JP2018079402A - 汚水処理システムおよび汚水処理方法 - Google Patents

汚水処理システムおよび汚水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
消費電力の削減、汚水処理の産物の資源活用、汚水処理システムの省スペース化を実現する。
【解決手段】
汚水と凝集剤とを含む混合物から凝集対象物質を凝集させて回収する産物回収スペース12と、回収処理を経た汚水中の有機物を分解するための好気タンク14と、好気タンク14内に空気を送気可能であって活性汚泥中の微生物による生物処理に必要な送風を行うブロワー16と、好気タンク14内の固液分離する膜分離装置15と、好気タンク14内に存在する余剰汚泥を、リバースポンプ18にて産物回収スペース12に戻すリバース配管19と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、汚水処理システムおよび汚水処理方法に関する。
従来から、汚水の処理方法として、例えば、標準活性汚泥法が知られていた(特許文献1を参照)。標準活性汚泥法は、20世紀の初めに開発された方法であり、高濃度の微生物の量を維持することにより、汚水中の有機物を処理する方法である。汚水は、最初沈殿池に送られ、そこで、上澄みの汚水と沈殿物に分離する。上澄みは、反応タンクに送られて、微生物を含む活性汚泥と混合される。反応タンクには、ブロワーにて空気が送られる。その結果、汚水中の有機物が分解される。続いて、最終沈殿池にて、活性汚泥フロックと、上澄み分とに固液分離される。最終沈殿池の上澄み分は、消毒後に放流される。一方、最終沈殿池で余剰の活性汚泥は、最初沈殿池で沈殿した汚泥と共に、重力濃縮タンク、続いて消化タンクに送られる。両タンクを経て残った固形分は、建築資材用の原料(セメント原料)等に利用される。
しかし、上記の標準活性汚泥法の場合には、最終沈殿池を設ける必要があるために広いスペースを要すること、汚泥の沈殿が不十分であることから生じるキャリーオーバー、さらには大量の汚泥が発生すること、といった問題がある。このような欠点を解消すべく、近年では、汚水処理法として、膜分離活性汚泥法が実施されている(特許文献2,3を参照)。膜分離活性汚泥を用いるシステムでは、反応タンクを、嫌気タンクと、無酸素タンクと、好気タンクとに分離し、好気タンクの内部若しくは外部に膜分離装置が備えられている。汚水は、嫌気タンク、無酸素タンク、好気タンク、膜分離装置を経て(一部は嫌気タンクに戻されて)、塩素混和池に送られる。なお、嫌気タンクを備えない場合もある。このような膜分離活性汚泥システムは、次のような利点を有する。第1に、最終沈殿池を必要としないため、省面積性に優れている。第2に、孔径0.1〜0.4μm程度の分離膜で活性汚泥と処理水とを分離するため、活性汚泥が処理水中に含まれない。したがって、良好な処理水質を安定的に維持できる。第3に、8000〜12000mg/L程度の高い活性汚泥浮遊物(MLSS)の濃度を維持するため、好気的固形物滞留時間(ASRT)が長くなり、収率(体重増加量/捕食細菌量)が比較的低い微小動物(原生動物や後生動物など)が活性汚泥中に棲息できる。したがって、汚泥発生率が標準活性汚泥法よりも低くなる。
特開平09−276884号公報 特開2004−313923号公報 特開2005−246310号公報
しかし、上記従来から公知の膜分離活性汚泥法にも解決すべき問題がある。それは、分離膜の閉塞を防止するべく、膜面洗浄のために要する動力費が高額になるということである。汚水処理は、一般的に、国庫補助および下水道使用料を使って行う事業である。このため、汚水処理の経営の健全化を図ることが強く求められている。また、汚水が有する資源を有効に活用する要請もある。さらには、老朽化に伴う施設の建て替え時においても安定した汚水処理を維持する要請もある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、消費電力の削減、汚水処理の産物の資源活用、および汚水処理システムの省スペース化を実現することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者は、鋭意開発を重ねてきた結果、最終沈殿池を設けない膜分離活性汚泥法を基本としつつ、汚水処理システムの各設備の中で、反応タンク内に空気を吹き込むブロワーの消費電力が最も大きいことから該ブロワーの送風量を低減して汚水処理を効果的に行うことを考えた。さらに、本発明者は、汚水処理の産物を減らさずにむしろ積極的に生産し、産物由来の消化ガスを発電に用いること、消化汚泥を脱水後に有機肥料あるいは汚泥燃料として利用することを考え、新しい汚水処理方法を開発するに至った。具体的な手段は下記のとおりである。
本発明の一形態に係る汚水処理システムは、汚水と該汚水中の凝集対象物質を凝集させるための凝集剤とを含む混合物から凝集対象物質を凝集させて回収する産物回収スペースと、産物回収スペースにおいて回収処理を経た汚水中の有機物を、酸素存在下にて活性汚泥を利用して分解するための好気タンクと、好気タンク内に空気を送気可能であって、活性汚泥中の微生物による生物処理に必要な送風を行うブロワーと、好気タンク内の固形物と液体とを固液分離する膜分離装置と、好気タンク内に存在する余剰汚泥を、リバースポンプにて産物回収スペースに戻すリバース配管と、を備える。
別の実施形態に係る汚水処理システムは、リバースポンプを制御する制御装置を、さらに備え、制御装置は、好気的固形物滞留時間が0.5〜3日の範囲内になるように、リバースポンプによる余剰汚泥の引き抜き量を調整するようにしても良い。
別の実施形態に係る汚水処理システムは、リバースポンプを制御する制御装置を、さらに備え、産物回収スペースの川上側の配管を流れる汚水の流量を測定するための第1流量計と、リバース配管を流れる余剰汚泥の流量を測定するための第2流量計と、産物回収スペースと該産物回収スペースからの回収した汚泥を送る濃縮スペースとの間を流れる汚泥の流量を測定するための第3流量計と、産物回収スペースと好気タンクとの間を流れる汚水のアンモニア態窒素濃度を測定するための第1アンモニア態窒素濃度計と、膜分離装置の出口より下流側の液体のアンモニア態窒素濃度を測定するための第2アンモニア態窒素濃度計と、膜分離装置の出口より下流側の液体の有機物濃度を測定するための有機物濃度計と、を備え、制御装置は、第1流量計、第2流量計、第3流量計、第1アンモニア態窒素濃度計、第2アンモニア態窒素濃度計および有機物濃度計からの各測定値に基づいてリバースポンプによる余剰汚泥の引き抜き量を調整するようにしても良い。
別の実施形態に係る汚水処理システムは、また、有機物濃度計として、化学的酸素要求量測定計、全有機炭素量測定計および紫外線吸光度計の内の少なくとも1つを有しても良い。
別の実施形態に係る汚水処理システムは、また、産物回収スペースが、そこに流入してくる汚水中の凝集対象物質の70質量%以上を回収するものでも良い。
本発明の一形態に係る汚水処理方法は、上述の汚水処理システムを用いた汚水処理方法であって、産物回収スペースに汚水を入れる前に、汚水に凝集剤を投入する凝集剤投入ステップと、産物回収スペースにて、汚水と凝集剤との混合物から凝集対象物を回収する回収ステップと、産物回収スペースから、回収処理後の汚水を好気タンクに送液する好気タンク送液ステップと、好気タンクの汚水と活性汚泥との混合物内に空気を吹き込む曝気ステップと、好気タンク内の活性汚泥を利用して、好気タンクに送り込まれた汚水中の有機物を分解する処理を少なくとも含む浄化処理を行う浄化処理ステップと、膜分離装置にて好気タンク内の固体と液体の混合物を固液分離する固液分離ステップと、リバース配管によって、好気タンク内の余剰汚泥を、リバースポンプによって産物回収スペースに戻す余剰汚泥リバースステップと、を含む。
