JP2018115737A - 車両の制御装置及び車両の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コーストストップ条件が成立した後に運転者が停車意思を翻した場合における車両の応答性を確保する。【解決手段】コントローラ20は、車両1の走行中且つブレーキONの状態においてエンジン2を自動停止させる停止指示があった場合は、停止指示の後にエンジン2の回転速度が所定回転速度よりも低くなってから、ベルト無段変速機12に供給するセカンダリプーリ圧を低下させる低下指示を行う。【選択図】 図1
Description
本発明は、車両の制御装置及び車両の制御方法に関する。
特許文献1には、車両の走行中に運転者に停車意思があった場合に駆動源を自動停止させるコーストストップ制御が開示されている。
コーストストップ制御は、例えば、少なくとも以下の条件(a)〜(c)が成立した場合に実行される。
(a)アクセルペダルが踏み込まれていない。
(b)ブレーキペダルが踏み込まれている。
(c)車速が所定の低車速以下(例えば、15km/h以下)である。
(b)ブレーキペダルが踏み込まれている。
(c)車速が所定の低車速以下(例えば、15km/h以下)である。
また、特許文献1には、コーストストップ条件が成立すると、駆動源を自動停止させると同時にベルト無段変速機のセカンダリプーリに供給するセカンダリプーリ圧を低下させて、ベルトとセカンダリプーリとの間の摩擦力を低減することが開示されている。
これによれば、コーストストップ制御中に急制動等によってベルト滑りが発生した際のベルト無段変速機の耐久性低下を抑制できる。
また、特許文献1には、セカンダリプーリ圧の指示圧を積極的に下げることで、セカンダリプーリ圧の実圧の低下を速めることが開示されている。
特許文献1に開示の技術は、コーストストップ条件が成立すると直ぐにセカンダリプーリ圧を低下させるようになっている。このため、コーストストップ条件が成立した後に運転者が停車意思を翻してアクセルを踏み込んだ場合等、いわゆるチェンジオブマインドがあった場合は、加速時に必要な油圧までセカンダリプーリ圧を上昇させる必要があり、速やかに駆動力を発生させることが難しい。よって、車両の応答性が確保できない可能性がある。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、コーストストップ条件が成立した後に運転者が停車意思を翻した場合における車両の応答性を確保することを目的とする。
本発明のある態様によれば、駆動源と、前記駆動源から動力が伝達されるベルト無段変速機と、を備える車両の制御装置であって、前記車両の走行中且つブレーキONの状態において前記駆動源を自動停止させる停止指示があった場合は、前記停止指示の後に前記駆動源の回転速度が所定回転速度よりも低くなってから、前記ベルト無段変速機に供給するセカンダリプーリ圧を低下させる低下指示を行う、ことを特徴とする車両の制御装置が提供される。
また、これに対応する車両の制御方法が提供される。
これらの態様によれば、駆動源の回転速度が所定回転速度よりも低くなるまでの所定期間は、セカンダリプーリ圧が維持される。よって、所定期間が経過するまでは、運転者が停車意思を翻した場合における車両の応答性を確保できる。また、駆動源の回転速度が所定回転速度よりも低くなると、セカンダリプーリ圧を低下させる指示を積極的に行い、セカンダリプーリ圧の実圧を速やかに低下させる。よって、ベルトとプーリとの間の摩擦力が低減され、ベルト滑りが発生した際のベルト無段変速機の耐久性低下を抑制できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両1の概略構成を示している。
車両1は、駆動源としてのエンジン2と、スタータ11と、オイルポンプ3と、トルクコンバータ4と、ベルト無段変速機12と、減速ギヤ列7と、ディファレンシャルユニット8と、駆動輪9と、油圧回路10と、制御装置としてのコントローラ20と、を備える。
