JP2018098352A - ウェーハの加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウェーハの反りを抑制する。【解決手段】ウェーハに対して透過性を有する波長のレーザビームを該ウェーハ内部の該ウェーハの厚さ方向中央よりも表面側に集光し、ストリートに沿って表面側の改質層を形成するとともに、該表面側の改質層からウェーハの表面に至るクラックを伸長させる第1のレーザ加工ステップと、レーザビームを該ウェーハ内部の該ウェーハの厚さ方向中央よりも裏面側に、隣接する2つのストリート間で該ストリートに対して平行に伸長する照射予定ラインに沿って集光し、該照射予定ラインに沿って該ウェーハの内部に裏面側の改質層を形成する第2のレーザ加工ステップと、該第1のレーザ加工ステップと、該第2のレーザ加工ステップと、を実施した後、ウェーハの裏面を研削して該表面側の改質層と、該裏面側の改質層と、を除去して所定厚みへ薄化するとともにウェーハを個々のデバイスチップへと分割する研削ステップと、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、ウェーハの加工方法に関する。
ウェーハを加工してデバイスチップ等を作製するウェーハの加工方法では、表面にデバイスが形成されたウェーハを薄化するために、例えば、該ウェーハの裏面側を研削する。その後、該ウェーハを分割することで、個々のデバイスチップを形成する。ウェーハの分割は、例えば、回転する円板状の切削ブレードを格子状のストリート(分割予定ライン)に沿ってウェーハに切り込ませて実施される。
上述のようなウェーハの加工方法に対して、例えば、特許文献1に示されている通り、ウェーハの裏面側の研削と、デバイスチップへの分割と、を同時に実施する加工方法が検討されている。
該加工方法では、レーザ加工装置によりストリートに沿ってウェーハ中に改質層を形成し、その後、該ウェーハの裏面側を研削してウェーハを薄化するとともに該研削により生じる力を該改質層に作用させて表面側に伸長するクラックを形成し、ウェーハを分割する。このように、分割と研削とを同時に実施すると加工方法を簡略化できる。
さらに、レーザビームの照射条件次第では、該改質層を形成するとともに該改質層からウェーハの表面側に至るクラックを形成できる。すると、研削工程よりも前にウェーハの分割に寄与するクラックを形成できるため、より確実にストリートに沿ってウェーハを分割できる。
ウェーハに改質層を形成するとともに該改質層から表面側に至るクラックを形成するウェーハの加工方法では、ウェーハを研削装置に移す前にウェーハのストリートに沿ってクラックが形成される。該クラックが形成されると、該クラックで分断される該クラックの両側にそれぞれ該クラック(ストリート)の伸長する方向に対して垂直で外向きの力がかかる。一方で、ウェーハの裏面側にはクラックが形成されず、そのような力が生じない。
そのため、ウェーハの表面側に各ストリートに沿ってクラックが形成されると、ウェーハの表面側にだけウェーハを拡張する方向に応力がかかるため、ウェーハは裏面を内側にして反るように湾曲する。ウェーハが変形すると、搬送装置による該ウェーハの搬送が困難となる場合があり、また、該ウェーハを研削装置のチャックテーブル上に置きウェーハを吸引保持させるときに適切に負圧を作用できない等の問題を生じる場合がある。
近年、チップサイズの小型化の傾向が著しく、ウェーハから形成されるデバイスチップの数が増大しており、それに伴いウェーハに設定されるストリートの数も増えているため、ウェーハの表面に形成されるクラックの数も増大している。ウェーハの表面に形成される該クラックの数が増大すると、ウェーハはより大きく湾曲するため、これらの問題がより顕著となっている。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ウェーハの反りを抑制でき、ウェーハの搬送や吸引保持を容易にできるウェーハの加工方法を提供することである。
