JP2018123244A - インクジェット記録用油性インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】浸透性媒体印刷のVOC発生量低減し、初期印刷濃度を維持し、発色性低下や裏抜け増大を抑制し、高画質と高速記録の両立するインクジェット油性インクの提供。【解決手段】色材と式(1)のアリルエーテルを含有する油性インク組成物。(R1及びR2は各々独立してH又はメチル基;R3はH又はアリル基;kは1〜4の整数;m及びnはm+n≦3を満たす整数)【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用油性インク組成物に関する。
オフィスユースのインクジェットプリンターの開発が進められている。オフィスユースのプリンターでは、普通紙等の記録媒体に対して高速印刷で高画質が得られ、なおかつ、印刷後に製本等のフィニッシャー対応が可能であることが求められている。このため、このプリンターで使用するインクジェット記録用インク組成物(以下、単に「インク」とも呼ぶ。)には、普通紙に対して高速で高い印刷濃度が確保できることと、両面印刷を可能とするために裏抜けが抑制されていること、さらには、高速印刷後に、コックリングやカール等の紙変形が発生しないことが求められている。そして、インクとして水性媒質を配合した水系インクを使用した場合、普通紙に対する高速印刷後にコックリングやカール等の紙変形が発生する場合があるため、紙変形が発生しにくい、油性媒質を配合したインクジェット記録用油性インク組成物の開発も進められている。
ここで、インクジェット記録用油性インク組成物において、油性媒質として揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)を用いると、環境中へ放出されて、臭気の発生やアレルギー等の健康被害を引き起こすおそれがあるため、低揮発性有機化合物が用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2012−12432号公報 特開2013−177597号公報
しかしながら、媒質として低揮発性有機化合物が用いられるインクジェット記録用油性インク組成物で印刷すると、VOCの発生量は低減するものの、媒質が低揮発性であるため、普通紙等の浸透性記録媒体に印刷すると、媒質が記録媒体内に深く浸み込んで印刷初期より印刷濃度(発色性)が極端に低下したり、普通紙の裏面までインクが達して裏抜けやブリードが発生したり、両面印刷すると裏面の画像が透けてまともな印刷物にならない場合がある。このように、媒質として低揮発性有機化合物を用いたインクでは、印刷の発色性の低下や裏抜けの増大が発生して画質が低下し、高画質の高速印刷や両面印刷ができないという課題がある。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、浸透性記録媒体に対する印刷において、VOCの発生量を低減しながら、印刷初期の印刷濃度を維持して発色性の低下や裏抜けの増大を抑制し、高画質と高速記録との両立が可能なインクジェット記録用油性インク組成物を提供することにある。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録用油性インク組成物の一態様は、
油性媒質と、色材とを含み、
前記油性媒質として、下記式(1)で表されるアリルエーテルを含有することを特徴とする。
(式(1)中、R、Rは、各々独立して水素またはメチル基を表し、Rは水素またはアリル基を表す。kは1〜4の整数を表し、mおよびnは、m+n≦3を満たす整数を表す。)
上記適用例によれば、油性媒質として、分子の末端に不飽和炭化水素が導入された、上記式(1)で表されるアリルエーテルを含有することにより、普通紙等の浸透性記録媒体に対するインクの浸透性が抑制される。このため、普通紙等の浸透性記録媒体に対する印刷において、印刷初期の印刷濃度を維持して発色性の低下を抑制するとともに、インクの裏抜けを抑制することができ、VOCの発生量を低減しながら、高画質と高速記録との両立が可能なインクジェット記録用油性インク組成物を提供することができる。
[適用例2]
上記適用例において、
前記アリルエーテルの含有量が、前記油性媒質に対して30質量%以上であることができる。
上記適用例によれば、前記アリルエーテルの含有量が、前記油性媒質に対して30質量%以上であることにより、浸透性記録媒体に対する印刷において、より印刷の発色性の低下を抑制することが可能となる。
[適用例3]
上記適用例において、
前記アリルエーテルを構成するアルキレングリコールの沸点が、240℃以上であることができる。
上記適用例によれば、アルキレングリコールの沸点が240℃以上であることにより、印刷中に発生するVOCの発生量を大幅に低減することが可能となり、排気設備等が無くても安全に高速大量印刷を行うことができる。
[適用例4]
上記適用例において、
前記アルキレングリコールとして、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含むことができる。
上記適用例によれば、特にアルキレングリコールが、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールの何れかであることにより、低粘度でVOC発生量が低減したインクを実現することが可能となり、安定なインクジェット記録を実現することが可能となる。
[適用例5]
上記適用例において、
前記アリルエーテルが、ジアリルエーテルであることができる。
上記適用例によれば、前記アリルエーテルがジアリルエーテルであることにより、インクの粘度を低く抑制することができるとともに、普通紙等の浸透性記録媒体に対する印刷において、印刷の発色性の低下をより抑制することができる。
[適用例6]
上記適用例において、
前記色材が、顔料であることができる。
上記適用例によれば、色材として顔料を使用することにより、ブリードの発生が抑制され、画質が向上する。
[適用例7]
上記適用例において、
前記油性媒質として、極性有機溶剤を含むことができる。
上記適用例によれば、前記油性媒質として極性有機溶剤を含むことにより、普通紙等の浸透性記録媒体に対する印刷において、印刷の発色性の低下をより抑制することができる。
[適用例8]
上記適用例において、
さらに、金属錯体および脂肪酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種を含むことができる。
