JP2018090786A - カルボキシル基含有共重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のカルボキシル基含有共重合体よりもカルシウムイオン捕捉能とカーボンブラック分散性能とに優れるカルボキシル基含有共重合体を提供する。【解決手段】 不飽和モノカルボン酸系単量体(A)由来の構造単位(a)と、不飽和ジカルボン酸系単量体(B)由来の構造単位(b)と、カチオン性単量体(C)由来の構造単位(c)とを有することを特徴とするカルボキシル基含有共重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、カルボキシル基含有共重合体に関する。より詳しくは、スケール防止剤等に有用なカルボキシル基含有共重合体に関する。
ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等に代表されるカルボキシル基を有する重合体は、顔料分散剤(無機粒子の分散剤)、水処理剤(スケール成分の付着防止剤)、洗浄剤等の用途に、広く使用されている。これらの市場において、より高い性能を有する重合体が要求されている。
そのような要求に応える方法として、例えば、特許文献1には、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基から選ばれる1種以上の基で置換されたアミノ基を有するアミノ基含有単量体から選ばれる1種以上の単量体(N)由来の構造単位(n)、カルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)、を必須構成単位として特定割合で有するアミノ基含有共重合体を含む、水処理剤が開示されている。また、特許文献2〜5にも、アミノ基含有単量体と不飽和カルボン酸系単量体との共重合体が開示されている。
特開2011−72851号公報 特表2008−523162号公報 特表2015−522697号公報 国際公開第2010/024448号 特開2011−116813号公報
上述のとおり、種々のカルボキシル基含有共重合体が開示されているが、従来のカルボキシル基含有共重合体はカルシウムイオン捕捉能とカーボンブラック分散性能との両立において充分でなく、より優れたカルシウムイオン捕捉能とカーボンブラック分散性能とをともに発揮する重合体が求められている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、従来のカルボキシル基含有共重合体よりもカルシウムイオン捕捉能とカーボンブラック分散性能とに優れるカルボキシル基含有共重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、カルボキシル基含有共重合体について種々検討したところ、不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位と不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位とカチオン性単量体由来の構造単位とを有するカルボキシル基含有共重合体が、カルシウムイオン捕捉能とカーボンブラック分散性能とに優れることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、不飽和モノカルボン酸系単量体(A)由来の構造単位(a)と不飽和ジカルボン酸系単量体(B)由来の構造単位(b)とカチオン性単量体(C)由来の構造単位(c)とを有するカルボキシル基含有共重合体である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、不飽和モノカルボン酸系単量体(A)由来の構造単位(a)と不飽和ジカルボン酸系単量体(B)由来の構造単位(b)とカチオン性単量体(C)由来の構造単位(c)とを有するものである。
不飽和モノカルボン酸系単量体(A)は重合性に優れるため、残存モノマー量が少ないカルボキシル基含有共重合体を含む組成物を得ることができる。また、重量平均分子量が充分に大きいカルボキシル基含有共重合体を得ることができる。
不飽和ジカルボン酸系単量体(B)は、カルボン酸密度が高いため、本発明のカルボキシル基含有共重合体は、構造単位(b)を有することにより、カルシウムイオン捕捉能(以下、Ca捕捉能ともいう)に優れることとなる。不飽和モノカルボン酸系単量体(A)のホモポリマーでは、カルボン酸密度が低いため、Ca捕捉能において充分でなく、また、不飽和ジカルボン酸系単量体(B)は、重合反応性が充分でなく、不飽和ジカルボン酸系単量体(B)のみでは重量平均分子量が充分に大きなポリマーを得ることが困難であるが、本発明の共重合体は、構造単位(a)と(b)の両方を有することにより、重量平均分子量が充分に大きく、かつ、Ca捕捉能に優れるものとなる。
上記不飽和モノカルボン酸系単量体(A)としては、エチレン性不飽和炭化水素基とカルボアニオンを形成しうる基とを1つずつ有する単量体であればよく、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、3−メチルクロトン酸、2−メチル−2−ペンテン酸等;これらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩;後述する不飽和ジカルボン酸系単量体(B)と炭素数1〜20のアルコールとのハーフエステル等が挙げられる。不飽和モノカルボン酸系単量体(A)として好ましくは、(メタ)アクリル酸及びこれらの塩である。すなわち、不飽和モノカルボン酸系単量体(A)が、(メタ)アクリル酸(塩)であるカルボキシル基含有共重合体は、本発明の好ましい形態の1つである。
上記炭素数1〜20のアルコールとしては特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等の脂肪族アルコール類;シクロヘキサノール等の脂環族アルコール類等が挙げられる。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体(B)としては、分子内にエチレン性不飽和炭化水素基を1つとカルボアニオンを形成しうる基を2つ有する単量体であればよく、例えば、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等、それらの無水物等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸系単量体(B)として好ましくは、マレイン酸及びその塩、無水マレイン酸である。すなわち、不飽和モノカルボン酸系単量体(B)が、マレイン酸(塩)及び/又は無水マレイン酸であるカルボキシル基含有共重合体は、本発明の好ましい形態の1つである。
上記カチオン性単量体(C)としては、エチレン性不飽和基とカチオン性基とを少なくとも1つずつ有していれば、特に制限されない。ここでカチオン性基とは、カチオンを有する基又はカチオンを発生させる基であり、例えば、第1〜3級アミノ基、第1〜3級アミノ基の酸による中和物、第4級アンモニウム塩基等のアミノ基が挙げられる。
上記カチオン性単量体(C)として、具体的には、(i)N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート類及び上記モノマーに4級化剤を付加させたモノマー若しくはこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物;(ii)N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類及び上記モノマーに4級化剤を付加させたモノマー若しくはこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物;(iii)モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル等のモノアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート類及びこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物;(iv)モノメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のモノアルキルアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類及びこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物;(v)(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル等の(メタ)アクリル酸とアルカノールアミンとのエステル類及びこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物;N,N−ジアリルメチルアミン及びこれに4級化剤を付加させたモノマー若しくはこれの塩酸、酢酸等の酸による中和物;(vi)アリルアミン及びこれの塩酸、酢酸等の酸による中和物;(vii)1−アリルオキシ−3−ジブチルアミノ−2−オール等の炭素数2〜8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体と炭素数1〜20のアミン化合物との付加反応物及びこれに4級化剤を付加させたモノマー若しくはこれの塩酸、酢酸等の酸による中和物等が挙げられる。
上記炭素数2〜8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体としては、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記炭素数1〜20のアミン化合物としては、アミノ基を有し、炭素数2〜8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体の環状エーテル構造と反応することができる限り特に制限されない。炭素数1〜20のアミン化合物の炭素数は、1〜16が好ましく、より好ましくは2〜10であり、更に好ましくは3〜8である。炭素数1〜20のアミン化合物としては、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンの酸による中和物等が挙げられる。またこれらのアミン化合物は、アミノ基の他に官能基を有していてもよい。
