JP2018127535A - 外壁に意匠性を付与する水系塗材組成物 - Google Patents
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本発明のアクリル樹脂系エマルジョンには、アクリル酸エステル系共重合樹脂、酢酸ビニル・アクリル酸エステル系共重合樹脂、シリコン変性アクリル樹脂等のアクリル樹脂系エマルジョンを使用することができる。アクリル樹脂とするアクリル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ん−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、等を使用することが出来る。他の不飽和単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、及びクロトン酸等のカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸や、クロトン酸、イタコン酸;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、2(3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、アリルアルコール、多価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等の水酸基含有単量体;(メタ)アクリルアミドや、マレインアミド等のアミド基含有単量体;2−アミノエチル(メタ)アクリレートや、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等のアミノ基含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレートや、アリルグリシジルエーテル、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物と活性水素原子を有するエチレン性不飽和単量体との反応により得られるエポキシ基含有単量体やオリゴノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、及び3−(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有単量体;その他、酢酸ビニル、塩化ビニル、更には、エチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、ジアルキルフマレート等を使用することが出来る。
本発明に使用する光重合開始剤は、本組成物を建築物の外壁に塗付し水分が揮発して乾燥した後、光によりアクリル樹脂系エマルジョン中の例えば未反応のα、β―エチレン性不飽和単量体を重合させる等の作用により塗材表面を緻密化することを目的に配合される。具体的にはα−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤が好ましく、特には1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンが好ましい。光重合開始剤の配合量は、本組成物中のアクリル樹脂系エマルジョンの固形分100重量部に対して1.0〜4.0重量部が好ましく、1.0重量部未満では下記塗材表面にある表面親水化剤が雨水等により塗材表面より流出して塗材が汚れやすくなり、4.0重量部超では塗材表面の表面親水化剤が過剰量になり、逆に汚れが付着し易くなる場合がある。
本発明に使用する紫外線吸収剤は、上記光重合開始剤と共融する化学品が好ましく、具体的にはベンゾフェノンを使用することが出来る。使用に際しては光重合開始剤と共融混合物とした上で配合することが好ましく、共融混合物とすることで、光重合開始剤が組成物全体に均一に分散し効果的に光重合開始剤が作用する。共融混合物とする際の光重合開始剤と紫外線吸収剤の割合は30/70〜70/30が好ましく、該紫外線吸収剤の配合量は本組成物中のアクリル樹脂系エマルジョンの固形分100重量部に対して1.0〜4.0重量部が好ましい。1.0重量部未満では光重合開始剤の活性化が不十分な場合があり、4.0重量部超では塗材表面に汚れが付着し易くなる場合がある。
本発明に使用する表面親水化剤は、本組成物を建築物の外壁に塗付し水分が揮発して乾燥した後、塗材表面を親水化することを目的に配合され、特にはポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物を反応させたウレタン変性ポリエーテル化合物が好ましい。該ウレタン変性ポリエーテル化合物の分子量は10000以下であって水に可溶な化合物であり、本発明の組成物に配合することにより建築物の外壁に本組成物を塗付した際に塗材表面に移行し該塗材表面を親水化する。該表面親水化剤の配合量は、本組成物中のアクリル樹脂系エマルジョンの固形分100重量部に対して7.5〜15.0重量部が好ましく、7.5重量部未満では塗材表面の親水化が不十分となり、15.0重量部超では塗材表面に汚れが付着し易くなる場合がある。
