JP2018069127A - 油脂含有排水の処理方法及び油脂分解微生物製剤 - Google Patents

油脂含有排水の処理方法及び油脂分解微生物製剤 Download PDF

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Abstract

【課題】油脂を効率よく分解できる油脂分解菌を用いた油脂含有排水の処理方法を提供する。【解決手段】リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるバークホルデリア属の菌を油脂含有排水中で作用させ、該排水中に含まれる油脂を分解することを特徴とする油脂含有排水の処理方法である。また、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるシュードモナス属の菌を油脂含有排水中で作用させ、該排水中に含まれる油脂を分解することを特徴とする油脂含有排水の処理方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、油脂を効率よく分解できる油脂分解菌を用いた油脂含有排水の処理方法及び油脂を効率よく分解できる油脂分解菌を含む油脂分解微生物製剤に関するものである。
油脂含有排水を処理する方法としては、加圧浮上装置による油水分離法、リパーゼ反応による油脂分解法、および油脂分解菌を用いる油脂消化方法などが知られている。これらの中で加圧浮上装置による油水分離法は、分離され発生する含油汚泥に起因する悪臭、および薬剤、汚泥処理などのランニングコストが高価となり問題である。リパーゼ反応による油脂分解法は、酵素の価格が高くランニングコストが高価となり問題である。また、酵素反応の阻害物質が存在することに起因する失活などの問題がある。また、油脂分解菌を用いる油脂消化方法についても、十分な能力に足りないため、もっぱら、加圧浮上装置による油水分離法が使用されているのが現状である。そのため、油脂分解菌、および油脂分解菌を含む微生物製剤を利用することによる、低コストであり、かつ効率的な油脂含有排水の処理方法が望まれている。
油脂分解菌を用いる方法としては、特開2014−23474号公報(特許文献1)、特開2013−146689号公報(特許文献2)、特開2012−75396号公報(特許文献3)、特開2011−182782号公報(特許文献4)、特開2010−227849号公報(特許文献5)、特開2010−214310号公報(特許文献6)、特開2002−125659号公報(特許文献7)などが知られている。
具体的に、特開2014−23474号公報は、バークホルデリア マルチボランス(Burkholderia multivorans)に属する微生物を含有する微生物製剤及び該微生物により油脂を分解する廃液処理方法を開示している。特開2013−146689号公報は、油脂が脂肪酸とグリセロールに分解される第2条件下、遊離脂肪酸を資化するヤロウィア リポリティカを作用させる油分解除去方法において、第2条件がバークホルデリア アルボリス(Burkholderia multivorans)が存在する条件であったり、更にはグリセロールを資化する微生物を併用したりといった、多種の微生物を共存させることを特徴とする油分解除去方法を開示している。
特開2014−23474号公報 特開2013−146689号公報 特開2012−75396号公報 特開2011−182782号公報 特開2010−227849号公報 特開2010−214310号公報 特開2002−125659号公報
このような状況下、本発明の目的は、油脂を効率よく分解できる油脂分解菌を用いた油脂含有排水の処理方法及び油脂を効率よく分解できる油脂分解菌を含む油脂分解微生物製剤を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる特定の微生物を油脂含有排水中で作用させることにより、排水中の油脂を効率よく分解できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の第一の油脂含有排水の処理方法は、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるバークホルデリア属の菌を油脂含有排水中で作用させ、該排水中に含まれる油脂を分解することを特徴とする。
本発明の第一の油脂含有排水の処理方法の好適例において、前記微生物が生産するリパーゼの活性が200U/L以上である。
本発明の第一の油脂含有排水の処理方法の他の好適例において、前記微生物が、脂肪酸に加え、グリセロールも資化できる。
本発明の第一の油脂含有排水の処理方法の他の好適例において、前記菌が、バークホルデリア エスピー(Burkholderia sp.)AKL-1(受託番号NITE P-02357)、AKL-5(受託番号NITE P-02359)、AKL-6(受託番号NITE P-02360)、及びAKL-7(受託番号NITE P-02358)よりなる群から選択される少なくとも1種である。