上記適用例によれば、インク中の金属錯体又は脂肪酸金属塩が、油性媒質中に含まれる有機化合物の酸化重合を促進する酸化剤として作用するため、印刷後のインクの硬化が促進されて記録媒体中で油性媒質が迅速に固定化される。これにより、普通紙等の浸透性記録媒体に対する印刷において、より印刷の発色性の低下と裏抜けを抑制することができ、高画質の両面印刷を行うことが可能となる。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.インクジェット記録用油性インク組成物
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、油性媒質と、色材とを含み、前記油性媒質として、下記式(1)で表されるアリルエーテルを含有することを特徴とする。
(式(1)中、R、Rは、各々独立して水素またはメチル基を表し、Rは水素またはアリル基を表す。kは1〜4の整数を表し、mおよびnは、m+n≦3を満たす整数を表す。)
ここで、本明細書における「インクジェット記録用油性インク組成物」とは、油性媒質を主要な溶剤(媒質)成分とし、水を主要な成分としない組成物である。組成物中の水の含有量は、その組成物100質量%に対して5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。一方、インク組成物(100質量%)における油性媒質等の含有量は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。また、限られるものではないが、組成物の調製において主な成分として意図的に水を添加せず不純物として不可避的に水分を含んでしまう場合は、許容される組成物としてもよい。
以下、インクジェット記録用油性インク組成物(以下、単に「インク」とも呼ぶ。)に含まれる成分、および含まれ得る成分について説明する。
1.1.色材
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、色材を含有する。色材としては、従来のインクジェット記録用油性インク組成物に通常用いられている油性染料や有色無機顔料または有色有機顔料等の顔料を用いることができる。これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
1.1.1.顔料
本実施形態において、色材として顔料を用いる場合には、インク中での顔料分散体の平均粒子径が20nm以上200nm以下であり、色相が、黒、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルーまたはオレンジであれば、特に制限なく、従来公知の無機顔料および有機顔料を使用することができる。色材として顔料を使用することにより、印刷物の耐光性・耐水性が良好となる。また、色材として顔料を使用することにより、ブリードの発生が抑制され、画質が向上する。
このような顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料;カーボンブラック等の無機顔料等が挙げられる。
より詳細には、本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物をマゼンタまたはレッドインクとする場合の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物をオレンジまたはイエローインクとする場合の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー1 28、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物をグリーンまたはシアンインクとする場合の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等が挙げられる。
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物をブラックインクとする場合の顔料としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物をホワイトインクとする場合の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト6、C.I.ピグメントホワイト18、C.I.ピグメントホワイト21等が挙げられる。
市販品としては、黒色の顔料としては、例えば、三菱化学株式会社製、カーボンブラックMA11、MA100、MA220、MA600a、#40、#44が好ましく挙げられる。また、黒色以外の顔料としては、例えば、DIC株式会社製、SYMULERBrilliant Carmine 6B、SYMULER Red、FASTOGENSuper Magenta、SYMULER Fast Yellow、FASTOGEN Blue 4RO−2、FASTOGEN Green、FASTOGEN SuperViolet等が挙げられる。これらの顔料は、1種単独か又は2種以上を混合して単独で用いることができる。
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物中における顔料の含有量は、用途や印刷特性によって適宜選択することができるが、印刷の発色性が高く、高画質が得られるため、インクの総質量(100質量%)に対して、0.01質量%以上20質量%以下の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料の平均粒子径は、上記したように、20nm以上200nm以下であることが好ましい。平均粒子径が20nm以上であると、発色性がより良好になるためインクとして好適である。他方、平均粒子径が200nm以下であると、インクジェット方式で使用しやすくなる。なお、上記平均粒子径は、インクの保存安定性、吐出安定性、および沈降性に優れるため、50nm以上150nm以下であることがより好ましい。
ここで、本明細書における「平均粒子径」とは、インクに対して光散乱法により得られた球換算50%平均粒子径(d50)のことをいう。「光散乱法による球換算50%平均粒子径(d50)」は、以下のようにして得られる値である。油性媒質中の粒子に光を照射し、当該油性媒質の前方・側方・後方に配置されたディテクターによって、発生する回折散乱光を測定する。前記測定値を利用して、本来は不定形である粒子を球形であるものと仮定し、当該粒子の体積と等しい球に換算された粒子集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その際の累積値が50%となる点を上記50%平均粒子径(d50)とする。