エンジン2は、ガソリン、軽油等を燃料とする内燃機関であり、コントローラ20からの指令に基づいて、回転速度、トルク等が制御される。
オイルポンプ3はエンジン2に取り付けられており、エンジン2の出力の一部を利用して駆動される。油圧回路10には、オイルポンプ3により作動油が供給される。
トルクコンバータ4は、ロックアップクラッチ41を有する。トルクコンバータ4は、ロックアップクラッチ41が締結されていない状態では、トルク増幅作用によりエンジン2から入力されるトルクを増幅して出力し、ロックアップクラッチ41が締結された状態では、エンジン2の回転をロスなく伝達する。
ベルト無段変速機12は、エンジン2と駆動輪9との間の動力伝達経路を断接する締結要素としての前進クラッチ5と、無段変速機構としてのバリエータ6と、を有する。
前進クラッチ5は、前進時に締結される油圧式多板クラッチであり、油圧回路10から供給されるクラッチ圧PCLを調整することによってトルク容量(伝達可能なトルクの最大値、伝達容量ともいう)を調整することができる。なお、図1には前進クラッチ5のみが示されているが、車両1は後進時に締結される後進クラッチも備えており、後進クラッチ締結時にはエンジン2の回転が反転されてバリエータ6に入力される。
バリエータ6は、プライマリプーリ6a及びセカンダリプーリ6bと、これらに掛け回されたベルト6cとから構成される無段変速機構である。バリエータ6は、油圧回路10から供給される油圧によって各プーリ6a、6bの溝幅を変更することによって、変速比(=入力回転速度/出力回転速度)を無段階に変更することができる。
エンジン2の回転は、バリエータ6で変速され、減速ギヤ列7、ディファレンシャルユニット8を介して左右の駆動輪9へと伝達される。
油圧回路10は、オイルポンプ3により供給される作動油の油圧を元圧として、ロックアップクラッチ41、前進クラッチ5、プライマリプーリ6a、セカンダリプーリ6b等に供給する油圧を調圧し、調圧した油圧を各部位に供給する。これにより、ロックアップクラッチ41及び前進クラッチ5の締結状態、バリエータ6の変速比が変更される。
コントローラ20は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等で構成される。コントローラ20には、アクセル開度APOを検出するセンサ21、ブレーキ操作を検出するブレーキスイッチ22、車速VSPを検出するセンサ23等からの信号が入力され、入力される信号に基づきエンジン2の回転速度(以下、エンジン回転速度という。)、トルク等を制御する。また、コントローラ20は、油圧回路10を介して、ロックアップクラッチ41及び前進クラッチ5の締結状態、バリエータ6の変速比を制御する。
また、本実施形態のコントローラ20は、燃料消費量を抑制するために、以下に説明するコーストストップ制御を行う。
コーストストップ制御は、車両1の走行中であっても、運転者に停車意思があると判断される場合に、エンジン2を自動停止させて燃料消費量を抑制する技術である。
コーストストップ制御は、例えば、少なくとも以下の条件(a)〜(c)が成立した場合に実行される。
(a)アクセルペダルが踏み込まれていない(アクセル開度APO=0)。
(b)ブレーキペダルが踏み込まれている(ブレーキON)。
(c)車速VSPが所定の低車速以下(例えば、15km/h以下)である。
(b)ブレーキペダルが踏み込まれている(ブレーキON)。
(c)車速VSPが所定の低車速以下(例えば、15km/h以下)である。
ところで、コーストストップ制御中は、エンジン2が停止することでオイルポンプ3も停止する。このため、プライマリプーリ6a及びセカンダリプーリ6bに供給されるプライマリプーリ圧Ppri及びセカンダリプーリ圧Psecも低下し、結果としてバリエータ6のベルト挟持力が低下する。よって、この状態で急制動等が行われると、ベルト6cと各プーリ6a、6bとの間でベルト滑りが発生する可能性がある。