別の実施形態に係る汚水処理方法は、余剰汚泥リバースステップにおいて、リバースポンプを制御する制御装置を用いて、好気的固形物滞留時間が0.5〜3日の範囲内になるように、リバースポンプによる余剰汚泥の引き抜き量を調整する余剰汚泥引き抜き量調整ステップを含んでいても良い。
本発明によれば、消費電力の削減、汚水処理の産物の資源活用、および汚水処理システムの省スペース化を実現することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る汚水処理システムの一例の構成図を示す。 図2は、本発明の第2実施形態に係る汚水処理システムの一例の構成図を示す。 図3は、本発明の第2実施形態に係る汚水処理システムの変形例の構成図を示す。 図4は、図2または図3に示す制御装置の構成を示す。 図5は、第2実施形態に係る汚水処理方法における各種センサからの情報に基づく第2送液ポンプの制御フローを示す。 図6は、ASRT(単位:日)と膜ろ過水有機物濃度(単位:mg/L)および硝化濃度(単位:mg/L)との関係を示し、(6A)は15℃時(冬期)を、(6B)は25℃時(夏期)を、それぞれ例示する。 図7は、図5のステップS108の詳細フローを示す。 図8は、本発明の上記各実施形態の特徴を示す。 図9は、本発明の各実施形態と従来の膜分離活性汚泥法とを比較して示す。
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
<第1実施形態>
1.汚水処理システム
まず、本発明の第1実施形態に係る汚水処理システムについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る汚水処理システムの一例の構成図を示す。
汚水処理システム1は、ポンプ井10、ポンプ井10からの揚水ポンプとして機能する第1送液ポンプ11、産物回収スペースの一例としての最初沈殿スペース(「初沈」ともいう)12、微細目13、好気タンク14、膜分離水の吸引ポンプとして機能する第3送液ポンプ15aおよび塩素混和池17を、汚水の流れる方向に向かって順に接続して成る。好気タンク14は、その内部に、膜分離装置15を配置している。塩素混和池17は、膜分離装置15の下流側と配管を介して接続されている。第3送液ポンプ15aは、膜分離装置15と塩素混和池17とを繋ぐ上記配管に直列接続されている。ただし、サイフォンを利用して塩素混和池17に送液する場合には、必ずしも第3送液ポンプ15aを要しない。好気タンク14は、ブロワー16と接続されている。ブロワー16から送られる空気は、好気タンク14内の汚水と活性汚泥との混合物内にて曝気される。好気タンク14は、リバース配管19を介して、最初沈殿スペース12に接続されている。リバース配管19は、その経路中に、好気タンク14から余剰汚泥を引き抜く余剰汚泥移送ポンプとして機能する第2送液ポンプ18を備える。最初沈殿スペース12は、その底部若しくは底部近傍から、配管を介して、濃縮スペースの一例としての重力濃縮タンク20に接続されている。その配管の経路には、最初沈殿スペース12からの汚泥を引き抜く汚泥引抜ポンプとして機能する第4送液ポンプ19aが接続されている。重力濃縮タンク20は、その底部若しくは底部近傍から、配管を介して、消化タンク21に接続されている。該配管の経路には、重力濃縮タンク20から濃縮汚泥を引き抜く濃縮汚泥引抜ポンプとして機能する第5送液ポンプ20aが接続されている。消化タンク21は、配管を介して、脱水機22と接続されている。該配管の経路には、消化タンク21から消化汚泥を引き抜く消化汚泥引抜ポンプとして機能する第6送液ポンプ21aが接続されている。
(1)ポンプ井および第1送液ポンプ
ポンプ井10は、汚水(一例としては、下水あるいは工場廃水等のような浄化を要する水)を貯めておき、凝集剤を投入して、第1送液ポンプ11による送液を実行するための領域である。凝集剤は、汚水中の凝集対象物(浮遊物質等)を凝集させて、沈殿しやすいレベルに粗大化する無機材料若しくは有機材料である。凝集剤としては、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄等の無機凝集剤、カチオン性、アニオン性、ノニオン性若しくは両性の高分子凝集剤、あるいは上記無機凝集剤と上記高分子凝集剤との混合剤を好適に用いることができる。なお、凝集剤は、第1送液ポンプ11と最初沈殿スペース12との間に投入されても良い。第1送液ポンプ11は、ポンプ井10から最初沈殿スペース12に、汚水(凝集剤を含む混合物であるか否かを問わない)を送液可能なポンプである。
(2)最初沈殿スペースおよび微細目
最初沈殿スペース12は、凝集剤と汚水の混合物(既に、汚水中の浮遊物質がフロック状態になっている場合が多い)を受け入れて、凝集対象物の沈殿を行う場所である。すなわち、最初沈殿スペース12は、汚水と該汚水中の凝集対象物質を凝集させるための凝集剤とを含む混合物から、凝集対象物質を凝集させて沈殿させるスペースである。最初沈殿スペース12は、特にその形態に制約は無いが、例えば、タンク形状の形態である。最初沈殿スペース12において、汚水中の浮遊物質は、凝集剤によって沈殿する。その沈殿量は、好ましくは、全浮遊物質(100質量%)の内の70質量%以上であり、現実的には70〜90質量%の範囲である。最初沈殿スペース12は、後述するリバース配管19および重力濃縮タンク20とそれぞれ接続されている。微細目13は、微細目スクリーンとも称し、多数のスリット若しくは網目を有する部材であって、繊維、髪の毛等を除去して好気タンク14にそれらが混入するのを防ぐための部材である。
(3)好気タンク
好気タンク14は、最初沈殿スペース12において沈殿処理を経た流入汚水中の有機物を、酸素存在下にて活性汚泥を利用して分解するためのタンクである。好気タンク14では、ASRTを短くすることにより、収率の低い微生物の増殖を抑制し、活性汚泥の自己分解(細菌の死滅、収率の低い微生物による細菌捕食等の総称)を抑制するようにしている。ASRTを短くすると、具体的には、0.5〜3日の範囲にすると、有機物酸化細菌よりも増殖速度の遅い硝化細菌の増殖も抑制することができ、ブロワー16からの送風量の削減を行うことができる。ASRTは、(好気タンク容量×MLSS濃度)/(余剰汚泥引き抜き量×MLSS濃度)、すなわち、好気タンク容量/余剰汚泥引き抜き量にて求めることができる。ここで、「MLSS」は活性汚泥浮遊物を意味する。したがって、例えば、ASRT=3日という運転条件を設定する場合には、「余剰汚泥引き抜き量(m/日)=反応タンク容量(m)/3日」という式により、余剰汚泥引き抜き量(第2送液ポンプ18の動かし方)を設定することになる。好気タンク14内では、硝酸性窒素が生成されないため、脱窒するための無酸素タンクおよび硝化液循環ポンプは不要になる。ASRT制御は、細菌や微生物の増殖量と余剰汚泥引き抜きによる除去量のバランスの視点から採用されている運転方法である。このため、微生物増殖時間よりも短い期間での条件変化には適切に対応することが難しい側面がある。このため、実際には、流入水質と水温の変動によって処理水質が想定よりも悪化したり、良すぎたりすることが懸念される。このような懸念が低い場合には、この実施形態のように、予め、第2送液ポンプ18の余剰汚泥引き抜き量を設定しておくことができる。一方、上記懸念が高い場合には、第2実施形態のように、各種センサを用いて第2送液ポンプ18の駆動を制御しながら最適条件下で運転を維持するのが好ましい。かかる制御方法については、第2実施形態にて詳細に説明する。