本発明に使用する充填材は、平均粒径D50(重量による積算50%の粒径)が100μm未満のものを言い、組成物の粘度や塗付性の調整を目的として配合し、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、硅砂粉等が使用でき、重質炭酸カルシウムが安価でコスト的負担を軽減させることが出来る。充填材の配合量は塗材組成物全体に対して3〜20重量%、好ましくは5〜12重量%であり、3重量%未満では下地の色が透けるなどの隠蔽性が不足し、20重量%超では塗材粘度が高くなって塗付作業性が不良となる。3重量%未満では色調によっては隠蔽性が低下する場合があり、12重量%超では冬季等の低温度下では塗付作業性が低下する傾向にある。
本発明に使用する充填材は、平均粒径D50(重量による積算50%の粒径)が100μm以上のものを言い、仕上がり表面に凹凸を付与することを目的として配合されるが、平均粒径が100μm以上であればその粒子径は任意に選択することができ、例えば硅砂,ガラス,シリカ,タルク,重質炭酸カルシウムなどが使用可能である市販の平均粒径が200μmの重質炭酸カルシウムとしてはK−250(商品名,旭鉱末(株)製)がある。骨材(B)の配合量は組成物全体に対して40〜65重量%であり40重量%未満では意匠性(塗材の凹凸感)が不足し、65重量%超では作業性が低下する。
顔料には、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(弁柄)、クロム酸鉛、黄鉛、黄色酸化鉄等の無機系顔料等が使用できるが、中でも酸化チタンは下地の隠蔽性に優れ、白色であるため主たる顔料として使用することが出来る。
増粘剤は、鏝塗り作業性や保水性の向上を目的として配合し、水溶性セルロースエーテル、ウレタン変性ポリエーテル、ポリカルボン酸等が使用できる。水溶性セルロースエーテルとしてはhiメトローズ90SH15000(信越化学株式会社製、商品名)がある。増粘剤の配合量は組成物全体100重量部に対して0.1〜5.0重量部が好ましく、0.1重量部未満では十分な増粘効果が得られず塗材の凹凸模様が不十分となり、5.0重量部超では塗付作業性が低下する。
成膜助剤には、エマルジョンのポリマー粒子の融着を促進し、ポリマーによる均一な皮膜を形成させることを目的で配合し、エチレングリコールジエチルエーテル、ベンジルアルコール、ブチルセロソルブ、エステルアルコール等を使用することが出来る。成膜助剤の配合量は組成物全体100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、0.5重量部未満では低温での成膜が不十分となる場合があり、10重量部超では塗材の表面に汚れが付着し易くなる場合がある。
表1の配合に従って、実施例及び比較例1乃至比較例6の水系塗材組成物を作製した。表1において、アクリル樹脂エマルジョンはアクロナール7067(固形分:47〜49%、樹脂のガラス転移温度:10℃、BASF社製、商品名)を使用し、光重合開始剤は1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンを、紫外線吸収剤はベンゾフェノンを使用し、光重合開始剤と紫外線吸収剤は1:1(重量比)で共融混合物とした上で使用した。表面親水化剤は分子量1000以下のウレタン変性ポリエーテル化合物 SNクリーンアクト(商品名、サンノプコ社製)を使用し、充填剤は硅砂粉#300(平均粒径25μm、株式会社トウチュウ製、商品名)を使用し、骨材は、東北硅砂7号(比重1.5、平均粒径150μm、東北硅砂株式会社製、商品名)を使用し、顔料には酸化チタンR−820(石原産業株式会社製、商品名)を使用し、増粘剤は水溶性セルロースエーテルhiメトローズ90SH−15000(信越化学株式会社製、商品名)を、成膜助剤はテキサノールCS−12(チッソ株式会社製、商品名)を使用した。この他には消泡剤及び分散剤を添加したが、これらは水系塗材用の市販品より適宜選択されるものを使用することが出来る。これらの原料を均一に混合分散させ、実施例及び比較例の外壁に意匠性を付与する水系塗材組成物とした。
JISA5430規定のフレキシブルボード(100mm×150mm×4mm)にシーラーとして溶剤型塩化ゴム系下塗り材(JS−410、アイカ工業株式会社製、商品名)を0.2kg/m2塗布し、乾燥後、実施例及び比較例の水系塗材組成物を2.0kg/m2塗布し、7日間乾燥させた。接触角計(協和界面科学株式会社 型番:Drop Master DM−301)を用い、液滴法にて1.0μLの純水を塗材表面に滴下し、30秒静置した後の接触角を測定した。測定は23℃環境下で上記7日間乾燥後と、その後試験体を24時間水中に浸漬し、さらに24時間乾燥後にそれぞれ測定した。
JISA5430規定のフレキシブルボード(100mm×150mm×4mm)にシーラーとして溶剤型塩化ゴム系下塗り材(JS−410、アイカ工業株式会社製、商品名)を0.2kg/m2塗布し、乾燥後、実施例及び比較例の水系塗材組成物を0.5〜6.5mm厚みに塗布し、1日間乾燥させた。試験体にカーボンブラック(JIS試験用粉体12種カーボンブラック、粒子径約80nm:日本粉体工業技術協会)を、茶漉しを用いて全面にふりかけ、その後、試験体を傾けて粉体を落とし霧吹きで全面に水を10回噴射して流れ落とせるカーボンブラックは流れ落とした。その後試験体全体の汚染度合いを目視で評価し、カーボンブラックをふりかけないブランクの試験体と比較して僅かな汚れであるときを○と、同様に明らかな汚れがあるときを△と、同様に著しい汚れがあるときを×と評価した。試験は23℃環境下で上記1日間乾燥後と、その後試験体を24時間水中に浸漬し、さらに24時間乾燥後にそれぞれ行なった。