官能基としては特に制限されないが、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アルデヒド基、エステル基、エーテル基、チオール基、リン酸基、亜リン酸基、シラン基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアミン化合物としては例えば、炭素数1〜20の(ジ)アルキルアミン;炭素数1〜20の(ジ)アルカノールアミン;炭素数2〜20のアルキルアルカノールアミン、炭素数3〜20のトリアルキルアミン、炭素数3〜20のジアルキルアルカノールアミン、炭素数3〜20のアルキルジアルカノールアミン等の第3級アミンの酸による中和物;炭素数1〜20の(ジ)カルボン酸アミン等が挙げられる。
炭素数1〜20の(ジ)アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン等が好ましい。
炭素数1〜20の(ジ)アルカノールアミンとしては、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジブタノールアミン、ヘキサノールアミン等が好ましい。
炭素数2〜20のアルキルアルカノールアミンとしては、メチルエタノールアミン等が好ましい。
炭素数3〜20のトリアルキルアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン等が挙げられる。中でもトリメチルアミン、トリエチルアミン等の炭素数3〜9のトリアルキルアミンが好ましく、より好ましくはトリメチルアミンである。
炭素数1〜20の(ジ)カルボン酸アミンとしては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、システイン、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸及びこれらの立体異性体;N−メチルアミノ酢酸、N−エチルアミノ酢酸等のN−アルキルアミノ酢酸;イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸等のイミノジカルボン酸;2−アミノテレフタル酸等が挙げられる。中でもイミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸等の炭素数2〜8のイミノジカルボン酸が好ましく、より好ましくはイミノ二酢酸である。
上記カチオン性基としては、下記式(1)〜(3);
Figure 2018090786
(式(1)、(2)中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は官能基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。ただし、R、Rの少なくとも一方は、官能基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。式(3)中、R〜Rは、同一又は異なって、官能基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Wは、アニオンを表す。)のいずれかで表される基であることが好ましい。すなわち、カチオン性単量体(C)は、上記式(1)〜(3)のいずれかで表される基を有するものであることが好ましい。
炭素数1〜20の炭化水素基が有していてもよい官能基は、上述のアミン化合物が有していてもよい官能基が挙げられる。
カチオン性単量体(C)はまた、疎水性基を有していることが好ましい。カチオン性単量体(C)が疎水性基を有するものである場合、本発明のカルボキシル基含有共重合体は、カーボンブラック分散性能においてより優れた効果を発揮することとなる。
すなわち、不飽和モノカルボン酸系単量体(A)由来の構造単位(a)と不飽和ジカルボン酸系単量体(B)由来の構造単位(b)とカチオン性単量体(C)由来の構造単位(c1)とを有し、上記カチオン性単量体(C)が、疎水性基を有するカルボキシル基含有共重合体もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。
カチオン性単量体(C)は、カチオン性基と疎水性基とを別個に有していてもよいが、疎水性基を有するカチオン性基を有していることが好ましい。
上記式(1)〜(3)で表される基は、少なくとも1つの炭素数1〜20の炭化水素基が官能基を有しないもの、又は、疎水性の官能基を有するものであれば、疎水性基を有するカチオン性基となる。
上記炭素数1〜20の炭化水素基としては、官能基を有しないもの、又は、疎水性の官能基を有するものが好ましい。
疎水性の官能基としては、例えば、エステル基等が挙げられる。
上記炭素数1〜20の炭化水素基は、官能基を有しないものであることが好ましい。
上記炭化水素基は、鎖状構造であっても、環構造を有していてもよいが、鎖状構造であることが好ましい。炭化水素基が鎖状構造である場合、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基が好ましく、より好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、更に好ましくはアルキル基である。
また、上記炭化水素基の炭素数としては、1〜20が好ましく、より好ましくは2〜18であり、特に好ましくは3〜10であり、最も好ましくは3〜8である。
上記アルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは、炭素数2〜8のアルキル基であり、更に好ましくはプロピル基またはブチル基である。
上記式(2)及び(3)におけるWは、特に制限されないが、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲン化物イオン;硫酸メチルイオン等の硫酸アルキルイオン;酢酸イオン、等の有機酸のイオン等が挙げられる。
上記式(2)におけるWは、有機酸のイオンが好ましい。
上記式(3)におけるWは、ハロゲン化物イオン、硫酸アルキルイオンが好ましい。
上記式(1)及び(2)においてR及びRの両方が炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
上記カチオン性基としては、第2、3級アミノ基、第2、3級アミノ基の酸による中和物及び第4級アンモニウム塩基の中でも、第3級アミノ基、第3級アミノ基の酸による中和物又は第4級アンモニウム塩基が好ましい。
カチオン性基が第3級アミノ基、第3級アミノ基の酸による中和物又は第4級アンモニウム塩基であれば、カチオン性単量体(C)は、1分子当たり、疎水性基を2本以上有することとなり、共重合体の疎水性がより向上し、カーボンブラック分散性能により優れることとなる。
第3級アミノ基又は第3級アミノ基の酸による中和物としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基又はこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物が好ましい。より好ましくは第3級アミノ基であり、カチオン性単量体が電荷を有しないものであれば、カチオン性単量体の疎水性がより向上し、カーボンブラック分散性能により優れることとなる。
カチオン性単量体(C)としては、下記式(4);
Figure 2018090786
(式(4)中、R6、、Rは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。p、tは、同一又は異なって、0〜5の数を表す。q、r、sは、同一又は異なって、0又は1である。Aは、カチオン性基を表す。)で表される化合物が好ましい。
上記式(4)において、R〜Rは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表すが、R、Rの少なくとも一方は水素原子であることが好ましい。
上記式(4)において、p、tは、同一又は異なって、0〜5の数を表し、q、r、sは、同一又は異なって、0又は1の数を表すが、p、q、r、s、tの好ましい組合せは、(p,q,r,s,t)=(1,0,1,0,0)、(2,0,1,0,0)、(0,1,1,0,3)、(0,1,1,0,2)、(1,0,1,1,1)である。
上記式(4)において、Aはカチオン性基を表し、上記式(1)〜(3)のいずれかで表される基であることが好ましい。
カチオン性単量体(C)としてより好ましくは、炭素数2〜8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体と炭素数1〜20の(ジ)アルキルアミンとの付加反応物であり、更に好ましくは、炭素数2〜8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体と炭素数2〜18のジアルキルアミンとの付加反応物であり、特に好ましくはアリルグリシジルエーテルとジブチルアミン等の炭素数3〜8のジアルキルアミンとの付加反応物である。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、更に、スルホン酸基含有単量体(D)由来の構造単位(d)を有するものであることが好ましい。すなわち、不飽和モノカルボン酸系単量体(A)由来の構造単位(a)と、不飽和ジカルボン酸系単量体(B)由来の構造単位(b)と、カチオン性単量体(C)由来の構造単位(c)と、スルホン酸基含有単量体(D)由来の構造単位(d)とを有するカルボキシル基含有共重合体もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。本発明の共重合体は、構造単位(d)を有することにより、親水性が高いスルホン酸基を有することになり、共重合体がゲル化することやカルシウムイオンと共重合体とが凝集することを抑制することができる。高硬度条件下において、特に、構造単位(d)を有することの技術的意義がより効果的に発揮される。
