JP2018114934A - 車両用制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】より的確に車両の進行方向のずれを抑制できる車両用制御装置を提供する。
【解決手段】位置フィードバック制御部50は角度偏差dθに基づいて電流指令値Is*を生成する。減算器51aは、電流指令値Is*と補正量Tcとの和から実電流値Iを減算することにより、電流偏差dIを演算する。電流フィードバック制御部51は電流偏差dIに基づいて電圧指令値Vs*を生成する。外乱判定部53によって、ヨーレートYr、横加速度La、および回転角度θmに基づいて、車両がどれだけ直進方向からずれているかを判定することができる。補正量演算部54は、外乱判定部53により生成される外乱判定フラグF、横加速度La、および車速Vに基づいて、車両の進行方向のずれを補正するための補正量Tcを生成する。
【選択図】図2
【解決手段】位置フィードバック制御部50は角度偏差dθに基づいて電流指令値Is*を生成する。減算器51aは、電流指令値Is*と補正量Tcとの和から実電流値Iを減算することにより、電流偏差dIを演算する。電流フィードバック制御部51は電流偏差dIに基づいて電圧指令値Vs*を生成する。外乱判定部53によって、ヨーレートYr、横加速度La、および回転角度θmに基づいて、車両がどれだけ直進方向からずれているかを判定することができる。補正量演算部54は、外乱判定部53により生成される外乱判定フラグF、横加速度La、および車速Vに基づいて、車両の進行方向のずれを補正するための補正量Tcを生成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、車両用制御装置に関する。
車両の進行方向を自動的に変化させる自動運転を可能にする車両用制御装置がある。自動運転を可能にする車両では、車両の走行状態に応じて、操舵機構の操舵量を調整するための種々の制御が考えられている。
たとえば、特許文献1には、車両の走行状態として、路面の傾き(カントやバンク)や横風などの外乱が車両に作用したときに、操舵機構の操舵量を調整する方法が開示されている。特許文献1では、車両の横方向に外乱が作用したとき、この外乱によって車両が本来の進行方向からずれて(偏向して)しまうことを抑制するために、車両のずれを誘引する因子を打ち消すために必要な操舵トルクを低減する補正量を操舵トルクおよび横加速度に基づいて演算していた。これにより、運転者が車両のずれを誘引する因子を打ち消すために長時間にわたって操舵トルクを入力することが抑制され、その操舵トルクを低減することにより、運転者の負担を軽減するようにしている。
ところで、自動運転時には、運転者の操舵がないため、操舵トルクが「0」となる。このため、操舵トルクおよび横加速度に基づいて車両の進行方向のずれを誘引する因子を打ち消そうとすると、自動運転時には操舵トルクがないために、的確に補正量を演算することができない。
本発明は、より的確に車両の進行方向のずれを抑制できる車両用制御装置を提供することにある。
上記目的を達成しうる車両用制御装置は、外部からの入力により決定される回転角度指令値に基づいて、転舵輪の転舵角を変化させる動力を発生させるモータを制御する車両用制御装置において、前記転舵輪の転舵角に換算可能な回転角が前記回転角度指令値に追従するように前記モータの回転角度について位置フィードバック制御を実行する位置フィードバック制御部と、前記位置フィードバック制御部による前記位置フィードバック制御の結果に基づいて、前記モータの電流について電流フィードバック制御を実行することにより、前記モータを制御するための制御量を演算する電流フィードバック制御部と、前記回転角度指令値が車両の直進を示す指令である場合、ヨーレートおよび横加速度の少なくとも一方と前記転舵輪の転舵角に関連する舵角情報に基づいて、外乱により前記車両が直進方向からずれているか否かを判定する外乱判定部と、前記外乱判定部によって前記外乱により前記車両が直進方向からずれている旨判定される場合、前記位置フィードバック制御の結果に加算され、前記外乱の影響を打ち消すための補正量を演算する補正量演算部と、を備えている。
この構成によれば、外乱判定部によって、ヨーレートおよび横加速度の少なくとも一方と舵角情報に基づいて、外乱により車両が直進方向からずれているか否かが判定される。すなわち、操舵トルクを用いることなしに、ヨーレートおよび横加速度の少なくとも一方と舵角情報に基づいて、外乱により車両が直進方向からずれているか否かを判定することができる。そして、外乱判定部によって外乱により車両が直進方向からずれている旨判定される場合、補正量演算部により演算される補正量が位置フィードバック制御の結果に加算され、位置フィードバック制御の結果と補正量との和に基づいて、電流フィードバック制御が実行される。これにより、モータの制御量を、外乱の影響を打ち消すように変化させることができる。よって、車両の進行方向のずれを検出して的確に抑制することができる。
上記の車両用制御装置において、前記補正量演算部は、前記横加速度の絶対値が大きいほど、かつ車速が小さいほど、より絶対値の大きな補正量を演算することが好ましい。
この構成によれば、外乱判定部によって、外乱により車両が直進方向からずれている旨判定される場合、補正量演算部は、横加速度および車速に応じた補正量を演算することができる。
この構成によれば、外乱判定部によって、外乱により車両が直進方向からずれている旨判定される場合、補正量演算部は、横加速度および車速に応じた補正量を演算することができる。
上記の車両用制御装置において、前記外乱判定部は、前記回転角度指令値と前記回転角度との偏差である角度偏差が角度閾値以上である場合、前記ヨーレートまたは前記横加速度と同じ方向に、前記回転角度が前記回転角度指令値よりも大きい場合、前記外乱により前記車両が直進方向からずれている旨判定することが好ましい。
この構成によれば、横加速度と同じ方向に回転角度が回転角度閾値よりも大きい場合、すなわち車両の進行方向が、本来想定される車両の進行方向よりも横加速度と同じ方向にずれてしまった場合には、外乱により車両が直進方向からずれている旨を判定することができる。
上記の車両用制御装置において、前記外乱判定部は、前記回転角度指令値と前記回転角度との偏差である角度偏差が角度閾値未満である場合、一定時間内に、前記ヨーレートまたは前記横加速度と反対方向の前記回転角度指令値が2回以上発生したとき、前記外乱により前記車両が直進方向からずれている旨判定することが好ましい。
