JP2018085423A - ダイシングシート用基材フィルムおよびダイシングシート - Google Patents

ダイシングシート用基材フィルムおよびダイシングシート Download PDF

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Abstract

【課題】電子線やγ線などの物理的なエネルギーを与えることなく、被切断物のダイシング時に発生するダイシング屑、特に糸状のダイシング屑の発生を抑制するダイシングシート用基材フィルムおよびダイシングシートを提供する。
【解決手段】樹脂層(A)を備えるダイシングシート用基材フィルム1であって、樹脂層(A)が、マトリックス相10中にドメイン相20が分散してなる相分離構造を有しており、樹脂層(A)をCD方向に切断した断面における、ドメイン相20の最も短い径の平均値が、0.1μm以上、3μm以下であるダイシングシート用基材フィルム1。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウエハ等の被切断物を素子小片に切断分離する際に、当該被切断物が貼付されるダイシングシートおよび当該ダイシングシートに用いられる基材フィルムに関するものである。
シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウエハおよび各種パッケージ類(以下、これらをまとめて「被切断物」と記載することがある。)は、大径の状態で製造され、これらは素子小片(以下、「チップ」と記載する。)に切断分離(ダイシング)される。
このダイシング工程に付される被切断物は、ダイシング工程およびそれ以降の工程における被切断物およびチップの取扱性の確保を目的として、基材フィルムおよびその上に設けられた粘着剤層を備えるダイシングシートが、切断のための切削工具が近接する側と反対側の被切断物表面にあらかじめ貼り付けられている。このようなダイシングシートは、通常、基材フィルムとしてポリオレフィン系フィルムまたはポリ塩化ビニル系フィルム等が使用されている。
ダイシング工程の具体的な手法として一般的なフルカットダイシングでは、回転する丸刃によって被切断物の切断が行われる。このとき、ダイシングシートが貼り付けられた被切断物が確実に切断されるように、被切断物のみならず粘着剤層も切断され、さらに基材フィルムの一部も切断されることがある。
このとき、粘着剤層および基材フィルムを構成する材料からなるダイシング屑がダイシングシートから発生し、得られるチップがそのダイシング屑によって汚染される場合がある。そのようなダイシング屑の形態の一つに、ダイシングライン上、またはダイシングにより分離されたチップの断面付近に付着する、糸状のダイシング屑がある。
上記のような糸状のダイシング屑がチップに多量に付着したままチップの封止を行うと、チップに付着する糸状のダイシング屑が封止の熱で分解し、この熱分解物がパッケージを破壊したり、得られるデバイスにて動作不良の原因となったりする。この糸状のダイシング屑は洗浄により除去することが困難であるため、糸状のダイシング屑の発生によってダイシング工程の歩留まりは著しく低下する。それゆえ、ダイシングシートを用いてダイシングを行う場合には、糸状のダイシング屑の発生を防止することが求められている。
また、複数のチップが硬化した樹脂で封止されているパッケージを被切断物としてダイシングする場合には、半導体ウエハをダイシングする場合と比べ、より厚い刃幅のダイシングブレードが使用され、ダイシングの切り込み深さもより深くなる。このため、ダイシング時に切断除去される基材フィルム量が半導体ウエハの場合よりも増えるため、糸状のダイシング屑の発生量も増加する傾向にある。
特許文献1には、ダイシングシートの基材フィルムとして、電子線またはγ(ガンマ)線が1〜80Mrad照射されたポリオレフィン系フィルムを用いる発明が開示されている。当該発明では、電子線またはγ線の照射により基材フィルムを構成する樹脂が架橋し、上述したようなダイシング屑の発生が抑制されると考えられる。
特開平5−211234号公報
しかしながら、従来のダイシングシート用基材フィルムでは、ダイシング屑の発生を十分に抑制することができないことがあった。また、特許文献1に記載される発明では、電子線またはγ線の照射は、基材フィルムの材料となる樹脂を一度フィルム状に成形した後に行われるため、製造工程が一つ増えることとなり、製造コストが一般の基材フィルムに比べ高くなる傾向にある。
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、電子線やγ線などの物理的なエネルギーを与えることなく、被切断物のダイシング時に発生するダイシング屑、特に糸状のダイシング屑の発生を抑制するダイシングシート用基材フィルムおよびダイシングシートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、樹脂層(A)を備えるダイシングシート用基材フィルムであって、前記樹脂層(A)が、マトリックス相中にドメイン相が分散してなる相分離構造を有しており、前記樹脂層(A)をCD方向に切断した断面における、前記ドメイン相の最も短い径の平均値が、0.1μm以上、3μm以下であることを特徴とするダイシングシート用基材フィルムを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係るダイシングシート用基材フィルムでは、樹脂層(A)が、マトリックス相中にドメイン相が分散してなる相分離構造を有しており、さらに、樹脂層(A)をCD方向に切断した断面における、ドメイン相の最も短い径の平均値が上記範囲であることにより、回転するダイシングブレードが基材フィルムに接触した際、ダイシングブレードにより基材フィルムが溶融し引き伸ばされ、容易にちぎれる。その結果、電子線やγ線などの物理的なエネルギーを付与することなく、被切断物のダイシング時に発生するダイシング屑を効果的に低減することができる。
上記発明(発明1)において、前記樹脂層(A)における前記ドメイン相を構成する成分の配合量は、前記マトリックス相を構成する成分100質量部に対して、5質量部以上、40質量部以下であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記マトリックス相を構成する成分および前記ドメイン相を構成する成分は、それぞれポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記マトリックス相を構成する成分は、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびα−オレフィン共重合体から選択される少なくとも1種のポリマーを含むことが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記マトリックス相を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’1)は、30MPa以上、800MPa以下であり、前記マトリックス相を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’1)に対する、前記ドメイン相を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’2)の比(E’2/E’1)は、2.0以上、15.0以下であることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)において、前記ドメイン相を構成する成分の温度190℃、荷重5.0kgにおけるメルトフローレートは、0.3g/10min以上、15.0g/10min以下であることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1〜6)において、23℃における引張弾性率は、5MPa以上、400MPa以下であることが好ましい(発明7)。
