JP2018068901A - 医療デバイスおよび処置方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体組織に針部を穿刺した状態を維持でき、かつ針部による誤穿刺を抑制して安全性を高めることができる医療デバイスおよび処置方法を提供する。
【解決手段】生体内の卵円窩Oに孔を形成するための医療デバイス1であって、穿刺部31が設けられる長尺な針部30と、針部30を収容する管状の外管60と、外管60の近位部が連結される操作部70と、針部30の近位部が連結され、針部30の軸方向に沿って移動可能な移動部80と、穿刺部31が外管60から突出する方向へ移動部80に力を作用させる力発生部90と、を有し、力発生部90は、移動部80を遠位側へ移動させることができ、近位側作用部121と遠位側作用部86の距離は、力発生部90の自然長L0よりも長い。
【選択図】図2

Description

本発明は、生体組織を穿刺するための医療デバイスおよび処置方法に関する。
心臓は、刺激伝導系と呼ばれる心筋組織に電流が流れることで、適切なタイミングで収縮および拡張を繰り返し、血液を循環させている。この刺激伝導系を流れる電気信号の発生や伝達が正常でなくなると、適切なタイミングで収縮および拡張ができなくなり、不整脈が生じる。
不整脈の治療方法として、不整脈を引き起こす信号の伝導経路を、加熱または冷却によりアブレーションして遮断する方法が知られている。この治療方法を行うためのデバイスとして、経皮的に左心房まで挿入し、肺静脈口に位置する信号の伝導経路をアブレーション可能なデバイスが知られている。このようなアブレーションデバイスは、低侵襲で高い効果が得られるとして盛んに用いられている。
左心房でアブレーションを行う際には、右心房から心房中隔の卵円窩という肉薄な隔壁に針を刺して、右心房から左心房へ通じる孔を開ける、心房中隔穿刺(Brockenbrough法)という手技が必要となる。この心房中隔穿刺を行うためのデバイスである経中隔穿刺針(Transseptal Needle)には、機械的穿刺針(Mechanical Needle)と高周波エネルギー穿刺針(Radio Frequency Needle)がある。機械的穿刺針は、安価であるために主流となっている。
機械的穿刺針は、鋭利な針を用いて穿刺を行うものである。機械的穿刺針を用いると、針の過剰な押し付けにより誤穿刺のリスクが生じる。針により誤穿刺すると、心タンポナーデ(心膜と心筋の間に血液が貯留し心不全が起こる状態)という重篤な合併症が伴う可能性がある。一方で、高周波エネルギー穿刺針は、別途設けられる装置であるコンソールから供給される高周波エネルギーを出力することで、心房中隔を貫通させる方法である。このため、高周波エネルギー穿刺針は、誤穿刺のリスクはないが、高価であり、コンソールも必要とする。
例えば特許文献1には、機械的穿刺針をダイレータの内部に収容したデバイスが記載されている。このデバイスのダイレータから突出する穿刺針により卵円窩に孔を開け、開けた孔にダイレータを挿入することで、卵円窩の孔を広げている。
米国特許公開第2002/0169377号明細書
特許文献1に記載のデバイスは、穿刺した後、穿刺針がダイレータから突出した状態が維持される。このため、鋭利な穿刺針による誤穿刺の可能性が生じる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、生体組織に針部を穿刺した状態を維持でき、かつ針部による誤穿刺を抑制して安全性を高めることができる医療デバイスおよび処置方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る医療デバイスは、生体内の生体組織に孔を形成するための医療デバイスであって、遠位側の端部に穿刺部が設けられる長尺な針部と、前記針部を遠位側へ突出可能に収容する管状の長尺体と、前記長尺体の近位部が連結される操作部と、前記針部の近位部が連結され、前記針部の軸方向に沿って移動可能な移動部と、前記穿刺部が前記長尺体から突出する方向へ前記移動部に力を作用させる力発生部と、を有し、前記操作部は、前記力発生部から力を受ける第1の作用部を有し、前記移動部は、前記力発生部から力を受ける第2の作用部を有し、前記第1の作用部および第2の作用部の少なくとも一方は、前記力発生部から離間可能であり、前記力発生部は、収縮した状態から拡張することで前記第1の作用部および第2の作用部に力を作用させて、前記移動部を遠位側へ移動させることができ、前記第1の作用部と前記第2の作用部の距離は、前記力発生部の自然長よりも長い。
上記目的を達成する本発明に係る処置方法は、前述の医療デバイスを使用して生体内の生体組織に孔を形成するための処置方法であって、前記力発生部が収縮して前記穿刺部が前記長尺体に収容された状態の前記医療デバイスを準備するステップと、前記医療デバイスの前記長尺体および穿刺部を生体内に挿入するステップと、前記穿刺部を前記長尺体から突出させて生体組織を穿刺し、前記穿刺部を前記長尺体から突出させた状態で、かつ、前記第1の作用部および前記第2の作用部の少なくとも一方を、前記力発生部から離間したまま維持するステップと、を有する。
上記のように構成した医療デバイスおよび処置方法は、第1の作用部と第2の作用部の距離が力発生部の自然長よりも長く、かつ、第1の作用部および第2の作用部の少なくとも一方は、力発生部から離間可能である。これにより、力発生部が拡張して穿刺部が長尺体から突出して生体組織を穿刺した後、第1の作用部および第2の作用部の少なくとも一方は、前記力発生部から離間する。このため、穿刺部が長尺体内に戻らず、穿刺部が生体組織を穿刺した状態を維持できる。さらに、穿刺部が長尺体から突出した状態において、第1の作用部および第2の作用部の少なくとも一方は、力発生部から離間しているため、針部は力発生部によって付勢されていない。このため、穿刺部が接触すべきでない部位へ接触して近位側へ向かう力を受けると、容易に外管の内部へ戻ることができる。したがって、穿刺部による誤穿刺を抑制して安全性を高めることができる。また、力発生部の力によって、予め設定された力と穿刺ストロークで生体組織を穿刺できるため、誤穿刺を抑制して安全性を高めることができる。
第1実施形態に係る医療デバイスを示す平面図である。 第1実施形態に係る医療デバイスを示す断面図である。 第1実施形態に係る医療デバイスの各部位を組み合わせた状態を示す断面図である。 穿刺デバイスの動作を示す断面図であり、(A)は初期状態、(B)は係合部を移動部に係合させた状態、(C)は穿刺部を突出させた状態、(D)は穿刺部を外管に収容した状態を示す。 心臓の内部を示す部分断面図である。 医療デバイスにより穿刺を行う際の状態を示す断面図であり、(A)はガイドワイヤに沿ってシース組立体を右心房に挿入した状態、(B)はガイドワイヤを引き抜いた状態、(C)はシース組立体に穿刺デバイスを挿入した状態を示す。 医療デバイスにより穿刺を行う際の状態を示す断面図であり、(A)はシース組立体に穿刺デバイスを挿入した状態、(B)は係合部を移動部に係合させた状態、(C)は穿刺部により卵円窩を穿刺した状態を示す。 医療デバイスにより穿刺を行う際の状態を示す断面図であり、(A)は卵円窩の孔にシース組立体を挿入した状態、(B)は穿刺部を外管に収容した状態、(C)は穿刺部をダイレータに収容した状態を示す。 医療デバイスにより穿刺を行う際の状態を示す断面図であり、(A)は外シースからダイレータおよび穿刺デバイスを引き抜いた状態、(B)は外シースにガイドワイヤを挿入した状態を示す。 第2実施形態の穿刺デバイスを示す断面図であり、(A)は初期状態、(B)は係合部を移動部に係合させた状態、(C)は穿刺部を突出させた状態、(D)は穿刺部を外管に収容した状態を示す。 第3実施形態の穿刺デバイスを示す平面図である。 第3実施形態の穿刺デバイスを示す断面図である。 第3実施形態の穿刺デバイスの穿刺調節部を示す斜視図である。 第4実施形態の穿刺デバイスを示す断面図であり、(A)は初期状態、(B)は係合部を移動部に係合させた状態、(C)は穿刺部を突出させた状態、(D)は穿刺部を外管に収容した状態を示す。 医療デバイスの変形例を示す図であり、(A)は第1の変形例の穿刺デバイスの遠位部を示す断面図、(B)は第2の変形例の穿刺デバイスの遠位部を示す平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。本明細書では、デバイスの血管に挿入する側を「遠位側」、操作する手元側を「近位側」と称することとする。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る医療デバイス1は、右心房から心房中隔の卵円窩Oに針を刺して、右心房Rから左心房L(図5を参照)へ通じる孔を形成するために用いられる。卵円窩Oに孔がある場合、経皮的に大静脈に挿入したアブレーションカテーテルを右心房Rへ導いた後、孔を介して左心房Lへ挿入し、肺静脈口の周囲をアブレーションすることができる。すなわち、医療デバイス1は、卵円窩にアブレーションカテーテルのアクセスルートを形成するためのデバイスである。
