JP2018142355A - 情報配信装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率良く情報配信を行い得る情報配信装置及び方法を提案する。【解決手段】複数の移動通信体の位置情報でなる時系列位置データを収集し、収集した各移動通信体の時系列位置データに基づいて、当該時系列位置データを複数のクラスタに分類するクラスタリング処理を実行し、クラスタごとに、当該クラスタに時系列位置データが振り分けられた各ユーザの支配的な属性を決定するプロファイリング処理を実行し、プロファイリング処理の処理結果に基づいて、クラスタごとに、当該クラスタに時系列位置データが振り分けられた各ユーザに配信すべき情報を決定して当該各ユーザに配信するようにした。【選択図】 図10
Description
本発明は情報配信装置及び方法に関し、例えば、スマートフォンや携帯電話端末などのモバイル端末に対してそのユーザに有益な情報を配信する情報配信システムに適用して好適なものである。
近年、携帯電話機等のモバイル端末の多くはGPS(Global Positioning System)などの測位機能を備えている。これにより、モバイル端末のユーザは、モバイル端末の測位結果に基づいて現在位置情報を取得することができると共に、測位結果をネットワーク経由で通信事業者やサービス事業者の情報配信装置に送信することで、ユーザの現在位置に応じた様々なサービス情報を受信することが可能となる。
なお、ユーザの位置情報を取得する技術として、特許文献1に開示された方法が知られている。この特許文献1に開示されたユーザ位置の取得方法は、携帯電話機への複数信号送信による三角測量や、複数信号の信号強度、異なる信号の着信時刻の差、異なる信号の着信角の差、GPS信号、及び、これらの組合せに基づき、携帯電話機の緯経度座標位置を捕捉するものである。
ところで、ユーザの現在位置に応じたサービス情報の配信を効果的に行うためには、ユーザの嗜好に合致した適切なサービス情報を適切なタイミングで配信することが要求される。そのためにはユーザの過去の位置情報に基づき、そのユーザが将来訪れる可能性が高いエリアを予測した上で、そのエリア内におけるサービス提供の状況と、そのユーザの年齢及び性別等の属性とを踏まえたサービス情報の配信を行うことが望ましい。
このようなユーザが将来訪れる可能性が高いエリアを予測し、そのエリアに応じたサービス情報を配信する技術として、従来、特許文献2に開示された技術や、特許文献3に開示された技術が提案されている。
具体的に、特許文献2におけるユーザ位置の予測方法は、ユーザの滞在地間遷移パターンを抽出し、滞在地間遷移パターンごとに遷移パターンの出現確率を対応付けた滞在地間遷移モデルを構築し、過去の滞在滞留時系列データと、他の携帯端末に係る滞在滞留時系列データとの間の最長一致部分列長に基づいて、携帯端末の移動経路に類似した移動経路をとる携帯端末を検索することにより、ユーザの将来の位置を予測するものである。
また特許文献3におけるサービス情報の配信手法は、車両における過去の走行経路のデータに基づいて現在地から目的地までの走行経路を推定し、推定された走行経路周辺の広告データを車両搭載の情報提供装置に配信し又は乗員に提示するというものである。
この場合、これら引用文献2及び引用文献3に開示された技術では、ユーザ一人ひとりに対するアクションとなるため、複数ユーザにサービス情報を配信する際は配信対象のユーザ数分の情報処理リソース(経路予測及び配信情報を計算するマシンリソース、情報を提示するためのネットワークリソース、及び、情報提示端末)が必要となる。しかしながら、このような情報処理リソースが常に十分に確保できるとは限らず、サービス情報の配信を行うユーザ数に限界があるという問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、効率良く情報配信を行い得る情報配信装置及び方法を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、複数の移動通信体に対して情報を配信する情報配信装置において、各前記動通信体の時系列の位置情報でなる時系列位置データをそれぞれ収集し、収集した各前記移動通信体の前記時系列位置データに基づいて、当該時系列位置データを複数のクラスタに分類するクラスタリング処理を実行するクラスタリング処理部と、予め登録された各前記移動通信体のユーザの属性情報に基づいて、前記クラスタごとに、当該クラスタに前記時系列位置データが振り分けられた各前記ユーザの支配的な属性を決定するプロファイリング処理を実行するプロファイリング処理部と、前記プロファイリング処理の処理結果に基づいて、前記クラスタごとに、当該クラスタに前記時系列位置データが振り分けられた各前記ユーザに配信すべき情報を決定して当該各ユーザに配信する情報配信イベント決定・実行部とを設けるようにした。
また本発明においては、複数の移動通信体に対して情報を配信する情報配信装置において実行される情報配信方法であって、各前記移動通信体の時系列の位置情報でなる時系列位置データをそれぞれ収集し、収集した各前記移動通信体の前記時系列位置データに基づいて、当該時系列位置データを複数のクラスタに分類するクラスタリング処理を実行する第1のステップと、予め登録された各前記移動通信体のユーザの属性情報に基づいて、前記クラスタごとに、当該クラスタに前記時系列位置データが振り分けられた各前記ユーザの支配的な属性を決定するプロファイリング処理を実行する第2のステップと、前記プロファイリング処理の処理結果に基づいて、前記クラスタごとに、当該クラスタに前記時系列位置データが振り分けられた各前記ユーザに配信すべき情報を決定して当該各ユーザに配信する第3のステップとを設けるようにした。
本発明の情報配信装置及び情報配信方法によれば、クラスタ単位での情報配信を行うことができ、しかもクラスタごとに、配信対象の情報の中からそのクラスタに属するユーザに最も適した情報を配信することができる。
本発明によれば、効率良く情報配信を行い得る情報配信装置及び方法を実現できる。
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)本実施の形態による情報配信システムの構成
図1において、1は全体として本実施の形態による情報配信システムを示す。この情報配信システム1は、1又は複数のモバイル端末2と情報配信装置3とを備えて構成され、これらが無線基地局4及び交換局5などから構成される無線通信網と、ネットワーク6とを介して通信自在に接続される。
図1において、1は全体として本実施の形態による情報配信システムを示す。この情報配信システム1は、1又は複数のモバイル端末2と情報配信装置3とを備えて構成され、これらが無線基地局4及び交換局5などから構成される無線通信網と、ネットワーク6とを介して通信自在に接続される。
モバイル端末2は、測位機能が搭載された携帯電話機などの携帯型通信端末装置から構成され、CPU(Central Processing Unit)10、記憶装置11、通信装置12、入出力装置13及び測位装置14などを備える。
CPU10は、モバイル端末2全体の動作制御を司るプロセッサである。また記憶装置11は、半導体メモリなどから構成され、各種プログラムを記憶保持するために利用されるほか、CPU10のワークメモリとしても利用される。記憶装置11に格納されたプログラムをCPU10が実行することにより、後述のようなモバイル端末2全体としての各種処理が実行される。通信装置12は、所定の無線通信規格に準拠した通信方式で無線基地局4との間で無線通信を行う機能を有する。
入出力装置13は、そのモバイル端末2の利用者(以下、これを単にユーザと呼ぶ)が各種操作入力を行うためのハードウェアである入力装置と、画像や音声を出力するハードウェアである出力装置とから構成される。入力装置としては、例えば、ボタン及び十字キーや、タッチパネルなどが適用され、出力装置としては、例えば液晶パネル及びスピーカなどが適用される。
測位装置14は、複数のGPS衛星から送信される信号を受信し、受信したこれらの信号に基づいてモバイル端末2の現在位置を測位する機能を有する。測位装置14により測位されたモバイル端末の現在位置(以下、そのモバイル端末2を携帯するユーザの現在位置とする)を表す位置データは、記憶装置11に蓄積され、蓄積された時系列の位置データが時系列位置データとして、情報配信装置3からの要求に応じて、通信装置12により無線通信網及びネットワーク6を介して情報配信装置3に送信される。
無線基地局4は、モバイル端末2と直接交信を行う携帯電話網の端末であり、モバイル端末2から発信された無線信号を携帯電話網の通信規格に準拠した信号に変換して交換局5に出力し、又は、交換局5から与えられた信号を上記無線通信規格に準拠した無線信号に変換して送信先のモバイル端末2に送信する。
交換局5は、携帯電話網の一部を構成する施設であり、無線基地局4から与えられた信号をネットワーク6の通信規格に準拠した方式の信号に変換してネットワーク6を介して情報配信装置3に送信し、又は、情報配信装置3からネットワーク6を介して与えられた信号を無線通信網の通信規格に準拠した信号に変換して無線基地局4に出力する。
ネットワーク6は、例えばLAN(Local Area Network)、インターネット、公衆回線又は専用回線などから構成される。このネットワーク6を介した交換局5及び情報配信装置3間の通信は、例えばネットワーク6がLANやインターネットである場合にはTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコルに従って行われる。
情報配信装置3は、各モバイル端末2から収集した時系列位置データに基づいて、ユーザの現在位置やそのユーザの嗜好に応じた最適なサービス情報を配信するサーバ装置であり、CPU15、記憶装置16、通信装置17及び入出力装置18を備えて構成される。
CPU15は、情報配信装置3全体の動作制御を司るプロセッサである。また記憶装置16は、例えば半導体メモリやハードディスク装置などから構成され、各種プログラムや各種データを保持するために利用される。記憶装置16に格納されたプログラムをCPUが実行することにより、後述のような情報配信装置3全体としての各種処理が実行される。
通信装置17は、情報配信装置3がネットワーク6を介して交換局5との間で通信を行う際のプロトコル制御を行うインタフェースであり、NIC(Network Interface Card)などから構成される。
入出力装置18は、入力装置及び出力装置から構成される。入力装置は、ユーザが各種操作入力を行うためのハードウェアであり、例えば、キーボード、マウス又はタッチパネルなどが適用される。また出力装置は、画像や音声を出力するハードウェアであり、例えば液晶ディスプレイ及びスピーカなどが適用される。
(2)本実施の形態による情報配信及び配信効果評価機能
