば、金属リチウムの薄板よりなる負極や、負極合材層を集電体上に形成してなる負極を用いることができる。
なお、集電体としては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金等の金属材料からなるものを用いることができる。また、負極合材層としては、負極活物質と結着材(バインダー)とを含む層を用いることができる。さらに、結着材(バインダー)としては、特に限定されず、任意の既知の材料を用いうる。
電解液としては、通常、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。支持電解質としては、例えば、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)NLiなどが挙げられる。なかでも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すので、LiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが好ましく、LiPF6が特に好ましい。なお、電解質は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。通常は、解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなる傾向があるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
なお、電解液中の電解質の濃度は適宜調整することができ、例えば0.5〜15質量%することが好ましく、2〜13質量%とすることがより好ましく、5〜10質量%とすることがさらに好ましい。
セパレータとしては、特に限定されることなく、例えば特開2012−204303号公報に記載のものを用いることができる。これらの中でも、セパレータ全体の膜厚を薄くすることができ、これにより、二次電池内の電極活物質の比率を高くして体積あたりの容量を高くすることができるという点より、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)の樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
本発明の非水系二次電池は、例えば、本発明の非水系二次電池用正極と、負極と、電解液と、セパレータとを備える非水系二次電池を組み立てる工程(組立工程)と、組み立てた非水系二次電池に対してエージング処理を施す工程(エージング工程)とを経て製造することができる。
組立工程では、例えば、上記正極と、負極とを、セパレータを介して重ね合わせ、これを必要に応じて電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口することにより非水系二次電池を組み立てる。非水系二次電池の内部の圧力上昇、過充放電などの発生を防止するために、必要に応じて、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、エキスパンドメタル、リード板などを設けてもよい。組み立てる非水系二次電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。
実施例および比較例において、バインダー組成物中における金属イオン濃度、水添重合体のヨウ素価、バインダー組成物の溶液濁度、ペースト安定性、ピール強度、並びに、出力特性は、それぞれ以下の方法を使用して評価した。
約1gのバインダー組成物を採取し、550℃の電気炉で約3時間灰化した。その後、約5mLの濃硫酸を加えて溶解させ、約5mLの濃硝酸を徐々に添加して湿式分解した。分解後、酸を濃縮し、超純水で10mLに定容して、ICP−AES(型番SPS−5100,SIIナノテクノロジー社)を用いて、バインダー組成物中における金属イオン濃度を測定した。結果を表1に示す。
水添重合体のN−メチルピロリドン(NMP)溶液100gをメタノール1Lで凝固した後、温度60℃で一晩真空乾燥した。そして、乾燥した水添重合体について、JIS K6235(2006)に従ってヨウ素価を測定した。結果を表1に示す。
濁度計TR−55(笠原理化工業製)を使用して、ポリスチレン基準濁度10度の標準液で校正した後、バインダー組成物を10mL採取し、濁度をn=3で測定してその平均値を取った。なお、溶液濁度測定時におけるバインダー組成物中における固形分(重合体および凝固剤)の濃度は10質量%であった。結果を表1に示す。
作製したスラリーを撹拌することなく静置保存し、7日間経過後の沈降の有無を確認し、下記評価基準により評価した。結果を表1に示す。
<<評価基準>>
A:沈降なし。
B:沈降あり。撹拌により再分散し、初期粘度の80%以上100%以下の範囲に粘度が回復した。
C:沈降あり。撹拌により再分散するが、初期粘度の60%以上80%未満の範囲に粘度が回復した。
D:沈降あり。撹拌により再分散するが、初期粘度の60%未満の範囲に粘度が回復した。
作製したリチウムイオン二次電池用電極を長さ100mm、幅10mmの長方形に切り出して試験片とし、電極合材層を有する面を下にして電極合材層表面にセロハンテープを貼り付け、集電体の一端を鉛直上方に引張り速度300mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した(なお、セロハンテープは試験台に固定されている)。測定を3回行い、その平均値を求めてこれをピール強度とし、以下の基準により評価した。ピール強度の値が大きいほど、電極合材層と集電体の密着性に優れることを示す。結果を表1に示す。なお、ピール強度が大きいほど好ましい。
<<評価基準>>
A:ピール強度が25N/m以上
B:ピール強度が20N/m以上25N/m未満
C:ピール強度が15N/m以上20N/m未満
D:ピール強度が15N/m未満