この構成によれば、一定時間内にヨーレートまたは横加速度と反対方向の回転角度指令値が2回以上発生したとき、前回の直進を示す指令と今回の直進を示す指令との間で、外乱によって車両が直進方向からずれてしまったと考えられる。このため、外乱判定部は、外乱により車両が直進方向からずれている旨判定することにより、補正量演算部は補正量を演算する。
上記の車両用制御装置は、前記回転角度指令値に基づいて自動運転を実行する車両用制御装置に好適である。また、外部からの入力の周期は、前記位置フィードバック制御部および前記電流フィードバック制御部の演算周期よりも長く設定されていることが好ましい。
この構成によれば、外部からの入力の周期が、位置フィードバック制御部および電流フィードバック制御部の演算周期よりも長いため、今回の外部からの入力と次回の外部からの入力との間に外乱によって車両の進行方向がずれてしまうおそれがある。この点、位置フィードバック制御部や電流フィードバック制御部などのより演算周期が短いものに基づいて、外乱による車両の進行方向のずれをより迅速に抑制できる。
本発明の車両用制御装置によれば、より的確に車両の進行方向のずれを抑制できる。
以下、車両用制御装置の一実施形態を説明する。
図1に示すように、車両Aには、後述する操舵機構2に対して車両Aの進行方向を自動的に変化させる動力を付与する自動操舵装置1(自動運転装置)が搭載されている。
図1に示すように、車両Aには、後述する操舵機構2に対して車両Aの進行方向を自動的に変化させる動力を付与する自動操舵装置1(自動運転装置)が搭載されている。
操舵機構2は、運転者により操作されるステアリングホイール10と、ステアリングホイール10と固定されるステアリングシャフト11とを備えている。ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール10と連結されたコラムシャフト11aと、コラムシャフト11aの下端部に連結されたインターミディエイトシャフト11bと、インターミディエイトシャフト11bの下端部に連結されたピニオンシャフト11cとを有している。ピニオンシャフト11cの下端部は、ラックアンドピニオン機構13を介してラックシャフト12に連結されている。ステアリングシャフト11の回転運動は、ラックアンドピニオン機構13を介してラックシャフト12の軸方向の往復直線運動に変換される。この往復直線運動が、ラックシャフト12の両端にそれぞれ連結されたタイロッド14を介して、左右の転舵輪15にそれぞれ伝達されることにより、これら転舵輪15の転舵角が変化する。
コラムシャフト11aの途中には、操舵機構2に付与される回転力(操舵力)の発生源であるモータ20を有する操舵力付与機構3が設けられている。たとえば、モータ20は、3相(U,V,W)の駆動電力に基づいて回転する3相ブラシレスモータである。モータ20の回転軸21は、減速機構22を介してコラムシャフト11aに連結されている。操舵力付与機構3は、モータ20の回転軸21の回転力を、減速機構22を介してコラムシャフト11aに伝達することにより、この回転力(トルク)が操舵力として、左右の転舵輪15の転舵角を変化させる。
モータ20には、車両Aに設けられる各種のセンサによって検出される各種の状態量に基づいて、モータ20の駆動を制御する操舵ECU30(車両用制御装置)が接続されている。各種のセンサとしては、トルクセンサ40、回転角センサ41、車速センサ42、ヨーレートセンサ43、および横加速度センサ44が設けられる。トルクセンサ40はコラムシャフト11aに設けられ、回転角センサ41はモータ20に設けられている。トルクセンサ40は、運転者がステアリング操作した際に、ステアリングシャフト11に生じる操舵トルクThを検出する。回転角センサ41は、モータ20の回転軸21の回転角度θmを検出する。車速センサ42は、車両Aの走行速度である車速Vを検出する。ヨーレートセンサ43は、車両Aの重心点を通る鉛直軸周りの回転角速度(車両Aの旋回方向への回転角の変化速度)、すなわちヨーレートYrを検出する。横加速度センサ44は、車両Aに作用する横加速度Laを検出する。横加速度Laは、車両Aを上からみたとき、車両Aの進行方向に対して直交する左右方向に作用する加速度をいう。操舵ECU30は、これらのセンサを通じて取得される操舵トルクTh、回転角度θm、車速V、ヨーレートYr、および横加速度Laに基づいて、モータ20を制御する。
操舵ECU30には、車載される自動操舵ECU4が接続されている。自動操舵ECU4は、車両Aの走行状態に応じて車両の進行方向を自動的に変化させる自動操舵の制御を操舵ECU30に対して指示するものである。
自動操舵ECU4は、車両の走行状態を示す車両情報θconを取り込む。車両情報θconは、カーナビ等のGPS、車速センサ42、ヨーレートセンサ43、その他の車載センサ(カメラ、距離センサ、およびレーザー等)、および車間通信により認識される車両Aの周辺環境を含む車両Aの走行状態を示す情報である。自動操舵ECU4は、車両情報θconに基づいて自動操舵制御に用いられる角度指令値θs*を生成し、この角度指令値θs*を操舵ECU30に出力する。なお、角度指令値θs*は、転舵輪15の転舵角に換算可能な回転角の自動操舵制御における目標値である。転舵輪15の転舵角に換算可能な回転角としては、ステアリングホイール10の回転角である操舵角が用いられる。
なお、操舵ECU30には、図示しない切替スイッチが接続されている。切替スイッチは、運転者の操作に基づいて自動操舵制御を実行するか否かを操舵ECU30に指示するものである。本実施形態では、操舵ECU30は、自動操舵制御が指示される間は自動操舵制御を実行し、運転者によるステアリング操作などの介入操作があれば自動操舵制御と並行してステアリング操作を補助する介入操舵制御を実行する。また、操舵ECU30は、自動操舵制御が指示されない間(自動操舵制御をしないことが指示される間)、自動操舵制御を実行しないで、ステアリング操作を補助するEPS制御を実行する。この場合、操舵ECU30は、自動操舵ECU4が出力する角度指令値θs*を無効、あるいは入力しないようにすればよい。
つぎに、自動操舵装置1の電気的構成について説明する。
図2に示すように、操舵ECU30は、モータ制御信号Smを生成する操舵マイコン31(マイクロコンピュータ)と、モータ制御信号Smに基づいてモータ20に駆動電力を供給する駆動回路32と、モータ20に付与される駆動電力の実電流値Iを検出する電流センサ33とを備えている。
図2に示すように、操舵ECU30は、モータ制御信号Smを生成する操舵マイコン31(マイクロコンピュータ)と、モータ制御信号Smに基づいてモータ20に駆動電力を供給する駆動回路32と、モータ20に付与される駆動電力の実電流値Iを検出する電流センサ33とを備えている。