上記スルホン酸基含有単量体(D)としては、スルホン酸(塩)基とエチレン性不飽和炭化水素基を有するものであれば、特に制限されず、例えば、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アリルオキシエチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、α−メチル−p−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルスルファミン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、4−(アリルオキシ)ベンゼンスルホン酸、1−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、1,1−ジメチル−2−プロペン−1−スルホン酸、3−ブテン−1−スルホン酸、1−ブテン−3−スルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸等の不飽和スルホン酸及びこれらの塩等が挙げられる。スルホン酸基含有単量体(D)としては下記式(5);
Figure 2018090786
(式(5)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。R10は、CH基、CHCH基又は直接結合を表す。X、Yは、水酸基又は−SOZを表し、Zは水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。但し、X、Yの少なくとも一方は−SOZを表す。)で表される単量体であることが好ましい。すなわち、上記カルボキシル基含有共重合体は、上記式(5)で表される単量体由来の構造単位を有するものであることが好ましい。
上記Rとして、好ましくは水素原子である。
上記R10として、好ましくはCH基である。R10がCH基であれば、本発明の効果をより効果的に発現させることができる。
上記X、Yのいずれか一方は水酸基であり、もう一方はスルホン酸(塩)基であることが好ましい。より好ましくはXが水酸基であり、Yがスルホン酸(塩)基である。
上記スルホン酸(塩)基含有単量体としては、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、及び、これらの塩がより好ましい。
本発明の共重合体は、上記不飽和モノカルボン酸系単量体(A)、不飽和ジカルボン酸系単量体(B)、カチオン性単量体(C)、スルホン酸基含有単量体(D)以外のその他の単量体(E)由来の構造単位(e)を有していてもよい。
上記その他の単量体(E)としては、特に制限されないが、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコールにアルキレンオキサイドを付加した単量体、アルコキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環式芳香族炭化水素基を有するビニル芳香族系単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド系単量体;(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の水酸基含有単量体;ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体;スチレン、インデン、ビニルアニリン等のビニルアリール単量体;イソブチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
本発明の共重合体における構造単位(a)の割合は特に制限されないが、全構造単位100モル%に対して10〜70モル%であることが好ましい。構造単位(a)の割合が上記好ましい割合であれば、重量平均分子量をより好ましい範囲とすることができる。構造単位(a)の割合としてより好ましくは15〜60モル%であり、更に好ましくは20〜50モル%であり、特に好ましくは25〜45モル%である。
本発明の共重合体における構造単位(b)の割合は特に制限されないが、全構造単位100モル%に対して10〜70モル%であることが好ましい。構造単位(b)の割合が上記好ましい割合であれば、Ca捕捉能により優れることになる。構造単位(b)の割合としてより好ましくは15〜60モル%であり、更に好ましくは20〜50モル%であり、特に好ましくは25〜45モル%である。
本発明の共重合体における構造単位(c)の割合は特に制限されないが、全構造単位100モル%に対して1〜20モル%であることが好ましい。より好ましくは2〜18モル%であり、更に好ましくは3〜15モル%であり、特に好ましくは4〜10モル%である。
本発明の共重合体における構造単位(d)の割合は特に制限されないが、全構造単位100モル%に対して1〜20モル%であることが好ましい。構造単位(d)の割合が上記好ましい割合であれば、共重合体がゲル化することやカルシウムイオンと共重合体とが凝集することをより充分に抑制することができる。構造単位(d)の割合としてより好ましくは2〜18モル%であり、更に好ましくは3〜15モル%であり、特に好ましくは4〜10モル%である。
本発明の共重合体における構造単位(e)の割合は特に制限されないが、全構造単位100モル%に対して0〜20モル%であることが好ましい。より好ましくは0〜15モル%であり、更に好ましくは0〜10モル%であり、特に好ましくは0〜5モル%であり、最も好ましくは0モル%である。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、重量平均分子量が2000〜500000であることが好ましい。より好ましくは3000〜100000であり、更に好ましくは4000〜50000であり、特に好ましくは5000〜20000である。重量平均分子量が上記好ましい範囲であれば、カルシウムイオン捕捉能により優れることとなる。
上記共重合体の重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、当該カルボキシル基含有共重合体の全カルボキシル基100モル%に対して、20〜95モル%のカルボキシル基が、塩型(中和率が20〜95モル%)であることが好ましい。より好ましくは、30〜90モル%、更に好ましくは、40〜80モル%である。
上記塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が挙げられる。金属塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好ましく、より好ましくは、ナトリウム塩である。
<本発明のカルボキシル基含有共重合体の製造方法>
本発明のカルボキシル基含有共重合体の製造方法は特に制限されないが、単量体成分を重合することにより製造することができ、単量体成分の具体例及び好ましい例は、上述のとおりである。また、単量体成分における単量体(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の好ましい含有割合は、上述の共重合体における構造単位(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の好ましい割合と同様である。
本発明のカルボキシル基含有共重合体を得るための重合方法としては、特に制限されず、通常用いられる重合方法又はそれを修飾した方法を採用することができる。重合方法としては、例えば、ラジカル重合法が挙げられ、具体的には、水中油型乳化重合法、油中水型乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈澱重合法、溶液重合法、水溶液重合法、塊状重合法等を採用することができる。上記例示の重合方法の中でも、安全性が高く、また、生産コスト(重合コスト)を低減することができる点で、溶液重合法を採用することが好ましい。
上記溶液重合法の反応形態としては、特に制限されず、通常用いられる形態により反応を
行うことができるが、例えば、反応系内に予め仕込まれた溶媒中に、上記単量体と、重合開始剤(以下、「開始剤」ともいう。)を滴下して、反応を行う形態等が挙げられる。そのような反応形態において、上記滴下する各溶液の濃度は、特に制限されず、任意の適切な濃度を採用することができる。
上記反応系内に予め仕込まれた溶媒中に、上記単量体と開始剤とを滴下して反応を行う形態としては、例えば、単量体成分、開始剤成分、及び、必要に応じてその他の添加剤をそれぞれ溶媒に溶解し、又は、溶媒に溶解させずにそのままで、重合中に反応系内に適当に添加(滴下)して重合を行う形態が挙げられる。また、該反応形態においては、単量体成分の全使用量の一部又は全部を、重合開始前に予め反応系内に添加(初期仕込み)することもできる。好ましくは不飽和ジカルボン酸系単量体(B)及びカチオン性単量体(C)並びに必要に応じてスルホン酸基含有単量体(D)の使用量の一部を初期仕込みすることである。
上記溶液重合法においては、溶媒中で単量体成分を重合することとなる。
上記溶媒としては、有機溶媒のみを使用することも可能であるが、水を含むことが好ましい。全溶媒の使用量100質量%に対して、水を50質量%以上使用することがより好ましい。単独で、又は水と共に使用できる上記有機溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール類;等の水性の有機溶媒が好適に挙げられる。
上記溶媒は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記溶媒の使用量は、全単量体の総量100質量部に対して、好ましくは40〜300質量部である。
水溶液重合法において上記初期仕込みを行う場合、重合開始前の反応系内のpHは、1〜7であることが好ましい。より好ましくはpH2〜6.8であり、更に好ましくはpH3〜6.6であり、特に好ましくはpH4〜6.4であり、最も好ましくはpH5〜6である。重合開始前の反応系内のpHが7以下であれば、カチオン性単量体(C)の水溶性が向上し、重合反応の効率が向上する。このため、本発明のカルボキシル基含有共重合体における構造単位(c)の割合をより大きくすることができる。
上記pHを調整する方法は特に制限されず、通常用いられる酸又は塩基を使用することがきる。例えば、単量体成分として、酸型の不飽和モノカルボン酸系単量体(A)及び/又は不飽和ジカルボン酸系単量体(B)を用いる場合には、塩基で調整し、中和型の不飽和モノカルボン酸系単量体(A)及び/又は不飽和ジカルボン酸系単量体(B)を用いる場合には、酸でpHを調整することができる。
上記塩基としては特に制限されないが、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。
