JP2018119630A - ボールねじ機構およびそれを用いたステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】製品コストをより低減したボールねじ機構およびステアリング装置を提供すること。【解決手段】チューブ50は、ボールねじナット31の開口溝55に収容されている。チューブ50は、2つの円筒部51と、2つの円筒部51の端部間を連結する連結部52とを有している。連結部52の円筒部51が延びる方向における外周面には、開口部50aが設けられている。円筒部51の内部はボール32の通過する通路R3として機能する。連結部52の開口部50aにボールねじナット31の突出部56が嵌合されている。この状態において、連結部52の内周面と突出部56の上面によりボール32が通過する通路R4が形成される。ボールねじ機構30の循環路R2は、チューブ50の通路R3と通路R4とにより形成されている。【選択図】図5
Description
本発明は、ボールねじ機構およびそれを用いたステアリング装置に関するものである。
従来、特許文献1に記載されるボールねじ機構が知られている。
上記のボールねじ機構は、ボールねじ機構は、ねじ軸と、複数のボールと、円筒状のボールねじナットと、循環部材とを備えている。ボールねじ機構には、ねじ軸のねじ溝とボールねじナットのねじ溝とによりボールの転動路が形成されている。循環部材は、ボールを該転動路内で循環させるためのボール循環経路として使用されている。
上記のボールねじ機構は、ボールねじ機構は、ねじ軸と、複数のボールと、円筒状のボールねじナットと、循環部材とを備えている。ボールねじ機構には、ねじ軸のねじ溝とボールねじナットのねじ溝とによりボールの転動路が形成されている。循環部材は、ボールを該転動路内で循環させるためのボール循環経路として使用されている。
上記のボールねじ機構には、製品コストをより低減させることに対する要求がある。
特に、循環部材は、ボール循環経路の略経路方向に沿って2つに分割された分割体を互いに接合することによって形成されている。分割構造であるため、部品点数の増加、分割体の接合精度の確保、および組み立て工数の増加により、ボールねじ機構の製品コストが増加してしまうおそれがある。
特に、循環部材は、ボール循環経路の略経路方向に沿って2つに分割された分割体を互いに接合することによって形成されている。分割構造であるため、部品点数の増加、分割体の接合精度の確保、および組み立て工数の増加により、ボールねじ機構の製品コストが増加してしまうおそれがある。
本発明の目的は、製品コストをより低減したボールねじ機構およびステアリング装置を提供することである。
上記目的を達成し得るボールねじ機構は、外周面にねじ溝が設けられているねじ軸と、複数のボールと、前記ねじ軸の外周面に前記複数のボールを介して嵌合され、前記ねじ軸の前記ねじ溝との間に前記複数のボールが転動する螺旋形状の転動路を形成するための螺旋形状のねじ溝が形成されているボールねじナットであって、その外周面と前記転動路とを連通する2つの開口孔を有するボールねじナットと、前記2つの開口孔に嵌合される2つの円筒部、および前記2つの円筒部の端部間を連結する連結部を有する筒状の樹脂製の循環路部材と、を備えることを前提としている。前記転動路の前記2つの開口孔が連通している2箇所は、前記転動路の螺旋形状の2ピッチ以上離れており、前記連結部は、前記循環路部材の中心軸に直交する向きに切断した断面形状がU字形状であって、前記ボールねじナットの外周面に面する側に開口する開口部を有し、前記連結部の前記開口部と反対側は円弧形状をなしており、前記連結部の内周面と、前記開口部を介して前記連結部内に現れる前記ボールねじナットの外周面とにより、前記ボールを前記転動路に循環させるための循環路が形成されている。
上記構成によれば、循環路部材の連結部は、その中心軸に直交する向きに切断した断面形状がU字形状をなし、ボールねじナットの外周面に面する側に開口している開口部を有している。このような形状を有していることで、循環路部材は、分割構造ではなく一体構造として製造することができる。そのため、循環路部材が分割構造である場合と比較して、部品点数削減、および組立て工数削減が実現でき、循環路部材の製品コスト、ひいてはボールねじ機構の製品コストをより低減させることができる。また、循環路部材におけるボールねじナットの外周面に面している連結部の内周面と、ボールねじナットの外周面とによりボールを転動路に循環させる循環路を形成させることができる。したがって、ボールねじ機構の製品コストをより低減しつつ、その機能を維持することができる。