操舵マイコン31は、位置フィードバック制御部50、電流フィードバック制御部51、制御信号生成部52、外乱判定部53、および補正量演算部54を有している。位置フィードバック制御部50は、モータ制御信号Smを生成するための電流指令値Is*を演算する。電流フィードバック制御部51は、電流指令値Is*および実電流値Iに基づいて、フィードバック制御を行うことにより、電圧指令値Vs*を演算する。制御信号生成部52は、演算された電圧指令値Vs*に基づき、モータ制御信号Smを生成して、PWM信号として出力する。外乱判定部53および補正量演算部54は、車両Aの走行状態に応じて、位置フィードバック制御部50および電流フィードバック制御部51の制御状態を変更する。また、操舵マイコン31は、減算器50a、減算器51a、および変換器55を備えている。
なお、自動操舵ECU4は、自動操舵制御を実行する場合、所定周期ごとに、車両情報θconに基づいて車両Aの挙動を制御する上で最適な角度指令値θs*を生成する。自動操舵ECU4は、生成した角度指令値θs*を操舵マイコン31に所定周期ごとに出力し、操舵マイコン31は、角度指令値θs*に基づいてモータ20の駆動を制御する。
また、操舵マイコン31の変換器55は、所定周期ごとに入力される角度指令値θs*を、所定の係数を用いて、モータ20の回転角度θm(これを回転角度指令値θm*とする)に変換する。転舵輪15の転舵角に換算可能な回転角(操舵角)と、モータ20の回転角度θmとの間には相関関係があり、互いに変換(換算)することができる。
つぎに、操舵マイコン31について詳しく説明する。
操舵マイコン31に設けられた減算器50aは、回転角度指令値θm*から回転角度θmを減算することにより、角度偏差dθを演算する。位置フィードバック制御部50には、角度偏差dθが入力される。位置フィードバック制御部50は、角度偏差dθに基づいて、比例制御、積分制御、および微分制御(PID制御)を実行することにより、電流指令値Is*を生成する。すなわち、位置フィードバック制御部50は、角度偏差dθ、ならびに比例ゲイン、積分ゲイン、および微分ゲインに基づいてフィードバック演算を行うことにより、電流指令値Is*を生成する位置フィードバック制御を実行する。位置フィードバック制御部50は、比例ゲイン、積分ゲイン、および微分ゲインをそれぞれ角度偏差dθに乗算して得られる各成分を加算することにより、電流指令値Is*を生成する。
操舵マイコン31に設けられた減算器50aは、回転角度指令値θm*から回転角度θmを減算することにより、角度偏差dθを演算する。位置フィードバック制御部50には、角度偏差dθが入力される。位置フィードバック制御部50は、角度偏差dθに基づいて、比例制御、積分制御、および微分制御(PID制御)を実行することにより、電流指令値Is*を生成する。すなわち、位置フィードバック制御部50は、角度偏差dθ、ならびに比例ゲイン、積分ゲイン、および微分ゲインに基づいてフィードバック演算を行うことにより、電流指令値Is*を生成する位置フィードバック制御を実行する。位置フィードバック制御部50は、比例ゲイン、積分ゲイン、および微分ゲインをそれぞれ角度偏差dθに乗算して得られる各成分を加算することにより、電流指令値Is*を生成する。
減算器51aは、位置フィードバック制御部50が生成する電流指令値Is*、電流センサ33により検出される実電流値I、および補正量演算部54により演算される補正量Tcを取得する。減算器51aは、電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に補正量Tcを加算することにより、電流偏差dIを演算する。
電流フィードバック制御部51は、減算器51aにより演算される電流偏差dIを取得する。電流フィードバック制御部51は、電流偏差dIを取得すると、比例制御、積分制御、および微分制御(PID制御)を実行し、電圧指令値Vs*を生成する。電流フィードバック制御部51は、電流偏差dI、ならびに比例ゲイン、積分ゲイン、および微分ゲインに基づいてフィードバック制御を行うことにより、電圧指令値Vs*を生成する電流フィードバック制御を実行する。電流フィードバック制御部51は、比例ゲイン、積分ゲイン、および微分ゲインをそれぞれ電流偏差dIに乗算して得られる各成分を加算することにより、電圧指令値Vs*を生成する。
制御信号生成部52は、電流フィードバック制御部51により得られた電圧指令値Vs*に基づいて、駆動回路32を駆動させるためのモータ制御信号Smを生成する。
外乱判定部53は、ヨーレートセンサ43により検出されるヨーレートYr、横加速度センサ44により検出される横加速度La、回転角度指令値θm*、回転角センサ41により検出される回転角度θm、および電流指令値Is*を取得する。外乱判定部53は、道路の傾き(カントやバンクなど)を走行している場合や横風などの外乱が車両Aに作用している場合に、当該外乱が自動操舵制御に与える影響を判定し、当該判定結果に基づいて外乱判定フラグFを生成する。
外乱判定部53は、ヨーレートセンサ43により検出されるヨーレートYr、横加速度センサ44により検出される横加速度La、回転角度指令値θm*、回転角センサ41により検出される回転角度θm、および電流指令値Is*を取得する。外乱判定部53は、道路の傾き(カントやバンクなど)を走行している場合や横風などの外乱が車両Aに作用している場合に、当該外乱が自動操舵制御に与える影響を判定し、当該判定結果に基づいて外乱判定フラグFを生成する。
たとえば、道路が車両Aの横方向に傾いている場合、道路の傾きによって車両Aの重心点を通る鉛直軸周りに車両Aを旋回させる力、すなわちヨーイングモーメントが車両Aに作用する。このヨーイングモーメントは、ヨーレートセンサ43により検出されるヨーレートYrによって検出することができる。また、道路が車両Aの横方向に傾いている場合、重力により車両Aの横方向に横加速度Laが作用する。外乱判定部53は、ヨーレートYr、横加速度La、および回転角度θmによって、車両Aの進行方向が直進方向に対してどれだけずらされているか、すなわち車両Aがどれだけ偏向しているかを判定することができる。特に車両Aの進行方向を大きくずらすほどの道路の傾斜は、自動操舵制御において無視できない場合もある。そして、外乱判定部53は、外乱の影響により、モータ20から発生するトルクを補正するべきか否かを示す外乱判定フラグF(F=2,1,0,−1)を生成する。なお、横風が車両Aに作用している場合も道路が傾いている場合と同様に、外乱判定部53によって、ヨーレートYr、横加速度La、および回転角度θmに基づいて、車両Aがどれだけ直進方向からずれているかを判定することができる。