本発明の一態様によれば、格子状に配列された複数のストリートと、該ストリートで区画された領域のそれぞれに形成されたデバイスと、を表面に有するウェーハの加工方法であって、該ウェーハの表面側を保持テーブルに向けて該ウェーハを保持テーブル上に置き、該保持テーブルで該ウェーハを保持して該ウェーハの裏面を露出させる保持ステップと、該保持ステップを実施した後、該ウェーハに対して透過性を有する波長のレーザビームを該ウェーハ内部の該ウェーハの厚さ方向中央よりも表面側に集光し、該レーザビームに対して該ウェーハを相対移動させることで該ストリートに沿ってウェーハの内部に表面側の改質層を形成するとともに、該表面側の改質層からウェーハの表面に至るクラックを伸長させる第1のレーザ加工ステップと、該保持ステップを実施した後、該ウェーハに対して透過性を有する波長のレーザビームを該ウェーハ内部の該ウェーハの厚さ方向中央よりも裏面側に、隣接する2つのストリート間で該ストリートに対して平行に伸長する照射予定ラインに沿って集光し、該レーザビームに対して該ウェーハを相対移動させることで該照射予定ラインに沿って該ウェーハの内部に裏面側の改質層を形成する第2のレーザ加工ステップと、該第1のレーザ加工ステップと、該第2のレーザ加工ステップと、を実施した後、ウェーハの裏面を研削して、該表面側の改質層と、該裏面側の改質層と、を除去して所定厚みへ薄化するとともにウェーハを個々のデバイスチップへと分割する研削ステップと、を備えたことを特徴とするウェーハの加工方法が提供される。
本発明の一態様において、同一の方向に伸長する全ての照射予定ラインに対して該第2のレーザ加工ステップを実施した後に、該方向に伸長する全てのストリートに沿って該第1のレーザ加工ステップを実施してもよい。また、該ストリートに対する該第1のレーザ加工ステップと、該ストリートに隣接する該照射予定ラインに対する該第2のレーザ加工ステップと、を交互に次々と実施してもよい。さらに、該研削ステップでは、該ウェーハを裏面側から研削して該裏面側の改質層と、該表面側の改質層と、を除去してもよい。
本発明の一態様に係るウェーハの加工方法によると、第2のレーザ加工ステップにより隣接する2つのストリート間に設定される照射予定ラインに沿ってウェーハの裏面に比較的近い深さ位置にレーザビームが照射され、裏面側の改質層が形成される。そのため、第1のレーザ加工ステップにより各ストリートに沿ってウェーハの表面に比較的近い深さ位置に表面側の改質層が形成され、該表面側の改質層からウェーハの表面に至るクラックが形成されても、該ウェーハは湾曲しにくくなる。
すなわち、第1のレーザ加工ステップによりウェーハの表面に外周に拡張する方向の力が生じるとともに、第2のレーザ加工ステップによりウェーハの裏面にも外周に拡張する方向の力が生じる。そのため、該ウェーハの裏面側を内側にして反るように湾曲させる力と、表面側を内側にして反るように湾曲させる力と、が相殺されてウェーハの反りが抑制される。
ここで、第2のレーザ加工ステップにおいて、該照射予定ラインではなくストリートに沿って裏面側の改質層を形成すると、該ストリートには表面側の改質層と、該裏面側の改質層と、の両方が形成されることとなり、該ウェーハが脆くなる。一方で、本発明の一態様に係るウェーハの加工方法では、第2のレーザ加工ステップにおいて、該照射予定ラインに沿ってレーザビームが照射され、表面側の改質層から離れた位置に裏面側の改質層が形成されるため、そのような問題が生じにくい。
したがって、本発明の一態様によりウェーハの反りを抑制でき、ウェーハの搬送や吸引保持を容易にできるウェーハの加工方法が提供される。
本発明に係る実施形態について説明する。本実施形態に係る加工方法では、まず、被加工物であるウェーハを保持する保持ステップを実施する。次に、ウェーハの内部に表面側の改質層を形成する第1のレーザ加工ステップと、該ウェーハの内部に裏面側の改質層を形成する第2のレーザ加工ステップと、を実施する。次に、ウェーハを裏面側から研削して薄化する研削ステップを実施する。