(4)ブロワー
ブロワー16は、この実施形態における特徴的な構成の一つである。ブロワー16は、好気タンク14内に空気を送気可能であって、流入汚水の有機物を除去するために必要な酸素を供給するためのものである。送風量は、好気タンク14に流入する有機物の量に関係する。すなわち、送風量は、流入汚水の水質、最初沈殿スペース12による浮遊物の除去率(「SS除去率」ともいう)によって左右される。また、送風量は、散気装置の性能にも影響を受けると共に、好気タンク14内の溶存酸素濃度(「DO濃度」という)の制御値によっても影響を受ける。したがって、DO濃度が低いほど、好気タンク14内の汚水中に酸素が溶け込みやすくなるため、送風量が少なくて済む。従来では、硝化反応を進行させるために、1〜2mg/L程度のDO濃度になるように送風量を制御している。この実施形態では、硝化反応を抑制させるため、好適には、0.5〜1mg/L程度のDO濃度で制御するようにしている。このような観点から、ブロワー16から、活性汚泥中の微生物による生物処理に必要な送風倍率(送風量/処理水量で算出され、「生物処理の必要送風倍率」ともいう。)が1〜3倍となるように送風量を送るようにしている(1≦生物処理の必要送風倍率≦3)。ここで、生物処理の必要送風倍率は、最初沈殿スペース12におけるSS除去率が70〜90質量%であるとの前提で容量計算から求められる。この実施形態における生物処理の必要送風倍率は、従来の膜分離活性法を用いた汚水処理システムの同倍率(約5倍)に比べて、1/5〜3/5に相当する。
(5)膜分離装置
膜分離装置15は、微細なメッシュ(孔径:0.1〜0.4μm程度)を用いて、好気タンク14内の液体の固液分離を行うための装置である。上記孔径は、細菌よりも小さいことから、細菌は膜分離装置15を通過できない。用いる膜としては、平膜あるいは中空糸膜を好適に例示できる。膜分離装置15の使用によって、最初沈殿スペース12から運ばれてきた浮遊物質、活性汚泥中の固形物などを、液体成分から分離できる。このような固液分離を長期間継続することによって、膜分離装置15内のメッシュが目詰まりを生じる可能性がある。該目詰まりを防止して正常な固液分離を実現するべく、ブロワー16からの空気の一部をメッシュに送り、メッシュを洗浄するのが好ましい。この実施形態では、ブロワー16からの空気の一部を好気タンク14内の曝気(「補助散気」ともいう)に用い、一部をメッシュの洗浄に用いている。なお、膜分離装置15は、この実施形態では、好気タンク14内に設置されているが、後述の実施形態で示すように、好気タンク14の外に設置するようにしても良い。
(6)塩素混和池
塩素混和池17は、膜分離装置15を経た液体(主に、水)を消毒するためのスペースであって、膜分離装置15からさらなる沈殿スペースを経ずに接続される消毒槽に相当する。先に述べたように、膜分離装置15の膜の孔径は細菌を通過させないので、通常、消毒剤を塩素混和池17に入れる必要はない。ただし、膜が破損するなどのように膜分離装置15が正常に作動しなかった場合の対策として、必要に応じて、消毒剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)を投入できるようにしている。塩素混和池17を通過した水は、その後、放流される。
(7)リバース配管
リバース配管19は、この実施形態における特徴的な構成の一つである。リバース配管19は、好気タンク14内に存在する余剰汚泥(活性汚泥の一部であり、かつ水分も含む)を、第2送液ポンプ18にて最初沈殿スペース12に戻す配管である。最初沈殿スペース12から好気タンク14に送られてくる汚水中の浮遊物質は非常に少ないものの、この実施形態では汚泥を積極的に増やすシステムとなっている。このため、リバース配管19から引き抜く余剰汚泥の量は比較的多くなる。しかし、該余剰汚泥の濃度は、好気タンク14内の活性汚泥の濃度(750〜4000mg/L)と同じ濃度であり、従来の反応タンク内の活性汚泥の濃度と比べて低くなる。このような余剰汚泥の濃度が低い液体を重力濃縮タンク20に接続しても、重力濃縮の効率が極めて低くなる。かかる理由から、好ましくは、リバース配管19を重力濃縮タンク20ではなく、最初沈殿スペース12に送って、比較的大きなフロックに吸着させて沈降させるようにしている。
(8)第2送液ポンプ
第2送液ポンプ18は、この実施形態における特徴的な構成の一つである。第2送液ポンプ18は、好気タンク14内における余剰汚泥を最初沈殿スペース12に戻すためのリバースポンプである。この実施形態では、好ましくは、第2送液ポンプ18の送液量を調整することによって、好気タンク14内のMLSS濃度を低く保ち、汚泥発生量の増加を図っている。この実施形態における第2送液ポンプ18は、さらに好ましくは、ASRTを従来よりも短くするように運転される。具体的には、第2送液ポンプ18は、ASRTが0.5〜3日の範囲内になるように、余剰汚泥を引き抜く。
(9)重力濃縮タンク、消化タンクおよび脱水機
重力濃縮タンク20は、リバース配管19で戻された余剰汚泥と最初沈殿スペース12に流入してきた汚水との混合物から沈殿した凝集対象物の凝集体を送り込むためのタンクであって、重力を利用して自然沈降方式で凝集体を濃縮するタンクである。なお、重力濃縮タンク20に代えて、濃縮スペースの別の例としての機械濃縮機を用いても良い。重力濃縮タンク20を用いると、機械濃縮機を用いる場合と比べてランニングコストを低くできる。一方、機械濃縮機を用いると、重力濃縮タンク20を用いる場合と比べて濃縮汚泥の濃度を高くできるため、後段の消化タンク21を小さくできる。消化タンク21は、重力濃縮タンク20から送られてきた汚泥中の該有機物を分解し、消化ガス(メタンガス、炭酸ガス等を含む)を積極的に発生させるためのタンクである。消化ガスは、消化ガス発電等に利用可能である。ただし、消化ガスは、別の用途に利用されても良い。消化タンク21内の液体・固体の混合物は、脱水機22によって脱水処理に付されて、ケーキ状の半固形物の状態となる。該半固形物は、その後、有機肥料、汚泥燃料あるいは建築資材等に再利用可能である。なお、消化タンク21は、必須の構成ではない。消化タンク21を設けずに、回収した産物を消化せずに全量を汚泥燃料として利用するようにしても良い。
2.汚水処理方法
次に、上記汚水処理システム1を用いた汚水処理方法について説明する。
この実施形態に係る汚水処理方法は、
最初沈殿スペース12に汚水を入れる前に、汚水に凝集剤を投入する凝集剤投入ステップと、
最初沈殿スペース12にて、汚水と凝集剤との混合物から凝集対象物を沈殿させる沈殿ステップと、
最初沈殿スペース12から、沈殿処理後の汚水を好気タンク14に送液する好気タンク送液ステップと、
好気タンク14の汚水と活性汚泥との混合物内に、少なくとも酸素を含む気体(例えば、空気)を吹き込む曝気ステップと、
好気タンク14内の活性汚泥を利用して、好気タンク14に送り込まれた汚水と活性汚泥との混合物中の有機物を分解する処理を少なくとも含む浄化処理を行う浄化処理ステップと、
膜分離装置15にて好気タンク14内の固体と液体の混合物を固液分離する固液分離ステップと、