実施例および比較例で作製したラミネート型セルを用い、25℃で0.1Cの定電流で充電深度(SOC)50%まで充電し、電圧V1を測定した。その後、25℃で2Cの定電流で15秒間放電し、電圧V2を測定した。これらの測定結果から、電圧降下△V=V1−V2を算出した。算出された電圧降下△Vを、下記評価基準により評価し、結果を表1に示す。なお、電圧降下△Vの値が小さいほど、出力特性に優れることを示す。
<<評価基準>>
A:電圧降下△Vが210mV未満
B:電圧降下△Vが210mV以上240mV未満
C:電圧降下△Vが240mV以上270mV未満
D:電圧降下△Vが270mV以上
[水添重合体の調製]
−重合体の調製−
金属製ボトル内でイオン交換水200部に炭酸ナトリウム0.2部を溶解した。金属製ボトルに、乳化剤としてカプリン酸カリウム(炭素数10の脂肪酸の石けん)を2.5部添加した。さらに、分散剤としてナフタリンスルホン酸ホルムアルデヒド重縮合物を1.0部含む水溶液を加えた。その後、金属製ボトルに、ニトリル基含有単量体としてのアクリロニトリル35部と、分子量調整剤としてのt−ドデシルメルカプタン0.5部とを順に加えた。金属製ボトルの内部の気体を窒素で3回置換した後、共役ジエン単量体として1,3−ブタジエン65部を添加した。金属製ボトルを5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド0.1部と、エチレンジアミン四酢酸モノナトリウム鉄水和物0.01部と、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物0.03部と、EDTA・4Na・4H2O0.02部とを組み合わせてなるレドックス重合開始剤を加えた。そして、温度を5℃に保ちながら16時間重合反応を行った。重合度90%に到達した後、重合停止剤として硫酸ヒドロキシルアミン0.1部およびジエチルヒドロキシルアミン0.03部を加えて重合反応を停止し、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去して、共役ジエン単量体単位およびニトリル基含有単量体単位を含む重合体(ニトリルゴム)のラテックスを得た。ニトリルゴムの組成は、アクリロニトリル単量体単位35質量%、1,3−ブタジエン単量体単位65質量%であり、ラテックス濃度は25質量%であった。
そして、得られたラテックスの一部を、ニトリルゴム分に対して1.0質量%となる量の凝固剤としての硫酸マグネシウムの水溶液に加え、撹拌してラテックスを凝固した。その後、水で洗浄しつつ濾別し、得られた凝固物を温度60℃で12時間真空乾燥して、重合体としてのニトリルゴムを得た。
次に、得られた重合体9部をモノクロロベンゼン141部に溶解し、反応器に投入した。そして、反応器を80℃まで加熱した後、Grubbs触媒として二塩化ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムを含むモノクロロベンゼン溶液2Lを重合体100部に対するGrubbs触媒の量が0.25部となるように加えた。そして、コオレフィンとしてのエチレンで反応器内を3.5MPaに加圧し、撹拌速度600rpmで重合体の複分解反応を行った。反応中は、温度制御装置および熱センサーに接続した冷却コイルを用いて温度を一定に維持した。
その後、撹拌を継続しつつ反応器内を0.7MPaのH2で3回脱気した。そして、反応器の温度を130℃に上げ、Wilkinson触媒およびトリフェニルホスフィンを含有するモノクロロベンゼン溶液1Lを反応器に加えた。なお、重合体100部に対するWilkinson触媒の量は0.075部とし、トリフェニルホスフィンの量は1部とした。そして、温度を138℃に上げ、水素圧(ゲージ圧)8.4MPaの条件下で重合体の水素化反応を行い、ヨウ素価5.0mg/100mgを終点として反応を終了させた。反応終了後、反応器に、平均直径15μmの活性炭を0.2部加え、30分間撹拌した。その後、孔径5μmのフィルターでろ過した。そして、ろ過溶液に水蒸気を導入し、水蒸気蒸留によりモノクロロベンゼンを回収除去し、沈殿したポリマー(水添重合体)を分離・乾燥して回収した。
得られた水添重合体の水分散液を固形分換算で64部採取し、有機溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)800部を加え、減圧下で水を蒸発させて、水添重合体を結着材として含むバインダー組成物(NMP溶液)を得た。そして、得られたバインダー組成物中における金属イオン濃度および溶液濁度を測定した。結果を表1に示す。
正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO2)(体積平均粒子径:20μm)100部と、導電材としての多層カーボンナノチューブ1.0部と、結着材(バインダー)としてのフッ素含有重合体(ポリフッ化ビニリデン、溶融粘度:5.0kPa・s)1.6部と、水添重合体が固形分換算で0.4部となる量のバインダー組成物と(結着材(バインダー)割合(結着材量/(結着材量+バインダー組成物中における重合体量))が80質量%)、有機溶媒として適量のNMPとをプラネタリーミキサーに添加し、50rpmで60分撹拌した。この時の固形分濃度は70質量%であった。その後、NMPをさらに添加し、せん断速度20s−1時の粘度が約4000mPa・sになるようにプラネタリーミキサーを用いてさらに混練し、正極用スラリー組成物を調製した。
集電体として、厚さ15μmのアルミ箔を準備した。そして、得られた正極用スラリー組成物をアルミ箔の両面に乾燥後の塗布量が20mg/cm2になるように塗布し、80℃、5分間乾燥した後、120℃、5分間加熱処理して正極原反を得た。そして、得られた正極原反をロールプレスで圧延し、密度が3.8g/cm3の正極合材層とアルミ箔(集電体)とからなるシート状正極を作製した。そして、シート状正極を幅4.8cm、長さ50cmに切断し、正極とした。