医療デバイス1は、図1〜3に示すように、穿刺を行う穿刺デバイス10と、穿刺デバイス10を収容するシース組立体20とを有している。穿刺デバイス10は、長尺な針部30と、針部30を収容する外管60と、操作部70とを有している。穿刺デバイス10は、さらに、操作部70の内部に、移動部80と、力発生部90と、付勢部100と、把持部110を有している。シース組立体20は、穿刺デバイス10が挿入されるダイレータ40と、ダイレータ40が挿入される外シース50とを有している。
針部30は、長尺であって中空のワイヤ状の部材である。針部30は、遠位側の端部に鋭利な穿刺部31を有している。針部30の近位側の端部は、操作部70の内部に配置される移動部80に連結されている。針部30は、遠位側から近位側へ貫通する貫通孔32を備えている。針部30の近位部には、側面に開口する側孔33が形成されている。側孔33は、操作部70の内部に配置されている。なお、針部が、中空ではなく中実であってもよい。また、針部30は、遠位側が中空であるとともに側孔を有し、近位側が中実であってもよい。
針部30は、穿刺部31よりも近位側に、所定の角度で曲がった針曲げ部35を備えている。近位部に対する針曲げ部35の角度β1は、特に限定されないが、例えば20〜90度、より好ましくは30〜80度、さらに好ましくは40〜70度である。針曲げ部35は、右心房に挿入した針部30の穿刺部31を、卵円窩Oへ向ける役割を果たす。なお、針部30は、針曲げ部35を備えなくてもよい。
穿刺部31は、生体組織に突き刺さる鋭利な部位であり、中心軸に対して傾斜する端面34を有している。なお、穿刺部31は、生体組織を穿刺できるのであれば、形状は特に限定されず、例えば円錐形状であってもよい。針部30の穿刺部31よりも近位側の部位は、長尺な円管である。なお、針部30の断面形状は、円形でなくてもよい。
針部30の長さは、適宜設定されるが、例えば500〜1100mmである。針部30の外径は、適宜設定されるが、例えば0.5〜1.0mmである。針部30の内径は、適宜設定されるが、例えば0.3〜0.8mmである。穿刺部31の端面34の中心軸に対する傾斜角度α1は、適宜設定されるが、例えば3〜45度、より好ましくは5〜40度、さらに好ましくは10〜35度である。
針部30の構成材料は、可撓性を有し、かつある程度硬質であることが好ましく、例えば、熱処理により形状記憶効果や超弾性が付与される形状記憶合金、ステンレス、タンタル、チタン、プラチナ、金、タングステンなどの金属、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミドなどが好適に使用できる。形状記憶合金は、Ni−Ti系、Cu−Al−Ni系、Cu−Zn−Al系などが好適に使用できる。また、針部30は、X線造影性材料を含んでもよい。X線造影性材料は、例えば、金、白金、イリジウム、タングステンあるいはそれらの合金、銀―パラジウム合金からなる群のうち少なくともいずれか1つの金属もしくは2つ以上の合金から形成されたものが好適である。また、針部30は、超音波造影性材料を含んでもよい。超音波造影性材料は、上述したX線造影性材料の他、ステンレスなども使用できる。
外管60は、管体であり、針部30を摺動可能に収容する。外管60は、針部30と円滑に摺動する内周面を有する。外管60は、針部30の穿刺部31を内部に収容して、ダイレータ40や生体組織を保護する。針部30が外管60の内部を遠位側へ移動すると、穿刺部31が、外管60の内部から遠位側へ突出する。針部30が外管60の内部を近位側へ移動すると、穿刺部31が、外管60の内部から収容される。外管60は、針部30よりも柔軟である。外管60の外表面は、ダイレータ40に対して低摩擦で接触できるように、低摩擦材料がコーティングされてもよい。低摩擦材料は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)等のフッ素系ポリマーが挙げられる。また、外管60の内表面は、針部30に対して低摩擦で接触できるように、低摩擦材料がコーティングされてもよい。
外管60は、自然状態において、遠位部に所定の角度で曲がった外管曲げ部62を有する。外管60の近位部に対する外管曲げ部62の角度β2は、特に限定されないが、例えば20〜90度、より好ましくは30〜80度、さらに好ましくは40〜70度である。外管曲げ部62は、右心房に挿入した針部30の穿刺部31を、卵円窩Oへ向ける役割を果たす。外管60の遠位側端部の外周の縁部は、ダイレータ40に円滑に挿入できるように、曲面に加工されていることが好ましい。
外管60の長さは、適宜設定されるが、例えば400〜1100mmである。外管60の外径は、適宜設定されるが、例えば0.5〜1.5mmである。外管60の内径は、適宜設定されるが、例えば0.3〜1.3mmである。外管60の内周面と針部30の外周面の間の半径でのクリアランスは、適宜設定されるが、例えば0.025〜0.2mmである。
外管60の構成材料は、可撓性がある材質であることが好ましく、例えば、熱処理により形状記憶効果や超弾性が付与される形状記憶合金、ステンレス、タンタル、チタン、プラチナ、金、タングステンなどの金属、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミドなどが好適に使用できる。また、外管60は、X線造影性材料や超音波造影性材料を含んでもよい。外管60は、針部30により破損しないように、針部30の構成材料と同程度の強度を有してもよい。
操作部70の遠位部は、外管60の近位部に連結される筒部71と、ダイレータ40に接続される第1接続部72と、ポート部73とを有している。筒部71は、操作部70の遠位側の端部に位置している。筒部71は、連結される外管60の内腔を、ポート部73の内部に連通させる。第1接続部72は、筒部71の外周面に回転可能に設けられる筒状の部材である。第1接続部72の内周面には、ダイレータ40の近位部に設けられる第2接続部41と螺合可能な雌コネクタが形成されている。
ポート部73は、シール部74と、シール部74と筒部71の間に設けられる第1の収容部77と、柔軟に変形可能なチューブ75と、チューブ75の端部に設けられる三方活栓76を有している。シール部74には、針部30が摺動可能に貫通している。シール部74は、第1の収容部77を、近位側の第2の収容部120から密封している。シール部74は、針部30の外周面と摺動可能に接触する。シール部74は、例えばOリングである。Oリングは、外管60や針部30から血液が漏れることを抑制するとともに、体内へ空気が混入することを抑制する。チューブ75は、第1の収容部77に連通している。第1の収容部77の内部には、針部30の側孔33が位置している。針部30は、第1の収容部77内を軸方向へ移動可能であるが、側孔33は、常に第1の収容部77内に位置している。三方活栓76にシリンジ等を接続することで、第1の収容部77を介して、外管60の内腔をプライミングしたり、外管60に造影剤や薬剤等を注入したりすることができる。また、三方活栓76にシリンジ等を接続することで、第1の収容部77を介して、側孔33から針部30の貫通孔32をプライミングしたり、貫通孔32に造影剤や薬剤等を注入したりすることができる。また、針部30の貫通孔32を利用して、生体内の血液を外部へ導いて、血圧を計測することもできる。血圧を計測することで、穿刺部31が目的の位置へ到達したことを正確に確認できる。
操作部70は、さらに、移動部80および力発生部90を収容する第2の収容部120と、付勢部100および把持部110を収容する第3の収容部130とを有している。
第2の収容部120は、移動部80の遠位部と力発生部90を、移動可能に収容する。第2の収容部120の内部には、力発生部90の近位側の端部と当接する近位側作用部121(第1の作用部)が形成されている。近位側作用部121は、力発生部90の力が作用する部位である。近位側作用部121は、当接する力発生部90が近位側へ移動することを制限する。第2の収容部120の側面には、内部の空間へ貫通する第1の開口部122が形成されている。第2の収容部120の外面には、遠位側へ延在し、第1の開口部122へ向かって弾性的に撓むことが可能な解除部123が設けられている。解除部123は、第1の開口部122へ入り込むことが可能な押圧部124を備えている。押圧部124は、移動部80に設けられる受け部82を押し込むことができる。第2の収容部120は、第1の開口部122の遠位側に、移動部80と係合可能な係合部125を有している。係合部125は、第2の収容部120の内面側へ突出している。係合部125の近位側の近位係合面126は、移動部80の移動方向と垂直である。係合部125の遠位側の遠位傾斜面127は、移動部80の移動方向と傾斜している。