色材として顔料を用いる場合には、インクジェット記録用油性インク組成物中における顔料の分散安定性を向上させる観点から、通常のインクジェット記録用油性インク組成物において用いられる任意の分散剤を用いることができる。本実施形態において使用できる顔料分散剤としては、顔料を溶剤中に安定して分散させるものであれば特に限定されないが、例えば、日本ルーブリゾール製ソルスパース5000、ソルスパース13940、ソルスパース11200、ソルスパース21000、ソルスパース28000等が挙げられる。
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物において、分散剤の含有量は、分散すべき顔料によって適宜選択することができるが、例えば、インクジェット記録用油性インク組成物中の顔料の含有量100質量部に対して、好ましくは5質量部以上200質量部以下であり、より好ましくは30質量部以上120質量部以下である。
1.1.2.染料
本実施形態において、色材として染料を用いる場合の市販品としては、黒色の染料としては、例えば、オリエント化学工業株式会社製、vaLifast Black 3810、elixa Black846、OIL BLACK HBB、OIL BLACK
No.5等が好ましく挙げられる。また、黒色以外の染料としては、OIL BLUE
2N、elixa Orange−240、VALIFAST BLUE 1603 、elixa Green−502、VALIFAST ORANGE 1201、OIL GREEN 530、elixa Green−540、OIL YELLOW GG−S、elixa Yellow−129、VALIFAST YELLOW 1101等が挙げられる。これらの染料は、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。色材として染料を使用することにより、インクの保存安定性が向上し、印刷の際にも吐出が安定する。
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物中における染料の含有量は、用途や印刷特性によって適宜選択することができるが、印刷の発色性が高く、高画質が得られるため、インクの総質量(100質量%)に対して、0.01質量%以上20質量%以下の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
1.2.油性媒質
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、油性媒質を含有する。こ
こで、本明細書における「油性媒質」とは、顔料等の色材を分散させる液体媒質が有機溶媒(有機溶剤)を含むものであり、常温常圧で液体の媒質をさす。なお、油性媒質が有機溶媒と有機溶媒以外の混合物からなる有機溶媒含有物の場合には、有機溶媒の含有率が5質量%を超えるものをさす。以下、本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物に含まれる油性媒質について、より詳細に説明する。
1.2.1.式(1)で表されるアリルエーテル
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物では、油性媒質として、下記式(1)で表されるアリルエーテルを含有する。
(式(1)中、R、Rは、各々独立して水素またはメチル基を表し、Rは水素またはアリル基を表す。kは1〜4の整数を表し、mおよびnは、m+n≦3を満たす整数を表す。)
式(1)中、アリル基とは、−CHCHCHである。
上記式(1)で表されるアリルエーテルは、分子の末端に不飽和炭化水素であるアリル基が導入されているため、反応性が高い。このため、本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、油性媒質として、上記式(1)で表されるアリルエーテルを含有することにより、普通紙等の浸透性記録媒体に印刷したときに、記録(印刷)前は低粘度であっても、記録後のインクは迅速に硬化して高粘度となり、インク中に含まれる油性媒質が記録媒体中で固定化される。これにより、本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、インクの紙浸透性が抑制され、普通紙等の浸透性記録媒体に対する印刷において、印刷初期の印刷濃度を維持するとともに、インクの裏抜けを抑制し、VOCの発生量を低減させながら、高画質と高速記録との両立が可能となる。
さらに、油性媒質として上記式(1)で表されるアリルエーテルを含むと、インク中に含まれる油性媒質が記録媒体中で固定化されるため、印刷物をクリアフォルダーに挟んでも、油性媒質がクリアフォルダーに移行することが抑制され、クリアフォルダー保管性が向上する。
上記式(1)で表されるアリルエーテルを構成するアルキレングリコールの例としては、例えば、kが1の場合、メチレングリコール、エチレングリコール、直鎖型又は分岐型のプロピレングリコールが挙げられる。
上記式(1)において、式(1)中、R、Rは、各々独立して水素またはメチル基を表し、Rは水素またはアリル基を表し、kは1〜4の整数を表し、mおよびnは、m+n≦3を満たす整数、つまり、0、1、2または3を表す。このため、上記式(1)で
表されるアリルエーテルを構成するアルキレングリコールの例としては、kが2、3、4の場合、ジメチレングリコール、ジエチレングリコール、直鎖型又は分岐型のジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、直鎖型又は分岐型のトリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、テトラエチレングリコール、直鎖型又は分岐型のテトラプロピレングリコールが挙げられる。
したがって、上記式(1)で表されるアリルエーテルの例としては、例えば、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、テトラエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールアリルメチルエーテル、ジエチレングリコールアリルブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル等が挙げられる。
上記式(1)で表されるアリルエーテルの中でも、特に、上記式(1)で表されるアリルエーテルはジアリルエーテルであることが好ましい。上記式(1)で表されるアリルエーテルがジアリルエーテルであることにより、インクの粘度を低く抑制することができるとともに、普通紙等の浸透性記録媒体に対する印刷において、印刷初期の印刷濃度を更に維持することができる。