負極活物質として球状人造黒鉛(体積平均粒子径:12μm)90部およびSiOx(体積平均粒子径:10μm)10部と、結着材としてスチレンブタジエン重合体(体積平均粒子径:180nm、ガラス転移温度:−40℃)1部と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1部と、適量の水とをプラネタリーミキサーにて混合し、負極用スラリー組成物を調製した。
次に、集電体として厚さ15μmの銅箔を準備した。そして、負極用スラリー組成物を銅箔の両面に乾燥後の塗布量が12mg/cm2になるように塗布し、50℃で20分、110℃で20分間乾燥した後、150℃で2時間加熱処理して負極原反を得た。得られた負極原反をロールプレスで圧延し、密度が1.8g/cm3の負極合材層と銅箔(集電体)とからなるシート状負極を作製した。そして、シート状負極を幅5.0cm、長さ52cmに切断し、負極とした。
得られた正極および負極を、セパレータを介在させた状態で直径20mmの芯を用いて捲回し、捲回体を得た。なお、セパレータとしては、厚さ20μmのポリプロピレン製微多孔膜を用いた。得られた捲回体は、10mm/秒の速度で厚さ4.5mmになるまで一方向から圧縮した。圧縮後の捲回体は平面視略楕円形をしており、略楕円の短径に対する長径の比は7.7であった。
また、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(重量比=3:7)に濃度5質量%となるようにフルオロエチレンカーボネートを混合し、さらに、1mol/Lの濃度になるように六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解した。さらに、ビニレンカーボネート2体積%を添加して、電解液を用意した。
所定のアルミラミネート製ケース内に圧縮後の捲回体と3.2gの電解液とを収容した。そして、リード線を正極および負極の所定の位置に取り付けた後、ケースの開口部を熱で封口し、二次電池を組み立てた。この二次電池は、幅35mm、高さ48mm、厚さ5mmのパウチ形であり、電池の公称容量は720mAhであった。
実施例1において、重合体の調製時に、ニトリルゴム分に対して1.0質量%となる量の凝固剤としての硫酸マグネシウムの水溶液を用いる代わりに、ニトリルゴム分に対して5.0質量%となる量の凝固剤としての硫酸マグネシウムの水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水添重合体、正極用バインダー組成物、正極用スラリー組成物、二次電池用正極、二次電池用負極および二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、重合体の調製時に、ニトリルゴム分に対して1.0質量%となる量の凝固剤としての硫酸マグネシウムの水溶液を用いる代わりに、ニトリルゴム分に対して7.0質量%となる量の凝固剤としての硫酸マグネシウムの水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水添重合体、正極用バインダー組成物、正極用スラリー組成物、二次電池用正極、二次電池用負極および二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、重合体の調製時に、ニトリルゴム分に対して1.0質量%となる量の凝固剤としての硫酸マグネシウムの水溶液を用いる代わりに、ニトリルゴム分に対して1.0質量%となる量の凝固剤としての塩化カルシウムの水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水添重合体、正極用バインダー組成物、正極用スラリー組成物、二次電池用正極、二次電池用負極および二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、重合体の調製時に、ニトリルゴム分に対して1.0質量%となる量の凝固剤としての硫酸マグネシウムの水溶液を用いる代わりに、ニトリルゴム分に対して1.0質量%となる量の凝固剤としての硫酸アルミニウムの水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水添重合体、正極用バインダー組成物、正極用スラリー組成物、二次電池用正極、二次電池用負極および二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、重合体の調製時に、ニトリル基含有単量体としてのアクリロニトリル35部と、共役ジエン単量体として1,3−ブタジエン65部とを添加する代わりに、ニトリル基含有単量体としてのアクリロニトリル45部と、共役ジエン単量体として1,3−ブタジエン55部とを添加したこと以外は、実施例1と同様にして、水添重合体、正極用バインダー組成物、正極用スラリー組成物、二次電池用正極、二次電池用負極および二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、重合体の調製時に、ニトリル基含有単量体としてのアクリロニトリル35部と、共役ジエン単量体として1,3−ブタジエン65部とを添加する代わりに、ニトリル基含有単量体としてのアクリロニトリル55部と、共役ジエン単量体として1,3−ブタジエン45部とを添加したこと以外は、実施例1と同様にして、水添重合体、正極用バインダー組成物、正極用スラリー組成物、二次電池用正極、二次電池用負極および二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、重合体の調製時に、ヨウ素価5.0mg/100mgを終点として反応を終了させる代わりに、ヨウ素価20mg/100mgを終点として反応を終了させたこと以外は、実施例1と同様にして、水添重合体、正極用バインダー組成物、正極用スラリー組成物、二次電池用正極、二次電池用負極および二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、重合体の調製時にヨウ素価5.0mg/100mgを終点として反応を終了させる代わりに、ヨウ素価40mg/100mgを終点として反応を終了させたこと以外は、実施例1と同様にして、水添重合体、正極用バインダー組成物、正極用スラリー組成物、二次電池用正極、二次電池用負極および二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、金属製ボトルにアクリロニトリル35部を加え、金属製ボトルの内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン65部を添加する代わりに、金属製ボトルにアクリロニトリル35部を加え、金属製ボトルの内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン60部およびアクリル酸ブチル(BA)5部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、水添重合体、正極用バインダー組成物、正極用スラリー組成物、二次電池用正極、二次電池用負極および二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、重合体の調製時に、ニトリルゴム分に対して1.0質量%となる量の凝固剤としての硫酸マグネシウムの水溶液を用いる代わりに、ニトリルゴム分に対して15.0質量%となる量の凝固剤としての硫酸マグネシウムの水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水添重合体、正極用バインダー組成物、正極用スラリー組成物、二次電池用正極、二次電池用負極および二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、重合体の調製時に、ニトリルゴム分に対して1.0質量%となる量の凝固剤としての硫酸マグネシウムの水溶液を用いる代わりに、ニトリルゴム分に対して12.5質量%となる量の凝固剤としての硫酸マグネシウムの水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水添重合体、正極用バインダー組成物、正極用スラリー組成物、二次電池用正極、二次電池用負極および二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、重合体の調製時に、下記の金属塩濾過除去操作を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、水添重合体、正極用バインダー組成物、正極用スラリー組成物、二次電池用正極、二次電池用負極および二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<金属塩濾過除去操作>
濃度10%のバインダー組成物を、0.3MPa、50℃の条件で、多段濾過(ロキテクノ社製、カートリッジフィルターSLP−020)に2回通すことによって、金属塩を濾過により除去した。
また、本発明によれば、出力特性が良好な非水系二次電池が得られる非水系二次電池用正極を安定的に提供することができる。
さらに、本発明によれば、出力特性が良好な非水系二次電池を提供することができる。
Claims (11)
- 重合体と、有機溶媒とを含む非水系二次電池正極用バインダー組成物であって、
前記重合体が、共役ジエン単量体単位および/またはアルキレン構造単位と、ニトリル基含有単量体単位とを含み、
前記非水系二次電池正極用バインダー組成物の溶液濁度が1以上80以下である、非水系二次電池正極用バインダー組成物。 - 前記非水系二次電池正極用バインダー組成物が金属イオンを含有する、請求項1に記載の非水系二次電池正極用バインダー組成物。
- 前記金属イオンが、アルミニウムイオン、カルシウムイオン、およびマグネシウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の非水系二次電池正極用バインダー組成物。
- 前記非水系二次電池正極用バインダー組成物中における金属イオン濃度が50質量ppm以上4000質量ppm以下である、請求項3に記載の非水系二次電池正極用バインダー組成物。
- 前記重合体における前記ニトリル基含有単量体単位の含有割合が、20質量%以上60質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水系二次電池正極用バインダー組成物。
- 前記重合体における前記共役ジエン単量体単位および前記アルキレン構造単位の合計の含有割合が、40質量%以上80質量%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水系二次電池正極用バインダー組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の非水系二次電池正極用バインダー組成物を含む、非水系二次電池正極用組成物。
- 導電材および/または正極活物質をさらに含む、請求項7に記載の非水系二次電池正極用組成物。
- ポリフッ化ビニリデン(PVDF)をさらに含む、請求項8に記載の非水系二次電池正極用組成物。
- 請求項8または9のいずれか一項に記載の非水系二次電池正極用組成物を用いて形成した正極合材層を有する、非水系二次電池用正極。
- 請求項10に記載の非水系二次電池用正極と、負極と、電解液と、セパレータとを備える、非水系二次電池。
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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