リバース配管19によって、好気タンク14内の余剰汚泥を、第2送液ポンプ18によって最初沈殿スペース12に戻す余剰汚泥リバースステップと、
を含む。
汚水処理方法は、さらに、リバース配管19からの余剰汚泥を最初沈殿スペース12に戻して最初沈殿スペース12にて沈殿させた沈殿物を重力濃縮タンク20に送る重力濃縮タンク送液ステップを含んでも良い。
上記各ステップは、凝集剤投入ステップ、沈殿ステップ、好気タンク送液ステップ、曝気ステップ、浄化処理ステップ、固液分離ステップ、余剰汚泥リバースステップ、重力濃縮タンク送液ステップの順に必ずしも行われるわけではない。汚水処理方法の実施中、通常、これらの各ステップの複数は同時併行で行われる。以下、曝気ステップ、浄化処理ステップおよび余剰汚泥リバースステップについて説明する。
(1)曝気ステップおよび浄化処理ステップ
曝気ステップは、空気に代表される酸素含有気体を、好気タンク14内の汚水と活性汚泥との混合物中にて曝気するステップである。浄化処理ステップは、流入汚水中の有機物を、酸素存在下にて活性汚泥を利用して分解するステップである。
(2)余剰汚泥リバースステップ
余剰汚泥リバースステップは、好気タンク14内の余剰汚泥を、第2送液ポンプ18によって最初沈殿スペース12に戻すステップである。余剰汚泥は、好気タンク14内の活性汚泥の一部である。余剰汚泥リバースステップでは、好ましくは、ASRTを従来よりも短くして第2送液ポンプ18を運転する。具体的には、第2送液ポンプ18は、ASRTが0.5〜3日の範囲内になるように、余剰汚泥を引き抜く。第2送液ポンプ18は、間欠運転あるいは連続運転されても良い。
<第2実施形態>
1.汚水処理システム
まず、本発明の第2実施形態に係る汚水処理システムについて説明する。
図2は、本発明の第2実施形態に係る汚水処理システムの一例の構成図を示す。
第2実施形態に係る汚水処理システム1aは、第1実施形態に係る汚水処理システム1と異なり、各種センサと、それらセンサからのデータに基づいて第2送液ポンプ18の動作を細かく制御可能な制御装置とを備える。汚水処理システム1aにおける上記相違点以外については、汚水処理システム1と共通する。以下、相違点についてのみ説明する。
汚水処理システム1aに備える好適な各種センサは、第1流量計としての流量計A30a、第2流量計としての流量計B30b、第3流量計としての流量計C30c、第1アンモニア態窒素濃度計としてのNH−N計A32、第2アンモニア態窒素濃度計としてのNH−N計B33、および有機物濃度計34である。
汚水処理システム1aは、最初沈殿スペース12の川上側の配管を流れる汚水の流量を測定するための流量計A30aと、リバース配管19を流れる余剰汚泥の流量を測定するための流量計B30bと、最初沈殿スペース12と該最初沈殿スペース12から沈殿汚泥を送る重力濃縮タンク20との間を流れる汚泥の流量を測定するための流量計C30cと、最初沈殿スペース12と好気タンク14との間を流れる汚水のアンモニア態窒素濃度を測定するためのNH−N計A32と、膜分離装置15の出口より下流側の液体のアンモニア態窒素濃度を測定するためのNH−N計B33と、膜分離装置15の出口より下流側の液体の有機物濃度を測定するための有機物濃度計34と、第2送液ポンプ18による余剰汚泥の引き抜き量を調整可能な制御装置35と、を備える。制御装置35は、流量計A30a、流量計B30b、流量計C30c、NH−N計A32、NH−N計B33、有機物濃度計34からの各データ(各測定値)に基づいて第2送液ポンプ18による余剰汚泥の引き抜き量を調整する。なお、有機物濃度計34は、好ましくは、化学的酸素要求量測定計(COD計)、全有機炭素量測定計(TOC計)および紫外線吸光度計(UV計)の内の少なくとも1つである。
図3は、本発明の第2実施形態に係る汚水処理システムの変形例の構成図を示す。
この変形例に係る汚水処理システム1bは、第2実施形態に係る汚水処理システム1aと異なり、膜分離装置15を好気タンク14の外部であってその下流側に配置している。好気タンク14と膜分離装置15との間を接続する配管には、好適にはポンプ36を配置している。また、膜分離装置15を好気タンク14の外に配置したことに伴い、ブロワー16から好気タンク14への送気は、好気タンク14内の汚水と活性汚泥との混合物内への曝気(散気ともいう)を目的とするものとしている。ただし、図3には図示されていないが、ブロワー16からポンプへの送気を通じて該ポンプからの送水により膜分離装置15内のメッシュの洗浄を行うことができる。汚水処理システム1bにおける上記相違点以外については、汚水処理システム1aと共通する。
図4は、図2または図3に示す制御装置の構成を示す。
制御装置35は、好ましくは、流量計計測値受付部40、NH−N計計測値受付部41、有機物濃度計計測値受付部42、タンク内流下時間演算部43、硝化濃度演算部44、推定BOD演算部45、計測値・演算値受付部46、NH−N計計測値判別部47、第1推定BOD演算値判別部48、第2推定BOD演算値判別部49、第1硝化濃度演算値判別部50、第2硝化濃度演算値判別部51、余剰汚泥引き抜き量決定部52、ポンプ排液量決定部53、各種情報記憶部54および情報記録媒体挿入部55を備える。
上記の流量計計測値受付部40、NH−N計計測値受付部41、有機物濃度計計測値受付部42、タンク内流下時間演算部43、硝化濃度演算部44、推定BOD演算部45、計測値・演算値受付部46、NH−N計計測値判別部47、第1推定BOD演算値判別部48、第2推定BOD演算値判別部49、第1硝化濃度演算値判別部50、第2硝化濃度演算値判別部51、余剰汚泥引き抜き量決定部52およびポンプ排液量決定部53は、中央処理装置(CPU)と、各種情報記憶部54内に記憶されているコンピュータプログラム(ソフトウェアともいう)との協働によって各種処理を行う部分である。各種情報記憶部54は、読み出し専用のメモリ(ROM)および読み書き可能なメモリ(RAM)を含む。なお、各種情報記憶部54に、EEPROM、ハードディスク(HD)等の他の記憶装置を備えるようにしても良い。情報記録媒体挿入部55は、この実施形態では、情報記録媒体としてCD−Rを用いる例で説明するため、CD−Rを装填可能なトレイとしている。しかし、情報記録媒体挿入部55は、制御装置35に挿入あるいは接続する情報記録媒体の形態に応じて、種々の形態に変更可能である。
次に、制御装置35内の各種構成部について説明する。流量計計測値受付部40は、流量計A30a、流量計B30bおよび流量計C30cからの各データを受け付ける構成部である。NH−N計計測値受付部41は、NH−N計A32およびNH−N計B33からの両データを受け付ける構成部である。有機物濃度計計測値受付部42は、有機物濃度計34からのデータを受け付ける構成部である。タンク内流下時間演算部43は、好気タンク14の容量を、流量計A30aで計測した単位時間当たりの流量と流量計B30bで計測した単位時間当たりの流量との和から流量計C30cで計測した単位時間当たりの流量を差し引いた値で除する演算を行う構成部である。硝化濃度演算部44は、タンク内流下時間演算部43にて得られたタンク内流下時間を考慮したNH−N濃度差を演算する構成部であり、具体的には、タンク内流下時間前のNH−N濃度から所定時刻のNH−N濃度を引く演算を行う。推定BOD演算部45は、有機物濃度計34からの計測値(x)を、推定BOD演算用の関数f(x)に代入して、推定BODを計算する構成部である。ここで、「BOD」とは、生物化学的酸素要求量(Biochemical Oxygen Demand)を意味する。関数f(x)は、各種情報記憶部54に記憶されている。推定BOD演算部45は、各種情報記憶部54から、関数f(x)を読み出して、有機物濃度計計測値受付部42にて受け付けた計測値(x)を代入して計算を実行する。関数f(x)は、ユーザによって適宜入力可能であり、固定されていなくとも良い。関数f(x)としては、A*exp(B*x)を好適に例示できる。A,Bは、それぞれ係数を意味しており、例えば、A=0.1212、B=0.3539である。