次に、情報配信装置3に搭載された本実施の形態による情報配信及び配信効果評価機能について説明する。この情報配信及び配信効果評価機能は、複数ユーザの移動情報(時系列位置データ)をクラスタリング処理により複数のクラスタに分類し、分類したクラスタごとの支配的なユーザ属性をプロファイリング処理によりそれぞれ決定し、決定したクラスタごとの属性に基づいて、クラスタごとにそのクラスタに時系列位置データが属するユーザ(以下、適宜、これをそのクラスタに属するユーザと呼ぶ)に対する情報配信イベントを生成し、さらに情報配信イベントの実施結果に基づいて、情報配信イベントの効果を評価する機能である。
次に、情報配信装置3に搭載された本実施の形態による情報配信及び配信効果評価機能について説明する。この情報配信及び配信効果評価機能は、複数ユーザの移動情報(時系列位置データ)をクラスタリング処理により複数のクラスタに分類し、分類したクラスタごとの支配的なユーザ属性をプロファイリング処理によりそれぞれ決定し、決定したクラスタごとの属性に基づいて、クラスタごとにそのクラスタに時系列位置データが属するユーザ(以下、適宜、これをそのクラスタに属するユーザと呼ぶ)に対する情報配信イベントを生成し、さらに情報配信イベントの実施結果に基づいて、情報配信イベントの効果を評価する機能である。
このような情報配信及び配信効果評価機能を実現するための手段として、情報配信装置3の記憶装置16には、図2に示すように、プログラムとして、クラスタリング処理部20、プロファイリング処理部21、情報配信イベント決定・実行部22、情報配信イベント評価部23及び人流制御部43が格納されると共に、必要な情報を管理するためのテーブル及びデータベースとして、図1に示すように、ユーザ位置情報テーブル24、ユーザ分類情報テーブル25、ユーザ属性情報データベース26、候補属性テーブル27、クラスタ毎属性情報テーブル28、配信候補情報テーブル29及び情報配信イベントスコア情報テーブル30が格納されている。
クラスタリング処理部20は、複数ユーザの移動情報(時系列位置データ)をクラスタリング処理により分類する機能を有するプログラムであり、図2に示すように、位置情報取得部31、データフィルタリング部32、座標軸変換部33、データ補間部34、特徴量生成部35、クラスタリング実行部36及びクラスタ重心軌跡生成部37から構成される。
このうち位置情報取得部31は、各モバイル端末2の測位装置14(図1)により測位された位置情報(緯度及び経度)の時系列位置データを各ユーザの移動情報として収集する機能を有するモジュールである。位置情報取得部31は、各モバイル端末2に対して定期的又は非定期に時系列位置データの転送要求を送信することにより、これらモバイル端末2が保持する時系列位置データを収集し、収集した時系列位置データをユーザ位置情報テーブル24に登録して管理する。ただし、各モバイル端末2がかかる時系列位置データを定期的又は非定期に情報配信装置3に送信し、位置情報取得部31がこれらの時系列位置データをユーザ位置情報テーブル24に登録して管理するようにしても良い。
データフィルタリング部32は、予め指定された人の動きを分析すべきエリア(以下、これを分析エリアと呼ぶ)を緯度及び経度で特定し、上述のようにユーザ位置情報テーブル24に蓄積された各ユーザの時系列位置データの中から、分析エリアを過去に通過したユーザの時系列位置データのみを抽出するフィルタリング機能を有するモジュールである。
座標軸変換部33は、データフィルタリング部32により抽出された各時系列位置データの座標軸を必要に応じて相対座標軸に変換する機能を有するモジュールである。本実施の形態の場合、情報配信装置3は、分類目的に応じて、この後の分析に用いる座標軸として絶対座標軸及び相対座標軸のいずれかを選択する。絶対座標軸及び相対座標軸の詳細については、後述する。
データ補間部34は、データフィルタリング部32により抽出され、その後必要に応じて座標軸変換部33により座標軸の変換が行われた各時系列データに対して、欠損値を補間するデータ補間処理を実行する機能を有するモジュールである。また特徴量生成部35は、データ補間が行われた各時系列位置データに基づいて、各時系列位置データの特徴量を生成する機能を有するモジュールである。
クラスタリング実行部36は、特徴量生成部35により生成された各時系列位置データの特徴量に基づいてこれら時系列位置データ(各ユーザ)を複数のクラスタに分類するクラスタリング処理を実行する機能を有するモジュールである。クラスタリング実行部36は、かかるクラスタリング処理の処理結果をユーザ分類情報テーブル25に登録して管理する。
クラスタ重心軌跡生成部37は、クラスタリング実行部36により生成された時系列位置データのクラスタごとに、そのクラスタ重心の軌跡を生成する機能を有するモジュールである。クラスタ重心軌跡生成部37により生成されたクラスタごとのクラスタ重心の軌跡が必要に応じて入出力装置18(図1)に表示される。
一方、プロファイリング処理部21は、クラスタリング処理部20により生成された時系列位置データの各クラスタについて、そのクラスタに属する各ユーザの支配的な属性を推定及び決定するプロファイリング処理を実行する機能を有するプログラムであり、図2に示すように、候補属性取得部38及びクラスタ毎属性決定部39から構成される。
候補属性取得部38は、プロファイリング処理においてクラスタの属性となり得る項目及びその属性(値)を取得する機能を有するモジュールである。候補属性取得部38は、かかる項目及びその属性を後述する候補属性テーブル27(図6)から取得する。
またクラスタ毎属性決定部39は、クラスタごとにそのクラスタの支配的な属性を選択して決定する機能を有するモジュールである。クラスタ毎属性決定部39は、決定したクラスタごとの支配的な属性をクラスタ毎属性情報テーブル28に登録して管理する。
他方、情報配信イベント決定・実行部22は、プロファイリング処理部21により実行された上述のプロファイリング処理の処理結果に基づいて、各クラスタに属するユーザに配信すべき情報を決定し、決定した情報をこれらのユーザに配信する機能を有するプログラムである。この情報配信イベント決定・実行部22は、図2に示すように、情報配信イベント決定部40及び情報配信イベント実行部41から構成される。
情報配信イベント決定部40は、特定の属性を有するユーザに配信すべき情報が予め登録された配信候補情報テーブル29と、上述のクラスタ毎属性情報テーブル28とに基づいて、クラスタごとに、各クラスタに属するユーザに配信すべき情報を決定する機能を有するモジュールである。また情報配信イベント実行部41は、情報配信イベント決定部40の決定結果に従って各ユーザに情報を配信する情報配信イベントを実行する機能を有するモジュールである。
情報配信イベント評価部23は、情報配信イベント決定・実行部22により実行された情報配信イベントの効果を評価する機能を有するプログラムであり、図2に示すように、情報配信イベント実行結果取得部42から構成される。
情報配信イベント実行結果取得部42は、情報配信イベントの実行前後の時系列位置データの分類パターンを比較し、比較結果に基づいて情報配信イベントの効果を評価する機能を有するモジュールである。具体的に、情報配信イベント実行結果取得部42は、かかる情報配信イベントの費用対効果をスコアとして算出し、算出したスコア(以下、これを費用対効果スコアと呼ぶ)をその情報配信イベントに対する評価として配信候補情報テーブル29及び情報配信イベントスコア情報テーブル30に登録して管理する。
人流制御部43は、クラスタリング処理部20によるクラスタリング処理の処理結果と、プロファイリング処理部21によるプロファイリング処理の処理結果とに基づいて時間ごとの店舗への来客数又は通行路の通行人数を予測し、予測結果に基づいて、必要に応じて情報配信イベント決定・実行部22に情報配信を実行させることにより、店舗への来客数又は通行路の通行人数を制御する制御を行う機能を有するアプリケーションプログラムである。人流制御部43の具体的な処理内容については、後述する。
一方、ユーザ位置情報テーブル24は、クラスタリング処理部20(図1)の位置情報取得部31により各モバイル端末2から収集された時系列位置データを保持するために利用されるテーブルであり、図3に示すように、ユーザID欄24A、項目欄24B及び値欄24Cを備えて構成される。
そしてユーザID欄24Aには、情報配信装置3が時系列位置データを収集した各モバイル端末2のユーザに付与されたそのユーザに固有の識別子(ユーザID)が格納される。
また項目欄24Bは、タイムスタンプ欄24D、位置情報欄24Eに区分されると共に、位置情報欄24Eは、さらに緯度欄24F、経度欄24G及び位置測定誤差欄24Hに区分され、値欄24Cには、対応する項目の値が格納される。
具体的に、タイムスタンプ欄24Dに対応する値欄24Cには、対応するユーザの時系列位置データを構成する各位置データをモバイル端末2の測位装置14(図1)が取得した時刻が古い順にそれぞれ並べたリストが格納され、緯度欄24F及び経度欄24Gにそれぞれ対応する値欄24Cには、これらの時刻に測位装置14が取得した緯度及び経度のうちの対応する一方の値が古い順に並べたリストが格納される。さらに位置測定誤差欄24Hに対応する値欄24Cには、かかる各時刻における測位装置14の位置測定誤差を認識できる場合のその位置測定誤差が古い順に並べたリストが格納される。
従って、図3の例の場合、ユーザIDが「1」のユーザについては、時系列位置データとして「2015-01-01 09:00」、「2015-01-01 09:05」、……に測位を行った位置データを収集しており、「2015-01-01 09:00」の測位結果は緯度が「35.451414」、経度が「139.632177」で位置測定誤差が「10.0m」であり、「2015-01-01 09:05」の測位結果は緯度が「35.451416」、経度が「13***137」で位置測定誤差が「10.0m」であったことが示されている。
ユーザ分類情報テーブル25は、クラスタリング処理部20(図2)により実行されたクラスタリング処理の処理結果を管理するために利用されるテーブルであり、図4に示すように、クラスタID欄25A、項目欄25B及び値欄25Cを備えて構成される。
そしてクラスID欄25Aには、かかるクラスタリング処理により生成された各クラスタにそれぞれ付与されたそのクラスタに固有の識別子(クラスタID)が格納される。
また項目欄25Bは、サンプルユーザ数欄25D、サンプルユーザIDリスト欄25E及びクラスタ重心欄25Fに区分されると共に、クラスタ重心欄25Fは、緯度欄25G及び経度欄25Hに区分され、値欄25Cには、対応する項目の値がそれぞれ格納される。