<重合開始剤>
上記製造方法において用いられる重合開始剤としては、通常用いられるものを使用することができる。具体的には、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物等が好適に挙げられる。これらの重合開始剤のうち、過酸化水素、過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩が好ましく、過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩がより好ましい。これらの重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の合計の使用量は、単量体の共重合を開始できる量であれば特に制限されないが、全単量体成分の総量1モルに対して、15g以下であることが好ましい。より好ましくは1〜12gである。
<連鎖移動剤>
上記製造方法においては、重合体の分子量調整剤として連鎖移動剤を用いることが好ましい。上記連鎖移動剤としては、ピロ亜硫酸(塩)、亜ジチオン酸(塩)、亜硫酸(塩)等の亜硫酸水素塩及び/又は亜硫酸水素塩を発生し得る化合物、メルカプトエタノール、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸等のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム等のハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)等の低級酸化物及びその塩;等が挙げられる。好ましくは亜硫酸水素塩及び/又は亜硫酸水素塩を発生し得る化合物である。上記塩としては、金属原子、アンモニウム又は有機アミンとの塩が好適である。
連鎖移動剤の添加量は、単量体成分が良好に重合する量であれば制限されないが、全単量体成分の総量1モルに対して、好ましくは1〜20gである。
<分解触媒、還元性化合物>
本発明の疎水性基含有共重合体の製造方法は、重合開始剤等の他に、重合開始剤の分解触媒や還元性化合物(反応促進剤ともいう)を使用(重合系に添加)してもよい。
上記重合開始剤の分解触媒や還元性化合物として作用する化合物としては、重金属イオン(又は重金属塩)が挙げられる。すなわち、本発明の疎水性基含有共重合体の製造方法は、重合開始剤等の他に、重金属イオン(又は重金属塩)を使用(重合系に添加)してもよい。なお、本明細書中、重金属イオンとは、比重が4g/cm以上の金属を意味する。
上記重金属イオンとしては、これらの具体例としては、国際公開第2010/024448号に記載のものと同様のものが挙げられる。これらの重金属は1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、鉄がより好ましい。
上記重金属イオンのイオン価は特に限定されるものではなく、例えば、重金属として鉄が用いられる場合、開始剤における鉄イオンとしては、Fe2+であっても、Fe3+であってよく、これらが組み合わされていてもよい。
上記重金属イオンとして鉄を用いる場合、モール塩(Fe(NH(SO・6HO)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄等の重金属塩等を用いることが好ましい。
上記重金属イオンの含有量は、また、重合反応完結時(重合反応後に中和工程を行う場合には中和後)における重合反応液の全質量に対して好ましくは0.1〜10ppmであることが好ましい。重金属イオンの含有量が0.1ppm以上であると、重金属イオンによる効果をより充分に発現することができ、10ppm以下であれば、得られる重合体を色調により優れたものとすることができる。
<重合条件>
上記製造方法における重合反応は、pH1〜7の条件下で行われることが好ましい。より好ましくはpH2〜6.8であり、更に好ましくはpH3〜6.6であり、特に好ましくはpH4〜6.4であり、最も好ましくはpH5〜6である。
重合反応をpH7以下で行うことにより、カチオン性基単量体(C)の水溶性が向上し、反応効率が向上する。このため、本発明のカルボキシル基含有共重合体における構造単位(c)の割合をより大きくすることができる。一方、pH1以上で行うことにより、重合反応を行う容器、撹拌翼等の器具にSUS等の金属製のものを用いる場合、器具の腐食を抑制することができる。
上記pHを調整する方法は重合開始前の反応系内のpHの調整方法と同様である。
上述したとおり、本発明のカルボキシル基含有共重合体の製造方法は、重合開始前の反応系内のpHが1〜7であることが好ましく、重合開始前の反応系内のpH及び重合反応におけるpHが1〜7であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記製造方法において、不飽和ジカルボン酸系単量体(B)として無水マレイン酸を用いる場合、無水マレイン酸の溶解性を上げるために、無水マレイン酸を中和して用いることが好ましく、この場合に特に、重合開始前の反応系内のpH及び重合反応におけるpHを1〜7に調整することの技術的意義がより効果的に発揮される。
上記製造方法において、重合温度としては、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤等により適宜定められるが、70〜120℃であることが好ましい。より好ましくは75〜110℃であり、更に好ましくは80〜105℃であり、特に好ましくは85〜100℃である。重合温度を70℃以上にすることで、単量体成分の溶解性がより向上し、反応性がより向上することとなる。
上記重合温度は、重合反応において、常にほぼ一定に保持する必要はなく、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応中に経時的に温度変動(昇温又は降温)させてもよい。なお、重合温度とは、重合反応の反応溶液の温度をいう。
上記製造方法において、全ての使用原料の添加が終了した後に、単量体の重合率を上げること等を目的として熟成工程を設けても良い。熟成時間は、好ましくは1〜120分間である。
上記製造方法において、重合時間としては、特に制限されないが、好ましくは30〜420分である。なお、本発明において「重合時間」とは、特に断らない限り、単量体を添加している時間、すなわち、単量体の添加を開始してから終了するまでの時間を表す。
上記製造方法において、重合反応後又は熟成工程後に中和工程を行ってもよい。
上記中和工程において、アルカリ成分を用いることが好ましい。
上記アルカリ成分としては、通常用いられているものを使用することができ、好ましくはアルカリ金属の水酸化物であり、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
上記中和工程で使用されるアルカリ成分の使用量は、上記カルボキシル基含有共重合体の中和率が上述の範囲になるように設定することができる。
<カルボキシル基含有共重合体の用途>
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、凝固剤、凝集剤、印刷インク、接着剤、土壌調整(改質)剤、難燃剤、スキンケア剤、ヘアケア剤、シャンプー・ヘアースプレー・化粧品用添加剤、アニオン交換樹脂、繊維・写真用フィルムの染料媒染剤や助剤、製紙における顔料展着剤、紙力増強剤、防腐剤、織物・紙の柔軟剤、潤滑油の添加剤、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、スケール防止剤(スケール抑制剤)、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダー、乳化剤、洗浄剤、洗剤等として用いることができる。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、水系用途において高い性能を発揮でき、耐硬水性、クレー(Clay)分散性、界面活性剤との相互作用等が高いので、特に、スケール防止剤、洗浄剤、洗剤等に用いた場合に、より優れた性能を発揮することができる。
<スケール防止剤>
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、スケール防止剤に用いることができる。
すなわち本発明は、本発明のカルボキシル基含有共重合体を含むスケール防止剤でもある。
上記スケール防止剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤等を用いてもよい。
上記スケール防止剤は、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール防止に有用である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでもよい。
<洗浄剤・洗剤>
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、洗剤ビルダー又は洗剤組成物(洗浄剤組成物)に用いることができる。すなわち、本発明は上記カルボキシル基含有共重合体を含む洗剤ビルダー又は洗剤組成物でもある。
上記洗剤ビルダー又は洗剤組成物は、衣料用、台所用(食器用)、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、及び自動車用等、様々な用途の洗剤として使用することができる。好ましくは衣料用、台所用であり、洗濯洗剤、台所用洗剤等に用いられることが好ましい。台所用洗剤としては、手洗い用食器洗剤や自動食器洗浄機用洗剤等が挙げられる。
上記洗剤組成物におけるカルボキシル基含有共重合体の含有量は、特に制限されないが、優れたビルダー性能を発揮しうるという観点からは、カルボキシル基含有共重合体の含有量は、洗剤組成物の全量に対して、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、更に好ましくは0.5〜5質量%である。
