JP2018115749A - 電磁クラッチ - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑な構造を必要とすることなく、エアギャップが拡大したときの吸引不良を低減できるようにする。
【解決手段】アーマチャ5は、複数のプレート53、54の摩擦面51と反対側の反対面に、磁性材よりなり非磁性リング56を迂回させるよう複数のプレート53、54間に磁気流れを形成する磁気バイパス部材57を備える。ロータ3に形成された摩擦面331a〜333aとアーマチャ5に形成された摩擦面51とのエアギャップが拡大しても、エアギャップGapを通る磁気流れを低減することができ、アーマチャ5を吸引する際の吸引力を向上することができる。
【選択図】図1
【解決手段】アーマチャ5は、複数のプレート53、54の摩擦面51と反対側の反対面に、磁性材よりなり非磁性リング56を迂回させるよう複数のプレート53、54間に磁気流れを形成する磁気バイパス部材57を備える。ロータ3に形成された摩擦面331a〜333aとアーマチャ5に形成された摩擦面51とのエアギャップが拡大しても、エアギャップGapを通る磁気流れを低減することができ、アーマチャ5を吸引する際の吸引力を向上することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電磁クラッチに関するものである。
近年、アイドルストップ機能を有する車両が普及してきている。このような車両では、エンジンからの動力を自動車用空調装置の圧縮機へ伝達する電磁クラッチの断続回数が増加傾向にある。このように電磁クラッチの断続回数が増加すると、クラッチ摩擦面の摩耗が進行してエアギャップが拡大し、クラッチを吸引する際に吸引不良を引き起こすといった懸念がある。
そこで、特許文献1に記載された電磁クラッチがある。この電磁クラッチは、摩擦板を有するロータと、電磁コイルを有するステータと、電磁コイルへの通電によって発生した電磁吸引力により、摩擦板に吸着されるアーマチャと、を備えている。さらに、クラッチオン指令が出力されたときに、複数の電磁コイルに並列に電流が流れ、その後、アーマチャが摩擦面に吸着されると複数の電磁コイルに直列に電流が流れるように、電磁コイルへの通電回路を並列から直列に切り替える回路切替部を備えている。
しかしながら、上記特許文献1に記載されたものは、電磁コイルへの通電回路を並列から直列に切り替える回路切替部が必要である等、構造が複雑になるといった問題がある。
本発明は上記問題に鑑みたもので、複雑な構造を必要とすることなく、エアギャップが拡大したときの吸引不良を低減できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、駆動源から出力される回転駆動力により回転軸(J)を中心として回転する駆動側回転体(3)と、駆動側回転体に対して回転軸の一方向側に配置されて、電磁力により駆動側回転体に吸引されて駆動側回転体に連結されることにより回転軸周りに回転する従動側回転体(5)と、を備え、駆動側回転体に形成された摩擦面(331a〜333a)と、従動側回転体に形成された摩擦面(51)とを電磁力により圧接させることにより駆動源から出力される回転駆動力を駆動側回転体に連結された従動側回転体に伝達する電磁クラッチであって、従動側回転体は、磁性材によって回転軸を中心とする同心円状に形成されて従動側回転体の摩擦面を形成する複数のプレート(53、54)を有し、従動側回転体には、回転軸を中心とする円周方向に沿う形状であって、複数のプレート間の磁気の流れを遮断する磁気遮断部(56)が形成されており、駆動側回転体は、磁性材によって回転軸を中心とする同心円状に形成されて駆動側回転体の摩擦面を形成する複数の駆動側プレート(331〜333)を有し、駆動側回転体には、回転軸を中心とする円周方向に沿う形状であって、複数の駆動側プレート間の磁気の流れを遮断する磁気遮断部(334、335)が形成されており、従動側回転体は、複数のプレートの摩擦面と反対側の反対面に、磁性材よりなり磁気遮断部を迂回させて複数のプレート間に磁気流れを形成する磁気バイパス部材(57)を備えている。