具体的に、サンプルユーザ数欄25Dに対応する値欄25Cには、対応するクラスタに属するユーザ数が格納され、サンプルユーザIDリスト欄25Eに対応する値欄25Cには、これらユーザのユーザIDが列記されたリストが格納される。またクラスタ重心欄25Fの緯度欄25Gに対応する値欄25Cには、対応するクラスタに属する各ユーザの同じ時刻に収集された位置データに基づき算出されたそのクラスタの重心位置(以下、これをクラスタ重心位置と呼ぶ)の緯度の一覧でなるリストが格納され、クラスタ重心欄25Fの経度欄25Hに対応する値欄25Cには、かかるクラスタ重心位置の経度の一覧でなるリストが格納される。
従って、図4の例の場合、「1」というクラスタIDが付与されたクラスタについては、そのクラスタに属するユーザの数が「4000」、これらユーザのユーザIDが「1,2,5,……6400」であり、各時刻におけるクラスタ重心の緯度及び経度が順番に「35.451414,139.632177」、「35.451416,13***137」、……であったことが示されている。
ユーザ属性情報データベース26は、予め登録されている各ユーザの属性情報を管理するために利用されるデータベースであり、図5(A)〜(D)に示すように、ユーザ属性情報テーブル26A、自宅IDテーブル26B、職場IDテーブル26C及び経由地IDテーブル26Dから構成される。
ユーザ属性情報テーブル26Aは、各ユーザの属性情報を管理するためのテーブルであり、図5(A)に示すように、ユーザID欄26AA、属性情報欄26AB及び値欄26ACから構成される。そしてユーザID欄26AAには、属性情報が登録されている各ユーザのユーザIDが登録され、属性情報欄26ABには、幾つかの属性の属性名が格納される。また値欄26ACには、対応するユーザの対応する属性の値が格納される。
また自宅IDテーブル26Bは、自宅IDと、市町村との対応関係を管理するためのテーブルであり、図5(B)に示すように、自宅ID欄26BA及び値欄26BBから構成される。そして自宅ID欄26BAには、ユーザの自宅の位置に対して付与された識別子(自宅ID)が格納され、値欄26BBには、対応する自宅IDと対応付けられた住所(例えば、市町村単位)が格納される。
さらに職場IDテーブル26Cは、職場IDと、市町村との対応関係を管理するためのテーブルであり、図5(C)に示すように、職場ID欄26CA及び値欄26CBから構成される。そして職場ID欄26CAには、ユーザの職場の位置に対して付与された識別子(職場ID)が格納され、値欄26CBには、対応する職場IDと対応付けられた住所(例えば、市町村単位)が格納される。
経由地IDテーブル26Dは、経由地IDと、経由地との対応関係を管理するためのテーブルであり、図5(D)に示すように、経由地ID欄26DA及び値欄26DBから構成される。そして経由地ID欄26DAには、ユーザが移動する際に経由すると考えられる駅、商店、その他のランドマークに対して付与された識別子(経由地ID)が格納され、値欄26DBには、対応する経由地IDと対応付けられたランドマーク名が格納される。
従って、図5(A)〜(D)の例の場合、情報配信装置3は、各ユーザの属性として「年齢」、「性別」、「自宅ID」、「職場ID」、「経由地ID」、「広告A閲覧有無」及び「広告B閲覧有無」を管理しており、例えば、ユーザIDが「1」のユーザの年齢は「20代」、性別は「女性」、自宅は「B市内」、職場は「C市内」、今回の移動の経由地は「A駅」、広告Aを閲覧経験は「有」、広告Bを閲覧した経験は「無」であることが示されている。
候補属性テーブル27は、上述のプロファイリング処理において参照される、クラスタの属性となり得る項目及びその値(属性)を記憶保持するために利用されるテーブルであり、例えばオペレータ等により事前に作成される。この候補属性テーブル27は、図6に示すように、属性ID欄27A、項目欄27B及び属性欄27Cから構成される。
そして項目欄27Bには、予め設定された属性の項目がそれぞれ格納され、属性ID欄27Aには、対応する項目に付与された識別子(属性ID)が格納される。また属性欄27Cには、対応する項目についてユーザの属性となり得る値が格納される。
従って、図6の例の場合、属性の項目として、それぞれ属性IDとして「1」〜「7」が付与された「年齢」、「性別」、「自宅ID」、「職場ID」、「経由地ID」、「広告A閲覧有無」及び「広告B閲覧有無」という7つの項目が存在し、このうち例えば「年齢」については「10代以下」、「10代」、「20代」、……「90代以上」という属性が存在し、「性別」については「男性」及び「女性」という属性が存在することが示されている。
クラスタ毎属性情報テーブル28は、プロファイリング処理部21(図2)により実行されたプロファイリング処理の処理結果を管理するために利用されるテーブルであり、図7に示すように、クラスタID欄28A及び支配的属性欄28Bを備えて構成される。
そしてクラスタID欄28Aには、各クラスタのクラスタIDが格納され、支配的属性欄28Bには、かかるプロファイリング処理により決定された、対応するクラスタに属するユーザに関して図5(A)について上述した各項目の支配的な属性がそれぞれ格納される。
従って、図7の例の場合、「1」というクラスタIDが付与されたクラスタでは、年齢は「20代」、性別は「女性」、経由地は「C店舗」、広告Aの閲覧経験が「有」という属性が支配的であったことが示されている。
配信候補情報テーブル29は、予め定められた属性を満たすユーザに対して配信すべき配信候補の情報(以下、これを配信候補情報と呼ぶ)を管理するために利用されるテーブルであり、図8に示すように、配信情報ID欄29A、属性項目欄29B、配信情報内容欄29C、イベント実施コスト欄29D及び費用対効果スコア欄29Eされる。
そして配信情報ID欄29Aには、これら配信候補情報に対してそれぞれ付与されたその配信候補情報に固有の識別子(配信情報ID)が格納される。また属性項目欄29Bは、複数の属性項目にそれぞれ対応させて複数の項目欄(図8の場合は、「年齢」、「性別」、「職場ID」及び「経由地ID」の各項目欄)29BA〜29BDに区分され、これら項目欄29BA〜29BDに、それぞれ対応する配信候補情報を配信すべきユーザの各属性項目の値(属性)が格納される。
さらに配信情報内容欄29Cには、対応する配信候補情報の具体的な内容が格納され、イベント実施コスト欄29Dには、対応する配信情報におけるイベント(割引クーポンの配布や、店舗商品に対する割引の実施など)の実施によって発生するコストが格納される。このコストは、例えば、「割引クーポンの配布」というイベントであれば、クーポンの割引額、クーポン発券数などに基づいて算出されたものである。
さらに費用対効果スコア欄29Eには、情報配信イベント実行結果取得部42により算出された上述の費用対効果スコアが格納される。費用対効果スコアの算出手法については、後述する。
従って、図8の例の場合、配信情報IDが「1」の配信候補情報は、職場IDが「1」、経由地IDが「1」の「10代」の「女性」に「A駅周辺のコスメ商品取り扱い店舗の割引クーポン情報」を配信すべきものであることが規定されており、そのイベント実施コストは「10」で、以前に実施したその配信候補情報の配信イベントの費用対効果スコアが「100」であったことが示されている。
情報配信イベントスコア情報テーブル30は、情報を配信するイベント(以下、これを情報配信イベントと呼ぶ)に対する情報配信イベント評価部23の評価結果を管理するために利用されるテーブルであり、図9に示すように、クラスタID欄30A、一致クラスタ欄30B、クラスタ重心間距離欄30C、イベント実施コスト欄30D及び費用対効果スコア欄30Eを備えて構成される。
そしてクラスタID欄30Aには、情報配信イベントの実施前に実行した各ユーザの時系列位置データのクラスタリング処理により生成された各クラスタ(以下、適宜、これを情報配信イベント前クラスタと呼ぶ)のクラスタIDが格納され、一致クラスタ欄30Bには、対応するクラスタIDの情報配信イベント前クラスタに対して、後述のように情報配信イベント後に実行された各ユーザの時系列位置データのクラスタリング処理により生成された各クラスタ(以下、適宜、これを情報配信イベント後クラスタと呼ぶ)の中に同一の属性をもつ(又は一致する属性の数が閾値以上の)情報配信イベント後クラスタが存在するか否かを表す情報(存在する場合には「有」、存在しない場合には「無」)が格納される。
またクラスタ重心間距離欄30Cには、対応する情報配信イベント前クラスタに同一の属性をもつ(又は一致する属性の数が閾値以上の)情報配信後イベント後クラスタが存在する場合に、これら情報配信イベント前クラスタ及び情報配信イベント後クラスタ間のクラスタ重心の距離が格納される。なお対応する情報配信イベント前クラスタに情報配信後イベント後クラスタが存在しない場合には、このクラスタ重心間距離欄30Cにはデータが存在しないことを表す情報(「−」)が格納される。
さらにイベント実施コスト欄30Dには、図8について上述したイベント実施コストが格納され、費用対効果スコア欄30Eには、図8について上述した費用対効果スコアが格納される。
(3)情報配信及び配信効果評価機能に関する各種処理
次に、かかる本実施の形態による情報配信及び配信効果評価機能に関連して情報配信装置3により実行される各種処理の処理内容について説明する。なお、以下においては、各種処理の処理主体をプログラム又はモジュールとして説明するが、実際上は、そのプログラム又はモジュールに基づいてCPU15(図1)がその処理を実行することは言うまでもない。
次に、かかる本実施の形態による情報配信及び配信効果評価機能に関連して情報配信装置3により実行される各種処理の処理内容について説明する。なお、以下においては、各種処理の処理主体をプログラム又はモジュールとして説明するが、実際上は、そのプログラム又はモジュールに基づいてCPU15(図1)がその処理を実行することは言うまでもない。
(3−1)情報配信及び配信効果評価機能に関する処理の流れ
図10は、本実施の形態による情報配信及び配信効果評価機能に関する一連の処理(以下、これを情報配信及び配信効果評価処理と呼ぶ)の流れを示す。この情報配信及び配信効果評価処理は、オペレータが情報配信装置3を操作して、上述した分析エリアや、後述するクラスタリング処理時の座標軸(絶対座標軸又は相対座標軸)及びデータ補間方法などを設定した後に、情報配信及び配信効果評価処理を実行すべき旨の所定の操作を行うことにより開始される。
図10は、本実施の形態による情報配信及び配信効果評価機能に関する一連の処理(以下、これを情報配信及び配信効果評価処理と呼ぶ)の流れを示す。この情報配信及び配信効果評価処理は、オペレータが情報配信装置3を操作して、上述した分析エリアや、後述するクラスタリング処理時の座標軸(絶対座標軸又は相対座標軸)及びデータ補間方法などを設定した後に、情報配信及び配信効果評価処理を実行すべき旨の所定の操作を行うことにより開始される。