また、上記式(1)で表されるアリルエーテルを構成するアルキレングリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。アルキレングリコールが、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールの何れかであることにより、低粘度でVOC発生量が低減したインクを実現することが可能となり、安定なインクジェット記録を実現することが可能となる。
また、上記式(1)で表されるアリルエーテルを構成するアルキレングリコールの沸点は、240℃以上であることが好ましい。この場合には、印刷中に発生するVOCの量を大幅に低減することが可能となり、排気設備等が無くても安全に高速大量印刷を行うことができる。
このようなアルキレングリコールの例としては、例えば、ジエチレングリコール(沸点:244℃)、トリエチレングリコール(沸点:285℃)、テトラエチレングリコール(沸点;328℃)が挙げられる。
アリルエーテルの含有量は、油性媒質に対して30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。アリルエーテルの含有量が、油性媒質に対して30質量%以上であることにより、浸透性記録媒体に対する印刷において、より印刷初期の印刷濃度を維持することが可能となる。
なお、本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物中における油性媒質の含有量の上限値は、吐出安定性、及び得られた画像の発色性等の観点から、インク組成物の全質量(100質量%)に対して、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。
1.2.2.その他の油性媒質
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、油性媒質として、上記アリルエーテル以外の油性媒質を含むことができる。その他の油性媒質としては、例えば、各種公知の植物油及び/又は石油系溶剤のいずれも使用することが可能であり、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤のいずれも使用が可能である。
1.2.2.1.非極性有機溶剤
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物で使用される非極性有機溶剤としては、例えば、石油系溶剤である炭化水素溶剤、フッ素系溶剤、シリコン系溶剤等が挙げられる。炭化水素溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等を好ましく挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤としては、市販されているものを用いてもよく、例えば、日本石油株式会社製 テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7、エクソンモービル株式会社製 Isopar(アイソパー)G、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxsolD40、ExxsolD80、ExxsolD100、ExxsolD130、ExxsolD140等を好ましく挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、日本石油株式会社製 日石クリーンソルG(アルキルベンゼン)、エクソンモービル株式会社製 ソルベッソ200等が挙げられる。
1.2.2.2.極性有機溶剤
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物で使用される極性有機溶剤としては、例えば、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤等が挙げられる。本実施形態では、油性媒質として極性有機溶剤を含むことにより、印刷後のインクの硬化が促進されて記録媒体中で油性媒質が迅速に固定化され、より印刷の発色性の低下と裏抜けを抑制することができる。
エステル系溶剤としては、1分子中の炭素数が5以上、好ましくは1分子中の炭素数が9以上、より好ましくは1分子中の炭素数が12以上32以下の高級脂肪酸エステル類が挙げられ、例えば、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、イソパルミチン酸イソオクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルドデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリル酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等が挙げられる。また、後述するような、乾性油脂肪酸とアルコールのエステルである大豆油脂肪酸メチル、大豆油脂肪酸イソブチル、亜麻仁油脂肪酸メチル、亜麻仁油脂肪酸ブチル、亜麻仁油脂肪酸プロピル、亜麻仁油脂肪酸2−エチルヘキシル、桐油脂肪酸メチル、トール油脂肪酸メチル、トール油脂肪酸イソブチル等が挙げられる。
また、環状エステルとして、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、σ−バレロラクトン、及びε−カプロラクトン等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、フッ化アルコール等が挙げられる。特に、アルコール系溶剤としては、1分子中の炭素数が12以上の脂肪族高級アルコール類が好ましく、例えば、ヘキシルデカノール、ヘキサデカノール、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコー
ル等の高級アルコール等が挙げられる。
また、多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等が挙げられる。
脂肪酸系溶剤としては、1分子中の炭素数が4以上、好ましくは1分子中の炭素数が9以上22以下の脂肪酸類が挙げられ、例えば、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のグリコールエーテル類の他、グリコールエーテル類のアセタート等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