このように、従動側回転体は、複数のプレートの摩擦面と反対側の反対面に、磁性材よりなり磁気遮断部を迂回させるよう複数のプレート間に磁気流れを形成する磁気バイパス部材(57)が設けられている。したがって、駆動側回転体に形成された摩擦面(331a〜333a)と従動側回転体に形成された摩擦面とのエアギャップが拡大しても、エアギャップを通る磁気流れを低減することができ、従動側回転体を吸引する際の吸引力を向上することができる。すなわち、複雑な構造を必要とすることなく、エアギャップが拡大したときの吸引不良を低減することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る電磁クラッチについて図1〜図3を用いて説明する。本実施形態に係る電磁クラッチは、車両用空調装置において、駆動源である車両走行用のエンジンから出力される回転駆動力を駆動対象装置としての冷媒圧縮機へ断続的に伝達するために用いられる。
本発明の第1実施形態に係る電磁クラッチについて図1〜図3を用いて説明する。本実施形態に係る電磁クラッチは、車両用空調装置において、駆動源である車両走行用のエンジンから出力される回転駆動力を駆動対象装置としての冷媒圧縮機へ断続的に伝達するために用いられる。
図1に示すように、電磁クラッチは、電磁石1、ロータ3、アーマチャ5、ハブ7等を有し、回転軸Jを中心に回転する。
電磁石1は、ステータ11およびコイル12等を有し、コイル12に通電されることによって電磁力を発生させてロータ3とアーマチャ5とを連結させるようになっている。
ステータ11は、磁性材(具体的には、鉄)よりなる。また、ステータ11は、回転軸Jに対して同軸上に配置された円筒状のステータ外側円筒部111、このステータ外側円筒部111の内周側に配置されるとともに回転軸Jに対して同軸上に配置された円筒状のステータ内側円筒部112、並びに、ステータ外側円筒部111およびステータ内側円筒部112における回転軸方向一端側同士を結ぶように回転軸垂直方向に広がるとともに、中央部にその表裏を貫通する円形状の貫通穴が形成された円板状のステータ端面部113を有している。
つまり、ステータ11は二重円筒構造で構成され、その軸方向断面形状は、回転軸Jに対して線対称に位置付けられる2つのコの字形状となり、ステータ外側円筒部111の内周面、ステータ内側円筒部112の外周面およびステータ端面部113の内側面によって、円筒状空間が形成される。そして、その円筒状空間にコイル12が収容されている。
コイル12は、絶縁性の樹脂材(具体的には、エポキシ)でモールディングされた状態でステータ11に固定されており、ステータ11に対して電気的に絶縁されている。
コイル12の一端は車両側に電気的に接地されており、コイル12の他端は空調装置の電子制御装置(ECU)100と接続されている。そして、コイル12への通電、非通電の切り換え制御は、電子制御装置100によって行われる。
ロータ3は、回転軸Jに対して同軸上に配置された円筒状のロータ外側円筒部31、このロータ外側円筒部31の内周側に配置されるとともに回転軸Jに対して同軸上に配置された円筒状のロータ内側円筒部32、ロータ外側円筒部31およびロータ内側円筒部32における回転軸方向一端側同士を結ぶように回転軸垂直方向に広がるとともに、中央部にその表裏を貫通する円形状の貫通穴が形成された円板状のロータ端面部33等を有している。
つまり、ロータ3は二重円筒構造で構成され、その軸方向断面形状は、回転軸Jに対して線対称に位置付けられる2つのコの字形状となり、ロータ外側円筒部31の内周面、ロータ内側円筒部32の外周面、およびロータ端面部33の内側面によって、円筒状空間が形成される。そして、その円筒状空間に電磁石1が収容されている。
ロータ外側円筒部31、ロータ内側円筒部32およびロータ端面部33は、低炭素鋼等の磁性材よりなり、図3に示すように、電磁石1が発生させる電磁力の磁気回路Gを構成する。
ロータ端面部33は、回転軸Jを中心とする環状に形成されて、かつ、回転軸Jを中心とする径方向に並べられている複数のプレート331〜333にて構成されている。
具体的には、ロータ端面部33は、ロータ外側円筒部31に連なるロータ外側プレート331、ロータ内側円筒部32に連なるロータ内側プレート332、および、ロータ外側プレート331とロータ内側プレート332との間に配置されたロータ中間プレート333にて構成されている。
プレート331〜333におけるアーマチャ5側には、ロータ3とアーマチャ5とが連結された際にアーマチャ5と接触するロータ摩擦面331a〜333aが形成されている。