補正量演算部54は、外乱判定部53により生成される外乱判定フラグF、横加速度センサ44により検出される横加速度La、および車速センサ42により検出される車速Vに基づいて、車両Aのずれを補正するための補正量Tcを生成する。補正量演算部54は、車両Aのずれを補正するべきと判定されるとき(F=1)、すなわちモータ20から発生するトルクを補正すべき旨を示すとき、補正量Tcを減算器51aに出力する。補正量Tcは、電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算される。このため、電流フィードバック制御部51は、補正量Tcの加算によって電流偏差dIを増減させることにより、より値の大きな、あるいはより値の小さな電圧指令値Vs*を演算する。また、補正量演算部54は、補正量Tcを加算した後、加算した補正量Tcが多少大きく作用していると判定されるとき(F=−1)、補正量Tcを漸減する。これにより、電流フィードバック制御部51は、補正量Tcの漸減に伴って、補正前の電圧指令値Vs*に漸近する電圧指令値Vs*を演算する。また、補正量演算部54は、車両Aのずれを補正する必要がないと判定されるとき(F=0)、補正量Tcを「0」とすることにより、補正量Tcの電流フィードバック制御部51への影響をなくす。また、補正量演算部54は、十分に車両Aのずれを打ち消すことができたと判定されるとき(F=2)、補正量Tcをそのまま維持することにより、車両の直進状態を維持する。
図3に示すように、補正量演算部54は、車両Aのずれを補正するべきと判定されるとき、横加速度Laの絶対値が大きいほど、かつ車速Vが小さいほど、より絶対値の大きな補正量Tcを演算する。
なお、制御信号生成部52には、電流指令値Is*に基づく電圧指令値Vs*の他、トルクセンサ40が検出する操舵トルクThに基づいて、モータ20が出力するべきトルクを示すアシストトルクの目標値として演算される電流指令値に応じた電圧指令値が入力されることもある。制御信号生成部52には、自動操舵制御と並行して介入操舵制御が実行される場合、電圧指令値Vs*およびアシストトルクの目標値として演算される電流指令値に応じた電圧指令値を加算したものが入力される。なお、アシストトルクやアシストトルクの目標値として演算される電流指令値に応じた電圧指令値は、位置フィードバック制御部50および電流フィードバック制御部51などと別に設けられる図示しないアシストトルク演算部やアシストトルク電流フィードバック制御部などにより演算される。
つぎに、外乱判定処理について説明する。外乱判定部53により行われる外乱判定処理は、外乱により車両Aが直進方向からずれるときに、自動操舵ECU4が新たな角度指令値θs*を生成するまでの間、外乱による車両Aの進行方向のずれを低減するものである。なお、自動操舵ECU4が出力する角度指令値θs*の生成される周期は、外乱判定処理の周期を含め、位置フィードバック制御部50が出力する電流指令値Is*の演算周期および電流フィードバック制御部51が出力する電圧指令値Vs*の演算周期よりも長い。このため、外乱により車両Aが偏向することにより、自動操舵ECU4がその偏向を修正するための角度指令値θs*を生成した場合には、外乱判定処理を終了し、自動操舵ECU4による車両Aの進行方向の修正に期待する。
図4に示すように、外乱判定部53は、角度指令値θs*の絶対値が回転角度閾値θsth以下であるか否か、すなわち直進指令であるか否かを判定する(ステップS1)。なお、回転角度閾値θsthは、角度指令値θs*、すなわち車両Aの進行方向が、変化していないと判断できるとして経験的に求められる値に設定される。
外乱判定部53は、角度指令値θs*の絶対値が回転角度閾値θsthよりも大きい場合(ステップS1のNO)、外乱判定フラグF(F=0)を生成する(ステップS2)。これにより、補正量演算部54で演算される補正量Tcが「0」になる。
外乱判定部53は、角度指令値θs*の絶対値が回転角度閾値θsth以下である場合(ステップS1のYES)、電流指令値Is*が電流閾値Is0よりも小さいか否かを判定する(ステップS3)。すなわち、外乱判定部53は、モータ20に付与されるトルクの指令値が、「0」近傍にあるか否かを判定する。電流閾値Is0は、電流指令値Is*が、すなわちモータ20に付与されるトルクの指令値が「0」近傍にないと判断できるとして経験的に求められる値に設定される。
外乱判定部53は、電流指令値Is*が電流閾値Is0以上である場合(ステップS3のNO)、外乱判定フラグF(F=0)を生成する(ステップS2)。
外乱判定部53は、電流指令値Is*が電流閾値Is0よりも小さい場合(ステップS3のYES)、角度偏差dθが角度偏差閾値dth以上であるか否かを判定する(ステップS4)。角度偏差dθが角度偏差閾値dth以上であるか否かは、言い換えると、直進指令が継続中だとしても、回転角度指令値θm*と回転角度θmとの間に直進中でないと考えられる角度のずれが生じてしまったか否かを判定するものである。なお、角度偏差閾値dthは、直進中でないと考えられるほどの角度のずれがあると判断できる角度偏差dθとして経験的に求められる値に設定される。
外乱判定部53は、電流指令値Is*が電流閾値Is0よりも小さい場合(ステップS3のYES)、角度偏差dθが角度偏差閾値dth以上であるか否かを判定する(ステップS4)。角度偏差dθが角度偏差閾値dth以上であるか否かは、言い換えると、直進指令が継続中だとしても、回転角度指令値θm*と回転角度θmとの間に直進中でないと考えられる角度のずれが生じてしまったか否かを判定するものである。なお、角度偏差閾値dthは、直進中でないと考えられるほどの角度のずれがあると判断できる角度偏差dθとして経験的に求められる値に設定される。
外乱判定部53は、角度偏差dθが角度偏差閾値dth以上である場合(ステップS4のYES)、第1の処理を実行する(S100)。また、外乱判定部53は、角度偏差dθが角度偏差閾値dth未満である場合(ステップS4のNO)、第2の処理を実行する(S200)。
つぎに、第1の処理(S100)について説明する。