洗剤用途で用いられる洗剤組成物には、通常、洗剤に用いられる界面活性剤や添加剤が含まれる。これらの界面活性剤や添加剤の具体的な形態は特に制限されず、洗剤分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。また、上記洗剤組成物は、粉末洗剤組成物であってもよいし、液体洗剤組成物であってもよい。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される1種又は2種以上である。2種以上が併用される場合、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との合計量は、界面活性剤の全量に対して50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸又はエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステル又はその塩、アルケニルリン酸エステル又はその塩等が好適である。これらのアニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が好適である。これらのノニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が好適である。また、両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。これらのカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
上記界面活性剤の配合割合は、通常、洗剤組成物の全量に対して10〜60質量%であり、好ましくは15〜50質量%であり、更に好ましくは20〜45質量%であり、特に好ましくは25〜40質量%である。界面活性剤の配合割合が少なすぎると、十分な洗浄力を発揮できなくなる虞があり、界面活性剤の配合割合が多すぎると、経済性が低下する虞がある。
添加剤としては、アルカリビルダー、キレートビルダー、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の汚染物質の再沈着を防止するための再付着防止剤、ベンゾトリアゾールやエチレン−チオ尿素等の汚れ抑制剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、pH調節のためのアルカリ性物質、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、溶媒等が好適である。また、粉末洗剤組成物の場合にはゼオライトを配合することが好ましい。
上記洗剤組成物は、本発明のカルボキシル基含有共重合体に加えて、他の洗剤ビルダーを含んでもよい。他の洗剤ビルダーとしては、特に制限されないが、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩などのアルカリビルダーや、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、ボウ硝、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、クエン酸塩、(メタ)アクリル酸の共重合体塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体、フマル酸塩、ゼオライト等のキレートビルダー、カルボキシメチルセルロース等の多糖類のカルボキシル誘導体等が挙げられる。上記ビルダーに用いられる対塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニウム、アミン等が挙げられる。
上記添加剤と他の洗剤ビルダーの合計の配合割合は、通常、洗剤組成物100質量%に対して0.1〜50質量%が好ましい。より好ましくは0.2〜40質量%であり、更に好ましくは0.3〜35質量%であり、特に好ましくは0.4〜30質量%であり、最も好ましくは0.5〜20質量%である。添加剤/他の洗剤ビルダーの配合割合が0.1質量%未満であると、十分な洗剤性能を発揮できなくなる虞があり、50質量%を超えると経済性が低下する虞がある。
上記洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、液体洗剤組成物に含まれる水分量は、通常、液体洗剤組成物の全量に対して0.1〜75質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜70質量%であり、更に好ましくは0.5〜65質量%であり、更により好ましくは0.7〜60質量%であり、特に好ましくは1〜55質量%であり、最も好ましくは1.5〜50質量%である。
上記洗剤組成物に配合することができる酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が好適である。中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ及びアルカリセルラーゼが好ましい。
上記酵素の添加量は、洗剤組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、洗浄力の向上が見られなくなり、経済性が低下するおそれがある。
上記洗剤組成物は、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの濃度が高い硬水(例えば、100mg/L以上)の地域中で使用しても、塩の析出が少なく、優れた洗浄効果を有する。この効果は、洗剤組成物が、LASのようなアニオン性界面活性剤を含む場合に特に顕著である。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、上述の構成よりなり、カルシウムイオン捕捉能及びカーボンブラック分散能に優れるため、スケール防止剤、洗浄剤、洗剤等に好適に用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
(1)重量平均分子量(Mw)
(2)Ca捕捉能
(3)カーボンブラック分散能
(4)再汚染防止能
(5)牛脂分散能
は、以下に示す方法により測定または定量した。
(1)重量平均分子量(Mw)の測定
装置:東ソー製高速GPC装置(HLC−8320GPC)
検出器:RI
カラム:昭和電工社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ、GF−710−HQ、GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:創和科学株式会社製 POLYACRYLIC ACID STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)
(2)Ca捕捉能の測定
検量線用カルシウムイオン標準液として、塩化カルシウム2水和物を用いて、0.01mol/l、0.001mol/l、0.0001mol/lの水溶液を50g調製し、48%NaOH水溶液でpH9〜11の範囲に調整し、更に4mol/lの塩化カリウム水溶液(以下4M−KCl水溶液と略す)を1ml添加し、更にマグネチックスターラーを用いて十分に攪拌して検量線用サンプル液を作製した。また、試験用カルシウムイオン標準液として、同じく塩化カルシウム2水和物を用いて、0.001mol/lの水溶液を必要量(1サンプルにつき50g)調製した。次いで、100ccビーカーに試験サンプル(重合体)を固形分換算で10mg秤量し、上記の試験用カルシウムイオン標準液50gを添加し、マグネチックスターラーを用いて十分に攪拌した。更に、検量線用サンプルと同様に、48%NaOH水溶液でpH9〜11の範囲に調整し、4M−KCl水溶液を1ml添加して、試験用サンプル液を作製した。この様にして、作製した検量線用サンプル液、試験用サンプル液を平沼産業株式会社製滴定装置COMTITE−550を用いて、オリオン社製カルシウムイオン電極93−20,比較電極90−01により測定を行なった。検量線及び試験用のサンプル液の測定値より、サンプル(重合体)が捕捉したカルシウムイオン量を計算により求め、その値を重合体固形分1gあたりの捕捉量を炭酸カルシウム換算のmg数(mgCaCO/g)で表し、この値をカルシウムイオン捕捉能値とした。
(3)カーボンブラック分散能の測定
緩衝溶液、及び、0.1%重合体水溶液を調製した。上記緩衝溶液は、グリシン6.76g、塩化ナトリウム5.26gおよび48%水酸化ナトリウム0.50gに純水を加えて全量を60.0gとした後、塩化カルシウム2水和物0.123g、塩化マグネシウム6水和物0.056gを加え、以上に純水を加えて1000.0gとした。上記0.1%重合体水溶液は、下記実施例1〜8又は比較例1〜7で得られる重合体を適量の水で希釈して固形分濃度0.1質量%に調製したものを用いた。
次に、上記各溶液及びカーボンブラック粉末を所定の順序及び所定の量で30mlの試験管に仕込んだ。この所定の順序及び所定の量は以下の通りである:第一番目としてカーボンブラック粉末0.03gを仕込み、第二番目として緩衝溶液27.0gを仕込み、最後に0.1%重合体水溶液3.0gを仕込んだ。
各溶液及びカーボンブラック粉末をこの順序で仕込んだ後、試験管に蓋をし、ゆっくり上下60往復反転させ、内容物を撹拌した。その後、常温で20時間静置し、20時間経過後、直ちに上澄み液を1cmの石英セルに入れ、分光光度計(測定装置;島津製作所社製 UV−1800)により、UV波長380nmにおける吸光度を測定し、この値をカーボンブラック分散能とした。吸光度が高い方が、カーボンブラック粉末を良く分散していることを示す。
(4)再汚染防止能の測定
試料として用いる綿布、綿/ポリエステル混合布の白布の白色度をあらかじめ反射率にて測定した。反射率測定には、測色色差計ND−1001DP型(日本電色工業社製)などを用いることができる。塩化カルシウム2水和物1.47gに純水を加えて10kgとし、硬水を調製した。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)4.0gに純水を加えて全体で100gとし、4%界面活性剤水溶液を調製した。ターゴットメーターを25℃にセットし、硬水1000mL、重合体水溶液(濃度1.0%)5.0gをポットに入れ、1分間撹拌した後、4%界面活性剤水溶液5.0g、JIS11種クレー0.5gをポットに入れ、100rpmで1分間撹拌した。白布5.0gをポットに入れ、100rpmで10分間撹拌した。手で白布の水を切り、硬水1Lと白布をポットに入れ、100rpmで2分間撹拌する。再び手で白布の水を切ったのち、白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、測色色差計にて、再度、白布の白色度を反射率にて測定した。この測定結果から下式により再汚染防止能を求める。