また、例えば、上記のボールねじ機構をステアリング装置に用いた場合も、ステアリング装置の製品コストをより低減することができる。
本発明のボールねじ機構およびステアリング装置によれば、製品コストをより低減できる。
以下、ボールねじ機構を電動パワーステアリング装置(以下、「EPS」という)に適用した実施の形態を説明する。
図1に示すように、EPS1は、運転者のステアリングホイール10の操作に基づいて転舵輪15,15を転舵させる操舵機構2、および運転者のステアリングホイール10の操作を補助するアシスト機構3を備えている。
図1に示すように、EPS1は、運転者のステアリングホイール10の操作に基づいて転舵輪15,15を転舵させる操舵機構2、および運転者のステアリングホイール10の操作を補助するアシスト機構3を備えている。
操舵機構2は、ステアリングシャフト11およびねじ軸としてのラックシャフト12を備えている。ラックシャフト12の外周面には、ねじ溝12aと、ラック歯12bとが設けられている。ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール10と連結されたコラムシャフト11aと、コラムシャフト11aの下端部に連結されたインターミディエイトシャフト11bと、インターミディエイトシャフト11bの下端部に連結されたピニオンシャフト11cとを有している。ピニオンシャフト11cの下端部には、ピニオン歯11dが設けられている。ピニオン歯11dは、ラックシャフト12のラック歯12bとかみ合っている。
したがって、ステアリングシャフト11の回転運動は、ピニオンシャフト11cのピニオン歯11dとラックシャフト12のラック歯12bとの噛み合いを介してラックシャフト12の軸方向の往復直線運動に変換される。当該往復直線運動が、ラックシャフト12の両軸端部にそれぞれ連結されたタイロッド14,14を介して、左右の転舵輪15,15にそれぞれ伝達されることにより転舵輪15,15の転舵角が変化する。タイロッド14,14は、ラックシャフト12に対して角度が付いた状態で取り付けられている。
アシスト機構3は、ラックシャフト12の周囲に設けられている。アシスト機構3は、アシスト力の発生源であるモータ20と、ラックシャフト12の周囲に取り付けられたボールねじ機構30と、モータ20の回転軸21の回転力をボールねじ機構30に伝達するベルト式の減速機構40とを有している。アシスト機構3は、モータ20の回転軸21の回転力を減速機構40およびボールねじ機構30を介してラックシャフト12をその軸方向に往復直線運動させる力に変換する。このラックシャフト12に付与される軸方向の力がアシスト力となり、運転者のステアリングホイール10の操作を補助する。
ボールねじ機構30、減速機構40、ピニオンシャフト11c、およびラックシャフト12は、ハウジング16に収容されている。ハウジング16は、減速機構40の付近で軸方向に分割された第1ハウジング16aおよび第2ハウジング16bを連結することにより構成されている。第1ハウジング16aおよび第2ハウジング16bの連結部分は、ラックシャフト12の延びる方向に対して交わる方向へ突出している。第2ハウジング16bの外壁(図中の右側壁)には、貫通孔22が設けられている。モータ20の回転軸21は、貫通孔22を通じて第2ハウジング16bの内部に延びている。モータ20は、第2ハウジング16bに設けられたフランジ部17およびモータ20に設けられたフランジ部24をボルト23により連結することで、第2ハウジング16bに固定されている。回転軸21は、ラックシャフト12に対して平行である。
尚、ハウジング16の両端部と、タイロッド14,14との間には蛇腹状のブーツ18,18が設けられている。ブーツ18,18は、水や埃などの異物がハウジング16の内部に浸入することを抑制する。