そして情報配信及び配信効果評価処理が開始されると、まず、クラスタリング処理部20(図2)が、各モバイル端末2から時系列位置データをそれぞれ収集し、収集した各モバイル端末2の時系列位置データを複数のクラスタに分類するクラスタリング処理を実行する(SP1)。そしてクラスタリング処理部20は、かかるクラスタリング処理を終了すると、プロファイリング処理部21(図2)を起動する。
プロファイリング処理部21は、クラスタリング処理部20により起動されると、クラスタリング処理部20により生成された時系列位置データの各クラスタについて、そのクラスタに振り分けられたユーザの支配的な属性を決定するプロファイリング処理を実行する(SP2)。そしてプロファイリング処理部21は、この後、情報配信イベント決定・実行部22(図2)を起動する。
情報配信イベント決定・実行部22(図2)は、プロファイリング処理部21により起動されると、プロファイリング処理部21により実行された上述のプロファイリング処理の処理結果に基づいて、クラスタごとに、そのクラスタに属するユーザに配信すべき配信候補情報を決定し、決定した配信候補情報をこれらのユーザに配信する(SP3)。そして情報配信イベント決定・実行部22は、この後、一定時間が経過すると、情報配信イベント評価部23(図2)を起動する。
情報配信イベント評価部23は、情報配信イベント決定・実行部22により呼び出されると、情報配信イベント決定・実行部22により実行されたクラスタごとの対応する情報配信イベントの効果を評価する情報配信イベント評価処理を実行し、この情報配信イベント評価処理の処理結果を入出力装置18(図1)に所定形式で表示する(SP4)。
そして情報配信装置3は、情報配信イベント評価処理の処理結果を表示し終えると、この一連の情報配信及び配信効果評価処理を終了する。
(3−2)クラスタリング処理
図11は、図10のステップSP1においてクラスタリング処理部20により実行されるクラスタリング処理の具体的な処理の流れを示す。
図11は、図10のステップSP1においてクラスタリング処理部20により実行されるクラスタリング処理の具体的な処理の流れを示す。
このクラスタリング処理では、まず、位置情報取得部31(図2)が、各モバイル端末2からそのモバイル端末2が保持する時系列位置データをそれぞれ収集し、収集したこれらの時系列位置データをユーザ位置情報テーブル24(図3)に登録する(SP10)。そして位置情報取得部31は、この後、データフィルタリング部32(図2)を呼び出す。
データフィルタリング部32は、位置情報取得部31により呼び出されると、そのとき設定されている分析エリアの範囲情報(緯度及び経度)に基づいて、ユーザ位置情報テーブル24に登録されている各ユーザの時系列位置データの中から、分析エリア内を過去に通過したユーザの時系列位置データのみを抽出するフィルタリング処理を実行する(SP11)。
この際、データフィルタリング部32は、分析エリア内を過去に通過したユーザであっても、時系列位置データを構成する位置データの数が予め定められた閾値を下回るユーザについてはその時系列位置データを削除する。またデータフィルタリング部32は、ユーザ位置情報テーブル24に登録されている測位誤差が大きい位置データもこの段階で削除する。そしてデータフィルタリング部32は、この後、座標軸変換部33(図2)を呼び出す。
座標軸変換部33は、データフィルタリング部32により呼び出されると、データフィルタリング部32による上述のフィルタリング処理後の時系列位置データに対して、必要に応じて座標軸を変換する座標軸変換処理を実行する(SP12)。
本情報配信装置3の場合、時系列位置データの分類目的に応じて、この後の分析に用いる座標軸として絶対座標軸及び相対座標軸いずれかをオペレータが予め選択することができる。絶対座標軸は、図12(A)に示すように、上述のようにして収集したそのユーザの緯度及び経度をそのままそのユーザの位置とした座標軸であり、相対座標軸は、図12(B)に示すように、ユーザの時系列位置データを構成する位置情報の初期値を基準としてユーザの位置を表す座標軸である。
図13に示すように、絶対座標軸を用いる方式(方式A)は、地域ごとの人の分布や振る舞いが見えやすいという利点があるものの、移動パターンが異なるユーザが同一クラスタに分類されるケースがある欠点があり、絶対座標軸を用いる方式(方式B)は、ユーザの移動パターンが見えやすいという利点があるものの、移動する地域が異なるユーザも同じクラスタに分類されるケースがあるという決定がある。ただし、方式Bのこのような欠点は、分類結果を地域で再分類し、地域ごとの代表移動パターンを抽出することで概ね解決することができる。
そこで座標軸変換部33は、このステップSP12において、オペレータにより予め座標軸として絶対座標軸が選択されている場合には何もせず、かかる座標軸として相対座標軸が選択されている場合には、ステップSP11でフィルタリング処理された後の各時系列位置データに対して、その座標軸をそれぞれ相対座標軸に変換する座標軸変換処理を実行する。そして座標軸変換部33は、この後、データ補間部34(図2)を呼び出す。
データ補間部34は、座標軸変換部33により呼び出されると、ステップSP12において必要に応じて座標軸変換処理が施された各時系列位置データについて、欠損値を補間するデータ補間処理を実行する(SP13)。
これは、クラスタリング処理を実行するためにはユーザごとの特徴量の数が揃っている必要があるが、基本的に時系列位置データには、図14(A)に示すように、短期的なデータ欠損期間や長期的なデータ欠損期間が存在するからである。この際用いるデータ補間の方法としては、以下の第1〜第3のデータ補間方法を適用することができる。
第1のデータ補間方法は、図14(B)に示すように、短期的なデータ欠損期間については線形補間法により補間し、長期的なデータ欠損期間については、当該データ欠損期間の直後又は直前の時系列位置データの値で補間する方法である。また第2のデータ補間方法は、図14(C)に示すように、短期的なデータ欠損期間については線形補間法により補間し、長期的なデータ欠損期間については、存在する短期の時系列位置データを繰り返すようにして補間する方法である。
さらに第3のデータ補間方法は、図14(D)に示すように、短期的なデータ欠損期間については線形補間法により補間し、長期的なデータ欠損期間については、存在する短期の時系列位置データを繰り返す補間と、曲線補間とを併用する方法である。曲線補間は、例えばスプライン補間などの滑らかな曲線補間方法を用いることにより、後述するフーリエ変換時のノイズを低減することができる。この第3のデータ補間方法によれば、曲線補間により移動開始時刻の情報は残しつつ、短期データ繰返し補間により周期的な特徴を捉えやすくすることができる。
そしてデータ補間部34は、以上の第1〜第3のいずれかのデータ補間方法を利用してかかるデータ補間処理を実行し、このデータ補間処理を終了すると、特徴量生成部35(図2)を呼び出す。
特徴量生成部35は、データ補間部34により呼び出されると、データ補間処理が施された各時系列位置データの特徴量をそれぞれ生成する特徴量生成処理を実行する(SP14)。
この際、特徴量生成部35は、位置及び移動速度を含めた特徴解析を行うため、データ補間処理が施された各時系列位置データをそれぞれフーリエ変換することにより周波数領域に変換した上で時系列位置データごとの特徴量をそれぞれ生成する。
具体的に、特徴量生成部35は、対象とする各時系列位置データについて、まず、その時系列位置データを構成する各位置情報(緯度及び経度)を、それぞれ緯度データを実部、経度データを虚部とする複素数データに変換する。また特徴量生成部35は、複素数データ(時系列位置データ)をフーリエ変換して周波数データに変換する。さらに特徴量生成部35は、時系列位置データごとに、上述のようにして周波数データに変換した各位置情報の実部及び虚部をそれぞれ線形結合することにより特徴量ベクトルを生成し、生成した特徴量ベクトルをその時系列位置データの特徴量とする。
そして特徴量生成部35は、このようにして各時系列位置データの特徴量を生成し終えると、クラスタリング実行部36(図2)を呼び出す。
クラスタリング実行部36は、特徴量生成部35により呼び出されると、対象とする各時系列位置データの特徴量に基づき、k-means法などを用いて、これらの時系列位置データを複数のクラスタ(以下、この段階のクラスタを暫定クラスタと呼ぶ)に分類するクラスタリング実行処理を実施する(SP15)。
この際、クラスタリング実行部36は、クラスタ数を2,3,4,……に順次設定して分類を行うと共に、その都度、暫定クラスタ内の類似性と暫定クラスタ間の分離性を評価することにより最適なクラスタ数を決定する。
暫定クラスタ内の類似性は、例えば、暫定クラスタ1〜Mのそれぞれのクラスタリングの結果を、各ユーザの時系列位置データの特徴量と、各暫定クラスタ間のクラスタ重心の距離とにより評価する。各ユーザの時系列位置データの特徴量と、各暫定クラスタ間のクラスタ重心の距離とを用いる方法として、例えば、暫定クラスタ内の各時系列位置データの特徴量と各暫定クラスタ間のクラスタ重心の距離や、暫定クラスタ内における各時系列位置データの分散、及び、クラスタ数を用いて評価する。
こうした方法としては、例えば、赤池情報量基準(AIC:Akaike’s Information Criterion)を用いて評価する方法がある。赤池情報量基準は、最大尤度をL、自由度パラメータの数をKとして、一般的に次数
により表される。
最大尤度Lは、例えば次式
により表される。(2)式において、RSSkは暫定クラスタkの全メンバのクラスタ重心から距離の2乗和、dはメンバの分散を表す。
また自由パラメータの数Kは、例えば、次式
により表される。(3)式において、Mはクラスタ数、Dは特徴量の次元数を表す。
ただし、赤池情報量基準以外の評価基準(例えばベイズ情報量基準(BIC:Bayesian Information Criterion))を用いることもできる。
暫定クラスタ間の分離性は、例えば、各暫定クラスタ間の距離を用いて評価する。暫定クラスタ間の距離は、例えば、暫定クラスタ同士間をそれぞれ分離可能な境界面を多クラスサポートベクターマシンでそれぞれ算出し、この後、各暫定クラスタ間のマージン(距離)の合計値をMNとして、次式
により暫定クラスタ間平均分離度B(N)として算出する。なお、(4)式において、Nはクラスタ数を表す。
この暫定クラスタ間平均分離度B(N)は、上述のように暫定クラスタ同士の分離の度合いを表す指標であり、この値が大きいほど暫定クラスタ同士が分離していることを表す。また暫定クラスタ間平均分離度は、各暫定クラスタ間の平均的な距離が大きければ増大する指標であればどのようなものであっても良く、クラスタ重心の集合{Ck}間のそれぞれの距離の平均値を適用するようにしても良い。
クラスタリング実行部36は、このようにして対象とする各時系列位置データのクラスタリング実行処理を完了すると、クラスタ重心軌跡生成部37(図2)を呼び出す。