第3の収容部130は、付勢部100と、把持部110と、付勢部100と移動部80の間に位置するリング部131を、移動可能に収容する。第3の収容部130の側面には、内部の空間へ貫通する2つの第2の開口部132が形成されている。2つの第2の開口部132は、把持部110を側方へ導出する。第2の収容部120と第3の収容部130の間には、移動部80が貫通する壁部133が形成されている。壁部133は、第2の収容部120と第3の収容部130の内部空間を分割している。壁部133は、把持部110の遠位部に当接し、把持部110が遠位側へ移動することを制限する。
移動部80は、第2の収容部120および第3の収容部130の内部を、針部30の軸方向に沿って移動可能である。移動部80は、コイルばねである力発生部90および付勢部100を貫通している。移動部80の遠位部には、針部30の近位部が固定されている。移動部80は、遠位側へ延在する撓み部81と、力発生部90の遠位側の端部と当接する遠位側作用部86(第2の作用部)と、フック部87が形成されている。撓み部81は、弾性的に撓むことができる。撓み部81は、押圧部124により押し込まれる受け部82と、受け部82よりも遠位側に位置する移動係合部83とを有している。移動係合部83および受け部82は、第1の開口部122へ向かって突出している。移動係合部83の遠位側の遠位係合面84は、移動部80の移動方向と垂直である。移動係合部83の近位側の近位傾斜面85は、移動部80の移動方向と傾斜している。遠位側作用部86は、力発生部90の力が作用する部位である。遠位側作用部86は、力発生部90の遠位側の端部と当接する。遠位側作用部86が力発生部90からの作用力を受けることで、移動部80が遠位側へ移動可能である。フック部87は、移動部80の近位側の端部に位置する。フック部87は、付勢部100およびリング部131を遠位側から近位側へ貫通して、リング部131の近位側の面に引っ掛かるように当接する。リング部131は、付勢部100とフック部87を良好に接続するためのリング状の部材である。
力発生部90は、第2の収容部120の内部で、移動部80を囲むコイルバネ(弾性体)である。力発生部90の遠位側端部は、移動部80の遠位側作用部86に当接可能である。また、力発生部90の遠位側端部は、遠位側作用部86から離間可能である。力発生部90の近位側端部は、操作部70の近位側作用部121に当接可能である。また、力発生部90の近位側端部は、近位側作用部121から離間可能である。したがって、力発生部90は、移動部80および操作部70のいずれにも固定されていない。なお、力発生部90は、遠位側作用部86および近位側作用部121の一方に固定されてもよい。移動部80の移動方向に沿う力発生部90の自然長L0は、近位側作用部121と遠位側作用部86が最も離れた際の距離L1よりも短い(図4(C)を参照)。力発生部90の自然長L0は、外力が作用していない自然状態において、遠位側作用部86に当接可能な部位から、近位側作用部121に当接可能な部位までの長さである。
付勢部100は、第3の収容部130に位置し、移動部80を囲むコイルバネ(弾性体)である。付勢部100の遠位側端部は、把持部110に当接可能である。付勢部100の近位側端部は、操作部70の近位側作用部121に当接する。付勢部100の近位側端部は、フック部87の遠位側に位置するリング部131に当接する。付勢部100のばね定数は、力発生部90のばね定数よりも小さい。穿刺部31が外管60から最も突出して停止した状態において発生する付勢部100の付勢力は、針部30が、この状態から近位側へ移動し始めるために必要な最低限の力以下である。そのため、針部30が突出して停止した状態の際、針部30は付勢部100から付勢力を受けるが、針部30は停止した状態から動かない。針部30が、外管60から遠位側へ最も突出して停止した状態から、近位側へ移動し始めるために必要な最低限の力は、外部からの曲げ負荷や内腔に血栓等の抵抗を与えていない自然状態の外管60に対する針部30が、近位側に移動し始めるときの最大静止摩擦力を測定することが好ましい。
付勢部100は、把持部110およびリング部131のいずれにも固定されていない。なお、付勢部100は、把持部110およびリング部131の少なくとも一方に固定されてもよい。移動部80の移動方向に沿う付勢部100の自然長は、把持部110とリング部131が最も近づいた際の長さL2よりも長い(図4(C)を参照)。これにより、付勢部100は、把持部110とリング部131が最も近づいた状態、すなわち、穿刺部31が外管60から突出した状態において、針部30に近位側へ向かう力を作用させることができる。
力発生部90および付勢部100は、形状記憶合金やステンレス等からなるコイルバネであるが、拡張力を発生するものであれば、コイルバネでなくてもよい。したがって、力発生部90および付勢部100は、例えば、弾性体、弾性的に変形可能な材料からなる蛇腹構造の部材、圧縮性流体を収容したシリンダやバルーン等であってもよい。弾性体は、例えば天然ゴム、シリコーンゴム、各種エラストマー等である。力発生部90および付勢部100は、上記のいずれの構成であっても、外力が作用しない状態において自然長となり、外力が作用して自然長よりも短く収縮できる。そして、力発生部90および付勢部100は、収縮した状態から自己の拡張力により、自然長へ戻るように拡張可能である。
把持部110は、第3の収容部130に位置し、移動部80の移動方向に沿って移動可能である。把持部110は、近位側へ開く凹部111と、操作部70の第2の開口部132から側方へ突出する突出部112を有している。凹部111には、付勢部100およびリング部131が移動可能に収容されている。凹部111の底面113は、付勢部100の遠位側端部に当接している。凹部111の底面113には、移動部80が貫通している。把持部110は、底面113と当接する付勢部100から、遠位側へ向かう付勢力を受ける。これにより、把持部110の遠位側の端面は、壁部133に押し付けられる。突出部112は、術者が把持して、把持部110を操作部70に対して近位側へ移動させるための部位である。術者が、把持部110を操作部70に対して近位側へ移動させると、把持部110の遠位側の端面が壁部133から離れる。これにより、付勢部100が収縮する。
操作部70、移動部80、把持部110、リング部131の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂の総称)等の硬質の樹脂、ステンレス等の金属などが好適に使用できる。操作部70の第1の収容部77、第2の収容部120および第2の収容部120を備える部材は、理解を容易とするために、1つの部材として説明したが、複数の部材を連結して構成することができる。
ダイレータ40は、図1〜3に示すように、針部30により形成された卵円窩の孔を広げるために用いられる。ダイレータ40は、遠位側端部に、遠位側に向かってテーパ状に縮径するテーパ部42を有している。ダイレータ40の内腔は、テーパ部42の最も縮径した端部で開口している。テーパ部42の中心軸に対する傾斜角度α2は、適宜設定されるが、例えば1〜20度、より好ましくは3〜15度、さらに好ましくは4〜10度である。ダイレータ40の近位部の外周面には、操作部70の第1接続部72と連結可能な第2接続部41が設けられている。第2接続部41は、雄コネクタである。
ダイレータ40は、遠位側に、内径の小さいダイレータ遠位部43と、近位側に、ダイレータ遠位部43よりも内径が大きいダイレータ近位部44を有している。ダイレータ遠位部43とダイレータ近位部44の間には、内径が遠位側に向かって縮径する内径縮径部45が設けられる。ダイレータ近位部44の内周面は、外管60の外周面と摺動可能に密接可能である。また、ダイレータ近位部44の長さは、外管60の長さと一致する。したがって、ダイレータ近位部44に外管60を挿入すると、外管60が、ダイレータ40に対して正確な位置に固定される。このとき、外管60の遠位側端部が、内径縮径部45と接触する。内径縮径部45は、遠位側に向かって縮径している。このため、外管60が内径縮径部45に突き当たると、外管60の遠位側端部の軸心と、内径縮径部45の軸心が正確に一致する。したがって、外管60から突出する穿刺部31を、ダイレータ遠位部43に円滑に導くことができる。ダイレータ遠位部43の内径は、外管60の内径よりも小さく、かつ針部30の長尺部の外径よりも大きい。これにより、クリアランスがある程度確保される外管60の内部で針部30の摺動性を良好に維持しつつ、クリアランスが小さいダイレータ遠位部43の内部で針部30の位置を正確に規定することができる。ダイレータ遠位部43の長さは、外管60から突出する針部30が通過して、ダイレータ40よりも遠位側へ突出できるように設定される。なお、ダイレータ40の内径は、軸方向に沿って一定であってもよい。