ロータ外側プレート331とロータ中間プレート333とは、回転軸Jを中心とする円環状の外側溝334を形成している。また、ロータ中間プレート333とロータ内側プレート332とは、回転軸Jを中心とする円環状の内側溝335を形成している。外側溝334は、内側溝335の外周側に位置付けられている。外側溝334および内側溝335は、それぞれ複数のプレート331〜333の間の磁気流れを遮断する磁気遮断部に相当する。
ロータ外側円筒部31の外周側には、Vベルト(図示せず)が掛けられるV溝が形成されている。Vベルトは、エンジンから出力される回転駆動力をロータ3に伝達する。
ロータ内側円筒部32の内周側には、ボールベアリング36の外周側が固定され、ボールベアリング36の内周側には、冷媒圧縮機(図示せず)の外殻を形成するハウジングから電磁クラッチ側へ突出した円筒状のボス部(図示せず)が固定される。これにより、ロータ3は、冷媒圧縮機のハウジングに対して回転自在に固定される。なお、ロータ3は、本発明の駆動側回転体に相当する。
アーマチャ5は、回転軸Jの垂直方向に広がるとともに、中央部にその表裏を貫通する円形状の貫通穴が形成された磁性材よりなる円板状の部材である。アーマチャ5は、円形状の貫通穴が形成された内側プレート53と、この内側プレート53の外周側に設けられた外側プレート54と、板バネ部材55と、を有している。内側プレート53および外側プレート54は、それぞれ磁性材(例えば、鉄)により構成されている。なお、アーマチャ5は、本発明の従動側回転体に相当する。
板バネ部材55は、中央部にその表裏を貫通する円形状の貫通穴が形成された円板状の弾性部材である。板バネ部材55には、複数のリベット挿入穴55aとリベット540を挿入するための複数のリベット挿入穴55dが形成されている。
内側プレート53および外側プレート54におけるロータ3側の面には、ロータ3とアーマチャ5とが連結された際にロータ端面部33のロータ摩擦面331a〜333aと接触するアーマチャ摩擦面51が形成されている。
内側プレート53と外側プレート54の間には、非磁性材(例えば、銅、SUS等)よりなる円環状の非磁性リング56が設けられている。この非磁性リング56は、外側溝334と内側溝335との間に位置付けられている。この非磁性リング56は、内側プレート53と外側プレート54を連結している。また、非磁性リング56は、内側プレート53および外側プレート54の材料よりも変形抵抗が大きい非磁性材(具体的には、SUS304)よりなる。また、非磁性リング56は、切断されることなく、周方向に連続した形状になっている。
非磁性リング56は、回転軸Jを中心とする円周方向に沿う形状となっている。具体的には、非磁性リング56は、リング状を成している。非磁性リング56は、内側プレート53と外側プレート54の間の磁気流れを遮断する磁気遮断部に相当する。
本実施形態の電磁クラッチは、アーマチャ5のアーマチャ摩擦面51と反対側の反対面に磁気バイパス部材57が設けられている。磁気バイパス部材57は、非磁性リング56よりアーマチャ5のアーマチャ摩擦面51と反対側の反対面に位置するよう板バネ部材55に固定されている。磁気バイパス部材57は、磁性材(例えば、鉄)よりなり非磁性リング56を迂回するよう内側プレート53と外側プレート54の間に磁路を形成する。なお、アーマチャ5は、板バネ部材55に固定されており、磁気バイパス部材57は、アーマチャ5の内側プレート53と外側プレート54と接触している。
なお、磁気バイパス部材57の回転軸J方向の厚さは、2〜3ミリメートル程度、板バネ部材55の回転軸J方向の厚さは、0.6ミリメートル程度となっている。また、内側プレート53と外側プレート54の回転軸J方向の厚さは、4〜5ミリメートル程度となっている。
内側プレート53と外側プレート54の間の磁気は、主に磁気バイパス部材57を通るものの、その一部は磁性材である板バネ部材55を通る。しかし、板バネ部材55の回転軸J方向の厚さは、0.6ミリメートル程度と薄くなっているため、十分な磁気を通すことはできない。
本実施形態の磁気バイパス部材57の回転軸J方向の厚さは、十分な磁気を通すことが可能な2〜3ミリメートル程度となっている。