クラスタ重心軌跡生成部37は、クラスタリング実行部36により呼び出されると、各暫定クラスタのクラスタ重心の時間領域の時系列位置データを生成し、得られた各暫定クラスタの時系列位置データに基づく波形を入出力装置18(図1)に表示させる(SP16)。
具体的に、クラスタ重心軌跡生成部37は、クラスタごとに、上述のクラスタリング実行処理において得られたクラスタ重心の前半データを実部、後半データを虚部とする周波数領域の複素数データを生成し、生成した複素数データをフーリエ逆変換することにより位置情報を表す複素数データに変換する。またクラスタ重心軌跡生成部37は、この複素数データ(位置情報)の実部を緯度、虚部を経度としてクラスタ重心の時系列位置データを生成する。そしてクラスタ重心軌跡生成部37は、このようにして生成した各暫定クラスタのクラスタ重心の時系列位置データに基づいて、各暫定クラスタのクラスタ重心の軌跡を例えば図15に示すような形式で入出力装置18に表示させる。
この図15は、各ユーザの時系列位置データが6つの暫定クラスタに分類された場合の例であり、これら暫定クラスタのクラスタ重心の軌跡を、それぞれ緯度、経度及び時間をそれぞれ軸とする3次元座標上に描写した表示例を表している。このように緯度、経度及び時間をそれぞれ軸とする3次元座標上にクラスタ重心の軌跡を描写することにより、これら暫定クラスタに属するユーザの代表的な移動パターンを位置及び移動速度を考慮した波形として表示することができる。またクラスタ重心軌跡生成部37は、この際、各暫定クラスタに属するメンバ数(ユーザ数)も併せて表示する。
続いて、クラスタ重心軌跡生成部37は、時系列位置データの座標軸が相対座標軸であるか否かを判定し、肯定結果を得た場合には、各暫定クラスタを絶対座標軸にて再分類する(SP17)。このような再分類の方法としては、例えば、その暫定クラスタに振り分けられたユーザが特定の時間帯(例えば、データ開始時刻から一定時間経過するまでの期間)に経由しているエリアごとに再分類する方法が考えられる。このような再分類の方法を図16及び図17に示す。再分類後のクラスタ重心は、例えば、再分類後のクラスタ内のユーザの特定の時間帯の平均位置を基準として再配置する。
図18は、このような再分類を行った後のクラスタリング処理の処理結果の表示例を示す。このとき、クラスタ重心の波形だけでなく、各クラスタに時系列位置データが振り分けられたユーザの移動パターンを表す元の波形を追加で表示しても良い。また図15、図18に示すクラスタリング結果表示の際は、各クラスタ内のユーザの時系列位置データのクラスタ重心の軌跡に対するばらつきの度合が分かるように、例えば、各クラスタ内のユーザの時系列位置データの時間毎の分散などを算出して、分散の値に応じて時間毎のクラスタ重心の軌跡を示す線の太さを変えるように表示しても良い。
そしてクラスタ重心軌跡生成部37は、このようなクラスタリング処理の処理結果をユーザ分類情報テーブル25(図4)に登録する。
以上までの処理によりクラスタリング処理部20(図2)によるクラスタリング処理が終了する。
(3−3)プロファイリング処理
一方、図19は、図10のステップSP2においてプロファイリング処理部21(図2)により実行されるプロファイリング処理の具体的な処理の流れを示す。
一方、図19は、図10のステップSP2においてプロファイリング処理部21(図2)により実行されるプロファイリング処理の具体的な処理の流れを示す。
このプロファイリング処理では、まず、候補属性取得部38(図2)が、クラスタの属性となり得る項目及びその値(属性)を候補属性テーブル27(図6)から読み出す(SP20)。そして候補属性取得部38は、この後、クラスタ毎属性決定部39(図2)を呼び出す。
またクラスタ毎属性決定部39は、候補属性取得部38により呼び出されると、ユーザ属性情報データベース26(図1)及び候補属性テーブル27に基づいて、例えば診断木学習によりクラスタごとの支配的な属性をそれぞれ決定し、決定結果をクラスタ毎属性情報テーブル28(図7)に登録する(SP21)。
なお、本実施の形態においては、以下のようにかかる診断木学習に用いる診断決定木の作成アルゴリズムとしてID3(Iterative Dichotomiser 3)を用いることとしているが、C4.5,CART(Classification And Regression Trees)、ID3−pluralなどのID3以外のアルゴリズムを適用することもできる。
以上の処理によりプロファイリング処理が終了する。
ここで、図20は、上述のプロファイリング処理において生成される診断決定木TRの概略構成を示す。この診断決定木TRを生成する処理は、ユーザ属性情報データベース26(図1)に登録された各ユーザの属性情報に基づいて、各ユーザがそれぞれ関連するクラスタを推定するための診断決定木TRを統合的に生成するための処理である。かかる診断決定木TRは、図20からも明らかなように、第1の診断決定木TR1と第2の診断決定木TR2とから構成される。
第1の診断決定木TR1は、各ユーザの分析期間分の位置及び属性情報にのみ基づいて作成される診断木である。実際上、第1の診断決定木TR1では、各ノードND1の内容が時系列位置データに基づき認識されるユーザの移動状況や、ユーザの属性情報に関するもののみとなっており、ユーザの属性情報にのみ基づいてユーザをいずれかのクラスタに関連付け得るようになされている。
また第2の診断決定木TR2は、第1の診断決定木TR1の各リーフLF1のうち、振分け先のクラスタが明確となっていない(振分け先のクラスタが1つに決定されていない)リーフLF1をルートとして、当該リーフLF1に振り分けられる既存のユーザの分析期間分の時系列位置データを分析することにより得られた、これらユーザの付帯情報(これらユーザが属するクラスタの属性情報)に基づいて作成される診断木である。実際上、第2の診断決定木TR2では、各ノードND2の内容がユーザの付帯情報に関するもののみとなっており、これら付帯情報に基づいてユーザをいずれかのクラスタと関連付け得るようになされている。
図21は、このような診断決定木TRを生成するためにクラスタ毎属性決定部39(図2)により実行される診断決定木生成処理の具体的な処理内容を示す。
クラスタ毎属性決定部39は、図19のステップSP21に進むと、この図21に示す診断決定木生成処理を開始し、まず、ユーザ分類情報テーブル25(図4)及びクラスタ毎属性情報テーブル28(図7)を参照して、第1の診断決定木TR1を生成する(SP30)。
続いて、クラスタ毎属性決定部39は、第1の診断決定木TR1において振分け先のクラスタが1つに決定されていないリーフLF1が存在するか否かを判断する(SP31)。そしてクラスタ毎属性決定部39は、この判断で否定結果を得ると、この診断決定木生成処理を終了する。
これに対して、クラスタ毎属性決定部39は、ステップSP31の判断で肯定結果を得ると、クラスタ毎属性情報テーブル28を参照して第2の診断決定木TR2を生成し(SP32)、この後、この診断決定木生成処理を終了する。
図22は、かかる診断決定木生成処理(図21)のステップSP30においてクラスタ毎属性決定部39により実行される第1の診断決定木生成処理の具体的な処理内容を示す。クラスタ毎属性決定部39は、診断決定木生成処理のステップSP30に進むと、この図22に示す第1の診断決定木生成処理を開始し、まず、図11のステップSP15について上述したクラスタリング実行処理で得られたクラスタ情報{Xk}と、それぞれのユーザの属性項目{Ai}とを取得する(SP40)。
続いて、クラスタ毎属性決定部39は、未処理のノードを1つ選択する(SP41)。なおクラスタ毎属性決定部39は、ステップSP41以降の処理をそのとき生成しようとする診断決定木TRのルート(最上位のノード)から処理を開始するため、最初に実行するステップSP41ではルートを選択する。
次いで、クラスタ毎属性決定部39は、ステップSP40で取得したユーザの属性項目{Ai}が空集合であるか否かを判断する(SP42)。そしてクラスタ毎属性決定部39は、この判断で肯定結果を得ると、ステップSP40で選択したノードをリーフ(端末のノード)とした後(SP43)、ステップSP52に進む。
これに対して、クラスタ毎属性決定部39は、ステップSP42の判断で否定結果を得ると、現在のクラスタ情報に含まれるすべてのユーザのクラスタの平均情報量Hを次式
により算出する(SP44)。なお(5)式において、|Xk|はクラスタkに含まれるユーザ数を表す。
この平均情報量H(|Xk|)は、入力されたユーザの時系列位置データが属するクラスタにばらつきが大きければ大きく、偏りが大きい場合に大きな値を取る。入力された各ユーザの時系列位置データがそれぞれ1つのクラスタのみに所属している場合には「0」となる。
この後、クラスタ毎属性決定部39は、入力された属性項目{Ai}から、未処理の属性項目Aiを1つ選択し(SP45)、選択した属性項目Aiに含まれる値ai,1、ai,2、ai,3、……を属性値としてもつユーザの部分集合におけるクラスタ集合{YK,j}と、そのユーザ数|YK,j|とを算出する(SP46)。
そしてクラスタ毎属性決定部39は、ステップSP45で選択した属性項目Aiについて情報ゲインIG(Ai)を次式
により算出する。なお情報ゲインIG(Ai)は、属性値ai,1、ai,2、ai,3、……によってユーザを部分的に分割した場合に属するクラスタのばらつきがどの程度減少するかを表すパラメータである。
続いて、クラスタ毎属性決定部39は、入力されたすべての属性項目{Ai}について情報ゲインIG(Ai)を算出し終えたか否かを判断する(SP47)。そしてクラスタ毎属性決定部39は、この判断で否定結果を得るとステップSP45に戻り、この後、ステップSP45で選択する属性項目Aiを未処理の他のノードに順次切り替えながら、ステップSP45〜ステップSP48の処理を繰り返す。
そしてクラスタ毎属性決定部39は、やがてすべての属性項目{Ai}について情報ゲインIG(Ai)を算出し終えることによりステップSP48で肯定結果を得ると、情報ゲインIG(Ai)が最も大きい属性項目Ai*を診断決定木TRの現在のノードに設定すると共に(SP49)、属性項目Ai*の属性値ai*,1、ai*,2、ai*,3、……のそれぞれについて子ノードを作成する(SP50)。
次いで、クラスタ毎属性決定部39は、上述の属性項目Ai*の属性値ai*,1、ai*,2、ai*,3、……について、当該属性値ai*,jをもつユーザについてのクラスタ部分集合{YK,j}を、対応する子ノードに対する新たなクラスタ集合{Xk}として対応付ける。また上述の最も情報ゲインIG(Ai)が大きい属性項目Ai*を除く属性項目の部分集合{Ai/Ai*}を各子ノードに対する新たな属性集合{Ai}として対応付ける(SP51)。