次に、アシスト機構3について詳細に説明する。
図2に示すように、ボールねじ機構30は、ラックシャフト12と、複数のボール32と、ラックシャフト12に複数のボール32を介して螺合されている円筒状のボールねじナット31と、ボールねじナット31の外周面に設けられている樹脂製の循環路部材としての筒状のチューブ50とを有している。ボールねじナット31の内周面には、ラックシャフト12のねじ溝12aに対応するねじ溝33が設けられている。ボールねじナット31のねじ溝33とラックシャフト12のねじ溝12aとにより囲まれる螺旋形状の空間は、ボール32が転動する転動路R1として機能する。また、後述するように、ボールねじナット31には、転動路R1の2箇所に開口する開口孔54が設けられており、当該2箇所の開口孔54にチューブ50が嵌合されることでボール32が循環する循環路R2が形成されている。したがって、ボール32は、ボールねじナット31とチューブ50とにより形成される循環路R2を介して転動路R1内を無限循環することができる。尚、転動路R1におけるボールねじナット31の2つの開口孔54が連通している2箇所は、転動路R1の螺旋形状の2ピッチ以上離れている。
図2に示すように、ボールねじ機構30は、ラックシャフト12と、複数のボール32と、ラックシャフト12に複数のボール32を介して螺合されている円筒状のボールねじナット31と、ボールねじナット31の外周面に設けられている樹脂製の循環路部材としての筒状のチューブ50とを有している。ボールねじナット31の内周面には、ラックシャフト12のねじ溝12aに対応するねじ溝33が設けられている。ボールねじナット31のねじ溝33とラックシャフト12のねじ溝12aとにより囲まれる螺旋形状の空間は、ボール32が転動する転動路R1として機能する。また、後述するように、ボールねじナット31には、転動路R1の2箇所に開口する開口孔54が設けられており、当該2箇所の開口孔54にチューブ50が嵌合されることでボール32が循環する循環路R2が形成されている。したがって、ボール32は、ボールねじナット31とチューブ50とにより形成される循環路R2を介して転動路R1内を無限循環することができる。尚、転動路R1におけるボールねじナット31の2つの開口孔54が連通している2箇所は、転動路R1の螺旋形状の2ピッチ以上離れている。
減速機構40は、モータ20の回転軸21に一体的に取り付けられた駆動プーリ41と、ボールねじナット31の外周面に一体的に取り付けられた動力伝達部材としての従動プーリ42、および駆動プーリ41と従動プーリ42との間に巻きかけられたベルト43を備えている。ベルト43は、心線を含むゴム製の歯付きベルトである。また、駆動プーリ41および従動プーリ42は、歯付きプーリである。
ボールねじナット31の一端の外周面には、その周方向の全長に亘ってフランジ部31aが形成されている。ボールねじナット31の外周面には、ボールねじナット31のフランジ部31aの形状に対応して、ボールねじナット31を覆うように従動プーリ42が嵌合されている。すなわち、従動プーリ42の一端(図2中の右端)は、その内径が拡大されている。従動プーリ42の内部において、内径が拡大された部分(以後、内径拡大部と呼称)と拡大されていない部分との境界には段部42cが設けられている。フランジ部31aの当接面(図2中の左側面)は段部42cと当接している。
従動プーリ42の内径拡大部には、第1締結体としての円環状のロックスクリュー34が螺合されている。ロックスクリュー34の外周面にはねじ溝36が形成されている。従動プーリ42における内径拡大部の内周面において、その開口端から一定の範囲には、ねじ溝35が形成されている。ロックスクリュー34は、フランジ部31aに当接する位置まで、従動プーリ42の内径拡大部のねじ溝35が設けられた部分に螺合されている。従動プーリ42の段部42cと、ロックスクリュー34とでフランジ部31aが挟み込まれることで、ボールねじナット31は従動プーリ42と一体回転可能に固定されている。