ハブ7は、アーマチャ5と冷媒圧縮機とを連結するものであり、冷媒圧縮機の軸に結合される。ハブ7は、ロータ3に連結されることにより回転する回転部材である。ハブ7は、回転軸J方向に延びる円筒状の円筒部71と、この円筒部71の一端側から回転軸Jに対して垂直方向に広がるフランジ部72を有している。
ハブ7と外側プレート54の間には、回転軸Jに対して垂直方向に広がる板バネ部材55が配置されている。また、ハブ7のフランジ部72には、リベット520を挿入するための複数のリベット挿入穴(図示せず)が形成されている。板バネ部材55に形成されたリベット挿入穴55aとハブ7のフランジ部72に形成されたリベット挿入穴72aにリベット520が挿入され、このリベット520によって板バネ部材55がハブ7に固定されている。
また、外側プレート54には、リベット540を挿入するための複数のリベット挿入穴54dが形成されている。外側プレート54に形成されたリベット挿入穴54dと板バネ部材55に形成されたリベット挿入穴55bにリベット540が挿入され、このリベット540によって板バネ部材55が外側プレート54に固定されている。
内側プレート53と外側プレート54は、非磁性リング56により連結されている。また、内側プレート53、非磁性リング56および外側プレート54は、板バネ部材55に固定されている。
板バネ部材55は、ロータ端面部33からアーマチャ摩擦面51が離れる方向に弾性力を作用させている。この弾性力により、コイル12に通電されていないときには、ロータ端面部33とアーマチャ摩擦面51との間に予め定められた所定の隙間が形成される。
次に、本実施形態の電磁クラッチの基本的な作動について説明する。電子制御装置100が制御電圧を出力しておらず電磁石1が非通電状態になっている場合には、電磁石1が電磁力を発生しないので、ロータ3とアーマチャ5とが板バネ部材55の弾性力によって切り離される。従って、エンジンの回転駆動力は冷媒圧縮機へ伝達されない。その結果、冷凍サイクル装置は作動しない。
電子制御装置100が制御電圧を出力して電磁石1を通電状態にした場合には、電磁石1が発生する電磁力が板バネ部材55の弾性力を上回り、電磁力によりアーマチャ5がロータ3側に吸引されてロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51が圧接され、ロータ3とアーマチャ5とが連結される。したがって、エンジンの回転駆動力は、ロータ3、アーマチャ5、およびハブ7を介して冷媒圧縮機へ伝達される。これにより、冷凍サイクル装置が作動する。
図2は、アーマチャ5に磁気バイパス部材57が設けられていない従来の電磁クラッチの断面図である。また、図2は、電磁石1が非通電状態になっており、ロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51との間にエアギャップGapが形成されている状態を表している。なお、本実施形態におけるエアギャップGapは、ロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51との間の間隔をいう。
このような従来の電磁クラッチでは、ロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51との間にエアギャップGapが形成されている場合、ロータ3に形成された外側溝334、内側溝335およびアーマチャ5に設けられた非磁性リング56により、ロータ3、内側プレート53、ロータ中間プレート333、外側プレート54、ロータ3の間で磁束が通る磁気回路Gが形成される。すなわち、電磁石1により発生した磁束がエアギャップGapを4回通過している。
このような電磁クラッチでは、ロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51とが連結されている場合には、ロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51を電磁力が通過する回数が多いほどアーマチャ5を吸引する際の吸引力は大きくなる。
しかし、ロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51との間にエアギャップGapが形成されている場合、このエアギャップGapを電磁力が通過する回数が多いほどアーマチャ5を吸引する際の吸引力は小さくなる。