計測値・演算値受付部46は、余剰汚泥引き抜き量を決定するために必要なデータを受け付ける構成部である。この実施形態では、計測値・演算値受付部46は、例えば、流量計A30a、流量計B30bおよび流量計C30cからの各計測値、NH−N計A32およびNH−N計B33からの各計測値、硝化濃度および推定BODを受け付ける。ただし、計測値・演算値受付部46は、上記例示のデータのみならず、余剰汚泥引き抜き量を決定するために必要なデータであれば受け付け可能である。NH−N計計測値判別部47は、NH−N計A32による計測値が、流入水(汚水)のアンモニア態窒素濃度の下限値(LNH4−Nとする)以下であるか否かを判別する構成部である。LNH4−Nは、各種情報記憶部54に記憶されている。LNH4−Nは、例えば、ユーザによる入力、外部データベースからのダウンロード、制御装置35内の各種構成部による計算等を経て、各種情報記憶部54に記憶可能である。
第1推定BOD演算値判別部48は、計測値・演算値受付部46によって受け付けられた推定BODが、推定BODの上限値(HBODとする)以上であるか否かを判別する構成部である。HBODは、例えば、ユーザによる入力、外部データベースからのダウンロード、制御装置35内の各種構成部による計算等を経て、各種情報記憶部54に記憶可能である。第2推定BOD演算値判別部49は、計測値・演算値受付部46によって受け付けられた推定BODが、推定BODの下限値(LBODとする)以下であるか否かを判別する構成部である。LBODは、例えば、ユーザによる入力、外部データベースからのダウンロード、制御装置35内の各種構成部による計算等を経て、各種情報記憶部54に記憶可能である。
第1硝化濃度演算値判別部50は、推定BODがLBOD以下である場合において、計測値・演算値受付部46によって受け付けられた硝化濃度が、硝化濃度の上限値(H硝化とする)以上であるか否かを判別する構成部である。第2硝化濃度演算値判別部51は、推定BODがLBODを超えている場合において、計測値・演算値受付部46によって受け付けられた硝化濃度がH硝化以上であるか否かを判別する構成部である。H硝化は、例えば、ユーザによる入力、外部データベースからのダウンロード、制御装置35内の各種構成部による計算等を経て、各種情報記憶部54に記憶可能である。
余剰汚泥引き抜き量決定部52は、NH−N計計測値判別部47、第1推定BOD演算値判別部48、第2推定BOD演算値判別部49、第1硝化濃度演算値判別部50および第2硝化濃度演算値判別部51の各種判別結果に基づいて、好気タンク14からの余剰汚泥の引き抜き量を決定する構成部である。余剰汚泥引き抜き量決定部52は、(1)各種情報記憶部54に予め記憶されている複数の引き抜き量から選択し、(2)各種情報記憶部54に予め記憶されている係数を選択して引き抜き量を計算し、あるいは(3)各種情報記憶部54からの何らの選択をすることなく引き抜き量を計算することもできる。例えば、一日の内で流入水量が多い時間帯を予め設定しておき、その時間帯の各種センサ32等から得られる値により余剰汚泥引き抜き量を制御するようにしても良い。その場合には、前回制御(前日)における引き抜き量に、本日で判定された各種係数を乗じて、本日の余剰汚泥引き抜き量を設定するのが好ましい。なお、余剰汚泥の引き抜きは、好ましくは毎時行うが、毎時行う引き抜き量は同一量、あるいは流入汚水の変動パターンに応じて変化させるようにしても良い。
余剰汚泥引き抜き量決定部52による例示的な決定処理は、次のとおりである。余剰汚泥引き抜き量決定部52は、NH−N計A32による計測値がLNH4−N以下である場合に、(n+1)時における余剰汚泥の引き抜き量(Qes,n+1とする)を、その前の時刻(n時)における余剰汚泥の引き抜き量(Qes,nとする)と同一とする。また、余剰汚泥引き抜き量決定部52は、NH−N計A32による計測値がLNH4−Nを超えている場合において、推定BODがHBOD以上のときに、Qes,n+1を、Qes,n*aとする(aは0以上1未満の範囲内の数値)。また、余剰汚泥引き抜き量決定部52は、NH−N計A32による計測値がLNH4−Nを超えている場合において、推定BODがHBOD未満、推定BODがLBOD以下、かつ硝化濃度がH硝化以上のときに、Qes,n+1を、Qes,n*bとする(bは1を大幅に超える数値)。
一方、余剰汚泥引き抜き量決定部52は、NH−N計A32による計測値がLNH4−Nを超えている場合において、推定BODがHBOD未満、推定BODがLBODを超え、かつ硝化濃度がH硝化以上のときに、Qes,n+1を、Qes,n*cとする(cは1より大きく、かつbより小さい数値)。余剰汚泥引き抜き量決定部52は、NH−N計A32による計測値がLNH4−Nを超えている場合において、推定BODがHBOD未満、推定BODがLBOD以下で、かつ硝化濃度がH硝化未満のときにも、Qes,n+1を、Qes,n*cとする(cは1より大きく、かつbよりは小さい数値)。また、余剰汚泥引き抜き量決定部52は、NH−N計A32による計測値がLNH4−Nを超えている場合において、推定BODがHBOD未満、推定BODがLBODを超え、かつ硝化濃度がH硝化未満のときには、Qes,n+1を、Qes,nと同一とする。上記a,b,cは、余剰汚泥引き抜き量に関する設定値であり、好ましくは、各種情報記憶部54に予め記憶されている。また、各種情報記憶部54に記憶されている初期の設定値(デフォルトの設定値)は、ユーザによって変更可能である。また、ユーザは、計算時に、a,b,cの少なくともいずれか1つを入力しても良い。
ポンプ排液量決定部53は、余剰汚泥引き抜き量決定部52の決定に基づいて、第2送液ポンプ18の運転条件(排液量等)を決定する構成部である。ポンプ排液量決定部53は、余剰汚泥引き抜き量決定部52の決定に基づいて、第2送液ポンプ18への制御信号を送る。
2.汚水処理方法
次に、上記汚水処理システム1a,1bを用いた汚水処理方法について説明する。
第2実施形態に係る汚水処理方法は、前述の第1実施形態に係る汚水処理方法と概略的には共通するが、第2送液ポンプ18を各種センサからの情報に基づき細かく制御する点で異なる。したがって、第2送液ポンプ18の精密制御の部分について、その処理の流れを以下に説明し、第1実施形態と共通する部分については、第1実施形態の説明を代用して、説明を省略する。この実施形態における汚水処理方法は、第1実施形態における余剰汚泥リバースステップにおいて、さらに、第2送液ポンプ18を制御する制御装置35を用いて、ASRTが0.5〜3日の範囲内になるように、第2送液ポンプ18による余剰汚泥の引き抜き量を調整する余剰汚泥引き抜き量調整ステップを含む。その具体的な調整の流れを次に説明する。
図5は、第2実施形態に係る汚水処理方法における各種センサからの情報に基づく第2送液ポンプの制御フローを示す。