第2に本発明は、前記ダイシングシート用基材フィルム(発明1〜7)と、前記ダイシングシート用基材フィルムの片面側に積層された半導体貼付層とを備えることを特徴とするダイシングシートを提供する(発明8)。
本発明に係るダイシングシート用基材フィルムおよびダイシングシートは、電子線やγ線などの物理的なエネルギーを与えることなく、被切断物のダイシング時に発生するダイシング屑、特に糸状のダイシング屑の発生を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るダイシングシート用基材フィルムをCD方向に切断した断面図である。 ドメイン相の最も短い径の測定例を説明するための説明図である。 本発明の実施形態に係るダイシングシートの断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔ダイシングシート用基材フィルム〕
図1には、本発明の一実施形態に係るダイシングシート用基材フィルム1(以下、「基材フィルム1」と省略する場合がある。)をCD方向に切断した断面図が示されている。
本実施形態に係る基材フィルム1は、樹脂層(A)を備える。特に図1には、樹脂層(A)のみからなる基材フィルム1が示されている。また、本実施形態に係る基材フィルム1では、樹脂層(A)が、マトリックス相10中にドメイン相20が分散してなる相分離構造を有している。
本実施形態に係る基材フィルム1では、樹脂層(A)をCD方向に切断した断面における、ドメイン相20の最も短い径の平均値が、0.1μm以上、3μm以下である。ここで、CD方向とは、基材フィルム1の製造時における流れ方向に対して垂直な方向をいう。なお、基材フィルム1の製造時における流れ方向のことをMD方向という。また、ドメイン相20の最も短い径の定義については後述する。
一般的に、ダイシングの際に、基材フィルム1までダイシングブレードが入る場合、基材フィルム1の一部が、回転するダイシングブレードとの摩擦熱により溶融し、さらに延伸されることによって、ダイシングライン上に糸状のダイシング屑が発生する。しかしながら、本実施形態に係る基材フィルム1では、樹脂層(A)が、マトリックス相10中にドメイン相20が分散してなる相分離構造を有するとともに、当該ドメイン相20が前述した範囲の大きさを有し、マトリックス相10とドメイン相20との界面の面積が比較的大きいものとなることより、回転するダイシングブレードが基材フィルム1に接触し、ダイシングブレードにより基材フィルムが溶融し引き伸ばされた際に、容易にちぎれる。その結果、糸状のダイシング屑の発生が抑制される。すなわち、本実施形態に係る基材フィルム1によれば、電子線やγ線などの物理的なエネルギーを与えることなく、ダイシング屑の発生を良好に抑制することができる。
1.基材フィルムの物性等
本実施形態に係る基材フィルム1では、樹脂層(A)をCD方向に切断した断面における、ドメイン相20の最も短い径の平均値が、0.1μm以上であり、0.2μm以上であることが好ましく、特に0.3μm以上であることが好ましい。また、ドメイン相20の最も短い径の平均値は、3μm以下であり、2.8μm以下であることが好ましく、特に2.7μm以下であることが好ましい。ドメイン相20の最も短い径の平均値が0.1μm未満であると、マトリックス相10とドメイン相20との区別が不明確なものとなり、これらの相分離構造が良好に生じ難くなる。また、ドメイン相20の最も短い径の平均値が3μmを超えると、マトリックス相10に対してドメイン相20の大きさが十分に小さいものとならず、マトリックス相10とドメイン相20との界面の面積が十分に大きくならない。以上により、ドメイン相20の最も短い径の平均値が0.1μm未満であるか、3μmを超える基材フィルムでは、ダイシング屑の発生を抑制する効果を十分に得ることができない。
ここで、樹脂層(A)をCD方向に切断した断面における、ドメイン相20の最も短い径とは、ドメイン相20の断面を任意の方向から挟む2本の平行する直線を想定し、これらの直線間の距離が最も小さくなるときの当該距離の長さをいう。以下に、図2を使用して、ドメイン相20の最も短い径の測定例を説明する。図2には、ドメイン相をCD方向に切断した断面図が示されており、紙面上下方向が、基材フィルム1および樹脂層(A)の厚さ方向となっている。図2には、2種類のドメイン相20aおよび20bが示されている。ドメイン相20aの断面は、短軸が厚さ方向に平行な楕円形となっている。このドメイン相20aにおいて、2本の平行する直線l1’,l2’により挟んだときの当該直線の距離d1’を任意に考えたとき、当該距離の長さが最も小さいものとなる、2本の平行する直線l1,l2により挟んだときの当該直線の距離d1の長さが、ドメイン相20aの最も短い径となる。一方、ドメイン相20bの断面は、短軸および長軸がともに厚さ方向に対して傾いた楕円形となっている。ドメイン相20bにおいても、ドメイン相20aと同様に、2本の平行する直線により挟んだときの当該直線の距離を任意に考えたとき、当該距離の長さが最も小さいものとなる、2本の平行する直線l3,l4により挟んだときの当該直線の距離d2が、ドメイン相20bの最も短い径となる。
樹脂層(A)をCD方向に切断した断面における、ドメイン相20の最も短い径は、図2に示すように、樹脂層(A)をCD方向に切断した断面を観察することで測定することができる。このような観察は、例えば走査型電子顕微鏡といった高倍率の顕微鏡を用いて行うことができる。
本実施形態に係る基材フィルム1では、マトリックス相10を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’1)は、30MPa以上であることが好ましく、特に40MPa以上であることが好ましく、さらには50MPa以上であることが好ましい。また、当該貯蔵弾性率(E’1)は、800MPa以下であることが好ましく、特に750MPa以下であることが好ましく、さらには700MPa以下であることが好ましい。当該貯蔵弾性率(E’1)が30MPa以上であることで、基材フィルム1を備えるダイシングシートをウエハに貼付し、さらにリングフレームに固定した際に、当該ダイシングシートが弛み難くなり、搬送エラーの発生が抑制される。また、当該貯蔵弾性率(E’1)が800MPa以下であることで、基材フィルム1を備えるダイシングシートが適度な柔軟性を有するものとなる。このため、エキスパンド工程時において、ダイシングシートを引き伸ばすために要する荷重を比較的小さくすることができ、これにより、リングフレームからダイシングシートが剥がれるといった問題の発生を抑制することができる。なお、上記貯蔵弾性率(E’1)の測定方法の詳細は、後述する試験例に示す通りである。
本実施形態に係る基材フィルム1では、ドメイン相20を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’2)は、400MPa以上であることが好ましく、特に450MPa以上であることが好ましく、さらには500MPa以上であることが好ましい。また、当該貯蔵弾性率(E’2)は、1400MPa以下であることが好ましく、特に1350MPa以下であることが好ましく、さらには1300MPa以下であることが好ましい。当該貯蔵弾性率(E’2)が上記範囲であることで、溶融し引き伸ばされた基材フィルム1が容易にちぎれやすくなるという効果が効果的に得られる。なお、上記貯蔵弾性率(E’2)の測定方法の詳細は、後述する試験例に示す通りである。