従動プーリ42は、円筒状の軸受44を介して第1ハウジング16aの内周面に対して回転可能に支持されている。例えば、軸受44は、複列アンギュラ玉軸受(一般的で汎用性のある形式の軸受)である。軸受44の内輪は、従動プーリ42における内径拡大部の外周面に設けられたフランジ部42aと、従動プーリ42におけるフランジ部42aと反対側の端部に螺合された第2締結体としての環状のロックナット46との間に挟持されることで固定されている。従動プーリ42のフランジ部42aと反対側の端部(図2中の左端部)における外周面には、ねじ溝48が設けられている。ロックナット46の内周面には、従動プーリ42のねじ溝48と螺合するねじ溝47が設けられている。軸受44の外輪は、その外輪の軸方向両側に設けられている弾性部材49を介して第1ハウジング16aと第2ハウジング16bとの間に挟持されることにより固定されている。
従動プーリ42の外周面においてロックナット46と反対側の部分に設けられた溝部には、止め輪45が嵌め込まれている。止め輪45は、軸方向においてロックナット46と隣接している。止め輪45によりロックナット46が従動プーリ42から抜け落ることが防止されている。
次に、ボールねじナット31およびチューブ50の構成について説明する。
図3(a)に示すように、チューブ50は、2つの円筒部51と、2つの円筒部51の端部間を連結する略円筒状の連結部52と、を有している。2つの円筒部51は、ボール32が通過する通路R3として機能する。2つの円筒部51は、連結部52の延びる方向に対して略直角に設けられており、互いに略平行をなしている。円筒部51の内径は、ボール32の直径よりも若干大きく設定されている。チューブ50の両端部には、円筒部51の内周面をボールねじナット31のねじ溝33に滑らかにつなげる鉤部53と、ボール32を円筒部51の内部にかき上げるための舌部93が設けられている。
図3(a)に示すように、チューブ50は、2つの円筒部51と、2つの円筒部51の端部間を連結する略円筒状の連結部52と、を有している。2つの円筒部51は、ボール32が通過する通路R3として機能する。2つの円筒部51は、連結部52の延びる方向に対して略直角に設けられており、互いに略平行をなしている。円筒部51の内径は、ボール32の直径よりも若干大きく設定されている。チューブ50の両端部には、円筒部51の内周面をボールねじナット31のねじ溝33に滑らかにつなげる鉤部53と、ボール32を円筒部51の内部にかき上げるための舌部93が設けられている。
図3(b)に示すように、チューブ50の連結部52の円筒部51が延びる方向における外周面は切り欠かれており、チューブ50の外部と内部とを連通する開口部50aが形成されている。尚、開口部50aは、ボールねじナット31の外周面に面する側に設けられている。
図6に示すように、チューブ50の連結部52を、チューブ50の中心軸mに直交する向きに切断した断面形状は、U字形状をなしている。また、連結部52の開口部50aと反対側は円弧形状をなしている。
図4に示すように、ボールねじナット31の外周面には、ボールねじナット31の外部と内部とを連通する2つの開口孔54と、ボールねじナット31の外周面に開口し、且つ2つの開口孔54と連通している開口溝55と、開口溝55の底部55a(ボールねじナット31の外周面)からボールねじナット31の径方向外側に突出している突出部56とが設けられている。突出部56は、ボールねじナット31の径方向外側からみて、チューブ50の開口部50aに対応した形状(略矩形状)を有している。
図5に示すように、開口孔54は、チューブ50の円筒部51の外郭に対応した形状を有する円筒孔である。2つの開口孔54は、ラックシャフト12の外周面にボールねじナット31を外嵌した状態において、転動路R1に開口している。開口孔54の内径は、チューブ50の円筒部51の外径と略同一である。突出部56は、ボールねじナット31の周方向に沿って若干湾曲している。
開口溝55の深さ(ボールねじナット31の最外面から開口溝55の底部55aまでの高さ)は、開口溝55にチューブ50を嵌合したときに、チューブ50がボールねじナット31の最外面に張り出さない程度に設定される。突出部56の開口溝55の底部55aから高さは、チューブ50の連結部52における開口部50aに突出部56を嵌合した際に、ボールねじナット31の外周側表面の一部である突出部56の上面と、チューブ50の連結部52の内周面とによりボール32が循環する通路R4が形成できる程度に設定されている。