そこで、コーストストップ条件が成立した場合は、エンジン2を自動停止させると同時にセカンダリプーリ6bに供給するセカンダリプーリ圧Psecを低下させて、ベルト6cとセカンダリプーリ6bとの間の摩擦力を予め低減しておくことが考えられる。
これによれば、ベルト無段変速機12にベルト滑りが発生する場合は、ベルト6cとセカンダリプーリ6bとの間でベルト滑りが発生することになり、一方で、ベルト6cとセカンダリプーリ6bとの間の摩擦力を予め低減しておくので、凝着を防止できる。よって、ベルト無段変速機12の耐久性低下を抑制できる。
しかしながら、コーストストップ条件が成立して直ぐにセカンダリプーリ圧Psecを低下させると、コーストストップ条件が成立した後に運転者が停車意思を翻してアクセルを踏み込んだ場合等、いわゆるチェンジオブマインドがあった場合は、加速時に必要な油圧までセカンダリプーリ圧を上昇させる必要があり、速やかに駆動力を発生させることが難しい。よって、車両1の応答性が確保できない可能性がある。
そこで、本実施形態のコントローラ20は、図2に示すフローチャートの手順に従ってコーストストップ制御を実行することで、コーストストップ条件が成立した後に運転者が停車意思を翻した場合における車両1の応答性を確保できるようにしている。
以下、コントローラ20が実行する処理の内容について、図2を参照しながら詳しく説明する。
ステップS11では、コントローラ20は、コーストストップ条件が成立したか判定する。コーストストップ条件は、例えば、上述したように、アクセル開度APO=0、ブレーキON、車速VSPが15km/h以下の場合に成立したと判定される。
コントローラ20は、コーストストップ条件が成立したと判定すると、処理をステップS12に移行する。また、コーストストップ条件が成立していないと判定すると、ステップS11の処理を繰り返し行う。
ステップS12では、コントローラ20は、エンジン2を自動停止させる停止指示を行い、エンジン2を停止させる。具体的には、コントローラ20は、エンジン2の燃料噴射を停止させる指示を行う。これにより、燃料噴射が停止されてエンジン2が停止する。
ステップS13では、コントローラ20は、エンジン回転速度が所定回転速度よりも低くなったか判定する。
本実施形態では、所定回転速度は、エンジン2の燃料噴射を行うことで、スタータ11によりクランキングを行うことなくエンジン2を始動させることができる回転速度の下限値(以下、燃焼リカバ回転速度という。)と同じ値に設定される。燃焼リカバ回転速度は、例えば、800rpmである。
コントローラ20は、エンジン回転速度が所定回転速度よりも低くなったと判定すると、処理をステップS14に移行する。また、エンジン回転速度が所定回転速度以上と判定すると、処理をステップS18に移行する。ステップS18以降の処理については後述する。
ステップS14では、コントローラ20は、セカンダリプーリ6bに供給されるセカンダリプーリ圧Psecを低下させる指示を行う。具体的には、コントローラ20は、セカンダリプーリ圧Psecの指示圧を0にすることで、積極的にセカンダリプーリ圧Psecの実圧を低下させる。
これにより、ベルト無段変速機12にベルト滑りが発生する場合は、ベルト6cとセカンダリプーリ6bとの間でベルト滑りが発生することになる。
エンジン2の自動停止に伴ってプライマリプーリ圧Ppri及びセカンダリプーリ圧Psecがある程度低下した状態で急制動等が行われると、各プーリ6a、6bのベルト挟持力がある程度大きいにも関わらずベルト滑りが発生して凝着が発生する場合がある。
これに対して、本実施形態では、セカンダリプーリ圧Psecの指示圧を0にして実圧を低下させているので、ベルト6cとセカンダリプーリ6bとが低摩擦で滑る状態を積極的に作り出していることになる。このように、セカンダリプーリ6bとベルト6cとを低摩擦で滑らせることで、凝着を防止することができる。よって、ベルト無段変速機12の耐久性低下を抑制できる。