このように図2に示した従来の電磁クラッチは、電磁石1により発生する電磁力がエアギャップを4回通過しているため、アーマチャ5を吸引する際の吸引力が小さく、吸引不良を引き起こし易い。
次に、本実施形態の電磁クラッチの作動について図3を用いて説明する。(a)は、ロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51との間のエアギャップGapが形成されている状態の磁気回路を表した図である。(b)は、通電状態になった直後の電磁クラッチの磁気回路を表した図である。(c)は、磁気バイパス部材57を経由する磁束が減少し、板バネ部材55のばね反力Fが電磁石1が発生する電磁力を上回った後の電磁クラッチの磁気回路を表した図である。
電子制御装置100が制御電圧を出力しておらず電磁石1が非通電状態になっている場合には、電磁石1が電磁力を発生しないので、ロータ3とアーマチャ5とが板バネ部材55のばね反力(弾性力)によって切り離される。従って、エンジンの回転駆動力は冷媒圧縮機へ伝達されない。その結果、冷凍サイクル装置は作動しない。
ここで、本実施形態の電磁クラッチは、アーマチャ5に磁気バイパス部材57が設けられている。このため、電子制御装置100が制御電圧を出力して電磁石1を通電状態にした場合、図3(a)示すように、ロータ3、内側プレート53、磁気バイパス部材57、外側プレート54、ロータ3の間で磁束が通る磁気回路Gが形成される。このとき、図2に示した従来の電磁クラッチは、電磁石1により発生する電磁力がエアギャップGapを4回通過するのに対し、本実施形態の電磁クラッチは、電磁石1により発生する電磁力がエアギャップGapを2回通過する。
したがって、本実施形態の電磁クラッチは、図2に示した従来の電磁クラッチと比較して、アーマチャ5を吸引する際の吸引力が大きく、エアギャップGapが拡大してもアーマチャ5を十分に吸引することができる。
そして、電磁石1が発生する電磁力が板バネ部材55のばね反力Fを上回ると、電磁力によりアーマチャ5がロータ3側に吸引されてロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51が圧接され、ロータ3とアーマチャ5とが連結される。したがって、エンジンの回転駆動力は、ロータ3、アーマチャ5、およびハブ7を介して冷媒圧縮機へ伝達される。これにより、冷凍サイクル装置が作動する。
このとき、図3(b)に示すように、ロータ3、内側プレート53、ロータ中間プレート333、外側プレート54、ロータ3の間で磁束が通る磁気回路Gが形成される。すなわち、磁気バイパス部材57を経由する磁束は減少し、内側プレート53と外側プレート54との間の磁束は、主としてロータ中間プレート333を経由するようになる。このとき、電磁石1により発生する電磁力がロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51の接触部を4回通過している。
このような電磁クラッチでは、ロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51とが連結されている場合には、ロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51を電磁力が通過する回数が多いほどアーマチャ5を吸引する際の吸引力は大きくなる。したがって、アーマチャ5は大きな吸引力で吸引される。
そして、板バネ部材55のばね反力Fが電磁石1が発生する電磁力を上回ると、図3(c)に示すように、磁気バイパス部材57は、板バネ部材55のばね反力Fによりロータ3の摩擦面331a〜333aから離れる。なお、磁気バイパス部材57がロータ3の摩擦面331a〜333aから離れた後も、ロータ3とアーマチャ5は連結された状態が維持される。
上述したように、本電磁クラッチは、駆動源から出力される回転駆動力により回転軸Jを中心として回転するロータ3と、ロータ3に対して回転軸Jの一方向側に配置されて、電磁力によりロータ3に吸引されてロータ3に連結されることにより回転軸周りに回転するアーマチャ5と、を備えている。そして、ロータ3に形成された摩擦面331a〜333aと、アーマチャ5に形成された摩擦面51を電磁力により圧接させることにより駆動源から出力される回転駆動力を駆動側回転体に連結された従動側回転体に伝達する。