図5に示すように、外乱判定部53は、角度偏差dθが角度偏差閾値dth以上である場合(ステップS4のYES)、ヨーレートYrの絶対値がヨーレート閾値Yr0以下であるか否かを判定する(ステップS5)。そして、外乱判定部53は、ヨーレートYrの絶対値がヨーレート閾値Yr0以下である場合(ステップS5のYES)、横加速度Laの絶対値が横加速度閾値La0以下であるか否かを判定する(ステップS6)。なお、ステップS5およびステップS6の判定は、車両Aが直進しているか否かを判定する車両直進判定である。外乱判定部53は、ステップS5でYESおよびステップS6でYESのとき、車両Aが直進していると判定する。
図5に示すように、外乱判定部53は、角度偏差dθが角度偏差閾値dth以上である場合(ステップS4のYES)、ヨーレートYrの絶対値がヨーレート閾値Yr0以下であるか否かを判定する(ステップS5)。そして、外乱判定部53は、ヨーレートYrの絶対値がヨーレート閾値Yr0以下である場合(ステップS5のYES)、横加速度Laの絶対値が横加速度閾値La0以下であるか否かを判定する(ステップS6)。なお、ステップS5およびステップS6の判定は、車両Aが直進しているか否かを判定する車両直進判定である。外乱判定部53は、ステップS5でYESおよびステップS6でYESのとき、車両Aが直進していると判定する。
外乱判定部53は、横加速度Laの絶対値が横加速度閾値La0以下である場合(ステップS6のYES)、外乱判定フラグF(F=2)を生成する(ステップS7)。ステップS5およびステップS6でYESの場合、車両Aは直進していると考えられるため、補正量Tcを電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算することにより、十分に車両Aのずれを打ち消すことができたと考えられる。このため、電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算される補正量Tcをそのまま維持する。すなわち、今回の補正量Tc(t)を、前回の補正量Tc(t−1)とする。
これに対し、外乱判定部53は、ヨーレートYrの絶対値がヨーレート閾値Yr0よりも大きい場合(ステップS5のNO)、あるいは横加速度Laの絶対値が横加速度閾値La0よりも大きい場合(ステップS6のNO)、横加速度Laと同じ方向に、回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きいか否かを判定する(ステップS8)。すなわち、外乱判定部53は、外乱によって車両Aが直進方向から所定量ずれているか否かを判定する。
外乱判定部53は、横加速度Laと同じ方向に、回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きい場合(ステップS8のYES)、外乱判定フラグF(F=1)を生成する(ステップS9)。これにより、補正量演算部54で演算される補正量Tcが、減算器51aで電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算される。なお、横加速度Laと同じ方向に、回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きい場合とは、車両Aの進行方向が、本来想定される車両Aの進行方向よりも横加速度と同じ方向にずれてしまった場合である。横加速度Laと同じ方向に車両Aが偏向したままであると考えられるため、補正量Tcを電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算することにより、車両Aの偏向を補正する。
これに対し、外乱判定部53は、横加速度Laと同じ方向に、回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きくない場合(ステップS8のNO)、横加速度Laと反対方向に、回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きいか否かを判定する(ステップS10)。
外乱判定部53は、横加速度Laと反対方向に、回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きい場合(ステップS10のYES)、外乱判定フラグF(F=−1)を生成する(ステップS11)。車両Aの本来の進行方向に対して、横加速度Laと反対方向に車両Aの進行方向がずれるまで、補正量Tcを電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算したと考えられるためである。
これに対し、外乱判定部53は、横加速度Laと反対方向に、回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きくない場合(ステップS10のNO)、ヨーレートYrと同じ方向に、回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きいか否かを判定する(ステップS12)。
外乱判定部53は、ヨーレートYrと同じ方向に回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きい場合(ステップS12のYES)、外乱判定フラグF(F=1)を生成する(ステップS13)。これにより、補正量演算部54で演算される補正量Tcが、減算器51aで電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算される。なお、ヨーレートYrの向きによって、補正量Tcの符号が正と負との間で変化する。
これに対し、外乱判定部53は、ヨーレートYrと同じ方向に回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きくない場合(ステップS12のNO)、外乱判定フラグF(F=−1)を生成する(ステップS14)。車両Aの本来の進行方向に対して、ヨーレートYrと反対方向に車両Aの進行方向がずれるまで、補正量Tcを電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算したと考えられるためである。
以上で第1の処理を終了する。
つぎに、第2の処理(ステップS200)について説明する。
図6に示すように、外乱判定部53は、角度偏差dθが角度偏差閾値dth以上ではない場合(ステップS4のNO)、ステップS21のYESを示す前回フラグFlがあるか否かを判定する(ステップS20)。
つぎに、第2の処理(ステップS200)について説明する。
図6に示すように、外乱判定部53は、角度偏差dθが角度偏差閾値dth以上ではない場合(ステップS4のNO)、ステップS21のYESを示す前回フラグFlがあるか否かを判定する(ステップS20)。