なお、セカンダリプーリ圧Psecの実圧をある程度低下させれば上記の効果を得ることができるので、指示圧を必ずしも0にする必要はないが、指示圧を0にして速やかに実圧を低下させることが好ましい。
ステップS15では、コントローラ20は、前進クラッチ5を解放させる解放指示を行う。具体的には、前進クラッチ5に供給されるクラッチ圧PCLの指示圧を解放圧にする。これにより、前進クラッチ5が解放される。
なお、前進クラッチ5の解放指示は、セカンダリプーリ圧Psecの低下指示(ステップS14)と同時に行ってもよい。前進クラッチ5の解放指示をセカンダリプーリ圧Psecの低下指示以降に行うことの効果については後述する。
ステップS16では、コントローラ20は、コーストストップ条件が不成立になったか判定する。
コントローラ20は、コーストストップ条件が不成立になったと判定すると、処理をステップS17に移行する。また、コーストストップ条件が不成立になっていないと判定すると、ステップS16の処理を繰り返し行う。
ステップS17では、コントローラ20は、エンジン2を始動させる始動指示及び前進クラッチ5を締結させる締結指示を行う。具体的には、コントローラ20は、スタータ11を作動させる指示及びエンジン2の燃料噴射を再開させる指示を行うとともに、クラッチ圧PCLの指示圧を締結圧にする。これにより、エンジン2が始動するとともに、前進クラッチ5が締結される。
続いて、ステップS18以降の処理について説明する。
ステップS18では、コントローラ20は、コーストストップ条件が不成立になったか判定する。
コントローラ20は、コーストストップ条件が不成立になったと判定すると、処理をステップS19に移行する。また、コーストストップ条件が不成立になっていないと判定すると、ステップS13に戻って処理を繰り返し行う。
ステップS19では、コントローラ20は、エンジン2を始動させる始動指示を行い、エンジン2を始動させる。具体的には、コントローラ20は、エンジン2の燃料噴射を再開させる指示を行う。これにより、燃料噴射が再開されてエンジン2が始動する。
エンジン回転速度が燃焼リカバ回転速度以上の状態では、燃料噴射によりエンジン2を始動できるので、スタータ11によりエンジン2を始動する場合と比べて、速やかにエンジン2を始動することができる。よって、コーストストップ条件の成立後において、運転者が停車意思を翻してアクセルを踏み込んだ場合等の車両1の応答性を確保できる。
続いて、図3に示すタイムチャートを参照しながら、コーストストップ制御中であって、エンジン回転速度が所定回転速度よりも低くなった後に急制動が行われた場合の車両1の様子について説明する。なお、図3のセカンダリプーリ圧Psecは指示圧を示している。
時刻t1以前は、ブレーキペダルが踏み込まれて(ブレーキON)車速VSPが低下していくとともに、所定の変速マップに従ってバリエータ6の変速比がLow側に変化するようにセカンダリプーリ圧Psecが徐々に上昇している状態である。
時刻t1で車速VSPが所定の車速以下になると、コーストストップ条件が成立してエンジン2が停止する。
時刻t1と時刻t2の間でバリエータ6の変速比が最Lowとなり、セカンダリプーリ圧Psecが変速比を維持可能な油圧まで低下する。
エンジン回転速度が低下していき、時刻t2で燃焼リカバ回転速度よりも低くなると、セカンダリプーリ圧Psecが0になる。また、時刻t2では、前進クラッチ5が解放状態となる。
時刻t3でブレーキペダルがさらに踏み込まれて急制動が行われると、車速VSPが急激に低下する。
このとき、セカンダリプーリ圧Psecが0、つまり、ベルト6cとセカンダリプーリ6bとの間の摩擦力が予め低減された状態となっているので、ベルト6cとセカンダリプーリ6bとが、凝着することなく低摩擦で滑る状態が実現される。これにより、ベルト無段変速機12の耐久性低下が抑制される。
また、前進クラッチ5が解放されているので、エンジン回転速度は、急制動の影響を受けることなくそのまま低下していく。
その後、車速VSPが0になり車両1が停車する。