まず、本実施形態に係る加工方法の被加工物であるウェーハ1及びレーザ加工装置2について図1を用いて説明する。該ウェーハ1は、例えば、シリコン、SiC(シリコンカーバイド)、若しくは、その他の半導体等の材料、または、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる基板である。
ウェーハ1の表面1aは格子状に配列された複数のストリート(分割予定ライン)で複数の領域に区画されており、ストリートにより区画された各領域にはIC等のデバイス3が形成されている。最終的に、ウェーハ1がストリートに沿って分割されることで、個々のデバイスチップが形成される。
該ウェーハ1の表面1aには、該デバイス3等を保護するための表面保護テープ5が貼着される。表面保護テープ5は、本実施形態に係るウェーハの加工方法が実施されている間、各ステップや搬送等の際に加わる衝撃からウェーハ1の表面1a側を保護し、デバイス3に損傷が生じるのを防止する機能を有する。
表面保護テープ5は、可撓性を有するフィルム状の基材と、該基材の一方の面に形成された糊層(接着剤層)と、を有する。例えば、基材にはPO(ポリオレフィン)が用いられる。POよりも剛性の高いPET(ポリエチレンテレフタラート)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等が用いられても良い。また、糊層(接着剤層)には、例えば、シリコーンゴム、アクリル系材料、エポキシ系材料等が用いられる。なお、本実施形態にかかる加工方法においては、該表面1aに表面保護テープ5を貼着しなくてもよい。
第1のレーザ加工ステップ及び第2のレーザ加工ステップで使用されるレーザ加工装置2は、ウェーハ1を吸引保持する保持テーブル(チャックテーブル)4と、レーザビームを発振する加工ヘッド6と、を備える。
保持テーブル4は上面側に多孔質部材を有する。該多孔質部材の上面は保持テーブル4のウェーハ1を保持する保持面4aとなる。保持テーブル4は、吸引源(不図示)に接続された吸引路(不図示)を内部に有し、該吸引路の他端が該多孔質部材に接続されている。該保持面4a上にウェーハ1が載せ置かれ、該多孔質部材の孔を通して該ウェーハ1に対して該吸引源により生じた負圧が作用されると、ウェーハ1は保持テーブル4に吸引保持される。
加工ヘッド6は、ウェーハ1に対して透過性を有する波長のレーザビームを発振してウェーハ1の内部の所定の深さに集光する機能を有し、多光子吸収により該所定の深さに第1の改質層9aを形成する。なお、該レーザビームには、例えば、Nd:YVO4やNd:YAGを媒体として発振されるレーザビームが用いられる。
レーザ加工装置2はパルスモータ等を動力とする加工送り手段(加工送り機構、不図示)により、保持テーブル4をレーザ加工装置2の加工送り方向(例えば、図2(A)及び図2(B)の矢印の方向)に移動できる。ウェーハ1の加工時等には、保持テーブル4を加工送り方向に送ってウェーハ1を加工送りさせる。また、保持テーブル4は保持面4aに略垂直な軸の周りに回転可能であり、保持テーブル4を回転させるとウェーハ1の加工送り方向を変えられる。
さらに、レーザ加工装置2はパルスモータ等を動力とする割り出し送り手段(割り出し送り機構、不図示)により、保持テーブル4をレーザ加工装置2の割り出し送り方向(不図示)に移動できる。
以下、本実施形態に係る加工方法の各ステップについて説明する。最初に、保持ステップについて説明する。図1は、保持ステップを模式的に説明する部分断面図である。保持ステップでは、その後に実施される第1のレーザ加工ステップ及び第2のレーザ加工ステップに備えて、レーザ加工装置2の保持テーブル4にウェーハ1を保持させる。
保持ステップでは、まず、ウェーハ1の表面1aを保持テーブル4側に向け、ウェーハ1を保持テーブル4上に載せ置き、ウェーハ1の裏面1b側を露出させる。そして、該保持テーブル4から負圧を作用させて、ウェーハ1を保持テーブル4の保持面4a上に吸引保持させる。ウェーハ1の表面1aに表面保護テープ5が貼着されている場合、ウェーハ1は該表面保護テープ5を介して保持テーブル4に保持される。