本実施形態に係る基材フィルム1では、マトリックス相10を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’1)に対する、ドメイン相20を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’2)の比(E’2/E’1)が、2.0以上であることが好ましく、特に2.3以上であることが好ましく、さらには2.5以上であることが好ましい。また、当該比(E’2/E’1)は、15.0以下であることが好ましく、特に14.0以下であることが好ましく、さらには10.0以下であることが好ましい。当該比(E’2/E’1)が2.0以上であることで、マトリックス相10とドメイン相20との貯蔵弾性率の差が十分に大きくなり、これらの相分離構造における物理的性質の違いがより明確となる。これにより、ダイシングブレードが基材フィルム1に接触した際に、基材フィルム1が切れ易くなる結果、ダイシング屑の発生が効果的に抑制される。また、当該比(E’2/E’1)が15以下であることで、ドメイン相20の貯蔵弾性率(E’2)と比較して、マトリックス相10の貯蔵弾性率(E’1)が適度に大きなものとなり、基材フィルム1全体の貯蔵弾性率が比較的大きくなり、当該基材フィルム1を備えるダイシングシートにウエハをマウントする際に良好なマウント性が発揮されるものとなる。
本実施形態に係る基材フィルム1では、ドメイン相20を構成する成分の温度190℃、荷重5.0kgにおけるメルトフローレートが、0.3g/10min以上であることが好ましく、特に0.4g/10min以上であることが好ましく、さらには0.5g/10min以上であることが好ましい。また、当該メルトフローレートは、15.0g/10min以下であることが好ましく、特に14.5g/10min以下であることが好ましく、さらには14.0g/10min以下であることが好ましい。当該メルトフローレートが上記範囲であることで、マトリックス相10中におけるドメイン相20の分散性が良好なものとなり、細かなドメイン相20を形成し易くなる。その結果、ドメイン相20の大きさを前述した範囲に調整し易くなり、ダイシング屑の発生を効果的に抑制することができる。なお、上記メルトフローレートは、JIS K7210:2014に準じて測定されるものであり、測定方法の詳細は後述する試験例に記載する通りである。
本実施形態に係る基材フィルム1では、23℃における引張弾性率が、5MPa以上であることが好ましく、特に15MPa以上であることが好ましく、さらには25MPa以上であることが好ましい。また、当該引張弾性率は、400MPa以下であることが好ましく、特に395MPa以下であることが好ましく、さらには390MPa以下であることが好ましい。上記引張弾性率が5MPa以上であることで、基材フィルム1を備えるダイシングシートをウエハに貼付し、さらにリングフレームに固定した際に、当該ダイシングシートが弛み難くなり、搬送エラーの発生が抑制される。また、上記引張弾性率が400MPa以下であることで、基材フィルム1を備えるダイシングシートが適度な柔軟性を有するものとなる。このため、エキスパンド工程時において、ダイシングシートを引き伸ばすために要する荷重を比較的小さくすることができ、これにより、リングフレームからダイシングシートが剥がれるといった問題の発生を抑制することができる。なお、上記引張弾性率は、JIS K7161−1:2014およびJIS K7127:1999に準じて測定されるものであり、測定方法の詳細は、後述する試験例に示す通りである。
本実施形態に係る基材フィルム1において、樹脂層(A)の厚さは、40μm以上であることが好ましく、特に50μm以上であることが好ましく、さらには60μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、300μm以下であることが好ましく、特に250μm以下であることが好ましく、さらには200μm以下であることが好ましい。樹脂層(A)の厚さが40μm以上であることで、樹脂層(A)の厚さが、ダイシングの際にダイシングブレードが樹脂層(A)に入る深さと比較して十分厚いものとなる結果、ダイシング屑の発生を効果的に抑制することができる。また、樹脂層(A)の厚さが300μm以下であることで、基材フィルム1のエキスパンド性を良好に維持し易くなるとともに、樹脂層(A)の厚さが不要に厚くなることを防止することができる。
2.基材フィルムの組成および構成
(1)マトリックス相
マトリックス相10を構成する成分は、ドメイン相10を構成する成分との間で相分離構造を形成でき、ドメイン相10の大きさが上述の範囲内となるものであれば、特に限定されない。マトリックス相10を構成する成分は、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、特に、マトリックス相10を構成する成分は、主成分として、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。なお、本明細書において、「主成分」とは、成分全体のうち50質量%以上を占める成分をいい、好ましくは55質量%以上を占める成分をいい、特に好ましくは60質量%以上を占める成分をいうものとする。ポリオレフィン系樹脂は一般的にガラス転移温度Tgが比較的低いため、マトリックス相10を構成する成分がポリオレフィン系樹脂を含むことで、本実施形態に係る基材フィルム1を備えるダイシングシートの引張弾性率が上記範囲を満たしやすくなり、良好なエキスパンドを行うことが可能となる。また、後述するように、ドメイン相20を構成する成分もポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、特に、マトリックス相10を構成する成分およびドメイン相20を構成する成分がそれぞれポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。このように両成分がそれぞれポリオレフィン系樹脂を含む場合、マトリックス相10およびドメイン相20が類似した組成を有するものとなることで、これらの相の界面密着性が比較的高いものとなる結果、本実施形態に係る基材フィルム1を備えるダイシングシートのエキスパンド性が優れたものとなる。
なお、本明細書において、ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィンを単量体とするホモポリマーもしくはコポリマー、またはオレフィンとオレフィン以外の分子とを単量体とするコポリマーであって重合後の樹脂におけるオレフィン単位に基づく部分の質量比率が1.0質量%以上である樹脂をいう。なお、本明細書において、オレフィンとは、シクロオレフィンを含むものとする。
上記ポリオレフィン系樹脂を構成する高分子は直鎖状であってもよいし、側鎖を有していてもよい。また、ポリオレフィン系樹脂は、官能基を有していてもよい。当該官能基は、後述するような芳香族系環または脂肪族系環であってもよく、あるいは非環式の官能基であってもよい。このような官能基の置換密度は任意であり、アルキル基のように反応性の低い官能基であってもよく、カルボン酸基のように反応性が高い官能基であってもよい。
マトリックス相10を構成する成分に含まれるポリオレフィン系樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、α−オレフィン共重合体等が挙げられる。ポリエチレンの好ましい例としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。α−オレフィン共重合体の好ましい例としては、エチレン−オレフィン共重合体(エチレンとエチレン以外のオレフィンとを単量体とするコポリマー)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記エチレン−オレフィン共重合体を構成する好ましいオレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数3〜18のα−オレフィン単量体等が挙げられる。これらの中でも、エキスパンドに適したガラス転移温度Tgや引張弾性率を有しており、優れたエキスパンド性を有するダイシングシートを得やすいという観点から、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはα−オレフィン共重合体を使用することが好ましい。
なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。「エチレン−(メタ)アクリル酸共重体」は、エチレン−アクリル酸共重合体であってもよいし、エチレン−メタクリル酸共重合体であってもよく、またエチレン−アクリル酸−メタクリル酸共重合体であってもよい。
マトリックス相10を構成する成分に含まれる上述したポリオレフィン系樹脂は、1種類を単独で使用してよく、または複数種類を組み合わせて使用してもよい。また、複数種類の樹脂を使用する場合には、樹脂層(A)中でこれらが相分離することなく単一のマトリックス相10をなして、ドメイン相20との間で相分離構造を形成してもよく、または樹脂層(A)中でこれらが互いに異なるマトリックス相10をなしつつ、ドメイン相20との間で相分離構造を形成してもよい。
(2)ドメイン相
ドメイン相20を構成する成分は、マトリックス相10を構成する成分との間で相分離構造を形成でき、ドメイン相20の大きさが上述の範囲内となるものであれば、特に限定されない。ドメイン相20を構成する成分は、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、特に、ドメイン相20を構成する成分は、主成分として、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。ポリオレフィン系樹脂は一般的にガラス転移温度Tgが比較的低いため、ドメイン相20を構成する成分がポリオレフィン系樹脂を含むことで、本実施形態に係る基材フィルム1を備えるダイシングシートの引張弾性率が上記範囲を満たしやすくなり、良好なエキスパンドを行うことが可能となる。
ドメイン相20を構成する成分に含まれるポリオレフィン系樹脂は、マトリックス相10を構成する成分に含まれるポリオレフィン系樹脂として上述した樹脂であってもよい。ただし、相分離構造を形成し易いという観点から、マトリックス相10を構成する成分に含まれるポリオレフィン系樹脂と、ドメイン相20を構成する成分に含まれるポリオレフィン系樹脂とは異種の樹脂であることが好ましい。
ドメイン相20を構成する成分に含まれるポリオレフィン系樹脂は、芳香族系環および脂肪族系環の少なくとも一種を含むことが好ましい。
芳香族系環とは、少なくとも一つの環状骨格を備える化学構造(環状構造)であって、その環状骨格の少なくとも一つがヒュッケル則を満たして環状に非局在化する電子を有するものをいう。以下、この環状に非局在化する電子を有する環状骨格を芳香環という。芳香環は、ベンゼン環のような単環やナフタレン環のような縮合環に大別される。芳香環を形成する骨格原子は、炭素のみからなっていてもよいし、ピリジン、フラン、チオフェンなどのように骨格原子の一つ以上が炭素以外の元素である複素環であってもよい。さらに、シクロペンタジエニドアニオンなどの非ベンゼノイド芳香環も本実施形態に係る芳香族系環に含まれるものとする。本実施形態に係る芳香族系環の骨格を構成する原子数に制限はなく、この骨格を形成する原子一つ以上に対して、メチル基、水酸基などの官能基が結合していてもよい。この場合において、テトラヒドロナフタレンのように芳香環に結合する官能基が環状構造をなしていてもよい。
脂肪族系環とは、環状骨格のいずれもが芳香族系環が有する環状に非局在化する電子を有さない環状構造をいう。換言すれば、脂肪族系環とは芳香環以外の環状骨格からなる環状構造である。脂肪族系環を形成する環状骨格は、シクロヘキサンのような単環、ノルボルナン、アダマンタンのような架橋環、デカリンのような縮合環、スピロ[4,5]デカンのようなスピロ環が例示される。ノルボルネンなどのように脂肪族系環の環状骨格をなす結合の一部が不飽和結合であってもよいし、テトラヒドロフランのように脂肪族系環の環状骨格を形成する原子の一部が炭素以外の元素であってもよい。本実施形態に係る脂肪族系環を構成する骨格原子数に制限はない。脂肪族系環の環状骨格を形成する原子に結合する水素の一つ以上に対して、メチル基、水酸基などの官能基が置換されていてもよい。また、シクロヘキサノン等の環状ケトンやγ−ブチロラクトン等のラクトンのように骨格原子がカルボニル基を構成していてもよい。
ドメイン相20を構成する成分に含まれるポリオレフィン系樹脂における芳香族系環および脂肪族系環の位置は任意である。当該ポリオレフィン系樹脂における主鎖の一部をなしていてもよいし、環状構造を有する官能基(例えばフェニル基、アダマンチル基など)としてこの樹脂の主鎖または側鎖に結合していてもよい。芳香族系環が主鎖の一部をなす樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアリールケトンなどが例示される。脂肪族系環が主鎖の一部をなす樹脂としては、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ノルボルネンをモノマーとするノルボルネン樹脂、ノルボルネンおよびエチレンをモノマーとするコポリマー、テトラシクロドデセンおよびエチレンをモノマーとするコポリマー、ジシクロペンタジエンおよびエチレンをモノマーとするコポリマーなどが例示される。環状構造を有する官能基として、上記のフェニル基、アダマンチル基以外に、フルオレン基、ビフェニル基のような環集合からなる基も例示される。
芳香族系環と脂肪族系環とが一つの樹脂内に含まれていてもよく、その場合の形態は、双方が主鎖の一部をなしていてもよいし、一方または双方が主鎖または側鎖に官能基として結合していてもよい。後者の例として、アセナフチレンコポリマーのように主鎖の一部をなす部分は脂肪族環であるが、官能基としてナフタレン環構造を有するものが挙げられる。
ドメイン相20を構成する成分に含まれるポリオレフィン系樹脂が芳香族系環および脂肪族系環の少なくとも1種を含む場合、当該ポリオレフィン系樹脂は、当該樹脂を構成するモノマーの少なくとも一部が架橋環骨格の環を含むことが好ましい。このような樹脂の例としては、ノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合体水素化ポリマー(具体的には日本ゼオン社製ZEONEX(登録商標)シリーズとして入手可能である。)、ノルボルネンとエチレンとのコポリマー(具体的にはポリプラスチックス社製TOPAS(登録商標)シリーズとして入手可能である。)、ジシクロペンタジエンとテトラシクロペンタドデセンとの開環重合に基づくコポリマー(具体的には日本ゼオン社製ZEONOR(登録商標)シリーズとして入手可能である。)、エチレンとテトラシクロドデセンとのコポリマー(具体的には三井化学社製アペル(登録商標)シリーズとして入手可能である。)、ジシクロペンタジエンおよびメタクリル酸エステルを原料とする極性基を含む環状オレフィン樹脂(具体的にはJSR社製アートン(登録商標)シリーズとして入手可能である。)などが挙げられる。
また、ドメイン相20を構成する成分に含まれるポリオレフィン系樹脂が芳香族系環および脂肪族系環の少なくとも1種を含む場合、当該ポリオレフィン系樹脂は、当該樹脂を構成するモノマーの少なくとも一部が芳香族系環を含むことも好ましい。このような樹脂の例としては、スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられ、具体的には、旭化成ケミカルズ社製アサフレックスシリーズ、電気化学工業社製クリアレンシリーズ、シェブロンフィリップス社製Kレジンシリーズ、BASF社製スタイロラックスシリーズ、アトフィナ社製フィナクリアシリーズとして入手可能である。