続いて、図4に示すタイムチャートを参照しながら、コーストストップ制御中であって、エンジン回転速度が所定回転速度以上の状態でアクセルONになった場合の車両1の様子について説明する。なお、図3と同様に、図4のセカンダリプーリ圧Psecは指示圧を示している。
また、図4において点線で示すセカンダリプーリ圧Psecは、エンジン2を自動停止させると同時にセカンダリプーリ圧Psecを低下させた場合を比較例として示したものである。点線で示すエンジン回転速度、点線で示す車速VSP、及び点線で示す前進クラッチも同様である。
時刻t1以前は、ブレーキペダルが踏み込まれて(ブレーキON)車速VSPが低下していくとともに、所定の変速マップに従ってバリエータ6の変速比がLow側に変化するようにセカンダリプーリ圧Psecが徐々に上昇している状態である。
時刻t1で車速VSPが所定の車速以下になると、コーストストップ条件が成立してエンジン2が停止する。
時刻t1と時刻t2の間でバリエータ6の変速比が最Lowとなり、セカンダリプーリ圧Psecが変速比を維持可能な油圧まで低下する。
時刻t2でブレーキOFFになるとコーストストップ条件が不成立となり、燃料噴射が再開されてエンジン2が始動する。また、車両1の加速時にベルト滑りが発生しないだけのベルト挟持力を確保するべく、セカンダリプーリ圧Psecが上昇していく。
これにより、アクセルが踏み込まれる時刻t3よりも前に、加速時に必要な油圧までセカンダリプーリ圧Psecが上昇した状態となる。
時刻t3でアクセルが踏み込まれると、エンジン回転速度及び車速VSPが上昇する。つまり、車両1が加速する。
このように、本実施形態では、コーストストップ制御中であって、エンジン回転速度が燃焼リカバ回転速度よりも低くなる前は、セカンダリプーリ圧Psecが維持され、また、前進クラッチ5も締結状態に維持される。
このため、コーストストップ条件が不成立になった場合は、加速時に必要な油圧までセカンダリプーリ圧Psecを短時間で上昇させることができる。また、前進クラッチ5を解放していないので、前進クラッチ5を再締結する時間も不要となる。よって、車両1を速やかに加速させることが可能となり、車両1の応答性を確保できる。
また、エンジン回転速度が燃焼リカバ回転速度以上の期間においては、オイルポンプ3から充分な流量の作動油を供給することができる程度に、エンジン回転速度が高い状態である。
このため、当該期間においては、急制動等が行われたとしてもベルト滑りが発生しないだけの摩擦力を発生させるのに必要なプライマリプーリ圧Ppri及びセカンダリプーリ圧Psecを確保できる。よって、当該期間に急制動等が行われたとしても、ベルト無段変速機12にベルト滑りが発生することを防止できる
これに対して、点線で示すように、時刻t1でセカンダリプーリ圧Psecを低下させるとともに前進クラッチ5を解放した場合は、時刻t2でコーストストップ条件が不成立になると、セカンダリプーリ圧Psecを0から上昇させる必要がある。この場合は、時刻t4になるまで、加速時に必要なセカンダリプーリ圧Psecを確保できない。前進クラッチ5についても同様に、クラッチ圧PCLを締結圧まで上昇させて再締結するのに時間を要する。
このため、この場合は、セカンダリプーリ圧Psecが加速時に必要な油圧まで上昇するとともに前進クラッチ5が締結状態となる時刻t4までは、アクセルが踏み込まれた状態であってもエンジン回転速度を上昇させることができず、車速VSPも上昇しない。つまり、車両1の応答性が低下することになる。
以上述べたように、本実施形態のコントローラ20は、車両1の走行中且つブレーキONの状態においてエンジン2を自動停止させる指示があった場合は、その後にエンジン回転速度が所定回転速度よりも低くなってから、セカンダリプーリ6bに供給するセカンダリプーリ圧Psecを低下させる低下指示を行う。