次に、本実施形態に係る第1のレーザ加工ステップについて、図2(A)を用いて説明する。保持ステップを実施した後、ストリートに沿ってウェーハ1の内部に表面側の改質層1dを形成できるように、保持テーブル4及び加工ヘッド6の相対位置を調整する。
次に、レーザ加工装置2の加工ヘッド6からウェーハ1の裏面1b側にレーザビームを照射し、該レーザビームをウェーハ1の内部の該ウェーハの厚さ方向中央1cよりも表面1a側に集光して、表面側の改質層1dを形成する。該ストリートに沿って表面側の改質層1dが形成されるように、レーザビームを照射させながら保持テーブル4を移動させてウェーハ1を加工送りする。
このとき、表面側の改質層1dが形成されるとともに該表面側の改質層1dからウェーハ1の表面1aに至るクラック7が形成されるようにレーザビームの照射条件を設定する。第1のレーザ加工ステップにて該クラック7を形成できると、クラック7を形成するためのステップを別途実施する必要がなく工程を簡略化できる。なお、ウェーハ1の表面1aに至るクラック7が形成されるとき、裏面1bの方向に向けてもクラックが伸長するが各図において省略する。
一つのストリートに沿って表面側の改質層1dと、クラック7と、が形成された後、ウェーハ1を割り出し送りして、隣接するストリートに沿って次々と表面側の改質層1dと、クラック7と、を形成する。一つの方向に沿った全てのストリートに沿って表面側の改質層1dと、クラック7と、が形成された後、ウェーハ1を吸引保持する保持テーブル4を4分の1回転させ、ウェーハ1の加工送り方向を変える。そして、ウェーハ1の表面のすべてのストリートに沿って表面側の改質層1dと、クラック7と、を形成する。
次に、第2のレーザ加工ステップについて、図2(B)を用いて説明する。第2のレーザ加工ステップでは、ウェーハ1の隣接する2つのストリート間で該ストリートに対して平行に伸長する照射予定ラインに沿って裏面側の改質層1eを形成する。
第2のレーザ加工ステップでは、第1のレーザ加工ステップに用いられるレーザ加工装置2と同様のレーザ加工装置を使用する。第2のレーザ加工ステップを第1のレーザ加工ステップの後に実施する場合、そのままレーザ加工装置2を用いて第2のレーザ加工ステップを実施する。
第2のレーザ加工ステップでは、図2(B)に示す通り、レーザ加工装置2の加工ヘッド6からウェーハ1の裏面1bの該照射予定ラインの一端にレーザビームを照射して、ウェーハ1の内部の該ウェーハの厚さ方向中央1cよりも裏面1b側に集光させて、裏面側の改質層1eを形成する。該照射予定ラインに沿って裏面側の改質層1eが形成されるように、レーザビームを照射させながら保持テーブル4を移動させてウェーハ1を加工送りする。
一つの照射予定ラインに沿って裏面側の改質層1と、クラック7と、が形成された後、ウェーハ1を割り出し送りして、隣接する照射予定ラインに沿って次々と裏面側の改質層1dと、クラック7と、を形成する。
一つの方向に沿った全ての照射予定ラインに沿って裏面側の改質層1dと、クラック7と、が形成された後、ウェーハ1を吸引保持する保持テーブル4を4分の1回転させ、ウェーハ1の加工送り方向を変える。そして、ウェーハ1の裏面のすべての照射予定ラインに沿って裏面側の改質層1eと、クラック7と、を形成する。
第1のレーザ加工ステップで表面側の改質層1dと、クラック7と、が形成されると、該クラックで分断される該クラックの両側にそれぞれ該クラックに対して垂直で外向きの力がかかる。そのため、ウェーハ1の表面1aに各ストリートに沿ってクラック7が形成されると、ウェーハ1の表面1aにだけ外周に拡張する方向の応力がかかるため、ウェーハ1は裏面1bを内側にして反るように湾曲する。
すると、搬送装置による該ウェーハ1の搬送が困難となる場合があり、また、該ウェーハ1を後述の研削ステップのために研削装置のチャックテーブル上に置きウェーハ1を吸引保持させるときに適切に負圧を作用できないとの問題を生じる場合がある。