上述した樹脂の中でも、ドメイン相20を構成する成分に含まれるポリオレフィン系樹脂としては、前述した相分離構造をし易く、その結果、ダイシング屑の発生を効果的に抑制できるという観点から、ノルボルネンとエチレンとのコポリマーを使用することが好ましい。
ドメイン相20を構成する成分に含まれる上述したポリオレフィン系樹脂は、1種類を単独で使用してよく、または複数種類を組み合わせて使用してもよい。ここで、複数種類のポリオレフィン系樹脂を組み合わせ使用する場合、それらの樹脂は、分岐の状態(すなわち、樹脂のアーキテクチャー)、分子量、樹脂を構成する単量体の配合バランスおよび樹脂を構成する単量体の組成ならびにこれらの組み合わせが物理特性などに大きな影響を与える程度に異なっていてもよい。このような場合、樹脂層(A)中でこれらの樹脂が相分離することなく個々のドメイン相20内に共存していてもよく、これらの樹脂が互いに分離したドメイン相20を形成し、それらのドメイン相20がマトリックス相10中に分散していてよい。
樹脂層(A)におけるドメイン相20を構成する成分の配合量は、マトリックス相10を構成する成分100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、特に10質量部以上であることが好ましく、さらには20質量部以上であることが好ましい。また、樹脂層(A)におけるドメイン相20を構成する成分の配合量は、マトリックス相10を構成する成分100質量部に対して、40質量部以下であることが好ましく、特に38質量部以下であることが好ましく、さらには35質量部以下であることが好ましい。ドメイン相20を構成する成分の配合量が5質量部以上であることで、マトリックス相10に対するドメイン相20の量が十分なものとなり、これらの相分離構造を良好に形成し易くなる。その結果、ダイシング屑の発生を効果的に抑制することができる。一方、ドメイン相20を構成する成分の配合量が40質量部以下であることで、マトリックス相10とドメイン相20との相分離構造を良好に形成し易くなり、ダイシング屑の発生を効果的に抑制することができる。また、マトリックス相10とドメイン相20との共連続構造が形成されにくくなり、樹脂層(A)がもろくなりにくくなる。そのため、エキスパンド時において基材フィルム1が破断することが抑制され、優れたエキスパンド性が確保される。
(3)樹脂層(A)における他の成分
樹脂層(A)は、マトリックス相10を構成する成分およびドメイン相20を構成する成分以外の成分をさらに含有してもよい。そのような更なる成分の例としては、イソプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、またはその共重合体などの熱可塑性エラストマー樹脂等が挙げられる。これらの更なる成分の樹脂層(A)中の配合量は、樹脂層(A)中においてマトリックス相10とドメイン相20とが相分離構造を形成することを維持できる配合量とすることが好ましい。
(4)基材フィルムのその他の構成
本実施形態に係る基材フィルム1は、単層からなってもよく、複数層からなってもよい。基材フィルム1が単層からなる場合、図1に示されるように、基材フィルム1は樹脂層(A)からなる。一方、基材フィルム1が複数層からなる場合、基材フィルム1は樹脂層(A)と、一層または複数層で構成されるその他の樹脂層(以下、「樹脂層(B)」と総称する。)とからなる。また、基材フィルム1が複数層からなる場合、樹脂層(A)の位置は特に限定されないが、基材フィルム1を構成する最外層の少なくとも一方が樹脂層(A)となっていることが好ましい。すなわち、基材フィルム1の少なくとも一方の面が、樹脂層(A)の片面となっていることが好ましい。このような基材フィルム1の当該面に対して後述する半導体貼付層を積層することにより、ダイシングの際に、ダイシングブレードが基材フィルム1の樹脂層(A)に入ることとなり、ダイシング屑の発生が効果的に抑制されたダイシングシートを得ることができる。
樹脂層(B)の組成は特に限定されない。樹脂層(B)として公知の樹脂フィルムを用いてもよい。そのような樹脂フィルムの具体例として、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム;ポリウレタンフィルム;ポリ塩化ビニルフィルム;ポリアミドフィルムなどが挙げられる。
本実施形態に係る基材フィルム1において、基材フィルム1が樹脂層(B)を含む場合、樹脂層(B)の厚さは、基材フィルム1や基材フィルム1を備えるダイシングシートのエキスパンド性や取り扱い性等を考慮して設定することができ、例えば、10μm以上であることが好ましく、特に20μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、100μm以下であることが好ましく、特に80μm以下であることが好ましい。
(5)基材フィルムの製造方法
基材フィルム1の製造方法は特に限定されない。Tダイ法、丸ダイ法等の溶融押出法;カレンダー法;乾式法、湿式法等の溶液法などが例示され、いずれの方法でもよい。樹脂層(A)におけるマトリックス相10とドメイン相20との相分離構造を安定的に得る観点から、溶融押出法またはカレンダー法を採用することが好ましい。これらのうち、溶融押出法により製造する場合には、樹脂層(A)を構成する成分を混練し、得られた混練物から直接、または一旦ペレットを製造したのち、公知の押出機を用いて製膜すればよい。
なお、これらの方法のいずれを採用する場合においても、得られた樹脂層(A)中のマトリックス相10を構成する成分およびドメイン相20を構成する成分の含有量の比率やそれらの相分離構造が樹脂層(A)中で均一になるように留意すべきである。
基材フィルム1を構成する樹脂層が複数層からなる場合における樹脂層(B)の製造方法も、樹脂層(A)の場合と同様に任意である。樹脂層(B)の組成および目的に合わせて適切な方法を採用すればよい。樹脂層(A)および樹脂層(B)の積層方法、樹脂層(B)が複数の樹脂層からなるときにはこれらの積層方法も任意である。共押出し等によって各樹脂層を形成すると同時に積層してもよいし、個別に製造された樹脂層を接着剤等により貼付して積層してもよい。
〔ダイシングシート〕
1.ダイシングシートの構成
図3には、本発明の一実施形態に係るダイシングシート100の断面図が示されている。本実施形態に係るダイシングシート100は、ダイシングまたはダイシング・ダイボンディング等に使用することができる。
本実施形態に係るダイシングシート100を使用してダイシングすることができる被切断物としては、特に限定はなく、例えば、シリコン、ガリウムヒ素等の半導体ウエハ、ガラス基板、アルミナ基板等の基板類および各種パッケージ類であってよい。
図3に示されるように、本実施形態に係るダイシングシート100は、前述したダイシングシート用基材フィルム1と、当該ダイシングシート用基材フィルム1の片面側に積層された半導体貼付層2とを備える。ここで、基材フィルム1が複数層からなる場合、基材フィルム1を構成する最外層の少なくとも一方が樹脂層(A)となり、さらに、基材フィルム1の両面のうち、当該樹脂層(A)の片面によって構成される面上に半導体貼付層2が積層されていることが好ましい。また、本実施形態に係るダイシングシート100は、ダイシングシート10を使用するまでの間、半導体貼付層2を保護するための剥離シートを必要に応じて備えていてもよい。