次に、循環路R2の構成について説明する。
図5に示すように、チューブ50は、ボールねじナット31の開口溝55に収容されている。チューブ50の2つの円筒部51は、ボールねじナット31の開口孔54に嵌合されている。2つの円筒部51が開口孔54に嵌合された状態において、チューブ50の鉤部53は、ボールねじナット31のねじ溝33に滑らかにつながっている。一対の舌部93は、転動路R1内のボール32の移動方向に対して交わるように突出する。
図5に示すように、チューブ50は、ボールねじナット31の開口溝55に収容されている。チューブ50の2つの円筒部51は、ボールねじナット31の開口孔54に嵌合されている。2つの円筒部51が開口孔54に嵌合された状態において、チューブ50の鉤部53は、ボールねじナット31のねじ溝33に滑らかにつながっている。一対の舌部93は、転動路R1内のボール32の移動方向に対して交わるように突出する。
チューブ50がボールねじナット31の開口溝55に収容されている状態において、ボールねじナット31の突出部56は、チューブ50の開口部50aに嵌合されている。チューブ50の連結部52の開口部50aにボールねじナット31の突出部56が嵌合されている状態において、連結部52の内周面と突出部56の上面(ボールねじナット31の外周側表面の一部)とにより形成される空間によりボール32が通過する略円筒状の通路R4が形成される。すなわち、ボールねじ機構30の循環路R2は、チューブ50の円筒部51の通路R3と通路R4とにより形成されている。
図6に示すように、ボールねじナット31の突出部56は、その上面が、チューブ50の連結部52の内周面と滑らかに接続するように若干湾曲している。そのため、チューブ50の2つの円筒部51の通路R3と連結部52の通路R4とは滑らかに連続している。したがって、循環路R2の内周面は、その全長に亘って滑らかである。尚、通路R4の内径は、通路R3の内径(円筒部51の内径)と略同一である。
尚、図5は、図4におけるボールねじナット31を5−5線にて切断し、E方向から見た図である。
ボールねじ機構30の動作を簡単に説明する。
ボールねじ機構30の動作を簡単に説明する。
図2に示すように、モータ20の回転軸21の回転に応じて、駆動プーリ41および従動プーリ42が回転する。従動プーリ42の回転に伴い、ボールねじナット31も一体回転する。ボールねじナット31の回転によって、ラックシャフト12のねじ溝12aとボールねじナット31のねじ溝33とにより形成される転動路R1内を複数のボール32が転動する。
図5に示すように、転動路R1内をボール32が転動するにつれて、ボール32は、チューブ50の一対の舌部93のうちの一方に当接し、チューブ50の2つの円筒部51のうちの一方にかき上げられる。かき上げられたボール32は一方の円筒部51の通路R3を通過し、チューブ50の連結部52の内周面とボールねじナット31の突出部56の上面とにより形成される通路R4の内部を通過する。その後、ボール32は、他方の円筒部51の通路R3を通過し、転動路R1に戻される。尚、ボールねじナット31の回転が逆になった場合は、ボール32は、転動路R1からチューブ50の他方の舌部93に当接し、他方の円筒部51の通路R3、チューブ50の連結部52の内周面とボールねじナット31の突出部56の上面とにより形成される通路R4、一方の円筒部51の通路R3を介して転動路R1に戻される。したがって、ボール32は、ボールねじナット31とチューブ50とにより形成される循環路R2を介して転動路R1内を無限循環することができる。
ここで、チューブ50の製造方法について説明する。
図7(a)に示すように、チューブ50は、型70の内部に樹脂材料60を射出することにより成形される。型70は、第1の型71と、第2の型72と、2つの第3の型73とを備えている。
図7(a)に示すように、チューブ50は、型70の内部に樹脂材料60を射出することにより成形される。型70は、第1の型71と、第2の型72と、2つの第3の型73とを備えている。