一方で、本実施形態に係る加工方法では、第2のレーザ加工ステップをさらに実施して、ウェーハ1に裏面側の改質層1eと、ウェーハ1の裏面1bに至るクラック7と、を形成する。ウェーハ1の裏面1bにも同様に外周に拡張する方向の応力がかかり、ウェーハ1の表面1aを内側にして反るように湾曲する方向に力がかかる。
したがって、ウェーハ1の裏面1aを内側にして湾曲する方向にかかる力と、ウェーハ1の裏面1bを内側にして湾曲する方向にかかる力と、が相殺されてウェーハ1の反りが抑制される。
なお、裏面側の改質層1eが形成される該照射予定ラインは主にデバイスと重なっているため、ウェーハ1は該照射予定ラインにおいては分割されない。そのため、第2のレーザ加工ステップでは、裏面側の改質層1eからウェーハ1の表面1aに至るクラックが形成されてはならない。また、第2のレーザ加工ステップにおいて、該照射予定ラインは主にデバイスと重なるため、裏面1b側から照射するレーザビームが表面1a側のデバイスに影響を与えてはならない。
したがって、第2のレーザ加工ステップにおいて照射するレーザビームの照射条件は、第1のレーザ加工ステップにおいて照射するレーザビームの照射条件と同等であるか、より加工の程度が弱くなる条件とするのが好ましい。
第1のレーザ加工ステップでは、例えば、波長が1342nm、繰り返し周波数が90kHz、出力が1.5Wのパルスレーザビームをウェーハ内部のウェーハの厚さ方向中央1cよりも表面1a側に照射する。一方、第2のレーザ加工ステップでは、例えば、波長が1342nm、繰り返し周波数が90kHz、出力が1.2W〜1.5Wのパルスレーザビームをウェーハ内部のウェーハの厚さ方向中央1cよりも裏面1b側に照射する。
ところで、デバイスチップに改質層が残ると、該改質層から不要なクラック等が生じてデバイスチップが損傷する場合がある。そこで、第1のレーザ加工ステップでは、ウェーハの厚さ方向中央1cよりも表面1a側で、かつ、表面1aからの深さ位置がデバイスチップの仕上がり厚さよりも大きい深さ位置にレーザビームを照射する。すると、該表面側の改質層1dは後の研削ステップで除去され、デバイスチップに残らない。
一方、第2のレーザ加工ステップでは、表面側の改質層1dよりも裏面1bに近い深さ位置に裏面側の改質層1eが形成され、該裏面側の改質層1eは研削ステップで除去される。そのため、裏面側の改質層1eの裏面1bからの深さ位置に制限はない。
また、第1のレーザ加工ステップでは、表面側の改質層1dからウェーハ1の表面に至るクラックを確実に形成するために、表面側の改質層1dを形成した後、該表面側の改質層1dよりも裏面1b側の深さ位置にさらに改質層を形成してもよい。
すなわち、表面側の改質層1dに沿ってレーザビームを照射し、該深さ位置にレーザビームを集光させてさらなる改質層を形成する。すると、このさらなる改質層から表面側の改質層1dに力を作用させて、より確実に表面側の改質層1dからウェーハ1の表面1aに至るクラックを形成できる。
なお、本実施形態に係る加工方法は、第1のレーザ加工ステップを実施してすべてのストリートに沿って表面側の改質層1dを形成した後に、第2のレーザ加工ステップを実施してすべての照射予定ラインに沿って裏面側の改質層1eを形成する場合に限られない。例えば、図3(A)に示す通り、第2のレーザ加工ステップを実施した後に第1のレーザ加工ステップを実施してもよい。
ここで、図3(A)は、第2のレーザ加工ステップの後に実施する第1のレーザ加工ステップを模式的に説明する部分断面図である。なお、図3(A)に示される断面は、図2(A)及び図2(B)に示す部分断面図の断面に直交する断面である。
第1のレーザ加工ステップを第2のレーザ加工ステップよりも先に実施すると、表面側の改質層1dから伸長し表面1aに至るクラック7により、ウェーハ1には裏面1bを内側にして湾曲するように力がかかる。すると、ウェーハ1の外周縁がチャックテーブル4から浮き上がり、チャックテーブル4がウェーハ1を適切に吸引保持できなくなる場合がある。