本実施形態に係るダイシングシート100は、ダイシングシート用基材フィルム1を備えることにより、電子線やγ線などの物理的なエネルギーを与えることなく、ダイシング屑の発生を良好に抑制することができる。
(1)半導体貼付層
半導体貼付層2とは、本実施形態に係るダイシングシート100の使用に際し、被切断物が貼付される層または被切断物に貼付される層をいう。なお、前述の通り、被切断物は半導体材料からなるものに限られないものの、便宜上、半導体貼付層2ということとする。このときの貼付は、ダイシングシート100の使用時に一時的に行われる貼付であってもよく、あるいは、ダイシングシート100の使用後も継続される貼付であってもよい。半導体貼付層2の好ましい例としては、粘着剤層、接着剤層、粘着剤層と接着剤層とからなる積層体、粘着剤層と保護膜形成層との積層体等が挙げられる。
半導体貼付層2が粘着剤層である場合、本実施形態に係るダイシングシート100は、例えばダイシングシートまたはダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。当該粘着剤層は、非エネルギー線硬化性粘着剤から構成されてもよいし、エネルギー線硬化性粘着剤から構成されてもよい。非エネルギー線硬化性粘着剤としては、所望の粘着力および再剥離性を有するものが好ましく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等を使用することができる。これらの中でも、ダイシング工程等にて被切断物やチップ等の脱落を効果的に抑制することのできるアクリル系粘着剤が好ましい。
半導体貼付層2が接着剤層である場合、本実施形態に係るダイシングシート100は、例えばダイボンディングシートとしても使用することができる。当該接着剤層を構成する材料としては、ダイシングの際にウエハを固定し、さらに、個片化されたチップに対して接着剤層を形成できるものであれば、特に制限はなく使用することができる。このような接着剤層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂と低分子量の熱硬化性接着成分とからなるものや、Bステージ(半硬化状)の熱硬化型接着成分からなるもの等が用いられる。これらの中でも、接着剤層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性接着成分とを含むものであることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル系共重合体、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレン(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミドなどが挙げられるが、中でも、粘着性及び造膜性(シート加工性)の点から(メタ)アクリル系共重合体が好ましい。熱硬化性接着成分としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、シアネート系樹脂、ビスマレイミドトリアジン系樹脂、アリル化ポリフェニレンエーテル系樹脂(熱硬化性PPE)、ホルムアルデヒド系樹脂、不飽和ポリエステル又はこれらの共重合体などが挙げられるが、中でも、接着性の観点からエポキシ系樹脂が好ましい。
半導体貼付層2が粘着剤層と接着剤層とからなる積層体である場合、ダイシングシート100において、粘着剤層は基材フィルム1に近位な側に位置し、接着剤層は基材フィルム1に遠位な側に位置する。このような本実施形態に係るダイシングシート100は、例えばダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。粘着剤層を構成する粘着剤としては、例えば前述したものを使用することができる。また、接着剤層を構成する接着剤としては、例えば前述したものを使用することができる。
半導体貼付層2が粘着剤層と保護膜形成層とからなる積層体である場合、ダイシングシート100において、粘着剤層は基材フィルム1に近位な側に位置し、保護膜形成層は基材フィルム1に遠位な側に位置する。このような本実施形態に係るダイシングシート100は、被切断物のダイシングに使用でき、さらにはダイシング後、保護膜形成層を加熱等することより、得られたチップに保護膜を形成することができる。保護膜形成層は、未硬化の硬化性接着剤からなることが好ましい。また、保護膜形成層は、常温で粘着性を有するか、加熱により粘着性を発揮することが好ましい。これらの特性を有する保護膜形成層を構成する硬化性接着剤としては、例えば、硬化性成分とバインダーポリマー成分とを含有するものが挙げられる。
硬化性成分としては、熱硬化性成分、エネルギー線硬化性成分、またはこれらの混合物を用いることができ、なかでも、硬化方法や硬化後の耐熱性の観点から、熱硬化性成分を用いることが好ましい。熱硬化性成分としては、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂(低分子量のもの)、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂等およびこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂およびこれらの混合物が好ましく用いられる。バインダーポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系共重合体、ポリエステル系樹脂、フェノキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系共重合体等が用いられ、特に(メタ)アクリル系共重合体が好ましく用いられる。
半導体貼付層2の厚さは、3μm以上であることが好ましく、特に5μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、100μm以下であることが好ましく、特に80μm以下であることが好ましい。
(2)剥離シート
剥離シートとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等を用いることができる。また、これらの架橋フィルムを用いてもよい。さらに、これらのフィルムの複数が積層された積層フィルムを用いてもよい。
剥離シートにおける半導体貼付層2と接触する面(本明細書において「剥離面」と称する。)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。
なお、剥離シートの厚さについては特に限定されず、例えば、20μm以上、150μm以下とすることができる。
2.ダイシングシートの製造方法
本実施形態に係るダイシングシート100の製造方法は特に制限されず、一般的な方法を使用することができる。
半導体貼付層2が粘着剤層または接着剤層からなる場合には、例えば、剥離シートの剥離面上に半導体貼付層2を形成し、当該半導体貼付層2上に基材フィルム1を圧着して積層させることで、ダイシングシート100を製造することができる。この場合、剥離シートの剥離面上における半導体貼付層2の形成は、一般的な方法により行うことができる。まず、粘着剤層または接着剤層の材料を含む組成物と、所望によりさらに溶媒または分散媒とを含有する塗液を調製する。続いて、当該塗液を、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の塗工機を用いて、剥離シートの剥離面上に塗布し、乾燥等させることにより半導体貼付層2を形成することができる。