再汚染防止能(%)=(洗浄後の白色度)/(原白布の白色度)×100
(5)牛脂分散能の測定
まず、塩化カルシウム2水和物0.123g、塩化マグネシウム6水和物0.056gに純水を加えて1000.0gとし、硬水を調製した。25%ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム83.3gと35%ラウリルジメチルアミンオキサイド11.9gに純水を加えて100.0gとした後、撹拌し、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム:ラウリルジメチルアミンオキサイド=5:1となるような25%界面活性剤水溶液を調製した。そして、重合体水溶液を固形分で2mg、上記で調製した25%界面活性剤水溶液0.20gに硬水を加えて20gとし洗浄用配合物とした。
50mlのガラス製スクリュー管に牛脂0.10gを入れ、上記で調製した洗浄用配合物20gを加え、撹拌した後、25℃で6時間静置した。6時間経過後、直ちに上澄み液を1cmの石英セルに入れ、分光光度計により、UV波長380nmにおける吸光度を測定し、この値を牛脂分散能とした。吸光度が高い方が、牛脂を良く分散していることを示す。
<実施例1>
(単量体の合成)
アリルグリシジルエーテル(AGE)のジブチルアミン誘導体モノマー(AGE−DBA)の合成法を以下に述べる。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量2000mLのガラス製4つ口フラスコに、純水319.9g、ジブチルアミン387.0gを仕込み、攪拌しながら60℃まで昇温した。次に、AGE359.5gを60分かけて添加し、その後、5時間反応させた。得られた単量体を純水、飽和食塩水で洗浄した後、分液漏斗を用いて水層を取り除いた。有機層中の水分を硫酸ナトリウムを用いて十分に除去し、硫酸ナトリウムをろ過で取り除くことによって100%AGE−DBAを得た。
(重合体の合成)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500ミリリットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水27.7g、無水マレイン酸29.4g(0.30mol)を仕込み、攪拌下、90℃まで昇温した。昇温後、48%水酸化ナトリウム(以下、48%NaOHと略す)14.0g(0.17mol)、モール塩6.6mgを加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に80%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと略す)75.7g(0.84mol)、アリルグリシジルエーテル(AGE)とジブチルアミンとの付加反応物(以下、AGE−DBAと略す)17.1g(0.06mol)、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下15%NaPSと略す)48.0g(対単量体投入量(ここで、単量体投入量とは、単量体の全ての投入量をいう。以下同様とする。)に換算すると6.0g/mol)、32.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(以下、32.5%SBSと略す)29.5g(対単量体投入量に換算すると8.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAとAGE−DBAを120分間、15%NaPSを150分間、32.5%SBSを110分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに60分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH46.0g(すなわち0.55mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が46質量%、最終中和度が52mol%の重合体(1)を得た。重合体(1)のMwは9,500、Ca捕捉能は294、カーボンブラック分散能は0.77であった。
<実施例2>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水110.0g、無水マレイン酸216.2g(2.205mol)を仕込み、攪拌下、100℃まで昇温した。昇温後、48%NaOH155.0g(1.86mol)、40%3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム水溶液(以下、40%HAPSと略す)133.5g(0.245mol)、AGE−DBA59.63g(0.245mol)を加えた。仕込後にpHを測定したところ4.8であった。次いで攪拌下、重合反応系中に80%AA198.6g(2.205mol)、48%NaOH183.8g(2.205mol)、15%NaPS98.0g(対単量体投入量に換算すると3.0g/mol)、35%過酸化水素水溶液(以下、35%Hと略す)33.6g(対単量体投入量に換算すると2.4g/mol)、純水173.9gをそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAと48%NaOHと純水を120分間、15%NaPSを150分間、35%Hを90分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに35分間に渡って反応溶液を100℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合完結直後のpHは6.0であった。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH57.4g(すなわち0.69mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が49質量%、最終中和度が78mol%の重合体(2)を得た。重合体(2)のMwは10,200、Ca捕捉能は363、カーボンブラック分散能は0.58であった。
<実施例3>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、純水36.1g、無水マレイン酸29.4g(0.30mol)を仕込み、攪拌下、90℃まで昇温した。昇温後、48%NaOH14.0g(0.17mol)、モール塩6.0mgを加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に、80%AA65.3g(0.72mol)、AGE−DBA29.0g(0.12mol)、15%NaPS48.0g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)、35%SBS29.5g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAを150分間、AGE−DBAを120分間、15%NaPSを180分間、35%SBSを150分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH41.2g(すなわち0.49mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が38質量%、最終中和度が50mol%の重合体(3)を得た。重合体(3)のMwは8,600、Ca捕捉能は462、カーボンブラック分散能は1.00であった。
<実施例4>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、純水40.9g、イタコン酸39.0g(0.30mol)を仕込み、攪拌下、90℃まで昇温した。昇温後、48%NaOH14.0g(0.17mol)、モール塩7.0mgを加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に、80%AA83.6g(0.93mol)、AGE−DBA19.6g(0.08mol)、15%NaPS52.4g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)、35%SBS22.4g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAとAGE−DBAを120分間、15%NaPSを150分間、35%SBSを120分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに60分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH49.7g(すなわち0.60mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が39質量%、最終中和度が50mol%の重合体(4)を得た。重合体(4)のMwは34,400、Ca捕捉能は283、カーボンブラック分散能は1.56であった。
<実施例5>
(単量体の合成)
AGEのイミノ二酢酸誘導体モノマー(AGE−IDA)の合成法を以下に述べる。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1000mLのガラス製4つ口フラスコに、純水151.7g、イミノ二酢酸119.8g及び48%NaOH150.0gを仕込み、攪拌しながら60℃まで昇温した。次に、AGE102.7gを60分かけて添加し、その後、5時間反応させ、50%AGE−IDAを得た。