外乱判定部53は、前回フラグFlがない場合(ステップS20のNO)、一定時間内に、横加速度Laと反対方向の回転角度指令値θm*が2回以上発生したか否かを判定する(ステップS21)。この一定時間は、角度指令値θs*の演算周期の複数回程度の長さで、外乱によって車両Aの挙動が不安定になっていることを判定できる程度の時間に設定される。
外乱判定部53は、一定時間内に、横加速度Laと反対方向の回転角度指令値θm*が2回以上発生している場合(ステップS21のYES)、外乱判定フラグF(F=1)、および前回フラグFlを生成する(ステップS22)。たとえば、前回フラグFlは、外乱によって車両Aの挙動が不安定になっていることを示すものである。この場合、外乱によって車両Aの挙動が不安定になっていると考えられるため、外乱の影響を抑制すべく、減算器51aによって補正量Tcを電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算する。なお、生成された前回フラグFlは、一定時間の経過により消去される。
これに対し、外乱判定部53は、一定時間内に、横加速度Laと反対方向の回転角度指令値θm*が2回以上発生していない場合(ステップS21のNO)、外乱判定フラグF(F=0)を生成する(ステップS23)。横加速度Laと反対方向の回転角度指令値θm*が1回しか発生していない場合には、角度偏差dθが角度偏差閾値dth未満であるため、直進中でないと考えられるほどの角度のずれがない。外乱による車両Aの進行方向のずれを低減する必要はないので、補正量Tcを「0」とする。
つぎに、外乱判定部53は、前回フラグFlがある場合(ステップS20のYES)、補正量Tcと同じ方向に回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きいか否かを判定する(ステップS24)。
外乱判定部53は、補正量Tcと同じ方向に回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きい場合(ステップS24のYES)、外乱判定フラグF(F=−1)を生成する(ステップS25)。角度偏差が生じるほど、補正量Tcを、電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算したと考えられるためである。
外乱判定部53は、補正量Tcと同じ方向に回転角度θmが回転角度指令値θm*よりも大きくない場合(ステップS24のNO)、補正量Tcと反対方向の回転角度指令値θm*が発生したか否かを判定する(ステップS26)。
外乱判定部53は、補正量Tcと反対方向の回転角度指令値θm*が発生した場合(ステップS26のYES)、外乱判定フラグF(F=1)を生成する(ステップS27)。減算器51aにおいて補正量Tcを電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算することにより、外乱の影響を抑制する。
これに対し、外乱判定部53は、補正量Tcと反対方向の回転角度指令値θm*が発生していない場合(ステップS26のNO)、外乱判定フラグF(F=2)を生成する(ステップS28)。補正量Tcを電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算することにより、外乱の影響を抑制できたと考えられるので、補正量Tcをそのまま維持する。
以上で外乱判定部53により実行される外乱判定処理を終了する。なお、外乱判定フラグFに基づいた補正量Tcが、次回の演算周期で電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算されることにより、次回モータ20に供給される駆動電力が変動する。
つぎに、車両Aの挙動と外乱判定処理の関連について以下の図7〜9を用いて説明する。ここでは、図4〜図6のフローチャートも参照して説明を行う。なお、図7〜9の車両Aの挙動は、自動操舵ECU4が新たな角度指令値θs*を生成するまでの間に、外乱による車両Aの進行方向のずれを外乱判定処理によって低減する際の挙動を模式的に表したものである。
図7に1点鎖線で示すように、車両Aに直進指令が与えられる場合であっても、実線で示すように、道路の傾きや横風などの外乱によって、車両Aは直進方向から外乱と同じ方向にずれて(偏向して)しまう。そして、外乱によって車両Aが点P1までずれた際に、図4のステップS1〜S4がYESと判定され、図5のステップS5またはステップS6がNOと判定された後に、ステップS8がYESと判定されるため、ステップS9により補正量Tcを電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算することができる。これにより、外乱による車両Aの進行方向のずれが低減される。直進方向に補正されることにより、点P2に示すように、次周期の外乱判定処理において車両Aが直進(本来の直進方向と並行な方向)していると判定されると(図4のステップS1〜S4にてYES、図5のステップS5〜S6にてYES)、ステップS7により電流指令値Is*と実電流値Iとの差分に加算される補正量Tcがそのまま維持される。その後、1点鎖線で示される本来の直進した際の車両Aの軌跡と、点P2での車両Aの軌跡とのずれが容認できる範囲を超えた場合には、次回以降に演算される角度指令値θs*によってこのずれが解消される。
また、図8に1点鎖線で示すように、車両Aに直進指令が与えられる場合であっても、実線で示すように、道路の傾きや横風などの外乱によって、車両Aは直進方向から外乱と同じ方向にずれてしまう。そして、同様に点P3において、外乱判定部53は、図4のステップS1〜S4でYESと判定し、図5のステップS5またはステップS6がNOと判定された後に、ステップS8がYESと判定されるため、ステップS9により外乱による車両Aの進行方向のずれが低減される。しかし、図7とは異なり、点P3から進む車両Aの進行方向に示すように、補正量Tcを加算した場合であっても、未だ横加速度Laと同じ方向に車両Aの進行方向がずれている場合がある。この場合には、点P4に示すように、次周期の外乱判定処理において横加速度Laと同じ方向に車両Aの進行方向がずれていると判定され(図4のステップS1〜S4にてYES、図5のステップS5〜S6にてNO、ステップS8にてYES)、ステップS9により補正量Tcが再度加算される。