まず、流量計計測値受付部40は、流量計A30a、流量計B30bおよび流量計C30cからの各データを受け付ける(ステップS101)。続いて、タンク内流下時間演算部43は、好気タンク14の容量を、流量計A30aで計測した単位時間当たりの流量と流量計B30bで計測した単位時間当たりの流量との和から流量計C30cで計測した単位時間当たりの流量を差し引いた値で除する演算を行う(ステップS102)。次に、NH−N計計測値受付部41は、NH−N計A32およびNH−N計B33からの両データを受け付ける(ステップS103)。次に、硝化濃度演算部44は、タンク内流下時間演算部43にて得られたタンク内流下時間を考慮したNH−N濃度差を演算する(ステップS104)。また、有機物濃度計計測値受付部42は、有機物濃度計34からのデータを受け付ける(ステップS105)。次に、推定BOD演算部45は、有機物濃度計34からの計測値(x)を、推定BOD演算用の関数f(x)に代入して、推定BODを計算する構成部である(ステップS106)。次に、計測値・演算値受付部46は、余剰汚泥引き抜き量を決定するために必要なデータを受け付ける(ステップS107)。次に、NH−N計計測値判別部47、第1推定BOD演算値判別部48、第2推定BOD演算値判別部49、第1硝化濃度演算値判別部50、第2硝化濃度演算値判別部51および余剰汚泥引き抜き量決定部52は、協働して処理を行い、余剰汚泥引き抜き量を演算する(ステップS108)。次に、ポンプ排液量決定部53は、余剰汚泥引き抜き量決定部52の決定に基づいて、第2送液ポンプ18の排液量を決定する(ステップS109)。
図6は、ASRT(単位:日)と膜ろ過水有機物濃度(単位:mg/L)および硝化濃度(単位:mg/L)との関係を示し、(6A)は15℃時(冬期)を、(6B)は25℃時(夏期)を、それぞれ例示する。
硝化反応が進む条件では、ASRTが比較的長くなり、活性汚泥の自己分解が進みやすくなる。このことから、好気タンク14への流入水中および膜ろ過水中の各アンモニア態窒素濃度(NH−N)を連続モニタリングして、その差分(硝化濃度)を算出するようにしている。また、有機物濃度およびアンモニア態窒素濃度のモニタリング結果を用いて、膜ろ過水中の有機物濃度が所定範囲より低くかつ硝化濃度が所定範囲より大きい段階(段階(1))、膜ろ過水中の有機物濃度および硝化濃度がともに所定範囲内にある段階(段階(2))、膜ろ過水中の有機物濃度が所定範囲より大きくかつ硝化濃度が所定範囲内にある段階(段階(3))の各段階に応じて、第2送液ポンプ18の回転数および/または稼働時間を制御して、余剰汚泥引き抜き量を調節している。具体的には、段階(1)であれば、引き抜き量を増加させる。段階(2)であれば、引き抜き量を維持する。段階(3)であれば、引き抜き量を減少させる。なお、余剰汚泥引き抜き量の調節は、汚水の流入負荷量が1日の内で最も多い時間帯において実施するのが好ましい。活性汚泥浮遊物の濃度(MLSS)が低濃度になり過ぎ、膜ろ過水の有機物濃度が許容限界値を超過しないようにする必要からである。
例えば、(6A)に示す水温が低い場合を例に挙げると、ASRTが1日より短い場合(段階(3))には、有機物濃度が高くなり過ぎる。また、ASRTが3日より長い場合(段階(1))には、硝化濃度が高くなり過ぎる。よって、ASRTが1〜3日の範囲になるように、第2送液ポンプ18を制御して、段階(2)をキープするようにしている。また、(6B)に示す水温が高い場合を例に挙げると、ASRTが0.5日より短い場合(段階(3))には、有機物濃度が高くなり過ぎる可能性がある。また、ASRTが1日より長い場合(段階(1))には、硝化濃度が高くなり過ぎる。よって、ASRTが0.5〜1日の範囲になるように、第2送液ポンプ18を制御して、段階(2)をキープするようにしている。ここで、一例を挙げるなら、有機物濃度の上限値は、好ましくは1〜3mg/Lの範囲内の任意の値である(ここでは、最大でも3mg/Lを超えない)。また、硝化濃度の上限値は、好ましくは3mg/Lである。よって、上記ASRT制御は、有機物濃度が3mg/Lを超えず、かつ硝化濃度が3mg/Lを超えない制御ともいえる。したがって、制御装置35は、有機物濃度が3mg/Lを超えず、かつ硝化濃度が3mg/Lを超えないように、第2送液ポンプ18による余剰汚泥の引き抜き量を調整する。ただし、有機物濃度の範囲は、ユーザにより、例えば2〜5mg/Lに変更することも可能である。同様に、硝化濃度の範囲も、ユーザにより変更可能である。有機物濃度の上限および硝化濃度の上限をともに5mg/Lとすることも好ましい範疇にある。この場合には、制御装置35は、有機物濃度が5mg/Lを超えず、かつ硝化濃度が5mg/Lを超えないように、第2送液ポンプ18による余剰汚泥の引き抜き量を調整する。
次に、上記の制御思想に基づく余剰汚泥引き抜き量の演算方法について説明する。
図7は、図5のステップS108の詳細フローを示す。
まず、余剰汚泥引き抜き量決定部52は、NH−N計A32による計測値がLNH4−N以下であるか否かを判別する(ステップS1081)。ステップS1081の判別の結果、計測値≦LNH4−N(判別結果:Yes)の場合には、余剰汚泥引き抜き量決定部52は、Qes,n+1=Qes,nとし、引き抜き量を変動せずに維持する(ステップS1082)。一方、ステップS1081の判別の結果、計測値>LNH4−N(判別結果:No)の場合には、第1推定BOD演算値判別部48は、推定BODがHBOD以上であるか否かを判別する(ステップS1083)。ステップS1083の判別の結果、推定BOD≧HBOD(判別結果:Yes)の場合には、余剰汚泥引き抜き量決定部52は、Qes,n+1=Qes,n*aとし(0≦a<1)、引き抜き量を減少させる(ステップS1084)。一方、ステップS1083の判別の結果、推定BOD<HBOD(判別結果:No)の場合には、第2推定BOD演算値判別部49は、推定BODがLBOD以下であるか否かを判別する(ステップS1085)。ステップS1085の判別の結果、推定BODがLBOD以下(判別結果:Yes)の場合には、第1硝化濃度演算値判別部50は、硝化濃度がH硝化以上か否かを判別する(ステップS1086)。ステップS1086の判別の結果、硝化濃度≧H硝化(判別結果:Yes)の場合には、余剰汚泥引き抜き量決定部52は、Qes,n+1=Qes,n*bとし(1<<b)、引き抜き量を増加する(ステップS1087)。
ステップS1085の判別の結果、推定BOD>LBOD(判別結果:No)の場合には、第2硝化濃度演算値判別部51は、硝化濃度がH硝化以上か否かを判別する(ステップS1088)。ステップS1088の判別の結果、硝化濃度≧H硝化(判別結果:Yes)の場合には、余剰汚泥引き抜き量決定部52は、Qes,n+1=Qes,n*cとし(1<c)、引き抜き量を増加させる(ステップS1089)。この増加量は、ステップS1087よりは小さい。また、ステップS1086の判別の結果、硝化濃度<H硝化(判別結果:No)の場合にも、余剰汚泥引き抜き量決定部52は、Qes,n+1=Qes,n*cとし(1<c)、ステップS1089を実行する。一方、ステップS1088の判別の結果、硝化濃度<H硝化(判別結果:No)の場合には、余剰汚泥引き抜き量決定部52は、Qes,n+1=Qes,nとし、引き抜き量を変動せずに維持する(ステップS1090)。ステップS1082、S1084、S1087、S1089またはS1090の次には、図5のステップS109に移行する。
次に、数値を用いた例示にて上記フローをより具体的に説明する。