(重合体の合成)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、純水30.0g、無水マレイン酸34.3g(0.35mol)を仕込み、攪拌下、90℃まで昇温した。昇温後、48%NaOH16.3g(0.20mol)、モール塩6.2mgを加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に、80%AA87.0g(1.0mol)、50%AGE−IDA48.0g(0.08mol)、15%NaPS55.9g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)、35%SBS32.0g(対単量体投入量に換算すると8.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAと50%AGE−IDAを120分間、15%NaPSを150分間、35%SBSを110分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに60分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH53.1g(すなわち0.64mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が48質量%、最終中和度が50mol%の重合体(5)を得た。重合体(5)のMwは17,000、Ca捕捉能は328、カーボンブラック分散能は0.50であった。
<実施例6>
(単量体の合成)
AGEのジエタノールアミン誘導体モノマー(AGE−DEA)の合成法を以下に述べる。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1000mLのガラス製4つ口フラスコに、ジエタノールアミン235.9gを仕込み、攪拌しながら60℃まで昇温した。次に、AGE251.1gを60分かけて添加し、その後、5時間反応させ、100%AGE−DEAを得た。
(重合体の合成)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、純水32.0g、無水マレイン酸34.3g(0.35mol)を仕込み、攪拌下、90℃まで昇温した。昇温後、48%NaOH16.3g(0.20mol)、モール塩6.2mgを加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に、80%AA87.0g(1.0mol)、80%AGE−DEA25.5g(0.09mol)、15%NaPS56.4g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)、35%SBS32.2g(対単量体投入量に換算すると8.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAと80%AGE−DEAを120分間、15%NaPSを150分間、35%SBSを110分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに60分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH53.1g(すなわち0.64mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が48質量%、最終中和度が50mol%の重合体(6)を得た。重合体(6)のMwは10,200、Ca捕捉能は281、カーボンブラック分散能は0.34であった。
<実施例7>
(単量体の合成)
AGEのトリメチルアミン誘導体モノマー(AGE−TMA)の合成法を以下に述べる。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1000mLのガラス製4つ口フラスコに、純水104.9g、トリメチルアミン塩酸塩191.1gを仕込み、攪拌しながら50℃まで昇温した。次に、AGE228.3gを120分かけて添加し、その後、2時間反応させ、80%AGE−TMAを得た。
(重合体の合成)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、純水36.2g、無水マレイン酸29.4g(0.30mol)を仕込み、攪拌下、90℃まで昇温した。昇温後、48%NaOH14.0g(0.17mol)、モール塩5.2mgを加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に、80%AA74.6g(0.8mol)、80%AGE−TMA21.8g(0.08mol)、15%NaPS48.4g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)、35%SBS13.8g(対単量体投入量に換算すると4.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAと80%AGE−TMAを120分間、15%NaPSを150分間、35%SBSを110分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに60分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH45.5g(すなわち0.55mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が47質量%、最終中和度が50mol%の重合体(7)を得た。重合体(7)のMw8,500、Ca捕捉能は294、カーボンブラック分散能は0.20であった。
<実施例8>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、純水68.0g、無水マレイン酸53.9g(0.55mol)を仕込み、攪拌下、100℃まで昇温した。昇温後、48%NaOH36.7g(0.44mol)、モール塩5.2mgを加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に、80%AA49.5g(0.5mol)、33%2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム水溶液(以下、33%AMPSと略す)41.2g(0.06mol)、AGE−DBA14.9g(0.06mol)、15%NaPS28.6g(対単量体投入量に換算すると3.5g/mol)、35%H10.5g(対単量体投入量に換算すると3.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAと33%AMPSを150分間、15%NaPSを180分間、AGE−DBAと35%Hを120分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに60分間に渡って反応溶液を100℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH32.1g(すなわち0.38mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が46質量%、最終中和度が50mol%の重合体(8)を得た。重合体(8)のMwは7,700、Ca捕捉能は312、カーボンブラック分散能は0.56であった。
<比較例1>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1.0リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水100.0gを仕込み、攪拌下、70℃まで昇温した。昇温後、モール塩を4.3mg加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に80%AA189.0g(2.10mol)、AGE−DBA50.4g(0.21mol)、15%NaPS92.3g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)、35%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと略す)62.6g(対単量体投入量に換算すると9.5g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAと35%SBSを180分間、AGE−DBAを170分間、15%NaPSを190分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を70℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH122.5g(すなわち1.47mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が44質量%、最終中和度が70mol%の重合体(9)を得た。重合体(9)のMwは14,700、Ca捕捉能は185、カーボンブラック分散能は1.15であった。
<比較例2>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1.0リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水100.0gを仕込み、攪拌下、85℃まで昇温した。昇温後、モール塩を13.3mg加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に80%AA183.8g(2.04mol)、40%HAPS60.6g(0.112mol)、AGE−DBA42.0g(0.173mol)、15%NaPS93.0g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)、35%SBS39.9g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAを180分間、40%HAPSとAGE−DBAを120分間、15%NaPSを210分間、35%SBSを175分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を85℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH111.7g(すなわち1.34mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が42質量%、最終中和度が70mol%の重合体(10)を得た。重合体(10)のMwは9,400、Ca捕捉能は144、カーボンブラック分散能は1.28であった。