この後、クラスタ毎属性決定部39は、すべてのノードについてステップSP42〜ステップSP51の処理を実行し終えたか否かを判断する(SP52)。そしてクラスタ毎属性決定部39は、この判断で否定結果を得るとステップSP41に戻り、この後、ステップSP41で選択するノードを未処理の他のノードに順次切り替えながら、ステップSP41〜ステップSP52の処理を繰り返す。
そしてクラスタ毎属性決定部39は、やがてすべてのノードについて属性情報Ai*を決定等し終えることによりステップSP52で肯定結果を得ると、この第1の診断決定木生成処理を終了する。
一方、図23は、かかる診断決定木生成処理(図21)のステップSP32においてクラスタ毎属性決定部39により実行される第2の診断決定木生成処理の具体的な処理内容を示す。この図23に示す第2の診断決定木生成処理は、図22について上述した第1の診断決定木生成処理で生成した第1の診断決定木TR1の各リースLF1のうち、振分け先のクラスタが明確となっていない(振分け先のクラスタが1つに決定されていない)リーフLF1について、ユーザの付帯情報を属性項目{Bi}として第2の診断決定木TR2(図20)を作成する際にクラスタ毎属性決定部39により実行される。
この第2の診断決定木生成処理のステップSP60〜ステップSP72の処理内容は、付帯情報を入力項目とする点以外は図22について上述した第1の診断決定木生成処理のステップSP40〜ステップSP52と同様であるため、その詳細説明は省略する。
なお図22について上述した第1の診断決定木生成処理、及び、図23について上述した第2の診断決定木生成処理ではID3を用いる場合について説明したが、クラスタを診断可能な決定木を生成する方法であればいずれの方法を用いるようにしても良く、また第1及び第2の診断決定木TR1,TR2の生成方法として異なる診断決定木の生成方法を用いるようにしても良い。
(3−4)情報配信イベント決定・実行処理
図24は、図10のステップSP3において情報配信イベント決定・実行部22(図2)により実行される情報配信イベント決定・実行処理の具体的な処理内容を示す。以下においては、時系列位置データがいずれかのクラスタに属するユーザのみを対象として情報の配信を行う場合と、不特定多数を対象として情報の配信を行う場合の2通りの情報配信イベント決定・実行処理の処理内容についてそれぞれ説明する。
図24は、図10のステップSP3において情報配信イベント決定・実行部22(図2)により実行される情報配信イベント決定・実行処理の具体的な処理内容を示す。以下においては、時系列位置データがいずれかのクラスタに属するユーザのみを対象として情報の配信を行う場合と、不特定多数を対象として情報の配信を行う場合の2通りの情報配信イベント決定・実行処理の処理内容についてそれぞれ説明する。
(3−4−1)クラスタメンバを対象とする情報配信
まず、時系列位置データがいずれかのクラスタに属するユーザのみを対象として情報の配信を行う場合の情報配信イベント決定・実行処理の処理内容について説明する。
まず、時系列位置データがいずれかのクラスタに属するユーザのみを対象として情報の配信を行う場合の情報配信イベント決定・実行処理の処理内容について説明する。
この場合、まず、情報配信イベント決定・実行部22の情報配信イベント決定部40(図2)が、クラスタ毎属性情報テーブル28(図7)及び配信候補情報テーブル29(図8)を参照して、クラスタごとに特定した属性情報に基づいて、クラスタごとに、そのクラスタに属する各ユーザに配信する情報(配信情報)を決定する(SP80)。
具体的に、情報配信イベント決定部40は、クラスタ毎属性情報テーブル28におけるあるクラスタに属するユーザの支配的な属性と、配信候補情報テーブル29の属性項目との一致数が予め設定された閾値(以下、これを一致属性項目数閾値と呼ぶ)以上の配信候補情報をそのクラスタの配信情報として決定する。
例えば図7及び図8の例において、かかる一致属性項目数閾値が「3」である場合、クラスタ毎属性情報テーブル28に登録されたクラスタIDが「1」のクラスタは、「年齢」、「性別」及び「経由地」の3つが、配信候補情報テーブル29に登録されている配信情報IDが「2」の配信候補情報の対応する属性項目の値と一致するため、「C店舗周辺のレディースファッション店の割引クーポン情報」という配信候補情報が、クラスタIDが「1」のクラスタに属するユーザへの配信情報として決定されることになる。
なお本実施の形態においては、配信候補情報テーブル29は事前に人手によって作成されているものとしているが、例えば情報配信イベント決定部40が、属するユーザ数が一定数以上のクラスタの属性については配信対象情報を用意するなど、配信候補情報テーブル29の属性項目欄29Bの各項目欄29BA〜29BDの値を過去のプロファイリング処理の処理結果に基づいて決定するようにしても良い。
この後、情報配信イベント決定部40は、情報配信イベントを生成し終えると、情報配信イベント実行部41(図2)を呼び出す。
情報配信イベント実行部41は、情報配信イベント決定部40により呼び出されると、ステップSP81〜ステップSP85の処理を実行することにより、クラスタごとに、そのクラスタに属するユーザを対象として情報の配信を行う。
実際上、情報配信イベント実行部41は、まず、未処理のクラスタを1つ選択し(SP81)、そのクラスタに属するユーザのユーザ数が予め設定された閾値(以下、これをユーザ数閾値と呼ぶ)以上であるか否かを判断する(SP82)。これは、情報配信イベント(ステップSP80で選択された配信すべき配信候補情報を配信するイベント)を実行する対象をユーザ数がユーザ数閾値以上のクラスタに制限するためである。
そして情報配信イベント実行部41は、この判断で否定結果を得るとステップSP85に進み、ステップSP82の判断で肯定結果を得ると、ステップSP81で選択したクラスタについてステップSP80で決定した配信情報を配信するイベントの費用対効果スコアが当該費用対効果について予め設定された閾値(以下、これを費用対効果閾値と呼ぶ)以上であるか否かを判断する(SP83)。これは、情報配信の対象を費用対効果スコアが費用対効果閾値以上のクラスタに制限するためである。
そして情報配信イベント実行部41は、この判断で否定結果得るとステップSP85に進み、ステップSP83の判断で肯定結果を得ると、ステップSP81で選択したクラスタについてステップSP80で選択した配信情報を配信する(SP84)。
具体的に、情報配信イベント実行部41は、そのときステップSP81で選択したクラスタに属するすべてのユーザのモバイル端末2に対して、そのクラスタについてステップSP80で選択した配信情報をメールにより配信する。ただし、情報の配信をメールの配信ではなく、例えばそのとき対象としているクラスタに属するユーザの支配的な属性としていずれかの経由地が存在する場合には、その経由地周辺の情報配信端末(電子掲示板など)にその配信情報を配信するようにしても良い。なお、このような配信情報の配信タイミングは、ユーザの位置情報をリアルタイムで収集し、当該ユーザが当該経由地を通過するタイミングで行うようしても良い。
またクラスタに属するユーザの支配的な属性としていずれかの経由地がある場合における情報の配信タイミングの別の決定方法として、対象とするクラスタに属するユーザがその経由地に現れる時間をユーザが使用する情報サービスと連携して予測し、その時間に情報配信を行うようにしても良い。例えばユーザの乗換え案内サービス利用履歴からそのユーザがその経由地に現れる時間を予測し、タイマ等を用いて当該ユーザの当日の行動によらず、その経由地周辺の情報配信端末(電子掲示板など)に情報配信しても良い。また、例えば、ユーザの乗換え案内サービス利用履歴に基づいて、ユーザの出発地点を予測して、当該出発地点とその経由地との間にある情報配信端末(電子掲示板など)に情報を配信しても良い。
続いて、情報配信イベント実行部41は、すべてのクラスタについてステップSP82〜ステップSP84の処理を実行し終えたか否かを判断する(SP85)。そして情報配信イベント実行部41は、この判断で否定結果を得るとステップSP81に戻り、この後、ステップSP81で選択するクラスタを未処理の他のクラスタに順次切り替えながら、ステップSP81〜ステップSP85の処理を繰り返す。
そして情報配信イベント実行部41は、やがてすべてのクラスタについてステップSP82〜ステップSP84の処理を実行し終えることによりステップSP85で肯定結果を得ると処理を終了する。これにより情報配信イベント決定・実行部22(図2)による一連の情報配信イベント決定・実行処理が終了する。
(3−4−2)不特定多数を対象とする情報配信
次に、不特定多数を対象として情報配信を行う場合の情報配信イベント決定・実行処理の処理内容について、図24を参照して説明する。
次に、不特定多数を対象として情報配信を行う場合の情報配信イベント決定・実行処理の処理内容について、図24を参照して説明する。
この場合、まず、情報配信イベント決定部40が、クラスタ毎属性情報テーブル28(図7)及び配信候補情報テーブル29(図8)を参照して、クラスタごとに特定した属性情報に基づいて、クラスタごとに、そのクラスタに属する各ユーザに配信する情報(配信情報)を決定する(SP80)。
具体的に、情報配信イベント決定部40は、例えば、ユーザ分類情報テーブル25(図4)から、サンプルユーザ数が多いクラスタの上位の一定数のクラスタIDを取得する。そして情報配信イベント決定部40は、取得したクラスタIDのクラスタ毎属性情報テーブル28における支配的な属性と、配信候補情報テーブル29の属性項目との一致数が上述の一致属性項目数閾値以上の配信候補情報を配信情報として配信候補情報テーブル29から選択する。
そして情報配信イベント決定部40は、この後、情報配信イベント実行部41を呼び出す。
情報配信イベント実行部41は、情報配信イベント決定部40により呼び出されると、ステップSP81〜ステップSP85の処理を実行することにより、不特定多数を対象として情報配信を行う。
実際上、情報配信イベント実行部41は、ステップSP81〜ステップSP83を上述した「(3−4−1)クラスタメンバを対象とする情報配信」と同様に処理する。
続いて、情報配信イベント実行部41は、ステップSP80で決定した配信情報を、不特定多数を対象とする情報配信手段にて配信する(SP84)。ここで、不特定多数を対象とする情報配信手段としては、例えば、テレビ、ラジオ、インターネット等のメディアを介した広告、新聞やポスタなどの紙を媒体とする広告などであり、人に情報を提示できるものであれば、この他の情報配信手段であっても良い。