また、本発明の第二の油脂含有排水の処理方法は、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるシュードモナス属の菌を油脂含有排水中で作用させ、該排水中に含まれる油脂を分解することを特徴とする。
本発明の第二の油脂含有排水の処理方法の他の好適例において、前記微生物が、脂肪酸に加え、グリセロールも資化できる。
本発明の第二の油脂含有排水の処理方法の好適例において、前記菌が、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)AKB-1(受託番号NITE P-02361)、AKB-2(受託番号NITE P-02362)、AKB-3(受託番号NITE P-02363)、及びAKB-4(受託番号NITE P-02364)よりなる群から選択される少なくとも1種である。
また、本発明の油脂分解微生物製剤は、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるバークホルデリア属の菌及びリパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるシュードモナス属の菌よりなる群から選択される少なくとも1種の菌を含むことを特徴とする。
本発明によれば、油脂を効率よく分解できる油脂分解菌を用いた油脂含有排水の処理方法及び油脂を効率よく分解できる油脂分解菌を含む油脂分解微生物製剤を提供する。
<油脂含有排水の処理方法>
以下に、本発明の油脂含有排水の処理方法について詳細に説明する。本発明の油脂含有排水の処理方法は、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物を油脂含有排水中で作用させ、該排水中に含まれる油脂を分解することを特徴とするものであるが、第一の油脂含有排水の処理方法においては、上記微生物がバークホルデリア属の菌であり、第二の油脂含有排水の処理方法においては、上記微生物がシュードモナス属の菌である。なお、これらの菌を併用することも可能である。つまり、本発明の第一の油脂含有排水の処理方法において、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できるシュードモナス属の菌を併用してもよいし、本発明の第二の油脂含有排水の処理方法において、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できるバークホルデリア属の菌を併用してもよい。
本発明の油脂含有排水の処理方法に用いる微生物は、リパーゼを生産するため、油脂をグリセロールと脂肪酸に加水分解することができる。また、上記微生物は、油脂の分解により生じる脂肪酸を資化でき、好ましくは脂肪酸に加え、グリセロールも資化できるため、排水中における脂肪酸の蓄積を防ぎ、油脂の分解効率の低下を防ぐことができる。これにより、油脂を効率よく分解することが可能となる。
また、本発明の油脂含有排水の処理方法に用いる微生物は、リパーゼを生産するものであるが、そのリパーゼの活性は200U/L以上であることが好ましく、200〜1600U/Lの範囲であることが更に好ましい。このような微生物としてはバークホルデリア属の菌が好ましい。
微生物の生産するリパーゼの活性は、以下の方法で測定できる。表1に示す、大豆油を炭素源とする最少培地を容量150mlの三角フラスコに30ml分注し、オートクレーブ(120℃、20分)殺菌したのち、平板培地上で生育している菌株、または液体培地で生育している菌株を一白金耳量程度移植し、25℃、180rpmで70時間振とう培養し、培養液を得る。得られた培養液を、リパーゼカラーオートテストワコー(和光純薬工業株式会社製)を用い説明書に従いリパーゼ活性を測定する。活性値はリパーゼ標準液(和光純薬工業株式会社製)を用いて検量線を作成し、算出する。なお、ここでいうリパーゼ活性とは、1分間に1μmolの1,2−ジアシルグリセロールを加水分解する酵素量を1ユニット(U)として定義される。
Figure 2018069127