また、アーマチャ5は、磁性材によって回転軸を中心とする同心円状に形成されてアーマチャ5の摩擦面51を形成する複数のプレート53、54を有し、アーマチャ5には、回転軸Jを中心とする円周方向に沿う形状であって、複数のプレート53、54間の磁気の流れを遮断する磁気遮断部56が形成されている。
また、ロータ3は、磁性材によって回転軸Jを中心とする同心円状に形成されてロータ3の摩擦面331a〜331cを形成する複数の駆動側プレート331〜333を有し、ロータ3には、回転軸Jを中心とする円周方向に沿う形状であって、複数の駆動側プレート331〜333間の磁気の流れを遮断する磁気遮断部(334、335)が形成されている。
そして、アーマチャ5は、複数のプレート53、54の摩擦面51と反対側の反対面に、磁性材よりなり非磁性リング56を迂回させるよう複数のプレート53、54間に磁気流れを形成する磁気バイパス部材57を備えている。
したがって、ロータ3に形成された摩擦面331a〜333aとアーマチャ5に形成された摩擦面51とのエアギャップが拡大しても、エアギャップGapを通る磁気流れを低減することができ、アーマチャ5を吸引する際の吸引力を向上することができる。すなわち、複雑な構造を必要とすることなく、エアギャップが拡大したときの吸引不良を低減することができる。
また、電磁クラッチは、駆動対象装置の回転軸Jとともに回転するハブ7と、弾性変形可能に構成されて、ハブ7および複数のプレート53、54のそれぞれに接続され、アーマチャ5に形成された摩擦面51をロータ3に形成された摩擦面331a〜333aから離れる方向に弾性力を作用させる板バネ部材55と、を備えている。そして、磁気バイパス部材57は、板バネ部材55に固定されている。このように、磁性部材57を板バネ部材55に固定することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の係る電磁クラッチについて図4を用いて説明する。上記第1実施形態の電磁クラッチは、磁気バイパス部材57が板バネ部材55に固定されているが、本実施形態の電磁クラッチは、磁気バイパス部材57が弾性部材58を介して駆動対象装置の回転軸とともに回転するハブ7のフランジ部72に固定されている。
本発明の第2実施形態の係る電磁クラッチについて図4を用いて説明する。上記第1実施形態の電磁クラッチは、磁気バイパス部材57が板バネ部材55に固定されているが、本実施形態の電磁クラッチは、磁気バイパス部材57が弾性部材58を介して駆動対象装置の回転軸とともに回転するハブ7のフランジ部72に固定されている。
本実施形態の電磁クラッチは、上記第1実施形態の電磁クラッチと比較して、磁気バイパス部材57が配置されている部位における板バネ部材55の径方向の長さが短くなっている。すなわち、磁気バイパス部材57が配置されている部位において、板バネ部材55は、ハブ7と内側プレート53の間に、回転軸Jに対して垂直方向に広がるよう配置されている。
また、本実施形態の電磁クラッチは、磁気バイパス部材57がハブ7のフランジ部72に固定されている。
上記第1実施形態では、磁気バイパス部材57が弾性部材としての板バネ部材55に固定されているが、ハブ7のフランジ部72は、弾性部材としての機能を有していない。このため、本実施形態では、磁気バイパス部材57が弾性部材58を介してハブ7のフランジ部72に固定されている。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
また、電磁クラッチは、駆動対象装置の回転軸Jとともに回転するハブ7を備え、磁気バイパス部材57は、ハブ7に固定されている。このように、磁性部材57は、ハブ7に固定することができる。
また、磁気バイパス部材57を、弾性部材58介してハブ7に固定することもできる。なお、ハブ7は弾性部材としての機能を有していないので、磁気バイパス部材57をハブ7に固定する際には、弾性部材58介して固定するのが好ましい。
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、アーマチャ5のアーマチャ摩擦面51を形成する複数のプレートとして内側プレート53と外側プレート54を設け、内側プレート53と外側プレート54の間に非磁性リング56および磁気バイパス部材57を設けるようにした。