アミン類を配合してもよく、例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、N,N−ジメチル−2−アミノエタノール、N,N−ジエチル−2−アミノエタノール等のヒドロキシルアミン等が挙げられる。
1.2.2.3.乾性油脂肪酸とアルコールのエステル
乾性油脂肪酸とアルコールのエステルは、低粘度であり、インクジェット記録用のインクに多く用いても吐出性に問題が生じない。また、二重結合を多く有することにより、インクの酸化重合が促進される。このため、本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物の油性媒質として用いることにより、記録前は低粘度であっても、印刷後のインクは迅速に硬化して高粘度となり、インク中に含まれる油性媒質が記録媒体中で固定化される。これにより、インクの紙浸透性が抑制され、普通紙等の浸透性記録媒体に対する印刷において、印刷初期の印刷濃度を維持するとともに、インクの裏抜けを抑制することができ、VOCの発生量を低減しながら、高画質と高速記録との両立が可能なインクジェット記録用油性インク組成物を提供することができる。
さらに、乾性油脂肪酸とアルコールのエステルは、クリアフォルダーに対するアタック性が低いため、得られた印刷物をクリアフォルダーに挟んでも、油性媒質がクリアフォルダーに移行することが抑制されて、クリアフォルダー保管性が向上したインクジェット記録用油性インク組成物を提供することができる。
乾性油脂肪酸とアルコールのエステルとしては、特に制限なく用いることができる。上記エステルの原料となる乾性油脂肪酸は、乾性油を加水分解して得られるものである。乾性油としては、後述するように、例えば、亜麻仁油、桐油、芥子油、紫蘇油、胡桃油、荏油、紅花油、向日葵油等が挙げられる。乾性油の加水分解法としては、公知の方法によって製造することができる。
上記エステルの原料となるアルコールは、不飽和アルコールであってもよく、また、炭
素数に制限なく用いることができるが、記録後に、記録媒体上でエステルはすぐに加水分解し、分解したアルコールがクリアフォルダーに移行する可能性がある。ここで、アルコールの炭素数が3以下の場合には、アルコールが揮発しやすく、仮に、印刷物中の残存溶剤がクリアフォルダーに移行して変形させたとしても元に戻る傾向にある。しかし、溶媒が移行する前にインクの酸化重合反応が完了し、分解したアルコールがクリアフォルダーに移行しないことが好ましいため、後述する金属錯体や脂肪酸金属塩と併用し、硬化を促進させることが好ましい。
これに対し、アルコールの炭素数が4以上の場合には、分解したアルコールが揮発しにくいため、クリアフォルダーに移行しやすくなる。そして、インク中に金属錯体や脂肪酸金属塩が含まれていると、上記したエステルの加水分解反応が促進されるため、インク中に金属錯体や脂肪酸金属塩が含まれないことが好ましい。
乾性油脂肪酸エステルの製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造可能であるが、例えば、特開2005−53871号公報、特開2009−203343号公報、特開2011−99009号公報に記載されている方法で製造することができる。
乾性油脂肪酸とアルコールのエステルとしては、例えば、亜麻仁油脂肪酸2−エチルヘキシルや、亜麻仁油脂肪酸メチルエステルが挙げられる。
1.2.2.4.乾性油
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、乾性油を含有してもよい。乾性油は粘度が高いため、インクジェット記録用のインクに多く用いると吐出性に問題が生じるが、二重結合を多く有することにより、インクの酸化重合が促進される。このため、本実施形態に係るインクにおいて補助的に用いることにより、記録後のインクは迅速に硬化し、インク中に含まれる油性媒質が浸透性記録媒体中で固定化される。これにより、インクの紙浸透性が抑制され、普通紙等の浸透性記録媒体に対する印刷において、印刷初期の印刷濃度を維持するとともに、インクの裏抜けを抑制することができ、VOCの発生量を低減しながら、高画質と高速記録との両立が可能なインクジェット記録用油性インク組成物を提供することができる。
さらに、乾性油はクリアフォルダーの材料であるPPのアタック性が低く、また、インク中に含まれる油性媒質が記録媒体中で固定化されることにより、印刷物をクリアフォルダーに挟んでも、残存溶媒がクリアフォルダーに移行することが抑制され、印刷物のクリアフォルダー保管性が向上するインクジェット記録用油性インク組成物を提供することができる。
ここで、乾性油とは、ヨウ素価が130以上の油をさし、例えば、亜麻仁油、桐油、芥子油、紫蘇油、胡桃油、荏油、紅花油、向日葵油等が挙げられる。これらの乾性油は、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。
乾性油を含有する場合には、その含有量は、インクの吐出性の観点より、インクジェット記録用油性インク組成物の全質量に対して、0.05質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。
1.3.金属錯体、脂肪酸金属塩
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、金属錯体および脂肪酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物において、金属錯体や脂肪酸金属塩はドライヤー(硬化促進剤)とも呼ばれ、上記油性媒質中に含まれる有機化合物の酸化重合を促進する
酸化剤として作用する。このため、本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物を用いて紙等の記録媒体に記録すると、記録後のインクは迅速に硬化し、インク中に含まれる油性媒質が記録媒体中で固定化される。これにより、普通紙等の浸透性記録媒体に対する印刷において、印刷初期の印刷濃度を維持するとともに、かつ裏抜けを抑制することができ、高画質の両面印刷を行うことができる。