本発明の油脂含有排水の処理方法に用いる微生物が、バークホルデリア属の菌である場合、バークホルデリア エスピー(Burkholderia sp.)AKL-1(受託番号NITE P-02357)、AKL-5(受託番号NITE P-02359)、AKL-6(受託番号NITE P-02360)、及びAKL-7(受託番号NITE P-02358)よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、本発明の油脂含有排水の処理方法に用いる微生物が、シュードモナス属の菌である場合、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)AKB-1(受託番号NITE P-02361)、AKB-2(受託番号NITE P-02362)、AKB-3(受託番号NITE P-02363)、及びAKB-4(受託番号NITE P-02364)よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の処理方法において、油脂含有排水としては、例えば、食品加工工場、化学工場、乳製品関連工場、レストラン厨房、家庭等から排出される排水が挙げられる。本発明によれば、ノルマルヘキサン抽出物質の濃度が高い油脂含有排水(例えばノルマルヘキサン抽出物質の濃度が500〜2000mg/Lの油脂含有排水)であっても、短い処理時間(例えば24時間程度)で、余剰汚泥の発生が少なく清澄な処理水を得ることができる可能性がある。なお、ノルマルヘキサン抽出物質の濃度は、試料をpH4以下の塩酸酸性にして、試料中の油分をヘキサンにより抽出し、約80℃でヘキサンを揮散させて残留する物質の質量を測定することで求めることができる。
また、油脂の加水分解、および産生した脂肪酸の消費に関しては、薄層クロマトグラフィー(TLC)による分析、評価が出来る。具体的な手順としては、検体からの脂質抽出には、メタノール:メチル−t−ブチルエーテル=1:2で混合した溶媒を使用する。TLCの展開溶媒にはn−ヘキサン:メチル−t−ブチルエーテル:酢酸=85:15:1で混合した溶媒を使用する。リンモリブデン酸/エタノール溶液噴霧後、熱処理したことで出現するスポットの強弱を、画像処理により定量解析することで分析が可能である。
また、リパーゼによる油脂加水分解で産生するグリセロールの消費に関しては、液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析、評価が出来る。また、市販のキットを使用した酵素法による定量も可能である。
本発明の油脂含有排水の処理方法においては、第一の効果として、高活性のリパーゼを生産する菌を作用させることによる油脂分解、および第二の効果として、速やかに脂肪酸を資化できる微生物を油脂含有排水中で作用させることによって、該排水中に含まれる油脂を分解することができるものである。ここで、「作用させる」とは、培養した微生物を微生物製剤として排水処理施設を構成するいずれかの槽に投入にすることにより、微生物が持つリパーゼを生産する能力と脂肪酸を資化する能力を発揮させることを意味する。
本発明の油脂含有排水の処理方法において、油脂含有排水中で微生物を作用させる条件は、本微生物が生育可能で、かつリパーゼの生産や脂肪酸の資化が可能であれば限定されるものではないが、好ましい条件として以下のものが挙げられる。
好ましい温度範囲:10〜40℃、より好ましくは15〜35℃
好ましいpH範囲:4〜8、より好ましくは5〜8
好ましい微生物の使用量:製剤中生菌数濃度として、10〜1011cfu/mL(またはg)の製剤を、投入する反応槽容積の1/1,000〜1/100,000となるように添加する。(cfuとはコロニー フォーミング ユニットの略で、生菌数を示す単位である。)
本発明の油脂含有排水の処理方法においては、後述する本発明の油脂分解微生物製剤の形態で、微生物を油脂含有排水中に添加することが好ましい。
<油脂分解微生物製剤>
以下に、本発明の油脂分解微生物製剤について詳細に説明する。本発明の油脂分解微生物製剤は、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるバークホルデリア属の菌及びリパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるシュードモナス属の菌よりなる群から選択される少なくとも1種の菌を含むことを特徴とする。
本発明の油脂分解微生物製剤に用いる微生物は、好ましいバークホルデリア属の菌として、バークホルデリア エスピー(Burkholderia sp.)AKL-1(受託番号NITE P-02357)、AKL-5(受託番号NITE P-02359)、AKL-6(受託番号NITE P-02360)、及びAKL-7(受託番号NITE P-02358)が挙げられ、好ましいシュードモナス属の菌として、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)AKB-1(受託番号NITE P-02361)、AKB-2(受託番号NITE P-02362)、AKB-3(受託番号NITE P-02363)、及びAKB-4(受託番号NITE P-02364)が挙げられる。
本発明において、微生物の製剤化手段は、特に限定されず、公知の製剤化手段を利用することができる。
製剤が固体(粉末形態)である場合は、菌体の培養液を、適当な乾燥方法で乾燥し、固体とする。乾燥方法としては、真空乾燥機、流動乾燥機、スプレードライヤー、凍結乾燥機、ドラムドライヤーなどによる乾燥方法があげられる。その際、賦形剤などを添加しても構わない。
また製剤が液体であれば、本実施例のように、培養液そのものや、培地成分を遠心分離等で除去したのち緩衝液、生理的食塩水などで置換したもの、あるいは培養液を適宜希釈、または濃縮した液、または栄養分を添加剤として添加したものを使用できる。
本発明の油脂分解微生物製剤は、液体でもよいし、固体(好ましくは粉末形態)でもよい。
<油脂分解菌>
以下に、本発明に使用できる油脂分解菌について詳細に説明する。本発明に使用できる油脂分解菌は、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できるバークホルデリア属の菌又はリパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるシュードモナス属の菌である。
具体例としては、以下に示す油脂分解菌を挙げることができる。
・バークホルデリア エスピー(Burkholderia sp.)AKL-1(受託番号NITE P-02357)
・バークホルデリア エスピー(Burkholderia sp.)AKL-5(受託番号NITE P-02359)
・バークホルデリア エスピー(Burkholderia sp.)AKL-6(受託番号NITE P-02360)
・バークホルデリア エスピー(Burkholderia sp.)AKL-7(受託番号NITE P-02358)
・シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)AKB-1(受託番号NITE P-02361)
・シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)AKB-2(受託番号NITE P-02362)
・シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)AKB-3(受託番号NITE P-02363)
・シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)AKB-4(受託番号NITE P-02364)
油脂分解菌の探索は、例えば次のようにして行われる。自然界より分離した土壌などのサンプルを、油脂を炭素源とする最少培地に適量添加し培養する。油脂分解菌が存在する場合は、培養液中で優先的に増殖する。この集積培養を数回繰り返したのち、油脂を含む寒天培地上に塗布し、油脂分解菌を選抜することが可能である。
上記のような方法によって単離される油脂分解菌の分類、同定は、任意の公知の方法を用いて行うことができる。分類、同定方法の具体例としては、電子顕微鏡による微細形態の観察、DNA−DNAハイブリダイゼ−ションによるDNA類似度、リボソームRNA遺伝子塩基配列から分類、同定を行う方法などがある。例えばリボソームRNA遺伝子の塩基配列の決定には、PCR法等の任意の公知の方法を用いることができる。PCR法を用いる場合、リボソームRNAとしては、23SrRNA、18S rRNA、5.8S rRNA等を適宜選択して用いることができるが、16S rRNAが好ましく用いられる。プライマーとしては任意のものを適宜選択して用いることができる。また、部分塩基配列の相同性の決定には、BLAST、Eztaxon等の任意の公知のソフトウェアを用いることができる。
上記のような方法で、リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる菌株として、バークホルデリア エスピー(Burkholderia sp.)AKL-1、AKL-5、AKL-6、AKL-7、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)AKB-1、AKB-2、AKB-3、AKB-4が単離された。これら菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに、バークホルデリア エスピー(Burkholderia sp.)AKL-1(受託番号NITE P-02357)、AKL-5(受託番号NITE P-02359)、AKL-6(受託番号NITE P-02360)、及びAKL-7(受託番号NITE P-02358)、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)AKB-1(受託番号NITE P-02361)、AKB-2(受託番号NITE P-02362)、AKB-3(受託番号NITE P-02363)、及びAKB-4(受託番号NITE P-02364)として寄託されている。
以下、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
油脂分解菌のスクリーニング:
菌株の分離源として、日本国内の土壌サンプルを採取した。表2に示す、大豆油を炭素源とする最少培地に土壌サンプルを適量添加し、25℃で3日間振とう培養を行った。脂を分解し、脂質を資化し得る菌が存在する場合は、培養液中で優先的に増殖する。この集積培養を2回繰り返したのち、表3に示す、大豆油とビクトリアブルーを含む寒天培地上に塗布し、25℃で3日間静置培養した。培養後、油脂の分解の指標である、青色の呈色を示す菌株を選抜した。
Figure 2018069127
Figure 2018069127
(実施例2)
16SrRNA遺伝子配列の相同性による系統解析:
実施例1より選抜された候補株について、16SrDNA遺伝子の塩基配列解析を行うことにより同定を行った。16SrDNA遺伝子の塩基配列をPCRにて増幅し、シーケンス解析を行った。BLAST相同性検索のデータベースはDB−BA11.0(テクノスルガ・ラボ社)を使用し、簡易分子系統解析を行った。その結果、AKL-1、AKL-5、AKL-6、AKL-7はBurkhlderia属で構成されるクラスター内に含まれたが、何れの既知種とも異なる分子系統学的位置を示したことから、種名の同定に至らなかった。また、AKB-1、AKB-2、AKB-3、AKB-4はPseudomonas属で構成されるクラスター内に含まれたが、何れの既知種とも異なる分子系統学的位置を示したことから、種名の同定に至らなかった。
(実施例3)
得られた菌株の菌学的諸性質:
光学顕微鏡による形態観察およびBarrow&Felthamの方法に基づき、カタラーゼ反応、オキシダーゼ反応、ブドウ糖からの酸/ガス産生、ブドウ糖の酸化/発酵(O/F)について試験した。その結果を表4〜5として示す。また、API20NEキット(bioMerieux社製)を用いて、硝酸塩還元、インドール産生、ブドウ糖酸性化、アルギニンジヒドロラーゼ、ウレアーゼ、エスクリン加水分解、ゼラチン加水分解、β−ガラクトシダーゼ及びチトクロームオキシダーゼについての生化学試験、並びに、ブドウ糖、L−アラビノース、D−マンノース、D−マンニトール、N−アセチル−D−グルコサミン、マルトース、グルコン酸カリウム、n−カプリン酸、アジピン酸、dl−リンゴ酸、クエン酸ナトリウム、酢酸フェニルについての資化性試験を行った。その結果を表6として示す。さらに、AKL-1では各種糖の資化性を試験した。その結果を表7として示す。また、AKB-2では5%、および6%NaClでの生育、Kings’B培地での蛍光色素産生、レバン産生、リパーゼ活性、デンプンの加水分解、カゼインの加水分解性の有無を試験した。その結果を表8として示す。
Figure 2018069127
Figure 2018069127
Figure 2018069127
Figure 2018069127
Figure 2018069127
実施例2、および表4、表6、表7の結果より、AKL-1、AKL-5、AKL-6、およびAKL-7はBurkholderia sp.と推定された。また、実施例2、および表5、表6、表8より、AKB-1、AKB-2、AKB-3、およびAKB-4はPseudomonas sp.と推定された。
(実施例4)
AKL-1、AKL-5、AKL-6、AKL-7および同属株が産生するリパーゼ活性の比較:
AKL-1、AKL-5、AKL-6、AKL-7株を、表2に示す大豆油を炭素源として含む最少液体培地で25℃、180rpmで70時間振とう培養し、培養液を得た。なお、比較例として、Burkholderia属の他種菌株としてNBRC100965(Burkholderia ginsengisoli)、NBRC102086(Burkholderia multivorans)、NBRC102489(Burkholderia fungorum)、NBRC105797(Burkholderia oxyphila)を入手し、培養した。得られた培養液の濁度(OD600値)、およびリパーゼ活性を測定した。リパーゼ活性の測定には、リパーゼカラーオートテストワコー(和光)を用い、活性値の算出にはリパーゼ標準液(和光社市販)を用いて作成した検量線を使用した。その結果を表9として示す。
Figure 2018069127
表9より、AKL-1、AKL-5、AKL-6及びAKL-7は、大豆油を炭素源とした培地で増殖能が高いことから油脂分解能を持ち、脂肪酸を資化することが示された。また、Burkholderia属の他種菌株と比較して高いリパーゼ活性を示し、中でも、AKL-1、AKL-5及びAKL-7のリパーゼ活性が顕著であることが分かった。
(実施例5)
AKB-1、AKB-2、AKB-3、AKB-4および同属株によるモデル液中の油脂分解試験:
油脂分解試験に使用するためにAKB-1、AKB-2、AKB-3、AKB-4および比較例としてPseudomonas属で種の異なる菌株を購入し、これらを、表2に示す組成の培地にて25℃、180rpmで70時間振とう培養し、培養液を得た。得られた培養液を、表10に示す市販の豆乳を20倍希釈した液を含む培地に移植し、培地に含まれる脂質の減少度を確認した。その結果を表11に示す。比較例として、同属他種の菌株を同様に移植した。経時的にサンプリングを実施した。サンプリング液からの脂質抽出には、メタノール:メチル−t−ブチルエーテル=1:2で混合した溶媒を使用した。TLCの展開溶媒にはn−ヘキサン:メチル−t−ブチルエーテル:酢酸=85:15:1で混合した溶媒を使用した。リンモリブデン酸/エタノール溶液噴霧後、熱処理したことで出現するスポットの強弱を、画像処理により定量解析した。その結果、AKB-1、AKB-2、AKB-3、およびAKB-4は同属他種の菌株に比べ、有意に培地中の脂質を分解していた。
Figure 2018069127
Figure 2018069127
表11中、TGはトリグリセリド、FAは脂肪酸であり、TG+FA(mg/L)はTLCによる定量分析からの合算値である。
(実施例6)
培養時の脂肪酸、グリセロール資化能の評価:
AKL-1、AKB-2を市販のNutrient Broth 100mL(500mL容三角フラスコを使用)にて30℃、180rpmで24時間振とう培養し、前培養とした。得られた培養液を100倍希釈になるように、表2に示す組成から大豆油を抜いた培地4L(10L容ジャーファーメンターを使用)に植菌し、25℃、700rpm、通気4L/min条件で培養した。pH調整剤として28%アンモニア水を使用し、pHを7.0に維持した。炭素源として、培養開始時から大豆油を1g/L/hにて連続添加した(終濃度は48g/Lとなる)。48h後に培養液をサンプリングし、培養上清中のトリグリセリド、脂肪酸、およびグリセロールを定量したところ、AKL-1、AKB-2共に、単独の菌でこれらの化合物は完全に資化され、菌体重量が増加していることを確認した。
(実施例7)
実液中の油脂分解試験:
油脂分解試験に使用するために、AKL-1、AKL-5、AKL-6、AKL-7、AKB-1、AKB-2、AKB-3、及びAKB-4を表6に示す組成の培地にて25℃、180rpmで70時間振とう培養し、培養液を得た。得られた培養液を100倍希釈となるように、食品加工工場の排水処理施設より採取された油脂含有排水に移植し、培地に含まれる脂質の減少度を確認した。比較例として、培養液無添加の系を実施した。経時的にサンプリングした液に対し、実施例5記載の分析を行った。その結果を表12に示す。各菌株の培養液を添加した系では無添加に比べ、有意に培地中の脂質を分解していた。
Figure 2018069127

Claims (8)

  1. リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるバークホルデリア属の菌を油脂含有排水中で作用させ、該排水中に含まれる油脂を分解することを特徴とする油脂含有排水の処理方法。
  2. 前記微生物が生産するリパーゼの活性が200U/L以上である請求項1に記載の油脂含有排水の処理方法。
  3. 前記微生物が、脂肪酸に加え、グリセロールも資化できる請求項1に記載の油脂含有排水の処理方法。
  4. 前記菌が、バークホルデリア エスピー(Burkholderia sp.)AKL-1(受託番号NITE P-02357)、AKL-5(受託番号NITE P-02359)、AKL-6(受託番号NITE P-02360)、及びAKL-7(受託番号NITE P-02358)よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の油脂含有排水の処理方法。
  5. リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるシュードモナス属の菌を油脂含有排水中で作用させ、該排水中に含まれる油脂を分解することを特徴とする油脂含有排水の処理方法。
  6. 前記微生物が、脂肪酸に加え、グリセロールも資化できる請求項5に記載の油脂含有排水の処理方法。
  7. 前記菌が、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)AKB-1(受託番号NITE P-02361)、AKB-2(受託番号NITE P-02362)、AKB-3(受託番号NITE P-02363)、及びAKB-4(受託番号NITE P-02364)よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の油脂含有排水の処理方法。
  8. リパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるバークホルデリア属の菌及びリパーゼを生産し且つ脂肪酸を資化できる微生物であるシュードモナス属の菌よりなる群から選択される少なくとも1種の菌を含むことを特徴とする油脂分解微生物製剤。
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