例えば、好気タンク14の容量:2500m、好気タンク14における滞留時間:2hr、流量計A30aの計測値:1250m/hr、流量計B30bの計測値:83m/hr、流量計C30cの計測値:15m/hrであると設定する。流量計計測値受付部40は、流量計A30a、流量計B30bおよび流量計C30cからの上記各計測値(1250m/hrと83m/hrと15m/hr)を受け付ける(ステップS101)。続いて、タンク内流下時間演算部43は、好気タンク14の容量(2500m)を、流量計A30aで計測した単位時間当たりの流量と流量計B30bで計測した単位時間当たりの流量との和から流量計C30cで計測した単位時間当たりの流量を差し引いた値(1250m/hr+83m/hr−15m/hr=1318m/hr)で除する演算を行う(ステップS102)。この結果、タンク内流下時間は1.9hrと算出できる。
次に、NH−N計計測値受付部41は、1.9hr前におけるNH−N計A32の計測値および現時刻におけるNH−N計B33の計測値を受け付ける(ステップS103)。その結果、NH−N計A32の計測値:30mg/Lであり、NH−N計B33の計測値:29.2mg/Lであった。次に、硝化濃度演算部44は、タンク内流下時間(1.9hr)を考慮したNH−N濃度差を演算する(ステップS104)。この演算の結果、硝化濃度は0.8mg/L(30mg/L−29.2mg/Lの計算による)となる。有機物濃度計計測値受付部42は、有機物濃度計34からの計測値(COD=5mg/L)を受け付ける(ステップS105)。次に、推定BOD演算部45は、COD=5mg/Lを、推定BOD演算用の関数f(x)=0.1212*exp(0.3539*COD)に代入して、推定BODを0.7mg/Lと求める(ステップS106)。次に、計測値・演算値受付部46は、上記計測値および計算値の1または2以上を含めた余剰汚泥引き抜き量を決定するために必要なデータを受け付ける(ステップS107)。
今、LNH4−N=20mg/L、HBOD=3mg/L、LBOD=1mg/L、H硝化=3mg/Lとする。余剰汚泥引き抜き量決定部52は、NH−N計A32による計測値(30mg/L)がLNH4−N(20mg/L)以下であるか否かを判別する(ステップS1081)。その結果、NH−N計A32による計測値>LNH4−Nであるため、判別結果がNoとなり、ステップS1083に進む。次に、第1推定BOD演算値判別部48は、推定BOD(0.7mg/L)がHBOD(3mg/L)以上であるか否かを判別する(ステップS1083)。その結果、推定BOD<HBODであるため、判別結果がNoとなり、ステップS1085に進む。次に、第2推定BOD演算値判別部49は、推定BOD(0.7mg/L)がLBOD(1mg/L)以下であるか否かを判別する(ステップS1085)。その結果、推定BOD<LBODであるため、判別結果がYesとなり、ステップS1086に進む。次に、第1硝化濃度演算値判別部50は、硝化濃度(0.8mg/L)がH硝化(3mg/L)以上か否かを判別する(ステップS1086)。その結果、硝化濃度<H硝化であるため、判別結果がNoとなり、ステップS1089に進む。
今、c=1.05とする。余剰汚泥引き抜き量決定部52は、Qes,n+1=Qes,n*1.05の計算を行う。Qes,nは83m/hrであるから、Qes,n+1は83m/hr*1.05=87m/hrとなる。すなわち、余剰汚泥引き抜き量決定部52は、83m/hrよりも4m/hrだけ多い87m/hrを引き抜き量に決定する(ステップS1089)。
<本発明の各実施形態の各種特徴>
図8は、本発明の上記各実施形態の特徴を示す。
本実施形態では、最初沈殿スペース12において、凝集剤を用いた沈殿処理を行っているため、流入水ファウリング物質や有機物をより多く除去できる。これによって、膜分離装置15における目詰まりを低減できるので、ブロワー16から膜洗浄用に送風するエネルギーを低減できる。また、薬品による膜の洗浄頻度も少なくなる。さらに、好気タンク14に曝気する空気量(補助散気量)も少なくできる。これらは、汚水処理システム1,1a,1bの省エネルギー化に寄与する(図8の(1),(5))。また、最初沈殿スペース12において積極的に汚泥を生成させ、かつリバース配管19を利用して好気タンク14からの汚泥も追加しているので、消化ガスや有機肥料等に利用する資源が増加する(図8の(7))。さらに、本実施形態では、低MLSS運転を行っているので、膜分離装置15において微生物によるファウリングを抑制できる(図8の(2))。本実施形態では、短HRT運転(約2時間)を行うので、好気タンク14の容量を従来よりも小さくできる。ここで、「HRT」は、水理学的滞留時間を意味する。これは、汚水処理システム1,1a,1bの省ペース化に寄与する(図8の(9))。
低MLSS運転および低HRT運転は、短ASRT運転となり、その結果、自己分解ファウリングの発生の抑制および硝化反応の抑制になる。これは、膜分離装置15および好気タンク14に空気を送るブロワー16の省エネルギー化に寄与する(図8の(3),(4))。また、短ASRT運転は、余剰汚泥量の増加につながるため、消化ガスや有機肥料等に利用する資源が増加する(図8の(8))。また、溶存酸素濃度(DO)の低い運転(低DO運転)を実現できるので、酸素溶解速度を向上でき、補助散気量の低減に寄与する(図8の(6))。
図9は、本発明の各実施形態と従来の膜分離活性汚泥法とを比較して示す。
図9の各二段で示す2つの表に示すように、本発明の各実施形態は、従来の膜分離活性汚泥法と比較して、多くの特徴を有する。従来の膜分離活性汚泥法では、凝集剤を使用せず、初沈SS除去率が40〜60%に留まっていた。また、余剰汚泥発生率が0.6〜0.8倍と低く、できるだけ余剰汚泥を発生させない運転方式が行われていた。また、従来のHRTは約6hrと長く、MLSS濃度は8000〜12000mg/Lと高濃度であった。さらに、DO濃度は1〜2mg/Lと比較的高く、生物処理の必要送風倍率は5倍程度と高かった。なお、該送風倍率は、膜洗浄空気による酸素溶解分を考慮しない場合の必要送風倍率である。また、硝化反応を積極的に行わせ、無酸素タンクを利用して脱窒するようにしていたので、反応タンク全体が大きかった。加えて、好気タンクから無酸素タンクに硝酸イオンを送るための硝化液循環ポンプも必要であった。
これに対して、本実施形態では、凝集剤を使って、初沈SS除去率を70質量%以上、より現実的には70〜90質量%の範囲にまで高めるようにしている。余剰汚泥発生率については、低減させずにむしろ増大させている(従来の0.6〜0.8倍に対して、2〜4倍)。HRTは1〜2時間と短く、MLSS濃度は750〜4000mg/Lと低いことも大きな特徴である。DO濃度は0.5〜1mg/Lと従来(1〜2mg/L)よりも低い。生物処理の必要送風倍率は従来よりも格段に低く1〜3倍である。これによって、ブロワー16に要するエネルギーを減らし、汚泥処理システム1,1a,1bを極めて低いコストにて運転できる。また、硝化反応を抑制しているため、無酸素タンクおよび硝化液循環ポンプは不要となる。
<その他の実施形態>
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態に限られず、他の様々な態様に適用可能である。