またクラスタに属するユーザの支配的な属性としていずれかの経由地がある場合における情報の配信タイミングの別の決定方法として、対象とするクラスタに属するユーザがその経由地に現れる時間をユーザが使用する情報サービスと連携して予測し、その時間に情報配信を行うようにしても良い。例えばユーザの乗換え案内サービス利用履歴からそのユーザがその経由地に現れる時間を予測し、タイマ等を用いて当該ユーザの当日の行動によらず、その経由地周辺の情報配信端末(電子掲示板など)に情報配信しても良い。また、例えば、ユーザの乗換え案内サービス利用履歴に基づいて、ユーザの出発地点を予測して、当該出発地点とその経由地との間にある情報配信端末(電子掲示板など)に情報を配信しても良い。
続いて、情報配信イベント実行部41は、すべてのクラスタについてステップSP82〜ステップSP84の処理を実行し終えたか否かを判断する(SP85)。そして情報配信イベント実行部41は、この判断で否定結果を得るとステップSP81に戻り、この後、ステップSP81で選択するクラスタを未処理の他のクラスタに順次切り替えながら、ステップSP81〜ステップSP85の処理を繰り返す。
そして情報配信イベント実行部41は、やがてすべてのクラスタについてステップSP82〜ステップSP84の処理を実行し終えることによりステップSP85で肯定結果を得ると処理を終了する。これにより情報配信イベント決定・実行処理による情報配信イベント決定・実行処理が終了する。
(3−5)情報配信イベント評価処理
(3−5−1)クラスタメンバを対象とする情報配信イベントの評価処理
図25は、図24について上述した情報配信イベント決定・実行処理の終了後、一定時間が経過した後に、図10のステップSP4において情報配信イベント評価部23(図2)の情報配信イベント実行結果取得部42(図2)により実行される第1の情報配信イベント評価処理の具体的な処理内容を示す。
(3−5−1)クラスタメンバを対象とする情報配信イベントの評価処理
図25は、図24について上述した情報配信イベント決定・実行処理の終了後、一定時間が経過した後に、図10のステップSP4において情報配信イベント評価部23(図2)の情報配信イベント実行結果取得部42(図2)により実行される第1の情報配信イベント評価処理の具体的な処理内容を示す。
情報配信イベント実行結果取得部42は、この図25に示す処理手順に従って、図24について上述した情報配信イベントの前後の分類パターンを比較し、特に同一属性の分類結果の変化の大きさを評価(同一属性の分類結果の変化が大きいものを高く評価)する。
実際上、情報配信イベント実行結果取得部42は、この第1の情報配信イベント評価処理を開始すると、まず、クラスタリング処理部20(図2)及びプロファイリング処理部21(図2)を制御することにより、図11について上述したスタイリング処理及び図19〜図23について上述したプロファイリング処理を実行させる(SP90)。
続いて、情報配信イベント実行結果取得部42は、ステップSP90で実行させたプロファイリング処理の処理結果を、図24について上述した情報配信イベント決定・実行処理の実行前に取得した(つまり図10のステップSP2で取得した)プロファイリング結果と比較し、同一の属性をもつ、又は、一致する属性の数が予め設定された閾値以上のクラスタを抽出する(SP91)。
次いで、情報配信イベント実行結果取得部42は、情報配信前のクラスタごとに、情報配信後の同一属性をもつクラスタとのクラスタ重心間の距離をそれぞれ算出する(SP92)。例えば、情報配信イベント実行結果取得部42は、時間ごとのクラスタ重心の位置(緯度、経度)の差を時間積算することによりかかる距離を算出する。
さらに情報配信イベント実行結果取得部42は、かかる距離の算出結果に基づいて、今回の情報配信に対する費用対効果スコアを算出する(SP93)。具体的に、情報配信イベント実行結果取得部42は、算出した距離に対して、配信情報のイベント実施コストを除算することにより情報配信による費用対効果スコアを算出する。このような計算により、例えば、同じイベント実施コストであっても、情報配信によってユーザの移動パターンが大きく変化したと考えられる場合(上述のクラスタ重心間の距離が大きい場合)には、費用対効果スコアとして大きな値が得られ、逆に情報配信によってもユーザの移動パターンがほとんど変わらなかったと考えられる場合(上述のクラスタ重心間の距離が小さい場合)には、費用対効果スコアとして小さな値が得られることになる。ただし、情報配信後の同一属性をもつクラスタがない情報配信前のクラスタへの配信情報に対しても、対象のクラスタの移動パターンを抑制するという点を評価して一定値のスコアを加算するようにしても良い。そして情報配信イベント実行結果取得部42は、このようにして算出した費用対効果スコアを配信候補情報テーブル8の対応する費用対効果スコア欄29Eに上書きする。
そして情報配信イベント実行結果取得部42は、この後、この第1の情報配信イベント評価処理を終了する。
(3−5−2)不特定多数を対象とする情報配信イベントの評価処理
図26は、図25について上述した情報配信イベント決定・実行処理の終了後、一定時間が経過した後に、図10のステップSP24において情報配信イベント評価部23の情報配信イベント実行結果取得部42により実行される第2の情報配信イベント評価処理の具体的な処理内容を示す。
図26は、図25について上述した情報配信イベント決定・実行処理の終了後、一定時間が経過した後に、図10のステップSP24において情報配信イベント評価部23の情報配信イベント実行結果取得部42により実行される第2の情報配信イベント評価処理の具体的な処理内容を示す。
情報配信イベント実行結果取得部42は、この図26に示す処理手順に従って、図25について上述した情報配信イベントの前後の分類パターンを比較し、特に同一属性の分類結果の変化の大きさを評価(同一属性の分類結果の変化が大きいものを高く評価)する。
実際上、情報配信イベント実行結果取得部42は、ステップSP100〜ステップSP103の処理を図25について上述したステップSP90〜ステップSP93と同様に処理する。ただし、この図26のステップSP103において、情報配信イベント実行結果取得部42は、情報配信後の同一属性をもつクラスタとのクラスタ重心間の距離を、時間ごとの位置情報(緯度、経度)の差を積算するようにして算出する。
続いて、情報配信イベント実行結果取得部42は、ステップSP103で算出した各クラスタの情報配信効果スコアの和をとることにより、不特定多数への最終的な費用対効果スコアを算出し、算出した費用対効果スコアを配信候補情報テーブル29(図8)の対応する費用対効果スコア欄29Eに上書きする(SP104)。
そして情報配信イベント実行結果取得部42は、この後、この情報配信イベント評価処理を終了する。
(3−6)情報配信イベントによる人流制御
(3−6−1)店舗スタッフ数・店舗来客数制御処理
ここで、各モバイル端末2の時系列位置データに対する上述のクラスタリング処理及びプロファイリング処理の処理結果に基づいて、店舗への来客数を予測し、予測される来客数に応じて店舗スタッフ数を調整したり、イベントの情報配信によって来客数を制御する方法(以下、これを店舗スタッフ数・店舗来客数制御方法と呼ぶ)について説明する。
(3−6−1)店舗スタッフ数・店舗来客数制御処理
ここで、各モバイル端末2の時系列位置データに対する上述のクラスタリング処理及びプロファイリング処理の処理結果に基づいて、店舗への来客数を予測し、予測される来客数に応じて店舗スタッフ数を調整したり、イベントの情報配信によって来客数を制御する方法(以下、これを店舗スタッフ数・店舗来客数制御方法と呼ぶ)について説明する。
図27は、このような店舗スタッフ数・店舗来客数制御方法に関連して情報配信装置3の人流制御部43(図2)により実行される店舗スタッフ数・店舗来客数制御処理の処理内容を示す。
人流制御部43は、情報配信装置3が操作されて店舗スタッフ数・店舗来客数制御処理の実行命令が入力されると、この店舗スタッフ数・店舗来客数制御処理を開始し、まず、各モバイル端末2の時系列位置データに対する上述のクラスタリング処理及びプロファイリング処理の処理結果に基づいて、時間ごとの店舗来客数を予測する(SP110)。
この場合、ユーザの異なる時間帯(曜日など)の時系列位置データを別ユーザの時系列位置データとして扱うことにより予測精度を高めることができる。例えば、一週間分のユーザの時系列位置データがあるときには、曜日ごとに時系列位置データを分割し、属性として「曜日」のみが異なる別ユーザの1日の時系列位置データとして取り扱う。こうした一日分の時系列位置データをクラスタリングし、属性候補として曜日を加えることにより、曜日を属性としてもつクラスタが得られる。
こうした曜日や季節等の期間を属性としてもつクラスタを抽出し、来客予測対象の期間を属性としてもち、かつ来客対象の店舗エリアを経由する時系列位置データをもつクラスタを抽出することにより、当該クラスタのメンバ数から時間ごとの当該店舗の来客数を予測することができる。
また前記の来客数予測の際は、クラスタ内のメンバの時系列位置情報の時間毎の分散を算出し、当該店舗を通過する時間の分散値に応じて来客予測数を補正してもよい。例えば、次式
により来客予測数を計算する。
続いて、人流制御部43は、時間帯ごとの来客予測数に応じて店舗スタッフ数を決定する(SP111)。例えば、次式
によりその時間帯の店舗スタッフ数を計算し、計算結果を店舗の勤怠管理システムなどの業務管理システムに記録し又は表示させる。記録された店舗スタッフ数の結果は、業務管理システムより、自動的に勤務者や店舗スタッフへメールなどで通知するようにしても良い。
この後、人流制御部43は、調査対象の時間帯における単位時間ごとの店舗への来客数の監視結果が与えられるのを待ち受ける(SP112)。なお、かかる来客数の監視は、店舗勤務者によって行われても良いし、又は、店舗入り口に物体感知センサなどを配置して自動的に行われても良い。本実施の形態においては、このようにして監視された店舗への単位時間当たりの来客数が定期的に人手を介して又は自動的に情報配信装置3に通知される。
そして人流制御部43は、やがてかかる単位時間当たりの来客数が通知されると、通知された来客数が、期待来客数の範囲内にあるか否かを判定する(SP113)。ここで、期待来客数とは、上記来客予測数に基づいて決定される値である。例えば、期待来客数が30人であれば、期待来客数の範囲は20〜40人のように設定する。上下限を設けることにより、店舗売上の低下と店舗スタッフによる対応遅れのリスクを低減する。
そして人流制御部43は、ステップSP113の判断で肯定結果を得るとステップSP115に進む。これに対して人流制御部43は、このステップSP113で否定結果を得ると、情報配信イベント決定・実行部22(図2)を呼び出して、期待来客数を範囲内に収めるためのイベント情報を配信させる(SP114)。