ダイレータ40は、自然状態において、遠位部に所定の角度で曲がったダイレータ曲げ部46を有する。ダイレータ40の近位部に対するダイレータ曲げ部46の角度β3は、特に限定されないが、例えば10〜70度、より好ましくは20〜60度、さらに好ましくは30〜50度である。ダイレータ曲げ部46は、右心房に挿入した針部30の穿刺部31や、ダイレータ40のテーパ部42を、卵円窩へ向ける役割を果たす。
ダイレータ40の長さは、適宜設定されるが、例えば400〜1500mmである。ダイレータ40の外径は、適宜設定されるが、例えば2〜6mmである。ダイレータ遠位部43の内径は、適宜設定されるが、例えば0.5〜1.5mmである。ダイレータ近位部44の内径は、適宜設定されるが、例えば1.0〜2.0mmである。ダイレータ遠位部43の長さは、適宜設定されるが、例えば1〜15mm、より好ましくは2〜12mm、さらに好ましくは3〜10mmである。ダイレータ遠位部43の内周面と外管60の外周面の間の半径でのクリアランスは、適宜設定されるが、例えば0.03〜0.1mmである。
ダイレータ40の構成材料は、可撓性を有することが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、形状記憶合金、ステンレス、タンタル、チタン、プラチナ、金、タングステンなどの金属などが好適に使用できる。また、ダイレータ40は、X線造影性材料や超音波造影性材料を含んでもよい。
外シース50は、アブレーションカテーテルのアクセスルートを提供する。外シース50は、シース本体51と、シース本体51の近位部に連結されるハブ54と、ハブ54に連通するシースポート部56と、ハブ54の内部の弁体55とを有している。
シース本体51は、ダイレータ40を軸方向へ移動可能に収容する長尺な管体である。シース本体51は、ダイレータ40と円滑に摺動する内周面を有する。シース本体51は、自然状態において、遠位部に所定の角度で曲がったシース曲げ部52を有する。シース本体51の近位部に対するシース曲げ部52の角度β4は、特に限定されないが、例えば10〜180度、より好ましくは30〜150度、さらに好ましくは45〜135度である。シース曲げ部52は、右心房に挿入した針部30の穿刺部31や、シース本体51の遠位部を、卵円窩へ向ける役割を果たす。
シース本体51は、遠位側端部に、遠位側に向かってテーパ状に縮径するシーステーパ部53を有している。シース本体51の内腔は、シーステーパ部53の最も縮径した端部で開口している。シーステーパ部53の中心軸に対する傾斜角度α3は、適宜設定されるが、例えば1〜15度、より好ましくは2〜10度、さらに好ましくは3〜7度である。外シース50にダイレータ40を挿入したシース組立体20において、シーステーパ部53は、ダイレータ40のテーパ部42の近位側に位置し、テーパ部42と連続するように位置することができる。シース本体51の内周面は、ダイレータ40の外周面が摺動可能に接するように、ダイレータ40の外周面との間にクリアランスを有することが好ましい。
シース本体51は、その全長にわたってダイレータ40が貫通可能である。したがって、シース本体51の軸方向の長さは、ダイレータ40よりも短い。
シース本体51の長さは、適宜設定されるが、例えば400〜1000mmである。シース本体51の外径は、適宜設定されるが、例えば2.5〜7.0mmである。シース本体51の内径は、適宜設定されるが、例えば2〜6mmである。シース本体51の内周面とダイレータ40の外周面の間の半径でのクリアランスは、適宜設定されるが、例えば0.1〜0.5mmである。
シース本体51の構成材料は、可撓性がある材質であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミドなどが好適に使用できる。また、シース本体51の構成材料は、X線造影性材料、超音波造影性材料、金属ブレードやコイルを含んでもよい。
ハブ54は、シース本体51の近位部に設けられ、シース本体51の内腔と連通する。ハブ54には、ダイレータ40が貫通する。シースポート部56は、ハブ54に連結され、ハブ54の内腔を介してシース本体51の内腔と連通する。シースポート部56は、端部に三方活栓57を有している。三方活栓57にシリンジ等を接続することで、シース本体51の内腔をプライミングしたり、シース本体51に造影剤や薬剤等を注入したりすることができる。
弁体55は、ハブ54およびシース本体51の内腔を封止するための部材である。弁体55は、柔軟に変形可能であり、ハブ54の内周面に配置される。弁体55は、ダイレータ40の外周面と摺動可能に接触する。また、弁体55は、ダイレータ40が挿入された状態で、弾性力によりダイレータ40を押圧し、ダイレータ40と外シース50を固定することができる。なお、弁体55で固定されても、ダイレータ40と外シース50を把持して力を作用させることで、軸方向へ相対的に移動させることは可能である。また、ダイレータ40をハブ54から引き抜くことで、弁体55のダイレータ40が挿入された孔部は閉じ、ハブ54の内腔を近位側から封止する。弁体55は、例えば円盤状の弾性体の中央に切れ目を入れた部材である。弾性体は、例えば天然ゴム、シリコーンゴム、各種エラストマー等である。弁体55は、ダイレータ40の抜き差しを許容しつつ、外シース50を介して血液が漏れることを抑制するとともに、体内へ空気が混入することを抑制する。
針部30、外管60、ダイレータ40および外シース50を組み合わせた状態において、針曲げ部35、外管曲げ部62、ダイレータ曲げ部46およびシース曲げ部52の位置、曲げ方向および曲げ角度は、一致または略一致することが好ましい。これにより、穿刺部31を望ましい方向へ突出させることができる。
次に、穿刺デバイス10の動作を説明する。初期状態において、図4(A)に示すように、穿刺部31が外管60に収容されている。移動部80は付勢部100により近位側へ付勢されている。このため、穿刺部31が外管60から突出せず、安全性を確保できる。移動部80を付勢部100により付勢するためには、付勢部100の自然長は、初期状態における把持部110の底面113とリング部131の間の距離よりも長い。したがって、付勢部100は、底面113とリング部131の間で収縮し、付勢力を発生する。なお、初期状態において、移動部80は、付勢部100により付勢されなくてもよい。係合部125の遠位傾斜面127は、移動係合部83の近位傾斜面85に当接している。力発生部90の遠位側端部は、遠位側作用部86に当接し、力発生部90の近位側端部は、近位側作用部121に当接している。このとき、力発生部90は、略自然長である。
次に、図4(B)に示す2点鎖線のように、把持部110を操作部70に対して近位側へ移動させる。これにより、力発生部90よりもばね定数が小さい付勢部100が収縮した後、把持部110に作用する力がリング部131を介してフック部87に伝わる。これにより、移動部80が近位側へ移動し、遠位側作用部86と近位側作用部121が近づき、力発生部90が収縮する。移動部80が近位側へ移動すると、遠位傾斜面127が近位傾斜面85を近位側へ押圧し、解除部123および撓み部81が撓む。このため、移動係合部83が係合部125よりも近位側へ移動する。これにより、解除部123および撓み部81の撓みが戻り、係合部125の近位係合面126が、移動係合部83の遠位係合面84と係合する。近位係合面126が遠位係合面84と係合すると、力発生部90が収縮した状態で、移動部80が操作部70に対して遠位側へ移動不能となる。係合部125が移動部80と係合した状態において、解除部123の押圧部124の押圧方向に、撓み部81の受け部82が位置する。係合部125が移動部80と係合した後、術者が把持部110を離すと、把持部110が、付勢部100の拡張力によって遠位側へ移動し、壁部133に当接する。
次に、術者が解除部123を押圧すると、解除部123が撓み、押圧部124が受け部82を押し下げる。これにより、撓み部81が撓み、撓み部81に設けられる移動係合部83が係合部125から離れる方向へ移動する。このため、係合部125と移動係合部83の係合が解除される。これにより、図4(C)に示すように、収縮している力発生部90が拡張し、移動部80が操作部70に対して遠位側へ移動する。これにより、移動部80に連結された針部30が、操作部70に連結された外管60に対して遠位側へ移動する。このため、穿刺部31が、外管60(およびダイレータ40)から遠位側へ突出する。移動部80が遠位側へ移動すると、受け部82が係合部125に突き当たる。これにより、穿刺部31の突出が、予め設定された距離で停止するため、安全性が高い。この突出状態において、近位側作用部121と遠位側作用部86の間の距離L1は、力発生部90の自然長L0より長い。収縮した状態から自然長L0を超えて拡張する力発生部90の拡張力と、移動部80および針部30の慣性力により、移動部80および針部30は、力発生部90の自然長L0よりも長く移動できる。力発生部90は、拡張して自然長L0に戻ると、近位側作用部121と遠位側作用部86の間の何れかに位置で停止する。穿刺部31が突出状態となると、把持部110の底面113とフック部87の間の距離が短くなり、力発生部90の拡張力によって付勢部100が収縮する。しかしながら、付勢部100の付勢力は、針部30が、外管60から遠位側へ最も突出して停止した状態から、近位側へ移動し始めるために必要な最低限の力以下である。このため、針部30は付勢力を受けても移動せず、穿刺部31が外管60から突出した状態を維持できる。