半導体貼付層2が、粘着剤層と接着剤層とからなる積層体、または粘着剤層と保護膜形成層とからなる積層体である場合、ダイシングシート100の製造方法の例としては、まず、上述した方法により、剥離シートと粘着剤層と基材フィルム1とが順に積層された第1の積層体を得る。これと並行して、接着剤層または保護膜形成層の材料を含む組成物と、所望によりさらに溶媒または分散媒とを含有する塗液を、上述した塗工機を用いて、剥離シートの剥離面上に塗布し、乾燥等させ、剥離シートと接着剤層または保護膜形成層とからなる第2の積層体を得る。次に、第1の積層体から剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層側の面と、第2の積層体の接着剤層または保護膜形成層側の面とを貼り合せることで、ダイシングシート100が得られる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、本実施形態に係るダイシングシート100における基材フィルム1と半導体貼付層2との間には、他の層が介在していてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)基材フィルムの作製
マトリックス相を構成する成分としての低密度ポリエチレン(住友化学社製,製品名「スミカセン(登録商標)L705」)80質量%と、ドメイン相を構成する成分としてのシクロオレフィンコポリマー(ポリプラスチックス社製,製品名「TOPAS(登録商標)8007F−04」)20質量%とを、二軸混練機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)にて210℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練し、樹脂層(A)を形成するための樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)を用いて押出成形し、厚さ80μmの樹脂層(A)のみからなる基材フィルムを得た。
(2)粘着剤組成物の調製
n−ブチルアクリレート95質量部およびアクリル酸5質量部を共重合してなる共重合体(Mw:500,000)100質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(Mw:8000)120質量部、イソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン社,製品名「コロネートL」)5質量部、および光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製,製品名「イルガキュア184」)4質量部を混合し、エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た。
(3)ダイシングシートの作製
得られたエネルギー線硬化型粘着剤組成物を、シリコーン処理された剥離フィルム(リンテック社製,製品名「SP−PET3811(S)」)上に塗布し、100℃で1分間乾燥して、厚さ10μmの粘着剤層と、剥離フィルムとからなる積層体を形成した。次いで、この積層体を、上述の通り作製した基材フィルムの片面に貼り合せることでダイシングシートを得た。
〔実施例2〕
ドメイン相を構成する成分として、シクロオレフィンコポリマー(日本ゼオン社製,製品名「ZEONOR(登録商標)1020R」)を使用する以外、実施例1と同様にしてダイシングシートを製造した。
〔実施例3〕
ドメイン相を構成する成分として、シクロオレフィンコポリマー(三井化学社製,製品名「APL(登録商標)8008T」)を使用する以外、実施例1と同様にしてダイシングシートを製造した。
〔実施例4〕
マトリックス相を構成する成分としての低密度ポリエチレンの配合量を90質量部に変更し、ドメイン相を構成する成分としてのシクロオレフィンコポリマーの配合量を10質量部に変更する以外、実施例1と同様にしてダイシングシートを製造した。
〔実施例5〕
マトリックス相を構成する成分として、ポリプロピレン(プライムポリマー社製,製品名「プライムポリプロF−704NP(ホモ)」)を使用する以外、実施例1と同様にしてダイシングシートを製造した。
〔実施例6〕
マトリックス相を構成する成分として、ポリプロピレン(プライムポリマー社製,製品名「プライムポリプロF−744NP(ランダム)」)を使用する以外、実施例1と同様にしてダイシングシートを製造した。
〔比較例1〕
ドメイン相を構成する成分として、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体(三井化学社製,製品名「APEL6011」)を使用する以外、実施例1と同様にしてダイシングシートを製造した。
〔比較例2〕
ドメイン相を構成する成分として、シクロオレフィンコポリマー(ポリプラスチックス社製,製品名「TOPAS(登録商標)5013」,MFR:6.5g/10min)を使用する以外、実施例1と同様にしてダイシングシートを製造した。
〔試験例1〕(ドメイン相におけるメルトフローレートの測定)
実施例および比較例で使用した、ドメイン相を構成する樹脂について、フローテスター(島津製作所社製,製品名「CFT−100D」)を使用して、温度190℃、荷重5.0kgにおけるメルトフローレート(MFR)(g/10min)を測定した。結果を表1に示す。
〔試験例2〕(ドメイン相のサイズの測定)
実施例および比較例において作製した基材フィルムをCD方向に切断した。走査型電子顕微鏡を使用して、その断面における全てのドメイン相について、最も短い径(すなわち、ドメイン相の断面を任意の方向から挟む2本の平行する直線を想定し、これらの直線間の距離が最も小さくなるときの当該距離の長さ)(μm)を測定し、その平均値(μm)を算出した。結果を表1に示す。
〔試験例3〕(基材フィルムの引張弾性率の測定)
実施例および比較例においてそれぞれ調製した樹脂組成物を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって押出成形し、厚さ100μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムを15mm×140mmに裁断して試験片を得た。このとき、試験片の長辺(140mmの辺)が、基材フィルムのMD方向と平行となる試験片、およびCD方向と平行となる試験片の2種類を得た。
得られた2種類の試験片について、JIS K7161:1994およびJIS K7127:1999に準拠して、温度23℃における引張弾性率を測定した。具体的には、上記試験片を、引張試験機(島津製作所製,製品名「オートグラフAG−IS 500N」)にて、チャック間距離100mmに設定した後、200mm/minの速度で引張試験を行い、引張弾性率(MPa)を測定した。2種類の試験片について得られた引張弾性率の平均値を算出し、これを基材フィルムの引張弾性率(MPa)とした。結果を表1に示す。
〔試験例4〕(貯蔵弾性率の測定)
実施例および比較例において作製した基材フィルムをCD方向に切断した。その断面について、原子間力顕微鏡(AFM)およびカンチレバーを用いてフォースカーブ測定を行った後、得られたF−δ曲線から貯蔵弾性率を算出した。具体的には、以下のように行った。
AFMとしては、Bruker AXS社製の製品名「MultiMode 8 AFM」を使用した。また、カンチレバーとしては、オリンパス社製の製品名「OMCL−AC200TS−C3」(ばね定数の公称値:7N/m,熱揺らぎ法によるばね定数の測定値:9.0N/m,探針先端半径:20nm)を使用した。
まず、基材フィルムの断面において、マトリックス相とドメイン相とにまたがる1μm×1μmの領域を任意に選択し、その領域内における128×128点(計16384点)を測定部位とした。
それぞれの測定部位において、温度23℃の条件下で、カンチレバーを押し込んだ後、カンチレバーを引き離し、その際における、カンチレバーの反り量とAFMにおけるピエゾスキャナの変位量との関係を表すグラフを得た。そして、当該グラフを変換することで、荷重と試料変形量との関係を表すF−δ曲線を得た。