第1の型71は、外部に開口する有底穴71aを有している。有底穴71aの内面は、チューブ50の表面に対応した形状を有している。第1の型71には、互いに連通するノズル配置部80と、スプルー81と、ランナー82と、ゲート83とが設けられている。ノズル配置部80は、型70(正確には、第1の型71)の外側に開口している。ノズル配置部80には、樹脂材料60を射出する射出機のノズル90が配置される。スプルー81は、筒状の通路である。スプルー81は、ノズル配置部80から第1の型71の内部に向かって延びている。ランナー82およびゲート83も、筒状の通路である。ゲート83は、ランナー82から第1の型71に向かって先細状に延び、第1の型71の内部に連通している。
第2の型72は、略直方体状をなしている。第2の型72は、直方体状の基部74と、基部74から外部に突出する碇形状の突部75とを有している。突部75の第1の型71と反対側の端部と基部74とは、若干の段差部74aが形成されている。突部75の第1の型71側の端部における両側面には略円柱状の柱状部77がそれぞれ突出している。基部74の両側面(図中の左右側面)と突部75の柱状部77の上面(図中の左右側面)とは、第1の型71および第2の型72の型抜き方向において、略同一平面上に設けられている。すなわち、突部75における柱状部77と基部74との間には、段差部74aを含む溝部76が形成されている。
2つの第3の型73は、直方体状の基部78と、チューブ50の2つの円筒部51の内周面の形状(略円錐台状)に対応した円錐台部79とを有している。基部78の第2の型72側の側面と、円錐台部79の第2の型72側の曲面とは、第1の型71および第2の型72の型抜き方向において、略同一平面上に設けられている。基部78と円錐台部79との境界部分における第2の型72と反対側には、段差部78aが形成されている。
第1の型71は、第2の型72および2つの第3の型73に有底穴71aの開口部を向けた状態で取り付けられている。第1の型71は、2つの第3の型73の段差部78aに当接している。第2の型72の突部75と、2つの第3の型73の円錐台部79は、第1の型71の有底穴71aの内部に収容されている。突部75の基部74と反対側の先端は、第1の型71の有底穴71aの底面に対して隙間を持って設けられている。2つの第3の型73は、第2の型72の両側に対称的に設けられている。第3の型73の円錐台部79の先端は、第2の型72の突部75の柱状部77と当接している。第3の型の円錐台部79の一部分と、基部78は、第2の型72の基部74の両側面に当接している。第3の型73の円錐台部79は、第2の型72と当接している部分以外に対しては隙間を持って設けられている。第1の型71の有底穴71aと、第2の型72の溝部76と、第3の型73の円錐台部79とで囲まれている隙間は連通しており、チューブ50の円筒部51、鉤部53、および舌部93の形状有している。
尚、第1の型71の有底穴71aに、第2の型72の突部75と、2つの第3の型73の円錐台部79とを収容した状態において、第1の型71と、第2の型72と、2つの第3の型73とにより形成される隙間は、チューブ50の肉厚と同程度に設定されている。
第1の型71と、第2の型72と、2つの第3の型73とを組み付けた状態において、ノズル90がノズル配置部80にセットされる。この状態で射出機から溶解した樹脂材料60が射出される。樹脂材料60は、型70の内部に形成されている隙間に充填される。その後、樹脂材料60が十分に冷えて固まった状態において、第1の型71を第2の型72と反対側(図7(a)中の矢印A方向)に取り外す。
図7(b)に示すように、第1の型71を取り外した状態で、2つの第3の型73をチューブ50の2つの円筒部51とともに、互いに離間する方向(図7(b)中の矢印B方向)に引っ張る。そのようにすることで、チューブ50の円筒部51が、円筒部51と、連結部52との境界部分付近を支点として若干回転移動(図中の左上および右上方向に移動)する。すなわち、チューブ50が若干撓む。その状態で、第2の型72をチューブ50と反対側(図7(b)中の矢印C方向)に向けて取り外す。尚、チューブ50を撓ませる理由は、第2の型72を取り外すとき、第2の型72の柱状部77が、矢印C方向で示される第2の型72の型抜き方向において、チューブ50の2つの円筒部51の肉厚部分に対して引っかかりが生じてしまい、チューブ50を撓ませないまま取り外すことが困難であるためである。