これによれば、コーストストップ条件が成立してエンジン2を停止させた後に、エンジン回転速度が所定回転速度よりも低くなるまでの所定期間は、セカンダリプーリ圧Psecを低下させる低下指示を行わないので、セカンダリプーリ圧Psecが維持される。
よって、所定期間が経過するまでの間に、運転者が停車意思を翻してアクセルを踏み込んだ場合等は、燃料噴射によりエンジン2を速やかに始動でき、また、セカンダリプーリ圧Psecを加速に必要な油圧まで速やかに上昇させることができるので、車両1の応答性を確保できる。また、エンジン回転速度が所定回転速度よりも低くなると、セカンダリプーリ圧Psecを低下させる低下指示を積極的に行ってセカンダリプーリ圧Psecの実圧を速やかに低下させるので、ベルト6cとセカンダリプーリ6bとの間の摩擦力が低減され、ベルト滑りによるベルト無段変速機12の耐久性低下を抑制できる(請求項1、6に対応する効果)。
また、本実施形態の車両1は、エンジン2により駆動されるオイルポンプ3を備え、ベルト無段変速機12は、オイルポンプ3により供給される作動油を用いて制御される。
エンジン回転速度が所定回転速度以上の期間においては、オイルポンプ3から充分な流量の作動油を供給することができる程度に、エンジン回転速度が高い状態となる。このため、当該期間においては、急制動等が行われたとしてもベルト滑りが発生しないだけの摩擦力を発生させるのに必要なプライマリプーリ圧Ppri及びセカンダリプーリ圧Psecを確保できる。よって、当該期間に急制動等が行われたとしても、ベルト無段変速機12にベルト滑りが発生することを防止できる(請求項2に対応する効果)。
また、本実施形態では、車両1の駆動源がエンジン2である。よって、所定回転速度をエンジン2の燃焼リカバ回転速度以上の値に設定しておくことで、エンジン回転速度が所定回転速度以上の期間においては、スタータ11を用いることなくエンジン2を始動できる。
これによれば、コーストストップ条件が成立した後に、運転者が停車意思を翻してアクセルを踏み込んだ場合等に、燃料噴射によりエンジン2を速やかに始動でき、車両1の応答性を確保できる(請求項3に対応する効果)。
特に、本実施形態では、所定回転速度が燃焼リカバ回転速度と同じ値に設定されている。
これによれば、エンジン回転速度が所定回転速度以上の期間を最も長くすることができる(請求項4に対応する効果)。
また、本実施形態のベルト無段変速機12は、エンジン2と駆動輪9との間の動力伝達経路を断接する前進クラッチ5を有し、コントローラ20は、セカンダリプーリ圧Psecを低下させる低下指示を行った後に、前進クラッチ5を解放させる解放指示を行う。
これによれば、セカンダリプーリ圧Psecを低下させる低下指示の前、つまり、エンジン回転速度が所定回転速度以上の期間においては、前進クラッチ5の締結状態が維持される。よって、運転者が停車意思を翻してアクセルを踏み込んだ場合等に前進クラッチ5を再締結する時間が不要となり、車両1の応答性を確保できる(請求項5に対応する効果)。
なお、このような構成を有する車両において、ベルト無段変速機が両調圧方式の場合は、セカンダリプーリの上流のバルブはスプールを有するが、ライン圧油路とセカンダリプーリとの間を遮断する方向にスプールが動いたことをもって、セカンダリプーリ圧を低下させる指示が行われたと判断することができる。好ましくは、スプールが動くことによってセカンダリプーリがドレン油路と連通するとよい。
また、ベルト無段変速機が片調圧方式の場合は、セカンダリプーリ圧=ライン圧である。ライン圧の調圧弁はライン圧油路の油の一部を排出することにより調圧を行っている(排出した油を例えば潤滑に使用したり、ロックアップに使用したりすることもある)。ライン圧油路の油がより多く排出される方向にライン圧の調圧弁のスプールが動いたことをもって、セカンダリプーリ圧を低下させる指示が行われたと判断することができる。
又は、調圧方式に関わらず、セカンダリプーリ圧が急激に低下した(例:油圧低下の傾きが直前よりも急になった)ことをもって、カンダリプーリ圧を低下させる指示が行われたと判断することができる。