本実施形態において、金属錯体や脂肪酸金属塩に含まれる金属が、Co(コバルト)、Mn(マンガン)、Pb(鉛)、Zr(ジルコニウム)、Ca(カルシウム)、Ba(バリウム)、K(カリウム)およびFe(鉄)からなる群より選択される少なくとも1種であることができる。本実施形態において、金属錯体や脂肪酸金属塩は有機酸金属塩であり、有機酸金属塩の原料となる有機酸としては、従来からドライヤーの一般的原料として用いられている有機酸を特に制限なく使用することができる。具体的には、例えば、プロピオン酸、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、桐油酸、亜麻仁油酸、大豆油酸、樹脂酸等の有機酸を使用することができるが、優れた乾燥促進効果が得られる点から、炭素原子数3〜12の脂肪族モノカルボン酸を用いることが好ましく、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸を用いることがより好ましい。これらは、単独で用いてもよく、又は2種以上を併用しても良い。
これらの金属の中でも、Co(コバルト)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)が好ましく用いられる。
金属錯体や脂肪酸金属は、インクジェット記録用油性インク組成物に添加する前に、予め有機溶媒で希釈しておくことが、取扱容易性と均一混合性の点から好ましい。希釈有機溶媒としては、上記金属錯体や脂肪酸金属を均一に溶解でき、かつ金属錯体や脂肪酸金属に対して不活性であればなんら制限されるものではない。そのような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;プロピルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤を使用でき、これらは単独で使用してもよく、又は2種以上を併用しても良い。
1.4.その他の成分
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物には、更に通常のインクに含まれるその他の添加剤を添加してもよい。その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、界面活性剤、バインダー樹脂等が挙げられる。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、例えば、BHA(2,3−ブチル−4−オキシアニソール)、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)等が挙げられる。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。
<バインダー樹脂>
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、顔料を記録媒体に定着させるたり、インクの粘度を調整する目的でバインダー樹脂を添加してもよい。バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ロジン変性樹脂、フェノール樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビ
ニル酢酸ビニル共重合体樹脂、セルロースアセテートブチレート等の繊維系樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。これらの樹脂を含有することにより、記録媒体への定着性を向上でき、また耐擦性も向上する。
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物中におけるバインダー樹脂の固形分含有量は、好ましくは0.05質量%以上15質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
<界面活性剤>
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物には、表面張力を低下させて記録媒体との濡れ性を向上させる観点から、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体を添加してもよい。
シリコン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコンやポリエーテル変性シリコンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK−315、315N、347、348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン株式会社製)や、サーフロンS−211、S−131、S−132、S−141、S−144、S−145(旭硝子株式会社製)、フタージェント100、150、251(株式会社ネオス社製)、メガファックスF477(DIC株式会社製)、FC−170C、FC−430、フロラード・FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(Dupont株式会社製);FT−250、251(株式会社ネオス社製)等が挙げられる。
また、ポリオキシエチレン誘導体としては、アセチレングリコール系界面活性剤を用いることが好ましい。具体例としては、サーフィノール82、104、465、485、TG(いずれもエアープロダクツジャパン株式会社製)、オルフィンSTG、E1010(いずれも日信化学株式会社製)、ニッサンノニオンA−10R、A−13R(いずれも日油株式会社製)、フローレンTG−740W、D−90(共栄社化学株式会社製)、ノイゲンCX−100(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物中における界面活性剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上3質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上2質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以上1質量%以下である。
更に、本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物には、必要に応じて、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤等、所定の性能を付与するための物質を添加することができる。
1.5.インクジェット記録用油性インク組成物の製造方法
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、公知の慣用方法によって製造することができる。色材として顔料を用いる場合には、最初に、顔料、分散剤、および有機溶剤(一部分)を混合した後、ボールミル、ビーズミル、超音波、またはジェットミル等で顔料分散液を調製し、所望のインク特性を有するように調整する。続いて、有機溶媒(残量)、およびその他の添加剤(例えば、界面活性剤やバインダー樹脂)を撹拌下