ここで、加算する際の補正量Tcが、外乱の影響を打ち消す分よりも多少大きく作用する場合がある。この場合は、点P5に示すように、次周期の外乱判定処理において横加速度Laと反対方向に車両Aの進行方向がずれていると判定され(図4のステップS1〜S4でYES、図5のステップS5〜S6でNO、ステップS8にてNO、ステップS10にてYES)、ステップS11により補正量Tcが漸減される。
このように、直進とみなせないようなずれが発生しているときには、横加速度La、ヨーレートYr、および舵角情報とに基づいて当該ずれを検出することができる。そして、ずれが発生しているときには、補正量Tcを加算あるいは漸減することで、車両Aの進行方向のずれを自動的に低減し、車両Aを直進させることができる。
また、図9に示すように、車両Aの進行方向に対するずれがとても小さい場合(ステップS4のNO)、そのずれが生じては角度指令値θs*の生成によって1点鎖線で示される直進方向に戻されるような状況が複数回繰り返されるときがある。このようなケースには、今回生成された角度指令値θs*から次回生成される角度指令値θs*までの間に外乱によって、車両Aがずれてしまうために生じると考えられる。このため、角度偏差dθが角度偏差閾値dth以上でないとしても(ステップS4のNO)、一定時間内に、横加速度Laと反対方向の回転角度指令値θm*が2回以上発生したと判定した場合には(ステップS21のYES)、補正量Tcを加算する(ステップS22)。これにより、外乱によって車両Aの進行方向のずれが複数回繰り返される場合であっても、外乱判定処理によってそのずれを抑制することができ、車両Aの挙動が不安定になることが抑制される。
本実施形態の作用および効果を説明する。
(1)本実施形態では、ヨーレートYr、横加速度La、回転角度指令値θm*、回転角度θm、および電流指令値Is*により、路面の傾斜や横風などの外乱が車両Aに作用することによって車両Aの進行方向がずれたかどうかを判定することができる。このため、操舵トルクThを用いることなく、車両Aの進行方向がずれたかどうかを判定できる。外乱判定部53が車両Aの進行方向が外乱と同じ方向にずれたと判定した場合には、補正量演算部54により補正量Tcが演算されるので、車両Aの進行方向のずれを抑制することができる。
(1)本実施形態では、ヨーレートYr、横加速度La、回転角度指令値θm*、回転角度θm、および電流指令値Is*により、路面の傾斜や横風などの外乱が車両Aに作用することによって車両Aの進行方向がずれたかどうかを判定することができる。このため、操舵トルクThを用いることなく、車両Aの進行方向がずれたかどうかを判定できる。外乱判定部53が車両Aの進行方向が外乱と同じ方向にずれたと判定した場合には、補正量演算部54により補正量Tcが演算されるので、車両Aの進行方向のずれを抑制することができる。
(2)自動操舵ECU4が新たな角度指令値θs*を生成するまでの間に、外乱によって車両Aの進行方向のずれが発生してしまうことがある。特に、角度指令値θs*の演算周期は、他の外乱判定処理や位置フィードバック制御部50が出力する電流指令値Is*などの演算周期と比べて長いため、前回の角度指令値θs*が演算されたときから、今回の角度指令値θs*が演算されるまでの間に車両Aが外乱によってずれてしまう。このため、比較例として外乱判定処理を行わない場合、車両Aの進行方向のずれが生じては元の進行方向に戻る挙動を繰り返してしまうため、車両Aの挙動が不安定になる。この点、本実施形態では、一定時間内に、複数回(2回以上)、横加速度Laと反対方向の回転角度指令値θm*が発生したと判定されるときには、そのずれを打ち消すように補正量Tcを演算することにより、車両Aのずれを抑制することができる。
(3)外乱判定部53によって外乱が自動操舵制御において無視できないことが判定されることによって、位置フィードバック制御部50および電流フィードバック制御部51の制御状態を一時的にでも変更すると、外部から入力される角度指令値θs*に対する回転角度θmの追従性を低下させてしまうおそれがある。
この点、車両Aが直進中のときは、外部から入力される角度指令値θs*の変化が比較的小さく、モータ20の駆動の制御の必要性が比較的低い場面ということとなる。そこで、本実施形態では、外乱判定部53は、車両Aが直進中にあるか否かを判定し(図4のステップS1)、車両Aが直進中にあるときのみ、外乱の車両Aへの影響を判定(図4のステップS3〜S4、図5、図6)している。これにより、位置フィードバック制御部50および電流フィードバック制御部51の制御状態を一時的に変更したとしても、車両Aの自動操舵制御への影響を最小限に止めることができ、自動操舵制御に関わる制御が不安定になることを抑制できる。
なお、本実施形態は次のように変更してもよい。また、以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
・本実施形態では、ヨーレートセンサ43および横加速度センサ44によって車両Aが直進しているか否かを判定したが、ヨーレートセンサ43および横加速度センサ44の少なくとも一方が設けられればよい。
・本実施形態では、ヨーレートセンサ43および横加速度センサ44によって車両Aが直進しているか否かを判定したが、ヨーレートセンサ43および横加速度センサ44の少なくとも一方が設けられればよい。
・直進中であるか否かについては、モータ20の回転角度θmの変化幅を用いたり、モータ20の実電流値Iの変化幅を用いたりして判定するようにしてもよい。また、直進中であるか否かについては、外乱判定処理のステップS5およびステップS6の少なくとも一方のみを実行することにより、ステップS5およびステップS6の少なくとも一方がYESのときに、直進中である旨判定してもよい。
・外乱判定部53は、図4の外乱判定処理のステップS1の処理において、直進指令か否かを判定したが、判定しないようにしてもよい。
・図4のステップS4においてNOの場合、第2の処理(図6参照)が実行されるが、実行しなくてもよい。たとえば、ステップS4においてNOの場合、ステップS2を実行して外乱判定処理を終了してもよい。
・図4のステップS4においてNOの場合、第2の処理(図6参照)が実行されるが、実行しなくてもよい。たとえば、ステップS4においてNOの場合、ステップS2を実行して外乱判定処理を終了してもよい。
・位置フィードバック制御部50は、比例制御(P制御)を実行するものでもよいし、比例制御に加えて積分制御(PI制御)を実行するものであってもよい。電流フィードバック制御部51も同様である。
・車両情報θconには、カーナビ等のGPSやカメラの画像から得られた情報が含まれている。こうした情報によって、たとえばトンネルの出口や橋の上のように車両Aが横風を受けやすいことや、バンクを有する道路の走行中であること等、車両Aの走行状態を把握することができるので、これらを考慮して外乱判定処理を実行してもよい。