穿刺部31に近位方向への力が作用し、この作用力と付勢部100の付勢力の合力が、針部30が近位側に移動し始めるときの最大静止摩擦力を越えると、付勢部100が拡張する。これにより、フック部87がリング部131を介して付勢部100から力を受け、移動部80が近位側へ移動する。このとき、近位側作用部121と遠位側作用部86が、力発生部90の自然長L0よりも長く離れている。このため、力発生部90を収縮させずに、図4(D)に示すように、移動部80は、操作部70に対して近位側へ移動可能である。これにより、穿刺部31が外管60に収容される。すなわち、移動部80に付勢部100の力が作用していることで、穿刺部31に近位方向へ小さな力が作用するだけで、穿刺部31が外管60に収容される。力発生部90が、近位側作用部121および遠位側作用部86と接触すると、移動部80および針部30の操作部70に対する移動が停止する。または、遠位傾斜面127および近位傾斜面85が接触することで、移動部80および針部30の操作部70に対する移動が停止してもよい。
次に、第1実施形態に係る医療デバイス1を用いて卵円窩Oに孔を開けて、アブレーションカテーテルのためのアクセスルートを設ける方法を説明する。
始めに、大腿静脈に針を穿刺し、この針の中にショートガイドワイヤを挿入する。次に、針を抜去し、ショートガイドワイヤに沿って、カテーテルイントロデューサーを血管内に挿入する。次に、外シース50の内部にダイレータ40を挿入したシース組立体20を準備する。続いて、ショートガイドワイヤを抜去し、ガイドワイヤ140をカテーテルイントロデューサーに挿入する。次に、ガイドワイヤ140を血管に残したまま、カテーテルイントロデューサーを抜去し、ガイドワイヤ140の近位側端部を、ダイレータ40の遠位側端部から内部に挿入する。次に、シース組立体20を、カテーテルイントロデューサーに挿入し、血管内に挿入する。続いて、ガイドワイヤ140を先行させつつ、シース組立体20の遠位部を右心房Rまで徐々に押し進める。次に、シース組立体20を、ガイドワイヤ140に沿って右心房Rから上大静脈内へ、一旦挿入する。続いて、シース組立体20を後退させて右心房R内へ引き込むと、図5、図6(A)に示すように、シース組立体20の遠位側端部が、卵円窩Oの近傍へ自然と導かれる。この後、図6(B)に示すように、ガイドワイヤ140をシース組立体20から抜去する。
次に、図6(C)、図7(A)に示すように、ダイレータ40の近位側から、ダイレータ40の内腔に穿刺デバイス10を挿入する。穿刺デバイス10は、外管60の内部に穿刺部31が完全に収容された初期状態である。このため、穿刺部31によるダイレータ40の損傷を抑制できる。次に、穿刺デバイス10を押し進め、外管60の遠位側端部を、ダイレータ40の内径縮径部45に突き当てる。この後、第1接続部72と第2接続部41を連結する。これにより、穿刺デバイス10が、ダイレータ40に対して正確に位置決めされる。続いて、心腔内心エコーカテーテル(ICE:Intra cardiac echo catheter)により左心房Lおよび右心房R内を観察しつつ、ダイレータ40を遠位側へ押し込む。これにより、卵円窩Oは、ダイレータ40により左心房L側へ押されて突出した状態となる。このとき、外シース50、ダイレータ40、外管60および針部30の遠位部が曲がっているため、ダイレータ40の遠位側の端部を、卵円窩Oへ容易に向けることができる。なお、卵円窩Oを、左心房L側へ突出した状態としなくてもよい。
次に、図7(B)に示すように、術者は、体外に位置する操作部70を保持し、把持部110を近位側へ移動させる。これにより、移動部80が近位側へ移動し、力発生部90が収縮して、係合部125が移動係合部83と係合する。係合部125の近位係合面126が、移動係合部83の遠位係合面84と係合すると、力発生部90が収縮した状態で、移動部80が操作部70に対して遠位側へ移動不能となる。なお、力発生部90を収縮させる動作は、ダイレータ40の内腔に穿刺デバイス10を挿入する前に行うこともできる。
次に、術者は、解除部123を押圧する。これにより、解除部123の押圧部124が受け部82を押し下げ、係合部125と移動係合部83の係合が解除される。これにより、図7(C)に示すように、力発生部90が拡張し、移動部80とともに針部30が遠位側へ移動する。これにより、穿刺部31が外管60からダイレータ遠位部43の内部に移動し、さらにダイレータ40から遠位側へ突出する。したがって、穿刺部31が卵円窩Oを穿刺する。移動部80が遠位側へ移動すると、受け部82が係合部125に突き当たる。これにより、穿刺部31が、予め設定された力およびストロークで突出する。このため、穿刺部31が目的外の位置へ誤穿刺することを抑制できる。穿刺部31の突出が停止すると、針部30と外管60の静止摩擦力により、穿刺部31の突出状態が維持される。この突出状態において、近位側作用部121と遠位側作用部86の離間距離は、力発生部90の自然長L0よりも長い。穿刺部31が卵円窩Oを貫通すると、卵円窩Oを左心房L側へ押圧していたダイレータ40の遠位側端部の一部が、卵円窩Oに開けられた孔に入り込む。なお、ダイレータ40の一部が、卵円窩Oの孔に入り込まなくてもよい。これにより、貫通孔32を介して血圧を計測することで、穿刺部31が左心房Lへ到達したことを正確に確認できる。また、針部30の貫通孔32から、左心房Lへ造影剤を放出できる。
次に、体外の操作部70を押し込み、医療デバイス10を遠位側へ移動させる。これにより、図8(A)に示すように、ダイレータ40のテーパ部42および外シース50のシーステーパ部53が、卵円窩Oの孔を押し広げつつ卵円窩Oを通過し、左心房Lに到達する。このとき、テーパ部42およびシーステーパ部53が、遠位側へ縮径しているため、卵円窩Oの孔を滑らかに広げることができる。また、穿刺部31が、卵円窩Oを穿刺した突出状態で維持されているため、ダイレータ40および外シース50を、穿刺部31に沿って、卵円窩Oの孔に容易に押し込むことができる。また、穿刺部31により卵円窩Oを穿刺した際に、ダイレータ40のテーパ部42の一部が、卵円窩Oの孔に入り込んでいるため、ダイレータ40および外シース50を、卵円窩Oの孔に押し込むことが容易である。
穿刺部31が卵円窩Oを穿刺して突出した状態で、穿刺部31が接触すべきでない血管壁等に接触すると、穿刺部31に近位方向への力が作用する。この作用力と付勢部100の付勢力の合力が、針部30が近位側に移動し始めるときの最大静止摩擦力を越えると、図8(B)に示すように、付勢部100が拡張し始める。これにより、移動部80とともに穿刺部31が近位側へ移動し、穿刺部31が外管60に収容される。または、図8(C)に示すように、穿刺部31が外管60よりも遠位側に位置するダイレータ40の遠位部の内腔に収容される。このとき、近位側作用部121と遠位側作用部86が、力発生部90の自然長L0よりも長く離れているため、力発生部90を収縮させる必要がない。したがって、穿刺部31に近位方向へ小さな力が作用するだけで、穿刺部31が外管60または外管60よりも遠位側に位置するダイレータ40の内腔に収容される。これにより、例えば穿刺部31が接触すべきでない血管壁に接触した場合、穿刺部31は、力発生部90の力が作用している場合(突出させる力が作用している場合)や、付勢部100がない場合(引き戻す力が作用しない場合)と比較して、小さい力で近位側へ戻ることができる。したがって、穿刺部31が接触する血管壁の損傷が小さくなるか、または損傷が生じない。このため、穿刺部31による誤穿刺を抑制できる。
ダイレータ40および外シース50が左心房Lに到達した後、穿刺部31の突出状態が維持されている場合には、術者は、把持部110を操作部70に対して近位側へ移動させる。これにより、移動部80を介して針部30に近位方向の力が作用し、穿刺部31が外管60またはダイレータ40の内腔に収容される。