例えば、その店舗を経由する移動パターンをもつクラスタのメンバ(ユーザ)に対する配信情報を配信候補情報テーブル29(図8)に基づき決定させ、その配信情報をそのクラスタに属するユーザに配信させる。具体的には、期待来客数が下限以下の場合には、当該クラスタに属するユーザに対して対応する配信情報(割引クーポンなどのイベント情報)を配信する。その際、割引額を上下させるなど、期待来客数と現在の来客数との差に応じて配信情報の内容を変えさせるようにしても良い。これ以外にも期待来客数と現在の来客数との差に応じて、情報配信を行うユーザ数を制限するようにしても良い。
次いで、人流制御部43は、店舗来客数の調整対象の時間帯が経過したか否かを判断する(SP115)。そして人流制御部43は、この判断で否定結果を得るとステップSP112に戻り、この後ステップSP112〜ステップSP115の処理を繰り返す。
そして人流制御部43は、やがて店舗来客数の調整対象の時間帯が経過することによりステップSP115で肯定結果を得ると、この店舗スタッフ数・店舗来客数制御処理を終了する。
(3−6−2)通行人数制御処理
次に、各モバイル端末2の時系列位置データに対する上述のクラスタリング処理及びプロファイリング処理の処理結果に基づいて、対象とする通行路の時間ごとの人数を予測し、予測される人数に応じて、イベント情報の配信によって通行人数を制御し、通行路の混雑緩和を行う方法(以下、これを通行人数制御方法と呼ぶ)について説明する。
次に、各モバイル端末2の時系列位置データに対する上述のクラスタリング処理及びプロファイリング処理の処理結果に基づいて、対象とする通行路の時間ごとの人数を予測し、予測される人数に応じて、イベント情報の配信によって通行人数を制御し、通行路の混雑緩和を行う方法(以下、これを通行人数制御方法と呼ぶ)について説明する。
図28は、このような通行人数制御方法に関連して情報配信装置3の人流制御部43(図2)により実行される通行人数制御処理の処理内容を示す。
人流制御部43は、情報配信装置3が操作されて通行人数制御処理の実行命令が入力されると、この通行人数制御処理を開始し、まず、各モバイル端末2の時系列位置データに対する上述のクラスタリング処理及びプロファイリング処理の処理結果に基づいて、対象とする通行路の時間ごとの通行人数を予測する(SP120)。このステップSP120における処理内容は、図27について上述した店舗スタッフ数・店舗来客数制御処理のステップSP110と同様であるため、ここでの詳細説明は省略する。
続いて、人流制御部43は、調査対象の時間帯における対象とする通行路の通行人数の監視結果が与えられるのを待ち受ける(SP121)。なお、かかる通行人数の監視は、人手によって行われても良いし、又は、監視カメラや物体検知センサなどを通行路に沿って配置し、その監視カメラの出力映像を映像処理することにより自動的に行うようしても良い。本実施の形態においては、このようにして監視された単位時間当たりの通行人数が定期的に人手を介して又は自動的に情報配信装置3に通知される。
そして人流制御部43は、かかる単位時間当たりの通行人数が通知されると、ステップSP122〜ステップSP124を図27について上述した店舗スタッフ数・店舗来客数制御処理のステップSP113〜ステップSP115と同様に処理する。そして人流制御部43は、やがて通行人数の調整対象の時間帯が経過することによりステップSP124で肯定結果を得ると、この通行人数制御処理を終了する。
(4)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態の情報配信装置3は、複数ユーザの移動情報(時系列位置データ)をユーザの属性情報等に基づいてクラスタリング処理により複数のクラスタに分類し、分類したクラスタごとの支配的なユーザ属性をプロファイリング処理によりそれぞれ決定し、決定したクラスタごとの属性に基づいて、クラスタごとにそのクラスタに時系列位置データが属するユーザに対して配信情報を配信する。
以上のように本実施の形態の情報配信装置3は、複数ユーザの移動情報(時系列位置データ)をユーザの属性情報等に基づいてクラスタリング処理により複数のクラスタに分類し、分類したクラスタごとの支配的なユーザ属性をプロファイリング処理によりそれぞれ決定し、決定したクラスタごとの属性に基づいて、クラスタごとにそのクラスタに時系列位置データが属するユーザに対して配信情報を配信する。
従って、本情報配信装置3によれば、クラスタ単位での情報配信を行うことができ、しかもクラスタごとに、配信候補情報テーブル29に登録された情報の中からそのクラスタに属するユーザに対して最も適した情報を配信することができるため、ユーザ一人ひとりに対して情報を配信する場合と比べて少ない情報処理リソースで効率良く情報配信を行うことができる。
また、一般的にサービス情報の配信の効果を高めるためにはユーザに対するサービス情報の配信によって生じたユーザの行動の変化を評価する必要があるが、かかるサービス情報の配信に起因するユーザの行動の変化にはばらつきがあるため、ユーザ全体を対象とした一律の評価が難しい。
しかしながら、本情報配信装置3では、上述のようにクラスタ単位で情報を配信し、その配信効果をクラスタ単位で評価するため、ユーザ全体を対象とした一律の評価を容易に行うことができる。
(5)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、移動通信体がモバイル端末2等の携帯型通信端末装置である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、カーナビゲーションシステム等の携帯型通信端末装置以外の移動通信体である場合にも本発明を適用することができる。
なお上述の実施の形態においては、移動通信体がモバイル端末2等の携帯型通信端末装置である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、カーナビゲーションシステム等の携帯型通信端末装置以外の移動通信体である場合にも本発明を適用することができる。
また上述実施の形態においては、情報配信イベントによる人流制御を店舗への来客数制御や通行路の通行人数制御に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の人流制御に広く適用することができる。
さらに上述の実施の形態においては、移動通信体に測位装置14が搭載され、当該測位装置14により自己の位置を取得するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば各移動通信体が測位装置14以外のセンサ等の何らかの手段により自己の位置を検出するようにしても良く、さらには移動通信体自体には自己の位置を測位する機能が搭載されておらず、外部の監視カメラ等により外部機器が各移動通信体の位置をそれぞれ測位し、その結果(各移動通信体の位置情報)を情報配信装置3が収集するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、クラスタリング処理の際に各時系列位置データを周波数領域の周波数データに変換する変換方法としてフーリエ変換を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばウェーブレット変換などのフーリエ変換以外の変換方法を広く適用することができる。
さらに上述の実施の形態においては、情報配信装置3が各モバイル端末2から収集する位置情報(時系列位置データを含む)が緯度及び経度の2つの座標値のみから構成される場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、かかる位置情報(時系列位置データを含む)が緯度及び経度並びに高さ等の複数の座標軸に関するデータ値を含む場合には、これらのデータ値をそれぞれ実部及び虚部のいずれかに振り分けるようにして時系列位置データを複素数データに変換するようにすれば良い。
さらに上述の実施の形態においては、情報配信装置3の情報配信イベント決定・実行部22(図2)が配信候補情報テーブル29(図8)に登録された情報の中から配信すべき情報を決定して配信するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、情報配信イベント決定・実行部22が各ユーザに対して、そのユーザが属するクラスタの代表的な移動ルート(例えば、そのクラスタのクラスタ重心の時系列位置データにより定義されるルート)や、当該代表的な移動ルート上の施設(飲食店、商業店舗、宿泊施設など)に関する情報を配信するようにしても良い。
本発明は、自己の現在位置の位置データを取得する測位機能が搭載された移動通信体に対して情報を配信する情報配信装置に広く適用することができる。
1……情報配信システム、2……モバイル端末、3……情報配信装置、10,15……CPU、11,16……記憶装置、14……測位装置、24……ユーザ位置情報テーブル、25……ユーザ分類情報テーブル、26……ユーザ属性情報データベース、27……候補属性テーブル、28……クラスタ毎属性情報テーブル、29……配信候補情報テーブル、30……情報配信イベントスコア情報テーブル、20……クラスタリング処理部、21……プロファイリング処理部、22……情報配信イベント決定・実行部、23……情報配信イベント評価部、TR……診断決定木。
Claims (2)
- 複数の移動通信体に対して情報を配信する情報配信装置において、
各前記移動通信体の時系列の位置情報でなる時系列位置データをそれぞれ収集し、収集した各前記移動通信体の前記時系列位置データに基づいて、当該時系列位置データを複数のクラスタに分類するクラスタリング処理を実行するクラスタリング処理部と、
前記クラスタごとに、当該クラスタに前記時系列位置データが振り分けられた各前記ユーザの支配的な属性を決定するプロファイリング処理を実行するプロファイリング処理部と、
前記プロファイリング処理の処理結果に基づいて、前記クラスタごとに、当該クラスタに前記時系列位置データが振り分けられた各前記ユーザに配信すべき情報を決定して当該各ユーザに配信する情報配信イベント決定・実行部と
を備えることを特徴とする情報配信装置。 - 複数の移動通信体に対して情報を配信する情報配信装置において実行される情報配信方法であって、
各前記移動通信体の時系列の位置情報でなる時系列位置データをそれぞれ収集し、収集した各前記移動通信体の前記時系列位置データに基づいて、当該時系列位置データを複数のクラスタに分類するクラスタリング処理を実行する第1のステップと、
前記クラスタごとに、当該クラスタに前記時系列位置データが振り分けられた各前記ユーザの支配的な属性を決定するプロファイリング処理を実行する第2のステップと、
前記プロファイリング処理の処理結果に基づいて、前記クラスタごとに、当該クラスタに前記時系列位置データが振り分けられた各前記ユーザに配信すべき情報を決定して当該各ユーザに配信する第3のステップと
を備えることを特徴とする情報配信方法。
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