図7(c)に示すように、最後に、2つの第3の型73を矢印D方向へ取り外すことで、チューブ50の製造が完了する。尚、第3の型73が略円錐台状をなし、その外周面が若干のテーパ状をなしているため、チューブ50から第3の型73の取り外しが容易となっている。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)チューブ50の連結部52は、その中心軸に直交する向きに切断した断面形状がU字形状をなし、ボールねじナット31の外周面に面する側に開口している開口部50aを有している。このような形状を有していることで、チューブ50は、分割構造ではなく一体構造として製造することができる。そのため、チューブ50が分割構造である場合と比較して、部品点数削減、および組立て工数削減が実現でき、チューブ50の製品コスト、ひいてはボールねじ機構30の製品コストをより低減させることができる。また、チューブ50におけるボールねじナット31の外周面に面している連結部52の内周面と、ボールねじナット31の外周面とによりボール32を転動路R1に循環させる循環路R2を形成させることができる。したがって、ボールねじ機構30の製品コストをより低減しつつ、その機能を維持することができる。
(1)チューブ50の連結部52は、その中心軸に直交する向きに切断した断面形状がU字形状をなし、ボールねじナット31の外周面に面する側に開口している開口部50aを有している。このような形状を有していることで、チューブ50は、分割構造ではなく一体構造として製造することができる。そのため、チューブ50が分割構造である場合と比較して、部品点数削減、および組立て工数削減が実現でき、チューブ50の製品コスト、ひいてはボールねじ機構30の製品コストをより低減させることができる。また、チューブ50におけるボールねじナット31の外周面に面している連結部52の内周面と、ボールねじナット31の外周面とによりボール32を転動路R1に循環させる循環路R2を形成させることができる。したがって、ボールねじ機構30の製品コストをより低減しつつ、その機能を維持することができる。
(2)また、ボールねじナット31の外周面の開口溝55にチューブ50がボールねじナット31の最外面から突出しないように収容されている。したがって、ボールねじ機構30の体格が大型化することが抑制される。
(3)ボールねじナット31の突出部56における開口溝55の底部55aからの高さは、チューブ50の連結部52の開口部50aの肉厚と同程度に設定されている。突出部56の上面と、チューブ50の連結部52の内周面とに囲まれることで形成される通路R4(正確には、循環路R2)は、その内周面が滑らかに形成されるため、ボール32が転動しやすくなる。
尚、本実施の形態は、技術的に矛盾が生じない範囲で以下のように変更してもよい。
・本実施の形態では、チューブ50の開口部50aに対して、ボールねじナット31の開口溝55の底部55aに設けられている突出部56が嵌合されていたが、これに限らない。例えば、突出部56を割愛してもよい。この場合、チューブ50の連結部52で、ボールねじナット31の開口溝55を、ボール32が通過できる程度の空間を残しつつ覆うようにすることが好ましい。
・本実施の形態では、チューブ50の開口部50aに対して、ボールねじナット31の開口溝55の底部55aに設けられている突出部56が嵌合されていたが、これに限らない。例えば、突出部56を割愛してもよい。この場合、チューブ50の連結部52で、ボールねじナット31の開口溝55を、ボール32が通過できる程度の空間を残しつつ覆うようにすることが好ましい。
・本実施の形態では、ボールねじナット31の開口溝55を設けていたが、これに限らない。例えば、開口溝55を割愛してもよい。この場合、ボールねじナット31の最外面に対して突出部56を設け、チューブ50の開口部50aに嵌合させることで、ボール32が通過する循環路R2を形成してもよい。
・また、本実施の形態では、ボールねじナットの最外面とチューブ50の連結部52とで囲まれた空間を循環路R2として使用してもよい。すなわち、循環路R2は、ボール32が通過できる程度の通路を確保できればよい。