以上のように、例えば、バルブのスプールの動き、油圧の動き等からセカンダリプーリ圧を低下させる指示が行われたと判断することができる。
駆動源の自動停止指示があると、駆動源(エンジン)の燃料噴射が止まり(駆動源がモータである場合は電流供給が止まり)、駆動源の回転速度が急激に低下することになる。駆動源の回転速度の急激な低下をもって駆動源の自動停止指示が行われたと判断することができる。なお、チェンジオブマインドがない場合は駆動源の回転速度の急激な低下の後に駆動源の回転速度が0になり、この点でも駆動源の自動停止指示が行われたと判断することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態では、エンジン2及びベルト無段変速機12をコントローラ20が制御している。しかしながら、エンジン2を制御するコントローラとベルト無段変速機12を制御するコントローラとを個別に設けてもよい。また、コントローラ20の機能を他のコントローラに分担させてもよい。
1 車両
2 エンジン(駆動源)
3 オイルポンプ
5 前進クラッチ(締結要素)
9 駆動輪
10 油圧回路
12 ベルト無段変速機
20 コントローラ(制御装置)
2 エンジン(駆動源)
3 オイルポンプ
5 前進クラッチ(締結要素)
9 駆動輪
10 油圧回路
12 ベルト無段変速機
20 コントローラ(制御装置)
Claims (6)
- 駆動源と、前記駆動源から動力が伝達されるベルト無段変速機と、を備える車両の制御装置であって、
前記車両の走行中且つブレーキONの状態において前記駆動源を自動停止させる停止指示があった場合は、前記停止指示の後に前記駆動源の回転速度が所定回転速度よりも低くなってから、前記ベルト無段変速機に供給するセカンダリプーリ圧を低下させる低下指示を行う、
ことを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1に記載の車両の制御装置であって、
前記車両は、前記駆動源により駆動されるオイルポンプをさらに備え、
前記ベルト無段変速機は、前記オイルポンプにより供給される作動油を用いて制御される、
ことを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1又は2に記載の車両の制御装置であって、
前記駆動源は、エンジンであって、
前記所定回転速度は、前記エンジンの燃焼リカバ回転速度以上の値に設定されている、
ことを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項3に記載の車両の制御装置であって、
前記所定回転速度は、前記エンジンの燃焼リカバ回転速度と同じ値に設定されている、
ことを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1から4のいずれか1つに記載の車両の制御装置であって、
前記ベルト無段変速機は、前記駆動源と駆動輪との間の動力伝達経路を断接する締結要素を有し、
前記制御装置は、前記低下指示以降に、前記締結要素を解放させる解放指示を行う、
ことを特徴とする車両の制御装置。 - 駆動源と、前記駆動源から動力が伝達されるベルト無段変速機と、を備える車両の制御方法であって、
前記車両の走行中且つブレーキONの状態において前記駆動源を自動停止させる停止指示があった場合は、前記停止指示の後に前記駆動源の回転速度が所定回転速度よりも低くなってから、前記ベルト無段変速機に供給するセカンダリプーリ圧を低下させる低下指示を行う、
ことを特徴とする車両の制御方法。
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2017
- 2017-01-20 JP JP2017008096A patent/JP2018115737A/ja active Pending
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