下地としてJISA5430規定のフレキシブルボード(80×265mm厚さ4mm)を使用し、シーラーとして溶剤型塩化ゴム系下塗り材(JS−410、アイカ工業株式会社製、商品名)を0.2kg/m2塗布して、4時間以上乾燥させた後、実施例又は比較例の水系塗材組成物を塗付量0.9kg/m2にて金鏝を使用して塗付し、温度23℃湿度50%RHで12時間養生した。その後同一の水系塗材組成物を塗付して、水系塗材組成物の塗付厚みが0.5〜6.5mmになるように金鏝を使用して塗付し、同様に温度23℃湿度50%RHで14日間養生して試験体とした。試験体は2体づつ作製し、そのうちの一体を水平面に対して70度の角度で縦長状に設置した。当該試験体の塗膜面の上部から高さ300mmの位置には、水平面に対して10度の角度で設置された波板(波の幅32mm、長さ500mm)の下端部を配設させ、波板の波底部を流下してくる雨水が、試験体の塗膜上部に落下し、当該雨水が試験体の塗膜下部に自重で流下するようにした。この条件で3ヶ月間屋外に暴露し、雨水によって汚れた塗膜部分と、暴露していないもう一体の試験体塗膜との色差を色彩色差計(CM−2600d、コニカミノルタセンシング株式会社製)にて測定し、当該色差を耐汚染性として評価した。色差が2.5未満を○、2.5以上を×とした。
900mm角のJISA5430規定のフレキシブルボードを垂直に設置し、実施例又は比較例の水系塗材組成物を剣先ゴテで凹凸の差を付けながら塗付厚みが0.5〜6.5mmと成るようにして扇型の柄をつけ、そのまま乾燥させる。硬化後、つけた柄がそのままの状態を保っているものを○、柄に崩れ(ダレ、レベリング)がある場合は×とした。
150×150mm厚さ2mmのガラス板の周縁に厚さ2mm×幅7mmのスペーサーを貼り付け、その内側に実施例又は比較例の水系塗材組成物を均一な厚みになるようにヘラで塗付し、直ちに5℃の恒温槽内に水平に載置した。48時間経過後、恒温槽から取り出し目視にて、塗膜表面にクラックが生じているものを×とし、クラックが無いものを○とした。
150×150×4mmのフレキシブルボード(JIS A5430規定のフレキシブルボード)を使用し、シーラーとして溶剤塩化ゴム系下塗り材(JS−410、アイカ工業株式会社製、商品名)を0.2kg/m2塗布して、4時間以上乾燥させた後、実施例又は比較例の水系塗材組成物を塗付量0.9kg/m2にて金鏝を使用して塗付し、温度23℃湿度50%RHで12時間養生した。その後同一の水系塗材組成物を塗付して、水系塗材組成物の塗付厚みが0.5〜6.5mmになるように金鏝を使用して塗付し、同様に23℃湿度50%RHで1日間養生して試験体とした。養生後23℃の水に浸漬し、24時間経過後の表面の膨れ、軟化を目視及び指蝕で評価した。膨れ、軟化がない場合は○、これ以外は×とした。
JIS A 6909に準拠した方法で試験体を作製した。先ず70×70×20mmモルタルピースにシーラーとして水系アクリル下塗り材(JS−500、アイカ工業株式会社製、商品名)を0.2kg/m2塗布して、4時間以上乾燥させた後、実施例又は比較例の水系塗材組成物を塗付量0.9kg/m2にて金鏝を使用して塗付し、温度23℃湿度50%RHで12時間養生した。その後同一の水系塗材組成物を塗付して、水系塗材組成物の塗付厚みが0.5〜6.5mmになるように金鏝を使用して塗付し、同様に温度23℃湿度50%RHで14日間養生して試験体とした。当該試験体を、温度23℃18h水浸漬→−20℃3h→50℃3hの温冷繰り返し試験を10サイクル行い、塗材表面の膨れの有無を目視にて確認した。膨れが発生した場合は×、膨れの発生がない場合は○とした。
Claims (6)
- アクリル樹脂系エマルジョンと、光重合開始剤と、該光重合開始剤と共融する紫外線吸収剤と、表面親水化剤と、充填材と、骨材と、顔料と、増粘剤と、成膜助剤と、から成り、光重合開始剤はアクリル樹脂系エマルジョンの固形分100重量部に対して1.0〜4.0重量部であり、表面親水化剤はアクリル樹脂系エマルジョンの固形分100重量部に対して7.5〜15.0重量部であり、一液型で下地に0.5〜6.5mm厚に塗付することを特徴とする外壁に意匠性を付与する水系塗材組成物。
- 表面親水化剤は、分子量10000以下のウレタン変性ポリエーテル化合物であることを特徴とする請求項1記載の外壁に意匠性を付与する水系塗材組成物。
- 光重合開始剤と紫外線吸収剤とが共融混合物と成っていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の外壁に意匠性を付与する水系塗材組成物。
- 紫外線吸収剤は、ベンゾフェノンであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の外壁に意匠性を付与する水系塗材組成物。
- 光重合開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の外壁に意匠性を付与する水系塗材組成物。
- 骨材が硅砂であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の外壁に意匠性を付与する水系塗材組成物。
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