次に、図9(A)に示すように、外シース50を残して、穿刺デバイス10およびダイレータ40を、体外へ抜去する。ダイレータ40により広げられた卵円窩Oの孔は、外シース50により維持される。外シース50からダイレータ40を抜去すると、弁体55が閉じ、血液の漏えいや、血管内への空気等の混入を抑制できる。この後、図9(B)に示すように、外シース50の近位側から、弁体55を介してガイドワイヤ140を挿入し、左心房Lへ到達させる。この後、ガイドワイヤ140に沿って、外シース50の近位側から、弁体55を介してアブレーションカテーテルを挿入する。これにより、卵円窩Oを貫通する外シース50を利用して、アブレーションカテーテルを左心房Lへ挿入することができる。アブレーションカテーテルにより左心房Lにてアブレーションを行った後、アブレーションカテーテルおよび外シース50を体外に抜去すると、卵円窩Oの孔が収縮する。これにより、手技が完了する。
以上のように、第1実施形態に係る医療デバイス1は、生体内の卵円窩O(生体組織)に孔を形成するための医療デバイス1であって、遠位側の端部に穿刺部31が設けられる長尺な針部30と、針部30を遠位側へ突出可能に収容する管状の外管60(長尺体)と、外管60の近位部が連結される操作部70と、針部30の近位部が連結され、針部30の軸方向に沿って移動可能な移動部80と、穿刺部31が外管60から突出する方向へ移動部80に力を作用させる力発生部90と、を有し、操作部70は、力発生部90から力を受ける近位側作用部121(第1の作用部)を有し、移動部80は、力発生部90から力を受ける遠位側作用部86(第2の作用部)を有し、近位側作用部121および遠位側作用部86の少なくとも一方は、力発生部90から離間可能であり、力発生部90は、収縮した状態から拡張することで近位側作用部121および遠位側作用部86に力を作用させて、移動部80を遠位側へ移動させることができ、近位側作用部121と遠位側作用部86の距離は、力発生部90の自然長L0よりも長い。
上記のように構成した医療デバイス1は、近位側作用部121と遠位側作用部86の距離が力発生部90の自然長L0よりも長く、かつ、近位側作用部121および遠位側作用部86の少なくとも一方は、力発生部90から離間可能である。これにより、力発生部90が拡張して穿刺部31が外管60から突出して卵円窩Oを穿刺した後、近位側作用部121および遠位側作用部86の少なくとも一方は、力発生部90から離間する。このため、穿刺部31が外管60内に戻らず、穿刺部31が卵円窩Oを穿刺した状態を維持できる。このため、外管60や、外管60のさらに外側に配置されるダイレータ40等の管体を、針部30に沿って卵円窩Oに形成した孔へ容易に押し込むことができる。さらに、穿刺部31が外管60から突出した状態において、近位側作用部121および遠位側作用部86の少なくとも一方は、力発生部90から離間している。このため、針部30は力発生部90によって付勢されていない。これにより、穿刺部31が近位側へ向かう力を受けると、穿刺部31は、容易に外管60または外管60よりも遠位側に位置するダイレータ40の内腔へ戻ることができる。したがって、穿刺部31が血管壁等の接触すべきでない部位に接触すると、穿刺部31が外管60または外管60よりも遠位側に位置するダイレータ40の内腔に収容され、穿刺部31による誤穿刺を抑制して安全性を高めることができる。また、力発生部90の力によって、予め設定された圧力と穿刺ストロークで卵円窩Oを穿刺できるため、誤穿刺を抑制して安全性を高めることができる。
また、近位側作用部121と遠位側作用部86の距離は、変化可能であり、力発生部90の自然長L0よりも短くなることができ、かつ力発生部90の自然長L0よりも長くなることができる。近位側作用部121と遠位側作用部86の距離が、力発生部90の自然長L0よりも短くなることで、力発生部90の拡張力が、針部30へ作用することができる。近位側作用部121と遠位側作用部86の距離が、力発生部90の自然長L0よりも長くなることで、近位側作用部121および遠位側作用部86の少なくとも一方が、力発生部90から離間する。これにより、力発生部90の力が針部30へ作用しない状態とすることができる。
また、操作部70は、力発生部90が収縮した状態で移動部80と係合する係合部125と、係合部125と移動部80の係合を解除する解除部123と、を有する。これにより、解除部123を操作することで穿刺部31を外管60から突出させることができ、操作性が向上する。
また、操作部70は、当該操作部70の外部に露出し、移動部80を操作部70に対して移動させるための把持部110を有する。これにより、把持部110を操作することで、力発生部90を収縮させることができる。そして、移動部80を操作部70に対して移動させて、係合部125と移動部80を係合させることができる。
また、医療デバイス1は、操作部70に配置され、穿刺部31が外管60から突出した状態で、針部30に近位側へ向かう力を作用させる付勢部100をさらに有する。これにより、穿刺部31が外管60から突出した状態において、付勢部100の付勢力が、穿刺部31を外管60または外管60よりも遠位側に位置するダイレータ40の内腔へ戻すための補助となる。このため、穿刺部31が接触すべきでない部位へ接触して近位側へ向かう力を受けると、付勢部100の付勢力の補助により、穿刺部31が外管60またはダイレータ40へ容易に収容させる。このため、穿刺部31による誤穿刺を抑制して安全性を高めることができる。
また、穿刺部31が外管60から最も突出して外管60に対して停止した状態における付勢部100の付勢力は、穿刺部31がこの状態から近位側へ移動し始めるときの最大静止摩擦力以下である。これにより、針部30に付勢部100の付勢力が作用しても、針部30と外管60の静止摩擦力によって、穿刺部31を外管60から突出させた状態を維持できる。このため、穿刺部31が卵円窩Oを穿刺した状態を維持できる。したがって、外管60や、外管60のさらに外側に配置されるダイレータ40等の管体を、針部30に沿って卵円窩Oに形成した孔へ容易に押し込むことができる。そして、針部30に付勢部100の付勢力が作用しているため、穿刺部31が近位側へ向かう力を少しでも受けると、付勢部100の付勢力の補助により、穿刺部31が外管60または外管60よりも遠位側に位置するダイレータ40へ容易に収容させる。このため、穿刺部31による誤穿刺を抑制して安全性を高めることができる。
また、付勢部100のばね定数は、力発生部90のばね定数よりも小さい。これにより、穿刺部31により穿刺するために必要な力発生部90の押す力は大きくし、穿刺部31を引き戻すための付勢力は、小さく設定できる。また、穿刺する際の力発生部90の拡張力によって、付勢部100を収縮させて、付勢力を発生させることができる。
また、針部30は中空であり、近位部に側孔33を有し、操作部70は、側孔33に連通して外部の器具(例えば、シリンジ)に連結可能なポート部73を有する。これにより、ポート部73から針部30の内腔をプライミングできる。また、針部30の内腔を利用して、薬剤や造影剤を注入したり、または生体内の血液を外部へ導いて、血圧を計測したりすることができる。血圧を計測することで、穿刺部31が目的の位置へ到達したこと正確に確認できる。
また、針部30を収容する長尺体は、ダイレータ40に挿入可能な外管60である。これにより、外管60に針部30を収容して安全性を確保しつつ、針部30および外管60をダイレータ40に対して脱着できる。このため、穿刺部31によるダイレータ40の損傷を、外管60により抑制できる。また、ガイドワイヤ140等を用いてダイレータ40を所定の位置に導いた後に、外管60および針部30をダイレータ40に取り付けることができる。さらに、場合によって、ダイレータ40から外管60および針部30を取り外すことができる。このため、多様な操作が可能となり、操作性が向上する。
また、針部30を収容する長尺体は、遠位側端部の外径が遠位側に向かって減少するダイレータ40であってもよい。これにより、針部30により開けた卵円窩Oの孔に、ダイレータ40を円滑に挿入し、卵円窩Oの孔を容易に広げることができる。また、ダイレータ40と外管60は、別体であるが、一体であってもよい。また、ダイレータ40(長尺体)があれば、外管は設けられなくてもよい。
また、本発明は、上述の医療デバイス1を使用して生体内で卵円窩O(生体組織)に孔を形成するための処置方法(治療方法)をも含む。当該処置方法は、力発生部90が収縮して穿刺部31が外管60(長尺体)に収容された状態の医療デバイス1を準備するステップと、医療デバイス1の外管60および穿刺部31を生体内に挿入するステップと、穿刺部31を外管60から突出させて卵円窩Oを穿刺し、穿刺部31を外管60から突出させた状態で、かつ、近位側作用部121(第1の作用部)および遠位側作用部86(第2の作用部)の少なくとも一方を、力発生部90から離間したまま維持するステップと、を有する。