(1)上記各実施形態では、アーマチャ5のアーマチャ摩擦面51を形成する複数のプレートとして内側プレート53と外側プレート54を設け、内側プレート53と外側プレート54の間に非磁性リング56および磁気バイパス部材57を設けるようにした。
これに対し、アーマチャ摩擦面51を形成するプレートを3つ以上とし、各プレート間に非磁性リング56および磁気バイパス部材57を設けるようにしてもよい。
(2)上記各実施形態では、ロータ3は、ロータ3の摩擦面331a〜331cを形成する3つのプレート331〜333を有し、ロータ3に、回転軸Jを中心とする円周方向に沿う形状であって、3つのプレート331〜333間の磁気の流れを遮断する磁気遮断部334、335が形成されている。
これに対し、ロータ3の摩擦面331a〜331cを形成するプレートを4つ以上とし、ロータ3の摩擦面331a〜331cに、4つ以上のプレート間の磁気の流れを遮断する3つ以上の磁気遮断部を形成してもよい。
(3)上記実施形態では、内側プレート53と外側プレート54の間に磁気遮断部として非磁性リング56を形成したが、例えば、銅等の非磁性材を拡散させることで内側プレート53と外側プレート54の間に磁気遮断部を形成してもよい。また、内側プレート53と外側プレート54の間にスリットを形成し、このスリットにより磁気遮断部を形成してもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、電磁クラッチは、駆動源から出力される回転駆動力により回転軸を中心として回転する駆動側回転体と、駆動側回転体に対して回転軸の一方向側に配置されて、電磁力により駆動側回転体に吸引されて駆動側回転体に連結されることにより回転軸周りに回転する従動側回転体と、を備えている。そして、駆動側回転体に形成された摩擦面と、従動側回転体に形成された摩擦面を電磁力により圧接させることにより駆動源から出力される回転駆動力を駆動側回転体に連結された従動側回転体に伝達する。
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、電磁クラッチは、駆動源から出力される回転駆動力により回転軸を中心として回転する駆動側回転体と、駆動側回転体に対して回転軸の一方向側に配置されて、電磁力により駆動側回転体に吸引されて駆動側回転体に連結されることにより回転軸周りに回転する従動側回転体と、を備えている。そして、駆動側回転体に形成された摩擦面と、従動側回転体に形成された摩擦面を電磁力により圧接させることにより駆動源から出力される回転駆動力を駆動側回転体に連結された従動側回転体に伝達する。
また、従動側回転体は、磁性材によって回転軸を中心とする同心円状に形成されて従動側回転体の摩擦面を形成する複数のプレートを有し、従動側回転体には、回転軸を中心とする円周方向に沿う形状であって、複数のプレート間の磁気の流れを遮断する磁気遮断部が形成されている。
また、駆動側回転体は、磁性材によって回転軸を中心とする同心円状に形成されて駆動側回転体の摩擦面を形成する複数の駆動側プレートを有し、駆動側回転体には、回転軸を中心とする円周方向に沿う形状であって、複数の駆動側プレート間の磁気の流れを遮断する磁気遮断部が形成されている。
また、従動側回転体は、複数のプレートの摩擦面と反対側の反対面に、磁性材よりなり磁気遮断部を迂回させるよう複数のプレート間に磁気流れを形成する磁気バイパス部材がを備えている。
また、第2の観点によれば、電磁クラッチは、駆動対象装置の回転軸とともに回転するハブと、弾性変形可能に構成されて、ハブおよび複数のプレートのそれぞれに接続され、従動側回転体に形成された摩擦面を駆動側回転体に形成された摩擦面から離れる方向に弾性力を作用させる板バネ部材と、を備え、磁気バイパス部材は、板バネ部材に固定されている。このように、磁性部材は、板バネ部材に固定することができる。
また、第3の観点によれば、電磁クラッチは、駆動対象装置の回転軸とともに回転するハブを備え、磁気バイパス部材は、ハブに固定されている。このように、磁性部材は、ハブに固定することができる。
また、第4の観点によれば、電磁クラッチは、磁気バイパス部材は、弾性部材58介してハブに固定されている。ハブは弾性部材としての機能を有していないので、磁気バイパス部材をハブに固定する際には、弾性部材58介して固定するのが好ましい。
3 ロータ
5 アーマチャ
51 アーマチャ摩擦面
53 内側プレート
54 外側プレート