に加え、必要に応じて遠心分離処理やフィルターでろ過することにより、本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物を得ることができる。
1.6.物性
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、記録品質とインクジェット用インク組成物としての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/m以下であることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上20mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica株式会社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
1.7.用途
本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、公知のインクジェット記録装置のインクカートリッジに収容し、インクの液滴を吐出させ、紙等の記録媒体に該液滴を付着させて画像を記録する。インクジェット記録装置としては、電気信号に基づいて振動可能な電歪素子が搭載されると共に、前記電歪素子の振動によってインクを吐出することができるように構成されたインクジェット記録装置が好ましい。
インクジェット記録用油性インク組成物をノズルから吐出させる方式としては、例えば、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に吐出させ、インクの液滴が偏向電極間を飛翔する間に記録情報信号に対応して吐出させる方式(静電吸引方式);小型ポンプでインクに圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインクの液滴を吐出させる方式;インクに圧電素子で圧力と記録情報信号を同時に加え、インクの液滴を吐出・記録させる方式(ピエゾ方式);インクを記録情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インクの液滴を吐出・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
インクジェットヘッドとしては、ライン式インクジェットヘッド、シリアル式インクジェットヘッドのいずれも使用可能である。本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、印刷初期の印刷濃度を維持するとともに、インクの裏抜けを抑制することができるため、特に、ライン式インクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置を用いた高速印刷や両面印刷等において高い効果を発揮する。
本実施形態において、印刷対象となる記録媒体は特に制限されず、普通紙、コート紙、プラスチックフィルム、布帛、皮革等のいずれの種類の記録媒体にも用いることができる。この記録媒体は、インク低吸収性又は非吸収性の記録媒体であってもよいが、本実施形態に係るインクジェット記録用油性インク組成物は、特に、普通紙等のインク吸収性(浸透性)の記録媒体に対する印刷に好適であり、印刷初期の印刷濃度を維持するとともに、インクの裏抜けを抑制することができ、VOCの発生量を低減させながら、高画質と高速記録との両立が可能となる。
なお、本明細書における「インク低吸収性又は非吸収性の記録媒体」とは、インク組成物を全く吸収しない、又はほとんど吸収しない性質を有する記録媒体を指す。定量的には
、インク非吸収性又は低吸収性の記録媒体とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体」を指す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。これに対して、インク吸収性の記録媒体とは、インク非吸収性又は低吸収性の記録媒体に該当しない記録媒体のことを指す。
インク非吸収性の記録媒体としては、例えば、インク吸収層を有していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
インク低吸収性の記録媒体としては、表面にインクを受容するための塗工層が設けられた記録媒体が挙げられ、例えば、基材が紙であるものとしては、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられ、基材がプラスチックフィルムである場合には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の表面に、親水性ポリマーが塗工されたもの、シリカ、チタン等の粒子がバインダーと共に塗工されたものが挙げられる。これらの記録媒体は、透明な記録媒体であってもよい。
2.実施例
以下、本発明を実験例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに何ら限定されるものではない。
2.1.インクジェット記録用油性インク組成物の調製
下記表1に記載の組成(質量%)となるように、各インクジェット記録用油性インク組成物を得た。
(実施例1)
エーテル1:5000g、IOP:2000g、リソノール16SP:2000g、顔料:600g、分散剤:300gを20Lステンレス容器に入れ、株式会社井上製作所製ディゾルバーで1時間撹拌し、ミルベースを調製した。得られたミルベースを、アシザワ・ファインテック株式会社製 スターミルLMZ(周速12m/s、使用ビーズ:ジルコニア φ0.1mm、ビーズ充填率:85%)で、パス運転で5パスの分散処理を実施した。その後、日立工機株式会社製 冷却遠心分離機(CR7N)にて加速度11,000Gにて20分間遠心分離処理を施し、その後3μmフィルターでろ過した。ろ液に鉄錯体溶液:100gを添加し、十分撹拌して、実施例1のインクを得た。
(実施例2〜8、比較例1、2)
実施例1のエーテル1を、実施例2〜8、比較例1、2に記載のエーテル2〜10に変更し、他は同様にして実施例2〜8、比較例1、2のインクを得た。
(実施例9)
エーテル1:5300g、リソノール16SP:2000g、油溶性染料:600gを20Lステンレス容器に入れ、株式会社井上製作所製ディゾルバーで1時間撹拌し、その後3μmフィルターでろ過した。ろ液に鉄錯体溶液:100gを添加し、十分撹拌して、実施例9のインクを得た。