一方、第2のレーザ加工ステップを第1のレーザ加工ステップよりも先に実施すると、裏面側の改質層1eから裏面1bに至るクラック7が形成され、ウェーハ1には表面1aを内側にして湾曲するように力がかかる。すると、ウェーハ1の中央がチャックテーブル4から浮き上がるが、ウェーハ1の外周縁が浮き上がらなければチャックテーブル4から作用される負圧が抜けることはなく、ウェーハ1は適切に吸引保持され続ける。そのため、第1のレーザ加工ステップよりも第2のレーザ加工ステップを先に実施するとよい。
また、本実施形態に係る加工方法では、一つのストリートに対する第1のレーザ加工ステップと、該ストリートに隣接する一つの照射予定ラインに対する第2のレーザ加工ステップと、を交互に次々と実施してもよい。図3(B)は、第1のレーザ加工ステップと交互に実施する第2のレーザ加工ステップを模式的に説明する部分断面図である。図3(B)に示す断面は、図2(A)及び図2(B)に示す断面に直交する断面である。
すると、ウェーハ1の表面1a側を内側にして湾曲しようとする力と、ウェーハ1の裏面1bを内側にして湾曲しようとする力と、が順々に互いを打ち消すように発生するため、ウェーハ1の湾曲が抑制される。
次に、図4を用いて研削ステップについて説明する。該研削ステップは、第1のレーザ加工ステップ、及び、第2のレーザ加工ステップの後に実施される。該研削ステップでは、ウェーハ1の裏面1b側が研削されウェーハ1が所定の厚さに薄化されるとともに、ウェーハ1が個々のデバイスチップに分割される。
図4は、研削ステップを模式的に説明する部分断面図である。本ステップでは研削装置8が用いられる。研削装置8は、研削ホイール14に垂直な回転軸を構成するスピンドル10と、該スピンドル10の一端側に装着され下側に研削砥石12を備える円盤状の研削ホイール14と、を備える。該スピンドル10の他端側にはモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されており、該モータが該スピンドル10を回転させると、該スピンドル10に装着された研削ホイール14も回転する。
また、研削装置8は、研削ホイール14と対面しウェーハ1等の被加工物を保持するチャックテーブル16を有する。チャックテーブル16上の保持面16aは、吸引源(不図示)に接続された多孔質部材で構成される。なお、チャックテーブル16は、保持面16aに略垂直な軸の周りに回転可能である。さらに、研削装置8は、昇降機構(不図示)を有しており、研削ホイール14は該昇降機構により加工送り(下降)される。
研削ステップでは、まず、ウェーハ1の表面1aを下側に向け、チャックテーブル16の保持面16a上にウェーハ1を載せ置く。そして、該多孔質部材を通して該吸引源による負圧を作用させて、ウェーハ1をチャックテーブル16上に吸引保持させる。ウェーハ1の表面1aに表面保護テープ5が貼着されている場合、ウェーハ1は該表面保護テープ5を介してチャックテーブル16に吸引保持される。
研削時には、チャックテーブル16を回転させるとともに、スピンドル10を回転させて研削ホイール14を回転させる。チャックテーブル16及び研削ホイール14が回転している状態で、研削ホイール14が加工送り(下降)されて研削砥石12がウェーハ1の裏面1bに当たると、該裏面1bの研削が開始される。そして、ウェーハ1が所定の厚さとなるように研削ホイール14をさらに加工送りする。
ウェーハ1が所定の厚さになるまで研削されると、表面側の改質層1dと、裏面側の改質層1eと、が除去されるとともに、表面側の改質層1dからウェーハ1の表面1aに至るクラックによりウェーハ1が個々のデバイスチップに分割される。
なお、本発明は、上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、第2のレーザ加工ステップにおいて、裏面側の改質層1eを形成する際に、該裏面側の改質層1eから裏面1bに至るクラック7が形成されなくてもよい。ウェーハ1の内部に改質層が形成されると、ウェーハ1の結晶構造が崩れて該改質層からその周辺に向いた応力がウェーハ1に生じる。そのため、裏面側の改質層1eを形成するだけでウェーハ1の反りを十分に抑制できる場合がある。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