56 非磁性リング
57 磁気バイパス部材
58 弾性部材
331 ロータ外側プレート
332 ロータ内側プレート
333 ロータ中間プレート
331a〜333a ロータ摩擦面
5 アーマチャ
51 アーマチャ摩擦面
53 内側プレート
54 外側プレート
56 非磁性リング
57 磁気バイパス部材
58 弾性部材
331 ロータ外側プレート
332 ロータ内側プレート
333 ロータ中間プレート
331a〜333a ロータ摩擦面
Claims (4)
- 駆動源から出力される回転駆動力により回転軸(J)を中心として回転する駆動側回転体(3)と、
前記駆動側回転体に対して前記回転軸の一方向側に配置されて、電磁力により前記駆動側回転体に吸引されて前記駆動側回転体に連結されることにより回転軸周りに回転する従動側回転体(5)と、を備え、
前記駆動側回転体に形成された摩擦面(331a〜333a)と、前記従動側回転体に形成された摩擦面(51)とを前記電磁力により圧接させることにより前記駆動源から出力される回転駆動力を前記駆動側回転体に連結された前記従動側回転体に伝達する電磁クラッチであって、
前記従動側回転体は、磁性材によって前記回転軸を中心とする同心円状に形成されて前記従動側回転体の前記摩擦面を形成する複数のプレート(53、54)を有し、
前記従動側回転体には、前記回転軸を中心とする円周方向に沿う形状であって、前記複数のプレート間の磁気の流れを遮断する磁気遮断部(56)が形成されており、
前記駆動側回転体は、磁性材によって前記回転軸を中心とする同心円状に形成されて前記駆動側回転体の前記摩擦面を形成する複数の駆動側プレート(331〜333)を有し、
前記駆動側回転体には、前記回転軸を中心とする円周方向に沿う形状であって、前記複数の駆動側プレート間の磁気の流れを遮断する磁気遮断部(334、335)が形成されており、
前記従動側回転体は、前記複数のプレートの前記摩擦面と反対側の反対面に、磁性材よりなり前記磁気遮断部を迂回させるよう前記複数のプレート間に磁気流れを形成する磁気バイパス部材(57)を備えている電磁クラッチ。 - 駆動対象装置の回転軸(J)とともに回転するハブ(7)と、
弾性変形可能に構成されて、前記ハブおよび前記複数のプレートのそれぞれに接続され、前記従動側回転体に形成された摩擦面を前記駆動側回転体に形成された摩擦面から離れる方向に弾性力を作用させる板バネ部材(55)と、を備え、
前記磁気バイパス部材は、前記板バネ部材に固定されている請求項1に記載の電磁クラッチ。 - 前記駆動対象装置の回転軸(J)とともに回転するハブ(7)を備え、
前記磁気バイパス部材は、前記ハブに固定されている請求項1に記載の電磁クラッチ。 - 前記磁気バイパス部材は、弾性部材(58)介して前記ハブに固定されている請求項3に記載の電磁クラッチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017008754A JP2018115749A (ja) | 2017-01-20 | 2017-01-20 | 電磁クラッチ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017008754A JP2018115749A (ja) | 2017-01-20 | 2017-01-20 | 電磁クラッチ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2018115749A true JP2018115749A (ja) | 2018-07-26 |
Family
ID=62984018
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2017008754A Pending JP2018115749A (ja) | 2017-01-20 | 2017-01-20 | 電磁クラッチ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2018115749A (ja) |
-
2017
- 2017-01-20 JP JP2017008754A patent/JP2018115749A/ja active Pending
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