・本実施の形態では、チューブ50の製造方法で、チューブ50を撓ませる工程が実施されているが、これに限らない。例えば、第2の型72を3分割構造にするスライド方式としてもよい。この場合、第2の型72は、一対の柱状部77の一方を有する型と、他方を有する型と、それらに挟まれるように略矩形状の型とを有している。第2の型72をチューブ50から型抜きする際に、略矩形状の型を最初に型抜きする。その後、略矩形状の型の抜けた空間をなくすように、2つの型を互いに近接する方向へ向けてスライドさせ、その後、略矩形状の型の型抜き方向と同じ方向へまとめて型抜きする。このようにすることで、チューブ50の変形を抑制しつつ、型抜きができる。
・本実施の形態において、ボールねじ機構30は、EPS1に適用されるようにしていたが、例えば、工作機械等の送り機構に適用されていてもよい。
・本実施の形態において、チューブ50の2つの円筒部51は、それらの内径が互いに異なっていてもよい。少なくとも2つの円筒部51の通路R3をボール32が通過できる程度の大きさとすればよい。尚、この場合、ボールねじナット31の開口孔54もチューブ50の2つの円筒部51の外径に応じて変更する。
・本実施の形態において、チューブ50の2つの円筒部51は、それらの内径が互いに異なっていてもよい。少なくとも2つの円筒部51の通路R3をボール32が通過できる程度の大きさとすればよい。尚、この場合、ボールねじナット31の開口孔54もチューブ50の2つの円筒部51の外径に応じて変更する。
1…EPS、12…ラックシャフト、12a…ねじ溝、30…ボールねじ機構、31…ボールねじナット、32…ボール、33…ねじ溝、50…チューブ、50a…開口部、51…円筒部、52…連結部、54…開口孔、55…開口溝、56…突出部、R1…転動路、R2…循環路、m…中心軸。
Claims (4)
- 外周面にねじ溝が設けられているねじ軸と、
複数のボールと、
前記ねじ軸の外周面に前記複数のボールを介して嵌合され、前記ねじ軸の前記ねじ溝との間に前記複数のボールが転動する螺旋形状の転動路を形成するための螺旋形状のねじ溝が形成されているボールねじナットであって、その外周面と前記転動路とを連通する2つの開口孔を有するボールねじナットと、
前記2つの開口孔に嵌合される2つの円筒部、および前記2つの円筒部の端部間を連結する連結部を有する筒状の樹脂製の循環路部材と、を備え、
前記転動路の前記2つの開口孔が連通している2箇所は、前記転動路の螺旋形状の2ピッチ以上離れており、
前記連結部は、前記循環路部材の中心軸に直交する向きに切断した断面形状がU字形状であって、前記ボールねじナットの外周面に面する側に開口する開口部を有し、前記連結部の前記開口部と反対側は円弧形状をなしており、
前記連結部の内周面と、前記開口部を介して前記連結部内に現れる前記ボールねじナットの外周面とにより、前記ボールを前記転動路に循環させるための循環路が形成されているボールねじ機構。 - 前記ボールねじナットの外周面における前記循環路部材の前記連結部と対応する部分には、前記ボールねじナットの外周面側に開口し、且つ前記開口孔と連通する開口溝が形成されており、
前記開口溝には、前記循環路部材が前記ボールねじナットの外周面から張り出さないように嵌合されている請求項1に記載のボールねじ機構。 - 前記ボールねじナットの外周側表面の一部には、前記循環路部材の前記連結部に嵌合される突出部が設けられ、
前記連結部の内周面と前記突出部により囲まれることにより形成される前記循環路の内周面は、滑らかに連続している請求項1または請求項2に記載のボールねじ機構。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のボールねじ機構を有するステアリング装置。
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2017
- 2017-01-26 JP JP2017012281A patent/JP2018119630A/ja active Pending
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