ブロワー16から好気タンク14に吹き込む空気に代えて、空気より酸素を高濃度若しくは低濃度で含む気体を用いても良い。すなわち、ブロワー16から好気タンク14に吹き込む気体は、酸素を含む気体であれば、空気に限定されない。また、ブロワー16の風量としては、生物処理の必要送風倍率(送風量/処理水量)が1〜3倍の範囲が好ましいが、1倍に近い方が好ましい。消毒槽としての塩素混和池17は、土木躯体の他、タンクの形態でも良い。また、上記各実施形態では、産物回収スペースの一例として最初沈殿スペース12を用いる例で説明したが、沈殿以外の産物回収方法として、例えば、ろ過を採用するろ過スペースを最初沈殿スペース12に代えて備えるようにしても良い。
第2送液ポンプ18は、好気タンク14から余剰汚泥を、継続的に最初沈殿スペース12に送るように運転しても良く、あるいは第2送液ポンプ18を間欠運転(1時間おき、1.5時間おきあるいは2時間おきなど)しても良い。第2送液ポンプ18の運転は、第2実施形態で説明したように各種センサ30a〜34を用いて精密に制御される方が好ましいが、予め、季節あるいは天候等の条件によって運転条件が分かっている場合には、上記各種センサ30a〜34を用いずに、固定の送液量にて第2送液ポンプ18を運転するようにしても良い。その場合でも、第2送液ポンプ18の送液量は、好ましくは、有機物濃度および硝化濃度がともに所定の許容範囲内になるように設定される。
各種センサ30a〜34を用いて第2送液ポンプ18を精密に制御する場合、第2送液ポンプ18による単位時間当たりの送液量(単位は、例えば、m/hr)は、膜分離装置15を下流側に通過した液体中の有機物濃度が高くなり過ぎないと共に低くなり過ぎないように、かつ好気タンク14内の硝化濃度が高くなり過ぎないように制御される。第2送液ポンプ18の送液量の絶対値は大きな意味を持たない。該送液量は、好気タンク14の容量、汚水の単位時間あたりの流入量などの諸条件によって変動するからである。第2送液ポンプ18の送液量は、上記有機物濃度および上記硝化濃度がともに許容範囲内になるように制御されている。有機物濃度の許容範囲は、好ましくは1〜3mg/Lあるいは2〜5mg/Lであり、その他に0〜1mg/L、0〜2mg/L、1〜2mg/Lの範囲内の任意の値を設定しても良い。また、硝化濃度の許容範囲は、好ましくは0〜5mg/L、より好ましくは1〜3mg/L、0〜1mg/L、0〜2mg/L、1〜2mg/Lの範囲内の任意の値である。
有機物濃度計34は、好ましくは、化学的酸素要求量測定計(COD計)であるが、全有機炭素量測定計(TOC計)あるいは紫外線吸光度計(UV計)でも良い。重力濃縮タンク20に代えて、前述のような機械濃縮機を採用しても良い。最初沈殿スペース12は、そこに流入してくる汚水中の凝集対象物質の70質量%以上を沈殿させる場所であるのが好ましいが、70〜90質量%あるいは80〜90質量%でも良い。
本発明は、汚水処理に利用できる。
1,1a,1b 汚水処理システム
12 最初沈殿スペース(産物回収スペースの一例)
14 好気タンク
15 膜分離装置
16 ブロワー
17 塩素混和池(消毒槽の一例)
18 第2送液ポンプ(リバースポンプ)
19 リバース配管
20 重力濃縮タンク(濃縮スペースの一例)
30a 流量計A(第1流量計)
30b 流量計B(第2流量計)
30c 流量計C(第3流量計)
32 NH−N計A(第1アンモニア態窒素濃度計)
33 NH−N計B(第2アンモニア態窒素濃度計)
34 有機物濃度計(化学的酸素要求量測定計、全有機炭素量測定計、紫外線吸光度計など)
35 制御装置

Claims (7)

  1. 汚水と該汚水中の凝集対象物質を凝集させるための凝集剤とを含む混合物から前記凝集対象物質を産物として回収する産物回収スペースと、
    該産物回収スペースにおいて回収処理を経た汚水中の有機物を、酸素存在下にて活性汚泥を利用して分解するための好気タンクと、
    前記好気タンク内に空気を送気可能であって、前記活性汚泥中の微生物による生物処理に必要な送風を行うブロワーと
    前記好気タンク内の固形物と液体とを固液分離する膜分離装置と、
    前記好気タンク内に存在する余剰汚泥を、リバースポンプにて前記産物回収スペースに戻すリバース配管と、
    を備える汚水処理システム。
  2. 前記リバースポンプを制御する制御装置を、さらに備え、
    前記制御装置は、好気的固形物滞留時間が0.5〜3日の範囲内になるように、前記リバースポンプによる前記余剰汚泥の引き抜き量を調整することを特徴とする請求項1に記載の汚水処理システム。
  3. 前記リバースポンプを制御する制御装置を、さらに備え、
    前記産物回収スペースの川上側の配管を流れる汚水の流量を測定するための第1流量計と、
    前記リバース配管を流れる前記余剰汚泥の流量を測定するための第2流量計と、
    前記産物回収スペースと該産物回収スペースから回収した汚泥を送る濃縮スペースとの間を流れる汚泥の流量を測定するための第3流量計と、
    前記産物回収スペースと前記好気タンクとの間を流れる前記汚水のアンモニア態窒素濃度を測定するための第1アンモニア態窒素濃度計と、
    前記膜分離装置の出口より下流側の液体のアンモニア態窒素濃度を測定するための第2アンモニア態窒素濃度計と、
    前記膜分離装置の出口より下流側の液体の有機物濃度を測定するための有機物濃度計と、
    を備え、
    前記制御装置は、前記第1流量計、前記第2流量計、前記第3流量計、前記第1アンモニア態窒素濃度計、前記第2アンモニア態窒素濃度計および前記有機物濃度計からの各測定値に基づいて前記リバースポンプによる前記余剰汚泥の引き抜き量を調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の汚水処理システム。
  4. 前記有機物濃度計は、化学的酸素要求量測定計、全有機炭素量測定計および紫外線吸光度計の内の少なくとも1つである請求項3に記載の汚水処理システム。
  5. 前記産物回収スペースは、そこに流入してくる前記汚水中の前記凝集対象物質の70質量%以上を回収することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の汚水処理システム。
  6. 請求項1に記載の汚水処理システムを用いた汚水処理方法であって、
    前記産物回収スペースに汚水を入れる前に、汚水に凝集剤を投入する凝集剤投入ステップと、
    前記産物回収スペースにて、汚水と凝集剤との混合物から凝集対象物を回収する回収ステップと、
    前記産物回収スペースから、回収処理後の汚水を前記好気タンクに送液する好気タンク送液ステップと、
    前記好気タンクの前記汚水と活性汚泥との混合物内に空気を吹き込む曝気ステップと、
    前記好気タンク内の前記活性汚泥を利用して、前記好気タンクに送り込まれた前記汚水中の有機物を分解する処理を少なくとも含む浄化処理を行う浄化処理ステップと、
    前記膜分離装置にて前記好気タンク内の固体と液体の混合物を固液分離する固液分離ステップと、
    前記リバース配管によって、前記好気タンク内の余剰汚泥を、前記リバースポンプによって前記産物回収スペースに戻す余剰汚泥リバースステップと、
    を含む汚水処理方法。
  7. 前記余剰汚泥リバースステップにおいて、
    前記リバースポンプを制御する制御装置を用いて、好気的固形物滞留時間が0.5〜3日の範囲内になるように、前記リバースポンプによる前記余剰汚泥の引き抜き量を調整する余剰汚泥引き抜き量調整ステップを含むことを特徴とする請求項6に記載の汚水処理方法。

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