・自動操舵ECU4は、角度指令値θs*の替わりに、回転角度θmに換算した指令値を出力するようにしてもよい。
・本実施形態は、自動操舵制御中に介入操作があった場合、自動操舵制御を中断または停止して、EPS制御に切り替えるようにした自動操舵装置1に適用してもよい。
・本実施形態は、自動操舵制御中に介入操作があった場合、自動操舵制御を中断または停止して、EPS制御に切り替えるようにした自動操舵装置1に適用してもよい。
・自動操舵制御としては、たとえばレーンキープアシスト制御やADAS(先進運転支援システム)などが採用される。
・本実施形態は、たとえばステアバイワイヤ式の操舵装置にも適用可能である。この場合、操舵力付与機構3をラックシャフト12の周辺に設けるようにすればよい。また、本変形例において、自動操舵制御中は、たとえばステアリングホイール10の回転と転舵輪15の転舵とが連動しないようにして、運転者がステアリングホイール10を操作しても転舵輪15の転舵に影響しないようにしてもよい。
・本実施形態は、たとえばステアバイワイヤ式の操舵装置にも適用可能である。この場合、操舵力付与機構3をラックシャフト12の周辺に設けるようにすればよい。また、本変形例において、自動操舵制御中は、たとえばステアリングホイール10の回転と転舵輪15の転舵とが連動しないようにして、運転者がステアリングホイール10を操作しても転舵輪15の転舵に影響しないようにしてもよい。
・本実施形態では、自動操舵制御のみを想定し、運転者のステアリング操作(EPS制御)を想定しない場合、ステアリングホイール10やトルクセンサ40を省いてもよい。
・本実施形態では、自動操舵装置1を、モータ20によってコラムシャフト11aに回転力を付与するEPSに具体化したが、モータ20によってピニオンシャフト11cに回転力を付与するEPSに具体化してもよいし、モータ20によってラックシャフト12の軸方向に移動する力を付与するEPSに具体化してもよい。
・本実施形態では、自動操舵装置1を、モータ20によってコラムシャフト11aに回転力を付与するEPSに具体化したが、モータ20によってピニオンシャフト11cに回転力を付与するEPSに具体化してもよいし、モータ20によってラックシャフト12の軸方向に移動する力を付与するEPSに具体化してもよい。
1…自動操舵装置、2…操舵機構、3…操舵力付与機構、4…自動操舵ECU、10…ステアリングホイール、11…ステアリングシャフト、11a…コラムシャフト、11b…インターミディエイトシャフト、11c…ピニオンシャフト、12…ラックシャフト、13…ラックアンドピニオン機構、14…タイロッド、15…転舵輪、20…モータ、21…回転軸、22…減速機構、30…操舵ECU、31…操舵マイコン、32…駆動回路、33…電流センサ、40…トルクセンサ、41…回転角センサ、42…車速センサ、43…ヨーレートセンサ、44…横加速度センサ、50…位置フィードバック制御部、50a…減算器、51…電流フィードバック制御部、51a…減算器、52…制御信号生成部、53…外乱判定部、54…補正量演算部、55…変換器、A…車両、F…外乱判定フラグ、I…実電流値、V…車速、θm…回転角度、dθ…角度偏差、dI…角度偏差、La…横加速度、Sm…モータ制御信号、Tc…補正量、Th…操舵トルク、Yr…ヨーレート、θm*…回転角度指令値、θs*…角度指令値、dth…角度偏差閾値、Is*…電流指令値、Is0…電流閾値、La0…横加速度閾値、Vs*…電圧指令値、Yr0…ヨーレート閾値、θcon…車両情報、θsth…回転角度閾値。
Claims (5)
- 外部からの入力により決定される回転角度指令値に基づいて、転舵輪の転舵角を変化させる動力を発生させるモータを制御する車両用制御装置において、
前記転舵輪の転舵角に換算可能な回転角が前記回転角度指令値に追従するように前記モータの回転角度について位置フィードバック制御を実行する位置フィードバック制御部と、
前記位置フィードバック制御部による前記位置フィードバック制御の結果に基づいて、前記モータの電流について電流フィードバック制御を実行することにより、前記モータを制御するための制御量を演算する電流フィードバック制御部と、
前記回転角度指令値が車両の直進を示す指令である場合、ヨーレートおよび横加速度の少なくとも一方と前記転舵輪の転舵角に関連する舵角情報に基づいて、外乱により前記車両が直進方向からずれているか否かを判定する外乱判定部と、
前記外乱判定部によって前記外乱により前記車両が直進方向からずれている旨判定される場合、前記位置フィードバック制御の結果に加算され、前記外乱の影響を打ち消すための補正量を演算する補正量演算部と、を備える車両用制御装置。 - 請求項1に記載の車両用制御装置において、
前記補正量演算部は、前記横加速度の絶対値が大きいほど、かつ車速が小さいほど、より絶対値の大きな補正量を演算する車両用制御装置。 - 請求項1または2に記載の車両用制御装置において、
前記外乱判定部は、前記回転角度指令値と前記回転角度との偏差である角度偏差が角度閾値以上である場合、
前記ヨーレートまたは前記横加速度と同じ方向に、前記回転角度が前記回転角度指令値よりも大きい場合、前記外乱により前記車両が直進方向からずれている旨判定する車両用制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用制御装置において、
前記外乱判定部は、前記回転角度指令値と前記回転角度との偏差である角度偏差が角度閾値未満である場合、
一定時間内に、前記ヨーレートまたは前記横加速度と反対方向の前記回転角度指令値が2回以上発生したとき、前記外乱により前記車両が直進方向からずれている旨判定する車両用制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用制御装置は、前記回転角度指令値に基づいて自動操舵制御を実行する車両用制御装置であり、
外部からの入力の周期は、前記位置フィードバック制御部および前記電流フィードバック制御部の演算周期よりも長く設定されている車両用制御装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2017-01-20 JP JP2017008581A patent/JP2018114934A/ja active Pending
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