1 ウェーハ
1a 表面
1b 裏面
1c 厚さ方向の中央
1d 表面側の改質層
1e 裏面側の改質層
3 デバイス
5 表面保護テープ
7 クラック
2 レーザ加工装置
4 チャックテーブル
4a 保持面
6 加工ヘッド
8 研削装置
10 スピンドル
12 研削砥石
14 研削ホイール
16 チャックテーブル
16a 保持面
1a 表面
1b 裏面
1c 厚さ方向の中央
1d 表面側の改質層
1e 裏面側の改質層
3 デバイス
5 表面保護テープ
7 クラック
2 レーザ加工装置
4 チャックテーブル
4a 保持面
6 加工ヘッド
8 研削装置
10 スピンドル
12 研削砥石
14 研削ホイール
16 チャックテーブル
16a 保持面
Claims (4)
- 格子状に配列された複数のストリートと、該ストリートで区画された領域のそれぞれに形成されたデバイスと、を表面に有するウェーハの加工方法であって、
該ウェーハの表面側を保持テーブルに向けて該ウェーハを保持テーブル上に置き、該保持テーブルで該ウェーハを保持して該ウェーハの裏面を露出させる保持ステップと、
該保持ステップを実施した後、該ウェーハに対して透過性を有する波長のレーザビームを該ウェーハ内部の該ウェーハの厚さ方向中央よりも表面側に集光し、該レーザビームに対して該ウェーハを相対移動させることで該ストリートに沿ってウェーハの内部に表面側の改質層を形成するとともに、該表面側の改質層からウェーハの表面に至るクラックを伸長させる第1のレーザ加工ステップと、
該保持ステップを実施した後、該ウェーハに対して透過性を有する波長のレーザビームを該ウェーハ内部の該ウェーハの厚さ方向中央よりも裏面側に、隣接する2つのストリート間で該2つのストリートに対して平行に伸長する照射予定ラインに沿って集光し、該レーザビームに対して該ウェーハを相対移動させることで該照射予定ラインに沿って該ウェーハの内部に裏面側の改質層を形成する第2のレーザ加工ステップと、
該第1のレーザ加工ステップと、該第2のレーザ加工ステップと、を実施した後、ウェーハの裏面を研削して、該表面側の改質層と、該裏面側の改質層と、を除去してウェーハを所定厚みへ薄化するとともにウェーハを個々のデバイスチップへと分割する研削ステップと、
を備えたことを特徴とするウェーハの加工方法。 - 同一の方向に伸長する全ての照射予定ラインに対して該第2のレーザ加工ステップを実施した後に、該方向に伸長する全てのストリートに沿って該第1のレーザ加工ステップを実施する
ことを特徴とする、請求項1に記載のウェーハの加工方法。 - 該ストリートに対する該第1のレーザ加工ステップと、該ストリートに隣接する該照射予定ラインに対する該第2のレーザ加工ステップと、を交互に次々と実施する
ことを特徴とする、請求項1に記載のウェーハの加工方法。 - 該研削ステップでは、該ウェーハを裏面側から研削して該裏面側の改質層と、該表面側の改質層と、を除去する
ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一に記載のウェーハの加工方法。
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---|---|---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
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- 2016-12-13 JP JP2016241407A patent/JP2018098352A/ja active Pending
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