上記のように構成した処置方法は、穿刺部31が外管60から突出して卵円窩Oを穿刺した後、穿刺部31が外管60内に戻らず、穿刺部31が卵円窩Oを穿刺した状態を維持する。このため、外管60や、外管60のさらに外側に配置されるダイレータ40を、針部30に沿って、卵円窩Oに形成した孔へ容易に押し込むことができる。さらに、穿刺部31が外管60から突出した状態において、針部30は力発生部90によって付勢されていない。このため、穿刺部31が近位側へ向かう力を受けると、穿刺部31が容易に外管60の内部へ戻ることができる。したがって、穿刺部31に意図しない部位が接触すると、穿刺部31が外管60に収容され、穿刺部31による誤穿刺を抑制して安全性を高めることができる。また、力発生部90の力によって、予め設定された圧力と穿刺ストロークで卵円窩Oを穿刺できるため、誤穿刺を抑制して安全性を高めることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る医療デバイスは、図10(A)に示すように、穿刺デバイス200に付勢部が設けられない点で、第1実施形態と異なる。なお、前述の実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。把持部110の内部に位置するリング部201は、第1実施形態のリング部131よりも軸方向へ長い。これにより、付勢部が存在しなくても、フック部87と把持部110の間で力を伝達できる。
次に、穿刺デバイス200の動作を説明する。初期状態において、図10(A)に示すように、穿刺部31が外管60に収容されている。係合部125の遠位傾斜面127は、移動係合部83の近位傾斜面85に当接している。力発生部90の遠位側端部は、遠位側作用部86に当接し、力発生部90の近位側端部は、近位側作用部121に当接している。このとき、力発生部90の長さは、自然長L0である。なお、力発生部90は、遠位側作用部86および近位側作用部121に当接しなくてもよい。また、遠位傾斜面127が、近位傾斜面85に当接していなくてもよい。
次に、図10(B)に示すように、把持部110を操作部70に対して近位側へ移動させる。これにより、把持部110に作用する力がリング部201を介してフック部87に伝わる。これにより、移動部80が近位側へ移動し、力発生部90が収縮する。移動部80が近位側へ移動すると、移動係合部83が係合部125よりも近位側へ移動して係合する。これにより、力発生部90が収縮した状態で、移動部80が操作部70に対して遠位側へ移動不能となる。
次に、解除部123を押圧すると、押圧部124が受け部82を押し下げ、係合部125と移動係合部83の係合が解除される。これにより、図10(C)に示すように、収縮している力発生部90が拡張し、移動部80が操作部70に対して遠位側へ移動する。これにより、移動部80に連結された針部30の穿刺部31が、外管60およびダイレータ40から突出する。この突出において、移動部80および針部30は、力発生部90の自然長L0より長く移動する。力発生部90の長さは、自然長L0へ戻り、近位側作用部121と遠位側作用部86の間の距離よりも短くなる。
穿刺部31が接触すべきでない血管壁等に接触すると、穿刺部31に近位方向への力が作用する。この作用力が、針部30が近位側に移動し始めるときの最大静止摩擦力を越えると、図10(D)に示すように、穿刺部31が近位側へ移動する。このとき、近位側作用部121と遠位側作用部86が、力発生部90の自然長L0よりも長く離れている。このため、力発生部90を収縮させずに、移動部80を操作部70に対して近位側へ移動させることが可能である。これにより、移動部80が操作部70に対して近位側へ移動し、穿刺部31が外管60または外管60よりも遠位側に位置するダイレータ40の内腔に収容される。すなわち、穿刺部31が突出した状態において、針部30に力発生部90の拡張力が作用していないため、穿刺部31に近位方向へ小さな力が作用するだけで、穿刺部31が外管60に収容される。このため、穿刺部31は、突出した状態で接触すべきでない部位に接触すると、外管60またはダイレータ40に収容されるため、誤穿刺を抑制できる。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る医療デバイスは、図11〜13に示すように、穿刺部31の突出長さを調節するための穿刺調節部300を有する点で、第1実施形態と異なる。なお、前述の実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
穿刺調節部300は、穿刺部31の外管60またはダイレータ40からの突出長さを調節するための部材であり、移動部80の受け部82が突き当る位置、すなわち、第2の収容部120の内部の遠位部に配置される。穿刺調節部300は、第2の収容部120の内部で回転可能なリング状の部材である。穿刺調節部300は、近位側の面に、周方向に並ぶ複数の段差部301を有している。複数の段差部301は、近位側への突出量が異なる。段差部301は、係合が解除されて第2の収容部120の内部を遠位側へ移動する受け部82の遠位側端面と接触可能である。また、穿刺調節部300は、外周面に、手技者が操作するための操作用凸部302を有する。操作用凸部302は、第2の収容部120の側面に設けられる第3の開口部305から、外部へ突出している。第3の開口部305は、操作用凸部302を周方向へ回転させることが可能な大きさを有する。第3の開口部305から突出する操作用凸部302を操作して穿刺調節部300を回転させると、受け部82の遠位側端面が接触する段差部301を選択可能である。なお、選択した段差部301が分かるように、第2の収容部120の外周面に、目盛、文字、記号、図形、色等が設けられてもよい。穿刺調節部300を回転させて、受け部82の遠位側端面が接触する段差部301を選択することで、移動部80が移動可能な長さを調節できる。このため、移動部80とともに移動する穿刺部31の外管60(またはダイレータ40)からの突出長さを、調節することが可能である。したがって、常に穿刺に最適な突出長さおよび突出力で穿刺部31を突出させることができ、操作性および安全性が向上する。また、穿刺操作が術者の技能に依存し難くなり、操作性および安全性が向上する。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る医療デバイスは、図14に示すように、主に操作部410および付勢部430の構造が、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
穿刺デバイス400は、図14(A)に示すように、長尺な針部30と、針部30を収容する外管60と、操作部410とを有している。さらに、穿刺デバイス400は、操作部410の内部に、移動部420と、力発生部90と、付勢部430と、把持部440を有している。
把持部440は、操作部410の内部で移動可能であり、力発生部90の内部に入り込むことができる。付勢部430は、最も遠位側に位置する際に、突出部112が導出される第2の開口部132の遠位側の縁部411と接触する。
付勢部430は、把持部440の内部に配置される。付勢部430の外径は、力発生部90の内径よりも小さい。このため、付勢部430は、力発生部90の内部へ入り込むことが可能である。付勢部430の自然長は、力発生部90の自然長よりも長い。また、付勢部430が自然長から最も収縮するまでの長さ変化量は、付勢部90が自然長から最も収縮するまでの長さ変化量よりも長い。このため、付勢部430は、針部30を長く移動させることができる。針部30が初期状態の位置から最も突出した位置までの長さは、付勢部430が収縮する長さと一致し、約10〜15mmである。
付勢部430の線径は、力発生部90の線径よりも小さい。このため、付勢部430の付勢力(拡張力)を、力発生部90の拡張力よりも小さくすることができる。
次に、穿刺デバイス400の動作を説明する。初期状態において、図14(A)に示すように、穿刺部31が外管60に収容されている。移動部420は付勢部430により近位側へ付勢されている。このため、穿刺部31が外管60から突出せず、安全性を確保できる。また、付勢部430および把持部440の一部は、力発生部90の内部に入り込んでいる。このため、力発生部90よりも長く嵩張る付勢部430を操作部410にコンパクトに収容できる。したがって、操作部410の長さが必要以上に長くなることを抑制でき、操作部410の操作性が向上する。
次に、図14(B)に示す2点鎖線のように、把持部440を操作部410に対して近位側へ移動させる。これにより、力発生部90よりもばね定数が小さい付勢部430が収縮した後、把持部440に作用する力がリング部131を介してフック部87に伝わる。これにより、移動部420が近位側へ移動し、遠位側作用部86と近位側作用部121が近づき、力発生部90が収縮する。移動部420が近位側へ移動すると、移動係合部83が係合部125と係合し、移動部420が操作部410に対して遠位側へ移動不能となる。この後、術者が把持部440を離すと、把持部440が、付勢部430の拡張力によって遠位側へ移動し、第2の開口部132の遠位側の縁部411に当接する。