(実施例10)
実施例1の鉄錯体溶液をエーテル1に変更し、他は同様にして実施例10のインクを得た。
(実施例11、12)
実施例1のエーテル1およびIOPの量を表1に記載の量に変更し、他は同様にして実施例11、12のインクを得た。
なお、表1中に記載した材料の詳細は、次の通りである。
・顔料:三菱化学株式会社製、カーボンブラック ♯2600
・油溶性染料:オリエント化学製、OIL BLACK 860
・分散剤:日本ルーブリゾール株式会社製、Solsperse 13940
・エーテル1:トリエチレングリコールジアリルエーテル
(トリエチレングリコールの沸点:285℃)
・エーテル2:ジエチレングリコールジアリルエーテル
(ジエチレングリコールの沸点:244℃)
・エーテル3:テトラエチレングリコールジアリルエーテル
(テトラエチレングリコールの沸点;328℃)
・エーテル4:トリエチレングリコールアリルメチルエーテル
(トリエチレングリコールの沸点:285℃)
・エーテル5:ジエチレングリコールアリルブチルエーテル
(ジエチレングリコールの沸点:244℃)
・エーテル6:テトラエチレングリコールモノアリルエーテル
(テトラエチレングリコールの沸点;328℃)
・エーテル7:エチレングリコールジアリルエーテル
(エチレングリコールの沸点:198℃)
・エーテル8:ジプロピレングリコールジアリルエーテル
(ジプロピレングリコールの沸点:232℃)
・エーテル9:トリエチレングリコールブチルメチルエーテル
・エーテル10:ジエチレングリコールジブチルエーテル
・IOP:パルミチン酸イソオクチル(高級アルコール工業株式会社製)
・リソノール16SP:ヘキシルデカノール(高級アルコール工業株式会社製)
・鉄錯体:Borchers社製、Borchi(登録商標)OXY−COAT 1410)
2.2.評価試験
2.2.1.発色評価試験
セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンター PX−7050Fに上記各インクを充填し、普通紙(富士ゼロックス株式会社製 P紙A4)に全面ベタ印刷(100%duty)で印刷し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
5:ODが1.2以上
4:ODが1.1以上1.2未満
3:ODが1.0以上1.1未満
2:ODが0.9以上1.0未満
1:ODが0.9未満
2.2.2.裏抜け評価試験
2.2.1.で得られた印刷物の裏面について、以下の基準で評価した。
(評価基準)
5:裏面ODが0.25未満
4:裏面ODが0.25以上0.30未満
3:裏面ODが0.30以上0.40未満
2:裏面ODが0.40以上0.50未満
1:裏面ODが0.50以上
2.2.3.臭気評価試験
VOCの発生量の評価として、2.2.1.で得られた印刷物の印刷直後のベタ印刷面の臭気を、以下の基準で感応評価した。
(評価基準)
3:臭気殆ど無し
2:僅かに臭気あり
1:明らかに臭気あり
2.3.評価結果
実施例1〜12および比較例1、2の評価結果を表1の下の行に示す。油性媒質として、式(1)で表されるアリルエーテルを含有する実施例1〜12では、いずれも臭気を抑えながら、発色評価試験でODが高い一方で、裏抜け評価試験では裏面ODが低い結果となった。発色評価試験の結果は、顔料および染料のいずれでも高い結果となったが、実施例1と10との結果を比較すると、鉄錯体溶液を添加した実施例1の方がODが高かった。また、実施例1と11、12との結果を比較すると、アリルエーテルの含有量が高い方がODが高かった。裏抜け評価試験についても、同様の傾向が見られ、鉄錯体溶液を添加したり、アリルエーテルの含有量が高い方が高い評価が得られた。更に、使用したアリルエーテルを構成するアルキレングリコールの沸点が240℃以上であり、ジアリルエーテルである方が、3つの評価試験の結果が高かった。これらに対し、比較例1、2では、印刷物の印刷直後の臭気は殆ど無かったものの、裏面までインクが達しており、発色評価試験および裏抜け評価試験の両試験の結果が低かった。
以上により、本実施例におけるインクでは、油性媒質と、色材とを含み、油性媒質として、式(1)で表されるアリルエーテルを含有することにより、浸透性記録媒体である普通紙に対する印刷において、VOCの発生量を低減しながら、印刷初期の印刷濃度を維持し、印刷の発色性の低下や裏抜けの増大を抑制して、高画質と高速記録との両立が可能なインクジェット記録用油性インク組成物を提供することができた。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (8)

  1. 油性媒質と、色材とを含み、
    前記油性媒質として、下記式(1)で表されるアリルエーテルを含有する、インクジェット記録用油性インク組成物。
    (式(1)中、R、Rは、各々独立して水素またはメチル基を表し、Rは水素またはアリル基を表す。kは1〜4の整数を表し、mおよびnは、m+n≦3を満たす整数を表す。)
  2. 前記アリルエーテルの含有量が、前記油性媒質に対して30質量%以上である、請求項1に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  3. 前記アリルエーテルを構成するアルキレングリコールの沸点が240℃以上である、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  4. 前記アルキレングリコールとして、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項3に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  5. 前記アリルエーテルが、ジアリルエーテルである、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  6. 前記色材が、顔料である、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  7. 前記油性媒質として、極性有機溶剤を含む、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  8. さらに、金属錯体および脂肪酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
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