続いて、得られたF−δ曲線中の押し込み過程について、Johnson,Kendall,RobertsらによるJKR理論式を用いたカーブフィッティングを行うことより、各々の測定部位における局所的な貯蔵弾性率(MPa)を算出した。次に、マトリックス相における測定部位から得られた貯蔵弾性率(MPa)の平均値を求め、マトリックス相を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’1)(MPa)とした。また、ドメイン相における測定部位から得られた貯蔵弾性率(MPa)の平均値を求め、ドメイン相を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’2)(MPa)とした。これらの結果を表1に示す。
さらに、得られた貯蔵弾性率(E’1)および貯蔵弾性率(E’2)の値から、マトリックス相を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’1)に対する、ドメイン相を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’2)の比(E’2/E’1)を算出した。結果を表1に示す。
〔試験例5〕(ダイシング屑発生抑制の評価)
実施例および比較例で製造したダイシングシートにおける粘着剤層側の面の中央部にシリコンウエハを貼付し、さらに当該ダイシングシートの周縁部にリングフレームを固定した。その後、ダイシング装置(DISCO社製,製品名「DFD−651」)にセットし、以下の条件でダイシングを行い、シリコンウエハをチップに切断した。
・ワーク(被着体):シリコンウエハ
・ワークサイズ:6インチ径,厚さ350μm
・ダイシングブレード:ディスコ社製,製品名「27HEEE」
・ブレード回転数:50,000rpm
・ダイシングスピード:10mm/秒
・切り込み深さ:基材フィルムと粘着剤層との界面から20μmの深さまで切り込み
・ダイシングサイズ:10mm×10mm
その後、基材フィルムにおける粘着剤層とは反対側の面から紫外線を照射(光量160mJ/cm)することで、ダイシングシートの粘着力を低下させた後、得られたチップをダイシングシートから剥離した。
続いて、ダイシングシートにおけるチップが貼付されていた面について、デジタル顕微鏡(キーエンス社製,製品名「VHX−100」,倍率:100倍)を用いて、ダイシング屑の数をカウントした。具体的には、縦および横のダイシングラインのうち、それぞれの中央付近における縦の1ラインおよび横の1ラインに発生した長さ100μm以上の糸状のダイシング屑の数をカウントした。その結果を表1に示す。
さらに、カウントした結果に基づいて、以下の基準で、ダイシング屑発生抑制について評価した。結果を表1に示す。
○:ダイシング屑の数が0〜50個であった。
×:ダイシング屑の数が51個以上であった。
なお、○の評価が良好と判定され、×の評価が不良と判定される。
〔試験例6〕(エキスパンド性の評価)
実施例および比較例で製造したダイシングシートにおける粘着剤層側の面を6インチシリコンウエハに貼付した後、当該ダイシングシートの周縁部にフラットフレームを固定した。続いて、20μm厚のダイヤモンドブレードを用いて、ウエハを10mm角のチップにフルカットした。
次に、エキスパンディング冶具(NECマシナリー社製,製品名「ダイボンダーCSP−100VX」)を用いて、ダイシングシートを60mm/分で10mm引き落とした。このときのダイシングシートの破断の有無を確認した。その結果に基づいて、以下の基準で、エキスパンド性を評価した。結果を表1に示す。
○:破断が確認されなかった。
×:破断が確認された。
〔試験例7〕(マウント適性の評価)
実施例および比較例で製造したダイシングシートにおける粘着剤層側の面を6インチシリコンウエハに貼付した後、当該ダイシングシートの周縁部にフラットフレームを固定した。その後、フラットフレームを地面と平行に持ち上げ、その際のダイシングシートの弛みの状態を確認した。その結果に基づいて、以下の基準で、マウント適性を評価した。結果を表1に示す。
○:ダイシングシートに弛みが生じなかった。
×:ダイシングシートに弛みが生じた。
Figure 2018085423
表1に示される通り、実施例に係るダイシングシートでは、ダイシング屑の発生が抑制されることがわかった。また、実施例に係るダイシングシートは、エキスパンド性およびマウント適正も優れることがわかった。
1…ダイシングシート用基材フィルム
A…樹脂層
10…マトリックス相
20,20a,20b…ドメイン相
2…半導体貼付層
100…ダイシングシート

Claims (8)

  1. 樹脂層(A)を備えるダイシングシート用基材フィルムであって、
    前記樹脂層(A)が、マトリックス相中にドメイン相が分散してなる相分離構造を有しており、
    前記樹脂層(A)をCD方向に切断した断面における、前記ドメイン相の最も短い径の平均値が、0.1μm以上、3μm以下である
    ことを特徴とするダイシングシート用基材フィルム。
  2. 前記樹脂層(A)における前記ドメイン相を構成する成分の配合量は、前記マトリックス相を構成する成分100質量部に対して、5質量部以上、40質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載のダイシングシート用基材フィルム。
  3. 前記マトリックス相を構成する成分および前記ドメイン相を構成する成分は、それぞれポリオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のダイシングシート用基材フィルム。
  4. 前記マトリックス相を構成する成分は、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびα−オレフィン共重合体から選択される少なくとも1種のポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のダイシングシート用基材フィルム。
  5. 前記マトリックス相を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’1)は、30MPa以上、800MPa以下であり、前記マトリックス相を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’1)に対する、前記ドメイン相を構成する成分の23℃における貯蔵弾性率(E’2)の比(E’2/E’1)は、2.0以上、15.0以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のダイシングシート用基材フィルム。
  6. 前記ドメイン相を構成する成分の温度190℃、荷重5.0kgにおけるメルトフローレートは、0.3g/10min以上、15.0g/10min以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のダイシングシート用基材フィルム。
  7. 23℃における引張弾性率は、5MPa以上、400MPa以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のダイシングシート用基材フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のダイシングシート用基材フィルムと、前記ダイシングシート用基材フィルムの片面側に積層された半導体貼付層とを備えることを特徴とするダイシングシート。
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