次に、術者が解除部123を押圧すると、押圧部124が受け部82を押し下げ、係合部125と移動係合部83の係合が解除される。これにより、図14(C)に示すように、収縮している力発生部90が拡張し、移動部420が操作部410に対して遠位側へ移動する。これにより、移動部420に連結された針部30の穿刺部31が、外管60およびダイレータ40から遠位側へ突出する。移動部420が遠位側へ移動すると、遠位側作用部86が、押圧部124に突き当たる。これにより、穿刺部31の突出が、予め設定された距離で停止するため、安全性が高い。穿刺部31が最も突出した状態において、力発生部90は、近位側作用部121と遠位側作用部86の間の何れかに位置で停止する。穿刺部31が突出状態となると、把持部440の底面113とフック部87の間の距離が短くなり、力発生部90の拡張力によって付勢部430が収縮する。しかしながら、付勢部430の付勢力は、針部30が、外管60から遠位側へ最も突出して停止した状態から、近位側へ移動し始めるために必要な最低限の力以下である。このため、針部30は付勢力を受けても移動せず、穿刺部31が外管60から突出した状態を維持できる。
穿刺部31が接触すべきでない血管壁等に接触すると、穿刺部31に近位方向への力が作用する。この作用力と付勢部430の付勢力の合力が、針部30が近位側に移動し始めるときの最大静止摩擦力を越えると、付勢部430が拡張する。これにより、フック部87がリング部131を介して付勢部430から力を受け、移動部420が近位側へ移動する。このとき、力発生部90が、近位側作用部121および遠位側作用部86の少なくとも一方と離れている。このため、図14(D)に示すように、穿刺部31に近位方向へ小さな力が作用するだけで、穿刺部31が外管60またはダイレータ40に収容される。力発生部90が、近位側作用部121および遠位側作用部86と接触すると、移動部420および針部30の操作部410に対する移動が停止する。針部30を引き戻す際の付勢部430の長さ変化量は、力発生部90の拡張時の長さ変化量よりも長い。このため、力発生部90から拡張力を受けて、慣性力を利用して力発生部90の拡張可能な長さを超えて遠位側へ移動する針部30を、長さ変化量の長い付勢部430によって、外管60またはダイレータ40の内部まで引き戻すことができる。
以上のように、第4実施形態に係る医療デバイスは、付勢部430の少なくとも一部が、力発生部90の内部へ入り込むことが可能である。これにより、操作部410が長くなり過ぎることを防ぎ、操作性を向上させることができる。
また、付勢部430の自然長は、力発生部90の自然長よりも長い。これにより、力発生部90から拡張力を受けて、力発生部90の自然長よりも長く移動した針部30を、力発生部90よりも長い付勢部430によって、外管60またはダイレータ40の内部まで引き戻すことができる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、上述した医療デバイスは、卵円窩以外の生体内の生体組織を穿刺するために用いられてもよい。また、医療デバイスは、生体組織の孔を広げるために使用されなくてもよい。例えば、医療デバイスは、生体内の生体組織(例えば、心筋、臓器)を穿刺し、薬剤、造影剤または生理食塩液等を注入する注入具として使用されてもよい。薬剤は、例えば心筋へ注入するための細胞を含んでもよい。針部を収容している長尺体は、生体組織に形成した孔へ押し込まれてもよいが、押し込まれなくてもよい。また、医療デバイスは、生体内の生体組織を穿刺し、生体内の体液等を排出する目的で使用されてもよい。
また、針部30を収容する外管は、ダイレータ40を貫通して、ダイレータ40から遠位側へ突出可能であってもよい。この場合、例えば、図15(A)に示す第1の変形例のように、外管310の遠位側の端部311の外径が、遠位側へ向かってテーパ状に減少してもよい。これにより、外管310を生体組織へ小さな抵抗で押し込むことが可能となる。
また、図15(B)に示す第2の変形例のように、針部320の遠位部に、曲げ剛性が低い脆弱部321が設けられてもよい。脆弱部321は、例えばスパイラル加工を施されている。スパイラル加工により、針部320は、螺旋状に連続する切り込み322が形成される。脆弱部321は、針部320が外管60に対して突出し、かつ収容される際に、外管曲げ部62の内部を摺動する部位であることが好ましい。これにより、針部320の外管曲げ部62に対する摺動抵抗が減少する。このため、針部320と外管60の摩擦力が減少する。このため、突出状態の穿刺部31を、小さい力で外管60へ収容することが可能となり、安全性が向上する。
1 医療デバイス、
10、200、400 穿刺デバイス、
20 シース組立体、
30、320 針部、
31 穿刺部、
32 貫通孔、
33 側孔、
40 ダイレータ、
42 テーパ部、
60、310 外管、
70、410 操作部、
80、420 移動部、
86 遠位側作用部(第2の作用部)、
90 力発生部、
100、430 付勢部、
110、440 把持部、
121 近位側作用部(第1の作用部)、
125 係合部、
L0 自然長、
L1 距離、
O 卵円窩(生体組織)、
L 左心房、
R 右心房。

Claims (9)

  1. 生体内の生体組織に孔を形成するための医療デバイスであって、
    遠位側の端部に穿刺部が設けられる長尺な針部と、
    前記針部を遠位側へ突出可能に収容する管状の長尺体と、
    前記長尺体の近位部が連結される操作部と、
    前記針部の近位部が連結され、前記針部の軸方向に沿って移動可能な移動部と、
    前記穿刺部が前記長尺体から突出する方向へ前記移動部に力を作用させる力発生部と、を有し、
    前記操作部は、前記力発生部から力を受ける第1の作用部を有し、
    前記移動部は、前記力発生部から力を受ける第2の作用部を有し、
    前記第1の作用部および第2の作用部の少なくとも一方は、前記力発生部から離間可能であり、
    前記力発生部は、収縮した状態から拡張することで前記第1の作用部および第2の作用部に力を作用させて、前記移動部を遠位側へ移動させることができ、
    前記第1の作用部と前記第2の作用部の距離は、前記力発生部の自然長よりも長い医療デバイス。
  2. 前記第1の作用部と前記第2の作用部の距離は、変化可能であり、前記力発生部の自然長よりも短くなることができ、かつ前記力発生部の自然長よりも長くなることができる請求項1に記載の医療デバイス。
  3. 前記操作部は、
    前記力発生部が収縮した状態で前記移動部と係合する係合部と、
    前記係合部と移動部の係合を解除する解除部と、を有する請求項1または2に記載の医療デバイス。
  4. 前記操作部に配置され、前記穿刺部が前記長尺体から突出した状態で、前記針部に近位側へ向かう力を作用させる付勢部をさらに有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  5. 前記穿刺部が前記長尺体から最も突出して前記長尺体に対して停止した状態における前記付勢部の付勢力は、前記穿刺部が当該状態から近位側へ移動し始めるときの最大静止摩擦力以下である請求項4に記載の医療デバイス。
  6. 前記付勢部のばね定数は、前記力発生部のばね定数よりも小さい請求項4または5のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  7. 前記付勢部の少なくとも一部は、前記力発生部の内部へ入り込むことが可能である請求項4〜6のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  8. 前記付勢部の自然長は、前記力発生部の自然長よりも長い請求項4〜7のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  9. 請求項1に記載の医療デバイスを使用して生体内の生体組織に孔を形成するための処置方法であって、
    前記力発生部が収縮して前記穿刺部が前記長尺体に収容された状態の前記医療デバイスを準備するステップと、
    前記医療デバイスの前記長尺体および穿刺部を生体内に挿入するステップと、
    前記穿刺部を前記長尺体から突出させて生体組織を穿刺し、前記穿刺部を前記長尺体から突出した状態で、かつ、前記第1の作用部および前記第2の作用部の少なくとも一方を、前記力発生部から離間したまま維持するステップと、を有する処置方法。
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