<比較例3>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1.0リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水100.0gを仕込み、攪拌下、85℃まで昇温した。昇温後、モール塩を14.1mg加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に80%AA210.0g(2.33mol)、40%HAPS60.6g(0.112mol)、アリルグリシジルエーテルのノルマルブタノール付加体(以下、AGE−BuOHと略す)21.0g(0.112mol)、15%NaPS102.3g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)、35%SBS43.8g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAを180分間、40%HAPSとAGE−BuOHを120分間、15%NaPSを210分間、35%SBSを175分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を85℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH128.8g(すなわち1.55mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が42質量%、最終中和度が70mol%の重合体(11)を得た。重合体(11)のMwは7,200、Ca捕捉能は185、カーボンブラック分散能は0.90であった。
<比較例4>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、純水89.8gを仕込み、攪拌下、85℃まで昇温した。昇温後、モール塩を7.0mg加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に80%AA126.1g(1.40mol)、AGE−DBA17.8g(0.07mol)、15%NaPS23.6g(対単量体投入量に換算すると2.4g/mol)、20%SBS25.8g(対単量体投入量に換算すると3.5g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAとAGE−DBAを180分間、20%SBSを200分間、15%NaPSを210分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を85℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH70.0g(すなわち0.84mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が45質量%、最終中和度が60mol%の重合体(12)を得た。重合体(12)のMwは11,400、Ca捕捉能は189、カーボンブラック分散能は2.26であった。
<比較例5>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、純水27.4g、無水マレイン酸29.4g(0.30mol)を仕込み、攪拌下、90℃まで昇温した。昇温後、48%NaOH14.0g(0.17mol)、モール塩6.0mgを加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に、80%AA96.4g(1.07mol)、15%NaPS54.8g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)、35%SBS15.7g(対単量体投入量に換算すると4.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAを120分間、15%NaPSを150分間、35%SBSを120分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに60分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH69.5g(すなわち0.83mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が48質量%、最終中和度が60mol%の重合体(13)を得た。重合体(13)のMwは8,200、Ca捕捉能は339、カーボンブラック分散能は0.01であった。
<比較例6>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、純水81.4gを仕込み、攪拌下、85℃まで昇温した。昇温後、モール塩を7.4mg加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に80%AA126.1g(1.40mol)、40%HAPS32.4g(0.06mol)、AGE−DBA14.5g(0.06mol)、15%NaPS24.3g(対単量体投入量に換算すると2.4g/mol)、20%SBS26.6g(対単量体投入量に換算すると3.5g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAを180分間、40%HAPSとAGE−DBAを120分間、15%NaPSを210分間、35%SBSを180分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を85℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH70.0g(すなわち0.84mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が41質量%、最終中和度が60mol%の重合体(14)を得た。重合体(14)のMwは13,200、Ca捕捉能は192、カーボンブラック分散能は1.91であった。
<比較例7>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水110.0g、無水マレイン酸216.2g(2.20mol)を仕込み、攪拌下、100℃まで昇温した。昇温後、48%NaOH270.0g(3.24mol)、40%HAPS267.1g(0.49mol)を加えた。次いで攪拌下、重合反応系中に、80%AA198.6g(2.20mol)、15%NaPS78.4g(対単量体投入量に換算すると2.4g/mol)、35%H28.0g(対単量体投入量に換算すると2.0g/mol)、純水147.8gをそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAと15%NaPSを120分間、35%Hを75分間、純水を120分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに35分間に渡って反応溶液を100℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH136.6g(すなわち1.64mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が42質量%、最終中和度が79mol%の重合体(15)を得た。重合体(15)のMwは8,300、Ca捕捉能は367、カーボンブラック分散能は0.01であった。
実施例1〜8及び比較例1〜7で得られた重合体についての重量平均分子量、Ca捕捉能、カーボンブラック分散能の結果を表1に示す。
なお、表1中、MAは、マレイン酸を表す。
Figure 2018090786
上記実施例及び比較例の結果から、実施例1〜8については、Ca補足能とカーボンブラック分散能の両方について優れた性能を示したのに対し、比較例1〜7については、Ca捕捉能かカーボンブラック分散能のどちらかについてのみ優れることが明らかとなった。このように、本発明の特定の構造を有する重合体は、Ca捕捉能とカーボンブラック分散能の両方に優れることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. 不飽和モノカルボン酸系単量体(A)由来の構造単位(a)と、不飽和ジカルボン酸系単量体(B)由来の構造単位(b)と、カチオン性単量体(C)由来の構造単位(c)とを有することを特徴とするカルボキシル基含有共重合体。
  2. 前記共重合体は、更に、スルホン酸基含有単量体(D)由来の構造単位(d)を有することを特徴とする請求項1に記載のカルボキシル基含有共重合体。
  3. 前記カチオン性単量体(C)は、疎水性基を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカルボキシル基含有共重合体。
  4. 前記カチオン性単量体(C)は、下記式(1)〜(3);
    Figure 2018090786
    (式(1)、(2)中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は官能基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。ただし、R、Rの少なくとも一方は、官能基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。式(3)中、R〜Rは、同一又は異なって、官能基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Wは、アニオンを表す。)のいずれかで表される基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカルボキシル基含有共重合体。
  5. 前記不飽和モノカルボン酸系単量体(A)は、(メタ)アクリル酸(塩)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカルボキシル基含有共重合体。
  6. 前記不飽和ジカルボン酸系単量体(B)は、マレイン酸(塩)及び/又は無水マレイン酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカルボキシル基含有共重合体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のカルボキシル基含有共重合体を含むことを特徴とするスケール防止剤。
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